(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20241218BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D33/25 A
(21)【出願番号】P 2020211565
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2020112984
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】末岡 正章
(72)【発明者】
【氏名】森岡 舜
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-001550(JP,A)
【文献】特開2010-036968(JP,A)
【文献】特開2017-081593(JP,A)
【文献】特開2005-178813(JP,A)
【文献】特開2008-285190(JP,A)
【文献】特開2020-033026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋であって、
前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、
前記周面部は、互いに対向する前面部及び背面部を備え、且つ上方に開口した開口部を備え、
前記周面部には、前記開口部を開閉可能に構成された開閉部材と、前記包装袋を開封するための開封部を備え、
前記開封部は、前記開閉部材よりも前記底面部に近い位置に設けられ、
前記開封部において前記周面部を周方向に裂いて前記開封部よりも上側の切り取り部を除くことによって得られる容器状の本体部が、前記包装袋内の内容物を食べる際に使用する食器として利用され、
前記前面部の上端には、上方に向かって突出する第1突出部が設けられ、
前記背面部の上端には、上方に向かって突出する第2突出部が設けられ、
前記内容物を充填する際及び前記内容物の充填後において、前記第1突出部と前記第2突出部とが溶着されて
おらず、
前記内容物を収容した後に、前記包装袋の上側を溶着することなく前記開閉部材によって閉塞するように構成された、包装袋。
【請求項2】
可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋であって、
前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、
前記周面部は、互いに対向する前面部及び背面部を備え、且つ上方に開口した開口部を備え、
前記前面部と前記背面部とは側端溶着部において溶着され、
前記周面部には、前記開口部を開閉可能に構成された開閉部材と、前記包装袋を開封するための開封部を備え、
前記開封部は、前記開閉部材よりも前記底面部に近い位置に設けられ、
前記開封部において前記周面部を周方向に裂いて前記開封部よりも上側の切り取り部を除くことによって得られる容器状の本体部が、前記包装袋内の内容物を食べる際に使用する食器として利用され、
前記内容物を充填する際及び前記内容物の充填後において、前記前面部及び前記背面部の
側端における上端近傍において、前記側端溶着部が設けられていない未溶着部が設けら
れ、
前記内容物を収容した後に、前記包装袋の上側を溶着することなく前記開閉部材によって閉塞するように構成された、包装袋。
【請求項3】
請求項2に記載の包装袋であって、
前記開閉部材及び前記側端溶着部で囲まれた領域
でかつ前記包装袋の上端と前記開閉部材との間の領域に、前記包装袋内の内容物を食べる際に使用する道具を収容する道具収容部が形成される、包装袋。
【請求項4】
請求項1~請求項
3の何れか1つに記載の包装袋であって、
前記底面部と、前記前面部と、前記背面部が互いに溶着されて前記袋状となる、包装袋。
【請求項5】
請求項
4に記載の包装袋であって、
前記包装袋は、前記包装袋の左右方向の中央部の下端である中央部下端では、前記包装袋の左右方向の側部の下端である側部下端よりも前後方向に大きく開くように構成される、包装袋。
【請求項6】
請求項1~請求項
5の何れか1つに記載の包装袋であって、
前記開閉部材は、互いに係合可能な前面側係合部材と背面側係合部材を備え、
前記前面側係合部材は、前記前面部の内面側に固定され、
前記背面側係合部材は、前記背面部の内面側に固定される、包装袋。
【請求項7】
請求項1~請求項
6の何れか1つに記載の包装袋であって、
前記周面部には、内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部が設けられる、包装袋。
【請求項8】
請求項
7に記載の包装袋であって、
前記開封部は、前記蒸気抜きシール部よりも前記底面部に近い位置に設けられる、包装袋。
【請求項9】
請求項1~請求項
8の何れか1つに記載の包装袋であって、
前記開封部は、前記周面部を引き裂く際の起点となる引裂開始部を備える、包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、開閉可能な咬合部を有する電子レンジ用包装袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装袋では、咬合部を開いて、加熱したい内容物を包装袋内に収容することによって、任意の内容物を加熱することが可能になっている。特許文献1の構成では、内容物を加熱した後に、咬合部を開いて形成した開口部を通じて、内容物を食器に移し替えて食することが想定されている。
