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特許7606124成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムおよび筒状のタイヤ部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムおよび筒状のタイヤ部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/30 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B29D30/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023129633
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2024-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正智
(72)【発明者】
【氏名】松村 謙介
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 康
(72)【発明者】
【氏名】河合 勝広
(72)【発明者】
【氏名】大石 潤平
(72)【発明者】
【氏名】善養寺 千裕
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 武大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大
(72)【発明者】
【氏名】松丸 輝明
(72)【発明者】
【氏名】大西 康平
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 誠之
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-056074(JP,A)
【文献】特開2006-116817(JP,A)
【文献】特開平08-224803(JP,A)
【文献】国際公開第2006/048924(WO,A1)
【文献】特開2020-028997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストック位置に配置されて、成形ドラム体に正回転貼り、逆回転貼りされるそれぞれの帯状のタイヤ材料を供給するそれぞれの供給ユニットと、正回転および逆回転する前記成形ドラム体と、それぞれの前記供給ユニットと前記成形ドラム体との間に縦列されている上流側コンベヤおよび下流側コンベヤとを備えて、前記上流側コンベヤおよび下流側コンベヤがそれぞれ上下二段に配置されていて、
縦列されている一方の前記供給ユニットから上段に配置されている前記上流側コンベヤに繰り出された前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態で前記下流側コンベヤに移載され、縦列されている他方の前記供給ユニットから下段に配置されている前記上流側コンベヤ繰り出された前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態で前記下流側コンベヤに移載され、
それぞれの前記下流側コンベヤに移載されたそれぞれの前記タイヤ材料が、前記成形ドラム体に順次供給されて巻付けられることにより積層された筒状のタイヤ部材が製造される成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムにおいて、
前記ストック位置には、正回転貼りされる前記タイヤ材料が巻回されてストックされている前記供給ユニットと、逆回転貼りされる前記タイヤ材料が巻回されてストックされている前記供給ユニットとが縦列されていて、かつ、縦列されているそれぞれの前記供給ユニットが並列されていて、それぞれの前記供給ユニットに対して前記上流側コンベヤが配置されていて、
それぞれの前記上流側コンベヤとそれぞれの前記下流側コンベヤとの間で、それぞれの前記供給ユニットの並列方向にスライド移動する上下二段のスライドコンベヤを有し、
上下二段のうち上段に配置されている前記上流側コンベヤ、前記スライドコンベヤおよび前記下流側コンベヤの搬送面が、側面視で、前記成形ドラム体に向かって水平に対して所定の傾斜角度で上向きに一様に傾斜する設定にされ、上下二段のうち下段に配置されている前記上流側コンベヤ、前記スライドコンベヤおよび前記下流側コンベヤの搬送面が、側面視で、前記成形ドラム体に向かって水平に対して所定の傾斜角度で下向きに一様に傾斜する設定にされて、
所定の一定位置に設置されている前記成形ドラム体およびそれぞれの前記下流側コンベヤに対して、並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそれぞれの前記上流側コンベヤに繰り出されたそれぞれの前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態でそれぞれの前記スライドコンベヤを経由して、それぞれの前記下流側コンベヤに移載されて前記成形ドラム体に順次供給され、
