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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】タイヤの製造方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/20 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B29D30/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023129624
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2024-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正智
(72)【発明者】
【氏名】松村 謙介
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 康
(72)【発明者】
【氏名】河合 勝広
(72)【発明者】
【氏名】大石 潤平
(72)【発明者】
【氏名】善養寺 千裕
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 武大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大
(72)【発明者】
【氏名】松丸 輝明
(72)【発明者】
【氏名】大西 康平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 誠之
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-056074(JP,A)
【文献】特開2006-116817(JP,A)
【文献】特開平08-224803(JP,A)
【文献】国際公開第2006/048924(WO,A1)
【文献】特開2020-028997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類のタイヤ部材を積層してグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫するタイヤの製造方法において、
前記タイヤ部材として少なくとも、インナーライナ、カーカス材およびサイド部を材料として有する内周側部材と、ベルト材とトレッド部を材料として有する外周側部材と、ビード部材とを有し、
並列した2つのシェープドラムを平面視で180°旋回可能に設置し、並列した2つのベルトドラムを平面視で180°旋回可能に設置し、1つのバンドドラムをドラム幅方向にスライド移動可能に設置して、前記バンドドラムとそれぞれの前記ベルトドラムとの間に、それぞれの前記シェープドラムを設置して、
それぞれの前記材料のストック位置では、それぞれの前記材料が長尺体の状態で巻回された複数の供給ユニットを並列して配置し、それぞれの前記供給ユニットに対して幅方向にスライドするスライドコンベヤを配置し、所定数の一対の前記ビード部材をビードストック位置で複数のビード供給ユニットにストックし、
前記インナーライナおよび前記カーカス材を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記サイド部を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記ベルト材を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤと、前記トレッド部を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤとを並列に配置し、
前記インナーライナおよび前記カーカス材を、それぞれの前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給して巻き付けて筒状にして積層し、
前記サイド部を、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給して、前記バンドドラムに巻き付けて筒状にして、筒状の前記インナーライナおよび前記カーカス材に積層して前記内周側部材を成形し、
前記バンドドラムとドラム軸心を一致させている一方の前記シェープドラムに前記内周側部材および一対の前記ビード部材を、バンド移送機を用いて移送して外嵌めし、
前記ベルト材を、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって一方の前記ベルトドラムに順次供給して巻き付けて筒状にして積層し、
前記トレッド部を、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって、平面視で180°旋回させた一方の前記ベルトドラムに順次供給して巻き付けて筒状にして、筒状の前記ベルト材に積層して前記外周側部材を成形した後、一方の前記ベルトドラムを平面視で180°旋回させ、
平面視で180°旋回させた一方の前記シェープドラムのドラム軸心と、前記外周側部材が成形されている一方の前記ベルトドラムのドラム軸心とを一致させて、前記外周側部材を、ベルト移送機を用いてこのドラム軸方向に移動させて一方の前記シェープドラムに形成されている前記内周側部材に外挿して一方の前記シェープドラムにてグリーンタイヤを成形し、
それぞれの前記材料での前記ストック位置では、一方の前記供給ユニットにストックされている前記材料が空になると、他方の前記供給ユニットからその材料を供給し、他方の前記供給ユニットからその材料を供給している間に、空になった一方の前記供給ユニットをその材料がストックされた新たな前記供給ユニットに置き換えるタイヤの製造方法。
【請求項2】
それぞれの前記供給コンベヤを、平面視で、前記バンドドラムがスライド移動する幅方向に対して直交して延在させ、前記幅方向に延在する直線を境界して区分される2つの領域のうちの同じ一方の領域側に、それぞれの前記供給ユニット、それぞれの前記スライドコンベヤ、それぞれの前記供給コンベヤおよびそれぞれの前記ビード供給ユニットを設置する請求項1に記載のタイヤの製造方法。
【請求項3】
それぞれの前記材料での前記ストック位置では、いずれか1つの前記供給ユニットが主供給ユニットに設定されていて、対応する前記スライドコンベヤを前記主供給ユニットの前方位置にスライド移動させて配置することで、前記主供給ユニット、前記スライドコンベヤおよび対応する前記供給コンベヤにより、対応する前記ドラムに対する供給経路を形成する請求項1または2に記載のタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記主供給ユニットにストックされている前記材料が空になった際には、この空になった前記主供給ユニットをその材料がストックされた新たな主供給ユニットに置き換えする作業が完了次第、対応する前記スライドコンベヤをこの新たな主供給ユニットの前方位置にスライド移動させて配置して、この新たな主供給ユニットからその材料を供給する請求項3に記載のタイヤの製造方法。
【請求項5】
複数種類のタイヤ部材が積層されてグリーンタイヤが成形されるシェープドラムを有する成形装置と、前記グリーンタイヤが加硫される加硫装置とを備えたタイヤの製造システムにおいて、
前記タイヤ部材として少なくとも、インナーライナ、カーカス材およびサイド部を材料として有する内周側部材と、ベルト材とトレッド部を材料として有する外周側部材と、ビード部材とを有し、
平面視で180°旋回可能に設置された並列された2つのシェープドラムと、平面視で180°旋回可能に設置された並列した2つのベルトドラムと、幅方向にスライド移動可能に設置された1つのバンドドラムとを有し、前記バンドドラムとそれぞれの前記ベルトドラムとの間に、それぞれの前記シェープドラムが設置されていて、
