(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】I型インターフェロンの中和型Fc融合タンパク質及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20241218BHJP
C07K 14/715 20060101ALI20241218BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20241218BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241218BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241218BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241218BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241218BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241218BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241218BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241218BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241218BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20241218BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20241218BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20241218BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20241218BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241218BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20241218BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241218BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241218BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241218BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241218BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20241218BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/715
C07K16/00
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/12
C12N15/13
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K38/17
A61P37/06
A61P31/18
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P17/06
A61P25/00
A61P3/10
A61P37/02
A61P1/04
A61P13/12
A61P21/00
(21)【出願番号】P 2021537211
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 KR2019018233
(87)【国際公開番号】W WO2020138868
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】10-2018-0168801
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519001383
【氏名又は名称】ソウル ナショナル ユニバーシティ アールアンドディービー ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】521278209
【氏名又は名称】ロゴン・バイオ・コンバージェンス・リサーチ・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】LOGONE BIO CONVERGENCE RESEARCH FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヨンギ
(72)【発明者】
【氏名】イ,セヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンス
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-536477(JP,A)
【文献】国際公開第2006/138610(WO,A2)
【文献】特表2016-506377(JP,A)
【文献】特表2012-531439(JP,A)
【文献】Protein Science,2013年,Vol.22,pp.1100-1108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS (STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターフェロン受容体1(IFNAR1)の断片及び配列番号12のアミノ酸配列を含む抗体のFc断片を含むモノマーが、インターフェロン受容体2(IFNAR2)の断片及び配列番号14のアミノ酸配列を含む抗体のFc断片を含むモノマーに結合している、二量体型ポリペプチド
であって、
ここで、インターフェロン受容体1の断片は、配列番号4のアミノ酸配列を含み、そしてインターフェロン受容体2の断片は、配列番号6のアミノ酸配列を含む、
二量体型ポリペプチド。
【請求項2】
前記二量体型ポリペプチドは、I型インターフェロンを中和することを特徴とする、請求項1記載の二量体型ポリペプチド。
【請求項3】
請求項1記載の二量体型ポリペプチドをエンコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項
3記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項5】
請求項
4記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
【請求項6】
(a)請求項
5の宿主細胞を提供する段階;
(b)提供された細胞を培養する段階;及び
(c)前記細胞または培養培地から二量体型ポリペプチドを回収することにより、二量体型ポリペプチドを調製する段階を含む、請求項1記載の二量体型ポリペプチドの製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の二量体型ポリペプチドを有効成分として含むI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項8】
前記I型インターフェロン媒介型疾病または障害は、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬化症、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、炎症性腸疾患(IBD)(クローン病、潰瘍性大腸炎とセリアック病を含む)、多発性硬化症(MS)、乾癬、自己免疫甲状腺炎、関節リウマチ、炎症性筋炎、糸球体腎炎、HIV感染、AIDS、移植拒否、及び移植片対宿主反応(GVHD)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項
7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
I型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用製剤を調製するための請求項1記載の二量体型ポリペプチドの使用。
【請求項10】
請求項1記載の二量体型ポリペプチドを有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする個体に投与する段階を含む、ヒトを除く対象における、I型インターフェロン媒介型疾病または障害の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2018年12月24日に出願された大韓民国特許出願第10-2018-0168801号を優先権主張し、前記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明はI型インターフェロンの中和型Fc融合タンパク質及びその使用に関するものであり、より詳細には、インターフェロン受容体の断片または抗体のFc断片を含むモノマー(monomer)が結合された二量体(dimer)型のポリペプチド及びその製造方法、これを含むI型インターフェロンまたはインターフェロン誘導性遺伝子(interferon-inducible genes)の異常発現に関連する疾患の予防または治療用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
I型インターフェロン(IFN)(IFN-α、IFN-β、IFN-ω、IFN-τ)は、抗ウイルス、抗腫瘍及び免疫調節効果を有する、構造的にリンクされたサイトカインの集団である。ヒトIFNαの位置は二つのサブグループ(subgroup)を有する。第1サブグループは14個の非対立遺伝子及び少なくとも80%の同一性を有する4つの偽遺伝子(pseudogene)を有する。第2サブグループに於いて、αIIまたはオメガ(ω)はIFNα遺伝子と70%の同一性を示す1つの機能遺伝子と5つの偽遺伝子を有する。IFNαのサブタイプは相異な特有の活性を有するが、同じな生物学的スペクトルを示し、同じな細胞受容体を有する。インターフェロンβ(IFNβ)はIFNα遺伝子とほぼ50%の同一性を有する単一遺伝子によって符号化される。活性化されたリンパ球により生成されるガンマインターフェロンはアルファ/ベータインターフェロンとの同一性を有しなく、その受容体と反応しない。
【0004】
全てのヒトI型インターフェロンは二つの膜タンパク質、IFNAR-1及びIFNAR-2で構成された細胞表面受容体(IFNアルファ受容体、IFNAR)に結合する。IFNAR-1はIFNAR複合体の高親和性結合とは相異な特異性に必須である。I型IFNサブタイプそれぞれの機能差が明確になっていないが、それぞれが潜在的に様々なシグナリングの表示に導くIFNAR受容体の成分と異なる作用を示すこととして考えられる。
【0005】