並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットにストックされているそれぞれの前記タイヤ材料が空になると、並列方向他方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそれぞれの前記上流側コンベヤに繰り出されたそれぞれの前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態でそれぞれの前記スライドコンベヤを経由して、それぞれの前記下流側コンベヤに移載されて前記成形ドラム体に順次供給され、並列方向他方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそのタイヤ材料を前記成形ドラム体に供給している間に、空になった並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットをそのタイヤ材料がストックされた新たなそれぞれの前記供給ユニットに置き換えられる構成にした成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システム。
【請求項2】
前記所定の一定位置に設置されている前記成形ドラム体およびそれぞれの前記下流側コンベヤと、並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットおよびそれぞれの前記供給ユニットに対して設置されているそれぞれの前記上流側コンベヤとが、直列に配置されている請求項1に記載の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システム。
【請求項3】
並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットにストックされているそれぞれの前記タイヤ材料が空になった際には、この空になった並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットがそのタイヤ材料がストックされた新たなそれぞれの供給ユニットに置き換えされる作業が完了次第、この新たな縦列されているそれぞれの供給ユニットからそのタイヤ材料が前記成形ドラム体に供給される構成にした請求項2に記載の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムを用いて、それぞれの前記タイヤ材料を筒状にして積層された筒状のタイヤ部材を製造する筒状のタイヤ部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムおよび筒状のタイヤ部材の製造方法に関し、さらに詳しくは、1つの成形ドラム体に正回転貼り、逆回転貼りされるそれぞれのタイヤ材料を、不要なずれや皺の発生を抑制して成形ドラム体に迅速に供給でき、タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減できるコンパクトなタイヤ材料の供給システムおよび筒状のタイヤ部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤはグリーンタイヤを加硫することで製造される。グリーンタイヤは多数種類のタイヤ材料が積層して成形される。例えば、インナーライナ、カーカス材、ベルト材、トレッドゴム、一対のビード部材などを成形ドラム上で一体化させることでグリーンタイヤが成形される。
【0003】
ベルト材は、斜めに延在する多数の補強コードが並列されて構成されている。一般的には1本のグリーンタイヤに2枚のベルト材が使用されて、2枚のベルト材は、互いの補強コードどうしが交差するように積層されている。従来、1つの成形ドラムに、2枚のベルト材の一方を正回転させた成形ドラムに巻付け、次いで他方を逆回転させた成形ドラムに巻付けて、筒状のベルト層を積層して成形する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1で提案されている成形方法では、上下二段に配置された搬送コンベヤおよびゲットコンベヤを用いてそれぞれのベルト材が成形ドラムに供給される。
【0004】
この提案の成形方法では、上下のそれぞれの搬送コンベヤの上で、多数のストリップ片をスプライスして定尺のベルト材が成形される。その後、それぞれのベルト材が上下それぞれの搬送コンベヤによって前方に搬送される。次いで、一方のベルト材が一方のゲットコンベヤを用いて正回転の成形ドラムに巻き付けられて筒状のベルト層が成形される。次いで、他方のベルト材が他方のゲットコンベヤを用いて逆回転の成形ドラムに巻き付けられて筒状のベルト層が成形される。
【0005】
このベルト層の成形方法では、それぞれの搬送ベルトコンベヤ上で多数のストリップ片をスプライスして定尺のベルト材が成形されるので、ベルト材を成形するために相当の時間を要する。また、ベルト材は、搬送コンベヤからゲットコンベヤに移載される際に、不要なずれや皺が生じるリスクがある。このような不要なずれや皺を回避するために搬送速度を遅くすると、ベルト材の成形ドラムへの供給時間が長くなるので生産性が低下する。
【0006】