前記バンドドラムから前記内周側部材を前記シェープドラムに移送するバンド移送機と、前記ベルトドラムから前記外周側部材を前記シェープドラムに移送するベルト移送機と、前記ビード供給ユニットかのいずれか1つから前記一対のビード部材を前記内周側部材に外嵌するビード移送機とを有し、
それぞれの前記材料がストックされるストック位置を有し、それぞれの前記材料のストック位置では、それぞれの前記材料が長尺体の状態で巻回された複数の供給ユニットが並列して配置されていて、それぞれの前記供給ユニットに対して幅方向にスライドするスライドコンベヤを有し、
所定数の一対の前記ビード部材がストックされるビードストック位置を有し、そのビードストック位置では、複数のビード供給ユニットが配置されていて、
前記インナーライナおよび前記カーカス材を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記サイド部を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記ベルト材を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤと、前記トレッド部を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤとが並列に配置されていて、
前記インナーライナおよび前記カーカス材が、それぞれの前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給されて巻き付けられて筒状されて積層され、
前記サイド部が、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給されて、前記バンドドラムに巻き付けられて筒状にされて、筒状の前記インナーライナおよび前記カーカス材に積層されて前記内周側部材が成形され、
前記バンドドラムとドラム軸心を一致させた一方の前記シェープドラムに前記内周側部材および一対の前記ビード部材が、前記バンド移送機を用いて移送されて外嵌めされて、
前記ベルト材が、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって一方の前記ベルトドラムに順次供給されて巻き付けられて筒状にされて積層され、
前記トレッド部が、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって、平面視で180°旋回された一方の前記ベルトドラムに順次供給されて巻き付けられて筒状にされて、筒状の前記ベルト材に積層されて前記外周側部材が成形された後、一方の前記ベルトドラムが平面視で180°旋回されて、
平面視で180°旋回された一方の前記シェープドラムと、前記外周側部材が成形されている一方の前記ベルトドラムとの互いのドラム軸心とが互いに一致されて、前記外周側部材が、前記バンド移送機を用いてこのドラム軸方向に移動されて一方の前記シェープドラムに形成されている前記内周側部材に外挿されて一方の前記シェープドラムにてグリーンタイヤが成形され、
それぞれの前記材料での前記ストック位置では、一方の前記供給ユニットにストックされている前記材料が空になると、他方の前記供給ユニットからその材料が供給され、他方の前記供給ユニットからその材料が供給されている間に、空になった一方の前記供給ユニットがその材料がストックされた新たな前記供給ユニットに置き換えられる構成にしたタイヤの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造方法およびシステムに関し、さらに詳しくは、タイヤ成形装置をコンパクト化しつつ、タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減してタイヤの成形工程での作業効率を向上させるタイヤの製造方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤはグリーンタイヤを加硫することで製造される。グリーンタイヤは多数種類のタイヤ部材が積層して成形される。例えば、インナーライナ、カーカス材、ベルト材、トレッドゴム、一対のビード部材などをシェーピングドラム上で一体化させることでグリーンタイヤが成形される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1で提案されているタイヤの製造装置は、カーカス部材が供給される第1のドラムと、外側部材が供給される第2のドラムと、内側部材が供給される第3のドラムとの3種類のドラムを備えている。このタイヤの製造装置では、第3のドラムにおいて、内側部材とカーカス部材と外側部材と一対のビード部材とが一体化されてグリーンタイヤが成形される。
【0004】
このタイヤ製造装置では、所定長さのそれぞれの材料(カーカス部材、ベルト部材、トレッドゴム部材、インナーライナなど)が、平置き状態で供給装置によって、対応するドラムに供給される。そのため、それぞれの供給装置にそれぞれの材料を供給している供給源(ストックドラム等)にその材料が無くなると、その材料が供給源に補充されるまで、タイヤの成形工程は停止することになる。或いは、それぞれの材料の供給停止を回避するために、それぞれの供給装置などに余分な量の材料を載置してストック可能にすると、装置が大型化する。それ故、タイヤ成形装置をコンパクト化しつつ、タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減して成形工程の作業効率を向上させるには改善の余地がある。成形工程の作業効率が向上することに伴って、タイヤの生産性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-220636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、タイヤ成形装置をコンパクト化しつつ、タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減してタイヤの成形工程での作業効率を向上させるタイヤの製造方法および製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明のタイヤの製造方法は、複数種類のタイヤ部材を積層してグリーンタイヤを成形し、このグリーンタイヤを加硫するタイヤの製造方法において、前記タイヤ部材として少なくとも、インナーライナ、カーカス材およびサイド部を材料として有する内周側部材と、ベルト材とトレッド部を材料として有する外周側部材と、ビード部材とを有し、並列した2つのシェープドラムを平面視で180°旋回可能に設置し、並列した2つのベルトドラムを平面視で180°旋回可能に設置し、1つのバンドドラムをドラム幅方向にスライド移動可能に設置して、前記バンドドラムとそれぞれの前記ベルトドラムとの間に、それぞれの前記シェープドラムを設置して、それぞれの前記材料のストック位置では、それぞれの前記材料が長尺体の状態で巻回された複数の供給ユニットを並列して配置し、それぞれの前記供給ユニットに対して幅方向にスライドするスライドコンベヤを配置し、所定数の一対の前記ビード部材をビードストック位置で複数のビード供給ユニットにストックし、前記インナーライナおよび前記カーカス材を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記サイド部を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記ベルト材を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤと、前記トレッド部を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤとを並列に配置し、前記インナーライナおよび前記カーカス材を、それぞれの前