【0005】
しかし、このような構成では、内容物を食器に移し替える際に、内容物が咬合部に引っかかって内容物を移し替えにくい場合がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、包装袋内に内容物を容易に収容することができ、かつ加熱後に内容物を容易に食することが可能な電子レンジ用包装袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用包装袋であって、前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、前記周面部は、互いに対向する前面部及び背面部を備え、且つ上方に開口した開口部を備え、前記周面部には、前記開口部を開閉可能に構成された開閉部材と、前記包装袋を開封するための開封部を備え、前記開封部は、前記開閉部材よりも前記底面部に近い位置に設けられ、前記開封部において前記周面部を周方向に裂いて前記開封部よりも上側の切り取り部を除くことによって得られる容器状の本体部が、前記包装袋内の内容物を食べる際に使用する食器として利用される、包装袋が提供される。
【0008】
本発明の包装袋は、開閉部材によって開閉可能に構成されているので、包装袋内に内容物を容易に収容することができる。また、収容した内容物を加熱した後は、開封部において周面部を周方向に切り裂いて開封部よりも上側の切り取り部を除くことによって得られる容器状の本体部を食器として利用されるように構成されている。開閉部材は切り取り部に設けられているので、開封の際に取り除かれる。このため、内容物を食する際に開閉部材が邪魔になることがなく、内容物を容易に食することができる。
【0009】
本発明の包装袋は、包装袋内に内容物を収容した後に、ヒートシール装置を用いることなく、包装袋の上側を閉塞することができる。従って、例えば、飲食店などが食品を包装袋に収容した後に開閉部材を閉じて販売するというテイクアウトの形態において好適に用いることができる。
【0010】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記底面部と、前記前面部と、前記背面部が互いに溶着されて前記袋状となる、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記包装袋は、前記包装袋の左右方向の中央部の下端である中央部下端では、前記包装袋の左右方向の側部の下端である側部下端よりも前後方向に大きく開くように構成される、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記開閉部材は、互いに係合可能な前面側係合部材と背面側係合部材を備え、前記前面側係合部材は、前記前面部の内面側に固定され、前記背面側係合部材は、前記背面部の内面側に固定される、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記前面部の上端には、上方に向かって突出する第1突出部が設けられ、前記背面部の上端には、上方に向かって突出する第2突出部が設けられている、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記前面部は、前面下部と前面上部を備え、前記前面下部は、前記底面部に溶着され、前記前面下部と前記前面上部は、互いに折り返された状態で重ね合わされて形成された合掌部において溶着される、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記合掌部は、前記前面部の上端側に倒された状態で前記前面部の上端から突出する第3突出部を備える、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記周面部には、内圧上昇に伴って蒸気流路を形成する蒸気抜きシール部が設けられる、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記開封部は、前記蒸気抜きシール部よりも前記底面部に近い位置に設けられる、包装袋である。
好ましくは、前記記載の包装袋であって、前記開封部は、前記周面部を引き裂く際の起点となる引裂開始部を備える、包装袋である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、本発明の第1実施形態の包装袋1内に内容物が収容された状態の斜視図である。
図1Bは、開封された状態における包装袋1の斜視図である。
【
図4】底面部2を構成する底部フィルム20aの斜視図である。
【
図5】
図5Aは、周壁フィルム20bの側面図である。
図5Bは、周壁フィルム20bの一部を切断し、切断箇所に底部フィルム20aを挿入した状態を示す図である。
【
図6】
図6Aは、周壁フィルム20bおよび底部フィルム20aを溶着して包装袋1を製造する様子を示す図であり、
図6Bは、前面部3と背面部4の間に開閉部材23を挿入した状態の図である。
【
図7】