さらに、ストリップ片の材料ストックが無くなると、その材料が補充されるまでベルト材の供給が停止される。ベルト材の供給停止を回避するために、搬送コンベヤに余分な量のベルト材を載置してストック可能にすると設備が大型化する。それ故、1つの成形ドラム体に正回転貼り、逆回転貼りされるそれぞれのタイヤ材料を、不要なずれや皺の発生を抑制して成形ドラム体に迅速に供給でき、タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減でき、かつ、コンパクトな設備にするには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-105509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、1つの成形ドラム体に正回転貼り、逆回転貼りされるそれぞれのタイヤ材料を、不要なずれを抑制して成形ドラム体に迅速に供給でき、タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減できるコンパクトなタイヤ材料の供給システムおよび筒状のタイヤ部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムは、ストック位置に配置されて、成形ドラム体に正回転貼り、逆回転貼りされるそれぞれの帯状のタイヤ材料を供給するそれぞれの供給ユニットと、正回転および逆回転する前記成形ドラム体と、それぞれの前記供給ユニットと前記成形ドラム体との間に縦列されている上流側コンベヤおよび下流側コンベヤとを備えて、前記上流側コンベヤおよび下流側コンベヤがそれぞれ上下二段に配置されていて、縦列されている一方の前記供給ユニットから上段に配置されている前記上流側コンベヤに繰り出された前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態で前記下流側コンベヤに移載され、縦列されている他方の前記供給ユニットから下段に配置されている前記上流側コンベヤ繰り出された前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態で前記下流側コンベヤに移載され、それぞれの前記下流側コンベヤに移載されたそれぞれの前記タイヤ材料が、前記成形ドラム体に順次供給されて巻付けられることにより積層された筒状のタイヤ部材が製造される成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムにおいて、前記ストック位置には、正回転貼りされる前記タイヤ材料が巻回されてストックされている前記供給ユニットと、逆回転貼りされる前記タイヤ材料が巻回されてストックされている前記供給ユニットとが縦列されていて、かつ、縦列されているそれぞれの前記供給ユニットが並列されていて、それぞれの前記供給ユニットに対して前記上流側コンベヤが配置されていて、それぞれの前記上流側コンベヤとそれぞれの前記下流側コンベヤとの間で、それぞれの前記供給ユニットの並列方向にスライド移動する上下二段のスライドコンベヤを有し、上下二段のうち上段に配置されている前記上流側コンベヤ、前記スライドコンベヤおよび前記下流側コンベヤの搬送面が、側面視で、前記成形ドラム体に向かって水平に対して所定の傾斜角度で上向きに一様に傾斜する設定にされ、上下二段のうち下段に配置されている前記上流側コンベヤ、前記スライドコンベヤおよび前記下流側コンベヤの搬送面が、側面視で、前記成形ドラム体に向かって水平に対して所定の傾斜角度で下向きに一様に傾斜する設定にされて、所定の一定位置に設置されている前記成形ドラム体およびそれぞれの前記下流側コンベヤに対して、並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそれぞれの前記上流側コンベヤに繰り出されたそれぞれの前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態でそれぞれの前記スライドコンベヤを経由して、それぞれの前記下流側コンベヤに移載されて前記成形ドラム体に順次供給され、並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットにストックされているそれぞれの前記タイヤ材料が空になると、並列方向他方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそれぞれの前記上流側コンベヤに繰り出されたそれぞれの前記タイヤ材料が、定尺カットされた状態でそれぞれの前記スライドコンベヤを経由して、それぞれの前記下流側コンベヤに移載されて前記成形ドラム体に順次供給され、並列方向他方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそのタイヤ材料を前記成形ドラム体に供給している間に、空になった並列方向一方側の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットをそのタイヤ材料がストックされた新たなそれぞれの前記供給ユニットに置き換えられる構成にしたことを特徴とする。
【0010】