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給して巻き付けて筒状にして積層し、前記サイド部を、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給して、前記バンドドラムに巻き付けて筒状にして、筒状の前記インナーライナおよび前記カーカス材に積層して前記内周側部材を成形し、前記バンドドラムとドラム軸心を一致させている一方の前記シェープドラムに前記内周側部材および一対の前記ビード部材を、バンド移送機を用いて移送して外嵌めし、前記ベルト材を、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって一方の前記ベルトドラムに順次供給して巻き付けて筒状にして積層し、前記トレッド部を、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって、平面視で180°旋回させた一方の前記ベルトドラムに順次供給して巻き付けて筒状にして、筒状の前記ベルト材に積層して前記外周側部材を成形した後、一方の前記ベルトドラムを平面視で180°旋回させ、平面視で180°旋回させた一方の前記シェープドラムのドラム軸心と、前記外周側部材が成形されている一方の前記ベルトドラムのドラム軸心とを一致させて、前記外周側部材を、ベルト移送機を用いてこのドラム軸方向に移動させて一方の前記シェープドラムに形成されている前記内周側部材に外挿して一方の前記シェープドラムにてグリーンタイヤを成形し、それぞれの前記材料での前記ストック位置では、一方の前記供給ユニットにストックされている前記材料が空になると、他方の前記供給ユニットからその材料を供給し、他方の前記供給ユニットからその材料を供給している間に、空になった一方の前記供給ユニットをその材料がストックされた新たな前記供給ユニットに置き換えることを特徴とする。
【0008】
本発明のタイヤの製造システムは、複数種類のタイヤ部材が積層されてグリーンタイヤが成形されるシェープドラムを有する成形装置と、前記グリーンタイヤが加硫される加硫装置とを備えたタイヤの製造システムにおいて、前記タイヤ部材として少なくとも、インナーライナ、カーカス材およびサイド部を材料として有する内周側部材と、ベルト材とトレッド部を材料として有する外周側部材と、ビード部材とを有し、平面視で180°旋回可能に設置された並列された2つのシェープドラムと、平面視で180°旋回可能に設置された並列した2つのベルトドラムと、幅方向にスライド移動可能に設置された1つのバンドドラムとを有し、前記バンドドラムとそれぞれの前記ベルトドラムとの間に、それぞれの前記シェープドラムが設置されていて、前記バンドドラムから前記内周側部材を前記シェープドラムに移送するバンド移送機と、前記ベルトドラムから前記外周側部材を前記シェープドラムに移送するベルト移送機と、前記ビード供給ユニットかのいずれか1つから前記一対のビード部材を前記内周側部材に外嵌するビード移送機とを有し、それぞれの前記材料がストックされるストック位置を有し、それぞれの前記材料のストック位置では、それぞれの前記材料が長尺体の状態で巻回された複数の供給ユニットが並列して配置されていて、それぞれの前記供給ユニットに対して幅方向にスライドするスライドコンベヤを有し、所定数の一対の前記ビード部材がストックされるビードストック位置を有し、そのビードストック位置では、複数のビード供給ユニットが配置されていて、前記インナーライナおよび前記カーカス材を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記サイド部を前記バンドドラムに供給する供給コンベヤと、前記ベルト材を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤと、前記トレッド部を前記ベルトドラムに供給する供給コンベヤとが並列に配置されていて、前記インナーライナおよび前記カーカス材が、それぞれの前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給されて巻き付けられて筒状されて積層され、前記サイド部が、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって前記バンドドラムに順次供給されて、前記バンドドラムに巻き付けられて筒状にされて、筒状の前記インナーライナおよび前記カーカス材に積層されて前記内周側部材が成形され、前記バンドドラムとドラム軸心を一致させた一方の前記シェープドラムに前記内周側部材および一対の前記ビード部材が、前記バンド移送機を用いて移送されて外嵌めされて、前記ベルト材が、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって一方の前記ベルトドラムに順次供給されて巻き付けられて筒状にされて積層され、前記トレッド部が、その前記ストック位置に並列されている一方の前記供給ユニットから対応する前記スライドコンベヤを経由して、予め定尺カットされた状態で、対応する前記供給コンベヤによって、平面視で180°旋回された一方の前記ベルトドラムに順次供給されて巻き付けられて筒状にされて、筒状の前記ベルト材に積層されて前記外周側部材が成形された後、一方の前記ベルトドラムが平面視で180°旋回されて、平面視で180°旋回された一方の前記シェープドラムと、前記外周側部材が成形されている一方の前記ベルトドラムとの互いのドラム軸心とが互いに一致されて、前記外周側部材が、前記バンド移送機を用いてこのドラム軸方向に移動されて一方の前記シェープドラムに形成されている前記内周側部材に外挿されて一方の前記シェープドラムにてグリーンタイヤが成形され、それぞれの前記材料での前記ストック位置では、一方の前記供給ユニットにストックされている前記材料が空になると、他方の前記供給ユニットからその材料が供給され、他方の前記供給ユニットからその材料が供給されている間に、空になった一方の前記供給ユニットがその材料がストックされた新たな前記供給ユニットに置き換えられる構成にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、それぞれの前記材料の前記ストック位置では、複数の前記供給ユニットを並列して配置し、それぞれの前記供給ユニットに対して幅方向にスライドするスライドコンベヤを配置することで、それぞれの前記材料を、複数の前記供給ユニットのいずれか一方から供給することができる。そして、一方の前記供給ユニットにストックされている前記材料が空になると、他方の前記供給ユニットからその材料が供給されて、他方の前記供給ユニットからその材料が供給されている間に、空になった一方の前記供給ユニットがその材料がストックされた新たな前記供給ユニットに置き換えられるので、それぞれの前記材料の補充に起因して成形工程が停止することを回避できる。さらに、前記ビード供給ユニットを複数有しているので、一対の前記ビード部材も複数の前記ビード供給ユニットのいずれか一つから供給することができるので、一対の前記ビード部材の補充に起因して成形工程が停止することも回避できる。
【0010】
これに伴い、それぞれの前記材料の補充に起因する時間ロスを低減するために、それぞれの前記供給コンベヤに余分な量の前記材料を載置してストックする必要がないので、それぞれの前記供給コンベヤの長さを最小限にできる。また、それぞれの前記材料は長尺体の状態で巻回されてそれぞれの前記供給ユニットにストックされるので、成形装置をコンパクト化するには有利になる。また、前記内周側部材を移送する際の前記バンドドラムと前記シェープドラムとのドラム軸心が同軸上に設定され、前記外周側部材を移送する際の前記ベルトドラムと前記シェープドラムとのドラム軸心が同軸上に設定されているので、前記バンド移送機および前記ベルト移送機は、それぞれの前記ドラムの共通のドラム軸心方向のみの移動で済むので成形装置のコンパクト化には益々有利になる。その結果、タイヤの成形装置をコンパクト化しつつ、タイヤを生産性よく製造するには有利になる。
