(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】触媒フィルタリング段階が導入された異種の線状カーボネートを製造する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 68/06 20200101AFI20241217BHJP
C07C 69/96 20060101ALI20241217BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241217BHJP
【FI】
C07C68/06
C07C69/96 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2023532181
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 KR2021015844
(87)【国際公開番号】W WO2022114576
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161739
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ワン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ペク、ミ ファ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ジョン ミョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ウ ネ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジン ヒョン
【審査官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-118652(JP,A)
【文献】中国実用新案第207987067(CN,U)
【文献】国際公開第2017/188209(WO,A1)
【文献】特表2017-521422(JP,A)
【文献】特開2010-120011(JP,A)
【文献】特表平11-514010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 68/06
C07C 69/96
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の存在下にジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノール(Ethanol,EtOH)のエステル交換反応を行う段階と、
前記エステル交換反応により得られる合成物をフィルターでろ過する段階と、を含
み、
前記エステル交換反応は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)で行われ、
前記触媒とエタノールは、プレ反応器(Pre-reactor)で混合された状態で連続撹拌槽型反応器(CSTR)に供給されることを特徴とする異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項2】
前記フィルターは、平均直径が0.3以上2μm以下の気孔を有することを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項3】
前記フィルターは、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、およびポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene,PTFE)群から選ばれる1種以上の素材からなることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項4】
前記触媒は、0.1以上3重量%以下でアルコール系溶媒に溶解した状態で投入されることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項5】
前記触媒は、ジメチルカーボネート重量を基準として0.001以上3重量%以下で投入されることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【請求項6】
前記触媒は、ナトリウムメトキシド(Sodium Methoxide,SME)、ナトリウムヒドロキシド(Sodium Hydroixde,NaOH)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の異種の線状カーボネートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒フィルタリング段階が導入された異種の線状カーボネートを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリー電解液有機溶媒に用いるエチルメチルカーボネート(Ethyl Methyl Carbonate,EMC)、ジエチルカーボネート(Diethyl Carbonate,DEC)は、ジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノールのエステル交換反応により製造する方法が一般的に広く知られている。
【0003】
この際、前記反応時に触媒を用いるが、前記触媒としては、活性に優れたナトリウムメトキシド(Sodium Methoxide,NaOCH3,SME)とナトリウムヒドロキシド(Sodium Hydroxide,NaOH)を主に用いる。
【0004】
しかしながら、前記SMEまたはNaOHは、有機溶媒に対する溶解度が低く、DMC、EMC、DECに溶けない問題があるので、反応蒸留工程や精製工程でカラムプラッギング(Column plugging)を誘発し、工程トラブルの原因となる。
【0005】
これと関連して、特許文献1には、DMCとアルコール、触媒を活用して反応蒸留法を用いてEMCとDECを製造し、図面を参照すると、反応蒸留塔の後段に固体相を分離するストレーナー(Strainer)が設けられているが、反応蒸留塔でアルコールが蒸留すると、結局、触媒が析出するので、塔内部パッキングにパウダーが積もってプラッギングを依然として誘発する。
【0006】
