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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20241218BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241218BHJP
   B60N 2/68 20060101ALI20241218BHJP
   B60R 22/18 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B60N2/427
B60N2/90
B60N2/68
B60R22/18 118
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023083424
(22)【出願日】2023-05-19
(65)【公開番号】P2023171362
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】63/365,035
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博郁
(72)【発明者】
【氏名】野村 洋幸
(72)【発明者】
【氏名】米原 秀剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 将樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉章
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0058188(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2276256(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0038183(KR,A)
【文献】特開2014-218157(JP,A)
【文献】特開2016-064715(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2594724(GB,A)
【文献】特開2012-006479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/427
B60N 2/90
B60N 2/68
B60R 22/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物用シートであって、
シートフレームと、
前記シートフレームに取り付けられるベルトガイドと、
前記ベルトガイドを前記シートフレームに結合する結合部材とを有し、
前記シートフレームは、第1方向に延びる第1係止部を有し、
前記ベルトガイドは、前記第1方向に延び、前記第1係止部が通過する第1受容孔と、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記結合部材の一部を受容する第2受容孔とを有し、
前記第2受容孔に受容された前記結合部材が前記第1受容孔を通過した前記第1係止部と係合する乗物用シート。
【請求項2】
前記シートフレームは、前記第1方向と直交する平面に形成されたプレート部を有し、
前記第1係止部の先端部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向に延び、
前記第1係止部の前記先端部の前記プレート部側を向く面は、前記結合部材の当接片と当接している請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前記当接片は、前記第2受容孔内を前記第2方向に延びている請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記結合部材は、前記第1方向に変位可能な弾性爪を有し、
前記ベルトガイドには、前記弾性爪を係止し、前記結合部材の前記第2方向への移動を規制する第2係止部が設けられている請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記第2係止部は、前記第2受容孔内に形成されている請求項4に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記ベルトガイドは、前記プレート部に沿って延びる脚部と、前記脚部に結合され、シートベルトが通過するガイド部と、前記脚部から前記プレート部側に突出した第1凸部とを有し、
前記プレート部は、前記第1凸部が嵌合する第1位置決め孔を有する請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記第1受容孔及び前記第2受容孔は、前記脚部に形成され、
