(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】二枚貝開殻装置
(51)【国際特許分類】
A22C 29/04 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
A22C29/04
(21)【出願番号】P 2024167919
(22)【出願日】2024-09-06
【審査請求日】2024-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2024077578
(32)【優先日】2024-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 イシダフェア2024 開催日 2024年6月25~27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504018633
【氏名又は名称】シンセメック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗林 宏光
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特許第7181444(JP,B1)
【文献】特許第6866544(JP,B2)
【文献】特許第6808270(JP,B2)
【文献】特許第6736474(JP,B2)
【文献】特開平9-187218(JP,A)
【文献】特開平8-289718(JP,A)
【文献】特公昭57-055379(JP,B2)
【文献】国際公開第2012/039634(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108887372(CN,A)
【文献】特開平9-224559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚貝に開口を形成するために蝶つがい側の貝殻の端部と貝殻を上から見て貝殻の中心部を挟んで前述の蝶つがい側の貝殻端部と反対側貝の貝殻の端部を切断する貝切断装置であって、
原料貝となる二枚貝を台皿上に載置した状態で搬送する搬送台と、
切断時に被切断貝を台皿に押し付けて安定化させる押下機構と、
二枚貝の蝶つがい側の貝殻の端部と貝の中央部を挟んで蝶つがい側と反対側の貝殻の端部側を切断する二つの切断手段から構成されており、
前記搬送台は、二枚貝の上下貝殻の一方の凸形状を受けて貝を水平方向に保持する台皿が複数結合されたチェーンコンベアー機構を有し、
前記押下機構は、搬送台の送り方向上流の貝投入部で、台皿上に載置された二枚貝を投入位置から離れた所で台皿と挟み込むように設けられ、台皿上の貝を搬送方向に送り出す方向に回転するベルトを有し、
前記切断手段は、形成される切断面が搬送台の送り方向に平行となるように前記チェーンコンベアー機構のコンベアーチェーンを中央に挟んで送り方向の左右両側に配置されており、帯状もしくは線状の環状刃物体を有し、
前記コンベアーチェーンが連続で動いている中、チェーンコンベアー上流側の貝投入部で、搬送台機枠に固定されたガイド板側面に蝶つがい側の端部を押し当てて、コンベアー幅方向の位置決めを行って、二枚貝を台皿上に載置し、その後、当該貝は台皿上に載置されたまま移動し、投入位置から離れた所で搬送台コンベアーチェーン上の台皿と押下機構とで挟まれ、その状態で押下機構と搬送台機構により更に送り出され、当該貝を搬送台上の台皿と押下機構のベルト面とに挟まれた状態が続く範囲の途中に配置された二つの切断機構の切断刃物が直線状となる所を通過させることで、二枚貝の縁部の両端二面を同時に切断して開口を形成することを特徴とする貝切断装置。
【請求項2】
請求項1の貝切断装置により縁部の両端に開口が形成された貝の貝柱と上下貝殻どちらか一方との接合部を切断する二枚貝の開殻装置であって、
請求項1の貝切断装置の搬送台部に、板状のナイフを貝の開口部から貝内に挿入して位置決めするナイフ押し込みユニットと、ナイフの押し込み・引き込み時に貝を載置している台皿上に支持する貝固定ユニットを付加したものであって、
前記ナイフ押し込みユニットは、板状のナイフと当該ナイフを貝の開口部から貝内に挿入して位置決めする機構を有し、コンベアーチェーンの送り方向に対し左右どちらか一方の側に、形成された開口にナイフの押し出し方向が対向するように、配置されており、
前記貝固定ユニットは、貝との接触部材を端部に具備する押し出し・引き戻しすることが可能な可動部を有し、
請求項1の切断装置で搬送台の送り方向に平行な二面の開口が形成された貝を、搬送台のコンベアーチェーン上に結合された台皿上に載置したまま搬送台の機能により送り出し、搬送送りが進行する中、貝の端部切断位置から搬送の下手方向に離れた所で、切断済貝が載置された台皿の上方に設けられた搬送台機枠に固定された軸を中心に回転自在となっている貝固定ユニットの可動部の降下により、台皿上の上となる貝殻部を台皿方向に押圧して当該貝を台皿上に支持し、搬送台コンベアーチェーンの移動にともなって当該貝が移動する中、ナイフ押し込みユニットの板状のナイフを、一方の開口面に向かってコンベアーの機枠に固定された案内による途中の運動規制を受けながら開口部面の略垂直方向から貝内部に挿入し、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、後退させることで、コンベアー移動とナイフ挿入・引戻により貝柱と貝殻との接合部を切断処理し、処理後の貝をそのまま台皿上に載置したまま搬送台により送り出すことを特徴とする開殻装置。
【請求項3】
請求項1の貝切断装置により縁部の両端に開口が形成された貝の貝柱と上下貝殻のどちらか一方との接合部を切断する二枚貝の開殻装置であって、
請求項1の貝切断装置の搬送台部に、板状のナイフを貝の開口部から貝内に挿入して位置決めするナイフ押し込みユニットと、搬送コンベアーの送りを停止した状態で、ナイフ押し込み・引き込み動作時に貝を載置台皿上に固定する貝固定ユニットを付加したものであって、
