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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】過電圧保護回路を有するモータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 3/18 20060101AFI20241217BHJP
   H02P 3/12 20060101ALI20241217BHJP
   H02H 7/12 20060101ALI20241217BHJP
   H02H 7/122 20060101ALI20241217BHJP
   H02H 9/04 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H02P3/18 101D
H02P3/12 F
H02H7/12 D
H02H7/122
H02H9/04 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023538204
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2021028495
(87)【国際公開番号】W WO2023007747
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2024-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-062035(JP,A)
【文献】特開2017-200337(JP,A)
【文献】特開2017-153327(JP,A)
【文献】特開2012-050332(JP,A)
【文献】特開2010-200490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 3/18
H02P 3/12
H02H 7/12
H02H 7/122
H02H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期モータに動力線を介して交流電力を供給することで前記同期モータを駆動するモータ駆動回路と、
前記同期モータと前記モータ駆動回路との間に設けられ、前記モータ駆動回路による前記同期モータの駆動が停止した時に半導体スイッチをオンすることで前記動力線の相間を短絡し、前記同期モータの端子間における逆起電力による過電圧の発生を防止する過電圧保護回路と、
前記同期モータに係るイナーシャ及び逆起電力定数のうち少なくとも1つを含むモータ定数と、前記半導体スイッチに係るオン抵抗、熱抵抗及び熱時定数を含む半導体スイッチ定数と、を用いて、前記半導体スイッチをオンすることで上昇してその後下降する前記半導体スイッチの温度推定値を計算する温度推定部と、
を備える、モータ駆動装置。
【請求項2】
前記温度推定部により計算された下降中の前記半導体スイッチの前記温度推定値が第1の温度閾値を下回ったとき、前記モータ駆動回路による前記同期モータの駆動開始を許可する信号を出力する許可信号出力部をさらに備える、請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記動力線に流れる電流の値を検出する電流センサと、
前記電流センサにより検出された電流の値に基づいて前記同期モータの回転速度を計算する回転速度計算部と、
をさらに備え、
前記温度推定部は、前記モータ定数と、前記半導体スイッチ定数と、前記回転速度計算部により計算された前記同期モータの回転速度と、を用いて、前記半導体スイッチの前記温度推定値を計算する、請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記同期モータの回転速度を検出する速度センサをさらに備え、
前記温度推定部は、前記モータ定数と、前記半導体スイッチ定数と、前記速度センサにより検出された前記同期モータの回転速度と、を用いて、前記半導体スイッチの前記温度推定値を計算する、請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記温度推定部により計算された上昇中の前記半導体スイッチの前記温度推定値が第2の温度閾値を上回ったとき、前記モータ駆動回路内のインバータのブリッジ回路における上アームに設けられた正側スイッチング素子の全てまたは下アームに設けられた負側スイッチング素子の全てがオンにされる、請求項1~4のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
前記温度推定部により計算された上昇中の前記半導体スイッチの前記温度推定値が第3の温度閾値を超えた回数をカウントするカウント部と、
前記カウント部によりカウントされた回数が所定の回数閾値を上回ったときアラームを出力するアラーム出力部と、
をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
前記過電圧保護回路は、前記動力線が接続される交流端子と前記半導体スイッチが接続される直流端子とを有するダイオード整流回路を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電圧保護回路を有するモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同期モータを駆動するモータ駆動装置においては、モータ駆動装置の制御不能やモータ駆動装置による非常停止などといった要因で同期モータに対する駆動が停止すると、同期モータから逆起電力(逆起電圧)に基づくエネルギーが発生する。同期モータで発生したエネルギーは、交流電源へ回生されたり、DCリンクに設けられた回生用負荷(回生用抵抗)へ回生される。しかしながら、同期モータが大型であったりあるいは同期モータが高速で回転していた場合は、同期モータの駆動が停止した際に発生する逆起電力に基づくエネルギーは非常に大きなものとなり、モータ駆動装置に過電圧が発生する。このため、同期モータの減速時に発生する逆起電力からモータ駆動装置を保護するための過電圧保護回路(逆起電圧保護回路)が設けられる。
【0003】
例えば、回生エネルギー放出手段とコンデンサ放電手段と電圧検出手段と過電圧制御手段とを有し、直流電源に接続されるコンデンサに接続され上記直流電源の電力を交流に変換して同期電動機の電機子巻線に供給して上記同期電動機を駆動する電力変換器を有する電力変換装置における過電圧を抑制する過電圧保護装置であって、上記電圧検出手段は、上記電力変換器が停止したときに上記同期電動機の電機子巻線の電圧を検出するものであり、上記過電圧制御手段は、上記電機子巻線の電圧が第1の所定値を越えたとき上記回生エネルギー放出手段を制御して上記電機子巻線間を短絡して上記同期電動機の回転エネルギーを放出させることにより上記電機子巻線の電圧を低下させ、上記電機子巻線の電圧が上記第1の所定値よりも小さい第2の所定値にまで低下したときに上記回生エネルギー放出手段による上記電機子巻線間の短絡を解除し、上記電機子巻線の電圧が上記第1の所定値よりも小さい第3の所定値に低下したときに上記コンデンサ放電手段を制御して上記コンデンサの電荷を放電させるものである過電圧保護装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