前記結合部材の外面と、前記脚部の外面とは、互いに協動して連続した外面を形成する請求項6に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記プレート部には、第2位置決め孔が形成され、
前記第1係止部は、前記第2位置決め孔から切り起された板片であり、
前記脚部は、前記第2位置決め孔内に突入し、前記第2位置決め孔の縁部に当接する複数の第2凸部を有する請求項6に記載の乗物用シート。
【請求項9】
一対の前記第2凸部が前記第2方向に間隔をおいて配置され、
前記第2方向において、前記第1係止部が一対の前記第2凸部の間に配置されている請求項8に記載の乗物用シート。
【請求項10】
前記プレート部の表面に沿って表皮材が配置され、
前記表皮材の一部は前記プレート部と前記脚部との間に挟持され、
前記第1係止部及び前記第1凸部は前記表皮材を貫通している請求項6に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シートベルトの位置を規制するためのベルトガイドを有する車両用シートを開示している。ベルトガイドは、シートベルトが通過する開口部を備えたカバー部材を有する。カバー部材はシートベルトから荷重を受けるため、タッピングねじによってフレームに固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-100040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッピングねじを使用すると、ベルトガイドの取付作業に工具が必要になり、作業効率が悪いという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑み、乗物用シートにおいて、工具を使用せずに、ベルトガイドをシートフレームに固定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、乗物用シート(1)であって、シートフレーム(7)と、前記シートフレームに取り付けられるベルトガイド(13)と、前記ベルトガイドを前記シートフレームに結合する結合部材(20)とを有し、前記シートフレームは、第1方向に延びる第1係止部(22)を有し、前記ベルトガイドは、前記第1方向に延び、前記第1係止部が通過する第1受容孔(41)と、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記結合部材の一部を受容する第2受容孔(42)とを有し、前記第2受容孔に受容された前記結合部材が前記第1受容孔を通過した前記第1係止部と係合する。
【0007】
この態様によれば、乗物用シートにおいて、工具を使用せずに、ベルトガイドをシートフレームに固定することができる。第1受容孔に対する第1係止部の挿入方向である第1方向と、第2受容孔に対する結合部材の挿入方向である第2方向とが直交している。そのため、第1係止部に第1受容孔から抜け出す方向の荷重が加わっても、結合部材に第2受容孔から抜け出す方向の荷重は加わらない。そのため、ベルトガイドが安定性良くシートフレームに固定される。
【0008】
上記の態様において、前記シートフレームは、前記第1方向と直交する平面に形成されたプレート部(24)を有し、前記第1係止部の先端部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向に延び、前記第1係止部の前記先端部の前記プレート部側を向く面は、前記結合部材の当接片(64)と当接してもよい。
【0009】
この態様によれば、第2受容孔に挿入された結合部材が、第1係止部を係止することができる。
【0010】
上記の態様において、前記当接片は、前記第2受容孔内を前記第2方向に延びてもよい。
【0011】
この態様によれば、結合部材を第2受容孔に挿入することによって、当接片によって第1係止部を係止することができる。
【0012】
上記の態様において、前記結合部材は、前記第1方向に変位可能な弾性爪(63)を有し、前記ベルトガイドには、前記弾性爪を係止し、前記結合部材の前記第2方向への移動を規制する第2係止部(67)が設けられてもよい。
【0013】
この態様によれば、結合部材がベルトガイドから脱落することが防止される。
【0014】
上記の態様において、前記第2係止部は、前記第2受容孔内に形成されてもよい。
【0015】
この態様によれば、弾性爪及び第2係止部をベルトガイドの内部に隠すことができる。
【0016】
上記の態様において、前記ベルトガイドは、前記プレート部に沿って延びる脚部(31)と、前記脚部に結合され、シートベルトが通過するガイド部(32)と、前記脚部から前記プレート部側に突出した第1凸部(51)とを有し、前記プレート部は、前記第1凸部が嵌合する第1位置決め孔(26)を有してもよい。
【0017】
この態様によれば、ベルトガイドが第1支持部を中心として回転することが防止される。
