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特許7606004超音波によって毛髪をクレンジングするための、対向形状部を有するデバイス
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  • 特許-超音波によって毛髪をクレンジングするための、対向形状部を有するデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】超音波によって毛髪をクレンジングするための、対向形状部を有するデバイス
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A45D19/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023549090
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022051302
(87)【国際公開番号】W WO2022175018
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】2101553
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】エリック・パリ
(72)【発明者】
【氏名】ギャバン・ヴィック
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109198839(CN,A)
【文献】特開2002-282788(JP,A)
【文献】特開2001-275737(JP,A)
【文献】特開平09-308518(JP,A)
【文献】韓国登録特許第0737373(KR,B1)
【文献】特開2003-164820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D19/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪をクレンジングするための美容的デバイスであって、
- 電流発生器によって給電され、且つ超音波振動を発生させるように構成された超音波トランスデューサ(13)を有する超音波送信機、及び
- 前記トランスデューサ(13)によって発生された前記超音波振動を、処理される毛束に伝送するために前記超音波送信機に結合されたプローブ(2)を含むハンドピース(18)であって、前記プローブ(2)は、近位外面(21)と遠位外面(22)との間で長手方向軸(X)に沿って延び、かつ、前記プローブ(2)は、クレンジング組成物が前記プローブを貫通する軸方向チャネルを通過して噴霧器又はネブライザーによって毛髪上に吐出されるように構成される、ハンドピース(18)
を含む美容的デバイスにおいて、
前記ハンドピース(18)は、処理される前記毛束を少なくとも部分的に受け入れるために、支承面(31)を備える対向形状部(3)も含み、前記プローブ(2)は、前記対向形状部(3)の前記支承面(31)と前記プローブ(2)の前記遠位外面(22)との間に前記毛束を挟み込むために前記対向形状部(3)と協働し、及び
前記対向形状部(3)は、レセプタクル(30)の境界を定め、前記レセプタクル(30)の底部は、前記支承面(31)を画定することを特徴とする美容的デバイス。
【請求項2】
前記プローブ(2)は、前記プローブ(2)を貫通する軸方向案内チャネルを有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記プローブ(2)は、前記プローブ(2)の遠位端の方向に広がる形状を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記対向形状部(3)の前記支承面(31)と前記プローブ(2)の前記遠位外面(22)とは、平行であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ハンドピース(18)は、前記プローブ(2)の隣に配置され、且つ前記対向形状部(3)の方に向けられた第1のコーム又は第1のブラシ(32)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記対向形状部(3)は、前記支承面(31)の外側に配置され、且つ前記プローブ(2)の方に向けられた第2のコーム又は第2のブラシ(34)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記対向形状部(3)は、前記対向形状部(3)の内側輪郭内に形成され、且つ前記デバイスの使用位置において、前記第1のコーム又は前記第1のブラシ(32)と前記第2のコーム又は前記第2のブラシ(34)との間に配置される溝(39)を備えることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記トランスデューサ(13)によって使用される超音波周波数は、16kHz~10MHzの範囲であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