例えば、直流電源の直流電圧を入力とし、永久磁石同期モータに電圧を出力するインバータと、前記インバータの入力側に現れる直流の回生電圧を検出する直流電圧検出手段と、前記インバータが出力する電圧を制御するインバータ制御手段を備え、前記インバータ制御手段は、回生運転時に、前記直流電圧検出手段が検出した増大する回生電圧に基づいて前記インバータと前記永久磁石同期モータの線間を短絡するように前記インバータを制御する短絡手段と、前記直流電圧検出手段が検出する減少する回生電圧に基づいて前記インバータと前記永久磁石同期モータの線間を開放するように前記インバータを制御する開放手段と、前記直流電圧検出手段が検出する増大する回生電圧に基づいて前記インバータと前記永久磁石同期モータの線間を開放と短絡を交互に行うように前記インバータを制御する間欠短絡手段と、を備えたことを特徴とする永久磁石同期モータの駆動装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-200490号公報
【文献】特開2012-050332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
過電圧保護装置は、同期モータに対する駆動が停止して逆起電力が発生した場合に、モータ駆動装置と同期モータとの間の動力線の相間を短絡することで、モータ駆動装置への過電圧印加を防止する。過電圧保護装置内での短絡には、その動作速度の速さから、サイリスタなどの半導体スイッチが用いられることが多い。半導体スイッチをオンして短絡電流が流れると半導体スイッチの温度が上昇するため、モータ駆動装置で同期モータを再度駆動するにあたっては、半導体スイッチの温度が低下するのを待つ必要がある。このため、過電圧保護装置内に、半導体スイッチを監視するための温度センサを設けなければならず、コストがかかるという問題があった。また、温度センサが故障すると、半導体スイッチの温度を監視することができないことからモータ駆動装置の再駆動の適切なタイミングを把握することができず、モータ駆動装置の効率的な運用に支障をきたし、さらには過電圧保護回路の故障につながることもある。したがって、同期モータに対する駆動の停止時に発生する逆起電力からモータ駆動装置を保護するための過電圧保護回路に設けられた半導体スイッチの温度を、低コストで正確に把握することができる技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
モータ駆動装置は、同期モータに動力線を介して交流電力を供給することで同期モータを駆動するモータ駆動回路と、同期モータとモータ駆動回路との間に設けられ、モータ駆動回路による同期モータの駆動が停止した時に半導体スイッチをオンすることで動力線の相間を短絡し、同期モータの端子間における逆起電力による過電圧の発生を防止する過電圧保護回路と、同期モータに係るイナーシャ及び逆起電力定数のうち少なくとも1つを含むモータ定数と、半導体スイッチに係るオン抵抗、熱抵抗及び熱時定数を含む半導体スイッチ定数と、を用いて、半導体スイッチをオンすることで上昇してその後下降する半導体スイッチの温度推定値を計算する温度推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、同期モータに対する駆動の停止時に発生する逆起電力からモータ駆動装置を保護するための過電圧保護回路に設けられた半導体スイッチの温度を低コストで正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態によるモータ駆動装置を示す図である。
図2】本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の動作フローを示すフローチャートである。
図3】本開示の一実施形態によるモータ駆動装置における温度推定部により計算される半導体スイッチの推定温度の推移を例示する図である。
図4】本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の第1の変形例を示す図である。
図5】本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の第5の変形例の動作フローを示すフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の第6の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図面を参照して、過電圧保護回路を有するモータ駆動装置について説明する。各図面において、同様の部材には同様の参照符号が付けられている。また、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。図示される形態は実施をするための1つの例であり、これらの形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態によるモータ駆動装置を示す図である。
【0012】
一例として、モータ駆動装置1により同期モータ2を駆動する場合について示す。なお、本実施形態においては、同期モータ2の相数は本実施形態を特に限定するものではなく、例えば三相であっても単相であってもよい。同期モータ2が設けられる機械には、例えば工作機械、ロボット、鍛圧機械、射出成形機、産業機械などが含まれる。
【0013】
本開示の一実施形態によるモータ駆動装置1は、モータ制御部10と、モータ駆動回路11と、過電圧保護回路12と、温度推定部13と、許可信号出力部14と、電流センサ21と、回転速度計算部22と、速度センサ23と、を備える。
【0014】
モータ駆動回路11と同期モータ2とは動力線を介して接続されている。モータ駆動回路11は、同期モータ2に動力線を介して交流電力を供給することで同期モータ2を駆動する。このため、モータ駆動回路11は、例えばインバータ101を有する。インバータ101は、スイッチング素子及びこれに逆並列に接続されたダイオードのブリッジ回路からなる。インバータ101は、同期モータ2が三相モータである場合は三相ブリッジ回路で構成され、同期モータ2が単相モータである場合は単相ブリッジ回路で構成される。図示の例では、同期モータ2を三相同期モータとしたので、インバータ101は三相インバータとして構成される。インバータ101において、U相上アームには正側スイッチング素子SUUが設けられ、U相下アームには負側スイッチング素子SULが設けられる。V相上アームには正側スイッチング素子SVUが設けられ、V相下アームには負側スイッチング素子SVLが設けられる。W相上アームには正側スイッチング素子SWUが設けられ、W相下アームには負側スイッチング素子SWLが設けられる。インバータ101において、例えばPWMスイッチング制御方式に従って各スイッチング素子がオンオフ制御される。スイッチング素子の例としては、FETなどのユニポーラトランジスタ、バイポーラトランジスタ、IGBT、サイリスタ、GTOなどがあるが、スイッチング素子の種類自体は本実施形態を限定するものではなく、その他のスイッチング素子であってもよい。
【0015】
インバータ101の直流側には平滑コンデンサ3及び直流電源Vdcが設けられており、インバータ101は、スイッチング素子がオンオフ制御されることで、直流電源Vdcから入力された直流電力を交流電力に変換して動力線を介して同期モータ2へ供給する。直流電源Vdcは、例えば交流電源が接続された整流回路、または直流電力を蓄積するバッテリなどで構成される。
【0016】
モータ制御部10は、モータ駆動回路11内のインバータ101の各スイッチング素子をオンオフ制御する。モータ制御部10は、速度センサ23により検出された同期モータ2の回転速度(速度フィードバック)、電流センサ21により検出された動力線に流れる電流(電流フィードバック)、所定のトルク指令、及び同期モータ2の動作プログラムなどに基づいて、インバータ101の電力変換動作を制御する。同期モータ2は、インバータ101から供給される交流電力に基づいて、速度、トルクまたは回転子の位置が制御される。なお、ここで説明したモータ制御部10の構成はあくまでも一例であって、例えば、位置指令生成部、位置制御部、速度制御部、電流制御部、トルク指令作成部などの用語を含めてモータ制御部10の構成を規定してもよい。
