(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】束ね具
(51)【国際特許分類】
B65B 67/00 20060101AFI20241218BHJP
B65B 27/08 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B65B67/00 A
B65B27/08 Z
(21)【出願番号】P 2024073287
(22)【出願日】2024-04-29
【審査請求日】2024-05-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721004880
【氏名又は名称】鍛治 由里子
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 由里子
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-069607(JP,U)
【文献】特開2024-011242(JP,A)
【文献】特開2024-014650(JP,A)
【文献】特開2005-186998(JP,A)
【文献】米国特許第09120586(US,B1)
【文献】登録実用新案第3233379(JP,U)
【文献】特開昭60-108197(JP,A)
【文献】特開2013-129450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 67/00
B65B 13/18
B65B 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を束ねることが可能な
本体と棒状体からなる束ね具であって、
ネジ孔が形成された一端と、他端が互いに対向する位置に配置され、両端部が互いに離間又は近接する方向に移動可能で、可撓性を有しない材質からからなる本体と、
本体の一端側から他端側に延び、基端側が本体のネジ孔に螺合した棒状体と、を備え、
紙を棒状体の先端と本体の他端との間に配置し、棒状体の基端側を回すことで、棒状体の先端が、紙を貫通し、本体の他端側に近接することを特徴とする束ね具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙を束ねて保管・運搬することが可能な束ね具に関する。
【背景技術】
【0002】
企業や家庭などでは現在宅配などの運搬に用いられる容器として段ボール箱が一般的に用いられ、運搬後は廃棄する必要があるが、その段ボール箱は潰して平べったくしてもそのままでは持ち運ぶことが不便で、特に家庭内などでは特定の日に段ボールの回収があるが、その時まで段ボール板を保管する必要があり、特に枚数が増えてくると置き場に困ることが多い。段ボールやそれ以外の紙束(以下、段ボール等という)の置き場は倉庫があればよいが、なければ居間やキッチン、玄関などのスペースに置くことになり、その際立てかけておくのがスペースを取らないが、滑るためビニール紐でいちいち縛る必要があり、保存するのも苦痛である。
【0003】
先行文献1には穿孔結束器具が開示されている。この技術は段ボールを廃棄のために結節する際に先端が鋭利で、かつフック用切り込みを有するポールとそれを支えるベースからなる穿孔し、紐で結束するための器具であり、使用時には束ねた段ボール紙突き刺し、貫通後段ボール板を貫通したポールの先端のフック用切れ込み部に紐を引っ掛け、引き抜くことにより紐を段ボール板に貫通させ、結節することで段ボール板を纏めることができるというものである。貫通した後はさらに段ボール板を纏めるためにポールの先端部に安全キャップを設けるということも開示されている。しかしながら、このようなポールでは運搬時や保管時にはいちいち段ボール板を掴む必要があり、滑ってしまうという問題点がある。さらに、このようなポールは使用時には先端が鋭利であるため、怪我をする可能性が高く、特に家庭で子供がいる環境では安全上使用することができない、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ダンボール等を安全に結節、運搬、立てかけて保管可能な束ね具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(1)紙を束ねることが可能な束ね具であって、
軸形状に形成され、少なくとも2つの端部において、ネジ孔が形成された一端と他端が互いに対向する位置に配置されている本体と、
本体の一端側から他端側に延び、基端側が本体のネジ孔に螺合した棒状体と、を備え、
紙を棒状体の先端と本体の他端との間に配置し、棒状体の基端側を回すことで、棒状体の先端が、紙を貫通し、本体の他端側に近接させることを特徴とする束ね具
(2)本体は、複数の部材を備え、
複数の部材は、本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動可能に連結されていることを特徴とする(1)に記載の束ね具