濃縮クレンジング溶液(43)のリザーバに接続されたミキサー(41)と前記軸方向チャネルとに接続された供給ダクト(45)を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記濃縮クレンジング溶液(43)は、少なくとも1種の界面活性剤を含むことを特徴とする、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記対向形状部(3)に接続された使用済みクレンジング組成物排出ダクト(44)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
使用済みクレンジング組成物を処理及びリサイクルするためのユニットを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
毛髪をクレンジングするための美容的方法であって、
(i)請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイスを提供すること、
(ii)毛束の少なくとも1つの領域を前記対向形状部(3)の前記支承面(31)と前記プローブ(2)の前記遠位外面(22)との間に挟み込むこと、
(iii)超音波を発生させること、及び
(iv)適切な場合、前記プローブ(2)に対する前記束の相対運動後、前記束の所望の部分をクリーニングするために1つ以上の他の領域を連続的に処理すること
を含む操作を含む美容的方法。
【請求項14】
操作(iii)中、計量された量のクレンジング組成物を前記毛髪に適用することを含む操作(v)を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波によって毛髪をクレンジングするための手持ち式デバイスに関する。本発明は、化粧用組成物、特にシャンプーの存在下で前記手持ち式デバイスを使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
より一般的には、化粧品は、化粧品に関する2009年11月30日の欧州議会及び理事会規則(EC)第1223/2009に定義される製品である。
【0003】
毛髪をクレンジングするための様々なデバイスが知られている。
【0004】
毛髪分野に関するいくつかの文献は、特許文献1、特許文献2、特許文献3又は特許文献4など、水リザーバ及び超音波霧化システムを有する多機能コーム又はヘアブラシに関する。
【0005】
他は、特許文献5、特許文献6又は特許文献7など、毛髪をクレンジングするためのボウル又は洗面器に関する。
【0006】
更に他の文献は、特許文献8など、シャワーデバイスに関する。
【0007】
特許文献9は、洗浄、すすぎ、次いで乾燥をそれぞれ可能にする複数の区画を通した毛束の移動を伴う、ヘアエクステンションをクレンジングするための乳化剤の使用に言及している。
【0008】
特許文献10は、水及びシャンプーをそれぞれ収容する2つの別個の空間を有する携帯型デバイス及び毛髪を洗浄するための超音波放出システムに関する。しかしながら、このデバイスでは、頭髪の処理される部分を簡単に把持することができず、効果の不足及び界面活性剤溶液の損失が生じる。
【0009】
特許文献11は、化粧用組成物の適用及び音響波処理によって毛髪繊維を処理する方法に関し、これらの2つの工程は、別個のものである。前記文献は、毛髪を洗浄するための超音波の適用について言及していない。2つの目的は、互いに矛盾しており、すなわちシャンプーのためにスケールを閉じ、音響波処理のためにスケールを開くことから、シャンプー洗浄は、染色の後処理として言及されているのみであり、したがって音響波処理の範囲外である。
【0010】
