(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】誘電体フィルタ、送受信機、および基地局
(51)【国際特許分類】
H01P 1/208 20060101AFI20241217BHJP
H01P 1/205 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01P1/208 Z
H01P1/205 K
(21)【出願番号】P 2023536539
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2020136616
(87)【国際公開番号】W WO2022126393
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼ 清▲擴▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 炳文
(72)【発明者】
【氏名】▲兪▼ 熹
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲曉▼峰
(72)【発明者】
【氏名】彭 杰
(72)【発明者】
【氏名】梁 丹
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0267712(US,A1)
【文献】特開平07-111404(JP,A)
【文献】特表2018-538763(JP,A)
【文献】特表2011-507395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/208
H01P 1/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体と、前記誘電体上に配置された入力ポート、出力ポート、内部誘電体共振器、および外部誘電体共振器とを備える誘電体フィルタであって、前記入力ポートと前記出力ポートとの間に複数の内部誘電体共振器が配置されており、主結合チャネルのカスケード結合共振器を形成しており、前記入力ポートの片側に2つの外部誘電体共振器が配置されており、前記外部誘電体共振器と前記入力ポートとの結合量は、前記外部誘電体共振器と前記内部誘電体共振器のいずれかとの結合量よりも大きく、かつ/または前記出力ポートの片側に2つの外部誘電体共振器が配置されており、前記外部誘電体共振器と前記出力ポートとの結合量は、前記外部誘電体共振器と前記内部誘電体共振器のいずれかとの結合量よりも大き
く、
前記2つの外部誘電体共振器が結合されており、前記入力ポートまたは前記出力ポートに近接した前記外部誘電体共振器のうちの一方が、第1の外部誘電体共振器であり、他方の前記外部誘電体共振器が第2の外部誘電体共振器であり、前記第1の外部誘電体共振器が前記入力ポートまたは前記出力ポートに結合されており、前記第2の外部誘電体共振器が、ポート近傍の内部誘電体共振器に結合されており、前記ポート近傍の内部誘電体共振器が、前記第2の外部誘電体共振器が配置されている側のポートに隣接する内部誘電体共振器である、誘電体フィルタ。
【請求項2】
第1の線路と第2の線路との間の挟角が90°以上であり、かつ/または第3の線路と第4の線路との間の挟角が90°以上であり、
前記第1の線路が、前記外部誘電体共振器の中心と前記入力ポートの中心との間にある線路であり、前記第2の線路が、前記入力ポートに最も近接した内部誘電体共振器の中心と前記入力ポートの前記中心との間にある線路であり、
前記第3の線路が、前記外部誘電体共振器の中心と前記出力ポートの中心との間にある線路であり、前記第4の線路が、前記出力ポートに最も近接した内部誘電体共振器の中心と前記出力ポートの中心との間にある線路である、請求項1に記載の誘電体フィルタ。
【請求項3】
前記主結合チャネルのカスケード結合共振器が、線形トポロジ構造のカスケード結合共振器またはスタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器を含む、請求項1
または2に記載の誘電体フィルタ。
【請求項4】
前記外部誘電体共振器が、前記誘電体の一部によって画定される共振器本体と、前記共振器本体に配置されたデバッグホールとを含み、前記デバッグホールが、止まり穴または貫通孔である、請求項
3に記載の誘電体フィルタ。
【請求項5】
前記外部誘電体共振器と前記ポート近傍の内部誘電体共振器との間に結合孔および/または結合溝が配置されており、前記ポート近傍の内部誘電体共振器が、前記外部誘電体共振器が配置されている側のポートに隣接する内部誘電体共振器である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の誘電体フィルタ。
【請求項6】
前記結合孔が、止まり穴または貫通孔である、請求項
5に記載の誘電体フィルタ。
【請求項7】
前記結合溝が止まり溝である、請求項
5に記載の誘電体フィルタ。
【請求項8】
前記結合溝が、前記入力ポートまたは前記出力ポートに隣接する前記内部誘電体共振器と前記外部誘電体共振器との間に配置されており、前記結合溝が、前記結合溝の一端に配置されている前記内部誘電体共振器および前記結合溝の他端に配置されている前記外部誘電体共振器のいずれとも連通していない、請求項
5から
7のいずれか一項に記載の誘電体フィルタ。
【請求項9】
前記結合溝が、前記入力ポートまたは前記出力ポートに隣接する前記内部誘電体共振器と前記外部誘電体共振器との間に配置されており、前記結合溝の一端が、前記結合溝の一端に配置されている前記内部誘電体共振器または前記結合溝の他端に配置されている前記外部誘電体共振器と連通している、請求項
5から
7のいずれか一項に記載の誘電体フィルタ。
【請求項10】
前記入力ポートまたは前記出力ポートに隣接する前記内部誘電体共振器と前記外部誘電体共振器との間に結合溝が配置されており、前記結合溝の2つの端部がそれぞれ、前記結合溝の一端に配置されている前記内部誘電体共振器または前記結合溝の他端に配置されている前記外部誘電体共振器と連通している、請求項
5から
7のいずれか一項に記載の誘電体フィルタ。
【請求項11】
前記結合孔が、前記入力ポートまたは前記出力ポートに隣接する前記内部誘電体共振器と前記外部誘電体共振器との間に配置されており、前記結合孔の軸線と、前記内部誘電体共振器の軸線と、前記外部誘電体共振器の軸線とが互いに平行である、請求項
5から
10のいずれか一項に記載の誘電体フィルタ。
【請求項12】
前記誘電体の外面および内面の両方が金属化されている、請求項1から
11のいずれか一項に記載の誘電体フィルタ。
【請求項13】
受信機と、送信機と、増幅ユニットと、請求項1から
12のいずれか一項に記載の誘電体フィルタと、を備える、送受信機。
【請求項14】
アンテナフィーダ構成要素と、制御構成要素と、請求項
13に記載の送受信機と、を備える、基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、通信装置の構成要素の分野に関し、より詳細には、誘電体フィルタ、送受信機、および基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信基地局装置の急速な発展、とりわけ5G大規模多入力多出力(Massive MIMO、Massive Multiple-Input Multiple-Output)技術を使用する基地局の幅広い用途に伴い、小型化や集積化の良好な実装形態として、誘電体導波管フィルタがより注目され、当業界でますます研究が進んでいる。
【0003】
誘電体フィルタは通常、複数の共振器から構成されており、これら共振器同士を結合させている。共振器間の結合は、極性に基づいて誘導結合(正結合と称されてもよい)と、容量結合(負結合と称されてもよい)とに分類される。共振器間の結合の極性に基づいて、伝送ゼロ点が生成されてもよい。減衰極またはノッチ点とも呼ばれる伝送ゼロ点は、フィルタの通過帯域外の周波数であり、当該周波数でフィルタによって周波数の信号に施される除去は、理論上無限となっている。
【0004】
従来技術の誘電体フィルタの場合、誘電体フィルタの伝送ゼロ点機能は通常、誘電体フィルタの主伝送チャネルに交差結合を付加することによって実装される。しかしながら、これにより、構造が複雑になり、帯域外除去が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本出願の実施形態は、誘電体フィルタの帯域外除去性能が不十分であるという問題を解決し、誘電体フィルタの帯域外除去性能を向上させるために、誘電体フィルタ、送受信機、および基地局を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するために、本出願では、以下の技術的解決策が用いられる。
【0007】
第1の態様によれば、誘電体フィルタが提供される。誘電体フィルタは、誘電体と、誘電体上に配置された入力ポート、出力ポート、内部誘電体共振器、および外部誘電体共振器とを備える。入力ポートと出力ポートとの間に複数の内部誘電体共振器が配置されており、主結合チャネルのカスケード結合共振器を形成している。入力ポートの片側に2つの外部誘電体共振器が配置されており、外部誘電体共振器と入力ポートとの結合量は、外部誘電体共振器と内部誘電体共振器のいずれかとの結合量よりも大きく、かつ/または出力ポートの片側に2つの外部誘電体共振器が配置されており、外部誘電体共振器と出力ポートとの結合量は、外部誘電体共振器と内部誘電体共振器のいずれかとの結合量よりも大きい。
【0008】
内部誘電体共振器は、高周波信号を伝送するように構成されている。複数の内部誘電体共振器が配置されてもよい。配置すべき内部誘電体共振器の具体的な数は、高周波信号の伝送要件および誘電体フィルタのサイズなどの要因に依存する。入力ポートと出力ポートとの間に配置された複数の内部誘電体共振器は、主結合チャネルを形成するように結合され、主結合チャネルに沿って高周波信号が伝送される。入力ポートの片側に2つの外部誘電体共振器が配置されており、外部誘電体共振器と入力ポートとの結合量は、外部誘電体共振器と内部誘電体共振器のいずれかとの結合量よりも大きい。あるいは、出力ポートの片側に2つの外部誘電体共振器が配置されており、外部誘電体共振器と出力ポートとの結合量は、外部誘電体共振器と内部誘電体共振器のいずれかとの結合量よりも大きい。このようにして、1対の伝送ゼロ点が取得され得、2つの伝送ゼロ点は、誘電体フィルタの通過帯域の両側にそれぞれ配置される。前述の条件が満たされ、2つの外部誘電体共振器が入力ポートの片側および出力ポートの片側に配置される場合、2対の伝送ゼロ点が取得されてもよい。いくつかの実施形態における入力ポートまたは出力ポートの片側は、入力ポートまたは出力ポートのいずれかの側である。外部誘電体共振器と入力ポートまたは出力ポートとの結合量は、外部誘電体共振器と内部誘電体共振器のいずれかとの結合量よりも大きくする必要があるため、内部誘電体共振器と外部誘電体共振器とが、それぞれ入力ポートまたは出力ポートの両側に配置されると好ましい。2つの伝送ゼロ点は、入力ポートまたは出力ポートの外側に2つの外部誘電体共振器を追加することによって実装され得、それによって誘電体フィルタの帯域外除去性能を向上させることができる。加えて、スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器と、線形トポロジ構造のカスケード結合共振器との両方を使用することができるため、誘電体フィルタの内部配置は柔軟に設定され得る。したがって、誘電体フィルタは、単純な構造、良好な信頼性や費用対効果を有し、成形可能であり、大量生産に好都合である。