【0017】
同期モータ2とモータ駆動回路11とを結ぶ動力線には、過電圧保護回路12が接続される。過電圧保護回路12は、半導体スイッチ103と、動力線が接続される交流端子と半導体スイッチ103が接続される直流端子とを有するダイオード整流回路102と、を備える。
【0018】
過電圧保護回路12内のダイオード整流回路102は、同期モータ2の逆起電力に基づく交流電力を整流して直流電力を出力する整流器である。図示の例では、同期モータ2を三相モータとしたので、ダイオード整流回路102は三相フルブリッジ回路で構成されるが、同期モータ2が単相モータである場合はダイオード整流回路102は単相フルブリッジ回路で構成される。
【0019】
過電圧保護回路12内の半導体スイッチ103は、オンすることでダイオード整流回路102の直流出力側の端子間を短絡し、オフすることでダイオード整流回路102の直流出力側の端子間を短絡しない短絡切替え機能を有する。半導体スイッチ103の例としては、サイリスタ、IGBT、FET、GTO、もしくはトランジスタなどがある。過電圧保護回路12内の半導体スイッチ103によるオンオフ動作は、例えばモータ制御部10により制御されてもよく、あるいは、モータ制御部10とは別個の制御部(図示せず)を設けてもよい。モータ駆動装置1の制御不能やモータ駆動装置1による非常停止などといった要因で同期モータ2に対する駆動が停止すると、同期モータ2は減速して逆起電力が発生し、モータ駆動回路11に大きな過電圧が印加される。例えばモータ駆動回路11内の平滑コンデンサ3に耐圧を超える電圧が印加されると、平滑コンデンサ3は破損し、最悪火災に至る。よって、同期モータ2に対する駆動が停止された時、過電圧保護回路12内の半導体スイッチ103をオンすることでダイオード整流回路102の直流出力側の端子間を短絡する。例えば、モータ駆動装置1が制御不能に陥ったことを示すアラームをモータ制御部10が受信した時、モータ制御部10は半導体スイッチ103に対してオンを指令する。また例えば、モータ駆動装置1に対して非常停止信号が入力された場合、モータ制御部10は半導体スイッチ103に対してオンを指令する。また例えば、モータ駆動回路11と同期モータ2とを結ぶ動力線の線間電圧が所定の電圧を超えた場合、モータ制御部10がこれを検知して半導体スイッチ103に対してオンを指令する。
【0020】
半導体スイッチ103は、オフ時にはダイオード整流回路102の直流出力側の端子間を短絡せず、すなわちダイオード整流回路102の直流出力側の端子間には何も接続されない状態となる。また、半導体スイッチ103は、オン時にはダイオード整流回路102の直流出力側の端子間を短絡する。ダイオード整流回路102は、半導体スイッチ103がオンしてダイオード整流回路102の直流出力側の端子間が短絡された場合にのみ、「同期モータ2の逆起電力」に基づく交流電力を整流して直流電力を出力する動作を実行する。逆起電力に基づくエネルギーは、過電圧保護回路12内のダイオード整流回路102及び半導体スイッチ103を介して全て消費されるので、モータ駆動装置1を逆起電力から保護することができる。半導体スイッチ103がオンすると、同期モータ2は徐々に減速し、完全に停止するまで(すなわち同期モータ2の回転エネルギーがゼロになるまで)、半導体スイッチ103には短絡電流が流れ続けることから、半導体スイッチ103の温度は上昇する。その後、同期モータ2が停止した後は、オン状態にある半導体スイッチ103は電流が流れないので温度が徐々に下降する。半導体スイッチ103の温度が十分に下がりきる前に、モータ駆動装置1による同期モータ2の駆動を開始して再びモータ駆動装置1による同期モータ2の駆動が停止されて過電圧保護回路12の半導体スイッチ103がオンされると、半導体スイッチ103に熱が蓄積され、破壊されるおそれがある。このような半導体スイッチ103の破壊を回避するために、本開示の一実施形態によるモータ駆動装置1では、半導体スイッチ103のオン後の温度を温度センサを用いずに計算により推定し、温度推定値が所定の温度閾値以下になるまでは同期モータ2の駆動開始を許可せず、温度推定値が所定の温度閾値以下になったときに同期モータ2の駆動開始を許可する。
【0021】
温度推定部13は、同期モータ2に係るイナーシャ及び逆起電力定数を含むモータ定数と、半導体スイッチ103に係るオン抵抗、熱抵抗及び熱時定数を含む半導体スイッチ定数と、を用いて、半導体スイッチ103の温度推定値を計算する。温度推定部13による計算処理の詳細については後述する。半導体スイッチ103がオンすると、同期モータ2は徐々に減速し、完全に停止するまで(すなわち同期モータ2の回転エネルギーがゼロになるまで)、半導体スイッチ103には短絡電流が流れ続け、半導体スイッチ103の温度は上昇する。半導体スイッチ103の温度が上昇して最高温度に到達した後は、半導体スイッチ103の温度は下降する。本開示の一実施形態では、半導体スイッチをオンすることで上昇してその後下降する半導体スイッチ103の温度に関する情報を、温度センサで取得するのではなく、温度推定部13の計算による推定値として取得する。
【0022】
許可信号出力部14は、半導体スイッチ103の温度推定値が最高温度に到達した後において下降中の半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回ったとき、モータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始を許可する信号をモータ制御部10に対して出力する。
【0023】
図2は、本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の動作フローを示すフローチャートである。
【0024】
モータ駆動装置1により同期モータ2をある回転数で駆動している状態において、ステップS101において、モータ制御部10は、同期モータ2の駆動が停止したか否かを判定する。モータ駆動装置1の制御不能やモータ駆動装置1による非常停止などといった要因で同期モータ2に対する駆動が停止すると、同期モータ2は減速して逆起電力が発生する。例えば、モータ制御部10は、モータ駆動装置1が制御不能に陥ったことを示すアラームを受信した時、あるいは、モータ駆動装置1に対する非常停止信号を受信した時、同期モータ2の駆動が停止したと判定する。あるいはまた、モータ制御部10は、モータ駆動回路11と同期モータ2とを結ぶ動力線の線間電圧が所定の電圧を超えた時、同期モータ2の駆動が停止したと判定してもよい。ステップS101において、同期モータ2の駆動が停止したと判定した場合は、モータ制御部10は過電圧保護回路12内の半導体スイッチ103に対してオンするよう指令し、これによりダイオード整流回路102の直流出力側の端子間が短絡され、ステップS102へ進む。
【0025】
ステップS102において、温度推定部13は、同期モータ2に係るイナーシャ及び逆起電力定数を含むモータ定数と、半導体スイッチ103に係るオン抵抗、熱抵抗及び熱時定数を含む半導体スイッチ定数と、を用いて、半導体スイッチ103の温度推定値を計算する。半導体スイッチ103がオンすると、同期モータ2は徐々に減速し、完全に停止するまで(すなわち同期モータ2の回転エネルギーがゼロになるまで)、半導体スイッチ103には短絡電流が流れ続け、温度推定部13により計算される半導体スイッチ103の温度推定値は上昇する。半導体スイッチ103の温度推定値が最高温度に到達した後は、温度推定部13により計算される半導体スイッチ103の温度推定値は下降する。