図7Aは、包装袋1の中央部下端を前後方向に大きく開いた状態での底面部2の拡大図である。
図7Bは、
図2の包装袋1の下端近傍の詳細図である。
【
図8】
図8Aは、本発明の第2実施形態の包装袋1の斜視図であり、
図8Bは、
図8Aの包装袋1の開口部22を開いた状態を示す。
【
図9】本発明の第3実施形態の包装袋1の斜視図である。
【
図11】本発明の第5実施形態の包装袋1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0013】
1.第1実施形態
1-1.包装袋1の構成
図1~
図3に示すように、本発明の実施形態における包装袋1は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された自立式の電子レンジ用の包装袋である。包装袋1は、底面部2と、底面部2から立ち上げるように設けられた周面部21を備える。周面部21は、互いに対向する前面部3および背面部4を備え、かつ上方に開口した開口部22を備える。前面部3および背面部4は、その左右方向の端部(以下、側端ともいう)において互いに溶着されている。底面部2は、前面部3および背面部4と溶着(ヒートシール)されている。このように、底面部2と、前面部3と、背面部4が互いに溶着されることによって、フィルムが袋状となっている。
【0014】
本開示では、
図2の上下左右を包装袋1の上下左右として説明する。具体的には、底面部2側を下側、前面部3(および背面部4)側を上側とする。また、前面部3を手前に配置したときの左右を、包装袋1の左右とする。さらに、前面部3側を前側、背面部4側を後側とする。
【0015】
前面部3は、前面下部3aと前面上部3bを備える。前面下部3aは、底面部2に溶着されている。
図3に示すように、前面下部3aと前面上部3bは、互いに折り返された状態で、前面下部3aと前面上部3bの内面同士を重ね合わされて形成された合掌部10において溶着されている。
【0016】
図1~
図3に示すように、包装袋1の周面部21には、開閉部材23と開封部24が設けられている。
【0017】
図3に示すように、開閉部材23は、開口部22を開閉可能に構成されている。開閉部材23は、互いに係合可能な前面側係合部材23aと背面側係合部材23bを備える。前面側係合部材23aは、前面部3の内面側に固定される。背面側係合部材23bは、背面部4の内面側に固定される。係合部材23a,23bは、それぞれ、前面部3及び背面部4に溶着することによって固定することが好ましい。
【0018】
図3Cに示すように、前面側係合部材23aは、基部23a1と、基部23a1から突出するフック部23a2を備える。背面側係合部材23bは、基部23b1と、基部23b1から突出するフック部23b2を備える。基部23a1,23b1がそれぞれ前面部3及び背面部4に固定される。フック部23a2,23b2は、互いの係合及び係合解除が可能になっている。
図3Bに示すようにフック部23a2,23b2が係合されることによって開口部22が閉じられ、
図3Cに示すようにフック部23a2,23b2の係合が解除されることによって開口部22が開かれる。
【0019】
基部23a1は、その全面が前面部3に溶着されていてもよいが、基部23a1のうちの下側の一部に、前面部3に溶着されていない未溶着部が設けられていることが好ましい。この場合、包装袋1が加熱されて包装袋1の内圧が上昇して包装袋1が膨らんだときに開閉部材23を開く方向の力が開閉部材23に加わりにくくなり、開閉部材23からの蒸気漏れが抑制される。未溶着部は、基部23a1の下端からフック部23a2に上端にまで延在するように設けることが好ましい。言い換えると、基部23a1は、フック部23a2よりも上側の部位のみにおいて前面部3に溶着されることが好ましい。なお、未溶着部は、基部23a1に設ける代わりに、基部23b1に設けてもよく、基部23a1,23b1の両方に設けてもよい。
【0020】
開封部24は、包装袋1を開封するための部位であり、本実施形態では、開封部24は、周面部21を引き裂く際の起点となる引裂開始部24aと、開封箇所を切り取る部位を示す線が印刷された切り取り線24bを備える。包装袋1は、引裂開始部24aを起点にして周面部21を引き裂くことによって開封してもよく、ハサミなどの切断具を用いて切り取り線24bに沿って周面部21を切断することによって開封してもよい。引裂開始部24aは、周面部21の引き裂きを容易にする部位であり、例えば切り欠きや切り込みによって構成される。引裂開始部24aと切り取り線24bの一方は省略可能である。また、開封部24は、包装袋1の開封を可能にする別の構成であってもよい。例えば、切り取り線24bの代わりに、周面部21の周方向に延びるハーフカットのラインを設けたり、周面部21の周方向に延びるように帯状フィルムを配置してもよい。帯状フィルムは、周面部21に溶着され、帯状フィルムの端部を把持して引っ張ることによって周面部21を帯状フィルムに沿って切り裂くことを可能にするものである。
【0021】
包装袋1は、開封部24を境界にして、上下方向における上側の切り取り部5と、下側の本体部6を備える。開封部24において周面部21を周方向に裂いて開封部24よりも上側の切り取り部5を除くことによって容器状の本体部6が得られる。