I型INFの機能に対する初期研究はウイルス感染に対する先天的防御に焦点を置いた。しかし、さらに最近の研究は適応免疫応答に効果がある免疫調節サイトカインとしてのI型 IFNに関するものである。特に、I型 IFNはTh1通路で元来のT細胞の変異を容易にし、抗体の生成を高め、記憶T細胞の機能的活性と生存を支持することが分かった。
【0006】
複数グループの最近の研究でIFN-αは樹状細胞(DCs)の成熟または活性化を増進させることができることを提案した。尚、I型インターフェロンの増加された発現が多数の自己免疫疾患の関連文献に記述されている。その最も研究された例としては、IFNαの高まったレベルに全部関連性があるインスリン依存性糖尿病(IDDM)(Foulis等(1987)Lancet 2:1423)、全身性エリテマトーデス(SLE)(Hooks等(1982)Arthritis Rheum. 25:396)、シェーグレン症候群(Yihong Yao等(2013)Autoimmun Rev. 12(5):558-66)、炎症性筋炎(Baechler 等(2007)Mol Med. 13(1-2): 59-68)及びIFN-βが更に重要な役割をするリウマチ性関節炎(RA)(Hertzog等(1988)Clin. Immunol. Immunopathol. 48:192)、ホプキンス及びメゴル(1988)Clin. Exp. Immunol. 73:88、アルビン及びミラー(1984)Arthritis Rheum. 27:582)がある。
【0007】
また、I型インターフェロンの代表類型であるインターフェロンαの投与は乾癬、及び多発性硬化症の患者には基本的な病気を悪化させ、自己免疫病の以前の経験がない患者にはSLE類似症状を誘導することが知らされた。また、インターフェロンαは、正常マウスで糸球体腎炎を誘導してNZB/Wマウスの同時的自己免疫疾患の発生を加速化することが示された。さらに、IFN-α治療法はいくつの場合に発熱及び神経障害を含む好ましくない副作用を誘導することが分かった。
【0008】
I型インターフェロンの多様性を有し、最近SLE患者を対象とした研究でもIFN-αだけでなく、IFN-βも粘膜皮膚疾患に対する病因として作用するにもかかわらず、I型インターフェロン媒介型疾病治療剤は、ワクチン(IFN- kinoid)または抗IFN-αモノクローナル中和抗体(Sifalimumab、Rontalizumab、AGS-009)治療薬のようにIFN-αのみ集中し開発中という問題がある。また、そのような中和抗体の問題はインターフェロンの2つの異なる受容体に結合する部分を全部中和ができず、IFNAR1またはIFNAR2にだけの結合能を有する。このような問題を補完するためにI型インターフェロン受容体であるIFNAR1に特異的に結合して中和能を示すAnifrolumab (MAbs. 2015 3-4月; 7(2):428-439.)が開発中である。しかし、これら中和抗体治療剤の特性はI型インターフェロン、様々なシグナリング機序でIFNAR1とIFNAR2によって媒介される標準経路(canonical pathway)以外のIFNAR1(Nat Immunol. 2013 9月 ; 14(9):901-7.)、またはIFNAR2(Sci Signal. 2014 5月 27 ; 7 (327):ra50; PLoS One. 2017; 12(8):e0182866)を媒介する非標準経路(non-canonical pathway)のような複雑なシグナリング機序と体内のI型インターフェロンを除去することができない限界があると予想される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の詳細な説明
技術的課題
本発明の発明者らは、I型インターフェロン媒介型疾病を治療剤を開発するうち、インターフェロン受容体1の断片とインターフェロン受容体2の断片を含む二量体型ポリペプチドがI型インターフェロンに結合する他にも、処理時のシグナリング機序の開始の抑制及び生物学的活性を顕著に抑制することを確認した上、本発明を完成した。
【0010】
従って、本発明の目的は、
インターフェロン受容体の断片または抗体のFc断片を含むモノマーが結合された二量体型ポリペプチドとして、
前記モノマーは、(i )、(ii)及び(iii)からなる群から選択されるポリペプチド:
(i)インターフェロン受容体1(IFNAR1)の断片及び抗体のFc断片を含むモノマー;
(ii)インターフェロン受容体2(IFNAR2)の断片及び抗体のFc断片を含むモノマー; 及び
(iii)抗体のFc断片を提供するものである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、
前記ポリペプチドをエンコード(encoding)するポリヌクレオチドを提供するものである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供するものである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、前記ベクターに形質転換(transfection)された宿主細胞を提供するものである。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、
(a) 宿主細胞を提供する段階;
(b)指定された細胞を培養する段階; 及び
(c)前記細胞または培養培地からポリペプチドを回収することでポリペプチドを製造する段階を含むポリペプチドの製造方法を提供するものである。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、
ポリペプチドを有効成分として含むI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物を提供するものである。
また、ポリペプチドが有効成分として構成されるI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物を提供するものである。
また、ポリペプチドが有効成分として必須に構成されるI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物を提供するものである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、
I型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供するものである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、
前記ポリペプチドを有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする個体に投与する段階を含むI型インターフェロン媒介型疾病または障害の治療方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は本発明の目的を達成するために、
インターフェロン受容体の断片または抗体のFc断片を含むモノマーが結合された二量体型ポリペプチドとして、
前記モノマーはする(i)、(ii)及び(iii)からなる群から選択されるポリペプチド:
(i)インターフェロン受容体1(IFNAR1)の断片と抗体のFc断片を含むモノマー;
(ii)インターフェロン受容体2(IFNAR2)の断片と抗体のFc断片を含むモノマー; 及び
(iii)抗体のFc断片を提供する。
【0019】
本発明のさらに他の目的を達成するために、
前記ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0020】
本発明のさらに他の目的を達成するために前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0021】
本発明のさらに他の目的を達成するために、前記ベクターに形質転換された宿主細胞を提供する。
【0022】
本発明のさらに他の目的を達成するために、
(a)宿主細胞を提供する段階;
(b)指定された細胞を培養する段階; 及び
(c)前記細胞または培養培地からポリペプチドを回収することでポリペプチドを製造する段階を含むポリペプチドの製造方法を提供する。
【0023】
本発明のさらに他の目的を達成するために、
ポリペプチドを有効成分として含むI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
また、ポリペプチドが有効成分として構成されるI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
また、ポリペプチドが有効成分として必須に構成されるI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0024】
本発明のさらに他の目的を達成するために、
I型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の目的を達成するために、
前記ポリペプチドを有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする個体に投与する段階を含むI型インターフェロン媒介型疾病または障害の治療方法を提供する。
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0027】
従って、本発明はインターフェロン受容体の断片または抗体のFc断片を含むモノマーが結合された二量体型ポリペプチドとして、
前記モノマーは下記の(i)、(ii)及び(iii)からなる群から選択されるポリペプチドを提供する。
(i)インターフェロン受容体1(IFNAR1)の断片及び抗体のFc断片を含むモノマー;
(ii)インターフェロン受容体2(IFNAR2)の断片と抗体のFc断片を含むモノマー; 及び
(iii)抗体のFc断片。
【0028】
請求の範囲を含む本明細書において、前記「インターフェロン受容体の断片」とは、天然型ヒトインターフェロン受容体に由来するアミノ酸配列の全部または一部を有しながら、ヒトインターフェロン受容体の活性を有する全てのポリペプチドを含むことを意味する。
【0029】
「インターフェロン受容体1」、「IFNAR 1」及び「IFNAR-1抗原」という用語には、相互交換可能に使用され、ヒトIFNAR 1の変異体、同形体、種のホモメリック(homomeric)及びIFNAR 1の少なくとも一つの通常のエピトープを有する類似体が含まれる。従って、本発明のポリペプチドは、ある場合にヒトではない他種からのIFNAR 1またはヒトIFNAR 1と構造的にリンクされた他のタンパク質(例えば、ヒトIFNAR-1ホモメリック)と相互的反応をすることができる。他の場合に於いて、ポリペプチドはヒトIFNAR-1に完全に特異的であることができ、相互的反応性の種や他のタイプを示さない。ヒトIFNAR 1の完全なcDNA配列はgenbankの寄託番号XM_005260964.2、NM_000629.2、またはXM_011529552.2を有する。