【0018】
上記の態様において、前記第1受容孔及び前記第2受容孔は、前記脚部に形成され、前記結合部材の外面と、前記脚部の外面とは、互いに協動して連続した外面を形成してもよい。
【0019】
この態様によれば、シートベルトが結合部材に引っ掛かることが防止される。
【0020】
上記の態様において、前記プレート部には、第2位置決め孔(27)が形成され、前記第1係止部は、前記第2位置決め孔から切り起された板片であり、前記脚部は、前記第2位置決め孔内に突入し、前記第2位置決め孔の縁部に当接する複数の第2凸部(52)を有してもよい。
【0021】
この態様によれば、ベルトガイドが第1支持部を中心として回転することが防止される。
【0022】
上記の態様において、一対の前記第2凸部が前記第2方向に間隔をおいて配置され、前記第2方向において、前記第1係止部が一対の前記第2凸部の間に配置されてもよい。
【0023】
この態様によれば、ベルトガイドが第1支持部を中心として回転することが防止される。
【0024】
上記の態様において、前記プレート部の表面に沿って表皮材が配置され、前記表皮材の一部は前記プレート部と前記脚部との間に挟持され、前記第1係止部及び前記第1凸部は前記表皮材を貫通してもよい。
【0025】
この態様によれば、ベルトガイドを表皮材の外面に配置することができる。
【発明の効果】
【0026】
乗物用シート(1)は、シートフレーム(7)と、前記シートフレームに取り付けられるベルトガイド(13)と、前記ベルトガイドを前記シートフレームに結合する結合部材(20)とを有し、前記シートフレームは、第1方向に延びる第1係止部(22)を有し、前記ベルトガイドは、前記第1方向に延び、前記第1係止部が通過する第1受容孔(41)と、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記結合部材の一部を受容する第2受容孔(42)とを有し、前記第2受容孔に受容された前記結合部材が前記第1受容孔を通過した前記第1係止部と係合する。
【0027】
この態様によれば、乗物用シートにおいて、工具を使用せずに、ベルトガイドをシートフレームに固定することができる。第1受容孔に対する第1係止部の挿入方向である第1方向と、第2受容孔に対する結合部材の挿入方向である第2方向とが直交しているため、第1係止部に第1受容孔から抜け出す方向の荷重が加わっても、結合部材に第2受容孔から抜け出す方向の荷重は加わらない。そのため、ベルトガイドが安定性良くシートフレームに固定される。
【0028】
上記の態様において、前記シートフレームは、前記第1方向と直交する平面に形成されたプレート部(24)を有し、前記第1係止部の先端部は、前記第1方向及び前記第2方向に直交する方向に延び、前記第1係止部の前記先端部の前記プレート部側を向く面は、前記結合部材の当接片(64)と当接してもよい。
【0029】
この態様によれば、第2受容孔に挿入された結合部材が、第1係止部を係止することができる。
【0030】
上記の態様において、前記当接片は、前記第2受容孔内を前記第2方向に延びてもよい。
【0031】
この態様によれば、結合部材を第2受容孔に挿入することによって、当接片によって第1係止部を係止することができる。
【0032】
上記の態様において、前記結合部材は、前記第1方向に変位可能な弾性爪(63)を有し、前記ベルトガイドには、前記弾性爪を係止し、前記結合部材の前記第2方向への移動を規制する第2係止部(67)が設けられてもよい。
【0033】
この態様によれば、結合部材がベルトガイドから脱落することが防止される。
【0034】
上記の態様において、前記第2係止部は、前記第2受容孔内に形成されてもよい。
【0035】
この態様によれば、弾性爪及び第2係止部をベルトガイドの内部に隠すことができる。
【0036】
上記の態様において、前記ベルトガイドは、前記プレート部に沿って延びる脚部(31)と、前記脚部に結合され、シートベルトが通過するガイド部(32)と、前記脚部から前記プレート部側に突出した第1凸部(51)とを有し、前記プレート部は、前記第1凸部が嵌合する第1位置決め孔(26)を有してもよい。
【0037】
この態様によれば、ベルトガイドが第1支持部を中心として回転することが防止される。
【0038】
上記の態様において、前記第1受容孔及び前記第2受容孔は、前記脚部に形成され、前記結合部材の外面と、前記脚部の外面とは、互いに協動して連続した外面を形成してもよい。
【0039】
この態様によれば、シートベルトが結合部材に引っ掛かることが防止される。
【0040】
上記の態様において、前記プレート部には、第2位置決め孔(27)が形成され、前記第1係止部は、前記第2位置決め孔から切り起された板片であり、前記脚部は、前記第2位置決め孔内に突入し、前記第2位置決め孔の縁部に当接する複数の第2凸部(52)を有してもよい。
【0041】