特許文献12は、超音波照射を発生させるための超音波送信機と、デバイスのベースから延びる複数の歯とを含むデバイスによって頭髪から寄生虫を除去するためのシステムに関し、複数の歯は、振動歯及び反射歯を含み、超音波放射は、これら同じ歯間に存在する寄生虫に損傷を与えるように振動歯によって伝送され、反射歯によって反射される。この文献は、寄生虫及びその幼虫を駆除する以外の用途に全く言及していない。特に、毛髪の洗浄に全く言及していない。その上、この文献に記載されているデバイスの使用は、化粧品又はそれ以外を問わず、組成物の使用を全く伴わない。
【0011】
特許文献13は、超音波放射を発生させるための超音波送信機と、寄生虫の近くに配置し、それに超音波放射を伝送するのに適した、前記超音波送信機に結合される手持ち式デバイスとを含む、寄生虫が哺乳動物の体表にいる間に寄生虫に損傷を与えるためのデバイスに関し、前記手持ち式デバイスは、デバイスのベースから延びる複数の歯を含み、複数の歯及び/又は超音波送信機は、複数の歯に結合された少なくとも1つの振動要素を含む。この文献によれば、寄生虫の除去は、照射後にコーミングによって又は真空下で行われ得る。照射中に毛髪を洗浄する用途は言及されていない。
【0012】
2020年2月28日に本出願人によって出願された特許文献14は、電極に電気的に接続される静電帯電器と、前端部に1つ以上の歯を有し、歯の先端が電極を含む本体構造と、毛髪用製剤を収容するカートリッジとを含む、毛髪用製剤を適用するためのデバイスを開示している。
【0013】
超音波処理は、静電帯電器を有するデバイスの変形形態、より具体的にはシャンプー製剤からミストを発生させるネブライザーの変形形態においてのみ行われる。ネブライザーは、デバイス内でコームの歯の上流に位置する。このミストは、歯の遠位端に位置するオリフィスを通して排出される。超音波発生器を備え得るネブライザーは、デバイス内でコームの歯の上流に位置する。したがって、超音波は、毛髪に放出されない。
【0014】
一般に、毛髪上で静電荷が生じると、反発現象の結果、シャンプーの活性剤の吸着が抑制されることでその効果が低下する可能性がある。毛髪が負に帯電した場合、アニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーの吸着が制限される可能性がある。毛髪が正に帯電した場合、カチオン性コンディショニングポリマーの吸着が制限される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】中国特許第105124902号明細書
【文献】中国実用新案第204909967号明細書
【文献】特開平09-308518号公報
【文献】特開平08-001104号公報
【文献】中国実用新案第204448700号明細書
【文献】特開2015-019670号公報
【文献】中国特許出願公開第107716391号明細書
【文献】中国実用新案第2191621号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/207690号明細書
【文献】中国実用新案第2720876号明細書
【文献】国際公開第2011/001084号
【文献】国際公開第2017/118984号
【文献】豪国特許第2012221702号明細書
【文献】米国特許出願公開第2021/2667344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、毛髪をクレンジングするために良好に機能すると同時に、現在の環境要件を満たすために、既知のデバイスよりも大幅に少ない水及び少ない界面活性剤、特に既知のデバイスの10分の1~20分の1の水を使用する、超音波を用いて毛髪をクレンジングするための改良された携帯型デバイスを提供する必要がある。更なる取り組みのために、廃水のリサイクルが想定され得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の主題は、毛髪をクレンジングするための美容的デバイスであって、
- 電流発生器によって給電され、且つ超音波振動を発生させるように構成された超音波トランスデューサを有する超音波送信機、及び
- トランスデューサによって発生された超音波振動を、処理される毛束に伝送するために超音波送信機に結合されたプローブを含むハンドピースであって、プローブは、近位外面と遠位外面との間で長手方向軸Xに沿って延びる、ハンドピース
を含む美容的デバイスであり、ハンドピースは、処理される毛束を少なくとも部分的に受け入れるために、支承面を備える対向形状部も含み、プローブは、対向形状部の支承面とプローブの遠位外面との間に毛束を挟み込むために対向形状部と協働する。
【0018】