本発明の筒状のタイヤ部材の製造方法は、上記の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムを用いて、それぞれの前記タイヤ材料を筒状にして積層された筒状のタイヤ部材を製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムによれば、1つの前記成形ドラム体に正回転貼り、逆回転貼りされるそれぞれのタイヤ材料が、側面視で、前記成形ドラム体に向かって水平に対して所定の傾斜角度で上向きに一様に傾斜する上段に配置されている前記上流側コンベヤ、前記スライドコンベヤおよび前記下流側コンベヤと、所定の傾斜角度で下向きに一様に傾斜する下段に配置されている前記上流側コンベヤ、前記スライドコンベヤおよび前記下流側コンベヤと、を経由して、定尺カットされた状態で前記成形ドラム体に順次供給される。それ故、それぞれの前記タイヤ材料を不要なずれや皺の発生を抑制して前記成形ドラム体に迅速に供給するには有利になる。
【0012】
並列されている一方側、他方側のそれぞれの縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそれぞれの前記タイヤ材料を前記成形ドラム体に供給するには、上下二段の前記スライドコンベヤを一体的にスライド移動させればよいので過大なスペースは不要になる。それ故、この供給システムをコンパクト化するには有利になる。
【0013】
そして、並列されている一方側、他方側のいずれか一方の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットのそれぞれの前記タイヤ材料が空になると、いずれか他方の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそれぞれの前記タイヤ材料を供給している間に、一方の縦列されているそれぞれの前記供給ユニットが、そのタイヤ材料がストックされた新たなそれぞれの前記供給ユニットに置き換えられる。そのため、並列されている一方側、他方側のいずれかの縦列されているそれぞれの前記供給ユニットからそれぞれの前記タイヤ材料を前記成形ドラム体に連続的に供給できる。したがって、それぞれの前記タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減するには有利になる。これに伴い、それぞれの前記タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減するために、それぞれの前記下流側コンベヤなどに余分な量のそれぞれの前記タイヤ材料を載置してストックする必要がないので、それぞれの前記下流側コンベヤ、それぞれの前記スライドコンベヤ、それぞれの前記上流側コンベヤの長さを最小限にできる。その結果、この供給システムをコンパクト化するには益々有利になる。
【0014】
本発明の筒状のタイヤ部材の製造方法によれば、上記の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムを用いることで、それぞれの前記タイヤ材料を筒状にして積層された筒状のタイヤ部材を、省スペースで生産性よく製造するには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムの実施形態を一部を切り欠いて平面視で例示する説明図である。
図2図1の供給システムを側面視で例示する説明図である。
図3図1の並列された一方側の縦列されたそれぞれの供給ユニットからタイヤ材料を繰り出し、定尺カットされたタイヤ材料をスライドコンベヤに移載した状態を例示する説明図である。
図4図3の供給システムを側面視で例示する説明図である。
図5図3のスライドコンベヤに移載されたタイヤ材料を、下流側コンベヤに移載した状態を例示する説明図である。
図6図5の下流側コンベヤに移載されたタイヤ材料を、成形ドラム体に供給して筒状のタイヤ部材を製造した状態を例示する説明図である。
図7】スライドコンベヤを、並列された他方側の供給ユニットの前方にスライド移動させ、他方側の縦列されたそれぞれの供給ユニットからタイヤ材料を繰り出している状態を平面視で例示する説明図である。
図8図7の繰り出されたそれぞれのタイヤ材料が定尺カットされてスライドコンベヤに移載された状態を例示する説明図である。
図9図8の定尺カットされたタイヤ材料が移載されたスライドコンベヤを、並列された一方側の供給ユニットと下流側コンベヤの間にスライド移動させた状態を例示する説明図である。
図10図9のスライドコンベヤに移載されたタイヤ材料を、下流側コンベヤに移載した状態を例示する説明図である。
図11図10の下流側コンベヤに移載されたタイヤ材料を、成形ドラム体に供給して筒状のタイヤ部材を製造した状態を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システムおよび筒状のタイヤ部材の製造方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0017】