【0009】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、第1の線路と第2の線路との間の挟角は90°以上であり、かつ/または第3の線路と第4の線路との間の挟角は90°以上である。
【0010】
第1の線路は、外部誘電体共振器の中心と入力ポートの中心との間にある線路である。第2の線路は、入力ポートに最も近接した内部誘電体共振器の中心と入力ポートの中心との間にある線路である。第3の線路は、外部誘電体共振器の中心と出力ポートの中心との間にある線路である。第4の線路は、出力ポートに最も近接した内部誘電体共振器の中心と出力ポートの中心との間にある線路である。
【0011】
この場合、第1の線路と第2の線路との間の挟角と、第3の線路と第4の線路との間の挟角とを設定することにより、外部誘電体共振器の位置が設定され、外部誘電体共振器と入力ポートまたは出力ポートとの結合量を、外部誘電体共振器と任意の内部誘電体共振器との結合量よりも大きくすることができる。このようにして、1対の伝送ゼロ点または2対の伝送ゼロ点が取得され得る。
【0012】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、2つの外部誘電体共振器が結合されており、入力ポートまたは出力ポートに近接した外部誘電体共振器のうちの一方が、第1の外部誘電体共振器であり、他方の外部誘電体共振器が第2の外部誘電体共振器であり、第1の外部誘電体共振器は、入力ポートまたは出力ポートに結合されている。この場合、第1の外部誘電体共振器はカスケード方式で入力ポートまたは出力ポートに結合され、第2の外部誘電体共振器は第1の外部誘電体共振器に結合される。このことは、外部誘電体共振器の柔軟な配置を実装するのに寄与し、そのような設計により、伝送ゼロ点が容易に取得されるようになる。
【0013】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、主結合チャネルのカスケード結合共振器は、線形トポロジ構造のカスケード結合共振器と、スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器とを含む。この場合、複数の誘電体共振器が一直線上に配置され得る線形トポロジ構造のカスケード結合共振器を用いることにより、誘電体フィルタの構造設計が簡素化され得る。構造が単純であり、誘電体フィルタの配置が簡便である。スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器内の隣接する複数の内部誘電体共振器間に、交差結合が生成され得る。交差結合は、誘電体フィルタの伝送ゼロ点機能の実装に有用であり、誘電体フィルタの帯域外除去性能は、外部誘電体共振器を配置することによって伝送ゼロ点が生成されることで向上する。
【0014】
主結合チャネルのカスケード結合共振器が非線形カスケード結合共振器である場合、隣接する2つの内部誘電体共振器の間に第1の結合溝が配置される。この場合、第1の結合溝を配置することにより、隣接する2つの内部誘電体共振器間の誘電体の量が制御されてもよい。誘電体の量は、第1の結合溝のサイズを制御することによって制御され、そこで2つの内部誘電体共振器間の結合量が制御され得る。内部誘電体共振器間の結合量を制御することにより、主結合チャネルの形成が制御される。主結合チャネルのカスケード結合共振器は、異なる形態であってもよい。実際の適用においては、主結合チャネルのカスケード結合共振器の配置が柔軟に調整されてもよく、誘電体フィルタを配置するのが全体的に容易になる。
【0015】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、外部誘電体共振器は、誘電体の一部によって画定される共振器本体と、共振器本体に配置されたデバッグホールとを含む。デバッグホールは、止まり穴または貫通孔である。この場合、デバッグホールを止まり穴または貫通孔とすることで、外部誘電体共振器の設計自由度が維持され得る。
【0016】
本出願の実施形態では、第1の結合溝の形状は、スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器内の内部誘電体共振器間の結合量に関係している。第1の結合溝を使用して、2つの内部誘電体共振器間の誘電体の量を制御することによって2つの内部誘電体共振器間の結合量を制御してもよいので、個々の内部誘電体共振器間の誘電体の量は、2つの内部誘電体共振器間の結合量を設定することによって求められてもよく、これにより、第1の結合溝の対応する形状が求められてもよい。
【0017】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、第2の外部誘電体共振器は、ポート近傍の内部誘電体共振器に結合されており、ポート近傍の内部誘電体共振器は、第2の外部誘電体共振器が配置されている側のポートに隣接する内部誘電体共振器である。この場合、第1の外部誘電体共振器は入力ポートまたは出力ポートに結合され、入力ポートは隣接する内部誘電体共振器に結合され、出力ポートは隣接する内部誘電体共振器に結合される。第2の外部誘電体共振器は、ポート近傍の内部誘電体共振器にさらに結合される。したがって、フィルタトポロジの配置は、外部誘電体共振器がポート近傍の内部誘電体共振器にさらに結合される場合、スタガード配置であってもよい。具体的には、2つの外部誘電体共振器とポート近傍の内部誘電体共振器とは、三角型に配置されている。このように配置することにより、2つの外部誘電体共振器とポート近傍の内部誘電体共振器との間で交差結合がより生じやすくなり、その結果、より良好な帯域外除去効果が得られる。
【0018】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、外部誘電体共振器とポート近傍の内部誘電体共振器との間に結合孔および/または結合溝が配置されており、ポート近傍の内部誘電体共振器は、外部誘電体共振器が配置されている側のポートに隣接する内部誘電体共振器である。
【0019】
この場合、結合孔または第2の結合溝を配置することにより、配置された結合孔または第2の結合溝を使用して、入力ポートと入力ポートの両側に配置されている内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合量、または出力ポートと出力ポートの両側に配置されている内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合量が調整されてもよい。結合孔および第2の結合溝は、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合量を調整し、出力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合量を調整するための異なる形態の機構である。実際の適用においては、入力ポートまたは出力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合量の要件に従って、対応する結合孔または第2の結合溝が設計されてもよい。結合孔と第2の結合溝とを併用することで、多様な設計や、内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との結合量に対する柔軟な調整が実施されてもよい。
【0020】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、結合孔は止まり穴または貫通孔であり、第2の結合溝は止まり溝である。この場合、結合孔は、貫通孔または止まり穴として設定され、貫通孔を使用することによって入力ポートまたは出力ポートと対応するポートの誘電体共振器との結合量を調整する効果は、止まり穴を使用することによってもたらされる効果とは異なる。貫通孔を使用するか止まり穴を使用するかは、結合量を調整する要件に依存する。このようにして、入力ポートまたは出力ポートと個々の誘電体共振器との結合量がより容易に調整される。この簡便な調整方法により、誘電体フィルタの製造および処理が容易になる。
【0021】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、第2の結合溝は、入力ポートまたは出力ポートに隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されており、第2の結合溝は、第2の結合溝の一端に配置されている内部誘電体共振器および第2の結合溝の他端に配置されている外部誘電体共振器のいずれとも連通していない。
【0022】
この場合、内部誘電体共振器と外部誘電体共振器とは両方とも入力ポートに隣接しているか、または両方とも出力ポートに隣接している。第2の結合溝が内部誘電体共振器および外部誘電体共振器のいずれとも連通しないように設計されているため、入力ポートと内部誘電体共振器との結合量と、入力ポートと外部誘電体共振器との結合量とが小さくなり得、かつ/または、出力ポートと内部誘電体共振器との結合量と、出力ポートと外部誘電体共振器との結合量とが小さくなり得る。
【0023】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、第2の結合溝は、入力ポートまたは出力ポートに隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されており、第2の結合溝の一端は、第2の結合溝の一端に配置されている内部誘電体共振器または第2の結合溝の他端に配置されている外部誘電体共振器と連通している。
【0024】
この場合、内部誘電体共振器および外部誘電体共振器の両方が、入力ポートまたは出力ポートに隣接している。第2の結合溝の一端を、第2の結合溝の一端に配置されている内部誘電体共振器または第2の結合溝の一端に配置されている外部誘電体共振器と連通させるように構成することにより、入力ポートまたは出力ポートと、第2の結合溝の一端と連通する内部誘電体共振器または外部誘電体共振器との結合量が大きくなってもよい一方、入力ポートまたは出力ポートと、第2の結合溝に連通していない内部誘電体共振器または外部誘電体共振器との結合量が小さくなる。このように、誘電体共振器を使用することにより、入力ポートまたは出力ポートと内部誘電体共振器または外部誘電体共振器との結合量が調整される。
