(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20241218BHJP
B60C 11/01 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C11/01 A
(21)【出願番号】P 2023138909
(22)【出願日】2023-08-29
【審査請求日】2024-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】坂本 洋佑
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016202(JP,A)
【文献】特開2017-121876(JP,A)
【文献】特開2013-216146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 13/00
B60C 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部とを備えたタイヤにおいて、
前記トレッド部の表面に、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の主溝を有し、
前記主溝のタイヤ幅方向外側に位置するショルダー領域に、前記主溝からタイヤ幅方向外側に向かって延在してタイヤ周方向に間隔を置いて配置された複数本のショルダーラグ溝と、前記主溝と前記ショルダーラグ溝とによって区画されてタイヤ周方向に沿って配列された複数のショルダーブロックとが設けられ、
前記ショルダー領域のタイヤ幅方向外側に隣接するサイド領域に前記サイドウォール部の外表面から隆起する複数のサイドブロックが設けられ、タイヤ周方向に隣り合う前記サイドブロックの間に前記ショルダーラグ溝に接続してタイヤ径方向に沿って延在するサイド溝が設けられ、
タイヤ周方向に隣り合う2つ以上の前記ショルダーブロックからなるブロック群のタイヤ幅方向外側の位置に1つの前記サイドブロックが配置され、
前記ショルダーブロックのそれぞれの側面には、前記側面の他の部分よりも窪んだ屈曲凹部が設けられ、前記屈曲凹部はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凹部および第二凹部と、前記第一凹部と前記第二凹部とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凹部とからなり、
前記サイドブロックのそれぞれの表面には、前記表面の他の部分よりも隆起した屈曲凸部が設けられ、前記屈曲凸部はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凸部および第二凸部と、前記第一凸部と前記第二凸部とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凸部とからなることを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記第一凹部が前記ショルダーブロックのタイヤ周方向一方側に隣接するショルダーラグ溝に開口し、前記第二凹部が前記ショルダーブロックのタイヤ周方向他方側に隣接するショルダーラグ溝に開口することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記第一凸部が前記サイドブロックのタイヤ周方向一方側に隣接するサイド溝に接続し、前記第二凸部が前記サイドブロックのタイヤ周方向他方側に隣接するサイド溝に接続することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記第一凸部および前記第二凸部の一方のタイヤ周方向長さが他方の周方向長さよりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記ショルダーブロックの側面に対する前記屈曲凹部の深さが0.5mm~2.0mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記サイドブロックの表面に対する前記屈曲凸部の高さが0.5mm~15mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記第三凹部がタイヤ周方向に対して成す角度が20°~50°であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記第三凸部がタイヤ周方向に対して成す角度が30°~60°であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記第三凹部と前記第三凸部とがタイヤ周方向に対して同方向に傾斜し、そのタイヤ周方向に対する傾斜角度の差が15°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記第二凸部が前記サイドブロックのタイヤ径方向最内側に位置し、前記第一凸部が前記第二凸部よりもタイヤ径方向外側に位置する一方で、前記第一凸部および前記第三凸部に囲まれた位置に前記屈曲凸部よりも凹んだ前記サイドブロックの表面が存在することを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未舗装路等を走行することを意図したタイヤに関し、更に詳しくは、優れたブロック耐久性を確保しながら悪路走破性能の更なる向上を可能にしたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
