(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241218BHJP
F25B 39/04 20060101ALI20241218BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F25B1/00 397A
F25B39/04 C
F28F1/02 B
(21)【出願番号】P 2023109431
(22)【出願日】2023-07-03
【審査請求日】2024-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井吉 悠太
(72)【発明者】
【氏名】山野井 喜記
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】東 翔太
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-299909(JP,A)
【文献】国際公開第2020/004108(WO,A1)
【文献】特開2007-178090(JP,A)
【文献】特開2022-024603(JP,A)
【文献】特開2015-183850(JP,A)
【文献】特開2021-081079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
F28F 1/02
F28D 1/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷媒を循環させる第1冷媒回路(21)と、
前記第1冷媒とは異なる第2冷媒を循環させる第2冷媒回路(22)と、
前記第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換させる第3熱交換器(27)と、
空気流を生成するファン(41)と、を備え、
前記第1冷媒回路(21)が、円管状の伝熱管(26b)を有する第1熱交換器(26)を含み、
前記第2冷媒回路(22)が、扁平多穴管(36b)を有する第2熱交換器(36)を含み、
前記第1熱交換器(26)と前記第2熱交換器(36)とが上下に並べて配置され、
前記第2熱交換器(36)が前記第1熱交換器(26)の上側に配置され
、
前記ファン(41)が、前記第1熱交換器(26)と前記第2熱交換器(36)とが並ぶ上下方向に対して交差する方向に前記第1熱交換器(26)及び前記第2熱交換器(36)を通過する空気流を生成する、冷凍装置。
【請求項2】
前記第2熱交換器(36)は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の前記扁平多穴管(36b)と、上下に隣接する前記扁平多穴管(36b)の間に配置される、蛇行するフィンと、を備える、請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記第1熱交換器(26)と前記第2熱交換器(36)との上下方向の間隔が10mm以下である、請求項1又は2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記伝熱管(26b)が銅を主成分とする材料で形成され、前記扁平多穴管(36b)がアルミニウムを主成分とする材料で形成される、請求項1または2に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記第1熱交換器(26)及び前記第2熱交換器(36)を収容するケーシング(55)と、
前記第2熱交換器(36)の上部に配置され、前記第1熱交換器(26)及び前記第2熱交換器(36)を通過する空気流を生成するファン(41)と、をさらに備える、請求項1又は2に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記第1熱交換器(26)と前記第2熱交換器(36)とを連結する連結部材(58,59)をさらに備える、請求項1又は2に記載の冷凍装置。
【請求項7】
上面視において、前記第1熱交換器(26)の長手方向の端部が、前記第2熱交換器(36)の長手方向の端部の近傍に配置され、
前記連結部材が、前記第1熱交換器(26)の前記端部と前記第2熱交換器(36)の前記端部とを連結する第1連結部材(58)を含む、請求項6に記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記連結部材が、上面視における前記第1熱交換器(26)及び前記第2熱交換器(36)の長手方向の中途部同士を連結する第2連結部材(59)を含む、請求項6に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、低元冷凍サイクルと高元冷凍サイクルとを有する二元冷凍装置が開示されている。低元冷凍サイクルは、室内の負荷装置、例えばショーケースの温度を調整するために用いられる。そのため、低元冷凍サイクルは、ショーケースの配置換え等により冷媒回路が開放されることがあり、冷媒漏れが発生する可能性があるので、地球温暖化係数の低い二酸化炭素等の冷媒が用いられている。これに対して、高元冷凍サイクルは、低元冷凍サイクルの放熱器で冷却された冷媒をさらに冷却するために用いられる。高元冷凍サイクルの冷媒回路は、低元冷凍サイクルの冷媒回路とは異なり開放されることがないため、低元冷凍サイクルの冷媒よりも地球温暖化係数は高いが熱交換効率の高いR32等の冷媒が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高元冷凍サイクルで用いられるR32等の冷媒は、燃焼性や毒性を有することがあるため、できるだけ使用量を少なくすることが望まれる。そのため、一般的な円管状の伝熱管を備えた熱交換器よりも少ない冷媒量で効率よく熱交換が行える扁平多穴管を備えた熱交換器を用いることが考えられる。しかしながら、この熱交換器は、扁平多穴管上に水が溜まりやすく排水性に問題がある。
【0005】