図1Bに示すように、本体部6には、開口7が形成されている。本体部6は、包装袋1内の内容物を食べる際に使用する食器として利用される。
【0022】
開封部24は、開閉部材23よりも底面部2に近い位置に設けられる。つまり、開閉部材23は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、開閉部材23も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に開閉部材23が邪魔になることがない。
【0023】
開封部24は、合掌部10よりも底面部2に近い位置に設けられる。つまり、合掌部10は、切り取り部5に設けられる。このため、開封の際に切り取り部5を除くと、合掌部10も一緒に除かれる。従って、内容物を食べる際に合掌部10が邪魔になることがない。
【0024】
図2は、包装袋1を平面視において示す図である。平面視とは、包装袋1内に内容物が含まれていない状態で包装袋1を平たくし、その状態で包装袋1の前面部3に垂直な方向から見ることを意味する。
図2に示すように、包装袋1は、左右方向の中心線を基準として線対称となるように形成されている。
【0025】
包装袋1には、蒸気抜きシール部11が形成されている。蒸気抜きシール部11は、合掌部10に設けられている。蒸気抜きシール部11は、他の溶着部よりも溶着強度が低い溶着部である。蒸気抜きシール部11では、包装袋1を加熱することにより内部に発生した蒸気によって包装袋1内の内圧が上昇すると、それに伴って蒸気流路が形成される。包装袋1内の蒸気は、蒸気抜きシール部11から外部へ排出される。
【0026】
切り取り部5の上下方向の長さH1は、たとえば6~10cmとすることができる。本体部6の上下方向の長さH2は、たとえば6~14cmであり、12cm以下が好ましく、10cm以下がさらに好ましい。これよりも大きくしすぎると、内容物を取り出すのが難しくなる。H1は、具体的には例えば、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。H2は、具体的には例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
さらに、長さH2は、底部フィルム20aの中央線Eから下端までの長さH3よりも長いことが好ましく、H3より2cm以上長いことがさらに好ましい。(H2-H3)の値は、例えば2~8cmであり、具体的には例えば、2、3、4、5、6、7、8cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。(H2-H3)の値が2cm未満の場合には、包装袋1を開封した際の周壁の高さが低くなるため、内容物の量が制限されてしまう。
【0028】
包装袋1の側端には、前面部3と背面部4を溶着する側端溶着部12が設けられている。これにより、前面部3と背面部4は、前後方向に固定されている。さらに、包装袋1の下端には、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着する下端溶着部13が設けられている。
【0029】
下端溶着部13は、中央線Eより下側の領域であって、包装袋1の側端および下端(
図2において、1点鎖線で囲まれた領域)において、底面部2と前面部3、および底面部2と背面部4を溶着している。
【0030】
図4~
図6に示すように、包装袋1は、中央線EにおいてV字形に折り曲げられた底部フィルム20aが、前面部3と背面部4との間に挿入されて製造されている。ここで、底部フィルム20aの中央線Eから下端までの長さH3は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4.5cmとすることができる。上述したように、本体部6は、食器としても使用するため、この程度の大きさがあるのが好ましい。底部フィルム20aの両端には、切り欠けRが形成されている。
【0031】
底部フィルム20aの中央線Eから切り欠けRの下端までの長さr1は、1~3cmが好ましく、より具体的には、1、1.5、2、2.5、3(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば2.5cmとすることができる。
【0032】
切り欠けRの直径は、1~4cmが好ましく、より具体的には、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば2cmとすることができる。
【0033】
以下、
図5~
図6を参照し、包装袋1の製造手順を簡潔に説明する。
【0034】
まず、
図5Aに示すように、1枚の周壁フィルム20bの端部の内面同士を重ね合わせて重ね合わせ部10aを形成し、
図5Bに示すように、重ね合わせ部10aを溶着することで合掌部10を形成し、残りの部分で楕円状の環Cを形成する。
【0035】
続いて、
図5A~
図5Bに示すように、環Cの一端C1を切断し、V字形に折り曲げられた底部フィルム20aを挿入する。続いて、
図5B~
図6Aに示すように、底部フィルム20aおよび周壁フィルム20bを溶着すると共に、環Cの他端C2を切除することによって、底面部2、前面部3、及び背面部4を形成する。
【0036】
続いて、