【0025】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、第2の結合溝は、入力ポートまたは出力ポートに隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されており、第2の結合溝の2つの端部はそれぞれ、第2の結合溝の一端に配置されている内部誘電体共振器または第2の結合溝の他端に配置されている外部誘電体共振器と連通している。
【0026】
この場合、内部誘電体共振器と外部誘電体共振器とは両方とも入力ポートに隣接しているか、または両方とも出力ポートに隣接している。第2の結合溝の2つの端部がそれぞれ、第2の結合溝の一端に配置されている内部誘電体共振器および第2の結合溝の他端に配置されている外部誘電体共振器と連通しているため、入力ポートと内部誘電体共振器との結合量と、入力ポートと外部誘電体共振器との結合量とが大きくなり得、かつ/または、出力ポートと内部誘電体共振器との結合量と、出力ポートと外部誘電体共振器との結合量とが大きくなり得る。
【0027】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、結合孔は、入力ポートまたは出力ポートに隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されており、結合孔の軸線と、内部誘電体共振器の軸線と、外部誘電体共振器の軸線とは互いに平行である。
【0028】
この場合、結合孔の軸線を内部誘電体共振器の軸線および外部誘電体共振器の軸線と平行にすることで、製造および処理が容易になり得る。さらに、結合孔の軸線と内部誘電体共振器の軸線との間の距離を調整して、入力ポートまたは出力ポートと内部誘電体共振器との結合量を調整してもよいし、結合孔の軸線と外部誘電体共振器の軸線との間の距離を調整して、入力ポートまたは出力ポートと外部誘電体共振器との結合量を調整してもよい。
【0029】
第1の態様の1つの可能な実施態様では、誘電体の外面および内面の両方が金属化されている。誘電体の内面は、貫通孔のすべての内面と、止まり穴の内面および底面と、誘電体に設けられた止まり溝の内面および底面とを含む。誘電体の外面および内面を金属化することにより、誘電体の外面および内面に金属壁が形成され得る。このようにして、誘電体に共振系が形成され得る。
【0030】
第2の態様によれば、第1の態様または第1の態様の可能な実施態様のうちのいずれか1つで提供される受信機、送信機、増幅ユニット、および誘電体フィルタを含む送受信機が提供される。前述の実施形態で提供された送受信機および誘電体フィルタは、同じ技術的効果を有するため、ここでは詳細を再度述べない。
【0031】
第3の態様によれば、第2の態様で提供されるアンテナフィーダ構成要素、制御構成要素、および送受信機を含む基地局が提供される。前述の実施形態で提供された基地局および送受信機は、同じ技術的効果を有するため、ここでは詳細を再度述べない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第1の概略図である。
【
図2】本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第2の概略図である。
【
図3】
図1および
図2に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
【
図4】
図1に示す誘電体フィルタの応答曲線である。
【
図5】本出願の一実施形態による、トポロジ構造の概略図である。
【
図6】
図5に示すトポロジ構造の入力インピーダンスを有する等価回路の図である。
【
図7】本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第3の概略図である。
【
図8】
図7に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
【
図9】
図7に示す誘電体フィルタの応答曲線である。
【
図10】本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第1の概略図である。
【
図11】
図10のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第1の概略図の断面図である。
【
図12】本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第2の概略図である。
【
図13】
図12のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第2の概略図の断面図である。
【
図14】本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第3の概略図である。
【
図15】
図14のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第3の概略図の断面図である。
【
図16】本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第4の概略図である。
【
図17】本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第5の概略図である。
【
図18】本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第6の概略図である。
【
図19】
図18のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第6の概略図の断面図である。
【
図20】本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第4の概略図である。
【
図21】
図20に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
【
図22】本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第5の概略図である。
【
図23】
図22に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下で、添付の図面を参照しながら本出願における技術的解決策について説明する。
【0034】
本出願の実施形態では、「例」および「例えば」などの語は、例、例示、または説明を与えるために使用される。本出願の実施形態において「例」または「例えば」を使用して記載されているいずれの実施形態または設計解決策も、別の実施形態または設計解決策よりも好ましいもの、またはより有利であると解釈されるべきではない。厳密に言えば、「例」および「例えば」などの語の使用は、関連概念を具体的な方法で提示することを意図している。
【0035】
本出願の実施形態では、W1などの下付き文字が、W1などの下付きではない形式で誤って書かれる場合がある。差を強調しない場合、W1とW1とは同じ意味を有する。
【0036】
本出願の実施形態では、「第1」、「第2」、「第3」、および「第4」という用語は単に説明のために使用され、相対的な重要性または示された技術的特徴の量を暗に示すまたは示唆するとは理解され得ない。したがって、「第1」、「第2」、「第3」、または「第4」によって定義されている特徴は、1つ以上の特徴を明示的または暗黙的に含んでもよい。
【0037】
本出願の様々な例を説明するために使用される用語が、単に具体的な例を説明することを意図しており、限定することを意図するものではないことを理解されたい。様々な例の説明および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上別段明示していない限り、複数形を含むことが意図されている。
【0038】
本出願では、「少なくとも1つ」は1つ以上を指し、「複数の」は2つ以上を指す。「以下の項目(部分)のうちの少なくとも1つ」またはこれに類似する表現は、単一の項目(部分)または複数の項目(部分)の任意の組合せを含む、これらの項目(部分)の任意の組合せを指す。例えば、a、b、またはcのうちの少なくとも1つは、a、b、またはc、aおよびb、aおよびc、bおよびc、またはa、b、およびcを表してもよく、ここで、a、b、およびcは、単数であっても複数であってもよい。
【0039】
本明細書で使用される「および/または」という用語が、1つ以上の関連付けられる記載項目のうちの任意の、またはすべての考えられる組合せを指し、網羅することも理解されたい。「および/または」という用語は、関連付けられた対象を記述する関連付け関係を示し、3つの関係が存在し得ることを示す。例えば、Aおよび/またはBは、Aのみが存在する場合、AとBとの両方が存在する場合、およびBのみが存在する場合を示してもよい。加えて、本明細書における文字「/」は通常、関連付けられる対象が「または」の関係にあることを示す。
【0040】
Aに基づいてBを求めることが、BがAのみに基づいて求められることを意味せず、BがAおよび/または別の情報に基づいて求められてもよいことを理解されたい。
【0041】
本明細書中で使用される用語「含む(include)」(「includes」、「including」、「comprise」、および/または「comprising」としても使用される)が、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを示すが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらの集団の存在または付加を除外していないことも理解されたい。
【0042】
本明細書全体にわたって使用される「一実施形態」、「1つの実施形態」、および「1つの可能な実施態様」は、実施形態または実施態様に関係する特定の特徴、構造、または特性が本出願の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解されたい。したがって、本明細書全体にわたって使用される「一実施形態」、「本出願の一実施形態」、または「1つの可能な実施態様」は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、任意の適切な方式で1つ以上の実施形態において組み合わされてよい。
【0043】
図1を参照されたい。
図1は、本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの概略図のうちの1つである。
図1に示すように、誘電体フィルタは、誘電体と、誘電体上に配置された入力ポート10、出力ポート20、内部誘電体共振器、および外部誘電体共振器とを備える。入力ポート10と出力ポート20との間に複数の内部誘電体共振器が配置されており、主結合チャネルのカスケード結合共振器を形成している。2つの外部誘電体共振器が入力ポート10の外側に配置されており、かつ/または出力ポート20の外側に配置されている。
【0044】