本開示は、異なる冷媒を用いた2つの冷媒回路を備える冷凍装置において、熱交換器における排水性の問題の解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の冷凍装置は、第1冷媒を循環させる第1冷媒回路と、
前記第1冷媒とは異なる第2冷媒を循環させる第2冷媒回路と、
前記第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換させる第3熱交換器と、を備え、
前記第1冷媒回路が、円管状の伝熱管を有する第1熱交換器を含み、
前記第2冷媒回路が、扁平多穴管を有する第2熱交換器を含み、
前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とが上下に並べて配置され、
前記第2熱交換器が前記第1熱交換器の上側に配置されている。
【0007】
この構成によれば、第2熱交換器が第1熱交換器の上側に配置されているので、第1熱交換器から第2熱交換器の扁平多穴管上に水が滴下することがない。そのため、扁平多穴管上で水が溜まったり凍結したりすることを抑制することができる。
【0008】
(2)上記(1)の冷凍装置において、好ましくは、前記第2熱交換器は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の前記扁平多穴管と、上下に隣接する前記扁平多穴管の間に配置される、蛇行するフィンと、を備える。
【0009】
第2熱交換器において、フィンに水が入り込むと排出され難く、溜まった水が凍結することでフィンと扁平多穴管との接着部分を損傷させる恐れが生じる。上記構成の冷凍装置においては、第1熱交換器の上側に第2熱交換器が配置され、第1熱交換器で発生した水が第2熱交換器に滴下しないので、フィンに水が入り込む可能性が低くなり、当該水の凍結などの問題の発生を抑制することができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の冷凍装置において、好ましくは、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との上下方向の間隔が10mm以下である。
【0011】
この構成によれば、第1熱交換器及び第2熱交換器の全体の大型化を抑制することができる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載の冷凍装置において、好ましくは、前記伝熱管が銅を主成分とする材料で形成され、前記扁平多穴管がアルミニウムを主成分とする材料で形成される。
【0013】
銅は、アルミニウムよりも電位が高いので、銅で発生した水がアルミニウムに接触するとアルミニウムに電蝕が発生する可能性がある。上記構成によれば、第1熱交換器で発生した水が第2熱交換器に滴下することがないので、アルミニウムを主成分とする材料で形成された扁平多穴管の電蝕の発生を抑制することができる。
【0014】
(5)上記(1)~(4)のいずれかに記載の冷凍装置は、好ましくは、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器を収容するケーシングと、
前記第2熱交換器の上部に配置され、前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器を通過する空気流を生成するファンと、をさらに備える。
【0015】
上記構成によれば、ファンを作動することによって、下側に配置された第1熱交換器を通過する空気流よりも上側に配置された第2熱交換器を通過する空気流の流速を高めることができ、第2熱交換器に付着した水を流速の高い空気流で取り除き易くすることができる。
【0016】
(6)上記(1)~(5)のいずれかに記載の冷凍装置は、好ましくは、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器とを連結する連結部材をさらに備える。
【0017】
(7)上記(6)に記載の冷凍装置において、好ましくは、上面視において、前記第1熱交換器の長手方向の端部が、前記第2熱交換器の長手方向の端部の近傍に配置され、
前記連結部材が、前記第1熱交換器の前記端部と前記第2熱交換器の前記端部とを連結する第1連結部材を含む。
【0018】
(8)上記(6)又は(7)に記載の冷凍装置において、好ましくは、前記連結部材が、上面視における前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器の長手方向の中途部同士を連結する第2連結部材を含む。
【0019】
上記構成によれば、輸送等による振動が冷凍装置に伝わったとしても、第1熱交換器の長手方向の中途部と第2熱交換器の長手方向の中途部とが異なる方向に揺れることが少なくなり、両者がこすれたり衝突したりすることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
【
図2】冷凍装置における室外機の内部を示す平面図である。
【
図3】
図2のB-B線矢視における室外機の内部を示す図である。
【
図4】
図2のC-C線矢視における室外機の内部を示す図である。
【
図5】
図2のD-D線矢視における室外機の内部を示す図である。
【
図6】冷凍装置における第1室外熱交換器を概略的に示す説明図である。
【
図7】冷凍装置における第2室外熱交換器を概略的に示す説明図である。
【
図9】第1室外熱交換器及び第2室外熱交換器の配置を概略的に示す説明図である。
【
図11】冷房運転時における第1冷媒回路の冷凍サイクルを説明するためのモリエル線図である。
【
図12】本開示の第2実施形態に係る冷凍装置における室外機の内部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
(冷凍装置の全体構成)
図1は、本開示の第1実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路図である。
図1に示すように、本実施形態の冷凍装置10は、空調対象空間である室内の空気の温度を所定の目標温度に調整する空気調和機である。本実施形態の冷凍装置10は、室内の冷房と暖房とを行う。ただし、冷凍装置10は、冷房専用であってもよい。冷凍装置10は、庫内の空気を冷却する冷蔵庫、冷凍庫などであってもよい。