図6Bに示すように、環Cの他端C2近傍(前面部3及び背面部4の上端近傍)において、前面部3と背面部4の間に開閉部材23を挿入し、開閉部材23を前面部3と背面部4のそれぞれの内面に溶着することにより、包装袋1が製造される。
【0037】
ここで、底部フィルム20aおよび周壁フィルム20bは、基材層とシーラント層を有する積層フィルムであることが好ましく、基材層とシーラント層の間に接着層、印刷層を備えることがさらに好ましい。
【0038】
基材層は、包装袋1の外表面に露出するように配置され、シーラント層は、包装袋1の内表面に露出するように配置される。シーラント層同士が溶着(ヒートシール)されることによって、溶着部が形成される。
【0039】
基材層は、強度に優れて高い耐衝撃性を有する素材により形成されている。基材層としては、例えば、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられる。より具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等を用いることができる。基材層を構成するフィルムとしては、MD方向(製造時においてフィルムが流れる方向)の直線カット性を有するものが好ましい。最外層となる基材層には、抗菌、抗ウイルス剤(銀イオンなど)を配合しても良い。得に、ブリードアウト性の抗菌、抗ウイルス剤を基材層に練りこんでおくことで、電子レンジで加熱して高温になった際に、基材層の表面の抗菌、抗ウイルス処理がすすみ、電子レンジから取り出す際に衛生的で良い。
【0040】
接着層は、基材層とシーラント層を互いに積層するように接着するための層である。接着方法として例えばポリエチレン等を接着層として用いた押し出しラミネートでもいいし、接着材としてポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接 着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いたドライラミネートでもよい。
【0041】
シーラント層は、溶着性に優れた樹脂で形成可能である。シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂で形成することができ、より具体的には、無延伸ポリプロピレンや直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。シーラント層を構成するフィルムとしては、MD方向の直線カット性を有するものが好ましい。
【0042】
包装袋1の最内面となるシーラント層には、易滑落処理を行ってもよい。易滑落処理は、滑落性を高める処理であり、シーラント層に滑材を混合又は塗布したり、包装袋1の最内面に撥水撥油加工を行ったりすることによって行うことができる。これによって、包装袋1の内面に付着した内容物の滑落性が向上する。易滑落処理は、開封部24の近傍と、切り取り部5に対して行うことが好ましい。この場合、包装袋1を倒した状態で包装袋1を加熱した場合、開封部24や切り取り部5に内容物が移動する場合があり、その場合、包装袋1の開封時に手やハサミが汚れる虞があるが、易滑落処理を行った包装袋1では、包装袋1を立たせた時に内容物が底部に落ちるので、包装袋1の開封時に手やハサミが汚れることが防止される。易滑落処理は、フィルム作成時に行っても良いし、製袋時に行ってもよい。
【0043】
一例として、本実施形態では、基材層:延伸ナイロン(25μm)/印刷層/接着層(ドライラミネート)/シーラント層:LLDPE(60μm)といった構成となっている。なお、基材層とシーラント層との間には、中間層を設けてもよい。中間層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、あるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしは酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルム、あるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムなどを用いることができる。
【0044】
図7Aに示すように、包装袋1は、左右方向における中央部の下端(以下、中央部下端ともいう)では、左右方向における側部の下端(以下、側部下端ともいう)よりも前後方向に大きく開くように構成されている。これは、底部フィルム20aに形成された切り欠けR(
図4参照)において、前面部3と背面部4が直接溶着されることとなり、前面部3と背面部4を前後方向に固定する固定部15が構成されているためである。なお、中央部下端が前後方向に開くことにより、底面部2の中央線Eは包装袋1の下側に引っ張られる。
【0045】
図7Bに示すように、下端溶着部13は、1対の勾配部13aと、中央部13bを備える。勾配部13aは、包装袋1の側端から中央部下端に向けて、勾配をつけて(斜めに)溶着されている箇所である。このように、勾配部13aを設けることにより、中央線Eからの下端溶着部13までの距離が、側端から左右方向中央部に向かうにつれて徐々に大きくなる(W1<W2)。このような構成とすることにより、側部下端においてピンホールが発生することを防ぐことができる。