図1図2に例示する成形ドラム体へのタイヤ材料の供給システム(以下、供給システムという)を用いて、定尺カットされた2枚の未加硫の帯状のタイヤ材料M1、M2が成形ドラム体6に順次供給されて筒状に成形される。一方のタイヤ材料M1は成形ドラム体6に正回転貼りされ、他方のタイヤ材料M2は成形ドラム体6に逆回転貼りされる。これにより、タイヤ材料M1、M2が2層に積層された筒状のタイヤ部材Mが製造される。例えば、タイヤ材料M1、M2として2枚のベルト材が、成形ドラム体6に順次供給されて筒状に成形されることで、筒状のタイヤ部材Mとして2層に積層されたベルト層が製造される。このベルト層は、グリーンタイヤGの構成部材として使用され、グリーンタイヤGが加硫されることでタイヤTが製造される。
【0018】
図1図2に例示する供給システムは、ストック位置P1に配置される供給ユニット1と、正回転および逆回転する成形ドラム体6と、供給ユニット1と成形ドラム体6との間に縦列されている上流側コンベヤ2および下流側コンベヤ3とを備えている。この供給システムはさらに、上流側コンベヤ2と下流側コンベヤ4との間に配置されたスライドコンベヤ3を有している。また、上流側コンベヤ2とスライドコンベヤ3との境界部にはカッター5が備わっている。上流側コンベヤ2、下流側コンベヤ4、スライドコンベヤ3は、タイヤ材料M1、M2を平置き状態で搬送するベルトコンベヤやローラコンベヤなどの搬送手段である。上流側コンベヤ2、下流側コンベヤ4、スライドコンベヤ3はそれぞれの上下二段に配置されている。図中のX、Y、Z矢印はそれぞれ、供給システムの幅方向、前後方向、高さ方向を示していて互いに直交する方向である。図面では、前後方向(Y方向)でコンベヤから成形ドラム6に向かう方向が前方である。
【0019】
供給ユニット1は、縦列された供給ユニット1A、1Aと、縦列された供給ユニット1B、1Bとが、並列されている。縦列された供給ユニット1A、1Aにはそれぞれ、タイヤ材料M1、M2が巻回状態でストックされている。縦列された供給ユニット1B、1Bにもそれぞれ、タイヤ材料M1、M2が巻回状態でストックされている。
【0020】
それぞれの供給ユニット1は巻取り芯を有していて、タイヤ材料M1、M2がその巻取り芯を中心にして巻回状態でストックされている。タイヤ材料M1、M2は剥離ライナとともにその巻取り芯を中心にして巻回されている。この実施形態では、タイヤ材料M1、M2は長尺体の状態で巻回されてストックされているが、タイヤ材料M1、M2は、所定長さに定尺カットされたものを多数、その巻取り芯を中心して巻回状態でストックすることもできる。
【0021】
それぞれの供給ユニット1(1A、1A、1B、1B)に対して、それぞれの上流側コンベヤ2が配置されている。図2に例示するように、前方の供給ユニット1A、1Bに対して配置されたそれぞれの上流側コンベヤ2は短くて上下二段のうち下段に配置されている。後方の供給ユニット1A、1Bに対して配置されたそれぞれの上流側コンベヤ2は長くて上下二段のうち上段に配置されている。上段に配置されているそれぞれの上流側コンベヤ2の前端と、下段に配置されているそれぞれの上流側コンベヤ2の前端とは、前後方向で実質的に同じに位置にある。
【0022】
上下二段のそれぞれの下流側コンベヤ4の後端は、前後方向で実質的に同じに位置にある。上段の下流側コンベヤ4の前端は成形ドラム体6の上方に位置していて、下段の下流側コンベヤ4の前端は成形ドラム体6の下方に位置している。尚、上段の下流側コンベヤ4の搬送面は下側になっていて、他のコンベヤ(搬送面は上側)とは異なっている。上段の下流側コンベヤ4のコンベヤベルトの裏側には磁石が配置されていて、この磁石の磁力にタイヤ材料M1、M2を構成する金属線材が引きつけられることにより、タイヤ材料M1、M2は上段の下流側コンベヤ4の搬送面に保持されて搬送される。
【0023】
上下二段のスライドコンベヤ3、3は、それぞれの上流側コンベヤ2、2とそれぞれの下流側コンベヤ4、4との間で、それぞれの供給ユニット1A、1Bの並列方向に一体的にスライド移動する。上下二段のそれぞれのスライドコンベヤ3、3の後端は、前後方向で実質的に同じに位置にあり、それぞれの前端は前後方向で実質的に同じに位置にある。
【0024】
尚、この実施形態では、タイヤ材料M1、M2が供給される際に、所定の一定位置に設置されている成形ドラム6およびそれぞれの下流側コンベヤ4と、並列された一方側の縦列されているそれぞれの供給ユニット1A、1Aおよびその上流側コンベヤ2、2とが直列に配置されている(Y方向に縦列されている)。
【0025】
図2に例示するように、上下二段のうち上段に配置されている上流側コンベヤ2、スライドコンベヤ3および下流側コンベヤ4の搬送面が、側面視で、成形ドラム体6に向かって水平に対して所定の傾斜角度S1(プラスの角度)で上向きに一様に傾斜する設定にされている。上下二段のうち下段に配置されている上流側コンベヤ2、スライドコンベヤ3および下流側コンベヤ4の搬送面が、側面視で、成形ドラム体6に向かって水平に対して所定の傾斜角度S2(マイナスの角度)で下向きに一様に傾斜する設定にされている。傾斜角度S1は例えば3°~20°であり、傾斜角度S2は例えばマイナス3°~マイナス20°である。
【0026】
前後方向に隣接する上流側コンベヤ2とスライドコンベヤ3との前後方向すき間は可能な限り小さく設定されている。また、前後方向に隣接するスライドコンベヤ3と下流側コンベヤ4との前後方向すき間も可能な限り小さく設定されている。