本発明に使用した塩基配列はIFNAR 1・アイソフォーム1の配列(genebankの寄託番号:NM_000629.2)中の細胞外ドメイン(28-436a.a; P17181-1)を含むことができ、前記塩基配列の一部を含むことができる。本発明のIFNAR 1断片は、好ましくは、配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むインターフェロン受容体1でもよく、より好ましくは、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるインターフェロン受容体1でもよい。
【0030】
本発明の一実施例では、配列番号4で表されるアミノ酸配列(配列番号3で表されるポリヌクレオチド配列。ポリヌクレオチド配列は終了コドンを含むことができる。以下の全てのDNA塩基配列に於いても同様。)を含むインターフェロン受容体1を用いて前記ポリペプチドを作製した。
【0031】
「インターフェロン受容体2」、「IFNAR 2」及び「IFNAR-2抗原」という用語には、相互交換可能に使用され、ヒトIFNAR 2の変異体、同形体、種のホモメリック(homomeric)及びIFNAR 2の少なくとも一つの通常のエピトープを有する類似体が含まれる。従って、本発明のポリペプチドは、ある場合にヒトではない他種からのIFNAR 2またはヒトIFNAR 2と構造的にリンクされた他のタンパク質(例えば、ヒトIFNAR-2ホモメリック)と相互的反応をすることができる。他の場合に於いて、ポリペプチドはヒトIFNAR-2に完全に特異的であることができ、相互的反応性の種や他のタイプを示さない。ヒトIFNAR 2の完全なcDNA配列はgenbankの寄託番号NM_000874.4、NM_001289125.1、またはNM_001289126.1を有する。本発明に使用したヌクレオチド配列は、ヒトIFNAR2・アイソフォーム1の配列(genebank寄託番号:NM_001289125.1)中細胞外ドメイン(27-243a.a; P48551-1)を含むことができ、前記塩基配列の一部をを含むことができる。本発明のIFNAR 2断片は、好ましくは、配列番号6で示されるアミノ酸配列を含むインターフェロン受容体2でもよく、より好ましくは、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるインターフェロン受容体2でもよい。
【0032】
本発明の一実施例では、配列番号6で表されるアミノ酸配列(配列番号5で表示されるポリヌクレオチド配列)を含むインターフェロン受容体2の断片を用いて前記ポリペプチドを作製した。
【0033】
また、前記「インターフェロン受容体の断片に由来するアミノ酸配列の全部または一部を有するポリペプチド」とは、天然型インターフェロン受容体の断片のアミノ酸配列である配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列の全部またはその実質的部分を含むポリペプチドであるか、これらのポリペプチドに実質的に類似なポリペプチドを含むことを意味する。
【0034】
ここで、前記「配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列全体の実質的部分を含むポリペプチド」とは、配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列を有する天然型インターフェロン受容体に比べて同等またはそれ以上の活性を有するか、低い活性でも、尚ヒトインターフェロン受容体の活性を保持する配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列の一部を含むポリペプチドとして定義され、前記「配列番号4または配列番号6に開示されたアミノ酸配列の全体またはその実質的部分と実質的に類似なポリペプチド」とは、配列番号4または配列番号6のインターフェロン受容体に比べて同等またはそれ以上の活性を有するか、低い活性でも、尚インターフェロン受容体の活性を未だに保有しながら、複数の置換されたアミノ酸を含む配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列の全体またはその実質的部分を含むポリペプチドとして定義される。
【0035】
配列番号4または配列番号6に開示されたアミノ酸配列全体の実質的部分を含むポリペプチドとして、配列番号4または配列番号6に開示されたアミノ酸配列を含むポリペプチドに於いて、N末端部分及び/またはC末端部分が欠失された場合が挙げられるし、配列番号4または配列番号6に開示されたアミノ酸配列の全体またはその実質的部分と実質的に類似なポリペプチドとして、複数のアミノ酸が置換されても置換前のアミノ酸が置換されたアミノ酸と化学的に等価である場合、例えば、疎水性アミノ酸であるアラニンが他の疎水性アミノ酸に置換された場合、特により疎水性であるアミノ酸、例えば、バリン、ロイシンまたはイソロイシンに置換された場合が挙げられる。
【0036】
本発明に於いて、「融合」とは、機能または構造が相異や同一である2つの分子を一体化することであり、インターフェロン受容体に抗体Fc部分または各モノマーが結合することができる全ての物理的、化学的または生物学的方法による融合でもよい。
前記融合は、好ましくは、リンカーペプチド(linker peptide9によることもあり、このリンカーペプチドは、例えば、抗体のFc断片のC末端に結合することができる。
【0037】
「抗体のFc断片」とは、IgA、IgM、IgE、IgD、またはIgG抗体のFc断片、あるいはこれらの変形でもよい。一実施態様においては、前記断片はIgG抗体のFc断片(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、またはIgG4抗体のFc断片)である。また、本発明のFc断片を含むポリペプチドは、ポリペプチドの一部または全体が糖化されていなくてもよく、糖化されてもよい。また、ポリペプチドがFc断片に加えられ、抗体に由来する複数の領域が含まれてもよい。追加に、前記ポリペプチドは抗体由来の抗原結合断片(antigen binding domain)が含まれることもあり、複数のポリペプチドが抗体または抗体型タンパク質を形成してもよい。
【0038】
本明細書に於いて、抗体のFc断片のアミノ酸残基番号は当該業界で通常に使用されるカバトナンバリングシステム(Kabat numbering system)に従う(Kabat et al. 、in of Proteins of Immunological Interest 5th Ed. 、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242、1991のようなEU指数)。
【0039】
本発明の一実施例によれば、本発明の野生型Fc断片を含む他にも、置換されたFc変異体を含むことができる。
本発明の野生型Fc断片配列は配列番号8で表されるアミノ酸を含んでもよく、好ましくは、配列番号8で表されるアミノ酸からなるものでもよい。
本発明の置換されたFc断片はカバトナンバリングシステムによるQ347R、K360E、D399V、F405T及びK409Wからなる群から選択される複数のアミノ酸置換を含む。
本発明の置換されたFc断片はK360E及びK409Wアミノ酸置換を含んでもよく、好ましくは、配列番号12で表されるアミノ酸配列を含んでもよく、より好ましくは、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるものでもよい。
本発明の置換されたFc断片はQ347R、D399V、及びF405Tアミノ酸置換を含んでもよく、好ましくは、配列番号14で表されるアミノ酸配列からなるものでもよく、より好ましくは、配列番号14からなるものでもよい。
また、二量体を形成するモノマーとしての抗体のFc断片は配列番号8、配列番号12または配列番号14を含み、N末端またはC末端にリンカーまたは他の短い断片のペプチドが付着したものでもよい。前記リンカーは、配列番号10、配列番号34、配列番号53乃至配列番号76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むリンカーでもよい。モノマーとしての前記抗体のFc断片は、配列番号8、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号36、配列番号38、配列番号40からなる群から選択されるアミノ酸配列からなるものでもよい。
【0040】
本発明の「インターフェロン受容体1(IFNAR1)の断片及び抗体のFc断片を含むモノマー」は、好ましくは、i )配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むインターフェロン受容体1(IFNAR1)の断片、及びii)配列番号8 、配列番号12及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗体のFc断片を含んでもよく、より好ましくはi )配列番号4で表されるアミノ酸配列を含むインターフェロン受容体1(IFNAR1)断片、ii)配列番号10、配列番号34、配列番号53乃至配列番号76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むリンカー、及びiii)配列番号8、配列番号12及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗体のFc断片を含んでもよく、最も好ましくは配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号42、配列番号44及び配列番号46からなる群から選択されるアミノ酸を含むことやアミノ酸からなるモノマーでもよい。
【0041】
本発明の「インターフェロン受容体2(IFNAR2)の断片及び抗体のFc断片を含むモノマー」は、好ましくはi )配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むインターフェロン受容体2(IFNAR2)の断片、及びii)配列番号8 、配列番号12及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗体のFc断片を含んでもよく、より好ましくはi )配列番号6で表されるアミノ酸配列を含むインターフェロン受容体2(IFNAR2)の断片、ii)配列番号10、配列番号34、配列番号53乃至配列番号76からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むリンカー、及びiii)配列番号8、配列番号12及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む抗体のFc断片を含んでもよく、最も好ましくは配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、配列番号50及び配列番号52からなる群から選択されるアミノ酸を含むことやアミノ酸からなるモノマーであることができる。
【0042】
本発明のポリペプチドはI型インターフェロンを中和することでもよく、従って、I型インターフェロン中和抗体として利用することができる。
