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特許7606165圧電振動素子、圧電振動子、及び圧電発振器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】圧電振動素子、圧電振動子、及び圧電発振器
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20241218BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20241218BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H03H9/19 F
H01L23/02 Z
H03B5/32 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022565042
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2021022646
(87)【国際公開番号】W WO2022113408
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2020196170
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】大川 忠行
(72)【発明者】
【氏名】西村 俊雄
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-4456(JP,A)
【文献】国際公開第2006/104265(WO,A1)
【文献】特開2013-30958(JP,A)
【文献】特開2014-192650(JP,A)
【文献】特開2015-91066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/00-9/74
H01L 23/02
H03B 5/30-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有する圧電片と、
前記第1主面から前記第2主面まで貫通して設けられるビア電極と、
前記第2主面において前記ビア電極を覆う導電性のエッチストップ膜と、
前記第2主面において前記エッチストップ膜の外縁の少なくとも一部を覆う配線電極と、
前記第2主面において前記配線電極のうちの前記エッチストップ膜の外縁を覆っている部分を少なくとも覆う保護電極と、
を備える、
圧電振動素子。
【請求項2】
前記保護電極の材料は、前記配線電極の材料と同じである、
請求項に記載の圧電振動素子。
【請求項3】
前記保護電極の厚さは、前記配線電極の厚さの2倍以上である、
請求項又はに記載の圧電振動素子。
【請求項4】
前記配線電極の材料は、アルミニウムである、
請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項5】
前記第1主面に設けられる第1励振電極と、
前記第2主面に設けられる第2励振電極と、をさらに備え、
前記配線電極は、前記第2励振電極に電気的に接続される、
請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項6】
前記配線電極と前記第2励振電極とは、一体に形成される、
請求項に記載の圧電振動素子。
【請求項7】
前記第1励振電極の材料は、前記第2励振電極の材料と同じである、
請求項又はに記載の圧電振動素子。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載の圧電振動素子と、
前記圧電振動素子を振動可能に支持する支持基板と、を備える、
圧電振動子。
【請求項9】
前記圧電振動素子と前記支持基板とを接合する接合層をさらに備える、
請求項に記載の圧電振動子。
【請求項10】
前記接合層の材料は、二酸化ケイ素であり、
前記接合層は、前記第2主面と前記支持基板とを接合する、
請求項に記載の圧電振動子。
【請求項11】
請求項から10のいずれか一項に記載の圧電振動子と、
蓋体と、を備える、
圧電発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動素子、圧電振動子、及び圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
振動素子又はそれを含む振動子は、移動通信端末、通信基地局、家電などの各種電子機器において、タイミングデバイス、センサ、発振器等の様々な用途に用いられている。電子機器の高機能化に伴い、小型の振動素子が求められている。
【0003】
例えば特許文献1には、支持基板と絶縁層と圧電薄板振動部とを備え、圧電薄板振動部は、圧電薄板と圧電薄板の上面に形成された第1電極と圧電薄板の下面に形成された第2電極とを含む、圧電バルク波装置が開示されている。この圧電バルク波装置は、第2電極に接続される配線電極に電気的に接続するように、圧電薄板にビアホール電極が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/031747号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された圧電バルク波装置では、エッチングにより圧電薄板にビアホール形成用電極孔を形成し、次にビアホール電極を形成している。