本出願の実施形態では、入力ポート10の外側は、入力ポート10の出力ポート20に面する側に対向する側であり、出力ポート20の外側は、入力ポート10に面する側に対向する側である。主結合チャネルのカスケード結合共振器は、カスケード結合された複数の内部誘電体共振器を含む。複数の内部誘電体共振器のうち、隣接する2つの内部誘電体共振器の間で結合効果の強いチャネルが連続して結合されてなるチャネルが、主結合チャネルである。
図7に示すように、内部誘電体共振器11と、内部誘電体共振器12と、内部誘電体共振器13と、内部誘電体共振器14との間の主結合チャネルは、
図7で破線を使用して示されている。
【0045】
これに基づいて、内部誘電体共振器は、入力ポート10と出力ポート20との間に配置されている。内部誘電体共振器は、高周波信号を伝送するように構成されている。複数の内部誘電体共振器が配置されてもよい。配置すべき内部誘電体共振器の具体的な数は、高周波信号の伝送要件および誘電体フィルタのサイズなどの要因に依存する。入力ポート10と出力ポート20との間に配置された複数の内部誘電体共振器は、主結合チャネルを形成するように結合され、主結合チャネルに沿って高周波信号が伝送される。入力ポート10または出力ポート20の外側に2つの外部誘電体共振器を配置することにより、一対の伝送ゼロ点が取得され得、2つの伝送ゼロ点は、本フィルタの通過帯域の両側にそれぞれ配置される。入力ポート10および出力ポート20の両方の外側に2つの外部誘電体共振器が配置される場合、2対の伝送ゼロ点が取得され得る。
【0046】
2つの伝送ゼロ点は、入力ポート10または出力ポート20の外側に2つの外部誘電体共振器を追加することにより、内部誘電体共振器のフィルタトポロジの配置の影響を受けることなく実装され得、それによって誘電体フィルタの帯域外除去性能を向上させることができる。加えて、スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器と、線形トポロジ構造のカスケード結合共振器との両方を使用することができるため、誘電体フィルタの内部に内部誘電体共振器が柔軟に配置され得る。したがって、誘電体フィルタは、単純な構造、良好な信頼性や費用対効果を有し、成形可能であり、大量生産に好都合である。
【0047】
配置すべき内部誘電体共振器の具体的な数は、誘電体フィルタの実際の機能要件に依存する。例えば、
図1および
図3を参照されたい。
図1は、本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第1の概略図である。
図3は、
図1に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
図1および
図3に示すように、内部誘電体共振器11、内部誘電体共振器12、内部誘電体共振器13、および内部誘電体共振器14の4つの内部誘電体共振器が配置されている。内部誘電体共振器11は、入力ポート10に結合されている。内部誘電体共振器12は、内部誘電体共振器11に結合されている。内部誘電体共振器13は、内部誘電体共振器12に結合されている。内部誘電体共振器14は、内部誘電体共振器13に結合されている。出力ポート20は、内部誘電体共振器14に結合されている。この場合、内部誘電体共振器11、内部誘電体共振器12、内部誘電体共振器13、および内部誘電体共振器14を介して、すなわち、
図1の矢印で示す方向に高周波信号が伝送される。この経路が主結合チャネルである。
【0048】
以下の記載では、入力ポート10の外側および/または出力ポート20の外側に2つの外部誘電体共振器を配置することにより、伝送ゼロ点を生成する原理について説明される。本実施形態では、入力ポート10の外側に2つの外部誘電体共振器が配置された例を用いて説明する。
【0049】
図5および
図6を参照されたい。
図5は、本出願の一実施形態による、トポロジ構造の概略図である。
図6は、
図5に示すトポロジ構造の入力インピーダンスを有する等価回路の図である。
図5に示す回路トポロジでは、図中の外部誘電体共振器1と外部誘電体共振器2とが直列結合された除去共振器を形成し、リンク全体に伝送ゼロ点をもたらしている。従来の帯域外ゼロ空洞共振器、非共振ノード、および除去共振器の場合、従来のNRN冗長共振器の共振周波数は伝送ゼロ点に位置する。その一方で、
図5に示す回路トポロジで直列結合された外部誘電体共振器1および外部誘電体共振器2の共振周波数は、フィルタの通過帯域の中心に位置する。伝送ゼロ点を生成するメカニズムを解析するために、まず入力アドミタンスY
inが計算される。
【数1】
【0050】
ここで入力インピーダンスZ
inは以下のようになる。
【数2】
【0051】
Y
inが無限大に近似すると、すなわちZ
inが0に近似すると(Z
in=0)、伝送ゼロ点が生成される。Y
inが0に等しい場合、反射ゼロ点が生成される。この場合、取得された伝送ゼロ点S
zは、
【数3】
となり、かつ
反射ゼロ点S
pは、
S
p=-jb
2となる。
【0052】
上記の式において、b1は外部誘電体共振器1の周波数係数であり、b2は外部誘電体共振器2の周波数係数であり、jは複素数の虚数単位であり、J1は外部誘電体共振器1と入力ポート10との結合係数であり、J2は外部誘電体共振器1と外部誘電体共振器2との結合係数である。
【0053】
したがって、伝送ゼロ点が対称的に分布している場合、外部誘電体共振器1と外部誘電体共振器2とは共に中心周波数で共振し、b1=b2=0となる。この場合、Sz=±jJ2となり、Sp=0となる。
【0054】
上記の解析に基づいて、以下の結論が導かれ得る。
【0055】
(1)一対の帯域外伝送ゼロ点がトポロジ構造に対して実装され得、一対の帯域外伝送ゼロ点は、通過帯域の両側に対称的に分布した対称伝送ゼロ点、または通過帯域の両側に位置する非対称伝送ゼロ点であってもよい。
【0056】
(2)J2は、伝送ゼロ点の位置に影響を及ぼし得る。
【0057】
(3)J1は結合のみを提供し、伝送ゼロ点の位置に影響を与えない。
【0058】
伝送ゼロ点が通過帯域の両側に対称的に分布している場合、外部誘電体共振器1と外部誘電体共振器2とは、中心周波数に位置する2つの反射ゼロ点をもたらす。
【0059】
本出願の本実施態様では、第1の線路と第2の線路との間の挟角は90°以上であり、かつ/または第3の線路と第4の線路との間の挟角は90°以上である。
【0060】
第1の線路は、外部誘電体共振器の中心と入力ポートの中心とを結ぶ線路である。第2の線路は、入力ポートの中心と、入力ポートに最も近接した内部誘電体共振器の中心とを結ぶ線路である。第3の線路は、出力ポートの中心と外部誘電体共振器の中心とを結ぶ線路である。第4の線路は、出力ポートの中心と、出力ポートに最も近接した内部誘電体共振器の中心とを結ぶ線路である。
【0061】
第1の線路と第2の線路との間の挟角が90°以上に設定されることにより、内部誘電体共振器および外部誘電体共振器がそれぞれ、入力ポートの両側に配置されるようになる。本出願の本実施形態では、内部誘電体共振器が配置されている側が入力ポートの内側と定義され、他方の側が入力ポートの外側と定義される。入力ポートの内側と外側との境界線は、入力ポートの中心を通り、第2の線路に垂直な直線である。外部誘電体共振器の中心は、境界線上に位置していてもよいし、入力ポートの外側に位置していてもよい。外部誘電体共振器の位置を設定することにより、外部誘電体共振器は、内部誘電体共振器に直接結合されると必ず入力ポートを通過するようになり、主結合チャネルのカスケード結合共振器の一部となる。このようにして、波の伝送経路が入力ポートを通過して外部誘電体共振器に到達し、そこで伝送ゼロ点が生成される。
【0062】
第3の線路と第4の線路との間の挟角が90°以上に設定されることにより、内部誘電体共振器および外部誘電体共振器がそれぞれ、出力ポートの両側に配置されるようになる。本出願の本実施形態では、内部誘電体共振器が配置されている側が出力ポートの内側と定義され、他方の側が出力ポートの外側と定義される。出力ポートの内側と外側との境界線は、出力ポートの中心を通り、第4の線路に垂直な直線である。外部誘電体共振器の中心は、境界線上に位置していてもよいし、出力ポートの外側に位置していてもよい。外部誘電体共振器の位置を設定することにより、外部誘電体共振器は、内部誘電体共振器に直接結合されると必ず出力ポートを通過するようになり、主結合チャネルのカスケード結合共振器の一部となる。このようにして、波の伝送経路が出力ポートを通過して外部誘電体共振器に到達し、そこで伝送ゼロ点が生成される。
【0063】
本出願の本実施形態では、2つの外部誘電体共振器が結合されており、入力ポート10または出力ポート20に近接した外部誘電体共振器が、入力ポート10または出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器のうちの一方が、カスケード結合を介して入力ポート10または出力ポート20に結合されていることが理解されよう。このような設計は、上述した伝送ゼロ点を取得するための理論的根拠に従うものであり、伝送ゼロ点の取得を容易にする。
【0064】
本実施形態では、入力ポート10の外側に外部誘電体共振器および外部誘電体共振器が配置されており、出力ポート20の外側にも外部誘電体共振器および外部誘電体共振器が配置されている。したがって、説明および識別を容易にするために、入力ポート10に近接しており、入力ポート10の外側にある外部誘電体共振器が外部誘電体共振器A31と称され、入力ポート10の外側の他方の外部誘電体共振器が外部誘電体共振器A32と称され、出力ポート20の外側にあり、出力ポート20に近接している外部誘電体共振器が外部誘電体共振器B21と称され、出力ポート20の外側にあり、出力ポート20に近接している他方の外部誘電体共振器が外部誘電体共振器B22と称される。
【0065】
本出願の本実施形態では、主結合チャネルのカスケード結合共振器は、線形トポロジ構造のカスケード結合共振器と、スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器とを含む。線形トポロジ構造のカスケード結合共振器を使用する場合、複数の内部誘電体共振器を直線状に配置することによって誘電体フィルタの構造設計が簡素化され得、構造が単純になり、誘電体フィルタを配置するのが容易になる。スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器を使用する場合、隣接する複数の内部誘電体共振器によって形成される交差結合がもたらされ、交差結合により、誘電体フィルタにおける伝送ゼロ点機能の実装が容易になる。加えて、外部誘電体共振器を配置することによって取得される伝送ゼロ点は、誘電体フィルタの帯域外除去性能を向上させるのに寄与する。
【0066】
次に、線形トポロジ構造のカスケード結合共振器およびスタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器の具体的な配置形態を個別に説明する。
【0067】
実施例1
本実施例では、
図2および