前記ナイフ押し込みユニットは、板状のナイフと当該ナイフを貝の開口部から貝内に挿入して位置決めする機構を有し、コンベアーチェーンの送り方向に対し左右どちらか一方の側に、形成された開口にナイフの押し出し方向が対向するように配置されており、
前記貝固定ユニットは、貝との接触部材を端部に具備する押し出し・引き戻しすることが可能な可動部を有し、
請求項1の切断装置で搬送台の送り方向に平行な二面の開口が形成され貝を、搬送台のコンベアーチェーン上に結合された台皿上に載置したまま搬送台の機能により送り出し、貝の端部の切断位置から搬送の下手方向に離れた所で、コンベアーの送りを一旦停止し、その位置で切断済貝が載置された台皿の上方に設けられた貝固定ユニットの可動部の降下により、上側となる貝殻面を台皿方向に押圧することで当該貝を台皿上に固定し、その状態でナイフ押し込みユニットの機能により板状のナイフを、コンベアーの機枠に固定された案内による途中の運動規制を受けながら開口部面の略垂直方向に挿入することで、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら貝から他方の開口側まで貫通させ、その後、後退させることで貝柱と貝殻との接合部を切断し、その後、貝固定ユニットの可動部を上昇させて貝の台上への固定を解放した後、コンベアーの送りを再動させ、処理後の貝をそのまま台皿上に載置したまま搬送台により送り出すことを特徴とする開殻装置。
【請求項4】
請求項1の貝切断装置により縁部の両端面に開口が形成された貝の貝柱と上下貝殻のどちらか一方との接合部を切断する二枚貝の開殻装置であって、
請求項1の押下機構部の貝を挟み込む区間内において、ナイフ押し込みユニットを搬送台のチェーンコンベアーの切断手段の搬送方向下流位置の、コンベアーチェーンの送り方向に対し左右どちらか一方の側に、ナイフの押し出し方向が形成された開口に対向するように配置し、
前記ナイフ押し込みユニットは、板状のナイフと当該ナイフを貝の開口部から貝内に挿入して位置決めする機構を有し、
請求項1の切断装置で、搬送台の送り方向に平行な二面の開口が形成された貝を搬送台のコンベアーチェーン上に結合された台皿上に載置したまま搬送台の機能により送り出し、搬送送りが進行する中、
ナイフ押し込みユニットの機能により板状のナイフを一方の開口側からコンベアーの機枠に固定された案内による途中の運動規制を受けながら開口部面の略垂直方向に挿入することで、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、後退させることで、コンベアー移動とナイフ挿入・引戻により貝柱と貝殻との接合部を切断処理し、処理後の貝をそのまま台皿上に載置したまま搬送台により送り出すことを特徴とする開殻装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帆立貝等の二枚貝を人手などで簡便に載置して一方の貝殻と貝柱との結合部を切断して開殻する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二枚貝を代表するホタテ貝は、貝殻を外したむき身から貝柱を分離し、それを生のままもしくは冷凍した状態で流通している。多くの水産加工現場では貝柱の分離は手作業で行われており、多人数の熟練した作業員により大量の貝の処理が行われている。その作業においては、貝殻から身を外す作業に熟練が必要であり、水産加工現場での人手不足が昨今深刻となっていることから、これまでに多くの貝殻から身を外す装置の開発が行われてきている。
【0003】
文献1、文献5、文献6では、貝殻の端部を切断し薄い板状のものを貝内に挿入して身と貝殻の結合部分を切断する方法が開示されている。
【0004】
文献2と文献3では、切断により貝殻に開口部を形成し、そこから高圧液体を貝内部に当て身と貝殻の接合部分を切断する方法が開示されている。
【0005】
文献4では、閉じている貝殻の外部から貝殻面に熱を加えて身と貝殻の結合部分を剥離させる方法が開示されている。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6866544号 特許公報
【文献】特許第4164475号 特許公報
【文献】特許第4084178号 特許公報
【文献】特許第4436009号 特許公報
【文献】特開平8-289718 特許公報
【文献】特許第1588089号 特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1から特許文献6に示された開殻方法では、原料貝の台皿上への載置や貝先端の切断および貝柱と貝殻の結合部分の切断などの処理が間欠的なテーブルやコンベアーの停止時間中に行われることから処理に時間がかかり、且つ装置が複雑になるという課題があった。更に特許文献1のものは切断により貝の端部に形成された開口部の高さをカメラ等により計測することで貝柱と貝殻の接合部分を切断するナイフの挿入高さ調整を行っており装置が複雑なものとなっている。更に、特許文献2と文献3の開殻方式では開口部形成後の貝の身部と貝殻との切断は高圧流体噴射によって行う方式となっており、高圧流体を作る付帯設備が必要となり、装置が複雑化するという課題がある。
【0009】
また、特許文献4に示された開殻方法は、貝殻の外部からの加熱により貝の身部と貝殻の結合部分を分離することによるもので、自然生物である貝の貝殻厚さにはバラツキがあり貝柱などに過度な熱変性を起こさないよう熱の加減を貝殻の厚みに合わせて細やかに調節することが必要となるが、そのような調整は難しく想定以上の熱変性が避けられないという課題がある。
【00010】
また、特許文献5には貝柱と貝殻の切断方法として貝の送りを停止した状態で切断ナイフを開口部から貝内部に挿入しナイフを振りながら進退させることで確実な切断を実現する方法が示されているが、機構が複雑化する課題がある。
【0011】
また、帆立貝から貝柱を分離する水産加工現場では、少人数で効率良く貝柱を分離できる調整箇所が少なく故障による装置停止が少ない安定した生産が保証される装置が望まれている。
