(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】選別装置及び乾燥システム
(51)【国際特許分類】
B07B 4/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B07B4/00 Z
(21)【出願番号】P 2021074993
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503027137
【氏名又は名称】株式会社渡会電気土木
(73)【特許権者】
【識別番号】501095613
【氏名又は名称】東亜技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹治 真彦
(72)【発明者】
【氏名】尾関 光雄
(72)【発明者】
【氏名】三木 茂
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-132507(JP,A)
【文献】特開2004-174374(JP,A)
【文献】特開昭58-55074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
B03B 1/00-13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重の異なる異種材料が混在している選別対象物の中から比重毎に異種材料を選別する選別装置であって、
複数の回転部に掛け回され、前記異種材料が載せられる搬送面の移動方向下流側の第1回転部が、移動方向上流側の第2回転部よりも高い位置にある搬送用ベルトコンベアと、
前記搬送用ベルトコンベアのうち
前記第1回転部に掛け回された部分の表面に沿った方向かつ回転方向に沿った方向に空気を吐出する空気吐出部を有する送風部と、
前記送風部の前記空気吐出部から噴射させた気流を吸引して、その空気流の一部の流路を変更する流路変更部と、
前記送風部が吐出した空気に
よって選別される前記異種材料のうち比重の軽い材料が仕分けられる第1の仕分け部と、比重が重い材料が仕分けられる第2の仕分け部とを有する材料仕分け部とを備え、
前記送風部の前記空気吐出部は、前記第1の仕分け部に向けて、前記気流を噴射し、
前記流路変更部は、
前記搬送用ベルトコンベアから飛翔する比重が重い材料の飛翔方向に向かい合うように配置された空気吸入口を備え、
比重が重い材料の飛翔方向に順風になるように前記空気吸入口が空気を吸入することにより、前記気流の一部の流路を、前記第2の仕分け部の上方を通るように変更すること
を特徴とする選別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の選別装置において、
前記気流を吸引したのちに、再び前記送風部に戻して前記空気吐出部から噴射させる循環部を備えたこと、
を特徴とする記載の選別装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の選別装置において、
前記送風部の空気吐出部は、
前記第1回転部の回転軸の方向から見た状態で、前記第1回転部の回転軸を原点とする
平面上の直交座標系の第1象限と第4象限との境界で設定される接線に対して、前記異種材料の一部を第4象限側の周面に沿わせる向きに設定されていること
を特徴とする選別装置。
【請求項4】
請求項3記載の選別装置において、
前記送風部の空気吐出部は、前記直交座標系の第1象限と第4象限との境界で設定される接線に対して、鋭角の向きを設定され、前記搬送用ベルトコンベアにおける前記第1回転部との間に水平方向に所定の隙間を設けて配置されていること
を特徴とする選別装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項記載の選別装置において、
前記搬送用ベルトコンベアは、複数段のコンベアを連続して配置させ、かつ、前記搬送用ベルトコンベアの速度を異ならせるようにしたこと
を特徴とする選別装置。
【請求項6】
選別対象物の中から木質チップを選別する
請求項1から請求項5のいずれか1項記載の選別装置と、