【0027】
カッター5は、タイヤ材料M1、M2を幅方向に対して傾斜して切断し、予め設定された所定長さに定尺カットする。この実施形態では上段のスライドコンベヤ3とともにスライド移動するカッター5と、下段のスライドコンベヤ3とともにスライド移動するカッター5とが備わっている。それぞれのカッター5、5は、タイヤ材料M1、M2を幅方向に対して所望の角度で切断することができる。
【0028】
成形ドラム体6はドラム軸心Cを中心にして正回転および逆回転する。ドラム軸心CはX方向に延在している(X方向と平行である)。
【0029】
次に、この供給システムを用いて筒状のタイヤ部材Mを製造する手順の一例を説明する。
【0030】
この供給システムでは、連続的に筒状のタイヤ部材Mが製造される。途中で異なる仕様のタイヤ部材Mに切り換えて製造することもある。仕様を変えずに多数のタイヤ部材Mを製造し続ける場合は、ストック位置P1では、並列されたそれぞれの供給ユニット1A、1A、供給ユニット1B、1Bに、その仕様に用いるタイヤ材料M1、M2が必要量ストックされる。
【0031】
途中で仕様を変えてタイヤ部材Mを製造する場合は、ストック位置P1では、並列された一方側の縦列された供給ユニット1A、1A毎、他方側の縦列された供給ユニット1B、1B毎に、製造するタイヤ部材Mの仕様に応じたタイヤ材料M1、M2が必要量ストックされる。
【0032】
図3図4に例示するように、ストック位置P1で並列されている一方側で縦列されている後方の供給ユニット1Aから上段に配置されている上流側コンベヤ2にタイヤ材料M2が繰り出される。また、前方の供給ユニット1Aから下段に配置されている上流側コンベヤ2にタイヤ材料M1が繰り出される。
【0033】
図3図4に例示するタイヤ材料M2が、図5に例示するように上段に配置されているスライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4に順に移載される。また、図3図4に例示するタイヤ材料M1が、同様に下段に配置されているスライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4に順に移載される。尚、上流側コンベヤ2とスライドコンベヤ3との間では、タイヤ材料M1、M2はカッター5によって定尺カットされる。したがって、定尺カットされたタイヤ材料M1、M2は、スライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4に順に移載される。
【0034】
図6に例示するように、それぞれの下流側コンベヤ4に移載されたタイヤ材料M1、M2が、成形ドラム体6に順次供給されて巻付けられる。このようにして、それぞれのタイヤ材料M1、M2が、上下二段のスライドコンベヤ3を介して所定の一定位置に設置されているそれぞれの下流側コンベヤ4および成形ドラム体6に対して供給される。
【0035】
上段に配置されている下流側コンベヤ4に移載されたタイヤ材料M2は、ドラム軸心Cを中心にして成形ドラム体6を正回転させながら成形ドラム体6に巻き付けられて筒状に成形される。次いで、下段に配置されている下流側コンベヤ4に移載されたタイヤ材料M1は、ドラム軸心Cを中心にして成形ドラム体6を逆回転させながら成形ドラム体6に巻き付けられて筒状に成形される。これより、それぞれのタイヤ材料M1、M2が筒状に成形されて積層された筒状のタイヤ部材Mが製造される。
【0036】
所定数のタイヤ部材Mが製造されると、ストック位置P1では、並列方向一方側の縦列されているそれぞれの供給ユニット1A、1Aにストックされているタイヤ材料M1、M2が空になる。この場合は、上下二段のスライドコンベヤ3、3を一体的にスライド移動させることで、供給ユニット1B、1Bからタイヤ材料M1、M2を供給することができる。
【0037】
詳述すると、図7に例示するように、上下二段のスライドコンベヤ3を一体的に、ストック位置P1で並列されている一方側の供給ユニット1A、1Aの前方位置から他方側の供給ユニット1B、1Bの前方位置にスライド移動させる。そして、縦列されている後方の供給ユニット1Bから上段に配置されている上流側コンベヤ2にタイヤ材料M2が繰り出される。また、前方の供給ユニット1Bから下段に配置されている上流側コンベヤ2にタイヤ材料M1が繰り出される。
【0038】
次いで、図8に例示するように、繰り出されたタイヤ材料M2が上段に配置されているスライドコンベヤ3に移載され、繰り出されたタイヤ材料M1が下段に配置されているスライドコンベヤ3に移載される。タイヤ材料M1、M2は、上流側コンベヤ2とスライドコンベヤ3との間でそれぞれのカッター5によって定尺カットされる。
【0039】
次いで、図9に例示するように、定尺カットされたタイヤ材料M1、M2が移載された上下二段のスライドコンベヤ3、3を、他方側の供給ユニット1B、1Bの前方位置から一方側の供給ユニット1A、1Aの前方位置にスライド移動させる。即ち、上下二段のスライドコンベヤ3、3と、所定の一定位置に配置されている上下二段の下流側コンベヤ4、4および成形ドラム体6とを直列に配置する。
【0040】
