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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20241217BHJP
   A61B 17/3207 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61M25/10 512
A61B17/3207
A61M25/10 510
A61M25/10 550
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024533608
(86)(22)【出願日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2023023053
(87)【国際公開番号】W WO2024014249
(87)【国際公開日】2024-01-18
【審査請求日】2024-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2022111430
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】393015324
【氏名又は名称】株式会社グッドマン
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】吉永 静也
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-526312(JP,A)
【文献】特開2022-53075(JP,A)
【文献】特開2018-171318(JP,A)
【文献】特表2007-512873(JP,A)
【文献】特開2010-82266(JP,A)
【文献】特表2008-529658(JP,A)
【文献】国際公開第2012/029109(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張及び収縮可能なバルーンと、
前記バルーンの外表面に突出して設けられ、前記外表面に沿って線状に延びる突出部と、を備えるバルーンカテーテルであって、
前記突出部は、前記突出部の長手方向に延びているとともに、前記外表面から起立し互いに対向する一対の起立部を有しており、
前記各起立部が互いに接続されることにより前記突出部が構成されており、
前記各起立部は、前記外表面に対して傾倒可能に設けられている、バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記突出部は、前記バルーンの軸線方向に延びており、
前記バルーンは、
その収縮状態において形成され、前記バルーンの周方向に沿って折り畳まれる羽根部と、
前記羽根部の内周側において前記羽根部と対向する羽根対向部と、を有しており、
前記バルーンが前記収縮状態になった場合に、前記各起立部が、前記羽根部と前記羽根対向部との間に挟まれて前記傾倒した状態とされる、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記各起立部のうち一方が前記羽根部に固定され、他方が前記羽根対向部に固定されている、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記突出部は、前記バルーンの軸線方向に延びており、
前記バルーンは、その収縮状態において形成され、前記バルーンの周方向の一方側に凸となるように折り畳まれた羽根部を有しており、
前記羽根部は、前記折り畳まれることにより前記バルーンの径方向に重なる一対の重なり部を有しており、
前記各起立部のうち一方の起立部は、前記一対の重なり部のうち一方の重なり部に固定され、
他方の起立部は、前記一対の重なり部のうち他方の重なり部に固定され、
前記バルーンが前記収縮状態とされた場合、前記各起立部が前記一対の重なり部を挟んで対向することで前記傾倒した状態とされる、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記各起立部は、前記外表面から離れるにつれ互いに近づくように起立しているとともに、前記離れる側の端部同士が互いに接続されることにより前記突出部の頂部を形成しており、
前記各起立部は、前記頂部に沿って折り畳み可能とされている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記突出部は、前記バルーンの軸線方向に延びており、
前記バルーンは、
その収縮状態において形成され、前記バルーンの周方向に沿って折り畳まれる羽根部と、
前記羽根部の内周側において前記羽根部と対向する羽根対向部と、を有しており、
前記各起立部のうち一方が前記羽根部に固定され、他方が前記羽根対向部に固定され、
前記バルーンが前記収縮状態になった場合に、前記各起立部が、前記羽根部と前記羽根対向部との間に挟まれることで、互いに折り畳まれた状態で前記傾倒した状態とされる、請求項5に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記各起立部を繋ぐことにより前記各起立部が互いに離間する側に開くのを抑制する繋ぎ部を備え、
前記繋ぎ部は、前記各起立部が折り畳まれるのに追従して変形可能となっている、請求項5又は6に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記各起立部の間において前記頂部と前記外表面とに跨がって設けられることで前記頂部を支持する支持部を備え、
前記支持部は、前記頂部及び前記外表面のうちいずれか一方にのみ固定されている、請求項5又は6に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記突出部は、前記各起立部を互いに接続するとともに、前記各起立部の起立する方向に延び前記外表面に接した状態で設けられる接続部を有しており、
