(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】水道直結型加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20241217BHJP
F24F 6/12 20060101ALI20241217BHJP
B05B 17/06 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F24F6/00 A
F24F6/12 101
B05B17/06
(21)【出願番号】P 2024120707
(22)【出願日】2024-07-26
【審査請求日】2024-07-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.令和6年3月12日、東京ケアウィーク‘24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595130034
【氏名又は名称】株式会社山善
(74)【代理人】
【識別番号】100209129
【氏名又は名称】山城 正機
(72)【発明者】
【氏名】川邊 一馬
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2024-012893(JP,A)
【文献】特開2002-295871(JP,A)
【文献】特開平08-284221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 6/12
B05B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道に接続され水道水の供給を行う給水部と、
前記給水部を介して供給された水道水を貯留する貯水槽と、
前記貯水槽に貯留される水道水を霧化する霧発生部と、を具備し、
前記給水部は、前記貯水槽内に配設され当該貯水槽内の水位を調整する給水調整弁と、前記給水調整弁を前記貯水槽に着脱可能に保持する水槽取付具とを備え、
前記水槽取付具は、前記貯水槽の一部を切り欠くことで設けられた給水取付孔の縁部に係合可能な凹溝を備え
、
前記給水調整弁は水道水の給水管に接続される管部を有し、
前記水槽取付具は前記管部を挿通して螺合により保持する挿通孔を備える、
水道直結型加湿器。
【請求項2】
前記水槽取付具は、前記給水取付孔の縁部と略同一の形状の縁部を有する本体片と、前記本体片よりも大きく形成され当該本体片を前後から挟むように形成される二枚のプレートとによって形成され
る、
請求項1に記載の水道直結型加湿器。
【請求項3】
前記給水管に接続されるとともに前記管部に対し当該給水管を着脱可能に接続する給水管接続具を備え、
前記給水管接続具は、前記管部において前記水槽取付具が保持される位置よりも前記貯水槽の外側に接続される、
請求項2に記載の水道直結型加湿器。
【請求項4】
電源部及び制御部を備える土台部を前記貯水槽と別体としてさらに備え、
前記貯水槽は前記土台部と着脱可能に接続される、
請求項1~3のいずれかに記載の水道直結型加湿器。
【請求項5】
前記霧発生部は前記貯水槽の底部に配設される超音波振動子からなり、
前記給水調整弁は、前記貯水槽内に貯留される水道水の浮力を受けて上下動するフロート部と、内部に前記フロート部を収容するとともに下方に開口を備える略筒状のケーシングと、前記フロート部の上面に接し当該フロート部の上下動に応じて上下方向に駆動する駆動部材と、前記駆動部材の上下動に伴い上下動して流路の開放及び閉鎖を切り替える弁体と、からなる、
請求項1~3のいずれかに記載の水道直結型加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道直結型加湿器に関し、特に、水道からの給水管接続部を着脱容易とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者向け施設などにおいて、入居者の保護のため、各入居者が生活する居住空間内の空気の湿度を一定以上に保つことは重要である。空気の湿度は、加湿器から居住空間内に、微粒子状の水滴を散布することにより付加される。
【0003】
加湿器が発生する水滴の粒子径は、水滴を十分に飛散させるため、一定の大きさ以下であることが望ましい。加湿器は、設置が容易な貯水タンクを加湿器本体から取り外して水道から給水を行うタンク給水型の場合、貯水タンクへの給水作業が一日に複数回発生する。また、加湿器の清掃作業も、入居者の保護のため重要である。
【0004】
加湿器への給水方法は、上述したタンク給水型と、水道栓と直接接続され、貯水タンクを取り外すことなく給水が可能な水道直結型とがある。上記のような施設においては、施設内に設置される複数の加湿器に給水する必要があるため、給水にかかる手間を考慮すると、タンク給水型よりも水道直結型の加湿器が望ましい。
【0005】