また、特許文献2には、前記SME触媒と反応蒸留を活用してDECを高い割合で製造するという内容があり、反応蒸留塔の内部は、多孔性トレーからなり、触媒は、SMEとエタノールなどのアルコールが混合した状態で注入されるが、このような方法も、反応蒸留塔の内部でアルコールが蒸留したら、下段の濃縮液から触媒が析出してプラッギングを誘発し、触媒が後段分離工程に移るとしても、EMC精製タワーの内部で問題が予想されるだけでなく、DEC精製時には、析出するSMEに起因してDECの損失が発生する問題がある。
【0007】
したがって、前記問題を解決し、バッテリー電解液用異種の線状カーボネートを効果的に製造できる方法に対する研究が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国特許公告第103804124号公報
【文献】韓国特許公告第10-1668571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、異種の線状カーボネートを製造するために、合成物に触媒フィルタリング段階を導入することによって、精製工程で触媒が析出しないので、優れた収率で目的化合物を得ることができる異種の線状カーボネートを製造する方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施態様は、触媒の存在下にジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノール(Ethanol,EtOH)のエステル交換反応を行う段階と、
前記エステル交換反応により得られる合成物をフィルターでろ過する段階と、を含む、異種の線状カーボネートの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による異種の線状カーボネートの製造方法は、エステル交換反応により得られる合成物に触媒フィルタリング段階を導入することによって、触媒の低い溶解度の問題を解決し、精製工程で発生しうる触媒析出によるカラムプラッギングを防止することができ、工程問題を最小化し、これによって、メンテナンス費用を節減することができる。
【0012】
それだけでなく、エステル交換反応のためにCSTRを使用することによって、原料であるジメチルカーボネートとエタノールの割合を調節することによって、目的とする異種の線状カーボネートの製造比率を調整することが容易である。
【0013】
また、エタノールと触媒をプレ反応器であらかじめ混合し、CSTRに投入する場合、反応速度を高め、生産性を増加させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本明細書において、任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0015】
本明細書において、単位「重量%」は、全体成分において一定の成分が占める重量の割合を意味し得る。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施態様は、触媒の存在下にジメチルカーボネート(Dimethyl Carbonate,DMC)とエタノール(Ethanol,EtOH)のエステル交換反応を行う段階と、
前記エステル交換反応により得られる合成物をフィルターでろ過する段階と、を含む、異種の線状カーボネートの製造方法を提供する。
【0018】
本発明において、前記異種の線状カーボネートというのは、前記ジメチルカーボネートと異なる種のカーボネートを意味し、詳細には、非対称線状カーボネートおよび対称線状カーボネートを意味し、より詳細には、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジエチルカーボネート(DEC)を意味する。
【0019】
前記エステル交換反応に用いられる触媒は、一般的に、リチウムメトキシド(Lithium Methoxide,LME)、リチウムエトキシド(Lithium Ethoxide,LEE)、ナトリウムメトキシド(Sodium Methoxide,SME)、ナトリウムヒドロキシド(Sodium Hydroixde,NaOH)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種であってもよく、詳細には、活性に優れたナトリウムメトキシド(Sodium Methoxide,SME)、ナトリウムヒドロキシド(Sodium Hydroixde,NaOH)およびこれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上であってもよい。
【0020】
しかしながら、前述したように、このような触媒は、有機溶媒に対する溶解度が低く、反応原料であるジメチルカーボネート、目的物であるエチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどに溶けない問題があり、反応工程や精製工程でカラムプラッギングを誘発するという問題があった。
【0021】
これより、本出願の発明者らは、このような問題を効果的に解決できる方法を鋭意検討した結果、前記エステル交換反応により得られる合成物をフィルタリングする過程を経る場合には、精製工程などで触媒がほとんど析出しないので、優れた収率で目的物であるジエチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを生産することができることを知見し、本発明に至った。
【0022】
前記フィルターでろ過する段階は、エステル交換反応により得られる合成物をフィルターでろ過する方式で行われる。
【0023】
前記フィルターは、平均直径が0.3以上2μm以下の気孔を有していてもよく、詳細には、平均直径が0.4以上1μm以下の気孔を有していてもよく、より詳細には、 平均直径が0.45以上0.8μm以下の気孔を有していてもよい。
【0024】
このようなフィルターの平均直径の気孔は、走査電子顕微鏡(FE-SEM)(Hitachi S-4800 Scanning Electron Microscope)を用いてフィルター試料の表面を2,500倍拡大して測定した後、測定された写真内任意にサンプリングした範囲(横10μm以上、縦15μm以上)で確認される表面気孔のうち長軸の長さを気孔サイズで測定した。測定個数は、最小10個以上とし、測定後に求めた気孔サイズの平均を求めた。
【0025】
前記範囲外であり、平均直径のサイズが小さすぎる場合、フィルターに多くの時間がかかり、大きすぎる場合には、触媒が共に抜けてしまうので、好ましくない。