【0012】
また、多くの水産加工現場において行われている手作業による開殻作業では、鮮度が良く貝柱の収縮力により強く閉まった貝に工具を挿入して貝柱と貝殻との結合部分を切断することができるようになるにはかなりの熟練を要し、未熟練な作業者においては貝柱の部が貝殻側に残り歩留が悪くなることがよくある。
【0013】
本発明は、以上の現場作業の要求に応えることを最終目標に前記の従来技術の課題を解決するためになされたものであって、原料貝を所定の位置に置くことのみを前処理作業として構造を簡素化したもので、確実な開殻作業を連続で行うことにより処理能力を向上させるとともに、部分的な故障が発生した場合でも生産が全停止することを避けることを実現する開殻装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明の貝切断装置は、二枚貝の上下貝殻の一方の凸形状を受けて貝を水平方向に保持する台皿が複数結合されたコンベアーチェーンを有する搬送台と搬送台片端の貝投入部で台皿上に載置された二枚貝を投入位置から離れた所でコンベアー上の台皿と挟み込むように設けられた押下機構と形成される切断面が搬送台の送り方向に平行となるようにコンベアーを中央に挟んで両側に配置された帯状もしくは線状の環状刃物体を高速に回転する方式の二つの切断手段から構成され、チェーンコンベアーが連続で動いている中、貝投入部で二枚貝を蝶つがいのある側の端部を搬送台機枠に固定されたガイド板側面に押し当てコンベアー幅方向の位置決めを行って台皿上に載置し、その後、当該貝が台皿上に載置されたまま搬送下流方向に移動し、投入位置から離れた所で搬送台と押下機構で挟まれ、その状態で押下機構の押し付けベルトの回転と搬送台のコンベアー機構のコンベアーチェーンの移動により当該貝は更に送り出され、当該貝を搬送台上の台皿と押下機構とに挟まれた状態が続く範囲の途中経路に配置された二つの切断機構の切断刃が直線となる所を通過させることで、二枚貝の縁部の両端二面を同時に切断し二つの開口を形成することができる。
【0015】
第2の発明の開殻装置は、第1の発明の貝切断装置で二つの適度な大きさを有する開口が形成され押下機構の押下から解放された後の貝を、そのまま台皿に載置した状態で搬送コンベアーにより送り出し、搬送方向下流の貝殻切断位置から離れた所で、当該貝の上方に設けられたシリンダー部が装置の機枠に固定された軸に回転自在に取付られた貝固定ユニットの可動部を押し出して、可動部端の部材で台皿への載置で上となる貝殻部を台皿方向に押圧することにより、当該貝を台皿上に安定した状態で支持し、貝殻と貝固定ユニットの可動部の直接接触部分との滑りと貝固定ユニットの回転逃げの効果により、押下した状態のまま搬送コンベアーで移動させ、押下支持状態が維持できる状況の中、当該貝の開口がナイフの押し込みの適当な位置に達した所で、ナイフ押し込みユニットの進退可能な板状のナイフを、一方の開口面に向かって、コンベアーの機枠に固定された案内による途中経路の運動規制を受けながら開口部面の略垂直方向から貝内部に挿入し、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、ナイフを後退させることで、コンベアー移動とナイフ挿入・引戻により貝柱と貝殻との接合部を切断処理することができる。この切断方法によりナイフの貝に対する相対運動範囲を大きくすることができ、安定した切断処理が可能となる。また、貝柱と貝殻との接合部が切断された貝は、そのまま台皿上に載置したまま搬送台のチェーンコンベアーにより送り出すことができる。
【0016】
なお、処理後の貝は、搬送台終端部で台皿の傾斜を利用して排出スロープに乗り移し、搬送台端の近傍に設置される収納容器に集めることも可能である。本装置は、二つの開口が形成された貝の貝柱と貝殻との接合部の切断処理と処理後の貝の排出処理をコンベアー搬送を止めずに行うことにより処理時間を短縮することができる。
【0017】
第3の発明の開殻装置は、第1の発明の貝切断装置で二つの適度な大きさを有する開口が形成され押下機構の押下から解放された後の貝を、そのまま台皿に載置した状態で搬送コンベアーにより送り出し、当該貝が切断位置から下流側に離れた所で、コンベアーの送りを一旦停止し、その後、切断後の貝を、載置された台皿の上方に設けられたシリンダー部が装置の機枠に取付られた貝固定ユニットにより貝押し付け部材を介して受皿方向に押圧することで、当該貝を台皿側に固定し、その状態でナイフ押し込みユニットの進退可能な板状のナイフを、一方の開口からコンベアーの機枠に固定された案内による途中経路の運動規制を受けながら、開口部面の略垂直方向から貝内部に挿入し、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、後退させることで、貝柱と貝殻との接合部を切断処理することができる。また、貝柱と貝殻との接合部の切断完了後には、貝固定ユニットの可動部を上昇して貝の台皿上への固定を解放した後、コンベアーの送りを再動させ、処理後の貝は、そのまま台皿上に載置したまま搬送台により送り出すことができる。
【0018】
なお、処理後の貝は、搬送台終端部で台皿の傾斜を利用して排出スロープに乗り移し、搬送台端の近傍に設置される収納容器に集めることも可能となる。
【0019】
第4の発明の開殻装置は、第1の発明の貝切断装置により二つの適度な大きさを有する開口が形成され、押下機構により台皿への押下状態にある貝を、そのまま台皿に載置した状態で、搬送コンベアーにより搬送方向下流の搬送コンベアーを挟んでどちらか一方の側に配置されているナイフ押し込みユニットの所まで送り出し、押下機構による当該貝の台皿上への安定した支持が維持されている中、その後も当該貝は搬送が続けられ、当該貝の開口がナイフ押し込みの適当な位置に達した所で、ナイフ押し込みユニットの進退可能な板状のナイフを一方の開口面に向かって、コンベアーの機枠に固定された案内による途中経路の運動規制を受けながら開口部面の略垂直方向から貝内部に挿入し、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、後退させることで、コンベアー移動とナイフ挿入・引戻により貝柱と貝殻との接合部を切断処理することができる。この切断方法によりナイフの貝に対する相対運動範囲を大きくすることができ、安定した貝柱の切断処理が可能となる。また、貝柱と貝殻との接合部が切断された貝は、そのまま台皿上に載置されたまま搬送台のチェーンコンベアーにより送り出すことができる。
