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特許7606127情報処理システム及びその制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】情報処理システム及びその制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/151 20200101AFI20241218BHJP
   G06F 40/166 20200101ALI20241218BHJP
   G06F 21/60 20130101ALI20241218BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20241218BHJP
【FI】
G06F40/151
G06F40/166
G06F21/60
G06F21/62 345
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023142067
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2024-03-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100227857
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 圭
(72)【発明者】
【氏名】中島 淳
【審査官】長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-026037(JP,A)
【文献】特開2006-276912(JP,A)
【文献】特開2013-172301(JP,A)
【文献】国際公開第2022/070380(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-58
G06F 21/60-62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書に含まれる加工対象の特定のデータについて、当該データとして認識できない形態になるよう特定の加工を施す加工手段と、
前記加工手段によ加工対象の候補となる加工対象候補データに含まれる一部分のデータについて、当該一部分のデータが認識できるように前記特定の加工を解除する解除手段と、
前記一部分のデータを含む加工対象候補データを一覧に表示するように制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記解除手段によって前記加工対象候補データにおける一部分のデータに対する特定の加工が解除されることで、当該加工対象候補データが2以上の領域に分割される場合であっても、一つのデータとして表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記一部分のデータと、当該一部分のデータを含む加工対象候補データとを並べて一覧に表示するように制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記一部分のデータに対して、選択操作を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段により受け付けた選択操作に基づき特定される一部分のデータについて、前記特定の加工を施すか否かを決定する決定手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記加工対象候補データを含む文書内の領域の範囲指定を受け付ける受付手段を備え、
前記解除手段は、前記指定された範囲内の文字列が認識できるように前記特定の加工を解除することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記加工対象とされた特定のデータを含む文書内の文字列の指定を受け付ける受付手段を備え、
前記解除手段は、前記指定された文字列が認識できるように前記特定の加工を解除することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記一部分のデータについて、移動、範囲の変更、削除の少なくとも一つを含む修正を受け付ける受付手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記文書の中から検索対象として指定された特定のデータを検索する検索手段と、