【0026】
前記フィルターの素材は、化学安定性を有し、前記カーボネート系物質と反応しない素材であれば、限定されないが、例えば、ポリエチレン(Polyethylene)、ポリプロピレン(Polypropylene)、およびポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene,PTFE)群から選ばれる1種以上の素材からなり、詳細には、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene,PTFE)素材からなる。
【0027】
このように、前記気孔を有するフィルターで合成物をフィルタリングする場合には、反応または精製工程で触媒析出を防止することができるので、カラムプラッギング問題を効果的に解決することができる。
【0028】
なお、このような触媒は、0.1以上3重量%以下、詳細には、0.1以上2重量%以下、より詳細には、0.5以上1重量%以下でアルコール系溶媒に溶解した状態で投入することができる。
【0029】
すなわち、前記触媒が溶媒に溶解した溶液全重量を基準として、触媒は、0.1以上3重量%以下、詳細には、0.1以上2重量%以下、より詳細には、0.5以上1重量%以下で含まれた溶液を使用することができる。
【0030】
前記範囲外であり、触媒の重量%が高すぎる場合、アルコール系溶媒に溶解しない含有量が高くなり、非効率的であり、重量%が低すぎる場合、全体投入される溶媒の量が増加し、これによって、エネルギー消耗量が増加し、反応効率が低下することがあるので、好ましくない。
【0031】
前記アルコール系溶媒は、詳細には、エタノールであってもよい。
【0032】
これら触媒の使用量は、ジメチルカーボネート重量を基準として0.001以上3重量%以下、詳細には、0.001以上1重量%以下、より詳細には、0.001以上0.1重量%以下であってもよい。
【0033】
前記範囲外であり、非常に少ない含有量で投入されると、反応が効率的に進行されず、非常に多い含有量で投入されると、使用しない触媒量が多いにもかかわらず、投入量が多くなるので、経済性の観点から、好ましくない。
【0034】
なお、本発明による異種の線状カーボネート、すなわちエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートの製造は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)で反応を行い、蒸留カラムで蒸留を行う方式で行われ得る。したがって、前記エステル交換反応は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)内に原料を供給して行われ得る。
【0035】
具体的には、前記CSTRで、前記ジメチルカーボネートとエタノールがエステル交換触媒の存在下に交換反応を起こし、これから目的物を収得することができる。より具体的には、製造原料であるジメチルカーボネート、エタノール、触媒がCSTRに連続的に供給されると、前記反応器で生成される反応物が排出ストリームで排出され、その後、蒸留カラムに導入されて蒸留されることによって、目的物であるエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを選択的に分離して収得する。
【0036】
この際、本発明は、前記排出ストリームが蒸留カラムに導入される前に、前記フィルタリングする過程を経る。
【0037】
また、前記触媒とエタノールは、プレ反応器(Pre-reactor)で混合した状態で供給され、前記エステル交換反応は、連続撹拌槽型反応器(CSTR)で行われ得る。
【0038】
すなわち、エタノールに溶解した状態の触媒が反応原料としてのエタノールと共に、プレ反応器に投入され、あらかじめ混合され、その後、この混合物とジメチルカーボネートがCSTRにそれぞれ供給され、反応が行われ得る。
【0039】
このようにあらかじめ混合する過程を経る場合、本出願の発明者らは、さらに迅速な反応速度を得ることができることを確認した。ここで、前記触媒とエタノールの混合は、混合による反応まで含む概念である。
【0040】
具体的には、エステル交換反応は、触媒のOH基がエタノールのHを攻撃して反応が始まるので、エタノールと触媒を先に混合してあらかじめ反応させると、ジメチルカーボネートによる濃度の低下を避けることができるので、反応速度に有利な効果を有する。
【0041】
なお、前記反応原料として含まれるジメチルカーボネートは、市販品を購入して使用することができ、一酸化炭素と亜硝酸エステルを気相接触反応させることによって得られたものや、二酸化炭素とアルコールを固体触媒下に反応させて得られたものなど、公知の方法で製造されたジメチルカーボネートを用いることができる。
【0042】
また、さらに他の反応原料としてエタノールは、市販品をそのまま使用することもできるが、本発明のエステル交換反応に影響を及ぼさないように、含有水分量が0.20質量%以下(2000ppm以下)のエタノールを用いることが好ましい。ここで、含有水分の除去は、例えば、分子篩、無水硫酸マグネシウムおよび/または酸化カルシウムなどの乾燥剤で脱水操作などで行われる。
【0043】
エタノールの使用量は、ジメチルカーボネート重量を基準として、20以上150重量%以下、詳細には、30以上130重量%以下、より好ましくは、40以上130重量%以下であってもよい。
【0044】
前記エタノールの投入量が少なすぎると、反応が効率的に進行されず、一方、過多使用すると、反応後に除去する煩雑さが増加し、また、経済的な観点から、好ましくない。
【0045】
なお、前記エステル交換反応の反応温度は、反応器であるCSTR内温度に影響を受ける。前記反応温度は、30以上130℃以下であってもよく、詳細には、60以上120℃以下であってもよく、より詳細には、80以上100℃以下であってもよく、したがって、反応器内温度も、このような温度範囲で調節することができる。
【0046】
前記範囲外であり、前記反応温度が低すぎる場合には、反応が容易に行われないので、反応効率が低く、高すぎる場合には、エネルギー費用が増加し、反応副産物の生成量が増加する問題があるので、好ましくない。
【0047】
また、前記反応の圧力は、大きく限定されず、反応温度、および反応組成によって異なっていてもよく、例えば、常圧~1000kPaであってもよい。
【0048】