本発明によるデバイスにより、毛髪を効果的にクレンジングすることが可能である。超音波は、例えば、フリーラジカルなど、ケラチン物質のより厳密なクレンジングに寄与するクレンジング組成物の化学種の放出にも寄与し得る。適切な場合、音響波の効果の下、クレンジング組成物の泡は、毛髪に機械的効果を及ぼすことができる衝撃波を発生させ、したがってクレンジングを向上させる。
【0019】
有利には、プローブの遠位外面は、「クレンジングされる毛髪の表面のすぐ近くに」配置される。
【0020】
本発明は、毛髪をクレンジングするための美容的方法であって、
(i)前述のようなデバイスを提供すること、
(ii)毛束の少なくとも1つの領域を対向形状部の支承面とプローブの遠位外面との間に挟み込むこと、
(iii)超音波を発生させること、及び
(iv)適切な場合、プローブに対する束の相対運動後、束の所望の部分をクリーニングするために1つ以上の他の領域を連続的に処理すること
を含む操作を含む美容的方法に関する。
【0021】
好ましくは、本方法は、操作(iii)中、特にアニオン性である少なくとも1種の界面活性剤を好ましくは含む、計量された量のクレンジング組成物を毛髪に適用することを含む操作(v)を含む。
【0022】
好ましくは、本方法は、5mm/s~5cm/sの、プローブに対する前記束の移動速度で動的に実行される。
【0023】
有利には、デバイスは、クレンジング組成物の作用を抑制せず、且つ毛髪を帯電させてべたつかせることを回避するために静電帯電器を有しない。
【0024】
好ましくは、対向形状部は、クレンジングの質を最適化するために、長手方向軸Xに垂直な円形又は半円形の断面を有しない。
【0025】
[主な定義]
「軸Xの構成要素の断面」は、構成要素の軸Xに垂直な断面である。
【0026】
「構成要素の長手方向軸」という表現は、構成要素の断面の重心の全てをつなぐ線を示す。
【0027】
「クレンジングされる毛髪の表面のすぐ近くに」という表現は、音響波の効果がクレンジング作用に有益な効果を有するほど十分に近いことを意味するものと理解すべきである。例えば、遠位外面は、クレンジングされる束の表面から15mm未満、より好ましくは10mm未満、更に好ましくは5mm未満、最も好ましくは2.5mm未満に配置される。プローブは、クレンジングされる束に接触し得る。
【0028】
「対向形状部」という表現は、プローブの形状と相補的な形状であり、それとプローブとの間で毛髪をブロッキングすることができる構成要素を示す。対向形状部及びプローブは、プローブと対向形状部とが離隔した位置において、処理される毛髪を挿入することができ、その後、プローブと対向形状部とが一緒に移動する位置又はデバイスの使用位置において、超音波を送達するプローブと毛髪との特により良好な接触を確実にするように毛髪に圧力をかけるために、有利には互いに対して移動することができる。
【0029】
「超音波」は、16KHz~10MHzの範囲の周波数の電波からなる。
【0030】
超音波又は超音波波動を発生させるために、「高周波発生器」は、50Hz~60Hzの通常の主電源周波数を好ましくは16kHz~60kHzの範囲の高周波振動に変換する。
【0031】
その後、「超音波トランスデューサ」又はトランスデューサは、これらの電気振動を同じ周波数の音響振動に変換する。トランスデューサは、固有振動に適したエネルギー供給によって駆動される共振系に他ならない。トランスデューサは、電気エネルギーを数mW~数kWの超音波領域内の音響エネルギーに変換する。
【0032】
「ソノトロード」は、トランスデューサに結合される金属部品又はツールであり、この振動エネルギーをターゲット要素、例えば毛髪において復元する。標準的な超音波使用の周波数範囲によれば、ソノトロードは、数マイクロメートルの振幅で1秒間にx回「収縮」及び「拡張」することによって周波数で共振する。この半波長音響波共振は、物質の定弾性、その密度ρ、この物質を通る音の伝搬速度及び周波数の特性に従う。ソノトロードは、熱処理を伴って又は伴わずにチタン、アルミニウム又は鋼で作られる。小径のソノトロードは、プローブと呼ばれることがある。ソノトロードの形状は、振動エネルギーの量及び精密な用途の物理的制約に依存する。
【0033】
「音響波」は、1つ以上の超音波トランスデューサによって発生する。本発明によれば、音響波は、超音波波動である。
【0034】
音響波は、単一のトランスデューサ又は変形形態として少なくとも2つのトランスデューサによって発生され得る。各トランスデューサは、音響波が放出される表面を画定し得る、典型的には金属製のソノトロードを含み得る。トランスデューサは、少なくとも1つの圧電材料を含み得る。