【0006】
しかしながら、圧電薄板をエッチングする際に、圧電薄板上に形成された配線電極は、エッチングに用いる薬剤によってダメージを受け易くなっていた。その結果、ビアホール電極及び配線接続を介して振動部に形成された電極へ導通させる性能(以下、「導通性」という)は低下するおそれがあった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、エッチングによる配線電極へのダメージを抑制することのできる圧電振動素子、圧電振動子、及び圧電発振器を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る圧電振動素子は、第1主面及び第2主面を有する圧電片と、第1主面から第2主面まで貫通して設けられるビア電極と、第2主面においてビア電極を覆う導電性のエッチストップ膜と、第2主面においてエッチストップ膜の外縁の少なくとも一部を覆う配線電極と、を備える。
【0009】
本発明の他の側面に係る圧電振動子は、前述した圧電振動素子と、前述した圧電振動素子を振動可能に支持する支持基板と、を備える。
【0010】
本発明の他の側面に係る圧電発振器は、前述した圧電振動子と、蓋体と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エッチングによる配線電極へのダメージを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態における水晶発振器の構成を概略的に示す断面図である。
図2図2は、一実施形態における水晶振動素子の構成を概略的に示す平面図である。
図3図3は、一実施形態における水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。
図4図4は、一実施形態における水晶振動子の構成を概略的に示す断面図である。
図5図5は、図4に示したビア電極及びその周辺の構成の一例を概略的に示す要部拡大断面図である。
図6図6は、図4に示したビア電極及びその周辺の構成の他の例を概略的に示す要部拡大断面図である。
図7図7は、一実施形態の変形例における水晶振動素子の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の構成要素は同一又は類似の符号で表している。図面は例示であり、各部の寸法や形状は模式的なものであり、本発明の技術的範囲を当該実施形態に限定して解するべきではない。
【0014】
各図面には、各図面の相互の関係を明確にし、各部材の位置関係を理解する助けとするために、便宜的にX軸、Y’軸及びZ’軸からなる直交座標系を付すことがある。X軸、Y’軸及びZ’軸は各図面において互いに対応している。X軸、Y’軸及びZ’軸は、それぞれ、後述する水晶片11の結晶軸(Crystallographic Axes)に対応している。X軸は水晶の電気軸(極性軸)、Y軸は水晶の機械軸、Z軸は水晶の光学軸に、それぞれ相当する。Y’軸及びZ’軸は、それぞれ、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸である。
【0015】
以下の説明において、X軸に平行な方向を「X軸方向」、Y’軸に平行な方向を「Y’軸方向」、Z’軸に平行な方向を「Z’軸方向」という。また、X軸、Y’軸及びZ’軸の矢印の先端方向を「正」又は「+(プラス)」、矢印とは反対の方向を「負」又は「-(マイナス)」という。なお、便宜的に、+Y’軸方向を上方向、-Y’軸方向を下方向として説明するが、水晶振動素子10、水晶振動子1、及び水晶発振器100の上下の向きは限定されるものではない。また、X軸及びZ’軸によって特定される面をZ’X面とし、他の軸によって特定される面についても同様とする。
【0016】
まず、図1を参照しつつ、一実施形態に従う水晶発振器の概略構成について説明する。図1は、一実施形態における水晶発振器100の構成を概略的に示す断面図である。
【0017】
以下の説明において、圧電発振器として、水晶振動子(Quartz Crystal Resonator Unit)を備えた水晶発振器(XO:Crystal Oscillator)を例に挙げて説明する。また、圧電振動子として、水晶振動素子(Quartz Crystal Resonator)を備えた水晶振動子を例に挙げて説明する。さらに、圧電振動素子として、水晶片(Quartz Crystal Blank)を備えた水晶振動素子を例に挙げて説明する。水晶片は、印加電圧に応じて振動する圧電体(圧電片)の一種である。なお、圧電発振器は、水晶振動子に限定されるものではなく、セラミック等の他の圧電体を利用するものであってもよい。同様に、圧電振動子は、水晶振動子に限定されるものではなく、セラミック等の他の圧電体を利用するものであってもよい。また同様に、圧電振動素子は、水晶振動素子に限定されるものではなく、セラミック等の他の圧電体を利用するものであってもよい。