【0026】
ステップS103において、許可信号出力部14は、温度推定部13により計算された下降中の半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回ったか否かを判定する。温度推定値が上昇して最高温度に到達するまでの間は、ステップS102及びステップS103の処理が繰り返し実行され、温度推定部13による温度推定値の計算は継続する。温度推定値が最高温度に到達した後は、時間の経過ととともに温度推定値は徐々に下降していき、ある時点で温度推定値は第1の温度閾値を下回ることになる。温度推定部13により計算された下降中の半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回ったと許可信号出力部14が判定した時点で、ステップS104へ進む。なお、温度推定値が最高温度に到達した後はある時定数をもって温度が下降していくので、温度推定値の最高温度到達後から第1の温度閾値を下回るまでに要する時間を予測計算することができる。よって、温度推定部13は、半導体スイッチ103がオンしてから温度推定値が上昇して最高温度に到達するまでの間は、温度推定値の計算を継続的に実行し、推定温度が最高温度に到達した後は、温度推定値が最高温度に到達した時点を始点とし温度推定値が第1の温度閾値を下回る時点を終点とする時間を「駆動待機時間」として予測計算し、温度推定値が最高温度に到達してから駆動待機時間が経過した時点をもって、許可信号出力部14は、温度推定部13により計算された下降中の半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回った時点と判定する。
【0027】
このように、温度推定部13は、同期モータ2の駆動停止(ステップS101)に伴い半導体スイッチがオンしてから温度推定値が最高温度に到達するまでは、温度推定値を逐次計算し、温度推定値が最高温度に到達した後は、温度推定値は指数関数的に減少していくので、温度推定値が最高温度に到達した時点を始点とし温度推定値が第1の温度閾値を下回る時点を終点とする「駆動待機時間」を予測計算する
【0028】
なお、第1の温度閾値については、例えば、半導体スイッチ103の耐熱温度から過電圧保護回路12の1回の動作で上昇する最高温度を引いた値程度に設定すればよく、例えば半導体スイッチ103の規格表や取扱説明書などに規定された耐熱温度を参考にして設定すればよい。好ましくは、第1の温度閾値については、短期間の間に半導体スイッチ103が複数回オンして短絡電流が流れて熱が蓄積されることになっても破壊されることがないよう、半導体スイッチ103の耐熱温度よりもさらに低い温度に設定されてもよい。なお、第1の温度閾値については、書き換え可能な記憶部(図示せず)に記憶されて外部機器によって書き換え可能であってもよく、第1の温度閾値を一旦設定した後であっても必要に応じて適切な値に変更してもよい。
【0029】
ステップS104において、許可信号出力部14は、モータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始を許可する信号をモータ制御部10に対して出力する。これにより、モータ制御部10は、同期モータ2の駆動制御をいつでも再開できるようスタンバイ状態に入る。作業者は、ステップS101における同期モータ2の駆動停止の原因が、例えばモータ駆動装置1の制御不能であった場合には当該制御不能の原因を取り除く作業を行い、例えばモータ駆動装置1による非常停止であった場合には当該非常停止の原因を取り除く作業を行うといったように、同期モータ2の再駆動に向けた準備作業を行うのが好ましい。過電圧保護回路12が起動して半導体スイッチ103がオンした後は、ステップS104において許可信号出力部14によりモータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始が許可されない限りは、モータ制御部10は同期モータ2の駆動制御をできないので、モータ駆動装置1の安全を確保することができる。ステップS104において許可信号出力部14によりモータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始が許可された後、作業員が同期モータ2の駆動停止の原因を除去したうえで、同期モータ2の実際の駆動が行われることになる。
【0030】
続いて、温度推定部13による計算処理の詳細について説明する。
【0031】
図3は、本開示の一実施形態によるモータ駆動装置における温度推定部により計算される半導体スイッチの推定温度の推移を例示する図である。
【0032】
温度推定部13は、同期モータ2に係るイナーシャ及び逆起電力定数を含むモータ定数と、半導体スイッチ103に係るオン抵抗、熱抵抗及び熱時定数を含む半導体スイッチ定数と、を用いて、半導体スイッチ103の温度推定値を計算する。
【0033】
温度推定値の計算に用いられるモータ定数のうち、同期モータ2に係るイナーシャ(慣性モーメント)をA[kgm2]とする。イナーシャA[kgm2]には、同期モータ2自体が有するイナーシャと同期モータ2の回転軸に接続された物体のイナーシャとが含まれる。また、同期モータ2の逆起電力係数をVk[V/(rad/sec)]とし、同期モータ2の極数をNとする。
【0034】
温度推定値の計算に用いられる半導体スイッチ定数のうち、半導体スイッチ103に係るオン抵抗をRt[Ω]、熱抵抗をB[℃/W]、温度上昇時の熱時定数をτ1[sec]、温度下降時の熱時定数をτ2[sec]とする。
【0035】
なお、モータ巻線の損失及びダイオード整流回路102の損失は半導体スイッチ103の損失に比べて十分に小さいので、モータ巻線の損失及びダイオード整流回路102の損失については、以下の説明では無視しているが、これら損失を含めて温度推定値を計算してもよい。
【0036】
モータ駆動装置1により同期モータ2をある回転数で駆動している状態において、モータ駆動回路11による同期モータ2の駆動が停止して同期モータ2がフリーラン状態になった直後に過電圧保護回路12内の半導体スイッチ103がオンして動力線を短絡すると、半導体スイッチ103には電流が流れ、最高温度に達するまで温度上昇が続く。温度推定部13では、半導体スイッチ103の上昇する温度推定値を、微小時間Δt[sec]間ずつに分けて、次のように計算する。すなわち、時刻t0を半導体スイッチ103をオンした直後の時刻とし、時刻ti-1から時刻ti(ただし、iは1以上の自然数)までの間の時間を微小時間Δt[sec]とする。
【0037】
ここで、下記の計算に用いられる各パラメータを表1のように定義する。
【0038】
【表1】
【0039】
半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0から時刻t1までの微小時間Δt[sec]における半導体スイッチ103の損失Pt_1[W]及び消費エネルギーΔE1は、次のように求められる。
【0040】
半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0における同期モータ2の回転速度ω1[rad/sec]は、半導体スイッチ103のオン直前に電流センサ21により検出された電流の基本波の電気角周波数FI1[rad/sec]、同期モータ2の極数Nを用いて、式1に従って求めることができる。なお、半導体スイッチ103がオンした後は、電流センサ21によって電流は検出されなくなるので、モータ駆動装置1の通常の動作時においては常に電流センサ21による電流検出を実行し、半導体スイッチ103のオン直前の電流を確実に検出できるようにする。