一方で、水道直結型の加湿器の場合、給水はバッファタンクの水位に基づいて、自動で水道栓と接続された配管に設けられた弁を開閉動作させることにより行われる。しかし、貯水タンクの水面が波打つことがあり、貯水タンクの水位が十分な場合でも、波打つ水面の変動に基づいて弁を頻繁に開閉動作させてしまうことがあり、正確な開閉動作が損なわれるという課題があった。このような水面の変動は、特に、貯水タンクと霧化器が一体となる形式のもので、かつ、霧化器として超音波振動子を備え超音波により霧化を行う形式のもので顕著である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実願昭61-093117号(実開昭63-001669号)のマイクロフィルム
【文献】特開2021-162260号公報
【文献】特開2002-295871号公報
【0007】
特許文献1には、霧化槽を有しかつ電源部と電動ファンを収容した霧化装置本体の上面全体を覆うように水タンクを設置し、霧化槽で霧化された霧を吐出する吐出管を、水タンクに上下に貫通して設け、吐出管の吐出口を水タンクの上面に位置させた超音波霧化装置が開示されている。
【0008】
特許文献2には、部屋のエアコンの送風部分に気化部分を配置し、給水管から自動給水動作を行う気化式加湿器において、給水部が給水口と定水位ボールタップと水位調整弁とワンタッチジョイントからなり、メンテナンスを行う際に、ワンタッチジョイントから給水管を取り外すだけで、移動が可能となる気化式加湿器が開示されている。
【0009】
特許文献3には、建築物等配水管の給水栓金具を取り付けた分岐部材に加湿装置に給水するための配水分岐管を接続して、給水管の先端に給水遮断弁を設けて配水管から加湿装置に直接給水することが開示されている。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の超音波霧化装置は、タンク給水型によるものなので、人手による給水作業が発生するため、高齢者向けの施設等における作業者の負担を軽減するものとはなっていない。また、特許文献2に記載の気化式加湿器は、エアコンの送風により蒸発体から水を気化させるものであり、エアコンの使用が前提となる。また、特許文献3に記載の加湿装置は、貯水部の水位を水位検知部の水位センサによって電気的に検知するものであるところ、水位検知部を加湿装置から分解して取り外せる構造となっていないため、清掃時に、水位センサに水が掛かるおそれがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、人手による給水作業が不要で、かつ分解しての清掃が容易な給水管接続部を備えた水道直結型加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の特徴に係る水道直結型加湿器は、水道に接続され水道水の供給を行う給水部と、給水部を介して供給された水道水を貯留する貯水槽と、貯水槽に貯留される水道水を霧化する霧発生部と、を具備し、給水部は、貯水槽内に配設され当該貯水槽内の水位を調整する給水調整弁と、給水調整弁を貯水槽に着脱可能に保持する水槽取付具とを備え、水槽取付具は、貯水槽の一部を切り欠くことで設けられた給水取付孔の縁部に係合可能な凹溝を備える。
【0013】
第1の特徴に係る発明によれば、貯水槽の一部を切り欠くことで設けられた給水取付孔の縁部に、水槽取付具の凹溝を係合させることで、水槽取付具を貯水槽に取り付けることができるため、水槽取付具に保持される給水調整弁の貯水槽への取付が容易となる。
【0014】
第2の特徴に係る水道直結型加湿器は、第1の特徴に係る水道直結型加湿器であって、給水調整弁は水道水の給水管に接続される管部を有し、水槽取付具は、給水取付孔の縁部と略同一の形状の縁部を有する本体片と、本体片よりも大きく形成され本体片を前後から挟むように形成される二枚のプレートとによって形成され、水槽取付具は管部を挿通して保持する挿通孔を備える。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、水槽取付具が、給水取付孔の縁部と略一致する形状の縁部を有する本体片と、本体片よりも大きく形成され本体片を前後から挟むように形成される二枚のプレートとからなるため、二枚のプレートと本体片によって給水取付孔の縁部の形状に略一致する凹溝が形成され、水槽取付具の凹溝を給水取付孔に嵌め込むことで給水取付孔を覆いつつ容易に貯水槽に取り付けることができる。その際、水槽取付具が給水取付孔を覆うため、給水取付孔からの水漏れを抑制することができる。また、水槽取付具には給水調整弁が備える管部を挿通する挿通孔を備えるため、給水調整弁の管部を水槽取付具の挿通孔に挿通させるだけで容易に給水調整弁を水槽取付具に装着することができる。ここで、水槽取付具に穿設された挿通孔で給水調整弁の管部を挿通して保持するため、給水調整弁を保持した状態で水槽取付具を給水取付孔に取り付けることで、給水調整弁を貯水槽に固定することができる。そのため、給水調整弁の位置が貯水槽の中で変位することを抑制することができ、その結果、所望の水位を正確に保持することができる。