前記解除手段は、前記検索手段によって検索された特定のデータが認識できるように、文書内の当該検索された特定のデータに対する前記特定の加工を解除することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記検索手段によって検索された特定のデータについて、各特定のデータに対して前記解除手段による解除の対象とするか否かの選択を受け付ける受付手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記文書と前記一覧に表示される加工対象候補データについて、それぞれ対応付けるように識別番号を付与することを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記表示制御手段は、前記加工手段による加工対象の候補となる加工対象候補データを前記特定の加工を施す理由に応じた形態で表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記特定の加工を施す理由に応じた形態は、前記特定の加工を施す理由に応じた色を用いた形態であることを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記特定の加工とは、特定の色で塗りつぶす処理であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記特定の加工とは、特定の文字列に置き換える処理であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記データとは、文字列であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項16】
文書に含まれる加工対象の特定のデータについて、当該データとして認識できない形態になるよう特定の加工を施す加工ステップと、
前記加工ステップによ加工対象の候補となる加工対象候補データに含まれる一部分のデータについて、当該一部分のデータが認識できるように前記特定の加工を解除する解除ステップと、
前記一部分のデータを含む加工対象候補データを一覧に表示するように制御する表示制御ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項17】
少なくとも1つのコンピュータを請求項1乃至12のいずれか1項に記載の情報処理シ
ステムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスキング文書の作成に係る情報処理システム及びその制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
行政機関においては情報公開法に基づく開示請求があった場合には、原則として開示請求の対象となった文書を請求者に対して開示しなければならないとされている。ただし、開示することで差し障りのある情報(例えば国の安全等に関する情報や個人情報など)は不開示とすることができ、不開示情報が記載された部分については黒塗りにして文書を開示することが認められている。
【0003】
また、一般企業等においても、実例をベースにした書類の記入見本を作成したり、アンケート結果やユーザからの意見・要望などを公開する際に、個人情報に係る部分や機密情報を隠して公開することが行われている。
【0004】
このように、文書等を公開するにあたり、公開すべきではない部分を隠す(マスクする)ことが行われているが、マスクする処理を施す作業の効率化や、マスク対象の抜け漏れを防ぐことを目的として、システムによりマスク対象を自動で特定する技術が存在する。
【0005】
特許文献1には、画像内の文字領域・図形領域・写真領域・表領域等を抽出し、当該領域に設定された公開レベルとユーザの閲覧権レベルに応じて当該領域を黒一色で塗りつぶすことが開示されている。
【0006】
特許文献2には、認証部により特定パスワードが入力されたと認証された場合、文書データ保管部は、閲覧権限のないメタデータに対するマスク化を解除して、メタデータを視認可能に表示させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002―298122号公報
【文献】特開2019― 82885号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
開示請求があった場合、出来る限り文書を開示する必要がある。例えば、不開示情報と不開示情報との間に開示しても差し支えない文字が挟まれていた場合、その文字は開示される必要がある。一般企業等においても、不開示情報とは関係のない箇所に関しては、同様に開示される必要がある。上述のように不開示情報の間に挟まれている文字を開示しようとした場合、従来の方法では、前半の不開示情報をマスクした後、開示する必要のある文字を避けて後半の不開示情報をマスクする。一つの文書の中にこのような箇所が複数ある場合、開示する必要のある文字を避けつつマスク処理を行う必要があり、作業者にとっては煩わしく感じる。
【0009】
また、開示する必要のある文字が適切か否かを判断して、必要であれば修正が求められる。すなわち、本来マスクが必要だった文字にも関わらず、マスクしないような処理を施していないかを確認する必要がある。このような修正を容易に行うため、作業の効率化が求められる。
【0010】
そこで本発明では、マスク処理の作業を効率的に行うことを可能とする仕組みを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、
文書に含まれる加工対象の特定のデータについて、当該データとして認識できない形態になるよう特定の加工を施す加工手段と、
前記加工手段によ加工対象の候補となる加工対象候補データに含まれる一部分のデータについて、当該一部分のデータが認識できるように前記特定の加工を解除する解除手段と、