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば段ボール等を複数枚、まとめて保管でき、まとめる紙や段ボール等を棒状体の先端と本体の他端との間に配置し、棒状体の基端側を回すことで、棒状体の先端が、徐々に段ボール等を貫通するため、勢い余って棒状体の先端で指や皮膚を突いたりする怪我を防ぐことができ、段ボール等を安全に保管、運搬することができる。また、棒状体を回すことで少ない力(女性や子供、高齢者等が該当)で貫通させることができるため簡単に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態の束ね具は、段ボール等を束ねて保管し、運搬する際に用いられる。
束ね具は、C型もしくは同等の役目をする形(F型等)のフレームの取っ手1(本体)と、取っ手1のネジ機構(本体のネジ孔)を備えた一端にはネジ機構を貫通して他端にまで届く1本または複数本の棒状体2を有し、該棒状体2の少なくとも1本の先端には紐を引っ掛けるための凹部を有し、該棒状体2の他端にはネジ機構を稼働させるハンドル3を有し、取っ手1(本体)の他端部には該棒状体2の先端と連結される固定部4を有し、取っ手1(本体)は複数の部材を備え、複数の部材は、本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動可能に連結されていることを特徴とする。棒状体は先端が先細り形状をしていることが好ましく、先端が鋭利でとんがっている棒状体であることが好ましい。また、材料は金属であることが耐久性の面から好ましく、具体的には鉄やステンレス、銅等であることが好ましい。材料としては錆が発生しにくいステンレスが最も好ましい。
【0010】
束ね具は、段ボール等を安全に棒状体2で突き刺し、取っ手1でもって一体化することによりまとめ、取っ手1で持ち運びでき、束ね具を複数個用いる事により立てかけて保管でき、簡単に運搬でき、紐で結節することが可能な束ね具である。束ね具の取っ手1は先端が棒状体2から構成されていることに特徴がある。
【0011】
取っ手1はC型クランプと同様のコの字の形状又はアーチ型形状をしているのが好ましいが同様の役割を果たすものであれば
図2に示すハート型、星形などどのような形でもよい。取っ手1の両先端部の距離は10~20センチが好ましい。両先端部の距離は10センチより小さいと作業がしづらく、まとめる段ボール等の枚数が少なくなり、20センチより大きいと段ボール等を持ち運ぶ際の枚数が多くなり、重くなる可能性があり、段ボール等の枚数が少ないときは結節した段ボール等がぶらぶらと不安定に移動し結節作業がしづらい。取っ手1の材質は木材、金属材、プラスチック材など、固定できるものであれば何でもよいが、耐久性から金属材が好ましい。
【0012】
取っ手1の一端には1本又は複数本のネジ機構を備えた棒状体2を設けてある。棒状体2は径が0.5~1センチの円柱状、もしくは多角柱、円錐状、円筒状などの金属を用いることができる。棒状体2の先端は段ボール等の材料を貫通する形であればなんでも良いが鋭利で尖っていることが好ましい。棒状体2の先端の角度は30度以下、好ましくは15度以下、最も好ましくは10度以下である先細り形状が好ましく、段ボール等を穿孔させるためには鋭利にとがっていることが好ましい。
【0013】
棒状体2の先端よりすこし離れた位置に凹部を設けるのが好ましい。この凹部でもって紐を引っ掛けて紐を貫通させた段ボール等を通過させ紐を引き抜き結節することができる。凹部は紐がひっかかる形状ならばどのような形状であってもよい。
【0014】
棒状体2の先端の他端にはネジ機構を操作するためのハンドルを有する。ハンドルは、ネジ機構を回転させ、棒状体2の先端が本体の他端側に離間・固定又は近接可能にするためのものであればつまみ状、棒状など形状は問わない。ハンドルの材質は木材、金属材、プラスチック材などなんでも良いが、耐久性から金属材が好ましい。近接可能とは棒状体の先端が他端側に近づくことが可能であることを意味する。
【0015】
取っ手1の他端側には該棒状体2の先端を収める固定部を有することが好ましい。固定部は取っ手1の他端部と棒状体2の先端が固定できればどんな形状でも良いが、段ボール等を貫通させたあと保管、運搬する際にずれることのない形状であることが好ましい。特に棒状体の先端部を収納・固定できる構造であることが最も好ましい。
【0016】
取っ手1の本体は複数の部材を備え、複数の部材は、本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動可能に連結部5で連結されている。本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動可能にするための連結部5は、棒状体2に貫通させた段ボール等をスムーズに棒状体2から抜き取ることができるような位置にあればどこでも良いがスムーズに本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動可能にするためには複数の部材が蝶番などによって連結するか、複数の部材が互いに接し、スライドするように移動可能に連結する形状であることが好ましい。
【0017】
また本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動可能にするための連結部5には段ボール等を保管、運搬する際に本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動をしないように固定できるような手段を備えても良い。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明に係る束ね具の実施例である。