前記選別された木質チップを乾燥させる乾燥装置と、
を備えた乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種材料同士を比重毎に区分して選別する選別装置及びこれを用いる材料乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、再生エネルギーを確保するために用いられる資源の一つとして、林産資源である木質材料を粉砕した木質チップから製造される木質ペレットが知られている。
木質ペレットは、粉砕された木質チップを乾燥した後、所定サイズや形状が決められたペレット状に成形されて得られる。
木質チップは、間伐材などを破砕して細切れにされた木質片が運搬車に積み込まれて乾燥部に搬入される。
【0003】
乾燥部に搬入される前の木質片は、運搬時又は集積時に、石材などの異物が混在したままとなる場合がある。そこで、乾燥部に搬入される前に、異物を取り除いて木質片のみを選別する装置が必要となる。
木質片と石材とを選別する装置として、これら両者間の比重の違いを利用する方式がある(例えば、特許文献1~4)。
いずれの文献においても、選別対象物の移動方向に逆らう方向から空気噴流を与え、選別対象物の比重や形状による慣性移動量が異なることを利用している。
具体的には、搬送ベルトコンベア上に搭載されて移動する選別対象物に対して、その移動方向に逆らう方向から空気噴流を与え、搬送ベルトコンベアの移動方向終端部から飛翔しようとする選別対象物に生じる空気抵抗の違いによって慣性移動量、いわゆる、落下位置が異なることにより選別する。
【0004】
しかし、選別対象物の移動方向に逆らう空気噴流を与えることで選択が可能となる反面、慣性移動量に影響する空気抵抗を各選別対象物の比重や形状に応じて設定するには、空気量の制御が複雑になるおそれがあった。
また、比重の違いによる落下位置を正確に割り出すためには、各比重に応じた落下位置に落下させるための空気を噴出するノズル等を設けることも必要となる。
この結果、異種材料のそれぞれを選別するための制御の困難性や部材の増設によるコストアップを招くおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6283958号公報
【文献】特許第5980734号公報
【文献】実開昭52-114357号公報
【文献】特開2000-246179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、上記従来の問題に鑑み、コストアップを招くことなく簡単な構成により異種材料の選別を効率よく行うことが可能な選別装置及び乾燥システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の一形態は、例えば、比重の異なる異種材料が混在している選別対象物の中から比重毎に異種材料を選別する選別装置であって、複数の回転部に掛け回され、前記異種材料が載せられる搬送面の移動方向下流側の第1回転部が、移動方向上流側の第2回転部よりも高い位置にある搬送用ベルトコンベアと、前記搬送用ベルトコンベアのうち前記第1回転部に掛け回された部分の表面に沿った方向かつ回転方向に沿った方向に空気を吐出する空気吐出部を有する送風部と、前記送風部の前記空気吐出部から噴射させた気流を吸引して、その空気流の一部の流路を変更する流路変更部と、前記送風部が吐出した空気によって選別される前記異種材料のうち比重の軽い材料が仕分けられる第1の仕分け部と、比重が重い材料が仕分けられる第2の仕分け部とを有する材料仕分け部とを備え、前記送風部の前記空気吐出部は、前記第1の仕分け部に向けて、前記気流を噴射し、前記流路変更部は、前記搬送用ベルトコンベアから飛翔する比重が重い材料の飛翔方向に向かい合うように配置された空気吸入口を備え、比重が重い材料の飛翔方向に順風になるように前記空気吸入口が空気を吸入することにより、前記気流の一部の流路を、前記第2の仕分け部の上方を通るように変更することを特徴とする選別装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コストアップを招くことなく簡単な構成により異種材料の選別を効率よく行うことが可能な選別装置及び乾燥システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る選別装置の全体構成を説明するための概略図である。