【0016】
第3の特徴に係る水道直結型加湿器は、第2の特徴に係る水道直結型加湿器であって、給水管に接続されるとともに管部に対し当該給水管を着脱可能に接続する給水管接続具を備え、給水管接続具は、管部において水槽取付具が保持される位置よりも貯水槽の外側に接続される。
【0017】
第3の特徴に係る発明によれば、水槽取付具が装着された状態で給水管接続具で給水管を着脱することができる、つまり、水槽取付具と給水管接続具とを別々に給水調整弁の管部に着脱することができるため、清掃やメンテナンスのための取り外しや取り付けの際の制約がなく容易となる。
【0018】
第4の特徴に係る水道直結型加湿器は、第1から第3のいずれかの特徴に係る水道直結型加湿器であって、電源部及び制御部を備える土台部を貯水槽と別体としてさらに備え、貯水槽は土台部と着脱可能に接続される。
【0019】
第4の特徴に係る発明によれば、水に濡れると好ましくない電源部や制御部を備える土台部と貯水槽とを別体として形成し、しかも互いに着脱することができるため、貯水槽を土台部から取り外して清掃やメンテナンスを行うことが容易となる。
【0020】
第5の特徴に係る水道直結型加湿器は、第1から第3のいずれかの特徴に係る水道直結型加湿器であって、霧発生部は貯水槽の底部に配設される超音波振動子からなり、給水調整弁は、貯水槽内に貯留される水道水の浮力を受けて上下動するフロート部と、内部にフロート部を収容するとともに下方に開口を備える略筒状のケーシングと、フロート部の上面に接しフロート部の上下動に応じて上下方向に駆動する駆動部材と、駆動部材の上下動に伴い上下動して流路の開放及び閉鎖を切り替える弁体と、からなる。
【0021】
第5の特徴に係る発明によれば、霧発生部は貯水槽の底部に配設される超音波振動子からなり、超音波振動子による振動によって貯水槽内に貯留された水道水を効率よく霧化することができる。また、給水調整弁は内部にフロート部を収容するとともに下方に開口を備える略筒状のケーシングを具備するため、超音波振動に伴う水面の激しい波立ちをフロート部に直接伝えることなくケーシングで緩衝することができ、フロート部の動きを適切にすることができる。その結果、水道からの自動給水を、頻繁な供給開始及び停止の繰り返しを抑制して適切な頻度で行うことができる。
【0022】
本発明によれば、人手による給水作業が不要で、かつ分解しての清掃が容易な給水管接続部を備えた水道直結型加湿器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る水道直結型加湿器の全体構造を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る水道直結型加湿器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る給水調整弁の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る水槽取付具の詳細構造を示す模式図である。
図4(a)は斜視図を、
図4(b)は正面図を、
図4(c)は背面図を、
図4(d)は平面図を、
図4(e)は側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[水道直結型加湿器1の全体構成]
以下、本実施形態に係る水道直結型加湿器1の実施例について説明する。なお、本実施の形態はあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。本実施形態に係る水道直結型加湿器1は、土台部100、本体部200及び給水部300を備える。土台部100と本体部200とは上下方向の層構造をなすように構成される。本体部200は、土台部100の上に着脱可能に設置される。水道直結型加湿器1を使用するときには、本体部200と土台部100とを一体にして使用される。給水部300は本体部200に対して着脱可能に設置される。
【0025】
<土台部100>
土台部100は、水道直結型加湿器1の土台になるとともに内部空間に各機器を備えるものであり、送風ファンなどの各機器を収容する筐体部110、後述する霧化ユニットで発生させたミストを輸送する風を発生させる送風発生部120、各機器に対する信号を送受信する図示しない制御部、各機器に電流を供給する図示しない電源部、設置面に対して支持する脚部130、及び、装置自体を運転するための各種ボタンを有する操作部140を備える。
【0026】
筐体部110は、外観において箱形状を有し、内部空間には、送風発生部120、電源部及び制御部を備える。また、筐体部110は、前面に操作部140を、下部に脚部130を備える。筐体部110は樹脂材料できており、射出成型により形成される。