前記接続部は、前記各起立部が互いに接近するのに追従して折り畳み変形可能となっている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記接続部は、前記外表面に対して非固定とされている、請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2022年7月11日に出願された日本出願番号2022-111430号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、PTA(経皮的血管形成術)やPTCA(経皮的冠動脈形成術)といった治療等においては、バルーンカテーテルが用いられている。バルーンカテーテルは、その遠位端側に膨張及び収縮可能なバルーンを備えている。バルーンカテーテルでは、血管内に生じた病変部等により狭窄又は閉塞された箇所にバルーンを収縮状態で導入し、その後、そのバルーンを膨張させることで当該箇所の拡張を行うものとなっている。
【0004】
バルーンカテーテルには、バルーンの外表面に軸線方向に延びる線状のエレメントが設けられたものがある。エレメントは、バルーンの外表面から突出した状態で設けられる。エレメント付きのバルーンカテーテルでは、バルーンを膨張させることによりエレメントを病変部に押し付けることで病変部の治療を行うようになっている。例えば特許文献1には、エレメント付きのバルーンカテーテルとして、エレメントを病変部に食い込ませることにより病変部に切り込みを入れることが可能なスコリアングバルーンカテーテルが開示されている。このバルーンカテーテルでは、病変部に入れた切り込みをきっかけとして、病変部を拡張させ易くすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5600745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したエレメント付きのバルーンカテーテルでは、バルーンの外表面にエレメントが設けられている分、バルーンの外径が大きくなってしまう。そのため、バルーンを体内に挿通する際の挿通性の低下が懸念される。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、バルーンの外表面に線状の突出部が設けられたバルーンカテーテルにおいて、挿通性の低下を抑制することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の開示のバルーンカテーテルは、膨張及び収縮可能なバルーンと、前記バルーンの外表面に突出して設けられ、前記外表面に沿って線状に延びる突出部と、を備えるバルーンカテーテルであって、前記突出部は、前記突出部の長手方向に延びているとともに、前記外表面から起立し互いに対向する一対の起立部を有しており、前記各起立部が互いに接続されることにより前記突出部が構成されており、前記各起立部は、前記外表面に対して傾倒可能に設けられている。
【0009】
第1の開示によれば、バルーンの外表面に線状の突出部が設けられている。突出部は、突出部の長手方向に延び、バルーンの外表面から起立する一対の起立部を有している。これら各起立部は互いに対向しており、それら各起立部が互いに接続されることにより突出部が構成されている。また、各起立部は、バルーンの外表面に対して傾倒可能に設けられている。この場合、各起立部を傾倒させることにより、突出部を全体として傾倒した状態とすることができる。そのため、バルーンの外表面に突出部が設けられた構成において、バルーンの外径が大きくなるのを抑制することできる。これにより、バルーンを体内に挿通する際の挿通性の低下を抑制することができる。
【0010】
第2の開示のバルーンカテーテルは、第1の開示において、前記突出部は、前記バルーンの軸線方向に延びており、前記バルーンは、その収縮状態において形成され、前記バルーンの周方向に沿って折り畳まれる羽根部と、前記羽根部の内周側において前記羽根部と対向する羽根対向部と、を有しており、前記バルーンが前記収縮状態になった場合に、前記各起立部が、前記羽根部と前記羽根対向部との間に挟まれて前記傾倒した状態とされる。
【0011】
第2の開示によれば、バルーンが収縮状態になると、各起立部が羽根部と羽根対向部との間に挟まれて傾倒状態とされる。この場合、バルーンの収縮状態において、バルーンの外径が大きくなるのを抑制することができる。そのため、バルーンを収縮状態で体内に挿通する際の挿通性の低下を抑制することができる。
【0012】
また、各起立部が羽根部と羽根対向部との間に挟まれるため、各起立部の傾倒状態を維持し易くすることができる。これにより、バルーンの収縮状態においてバルーンの外径が大きくなるのを好適に抑制することができ、その結果、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0013】
第3の開示のバルーンカテーテルは、第2の開示において、前記各起立部のうち一方が前記羽根部に固定され、他方が前記羽根対向部に固定されている。
【0014】
第3の開示によれば、各起立部のうち一方が羽根部に固定され、他方が羽根対向部に固定されている。この場合、各起立部が羽根部と羽根対向部との間に挟まれる際、一方の起立部が羽根部の外表面に対して傾倒され、他方の起立部が羽根対向部の外表面に対して傾倒されることで、各起立部を互いに重なるように配置することが可能となる。これにより、バルーンの収縮状態において、バルーンの外径が大きくなるのをより一層抑制することができ、その結果、挿通性の低下をより一層抑制することができる。
【0015】
第4の開示のバルーンカテーテルは、第1の開示において、前記突出部は、前記バルーンの軸線方向に延びており、前記バルーンは、その収縮状態において形成され、前記バルーンの周方向の一方側に凸となるように折り畳まれた羽根部を有しており、前記羽根部は、前記折り畳まれることにより前記バルーンの径方向に重なる一対の重なり部を有しており、前記各起立部のうち一方の起立部は、前記一対の重なり部のうち一方の重なり部に固定され、他方の起立部は、前記一対の重なり部のうち他方の重なり部に固定され、前記バルーンが前記収縮状態とされた場合、前記各起立部が前記一対の重なり部を挟んで対向することで前記傾倒した状態とされる。
【0016】
第4の開示によれば、バルーンの羽根部が、バルーンの径方向に重なる一対の重なり部を有している。また、突出部の各起立部のうち一方の起立部は一方の重なり部に固定され、他方の起立部は他方の重なり部に固定されている。そして、バルーンが収縮状態になった場合、各起立部が一対の重なり部を挟んで対向することで傾倒状態とされる。この場合、バルーンの収縮状態において、バルーンの外径が大きくなるのを抑制することができ、ひいては挿通性の低下を抑制することができる。