【0020】
なお、処理後の貝は、搬送台終端部で台皿の傾斜を利用して排出スロープに乗り移し、搬送台端の近傍に設置される収納容器に集めることも可能である。本装置は、二つの開口が形成された貝の貝柱と貝殻との接合部の切断処理と処理後の貝の排出処理をコンベアー搬送を止めずに行うことにより処理時間を短縮することができる。また、貝柱と貝殻との接合部の切断においては、第2の発明とは違い、貝を台皿上に支持する貝固定ユニットを必要とせず、装置の構造を簡単化できる。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明の切断装置では、人手などでコンベアーチェーン上に結合された台皿上に原料貝を載置する際に、ホタテ貝では、搬送機構の貝投入位置の機枠に固定されたガイドに蝶つがいがある側の貝殻端の直線的な部分を押し当てることで容易にコンベアーの幅方向の位置合わせすることができる。
【0022】
また、第1の発明の切断装置では、載置後の貝は、押下機構による適度な押し付け力を受けつつ、コンベアーチェーンの送りに見合った押下機構の押しつけベルトの回転の作用により切断位置まで安定的に搬送される。
【0023】
また、第1の発明の貝切断装置では、切断面が平行となる二組の切断機構の配置により1行程で貝両端部の二面の同時加工ができ、刃物自体の移動方向が貝を載置する台皿側に押し付ける方向であり、貝殻の切断が安定する効果がある。更に、前述の切断刃の切断刃部を微細な硬質材とすることで、切断面も滑らとなり、切断屑も刃物の移動方向に切断と同時に運ばれ貝の表面や貝の内部への付着が少なくなり、切断後の貝の洗浄の手間を軽減する効果がある。
【0024】
なお、第1の発明では、二枚貝の貝殻の蝶つがい側の端部と蝶つがいの反対側の端部の二面が同時に切断され二面の開口が形成されることにより、貝柱と貝殻の接合部の切断処理などが容易となる。また、蝶つがい側の開口の形成時に蝶つがいの内側を切断することにより上下貝殻の結合がなくなるため、開殻後は、一方の貝殻が身部の付着がない貝殻単独となることから後処理が容易となる効果がある。
【0025】
第2の発明の開殻装置では、第1の発明の貝切断装置で処理された貝を、そのまま搬送台上の台皿と押下機構とに挟まれた状態で、切断位置から少し離れたコンベアーライン上の台皿の上方の装置機枠にシリンダー部が可動部飛び出しが下方向となるように固定された貝固定ユニット位置の手前の所まで搬送し、その後、搬送コンベアーのみでの送りを続け、当該貝が貝固定ユニットの位置に達した所で、当該貝を貝固定ユニットにより台皿上に安定した状態で支持し、貝殻と固定ユニット可動部の接触部分との滑りと貝固定ユニットの回転逃げの効果により、当該貝は台皿に押し付けられた支持状態のまま搬送コンベアーで更に移動し、その支持状態が維持できる状況の中、当該貝の搬送を止めず、同時にナイフ押し込みユニットにより一方の開口からナイフを開口部面の略垂直方向から貝内部に挿入させ、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、ナイフを後退させて、コンベアー移動とナイフ挿入・引戻により貝柱と貝殻との接合部を切断処理(開殻)することができる。
【0026】
また、貝柱と貝殻との接合部が切断された貝はそのまま台皿上に載置したまま搬送台により送り出すことができる。
【0027】
更にまた、開殻処理後の貝は、搬送台終端部で台皿の傾斜を利用して排出スロープに乗り移らされ、スロープの機能で搬送台端の近傍に設置される収納容器に集めることが可能となる。なお、処理が終わった貝は次工程へのつなぎ準備として別の機構によりコンベーアー上からピックアップするかもしくは別コンベアーへ移設しても良い。
【0028】
この装置により、搬送から貝殻の二面切断、貝柱と貝殻の結合部の切断、処理後の貝の排出までを連続的に行うことができ、処理能力の向上が図られる。
【0029】
第3の発明の開殻装置では、発明1の貝切断装置で処理された貝を、そのまま搬送台上の台皿と押下機構とに挟まれた状態で、台皿の上方の装置機枠にシリンダー部が可動部飛び出しが下方向となるように固定された貝固定ユニットの手前位置まで搬送し、その後、搬送コンベアーのみでの送りを続け、当該貝が貝固定ユニットの位置に達した所でコンベアーチェーンを一旦停止し、貝固定ユニットの可動部を押し出し、貝固定ユニットの可動部端の部材で貝を台皿側に押圧すことにより貝を台皿上に固定することができ、その状態で、ナイフ押し込みユニットにより一方の開口からナイフを開口部面の略垂直方向から貝内部に挿入させ、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、ナイフを後退させることで貝柱と貝殻の結合部の安定した切断(開殻)が可能となる。なお、本発明ではナイフの貝に対する動きが直線状となるため、ナイフ先端部には貝柱の幅を上回る形状が求められる。
【0030】
また、貝柱と貝殻との接合部が切断された貝はコンベアーを再動させることで、そのまま台皿上に載置したまま搬送台により送り出すことができる。
【0031】
更にまた、開殻処理後の貝は、搬送台終端部で台皿の傾斜を利用して排出スロープに乗り移らさせ、スロープの機能で搬送台端の近傍に設置される収納容器に集めることが可能となる。なお、処理が終わった貝は次工程へのつなぎ準備として別の機構によりコンベーアー上からピックアップするかもしくは別コンベアーへ移設しても良い。
【0032】