【0011】
さらに、並列した2つのシェープドラムを平面視で180°旋回可能に設置し、並列した2つのベルトドラムを平面視で180°旋回可能に設置し、1つのバンドドラムをドラム幅方向にスライド移動可能に設置して、それぞれの前記供給コンベヤを並列に配置することで、時間を要する前記シェープドラムでの工程を複数のシェープドラムで並行して行える。その結果、前記シェープドラム、前記ベルトドラム、前記バンドドラムでの工程で要する時間が平準化されて、1本のグリーンタイヤを成形するために要する時間を短縮化できる。これに伴い、タイヤを生産性よく製造するには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】タイヤの製造システムの実施形態を平面視で例示する説明図である。
図2図1の成形装置のそれぞれのドラムを正面視で例示する説明図である。
図3】インナーライナの供給ユニットからバンドドラムへの供給経路を側面視で例示する説明図である。
図4】カーカス材の供給ユニットからバンドドラムへの供給経路を側面視で例示する説明図である。
図5】サイド部の供給ユニットからバンドドラムへの供給経路を側面視で例示する説明図である。
図6】ベルト材の供給ユニットからベルトドラムへの供給経路を側面視で例示する説明図である。
図7】トレッド部の供給ユニットからベルトドラムへの供給経路を側面視で例示する説明図である。
図8】ベルト補強材の供給ユニットからベルトドラムへの供給経路を側面視で例示する説明図である。
図9】インナーライナカーカス材およびサイド部をバンドドラムに供給する状態を平面視で例示する説明図である。
図10図9の定尺カットされたインナーライナ、カーカス材、サイド部を前進移動させた状態を平面視で例示する説明図である。
図11図10のインナーライナが載置された供給コンベヤを90°旋回させるとともに、定尺カットされたサイド部を供給コンベヤに移動させた状態を平面視で例示する説明図である。
図12図11の定尺カットされたインナーライナおよびカーカス材をバンドドラムに向かって移動させる状態を平面視で例示する説明図である。
図13図12の定尺カットされたインナーライナおよびカーカス材をバンドドラムに巻付けた状態を平面視で例示する説明図である。
図14図13のバンドドラムを幅方向に移動させて、その外周面に定尺カットされたサイド部を巻付けて内周側部材が成形された状態を平面視で例示する説明図である。
図15図14の成形された内周側部材に一対のビード部材を外嵌した状態を平面視で例示する説明図である。
図16】定尺カットされたベルト材およびトレッド部をベルトドラムに供給する状態を平面視で例示する説明図である。
図17図16の定尺カットされたベルト材およびトレッド部をベルトドラムに向かって移動させた状態を平面視で例示する説明図である。
図18図17の定尺カットされたベルト材を一方のベルトドラムに巻付けた状態を平面視で例示する説明図である。
図19図18のベルトドラムを時計回りに180°旋回させて一方のベルトドラムに巻付けたベルト材にベルト補強材を巻付けている状態を例示する説明図である。
図20図19の定尺カットされたトレッド部を一方のベルトドラムに巻付けて外周側部材を成形し、ベルト材を他方のベルトドラムに巻付けた状態を平面視で例示する説明図である。
図21図20のベルトドラムを反時計回りに180°旋回させた状態を平面視で例示する説明図である。
図22】一方のシェープドラムに内周側部材および一対のビード部材を外嵌した状態を平面視で例示する説明図である。
図23図22のシェープドラムを時計回りに180°旋回させ、他方のベルトドラムにベルト補強材を巻付けている状態を平面視で例示する説明図である。
図24図23の一方のシェープドラムにベルトドラムから移送した外周側部材を外嵌し、他方のシェープドラムに内周側部材および一対のビード部材を外嵌した状態を平面視で例示する説明図である。
図25図24のシェープドラムを反時計回りに180°旋回させ、一方のベルトドラムにベルト材を巻付けている状態を平面視で例示する説明図である。
図26図25の一方のシェープドラムからグリーンタイヤを取り出し、ベルトドラムを反時計回りに180°旋回させた状態を平面視で例示する説明図である。
図27図26のグリーンタイヤを加硫している加硫装置を、一部拡大して縦断面視で例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のタイヤの製造方法およびシステムを、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
本発明のタイヤの製造システムの実施形態は、図1に例示するように、成形装置1と加硫装置15とを備えている。成形装置1を用いて複数種類の未加硫のタイヤ部材Mが積層されてグリーンタイヤGが成形される。成形されたグリーンタイヤGが加硫装置15を用いて加硫されることでタイヤTが製造される。加硫装置15にはタイヤ仕様に応じた加硫用モールド16が装着されている。公知の種々の加硫装置15を用いることができる。
【0015】
グリーンタイヤGは、タイヤ部材Mとして少なくとも、インナーライナM1、カーカス材M2およびサイド部M3を有する内周側部材MAと、ベルト材M4とトレッド部M5を有する外周側部材MBと、一対のビード部材MCとを有している。この実施形態では、外周側部材MBはさらにベルト補強材M6を有している。ベルト補強材M6は任意で採用することができ、タイヤ部材Mには必要に応じてその他の種類の材料が採用される。尚、以下ではインナーライナM1、カーカス材M2、サイド部M3、ベルト材M4、トレッド部M5、ベルト補強材M6をそれぞれ、材料M1、M2、M3、M4、M5、M6という。
【0016】
図1図8に例示するように成形装置1は、シェープドラム2(2a、2b)、バンドドラム3およびベルトドラム4(4a、4b)の3種類のドラムと、それぞれの材料M1、M2、M3、M4、M5、M6の供給ユニット5(5A、5B)、6(6A、6B)、7(7A、7B)、8(8A、8B)、9(9A、9B)、10(10A、10B)と、一対のビード部材MCのビード供給ユニット11(11A、11B)とを有している。図中のX、Y、Z矢印はそれぞれ、成形装置1の幅方向、奥行き方向、高さ方向を示していて互いに直交する方向である。
【0017】
2つのシェープドラム2(2a、2b)、1つのバンドドラム3、2つのベルトドラム4(4a、4b)が備わっていて、シェープドラム2(2a、2b)は、X方向でバンドドラム3とベルトドラム4との間に配置されている。この実施形態では、2つのシェープドラム2a、2bが平面視で旋回軸2pを中心にして180°旋回移動した位置に設けられている。2つのシェープドラム2a、2bは、旋回軸2pを中心にして時計回りおよび反時計回りに180°旋回することで交互に同じ位置に固定配置される。
【0018】
バンドドラム3のドラム軸心C1はX方向に延在していて、X方向に延在するガイドレール3rに沿って移動可能である。また、2つのベルトドラム4a、4bが平面視で旋回軸4pを中心にして180°旋回移動した位置に設けられている。2つのベルトドラム4a、4bは、旋回軸4pを中心にして時計回りおよび反時計回りに180°旋回することで交互に同じ位置に固定配置される。
【0019】
それぞれのシェープドラム2a、2bは旋回軸2pを中心にして旋回して、バンドドラム3側、ベルトドラム4側に固定配置されると、それぞれのドラム軸心C1、C2はX方向に延在する(X方向と平行になる)。旋回してバンドドラム3側に固定配置されたシェープドラム2とバンドドラム3の互いのドラム軸心C1はX方向に平行でかつY、Z方向で一致する。即ち、隣接するシェープドラム2とバンドドラム3の互いのドラム軸心C1はX、YおよびZ方向で一致する。
【0020】