【0017】
第5の開示のバルーンカテーテルは、第1の開示において、前記各起立部は、前記外表面から離れるにつれ互いに近づくように起立しているとともに、前記離れる側の端部同士が互いに接続されることにより前記突出部の頂部を形成しており、前記各起立部は、前記頂部に沿って折り畳み可能とされている。
【0018】
第5の開示によれば、各起立部が、バルーンの外表面から離れるにつれ互いに近づくように起立している。また、各起立部は、バルーンの外表面から離れる側の端部同士が互いに接続されており、それにより、各起立部により突出部の頂部が形成されている。かかる構成によれば、バルーンを膨張させることにより体内の病変部を拡張する際に、突出部の頂部を用いて病変部に切り込みを入れることができる。そのため、病変部が硬くなっている場合にも、その切り込みをきっかけとして病変部を拡張させ易くすることができる。
【0019】
また、各起立部は、突出部の頂部に沿って折り畳み可能とされているため、各起立部を折り畳んだ状態で傾倒させることにより、バルーンの外径が大きくなるのを好適に抑制することができる。これにより、切り込み形成用の突出部を有する構成にあって、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0020】
第6の開示のバルーンカテーテルは、第5の開示において、前記突出部は、前記バルーンの軸線方向に延びており、前記バルーンは、その収縮状態において形成され、前記バルーンの周方向に沿って折り畳まれる羽根部と、前記羽根部の内周側において前記羽根部と対向する羽根対向部と、を有しており、前記各起立部のうち一方が前記羽根部に固定され、他方が前記羽根対向部に固定され、前記バルーンが前記収縮状態になった場合に、前記各起立部が、前記羽根部と前記羽根対向部との間に挟まれることで、互いに折り畳まれた状態で前記傾倒した状態とされる。
【0021】
第6の開示によれば、切り込み形成用の突出部を有する構成にあって、上記第2の開示及び第3の開示と同様の効果を得ることができる。
【0022】
第7の開示のバルーンカテーテルは、第5又は第6の開示において、前記各起立部を繋ぐことにより前記各起立部が互いに離間する側に開くのを抑制する繋ぎ部を備え、前記繋ぎ部は、前記各起立部が折り畳まれるのに追従して変形可能となっている。
【0023】
第7の開示によれば、各起立部を繋ぐ繋ぎ部が設けられ、その繋ぎ部により各起立部が互いに離間する側に開くことが抑制されている。この場合、突出部の頂部により病変部に切り込みを入れる際に、頂部が開くのを抑制することができる。そのため、頂部が開いて病変部に切り込みを入れづらくなるのを抑制することができる。
【0024】
また、繋ぎ部は、各起立部が折り畳まれるのに追従して変形可能となっているため、繋ぎ部により各起立部の折り畳みが妨げられるのを抑制することができる。そのため、繋ぎ部を有する構成にあっても、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0025】
第8の開示のバルーンカテーテルは、第5又は第6の開示において、前記各起立部の間において前記頂部と前記外表面とに跨がって設けられることで前記頂部を支持する支持部を備え、前記支持部は、前記頂部及び前記外表面のうちいずれか一方にのみ固定されている。
【0026】
第8の開示によれば、突出部の頂部とバルーンの外表面とに跨って支持部が設けられ、その支持部により頂部が支持されている。この場合、頂部により病変部に切り込みを入れる際に、病変部側から頂部に作用する荷重を支持部により受けることができる。そのため、頂部により切り込みを入れる際に、頂部に潰れが生じるのを好適に抑制することができる。これにより、病変部により安定した状態で切り込みを入れることができる。
【0027】
また、支持部は、突出部の頂部及びバルーンの外表面のうちいずれか一方にのみ固定されている。この場合、各起立部が折り畳まれる際に、その折り畳みが支持部により妨げられるのを抑制することができる。そのため、支持部を有する構成にあっても、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0028】
第9の開示のバルーンカテーテルは、第1乃至第6のいずれかの開示において、前記突出部は、前記各起立部を互いに接続するとともに、前記各起立部の起立する方向に延び前記外表面に接した状態で設けられる接続部を有しており、前記接続部は、前記各起立部が互いに接近するのに追従して折り畳み変形可能となっている。
【0029】
第9の開示によれば、突出部が各起立部を接続する接続部を有している。接続部は、各起立部の起立する方向に延び、バルーンの外表面に接した状態で設けられる。この場合、病変部側から突出部に作用する荷重を各起立部に加え、接続部により支持することができる。そのため、上記の荷重により突出部に潰れが生じるのを好適に抑制することができる。
【0030】
また、接続部は、各起立部が互いに接近するのに追従して折り畳み変形可能となっている。この場合、各起立部が折り畳まれる等して互いに接近する際に、その接近が接続部により妨げられるのを抑制することができる。これにより、各起立部が接続部により接続された構成にあっても、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0031】
第10の開示のバルーンカテーテルは、第9の開示において、前記接続部は、前記外表面に対して非固定とされている。
【0032】
第10の開示によれば、接続部がバルーンの外表面に対して非固定とされているため、接続部が各起立部の接近に追従して折り畳み変形し易くなっている。そのため、各起立部が互いに接近する際に、その接近が接続部により妨げられるのをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。
図1】第1の実施形態におけるバルーンカテーテルの構成を示す概略全体側面図。
図2】膨張状態におけるバルーン及びその周辺の構成を示す側面図であり、バルーン及び外側チューブを縦断面の状態で示している。
図3】(a)が膨張状態におけるバルーン及びその周辺の構成を示す側面図であり、(b)が(a)のA-A線断面図であり、(c)が(b)における突出部を拡大して示す断面図である。