舗装路面に加えて、未舗装路(不整地、泥濘地、砂地、岩場等)を走行することを想定したタイヤ(例えば、オールテレーンタイヤ、全地形型タイヤ等)は、様々な路面における走行性能に優れることが求められ、特に、優れたオフロード性能(悪路走破性能)を備えることが求められる。このようなタイヤでは、舗装路面で路面に接触するトレッド部だけでなく、未舗装路で路面上の泥、雪、砂、石、岩等(以下、これらを総称して「泥等」と言う)と接触する可能性のあるサイド領域(トレッド部とサイドウォール部の間に位置する領域)に凹凸(サイドブロック等)を設け、これによって泥等を噛み込んでトラクション性能を得ることが行われている(例えば、特許文献1,2を参照)。近年、タイヤに対する要求性能が高度化しており、悪路走破性能の更なる改善が求められている。また、サイドブロックは未舗装路(悪路)において路面上の石、岩、異物等によって損傷を受けやすい傾向があるので耐久性を確保することも求められている。そのため、耐久性(特にブロック耐久性)を確保しながら悪路走破性能を向上し、これら性能を高度に両立することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017‐124733号公報
【文献】特開2020‐044882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、優れたブロック耐久性を確保しながら悪路走破性能の更なる向上を可能にしたタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明のタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部とを備えたタイヤにおいて、前記トレッド部の表面に、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の主溝を有し、前記主溝のタイヤ幅方向外側に位置するショルダー領域に、前記主溝からタイヤ幅方向外側に向かって延在してタイヤ周方向に間隔を置いて配置された複数本のショルダーラグ溝と、前記主溝と前記ショルダーラグ溝とによって区画されてタイヤ周方向に沿って配列された複数のショルダーブロックとが設けられ、前記ショルダー領域のタイヤ幅方向外側に隣接するサイド領域に前記サイドウォール部の外表面から隆起する複数のサイドブロックが設けられ、タイヤ周方向に隣り合う前記サイドブロックの間に前記ショルダーラグ溝に接続してタイヤ径方向に沿って延在するサイド溝が設けられ、タイヤ周方向に隣り合う2つ以上の前記ショルダーブロックからなるブロック群のタイヤ幅方向外側の位置に1つの前記サイドブロックが配置され、前記ショルダーブロックのそれぞれの側面には、前記側面の他の部分よりも窪んだ屈曲凹部が設けられ、前記屈曲凹部はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凹部および第二凹部と、前記第一凹部と前記第二凹部とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凹部とからなり、前記サイドブロックのそれぞれの表面には、前記表面の他の部分よりも隆起した屈曲凸部が設けられ、前記屈曲凸部はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凸部および第二凸部と、前記第一凸部と前記第二凸部とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凸部とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のタイヤは、サイド領域に複数のサイドブロックを設けるにあたって、タイヤ周方向に隣り合う2つ以上のショルダーブロックからなるブロック群のタイヤ幅方向外側の位置に1つのサイドブロックが配置されているので、ブロック群およびサイドブロックからなる全体が実質的に大きなブロックとして機能し、これによりブロック耐久性を向上することができる。また、各ショルダーブロックに第一~第三凹部からなる屈曲凹部が設けられ、且つ各サイドブロックに第一~第三凸部からなる屈曲凸部が設けられているので、ショルダーブロックの側面からサイドブロックの表面に亘る領域の凹凸形状が複雑化し、これにより未舗装路では泥等を効率的に噛み込むことができ、トラクション性能を向上し、優れた悪路走破性能を発揮することができる。特に、屈曲凹部および屈曲凸部がそれぞれタイヤ周方向に沿って延在する部分(第一凹部および第二凹部、第一凸部および第二凸部)とタイヤ周方向に対して傾斜して延在する部分(第三凹部、第三凸部)を含んでいるので、様々な方向に対してエッジ効果を発揮し、トラクション性能を効率的に高めることができる。これらの協働により、ブロック耐久性と悪路走破性能を高度に両立することができる。
【0007】