【0022】
冷凍装置10は、室外機11(熱源ユニット)と室内機12(利用ユニット)とを有している。冷凍装置10は、例えば、1台の室外機11と、この室外機11に接続される1台の室内機12とを有している。ただし、冷凍装置10は、室外機11に並列に接続される複数の室内機12を有していてもよい。冷凍装置10は、複数の室外機11を備えていてもよい。
【0023】
冷凍装置10は、第1冷媒回路21と、第2冷媒回路22とを有している。第1冷媒回路21は、第1冷媒を循環させ、第2冷媒回路22は、第2冷媒を循環させる。本実施形態では、第1冷媒として二酸化炭素が用いられている。本実施形態では、第2冷媒として、燃焼性又は毒性を有する冷媒、地球温暖化係数(GWP)が高い冷媒が用いられる。例えば第2冷媒としてR290(プロパン)が用いられる。冷凍装置10は、さらに補助熱交換器27と、制御装置51とを有している。
【0024】
(第1冷媒回路21の構成)
第1冷媒回路21は、室内機12と室外機11との間で第1冷媒を循環させる。第1冷媒回路21は、第1圧縮機24、四路切換弁25、第1室外熱交換器(熱源熱交換器;第1熱交換器)26、第1膨張弁28、第1閉鎖弁29、室内熱交換器(利用熱交換器)30、第2閉鎖弁31、第1アキュムレータ32、及びこれらを接続する冷媒配管40等を備える。
【0025】
室外機11は、第1冷媒回路21を構成する第1圧縮機24、四路切換弁25、第1室外熱交換器26、第1膨張弁28、第1閉鎖弁29、第2閉鎖弁31、及び第1アキュムレータ32を備えている。室内機12は、第1冷媒回路21を構成する室内熱交換器30を備えている。室外機11には、室外の空気を室外機11内に取り込んで第1室外熱交換器26に供給する室外ファン41が設けられている。室内機12には、室内の空気を室内機12の内部に取り込んで室内熱交換器30に供給する室内ファン42が設けられている。
【0026】
第1圧縮機24は、低圧のガス状の第1冷媒を吸引し高圧のガス状の第1冷媒を吐出する。第1圧縮機24は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。第1圧縮機24は、モータがインバータ制御されることによって容量(能力)を変更可能な可変容量型(能力可変型)である。ただし、第1圧縮機24は一定容量型であってもよい。第1圧縮機24は複数台設けられていてもよい。この場合、容量可変型の圧縮機と一定容量形の圧縮機とが混在していてもよい。
【0027】
四路切換弁25は、冷媒配管40における第1冷媒の流れを反転させ、第1圧縮機24から吐出される第1冷媒を第1室外熱交換器26と室内熱交換器30との一方に切り換えて供給する。これにより、冷凍装置10は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる。
【0028】
第1室外熱交換器26は、クロスフィンチューブ式の熱交換器である。第1室外熱交換器26は、室外ファン41によって取り込んだ室外の空気と第1冷媒とを熱交換し、第1冷媒を放熱又は蒸発させる。
【0029】
第1膨張弁28は、第1冷媒を減圧して膨張させる減圧器である。第1膨張弁28は、冷媒流量の調節等を行うことが可能な電動弁により構成されている。第1膨張弁28は、第1室外熱交換器26及び後述する補助熱交換器27において放熱された高圧のガス状の第1冷媒を減圧し膨張させることによって、低圧の気液二相冷媒にする。減圧器としては、第1膨張弁28に代えてキャピラリチューブを用いてもよい。
【0030】
第1閉鎖弁29は、手動の開閉弁である。第1閉鎖弁29は、閉じることによって冷媒配管40における第1冷媒の流れを遮蔽し、開くことによって、冷媒配管40における第1冷媒の流れを許容する。
【0031】
室内熱交換器30は、例えばクロスフィンチューブ式又はマイクロチャネル式の熱交換器である。室内熱交換器30は、室内ファン42によって取り込んだ室内の空気と第1冷媒とを熱交換し、第1冷媒を放熱又は蒸発させる。
【0032】
第2閉鎖弁31は、手動の開閉弁である。第2閉鎖弁31は、閉じることによって冷媒配管40における第1冷媒の流れを遮蔽し、開くことによって、冷媒配管40における第1冷媒の流れを許容する。
【0033】
第1アキュムレータ32は、第1圧縮機24の吸入配管に設けられている。第1アキュムレータ32は、第1圧縮機24に吸入される前の低圧の第1冷媒を一時的に貯留し、第1冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。第1アキュムレータ32で分離されたガス冷媒である第1冷媒は第1圧縮機24に吸入される。
【0034】
(第2冷媒回路22の構成)
第2冷媒回路22は、室外機11の内部で冷媒を循環させる。第2冷媒回路22は、第2冷媒としてR290(プロパン)を用いる。第2冷媒回路22は、第2圧縮機34、第2室外熱交換器(第2熱交換器)36、第2膨張弁38、第2アキュムレータ39、及びこれらを接続する冷媒配管50等を備える。
【0035】
第2圧縮機34は、低圧のガス状の第2冷媒を吸引し高圧のガス状の第2冷媒を吐出する。第2圧縮機34は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。第2圧縮機34は、モータがインバータ制御されることによって容量(能力)を変更可能な可変容量型(能力可変型)である。ただし、第2圧縮機34は一定容量型であってもよい。第2圧縮機34は複数台設けられていてもよい。この場合、容量可変型の第2圧縮機と一定容量形の第2圧縮機とが混在していてもよい。
【0036】
第2室外熱交換器36は、マイクロチャネル式の熱交換器である。第2室外熱交換器36は、室外ファン41によって供給される室外の空気と冷媒とを熱交換し、冷媒を放熱(凝縮)させる。
【0037】