図4】(a)が収縮状態におけるバルーン及びその周辺の構成を示す側面図であり、(b)が(a)のB-B線断面図である。
図5】第2の実施形態における突出部周辺を示す断面図であり、(a)が各起立部が起立した状態を示し、(b)が各起立部が折り畳まれた状態を示している。
図6】第3の実施形態における突出部周辺を示す断面図であり、(a)が各起立部が起立した状態を示し、(b)が各起立部が折り畳まれた状態を示している。
図7】第4の実施形態における突出部の接続部周辺を示す斜視図であり、(a)が各起立部が起立した状態を示し、(b)が各起立部が折り畳まれた状態を示している。
図8】突出部の別形態を示す図。
図9】突出部の別形態を示す図。
図10】突出部の別形態を示す図。
図11】突出部の別形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
[第1の実施形態]
以下、バルーンカテーテルの一実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、図1を参照しながらバルーンカテーテル10の概略構成を説明する。図1はバルーンカテーテル10の構成を示す概略全体側面図である。
【0035】
図1に示すように、バルーンカテーテル10は、カテーテル本体11と、カテーテル本体11の近位端部(基端部)に取り付けられたハブ12と、カテーテル本体11の遠位端側(先端側)に取り付けられたバルーン13とを備えている。
【0036】
カテーテル本体11は、外側チューブ15と、外側チューブ15の内部に挿通された内側チューブ16とを備える。外側チューブ15は、樹脂材料により管状に形成され、その内部に軸線方向全域に亘って延びる内腔15a(図2参照)を有している。外側チューブ15の近位端部はハブ12に接合され、外側チューブ15の遠位端部はバルーン13に接合されている。また、外側チューブ15の内腔15aは、ハブ12の内部に通じているとともにバルーン13の内部に通じている。外側チューブ15の内腔15aは、バルーン13を膨張又は収縮させる際に圧縮流体が流通する流体用ルーメンとなっている。
【0037】
内側チューブ16は、樹脂材料により管状に形成され、その内部に軸線方向全域に亘って延びる内腔16a(図2参照)を有している。内側チューブ16の近位端部は、外側チューブ15の軸線方向の途中位置に接合されている。また、内側チューブ16の遠位端側は外側チューブ15の遠位端部よりも遠位側に延出しており、その延出した部分がバルーン13の内部に挿通されている。
【0038】
内側チューブ16の内腔16aは、ガイドワイヤGが挿通されるガイドワイヤ用ルーメンとなっている。内腔16aの近位端開口18はバルーンカテーテル10の軸線方向の途中位置に存在している。そのため、本バルーンカテーテル10はRX型のカテーテルとされている。なお、内腔16aの近位端開口18はバルーンカテーテル10の近位端部にあってもよい。その場合、バルーンカテーテル10はオーバー・ザ・ワイヤ型のカテーテルとされる。
【0039】
次に、バルーン13及びその周辺の構成について図2図4に基づいて説明する。図2は、膨張状態におけるバルーン13及びその周辺の構成を示す側面図であり、バルーン13及び外側チューブ15を縦断面の状態で示している。図3は、(a)が膨張状態におけるバルーン13及びその周辺の構成を示す側面図であり、(b)が(a)のA-A線断面図であり、(c)が(b)における突出部30を拡大して示す断面図である。また、図4は、(a)が収縮状態におけるバルーン13及びその周辺の構成を示す側面図であり、(b)が(a)のB-B線断面図である。なお、図4(b)は、図4(a)よりも拡大した状態で示している。
【0040】
バルーン13は、熱可塑性の樹脂材料により形成され、例えばポリアミドエラストマにより形成されている。バルーン13は、図2及び図3に示すように、全体として円形断面を有する筒状(管状)に形成されている。具体的には、バルーン13は、近位側接合部13a、近位側テーパ部13b、直管部13c、遠位側テーパ部13d及び遠位側接合部13eを有しており、これら各部13a~13eが近位側から遠位側に向けて上記の順で並んでいる。
【0041】
近位側接合部13aは、外側チューブ15の遠位端部に接合されている。近位側テーパ部13bは、近位側接合部13aの遠位端部から遠位側に向けて拡径されており、テーパ状をなしている。直管部13cは、近位側テーパ部13bの遠位端部から遠位側に向けて一定の径で延びており、円管状をなしている。直管部13cは、バルーン13の膨張時に最も径が大きくなる部分である。遠位側テーパ部13dは、直管部13cの遠位端部から遠位側に向けて縮径されており、テーパ状をなしている。遠位側接合部13eは、内側チューブ16の遠位端側に接合されている。なお、バルーン13において、近位側テーパ部13b、直管部13c及び遠位側テーパ部13dにより、膨張及び収縮を行う膨張収縮部が構成されている。
【0042】
バルーン13の内部に外側チューブ15の内腔15aを通じて圧縮流体が供給されると、バルーン13は膨張状態となる。一方、外側チューブ15の内腔15aに陰圧が付与されて圧縮流体がバルーン13の内部から排出されると、バルーン13は収縮状態となる。
【0043】
バルーン13は、図4(a)及び(b)に示すように、その収縮状態において形成される複数(本実施形態では3つ)の羽根部21を備えている。これら各羽根部21は、バルーン13の径方向の外側に羽根状に突出しており、バルーン13の周方向に所定の間隔(詳しくは等間隔)で設けられている。また、各羽根部21は、バルーン13の膨張収縮部(近位側テーパ部13b、直管部13c及び遠位側テーパ部13d)においてバルーン13の軸線方向に延びるように形成されている。
【0044】
各羽根部21は、バルーン13の周方向(換言すると内側チューブ16の周方向)に沿って折り畳まれるように配置されている。バルーン13において羽根部21の内周側に配置された部分は、羽根部21と対向する羽根対向部22となっており、この羽根対向部22に対して羽根部21が折り畳まれている。これにより、羽根部21と羽根対向部22とがバルーン13の径方向に対向しており、詳しくは、羽根部21の外表面27と羽根対向部22の外表面27とがバルーン13の径方向に対向している。
【0045】