【0046】
中央部13bは、1対の勾配部13aの間に設けられ、直線状に形成されている。中央部13bを直線状に設けることにより、本体部6を食器として使用しやすくなる。
【0047】
勾配部13aの外側には、エアポケット14が設けられている。エアポケット14は三角形状に形成され、下端溶着部13における溶着で外部に排出しきれなかった空気が残留する空間である。エアポケット14を設けることにより、下端溶着部13内の残留空気がエアポケット14に集まることとなり、溶着の強度が向上する。
【0048】
包装袋1の下端での左右方向の長さL1は、15~25cmが好ましく、18cm以上がさらに好ましい。より具体的には、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば20cmとすることができる。25cmより大きくしすぎると、電子レンジのターンテーブルに収まらなくなる可能性がある。ただし、フラットタイプの電子レンジ向けの包装袋であれば、この限りではない。
【0049】
勾配部13aの左右方向の長さL2は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4cmとすることができる。これよりも小さくしすぎると、中央部下端を前後方向に完全に開くのが難しくなる。
【0050】
中央部13bの左右方向の長さL3は、5~15cmが好ましく、8cm以上がさらに好ましい。より具体的には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば10cmとすることができる。このように、L3の値を設定することにより、底面部2が前後方向に広がった際に、前面部3と背面部4が前後方向の距離が大きくなり、開口7を大きくすることができる。
【0051】
包装袋1の内側における左右方向の長さL4は、10~23cmが好ましく、より具体的には、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、例えば18cmとすることができる。
【0052】
中央線Eから中央部13bの上端までの長さW2は、3~6cmが好ましく、より具体的には、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6(単位:cm)のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、たとえば4cmとすることができる。なお、長さW2は、勾配部13aの左右方向の長さL2と同じ長さとするのがより好ましい。
なお、中央部13bの左右方向の長さL3は、中央線Eから中央部13bの上端までの長さW2に対して、2≦L3/W2≦3であることが好ましく、より具体的には、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0のいずれかの値、または、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内とすることが好ましい。このようにすることで、底面部2を前後方向に広げた際に、載置面に接する底面を広く設けることができる。
さらに、中央線Eから中央部13bの上端までの長さW2は、勾配部13aの左右方向の長さL2に対して、0.5≦W2/L2≦1.7であることが好ましく、より具体的には、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7のいずれかの値、または、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは、0.8≦W2/L2≦1.2であり、さらに好ましくは、0.9≦W2/L2≦1.1である。W2/L2が小さいと、開封時の開口7において、前面部3と背面部4が近くなりやすくなり食器として利用する際の利便性が低下する。一方、W2/L2が大きいと、底面部2を前後方向に広げた際に、勾配部13aよりも内側で折り目が発生し、内容物の取り出しに支障をきたしてしまう。
【0053】
中央線Eから固定部15の上端までの高さH4は、中央線Eから下端までの長さH3に対して、H4/H3≧0.2であることが望ましい。好ましくは、0.5≧H4/H3≧0.2であることが望ましく、より具体的にはH4/H3の値は、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50のいずれかの値であり、また、ここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよい。このように、中央線Eから固定部15までの高さH4を確保することにより、開口7を前後方向に確実に開きつづけておくことが可能となる。
【0054】
中央部13bの上端に対する勾配部13aの角度θの値は、30度~60度とすることが好ましく、より具体的には、30、35、40、45、50、55、60(単位:度)のいずれかの値であり、またここで例示した数値のいずれか2つの間の範囲内であってもよく、より好ましくは45度とすることができる。このように、勾配部13aの角度θを30度よりも大きくすることにより、包装袋1の側端の近傍領域N2間における前後方向の幅Wnを確保することができ、包装袋1の底面を大きく確保できるため、包装袋1の自立安定性が向上する(