【0018】
図1に示すように、水晶発振器100は、水晶振動子1と、実装基板130と、蓋部材140と、電子部品156と、を備える。なお、本実施形態の実装基板130及び蓋部材140は、「蓋体」の一例に相当する。
【0019】
水晶振動子1及び電子部品156は、実装基板130と蓋部材140との間に形成される空間に収容される。実装基板130及び蓋部材140によって形成される空間は、例えば気密に封止される。なお、この空間は、真空状態で気密に封止されてもよく、不活性ガス等の気体が充填された状態で気密に封止されてもよい。
【0020】
実装基板130は、平板状の回路基板である。実装基板130は、例えば、ガラスエポキシ板と、ガラスエポキシ板にパターニングされた配線層とを含んで構成される。
【0021】
水晶振動子1は、実装基板130の一方の面(図1における上面)の上に設けられる。より詳細には、水晶振動子1は、ボンディングワイヤ166によって実装基板130の配線層に電気的に接続されている。また、半田153によって、水晶振動子1と実装基板130の配線層とが接合されている。これにより、水晶振動子1は、実装基板130と蓋部材140との間に形成される空間に封止される。
【0022】
蓋部材140は、一方の側(図1における下側)が開口した、有底の開口部を含む。言い換えると、蓋部材140は、平板状の天壁部と、天壁部の外縁から実装基板130に向かって延在する側壁部と、側壁部の先端から外側に延在するフランジ部とを含む。フランジ部は、実装基板130一方の面(図1における上面)に接合される。これにより、蓋部材140の内部に、実装基板130に接合された水晶振動子1が収容される。蓋部材140は、金属材料によって構成されており、例えば金属板の絞り加工によって形成される。
【0023】
電子部品156は、実装基板130の一方の面(図1における上面)の上に設けられる。より詳細には、半田153によって実装基板130の配線層と電子部品156とが接合されている。これにより、電子部品156は、実装基板130に実装される。
【0024】
電子部品156は、実装基板130の配線層を通して、水晶振動子1に電気的に接続される。電子部品156は、例えばコンデンサやICチップ等を含んで構成される。電子部品156は、例えば、水晶振動子1を発振させる発振回路の一部、水晶振動子1の温度特性を補償する温度補償回路の一部等である。電子部品156が温度補償回路を含む場合、水晶発振器100は、温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)と呼ばれることがある。
【0025】
次に、図2から図4を参照しつつ、一実施形態に従う水晶振動子の概略構成について説明する。図2は、一実施形態における水晶振動素子10の構成を概略的に示す平面図である。図3は、一実施形態における水晶振動子1の構成を概略的に示す断面図である。図4は、一実施形態における水晶振動子1の構成を概略的に示す断面図である。なお、図3は、図2に示したIII-III線に沿ったXY’面に平行な断面を示している。図4は、図2に示したIV-IV線に沿ったXY’面に平行な断面を示している。
【0026】
水晶振動子1は、水晶振動素子10と、上蓋20と、接合部30と、支持基板40と、接合層50と、を備える。
【0027】
水晶振動素子10は、圧電効果により水晶を振動させ、電気エネルギーと機械エネルギーとを変換する素子である。水晶振動素子10は、ATカット型の水晶片11を含む。ATカット型の水晶片11は、人工水晶(Synthetic Quartz Crystal)の結晶軸であるX軸、Y軸、Z軸のうち、Y軸及びZ軸をX軸の周りにY軸からZ軸の方向に35度15分±1分30秒回転させた軸をそれぞれY’軸及びZ’軸とした場合、X軸及びZ’軸によって特定されるXZ’面を主面として切り出されたものである。
【0028】
なお、ATカット型の水晶片11におけるY´軸及びZ´軸の回転角度は、35度15分から-5度以上+15度以下の範囲で傾いてもよい。また、水晶片11のカット角度は、ATカット以外の異なるカット、例えばBTカット、GTカット、SCカット等を適用してもよい。
【0029】
ATカット水晶片を用いた水晶振動素子は、広い温度範囲で高い周波数安定性を有する。また、ATカット水晶振動素子は、経時変化特性にも優れている上、低コストで製造することが可能である。さらに、ATカット水晶振動素子は、厚みすべり振動モード(Thickness Shear Vibration Mode)を主振動として用いる。
【0030】
水晶振動素子10は、一組の励振電極を含む。この一組の励振電極の間に交番電界が印加される。これにより、厚みすべり振動モードによって水晶片11の振動部11Aが所定の発振周波数で振動し、該振動に伴う共振特性が得られる。
【0031】
水晶片11は、XZ’面であって互いに対向する第1主面12a及び第2主面12bを有する。水晶片11は、平坦な板形状を有する。そのため、水晶片11の第1主面12a及び第2主面12bは、それぞれ、平坦面である。なお、水晶片11は、平坦な板状に限定されるものではなく、例えば、中央部が凸状や凹状であってもよい。