各羽根部21は、バルーン13の周方向の一方側に凸となるように折り畳まれており、その折り畳みによりバルーン13の径方向に重なる一対の重なり部21a,21bを有している。各重なり部21a,21bのうち、重なり部21aがバルーン13の径方向の内側に配置され、重なり部21bがバルーン13の径方向の外側に配置されている。この場合、重なり部21aが羽根対向部22とバルーン13の径方向に対向している。
【0046】
なお、内側チューブ16においてバルーン13の内側には一対の造影環25が取り付けられている。造影環25は、X線投影下においてバルーン13の視認性を向上させ、目的とする治療箇所へのバルーン13の位置決めを容易に行うためのものである。
【0047】
ここで、本バルーンカテーテル10では、バルーン13の外表面27に線状の突出部30が設けられている。突出部30は、バルーン13を膨張させることにより病変部を拡張する際に、その病変部に切り込みを入れるためのものである。本バルーンカテーテル10では、病変部が石灰化等して硬くなっている場合でも、突出部30により病変部に切り込みを入れることで、その切り込みをきっかけとして病変部を拡張することが可能となっている。したがって、本バルーンカテーテル10は、スコアリング機能を有したバルーンカテーテルとして構成されている。以下、突出部30の構成について説明する。また、以下では、バルーン13の膨張状態を基準として突出部30の説明を行う。
【0048】
図2図3(a)及び(b)に示すように、突出部30は、バルーン13の外表面27から突出して設けられ、バルーン13の軸線方向に沿って直線状に延びている。突出部30は、バルーン13の周方向に所定の間隔(詳しくは等間隔)で複数配置され、本実施形態では、3つの突出部30が配置されている。そのため、本実施形態では、突出部30の数と羽根部21の数とが同じとなっている。また、突出部30は、バルーン13の直管部13cに設けられ、詳しくは直管部13cにのみ設けられている。但し、突出部30は、バルーン13の直管部13cに代えて又は加えて、近位側テーパ部13bや遠位側テーパ部13dに設けられていてもよい。
【0049】
図3(c)に示すように、突出部30は、バルーン13の外表面27から起立して設けられる一対の起立部31を有している。各起立部31は、突出部30の長手方向に延びる板状をなしており、例えば樹脂材料により形成されている。また、各起立部31は、バルーン13の周方向に対向して配置され、詳しくはバルーン13の外表面27から離れるにつれ互いに近づくように傾斜して配置されている。
【0050】
各起立部31は、起立する方向の先端部(外表面27から離間する側の端部)同士が溶着又は接着により互いに接合(固定)されている。これにより、各起立部31により山形状の突出部30が形成されている。また、各起立部31の接合部分により突出部30の頂部33が形成され、その頂部33により病変部に切り込みを入れることが可能となっている。また、各起立部31の間には中空部34が形成され、そのため、突出部30は中空状の突出部とされている。なお、本実施形態では、起立部31の厚みが起立部31の先端側ほど小さくなっているが、例えば起立部31の厚みを起立部31の起立方向全域に亘って一定としてもよい。
【0051】
各起立部31は、上記先端部とは反対側の基端部(外表面27側の端部)においてバルーン13の外表面27に溶着又は接着により固定されている。この場合、各起立部31は、先端部同士が互いに固定されていることに加え、基端部がバルーン13の外表面27に固定されている。そのため、突出部30が中空状とされた構成にあっても、突出部30により病変部に切り込みを入れる際、突出部30に潰れが生じにくく、安定した状態で切り込みを入れることが可能となっている。
【0052】
各起立部31は、バルーン13の外表面27に対して傾倒可能に設けられている(図4(b)も参照)。また、各起立部31は、頂部33に沿って折り畳み可能とされている。ここで、本バルーンカテーテル10では、バルーン13が収縮状態とされた場合に、その収縮に伴い、各起立部31が折り畳まれ、その折り畳み状態で傾倒するようになっている。そこで、以下においては、バルーン13の収縮状態における各起立部31の構成について、図4(a)及び(b)に基づき説明する。
【0053】
図4(a)及び(b)に示すように、バルーン13の収縮状態では、上述したように、バルーン13に複数の羽根部21が形成される。各突出部30は、羽根部21と1対1の関係で設けられ、それぞれ羽根部21と羽根対向部22との間に挟まれた状態で配置される。突出部30の各起立部31は、羽根部21と羽根対向部22との間に挟まれることで互いに折り畳まれた状態で傾倒される。この場合、各起立部31A,31Bは、バルーン13の径方向に重なるように折り畳まれる。
【0054】
各起立部31のうち、一方の起立部31Aは羽根部21(詳しくは、重なり部21a)の外表面27に固定され、他方の起立部31Bは羽根対向部22の外表面27に固定されている。起立部31Aは、羽根部21(重なり部21a)の外表面27に対して傾倒され、その外表面27に沿うように配置されている。また、起立部31Bは、羽根対向部22の外表面27に対して傾倒され、その外表面27に沿うように配置されている。そして、これら傾倒された各起立部31A,31Bが互いに折り畳まれた状態とされている。また、各起立部31A,31Bの折り畳み状態では、突出部30の頂部33がバルーン13の周方向の一方側に向けられており、詳しくは羽根部21の先端部と同じ側に向けられている。
【0055】
次に、バルーンカテーテル10の使用方法について説明する。ここでは、血管内に生じた病変部をバルーンカテーテル10を用いて拡張させる場合の手順について説明する。
【0056】
まず、血管内に挿入されたシースイントロディーサにガイディングカテーテルを挿通し、ガイディングカテーテルの先端開口部を冠動脈入口部まで導入する。次いで、ガイドワイヤGをガイディングカテーテルに挿通し、その挿通したガイドワイヤGを冠動脈入口部から病変部を経て抹消部位まで導入する。
【0057】