ここで使われる「I型インターフェロン」という用語は、IFNAR 1及びIFNAR 2のリガンドである分子の多数のI型インターフェロンの集団(つまり、IFNAR 1またはIFNAR 2に結合することができる分子の多数のI型インターフェロンの集団)を言及することとして考えられる。I型インターフェロンのリガンドの例としは、インターフェロンアルファ1、2a、2b、4、5、6、7、8、10、14、16、17、21、インターフェロンベータ、インターフェロンオメガ及びインターフェロンイプシロンがある。
【0043】
通常の技術者は本発明を実施することに於いて、ポリペプチドを制限なく使用することができる。
【0044】
また、本発明は前記モノマーがペプチドリンカーによって前記抗体またはその断片に結合されている二量体型ポリペプチドを提供する。ペプチドリンカーとは、アミノ酸またはアミノ酸に類似な物質が互いにペプチド結合によって複数の接続ができた短い断片のアミノ酸またはアミノ酸類似体であり、複数の別々の物質を互いに接続させる役割をする分子を意味する。グリシン、セリン、アラニン等が主な構成アミノ酸として利用され、グリシン・セリンリンカー、グリシン・セリン・アラニンリンカー等を使用することができ、本発明の好ましい実施例によれば、前記リンカーは配列番号8と配列番号10に表示されるアミノ酸配列からなることであるか、これを含むことができる。
【0045】
本発明のポリペプチドは、好ましくは、モノマーの間に挿入された可撓性リンカー配列を含むことができる。
前記リンカーとは、天然由来のペプチドリンカーまたは合成由来のペプチドリンカーを意味する。前記ペプチドリンカーは線形アミノ酸鎖で構成されており、これに於いて、20種の自然発生のアミノ酸はモノマーの構成要素である。リンカーは反復アミノ酸配列を有してもよく、自然発生のポリペプチド、例えば、ヒンジ機能を有するポリペプチドの配列を有することができる。全てのペプチドリンカーが核酸分子によってコードされることがありますので、遺伝子組換え方法で発現されることができる。リンカーはその自体がペプチドであるので、各モノマーは、ペプチド結合を通じてリンカーに接続されて二量体を形成することができる。
【0046】
リンカーは、ペプチド結合によって一緒に接続されたアミノ酸、好ましくは、ペプチド結合によって接続された1~20個のアミノ酸で構成され、これに於いて、アミノ酸は20個の天然アミノ酸の中で選択することが好ましい。これらのアミノ酸のうち1つ以上は、当該分野の通常の技術者によって理解される通りにグリコシル化される。これらに限定されるものではないが、好ましくは、1~20個のアミノ酸はグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、及びリジンから選択される。
【0047】
適切なリンカーには、例えば、切断可能なリンカー及び切断不可能なリンカーが含まれる。切断可能なリンカーは典型的に細胞内条件下で簡単に切断できる。適切な切断可能なリンカーには、例えば、細胞内プロテアーゼ、例えば、リソソームプロテアーゼまたはエンドソームプロテアーゼにより切断可能なペプチドリンカーが含まれる。
【0048】
前記リンカーは、例えば、前記インターフェロン受容体のC末端にリンカーのN末端が接続される。インターフェロン受容体のC末端への接続は、好ましくは、本発明のタンパク質を発現する発現ベクターにリンカー配列をコードする塩基配列がタンパク質の発現フレームが一致するよう接続されて発現ベクターにより発現される抗体に直接接続をすることができる。また、前記リンカーのC末端に本発明の抗体のFc部分のN末端が接続される。
【0049】
本発明のペプチドリンカーは当該業界に公知となったペプチドリンカーでもよいが、好ましくは、グリシン・セリンリンカー、ヘリックス(helix)形成ペプチドリンカー、配列番号8または配列番号10のアミノ酸配列を含んでもよく、またはそれらからなるペプチドリンカーであってもよい。
【0050】
好ましくは、gly-serリンカー、例えば、(GlyxSery )z型(xは1~5の整数、yは1~2の整数であり、zは1~6の整数)、例えば、(gly4ser1 )3または(gly3ser2 )3を挙げることができ、ヘリックス形成ペプチドリンカー(またはrigid helicalリンカー)の場合、A(EAAAK)n A (n = 2~5の整数)でもよい。
【0051】
好ましくは、本発明のペプチドリンカーは、GGGGS、(GGGGS)3 、(GGGGS)n (n = 1、2、4)、(Gly)6 、(Gly)8 、AEAAAKEAAAKA、A(EAAAK)4 ALEA(EAAAK)4 A、(EAAAK)3 、EAAAK、(EAAAK)2 、(Ala-Pro)n (nは5~17であり、10~34 aaの長さ)、PAPAPであってもよく、配列番号10、配列番号34、配列番号53乃至配列番号76から選択されたアミノ酸配列からなるペプチドリンカーでもよい。
【0052】
本発明に於いて、ペプチドリンカーは必要に応じて前記例示のペプチドリンカーの重複や他のリンカーとの組み合わせで適切で構成してもよい。
【0053】
本発明に於いて、Fcの異種性二量体化のために当該業界に公知となったFcの異種性二量体化技術を使用することができる。Fcの異種性二量体化技術は、下記表1の通りである。
【0054】
【表1】
また、本発明に於いて、前記ポリペプチドは配列番号4または配列番号6のアミノ酸配列をそれぞれ含むことや両方を含むことを特徴とするポリペプチドを提供する。
【0055】
また、本発明は、
(a)配列番号4のアミノ酸配列で表示されるインターフェロン受容体1の断片及び抗体のFc断片を含むモノマー;
(b)配列番号6のアミノ酸配列で表示されるインターフェロン受容体2の断片及び抗体のFc断片を含むモノマーを含む二量体型ポリペプチドを提供する。
【0056】
前記モノマー(a)は配列番号4のアミノ酸配列で表示されるインターフェロン受容体1の断片と抗体のFc断片を含むものであり、好ましくは、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号42、配列番号44及び配列番号46からなる群から選択されるアミノ酸配列で構成されてもよく、またはそれを含むことでもよい。
【0057】
前記モノマー(b)は配列番号6のアミノ酸配列で表示されるインターフェロン受容体2の断片と抗体のFc断片を含むものであり、好ましくは、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号48、配列番号50及び配列番号52からなる群から選択されるアミノ酸配列で構成されてもよく、またはそれを含むことでもよい。
【0058】
本発明のポリペプチドは、好ましくは、I型インターフェロンを媒介する抗体でもよい。
【0059】
また、本発明は前記ポリペプチドをエンコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0060】
本発明で「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」または「核酸」とは、単鎖または二本鎖の形になったデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)またはリボ核酸(ribonucleic acid、RNA)を意味する。他の制限がない限り、自然生成できるヌクレオチドと同様の方法で核酸に混成化される自然ヌクレオチドの公知となったアナログも含まれる。
【0061】
配列番号4のアミノ酸配列で表示されるインターフェロン受容体1の断片と抗体のFc断片を含むモノマーは、好ましくは、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号41、配列番号43、及び配列番号45からなる群から選択されるDNA配列で構成されてもよく、またはそれを含むことでもよい。
【0062】
配列番号6のアミノ酸配列で表示されるインターフェロン受容体2の断片と抗体のFc断片を含むモノマーは、好ましくは、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号47、配列番号49、及び配列番号51にからなる群から選択されるDNA配列で構成されてもよく、またはそれを含むことでもよい。
【0063】
前記ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドを符号化するものであれば制限せずに使用することができ、DNA、cDNA、及びRNA配列を全部含む。前記配列で表示されるアミノ酸配列を有すること、または前記アミノ酸配列と少なくとも70%以上の相同性(homology)を有するアミノ酸配列を有するペプチドを符号化するポリヌクレオチドを意味し、これは自然から分離することや当該業界の公知の遺伝工学的方法によって製造することができる。
【0064】
また、本発明は前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0065】
前記ベクターとは、当業者が、当該業界に知られた任意の方法により、本発明のポリヌクレオチドをベクター内に挿入し、適切な転写/解読の調節配列を利用して本発明のポリペプチドを発現するよう製造された発現ベクターを意味する。
【0066】
本発明に基づいてクローニングされた前記ポリヌクレオチド配列は適切な発現調節配列に作動可能に接続されることができ、前記作動可能に接続された遺伝子配列と発現調節配列は、選択マーカー及び複製開始点(replication origin)を一緒に含む一つの発現ベクター内に含まれてもよい。「作動可能に接続(operably linked)」されることとは、前記ポリヌクレオチド配列が発現調節配列に遺伝子発現を可能にする方法で接続されたことを意味する。前記「発現調節配列(expression control sequence)」とは、特定の宿主細胞で作動可能に接続されたポリヌクレオチド配列の発現を調節するDNA配列を意味する。そのような調節配列は、転写を実施するためのプロモーター、転写を調節するための任意のオペレーター配列、適切なmRNAリポソーム結合部位をコードする配列、及び転写及び解読の終結を調節する配列等からなる群から選択される一つ以上のものを含むことができる。
【0067】
前記発現ベクターの母ベクターとして使用されるベクターは特別な制限がなく、この発明が属する技術分野で宿主細胞として使われる微生物に於いての発現のために通常に使われる全てのプラスミド、ウイルス、またはその他の媒介体等が使用可能である。例えば、前記プラスミドとしては、大腸菌由来のプラスミド(pBR322、pBR325、pUC118及びpUC119、pET-22b(+))、バチルスサブチルス由来プラスミド(pUB110及びpTP5)及び酵母由来プラスミド(YEp13、YEp24、及びYCp50)等があり、前記ウイルスとして、レトロウイルス、アデノウイルス、またはワクシニアウイルスのような動物ウイルス、バキュロウイルスのような昆虫ウイルス等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
また、本発明は前記ベクターに形質転換された宿主細胞を提供する。
【0069】