【0041】
【数1】
【0042】
回転速度計算部22は、式1に従って、電流センサ21により検出された電流の値に基づいて、半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0における同期モータ2の回転速度ω1[rad/sec]を計算する。
【0043】
半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0における回転エネルギーE1[J]は、イナーシャA[kgm2]及び時刻t0における同期モータ2の回転速度ω1[rad/sec]を用いて、式2に従って求めることができる。
【0044】
【数2】
【0045】
半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0における逆起電力Vbemf_1[V]は、逆起電力係数Vk[V/(rad/sec)]を用いて、式3に従って求めることができる。
【0046】
【数3】
【0047】
ここで、実効値V[V]、角周波数ω[rad/secの]三相交流電圧va[V]、vb[V]、及びvc[V]は、式4のように表される。
【0048】
【数4】
【0049】
式4で表される三相交流電圧va[V]、vb[V]、及びvc[V]を入力とするダイオード整流回路102から出力される直流電圧の平均値Ed[V]は、式5のように表される。
【0050】
【数5】
【0051】
式5を整理すると、式6が得られる。
【0052】
【数6】
【0053】
半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0における逆起電力Vbemf_1[V]が発生したときの半導体スイッチ103の両端に印加される直流電圧の平均値V1[V]は、式6を用いて式7のように表される。
【0054】
【数7】
【0055】
半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0における半導体スイッチ103の損失Pt_1[W]は、式7で表される直流電圧の平均値V1[V]を用いて、式8のように表される。
【0056】
【数8】
【0057】
半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0からの微小時間Δt[sec]間における半導体スイッチ103における消費エネルギーΔE1[J]は、式8の半導体スイッチ103の損失Pt_1[W]を用いて、式9のように表される。
【0058】
【数9】
【0059】
時刻t0から微小時間Δt[sec]だけ経過した時刻t1で始まる次の微小時間Δt[sec]間の同期モータ2の回転エネルギーE2[J]は、式10のように表される。
【0060】
【数10】
【0061】
時刻t1の同期モータ2の回転速度ω2[rad/sec]と同期モータ2の回転エネルギーE2[J]との間には、式11で示される関係式が成り立つ。
【0062】
【数11】
【0063】
式10及び式11から時刻t1の同期モータ2の回転速度ω2[rad/sec]を求めると式12のようになる。
【0064】
【数12】
【0065】
時刻t2以降についても、上記同様の処理を実行する。
【0066】
式1~式12に基づき、各時刻tiにおける各パラメータを求めると、次のようになる。
【0067】
半導体スイッチ103のオン後において、時刻tiにおける同期モータ2の回転速度ωi+1[rad/sec]は式13のように表される。
【0068】
【数13】
【0069】
時刻tiにおける逆起電力Vbemf_i+1[V]は式14のように表される。
【0070】
【数14】
【0071】
時刻tiにおける逆起電力Vbemf_i+1[V]が発生したときの半導体スイッチ103の両端に印加される直流電圧の平均値Vi+1[V]は式15のように表される。
【0072】
【数15】
【0073】
時刻tiにおける半導体スイッチ103の損失Pt_i+1[W]は式16のように表される。
【0074】
【数16】
【0075】
時刻tiからの微小時間Δt[sec]間における消費エネルギーΔEi+1[J]は式17のように求められる。
【0076】
【数17】
【0077】
時刻ti+1からの微小時間Δt[sec]間における同期モータ2の回転エネルギーEi+2[J]は式18のように求められる。
【0078】
【数18】
【0079】
時刻tiからの微小時間Δt[sec]間における半導体スイッチ103の温度上昇ΔTi+1[℃]は、半導体スイッチ103の損失Pt_i+1[W]及び熱抵抗B[℃/W]を用いて式19のように表される。
【0080】
【数19】
【0081】
同期モータ2が停止した時点で、半導体スイッチ103は最高温度Tpeak[℃]に達する。同期モータ2が停止するまで(すなわち同期モータ2の回転速度ωi[rad/sec]が0になるまで、あるいは、同期モータ2の回転速度ωi[rad/sec]がある微小な閾値以下となるまで)に要する時間P[sec]は、上記各漸化式を解くことで求めることができる。時刻tnに同期モータ2が停止するとすると、半導体スイッチ103をオンした後の時刻tnに到達する半導体スイッチ103の最高温度Tpeak[℃]は、式20で表される。ここで、モータ駆動装置1または過電圧保護回路12の周囲温度をTa[℃]としている。周囲温度Ta[℃]は、モータ駆動装置1または過電圧保護回路12の周囲の温度が定温であるとみなして予め決められた一定値を用いてもよく、あるいはモータ駆動装置1または過電圧保護回路12の近傍に設置された温度センサによって測定された温度を用いてもよい。
【0082】
【数20】
【0083】
同期モータ2が停止して半導体スイッチ103の温度が最高温度Tpeak[℃]に達した後は、半導体スイッチ103の温度は、熱時定数をτ2[sec]として指数関数的に下降していき、時刻Qの時点で、下降中の半導体スイッチ103の温度が第1の温度閾値Tthを下回ることになる。同期モータ2が停止して半導体スイッチ103の温度が最高温度Tpeak[℃]に達した時刻tnを始点とし半導体スイッチ103の温度が第1の温度閾値Tthを下回る時刻Qを終点として画定される時間である駆動待機時間tQ[sec]は、式21を解くことで求めることができる。
【0084】
【数21】
【0085】
なお、上述の時刻ti-1からの微小時間Δt[sec]間における消費エネルギーΔEi[J]及び温度上昇ΔTi[℃]の計算にあたっては、当該微小時間Δt[sec]の間は同期モータ2の回転速度ωi[rad/sec]、同期モータ2の回転エネルギーEi[J]、逆起電力Vbemf_i[V]、半導体スイッチ103両端の直流電圧の平均値Vi[V]、及び、半導体スイッチの損失Pt_i[W]は一定とみなしている。また、微小時間Δ[sec]は、例えば1ミリ秒に設定されるが、これ以外の値を設定してもよい。一般に同期モータ2の停止までには数秒から数十秒を要するので、例えば1ミリ秒に設定した微小時間Δt[sec]の間は同期モータ2の回転速度ωi[rad/sec]、同期モータ2の回転エネルギーEi[J]、逆起電力Vbemf_i[V]、半導体スイッチ103両端の直流電圧の平均値Vi[V]、及び、半導体スイッチの損失Pt_i[W]は一定とみなしたとしても、算出された当該微小時間Δt[sec]間における消費エネルギーΔEi[J]及び温度上昇ΔTi[℃]の誤差は無視できる程度の大きさである。
【0086】