本発明においては、第一凹部がショルダーブロックのタイヤ周方向一方側に隣接するショルダーラグ溝に開口し、第二凹部がショルダーブロックのタイヤ周方向他方側に隣接するショルダーラグ溝に開口することが好ましい。これにより屈曲凹部の両端がショルダーラグ溝に連通するので屈曲凹部内の泥等を排出しやすくなり、それによるトラクション性能の改善を見込むことができる。
【0008】
本発明においては、第一凸部がサイドブロックのタイヤ周方向一方側に隣接するサイド溝に接続し、第二凸部がサイドブロックのタイヤ周方向他方側に隣接するサイド溝に接続することが好ましい。これにより屈曲凸部がサイドブロックの全幅(周方向の一端から他端の全域)に亘って延在するので、サイドブロックの剛性を高めることができ、トラクション性能を向上するには有利になる。
【0009】
本発明においては、第一凸部および第二凸部の一方のタイヤ周方向長さが他方の周方向長さよりも大きい仕様にすることもできる。このように第一凸部と第二凸部の長さが異なることで、屈曲凸部の凹凸が複雑化し、トラクション性能を向上するには有利になる。
【0010】
本発明においては、ショルダーブロックの側面に対する屈曲凹部の深さが0.5mm~2.0mmであることが好ましい。これにより、ブロック耐久性と悪路走破性能を両立するには有利になる。
【0011】
本発明においては、サイドブロックの表面に対する屈曲凸部の高さが0.5mm~15mmであることが好ましい。これにより、ブロック耐久性と悪路走破性能を両立するには有利になる。
【0012】
本発明においては、第三凹部がタイヤ周方向に対して成す角度が20°~50°であることが好ましい。また、第三凸部がタイヤ周方向に対して成す角度が30°~60°であることが好ましい。このように各部の角度を設定することで、屈曲凹部および屈曲凸部の形状が良好になり、トラクション性能を高めて悪路走破性能を向上するには有利になる。尚、「第三凹部がタイヤ周方向に対して成す角度」は第三凹部の幅方向中心を通る仮想線に基づいて測定するものとする。同様に、「第三凸部がタイヤ周方向に対して成す角度」は第三凸部の幅方向中心を通る仮想線に基づいて測定するものとする。
【0013】
本発明においては、第三凹部と第三凸部とがタイヤ周方向に対して同方向に傾斜し、そのタイヤ周方向に対する傾斜角度の差が15°以下であることが好ましい。このように第三凹部と第三凸部とが同方向に傾斜すると屈曲凹部および屈曲凸部が類似した形状になり、これら凹凸の組み合わせによりショルダーブロックの側面からサイドブロックの表面に亘る領域の凹凸形状が良好になり、トラクション性能を高めて悪路走破性能を向上するには有利になる。
【0014】
本発明においては、第二凸部がサイドブロックのタイヤ径方向最内側に位置し、第一凸部が第二凸部よりもタイヤ径方向外側に位置する一方で、第一凸部および第三凸部に囲まれた位置に屈曲凸部よりも凹んだサイドブロックの表面が存在することが好ましい。これによりサイドブロックの凹凸が複雑化し、トラクション性能を高めて悪路走破性能を向上するには有利になる。
【0015】
本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであってもよい。空気入りタイヤの場合は、その内部に空気、窒素等の不活性ガスまたはその他の気体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態からなるタイヤの子午線断面図である。
【
図2】本発明の実施形態からなるタイヤのショルダー領域およびサイド領域を示す斜視図である。
【
図3】本発明のショルダーブロック(側面)およびサイドブロック(表面)を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本発明のタイヤは、
図1に示すような空気入りタイヤである場合、路面に当接するトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。尚、
図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。以下、
図1を用いた説明は基本的に図示の子午線断面形状に基づくが、各タイヤ構成部材はいずれもタイヤ周方向に延在して環状を成すものである。
【0019】
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。カーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(
図1では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側には少なくとも1層(
図1では2層)のベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層8において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°~5°に設定されている。
【0020】