宿主細胞は挿入された配列の発現の調節または好ましい特定の方法で遺伝子生成物を進めることを選択することができる。相異な宿主細胞はタンパク質の解読及び解読後プロセッシング(processing)と変形に対して特徴的且つ特異的な機序を有する。適切な細胞株または宿主システムにて発現された異種タンパク質の好ましい変形及びプロセッシングを提供することを選択することができる。酵母に於いての発現は生物学的活性生成物を生成することができる。真核細胞に於いての発現は「自然」フォールディング(folding)の可能性を増加させることができる。
【0070】
本発明のベクターを安定しつつ連続的なクローニング及び発現をすることができる宿主細胞は、当該業界に公知となった任意の宿主細胞も利用することができる。例えば、E. coli JM109、E. coli BL21DE、E. coli DH5 、E. coli RR1、E. coli LE392、E. coli B、E. coli X1776、E. coli W3110等を使用することができ、また、アグロバクテリウムA4のようなアグロバクテリウム属の菌株、バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)のようなバシラス(bacilli)、サルモネラ・ディフィムリウム(Salmonella typhimurium)またはセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)のような更に他の腸内細菌、及び様々なシュードモナス属(Pseudomonas)菌株が宿主細胞として利用することができる。
【0071】
また、本発明のベクターを真核細胞に形質転換させる場合には、宿主細胞としてイースト(Saccharomyces cerevisiae)、昆虫細胞及びヒト細胞(例えば、CHO細胞株(Chinese hamster ovary)、Expi293、W138、BHK、COS- 7、293、HepG2、3T3、RIN及びMDCK細胞株)等を利用することができる。
【0072】
本発明に於いて、宿主細胞は、好ましくはExpi293またはCHO細胞株であってもよい。
【0073】
ベクターを宿主細胞内に伝達して宿主細胞を形質転換させる方法は、公知の方法であれば任意のものでも可能であり、特に制限されない。例えば、リン酸カルシウム沈殿法(calcium phosphate precipitation)、DEAE-デキストラン法、電気穿孔法(electroporation)、直接マイクロインジェクション法(direct microinjection)、DNA-ローディングリポソーム(DNAloaded liposome)法、リポフェクタミン-DNA複合体(liofectamine-DNA complex)法、細胞超音波粉砕法(cell sonication)、高速微細噴射(high velocity microprojectile)を利用した遺伝子爆撃法(gene bombardment)、多価陽イオン法(polycation)、及び受容体媒介形質転移法(receptor-mediated transfection)によって形質転換をすることができる。この技術のうち一部は、生体内または生体外の使用のために改良することができる。
【0074】
また、本発明は、(a)宿主細胞を提供する段階、(b)提供された細胞を培養する段階、及び(c)前記細胞または培養培地からポリペプチドを回収することにより、本発明のポリペプチドを製造する段階を含む二量体型ポリペプチドの製造方法を提供する。
【0075】
形質転換細胞の培養は、融合タンパク質(または融合ポリペプチド)の発現を可能にする適切な条件下で行い、これらの条件は当業者に既に公知となった方法に基づいて遂行することができる。形質転換細胞は通常の培養方法により大量に培養することができる。培養培地としては、炭素源、窒素源、ビタミン及びミネラルで構成された培地を使用することができ、例えば、2XYT培地を使用することができる。細胞の培養は通常の細胞培養条件にて可能であり、例えば、温度範囲15℃~45℃で10時間~40時間培養することができる。培養液中の細胞を除去し、培養培地のみ回収するために遠心分離(centrifugation)または濾過(filtration)過程を経ることができ、これらの段階は当業者が必要に応じて遂行することができる。菌体を除去した培養培地(ろ液)は、通常の方法にて冷蔵し、その活性を失わないように短期保存することができる。
【0076】
形質転換細胞(または形質転換体)で発現させた融合タンパク質は通常の方法で精製することができる。例えば、塩析(例えば、硫酸アンモニウム沈殿、リン酸ナトリウム沈殿)、溶媒沈殿(アセトン、エタノール等を利用したタンパク質分画沈殿)、透析、ゲル濾過、イオン交換、逆相カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーのようなカラムクロマトグラフィー、及び限外濾過等の技法を単独または組み合わせで適用させて、本発明の融合タンパク質を精製することができる。
【0077】
本発明のインターフェロン受容体は、翻訳後修飾(PTM; post-translational modification)中のグリコシル化が多量含まれている高度グリコシル化タンパク質(hyper-glycosylated proteins)であり、その糖が構造の安定性に対する問題を引き起こすため、微生物の培養に適していないこともある。従って、本発明のポリペプチドは、好ましくは、宿主細胞を動物細胞にするものがよい。
【0078】
これに於いて、本発明はポリペプチドを有効成分として含むI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0079】
本発明に係る「I型インターフェロン媒介型疾病または障害」とは、I型インターフェロンによって媒介される疾病または障害、またはインターフェロン誘導性遺伝子の異常発現(例えば、過発現または発現抑制)に関連する疾患を意味する。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE、J Immunol. 2014 Jun 15; 192(12):5459-5468。)、シェーグレン症候群(Autoimmun Rev. 2013 Mar ; 12 (5):558-66)、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、炎症性腸疾患(IBD)(クローン病、潰瘍性大腸炎及びセリアック病を含む)、多発性硬化症(MS)、乾癬、自己免疫甲状腺炎、関節リウマチ(RA、Front Immunol. 2017; 8:2007)、炎症性筋炎(Arthritis Rheum 2009 ; 60:181524 ; Mol Med 2007; 13:5968)。及び糸球体腎炎が含まれるが、これらに限定されるものではない。更に、本発明の組成物は、移植拒否の抑制や防止、または移植片対宿主反応(GVHD)の治療、またはHIV感染/AIDSの治療に使用することができる。
【0080】
一方、本発明に係る薬学的組成物は、前記ポリペプチドの純粋な形または薬学的に許容される担体と一緒に適した形に剤形化することにより提供することができる。「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され、ヒトに投与するとき、通常に胃腸障害、めまい等のアレルギー反応またはこれらに類似な反応を起こさない非毒性の組成物を意味する。前記担体としては、あらゆる種類の溶剤、分散媒質、水中油または油重水エマルジョン、水性組成物、リポソーム、マイクロビーズ及びマイクロゾームが含まれる。
【0081】
一方、本発明に係る薬学的組成物は、投与経路に応じて適切な担体と一緒に剤形化されることができる。前記本発明に係る薬学的組成物の投与経路としては、これに限定されないが、経口または非経口に投与することができる。非経口投与経路には、例えば、経皮、鼻腔、腹腔、筋肉、皮下または静脈等の複数の経路が含まれる。
【0082】
本発明の薬学的組成物を経口投与する場合、本発明の薬学的組成物は適切な経口投与用担体と一緒に当該業界に公知された方法に基づいて、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、懸濁液、ウェーハ等の形態で剤形化することができる。適切な担体の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びマルチトール等を含む糖類と、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉及びじゃがいも澱粉等を含む澱粉類と、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等を含むセルロース類と、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等の充填剤を含むことができる。また、場合によって、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはナトリウムアルギネート等を崩解剤に添加することができる。さらに、前記薬学的組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤等を追加に含むことができる。
【0083】
また、非経口的に投与する場合、本発明の薬学的組成物は、適切な非経口担体と一緒に注射剤、経皮投与剤及び点鼻薬(nasal inhaler)の形で、当該業界に公知となった方法に応じて剤形化することができる。前記注射剤の場合には、必ず滅菌する必要があり、細菌及び真菌等の微生物の汚染から保護しなければならない。注射剤の場合、適切な担体の例として、これに限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、これらの混合物及び/または植物油を含む溶媒または分散媒質であってもよい。より好ましくは、適切な担体として、ハンクス液、リンゲル液、トリエタノールアミンが含有されたPBS(リン酸緩衝生理食塩水 ; phosphate buffered saline)または注射用滅菌水、10%エタノール、40%プロピレングリコール及び5%デキストロースのような等張液等を使用することができる。前記注射剤を微生物汚染から保護するためには、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の様々な抗菌剤及び抗真菌剤を追加に含むことができる。また、前記注射剤は、ほとんどの場合、糖または塩化ナトリウムを追加に含むことができる。
【0084】
経皮投与剤の場合、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、外用液剤、ペースト剤、塗布剤、エアロゾール剤等の形態が含まれる。前記「経皮投与」とは、薬学的組成物を皮膚に局所投与して薬学的組成物に含有された有効量の活性成分が皮膚内に伝達されることを意味する。これら剤形は、製薬と化学に於いて一般的に公知となった処方箋に記述されている。
【0085】
吸入投与剤の場合、本発明に基づいて使用される化合物は、適切な推進剤、例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体を使って、加圧パックまたはネブライザー(nebulizer)からエアゾールスプレーの形態で便利に伝達することができる。加圧エアロゾールの場合、投薬単位は計量された量を伝達するバルブを提供して決定することができる。例えば、吸入器またはブローガスに使用されるゼラチンカプセル及びカートリッジは化合物、及びラクトースまたは澱粉等の適切な粉末化基剤の粉末混合物を含有するように製剤化することができる。その他の薬学的に許容される担体としては、当該業界に公知となったことを参考にしてもよい。