【0027】
送風発生部120は、霧化ユニットで水を霧化することで生成されたミストを運搬するための風を発生させるものであり、通気孔部、フィルター、通気管、ファン及びダクトを含む。ファンは、空気を取り込み、加圧して風を発生させる。ファンは、ケーシング内において、回転モータによりプロペラを回転させることで、ケーシングの吸込口から空気を取り込み、排気口から風を排出する。ダクトは、ファンからの風を通風管に導く。ダクトは、一方の口がファンの排気口に接続しており、他方の口が通風管に接続する。
【0028】
制御部は、水道直結型加湿器1の動作制御を行う。制御部は、入力部、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及び出力部を有する。入力部、記憶装置及び出力部は、それぞれCPUと電気的に接続される。入力部は、制御部への入力を受け付け、CPUに伝達する。
【0029】
電源部は、商用電源から供給される電力を水道直結型加湿器1の各部に供給する。電源部は、商用電源からの交流電流を、直流電流に変換して所定の電圧値に調整するとともに、所定の電流を水道直結型加湿器1の各部に供給する。電源部は、筐体部110の上面から突出するよう給電部QDを備える。給電部QDは本体部200の下面から突出するよう設けられる受電部JDと着脱可能に接続されるコネクタとして形成され、本体部200への電力供給は給電部QDを介して行われる。給電部QDと受電部JDとは、本体部200が土台部100の上面に位置決めして設置されることにより接続される。
【0030】
脚部130は、水道直結型加湿器1を設置する設置面に対して土台部100の底面との間に空間を有して設置させる。脚部130は4本の脚で構成され、それぞれの脚は土台部100の底面から突出して備えられる。脚部130は木材により形成される。
【0031】
操作部140は、図示しない電源ボタン、加湿量設定ボタン、タイマー設定ボタン及びロック設定ボタンを含む。電源ボタンは、押下操作により水道直結型加湿器1の電源の切り替えの入力を受け付ける。加湿量設定ボタンは、押下操作により、水道直結型加湿器1の加湿量設定の切り替えの入力を受け付ける。タイマー設定ボタンは、押下により水道直結型加湿器1の電源を自動切するまでのタイマー設定の入力を受け付ける。ロック設定ボタンは、押下により、他のボタンの入力部からの入力をロックする設定の入力を受け付ける。
【0032】
<本体部200>
本体部200は、土台部100とは別体として、土台部100の上に着脱可能に設置される。本体部200は、土台部100から取り外すことで、例えば清掃等のメンテナンスを行うことができる。本体部200は、貯水槽210、霧化装置部220、上蓋部230、及び、吹出部240を有する。
【0033】
貯水槽210は、水道からの供給水を一時的に貯える。貯水槽210は、上面視において長方形状の容器である。貯水槽210は底面に底板211を備えるとともに、四側面に所定の高さの側壁板212を備える。貯水槽210は、側壁板212に給水取付孔213、排水接続口214及び風流通管215を備える。貯水槽210は透過性を有する樹脂材料で形成され、土台部100を構成する筐体部110に対し上方から着脱可能となるよう形成される。
【0034】
給水取付孔213は、給水部300を着脱可能に取り付けるための孔であり、背面側の側壁板212の上端から下方に向けて略U字形状に切り欠くことによって形成される。給水取付孔213の中心は底面から所定の高さに設けられる。給水取付孔213の下端の位置は、貯水槽210の満水高さ、つまり、排水接続口214の中心よりも高く設定される。
【0035】
排水接続口214は、貯水槽210の満水高さを超えた分の水を外部に排水するために側壁板212を貫通して設けられる孔であり、排水接続口214の下端が満水高さの位置となる。排水接続口214は、図示しない排水管部と接続される。
【0036】
風流通管215は、送風発生部120からの風を流通させて、貯水槽210内の空間に導く。風流通管215は、下側が背面側の側壁板212の外部に、送風発生部120から連通されて備えられるとともに、貯水槽210の満水位より上の高さで側壁板212を貫通し、上端に設けられた開口が貯水槽210内部に位置する。
【0037】
霧化装置部220は、貯留水を霧化させるとともに、吹出部240まで導くものであり、貯留水を霧化させるためのデバイスである図示しない霧発生部、霧発生部を覆うよう配設されるカバー体221、及び、発生したミストを吹出部240まで流通させる霧流通管222を含む。本実施形態における霧発生部は、本体部200の貯水槽210の底板211に配設される超音波振動子によって形成される。
【0038】
カバー体221は、上端が開口した円錐台形状を呈し、超音波振動子を覆うよう貯水槽210の底板211に配設される。カバー体221の略円錐台形状の側面には、複数のスリット孔221aが周方向に沿って並設される。