【0032】
ATカット型の水晶片11は、X軸方向に平行な長辺が延在する長辺方向と、Z’軸方向に平行な短辺が延在する短辺方向と、Y’軸方向に平行な厚さが延在する厚さ方向とを有する。水晶片11は、水晶片11の第1主面12aを平面視したときに、矩形状を有する。水晶片11のX軸方向に平行な方向の長さは、例えば180μm程度であり、水晶片11のZ’軸方向に平行な方向の長さは、例えば180μm程度である。また、水晶片11の厚さは、例えば0.5μm以上3μm以下の範囲内、例えば1μm程度である。水晶片11は、例えば、より大きな厚さを有する状態で、後述する接合層50を介して支持基板40に熱圧着した後、研磨することで所定の厚さに薄くしてもよい。
【0033】
なお、水晶片11の平面形状は矩形状に限定されるものではない。水晶片11の平面形状は、多角形状、円形状、楕円形状、又はこれらの組合せであってもよい。
【0034】
水晶片11は、振動部11Aと、溝部11Bと、保持部11Cと、を含む。
【0035】
水晶片11の振動部11Aは、前述したように、厚みすべり振動モードを主振動として所定の発振周波数で振動する。振動部11Aは、X軸方向に平行な方向の長さが例えば80μm程度であり、Z’軸方向に平行な方向の長さが例えば80μm程度である。
【0036】
水晶振動素子10は、一組の励振電極を構成する第1励振電極14a及び第2励振電極14bを含む。第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、水晶片11の振動部11Aに設けられる。より詳細には、第1励振電極14aは、第1主面12aに設けられ、第2励振電極14bは、第2主面12bに設けられる。第1励振電極14aと第2励振電極14bとは、水晶片11を間に挟んで互いに対向して設けられている。第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、第1主面12aを平面視したときに、それぞれ矩形状を有しており、XZ’面において略全体が重なり合うように配置されている。第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、それぞれ、X軸方向に平行な方向の長さが例えば50μm程度であり、Z’軸方向に平行な方向の長さが例えば50μm程度である。
【0037】
なお、第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、それぞれ、矩形状に限定されず、多角形、円形、楕円形、又はこれらの組合せであってもよい。
【0038】
水晶片11の溝部11Bは、第1主面12aを平面視したときに、振動部11Aの周りを囲むように形成された溝である。当該溝は、Z’軸方向に平行な水晶片11の厚さ方向に貫通している。溝部11Bは、振動部11Aと保持部11Cとの間が、例えば10μm程度離間するように、形成される。
【0039】
水晶片11の保持部11Cは、水晶片11における振動部11A及び溝部11B以外の部分である。保持部11Cは、振動部11AにおけるX軸負方向側の辺に接続し、振動部11Aを保持している。
【0040】
水晶振動素子10は、引出電極15a,15b、接続電極16a,16b、及びビア電極17をさらに含む。引出電極15a,15b、接続電極16a,16b、及びビア電極17は、水晶片11の保持部11Cに設けられる。
【0041】
引出電極15aは、水晶片11の第1主面12aに設けられ、第1励振電極14aと接続電極16aとを電気的に接続している。一方、引出電極15bは、水晶片11の第2主面12bに設けられ、第2励振電極14bと接続電極16bとを電気的に接続する。引出電極15bと接続電極16bとは、水晶片11の厚さ方向に貫通するビア電極17によって電気的に接続されている。ビア電極17及びその周辺の構成については、後述する。なお、本実施形態の引出電極15bは、「配線電極」の一例に相当する。
【0042】
接続電極16aは、引出電極15aを介して第1励振電極14aと電気的に接続されている。また、接続電極16bは、引出電極15b及びビア電極17を介して第2励振電極14bと電気的に接続されている。接続電極16a及び接続電極16bは、それぞれ、上蓋20に設けれた外部電極(図示省略)に電気的に接続するための端子である。接続電極16a及び接続電極16bは、それぞれ、水晶片11の第1主面12aに設けられている。接続電極16a及び接続電極16bは、それぞれ、X軸方向に平行な方向の長さが例えば15μm程度であり、Z’軸方向に平行な方向の長さが例えば20μm程度である。
【0043】
このように、第1励振電極14aが第1主面12aに設けられ、第2励振電極14bが第2主面12bに設けられ、引出電極15bが第2励振電極14bに電気的に接続される。これにより、例えば、引出電極15a,15b、接続電極16a,16b、及びビア電極17を介して第1励振電極14a及び第2励振電極14bに交番電界を印加することで、水晶片11において第1励振電極14a及び第2励振電極14bの設けられた部分によって、所定の振動モードで振動する振動部11Aを実現することができる。