【0086】
また、本発明に係る薬学的組成物は、複数の緩衝剤(例えば、生理食塩水またはPBS)、カーボハイドレート(例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン)、安定化剤(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸)、抗酸化剤、静菌剤、キレート剤(例えば、EDTAまたはグルタチオン)、アジュバント(adjuvant)(例えば、アルミニウムヒドロキシサイド)、懸濁剤、濃厚剤及び/または保存剤(塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル・パラベン、及びクロロブタノール)を追加的に含むことができる。
【0087】
また、本発明の薬学的組成物は哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速性、持続性または遅延性の放出を提供することができるように、当該業界に公知となった方法を使用して製剤化されることができる。
【0088】
前記方法で剤形化された薬学的組成物は、有効量で経口、経皮、皮下、静脈または筋肉を含む複数の経路を介して投与することができる。前記「有効量」とは、患者に投与したとき、診断または治療効果の追跡を可能にする化合物または抽出物の量を意味する。本発明に係る薬学的組成物の投与量は、投与経路、投与対象、対象疾患及びその重症度、年齢、性別、体重、個人差及び疾病の状態に応じて適切に選択することができる。好ましくは、本発明のポリペプチドを含む薬学的組成物は、疾患の程度に応じて有効成分の含有量を異なるようにすることができるが、通常に成人を基準とすると、1回投与時10μg~10mgの有効容量で一日に数回の反復投与をすることができる。
【0089】
尚、本発明はポリペプチドを有効成分として含むワクチンを提供し、本発明に係るワクチンはI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用ワクチンであることを特徴とする。
【0090】
本発明に於いて、用語、「ワクチン」とは、生体に免疫を与える抗原を含有する生物学的製剤であり、感染症の予防のためにヒトや動物に注射すること、または経口投与することにより、生体に免疫を生じさせる免疫原または抗原性物質を意味する。生体内の免疫は、病原体の感染後に生体内免疫力が自動に得られる自動免疫と、外部から注入したワクチンによって得られる受動免疫に大きく分けられる。自動免疫は免疫に関わる抗体の生成期間が長く、継続的な免疫力の特徴を有するが、ワクチンによる受動免疫は、直ちに感染症の治療に作用する反面持続力が低下するデメリットがある。
【0091】
本発明のワクチン組成物には薬剤学的に許容される担体を含むことができる。抗原物質を生体内部位に伝達するのに適した任意の成分を意味する。例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、血清含有溶液、ハンス溶液(Hans solution)、その他の水溶性生理学的平衡溶液、オイル、エステル、及びグリコール等が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明の担体は化学的安定性及び等張性を増進させるために適切な補助成分と保存剤を含むことができ、トレハロース、グリシン、ソルビトール、ラクトースまたはモノナトリウムグルタミン酸(MSG)のような安定化剤を含ませ、温度変化または凍結乾燥に対するワクチン組成物を保護することができる。本発明のワクチン組成物は滅菌水または生理食塩水(好ましくは、緩衝された食塩水)のような懸濁液を含むことができる。
【0093】
本発明のワクチン組成物は、免疫原に対する免疫反応を向上させるのに十分な量の任意のアジュバントを含有することができる。適切なアジュバントは当該業界に公知されており、例えば、アルミニウム塩(リン酸アルミニウム(Aluminium phosphate)またはアルミニウムヒドロキシド(Aluminium hydroxide)、スクワラン(Squalene)混合物(SAF-1)、ムラミル(muramyl)ペプチド、サポニン(Saponin)誘導体、マイコバクテリア(mycobacterium)細胞壁製造物、モノホスホリル(monophosphoryl )脂質A、ミコール酸(mycolic acid)誘導体、非イオン性ブロック共重合体性界面活性剤、Quil A、コレラ毒素Bサブユニット(cholera toxin B subunit)、ポリホスファゼン(polyphosphazene)及び誘導体、及び免疫刺激複合体(immune-stimulating complexes、ISCOMs)を含むが、これに限定されない。
【0094】
他の全てのワクチン組成物と同様に、免疫原の免疫学的有効量は、経験的に決定されるべきであり、この場合、考慮することができる因子は免疫原性、投与経路、及び投与される免疫投与回数が挙げられる。また、患者の疾患の進行と転移状態、剤形の種類、患者の年齢、性別、体重、健康状態、食餌、投与時間及び投与方法に応じて調節することができる。
【0095】
本発明のワクチン組成物中の二量体型ポリペプチドは本発明の組成物内で様々な濃度で存在することができるが、通常に前記抗原物質が生体内で適切なレベルの抗体の形成を誘導するのに必要な濃度で含まれる。
【0096】
本発明に於いて、用語「投与」とは、任意の適切な方法で患者に所定の物質を導入することを意味し、本発明のワクチンの投与経路はこれらの目的組織に到達することができる限り、任意の一般的経路を通じて投与されることがてきる。
【0097】
本発明のワクチン組成物は全身または粘膜の経路を介して投与されることによりI型インターフェロン媒介型疾病または障害を治療するために使用することができる。
【0098】
ワクチン組成物の投与は筋内、腹膜内、皮内または皮下経路を介する注射、経口/食事、呼吸器、泌尿生殖管への粘膜投与を含むことができるが、これに限定されない。
【0099】
また、ワクチンの効能を高めるためにワクチンの注入時にIL-12のようなT細胞の活性化を助けるサイトカインを併用投与すること、またはこれらのサイトカイン遺伝子を形質変換させたワクチンを使用することができると考えられる。
【0100】
本発明により製造されるワクチンの有効成分である二量体型ポリペプチドを含む細胞は、ヒト体内に治療用ワクチンとして接種するので、安全性を高めるために細胞増殖性を無くしておくことも可能である。例えば、選択的に細胞ワクチンとしてより安全に利用するために加熱処理、放射線処理、またはマイトマイシンC(mitomycin C、MMC)処理等で処理を行い、ワクチンとしての機能を残した上、増殖性を無くすことができる。例えば、X線照射を利用する場合、総放射線量1000乃至3300 Radで照射することができる。マイトマイシンC処理法は、例えば、ポリペプチドの25~50μg/mlのマイトマイシンCを添加して、37℃、30分~60分間保温処理を行うことができる。熱による細胞処理方法は、例えば、50℃~65℃で20分間加熱処理を行うことができる。
【0101】
本明細書で「治療」とは、治療される個体または細胞の自然過程(natural process)を変更させる臨床施術を意味し、臨床病理の予防のためにも遂行することができる。治療の好ましい効果は、病気の発生または再発抑制、症状の緩和、疾病の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減少、疾患の進行速度の減少、疾患状態の改善、好転、緩和または改善された予後等を含む。また、用語「予防」とは、疾患の発病を抑制することまたは進行を遅延させる全ての行為を意味する。
【0102】
本明細書に於いて、用語「~を含む(comprising)」とは、「含有する(including)」または「特徴とする(characterized by)」と同じ意味で使用され、本発明に係る組成物または方法に於いて、具体的に記載されていない追加的構成成分または方法の段階等を排除しない。また、用語「~からなる、~構成される(consisting of)」とは、個別に記載されていない追加的要素、段階または成分等を除外することを意味する。用語「必須に構成される(essentially consisting of)」とは、組成物または方法の範囲に於いて、記載された物質または段階に加えてその基本的特性に実質的に影響を及ぼさない物質または段階等を含むことができることを意味する。
【0103】
また、本発明はI型インターフェロン媒介型疾病または障害の予防または治療用製剤を製造するための前記ポリペプチドの使用を提供する。
【0104】
また、本発明は前記ポリペプチドを有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする個体に投与する段階を含むI型インターフェロン媒介型疾病または障害の治療方法を提供する。
【0105】
本発明の前記「有効量」とは、個体に投与した場合、I型インターフェロン媒介型疾病または障害の改善、治療、予防、検出、診断、またはI型インターフェロン媒介型疾病または障害の抑制または減少効果を示す量を意味し、前記「個体」とは、動物、好ましくは哺乳動物、特にヒトを含む動物であってもよく、動物に由来する細胞、組織、器官等であってもよい。前記個体は前記効果が必要な患者(patient)でもよい。
本発明の前記「治療」とは、I型インターフェロン媒介型疾病または障害、またはI型インターフェロン媒介型疾病または障害の症状を改善させることを包括的に指し、これは前記疾患の治癒、実質的予防、または状態の改善を含むことができ、前記疾患を始めにする一つの症状または殆どの症状を緩和させること、または治癒や予防をすることを含むが、これに制限されるものではない。
【発明の効果】
【0106】
本発明のI型インターフェロンの中和型Fc融合タンパク質は、シグナリング機序の開始及び生物学的活性の抑制に優れており、 I型インターフェロンとインターフェロン受容体の結合を遮断しながらI型インターフェロンが媒介する疾患を効果的に治療することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【
図1】
図1は、I型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質の生産用の発現ベクターの製作模式図を示したものである。
【
図2a】
図2aは、サイズ排除クロマトグラフィーを通じて各タンパク質の大きさを比較した結果である。
【
図2b】
図2bは、自然条件と還元条件(reducing condition)でIFNAR1/2異種性Fc融合タンパク質とヒトIFNβの結合を確認した結果である。
【
図2c】
図2cは、I型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質を示した模式図である。
【
図3】