第2膨張弁38は、第2冷媒を減圧して膨張させる減圧器である。本実施形態の第2膨張弁38は、冷媒流量の調節等を行うことが可能な電動弁により構成されている。第2膨張弁38は、第2室外熱交換器36において放熱された高圧の第2冷媒を減圧し膨張させることによって、低圧の気液二相冷媒にする。減圧器としては、第2膨張弁38に代えてキャピラリチューブを用いてもよい。
【0038】
第2アキュムレータ39は、第2圧縮機34に吸入される前の低圧の第2冷媒を一時的に貯留し、第2冷媒をガス冷媒と液冷媒とに分離する。第2アキュムレータ39は、第2圧縮機34の吸入配管に設けられている。第2アキュムレータ39で分離したガス冷媒である第2冷媒は、第2圧縮機34に吸入される。
【0039】
(補助熱交換器(第3熱交換器)27の構成)
補助熱交換器27は、第1室外熱交換器26において放熱された第1冷媒をさらに放熱させる。補助熱交換器27は、第2室外熱交換器36において放熱され第2膨張弁38で減圧された第2冷媒を蒸発させる。
【0040】
具体的に、補助熱交換器27は、第1伝熱管27aと第2伝熱管27bとを有する。第1伝熱管27aの一端は、第1室外熱交換器26まで延びる冷媒配管に接続されている。第1伝熱管27aの他端は、第1膨張弁28まで延びる冷媒配管に接続されている。第2伝熱管27bの一端は、第2膨張弁38まで延びる冷媒配管に接続されている。第2伝熱管27bの他端は、第2アキュムレータ39まで延びる冷媒配管に接続されている。
【0041】
補助熱交換器27は、第1伝熱管27aを流れる第1冷媒と第2伝熱管27bを流れる第2冷媒との間で熱交換させる。第1伝熱管27aには、第1室外熱交換器26で放熱された第1冷媒(ガス状の冷媒)が流入する。第2伝熱管27bには、第2膨張弁38で減圧して膨張された第2冷媒(気液二相冷媒)が流入する。
【0042】
したがって、補助熱交換器27は、第1室外熱交換器26を通過し第1伝熱管27aを流れる第1冷媒と、第2膨張弁(減圧器)38を通過し第2伝熱管27bを流れる第2冷媒との間で熱交換させる。補助熱交換器27によって、第1伝熱管27aを流れる第1冷媒は放熱され、第2伝熱管27bを流れる第2冷媒は蒸発される。
【0043】
以上より、補助熱交換器27は、第1冷媒回路21及び第2冷媒回路22に含まれている。したがって、補助熱交換器27は、第1冷媒回路21及び第2冷媒回路22の構成要素ともいえる。
【0044】
(制御装置51の構成)
制御装置51は、第1圧縮機24、四路切換弁25、第1膨張弁28、室外ファン41、室内ファン42、第2圧縮機34、第2膨張弁38等の動作を制御する。制御装置51は、プロセッサとメモリーとを含む。制御装置51のプロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ゲートアレイ、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成される。ASIC、又はゲートアレイ、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスは、制御プログラムと同様の処理を実行可能に構成される。制御装置51のメモリーは、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリーや、フラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリーを含む。不揮発性メモリーには、コンピュータプログラムである制御プログラムや制御データが記憶される。
【0045】
制御装置51は、プロセッサが制御プログラムを実行することによっての各種機能を発揮する。具体的に、制御装置51は、冷房運転と、暖房運転とを実行する。
【0046】
(冷房運転)
冷凍装置10が冷房運転を行う場合、制御装置51は、第1冷媒回路21と第2冷媒回路22の双方を駆動する。四路切換弁25は、
図1において実線で示す状態に保持される。第1冷媒回路21の第1圧縮機24は、高温高圧のガス状の第1冷媒を吐出する。第1冷媒は、四路切換弁25を経て第1室外熱交換器26に流入する。本実施形態の第1冷媒は二酸化炭素であり、第1圧縮機24によって臨界点を超える圧力まで昇圧される。第1冷媒は、室外ファン41の作動により室外空気と熱交換して放熱する。さらに、第1冷媒は、補助熱交換器27に流入する。
【0047】
一方、第2冷媒回路22の第2圧縮機34は、高温高圧のガス状の第2冷媒を吐出する。第2冷媒は、第2室外熱交換器36に流入し、室外ファン41の作動により室外空気と熱交換して放熱(凝縮)する。さらに第2冷媒は、第2膨張弁38に流入し、所定の低圧に減圧される。その後、第2冷媒は、補助熱交換器27に流入する。
【0048】
補助熱交換器27において、第1冷媒回路21の第1冷媒は、第2冷媒回路22の第2冷媒と熱交換して放熱する。その後、第1冷媒は、第1膨張弁28で減圧して膨張され、室内機12の室内熱交換器30に流入する。室内機12において、第1冷媒は、室内熱交換器30で室内空気と熱交換して蒸発する。第1冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、室内ファン42によって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。室内熱交換器30で蒸発した第1冷媒は、冷媒配管40を通って室外機11に戻り、四路切換弁25及び第1アキュムレータ32を経て第1圧縮機24に吸い込まれる。
【0049】
補助熱交換器27において、第2冷媒回路22の第2冷媒は、第1冷媒回路21の第1冷媒と熱交換して蒸発する。その後、第2冷媒は、第2アキュムレータ39を経て第2圧縮機34に吸い込まれる。
【0050】
(暖房運転)
冷凍装置10によって暖房運転を行う場合、制御装置51は、第1冷媒回路21を駆動し、第2冷媒回路22を停止する。四路切換弁25は、
図1において破線で示す状態に保持される。第1圧縮機24から吐出された高温高圧のガス状の第1冷媒は、四路切換弁25を通過して室内機12の室内熱交換器30に流入する。室内熱交換器30において、第1冷媒は室内空気と熱交換して放熱する。第1冷媒の放熱によって加熱された室内空気は、室内ファン42によって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。