この態様によれば、ベルトガイドが第1支持部を中心として回転することが防止される。
【0042】
上記の態様において、一対の前記第2凸部が前記第2方向に間隔をおいて配置され、前記第2方向において、前記第1係止部が一対の前記第2凸部の間に配置されてもよい。
【0043】
この態様によれば、ベルトガイドが第1支持部を中心として回転することが防止される。
【0044】
上記の態様において、前記プレート部の表面に沿って表皮材が配置され、前記表皮材の一部は前記プレート部と前記脚部との間に挟持され、前記第1係止部及び前記第1凸部は前記表皮材を貫通してもよい。
【0045】
この態様によれば、ベルトガイドを表皮材の外面に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】第1実施形態に係るシートの斜視図
図2】第1実施形態に係るベルトガイドの斜視図
図3】第1実施形態に係るベルトガイドの結合構造の分解斜視図
図4】第1実施形態に係るベルトガイドを裏面側から見た斜視図
図5】第1実施形態に係る結合部材の斜視図
図6】第1実施形態に係る結合部材の底面図
図7】第1実施形態に係るベルトガイドの結合構造の断面図(図2のVII-VII断面図)
図8】第1実施形態に係るベルトガイドの結合構造の断面図(図2のVIII-VIII断面図)
図9】他の実施形態に係るシートの斜視図
図10】他の実施形態に係るベルトガイドの底面図
図11】他の実施形態に係るベルトガイドの結合構造の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明に係る乗物用シートの実施形態について説明する。シートは、自動車等の車両や、鉄道、飛行機、船舶等に設けられるとよい。
【0048】
図1に示すように、シート1は、フロア2に設けられたシートクッション3と、シートバック4と、ヘッドレスト5とを有する。シートクッション3は、使用者の臀部を下方から支持する。シートバック4は、シートクッション3の後部から上方に延びている。シートバック4は、使用者の背部を後方から支持する。ヘッドレスト5は、シートバック4の上端の中央部に設けられている。ヘッドレスト5は使用者の頭部を後方から支持する。
【0049】
シートクッション3及びシートバック4は、骨格をなすシートフレーム7と、シートフレーム7に支持されたパッド8と、パッド8の表面に被せられた表皮材9とを有する。
【0050】
シートバック4の内部には、シートベルト11を巻き取るベルトリトラクタ12が設けられている。シートバック4の上端には、シートベルト11の通路を画定するベルトガイド13が設けられている。シートベルト11は、シートバック4の内部をベルトリトラクタ12から上方に延び、シートバック4の上端から突出した後、ベルトガイド13を通過して、シートベルト11の前面側に延びている。すなわち、ベルトガイド13は、シートバック4の上端において、シートベルト11が通過する位置を定める。
【0051】
シートベルト11の一端は、シートクッション3に結合されたベルトアンカー15に結合されている。シートベルト11におけるベルトガイド13とベルトアンカー15との間の部分には、タングプレート16が設けられている。シートベルト11はタングプレート16に形成された挿通孔を通過しており、タングプレート16はシートベルト11の長手方向に移動可能になっている。ベルトガイド13及びベルトアンカー15は、シート1に対して幅方向における一側に設けられている。シートクッション3の幅方向における他側にはタングプレート16と着脱可能に結合するバックル17が設けられている。
【0052】
図2及び図3に示すように、ベルトガイド13は、結合部材20によってシートフレーム7に取り付けられる。図3に示すように、シートフレーム7は、第1方向に延びる第1係止部22を有する。本実施形態では、第1方向は上下方向である。また、第1方向と直交する方向を第2方向、第1方向及び第2方向と直交する方向を第3方向とする。第2方向は前後方向、第3方向は左右方向であるとよい。
【0053】
シートフレーム7は、第1方向と直交する平面に形成されたプレート部24を有する。本実施形態では、プレート部24は、面が上下方向を向いている。プレート部24は、シートバック4の上端に設けられている。プレート部24は、表皮材9の内側、すなわち下方に設けられている。表皮材9の内側には、パッド8が設けられてもよい。
【0054】
本実施形態では、シートフレーム7は、左右一対の第1係止部22を有する。左右の第1係止部22は、プレート部24から上方に延びている。各第1係止部22は、プレート部24から切り起された板片である。各第1係止部22は、プレートから上方に延びる基端部22Aと、基端部22Aの上端から左右側方に延びる先端部22Bとを有する。各先端部22Bは、互いに離れる方向に延びている。すなわち、第1係止部22の先端部22Bは、第1方向及び前記第2方向に直交する方向に延びている。基端部22A及び先端部22Bは、板片を屈曲することによって形成されている。