図7A参照)。同時に、開封部9を前後方向に広く開口した状態にできるため、食器として利用する際の利便性が向上する。
【0055】
なお、底部フィルム20aは、温度上昇に伴って引張弾性率が低下するものが好ましい。この場合、包装袋1を加熱した際にフィルムが軟化して包装袋1の中央部下端が前後方向に開きやすい。ここで、底面部2を構成するフィルムの23.5℃及び100℃でのTD方向(包装袋1の前後方向に対応)の引張弾性率をそれぞれM1,M2とする。引張弾性率は、JIS K 7127に準拠して引張試験を行うことによって求めることができる。引張の試験速度は、50mm/minとし、試験用のダンベル形状は5号形とする。
【0056】
M1は、600~1400MPaが好ましく、800~1200MPaがさらに好ましい。M1は、具体的には例えば、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0057】
M2は、200~600MPaが好ましく、300~500MPaがさらに好ましい。M2は、具体的には例えば、200、250、300、350、400、450、500、550、600MPaであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0058】
M1/M2の値は、例えば、1.2~4であり、1.5~3が好ましい。この値は、具体的には例えば、1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0059】
周壁フィルム20bは、底部フィルム20aと同じ物性を有するものを用いてもよく、異なる物性を有するものを用いてもよい。
【0060】
2.第2実施形態
図8を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、包装袋1の開口部22近傍の構造の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0061】
本実施形態では、
図8Aに示すように、前面部3の上端には、上方に向かって突出する第1突出部3pが設けられ、背面部4の上端には、上方に向かって突出する第2突出部4pが設けられている。包装袋1内に内容物を充填する際には、
図8Bに示すように、突出部3p,4pを外側に広げることによって、開口部22が広げられた状態を維持しやすいので、内容物の充填が容易になる。また、突出部3p,4pには、持ち手を構成する開口部3q,4qを設けることができ、内容物の充填後に、開口部3q,4q内に指を入れて包装袋1を持ち運ぶことによって、包装袋1を持ち運ぶことが容易になる。
【0062】
3.第3実施形態
図9を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、包装袋1の開口部22近傍の構造の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0063】
第1実施形態では、前面部3と背面部4は、側端溶着部12において包装袋1の上端まで溶着されていたが、本実施形態では、
図9に示すように、開閉部材23から包装袋1の上端までの距離が第1実施形態よりも長くなっており、包装袋1の上端近傍において前面部3と背面部4が互いに溶着されていない未溶着部12aが設けられている。このため、包装袋1内に内容物を充填する際に、未溶着部12aにおいて、前面部3と背面部4を折り返して、包装袋1の開口部22が広げられた状態を維持しやすくなっている。
【0064】
本実施形態の形態は、第2実施形態に比べて、前面部3及び背面部4の加工に必要な工数が少なくて済むので好ましい。
【0065】
また、開閉部材23と、包装袋1の上端の間の領域において、前面部3と背面部4には、持ち手を構成する開口部3q,4qを設けてもよく、これによって、内容物の充填後に、開口部3q,4q内に指を入れて包装袋1を持ち運ぶことによって、包装袋1を持ち運ぶことが容易になる。
【0066】
4.第4実施形態
図10を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、包装袋1の開口部22近傍の構造の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0067】
本実施形態では、
図10Aに示すように、合掌部10には、合掌部10が前面部3の上端側に倒された状態で前面部3の上端から突出する突出部10pが設けられている。包装袋1内に内容物を充填する際には、
図10Bに示すように、突出部10pを外側に広げることによって、開口部22が広げられた状態を維持しやすいので、内容物の充填が容易になる。また、突出部10pには、持ち手を構成する開口部10qを設けることができ、内容物の充填後に、開口部10q内に指を入れて包装袋1を持ち運ぶことによって、包装袋1を持ち運ぶことが容易になる。
【0068】
5.第5実施形態
図11を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0069】