【0051】
その後、第1冷媒は、冷媒配管40を通って室外機11に戻り、第1膨張弁28で所定の低圧に減圧され、補助熱交換器27を通過して第1室外熱交換器26に流入する。第2冷媒回路22は駆動されていないので、補助熱交換器27では第1冷媒と第2冷媒との熱交換は行われない。第1室外熱交換器26に流入した第1冷媒は室外空気と熱交換して蒸発する。第1室外熱交換器26で蒸発して気化した第1冷媒は、四路切換弁25を経て第1圧縮機24に吸い込まれる。
【0052】
(デフロスト運転)
冷凍装置10は、暖房運転で第1室外熱交換器26に付着した霜を除去するためのデフロスト運転が可能である。デフロスト運転は、例えば上述の冷房運転と同様に、高温高圧の第1冷媒を第1室外熱交換器26に流入させることによって行うことができる。
【0053】
(冷房運転時における第1冷媒回路の冷凍サイクル)
図11は、冷房運転時における第1冷媒回路の冷凍サイクルを説明するためのモリエル線図である。
図11において、Lは、例えば夏場の外気温度における等温線を示している。
第1冷媒回路21に用いられる第1冷媒は二酸化炭素であり、第1圧縮機24によって臨界点Pを超える圧力まで昇圧される。そのため、冷房運転の際に、第1室外熱交換器26では第1冷媒が外気温度程度までしか放熱されず、
図11に示すエンタルピー差Δh1しか確保できない。本実施形態では、補助熱交換器27において第1冷媒を外気温度よりも低温の第2冷媒と熱交換させることで、第1冷媒をさらに放熱し、さらなるエンタルピー差Δh2を確保することができる。そのため、二酸化炭素冷媒を用いた冷凍装置10の冷凍能力Hを高めることができる。
【0054】
第1冷媒回路21は、例えば室内機12の入れ替えによって冷媒配管40が取り外されることがある。このとき、第1冷媒回路21が開放されることになり、冷媒漏れの可能性がある。第1冷媒回路21には、第1冷媒として二酸化炭素が用いられるので、漏洩による悪影響は小さい。これに対して、第2冷媒回路22は、室外機11の内部だけで第2冷媒を循環させるので開放されることはほとんどない。本実施形態では、第2冷媒として燃焼性を有するR290(プロパン)が用いられているが、第2冷媒回路22は開放されることがほとんどないので、漏洩する可能性は低い。
【0055】
図2は、冷凍装置における室外機の内部を示す平面図である。
図3は、
図2のB-B線矢視における室外機の内部を示す図である。
図4は、
図2のC-C線矢視における室外機の内部を示す図である。
図5は、
図2のD-D線矢視における室外機の内部を示す図である。
室外機11は、ケーシング55を備えている。ケーシング55は、直方体形状に形成されている。ケーシング55の内部は、
図2に示すように、区画壁56によって機械室S1と、熱交換室S2とに区画されている。熱交換室S2側に配置されたケーシング55の2つの隣接する側壁55a,55bには、空気取入口55a1,55b1が形成されている。空気取入口55b1が形成された一方の側壁55bに隣接した他の側壁55cには、空気吹出口55c1が形成されている。
【0056】
ケーシング55の機械室S1には、第1圧縮機24、第2圧縮機34、第1アキュムレータ32、第2アキュムレータ39、補助熱交換器27等が収容されている。ケーシング55の熱交換室S2には、第1室外熱交換器26、第2室外熱交換器36、室外ファン41等が収容されている。室外ファン41は、回転軸cまわりに回転する。室外ファン41は、空気取入口55a1,55b1からケーシング55内に空気を取り入れ、空気吹出口55c1からケーシング55外に空気を排出する。
図2及び
図3に示す矢印aは、空気取入口55a1,55b1からケーシング55に取り入れられ第1、第2室外熱交換器26,36を通過する空気の流れの方向を示し、矢印bは、空気吹出口55c1からケーシング55の外部に排出される空気の流れの方向を示す。
【0057】
図2に示すように、第1室外熱交換器26及び第2室外熱交換器36は、上面視で略L字形状に形成されている。第1室外熱交換器26及び第2室外熱交換器36は、空気取入口55a1,55b1が形成された2つの側壁55a,55bの間の角部dの付近で屈曲し、2つの側壁55a,55bに沿って配置されている。上面視において、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36とは、略同一の形状に形成され、略同一の長さを有している。
【0058】
図3~
図5に示すように、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36とは、上下方向に並べて配置されている。具体的に、第1室外熱交換器26が下側に配置され、第2室外熱交換器36が上側に配置されている。第1室外熱交換器26及び第2室外熱交換器36の双方には、共通の室外ファン41によって空気が供給される。第1室外熱交換器26の上下方向の高さは、第2室外熱交換器36の上下方向の高さよりも大きい。したがって、第1室外熱交換器26における空気の通過面積は、第2室外熱交換器36における空気の通過面積よりも大きい。
【0059】
図6は、冷凍装置における第1室外熱交換器を概略的に示す説明図である。
第1室外熱交換器26は、多数のフィン26aと、伝熱管26bとを有している。多数のフィン26aは、側面視で長方形の板状に形成され、互いに平行に並べて配置されている。多数のフィン26aは、板面が上下方向に沿って配置されている。
【0060】
伝熱管26bは、断面が円形状に形成された円筒管である。伝熱管26bは、銅を主成分とする材料で形成されている。伝熱管26bは、銅製又は銅合金製である。伝熱管26bは、直線状に形成された複数の直管部26b1と、U字状に形成された曲管部26b2とを有している。直管部26b1は、多数のフィン26aが並ぶ方向に延び、当該フィン26aを貫通している。曲管部26b2は、上面視における第1室外熱交換器26の両端部に配置され、隣接する2本の直管部26b1を互いに接続している。複数の直管部26b1は、