それぞれのベルトドラム4a、4bは旋回軸4pを中心にして旋回して、シェープドラム2側、反シェープドラム2側に固定配置されると、それぞれのドラム軸心C2、C3はX方向に延在する(X方向と平行になる)。旋回してシェープドラム2側に固定配置されたベルトドラム4と、旋回してベルトドラム4側に固定配置されたシェープドラム2の互いのドラム軸心C2は、X方向に平行でかつY、Z方向で一致する。即ち、隣接するベルトドラム4とシェープドラム2の互いのドラム軸心C2はX、YおよびZ方向で一致する。
【0021】
それぞれの供給ユニット5、6、7、8、9、10は、それぞれの材料M1、M2、M3、M4、M5、M6のストック位置P1、P2、P3、P4、P5、P6に配置されている。ビード供給ユニット11は、ビード部材MCのストック位置P7に配置されている。それぞれのストック位置P1、P2、P3、P4、P5、P6では、対応する供給ユニットが複数並列されている。即ち、ストック位置P1では供給ユニット5A、5B、ストック位置P2では供給ユニット6A、6B、ストック位置P3では供給ユニット7A、7B、ストック位置P4では供給ユニット8A、8B、ストック位置P5では供給ユニット9A、9B、ストック位置P6では供給ユニット10A、10Bが並列して配置されている。
【0022】
尚、この実施形態では、1本のグリーンタイヤGには、定尺カットされた1枚の材料M1、M5、定尺カットされた2枚の材料M2、M4、定尺カットされた2枚一対の材料M3が使用される。そのため、ストック位置P2では、それぞれの供給ユニット6A、6Bは2つ縦列されている(Y方向に直列に配置されている)。ストック位置P4でも、それぞれの供給ユニット8A、8Bは2つ縦列されている(Y方向に直列に配置されている)。そして、1本のグリーンタイヤGを成形するには、縦列された2つの供給ユニット6Aまたは縦列された2つの供給ユニット6Bのいずれか一方から2枚の材料M2が順次供給され、縦列された2つの供給ユニット8Aまたは縦列された2つの供給ユニット8Bのいずれか一方から2枚の材料M4が順次供給される。また、それぞれの供給ユニット7A、7Bには、2枚一対の材料M3がストックされていて、いずれか一方の供給ユニット7A、7Bから2枚一対の材料M3が順次供給される。
【0023】
それぞれの供給ユニット5、6、7、8、9、10は、巻取り芯を有していて、それぞれの材料M1、M2、M3、M4、M5、M6がその巻取り芯を中心にして巻回状態でストックされている。それぞれの材料M1~M5は剥離ライナとともにその巻取り芯を中心にして巻回されている。材料M6は剥離ライナ無しでその巻取り芯を中心にして巻回されている。それぞれの材料M1~M6は長尺体の状態で巻回されてストックされている。
【0024】
ビード供給ユニット11は、旋回軸11pを中心にして水平旋回する環状のラックを有していて、そのラックに多数のビード部材MCが架けられている。このラックは周方向に2つの領域のユニット11A、11Bに区分されている。それぞれのビード供給ユニット11A、11Bに所定数の一対のビード部材MCが架けられていて、ラックが周方向に旋回することでそれぞれのビード供給ユニット11A、11Bが順次、供給位置と待機位置に移動する。供給位置に移動したビード供給ユニット11から一対のビード部材MCが順次供給される。
【0025】
材料M1、M2、M3は、それぞれの供給ユニット5、6、7からそれぞれの供給経路を通じてバンドドラム3に供給される。材料M4、M5、M6は、それぞれの供給ユニット8、9、10からそれぞれの供給経路を通じてベルトドラム4に供給される。
【0026】
それぞれの供給ユニット5、6、7とバンドドラム3との間には、カッター5c、6c、7c、スライドコンベヤ5d、6d、7d、供給コンベヤ5e、6e、7eが配置されている。図4に例示するように、ストック位置P2で縦列に配置されている供給ユニット6毎にカッター6cを有していて、それぞれのカッター6cと1つのスライドコンベヤ6dとの間に上下に2段に供給ガイドが設置されている。即ち、Y方向でバンドドラム3に近い側に配置されている供給ユニット6から繰り出される材料M2は、下側に設置された供給ガイドを通じてスライドコンベヤ6dに供給される。Y方向でバンドドラム3に遠い側に配置されている供給ユニット6から繰り出される材料M2は、上側に設置された供給ガイドを通じてスライドコンベヤ6dに供給される。
【0027】
それぞれの供給ユニット8、9とベルトドラム4との間には、カッター8c、9c、スライドコンベヤ8d、9d、供給コンベヤ8e、9eが配置されている。図6に例示するように、ストック位置P4で縦列に配置されている供給ユニット8毎にカッター8c、スライドコンベヤ8d、供給コンベヤ8eを有していて、カッター8c、スライドコンベヤ8d、供給コンベヤ8eはそれぞれ上下2段に設置されている。即ち、Y方向でベルトドラム4に近い側に配置されている供給ユニット8から繰り出される材料M4は、下側に設置された供給ガイドを通じて下側に配置されたスライドコンベヤ8dおよび供給コンベヤ8eに供給される。Y方向でベルトドラム4に遠い側に配置されている供給ユニット6から繰り出される材料M4は、上側に設置された供給ガイドを通じて上側に配置されたスライドコンベヤ8dおよび供給コンベヤ8eに供給される。この実施形態では、上方に配置されているカッター8cは上方に配置されているスライドコンベヤ8dとともにスライド移動し、下方に配置されているカッター8cは下方に配置されているスライドコンベヤ8dとともにスライド移動する。
【0028】
材料M1および材料M2をバンドドラム3に供給する供給コンベヤ5e、6eと、材料M3をバンドドラム3に供給する供給コンベヤ7eと、材料M4をベルトドラム4に供給する供給コンベヤ8eと、材料M5をベルトドラム4に供給する供給コンベヤ9eとがX方向に並列に配置されている。そして、それぞれの材料M1~M5を対応するドラム3、4に供給する際に、これら並列に配置されている供給コンベヤ5e、6e、供給コンベヤ7e、供給コンベヤ8e、供給コンベヤ9eはそれぞれ、平面視でバンドドラム3がスライド移動する幅方向(X方向)に対して直交して延在する。
【0029】
供給ユニット10とベルトドラム4との間には、カッター10c、フェスツーン部10d、ヘッド10eが配置されている。図8に例示するように、それぞれの供給ユニット10A、10Bから繰り出される材料M6はそれぞれ個別の供給経路を通じて別々のヘッド10e、10eに供給される。それぞれのヘッド10e、10eはベルトドラム4の下方でY方向に縦列配置されている。
【0030】
カッター5c、6c、7c、8c、9cは、それぞれの材料M1、M2、M3、M4、M5を予め設定された所定長さに定尺カットする。スライドコンベヤ5d、6d、7d、8d、9dおよび供給コンベヤ5e、6e、7e、8e、9eは、それぞれの材料M1、M2、M3、M4、M5を平置き状態で搬送するベルトコンベヤである。
【0031】
スライドコンベヤ5d、6d、7d、8d、9dは、それぞれの並列されている供給ユニット5、6、7、8、9に対して1つ配置されている。例えば、材料M1のストック位置P1では、並列して配置されている供給ユニット5(5A、5B)の幅方向にスライドする1つのスライドコンベヤ5dが配置されている。スライドコンベヤ5dは、それぞれの供給ユニット5A、5Bの材料M1の供給方向前方で両者の間を幅方向に移動する。他のストック位置P2、P3、P4、P5も同様に構成されている。
【0032】
カッター10cは、材料M6どうしを接合する際に材料M6の後端部をカットする。フェスツーン部10dは、材料M6を所定の必要量(必要長さ)貯留する。ヘッド10eは、フェスツーン部10dを通過した材料M6をベルトドラム4のドラム表面に向かって導出する。材料M6は長尺体の状態でベルトドラム4に供給されて、ベルトドラム4上にてヘッド10eによって所定長さにカットされる。
【0033】
バンドドラム3とシェープドラム2との間には、バンド移送機12が配置されている。ベルトドラム4とシェープドラム2との間には、ベルト移送機13が配置されている。ビード供給ユニット11とシェープドラム2との間には、ビード移送機14が配置されている。