本発明は、後述のようにタイヤのショルダー領域とサイド領域に関するものであるので、タイヤの基本構造(断面構造)は上述の一般的な構造に限定されない。また、トレッド部1の表面に形成される溝やブロックの詳細な形状(トレッドパターン)は、後述のショルダー領域を除いて特に限定されない。後述のショルダー領域を除いた部分のトレッドパターンは、未舗装路に好適なブロックを主体としたパターンが好適に用いられる。本発明は、未舗装路を走行する際に路面上の泥等に接する可能性がある領域(ショルダー領域およびサイド領域に相当する部位)を備えていれば、非空気式タイヤを含む各種タイヤに適用することができる。
【0021】
図1,2に示すように、トレッド部1の表面には、タイヤ赤道CLの両側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の主溝10が形成される。主溝10は、タイヤ周方向に対して一方向に傾斜する直線状の部分と他方向に傾斜する直線状の部分とがタイヤ周方向に交互に連なったジグザグ形状を有するとよい。一対の主溝10の間の領域がセンター領域(本発明において特に構造は限定されず任意のトレッドパターンを採用可能な領域)であり、各主溝10のタイヤ幅方向外側の領域がショルダー領域である。主溝10は、溝幅が好ましくは3mm~13mm、より好ましくは5mm~11mmであり、溝深さが好ましくは8mm~16mm、より好ましくは10mm~15mmである。
【0022】
主溝10のタイヤ幅方向外側に区画された陸部(ショルダー陸部)には、主溝10からタイヤ幅方向外側に向かって延在するショルダーラグ溝11が設けられる。ショルダーラグ溝11は、タイヤ周方向に間隔をおいて複数本を設けるとよい。これらショルダーラグ溝11により、ショルダー陸部は複数のブロック(ショルダーブロック12)に区画される。主溝10がジグザグ形状を有する場合、ショルダーラグ溝11は、各主溝10のタイヤ幅方向外側の屈曲点に接続しているとよい。ショルダーラグ溝11の溝幅は特に限定されないが、主溝10の溝幅の好ましくは70%~98%、より好ましくは80%~95%であるとよい。ショルダーラグ溝11の溝深さは特に限定されないが、主溝10の溝深さの好ましくは75%~100%、より好ましくは80%~98%であるとよい。
【0023】
ショルダー領域のタイヤ幅方向外側に隣接する領域をサイド領域としたとき、このサイド領域にサイドウォール部2の外表面から隆起する複数のサイドブロック13が設けられている。各サイドブロック13のサイドウォール表面からの隆起高さは特に限定されないが例えば1mm~10mmに設定することができる。
図2,3に示すように、各サイドブロック13は、タイヤ周方向に隣り合う2つ以上のショルダーブロック12からなるブロック群のタイヤ幅方向外側の位置に配置される。例えば図示の例では、2つのショルダーブロック12からなるブロック群のタイヤ幅方向外側の位置に1つのサイドブロック13が配置されている。換言すると、タイヤ周方向に隣り合うサイドブロック13の間にはタイヤ幅方向(タイヤ径方向)に沿って延在するサイド溝14が形成されるが、このサイド溝14はタイヤ周方向に間隔をおいて配置された複数のショルダーラグ溝11と少なくとも1本おきに連結している。このように連結したショルダーラグ溝11およびサイド溝14どうしの間には、1つのサイドブロック13と2つ以上のショルダーブロック12(およびサイド溝14と連結しない1本以上のショルダーラグ溝11)が配置される。
【0024】
サイドブロック13は、未舗装路走行時にタイヤが泥等に埋もれた際に、路面に適切に接するように、タイヤ径方向の適度な範囲に配置することが好ましい。具体的には、サイドブロック13のタイヤ径方向最内側端がタイヤ赤道CL位置からタイヤ径方向内側に向かってタイヤ断面高さSHの好ましくは20%~50%の範囲に存在することが好ましい。言い換えると、タイヤ赤道CL位置からサイドブロック13のタイヤ径方向最内側端までの距離Dがタイヤ断面高さSHの好ましくは20%~50%であるとよい。このようにサイドブロック13をサイドウォール部2のタイヤ径方向の適度な範囲に配置することで、未舗装路における走行性能を効果的に高めることが可能になる。また、サイドブロック13の大きさを適度に確保することができるため、ブロック剛性を確保して耐久性を向上するには有利になる。距離Dがタイヤ断面高さSHの20%未満であると、サイドブロック13が小さくなるため、ブロック耐久性を良好に維持することが難しくなる。距離Dがタイヤ断面高さSHの50%を超えると、サイドブロック13が大きくなり過ぎて、通常の走行性能に影響が出る虞がある。尚、サイドブロック13の配置に関連して、ショルダー領域とサイド領域との境界は、突条17の有無に依らず、タイヤ赤道CL位置からタイヤ径方向内側に向かってタイヤ断面高さSHの20%~25%の範囲に位置するとよい。
【0025】
上述の2つ以上のショルダーブロック12と1つのサイドブロック13との組み合わせにおいて、ショルダーブロック12のそれぞれの側面(タイヤを側面から見たときのショルダーブロック12の表面)には、ショルダーブロック12の側面の他の部分よりも窪んだ屈曲凹部20が設けられている。屈曲凹部20はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凹部21および第二凹部22と、第一凹部21と第二凹部22とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凹部23とで構成される。同様に、サイドブロック13のそれぞれの表面(タイヤを側面から見たときのサイドブロック13の表面)には、サイドブロック13の表面の他の部分よりも隆起した屈曲凸部30が設けられている。屈曲凸部30はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凸部31および第二凸部32と、第一凸部31と第二凸部32とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凸部33とで構成される。