【0055】
プレート部24には、第1位置決め孔26と、一対の第2位置決め孔27が形成されている。第1位置決め孔26及び一対の第2位置決め孔27は、プレート部24を厚み方向に貫通している。一対の第2位置決め孔27は、対応する第1係止部22を切り起すことによって形成されている。各第1係止部22は、対応する第2位置決め孔27の縁部に設けられている。各第2位置決め孔27は、左右方向に延び、互いに左右方向に並んでいる。各第1係止部22は、2つの第2位置決め孔27の互いに近接する縁部に設けられている。
【0056】
図7及び図8に示すように、表皮材9は、一対の第1係止部22、第1位置決め孔26、及び一対の第2位置決め孔27に対応する表皮開口9Aを有する。一対の第1係止部22、第1位置決め孔26、及び一対の第2位置決め孔27は、表皮開口9Aを通して表皮材9の上方に露出している。
【0057】
図3及び図4に示すように、ベルトガイド13は、プレート部24に沿って延びる脚部31と、脚部31に結合され、シートベルト11が通過するガイド部32とを有する。脚部31は、上下方向に厚みを有する。脚部31の底面には、複数の肉抜き部34が形成されているとよい。ガイド部32は、脚部31から上方に突出し、シートベルト11が通過するベルト挿通孔35を有する。本実施形態では、ベルト挿通孔35は、ガイド部32を前後に貫通している。ベルト挿通孔35は、長孔であり、左右方向に延びている。また、ベルト挿通孔35は、シートバック4の左右内方に向けて上方に傾斜しているとよい。ガイド部32には、ベルト挿通孔35からガイド部32の外縁に到達するスリット36が形成されている。シートベルト11は、スリット36を介してベルト挿通孔35内に配置される。
【0058】
ベルトガイド13は、第1受容孔41と第2受容孔42とを有する。第1受容孔41は、第1方向(上下方向)に延び、第1係止部22が通過する。第2受容孔42は、第1方向と直交する第2方向(前後方向)に延び、結合部材20の一部を受容する。
【0059】
第1受容孔41及び第2受容孔42は脚部31に形成されている。脚部31には、脚部31の上面から下方に凹む凹部43が形成されている。凹部43は、前後方向に延び、脚部31の前端に開口している。凹部43は、凹部底面43Aと、左右の凹部側面43Bと、凹部後面43Cとによって画定され、上方及び前方に開口している。第1受容孔41は、脚部31の底面から凹部底面43Aに延び、凹部43に連通している。第2受容孔42は、凹部後面43Cから後方に向けて凹んでいる。第2受容孔42は、面が上下を向く横隔壁45によって上孔42Aと下孔42Bに分割されている。上孔42A及び下孔42Bは、左右方向に延びている。また、下孔42Bは、面が左右を向く一対の縦隔壁によって左右方向に3分割されてもよい。
【0060】
図4に示すように、脚部31の底面には、第1凸部51と、複数の第2凸部52とが設けられている。第1凸部51は、柱状に形成され、脚部31の底面からプレート部24側、すなわち下方に突出している。複数の第2凸部52は、第2方向(前後方向)に間隔をおいて配置された一対の第2凸部52を含む。各第2凸部52は、面が前後を向く板状に形成され、第1受容孔41の前縁及び後縁から下方に突出している。第2方向(前後方向)において、第1係止部22が一対の第2凸部52の間に配置されている。各第2凸部は、先端に向けて先細に形成されている。
【0061】
第1凸部51は、表皮開口9Aを通過して第1位置決め孔26に嵌合する。図7に示すように、一対の第2凸部52は、表皮開口9Aを通過して一方の第2位置決め孔27内に突入し、第2位置決め孔27の縁部に当接する。一対の第2凸部52は、第2位置決め孔27の前縁部及び後縁部に当接する。すなわち、一対の第2凸部52が第2位置決め孔27の一方に嵌合する。第1凸部51が第1位置決め孔26に嵌合し、かつ一対の第2凸部52が第2位置決め孔27の一方に嵌合することによって、プレート部24に対するベルトガイド13の水平方向における位置が定まる。このとき、一対の第1係止部22の先端部22Bは、第1受容孔41を通過して凹部43内に配置される。
【0062】
図5及び図6に示すように、結合部材20は、面が上下を向く上壁部61と、上壁部61の前端から下方に延びる前壁部62と、前壁部62から後方に延びる弾性爪63及び一対の当接片64を有する。左右方向において、一対の当接片64の間に弾性爪63が配置されている。一対の当接片64は、後方に延びる片持ち梁である。各当接片64の基部は、補強壁64Aによって上壁部61に接続されている。
【0063】
弾性爪63は、後方に延びる梁部63Aと、梁部63Aの先端から下方に突出した爪部63Bとを有する。梁部63Aの先端は、第1方向(上下方向)に変位可能となっている。梁部63Aの基端は、補強壁63Cによって上壁部61に接続されている。