【0034】
バンドドラム3では、供給された材料M1~M3を用いて筒状の内周側部材MAが成形され、ベルトドラム4では、供給された材料M4~M6を用いて筒状の外周側部材MBが成形される。バンド移送機12は、バンドドラム3から内周側部材MAをシェープドラム2に移送する。ベルト移送機13は、ベルトドラム4から外周側部材MBをシェープドラム2に移送する。ビード移送機14は、ビード供給ユニット11A、11Bの一方から一対のビード部材MCを移送して筒状の内周側部材MAに外嵌する。シェープドラム2では、内周側部材MA(M1~M3)、外周側部材MB(M4~M6)および一対のビード部材MCを用いて筒状のグリーンタイヤGが成形される。
【0035】
次に、この製造システムを用いたタイヤの製造方法の手順の一例を説明する。この製造方法では、成形装置1によってグリーンタイヤGが順次連続的に成形される。即ち、成形装置1では同時期に複数本のグリーンタイヤGの成形作業が行われる。同時期に成形されるグリーンタイヤGはすべて同じ仕様の場合もあるが、途中で異なる仕様のグリーンタイヤGに切り換わることもある。
【0036】
タイヤ仕様を変えずに多数本のグリーンタイヤGの成形を続ける場合は、それぞれのストック位置P1~P6では、並列されたそれぞれの供給ユニット5~10に同じ仕様の材料M1~M6が必要量ストックされる。ストック位置P7では、それぞれのビード供給ユニット11A、11Bに同じ仕様のビード部材MCが必要量ストックされる。
【0037】
途中でタイヤ仕様を変えてグリーンタイヤGの成形を行う場合は、それぞれのストック位置P1~P6では、一方の供給ユニット5A~10A、他方の供給ユニット5B~10B毎に、成形するグリーンタイヤGのタイヤ仕様に応じた材料M1~M6が必要量ストックされる。ストック位置P7では、それぞれのビード供給ユニット11A、11B毎に、成形するグリーンタイヤGのタイヤ仕様に応じたビード部材MCが必要量ストックされる。
【0038】
この製造方法では、筒状の内周側部材MA、筒状の外周側部材MBが同時進行で成形される。そこで、図9図14に内周側部材MAを成形する手順を例示し、図15に内周側部材MAに一対のビード部材MCを外嵌する状態を例示し、図16図21に外周側部材MBを成形する手順を例示する。そして、図22図26に内周側部材MA、一対のビード部材MCおよび外周側部材MCを用いてグリーンタイヤGを成形する手順を例示する。
【0039】
図9図14に例示するように、内周側部材MAのそれぞれの材料M1~M3をそれぞれの供給コンベヤ5e~7eによって、それぞれのストック位置P1~P3から対応するスライドコンベヤ5d~7dを経由して、予め定尺カットされた状態でバンドドラム3に供給する。バンドドラム3では、定尺カットされたそれぞれの材料M1~M3を用いて内周側部材MAが成形される。
【0040】
詳述すると、一方の供給ユニット5A、6A、6A、7Aから繰り出された材料M1、M2、M2、M3を、それぞれのカッター5c、6c、6c、7cにより所定長さに定尺カットして、それぞれの一方の供給ユニット5A、6A、6A、7Aの前方に配置されたスライドコンベヤ5d、6d、6d、7dに載置して、供給コンベヤ5e、6e、6e、7eに搬送する。供給コンベヤ5eは平面視で90°旋回可能になっていて、スライドコンベヤ5dから材料M1を受け取る時は、図9図10に例示するようにスライドコンベヤ5dとX方向で縦列した状態になる。スライドコンベヤ5dから材料M1を受け取った供給コンベヤ5eは、図11に例示するように、90°旋回してスライドコンベヤ6dおよび供給コンベヤ6eとY方向で縦列した状態になる。
【0041】
図12に例示するように、一方の供給ユニット5Aから繰り出された材料M1、縦列された一方のそれぞれの供給ユニット6A、6Aから供給された材料M2、M2がバンドドラム3に対して、直列に配置された状態になる。図13に例示するように、直列されて定尺カットされている材料M1、M2、M2を順次、ドラム軸心C1を中心にしてバンドドラム3を一方向に回転させながらバンドドラム3に巻き付けて筒状に成形して積層する。この実施形態では、供給コンベヤ5e、6eが、材料M1、M2をバンドドラム3に供給する供給コンベヤとして機能する。
【0042】
また、材料M1、M2、M2がバンドドラム3に巻き付けられて筒状に成形されて積層される間に、一方の供給ユニット7Aから繰り出されて定尺カットされた一対の材料M3が供給コンベヤ7eに搬送される。次いで、供給コンベヤ6eの前方にあるバンドドラム3を、図14に例示するようにX方向に移動させて、供給コンベヤ7eの前方に設置する。その後、搬送コンベヤ7eに載置されている定尺カットされた一対の材料M3を、ドラム軸心C1を中心にしてバンドドラム3を回転させながらバンドドラム3に巻き付けて筒状に成形して積層する。これにより、材料M1、M2、M3が順に積層された筒状の内周側部材MAが成形される。このように内周側部材MAを順次、連続的に成形する
【0043】
次いで、図15に例示するように、一方のビード供給ユニット11Aから一対のビード部材MCを供給して、ビード移送機14を用いて内周側部材MAに外嵌する。それぞれのビード部材MCは、内周側部材MAの幅方向(X方向)に間隔をあけて外嵌される。
【0044】
図16図21に例示するように、外周側部材MBのそれぞれの材料M4、M5をそれぞれの供給コンベヤ8e、9eによって、それぞれのストック位置P4、P5から対応するスライドコンベヤ8d、9dを経由して、予め定尺カットされた状態でベルトドラム4に供給する。材料M6は、フェスツーン部10cを経由して長尺体の状態でベルトドラム4の下方に隣接配置されたヘッド10eまで供給される。ベルトドラム4では、定尺カットされたそれぞれの材料M4、M5およびヘッド10eから導出される材料M6を用いて外周側部材MBが成形される。
【0045】
詳述すると、一方の供給ユニット8A、8A、9Aから繰り出された材料M4、M4、M5を、それぞれのカッター8c、8c、9cにより所定長さに定尺カットして、一方の供給ユニット8A、8A、9Aの前方に配置されたスライドコンベヤ8d、8d、9dに載置して、供給コンベヤ8e、8e、9eに搬送する。図6に例示する上下に配置された供給コンベヤ8e、8eにはそれぞれ、定尺カットされた1枚の材料M4が載置される。
【0046】
図18に例示するように、縦列された一方のそれぞれの供給ユニット8A、8Aから供給された材料M4、M4が順次、一方のベルトドラム4aに巻き付けられて筒状に成形されて積層される。例えば、上方に配置された供給コンベヤ8eに載置された定尺カットされた材料M4を、ドラム軸心C2を中心にしてベルトドラム4aを一方向に回転させながらベルトドラム4aに巻き付けて筒状に成形する。次いで、下方に配置された供給コンベヤ8eに載置された定尺カットされた材料M4を、ドラム軸心C2を中心にしてベルトドラム4aを他方向に回転させながらベルトドラム4aに巻き付けて筒状に成形する。
【0047】
次いで、図19に例示するように、旋回軸4pを中心にしてベルトドラム4を時計回りに180°旋回させる。これにより、一方のベルトドラム4aを供給コンベヤ9eの前方に移動させるとともに、他方のベルトドラム4bを供給コンベヤ8e、8eの前方に移動させる。そして、ドラム軸心C3を中心にして一方のベルトドラム4aを一方向に回転させながら、一方の供給ユニット10Aから供給された材料M6を一方のヘッド10eを用いてベルトドラム4aに螺旋状に巻付ける。これにより、筒状に成形された材料M4の外周面の所定の幅方向(X方向)範囲に材料M6により形成されたベルト補強層を積層する。
【0048】