【0044】
第1励振電極14a、第2励振電極14b、引出電極15a,15b、及び接続電極16a,16bの材料は、例えば、アルミニウム(Al)であることが好ましい。この場合、アルミニウムの厚さは、例えば0.05μm程度である。このように、引出電極15bの材料が、導通性が高く、密度の小さいアルミニウムであることにより、振動部11Aの不要振動が発生し難くなり、高周波振動の圧電振動素子を容易に実現することができる。
【0045】
第1励振電極14a、第2励振電極14b、引出電極15a,15b、及び接続電極16a,16bは、アルミニウム(Al)で構成される場合に限定されない。各電極の材料は、例えばモリブデン(Mo)又は金(Au)であってもよい。この場合、それぞれの厚さは、例えば0.03μm以上0.2μm以下の範囲内である。また、各電極は、例えば水晶片11側に設けられたチタン(Ti)層と、表面側に設けられた金(Au)層とから構成される積層体であってもよい。この場合、チタン層の厚さは例えば0.005μm程度、金層の厚さは例えば0.05μm程度である。
【0046】
第1励振電極14a、第2励振電極14b、引出電極15a,15b、及び接続電極16a,16bのうち、少なくとも第2励振電極14bと引出電極15bとは、一体に形成されることが好ましい。これにより、同じ厚さ(薄さ)の第2励振電極14b及び引出電極15bを容易に形成することができる。従って、振動部11Aを高周波で振動させたときに不要振動の発生を抑制することができる。
【0047】
また、第1励振電極14aの材料は、第2励振電極14bの材料と同じであることが好ましい。これにより、所定の周波数で高精度に振動する振動部11Aを容易に実現することができる。
【0048】
上蓋20は、平坦な板状の部材、例えば水晶板、セラミック板やガラス板などでもよい。平面視における上蓋20の寸法は、水晶振動素子10(水晶片11)の寸法と同一又は略同一である。上蓋20のX軸方向に平行な方向の長さは、例えば180μm程度であり、上蓋20のZ’軸方向に平行な方向の長さは、例えば180μm程度である。また、上蓋20の厚さは、例えば100μm以上から200μm以下の範囲内である。
【0049】
上蓋20は、導電性を有していてもよい。この場合、上蓋20は、鉄(Fe)及びニッケル(Ni)を含む合金である42アロイ、又は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)を含む合金であるコバール等から構成される。
【0050】
接合部30は、上蓋20と水晶振動素子10とを接合する。接合された上蓋20と水晶振動素子10とによって形成された空間は、振動部11Aの振動空間の一部を形成する。接合部30は、上蓋20及び水晶振動素子10のそれぞれの全周に亘って設けられている。具体的には、接合部30は、上蓋20の下面と、水晶片11の第1主面12aとに設けられている。接合部30は、第1主面12aを平面視したときに、枠形状を有している。当該枠の幅、つまり、外周と内周との差は、例えば約20μmである。
【0051】
また、接合部30は、電気的な絶縁性(非導電性)を有している。接合部30は、例えば、無機ガラスによって構成され、加熱処理により固化して接着作用を示すガラス接着剤である。無機ガラスは、例えば、鉛ホウ酸系、錫リン酸系等の低融点ガラスである。
【0052】
接合部30の材料が低融点ガラス接着剤である場合、300℃以上410℃以下の温度で溶融する鉛フリーのバナジウム(V)系ガラスを含んでいてもよい。バナジウム系ガラスは、バインダーと溶剤とがペースト状に加えられ、溶融され、固化されることで接着作用を示す。バナジウム系ガラスは、銀(Ag)等の他の金属を含んでいてもよい。
【0053】
また、接合部30の材料は、例えば樹脂接着剤であってもよい。樹脂接着剤は、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を含んでもよく、例えば、エポキシ樹脂を主成分とするエポキシ系接着剤を用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものも適用することができる。
【0054】
支持基板40は、水晶振動素子10を振動可能に支持するように構成されている。支持基板40は、例えば平坦な板状の基板である。平面視における支持基板40の寸法は、水晶振動素子10(水晶片11)の寸法と同一又は略同一である。支持基板40のX軸方向に平行な方向の長さは、例えば180μm程度であり、支持基板40のZ’軸方向に平行な方向の長さは、例えば180μm程度である。また、支持基板40の厚さは、例えば50μm以上から500μm以下の範囲内である。支持基板40は、例えば水晶基板であるが、これに限定されず、シリコン基板であってもよい。
【0055】
接合層50は、水晶振動素子10と支持基板40とを接合する。より詳細には、接合層50は、支持基板40の上面に設けられ、支持基板40の上面と水晶片11の第2主面12bとを接合する。
【0056】