本実施形態では、第3実施形態よりも、開閉部材23の上端から側端溶着部12の上端までの長さL5が長くなっている。長さL5は、例えば、1~8cmであり、2~6cmが好ましい。長さL5は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。側端溶着部12の上端は、開口部3q,4qとほぼ同じ高さになっている。
【0070】
長さL5が長いために、開閉部材23と、一対の側端溶着部12で囲まれた領域に容器状の道具収容部29が形成される。道具収容部29には、包装袋1内の内容物を食べる際に使用する道具(箸、スプーン、フォークなど)25を収容することができる。
図11では、道具25が比較的短いので、道具25の全体が道具収容部29内に収容されているが、道具25が長くて道具収容部29に収まりきらない場合には、道具25の一部を道具収容部29に収容するようにしてもよい。
【0071】
開閉部材23よりも上側の位置には、開封部26を備えてもよい。開封部26の構成の説明は、開封部24の説明と同様である。本実施形態の包装袋1は、全高が大きいので、そのままだと家庭用の電子レンジの上面と干渉してしまう虞がある。そこで、包装袋1内の内容物を電子レンジで加熱する前に、開封部26において包装袋1を引き裂いて、開封部26の上側の部分を取り除くことが好ましい。開封部26は、側端溶着部12がある部位に設けることが好ましい。この場合、包装袋1の引き裂きが容易である。また、開封部26は、開閉部材23に隣接した位置に配置することが好ましい。この場合、開封部26の上側の部分を取り除いた後の包装袋1の全高を低くすることができる。電子レンジでの内容物の加熱後には、開封部24において開封して、開封部24よりも下側の部分を包装袋1内の内容物を食べる際に使用する食器として利用可能である点は、第1実施形態等と同様である。
【0072】
前面部3には、透明部27が設けられており、透明部27において内容物の視認が可能になっている。透明部27は、食器の図柄28の上面に相当する位置に設けられており、これによって、内容物が食器に盛られているように見えて、消費者の食欲をそそることができる。また、透明部27と下端溶着部13の間の領域は、不透明であることが好ましい。内容物が汁を含んでいる場合、包装袋1の底に汁が溜まりやすく、汁が溜まった状態は美観が良くない。このため、透明部27と下端溶着部13の間の領域を不透明にすることによって、汁が溜まった状態が視認されにくくなり、美観が向上する。下端溶着部13の上端から透明部27の下端までの長さL6は、例えば1~15cmであり、2~10cmが好ましく、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15cmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0073】
6.他の実施形態
以上、実施形態について説明してきたが、本開示における技術的思想は、以下の態様においても採用することができる。
・周面部21は、前面部3と背面部4の間に一対の側面部を備えてもよい。この場合、前面部3と背面部4がそれぞれ一対の側面部に溶着されることによって略四角形状の周面部21が構成される。
・上記実施形態では、固定部15は、底面部2に形成された半円状の切り欠きRで構成されているが、この形態に限定されることはない。たとえば、接着剤を用いて底部フィルムの対向する面同士を接着することや、ステープラー等の係止手段によって前面部3と背面部4とを前後方向に固定してもよい。
・上記実施形態では、底面部2はV字形に折り曲げられたフィルムで構成されているが、この形態に限定されることはなく、たとえばW字形に折り曲げられたフィルムで構成されていてもよい。
・包装袋1は、蒸気抜きシール部11を備えていてなくてもよい。その場合は、例えば袋を少しだけ開封して加熱の際に発生した蒸気を排出することができる
・包装袋1は、合掌部10を備えていなくてもよい。
・蒸気抜きシール部11は、合掌部10以外の部分に設けられていてもよい。
・包装袋1の製造方法は、上記実施形態で説明した方法に限定されることはない。
・持ち手となる開口部は、フィルムを打ち抜くことによって形成してもよく、フィルムにC字状の切り込みを形成することによって形成してもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 :包装袋
2 :底面部
3 :前面部
3a :前面下部
3b :前面上部
3p :第1突出部
3q :開口部
4 :背面部
4p :第2突出部
4q :開口部
5 :切り取り部
6 :本体部
7 :開口
10 :合掌部
10a :重ね合わせ部
10p :突出部
10q :開口部
11 :蒸気抜きシール部
12 :側端溶着部
12a :未溶着部
13 :下端溶着部
13a :勾配部
13b :中央部
14 :エアポケット
15 :固定部
20a :底部フィルム
20b :周壁フィルム
21 :周面部
22 :開口部
23 :開閉部材
23a :前面側係合部材
23a1 :基部
23a2 :フック部
23b :背面側係合部材
23b1 :基部
23b2 :フック部
24 :開封部
24a :引裂開始部
24b :切り取り線
25 :道具
26 :開封部
27 :透明部
28 :図柄
29 :道具収容部
B :領域
C :環
C1 :一端
C2 :他端
E :中央線
N2 :近傍領域
R :切り欠き
θ :角度