【
図2】
図1に示した選別装置の要部構成を説明するための概略図である。
【
図3A】本実施形態にかかる選別装置の送風手段の詳細を示す側面図である。
【
図3B】本実施形態にかかる選別装置の送風手段の詳細を示す正面図である。
【
図3C】本実施形態にかかる選別装置の送風手段の詳細を示す平面図である。
【
図4】
図1に示した選別装置を用いる材料乾燥システムの一例であるペレット製造プラントの模式図である。
【
図5】
図4に示したペレット製造プラントの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
図1に示されているように、本発明の実施形態に係る選別装置1は、比重や形状の異なる異種材料同士を比重毎に区分して選別するために用いられる装置である。
選別装置1は、一対のローラー2A、2Bを回転部として掛け回されている搬送用ベルトコンベア2と、送風手段3とを備えている。
図1において、搬送用ベルトコンベア2は、ローラー2A、2B(第1回転部、第2回転部)間に掛け回されている平坦面の一方(図では上部平坦面)が搬送面として用いられる部材である。
搬送用ベルトコンベア2は、ローラー2A、2Bの一つ(
図1では符号2Aで示すローラー)がモータMを駆動源とする駆動ベルトBにより回転駆動される。
【0011】
搬送用ベルトコンベア2の上部平坦面が用いられる搬送面2Cは、矢印で示す移動方向下流側のローラー2A(第1回転部)が異種材料搬出側に相当し、移動方向上流側のローラー2B(第2回転部)が異種材料搬入側に相当している。
搬送用ベルトコンベア2は、異種材料搬出側ローラー2Aが、異種材料搬入側のローラー2Bよりも高い位置に位置決め配置されている。つまり、トラックTなどの運搬手段から異種材料が荷下ろしされる異種材料搬入側よりも、搬送用ベルトコンベア2の移動方向終端から異種材料が飛翔する異種材料搬出側が高くなる状態に傾けられている。
【0012】
送風手段3は、空気吐出部3Aが連結されたシロッコファンが用いられている。送風手段3は、支持架台3Bが材料仕分け部4の上部に固定されている。
材料仕分け部4は、図示されていないが、下部に複数の材料収容部が設けられている。材料収容部は、搬送用ベルトコンベア2の移動方向下流側の端部から慣性移動により飛び出した異種材料の落下位置に対応させた位置に配置されている。
【0013】
送風手段3は、
図1(B)に示されているように、搬送用ベルトコンベア2の移動方向下流側の第1回転部近傍に空気吐出部3Aが臨ませてある。
空気吐出部3Aは、第1回転部に位置するローラー2Aの近傍において、水平方向で隙間Lを持たせた位置に配置されている。水平方向の隙間Lを設けた理由は、
図2において説明する空気吐出部3Aの向きに応じて、他の異種材料の慣性移動方向と異なる方向に移動させるための空気の噴出範囲を広げるためである。
【0014】
送風手段3の空気吐出部3Aは、搬送用ベルトコンベア2に対する向きが、以下の条件により決められている。
図2(A)において、搬送用ベルトコンベア2の搬送面2Cの移動方向下流側に到達した異種材料の一部を、
図2(B)において、符号S1で示すように、ローラー2Aの下方1/4周面に向けて誘導できるように、空気吐出部3Aの向きが設定されている。
【0015】
つまり、
図2(A)において、空気吐出部3Aの向きは、搬送面2Cの移動方向下流側の回転部において、ローラー2Aの第1象限と第4象限との境界Gに設定される接線Pに対し、第4象限側の周面に向けて鋭角θを持たせて設定されている。ここで、第1象限と第4象限とは、ローラー2Aの回転軸を原点とする直交座標系を考えた場合の第1象限と第4象限である。
接線Pに対して鋭角θに傾けられた空気吐出部3Aからの噴出される空気は、
図2(A)中、符号F(S)で示すように、搬送面2Cの移動方向下流側に相当する第1回転部の下方1/4周面に相当する第4象限の境界G下方の周面で接線方向の気流を発生する。