図3を参照する。
図2は、本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第2の概略図である。
図3は、
図2に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
図2および
図3に示すように、入力ポート10と出力ポート20との間に、複数の内部誘電体共振器が配置されている。複数の内部誘電体共振器は直線状に配置されており、入力ポート10および出力ポート20も直線状に配置されている。本実施例では、合計4つの内部誘電体共振器が配置されている。内部誘電体共振器11が、入力ポート10に結合されている。内部誘電体共振器12が、内部誘電体共振器11に結合されている。内部誘電体共振器13が、内部誘電体共振器12に結合されている。内部誘電体共振器14が、内部誘電体共振器13に結合されている。出力ポート20は、内部誘電体共振器14に結合されている。この場合、線形の主結合チャネルが形成される。主結合チャネルに沿って、入力ポート10から出力ポート20に高周波信号が伝送される。
図2に示すように、出力ポート20の外側に、外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22の2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器B21は、出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器B22は、外部誘電体共振器B21に結合されている。外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22は、4つの内部誘電体共振器が配置されている直線の上に配置されてもよい。この配置では、内部誘電体共振器同士の交差結合が考慮されないため、誘電体フィルタの構造が単純になるので、製造が容易になり、大量生産に好都合である。
【0068】
実施例2
本実施例では、
図1および
図3を参照する。
図1は、本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第1の概略図である。
図3は、
図1に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
図1および
図3に示すように、入力ポート10と出力ポート20との間に複数の内部誘電体共振器が配置されてもよく、これら複数の内部誘電体共振器は複数列に配置されてもよい。この配置を適用することにより、誘電体フィルタを配置するのが容易になり、誘電体フィルタの長手方向の空間を最大限利用することができる。その一方で、複数の内部誘電体共振器は、主結合チャネルを1つのみ形成する。本実施例では、合計4つの内部誘電体共振器が2列に配置されており、各列は2つの内部誘電体共振器を含む。
図1に示すように、4つの内部誘電体共振器は、矩形の四隅にそれぞれ配置されている。当然、複数の内部誘電体共振器の配置はこれに限定されない。内部誘電体共振器11が、入力ポート10に結合されている。内部誘電体共振器12が、内部誘電体共振器11に結合されている。内部誘電体共振器13が、内部誘電体共振器12に結合されている。内部誘電体共振器14が、内部誘電体共振器13に結合されている。出力ポート20は、内部誘電体共振器14に結合されている。この場合、「U」字型の主結合チャネルが形成される。主結合チャネルに沿って、入力ポート10から出力ポート20に高周波信号が伝送される。
図1に示すように、出力ポート20の外側に、外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22の2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器B21は、出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器B22は、外部誘電体共振器B21に結合されている。外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22の配置は、誘電体フィルタの構造に基づいてもよい。本実施例では、2つの外部誘電体共振器の配置は、内部誘電体共振器の縦方向配置と同様である。本実施例の配置は、誘電体フィルタの空間を最大限利用するものである。
【0069】
2つの外部誘電体共振器が出力ポート20の外側に配置されることで、2つの伝送ゼロ点が生成されるようになり、その結果、良好な帯域外除去効果が得られる。
図4を参照されたい。
図4は、
図1に示す誘電体フィルタの応答曲線である。
図4に示すように、図中には合計2本の曲線が存在する。曲線S11は、本実施例では誘電体フィルタにおける信号伝送の信号反射曲線であり、曲線S21は、本実施例では誘電体フィルタにおける信号伝送の信号伝送曲線である。曲線S11の中央の変動が比較的小さい部分が、本実施例では、誘電体フィルタにおける主結合チャネルのカスケード結合共振器の通過帯域を表している。S21上の2つのブレークポイントは2つの伝送ゼロ点を表し、これら2つの伝送ゼロ点は通過帯域の両側に分散している。
【0070】
実施例3
本実施例では、
図7および
図8を参照する。
図7は、本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第3の概略図である。
図8は、
図7に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
図7および
図8に示すように、入力ポート10と出力ポート20との間に、複数の内部誘電体共振器が配置されてもよい。本実施例における複数の内部誘電体共振器の配置は、実施例2における内部誘電体共振器の配置と同様であるため、ここでは詳細を再度述べない。詳細については、実施例2の内部誘電体共振器の配置に関する説明を参照されたい。4つの内部誘電体共振器は「U」字型の主結合チャネルを形成し、「U」字型の主結合チャネルに沿って、入力ポート10から出力ポート20に高周波信号が伝送される。
図7および
図8に示すように、入力ポート10の外側に、外部誘電体共振器A31および外部誘電体共振器A32の2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器A31は入力ポート10に結合されており、外部誘電体共振器A32は外部誘電体共振器A31に結合されている。出力ポート20の外側に、外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22の2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器B21は出力ポート20に結合されており、外部誘電体共振器B22は外部誘電体共振器B21に結合されている。入力ポート10における2つの外部誘電体共振器の配置は、出力ポート20における2つの外部誘電体共振器の配置と同じであってもよい。詳細については、実施例2の出力ポート20の外側における2つの外部誘電体共振器の配置を参照されたい。
【0071】
2つの外部誘電体共振器が入力ポート10の外側に配置され、2つの外部誘電体共振器が出力ポート20の外側に配置されることで、4つの伝送ゼロ点が生成されるようになり、良好な帯域外除去効果が得られる。
図9を参照されたい。
図9は、
図7に示す誘電体フィルタの応答曲線である。
図9に示すように、図中には合計2本の曲線が存在する。曲線S11は、本実施例では誘電体フィルタにおける信号伝送の反射曲線であり、曲線S21は、本実施例では誘電体フィルタにおける信号伝送の伝送曲線である。曲線S11の中央の変動が比較的小さい部分が、本実施例では、誘電体フィルタにおける主結合チャネルのカスケード結合共振器の通過帯域を表している。S21は合計4つのブレークポイントを有し、その各ブレークポイントは伝送ゼロ点を表す。4つのブレークポイントは、概ね通過帯域の両側に対称的に分布している。
【0072】
実施例4
本実施例では、
図20および
図21を参照する。
図20は、本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第4の概略図である。
図21は、
図20に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
図20および
図21に示すように、入力ポート10と出力ポート20との間に複数の内部誘電体共振器が配置されており、これら複数の内部誘電体共振器はスタガー配置されている。なお、
図21の内部誘電体共振器間の実線は主結合チャネルを表し、破線は、破線の両端にある内部誘電体共振器同士が結合されていることを示し、または破線の一端にある内部誘電体共振器も他端にある外部誘電体共振器と結合されていることを示す。内部誘電体共振器11、内部誘電体共振器12、および内部誘電体共振器13を例として用いて説明する。
【0073】
内部誘電体共振器11と内部誘電体共振器12との間の結合経路と、内部誘電体共振器12と内部誘電体共振器13との間の結合経路とは、主結合チャネルの一部である。
図21では、前述の結合経路が実線で示されている。内部誘電体共振器11と内部誘電体共振器13も結合されている。内部誘電体共振器11と内部誘電体共振器13との間の結合経路は、主結合チャネルの一部ではないため、破線で示されている。このようにして、内部誘電体共振器11と、内部誘電体共振器12と、内部誘電体共振器13とが交差結合されている。
【0074】
本実施例では、合計5つの内部誘電体共振器が配置されている。内部誘電体共振器11は、入力ポート10に結合されている。内部誘電体共振器12は、内部誘電体共振器11に結合されている。内部誘電体共振器13は、内部誘電体共振器12に結合されている。内部誘電体共振器14が、内部誘電体共振器13に結合されている。内部誘電体共振器15が、内部誘電体共振器14に結合されている。出力ポート20は、内部誘電体共振器15に結合されている。5つの内部誘電体共振器がスタガー配置され、そこでポリライン型の主結合チャネルが形成される。主結合チャネルの経路は、
図20の曲線であってもよい。曲線の端部の矢印は、高周波信号の伝送経路を示している。主結合チャネルに沿って、入力ポート10から出力ポート20に高周波信号が伝送される。
【0075】
図20に示すように、出力ポート20の外側に、外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22の2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器B21は、出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器B22は、外部誘電体共振器B21に結合されている。外部誘電体共振器B22は、内部誘電体共振器15にさらに結合されてもよい。2つの外部誘電体共振器の配置設計は、誘電体フィルタの設計要件に依存する。本実施例では、2つの外部誘電体共振器は内部誘電体共振器の配置を基準として配置されており、2つの外部誘電体共振器の配置は、内部誘電体共振器14および内部誘電体共振器15の配置と同じである。スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器が使用される場合、内部誘電体共振器が主結合チャネルを形成するときに交差結合が生成されてもよい。交差結合は、誘電体フィルタの伝送ゼロ点機能の実装に有用であり、誘電体フィルタの帯域外除去性能は、2つの外部誘電体共振器によって伝送ゼロ点が生成されることで向上する。