温度推定部13は、上記各式に基づいて、同期モータ2に係るイナーシャA[kgm2]及び逆起電力定数を含むモータ定数Vk[V/(rad/sec)]と、半導体スイッチ103に係るオン抵抗Rt[Ω]、熱抵抗B[℃/W]、温度上昇時の熱時定数τ1[sec]、及び温度下降時の熱時定数τ2[sec]を含む半導体スイッチ定数と、回転速度計算部22により検出された同期モータ2の回転速度ωi[rad/sec]とを用いて、半導体スイッチ103の温度推定値を計算する。半導体スイッチ103をオンしてから半導体スイッチ103が最高温度Tpeak[℃]に到達するまでの間は、温度推定部13は、式13~式20に従って半導体スイッチ103の温度推定値を計算し、温度推定値が最高温度Tpeak[℃]に到達した後は、温度推定値は、式21に従って最高温度Tpeak[℃]に達した時刻tnから半導体スイッチ103の温度が第1の温度閾値Tthを下回る時刻Qまでに要する時間tQ[sec]を計算する。温度推定部13は、温度推定部13により半導体スイッチ103の最高温度Tpeak[℃]を計算した後、半導体スイッチ103の温度推定値が当該最高温度Tpeak[℃]に到達した時刻tnから半導体スイッチ103の温度が第1の温度閾値Tthを下回る時刻Qまでに要する駆動待機時間tQ[sec]を計算する。許可信号出力部14は、温度推定部13により計算された半導体スイッチ103の温度推定値が当該最高温度Tpeak[℃]に到達した時刻tnから駆動待機時間tQ[sec]を経過した時点をもって半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回った時点と判定し、モータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始を許可する信号をモータ制御部10に対して出力する。
【0087】
続いて、本開示の一実施形態による変形例について、いくつか列記する。
【0088】
本開示の一実施形態による第1の変形例は、温度推定部13による温度推定値の計算に用いられる微小時間Δt[sec]における同期モータ2の回転速度を、電流センサ21により検出された電流の値に基づいて算出された値ではなく、同期モータ2に取り付けられた速度センサ23により検出された値を用いるものである。図4は、本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の第1の変形例を示す図である。第1の変形例では、微小時間Δt[sec]における同期モータ2の回転速度ωi[rad/sec]を、同期モータ2に取り付けられた速度センサ23により検出する。これにより、図1に示した回転速度計算部22よる式1に基づく計算並びに温度推定部13による式12及び式13に基づく計算を省略することができるので、計算負荷が軽減される。
【0089】
本開示の一実施形態による第2の変形例は、温度推定部13による温度推定値の計算に用いられる半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の同期モータ2の回転速度を、同期モータ2の定格回転数ωrate[rad/sec]とするものである。第2の変形例は、同期モータ2を定格回転数ωrate[rad/sec]で常時駆動するような運用で特に有効である。第2の変形例によれば、半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の同期モータ2の回転速度を定格回転数ωrate[rad/sec]にするので、図1に示した回転速度計算部22よる式1に基づく計算並びに温度推定部13による式12及び式13に基づく計算を省略することができるので、計算負荷が軽減される。
【0090】
本開示の一実施形態による第3の変形例は、半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の同期モータ2の回転速度と、半導体スイッチ103をオンしてから半導体スイッチ103の温度が第1の温度閾値以下になるまでの時間と、の関係を示すテーブルを事前に作成しておくものである。半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の同期モータ2の回転速度と、同期モータ2が到達し得る最高温度とは一対一で対応するので、半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の同期モータ2の回転速度と、半導体スイッチ103をオンしてから半導体スイッチ103の温度が第1の温度閾値以下になるまでの時間とは、一対一で対応する。そこで、半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の同期モータ2の回転速度を回転速度計算部22による計算または速度センサ23による測定により取得し、取得した同期モータ2の回転速度に対応する「半導体スイッチ103をオンしてから半導体スイッチ103の温度が第1の温度閾値以下になるまでの時間」をテーブルから読み出す。第3の変形例によれば、過電圧保護回路12の稼働ごとに複雑な計算を実行する必要はないので、計算負荷が軽減される。
【0091】
本開示の一実施形態による第4の変形例は、式8で示される半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の半導体スイッチ103の損失Pt_1[W]を、同期モータ2の停止まで一定であるとみなし、計算負荷を軽減するものである。半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の時点が、同期モータ2の回転速度が最も高いので、半導体スイッチ103の流れる短絡電流は最も大きく、したがって半導体スイッチ103の損失も最も大きい。したがって、半導体スイッチ103のオン直後の時刻t0の半導体スイッチ103の損失Pt_1[W]を、その後の微小時間Δt[sec]に係る計算で用いると、半導体スイッチ103の温度推定値が実際の温度よりも高くなってしまう可能性があるが、計算負荷を軽減できる利点がある。
【0092】
本開示の一実施形態による第5の変形例は、過電圧保護回路12が動作しているときに発生する短絡電流が予想外に長く続いて流れる場合に備えて、短絡電流のさらなる還流ルートを設けるものである。
【0093】
図5は、本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の第5の変形例の動作フローを示すフローチャートである。
【0094】
同期モータ2に予想外に大きなイナーシャがついていた場合に同期モータ2の駆動が停止して逆起電力が発生すると、半導体スイッチ103に短絡電流が流れる時間が予想外に長くなり、半導体スイッチ103に熱が蓄積され続けることで半導体スイッチ103の温度上昇が半導体スイッチ103の許容値を超えてしまい、半導体スイッチ103が破損してしまう可能性がある。そこで、第5の変形例では、温度推定部13により計算された上昇中の半導体スイッチの温度推定値が第2の温度閾値を上回ったとき、モータ駆動回路11内のインバータ101のブリッジ回路における上アームに設けられた正側スイッチング素子SUU、SVU、及びSWUの全てまたは下アームに設けられた負側スイッチング素子SUL、SVL、及びSWLの全てをオンにすることで、短絡電流が、過電圧保護回路12に加え、モータ駆動回路11内のインバータ101のオンしているスイッチング素子にも流れるようにする。これにより、逆起電力に基づくエネルギーは、過電圧保護回路12内のダイオード整流回路102及び半導体スイッチ103を介してモータ駆動回路11内のインバータ101にて消費されることになるので、半導体スイッチ103に短絡電流が流れる時間を短縮することができ、半導体スイッチ103の温度上昇を抑制することができる。
【0095】