送風手段3は、その空気吐出部3Aから噴出する空気の流速が、搬送用ベルトコンベア2の移動速度よりも速い速度で、かつ、他の異種材料よりも小さい比重を持つ異種材料の一部を、他の異種材料から分離させて落下させやすい速度に設定されている。
【0016】
図3は、本実施形態にかかる選別装置の送風手段の詳細を示す図であって、
図3Aは、側面図、
図3Bは、正面図、
図3Cは、平面図である。
送風手段3は、
図3Aに示すように、テーブル301上に、2つの高圧プレートファン311、312が設けられている。高圧プレートファン311、312は、ケーシング内に複数枚の羽根を放射状に配置した翼車(図示せず)が設けられている。翼車が高速で回転することにより、その翼車の軸方向(
図3A参照)から流入した空気が、翼車の接線方向(
図3B参照)に吹き出す。
【0017】
高圧プレートファン311は、空気吸入口につながるダクトホース321が流入口311aに接続され、流出口311bには、空気吐出部3Aにつながるダクトホース322が接続されている(
図3C参照)。空気吐出部3Aは、
図3Cに示すように、搬送用ベルトコンベア2の幅をカバーする細長く扁平なノズルである。
【0018】
一方、高圧プレートファン312は、高圧プレートファン311と同様な構造をしており、流出口312bには、ダクトホース324が接続されている。ダクトホース324は、さらに、
図3Cに示すように、ダクトホース325,326に分岐して、空気吐出部3Aに接続されている。
【0019】
材料仕分け部4は、木質片が仕分けられて収容される収容囲い41と、石材などの異物が仕分けられて収容されるダストボックス42を備えている。なお、
図2においては、収容囲い41は、木質片S1が落下する位置に配置され、ダストボックス42は、異物S2が落下する位置に配置されるとよい。
収容囲い41の底部は開口部を有し、その開口部の直下にベルトコンベア(図示されず)が配置されている。収容囲い41内に仕分けられた木質片は、ベルトコンベア上に落下し、ベルトコンベアで管路1A内を後述するバイオマス材料導入部101の1次供給機101A(
図5参照)まで搬送される。管路1Aには、ダクトホース321につながる空気吸入口が開口している。高圧プレートファン311により、管路1A内の空気が空気吸入口から吸引されて、空気吐出部3Aから噴射されるように循環する。このように気流を循環させることにより、粉塵の飛散を防止できるだけでなく、気流を効率的に循環させ、気流の一部とともに収容囲い41内に落下する木質片の回収の効率化を図ることができる。
一方、ダストボックス42は、テーブル301の下に配置されており、ダストボックス42の上部開口42aとテーブル301の間に、ダクト302が設けられている。
ダクト302の吸入口302aには、ダクトホース323が設けられており、
図3Bに示すように、高圧プレートファン312の流入口312aに接続されている。高圧プレートファン312により給入口302aから吸引された空気は、空気吐出部3Aから噴射されるように循環する。
【0020】
以上の構成を備えた選別装置1は、
図1に示したように、トラックT等の運搬手段から荷下ろしされた異種材料Sを搬送用ベルトコンベア2に搭載することができる。
搬送用ベルトコンベア2の搬送面2Cに搭載された異種材料は、搬送用ベルトコンベア2の移動により搬送面2Cの第1回転部に到達する。
搬送用ベルトコンベア2の搬送面2Cは、搬入側よりも搬出側が(ローラー2Bの位置よりも、ローラー2Aの位置が)高いので、スキージャンプ台のような構造になる。
このため、異種材料には、鉛直方向の力を生じさせて搬出側の端部から飛翔するときに、高くそして遠くに飛翔させることができる。高くそして遠くに飛翔させることは、同じ空気抵抗である条件下において、比重の大きい材料の慣性移動量を、比重の小さい材料よりも大きくできるので、選別の際の視認が容易になる。
【0021】
一方、本実施形態では、搬出側において、送風手段3から空気が噴出される。
送風手段3から噴出された空気は、搬送用ベルトコンベア2の搬送面2Cを移動する異種材料の移動方向に対して正対する向きではなく、第1回転部に用いられるローラー2Aの下方1/4周面において、その周面の接線方向の向きにしてある。