続いて、ガイドワイヤGに沿わせてバルーンカテーテル10をガイディングカテーテルに導入する。導入後、押引操作を加えながらバルーン13を病変部へ向けて導入する。この導入に際しては、バルーン13を収縮状態としておく。ここで、上述したように、バルーン13の収縮状態では、突出部30の各起立部31が互いに折り畳まれた状態で傾倒される(図4(a)及び(b)参照)。そのため、バルーン13の外表面27に突出部30が設けられた構成にあって、バルーン13の外径が大きくなるのを抑制することができる。これにより、バルーン13を病変部に向けて導入する際に、挿通性が低下するのを抑制することができる。
【0058】
バルーン13が病変部に到達したら、バルーン13を膨張させる。バルーン13が膨張状態になると、突出部30の各起立部31が互いに離間する側に開いてバルーン13の外表面27から起立した状態となる(図3(c)参照)。詳しくは、この場合、バルーン13の膨張により羽根部21が展開してバルーン13が円筒状になるため、それに伴い、バルーン13の外表面27に固定された各起立部31がバルーン13の周方向に開いて起立した状態となる。
【0059】
バルーン13を膨張させることにより各起立部31が起立状態になると、突出部30が病変部に押し付けられ、その突出部30により病変部に切り込み(ひび)が入れられる。これにより、その切り込みをきっかけとして病変部を破壊等することで、病変部を拡張させることが可能となる。
【0060】
バルーン13による病変部の拡張が終了した後、バルーン13を収縮状態とする。これにより、羽根部21と羽根対向部22との間に突出部30が挟まれ、各起立部31が折り畳み状態で傾倒される(図4(a)及び(b)参照)。そして、その収縮状態でバルーンカテーテル10を体内から引き抜く。これにより、一連の作業が終了する。
【0061】
なお、バルーンカテーテル10は上記のように主として血管内を通されて、例えば冠状動脈、大腿動脈、肺動脈などの血管を治療するために用いられるが、血管以外の尿管や消化管などの生体内の「管」や、「体腔」にも適用可能である。
【0062】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0063】
バルーン13が収縮状態になると、各起立部31が羽根部21と羽根対向部22との間に挟まれて傾倒状態とされる。この場合、バルーン13の収縮状態において、バルーン13の外径が大きくなるのを抑制することができる。そのため、バルーン13を収縮状態で体内に挿通する際の挿通性の低下を抑制することができる。
【0064】
また、各起立部31が羽根部21と羽根対向部22との間に挟まれるため、各起立部31の傾倒状態を維持し易い。そのため、バルーン13の外径が大きくなるのを好適に抑制することができ、その結果、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0065】
各起立部31のうち一方の起立部31Aが羽根部21に固定され、他方の起立部31Bが羽根対向部22に固定されている。この場合、各起立部31(31A,31B)が羽根部21と羽根対向部22との間に挟まれる際、起立部31Aが羽根部21の外表面27に対して傾倒され、起立部31Bが羽根対向部22の外表面27に対して傾倒されることで、各起立部31A,31Bを互いに重なる状態で、つまり折り畳み状態で配置し易くすることができる。これにより、バルーン13の収縮状態において、バルーン13の外径が大きくなるのをより一層抑制することができ、その結果、挿通性の低下をより一層抑制することができる。
【0066】
また、バルーン13を収縮状態にすると、各起立部31が自ずと羽根部21と羽根対向部22との間で挟まれて折り畳み状態(傾倒状態)とされるため、バルーン13の膨張及び収縮を繰り返しながら、バルーン13を体内に挿通する上で都合のよい構成となっている。
【0067】
〔第2の実施形態〕
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、突出部30に各起立部31を繋ぐ繋ぎ部が設けられており、その点で上記第1の実施形態と構成が相違している。そこで、以下では、その相違点を中心として、本実施形態の構成について説明する。図5は、本実施形態における突出部30周辺を示す断面図であり、(a)が各起立部31が起立した状態を示し、(b)が各起立部31が折り畳まれた状態を示している。また、図5(a)ではバルーン13が膨張状態とされ、(b)ではバルーン13が収縮状態とされている。また、図5(b)では、バルーン13の羽根部21と羽根対向部22との間で各起立部31が折り畳まれた状態を簡易的に示している(これらの点は、後述する図6(a)及び(b)も同様)。
【0068】
図5(a)に示すように、突出部30には、各起立部31を繋ぐ繋ぎ部40が設けられている。繋ぎ部40は、突出部30の長手方向に延びる板状に形成され、幅方向の両端部がそれぞれ各起立部31に固定されている。また、繋ぎ部40は、各起立部31の起立方向の中間部、詳しくは略中央部を繋いでいる。この場合、繋ぎ部40により、各起立部31が互いに離間する側に開くことが抑制されている。
【0069】
上記の構成によれば、突出部30の頂部33により病変部に切り込みを入れる際に、頂部33が開くのを抑制することが可能となる。そのため、頂部33が開いて病変部に切り込みを入れづらくなるのを抑制することができる。
【0070】
また、繋ぎ部40には、図5(b)に示すように、その幅方向の中央部に突出部30の長手方向に沿って延びる折り目43が形成されている。繋ぎ部40は、その折り目43に沿って屈曲変形可能(曲げ変形可能)となっており、詳しくは突出部30の頂部33とは反対側に凸となるように屈曲変形可能となっている。
【0071】
かかる構成では、バルーン13が収縮状態とされ、各起立部31が羽根部21と羽根対向部22との間で折り畳まれると、それに追従して、繋ぎ部40が屈曲変形することになる。そのため、繋ぎ部40により各起立部31の折り畳みが妨げられるのを抑制することができる。これにより、繋ぎ部40を有する構成にあっても、バルーン13の挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0072】
なお、繋ぎ部40は、各起立部31の起立方向の先端側を繋ぐように設けてよいし、基端側を繋ぐように設けてもよい。また、繋ぎ部40を複数設けてもよく、その場合、繋ぎ部40を各起立部31の先端側及び基端側のそれぞれに設けてもよい。また、繋ぎ部40は必ずしも板状である必要はなく、線状であってもよい。この場合、線状の繋ぎ部を、各起立部31の長手方向に複数設けるのがよい。
【0073】