このように、接合層50が水晶振動素子10と支持基板40とを接合することにより、例えば上蓋20と支持基板40との間に、水晶振動素子10を封止することが可能となる。
【0057】
また、接合層50は、水晶振動素子10の振動部11Aに対応する部分に、凹形状のキャビティ51が形成されている。水晶振動素子10と接合層50のキャビティ51とによって形成された空間は、振動部11Aの振動空間の一部を形成する。キャビティ51の厚さは、例えば0.2μm程度である。
【0058】
接合層50の材料は、例えばシリコン酸化膜(二酸化ケイ素(SiO))である。接合層50の厚さは、0.5μm以上あることが望ましく、例えば1μm程度である。このように、接合層50の材料が二酸化ケイ素であり、接合層50が支持基板40の上面と水晶片11の第2主面12bとを接合することにより、ビア電極17の周辺において、水晶片11と接合層50との間に、後述する保護電極19が存在することになるので、水晶片11と二酸化ケイ素である接合層50との間の熱膨張差による応力を緩和することができる。従って、振動部11Aの振動周波数を安定させることができる。
【0059】
なお、接合層50の材料は、シリコン酸化膜に限定されるものではなく、シリコン窒化膜(窒化ケイ素(Si))や、各種の接着剤であってもよい。また、接合層50が省略されて、支持基板40が水晶振動素子10に直接接合されてもよい。
【0060】
次に、図5及び図6を参照しつつ、一実施形態に従う水晶振動素子のビア電極及びその周辺の構成について説明する。図5は、図4に示したビア電極17及びその周辺の構成の一例を概略的に示す要部拡大断面図である。図6は、図4に示したビア電極17及びその周辺の構成の他の例を概略的に示す要部拡大断面図である。
【0061】
図5に示すように、ビア電極17は、水晶片11の第1主面12aから第2主面12bまで貫通して設けられている。ビア電極17の材料は、例えばアルミニウム(Al)であり、ビア電極17の厚さは、例えば1.0μmである。なお、ビア電極17の材料は、例えば銅(Cu)であってもよい。この場合、ビア電極17の厚さは、例えば0.5μm以上3.0μm以下の範囲内である。
【0062】
ビア電極17は、第1主面12aにおいて、図示を省略する接続電極16bと電気的に接続している。一方、ビア電極17は、第2主面12bにおいて、エッチストップ膜18と電気的に接続している。
【0063】
エッチストップ膜18は、水晶片11の第2主面12bにおいて、ビア電極17の全体を覆っている。エッチストップ膜18は、導電性を有しており、ビア電極17と電気的に接続する。
【0064】
前述した引出電極15bは、第2主面12bにおいてエッチストップ膜18の全体を覆っている。これにより、ビア電極17、エッチストップ膜18、及び引出電極15bを介して、接続電極16bと第2励振電極14bとが電気的に接続される。
【0065】
また、エッチストップ膜18は、ビア電極17を形成する際に用いる薬剤、例えばフッ酸等に対して耐性を有する材料で構成される。具体的には、ビア電極17を形成する場合、まず、水晶片11の保持部11Cにおけるビア電極17を形成する位置に対応させて、水晶片11の第2主面12bにエッチストップ膜18を形成する。エッチストップ膜18は、例えば蒸着及びリフトオフ法、あるいは、スパッタリング及びエッチング等によって、形成される。次に、ウェットエッチング又はドライエッチングによって、水晶片11を貫通する直径10μm程度の孔を形成する。そして、当該孔に導電性材料を充填するとで、ビア電極17が形成される。
【0066】
これらの性質を有するものとして、例えばニッケル(Ni)がエッチストップ膜18に用いられる。エッチストップ膜18の厚さは、例えば0.05μmである。また、エッチストップ膜18の材料は、例えば銅(Cu)又は白金(Pt)であってもよい。この場合、エッチストップ膜18の厚さは、例えば0.03μm以上0.2μm以下の範囲内である。
【0067】
ここで、所定の厚さを有するエッチストップ膜18は、その外縁に段差を形成する。これに対し、引出電極15bは、例えば蒸着及びリフトオフ法、あるいは、スパッタリング及びエッチング等によって、第2励振電極14bとともにパターニング(形成)される。第1励振電極14a及び第2励振電極14bは、振動部11Aの不要振動を抑制するために薄く形成されており、引出電極15bの厚さは、0.03μmから0.2μm程度となっている。そのため、エッチストップ膜18を覆う引出電極15bは、エッチストップ膜18の外縁の段差において、断線し易くなっていた。
【0068】
本実施形態の水晶振動素子10は、第2主面12bにおいて、エッチストップ膜18を覆っている部分の引出電極15bの全体を覆う保護電極19をさらに備える。保護電極19の材料は、例えばアルミニウム(Al)である。保護電極19の厚さは、引出電極15bの厚さよりも厚い方が好ましく、例えば0.5μmである。なお、保護電極19の材料は、例えば銅(Cu)であってもよい。この場合、保護電極19の厚さは、例えば0.3μm以上1.0μm以下の範囲内である。
【0069】