【0076】
実施例5
本実施例では、
図22および
図23を参照する。
図22は、本出願の一実施形態による、誘電体フィルタの第5の概略図である。
図23は、
図22に示す誘電体フィルタのトポロジ構造の概略図である。
図22および
図23に示すように、入力ポート10と出力ポート20との間に複数の内部誘電体共振器が配置されており、これら複数の内部誘電体共振器はスタガー配置されている。
【0077】
本実施例では、合計3つの内部誘電体共振器が配置されている。内部誘電体共振器11が、入力ポート10に結合されている。内部誘電体共振器12が、内部誘電体共振器11に結合されている。内部誘電体共振器13が、内部誘電体共振器12に結合されている。出力ポート20は、内部誘電体共振器13に結合されている。この場合、3つの内部誘電体共振器がスタガー配置され、ポリライン型の主結合チャネルが形成される。主結合チャネルに沿って、入力ポート10から出力ポート20に高周波信号が伝送される。
【0078】
図22に示すように、入力ポート10の外側に、外部誘電体共振器A31および外部誘電体共振器A32の2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器A31は、出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器A32は、外部誘電体共振器A31に結合されている。外部誘電体共振器A32は、内部誘電体共振器11にさらに結合されてもよい。出力ポート20の外側に、外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22の2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器B21は、出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器B22は、外部誘電体共振器B21に結合されている。外部誘電体共振器B22は、内部誘電体共振器13にさらに結合されてもよい。
【0079】
各ポートの外側における2つの外部誘電体共振器の配置設計は、誘電体フィルタの設計要件に依存する。本実施例では、外部誘電体共振器A31および外部誘電体共振器A32は、内部誘電体共振器11および内部誘電体共振器12の配置を基準として配置されている。外部誘電体共振器B21および外部誘電体共振器B22は、内部誘電体共振器13および内部誘電体共振器12の配置を基準として配置されている。本実施例では、入力ポート10の外側端部および出力ポート20の外側端部の両方に2つの外部誘電体共振器が配置されることで、4つの伝送ゼロ点が生成され得、より良好な帯域外除去性能がもたらされる。
【0080】
主結合チャネルのカスケード結合共振器が非線形に配置される場合、隣接する2つの内部誘電体共振器の間に結合溝30が配置される。
図1、
図7、
図20、および
図22に示すように、結合溝30を配置することにより、隣接する2つの内部誘電体共振器間の誘電体の量が制御されてもよい。誘電体の量は、結合溝30のサイズを制御することによって制御され、そこで2つの内部誘電体共振器間の結合量が制御され得る。内部誘電体共振器間の結合量を制御することにより、主結合チャネルの形成が制御される。主結合チャネルのカスケード結合共振器は、異なる形態であってもよい。実際の適用においては、主結合チャネルのカスケード結合共振器の配置が柔軟に調整されてもよく、誘電体フィルタを配置するのが全体的に容易になる。
【0081】
結合溝30の形状は、スタガード型トポロジ構造のカスケード結合共振器内の内部誘電体共振器間の結合量に関係している。結合溝30を使用して、2つの内部誘電体共振器間の誘電体の量を制御することによって2つの内部誘電体共振器間の結合量を制御してもよいので、個々の内部誘電体共振器間の誘電体の量は、2つの内部誘電体共振器間の結合量を設定することによって求められてもよく、これにより、結合溝30の対応する形状が求められてもよい。
【0082】
本出願の本実施形態では、外部誘電体共振器は、誘電体の一部によって形成される共振器本体と、共振器本体に配置されたデバッグホールとを含む。デバッグホールは、止まり穴または貫通孔である。本実施形態の共振器本体は、誘電体の一部であり、デバッグホールは止まり穴または貫通孔として設定されている。デバッグホールの深さを設定することにより、外部誘電体共振器の周波数が調整されてもよい。具体的には、外部誘電体共振器が止まり穴であるか貫通孔であるかは、誘電体フィルタの設計要件によって柔軟に決まる。このようにして、設計自由度が維持され得る。
【0083】
本出願の本実施形態では、外部誘電体共振器A32または外部誘電体共振器B22は、ポート近傍の内部誘電体共振器に結合されている。ポート近傍の内部誘電体共振器は、外部誘電体共振器A32または外部誘電体共振器B22が配置されている側のポートに隣接する内部誘電体共振器である。外部誘電体共振器A32または外部誘電体共振器B22が配置されている側のポートは、入力ポート10または出力ポート20であってもよく、これは具体的には外部誘電体共振器の位置に依存する。例えば、外部誘電体共振器A32が入力ポート10側にのみ配置されている場合、そのポートは入力ポート10である。外部誘電体共振器B22が出力ポート20側にのみ配置されている場合、そのポートは出力ポート20である。外部誘電体共振器A32および外部誘電体共振器B22が入力ポート10および出力ポート20の両方に配置されている場合、ポートは入力ポート10および出力ポート20を含む。
【0084】
外部誘電体共振器A32または外部誘電体共振器B22は、入力ポート10または出力ポート20に結合されている。入力ポート10は、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器(主結合チャネルのカスケード結合共振器内の第1の内部誘電体共振器)に結合されている。出力ポート20は、出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器(主結合チャネルのカスケード結合共振器内の最後の内部誘電体共振器)に結合されている。したがって、フィルタトポロジの配置は、スタガード配置であってもよい。具体的には、2つの外部誘電体共振器とポート近傍の内部誘電体共振器とは、三角型に配置されている。このように配置することにより、2つの外部誘電体共振器とポート近傍の内部誘電体共振器との間で交差結合がより生じやすくなり、その結果、より良好な帯域外除去効果が得られる。
【0085】
実施例1
図20に示すように、出力ポート20の外側に、2つの外部誘電体共振器が配置されている。外部誘電体共振器B21は、出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器B22は、外部誘電体共振器B21に結合されている。出力ポート20は、内部誘電体共振器15に結合されている。この場合、内部誘電体共振器15は、ポート近傍の内部誘電体共振器である。外部誘電体共振器B22は、内部誘電体共振器15に結合されている。外部誘電体共振器B21と、外部誘電体共振器B22と、内部誘電体共振器15との間に交差結合が生成されてもよく、これによってより良好な帯域外除去効果が得られる。
【0086】
実施例2
図22に示すように、入力ポート10および出力ポート20の両外側に、2つの外部誘電体共振器が配置されている。入力ポート10の外側にある外部誘電体共振器A31は、入力ポート10に結合されている。外部誘電体共振器A32は、外部誘電体共振器A31に結合されている。入力ポート10は、内部誘電体共振器11に結合されている。内部誘電体共振器11は、入力ポート10のポート近傍の内部誘電体共振器である。出力ポート20の外側にある外部誘電体共振器B21は、出力ポート20に結合されている。外部誘電体共振器B22は、外部誘電体共振器B21に結合されている。出力ポート20は、内部誘電体共振器13に結合されている。この場合、内部誘電体共振器13は、出力ポート20のポート近傍の内部誘電体共振器である。外部誘電体共振器A31と、外部誘電体共振器A32と、内部誘電体共振器11との間に、交差結合が生成されている。外部誘電体共振器B21と、外部誘電体共振器B22と、内部誘電体共振器13との間に交差結合が生成されている。両方のポートで交差結合が生成されるので、より良好な帯域外除去効果が得られる。
【0087】
本出願の本実施形態では、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と入力ポート10に隣接する外部誘電体共振器A31との間に、結合孔50および/または結合溝40が配置されており、かつ/または出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器と出力ポート20に隣接する外部誘電体共振器B21との間に、結合孔50および/または結合溝40が配置されている。
【0088】
結合孔50または結合溝40が配置された場合、配置された結合孔50または結合溝40を使用して、入力ポート10と入力ポート10の両側に配置されている内部誘電体共振器および外部誘電体共振器A31との結合量が調整されてもよく、または出力ポート20と出力ポート20の両側に配置されている内部誘電体共振器および外部誘電体共振器B21との結合量が調整されてもよい。結合孔50および結合溝40は、入力ポート10または出力ポート20と内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合量を調整するための、異なる形態の機構である。実際の適用においては、入力ポート10または出力ポート20と内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合量の要件に従って、対応する結合孔50または結合溝40が設計されてもよい。結合孔50と結合溝40とを併用することで、多様な設計や、内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との結合量に対する柔軟な調整が実施されてもよい。
【0089】
本出願の本実施形態では、結合孔50は止まり穴または貫通孔であり、結合溝40は止まり溝である。結合孔50は、貫通孔または止まり穴として設定されている。貫通孔を使用することによって入力ポート10または出力ポート20と対応するポートの誘電体共振器との結合量を調整する効果は、止まり穴を使用することによってもたらされる効果とは異なる。結合孔50が貫通孔であるか止まり穴であるかは、結合量を調整する要件に依存する。このようにして、入力ポート10または出力ポート20と個々の誘電体共振器との結合量がより容易に調整される。この簡便な調整方法により、誘電体フィルタの製造および処理が容易になる。