次いで、図10に例示するように、それぞれのタイヤ材料M1、M2がスライドコンベヤ3、3から下流側コンベヤ4、4に移載される。次いで、図11に例示するように、タイヤ材料M1、M2が順次、成形ドラム体6に供給されて積層された筒状のタイヤ部材Mが製造される。
【0041】
それぞれの供給ユニット1B、1Bから繰り出されたタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に供給している間に、空になった一方側の縦列されているそれぞれの供給ユニット1A、1Aを、タイヤ材料M1、M2がストックされた新たな供給ユニット1A、1Aに置き換える。
【0042】
この供給システムでは、1つの成形ドラム体6に正回転貼り、逆回転貼りされるタイヤ材料M1、M2が、所定の傾斜角度S1で上向きに一様に傾斜する上段の上流側コンベヤ2、スライドコンベヤ3および下流側コンベヤ4による搬送経路と、所定の傾斜角度で下向きに一様に傾斜する下段の上流側コンベヤ2、スライドコンベヤ3および下流側コンベヤ4による搬送経路と、を経由して、定尺カットされた状態で成形ドラム体6に順次供給される。そのため、それぞれのタイヤ材料M1、M2がそれぞれのコンベヤに移載される際に、タイヤ材料M1、M2には不測の外力等が作用し難くて円滑に移載させることができる。これに伴い、タイヤ材料M1、M2の搬送速度を過度に遅くする必要もない。それ故、それぞれのタイヤ材料M1、M2の不要なずれや皺の発生を抑制してタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に迅速に供給するには有利になる。
【0043】
それぞれのタイヤ材料M1、M2に不要なずれや皺が発生することを抑制するには、それぞれの傾斜角度S1、S2の絶対値をできるだけ小さくして(それぞれの傾斜を水平に近くして)、かつ、傾斜角度S1、S2の絶対値の差異をできるだけ小さくする(それぞれの傾斜具合を同等にする)ことが好ましい。ただし、それぞれの傾斜角度S1、S2の絶対値を小さくすると搬送経路が長くなるので、それぞれの絶対値は例えば3°以上に必要がある。互いの傾斜角度S1、S2の絶対値の差異は例えば5°以下にすることが好ましく、3°以下にすることがより好ましい。
【0044】
この供給システムでは、並列されている一方側の縦列されている供給ユニット1A、1A、他方側の縦列されている供給ユニット1B、1Bからタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に供給するには、上下二段のスライドコンベヤ3、3を一体的にスライド移動させればよく、供給ユニット1を移動させる必要はないので、過大なスペースは不要になる。それ故、この供給システムをコンパクト化するには有利になる。
【0045】
そして、並列されている一方側の供給ユニット1A、1Aと他方側の供給ユニット1B、1Bとのいずれかの一方のタイヤ材料M1、M2が空になると、いずれか他方のタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に供給している間に、いずれか一方のタイヤ材料M1、M2を補充できる。そのため、一方側の供給ユニット1A、1Aと他方側の供給ユニット1B、1Bとからタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に連続的に供給できる。したがって、それぞれのタイヤ材料M1、M2の補充に起因する時間ロスを低減するには有利になる。
【0046】
これに伴い、それぞれのタイヤ材料M1、M2の補充に起因する時間ロスを低減する目的で、それぞれの下流側コンベヤ4などに余分な量のタイヤ材料M1、M2を載置してストックする必要がない。そのため、それぞれの下流側コンベヤ4、4、それぞれのスライドコンベヤ3、3、それぞれの上流側コンベヤ2、2の長さを最小限にできる。その結果、この供給システムをコンパクト化するには益々有利になる。
【0047】
スライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4をより短くすることで、供給システムをコンパクト化するには有利になる。スライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4は、載置されるタイヤ材料M1、M2の1枚の長さより長ければよい。そこで、スライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4の長さは、例えば、そのコンベヤに載置されるタイヤ材料M1、M2の1枚の長さの100%以上150%以下、より好ましくは105%以上130%以下、さらに好ましくは105%以上120%以下にする。尚、上流側コンベヤ2は、載置されるタイヤ材料M1、M2の1枚の長さより長くする必要はないので可能な限り短くすればよい。
【0048】
したがって、この供給システムを用いることで、それぞれのタイヤ材料M1、M2を筒状にして積層された筒状のタイヤ部材Mを、省スペースで生産性よく製造するには有利になる。
【0049】