前記一部分のデータを含む加工対象候補データを一覧に表示するように制御する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マスク処理の作業を効率的に行うことを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のシステム構成の一例を示す図である。
図2】各種装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】マスク処理の概要を示すフローチャートである。
図4】トリミング処理の概要を示すフローチャートである。
図5】メニュー画面の一例を示す図である。
図6】トリミング処理を実施する前の、マスキング修正・追加作業画面の一例を示す図である。
図7】トリミング処理を実行中の画面の一例を示す図である。
図8】トリミング処理を実施した後の、マスキング修正・追加作業画面の一例を示す図である。
図9】マスキング確定画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態における情報処理システムの構成の一例について説明する。
【0016】
本発明の情報処理システムは、クライアント端末100、サーバ装置110、スキャナ120がネットワーク101によって通信可能に接続されて構成されている。
【0017】
クライアント端末100は、例えばパーソナルコンピュータ(以下、PC)やスマートフォン等の携帯端末であり、マスキング処理を実施するソフトウェア(以下、マスキングアプリとする)がインストールされている。サーバ装置110は、例えばマスキング処理実施後の文書を記憶する。なお、サーバ装置110を備えない構成であってもよい。スキャナ102は、クライアント端末100から受付けた指示により、開示請求に関連する紙の文書を電子データ化する。スキャナ120で電子データ化された書類は、クライアント端末100に送信され、マスキングアプリでマスク処理が実行できるようになる。
【0018】
本発明の実施形態では、国民から情報開示請求を受けた際に、官公庁が文書にマスク処理を施す例を挙げる。国民から情報開示請求を受けた場合、担当の官公庁は開示請求に該当する文書を収集して、不開示情報が含まれていないかを確認する。不開示情報が含まれている場合、作業者は、クライアント端末100を用いて文書の該当箇所にマスク処理を施す。このとき、作業者は、マスク処理を施した文書と、マスク箇所を示す一覧とを作成する必要がある。本発明の実施形態で説明するマスキングアプリでは、マスク処理を施した文書と、マスク箇所を示す一覧とをクライアント端末100に表示する。
【0019】
次に図2を参照して、本発明の実施形態における、各種装置のハードウェア構成の一例について説明する。図2は、クライアント端末100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0020】
図2において、内部バス250に対してCPU201、メモリ202、不揮発性メモリ203、画像処理部204、ディスプレイ205、操作部206、記録媒体I/F207、外部I/F209、通信I/F210が接続されている。内部バス250に接続される各部は、内部バス250を介して互いにデータのやりとりを行うことができるようにされている。
【0021】
メモリ202は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。CPU201は、例えば不揮発性メモリ203に格納されるプログラムに従い、メモリ202をワークメモリとして用いて、クライアント端末100の各部を制御する。不揮発性メモリ203には、画像データや音声データ、その他のデータ、CPU201が動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ203は例えばハードディスク(HD)やROMなどで構成される。
【0022】
画像処理部204は、CPU201の制御に基づいて、不揮発性メモリ203や記録媒体208に格納された画像データや、外部I/F209を介して取得した映像信号、通信I/F210を介して取得した画像データ、撮像された画像などに対して各種画像処理を施す。画像処理部204が行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、画像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理、マスキング処理などが含まれる。画像処理部204は特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成しても良い。また、画像処理の種別によっては画像処理部204を用いずにCPU201がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0023】
ディスプレイ205は、CPU201の制御に基づいて、画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。CPU201は、プログラムに従い表示制御信号を生成し、ディスプレイ205に表示するための映像信号を生成してディスプレイ205に出力するようにクライアント端末100の各部を制御する。ディスプレイ205は出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、クライアント端末100自体が備える構成としてはディスプレイ205に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェースまでとし、ディスプレイ205は外付けのモニタ(テレビなど)で構成してもよい。