【0039】
霧流通管222は、霧発生部で生成されたミストを吹出部240まで流通させるために、カバー体221から上方に向けて延伸する略筒状の部材であり、カバー体221上端の開口に取り付けられる。霧流通管222は、貯水槽210の満水位置より高い位置に風取込孔222aを備える。
【0040】
上蓋部230は、貯水槽210の上面の全体を覆うことにより貯水槽210を密閉する。上蓋部230は樹脂材料でできており、射出成型により形成される。上蓋部230は貯水槽210の水の蒸発を防ぐとともに、貯水槽210内への異物の侵入を防止する。上蓋部230は、貯水槽210を覆う蓋面部231、及び、吹出部240を取り付けるための吹出取付孔部232を含む。蓋面部231は、所定の厚さの板形状であり、貯水槽210の全面を覆う。吹出取付孔部232は蓋面部231を上下方向に貫通する略円形の孔として形成される。
【0041】
吹出部240は、霧吹出方向の方向付けをする。吹出部240は、筒状の霧流通管222の上端に取り付けられるともに、上蓋部230の吹出取付孔部232を貫通して取り付けられる。
【0042】
<給水部300>
給水部300は、貯水槽210内の水位に基づいて、図示しない水道管からの水道水を貯水槽210に自動で供給するものである。給水部300は、給水管310、給水管接続具320、注水管330、給水調整弁340、及び、水槽取付具350を備える。給水部300を構成する部材は、主に樹脂材料により形成される。
【0043】
給水管310は、水道からの水道水を貯水槽210内に導く。給水管310は、給水口及び吐水口を備える。給水口は、給水管310の軸線方向における一端に備えられ、吐水口は、給水管310の軸線方向における他端に備えられる。給水管310は、給水口側の配管は直線状に形成され、吐水口側の配管は水槽内に吐水するためL字状に屈曲している。給水口は、L字に屈曲した給水管310の下端に備えられる。給水口は、水道からの配管と接続するためのネジ山が形成される。吐水口は、貯水槽210の満水位の高さより高い位置に備えられる。
【0044】
給水管接続具320は、給水管310と給水調整弁340を接続するための締結具であり、一端側の端部には給水管310が固定され、他端側の端部には給水調整弁340の管部341の一端部が接続される。給水調整弁340の管部341が接続される側には略円筒形状の短管が形成されており、短管の内面には管部341を接続するための雌ネジが形成されている。短管から径方向に突出されるツマミ部を把持して短管を回動させ管部341との螺合状態を変化させることにより、工具を使用せずとも給水管310の給水調整弁340への着脱が可能となる。なお、給水管接続具320と給水調整弁340の管部341との接続は、螺合によるものでなくても構わない。
【0045】
注水管330は給水調整弁340から供給された水道水を貯水槽210に注水するための配管である。注水管330の貯水槽210側の端部は下方に屈曲した形状をなす。また、給水調整弁340側の端部は、給水調整弁340の管部341の端部と接続することができるよう、略水平の円筒形状に形成される。
【0046】
図3を用いて給水調整弁340の構造について説明する。
【0047】
給水調整弁340は、貯水槽210の水位に応じて閉塞状態と開放状態を切り替えることにより供給水の流通を制御する。給水調整弁340は、略水平方向に延伸する管部341、管部341の途中に設けられた開口部に下方から接続され下方に図示しない開口を備える略円筒形状のケーシング342、ケーシング342の内部に配設されるフロート部343、フロート部343の上面に当接しフロート部343の上下動に応じて上下方向に駆動するレバー部344、フレーム部材345、スプリング346、レバー部344の上下動に伴い上下動して流路の開放及び閉鎖を切り替える弁体347、及び、ダイヤフラム348を備える。給水調整弁340はいわゆるリフト弁として形成される。
【0048】
管部341は、略水平に延伸する管状部材であり、両端には雄ネジが形成されている。給水管310側の端部に形成される雄ネジには、給水管接続具320の雌ネジが螺合される。また、図示は省略するが、管部341の中間部は鉛直方向の二重管構造を呈しており、外管には給水管310側が、内管には注水管330側が接続される。
【0049】
ケーシング342は、中空の円筒形状に形成され、内部にフロート部343を上下動可能に保持する。ケーシング342は、上端部の内面にネジ山を有するとともに、底面の中央に固定孔を備える。ケーシング342は、フレーム部材345の外周にネジで係止するとともに、底面の固定孔にネジが挿通されて後述するフレーム部材345の案内棒に固定される。
【0050】