第4の発明の開殻装置では、第1の発明の貝切断装置で処理された貝を、そのまま搬送台上の台皿と押下機構とに挟まれた状態が続く区間内で、搬送機構より下流の送り方向に対し左右どちらか一方に配置されるナイフ押し込みユニットの所まで搬送し、その所で、当該貝の搬送を止めず、同時にナイフ押し込みユニットのシリンダーにより一方の開口からナイフを開口部面の略垂直方向から貝内部に挿入させ、ナイフ先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、ナイフを後退させて、コンベアー移動とナイフ挿入・引戻により貝柱と貝殻との接合部を切断処理(開殻)することができる。
【0033】
また、貝柱と貝殻との接合部が切断された貝はそのまま台皿上に載置したまま搬送台により送り出すことができる。
【0034】
更にまた、開殻処理後の貝は、搬送台終端部で台皿の傾斜を利用して排出スロープに乗り移らされ、スロープの機能で搬送台端の近傍に設置される収納容器に集めることが可能となる。なお、処理が終わった貝は次工程へのつなぎ準備として別の機構によりコンベーアー上からピックアップするかもしくは別コンベアーへ移設しても良い。
【0035】
この装置により、搬送から貝殻の二面切断、貝柱と貝殻の結合部の切断、処理後の貝の排出までを連続的に行うことができ、貝柱と貝殻の結合部の切断処理中の貝の台皿上への支持も不要となることから、搬送速度を速めることで処理能力の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】食用の二枚貝を代表するホタテ貝の外観形状の特徴を示す斜視図である。
【
図2】ホタテ貝の内部構造を示す下貝を下にした場合の構造図(斜視図)である。
【
図3】本発明における第1~第3発明の一実施例の構成・構造を示す斜視図である。
【
図4】本発明における第1発明と第4発明の一実施例の構成・構造を示す斜視図である。
【
図5】本発明における全処理の流れを示す図である。
【
図6】第2発明、第3発明、第4発明の構造を説明する模式図
【
図7】第1発明における貝の台皿への載置状況を示す斜視図である。
【
図8】第1発明、第2発明、第3発明、第4発明における一実施形態に係る貝の台皿への載置状況を示す斜視図である。
【
図9】第1発明における一実施形態に係る載置後の貝の二面切断処理を示す斜視図である。
【
図10】第1発明の一実施形態に係る上貝殻を下にした場合の載置後の貝の送り状況を示す貝の送り方向を図面に対して右方向とした装置の部分図である。
【
図11】第1発明の一実施形態に係る切断機構の刃形状を示す図である。
【
図12】第1発明の一実施形態に係る貝の切断位置と切断処理後の貝の形状を示す図である。
【
図13】第2発明と第3発明の一実施形態に係る上貝殻を下にした場合のナイフ挿入前の二面カット後の貝殻の支持動作や固定動作状態を示す図である。
【
図14】第2発明、第3発明の一実施形態に係る上貝殻を下にした場合のナイフ挿入による貝柱と貝殻との結合部の切断状況を示すコンベアーの幅方向から見た部分拡大図である。
【
図15】第4発明の一実施形態に係る上貝殻を下にした場合のナイフ挿入による貝柱と貝殻との結合部の切断状況を示すコンベアーの幅方向から見た部分拡大図である。
【
図16】第2発明での二面カット貝の台皿上への支持動作と解除動作を説明する模式図である。
【
図18】第2発明、第4発明の一実施形態に係る貝に対するナイフの移動軌跡を説明する模式図である。
【
図19】第3発明の一実施形態に係る貝に対するナイフの移動軌跡を説明する模式図である。
【
図20】第2発明、第3発明、第4発明の一実施形態に係る処理後に貝柱と上貝殻との結合部を切断されて排出される貝の状態を示す斜視図である。
【
図21】第2発明と第3発明、第4発明の一実施形態に係る開殻処理後の貝の排出機構を示す斜視図である。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【0038】
主な図について説明する。
【0039】
図5は本発明における処理の流れを説明する図であり、連続送り型Iは第1発明と第2発明で実現する開殻装置の処理の流れであり、ナイフ挿入中コンベアー停止型は第1発明と第3発明で実現する開殻装置の処理の流れである。また、連続送り型IIは第1発明と第4発明で実現する開殻装置の処理の流れである。
【0040】
図6は、第2発明と第3発明(A)、第4発明(B)の構造を模式的に表したものであり、第4発明では、原料貝がコンベア機構FMのコンベアチェーン上に固定され台皿に載置され、押下機構PMと台皿とに挟まれた状態で搬送方向下流の切断機構CMに送られ貝殻両端部が切断されるまでは第2発明や第3発明と同じであるが、貝柱/貝殻接合部切断機構B2が、押下機構PMが貝を台皿とで挟み込む区間内に組み込まれ、貝柱の切断が行われ、貝固定ユニットB1が不要となっている所が第2発明や第3発明とは異なる。
【0041】
図7は、原料貝Sの台皿7への載置状況を説明する斜視図であり、本発明ではコンベアーチェーン9に結合された台皿7がコンベアーの送り方向MTに移動している中、原料貝投入部付近の装置機枠に固定されたガイド8の側面に原料貝S一部を押し当てて送り方向に垂直な方向の原料貝Sの位置決めを行いつつ原料貝Sを台皿7上に載置する。
【0042】
図8は、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明における装置の載置搬送部Iでの原料貝Sの載置状況を示す斜視図である。なお、原料貝の台皿7への載置はコンベアーチェーン9がMT方向に移動している状況の中行われる。
【0043】
図9は、第1発明の一実施例における二面カット部IIでの台皿7への載置完了原料貝Sに切断により2面の開口が形成される状況を説明する斜視図であり、