第1回転部において、ローラー2Aに向けて空気吐出部3Aから吹き出される空気は、ローラー2Aの第4象限の表面での流速が、搬送用ベルトコンベア2の移動速度よりも速いので、第4象限の表面での圧力を低くすることができる。
この結果、異種材料の一部である比重の小さい木質片(
図2中、符号S1で示す)は、搬送用ベルトコンベア2の第1回転部に達すると、表面の圧力が低いことにより、吸引されやすくなるか、又は、第4象限周面に向けて近づきやすくなる。
また、仮に、第1回転部の周面に沿うことなく、慣性移動方向に飛翔しようとした木質片S1は、送風手段3からの空気の噴流により第1回転部に位置するローラー2Aの第4象限に向けて吹き付けられるので、搬送面2C終端から慣性移動方向には飛翔しにくくなる。
【0022】
送風手段3は、空気吐出部3Aから空気を噴出すると、比重の大きい石などの異物(
図2中、符号S2で示す)に付着している木質片S1を剥離させて落下させることができる。
異種材料に含まれている比重の大きい石などの異物S2は、搬送用ベルトコンベア2の移動方向下流側の終端位置から慣性移動により飛翔するときに、送風手段3からの空気による抵抗を受ける。
このとき、異物S2は、自身の比重が木質片S1よりも大きいので、比重の小さい木質片S1と違って、加速度の低下が少なく、遠い位置に落下する。つまり、慣性の法則(α=F/M)に基づいて、加速度の低下が少ないことが原因となり、飛距離が延びる。
【0023】
本実施形態に係る選別装置1によれば、送風手段3の空気吐出部3Aの向きを設定することにより、比重の小さい木質片S1を、搬送面2Cから飛翔する方向とは別の方向に移動させるだけで選別することができる。
特に、比重の大きい石S2などの異物が慣性移動方向に飛翔するのに対して、比重の小さい材料である木質片S1は、搬送面の第1回転部に位置するローラー2Aの周面に向けて、吸引又は近づけることが可能な流速のみの設定で選別されることになる。
この結果、風量の制御や落下位置毎に落下させるためのノズルなどが不要となるので、設備の増設や複雑な風量制御を行う場合と違って、コストアップを招くことなく、簡単な構成による選別作業が可能となる。
【0024】
また、送風手段3の高圧プレートファン311は、空気吸入口から吸入した空気(
図3A参照)を、空気吐出部3Aから噴射する(
図3C参照)。空気吐出部3Aは、
図3Bに破線の矢印で示すように、気流を第1の仕分け部に向けて下方に噴射する。噴射流を受けた木質片S1は、噴射流の実質的な延長線上に位置する収容囲い41内に落下する。
【0025】
このとき、高圧プレートファン312は、ダクト302内の空気を吸引しているので、空気吐出部3Aから噴出された気流の一部は、材料仕分け部4のダストボックス42の上方を通るように、気流の向きを噴射時の気流の向きから変えて、流路を変更して流れる(流路変更部)。このため、異物S2は、この気流により効率よく、ダストボックス42に収容される。
【0026】
以後、ダクト302内でダストボックス42の上方を通過した気流は、吸入口302aから吸引されて、再び送風手段3に戻され、高圧プレートファン312によって、
図3Bの流路(空気吐出部3A、ダクト302,ダクトホース323、高圧プレートファン312、ダクトホース324,325,326、空気吐出部3A)を、循環する(循環部)。
【0027】
さらに、高圧プレートファン312によって空気吐出部3Aへ循環して供給される気流に加えて、高圧プレートファン311によって、空気吸入口から補給された気流も空気吐出部3Aへ供給されるため、空気吐出部3Aから高い風圧で気流が噴射される。
【0028】
以上のように、高風圧の空気が循環することにより、粉塵の飛散防止を図るだけでなく、
図3Bの破線の矢印の部分の空気の流れがスムーズになり、異物S2の分離が効率よく行えるので、
図3Bの流路がない場合と比較して、木質片S1の回収率が約10%向上した。
【0029】
以上の構成を備えた選別装置1は、木質片を原料とする木質ペレットを製造するシステムに用いることが可能である。
以下、
図4、
図5を用いて木質ペレットの材料乾燥システムの概略について説明する。