また、繋ぎ部40は必ずしも頂部33とは反対側に凸となるように屈曲変形させる必要はなく、頂部33側に凸となるように屈曲変形させるようにしてもよい。また、繋ぎ部40に折り目43を繋ぎ部40の幅方向に複数設け、それら各折り目43においてそれぞれ繋ぎ部40を屈曲変形可能にしてもよい。
【0074】
繋ぎ部40は必ずしも屈曲変形可能に形成する必要はなく、例えば、繋ぎ部をゴム材料等により各起立部31を繋ぐ繋ぎ方向に伸縮可能に形成してもよい。この場合、各起立部31が羽根部21と羽根対向部22との間で折り畳まれると、それに追従して繋ぎ部が縮み変形することになる。そのため、かかる構成においても、繋ぎ部により各起立部31の折り畳みが妨げられるのを抑制することができる。
【0075】
〔第3の実施形態〕
続いて、第3の実施形態について説明する。本実施形態では、突出部30に頂部33を支持する支持部が設けられており、その点で上記第1の実施形態と構成が相違している。そこで、以下では、その相違点を中心として、本実施形態の構成について説明する。図6は、本実施形態における突出部30周辺を示す断面図であり、(a)が各起立部31が起立した状態を示し、(b)が各起立部31が折り畳まれた状態を示している。
【0076】
図6(a)に示すように、突出部30には、頂部33とバルーン13の外表面27とに跨がって延びる支持部50が設けられている。支持部50は、突出部30の長手方向に延びる板状に形成され、突出部30の各起立部31の間に配置されている。支持部50は頂部33に固定され、バルーン13の外表面27には固定されていない。したがって、支持部50は、頂部33にのみ固定されている。そして、その支持部50により頂部33が支持されている。
【0077】
上記の構成によれば、突出部30の頂部33により病変部に切り込みを入れる際に、病変部側から頂部33に作用する荷重を支持部50により受けることができる。そのため、頂部33により切り込みを入れる際に、頂部33に潰れが生じるのを好適に抑制することができる。これにより、病変部により安定した状態で切り込みを入れることができる。
【0078】
また、支持部50は、頂部33にのみ固定されているため、図6(b)に示すように、バルーン13の収縮時に各起立部31が折り畳まれる際には、支持部50がバルーン13の外表面27から離間する。そのため、各起立部31の折り畳みが支持部50により妨げられるのを抑制することができる。これにより、支持部50を有する構成にあっても、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0079】
なお、支持部50を頂部33に固定することに代え、バルーン13の外表面27に固定するようにしてもよい。要するに、支持部50は、頂部33及び外表面27のうちいずれか一方にのみ固定するようにすればよい。また、支持部50は必ずしも板状である必要はなく、線状であってもよい。その場合、線状の支持部を、突出部30の長手方向に複数設けるのがよい。
【0080】
[第4の実施形態]
続いて、第4の実施形態について説明する。本実施形態では、突出部に各起立部31を接続する接続部が設けられており、その点で上記第1の実施形態と構成が相違している。そこで、以下では、その相違点を中心として、本実施形態の構成について説明する。図7は、本実施形態における突出部60の接続部61周辺を示す斜視図であり、(a)が各起立部31が起立した状態を示し、(b)が各起立部31が折り畳まれた状態を示している。なお、図7(a)及び(b)ではバルーン13の図示を省略しているが、図7(a)ではバルーン13が膨張状態となっており、(b)では収縮状態となっている。
【0081】
図7(a)に示すように、突出部60は、各起立部31に加え、各起立部31を接続する一対の接続部61を有している。接続部61は、突出部60の長手方向の両端部にそれぞれ配置され、各起立部31の長手方向の端部同士を接続している。接続部61は、板状をなしており、例えば樹脂材料により形成されている。接続部61は、各起立部31の起立する方向に延びており、詳しくは起立する方向の全域に亘って延びている。また、接続部61は、バルーン13の外表面27に接した状態で設けられ、外表面27に対して非固定とされている。
【0082】
上記の構成によれば、突出部60により病変部に切り込みを入れる際に、病変部側から突出部60に作用する荷重を各起立部31に加え、接続部61により支持することができる。そのため、上記の荷重により突出部60に潰れが生じるのを好適に抑制することができる。
【0083】
また、接続部61には、突出部60の頂部63からバルーン13の外表面27に向けて延びる折り目65が形成されている。折り目65は、接続部61の幅方向の中心部に沿って延びている。接続部61は、この折り目65に沿って突出部60の長手方向の外側に凸となるように折り曲げられている。これにより、突出部60に作用する荷重を接続部61により安定した状態で支持することが可能となっている。
【0084】
また、接続部61は、折り目65に沿って折り畳み可能となっている。この場合、接続部61は、突出部60の長手方向の外側に突出するように折り畳み可能となっている。かかる構成によれば、図7(b)に示すように、各起立部31が互いに折り畳まれるのに追従して、接続部61が折り目65に沿って折り畳み変形可能となる。そのため、各起立部31が折り畳まれる際に、その折り畳みが接続部61により妨げられるのを抑制することができる。これにより、各起立部31が接続部61により接続された構成にあっても、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0085】
また、接続部61はバルーン13の外表面27に対して非固定とされているため、各起立部31が折り畳まれるのに追従して接続部61が折り畳み変形し易くなっている。そのため、各起立部31が折り畳まれる際に、その折り畳みが接続部61により妨げられるのをより一層抑制することが可能となっている。
【0086】
なお、接続部61を突出部60の長手方向の端部に配置することに代え又は加えて、突出部60の長手方向の中間部に配置してもよい。また、接続部61の数は3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。また、接続部61をバルーン13の外表面27に固定するようにしてもよい。