【0026】
本発明のタイヤにおいては、前述のショルダーブロック12(ブロック群)およびサイドブロック13からなる全体が実質的に大きなブロックとして機能し、大きなブロックとしての剛性が確保できるので、これによりブロック耐久性を向上することができる。一方で、各ショルダーブロック12には第一凹部21と第二凹部22と第三凹部23とからなる屈曲凹部20が設けられ、且つ各サイドブロック13に第一凸部31と第二凸部32と第三凸部33からなる屈曲凸部30が設けられているので、ショルダーブロック12の側面からサイドブロック13の表面に亘る領域の凹凸形状が複雑化し、これにより未舗装路では泥等を効率的に噛み込むことができ、トラクション性能を向上し、優れた悪路走破性能を発揮することができる。特に、屈曲凹部20および屈曲凸部30がそれぞれタイヤ周方向に沿って延在する部分(第一凹部21および第二凹部22、第一凸部31および第二凸部32)とタイヤ周方向に対して傾斜して延在する部分(第三凹部23、第三凸部33)を含んでいるので、様々な方向に対してエッジ効果を発揮し、トラクション性能を効率的に高めることができる。これらの協働により、ブロック耐久性と悪路走破性能を高度に両立することができる。
【0027】
尚、図示の例では、ショルダーブロック12のタイヤ幅方向外側の側面とサイドブロック13の表面との境界(ショルダー領域とサイド領域との境界)に、サイドウォール表面から隆起してタイヤ全周に亘って延在する突条15が存在している。この突条15は、金型の割り位置等に起因して形成される要素であるため必ずしも設ける必要はない。この突条15は本発明において考慮する必要のない要素であるが、製造上形成される要素であるので、突条15を基準としてショルダー領域およびサイド領域を区分してもよい。即ち、ショルダー領域は突条15のタイヤ幅方向内側に隣接する領域であり、サイド領域は突条15のタイヤ径方向内側に隣接する領域であると見做すことができる。
【0028】
尚、前述のように、屈曲凹部20はショルダーブロック12の側面から窪んだ部分であり、屈曲凸部30はサイドブロック13の表面から隆起した部分である。そのため、屈曲凸部30はショルダーブロック12の側面に対して突出している必要はない。例えば、図示の例では、ショルダーブロック12の側面と屈曲凸部30の上面とが突条15を挟んで接続するような高さ関係になっているが、この形状であっても、屈曲凹部20はショルダーブロック12の側面から窪み、屈曲凸部30はサイドブロック13の表面から隆起しているので、本発明が意図する凹凸形状を満たしている。
【0029】
タイヤ幅方向に隣り合う2つ以上のショルダーブロック12と1つのサイドブロック13との組み合わせにおけるサイドブロック13およびショルダーブロック12の個数の関係は、1個のサイドブロック13に対してショルダーブロック12が好ましくは2個であるとよい。これにより、サイドブロック13およびショルダーブロック12の組み合わせにおける各ブロックの個数のバランスが良好になり、ブロック耐久性と悪路走破性能を両立するには有利になる。
【0030】
屈曲凹部20のショルダーブロック12の側面に対する深さは好ましくは0.5mm~2.0mm、より好ましくは0.5mm~1.5mmであるとよい。これにより、ブロック耐久性と悪路走破性能を両立するには有利になる。屈曲凹部20のショルダーブロック12の側面に対する深さが0.5mmより小さいと、屈曲凹部20が十分に窪まず、屈曲凹部20により十分な凹凸が形成されないため、トラクション性能を向上する効果が十分に見込めなくなる。屈曲凹部20のショルダーブロック12の側面に対する深さが2.0mmを超えると、屈曲凹部20が深すぎるためショルダーブロック12の剛性が低下してブロック耐久性を十分に維持することが難しくなる。
【0031】
屈曲凸部30のサイドブロックの表面に対する高さは好ましくは0.5mm~15mm、より好ましくは1mm~3mmであるとよい。これにより、ブロック耐久性と悪路走破性能を両立するには有利になる。屈曲凸部30のサイドブロック13の表面に対する高さが0.5mmより小さいと、屈曲凸部30が十分に隆起せず、屈曲凸部30により十分な凹凸が形成されないため、トラクション性能を向上する効果が十分に見込めなくなる。屈曲凸部30のサイドブロック13の表面に対する高さが15mmを超えると、屈曲凸部30が周囲より極端に突出するため屈曲凸部30自体が損傷を受けやすくなり、却ってブロック耐久性を維持することが難しくなる。
【0032】