なお、第2の温度閾値については、半導体スイッチ103の耐熱温度よりも低い温度に設定すればよく、例えば半導体スイッチ103の規格表や取扱説明書などに規定された耐熱温度を参考にして設定すればよい。なお、第2の温度閾値については、書き換え可能な記憶部(図示せず)に記憶されて外部機器によって書き換え可能であってもよく、第2の温度閾値を一旦設定した後であっても必要に応じて適切な値に変更してもよい。
【0096】
モータ駆動装置1により同期モータ2をある回転数で駆動している状態において、図5に示すステップS201において、モータ制御部10は、同期モータ2の駆動が停止したか否かを判定する。モータ駆動装置1の制御不能やモータ駆動装置1による非常停止などといった要因で同期モータ2に対する駆動が停止すると、同期モータ2は減速して逆起電力が発生する。例えば、モータ制御部10は、モータ駆動装置1が制御不能に陥ったことを示すアラームを受信した時、あるいは、モータ駆動装置1に対する非常停止信号を受信した時、同期モータ2の駆動が停止したと判定する。あるいはまた、モータ制御部10は、モータ駆動回路11と同期モータ2とを結ぶ動力線の線間電圧が所定の電圧を超えた時、同期モータ2の駆動が停止したと判定してもよい。ステップS201において、同期モータ2の駆動が停止したと判定した場合は、モータ制御部10は過電圧保護回路12内の半導体スイッチ103に対してオンするよう指令し、これによりダイオード整流回路102の直流出力側の端子間が短絡され、ステップS202へ進む。
【0097】
ステップS202において、温度推定部13は、同期モータ2に係るイナーシャ及び逆起電力定数のうちの少なくとも1つを含むモータ定数と、半導体スイッチ103に係るオン抵抗、熱抵抗及び熱時定数を含む半導体スイッチ定数と、を用いて、半導体スイッチ103の温度推定値を計算する。なお、速度センサ23により検出された値を用いて半導体スイッチ103の温度推定値を計算する場合は、ステップS202における温度推定部13による温度推定値の計算にはイナーシャの値は不要である。半導体スイッチ103がオンすると、同期モータ2は徐々に減速し、完全に停止するまで(すなわち同期モータ2の回転エネルギーがゼロになるまで)、半導体スイッチ103には短絡電流が流れ続け、温度推定部13により計算される半導体スイッチ103の温度推定値は上昇する。半導体スイッチ103の温度推定値が最高温度に到達した後は、温度推定部13により計算される半導体スイッチ103の温度推定値は下降する。温度推定値が上昇して最高温度に到達するまでの間は、ステップS202及びステップS203の処理が繰り返し実行され、温度推定部13による温度推定値の計算は継続する。
【0098】
ステップS203において、モータ制御部10は、温度推定部13により計算された温度推定値が上昇中であるか否かを判定する。半導体スイッチ103がオンしてから半導体スイッチ103の温度推定値が最高温度に到達するまでの間は、温度推定値は上昇し続けているので、半導体スイッチ103がオンしてから半導体スイッチ103の温度推定値が最高温度に到達するまでの間はステップS203において温度推定値は上昇中であると判定され、ステップS204へ進む。半導体スイッチ103の温度推定値が最高温度に到達した後は、温度推定値は下降するので、ステップS203において温度推定値は上昇中ではないと判定され、ステップS206へ進む。
【0099】
ステップS204において、モータ制御部10は、温度推定部13により計算された上昇中の半導体スイッチの温度推定値が第2の温度閾値を上回ったか否かを判定する。温度推定値が第2の温度閾値を上回ったと判定された場合はステップS205へ進み、温度推定値が第2の温度閾値を上回ったと判定されなかった場合はステップS202へ戻る。
【0100】
ステップS205において、モータ制御部10は、モータ駆動回路11内のインバータ101のブリッジ回路における下アームに設けられた負側スイッチング素子SUL、SVL、及びSWLの全てをオンするよう、モータ駆動回路11内のインバータ101を制御する。これにより、短絡電流が、過電圧保護回路12に加え、モータ駆動回路11内のインバータ101のオンしているスイッチング素子にも流れるようになる。なお、ステップ205においては、モータ制御部10は、モータ駆動回路11内のインバータ101のブリッジ回路における上アームに設けられた正側スイッチング素子SUU、SVU、及びSWUの全てをオンするよう、モータ駆動回路11内のインバータ101を制御してもよい。ステップS205を実行すると、電流が過電圧保護回路12及びモータ駆動回路11の両方に流れるので、半導体スイッチ103の温度推定値を正確に計算することができないことから、例えばアラーム出力などのような異常処理を実行して処理を終了する。
【0101】
ステップS206において、許可信号出力部14は、温度推定部13により計算された下降中の半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回ったか否かを判定する。温度推定値が最高温度に到達した後は、時間の経過ととともに温度推定値は徐々に下降していき、ある時点で温度推定値は第1の温度閾値を下回ることになる。温度推定部13により計算された下降中の半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回ったと許可信号出力部14が判定した時点で、ステップS207へ進む。なお、温度推定値が最高温度に到達した後はある時定数をもって温度が下降していくので、温度推定値の最高温度到達後から第1の温度閾値を下回るまでに要する時間を予測計算することができる。よって、温度推定部13は、半導体スイッチ103がオンしてから温度推定値が上昇して最高温度に到達するまでの間は、温度推定値の計算を継続的に実行し、推定温度が最高温度に到達した後は、温度推定値が最高温度に到達した時点を始点とし温度推定値が第1の温度閾値を下回る時点を終点とする時間を「駆動待機時間」として予測計算し、温度推定値が最高温度に到達してから駆動待機時間が経過した時点をもって、許可信号出力部14は、温度推定部13により計算された下降中の半導体スイッチ103の温度推定値が第1の温度閾値を下回った時点と判定する。
【0102】
ステップS207において、許可信号出力部14は、モータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始を許可する信号をモータ制御部10に対して出力する。これにより、モータ制御部10は、同期モータ2の駆動制御をいつでも再開できるようスタンバイ状態に入る。作業者は、ステップS201における同期モータ2の駆動停止の原因が、例えばモータ駆動装置1の制御不能であった場合には当該制御不能の原因を取り除く作業を行い、例えばモータ駆動装置1による非常停止であった場合には当該非常停止の原因を取り除く作業を行うといったように、同期モータ2の再駆動に向けた準備作業を行うのが好ましい。過電圧保護回路12が起動して半導体スイッチ103がオンした後は、ステップS206において許可信号出力部14によりモータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始が許可されない限りは、モータ制御部10は同期モータ2の駆動制御をできないので、モータ駆動装置1の安全を確保することができる。ステップS207において許可信号出力部14によりモータ駆動回路11による同期モータ2の駆動開始が許可された後、作業員が同期モータ2の駆動停止の原因を除去したうえで、同期モータ2の実際の駆動が行われることになる。
【0103】
本開示の一実施形態による第6の変形例は、半導体スイッチ103の温度の上昇及び下降からなる温度変化のうち、特に半導体スイッチ103に負担がかかる温度変化の回数をカウントし、カウントされた回数が所定の回数閾値を上回った場合は、半導体スイッチ103に破損の恐れがあるとしてアラームを出力することで予防保全に役立てるようにしたものである。