保護電極19は、例えば蒸着及びリフトオフ法、あるいは、スパッタリング及びエッチング等によって、形成される。保護電極19は、振動空間を形成する接合層50のキャビティ51の方まで延在して引出電極15bを覆うことが好ましい。
【0070】
保護電極19の材料は、引出電極15bの材料と同じであることが好ましい。これにより、引出電極15bと保護電極19との間に熱膨張差による応力は発生せず、引出電極15b及び保護電極19を容易に形成することができる。
【0071】
なお、図5では、引出電極15bが、第2主面12bにおいてエッチストップ膜18の全体を覆う例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、引出電極15bは、第2主面12bにおいて、エッチストップ膜18の外縁の少なくとも一部を覆っていればよい。同様に、保護電極19は、第2主面12bにおいてエッチストップ膜18を覆っている部分の引出電極15bの全体を覆う場合に限定されない。保護電極19は、第2主面12bにおいて、引出電極15bのうちのエッチストップ膜18の外縁を覆っている部分を、少なくとも覆っていればよい。
【0072】
このように、エッチストップ膜18が、水晶片11の第2主面12bにおいて、ビア電極17を覆い、引出電極15bは、第2主面12bにおいて、エッチストップ膜18の外縁の少なくとも一部を覆うことにより、導電性のエッチストップ膜18がビア電極17と引出電極15bとを電気的に接続する。また、例えばビア電極17を形成するために第1主面12aから第2主面12bまで貫通する孔を形成する際に、第2主面12bにおいて水晶片11と引出電極15bとの間にエッチストップ膜18が存在するので、エッチングの薬剤等に対して引出電極15bが露出しない。従って、導電性を保ちつつ、エッチングによる引出電極15bのダメージを抑制することができる。
【0073】
また、保護電極19は、第2主面12bにおいて、引出電極15bのうちのエッチストップ膜18の外縁を覆っている部分を少なくとも覆う。ここで、前述したように、エッチストップ膜18の外縁に形成された段差によって、引出電極15bは断線し易くなっている。そのため、エッチストップ膜18の外縁付近で導通不良が発生し得る。よって、保護電極19は、エッチストップ膜18の外縁を覆っている部分の引出電極15bを覆うことで、当該部分の引出電極15bの強度が高められ、引出電極15bの断線を抑制することができる。
【0074】
また、保護電極19の厚さは、引出電極15bの厚さの2倍以上であることが好ましい。これにより、エッチストップ膜18の外縁を覆っている部分の引出電極15bの強度を、容易に高めることができる。
【0075】
次に、前述した実施形態の変形例について説明する。なお、図1から図6に示した構成と同一又は類似の構成について同一又は類似の符号を付し、その説明を適宜省略する。また、同様の構成による同様の作用効果については、逐次言及しない。
【0076】
(変形例)
図7は、一実施形態の変形例における水晶振動素子10Aの構成を概略的に示す平面図である。
【0077】
図7に示すように、水晶振動素子10Aの水晶片11’は、振動部11A、溝部11B、及び保持部11Cに加え、連結部11D、11Eをさらに含む。
【0078】
連結部11D、11Eは、それぞれ、振動部11Aと保持部11Cとを連結する。より具体的には、連結部11Dは、水晶片11’の第1主面12aを平面視したときに、振動部11Aと、振動部11Aに対して一方側(図7において下側)の保持部11Cとを連結する。連結部11Eは、第1主面12aを平面視したときに、振動部11Aと、振動部11Aに対して他方側(図7において上側)の保持部11Cとを連結する。連結部11D、11Eは、それぞれ、X軸方向に平行な方向の長さが、例えば10μm程度であり、Z’軸方向に平行な方向の長さが、例えば16μm程度である。
【0079】
引出電極15aは、第1主面12aにおいて、振動部11Aに対して一方側(図7において側)の連結部11D及び保持部11Cに設けられる。一方、引出電極15bは、第2主面12bにおいて、振動部11Aに対して他方側(図7において側)の連結部11及び保持部11Cに設けられる。
【0080】
接続電極16aは、第1主面12aにおいて、振動部11Aに対して一方側(図7において側)の保持部11Cに設けられる。一方、接続電極16は、第1主面12aにおいて、振動部11Aに対して他方側(図7において側)の保持部11Cに設けられる。
【0081】
ビア電極17は、振動部11Aに対して他方側(図7において側)の保持部11Cにいて、水晶片11’を厚さ方向に貫通する。
【0082】
ビア電極17、エッチストップ膜18、引出電極15b、及び保護電極19の構成は、図5及び図6に示した例と同様である。
【0083】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明した。一実施形態に従う水晶振動素子において、エッチストップ膜は、水晶片の第2主面においてビア電極を覆い、引出電極は、第2主面においてエッチストップ膜の外縁の少なくとも一部を覆う。これにより、導電性のエッチストップ膜がビア電極と引出電極とを電気的に接続する。また、例えばビア電極を形成するために第1主面から第2主面まで貫通する孔を形成する際に、第2主面において水晶片と引出電極との間にエッチストップ膜が存在するので、エッチングの薬剤等に対して引出電極が露出しない。従って、導電性を保ちつつ、エッチングによる引出電極のダメージを抑制することができる。