【0087】
[他の実施形態]
本開示は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0088】
(1)上記第1の実施形態では、各起立部31のうち一方を羽根部21に固定し、他方を羽根対向部22に固定したが、これを変更してもよい。例えば図8(b)に示すように、各起立部31のうち一方を羽根部21の重なり部21aに固定し、他方を重なり部21bに固定してもよい。なお、図8(b)ではバルーン13の収縮状態を示している。また、図8(a)では、参考としてバルーン13の膨張時における各起立部31の起立した状態を示している。
【0089】
上記の構成では、バルーン13が収縮状態になった場合、各起立部31が羽根部21(各重なり部21a,21b)を挟んで対向することで傾倒状態とされる。詳しくは、重なり部21aに固定された起立部31については、重なり部21aの外表面27に対して傾倒され、重なり部21bに固定された起立部31については、重なり部21bの外表面27に対して傾倒される。これにより、バルーン13の収縮状態において、バルーン13の外径が大きくなるのを抑制することができ、ひいては挿通性の低下を抑制することができる。
【0090】
(2)突出部30の形態は、必ずしも上記第1の実施形態のものに限定されない。例えば、図9(a)に示す突出部70は、各起立部71が、バルーン13の外表面27から互いに平行に立ち上がる第1部分72と、第1部分72から互いに近づくように立ち上がる第2部分73とを有している。そのため、各起立部71は、全体として、外表面27から離れるにつれ互いに近づくように起立している。各起立部71は、互いの先端部(つまり、外表面27から離れる側の端部)において接合され、その接合により、突出部70の頂部75が形成されている。これにより、かかる突出部70においても、頂部75により病変部に切り込みを入れることが可能となる。
【0091】
また、各起立部71は、頂部75に沿って傾倒可能とされている。そのため、図9(b)に示すように、バルーン13が収縮状態になると、各起立部71が羽根部21と羽根対向部22との間に挟まれて、互いに折り畳まれた状態で傾倒される。これにより、かかる突出部70によっても、バルーン13の外径が大きくなるのを好適に抑制することができる。
【0092】
(3)図10(a)~(c)に突出部80の別形態を示す。図10(a)及び(b)に示すように、突出部80は、互いに平行に起立する一対の起立部81と、各起立部81を接続する一対の接続部82とを有する。各接続部82は、一対の起立部81の長手方向の両端部に配置され、各起立部81の端部同士を接続している。各接続部82は、各起立部81の起立方向に延びており、バルーン13の外表面27に接した状態で設けられている。これにより、本例の突出部80によれば、病変部側から突出部80に作用する荷重を各起立部81に加え、接続部82によっても支持することが可能となっている。
【0093】
接続部82は、起立部81の起立方向に延びる折り目85に沿って折り曲げられており、それにより、突出部80の長手方向の外側に凸となる山形状をなしている。また、接続部82は、折り目85に沿って折り畳み可能となっている。これにより、図10(c)に示すように、バルーン13の収縮に伴い羽根部21と羽根対向部22との間に各起立部81が挟まれると、各起立部81が互いに接近して重なる状態となるとともに、その接近に追従して接続部82が折り目85に沿って折り畳み変形する。そのため、本例の突出部80によれば、接続部82を有する構成にあっても、挿通性の低下を好適に抑制することができる。
【0094】
(4)図11(a)~(c)に突出部90の別形態を示す。図11(a)に示すように、突出部90は、一対の起立部91と、各起立部91の先端部に架け渡された架け渡し部92とを有する。図11(b)及び(c)に示すように、各起立部91がバルーン13の外表面27に対して傾倒すると、突出部90が全体として傾倒した状態となる。そのため、かかる突出部90によっても、バルーン13の外径が大きくなるのを抑制することができ、その結果、挿通性の低下を好適に抑制することができる。なお、各起立部91の基端部にも架け渡し部を架け渡すようにしてもよい。
【0095】
(5)上記各実施形態では、起立部31を板状に形成したが、起立部を枠状に形成してもよい。この場合、線状要素を組み合わせることにより枠状に形成する。
【0096】
(6)上記各実施形態では、各起立部31を互いに接合することにより突出部30を構成したが、例えば一の長尺板材を長手方向に延びる折り目に沿って折り曲げることにより突出部30を形成してもよい。この場合、折り目を挟んだ両側がそれぞれ起立部31となり、折り目の部分が頂部33となる。
【0097】
(7)突出部30は必ずしもバルーン13の軸線方向に連続的に設ける必要はなく、例えば突出部30をバルーン13の軸線方向に分割して複数設けてもよい。
【0098】
(8)突出部30をバルーン13の軸線方向と異なる方向に延びるように設けてもよい。例えば、突出部をバルーン13の周方向に延びるように設けたり、又はバルーン13の軸線回りに螺旋状に延びるように設けたりすることが考えられる。
【0099】
(9)突出部30を硬質ポリマーや金属材料等、樹脂材料以外の材料により形成してもよい。
【0100】
(10)上記各実施形態では、各羽根部21をいずれもバルーン13の周方向の一方側(つまり同じ側)に凸となるように折り畳んだが、例えば各羽根部21のうち一部の羽根部21についてはバルーン13の周方向の他方側に凸となるように折り畳んでもよい。
【0101】
(11)突出部としては、病変部に切り込みを入れる切り込み形成用の突出部30以外に、病変部に薬剤を塗布するための薬剤塗布用の突出部や、バルーン13が滑るのを防止する滑り止め用の突出部等がある。そこで、これらの突出部に対して本開示を適用するようにしてもよい。
【0102】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0103】
10…バルーンカテーテル、13…バルーン、21…羽根部、22…羽根対向部、27…外表面、30…突出部、31…起立部、33…頂部、40…繋ぎ部、50…支持部、61…接続部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11