【0035】
音響波は、デバイスが電源投入されると直ちに恒久的に発生され得るか、又は変形形態として例えば毛髪の近傍にデバイスが存在するなどの特定の動作条件が満たされた場合にのみ発生され得る。
【0036】
音響波は、正弦波信号又は例えば周波数変調若しくは振幅変調を伴うより複雑な形状の信号によって発生され得る。音響波は、所与の領域により正確に集束させることを可能にし得る単一の周波数で放出されることが好ましいが、変形形態としていくつかの異なる周波数で放出され得る。音響波は、連続的に又はパルスの形態で放出され得る。
【0037】
デバイスは、処理される毛髪との接触時にデバイスの存在を検知し、この検知に対してトランスデューサの機能を調整するためのシステムも含み得る。
【0038】
「プローブ」は、例えば、超音波の信号の放出及び受信を可能にする。
【0039】
[吸引ユニット]
本発明によるデバイスは、使用済みクレンジング組成物及び洗浄から生じる残留物(天然の又は化学的な汚れ、毛髪の表面に存在する損傷したケラチン残留物)を回収するために、吸引システムを有し得る。吸引システムは、例えば、ファン及びフィルタ、並びに/又はポンプ及びフィルタ、並びに/又は粒子を回収する液体回収システム、並びに/又は電位場を形成することによって粒子を表面に引きつける静電システムを有し得る。本発明によるデバイスは、使用済み界面活性剤組成物のリザーバを有し得、この組成物は、吸引システムによって吸い込まれる。
【0040】
好ましくは、吸引ユニットの出力は、80エアワット~120エアワットに設定される。
【0041】
エアワット基準は、空気流量、吸引力及び電気消費量間の比率である。ASTM国際規格によれば、この基準は、以下のように計算される。
P=1/8.5×F×S
式中、Pは、エアワットにおける出力であり、Fは、CFMにおける空気流量であり、及びSは、水柱の高さである。
【0042】
したがって、エアワットは、吸引ユニットのモータの全体的な性能、したがって吸引ユニットの有効性を示す。
【0043】
[リサイクル]
有利には、クレンジング組成物は、リサイクル及び/又は濾過のために少なくとも部分的に回収されるように毛髪と接触するように送られる。
【0044】
回収された組成物は、クレンジングされる毛束に再度送られる前に、固形のデブリ又はその微粒子相を除去するために濾過され得る。
【0045】
好ましくは、組成物は、吸引又は例えば多孔質支持体を用いた吸収によって回収される。
【0046】
有利には、処理及び浄化ユニットは、毛髪と接触した組成物を含む使用済み組成物を受け入れるための処理ユニット入口と、分離器とを含む。
【0047】
本発明の特定の実施形態によれば、処理及び浄化ユニットは、リサイクル組成物中の細菌を死滅させる殺菌ユニットを含み、前記殺菌ユニットは、UVランプ、及び/又はオゾン若しくは酸化剤発生器、及び/又は化学製品若しくは殺菌剤ディスペンサ、及び/又は加熱デバイスを含む。
【0048】
好ましくは、処理及び浄化ユニットは、50ミクロン以下の孔径を有するフィルタを含む。フィルタは、ひだ付き又はひだなしの不織布であり得る。
【0049】
[噴霧器又はネブライザー]
本発明によるデバイスは、クレンジング組成物をミスト化、噴霧化又は霧化するための噴霧化構成要素を含む電動式デバイスであり得る。好ましくは、本発明によるデバイスは、使用済みクレンジング組成物を処理及びリサイクルするためのユニットを含む。
【0050】
一実施形態では、ネブライザーは、圧縮機、ポンプを含み、超音波を使用してクレンジング組成物及び空気からミストを発生させる。
【0051】
[好ましい実施形態]
好ましくは、本発明による適用要素は、単独で又は組み合わせにおいて以下の特徴の1つ以上を有する。
【0052】
対向形状部は、レセプタクルの境界を定め、レセプタクルの底部は、支承面を画定する。この形状は、束のブロッキング及び保持を促進する。
【0053】
プローブは、プローブを貫通する軸方向案内チャネルを有する。好ましくは、プローブは、フレア状のくり抜かれた形状を有する。波の案内は、案内チャネルによって最適化される。
【0054】
プローブは、その遠位端の方向に広がる形状を有する。この形状は、超音波の通過及び場合によりクレンジング組成物の吐出をより容易にする。
【0055】
対向形状部の支承面とプローブの遠位外面とは、平行である。好ましくは、プローブの長手方向軸と毛髪との間の接触角は、90°に近い。この場合、プローブのベースは、有利には、毛髪に対して平坦であり、これにより処理のより良好な効果が提供される。