次いで、図20に例示するように、供給コンベヤ9eに載置された定尺カットされた材料M5を、ドラム軸心C3を中心にして一方のベルトドラム4aを一方向に回転させながらベルトドラム4aに巻き付けて筒状に成形して積層する。これにより、一方のベルトドラム4aには、材料M4、M4、M6、M5が順に積層された筒状の外周側部材MBが成形される。他方のベルトドラム4bには、ドラム軸心C2を中心にしてベルトドラム4bを回転させながら、それぞれの供給コンベヤ8e、8eに載置された定尺カットされた材料M4、M4をベルトドラム4bに順次巻き付けて筒状に成形して積層する。
【0049】
次いで、図21に例示するように、旋回軸4pを中心にしてベルトドラム4を反時計まわりに180°旋回させる。これにより、外周側部材MBが成形されている一方のベルトドラム4aをシェープドラム2側に移動させる。
【0050】
図22に例示するように、成形された内周側部材MAはバンド移送機12を用いてバンドドラム3から一方のシェープドラム2aに移送する。これにより、一方のシェープドラム2aには内周側部材MAおよび一対のビード部材MCが外嵌された状態になる。そして、シェープドラム2aでは公知の方法で、内周側部材MAの幅方向両端部をビード部材MC周りにターンアップする。そして、ターンアップされた内周側部材MAの幅方向両端部は、ドラム軸心C1を中心にしてシェープドラム2aを回転させながら、公知の方法でドラム軸心C1に向かって押圧される。
【0051】
次いで、図23に例示するように、旋回軸2pを中心にしてシェープドラム2を時計回りに180°旋回させる。これにより、一方のシェープドラム2aと一方のベルトドラム4aをX方向に並列させる。
【0052】
次いで、図24に例示するように、外周側部材MBを、一方のベルトドラム4aからベルト移送機13を用いて一方のシェープドラム2aに移送して、内周側部材MAに外挿する。そして、シェープドラム2aでは、内周側部材MAの外周面と外周側部材MBの内周面とを当接させて、ドラム軸心C2を中心にしてシェープドラム2aを回転させながら外周側部材MBをドラム軸心C2に向かって押圧して、内周側部材MA、外周側部材MBおよび一対のビード部材MCを一体化してグリーンタイヤGを成形する。尚、他方のベルトドラム4bには、既述した同様の手順で、材料M6、M5を巻付けて外周側部材MBを成形する。また、他方のシェープドラム2bには、既述した同様の手順で、内周側部材MAおよび一対のビード部材MCを外嵌する。
【0053】
次いで、図25に例示するように、旋回軸2pを中心にしてシェープドラム2を反時計まわりに180°旋回させる。その後、図26に例示するように、グリーンタイヤGを一方のシェープドラム2aから取外して加硫装置15に搬送する。
【0054】
図27に例示するように、グリーンタイヤGは、加硫装置15に装着された加硫用モールド16の中に配置される。その後、閉型した加硫用モールド16と膨張した加硫用ブラダ17との間でグリーンタイヤGが加硫されてタイヤTが完成する。グリーンタイヤGの加硫は、公知の種々の方法を用いることができる。この実施形態では空気入りタイヤTが製造されているが、本発明は種々のタイプのタイヤTを製造する際に適用することも可能である。
【0055】
上述のグリーンタイヤGの成形工程では、所定数のグリーンタイヤGを成形すると、それぞれの材料M1~M6でのストック位置P1~P6では、一方の供給ユニット5A~10Aにストックされている材料M1~M6が空になる。
【0056】
上述したように、それぞれのストック位置P1~P5では、並列配置した供給ユニット5~9に対して幅方向にスライドするスライドコンベヤ5d~9dが配置されている。そのため、一方の供給ユニット5A~9Aにストックされている材料M1~M5が空になると、スライドコンベヤ5d~9dを並列されている供給ユニット5~9の幅方向にスライド移動させることで、他方の供給ユニット5B~9Bからその材料M1~M5を供給することができる。即ち、スライドコンベヤ5d~9dを他方の供給ユニット5B~9Bの前方にスライド移動させて定尺カットされた材料M1~M5をスライドコンベヤ5d~9dに載置する。その後、スライドコンベヤ5d~9dを、供給コンベヤ5e~9eに縦列する位置にスライド移動させて、供給コンベヤ5e~9eに定尺カットされた材料M1~M5を移載して供給する。そして、他方の供給ユニット5B~9Bから定尺カットされた材料M1~M5が供給コンベヤ5e~9eに供給されている間に、材料M1~M5が空になった一方の供給ユニット5A~9Aを、その材料M1~M5がストックされた新たな供給ユニット5A~5Bに置き換える。
【0057】
また、ストック位置P6では、並列配置したいずれか一方の供給ユニット10に切り換えて材料M6が供給することができる。それ故、一方の供給ユニット10Aにストックされている材料M6が空になると、他方の供給ユニット10Bからその材料M6を供給することができる。そして、他方の供給ユニット10Bから材料M6が供給されている間に、材料M6が空になった一方の供給ユニット10Aを、その材料M6がストックされた新たな供給ユニット10Aに置き換える。したがって、それぞれの材料M1~M6の補充に起因してグリーンタイヤGの成形工程が停止することを回避できる。
【0058】
さらに、一方のビード供給ユニット11Aの一対のビード部材MCが空になると、他方のビード供給ユニット11Bから一対のビード部材MCを供給できる。そして、他方のビード供給ユニット11Bから一対のビード部材MCを供給している間に、ビード部材MCが空になった一方のビード供給ユニット11Aを供給位置から待機位置に旋回移動させて、ビード供給ユニット11Aに新たな一対のビード部材MCを補充できるので、一対のビード部材MCの補充に起因して成形工程が停止することも回避できる。
【0059】
これに伴い、それぞれの材料M1~M5の補充に起因する時間ロスを低減するために、それぞれの供給コンベヤ5e~9eに余分な量の材料M1~M5を載置してストックする必要がない。これに伴い、それぞれの供給コンベヤ5e~9eの長さを最小限にできる。また、それぞれの材料M1~M6は巻回状態でそれぞれの供給ユニットにストックされるので、成形装置1をコンパクト化するには有利になる。
【0060】
それぞれの供給コンベヤ5e~9e、それぞれのスライドコンベヤ5d~9dをより短くすることで、成形装置1をコンパクト化するには有利になる。それぞれの供給コンベヤ5e~9e、それぞれのスライドコンベヤ5d~9dは、載置される材料M1~M5の1枚の長さより長ければよい。そこで、それぞれの供給コンベヤ5e~9eの長さ、それぞれのスライドコンベヤ5d~9dの長さは、例えば、そのコンベヤに載置される材料M1~M5の1枚の長さの100%以上150%以下、より好ましくは105%以上130%以下、さらに好ましくは105%以上120%以下にする。
【0061】
また、内周側部材MAを移送する際のバンドドラム3とシェープドラム2とのドラム軸心C1が同軸上に設定され、外周側部材MBを移送する際のベルトドラム4とシェープドラム2とのドラム軸心C2が同軸上に設定されている。そのため、バンド移送機12およびベルト移送機13は、それぞれのドラム2、3、4の共通のドラム軸心C1、C2方向のみに移動させるだけ済むので成形装置1のコンパクト化には益々有利になる。その結果、成形装置1をコンパクト化しつつ、タイヤTを生産性よく製造するには有利になる。
【0062】
定尺カットすることで材料M1~M5は経時的に収縮し、その収縮具合にバラつきが生じるが、それぞれのストック位置P1~P5では、それぞれの材料M1~M5を長尺体の状態でストックしておき、それぞれの材料M1~M5を供給ユニット5~9から繰り出して定尺カットする。そして、定尺カットされたそれぞれの材料M1~M5を、対応するスライドコンベヤ5d~9dおよび供給コンベヤ5e~9eを経由して、対応するドラム3、4に供給する。このように、グリーンタイヤGの成形直前に材料M1~M5を定尺カットすることで、予め定尺カットしてストックする場合に比して、これら材料M1~M5の経時的な収縮や収縮量のバラつきを最小限にするには有利になる。その結果、製造したタイヤTの品質向上に寄与する。