図10は、第1発明の一実施例における台皿7への載置が完了した原料貝Sに切断により2面の開口が形成される状況を説明するコンベアーの送り方向に対して垂直方向から見た部分拡大図である。原料貝Sは、台皿7上に載置された直後、台皿7上方向の装置機枠に固定された軸Cpの周りに回転自在(MR2方向)に取付られた外周部に貝殻の接触する所での回転方向(MR1 方向)がチェーンコンベアーの送り方向と同じ方向となるベルト機構を有する押下機構PMと台皿7との間に挟まれた状態のまま、搬送方向下流の切断位置に向けて送られる。この時、押下力は、押下機構Aの回転軸Cpと離れた所に設けられる押し付け力調整シリンダー12のロッドが装置の機枠部分を押して発生する反力を加減することで調整される。押下機構のベルトと台皿とに挟まれた状態で当該貝Sは両端部がMR3方向に回転する切断刃の直線部分に押し当てられながら送られることにより切断され二面の開口が形成される。
【0044】
図13は、第2発明と第3発明の一実施形態に係る、貝殻固定・貝柱/貝殻接合切断部IIIでの上貝を下にした場合のナイフ挿入前の二面カット後の貝Shの台皿7上への支持または固定する状態を示す斜視図である。貝固定ユニットB1の可動部の押出によりコンベアー移動を妨げずに台皿7上に貝Shを支持して貝柱と貝殻との接合部切断を行うものが第2発明であり、台皿7上に載置された貝Shがナイフ挿入位置に達した所で搬送コンベアーを停止して、貝固定ユニットB1の可動部を押し出して当該貝Shを台皿7に対して押圧・固定し、その状態で貝柱と貝殻との接合部切断を行うものが第3発明である。
【0045】
図14は、第2発明と第3発明の一実施例に係る、上貝殻を下にした場合のナイフ挿入による貝柱と貝殻接合部の切断状況をコンベアー幅方向から見た装置の部分拡大図である。第2発明では、二面カット後の台皿7上の貝Shが貝固定ユニットの可動部により下向きに押圧されて台皿7上に支持された状態でコンベアーの送りによって移動を続ける中、適度な位置でナイフ押し込みユニットB2の機能によりナイフB21が一方の開口部から貝内部に挿入され引き戻されることで貝柱1と貝殻の接合部が切断されるが、第3の発明では、二面カット後の台皿7上の貝Shがナイフ挿入位置に達した所でコンベアーの送りが停止状態となり、その位置で貝固定ユニットB1の可動部により下向きに押圧されて台皿7上に固定された状態となり、その後ナイフ押し込みユニットB2の機能によりナイフが一方の開口部から貝内部に挿入され引き戻されることで貝柱1と貝殻の接合部が切断される。
【0046】
図15は、第4発明の一実施例に係る上貝殻を下にした場合のナイフ挿入による貝柱と貝殻接合部の切断状況をコンベアー幅方向から見た装置の部分拡大図である。第4発明では、二面カット後の台皿7上の貝Shが押下機構の押し付けベルト10により下向きに押圧されて台皿7上に支持された状態で、コンベアーの送りによって移動を続ける中、適度な位置でナイフ押し込みユニットB2の機能によりナイフB21が一方の開口部から貝内部に挿入され引き戻されることで貝柱1と貝殻の接合部が切断される。
【0047】
図16は、第2の発明での二面カット貝Shの台皿7への支持動作と支持解除動作を説明する模式図である。台皿上の二面カット貝Shがナイフ挿入を開始する位置の少し手前で貝固定ユニットB1の可動部B12を台皿方向に押し出し、貝Shが台皿7上に支持された状態でコンベアー移動を継続する中、ナイフB21の挿入・引き戻しが完了した後、可動部B12を引き戻し行う。その間、貝固定ユニットシリンダー部B11は押圧している貝の移動に伴って軸CB1を中心に回転し、貝の台皿上への支持を維持する。その後、貝Shが十分離れた所で、シリンダーB11の自重と復元ばねB13の効果により貝固定ユニットシリンダー部B11は押圧前の回転初期位置に戻る。
【0048】
図17は、貝柱と貝殻との接合部を切断する二種の薄板のナイフの形状を示す平面図である。
【0049】
図18は、第2発明、第4発明の一実施例に係る貝に対するナイフB21の移動軌跡Mnpを説明する模式図であり、台皿に載置された二面カット貝Shが貝固定ユニットもしくは押圧機構による押圧による台皿上に支持された状態で搬送コンベアーの送りにより当該貝の移動が継続する中、ナイフB21がナイフ押し込みユニットB2により貝内部を進退することで実現するナイフの貝に対する移動軌跡Mnpを示している。
【0050】
図19は、第3発明の一実施例に係る貝に対するナイフB21の移動軌跡Mnpを説明する模式図であり、ナイフ挿入位置で搬送コンベアーを停止し、その位置で貝固定ユニット押圧により台皿上に二面カット貝Shを固定し、ナイフB21がナイフ押し込みユニットB2により貝内部を進退することで実現するナイフB21の当該二面カット貝に対する移動軌跡Mnpを示している。
【0051】
図20は、第2発明、第3発明、第4発明の一実施形態に係る全処理終了後に排出される貝の状態を示す斜視図である。第1発明により蝶つがいが除去され、貝殻の上貝殻と下貝殻の結合が切断されるため、全処理が終了した後は身部が結合した状態の下貝殻と貝殻のみの上貝殻の状態で排出される。
【0052】
図21は、第2発明、第3発明、第4発明の一実施形態に係る処理済貝排出部IVでの開殻処理後の排出機構を示す斜視図である。第2発明、第3発明の貝殻固定・貝柱/貝殻結合部切断部IIIおよび第4発明の貝柱/貝殻結合部切断部III’での処理を終えた貝Sfは、
図20に示した状態となり、台皿7上に載ったままコンベアーの送り機能により排出側に送られる。本実施例では、コンベアー終端部でベルト上の台皿7が傾斜が付いた所で排出スロープ13の機能により排出スロープの延長上に設置する処理済貝回収ボックスPCに集められる。なお、処理が終わった貝Sfは次工程へのつなぎ準備として別機構によりコンベアー上からピックアップするかもしくは別コンベアーに移設されても良い。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明1の一実施形態について、
図1と
図2に示すホタテ貝を対象として
図3~12を用いて説明する。
図3と
図4に示すように本発明の切断装置は載置搬送部Iと二面カット部IIからなる。載置搬送部Iでは、
図6、