図4は、木質ペレットを得るための材料乾燥システムに用いられるペレット製造プラントの概略図であり、
図5は、
図4に示したペレット製造プラントの概略構成を示す斜視図である。
【0030】
図3に示すペレット製造プラント100は、被乾燥材料として、可燃性材料の一つである木質片などの木質バイオマス材料を対象としているが、これに限らず、粉体などが含まれる可燃性材料以外の材料を被乾燥材料の対象とすることも可能である。
図3においてペレット製造プラント100は、木質片を破砕したバイオマス材料から得られる木質チップの乾燥処理及び木質ペレットの成形、そして成形後の木質ペレットをペレット完成品として袋詰めする梱包を行うために、次の工程部を備えている。
乾燥処理を行うための工程部には、粉砕済みの木質片が用いられる木質チップを乾燥工程部102に供給するバイオマス材料導入部101と、ロータリーキルン等の回転可能な加熱器200を備えた乾燥工程部102と、乾燥工程に用いる加熱空気の供給部103とが備えられている。バイオマス材料導入部101は、被乾燥材料導入部に相当している。
【0031】
乾燥後の木質チップをペレット状に成形するために、例えば、次の工程部が用いられる。
(1)乾燥後の木質チップを再粉砕する2次粉砕工程部104、
(2)含水率が所定値に達していない木質チップを乾燥工程部102にて再乾燥させるとともに、所定値に達している木質チップを成形処理する成形工程部106に向けて搬送する2次供給工程部105、
(3)2次供給工程部105から選別された木質チップをペレット状に成形する成形機106Aを備えた成形工程部106、
である。
成形工程部106を経て木質ペレットとされ、所定形状あるいは所定サイズなどの規定条件を満たしているバイオマス材料は、冷却工程部107において冷却された後、ペレット完成品として袋詰めされるための袋詰め工程部108に搬送される。
上記各工程部のうちで、
図1に示した選別装置1は、バイオマス材料導入部101の前処理工程に用いられる。
【0032】
乾燥工程部102に向け取り込まれる木質チップは、バイオマス材料導入部101の前工程において、トラックTで運搬されてきた木質片がこれと混在する石などの異物と選別され、金属などの異物を除去されてから乾燥工程部102に向け導入される。
選別装置1において材料仕分け部4内で石S2(
図2参照)と選別された木質片S1(
図2及び
図3B参照)は、材料仕分け部4から管路1Aを介して磁気選別部(図示されず)を備えた1次供給機101Aに送られる。1次供給機101Aでは、金属片などが磁気選別部により取り除かれると、細片の木質チップに形成するための粉砕処理が行われる。細片の木質チップは、管路101B(
図4参照)を介して乾燥工程部102の加熱器200における材料導入部101Cに搬送される。
【0033】
以下、1次供給機101Aから運ばれる木質チップを対象として、乾燥工程部102を経て木質ペレットを製造する工程について説明する。
2次粉砕工程部104には、乾燥工程を経た木質チップが所定サイズに粉砕されると共に含水率が所定条件である木質チップを2次供給工程部105に向け搬送するための粉砕機104A及び湿度センサ(図示されず)等が備えられている。なお、含水率に関しては、湿度センサを用いることに限らず、作業員が水分計を用いて計測した結果に応じて篩い分け処理を行うことも可能である。
粉砕機104Aには、図示しないが、粉砕サイズを規定するフィルターの内側で高速回転するハンマーを備えたハンマーミル等が用いられる。木質チップはハンマーにより粉砕されてフィルターサイズに適合したものが次の行程に搬送される。
【0034】
2次粉砕工程部104において粉砕された木質チップは、含水率に応じて搬送経路が仕分けられる。つまり、含水率が所定条件を満たしている木質チップは2次供給工程部105に向けて搬送され、含水率に関して所定条件を満たしていない木質チップは、再度、乾燥工程部102に搬送される。このため、粉砕機104Aから排出される木質チップは、含水率毎の篩い分け及び搬送ができるコンベア104B及び104Cの何れかによって搬送方向が決められる。