【0104】
図6は、本開示の一実施形態によるモータ駆動装置の第6の変形例を示す図である。
【0105】
一般的に、半導体スイッチ103は、大きな温度変化を繰り返すと、半導体スイッチ103内において熱収縮率の異なる部材の間でストレスがかかり、寿命が短くなる。上述のように、半導体スイッチ103がオンすると、半導体スイッチ103の温度推定値は徐々に上昇し、最高温度に到達した後は徐々に減少する。例えば、半導体スイッチ103がオンした時点における同期モータ2の回転速度が低い場合は、半導体スイッチ103の温度推定値の最高温度は低くなるので半導体スイッチ103には負担がかからないが、半導体スイッチ103がオンした時点における同期モータ2の回転速度が高い場合は、半導体スイッチ103の温度推定値の最高温度は高くなるので半導体スイッチ103に負担がかかる。そこで、第6の変形例では、半導体スイッチ103の温度の上昇及び下降からなる温度変化のうち特に半導体スイッチ103に負担がかかるような温度変化を、温度推定部13により計算された温度推定値を第3の温度閾値と比較することをもって抽出してカウントし、カウントされた回数が所定の回数閾値を上回った場合は、半導体スイッチ103に破損の恐れがあるとしてアラームを出力する。
【0106】
なお、第3の温度閾値については、半導体スイッチ103の耐熱温度よりも低い温度に設定すればよく、例えば半導体スイッチ103の規格表や取扱説明書などに規定された耐熱温度を参考にして設定すればよい。なお、第3の温度閾値については、書き換え可能な記憶部(図示せず)に記憶されて外部機器によって書き換え可能であってもよく、第3の温度閾値を一旦設定した後であっても必要に応じて適切な値に変更してもよい。
【0107】
また、回数閾値については、半導体スイッチ103に非常に大きな短絡電流が流れることを想定して、例えば半導体スイッチ103の規格表や取扱説明書などに規定された半導体スイッチ103の耐用動作回数に比べて小さい値に設定すればよい。なお、回数閾値については、書き換え可能な記憶部(図示せず)に記憶されて外部機器によって書き換え可能であってもよく、回数閾値を一旦設定した後であっても必要に応じて適切な値に変更してもよい。
【0108】
図6に示すように、モータ駆動装置1は、図1または図4を参照して説明したモータ駆動装置1の構成に加えて、カウント部24及びアラーム出力部25をさらに備える。
【0109】
カウント部24は、温度推定部13により計算された上昇中の半導体スイッチ103の温度推定値が第3の温度閾値を超えた回数をカウントする。過電圧保護回路12の1回の動作において半導体スイッチ103の温度の上下回数は1回であるので、過電圧保護回路12の1回の動作において半導体スイッチ103の温度推定値が第3の温度閾値を超える回数は1回を超えることはない。すなわち、半導体スイッチ103の温度推定値が第3の温度閾値を超える回数は、必ず、過電圧保護回路12の動作回数以下となる。
【0110】
アラーム出力部25は、カウント部24によりカウントされた回数が所定の回数閾値を上回ったときアラームを出力する。アラーム出力部25から出力されたアラームは、表示部(図示せず)に送られ、表示部は、半導体スイッチ103の交換を促す表示を行う。表示部の例としては、単体のディスプレイ装置、モータ駆動装置1に付属のディスプレイ装置、上位制御装置(図示せず)に付属のディスプレイ装置、並びに、パソコン及び携帯端末に付属のディスプレイ装置、LEDやランプなどの発光機器などがある。例えば表示部がLEDやランプなどの発光機器で構成される場合は、発光機器はアラーム受信時に発光することで、作業者に半導体スイッチ103の交換を促す。また例えば、アラーム出力部から出力されたアラームは、例えば音響機器(図示せず)に送られ、音響機器はアラーム受信時に例えば音声、スピーカ、ブザー、チャイムなどのような音を発することで、作業者に半導体スイッチ103の交換を促す。これにより、作業者は、半導体スイッチ103の劣化を確実かつ容易に把握することができ、半導体スイッチ103を交換するといった対応も容易にとることができる。
【0111】
以上説明した本開示の一実施形態及び各変形例において温度推定部13により計算された温度推定値は、例えば半導体スイッチ103の近傍に温度センサを設置して半導体スイッチ103の実際の温度を測定し、温度推定部13による計算処理に較正を適宜加えてもよい。温度推定部13により計算された温度推定値が、温度センサにより測定された半導体スイッチ103の実際の温度と大きく異なる場合は、温度推定部13を含む演算処理装置に故障があると判定してもよく、その場合は当該演算処理装置を交換するといった対応をとることができる。
【0112】
モータ制御部10、温度推定部13、許可信号出力部14、カウント部24、及びアラーム出力部25は、例えばソフトウェアプログラム形式で構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよく、あるいは各種電子回路のみで構成されてもよい。例えばこれらをソフトウェアプログラム形式で構築する場合は、例えばDSPやFPGAなどの演算処理装置をこのソフトウェアプログラムに従って動作させることで、上述の各部の機能を実現することができる。またあるいは、モータ制御部10、温度推定部13、許可信号出力部14、カウント部24、及びアラーム出力部25を、各部の機能を実現するソフトウェアプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。またあるいは、モータ制御部10、温度推定部13、許可信号出力部14、カウント部24、及びアラーム出力部25を、各部の機能を実現するソフトウェアプログラムを書き込んだ記録媒体として実現してもよい。また、モータ制御部10、温度推定部13、許可信号出力部14、カウント部24、及びアラーム出力部25は、例えば工作機械の数値制御装置内に設けられてもよく、ロボットを制御するロボットコントローラ内に設けられてもよい。
【0113】
また、モータ制御部10、温度推定部13、許可信号出力部14、カウント部24、及びアラーム出力部25は、アナログ回路とディジタル回路との組み合わせで構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアプログラム形式で構築された演算処理装置にて実現されてもよく、あるいは、アナログ回路のみで構成されてもよい。なお、電流センサ21及び速度センサ23については、モータ駆動装置1に一般的に設けられるものを流用してもよい。
【0114】
また、第1の温度閾値、第2の温度閾値、第3の温度閾値、及び回数閾値を記憶する記憶部は、例えばEEPROM(登録商標)などのような電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリ、または、例えばDRAM、SRAMなどのような高速で読み書きのできるランダムアクセスメモリなどで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 モータ駆動装置
2 同期モータ
3 平滑コンデンサ
10 モータ制御部
11 モータ駆動回路
12 過電圧保護回路
13 温度推定部
14 許可信号出力部
21 電流センサ
22 回転速度計算部
23 速度センサ
24 カウント部
25 アラーム出力部
101 インバータ
102 ダイオード整流回路
103 半導体スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6