図7に示すように原料貝Sの一方の貝殻を下にして貝殻の凸面を搬送コンベアーのコンベアーチェーン9上に適度な間隔をもって結合されている台皿7の窪みに下となる貝殻面を当てるように載置する。この時、ホタテ貝の場合は搬送コンベアーの貝の投入・載置部分の機枠に固定されているガイド8の側面に蝶つがい側にある貝殻端の直線部を当て送り方向に垂直な方向の位置決めを行う。台皿7に載置された原料貝Sは
図8に示すようにコンベアーにより二面カット部方向(MT方向)に搬送される。その後、
図9と
図10に示すように、当該貝は、台皿7上方向の装置機枠に固定された軸Cpの周りのMR2方向に回転自在に取付られた押下機構PMのベルト10を介して台皿7に押し付けられた状態となり、搬送コンベアーの送りMTとMTに同調した押し付けベルトの回転MR1により、
図12に示す貝の切断ライン(L1、L2)に合わせてMR3方向に回転する切断刃の直線部分が配置された二つの切断機構が設けられている二面カット部IIの切断位置に送り込まれる。この時、貝を押さえる力は
図9、
図10に示す押し付け力調整用シリンダー12により調整される。本実施例では、二面カット用の切断刃11として
図11に示すように、帯状の環状刃物体(11_b1)となっているが、線状のもの(11_w)でも良く、切刃は一般的なノコ刃だけではなく超硬質細材が固着したものでも良い。本装置により、ホタテ貝には
図12の下図に示すように貝柱と貝殻の結合部の切断を行うためのナイフB21を挿入する互いに平行な開口二つ(01,02)が同時に形成される。
【0054】
次に本発明2の一実施形態について、
図1と
図2に示すホタテ貝を対象として
図3、
図5~6、
図12~14、
図16~18、
図20~21を用いて説明する。
図3に示すように本発明の開殻装置は載置搬送部Iと二面カット部II、貝殻固定・貝柱/貝殻接合切断部IIIと処理貝排出部IVからなり、
図5の流れ(連続送り型I)で開殻処理を行う。本発明1の切断装置により
図12に示す二面カットされて二つの開口部ができた貝Shが搬送コンベアーにより台皿7に載ったまま貝殻固定・貝柱/貝殻接合切断部IIIに搬送され、
図6、
図13~14に示すように、当該貝ShがナイフB21を挿入する位置に到達する少し前より、コンベアーチェーンの上方の装置機枠にシリンダー部B11が可動部の飛び出す方向が台皿方向となるよう軸CB1を介して回転自在に取付られた貝固定ユニットB1が可動部B12を押し出し、可動部先端の貝押し付け部材B12eを介して二面カット後の貝Shを台皿7に押し付け、コンベアーによる搬送を妨げない程度に支持する。なお、貝固定ユニットB1は、
図16に示すように軸CB1を中心に回転自在となっており、貝を台皿7に押し付けながらも搬送に伴いMRsp方向に回転し、当該貝が貝固定ユニットB1から十分離れた所で可動部を引戻すと同時に自重と戻りバネB13の復元力により貝Shの支持を開始した前の状態に戻る。
【0055】
貝固定ユニットB1による貝Shの台皿7への支持状態で当該貝Shの搬送が継続する中、
図14に示すように、二面切断済貝Shがナイフ押し込みを開始する適度な位置に到達した時に、押し出し方向に前傾するように装置の機枠にシリンダー部B22が固定されたナイフ押し込みユニットB2のナイフ押し戻しシリンダーB22によりナイフB21を別途装置の機枠に固定されたナイフガイドB23の拘束を受けつつ押し出し、開口部面の略垂直方向の貝内部側へにナイフB21を挿入し、押し出されたナイフB21の先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、後退させることで、コンベアーによる貝の移動とナイフ挿入・引戻によりナイフの貝に対する移動軌跡は
図18に示すMnpようになり貝柱と貝殻との接合部を確実に切断処理することができる。
【0056】
貝柱が切断された後の貝Sfは、コンベアー搬送が続いている中、
図14に示すようにナイフ押し込みユニットB2のナイフ押し戻しシリンダーB22によりナイフB21を退避位置まで後退させ、二面切断後の貝固定ユニットB1のシリンダーにより可動部B12を退避させ貝押し付け部材B12eを貝殻から引き離した後に、本実施例では、
図21に示すように、処理が終わった貝は搬送され処理済貝排出部IVのコンベアー端に達し、ベルト上の台皿が傾斜した所で排出スロープ13に乗り移り、スロープの機能により排出スロープ13の延長上に設置する処理済開回収ボックスPCに集められる。この装置により、搬送から貝殻の二面切断、貝柱と貝殻の結合部の切断、処理済貝の排出までを搬送コンベアーを停止せず連続的に行うことができ、処理能力の向上が図られる。なお、貝殻処理が終わった貝は次工程へのつなぎ準備として別機構によりコンベアー上からピックアップするかもしくは別コンベアーへ移設しても良い。
【0057】
次に本発明3の一実施形態について、
図1と
図2に示すホタテ貝を対象として
図3、
図5~6、
図12~14、
図17、
図19~21を用いて説明する。
図3に示すように本発明の開殻装置は載置搬送部Iと二面カット部II、貝殻固定・貝柱/貝殻接合切断部IIIと処理貝排出部IVからなり
図5に示す流れ(ナイフ挿入中コンベアー停止型)で開殻処理を行う。本発明1の切断装置により
図12に示す二面カットされて2つの開口部ができた貝Shが、搬送コンベアーにより台皿7に載ったまま貝殻固定・貝柱/貝殻接合切断部IIIに搬送され、
図6、
図13~14に示すように、当該貝ShがナイフB21を挿入する位置に到達した所で搬送コンベアーを一旦停止し、コンベアーチェーン9の上方の装置機枠に可動部の飛び出す方向が台皿方向となるようにシリンダー部が固定された貝固定用ユニットB1のシリンダーB11により可動部B12を押し出し、可動部先端の貝押し付け部材B12を介して二面カット後の貝Shを台皿7に押し付け固定する。その後、
図14に示すように、押し出し方向に前傾するように装置の機枠にシリンダー部B22が固定されたナイフ押し込みユニットB2のナイフ押し戻しシリンダーB22によりナイフB21を別途装置の機枠に固定されたナイフガイドB23の拘束を受けつつ押し出し、開口部面の略垂直方向の貝内部側にナイフB21を貝内部に挿入し、押し出されたナイフB21の先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、後退させ、ナイフ挿入によりナイフの貝に対する移動軌跡は