これらコンベア104B,104Cのうちで、最初に木質チップが導入される一方のコンベア104Bには篩い分け機構が持たされており、含水率が所定条件を満足している木質チップを2次供給工程部105に向け搬送するようになっている。含水率の違いによる篩い分けは、例えば、含水率の違いによる重量の違いをパラメータとして気流搬送時あるいは導入時での捕捉条件を設定される機構などが用いられる。
【0035】
他方のコンベア104Cは、含水率が所定条件を満足していない木質チップを対象として再乾燥させる際の前準備工程へと、その木質チップを迂回搬送するバイパス2次供給工程部109に連続されている。
バイパス2次供給工程部109には、木質チップを撹拌しながら搬送可能なバイパス2次供給搬送装置109Aと、気流搬送に用いた空気と木質チップとを分離するサイクロンロータリーバルブ109Bと、袋詰め機(フレキシブルコンテナバック詰め機)109Cとが備えられている。
バイパス2次供給工程部109では、サイクロンロータリーバルブ109Bにおいて空気と分離された木質チップが、乾燥工程部102に向け移送しやすいように袋詰め機109Cにより袋詰めされる。
【0036】
含水率が所定条件を満たしている木質チップは、成形工程部106に備えられている成形機106Aによって、例えば、押し固められて凝縮されることによりペレット状に成形される。成形工程部106では、ペレット状に成形されなかった木質チップなどの成形不良品の仕分けが行われたうえで、良品のみが、完成品として袋詰めされるための袋詰め工程部108に搬送される。成形不良品とされた木質チップは、サイクロンロータリーバルブ109Bに搬送され、再乾燥用と同じく袋詰め機109Cにより袋詰めされる。
【0037】
成形工程部106において所定形状や所定サイズに成形されて木質ペレットとして用いられるバイオマス材料は、良品が完成品として冷却工程部107において冷却された後、袋詰め工程部108において袋詰めされた完成品として出荷のために準備される。
冷却工程部107には、成形工程部106を経て木質ペレットとして用いられるバイオマス材料を袋詰め工程部108に向けて搬送する搬送コンベア107A、107Bが備えられている。搬送コンベアの一方107Aの上部には、冷却風を吹き付けるためのノズル107A1,ブロアー107A2が配置されている。
【0038】
1次供給機101Aから木質チップが導入される乾燥工程部102は、回転可能な筒体からなる加熱器200を備えている。加熱器200は、内部に複数の羽根が備えられており、回転時に木質チップを気流搬送させながら撹拌することにより木質チップに含まれている水分を蒸発させる。
加熱器200では、加熱空気の供給部103と接続され、加熱器200内にその長手方向への加熱空気の供給が行われることにより、木質チップの気流搬送及び撹拌による乾燥処理が行われる。
加熱器200を通過した木質チップは、上記(1)~(3)の工程を経て木質ペレットに成形される。
【0039】
以上のように、材料乾燥システムに供される異種材料は、異種材料から必要とする内容のもののみを選別できるので、他の工程において望まれない異物による機器の損傷などを未然に防止することができる。
【0040】
なお、
図3,4を用いた説明においては、選別装置1に用いられる搬送用ベルトコンベア2を1段とした場合を対象としているが、本実施形態では、複数段の搬送用ベルトコンベアを連続させ、かつ、各搬送用ベルトコンベアの速度を異ならせる(ローラー2A側がローラー2Bより速くなる)ようにすることも可能である。この構造によれば、トラックで運搬されてきた選別対象物をコンベア上に広げて載せやすいと共に、異種材料が搬出側の端部から飛翔するときの速度を速くすることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 選別装置
2 搬送用ベルトコンベア
2A 異種材料搬出側に位置するローラー
2B 異種材料搬入側に位置するローラー
2C 搬送面
3 送風手段
3A 空気吐出部
4 材料仕分け部
41 収容囲い
42 ダストボックス
100 ペレット製造プラント
101 バイオマス材料導入部
101A 1次供給機
102 乾燥工程部
200 加熱器
G 第1象限と第4象限との境界