フロート部343は、浮力を生じて水面に浮く。フロート部343は略円柱形状を呈し、円柱形状の軸線における中心に貫通孔を有する。フロート部343の貫通孔には後述するフレーム部材345の案内棒が挿通する。ここで、フロート部343の貫通孔の内径と、案内棒の外径とはほぼ同じ寸法であり、摺動し得る程度の隙間を有する。
【0051】
レバー部344は、浮上したフロート部343の位置を精度よく弁部に伝える。レバー部344は、アーム、基部、シャフト及び作用部を備える。基部は、フレーム部材345の下面の端部に備えられる。アームは、基部に取り付けられる。ここで、基部とアームの取付部はともに孔が形成されており、シャフトが基部及びアームの孔を挿通することで取り付けられる。アームは、基部を中心として揺動可能に構成される。アームは、フレーム部材345の端部からフレーム部材345の中央を挟んだ端部までの長さを有する。アームの長手方向における中央から先端側は二股となっている。作用部は、アームの長手方向における中央より基部側に、アームの上面から突出して備えられる。作用部には、パッキンが被せられている。なお、レバー部344が、本発明における駆動部材として機能する。
【0052】
フレーム部材345は、給水調整弁340の骨格をなす。フレーム部材345は、上面視が円板形状であり、上面はスプリング346を載置するための載置面を構成する。また、フレーム部材345は、上面の載置面との外周にシール押さえ部を備える。フレーム部材345は、下面の中央に下面から突出する案内棒を備える。案内棒は、ケーシング342の底面まで延びる。案内棒は、先端にネジ穴を備える。シール押さえ部は、円板形状と同心であって円筒形状の直径より小さい円筒形状であり、フレーム部材345の上面から突出して備えられる。フレーム部材345の外周面には、管部341と接続するためのネジ山が形成されている。フレーム部材345は、外縁とシール押さえ部との間に複数の固定孔を有している。フレーム部材345は、固定孔にネジを挿通して管部341に対して固定されることにより、弁体347がスプリング346により給水管310に対して付勢されるとともに、ダイヤフラム348によりシール押さえ部と管部341との間が密閉される。
【0053】
スプリング346は、弁体347を弁座に対して押し付け方向に付勢する。スプリング346は、スパイラル形状に形成された弾性体である。スプリング346は、弁体347とフレーム部材345との間に配設される。スプリング346は、ステンレス材料により形成される。
【0054】
弁体347は、円盤形状を有し、上面側の円盤形状における中央に突起部を備える。弁体347の外周部にはダイヤフラム348が装着される。
【0055】
ダイヤフラム348は、弁部のシールを行う。ダイヤフラム348は、平面視において円形状であり、シール押さえ部の外径寸法とほぼ同じ外径寸法を有する。ダイヤフラム348は、平面視における中心に弁体347の突起部と係止するための中心孔を有するとともに、外縁にはシール押さえ部と係止するための外周溝を備える。ダイヤフラム348は、中心孔と外周溝の部分はシールのため所定の厚さを有するとともに、それ以外は薄膜により構成される。ダイヤフラム348は、ゴム材料により形成される。
【0056】
給水調整弁340の上記のような構造により、貯水槽210内に十分な量の水道水が存在する場合には、浮力が印加したフロート部343はケーシング342内の上方に位置し、レバー部344を上方に押し上げることで、弁体347が管部341の鉛直方向の二重管流路を閉塞する。一方、貯水槽210内の水位が下がるとフロート部343がケーシング342内を下方に移動することで、フロート部343に押し上げられていたレバー部344が下がる。そのため、スプリング346の付勢により弁体347が下がり二重管流路を開放して、給水管310から水道水が供給される。給水管310からの給水に伴い、貯水槽210に十分な量の水がたまると、再び浮力を受けたフロート部343が上方に上がり、レバー部344を介して弁体347を上方に押し上げ、二重管流路を閉塞する。
【0057】
次に、
図4を用いて水槽取付具350について説明する。
図4は、本実施形態に係る水槽取付具350の詳細構造を示す模式図である。
図4(a)は斜視図を、
図4(b)は正面図を、
図4(c)は背面図を、
図4(d)は平面図を、
図4(e)は側面図を示す。
【0058】
水槽取付具350は、給水調整弁340を貯水槽210に対して着脱可能に接続するための部材であり、立面視で略U字形状に形成されたプレート351と、給水調整弁340の管部341が挿通する挿通孔352と、U字状縁部に形成される、貯水槽210の給水取付孔213に嵌合させるための凹溝353とを備える。
【0059】