図3に示すように上下方向及び空気流方向aに千鳥状に配置されている。上面視における第1室外熱交換器26の両端部には、管板26cが設けられている。この管板26cによって第1室外熱交換器26の形状が保持されている。
【0061】
図7は、冷凍装置における第2室外熱交換器を概略的に示す説明図である。
図8は、第2室外熱交換器の拡大断面図である。
第2室外熱交換器36は、多数のフィン36aと、複数の伝熱管36bと、ヘッダ36c、36dとを有している。伝熱管36bは、アルミニウムを主成分とする材料で形成されている。伝熱管36bは、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である。複数の伝熱管36bは、上下方向に並べて互いに平行に配置されている。各伝熱管36bは略水平に配置されている。
【0062】
ヘッダ36c、36dは、各伝熱管36bの長手方向の一端部と、他端部とにそれぞれ連結されている。ヘッダ36c、36dは、液冷媒が流れる液ヘッダ36cと、ガス冷媒が流れるガスヘッダ36dとを含む。ヘッダ36c、36dは、第2室外熱交換器36の外部から流入した第2冷媒を各伝熱管36bに分流したり、各伝熱管36bから流入した第2冷媒を合流して第2室外熱交換器36の外部へ流出させたりする。
【0063】
本実施形態の伝熱管36bは、
図8に示すように、内部に複数の冷媒流路36b1を有する多穴管である。複数の冷媒流路36b1は、空気流方向aに沿って一列に並べて形成されている。伝熱管36bを長手方向に直交する方向に切断した横断面の形状は、複数の冷媒流路36b1が並ぶ方向である空気流方向aに長手に形成されている。言い換えると、伝熱管36bは、横断面において、上下方向の長さ(厚さ)L1よりも空気流方向a(水平方向)の長さL2が大きい扁平管である。以下、第2室外熱交換器36の伝熱管36bのことを「扁平多穴管」ともいう。扁平多穴管36bの上面及び下面は略水平に配置されている。
【0064】
扁平多穴管36bの上下方向の長さL1は、例えば1mm~3mmに設定されている。扁平多穴管36bの空気流方向aの長さL2は、例えば、10mm~30mmに設定されている。これに対して、第1室外熱交換器26における伝熱管26bの外径は、例えば、5~10mmに設定されている。そのため、空気流方向aからみて、扁平多穴管36bのほうが伝熱管26bよりも上下方向の長さが小さく、空気流に対する抵抗が小さくなっている。
【0065】
第2室外熱交換器36における扁平多穴管36bの各冷媒流路36b1の面積は、第1室外熱交換器26における伝熱管(円筒管)26bの冷媒流路の面積よりも小さい。そのため、第2室外熱交換器36は、第2冷媒が扁平多穴管36bに触れる機会が多くなり、第1室外熱交換器26よりも効率よく熱交換を行うことができる。これにより、第2冷媒の使用量を可及的に少なくすることが可能となる。本実施形態の第2冷媒は、燃焼性を有するR290(プロパン)が用いられているので、漏洩リスクを低減するために第2冷媒を少なくすることが極めて有効である。例えば、第2冷媒の使用量は、1000g以下とすることができる。好ましくは、第2冷媒の使用量は、150g以下とすることができる。
【0066】
第2室外熱交換器36のフィン36aは、いわゆるコルゲートフィンである。フィン36aは、上下方向に隣接する扁平多穴管36bの間に配置されている。フィン36aは、板材を波状に折り曲げることによって形成されている。したがって、フィン36aは、上下の扁平多穴管36bの間で上下に蛇行しながら扁平多穴管36bの長手方向に延びている。各フィン36aの上端と下端とは、それぞれ扁平多穴管36bにろう付けによって接合されている。
【0067】
図9は、第1室外熱交換器及び第2室外熱交換器の配置を概略的に示す説明図である。
第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36とは、上下方向に並べて配置されている。第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36との間には間隔tがあけられている。このような間隔tがあけられることによって、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36との間の熱伝達を抑制することができる。なお、当該間隔tには断熱材が設けられていてもよい。これによって、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36との間の熱伝達をより抑制することができる。
【0068】
第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36との間隔tは、10mm以下に設定されている。そのため、第1室外熱交換器26及び第2室外熱交換器36の全体が上下方向に大型化するのを抑制することができる。また、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36との間隔tが大きいほど、当該間隔tを空気流が通り抜けやすくなり、第1室外熱交換器26及び第2室外熱交換器36を通過する空気の流量が低下し、熱交換効率が低下する。本実施形態では、間隔tが10mm以下に設定されるので、第1、第2室外熱交換器26、36の熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0069】
一方、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36とは、連結部材58,59によって連結されている。上面視において、第1室外熱交換器26の長手方向の端部は、第2室外熱交換器36の長手方向の端部の近傍に配置されている。本実施形態の連結部材は、上面視における第1室外熱交換器26の端部と第2室外熱交換器36の端部とを連結する第1連結部材58を含む。第1連結部材58は、例えば第1室外熱交換器26の管板26cと、第2室外熱交換器36のヘッダ36c、36dとを連結するものとすることができる。あるいは、第1連結部材58は、第1室外熱交換器26の管板26cを上方に延長し、この管板26cに第2室外熱交換器36に連結することによって構成することができる。