【0024】
操作部206は、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネルといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッドなどを含む、ユーザ操作を受け付けるための入力デバイスである。なお、タッチパネルは、ディスプレイ205に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。
【0025】
記録媒体I/F207は、メモリーカードやCD、DVDといった記録媒体208が装着可能とされ、CPU201の制御に基づき、装着された記録媒体208からのデータの読み出しや、当該記録媒体208に対するデータの書き込みを行う。外部I/F209は、外部機器と有線ケーブルや無線によって接続し、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。通信I/F210は、外部機器やインターネット211などと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。例えば、TCP/IPを用いた通信やISDNなどの電話回線、および携帯電話の4G回線、5G回線等を用いた通信が可能である。
【0026】
カメラ部212は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(撮像センサー)等で構成されるカメラユニットである。
【0027】
次に図3を参照して、本発明の実施形態における、マスキング文書及び一覧作成の基本処理について説明する。なお、各ステップの処理は、クライアント端末100のCPU201が実行する。クライアント端末100でマスキングアプリの実行が指示されると図3の処理が開始される。
【0028】
S301では、CPU201は、マスキングアプリのメニュー画面を表示する。メニュー画面の表示例を図5(a)に示す。メニュー画面には、開示文書マスクボタン501を含む。開示文書マスクボタン501の押下を受け付けると、対象の文書に対してマスク処理を実施することができる。
【0029】
S302では、CPU201は、開示文書マスクボタンの押下を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合はS303へ進む。
【0030】
S303では、CPU201は、マスク対象の文書のアップロードを受け付ける。図5(b)に示すように、アップロード方法は、例えば不揮発性メモリ203や記録媒体208に格納された電子データをマスキングアプリにアップロードするか、紙文書をスキャンすることで取得した電子データをアップロードする。
【0031】
S304では、CPU201は、アップロードされた文書からテキストを抽出し、当該テキストからマスク対象を特定する。本実施形態では、抽出されたテキストからマスク対象を特定するために自然言語処理を用いる。マスク対象として特定される部分は、人名、組織名、日時、住所、電話番号、メールアドレス等、主に個人情報に関わる。マスク対象を特定する際に手作業で実施すると、一つ一つ特定してマスクしていくので大変な労力を要し、またマスクすべき箇所を漏らしてしまう場合がある。これに対して、本実施形態のようにマスク対象を自動で特定することにより、文書ファイルをアップロードするだけで特定できるので作業時間が短縮でき、マスク対象箇所の抜け落ちも減らすことが出来る。
【0032】
S305では、CPU201は、マスキング修正・追加作業画面をディスプレイ205に表示する(後述するステップにおいて表示する場合の表示先はすべてディスプレイ205であるものとする)。具体的には、図6(b)のようにマスク文書の下書き領域602(以下、単に下書き領域ともいう)と、図6(c)に示すマスク候補一覧606が表示される。初期画面では下書き領域602には、S302で特定されたマスク対象の文字列に黄色のマーカーが表示される。また、マスク対象の文字列には番号603が表示される。これは、マスク候補一覧606のマスク番号607に対応している。これにより、下書きに記載されたマスク対象の文字列と、一覧に記載された文字列との対応関係が明確になる。ユーザは下書きに記載された文字列を一覧から探したい場合(逆に一覧の文字列を下書きから探したい場合も同様である。)、識別番号を確認すればいいので見つけやすくなる。
【0033】
図6(c)のマスク候補一覧606は、S303で特定されたマスク対象の文字列の一覧であり、マスク番号607、それぞれの文字列に対応するマスクの有無を切り替えるチェックボックス608、マスクデータ609、ハイライト表示の色610、データの種類611、事由選択欄612で構成される。マスクの有無を切り替えるチェックボックス608について、「入」の場合マスク候補対象として下書き領域602内で識別表示する。「切」の場合マスク対象候補から外し、下書き領域602でも識別表示から通常の表示状態に切り替える。表示ページの不開示理由613と、全体の不開示理由614は一覧に掲載されるマスクデータを切り替えるためのボタンである。表示ページの不開示理由613は現在表示されているページのマスクデータのみを表示し、全体の不開示理由614はアップロードされた文書全体のマスクデータを表示する。