また、前記反応のpHは、6以上9以下の範囲に維持される。pHを維持するために必要であれば、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を反応に添加することができる。例示的なアルカリ土類金属化合物は、酸化物、水酸化物、カーボネートおよびカルボン酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0049】
前記反応時間は、反応条件、反応原料および反応に影響を与えることができる他の因子によって変わる。しかしながら、典型的に、反応時間は、0.5~20時間である。CSTRを使用する連続工程の場合、反応時間(滞留時間)は、使用された圧力、温度および触媒によって決定されるシステムの動力学によって決定される。
【0050】
このように、CSTRによるエステル交換反応は、前記反応圧力、温度、反応物の濃度、pHおよび所望の反応生成物を製造するのに適合した反応時間を含む。この工程で使用される任意の特定条件は、特に制限されず、工程を用いて生成された反応原料および合成物に基づいて選択される。
【0051】
このように、CSTRを用いてエステル交換反応が完了すると、エチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートを含む反応濃縮液、合成物が排出ストリームで取得される。また、これがフィルターによるろ過後に蒸留を経ると、触媒析出なしで優れた収率で高純度のエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートを収得することができる。
【0052】
また、本発明によって、触媒をエタノールとあらかじめ混合し、反応させると、DMCによる濃度の低下を避けて、反応速度が速くなり、経済性に非常に優れている。
【実施例】
【0053】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例に基づいて詳細に説明することとする。しかしながら、本発明による実施例は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が下記で記述する実施例に限定されると解されない。本明細書の実施例は、当業界において平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0054】
[実施例1]
ジメチルカーボネート(DMC)540.48g、エタノール(EtOH)360.592g、およびナトリウムメトキシド溶液(SME、1wt% inエタノール(EtOH))54.048gを原料として、1.67ml/minの速度で100ml体積を有するCSTRに注入し、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成した。この際、前記反応は、70℃、1bar、3時間、pH12で行われた。
前記反応後、排出ストリームで合成物300gを0.45μmの気孔直径を有するフィルターに通過させた後、蒸留した。
【0055】
[実施例2]
ジメチルカーボネート(DMC)1080.96g、エタノール(EtOH)721.184g、およびナトリウムメトキシド溶液(SME、1wt% inエタノール(EtOH))108.096gを原料として、10g/minの速度で100ml体積を有するCSTRに注入し、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成した。この際、前記エタノールとSMEをプレ反応器であらかじめ混合し、CSTRへの注入時に、前記DMCとあらかじめ混合した前記エタノールとSMEの混合物を注入した。この際、前記反応は、70℃、1bar、1時間、pH12で行われた。
前記反応後、排出ストリームで合成物300gを0.45μm気孔直径を有するフィルターに通過させた後、蒸留した。
【0056】
[比較例1]
CSTRの代わりに、Batch反応器を使用し、70℃、1bar、1時間、pH12の反応条件で調節したことを除いて、実施例1と同じ方法でエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成した。
また、前記反応により収得された合成物300gを蒸留した。
【0057】
[比較例2]
エタノールとSMEをプレ反応器であらかじめ混合しなかったこと以外は実施例2と同じ方法でエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを合成した。
また、前記反応後、排出ストリームで合成物300gを蒸留した。
【0058】
[実験例1]
前記実施例1~2、比較例1~2で製造原料であるジメチルカーボネートの消費量、および目的物であるエチルメチルカーボネートとジエチルカーボネートの生成量などに対する定性および定量分析を行い、その結果を下記表1に示した。
【0059】
前記定性および定量分析は、前記得られた製品1gを取り、0.1gのm-Xyleneと混合した後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて濃度を測定した(YL6500GC;YOUNGIN Chromass社製、GCカラム:DB-1 30m×0.53mm、GC検出器:FID)。また、製造原料のジメチルカーボネートの反応転化率は、使用量対比消費量をモル%で計算し、目的物であるエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートの反応選択度は、それぞれ生成されるエチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートの全含有量に対するそれぞれの含有量をモル%で計算した。
【0060】
また、前記蒸留が完了した後、残余物内の固体触媒の重量を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0061】
【0062】
表1によれば、本発明による方法である、CSTRで反応させ、フィルタリング過程を導入する場合、触媒の活性は、従来の方法で行った場合と同一であるが、フィルタリング過程により触媒の析出が顕著に減少し、析出量が殆どないことを確認できる。
【0063】
また、実施例2と比較例2を検討すると、触媒をエタノールとあらかじめ反応させて、CSTRに投入する場合、同じ反応時間にDMC転化率が高いことを確認できるところ、反応速度が速くなることを確認できる。