【0064】
図7及び図8に示すように、弾性爪63及び一対の当接片64の後端は下孔42Bに突入し、上壁部61の後端は上孔42Aに突入する。これにより、ベルトガイド13に対する結合部材20の上下方向及び左右方向への移動が規制される。各当接片64は、第2受容孔42内を第2方向に延びている。図8に示すように、ベルトガイド13には、弾性爪63を係止し、結合部材20の第2方向(前後方向)への移動を規制する第2係止部67が設けられている。第2係止部67は、下孔42Bの下部を画定する下壁部に形成され、下孔42Bから脚部31の底面に貫通している。弾性爪63の爪部63Bが第2係止部67に係止されることによって、ベルトガイド13に対する結合部材20の前後方向への移動が規制される。第2係止部67は、第2受容孔42内に形成されている。
【0065】
このとき、図7に示すように、結合部材20が第1受容孔41を通過した第1係止部22と係合する。詳細には、各第1係止部22の先端部22Bのプレート部24側を向く面が、結合部材20の各当接片64と当接する。各当接片64は、対応する第1係止部22の先端部22Bの下方を前後方向に延びている。これにより、ベルトガイド13に対する各第1係止部22の上下方向への移動が規制される。
【0066】
以上のように、結合部材20によってベルトガイド13はシートフレーム7のプレート部24に固定される。このとき、表皮材9の一部はプレート部24と脚部31との間に挟持される。各第1係止部22及び第1凸部51は表皮材9を貫通して上下に延びている。また、各第2凸部52も表皮材9を貫通して上下に延びている。
【0067】
図2に示すように、結合部材20の外面と、脚部31の外面とは、互いに協動して連続した外面を形成する。結合部材20の上壁部61の上面は、脚部31の上面と同一平面状に配置される。また、結合部材20の前壁部62の前面は、脚部31の前面と同一平面状に配置される。このように、結合部材20は、凹部43及び第2受容孔42の内部に配置される。これにより、シートベルト11が結合部材20に引っ掛かることが防止される。
【0068】
ベルトガイド13のシート1への取付方法は以下のとおりである。最初に、シートフレーム7にパッド8及び表皮材9が被せられ、シートバック4が用意される。表皮材9は、プレート部24にも被せられている。一対の第1係止部22は表皮開口9Aを通過して表皮材9の上方に突出する。
【0069】
次に、一対の第1係止部22が第1受容孔41を通過するように、ベルトガイド13の脚部31がプレート部24の上方に配置される。このとき、第1凸部51が第1位置決め孔26に嵌合し、一対の第2凸部52が第2位置決め孔27の一方に嵌合することによって、プレート部24に対するベルトガイド13の位置が定まる。この状態で、表皮開口9Aの縁部は、プレート部24と脚部31との間に挟持される。また、一対の第1係止部22の先端部22Bは、凹部43内に配置される。
【0070】
次に、結合部材20が、凹部43及び第2受容孔42に挿入される。このとき、各当接片64は、対応する第1係止部22の先端部22Bの下方を通過して第2受容孔42に突入する。また、弾性爪63は、一対の第1係止部22の間を通過して第2受容孔42に突入する。弾性爪63が第2係止部67に係止されることによって、結合部材20がベルトガイド13に固定される。
【0071】
上記の実施形態によれば、シート1において、工具を使用せずに、ベルトガイド13をシートフレーム7に固定することができる。第1受容孔41に対する第1係止部22の挿入方向である第1方向と、第2受容孔42に対する結合部材20の挿入方向である第2方向とが直交している。そのため、第1係止部22に第1受容孔41から抜け出す方向の荷重が加わっても、結合部材20に第2受容孔42から抜け出す方向の荷重は加わらない。そのため、ベルトガイド13が安定性良くシートフレーム7に固定される。第2受容孔42に挿入された結合部材20は、上下方向への移動が規制されているため、第1係止部22を安定性良く係止することができる。
【0072】
第2係止部67が第2受容孔42内に形成されているため、弾性爪63及び第2係止部67をベルトガイド13の内部に隠すことができる。これにより、結合部材20がベルトガイド13から取り外されることを防止することができる。
【0073】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、ベルトガイド13は、シートバック4の上端部に限らず、シートバック4の側部や、シートクッション3の側部、車室を構成するピラーの側部等に設けられてもよい。また、ベルトガイド13の向きは、シートベルト11の向きに応じて任意に設定されるとよい。
【0074】