図1において、鉄の素材でC型の形をした取っ手1の一端には他端まで届く長さ15センチのネジ機構を備えた一本の棒状体2からなり、該棒状体2の他端にはネジ機構を回転させるための先端に長さ5センチ、径が約3ミリメートルのハンドル3を設け、取っ手1の他端には該棒状体2の他端側に長さ4ミリメートルの円筒状の凹みを有する固定部4を設け、取っ手1の本体は2つの部材を備え、2つの部材は、本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向に移動可能な蝶番による連結部5を設け、該棒状体2の先端は紐を引っ掛けるための凹部6を設けてあり、棒状体の先端部は針状に鋭利にとがらせた。この構造により10枚の段ボール板を揃えて棒状体で突き刺すことにより束ね具として保管することが出来た。更に突き刺した棒状体の先端にある凹部にビニール紐を引っかけて引き抜くことにより紐を段ボール中を通すことが出来、結節して纏めて回収に出すことが出来た。束ね具として使用中はいつでも追加の段ボール等を追加して束ねられることが可能出るという便利さが確認できた。
【実施例2】
【0019】
図2は本発明に係る束ね具の別の実施例を示す。
図2においては、鉄の素材でハート型の形をした取っ手1aの一端には他端まで届く長さ15センチのネジ機構を備えた一本の先細り棒状体2を有し、該棒状体2の他端にはネジ機構を操作するためのハートのつまみ様のハンドル3aを有し、取っ手1aの他端には該棒状体2の先端を固定する固定部4を有し、取っ手1の一部には開閉するための連結部5を有し、該棒状体2の先端は紐を引っ掛けるための凹部6を有する構造である。ネジ機構を操作することにより少ない力で段ボール等を穿孔でき、先端付近にある凹部に紐を引っ掛けることにより結束することができる。
【実施例3】
【0020】
図3は本発明に係る束ね具の別の実施例を示す。
図3においては、鉄の素材でC型の形をした取っ手1の一端には他端まで届く長さ15センチほどで基端より途中までネジ機構を備え、先端が鋭利でない一本の棒状体2aを有し、該棒状体2aの他端にはネジ機構を操作するためのハンドル3を有し、取っ手1の他端には該棒状体2aの先端が収まるくぼみ状の固定部4を有し、取っ手1の一部には開閉するための連結部5を有し、該棒状体2aの先端は紐を引っ掛けるための凹部6aを有することを特徴とする束ね具としている。開閉部の位置を変えても取っ手1の両端距離を簡単に変更できるため、より簡単に段ボール等を穿孔結束することができる。
【実施例4】
【0021】
図4は本発明に係る別の束ね具の実施例を示す。
図4においては、取っ手1bの一端には他端まで届くネジ機構を備えた一本の棒状体2を有し、該棒状体の他端にはネジ機構を操作するための木製のハンドル3bを有し、取っ手1bの他端には該棒状体2の先端を固定する固定部4aを有し、取っ手1b本体には本体の一端と他端が、互いに離間又は近接する方向にスライドして移動可能にし、2つの部材が互いに接する連結部5aを有し、該棒状体の先端は紐を引っ掛けるための凹部6を有することを特徴とする束ね具とする。
図4のようにF型取っ手とすることによりC型取っ手とは異なり、取手を持つ位置を自由に変更でき、穿孔、結束、運搬作業がより簡単に行うことができる。
【実施例5】
【0022】
図5は本発明に係る束ね具の別の実施例を示す。
図5において、鉄の素材でC型の形をした取っ手1cの一端には他端まで届く長さ18センチほどのネジ機構を備えた2本の棒状体2を有し、該棒状体2の他端にはネジ機構を操作するためのつまみ状のハンドル3cを有し、取っ手1cの他端には該棒状体2の先端を固定する固定部4を有し、取っ手1cの一部には開閉するための連結部5を有し、該棒状体2のうち少なくとも一本の棒状体2の先端は紐を引っ掛けるための凹部6を有することを特徴とする束ね具とする。棒状体を複数にすることにより段ボール等を運搬する際に重量による落下を防止し、段ボール等の破損を防止できる効果を有する。
【符号の説明】
【0023】
1 取っ手
1a 取っ手
1b 取っ手
1c 取っ手
2 棒状体
2a 棒状体
3 ハンドル
3a ハンドル
3b ハンドル
3c ハンドル
4 固定部
4a 固定部
5 開閉するための連結部
5a 開閉するための連結部
6 棒状体の凹部
6a 棒状体の凹部
【要約】
【課題】
本発明は、段ボール等を安全に結節、運搬、保管可能な束ね具を提供することを課題とし、家庭などで不要となった段ボール等を纏めて保管し、廃棄時には必要に応じビニール紐などで簡単に結節、運搬するための束ね具を提供する。
【解決手段】
紙を束ねることが可能な束ね具であって、軸形状に形成され、少なくとも2つの端部において、ネジ孔が形成された一端と他端が互いに対向する位置に配置されている本体と、本体の一端側から他端側に延び、基端側が本体のネジ孔に螺合した棒状体とを備え、紙を棒状体の先端と本体の他端との間に配置し、棒状体の基端側を回すことで、棒状体の先端が、紙を貫通し、本体の他端側に近接することを特徴とする束ね具とする。
【選択図】
図1