【0056】
一変形形態において、超音波によるその処理前、その間又はその後に毛束のもつれを解き、空気に曝し、それにより個々の毛髪間の超音波の通過を促進するために、ハンドピースは、プローブの隣に配置され、且つ対向形状部の方に向けられた第1のコーム又は第1のブラシを含む。
【0057】
この変形形態において、対向形状部は、支承面の外側に配置され、且つプローブの方に向けられた第2のコーム又は第2のブラシを含む。
【0058】
したがって、対向形状部は、その内側輪郭内に形成され、且つデバイスの使用位置において、第1のコーム又は第1のブラシと第2のコーム又は第2のブラシとの間に配置される溝を備えることが好ましい。この溝は、コーミング又はブラッシング中に使用済み組成物の排出を促進する空間を提供し得る。
【0059】
トランスデューサによって使用される超音波周波数は、16kHz~10MHz、好ましくは16kHz~60kHzの範囲である。
【0060】
デバイスは、クレンジング組成物を収容するリザーバの出口に接続されたクレンジング組成物供給ダクトを含む。
【0061】
デバイスは、好ましくは、対向形状部に接続された使用済み組成物排出ダクトを含む。
【0062】
デバイスは、好ましくは、使用済みクレンジング組成物を処理及びリサイクルするためのユニットを含む。したがって、デバイスは、使用済みクレンジング組成物、特に汚れた界面活性剤溶液を回収するためのシステムを含む。更により好ましくは、この回収デバイスは、吸引デバイスを含む。
【0063】
本発明の更なる特徴及び利点は、その非限定的な実装例の以下の詳細な説明を読むこと並びに添付の概略及び部分図を検討することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】本発明によるデバイスの傾斜斜視図である。
図2図1のデバイスの分解図である。
図3】クレンジング組成物を収容するリザーバに接続されている、図1及び図2によるデバイスを示す。
図4】本発明によるデバイス内における毛束の位置決めを示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
処理デバイスが、プローブの入力において音響波を放出するための超音波トランスデューサ13を含む本発明の実施例が図1及び図2に示されている。トランスデューサ13は、電流発生器15によって給電され、電流発生器15は、ハンドピース18の一部を形成しても又はしなくてもよく、例えばケーブルを介してハンドピース18が接続されるベースステーション内に存在する。
【0066】
デバイス1は、くり抜かれたフレア状のプローブ2によって放出される音響波にさらされる毛束を受け入れるための対向形状部3を有する。プローブ2は、その近位外面21とその遠位外面22との間に延びる長手方向軸Xを有する。
【0067】
プローブ2及び対向形状部3は、その間に毛束を導入するための離隔構成(図示せず)と、図1に示される、処理のために一緒に移動する構成との間で互いに対して移動することができる。
【0068】
プローブ2及び対向形状部3は、それぞれ上アーム及び下アームによって支持され得る。上アーム及び下アームは、例えば、互いに独立しているか又はジョイントによって一端で互いに接続される。したがって、ハンドピース18は、トングを形成する。本発明は、プローブ2と対向形状部3との特定の接続手法に限定されない。しかしながら、それが提供する人間工学のために、ジョイントの存在が好ましい場合がある。
【0069】
プローブ2及び対向形状部3は、それらの間において、処理される毛束を受け入れることを意図される、頭髪の処理のための領域を画定する。この領域は、処理中、束が完全にクレンジングされるようにするために、例えば毛髪の根元から端部に向かう方向に動かされる。
【0070】
プローブ2は、処理される束の領域がプローブ2の遠位外面22に面して位置するように、レセプタクル30の底部によって形成された支承面31上にシート状に広がった毛束に接触又は近接することを意図されたフレア状の平坦なヘッドを含む、部分的に中空の長尺体を含むことが図から分かる。
【0071】
プローブ2は、支承面31と遠位外面22との間に束のための凹部60を構成する空間を設けることにより、協働する形状を有する、対向形状部3と関連付けられた取り外し可能な構成要素を形成する。図示の例では、プローブ2は、遠位外面22と支承面31とを互いに対向させると同時に、束の挟み込みを可能にするために、対向形状部3から離すか又はそれに近づけるように、使用者によりハンドピース18の長手方向軸Xに沿って動かされる。