図3は、I型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質をSPRで分析した結果を示した図である。
【
図4】
図4a乃至4cは、本発明のI型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質のI型インターフェロンの中和能を確認した結果である。
【
図4a】
図4aは、ヒトIFNβ-1a単独またはI型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質と一緒に処理したダウディー細胞(Daudi cell)での細胞生存率を示した結果である。
【
図4b】
図4bは、ヒトIFNβ-1a単独またはI型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質と一緒に処理したIC50値を示した結果である。
【
図4c】
図4cは、本発明のタンパク質の濃度に応じてヒトIFNβ-1aを処理したダウディー細胞の細胞生存率を示した結果である。
【
図5】
図5は、本発明のIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(4GS
*3)タンパク質のI型インターフェロン(IFN-α 1、IFN-α 2a、IFN-α 2b、IFN-α 5、IFN-α 8、IFN-α 10、IFN-β 1a、IFN-ω)の生物学的活性の中和能を確認したものであり、I型インターフェロンを入れたグループと、各インターフェロンにIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(4GS
*3)タンパク質を処理したグループのダウディー細胞の細胞生存率を示した。
【
図6a】
図6a及び6bは、本発明のIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(4GS
*3)タンパク質のI型インターフェロンのシグナリング機序に対する中和能を確認した結果であり、I型インターフェロン(IFN-α 1、IFN-α 2a、IFN-α 2b、IFN-α 5、IFN-α 8、IFN-α 10、IFN-β 1a、IFN-ω、IFN-ε)を入れたグループと、各インターフェロンにIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(4GS
*3)タンパク質を処理したグループのダウディー細胞のSTAT1タンパク質のリン酸化の変化を示した結果である。
【
図6b】
図6a及び6bは、本発明のIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(4GS
*3)タンパク質のI型インターフェロンのシグナリング機序に対する中和能を確認した結果であり、I型インターフェロン(IFN-α 1、IFN-α 2a、IFN-α 2b、IFN-α 5、IFN-α 8、IFN-α 10、IFN-β 1a、IFN-ω、IFN-ε)を入れたグループと、各インターフェロンにIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(4GS
*3)タンパク質を処理したグループのダウディー細胞のSTAT1タンパク質のリン酸化の変化を示した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0108】
以下、本発明を詳細に説明する。
但し、下記の実施例は本発明を単に例示するものであり、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
【0109】
実施例1:I型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質の生産のための発現ベクターの製作
I型インターフェロンタンパク質に結合または中和が可能なFc融合タンパク質を開発するために、ヒトIFNAR1(P17181、28-436 aa.)、IFNAR2(P48552、27-243 aa.)とIGHG(P01857、100-330 aa.)アミノ酸配列を利用した。当該発現ベクターは
図1(左)側に示したように、全てのFc融合タンパク質発現ベクターはC末端にFcがポリペプチドリンカー(L; IEGRMD)で標識され、このC末端とコザック(kozak)配列(▲)と細胞外分泌誘導シグナリング配列(S)を含むN末端の間にIFNAR1、IFNAR2に接続されるか、または直接接続されている。
図1(右)のように各遺伝子を含む配列は制限酵素NheIとXhoIの間に接続された。発現ベクターは、それぞれpIFNAR1-FcWT、pIFNAR2-FcWT、pIFNAR1-FcA、pIFNAR2-FcB、pIFNAR1-FcBそしてpLeader-FcAと命名した。
【0110】
コザック配列とシグナリング配列が含むポリヌクレオチド配列(配列番号1)、IFNAR1の細胞外ドメイン(配列番号3)、IFNAR2の細胞外ドメイン(配列番号5)、ポリペプチドリンカー(配列番号7)、及びヒトIGHGのFc部分(配列番号11)及び変異体(配列番号13、配列番号15)を含む遺伝子をコドン最適化(codon optimization)した上に遺伝子を合成し、
図1.のe-gの塩基配列切片を作製した。各塩基配列切片を発現ベクター(pOptiVec-TOPO)の制限酵素部位のうち、NheIとXho Iの間にT4 DNAリガーゼ(RBC)を利用して発現ベクターを作製した。
【0111】
併せて、ポリペプチドリンカーを、配列番号7の代わりに配列番号33のリンカーを使用したことを除いては、同一にして発現ベクターを作製した。つまり、コザック配列とシグナリング配列が含むポリヌクレオチド配列(配列番号1)、IFNAR1の細胞外ドメイン(配列番号3)、IFNAR2の細胞外ドメイン(配列番号5)、ポリペプチドリンカー(配列番号33)、そしてヒトIGHGのFc部分(配列番号11)及び変異体(配列番号13、配列番号15)を含む遺伝子をコドン最適化した上に遺伝子を合成し、
図1.のe-gの塩基配列切片を作製した。各塩基配列切片を発現ベクター(pOptiVec-TOPO)の制限酵素部位のうち、NheIとXho Iの間にT4 DNAリガーゼ(RBC)を利用して発現ベクターを作製した。
【0112】
実施例2:タンパク質の発現精製、構造確認と結合の確認
各組み合わせの塩基配列断片が挿入された発現ベクターを利用し、
図2cに示した通りの構造のタンパク質を生産するために以下の発現及び精製工程を行った。
各I型インターフェロン受容体の固有PTMを維持するために、全ての組換えタンパク質の発現はヒト由来の発現細胞であるExpi293細胞株(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を利用して、一時的発現システム(Transient expression system)のプロトコルに応じて300-600 mLのExpi293(登録商標)発現培地(expression medium)が使用された。最終タンパク質に応じて、一種または二種の発現ベクターを細胞内へ形質注入した後、製造会社のプロトコルに基づいてエンハンサー1、2を入れた。この後、6日間培養した培養液を6580 rpm、20分、8℃の条件で遠心分離をした後に0.22μm ポリスチレン・フィルター(コーニング(Corning)を用いて濾過した。全てのタンパク質の精製は、AKTA avant精製システム(GEヘルスケアライフサイエンス (GE healthcare Life Sciences))で行い、マブセレクトスレ(MabSelect SuRe)(GEヘルスケアライフサイエンス)が充填されたカラムを5 ml/分の速度で20mM リン酸ナトリウム、pH 7.2 150mM NaClバッファーを用いて2 CVほど平衡化させた後、培養液を流してレジンに結合するようにした。
以後、5 CVの35mM リン酸ナトリウム、pH 7.2、500 mM NaClバッファーと1 CVの20mM リン酸ナトリウム、pH 7.2バッファーを用いてカラムの洗浄過程を済ませた後に100mM クエン酸バッファー、pH 3.5バッファーで組換えタンパク質を遊離した。遊離されたタンパク質は4Lの1X PBSバッファー(バイオセザン(Biosesang))を利用して12時間、3回の透析プロセスを済ませた後、アミコンウルトラ遠心フィルター(Amicon Ultra Centrifugal filter)(50K-cut off、Merck Millipore)を利用して3mlまで濃縮した。濃縮された組換えタンパク質を更にHiload Superdex 200 pg (GEヘルスケアライフサイエンス)カラムに於いて透析に使った同じバッファーを利用してターゲットタンパク質のみを分離した。
【0113】
その結果、
図2aに示したように、サイズ排除クロマトグラフィーを通じて各Fc融合タンパク質の大きさを比較しており、
図2cに示されたタンパク質の構造を有することが予想される。
【0114】
また、
図2bに示したように、IFNAR1/2異種性Fc融合タンパク質とヒトIFN β-1aとの間の結合を自然条件(7.5%Mini-PROTEIN(R)TGX (登録商標)プレキャストタンパク質ゲル (Precast protein gels))、還元条件(Any kD(登録商標)
Mini-PROTEIN (R)TGX(登録商標)
プレキャストタンパク質ゲル、バイオ-ラッド(Bio-rad) )でそれぞれ確認した。
【0115】
本発明のアミノ酸配列のうちFC部分はIGHG1のヒンジ部分を含んでおり(100-330a.a.)、109-109、112-112番目のアミノ酸によってジスルフィド結合が形成され、二量体が形成された。より具体的には、異種性二量体(HETERODIMER)の形成は、FCのCH3部分の特定のアミノ酸配列の変更により、同種性二量体(homodimer)から異種性二量体に優越(dominant)発生したものである。
【0116】
実施例3:Fc融合タンパク質を利用いたSPR分析
図1の発現ベクターの組み合わせを通じて発現/精製されたFc融合タンパク質(IFNAR2-Fc 異種性二量体、IFNAR1/2-Fc 異種性二量体、IFNAR1-Fc 異種性二量体)とI型 IFNsのhIFN β-1aとの結合力(affinity)と動力(kinetics)分析を行った。
【0117】
本実験に於いて、(IFNAR1-Fc EW + -Fc RVT)、(IFNAR2Fc EW + -Fc RVT)及び(IFNAR1-Fc EW + IFNAR2Fc RVT)を利用して、結合力及び動力解析を行った。(IFNAR1-Fc RVT + IFNAR2-Fc EW)を発現した場合は、(IFNAR1-Fc EW + IFNAR2-Fc RVT)より同種性二量体の形態が多く示される問題が確認できたので、(IFNAR1-Fc RVT + IFNAR2-Fc EW)の形態では使用しなかった。
【0118】
Biacore T200(GEヘルスケアライフサイエンス)に基づいて、25℃、30μl/分の条件と0.005% DPBST(DPBS / 修飾(modified)、ハイクローンとトゥイーン20(Hyclone and Tween20)、シグナリング(Signal)) ランニングバッファー (Running buffer)を使用しており、ゴールドセンサーチップは、抗ヒトFcγキャプチャー抗体( AffiniPure Goat Anti-Human IgG、Fcγfragment specific、Jackson ImmunoResearch)をアミンカップリング(amine coupling)した。各分析物は、180秒、結合と600秒、ハリー解離条件にて実験を行った。