【0090】
次に、
図10~
図18を参照して、結合孔50および結合溝40の配置および組合せについて説明する。
【0091】
実施例1
結合溝40は、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されているか、または結合溝40は、出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されている。結合溝40は、結合溝40の一端に配置されている内部誘電体共振器および結合溝40の他端に配置されている外部誘電体共振器のいずれとも連通していない。
【0092】
内部誘電体共振器と外部誘電体共振器とは両方とも入力ポート10に隣接しているか、または両方とも出力ポート20に隣接している。結合溝40が内部誘電体共振器および外部誘電体共振器のいずれとも連通しないように設計されているため、入力ポート10と内部誘電体共振器との結合量と、入力ポート10と外部誘電体共振器との結合量とが小さくなり得、かつ/または、出力ポート20と内部誘電体共振器との結合量と、出力ポート20と外部誘電体共振器との結合量とが小さくなり得る。
【0093】
入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に、結合溝40が配置されている例を用いて説明する。
図10および
図11を参照されたい。
図10は、本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第1の概略図である。
図11は、
図10のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第1の概略図の断面図である。
図10および
図11に示すように、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器は内部誘電体共振器11であり、入力ポート10に隣接する外部誘電体共振器は外部誘電体共振器A31であり、結合溝40は内部誘電体共振器11と外部誘電体共振器A31との間に配置されており、結合溝40と、内部誘電体共振器11と、外部誘電体共振器A31とは連通していない。結合溝40のサイズを調整することにより、例えば、結合溝40の深さ、長さ、または幅を調整することにより、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量と、入力ポート10と外部誘電体共振器との結合量とが調整されてもよい。
【0094】
実施例2
結合溝40は、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されているか、または結合溝40は、出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されており、結合溝40の一端は、結合溝40の一端に配置されている内部誘電体共振器と連通しているか、または結合溝40の他端に配置されている外部誘電体共振器と連通している。
【0095】
入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に、結合溝40が配置されている例を用いて説明する。
図12および
図13を参照されたい。
図12は、本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第2の概略図である。
図13は、
図12のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第2の概略図の断面図である。
図12および
図13に示すように、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器は内部誘電体共振器11であり、入力ポート10に隣接する外部誘電体共振器は外部誘電体共振器A31であり、結合溝40は内部誘電体共振器11と外部誘電体共振器A31との間に配置されている。結合溝40は内部誘電体共振器11とは連通していない一方で、結合溝40は外部誘電体共振器A31と連通している。あるいは、結合溝40は内部誘電体共振器11と連通している一方で、結合溝40は外部誘電体共振器A31とは連通していない(この場合は図示せず)。実際の適用においては、結合溝40と内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31との連通関係は、入力ポート10と内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31との結合量を調整するように、特定の要件に従って調整されてもよい。
図12に示す例では、結合溝40は内部誘電体共振器11とは連通していない一方で、結合溝40は外部誘電体共振器A31と連通している。入力ポート10と内部誘電体共振器11との間の距離が入力ポート10と外部誘電体共振器A31との間の距離に等しいとき、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量は、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量よりも大きい。また、結合溝40と内部誘電体共振器11との間の距離を調整することにより、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量が調整されてもよい。あるいは、結合溝40の深さおよび幅を調整することにより、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量と、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量とが調整されてもよい。結合溝40のサイズを調整することによってポートと対応する誘電体共振器との結合量を調整することは、従来技術に属するため、ここでは詳細を述べない。
【0096】
内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31はいずれも入力ポート10に隣接しており、結合溝40の一端が誘電体共振器11に連通するように設定されているので、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量が大きくなり得る。あるいは、結合溝40の一端が外部誘電体共振器A31と連通するように設定されることで、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量が大きくなり得る。このようにして、誘電体共振器上の入力ポート10と内部誘電体共振器11または外部誘電体共振器との結合量が調整され得る。本実施形態では、入力ポート10は説明例として使用されているにすぎない。入力ポート10は、対応する出力ポート20と置き換えられてもよい。この場合、内部誘電体共振器11は、出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器に相当する。外部誘電体共振器A31は、出力ポート20に隣接する外部誘電体共振器に相当する。
【0097】
実施例3
結合溝40は、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されているか、または結合溝40は、出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されており、結合溝40の両端は、結合溝40の一端に配置されている内部誘電体共振器および結合溝40の他端に配置されている外部誘電体共振器と連通している。
【0098】
入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に、結合溝40が配置されている例を用いて説明する。
図14および
図15を参照されたい。
図14は、本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第3の概略図である。
図15は、
図14のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第3の概略図の断面図である。
図14および
図15に示すように、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器は内部誘電体共振器11であり、入力ポート10に隣接する外部誘電体共振器は外部誘電体共振器A31であり、結合溝40は内部誘電体共振器11と外部誘電体共振器A31との間に配置されている。結合溝40は、内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31の両方と連通している。入力ポート10、内部誘電体共振器11、および外部誘電体共振器A31の同じ配置が適用され、結合溝40が内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31の両方と連通している場合、結合溝40が内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31のいずれとも連通していないときに行われる結合量よりも、入力ポート10と内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31との結合量が大きくなる。すなわち、
図14に示す場合の入力ポート10と内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31との結合量は、
図12に示す場合の入力ポート10と内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31との結合量よりも大きい。本実施形態では、結合溝40の深さおよび幅を調整することにより、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量と、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量とが調整されてもよい。
【0099】
結合溝40の両端は、内部誘電体共振器11および外部誘電体共振器A31と連通するように設定されている。この場合、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量と、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量とが大きくなり得る。
【0100】
加えて、入力ポート10または出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に結合孔50がさらに配置されてもよく、結合孔50の軸線と、内部誘電体共振器の軸線と、外部誘電体共振器の軸線とは互いに平行である。