略U字形状のプレート351は、略同一形状のU字状縁部を有する内側プレート351Aと外側プレート351Bとを、貯水槽210の厚みの分だけ間隔を隔てて接続するための本体片351Cを介して接続することで形成される。本体片351Cは、給水取付孔213の縁部と略同一の形状の縁部を有し、内側プレート351Aや外側プレート351Bよりも小さく形成される。また、内側プレート351Aの略水平の上端辺は、外側プレート351Bの上端辺よりも高い位置に形成される。つまり、内側プレート351Aと外側プレート351Bとは、U字状縁部は略同一形状であるが、高さだけは内側プレート351Aの方が若干高く形成される。
【0060】
給水調整弁340の管部341が挿通して保持される挿通孔352は、内側プレート351A、外側プレート351B及び本体片351Cを貫通して設けられる。挿通孔352の内周面には管部341に形成された雄ネジに螺合可能な雌ネジが形成される。ネジによる螺合などの手段により管部341を挿通孔352で保持することで、給水調整弁340を水槽取付具350に接続することができる。
【0061】
このように形成された水槽取付具350において、U字状縁部に沿って形成される凹溝353は、内側プレート351Aと外側プレート351Bとが貯水槽210の厚みの分だけ間隔を隔てて本体片351Cを介して接続されることによって形成される。
【0062】
なお、本体片351Cは内側プレート351Aないし外側プレート351Bと別体である必要はなく、いずれかのプレートと一体に形成されていてもよい。
【0063】
本実施形態に係る水道直結型加湿器1によると、給水調整弁340に水槽取付具350を取り付けた状態で、水槽取付具350のU字状縁部に形成される凹溝353を貯水槽210の給水取付孔213の縁部に係合させる。このとき、給水取付孔213の縁部と凹溝353つまり本体片351Cは略同一の形状を呈するため、給水取付孔213の周囲に隙間を作ることなく、水槽取付具350によって給水取付孔213を覆うことができる。
【0064】
その状態で、給水調整弁340の管部341における貯水槽210の外側端部に形成される雄ネジに、給水管310に固定されている給水管接続具320の短管内周の雌ネジを螺合させる。それにより、工具を使用することなく、給水調整弁340に給水管310を接続することができる。
【0065】
そして、上蓋部230を貯水槽210に取り付けることにより、給水取付孔213の周囲は水槽取付具350と上蓋部230によって密に閉鎖され、給水取付孔213から水が漏出することが防止できる。
【0066】
なお、上記においては、水槽取付具350の凹溝353を給水取付孔213に係合させてから給水管接続具320を管部341に螺合させたが、先に給水管接続具320を管部341に螺合させておき、その状態で水槽取付具350の凹溝353を給水取付孔213に係合させるようにしても構わない。
【0067】
本実施形態に係る水道直結型加湿器は、水道に接続され水道水の供給を行う給水部300と、給水部300を介して供給された水道水を貯留する貯水槽210と、貯水槽210に貯留される水道水を霧化する霧発生部と、を具備し、給水部300は、貯水槽210内に配設され貯水槽210内の水位を調整する給水調整弁340と、給水調整弁340を貯水槽210に着脱可能に保持する水槽取付具350とを備え、水槽取付具350は、貯水槽210の一部を切り欠くことで設けられた給水取付孔213の縁部に係合可能な凹溝353を備える。
【0068】
本実施形態に係る発明によれば、貯水槽210の一部を切り欠くことで設けられた給水取付孔213の縁部に、水槽取付具350の凹溝を係合させることで、水槽取付具350を貯水槽210に取り付けることができるため、水槽取付具350に保持される給水調整弁340の貯水槽210への取付が容易となる。
【0069】
また、本実施形態に係る水道直結型加湿器は、給水調整弁350は水道水の給水管310に接続される管部341を有し、水槽取付具350は、給水取付孔213の縁部と略同一の形状の縁部を有する本体片351Cと、本体片351Cよりも大きく形成され本体片351Cを前後から挟むように形成される二枚のプレート351A、351Bとによって形成され、水槽取付具350は管部341を挿通して保持する挿通孔352を備える。
【0070】
これによれば、水槽取付具350が、給水取付孔213の縁部と略一致する形状の縁部を有する本体片351Cと、本体片351Cよりも大きく形成され本体片351Cを前後から挟むように形成される二枚のプレート351A、351Bとからなるため、二枚のプレート351A、351Bと本体片351Cによって給水取付孔213の縁部の形状に略一致する凹溝353が形成され、水槽取付具350の凹溝353を給水取付孔213に嵌め込むことで給水取付孔213を覆いつつ容易に貯水槽210に取り付けることができる。その際、水槽取付具350が給水取付孔213を覆うため、給水取付孔213からの水漏れを抑制することができる。また、水槽取付具350には給水調整弁340が備える管部241を挿通する挿通孔352を備えるため、給水調整弁340の管部341を水槽取付具350の挿通孔352に挿通させるだけで容易に給水調整弁340を水槽取付具350に装着することができる。ここで、水槽取付具350に穿設された挿通孔352で給水調整弁340の管部341を挿通して保持するため、給水調整弁340を保持した状態で水槽取付具350を給水取付孔213に取り付けることで、給水調整弁340を貯水槽210に固定することができる。そのため、給水調整弁340の位置が貯水槽210の中で変位することを抑制することができ、その結果、所望の水位を正確に保持することができる。