【0070】
本実施形態の連結部材は、上面視における第1室外熱交換器26の長手方向の中途部と第2室外熱交換器36の長手方向の中途部とを連結する第2連結部材59を含む。本実施形態において、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36とは、長手方向の複数箇所(例えば2箇所)で第2連結部材59によって連結されている。
【0071】
図10は、
図9のA-A線断面図である。第2連結部材59は、
図10に示すように、断面形状が略H字状に形成されている。第2連結部材59は、第1室外熱交換器26の上端部を嵌合させる下側嵌合部59aと、第2室外熱交換器36の下端部を嵌合させる上側嵌合部59bとを備えている。第2連結部材59を備えることによって、第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36との水平方向(空気流方向a)又は上下方向の位置ずれを抑制することができる。
【0072】
本実施形態の冷凍装置10は、暖房運転を行う際に第1冷媒回路21のみを運転させ、第2冷媒回路22は停止させる。そのため、第2室外熱交換器36は連結部材58,59を介して第1室外熱交換器26から熱伝達で冷却される。仮に第2室外熱交換器36が第1室外熱交換器26の下側に配置されていると、第1室外熱交換器26で発生した水が第2室外熱交換器36に滴下し、第2室外熱交換器36の扁平多穴管36b上に水が溜まり、凍結する恐れがある。本実施形態においては、第2室外熱交換器36が第1室外熱交換器26の上側に配置されているので、このような問題の発生を抑制することができる。
【0073】
[第2実施形態]
図12は、本開示の第2実施形態に係る冷凍装置における室外機の内部を示す側面図である。
本実施形態では、室外機11における第1室外熱交換器26及び第2室外熱交換器36と、室外ファン41との配置関係が第1実施形態と異なっている。本実施形態の室外機11は、ケーシング55の上部に室外ファン41が設けられ、室外ファン41は、上方へ向けて空気を吹き出す。そのため、室外機11は、ケーシング55の側面には、空気の取り入れ口55dが形成され、ケーシング55の上面には、空気に吹き出し口55eが設けられている。第1室外熱交換器26と第2室外熱交換器36とは、ケーシング55の3つ又は4つの側面に対向するように配置され、矢印aで示すように、取り入れ口55dから取り込んだ空気が通過するように配置されている。第1室外熱交換器26及び第2室外熱交換器36を通過した空気は、矢印bで示すように、ケーシング55の吹き出し口55eから上方へ排出される。
【0074】
本実施形態では、室外ファン41が、ケーシング55の上部、言い換えると第2室外熱交換器36の上部に配置される。そのため、第1室外熱交換器26よりも第2室外熱交換器36の方が室外ファン41に近くなり、第1室外熱交換器26を通過する空気の流速よりも第2室外熱交換器36を通過する空気の流速の方が高くなる。そのため、第2室外熱交換器36に水がかかり、扁平多穴管36b上やコルゲートフィン36aの内部に水が溜まったとしても、第2室外熱交換器36を通過する空気流で水を排出しやすくすることができる。
【0075】
[実施形態の作用効果]
(1)本実施形態の冷凍装置10は、第1冷媒を循環させる第1冷媒回路21と、第1冷媒とは異なる第2冷媒を循環させる第2冷媒回路22と、第1冷媒と第2冷媒とを熱交換させる第3熱交換器(補助熱交換器)27と、を備える。第1冷媒回路21は、円管状の伝熱管26bを有する第1熱交換器(第1室外熱交換器)26を含み、第2冷媒回路22は、扁平多穴管36bを有する第2熱交換器(第2室外熱交換器)36を含む。第1熱交換器26と第2熱交換器36とは上下に並べて配置され、第2熱交換器36が第1熱交換器26の上側に配置されている。
【0076】
上記構成によれば、例えば、冬場などの外気温が低いときに暖房運転を行い、第1熱交換器26を蒸発器として用いる場合、第1熱交換器26に霜が付着することがある。そして、デフロスト運転等によって霜が溶けると、第1熱交換器26から下方に水滴が落ちることがある。一方、第2熱交換器36の扁平多穴管36bは、横断面における空気流方向a(水平方向)の長さL2が上下方向の長さL1よりも大きいので、その上面に水が溜まりやすい(残りやすい)構造となっている。本実施形態の冷凍装置10においては、第2熱交換器36が第1熱交換器26の上側に配置されているので、第1熱交換器26から滴下した水が第2熱交換器36の扁平多穴管36b上にかかることがない。そのため、扁平多穴管36b上で水が溜まったり凍結したりすることを抑制することができる。仮に第2熱交換器36で水が発生し第1熱交換器26に滴下したとしても、円管状の伝熱管26b上には水が溜まり難いので、当該水が凍結することを抑制することができる。
【0077】
(2)本実施形態において、第2熱交換器36は、上下方向に間隔をあけて配置された複数の扁平多穴管36bと、上下に隣接する扁平多穴管36bの間に配置される、蛇行するフィン36aと、を備える。
上下に隣接する扁平多穴管36bの間にコルゲートフィン36aを有する第2熱交換器36においては、コルゲートフィン36aに水が入り込むと排出され難く、溜まった水が凍結することでコルゲートフィン36aと扁平多穴管36bとのろう付け部分(接着部分)を損傷させる恐れが生じる。本実施形態の冷凍装置10においては、第1熱交換器26の上側に第2熱交換器36が配置され、第1熱交換器26で発生した水が第2熱交換器36に滴下しないので、コルゲートフィン36aに水が入り込む可能性が低くなり、当該水の凍結等を抑制することができる。
【0078】
(3)本実施形態の冷凍装置10において、第1熱交換器26と第2熱交換器36との上下方向の間隔tは10mm以下である。