【0063】
バンドドラム3やベルトドラム4での工程に比して、シェープドラム2での工程は相対的に長い時間を要するので、それぞれのドラム2、3、4を同数備えてタイヤ成形を行うと、シェープドラム2での工程がタイヤ成形工程全体における律速になる。この成形装置1では、並列した2つのシェープドラム2a、2bが平面視で180°旋回可能に設置され、並列した2つのベルトドラム4a、4bが平面視で180°旋回可能に設置され、1つのベルトドラム3がドラム幅方向(X方向)にスライド移動可能に設置されている。かつ、材料M1および材料M2をバンドドラム3に供給する供給コンベヤ5e、6eと、材料M3をバンドドラム3に供給する供給コンベヤ7eと、材料M4をベルトドラム4に供給する供給コンベヤ8eと、材料M5をベルトドラム4に供給する供給コンベヤ9eとがX方向に並列に配置されている。
【0064】
そのため、この成形装置1では、シェープドラム2には、順次迅速に必要なタイヤ部材Mが供給され、相対的に長時間を要するシェープドラム2での工程を複数のシェープドラム2a、2で並行して行える。これに伴い、シェープドラム2、バンドドラム3、ベルトドラム4での工程で要する時間が平準化されて、1本のグリーンタイヤGを成形するために要する時間を短縮化できる。これに伴い、タイヤTを生産性よく製造するには有利になる。
【0065】
この実施形態では、それぞれの材料M1~M5を対応するドラム3、4に供給する際に、これら並列に配置されている供給コンベヤ5e、6e、供給コンベヤ7e、供給コンベヤ8e、供給コンベヤ9eはそれぞれ、平面視でX方向に対して直交して延在している。そして、このX方向に延在する直線を境界して区分される2つの領域のうちの同じ一方の領域側に、それぞれの供給ユニット5~9、それぞれのスライドコンベヤ5d~9d、それぞれの供給コンベヤ5e~9eおよびそれぞれのビード供給ユニット11が設置されている。即ち、図1に例示するように、X方向に延在するガイドレール3rを境界にして区分される上下2つの領域のうち、上側の領域に、供給ユニット5~9、スライドコンベヤ5d~9d、供給コンベヤ5e~9eおよびビード供給ユニット11が偏在して設置されている。そして、シェープドラム2、バンドドラム3およびベルトドラム4が、概ねガイドレール3rの延長線上にX方向に並列配置されている。
【0066】
このような設備レイアウトにすることで、図1においてガイドレール3rを境界にして区分される上側の領域にて、それぞれの供給ユニット5~9の置き換え作業(空の供給ユニット5~9を、材料M1~M5がストックされている新たな供給ユニット5~9に置き換える作業)を集中的に行うことができる。また、ガイドレール3rを境界にして区分される下側の領域にて、それぞれのドラム2~4での成形工程を集約的に監視、管理できる。その結果、成形装置1をコンパクト化しつつ、オペレーションの効率化を図ることができる。
【0067】
それぞれのストック位置P1~P5では、いずれか1つの供給ユニット5A~9Aを主供給ユニットに設定し、対応するスライドコンベヤ5d~9dを主供給ユニット5A~9Aの前方位置にスライド移動させて固定配置することで、主供給ユニット5A~9A、固定配置されたスライドコンベヤ5d~9dおよび対応する供給コンベヤ5e~9eにより、対応するドラム3、4に対する供給経路を形成できる。このように形成されたそれぞれの材料M1~M5の供給経路では、スライドコンベヤ5d~9dをスライドさせる必要がないので、グリーンタイヤGをより迅速に成形することが可能になり、成形効率を向上させるには有利になる。また、グリーンタイヤGの成形に要するエネルギの削減にも寄与する。
【0068】
ただし、他方の供給ユニット5B~9Bからそれぞれの材料M1~M5を供給する場合は、それぞれの供給ユニット5B~9Bから対応する供給コンベヤ5e~9eに材料M1~M5を供給する度に、スライドコンベヤ5d~9dをスライド移動させる必要がある。これに伴い、グリーンタイヤGの成形効率を向上させるには不利になり、グリーンタイヤGの成形に要するエネルギの削減にも不利になる。
【0069】
そこで、それぞれのストック位置P1~P5で、並列されるそれぞれの供給ユニット5~9に同じ仕様の材料M1~M5がストックされる場合は、主供給ユニット5A~9Aにストックされている材料M1~M5が空になった際には、この空になった主供給ユニット5A~9Aをその材料M1~M5がストックされた新たな主供給ユニット5A~9Aに置き換えする作業が完了次第、対応するスライドコンベヤ5d~9dをこの新たな主供給ユニット5A~9Aの前方位置にスライド移動させて固定配置する。そして、この新たな主供給ユニット5A~9A、固定配置されたスライドコンベヤ5d~9dおよび対応する供給コンベヤ5e~9eにより、対応するドラム3、4に対する供給経路を形成して、新たな主供給ユニット5A~9Aから材料M1~M5を供給することもできる。
【0070】
このように、スライドコンベヤ5d~9dをスライド移動させる頻度を抑制して材料M1~M5の供給経路を形成することで、他方の供給ユニット5B~9Bからそれぞれの材料M1~M5を供給し続ける場合に比して、グリーンタイヤGの成形効率を向上させるには益々有利になり、グリーンタイヤGの成形に要するエネルギの削減に一段と寄与する。他方の供給ユニット5B~9Bよりも主供給ユニット5A~9Aを長期に材料M1~M5の供給経路として用いるには、例えば、供給ユニット5A~9Aでの材料M1~M5のストック量を、他方の供給ユニット5B~9Bでのストック量に比して多くする。
【符号の説明】
【0071】
1 成形装置
2(2a、2b) シェープドラム
2p 旋回軸
3 バンドドラム
3r ガイドレール
4(4a、4b) ベルトドラム
4p 旋回軸
5(5A、5B) インナーライナの供給ユニット
5c カッター
5d スライドコンベヤ
5e 供給コンベヤ
6(6A、6B) カーカス材の供給ユニット
6c カッター
6d スライドコンベヤ
6e 供給コンベヤ
7(7A、7B) サイド部の供給ユニット
7c カッター
7d スライドコンベヤ
7e 供給コンベヤ
8(8A、8B) ベルト材の供給ユニット
8c カッター
8d スライドコンベヤ
8e 供給コンベヤ
9(9A、9B) トレッド部の供給ユニット
9c カッター
9d スライドコンベヤ
9e 供給コンベヤ
10(10A、10B) ベルト補強材の供給ユニット
10c カッター
10d フェスツーン部
10e ヘッド
11(11A、11B) ビード供給ユニット
11P 旋回軸
12 バンド移送機
13 ベルト移送機
14 ビード移送機
15 加硫装置
16 加硫用モールド
17 加硫用ブラダ
M タイヤ部材
MA 内周側部材
MB 外周側部材
MC ビード部材
M1 インナーライナ
M2 カーカス材
M3 サイド部
M4 ベルト材
M5 トレッド部
M6 ベルト補強材
G グリーンタイヤ
T 加硫済みタイヤ(完成タイヤ)
【要約】
【課題】成形装置をコンパクト化しつつ、材料補充に起因する時間ロスを低減してタイヤ成形工程での作業効率を向上させるタイヤの製造方法およびシステムを提供する。
【解決手段】各材料毎に並置した複数の供給ユニットに巻回状態でストックし、一対のビード部材MCを複数のビード供給ユニット11にストックし、定尺カットされた各材料をスライドコンベヤを経由して供給コンベヤによりバンドドラム3、ベルトドラム4に供給して内周側部材MA、外周側部材MBを成形し、2つのシェープドラム2を用いて内周側部材MAと外周側部材MBと一対のビード部材MCとでグリーンタイヤGを成形し、各材料を移送する際のドラム2、3の軸心C1どうし、ドラム3、4のドラム軸心C2どうしを同軸上に設定し、各材料は他方の供給ユニットから供給している間に、空の一方の供給ユニットを材料がストックされた新たな供給ユニットに置き換える。
【選択図】 図1
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