図19に示すMnpようになり、貝柱と貝殻との接合部を切断処理することができる。貝柱が切断された後の貝Sfは、
図14に示すようにB2のナイフ押し戻しシリンダーB22によりナイフB21を退避位置まで後退させ、その後、搬送コンベアーを再動させ、本実施例では、
図21に示すように、処理済貝排出部IVのコンベアー終端部でベルト上の台皿7に傾斜が付いた所で排出スロープ13に乗り移し、スロープ13の機能により排出スロープの延長上に設置する処理済貝回収ボックスPCに集められる。なお、処理が終わった貝は次工程へのつなぎ準備として別機構によりコンベアー上からピックアップするかもしくは別コンベアーへ移設されても良い。
【0058】
次に本発明4の一実施形態について、
図1と
図2に示すホタテ貝を対象として
図4~6、
図12、
図15、
図17~18、
図20~21を用いて説明する。
図4に示すように本発明の開殻装置は載置搬送部Iと二面カット部II、貝柱/貝殻接合切断部III’と処理貝排出部IVからなり
図5の流れ(連続送り型II)で開殻処理を行う。本発明1の切断装置により
図12に示す二面カットされて二つの開口部ができた貝Shが押下機構PMでの押下状態のまま、搬送コンベアーにより台皿7に載ったまま貝柱/貝殻接合切断部III’に搬送される。
【0059】
その後、
図6に示すように切断機構の搬送方向下流のナイフ押し込み機構が配置された所で、押下機構PMによる当該貝Shの台皿7への支持状態が継続する中、
図15に示すように、二面切断済貝Shがナイフ押し込みを開始する適度な位置に到達した時に、押し出し方向に前傾するように装置の機枠にシリンダー部B22が固定されたナイフ押し込みユニットB2のナイフ押し戻しシリンダーB22により、ナイフB21を別途装置の機枠に固定されたナイフガイドB23の拘束を受けつつ押し出し、開口部面の略垂直方向の貝内部側へにナイフB21を挿入し、押し出されたナイフB21の先端を上か下一方の貝殻内面を滑らせながら他方の開口に向けて貝を貫通するまで進行させ、その後、後退させることで、コンベアーによる貝の移動とナイフ挿入・引戻によりナイフの貝に対する移動軌跡は、本発明2と同様に
図18に示すMnpようになり、貝柱と貝殻との接合部を確実に切断処理することができる。
【0060】
貝柱が切断された後の貝Sfは、コンベアー搬送が続いている中、
図15に示すようにナイフ押し込みユニットB2のナイフ押し戻しシリンダーB22によりナイフB21を退避位置まで後退させ、本実施例では、
図21に示すように、処理が終わった貝Sfは搬送され処理済貝排出部IVのコンベアー端に達し、ベルト上の台皿が傾斜した所で排出スロープ13に乗り移り、スロープの機能により排出スロープ13の延長上に設置する処理済開回収ボックスPCに集められる。この装置により、搬送から貝殻の二面切断、貝柱と貝殻の結合部の切断、処理済貝の排出までを搬送コンベアーを停止せず連続的に行うことができ、処理能力の向上が図られる。なお、貝殻処理が終わった貝は次工程へのつなぎ準備として別機構によりコンベアー上からピックアップするかもしくは別コンベアーへ移設しても良い。
【符号の説明】
【0061】
S 原料貝
Su 上貝殻
Sb 下貝殻
1 貝柱
2 えら
3 外とう膜
4 精巣(卵巣)
5 中腸腺
6 靭帯(蝶つがい)
I 載置搬送部
II 二面カット部
III 貝殻固定(支持)・貝柱/貝殻接合切断部
III’ 貝柱/貝殻接合切断部
IV 処理貝排出部
7 台皿
8 ガイド板
9 搬送コンベアーチェーン
10 押し付けベルト
11 切断刃
11-b 切断刃(帯状)
11-w 切断刃(線状)
12 押し付け力調整シリンダー
13 排出スロープ
PM 押下機構
Cp 押下機構PMの回転中心
MT コンベアー搬送
MR1 押下機構の押し付けベルトの回転
MR2 押下機構の揺動
MR3 切断刃の回転
Mp 押下機構の押し付け力調整シリンダーの出入動作
Sh 二面カット後の貝
Scb 貝柱の上貝殻接続部を切断した後の貝柱を含む内臓が付着した下貝
Scu 貝柱と内臓部が切り離された上貝殻
L1 切断ライン
L2 切断ライン(蝶つがい側)
O1 切断ラインL1に対応する開口
O2 切断ラインL2に対応する開口
B1 貝固定ユニット
B11 貝固定ユニットのシリンダー部
B12 貝固定ユニットの可動部
B12e 貝固定ユニットB1のシリンダー可動部の先端に固定された貝押し付け部材
B13 貝固定ユニット復元バネ
B2 ナイフ押し込みユニット
B21 ナイフ
B22 ナイフ押し戻しシリンダー
B23 ナイフガイド
CBl 貝固定ユニットB1の回転支持中心
Msp 貝を固定または支持する押圧動作
MRsp 貝固定ユニットB1の回転動作
Mc ナイフ押し込み・戻し動作
Mnp 切断時のナイフの貝に対する軌跡
Sf 処理済貝
PC 処理済貝回収ボックス
Sst 台皿に載置された貝
Scst 台皿に載置された二面カットされた後の貝
FM コンベアー機構
CM 切断機構
【要約】
【課題】帆立貝等二枚貝を人手などで簡便に載置して一方の貝殻と貝柱との結合部を連続で切断して開殻する装置を提供する。
【解決手段】
本発明の装置は、載置搬送部Iと、二面カット部II、貝殻固定・貝柱/貝殻接合切断部IIIもしくは貝殻固定・貝柱/貝殻接合切断部III’、処理貝排出部IVからなり、搬送部のコンベアーチェーン上に結合されている台皿上に二枚貝を載置することで、当該貝が、コンベアー上部の押下機構により台皿に押し付けられたまま、搬送下流の切断機構に送り込まれ、蝶つがいを切除するように貝端部に二面の開口を形成し、開口形成位置下流で貝固定ユニット等により当該貝を台皿上に支持し、コンベアーチェーンの移動で当該貝が移動する中、ナイフ押し込みユニットにより一方の開口部面からナイフを貝内部に挿入し、ナイフを進行・後退させることで、貝柱と貝殻との接合部を切断する二枚貝開殻装置。
【選択図】
図3