本実施形態の冷凍装置10では、第1熱交換器26の上側に第2熱交換器36が配置され、第1熱交換器26で発生した水が第2熱交換器36に滴下して扁平多穴管36b上で凍結することがないので、第1熱交換器26と第2熱交換器36との間隔tを10mm以下と小さくすることができ、第1、第2熱交換器全体(特に、上下方向の寸法)の大型化を抑制することができる。また、第1熱交換器26と第2熱交換器36との間隔が大きいと、当該間隔tを空気流が通り抜けやすくなり、第1熱交換器26及び第2熱交換器36の熱交換効率が低下する可能性があるが、当該間隔tを10mm以下とすることで通り抜ける空気流を少なくし、第1、第2熱交換器26、36で効率よく熱交換を行うことができる。
【0079】
(4)上記実施形態の冷凍装置において、伝熱管26bが銅を主成分とする材料で形成され、扁平多穴管36bがアルミニウムを主成分とする材料で形成される。
【0080】
銅は、アルミニウムよりも電位が高いので、銅で発生した水がアルミニウムに接触するとアルミニウムに電蝕が発生する可能性がある。本実施形態では、上側に配置される第2熱交換器36の扁平多穴管36bがアルミニウムを主成分とする材料で形成され、下側に配置される第1熱交換器26の伝熱管26bが銅を主成分とする材料で形成されるので、第1熱交換器26で発生した水が第2熱交換器36に滴下することがなく、扁平多穴管36bの電蝕の発生を抑制することができる。
【0081】
(5)上記第2実施形態において、冷凍装置10は、第1熱交換器26及び第2熱交換器36を収容するケーシング55と、第2熱交換器36の上部に配置され、前記第1熱交換器26及び前記第2熱交換器36を通過する空気流を生成するファン(室外ファン)41と、をさらに備える。
【0082】
この構成によれば、ファン41を作動することによって、下側に配置された第1熱交換器26を通過する空気の流速よりも上側に配置された第2熱交換器36を通過する空気の流路を高めることができる。そのため、仮に第2熱交換器36に雨水等が付着したとしても、高い流速の空気流で水滴を排出し易くすることができる。そのため、扁平多穴管36b上における水の凍結等を抑制することができる。
【0083】
(6)上記実施形態の冷凍装置10は、第1熱交換器26と第2熱交換器36とを連結する連結部材58,59をさらに備える。
【0084】
第1熱交換器26と第2熱交換器36とが連結部材58,59で連結される場合、この連結部材58,59を介して第1熱交換器26の熱が第2熱交換器36に伝達される可能性がある。そのため、冬場など外気温が低いときに暖房運転を行い、第1熱交換器26を蒸発器として用いると、連結部材58,59を介して第1熱交換器26の熱が第2熱交換器36に伝達され、第2熱交換器36が冷却される。第2熱交換器36には、第1熱交換器26で発生した水が滴下しないので、扁平多穴管36b上に水が溜まることが抑制される。そのため、第2熱交換器36が冷却されたとしても扁平多穴管36b上で水が凍結することを抑制することができる。
【0085】
(7)上記実施形態の冷凍装置10において、上面視において、第1熱交換器26の長手方向の端部が、第2熱交換器36の長手方向の端部の近傍に配置されているので、連結部材は、第1熱交換器26の端部と第2熱交換器36の端部とを連結する第1連結部材58を含むことができる。
【0086】
(8)上記実施形態において、冷凍装置10の連結部材は、上面視における第1熱交換器26及び第2熱交換器36の長手方向の中途部同士を連結する第2連結部材59を含む。
【0087】
この構成によれば、輸送等による振動が冷凍装置10に伝わったとしても、第1熱交換器26の長手方向の中途部と第2熱交換器36の長手方向の中途部とが異なる方向に揺れることが少なくなり、両者がこすれたり衝突したりすることが抑制される。
【0088】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【0089】
例えば、上記実施形態では、第2冷媒回路22で用いられる第2冷媒として、R290(プロパン)を例示しているが、これに限定されるものではない。第2冷媒としては、燃焼性、毒性を有する冷媒や、GWP(地球温暖化係数)が比較的高い冷媒(例えば自然冷媒よりも高いGWP4以上675以下の冷媒)を用いることが可能である。燃焼性を有する冷媒としては、上述したR290(プロパン)の他、R32、R1234yf、R474a、R600a(イソブタン)等を用いることができる。毒性を有する冷媒としては、NH3(アンモニア)等を用いることができる。GWPの高い冷媒としては、R32、R454B、R454C等を用いることができる。このうちR32のGWPが、最大の675となる。
【0090】
第2室外熱交換器36は、コルゲートフィン36aではなく、第1室外熱交換器26のフィン26aと同様の、長方形の平板状のフィンを備えたものであってもよい。この場合、多数のフィンが上下方向に沿った状態で並べて配置され、扁平多穴管36bが複数のフィンを貫通する形態とすることができる。
【符号の説明】
【0091】
10 :冷凍装置
21 :第1冷媒回路
22 :第2冷媒回路
26 :第1室外熱交換器(第1熱交換器)
27 :補助熱交換器(第3熱交換器)
36 :第2室外熱交換器(第2熱交換器)
36a :コルゲートフィン
36b :扁平多穴管
41 :室外ファン
55 :ケーシング
58 :第1連結部材
59 :第2連結部材
【要約】
【課題】異なる冷媒を用いた2つの冷媒回路を備える冷凍装置において、熱交換器における排水性の問題を解消する。
【解決手段】冷凍装置10は、第1冷媒を循環させる第1冷媒回路と、第1冷媒とは異なる第2冷媒を循環させる第2冷媒回路と、第1冷媒と前記第2冷媒とを熱交換させる第3熱交換器と、を備え、第1冷媒回路が、円管状の伝熱管26bを有する第1熱交換器26を含み、第2冷媒回路22が、扁平多穴管36bを有する第2熱交換器36を含み、第1熱交換器26と第2熱交換器36とが上下に並べて配置され、第2熱交換器36が第1熱交換器26の上側に配置されている。
【選択図】
図3