【0071】
このとき、給水管310に接続されるとともに管部341に対し給水管310を着脱可能に接続する給水管接続具320を備え、給水管接続具320は、管部341において水槽取付具350が保持される位置よりも貯水槽210の外側に接続される。
【0072】
これによれば、水槽取付具350が装着された状態で給水管接続具320で給水管310を着脱することができる、つまり、水槽取付具350と給水管接続具320とを別々に給水調整弁340の管部341に着脱することができるため、清掃やメンテナンスのための取り外しや取り付けの際の制約がなく容易となる。
【0073】
また、本実施形態に係る水道直結型加湿器は、電源部及び制御部を備える土台部100を貯水槽210と別体としてさらに備え、貯水槽210は土台部100と着脱可能に接続される。
【0074】
これによれば、水に濡れると好ましくない電源部や制御部を備える土台部100と貯水槽210とを別体として形成し、しかも互いに着脱することができるため、貯水槽210を土台部100から取り外して清掃やメンテナンスを行うことが容易となる。
【0075】
また、本実施形態に係る水道直結型加湿器は、霧発生部は貯水槽の底部に配設される超音波振動子からなり、給水調整弁340は、貯水槽210内に貯留される水道水の浮力を受けて上下動するフロート部343と、内部にフロート部343を収容するとともに下方に開口を備える略筒状のケーシング342と、フロート部343の上面に接しフロート部343の上下動に応じて上下方向に駆動する駆動部材344と、駆動部材344の上下動に伴い上下動して流路の開放及び閉鎖を切り替える弁体347と、からなる。
【0076】
これによれば、霧発生部は貯水槽の底部に配設される超音波振動子からなり、超音波振動子による振動によって貯水槽210内に貯留された水道水を効率よく霧化することができる。また、給水調整弁340は内部にフロート部343を収容するとともに下方に開口を備える略筒状のケーシング342を具備するため、超音波振動に伴う水面の激しい波立ちをフロート部343に直接伝えることなくケーシング342で緩衝することができ、フロート部343の動きを適切にすることができる。その結果、水道からの自動給水を、頻繁な供給開始及び停止の繰り返しを抑制して適切な頻度で行うことができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0078】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明の水道直結型加湿器は、病院や介護施設などの施設用の加湿器として、また、家庭用の加湿器として有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 水道直結型加湿器
100 土台部
110 筐体部
120 送風発生部
130 脚部
140 操作部
200 本体部
210 貯水槽
211 底板
212 側壁板
213 給水取付孔
214 排水接続口
215 風流通管
220 霧化装置部
221 カバー体
221a スリット孔
222 霧流通管
222a 風取込孔
230 上蓋部
231 蓋面部
232 吹出取付孔部
240 吹出部
300 給水部
310 給水管
320 給水管接続具
330 注水管
340 給水調整弁
341 管部
342 ケーシング
343 フロート部
344 レバー部(駆動部材)
345 フレーム部材
346 スプリング
347 弁体
348 ダイヤフラム
350 水槽取付具
351 プレート
351A 内側プレート
351B 外側プレート
351C 本体片
352 挿通孔
353 凹溝
JD 受電部
QD 給電部
【要約】
【課題】人手による給水作業が不要で、かつ分解しての清掃が容易な給水管接続部を備えた水道直結型加湿器を提供する。
【解決手段】本発明の水道直結型加湿器1は、水道に接続され水道水の供給を行う給水部300と、給水部300を介して供給された水道水を貯留する貯水槽210と、貯水槽210に貯留される水道水を霧化する霧発生部と、を具備し、給水部300は、貯水槽210内に配設され当該貯水槽210内の水位を調整する給水調整弁340と、給水調整弁340を貯水槽210に着脱可能に保持する水槽取付具350とを備え、水槽取付具350は、貯水槽210の一部を切り欠くことで設けられた給水取付孔213の縁部に係合可能な凹溝353を備える。
【選択図】
図2