【0101】
実施例4
図16を参照されたい。
図16は、本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第4の概略図である。
図16に示すように、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器は内部誘電体共振器11であり、入力ポート10に隣接する外部誘電体共振器は外部誘電体共振器A31であり、内部誘電体共振器11と外部誘電体共振器A31との間に結合孔50が配置されている。本実施例では、2つの結合孔50が配置されている。2つの結合孔50の軸線は、内部誘電体共振器11の軸線および外部誘電体共振器A31の軸線と平行である。あるいは、2つの結合孔50の軸線と、内部誘電体共振器11の軸線と、外部誘電体共振器A31の軸線とは、同一平面内に配置されてもよい。2つの結合孔50は、入力ポート10の両側にそれぞれ配置されている。結合孔50は、貫通孔または止まり穴であってもよく、または貫通孔と止まり穴との組合せであってもよい。入力ポート10と内部誘電体共振器11との間の結合孔50の位置を調整することにより、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量が調整されてもよい。また、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との間の結合孔50の位置を調整することにより、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量が調整されてもよい。
【0102】
図17を参照されたい。例えば、
図17は、本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第5の概略図である。
図17に示すように、2つの結合孔50の軸線は、内部誘電体共振器11の軸線および外部誘電体共振器A31の軸線と平行である。ただし、内部誘電体共振器11の軸線および外部誘電体共振器A31の軸線が位置する平面は、2つの結合孔50の軸線が位置する平面に対して垂直であり、2つの結合孔50は、内部誘電体共振器11の軸線および外部誘電体共振器A31の軸線が位置する平面の両側に配置されている。実際の適用においては、結合孔50の具体的な位置は、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量と、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量とに依存する。
【0103】
また、2つの結合孔50の位置は、
図17に示す状態に設定されており、すなわち、これら2つの結合孔50は、内部誘電体共振器11の軸線と外部誘電体共振器A31の軸線とが位置する平面の両側に配置されている。2つの結合孔50の軸線が内部誘電体共振器11の軸線と外部誘電体共振器A31の軸線とが位置する平面内に位置する
図16の状態とは異なり、平面の両側に位置する結合孔50によって、内部誘電体共振器11と外部誘電体共振器A31との間に生じる寄生結合が抑制され得る。このようにして、伝送ゼロ点の実装に寄生する結合によって生じる干渉が低減され得る。
【0104】
この場合、結合孔50の軸線を内部誘電体共振器の軸線および外部誘電体共振器の軸線と平行に設定することで、製造および処理が容易になり得る。本実施形態では、結合孔50は貫通孔または止まり穴であってもよく、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量と、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量とを調整するように構成されてもよい。
【0105】
実施例5
前述の実施例に示された場合に加えて、結合溝40および結合孔50の両方は、入力ポート10または出力ポート20に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置されてもよい。
【0106】
入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に、結合溝40および結合孔50の両方が配置されている例を用いて説明する。
図18および
図19を参照されたい。
図18は、本出願の一実施形態による誘電体フィルタにおける、入力ポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第6の概略図である。
図19は、
図18のポートと内部誘電体共振器および外部誘電体共振器との結合を示す第6の概略図の断面図である。
図18および
図19に示すように、入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器は内部誘電体共振器11であり、入力ポート10に隣接する外部誘電体共振器は外部誘電体共振器A31であり、結合溝40および結合孔50の両方が内部誘電体共振器11と外部誘電体共振器A31との間に配置されている。本実施例では、結合溝40は外部誘電体共振器A31に近接した側に配置されており、結合孔50は内部誘電体共振器11に近接した側に配置されている。なお、結合溝40および結合孔50の位置はこれに限定されない。入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量と、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量とに基づいて調整されてもよい。本実施例では、結合溝40が外部誘電体共振器A31と連通している形態を用いている。あるいは、入力ポート10と外部誘電体共振器A31との結合量に基づいて、結合溝40が外部誘電体共振器A31と連通しないように設定されてもよい。製造および処理を容易にするために、結合孔50の軸線が垂直方向に設定されてもよく、入力ポート10と内部誘電体共振器11との結合量に基づいて、1つ以上の結合孔50が構成されてもよい。
【0107】
本実施形態では、入力ポート10はコネクタ101と、貫通孔100とから構成されている。コネクタ101は誘電体に結合されており、貫通孔100は、コネクタ101と誘電体とを貫通する貫通孔である。コネクタ101が均一形状のコネクタ101である場合、貫通孔100を配置する際に、貫通孔100の軸線がコネクタ101の中心を通過してもよい。入力ポート10に隣接する内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に結合溝40が配置される状況では、貫通孔100が配置されたときに貫通孔100が結合溝40と連通してもよい。
【0108】
上記の実施例では、入力ポート10において、結合溝40および/または結合孔50が内部誘電体共振器11と外部誘電体共振器A31との間に配置される場合についてのみ説明した。実際の適用においては、対応する内部誘電体共振器および対応する外部誘電体共振器は、入力ポート10または出力ポート20のいずれかに配置されてもよく、結合溝40および/または結合孔50は、内部誘電体共振器と外部誘電体共振器との間に配置される。結合溝40および/または結合孔50は、前述の実施例に示す形態で配置されてもよい。結合溝40および/または結合孔50が入力ポート10に配置され、結合溝40および/または結合孔50が出力ポート20に配置される場合、前述の実施例の配置形態は組み合わされてもよい。例えば、結合溝40のみが入力ポート10に配置されており、結合溝40の位置は実施例1に示す位置であり、結合溝40のみが出力ポート20に配置されており、結合溝40の位置は実施例2に示す位置である。別の例では、結合孔50のみが入力ポート10に配置されており、結合孔50の位置は実施例4に示す位置であり、結合溝40および結合孔50の両方が出力ポート20に配置されており、結合溝40および結合孔50の位置は実施例5に示す位置である。すべての組合せが本明細書に例を用いて記載されているわけではない。
【0109】
本出願の本実施形態では、誘電体の外面および内面の両方が金属化されている。誘電体の内面は、貫通孔のすべての内面と、止まり穴の内面および底面と、誘電体に設けられた止まり溝の内面および底面とを含む。誘電体の外面および内面の両方を金属化することにより、誘電体の外面および内面に金属壁が形成される。金属壁を使用して誘電体を完全に包み込むことで、誘電体に共振系が形成される。
【0110】
同じ発明概念に基づいて、本出願の一実施形態は送受信機を提供する。送受信機は、受信機と、送信機と、増幅ユニットと、前述の実施形態のいずれか1つで提供された誘電体フィルタと、を備える。送受信機の技術的効果は、前述の実施形態で提供された誘電体フィルタの技術的効果と同じであるため、ここでは詳細を再度述べない。
【0111】
同じ発明概念に基づいて、本出願の一実施形態は基地局を提供する。基地局は、アンテナフィーダ構成要素と、制御構成要素と、前述の実施形態で提供された送受信機と、を備える。基地局の技術的効果は、前述の実施形態で提供された送受信機の技術的効果と同じであるため、ここでは詳細を再度述べない。
【0112】
前述の説明は、本出願の具体的な実施態様にすぎず、本出願の保護範囲を限定することを意図するものではない。本出願で開示されている技術的範囲の当業者によって容易に想到されるいかなる変形または置換も、本出願の保護範囲内に入るものとする。したがって、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【0113】
本明細書の実施形態はすべて、段階的に記載されている。それぞれの実施形態は、他の実施形態との相違点に着目している。実施形態の同じまたは類似の部分については、相互参照が行われてもよい。
【0114】
本出願の実施形態における好ましい実施形態について説明したが、当業者であれば、基本的な発明概念を把握すれば、これらの実施形態に変更および修正を加えることができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、好ましい実施形態ならびに本出願の実施形態の範囲内にあるあらゆる変更および修正を包含するものと解釈されるように意図されている。
【0115】
以上、本出願で提供される誘電体フィルタ、送受信機、および基地局について詳細に説明した。本明細書では、具体例を用いて本出願の原理および実施態様が説明されている。前述の実施形態の説明は、本出願の方法および核となる概念を理解するのを助けるために使用されているにすぎない。加えて、当業者であれば、本出願の概念に従って、特定の実施態様および適用範囲に変更を加えることができる。したがって、本明細書の内容は、本出願を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0116】
10 入力ポート
11、12、13、14、15 内部誘電体共振器
20 出力ポート
21、22 外部誘電体共振器B
31、32 外部誘電体共振器A
30、40 結合溝
50 結合孔
100 貫通孔
101 コネクタ