【0034】
このように、下書き領域602とマスク候補一覧606は対応しているため、後述するS306、S307で一方を修正する処理を実行するともう一方にも修正が反映され、両方を同時に作成しながら進められる。
【0035】
S306では、CPU201は、各種修正操作を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合は、S307に処理を進め、そうでない場合には、S308に処理を進める。
【0036】
S307では、S306で受け付けた各種修正操作に基づいて修正処理を実行する。修正処理は、事由選択欄612への入力または選択やトリミング機能を含む。トリミング機能については、図4を用いて後述する。
【0037】
まず、事由選択欄612について説明する。本実施形態における事由とは、テキストをマスク対象とした根拠となる事由(条文)である。情報開示請求に対する文書開示において、非開示とする場合には根拠を示さなければならない。マスク候補一覧606では、事由選択欄612に該当する事由をユーザによる手入力またはプルダウンより選択することで、追加することが可能である。追加された事由には色が対応付けられており、事由に応じてマスク文書の下書き領域602のハイライト表示の色を変更する。具体的には、初期画面では図6(b)のように黄色のマーカーで表示されているが、事由選択欄612で選択された事由に応じて青色や紫色等に変更する。これにより、どの事由に基づいてマスク処理が実行されているのかが視覚的に把握しやすくなるため、誤った事由を選択していないか確認しやすくなる。なお、S305で表示される初期画面を予め事由が入力された状態の画面を表示しても良い。その場合、S304で文書から言語処理技術を用いてマスク対象を特定する際、マスク対象のテキストを特定するだけでなく、その種類まで特定する。例えば、そのテキストが人名・住所・メールアドレス・電話番号等のいずれに該当するかまで特定する。そして、予めその種類と条文番号を対応付けておくことで、特定された種類に応じて条文番号を事由として表示することが可能となる。
【0038】
その他の修正処理については、例えば下書き領域602の任意の領域をマウスで囲むことで、マスク領域の追加をすることができる。文字列の選択ではなく領域の選択によるマスクを可能とすることで、印鑑等の言語処理では抽出できない箇所についてもマスクすることができる。この領域を指定してマスクする方法では、例えば連続マスクボタンの押下を受け付けることで、下書き領域602の任意の領域を連続でマスクするような処理を実行してもよい。他にも、マスクされた領域を移動させたり、回転させたりするようにしてもよい。マスク対象の文書が手書きの場合、文字が斜めに書かれていることがある。そのため文字の位置や向きに合わせて、マスク領域を調整することが可能となる。
【0039】
また、文書内の文字列を検索して、検索された文字列に対してマスクするようにしてもよい。この場合、検索された文字列を一覧表示し、各文字列に対してマスクするか否かの選択を受け付ける。
【0040】
また、S304でテキストから文字列を抽出し、自然言語処理を用いてマスク対象を特定する際、予め登録された文字列を本ステップでマスクしてもよい。すなわち、個人情報ではないため自然言語処理では抽出できないような文字列を予め登録しておくことで、マスキング修正・追加作業画面で改めてその文字列をマスクする必要がなくなる。例えば、山田部長と文書に記載がある場合、「山田」の部分は個人名のため予めマスクされた状態でマスキング修正・追加作業画面が表示されるが、「部長」まではマスクされない。このとき「部長」を登録しておくことで、「山田部長」までマスク対象とされた状態でマスキング修正・追加作業画面が表示される。
【0041】
S308では、CPU201は、図6(a)の出力ボタン615の押下を受け付けた否かを判定する。受け付けた場合には、S309に処理を進め、そうでない場合には、S313に処理を進める。
【0042】
S309では、CPU201は、マスキング確定画面を表示する。図9にマスキング確定画面の一例を示す。マスキング確定画面には、イメージ画像901とマスク箇所を訂正ボタン902、PDF出力ボタン903を備える。
【0043】
なお、出力ボタンの押下を受け付けた際に、マスキング確定画面をすぐに表示するのではなく、ファイルの出力方法を選択させるようにしてもよい。具体的には、図9のようにマスク処理を実施したイメージ画像901を出力する方法と、下書き領域602をそのままイメージ画像として出力する方法とを選択させる。図9のイメージ画像901の場合、マスクされた文字の下が確認できなくなっている。実務上、マスク処理の作業者とそれをチェックする担当者がおり、双方で文書をやり取りする場合、マスクされた文字の内容が確認できないと不都合が生じる。そのため、各省庁内で文書のやり取りをする場合は、下書き領域602をそのままイメージ画像として出力することでマスク下の文字を確認することができるようにしておく。図9のイメージ画像901は、国民に開示する前の最終確認として出力する。このように、出力方法を選択させることで、複数人で文書をやり取りする場合と公にする場合といったように、必要に応じてイメージ画像の確認方法を使い分けることができるようになる。