【0084】
また、前述した水晶振動素子において、保護電極は、第2主面において引出電極のうちのエッチストップ膜の外縁を覆っている部分を少なくとも覆う。ここで、前述したように、エッチストップ膜の外縁に形成された段差によって、引出電極は断線し易くなっている。そのため、エッチストップ膜の外縁付近で導通不良が発生し得る。よって、保護電極は、エッチストップ膜の外縁を覆っている部分の引出電極を覆うことで、当該部分の引出電極の強度が高められ、引出電極の断線を抑制することができる。
【0085】
また、前述した水晶振動素子において、保護電極の材料は、引出電極の材料と同じである。これにより、引出電極と保護電極との間に熱膨張差による応力は発生せず、引出電極及び保護電極を容易に形成することができる。
【0086】
また、前述した水晶振動素子において、保護電極の厚さは、引出電極の厚さの2倍以上である。これにより、エッチストップ膜の外縁を覆っている部分の引出電極の強度を、容易に高めることができる。
【0087】
また、前述した水晶振動素子において、引出電極の材料は、導通性が高く、密度の小さいアルミニウムである。これにより、振動部の不要振動が発生し難くなり、高周波振動の圧電振動素子を容易に実現することができる。
【0088】
また、前述した水晶振動素子において、第1励振電極が第1主面に設けられ、第2励振電極が第2主面に設けられ、引出電極が第2励振電極に電気的に接続される。これにより、例えば、引出電極、接続電極、及びビア電極を介して第1励振電極及び第2励振電極に交番電界を印加することで、水晶片において第1励振電極及び第2励振電極の設けられた部分によって、所定の振動モードで振動する振動部を実現することができる。
【0089】
また、前述した水晶振動素子において、第2励振電極と引出電極とは、一体に形成される。これにより、同じ厚さ(薄さ)の第2励振電極及び引出電極を容易に形成することができる。従って、振動部を高周波で振動させたときに不要振動の発生を抑制することができる。
【0090】
また、前述した水晶振動素子において、第1励振電極の材料は、第2励振電極の材料と同じである。これにより、所定の周波数で高精度に振動する振動部を容易に実現することができる。
【0091】
また、一実施形態に従う水晶振動子において、前述した水晶振動素子と水晶振動素子を振動可能に支持する支持基板とを備える。これにより、導電性を保ちつつ、エッチングによる引出電極のダメージを抑制する水晶振動子を容易に実現することができる。
【0092】
また、前述した水晶振動子において、接合層は、水晶振動素子と支持基板とを接合する。これにより、例えば上蓋と支持基板との間に、水晶振動素子を封止することが可能となる。
【0093】
また、前述した水晶振動子において、接合層の材料は二酸化ケイ素であり、接合層は支持基板の上面と水晶片の第2主面とを接合する。これにより、ビア電極の周辺において、水晶片と接合層との間に保護電極が存在することになるので、水晶片と二酸化ケイ素である接合層との間の熱膨張差による応力を緩和することができる。従って、振動部の振動周波数を安定させることができる。
【0094】
また、一実施形態に従う水晶発振器において、前述した水晶振動子と実装基板及び蓋部材とを備える。これにより、導電性を保ちつつ、エッチングによる引出電極のダメージを抑制する水晶発振器を容易に実現することができる。
【0095】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。すなわち、実施形態及び/又は変形例に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、実施形態及び/又は変形例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、実施形態及び変形例は例示であり、異なる実施形態及び/又は変形例で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもなく、これらも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0096】
1…水晶振動子、10,10A…水晶振動素子、11,11’…水晶片、11A…振動部、11B…溝部、11C…保持部、11D,11E…連結部、12a…第1主面、12b…第2主面、14a…第1励振電極、14b…第2励振電極、15a,15b…引出電極、16a,16b…接続電極、17…ビア電極、18…エッチストップ膜、19…保護電極、20…上蓋、30…接合部、40…支持基板、50…接合層、51…キャビティ、100…水晶発振器、130…実装基板、140…蓋部材、153…半田、156…電子部品、166…ボンディングワイヤ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7