定尺カットすることでタイヤ材料M1、M2は経時的に収縮し、その収縮具合にバラつきが生じるが、ストック位置P1では、タイヤ材料M1、M2を長尺体の状態でストックしておき、タイヤ材料M1、M2を供給ユニット1から繰り出してから定尺カットする。そして、定尺カットされたタイヤ材料M1、M2を、スライドコンベヤ3および下流側コンベヤ4を経由して成形ドラム体6に供給する。このように、タイヤ部材Mの製造直前にタイヤ材料M1、M2を定尺カットすることで、予め定尺カットしてストックする場合に比して、タイヤ材料M1、M2の経時的な収縮や収縮量のバラつきを最小限にするには有利になる。その結果、このタイヤ部材Mを用いて製造されたタイヤTの品質向上に寄与する。
【0050】
ストック位置P1では、並列された一方側の供給ユニット1A、A1を主供給ユニットに設定し、スライドコンベヤ3、3を主供給ユニット1A、1Aの前方位置にスライド移動させて固定配置することで、主供給ユニット1A、1A、上流側コンベヤ2、2、固定配置されたスライドコンベヤ3、3および下流側コンベヤ4、4により、成形ドラム体6に対する供給経路を形成できる。このように形成されたタイヤ材料M1、M2の供給経路では、スライドコンベヤ3、3をスライド移動させる必要がないので、タイヤ部材Mをより迅速に成形することが可能になり、生産性を向上させるには有利になる。また、タイヤ部材Mの製造に要するエネルギの削減にも寄与する。
【0051】
ただし、並列された他方側の供給ユニット1B、1Bからタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に供給する場合は、供給ユニット1B、1Bから下流側コンベヤ4、4、成形ドラム体6にタイヤ材料M1、M2を供給する度に、スライドコンベヤ3、3をスライド移動させる必要がある。これに伴い、タイヤ部材Mの生産性を向上させるには不利になり、タイヤ部材Mの製造に要するエネルギの削減にも不利になる。
【0052】
そこで、ストック位置P1で、並列される一方側の供給ユニット1A、1Aと、他方側の供給ユニット1B、1Bとに同じ仕様のタイヤ材料M1、M2がストックされる場合は、主供給ユニット1A、1Aにストックされているタイヤ材料M1、M2が空になった際には、この空になった主供給ユニット1A、1Aをそのタイヤ材料M1、M2がストックされた新たな主供給ユニット1A、1Aに置き換えする作業が完了次第、スライドコンベヤ3、3をこの新たな主供給ユニット1A、1Aの前方位置にスライド移動させて固定配置する。そして、この新たな主供給ユニット1A、1A、上流側コンベヤ2、2、固定配置されたスライドコンベヤ3、3および下流側コンベヤ4、4により成形ドラム体6に対する供給経路を形成して、新たな主供給ユニット1A、1Aからタイヤ材料M1、M2を供給することもできる。
【0053】
このように、スライドコンベヤ3、3をスライド移動させる頻度を抑制してタイヤ材料M1、M2の供給経路を形成することで、他方側の供給ユニット1B、1Bからそれぞれのタイヤ材料M1、M2を成形ドラム体6に供給し続ける場合に比して、タイヤ部材Mの生産性を向上させるには益々有利になり、タイヤ部材Mの製造に要するエネルギの削減に一段と寄与する。他方側の供給ユニット1B、1Bよりも主供給ユニット1A、1Aを長期にタイヤ材料M1、M2の供給経路として用いるには、例えば、供給ユニット1A、1Aでのタイヤ材料M1、M2のストック量を、他方側の供給ユニット1B、1Bでのストック量に比して多くする。
【0054】
この供給システムに適用されるタイヤ材料M1、M2はベルト材に限らない。1つの成形ドラム体6に正回転貼り、逆回転貼りされる様々なタイヤ材料M1、M2をこの供給システムに適用することができる。また、成形ドラム体6は、一般的な公知の様々な成形ドラムに限らず、例えば製造するタイヤTの内面と実質的に同じ外面を有する所謂、剛性コアであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1(1A、1B) タイヤ材料の供給ユニット
2 上流側コンベヤ
3 スライドコンベヤ
4 下流側コンベヤ
5 カッター
6 成形ドラム体
M 筒状のタイヤ部材
M1、M2 タイヤ材料
【要約】
【課題】成形ドラム体に正回転貼り、逆回転貼りされる各タイヤ材料を、不要なずれを抑制して成形ドラム体に迅速に供給し、タイヤ材料の補充に起因する時間ロスを低減できるコンパクトな供給システムおよび筒状のタイヤ部材の製造方法を提供する。
【解決手段】並列方向一方側の前方、後方の供給ユニット1A、1Aから上下段の上流側コンベヤ2、2に繰り出した各タイヤ材料M1、M2を、一様に上向きに傾斜する上段の上流側コンベヤ2、スライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4、一様に下向きに傾斜する下段の上流側コンベヤ2、スライドコンベヤ3、下流側コンベヤ4に移載して定尺カットされた状態で成形ドラム体6に順次供給し、上下二段のスライドコンベヤ3をスライド移動させて、並列方向他方側の前方、後方の供給ユニット1B、1Bから繰り出して定尺カットされたタイヤ材料M1、M2を同様に成形ドラム体6に順次供給する。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11