【0044】
S310では、CPU201は、マスク箇所を訂正ボタン902の押下を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合には、S305に処理を進め、そうでない場合には、S311に処理を進める。
【0045】
S311、S312では、CPU201は、PDF出力ボタンの押下を受け付けるとマスキング確定画面に表示されている内容をPDF出力する。
【0046】
S313では、CPU201は、アプリの終了を指示する操作があった場合にはマスキングアプリを閉じ、図3の処理を終了する。
【0047】
次に図4を参照して、本発明の実施形態における、S307で実施される修正処理のうち、トリミング機能について説明する。本実施形態におけるトリミングとは、元々マスクされていた箇所のマスクを解除することを示す。なお、各ステップの処理は、クライアント端末100のCPU201が実行する。クライアント端末100より、S307でトリミング機能の実行が指示されると図4の処理が開始される。
【0048】
S401では、CPU201は、図6(a)のマスク箇所トリミングボタン601の押下を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合はS402へ進む。
【0049】
S402では、CPU201は、下書き領域602の任意のマスク箇所の選択を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合はS403へ進み、そうでない場合はS406へ進む。具体的に、図6(b)を用いて説明する。「お手数をおかけいたしますが…」の色で示された領域はマスク領域605である。マスク領域605は、S307でユーザによって任意の領域を選択されたことにより、新たにマスク対象の領域として受け付けた領域である。
【0050】
S403では、CPU201は、S402で選択されたマスク箇所のマスクを解除する。具体的に、図7(b)を用いて説明する。このうち、トリミング対象領域703の選択を受け付ける。図7(b)の例では、「メールアドレス」の領域の選択を受け付けており、選択された「メールアドレス」の領域のマスクを解除する。また、トリミング対象領域703は文書内で修正を受け付ける。例えば、トリミング対象領域703を移動したり、枠の大きさを変更したり、削除することができる。文書内で修正された場合、後述のS404でマスク候補一覧606で追加されている内容もそれにあわせて修正する。
【0051】
なお、領域選択によりマスク対象となった「領域」について、選択された「領域」をトリミングする例について説明したが、マスク対象となった「領域」について、当該領域に含まれる「文字列」を選択することで選択された文字列をトリミング対象とすることも可能である。また、S304の処理によってマスク対象となった「文字列」についてもトリミングは可能である。この場合も、マスク対象の「文字列」の一部についてトリミング対象とする「領域」の選択を受け付けても良いし、トリミング対象とする「文字列」の選択を受け付けても良い。文書内で修正された場合、後述のS404でマスク候補一覧606で追加されている内容もそれにあわせて修正する。
【0052】
なお、個別に選択を受け付けた領域又は文字列のマスクをトリミングする例について説明したが、一括でトリミングするようにしてもよい。例えば、文字列を検索することで、文書内に含まれる検索された文字列を一括でトリミングするようにしても良いし、検索された文字列を一覧表示し、各文字列に対してトリミングするか否かの選択を受け付けるようにしても良い。
【0053】
このように、マスク箇所のトリミングを実施可能とすることで、作業の方法の幅を広げることができる。すなわち、不開示情報と不開示情報の間に挟まれている文字を開示しようとした場合、開示する必要のある文字を避けてマスク処理を実施する必要がある。開示する必要のある文字を避けつつマスク処理を実行することに対して、煩わしく感じる作業者も存在する。そのため、そうした作業者にとってより実施しやすい方法を提供することが可能となる。
【0054】
S404では、CPU201は、トリミングされた領域をマスク候補一覧606に追加する。図8にトリミング実施後の下書き領域602及びマスク候補一覧606を表示する。図8(a)に示す下書き領域602では、マスク領域605のうち、S403でトリミング領域801は開示されるようにマスクが解除されている。また、トリミング領域801の色は、灰色で表示される。なお、実施形態では、トリミング領域801を灰色で示しているが、マスク領域605と区別がつくように識別表示できれば他の方法でも良い。
【0055】