屈曲凹部20は、前述の3つの部分(第一凹部21、第二凹部22、第三凹部23)からなる屈曲形状を有していれば具体的な形状は特に限定されないが、図示の例のように、第一凹部21が第二凹部22よりもタイヤ径方向外側に位置しているとよい。特に図示の例では、タイヤ周方向の一方側(図中の右側)に配置された第一凹部21がタイヤ周方向の他方側(図中の左側)に配置された第二凹部22よりもタイヤ径方向外側に位置する形状になっている。更に、図示の例では第二凹部22はショルダーブロック12の側面のタイヤ径方向最内側に位置し、前述の突条17に接するように延在している。本発明では、前述の形状の屈曲凹部20が、タイヤ周方向に隣り合う2つ以上のショルダーブロック12のそれぞれに設けられて、各ショルダーブロック12の屈曲凹部20が類似した形状を有することが好ましい。このように屈曲凹部20を設けることで、屈曲凹部20に基づく方向性を持った凹凸がタイヤ周方向に反復して配列されるため、効果的に泥等を噛み込んで悪路走破性能を向上するには有利になる。
【0033】
屈曲凸部30についても、前述の3つの部分(第一凸部31、第二凸部32、第三凸部33)からなる屈曲形状を有していれば具体的な形状は特に限定されないが、図示の例のように、第一凸部31が第二凸部32よりもタイヤ径方向外側に位置しているとよい。特に図示の例のように、タイヤ周方向の一方側(図中の右側)に配置された第一凸部31がタイヤ周方向の他方側(図中の左側)に配置された第二凸部32よりもタイヤ径方向外側に位置する形状になっているとよい。つまり、屈曲凸部30は、屈曲凹部20と凹凸が逆転し、タイヤ周方向の長さが変化している以外は、屈曲凹部20と類似した屈曲形状を有していることが好ましい。
【0034】
上述の第一凹部21および第二凹部22の配置と、第一凸部31および第二凸部32の配置とを満たすことで、を満たしながら、第三凹部23と第三凸部33とはタイヤ周方向に対して同方向に傾斜することになるが、そのタイヤ周方向に対する傾斜角度の差(後述の角度αおよび角度βの差)は好ましくは15°以下、より好ましくは10°以下であるとよい。これにより、屈曲凸部30と屈曲凹部20が更に類似した屈曲形状になるため、ショルダーブロック12およびサイドブロック13に形成される屈曲凹部20および屈曲凸部30が全体的として方向性を持った凹凸になり、効果的に泥等を噛み込んで悪路走破性能を向上するには有利になる。
【0035】
上記のように第三凹部23と第三凸部33とがタイヤ周方向に対して同方向に傾斜するにあたって、第三凹部23がタイヤ周方向に対して成す角度αは好ましくは20°~50°、より好ましくは30°~40°であるとよい。また、第三凸部33がタイヤ周方向に対して成す角度βが好ましくは30°~60°、より好ましくは40°~50°であるとよい。このように各部の角度を設定することで、屈曲凹部20および屈曲凸部30の形状が良好になり、トラクション性能を高めて悪路走破性能を向上するには有利になる。角度αが20°未満であると、屈曲凹部20が十分に屈曲せずトラクション性能を向上する効果が限定的になる。角度αが50°を超えると耐カット性が低下する虞がある。角度βが30°未満であると、屈曲凸部30が十分に屈曲せずトラクション性能を向上する効果が限定的になる。角度βが60°を超えると耐カット性が低下する虞がある。
【0036】
第一凹部21はショルダーブロック12のタイヤ周方向一方側に隣接するショルダーラグ溝11に開口し、第二凹部22はショルダーブロック12のタイヤ周方向他方側に隣接するショルダーラグ溝11に開口することが好ましい。これにより屈曲凹部20の両端がショルダーラグ溝11に連通するので屈曲凹部20内の泥等を排出しやすくなり、それによるトラクション性能の改善を見込むことができる。
【0037】
第一凸部31はサイドブロック13のタイヤ周方向一方側に隣接するサイド溝14に接続し、第二凸部32はサイドブロック13のタイヤ周方向他方側に隣接するサイド溝14に接続することが好ましい。これにより屈曲凸部30がサイドブロック13の全幅(周方向の一端から他端の全域)に亘って延在するので、サイドブロック13の剛性を高めることができ、トラクション性能を向上するには有利になる。
【0038】
第一凸部31および第二凸部32は同一の周方向長さを有していてもよいが、これらの一方のタイヤ周方向長さが他方の周方向長さよりも大きい仕様にすることもできる。図示の例では、タイヤ径方向外側に配置された第二凸部32がタイヤ径方向内側に配置された第一凸部31よりも周方向長さが大きくなっている。更に詳述すると、図示の例では、第一凸部31および第三凸部33が1つのショルダーブロック12に対応する範囲に設けられ、第二凸部32は1つのショルダーブロック12およびショルダーラグ溝11に対応する範囲に設けられ、これにより第一凸部31および第二凸部32の周方向長さに大小関係(第一凸部<第二凸部)が生じている。このように屈曲凸部30を形成することで、屈曲凸部30の凹凸が複雑化し、トラクション性能を向上するには有利になる。
【0039】
図示の例では、第二凸部32が第一凸部31よりもタイヤ径方向内側に配置され、特にサイドブロック13のタイヤ径方向最内側に配置されている。その一方で、第一凸部31および第三凸部33に囲まれた位置には屈曲凸部30よりも凹んだサイドブロック13の表面(図中の符号13a)が存在するようになっている。つまり、屈曲凸部30のタイヤ径方向内側および外側の両側にサイドブロック13の表面(屈曲凸部30よりも窪んだ表面)が存在しているとよい。これによりサイドブロック13の凹凸が複雑化し、トラクション性能を高めて悪路走破性能を向上するには有利になる。