【0072】
例えば、使用済みクレンジング組成物の排出を促進するために、対向形状部3の上面36の縁部に溝39が配置され得る。
【0073】
図1及び図2では、2つの第1のコーム32、33は、プローブの両側に互いに対向して配置され、2つの第2のコーム34、35は、対向形状部の長手方向縁部の両側に互いに対向して配置される。2つの第1のコーム32、33は、プローブ2の中央平面に関して互いに対称であり、2つの第2のコーム34、35は、対向形状部3の中央平面に関して互いに対称である。
【0074】
図3は、水リザーバ42と、有利には、好ましくはアニオン性である少なくとも1種の界面活性剤を含む濃縮クレンジング溶液43のリザーバとに接続され得るミキサー41に接続された供給ダクト45を介してクレンジング組成物が供給される図1及び図2によるデバイスを示す。クレンジング組成物は、案内チャネルの出口オリフィスを通過後に例えば噴霧器又はネブライザーによって毛髪上に吐出される前に、軸方向案内チャネルを通してプローブを通過する。
【0075】
対向形状部3は、使用済みクレンジング組成物排出ダクト44を有し、使用済みクレンジング組成物排出ダクト44は、例えば、毛束を受け入れる凹部60の側壁37を貫通し、使用済み組成物を収集するカップ48内に開口している。
【0076】
供給及び排出ダクトは、排出をより容易にするモータシステム40を備えることができる。
【0077】
図4は、プローブ2を対向形状部3に近づけたとき、プローブ2と対向形状部3のコーム34、35との間に挿入される準備が整った毛束Mを概略的に示す。
【0078】
本発明によるデバイスを使用するために、プローブ2及び対向形状部3は、毛束をそれらの間に配置することができるように互いに離される。その後、プローブ2及び対向形状部3は、プローブ2の遠位外面22と対向形状部3の支承面31との間に束を挟み込むために互いに近づけられる。
【0079】
ハンドピース18は、好ましくは、円筒形を有するベースステーション19を有する。ベースステーション19は、電気エネルギー源、例えば1つ以上のアキュムレータ又はセルと、デバイスの電子部品を搭載するプリント回路基板とを収容する。これらの構成要素は、例えば、可能性のあるクレンジング組成物の噴霧に必要な圧力の発生、様々な電気要素の制御を確実にし、例えばクレンジング組成物を収容するカートリッジを交換する必要性を使用者に通知するために、噴霧される残りの製品の量の計算などの補助的な機能を実行することができる。
【0080】
使用者は、電源を投入し、毛束を、選択した時間、特に少なくとも1秒間、超音波振動に暴露させる。クレンジング組成物の噴霧は、トランスデューサ13が電源投入されると同時に開始され、また同時に停止し得るか、又は噴霧の開始及びトランスデューサの電源投入は、時間的にずれていてもよい。
【0081】
その後、使用者は、束がその全長又は所望の長さにわたって完全にクレンジングされるようにするために、束をレセプタクル30に対して移動させる。
【0082】
クレンジング組成物は、好ましくは、1種以上の界面活性剤を含む。好ましい界面活性剤は、非イオン性、アニオン性又は両性界面活性剤である。更により好ましくは、クレンジング組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含有する。アニオン性界面活性剤は、特に、アルキルスルフェート塩又はアルキルエーテルスルフェート塩であり得る。
【0083】
好ましくは、クレンジング組成物中の界面活性剤の濃度は、組成物の総質量に対して0.05質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%、更により好ましくは0.2質量%~5質量%である。
【0084】
クレンジング組成物は、特に、非シリコーンカチオン性又は両性ポリマー、非イオン性又はカチオン性シリコーンオイル又はガム、鉱油、植物由来の油、植物由来のワックス又はバターから選択される1種以上の毛髪コンディショニング剤も含み得る。
【0085】
クレンジング組成物は、増粘剤、真珠光沢剤又はつや消し剤、塩基性化剤又は酸性化剤、抗UV剤、保存剤、抗菌剤、脱毛防止剤、グリース制御剤、香料から選択される他の化合物も含み得る。
【0086】
本発明は、具体的に記載した例に限定されない。本発明は、特に、ハンドピース18の他の構造及びトランスデューサ13及びプローブ2の相対配置の他の態様を包含する。
図1
図2
図3
図4