他の実施形態では、図9及び図10に示すように、ベルトガイド100は、その底部に、ラッチ101と、第1凸部102と、第2凸部103とを有する。ラッチ101は、ベルトガイド100の底部の中央から突出した円柱状の柱部101Aと、柱部101Aの先端から径方向外方に突出した一対の爪部101Bとを有する。第1凸部102及び第2凸部103は、ベルトガイド100の底部から柱部101Aと平行に突出している。第1凸部102及び第2凸部103は、柱状又は板片状に形成されているとよい。第1凸部102及び第2凸部103は、ラッチ101から径方向外方に離れて配置されているとよい。第1凸部102及び第2凸部103との間にラッチ101が配置されているとよい。ベルトガイド100の上部には、シートベルト11が通過するガイド部32が設けられている。
【0075】
図11に示すように、シートフレーム7のプレート部24には、ラッチ孔111、第1孔112、及び第2孔113が形成されている。ラッチ孔111、第1孔112、及び第2孔113は、それぞれ貫通孔である。ラッチ孔111は、柱部101Aが通過可能な円形状の中央部111Aと、中央部111Aから径方向外方に延びた一対の拡張部111Bとを有する。第1孔112及び第2孔113は、ラッチ孔111の周囲に形成されている。第1孔112及び第2孔113は、ラッチ孔111を中心として互いに反対側に配置されている。
【0076】
第1孔112は、ラッチ孔111を中心とした周方向に延び、第1端112A及び第2端112Bを有する。第1端112Aは、ラッチ孔111を中心とした時計回り方向における端部である。第2端112Bは、ラッチ孔111を中心とした反時計回り方向における端部である。第1孔112の外縁には、内縁側に突出した係止部112Cが設けられている。係止部112Cは、第1孔112の内縁に設けられ、外縁側に突出していてもよい。
【0077】
第2孔113は、ラッチ孔111を中心とした周方向に延び、第3端113A及び第4端113Bを有する。第3端113Aは、ラッチ孔111を中心とした時計回り方向における端部である。第4端113Bは、ラッチ孔111を中心とした反時計回り方向における端部である。第2孔113は、第3端113Aから第4端113Bに向けて幅が狭くなっている。
【0078】
プレート部24の上面には表皮材9が設けられている。表皮材9は、ラッチ孔111、第1孔112、及び第2孔113に対応した表皮開口9Aを有する。表皮開口9Aによって、ラッチ孔111、第1孔112、及び第2孔113は表皮材9の上方に露出している。
【0079】
ベルトガイド100のプレート部24への取付方向は以下の通りである。最初に、ラッチ101がラッチ孔111に挿入される。上下方向において、一対の爪部101Bが一対の拡張部111Bに整合することによって、ラッチ101はラッチ孔111を通過することができる。この状態をベルトガイド100の初期状態とする。このとき、第1凸部102は、第1孔112に突入し、第1端112Aに位置する。また、第2凸部103は、第2孔113に突入し、第3端113Aに位置する。
【0080】
次に、ベルトガイド100が初期状態から、ラッチ101を中心として反時計回り方向に90度回転させられる。これにより、ラッチ101の一対の爪部101Bは、一対の拡張部111Bに対してずれ、プレート部24の下方に配置される。これにより、一対の爪部101Bはラッチ孔111の縁部に係止され、ラッチ101がラッチ孔111から抜け出せなくなる。このとき、第2凸部103は、第2孔113内を第3端113Aから第4端113Bに移動し、第4端113Bに突き当たる。これにより、ベルトガイド100の反時計回り方向への回転が規制される。また、第2凸部103は、第4端113Bにおいて第2孔113の内縁及び外縁に挟持される。これにより、プレート部24に対するベルトガイド100のがた付きが抑制される。
【0081】
また、第1凸部102は、第1孔112内を第1端112Aから第2端112Bに移動する。この過程において、第1凸部102は係止部112Cに押されて弾性変形し、係止部112Cを乗り越える。第1凸部102は第2端112Bに到達すると復元する。第1凸部102は、第2端112Bにおいて係止部112Cに係止され、第1端112Aへの移動が規制される。これにより、ベルトガイド100のラッチ101を中心とした時計回り方向への回転が規制される。その結果、ベルトガイド100はプレート部24に安定性良く固定される。
【符号の説明】
【0082】
1 :シート
3 :シートクッション
4 :シートバック
7 :シートフレーム
9 :表皮材
11 :シートベルト
13 :ベルトガイド
20 :結合部材
22 :第1係止部
22A :基端部
22B :先端部
24 :プレート部
26 :第1位置決め孔
27 :第2位置決め孔
31 :脚部
32 :ガイド部
41 :第1受容孔
42 :第2受容孔
43 :凹部
51 :第1凸部
52 :第2凸部
63 :弾性爪
64 :当接片
67 :第2係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11