【0040】
本発明は主として屈曲凹部20および屈曲凸部30に関するものであるので、他の構造については特に限定されないが、図示の例のように、2つのショルダーブロック12からなるブロック群の間に位置するショルダーラグ溝11の延長線上にサイドブロック13の表面に対して窪んだサイド凹部34を設けてもよい。このサイド凹部34は屈曲凸部30に遮られるようにサイドブロック13内で終端している。このようなサイド凹部34を設けることでサイドブロック13の凹凸が更に複雑化するので、トラクション性能を高めて悪路走破性能を向上するには有利になる。
【0041】
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0042】
タイヤサイズがLT265/70R17 121/118Sであり、
図1に例示する基本構造(断面構造)を有し、ショルダー領域およびサイド領域の構造は
図2を基調とし、1つのサイドブロックのタイヤ径方向外側に隣接するショルダーブロックの個数、屈曲凹部の有無、第三凹部のタイヤ周方向に対する角度α、第一凹部の端部形状、第二凹部の端部形状、屈曲凸部の有無、第三凸部のタイヤ周方向に対する角度β、第一凸部の端部形状、第二凸部の端部形状、第三凹部のタイヤ周方向に対する角度αと第三凸部のタイヤ周方向に対する角度βとの角度差|β|-|α|、屈曲凹部の深さ、屈曲凸部の深さ、屈曲凸部のタイヤ径方向内側のサイドブロック表面の有無を、それぞれ表1~2のように設定した従来例1、比較例1~3、実施例1~14の18種類の空気入りタイヤを作製した。
【0043】
尚、センター領域のトレッドパターンはすべての例で共通とし、一対の主溝の間かつタイヤ赤道の両側にそれぞれ一列ずつブロック列を配列した構造とした。
【0044】
表1の「第三凹部のタイヤ周方向に対する角度α」の欄について、1つのサイドブロックのタイヤ径方向外側に隣接するショルダーブロックの個数が「2」であり、各ショルダーブロックに屈曲凹部が設けられる場合、各屈曲凹部が第三凹部を含むので、それぞれの角度αの値を提示した。尚、実施例13の一方の角度αが負の値であるのは、他方の角度αと傾斜方向が逆向きであることを意味する。同様に、第三凸部のタイヤ周方向に対する角度βが負の値である例(実施例14)は、第三凹部の傾斜方向と第三凸部の傾斜方向とが逆向きであることを意味する。
【0045】
表1~2の「第一凹部の端部形状」および「第二凹部の端部形状」の欄は、第一凹部または第二凹部の一端がショルダーラグ溝に連通するか否かを示しており、ショルダーラグ溝に開口する場合を「開口」、ショルダーブロック内で終端する場合を「終端」と示した。表1~2の「第一凸部の端部形状」および「第二凸部の端部形状」の欄は、第一凸部または第二凸部の一端がサイド溝に接続するか否かを示しており、サイド溝に接続する場合を「接続」、サイドブロック内で終端する場合を「終端」と示した。
【0046】
これら空気入りタイヤについて、下記の評価方法により、悪路走破性能およびブロック耐久性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0047】
悪路走破性能
各試験タイヤをリムサイズ17×8Jのホイールに組み付けて、フロントタイヤの空気圧を450kPa、リアタイヤの空気圧を550kPaとして試験車両(トラクション試験車)に装着し、未舗装路(グラベル路面)からなる試験路においてトラクション性(発進性)についてテストドライバーによる官能評価を行った。評価結果は、従来例1の値を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどスノー性能に優れることを意味する。
【0048】
ブロック耐久性(耐カット性)
各試験タイヤをリムサイズ17×8Jのホイールに組み付けて、空気圧を350kPaとして試験車両(四輪駆動のSUV)に装着し、オフロード耐久路にて1000km走行した後に、サイド部に生じたカットの総長さを測定した。評価結果は、比較例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどカットの総長さが小さく、ブロック耐久性(耐カット性)に優れることを意味する。
【0049】
【0050】
【0051】
表1から明らかなように、実施例1~14の空気入りタイヤは、従来例1と比較して悪路走破性およびブロック耐久性を向上し、これら性能をバランスよく両立した。一方、
比較例1は、1つのサイドブロックに対して2つのショルダーブロックが隣接する構造であるため、従来例1に対してブロック耐久性が改善したものの、屈曲凹部および屈曲凸部が設けられていないため、悪路走破性を向上する効果は得られなかった。比較例2は、屈曲凹部が設けられる一方で屈曲凸部が設けられないため、悪路走破性を十分に向上する効果が得られなかった。比較例3は、屈曲凸部が設けられる一方で屈曲凹部が設けられないため、悪路走破性を十分に向上する効果が得られなかった。
【0052】
本開示は、以下の発明を包含する。
発明[1] タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部とを備えたタイヤにおいて、