図3に示したように、hIFNb-1a-IFNAR2(1:1 フィッティング・モデル(fitting model))、hIFNb-1a-IFNAR1/2(異種性リガンドモデル(heterogeneous ligand model))、hIFNb-1a-IFNAR1(2状態結合モデル(two-state binding models))のセンサーグラム(sensorgrams)形状とドッキング(Docking)モデルの予測に基づいてカーブフィッティング(curve fitting)が形成されており、特に、IFNAR1/2異種性Fc融合タンパク質から低いK
D値が示された。(表2及び表3参照)
【0119】
【0120】
【0121】
実施例4:Fc融合タンパク質のリガンドによる生物学的活性を中和能の確認
Fc融合タンパク質のリガンドに起因した生物学的活性に対する中和能を確認するために以下の実験を実施した。実施例3と同様に、本実験に於いては(IFNAR1-Fc EW + -Fc RVT)、(IFNAR2Fc EW + -Fc RVT)及び(IFNAR1-Fc EW + IFNAR2Fc RVT)を利用した。
全ての実験は、各受容体の発現が全部沢山できているダウディー細胞に於いて、Ez-cytox細胞生存率アッセイキット(Ez-cytox cell viability assay kit)(Deaillab)を利用したhIFN-βの抗増殖効果に基づいて設計されており、本試験法はSPRの動力分析結果と同様に、リガンドの生物物理学的特徴をよく反映する試験結果を示した。
具体的に、96ウェルプレート(96 well plate)(SPL)の3×103 細胞の細胞にhIFN-β-1aを濃度別(10 nMのIFNAR1-Fc 異種性二量体、IFNAR2-Fc 異種性二量体、IFNAR1/2-Fc 異種性二量体; 6 pMのIFNAR1/2-Fc 異種性二量体)に入れた後、72時間、37℃、5% CO2の細胞培養器で反応させた。その後、Ex-cytox試薬を製造会社のプロトコルに従って入れた後、追加で3時間反応させた後にマイクロリーダー(Microplate reader)(Genios Pro、Tecan)の450 nmで測定し、非線形回帰分析 (GraphPad Prism version 7.0 software、サンディエゴ、Ca、米国)を利用してIC50値を比較分析した。本発明の各タンパク質の中和能は、 一元配置分散分析 (One-way ANOVA)、 ボンフェローニの事後検定後の多重比較(Bonferroni's multiple comparisons post hoc test)を通じて統計的有意性を確認した。
【0122】
図4aに示したように、インターフェロンがIFNAR1とIFNAR2との結合を全部遮断するFc融合タンパク質の処理の場合に、IFNAR1とIFNAR2をそれぞれ遮断する融合タンパク質の場合に比較し、インターフェロンによる抗-細胞増殖が顕著に減少することを確認した。
図4bに示したように、本発明に係るIFNAR1とIFNAR2を全部遮断するFc融合タンパク質の添加の場合に、IC50値が最も高かった。従って、インターフェロンによる抗-細胞増殖がIFNAR1またはIFNAR2をそれぞれ遮断した場合よりも細胞生存率が優れることを確認した。
図4cに示したように、最も高い中和能を有するIFNAR1/2-Fc 異種性二量体を処理する場合、濃度依存的に細胞生存率が高くなることを確認した。
【0123】
実施例5:IFNAR1/2-Fc 異種性二量体のリガンドによるシグナリング機序活性中和能の確認
下記にて記載されたIFNAR1/2-Fc 異種性二量体を除いては、実施例4と同様にしてIFNAR1/2-Fc 異種性二量体のリガンドによる生物学的活性中和能を確認した。
具体的に、96ウェルプレート(SPL_cat#30096)の3×10
3 細胞の細胞にIFNs(IFN-α 1(pblアッセイサイエンス_キャット(pbl assay science_cat)#11125-1)、IFN-α 2a( pblアッセイサイエンス_キャット#11100-1)、IFN-α 2b(pblアッセイサイエンス_キャット#11105-1)、IFN-α 5(pblアッセイサイエンス_キャット#11135-1)、IFN-α 8(pblアッセイサイエンス_キャット#11115-1)、IFN-α 10(pblアッセイサイエンス_キャット#11120-1)、IFN-β 1a(pblアッセイサイエンス_キャット#11415-1)、IFN-ω(pblアッセイサイエンス_キャット#11395-1)をそれぞれ1nMの濃度で入れてくれたグループと、各インターフェロンにI型インターフェロンのFc融合受容体タンパク質を10nmの濃度で処理したグループを、72時間37℃、5% CO
2の細胞培養器で反応させた。その後、Ex-cytox試薬を製造会社のプロトコルに従って入れた後、追加で2時間反応させた後にマイクロリーダー(Genios Pro、Tecan)の450 nmで測定し、非線形回帰分析 (GraphPad Prism version 7.0 software、サンディエゴ、Ca、米国)を利用してIC
50値を比較分析した。
その結果、
図5に示したように、IFNAR1とIFNAR2の結合を全部遮断するIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(リンカーとして4GS
*3を使用)をIFN-α 1、IFN-α 2a、IFN-α 2b、 IFN-α 5、IFN-α 8、IFN-α 10、IFN-β 1a、IFN-ωに処理した場合、インターフェロンだけを処理した細胞生存率に比較したとき、細胞生存率が著しく優れることを確認した。
【0124】
このような結果を通して、本発明のインターフェロン受容体の断片または抗体のFc断片を含むモノマーが結合された二量体型ポリペプチドによって、細胞に対して過剰なインターフェロンシグナリングの調節が可能であることを知ることができ、これを通して、過度のインターフェロンシグナリングによって発現されるインターフェロン誘導性遺伝子が高いレベルで示される全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬化症、筋炎、及び関節リウマチのようなI型インターフェロン媒介型疾病の患者に優れる薬物学的効果を奏することを知ることができた。
【0125】
実施例6:IFNAR1/2-Fc 異種性二量体のリガンドによる化学的シグナリング抑制能の確認
全ての実験は、各受容体の発現が全部沢山できているダウディー細胞に於いて、ウエスタンブロット(Western blot)を利用し、I型IFNsによるSTAT1とそのリン酸化されたpSTAT1タンパク質の変化を確認する目的で行われた。
具体的に、6ウェルプレート(SPL_cat#30006)に2×10
6 細胞の細胞にIFNs(IFN-α 1(pblアッセイサイエンス_キャット#11125-1)、IFN-α 2a(pblアッセイサイエンス_キャット#11100-1 )、IFN-α 2b(pblアッセイサイエンス_キャット#11105-1)、IFN-α 5(pblアッセイサイエンス_キャット#11135-1)、IFN-α 8(pblアッセイサイエンス_キャット#11115-1)、IFN-α 10(pblアッセイサイエンス_キャット#11120-1)、IFN-β 1a(pblアッセイサイエンス_キャット#11415-1)、IFN-ω(pblアッセイサイエンス_キャット#11395-1)、IFN-ε(R&D システム_キャット(R&D systems_cat)#9667-ME)をそれぞれ1nMの濃度で入れてくれたグループと、各インターフェロンにIFNAR1/2-Fc 異種性二量体タンパク質を10nMの濃度で処理したグループを72時間37℃、5% CO
2の細胞培養器で反応させた。その後、細胞をプレートから収集し、総タンパクを抽出し、BCA タンパク質アッセイ(BCA protein assay kit)(サーモサイエンティフィック_キャット(Thermo scientific_cat)#23227)で定量した。総タンパク質をドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (sodium-dodecylsulfate-polyacrylamide gel electrophoresis、SDS-PAGE)にて10%ゲルで分離し、PVDF膜(バイオラッド_キャット(BIO RAD_cat)#1620177)に転写させた。膜を5%脱脂乳、3%ウシ血清アルブミン、10mmlo /Lトリス-HCL(pH 8.0)、150 mmol/L NaCl 、及び0.05%ツイン-20を用いて、常温で1時間遮断した。遮断されたメンブレインに1次抗体(1:3000希釈)であるSTAT1抗体(細胞シグナリング_キャット(cell signaling_cat)#06-501)、pSTAT1抗体(細胞シグナリング_キャット#58D 6)、β-アクチン抗体(サンタクルーズ_キャット (santa cruz_cat)#sc 47778)を4℃で夜通し処理した。その後、2次HRP-接合抗体であるヤギ抗ウサギ(goat anti rabbit)抗体(インビトロジェン_キャット(Invitrogen_cat)#31460)とヤギ抗マウス(goat anti mouse)抗体(インビトロジェン_キャット#G21040)を常温で1時間処理した。メンブレインのECL溶液(バイオラッド_キャット#1705061)を処理した後、poohung社のデベロッパーとフィクサー(developer & fixer)を利用して、フィルム(Agfaヘルスケアー_キャット(Agfa healthcare_cat)#EA8EC)に可視化した。
その結果、
図6a及び6bに示したように、IFNAR1とIFNAR2の結合を全部遮断するIFNAR1/2-Fc 異種性二量体(4GS
*3)タンパク質をインターフェロン(IFN-α 1、IFN-α 2a、IFN-α 2b、 IFN-α 5、IFN-α 8、IFN-α 10、IFN-β 1a、IFN-ω、IFN-ε)に処理した場合、インターフェロンだけを処理した場合の高いpSTAT1タンパク質のリン酸化に比較した結果、著しく減少したpSTAT1タンパク質のリン酸化が確認できた。これは、IFNAR1/2-Fc 異種性二量体タンパク質がI型インターフェロンと結合して中和能を示すので、細胞内に於いてのインターフェロン関連のシグナリング伝達が阻害されることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明のI型インターフェロンの中和型Fc融合タンパク質は、I型インターフェロンとインターフェロン受容体の結合を遮断しながら、シグナリング機序の開始及び生物学的活性の抑制に優れており、I型インターフェロンが媒介する疾患を予防または治療するための治療剤の開発に極めて有用に使用することができるので、産業上の利用可能性が極めに優れる。
【配列表】