また、図8(b)に示すマスク候補一覧606では、トリミングデータ802が追加されている。マスク候補一覧606は、トリミングの有無を切り替えるためのチェックボックス803を備え、種類の列には「マスク箇所トリミング」と表示される。チェックボックスによる操作を受け付けると、下書き領域602の対応箇所について、トリミングの有無を切り替える。マスク候補一覧606の中でトリミングデータ802は、マスク領域605に対応する段の1段下に追加される。マスク領域605の近くに追加されることで、トリミングデータ802がどこのマスク領域605をトリミングした内容かについてマスク候補一覧606からも把握できるようになる。また、マスク領域605は一つのデータ(一体のデータ)としてマスク候補一覧606に追加される。トリミングデータ802は、一つのマスク領域内のうち一部のマスクを解除したデータが表示される。すなわち、トリミング領域801である「メールアドレス」の前後は同一のデータであり、これらが別々のデータとして登録されるわけではない。
【0056】
マスク候補一覧606にトリミング箇所を追加して一覧上で操作を受け付けることにより、正確かつ容易な操作ができる。具体的には、作業者とチェック担当者の存在を想定していることは前述の通りであり、トリミングすべきか否かの判断が曖昧な場合に双方の意見が異なる場合がある。例えば、図8のマスク領域605に記載されている「ご変更後のメールアドレスにメールが届いていないか、」の部分で、「ご変更後の」と「にメールがとどいていないか、」がマスクする必要がある領域であり、これらの間の「メールアドレス」について、マスクすべきか判断が分かれていると仮定する。どちらが適切か議論する際、いちいち「メールアドレス」だけをトリミングし直したり解除したりすることは、煩わしく感じてしまう。また、何度もやり直しをすると、誤操作の原因になる可能性もある。そのため、チェックボックスでトリミングの有無を切り替えることは、作業をより正確にかつ容易に実施することができる。他にも単語と単語の間の助詞をマスクするか否か判断が分かれる等の例も考えられる。
【0057】
S405では、CPU201は、下書き領域602とマスク候補一覧606のマスク番号607を更新する。トリミング領域801に対してもマスク番号607を付与することで、複数トリミング領域801がある場合でも、どこのトリミング領域801なのか容易に確認することができる。
【0058】
S405では、CPU201は、図7に示す手動モード解除ボタン701の押下を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合はトリミング機能を終了し、そうでない場合はS402へ戻る。以上で、図4の説明を終了する。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によればマスク処理の解除作業を効率的に行うことができる。具体的には、マスク候補一覧からマスクを解除するか否かの選択を受け付けることで、作業をより正確にかつ容易に実施することができる。
【0060】
なお、上述の実施形態では、マスク候補として特定された文字列について、マスク処理を施す例を説明したが、特定された文字列を伏せることが可能であればこれに限るものではない。例えば、人名を「山田太郎」と置き換えたり、特定の文字(*マーク等)に置き換えたりしてもよい。
【0061】
なお、上述の実施形態では、マスク候補一覧の表示例を説明したが、マスク候補一覧を編集することで、一覧を並べ替えたりマスクの有無のチェックボックスを一括切替が出来たりしても良い。
【0062】
なお、上述の実施形態では官公庁で使用されることを想定しているが、これに限るものではない。例えば社内文書の一部をマスクしたい場合や、本人確認書類をマスクする場合、個人情報を含んだ取引先等への書類をマスクする場合等であっても同様に本実施形態によってマスク処理を行うことができる。
【0063】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0064】
なお、CPU201が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0065】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0066】
また、上述した実施形態においては、本発明をPCにおけるマスキングアプリに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、文書を編集することができるような装置、ソフトウェアであれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやスマートフォン等の携帯電話端末などに適用可能である。
【0067】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0068】
100 クライアント端末
101 ネットワーク
110 サーバ装置
120 スキャナ

【要約】      (修正有)
【課題】マスク処理の作業を効率的に行う情報処理システム、その制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】方法は、文書に含まれる特定のデータについて、当該データとして認識できない形態になるよう特定の加工を施す。加工された特定のデータの一部について、当該一部のデータが認識できるように前記特定の加工を解除する。加工された特定のデータについて、当該加工が解除された一部のデータを含む一体のデータとして、表示するよう制御する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9