前記トレッド部の表面に、タイヤ赤道の両側でタイヤ周方向に沿って延在する一対の主溝を有し、
前記主溝のタイヤ幅方向外側に位置するショルダー領域に、前記主溝からタイヤ幅方向外側に向かって延在してタイヤ周方向に間隔を置いて配置された複数本のショルダーラグ溝と、前記主溝と前記ショルダーラグ溝とによって区画されてタイヤ周方向に沿って配列された複数のショルダーブロックとが設けられ、
前記ショルダー領域のタイヤ幅方向外側に隣接するサイド領域に前記サイドウォール部の外表面から隆起する複数のサイドブロックが設けられ、タイヤ周方向に隣り合う前記サイドブロックの間に前記ショルダーラグ溝に接続してタイヤ径方向に沿って延在するサイド溝が設けられ、
タイヤ周方向に隣り合う2つ以上の前記ショルダーブロックからなるブロック群のタイヤ幅方向外側の位置に1つの前記サイドブロックが配置され、
前記ショルダーブロックのそれぞれの側面には、前記側面の他の部分よりも窪んだ屈曲凹部が設けられ、前記屈曲凹部はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凹部および第二凹部と、前記第一凹部と前記第二凹部とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凹部とからなり、
前記サイドブロックのそれぞれの表面には、前記表面の他の部分よりも隆起した屈曲凸部が設けられ、前記屈曲凸部はそれぞれ、タイヤ周方向に沿って延在する第一凸部および第二凸部と、前記第一凸部と前記第二凸部とを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凸部とからなることを特徴とするタイヤ。
発明[2] 前記第一凹部が前記ショルダーブロックのタイヤ周方向一方側に隣接するショルダーラグ溝に開口し、前記第二凹部が前記ショルダーブロックのタイヤ周方向他方側に隣接するショルダーラグ溝に開口することを特徴とする発明[1]に記載のタイヤ。
発明[3] 前記第一凸部が前記サイドブロックのタイヤ周方向一方側に隣接するサイド溝に接続し、前記第二凸部が前記サイドブロックのタイヤ周方向他方側に隣接するサイド溝に接続することを特徴とする発明[1]または[2]に記載のタイヤ。
発明[4] 前記第一凸部および前記第二凸部の一方のタイヤ周方向長さが他方の周方向長さよりも大きいことを特徴とする発明[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ。
発明[5] 前記ショルダーブロックの側面に対する前記屈曲凹部の深さが0.5mm~2.0mmであることを特徴とする発明[1]~[4]のいずれかに記載のタイヤ。
発明[6] 前記サイドブロックの表面に対する前記屈曲凸部の高さが0.5mm~15mmであることを特徴とする発明[1]~[5]のいずれかに記載のタイヤ。
発明[7] 前記第三凹部がタイヤ周方向に対して成す角度が20°~50°であることを特徴とする発明[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤ。
発明[8] 前記第三凸部がタイヤ周方向に対して成す角度が30°~60°であることを特徴とする発明[1]~[7]のいずれかに記載のタイヤ。
発明[9] 前記第三凹部と前記第三凸部とがタイヤ周方向に対して同方向に傾斜し、そのタイヤ周方向に対する傾斜角度の差が15°以下であることを特徴とする発明[1]~[8]のいずれかに記載のタイヤ。
発明[10] 前記第二凸部が前記サイドブロックのタイヤ径方向最内側に位置し、前記第一凸部が前記第二凸部よりもタイヤ径方向外側に位置する一方で、前記第一凸部および前記第三凸部に囲まれた位置に前記屈曲凸部よりも凹んだ前記サイドブロックの表面が存在することを特徴とする発明[1]~[9]のいずれかに記載のタイヤ。
【符号の説明】
【0053】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
10 主溝
11 ショルダーラグ溝
12 ショルダーブロック
13 サイドブロック
14 サイド溝
15 突条
20 屈曲凹部
21 第一凹部
22 第二凹部
23 第三凹部
30 屈曲凸部
31 第一凸部
32 第二凸部
33 第三凸部
34 サイド凹部
CL タイヤ赤道
【要約】
【課題】優れたブロック耐久性を確保しながら悪路走破性能の更なる向上を可能にしたタイヤを提供する。
【解決手段】
トレッド部1のショルダー領域に複数のショルダーブロック12を設け、ショルダー領域のタイヤ幅方向外側に隣接するサイド領域に複数のサイドブロック13を設け、タイヤ周方向に隣り合う2つ以上のショルダーブロック12からなるブロック群のタイヤ幅方向外側の位置に1つのサイドブロック13を配置し、ショルダーブロック12のそれぞれの側面に、タイヤ周方向に沿って延在する第一凹部21および第二凹部22と、これらを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凹部23とからなる屈曲凹部20を設け、サイドブロック13のそれぞれの表面に、タイヤ周方向に沿って延在する第一凸部31および第二凸部32と、これらを接続してタイヤ周方向に対して傾斜して延在する第三凸部33とからなる屈曲凸部を設ける。
【選択図】
図2