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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】アシストスーツの腰部装着部
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20241218BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B25J11/00 Z
A61F5/02 D
A61F5/02 K
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024001098
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2023025916の分割
【原出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2024032743
(43)【公開日】2024-03-12
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502369573
【氏名又は名称】ユーピーアール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】300006607
【氏名又は名称】株式会社ヴァーゴウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100121669
【弁理士】
【氏名又は名称】本山 泰
(72)【発明者】
【氏名】酒田 健治
(72)【発明者】
【氏名】岩本 昭典
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091373(JP,A)
【文献】特開2018-011693(JP,A)
【文献】特表2016-515426(JP,A)
【文献】特許第5876550(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0221893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 11/00
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の背中部に装着される背骨部材と、前記装着者の腰部に装着される腰部装着部と、前記背骨部材を前記装着者の背中部に固定するための肩ベルトと、前記背骨部材を前記装着者の腰部に固定するための腰ベルトとを備えたアシストスーツの腰部装着部であって、
前記背骨部材と直接連結するための第1の連結部を備え、
前記アシストスーツは、前記装着者の脚部に固定するための固定部材と、前記固定部材に接続されている足部ベルトを備える足部装着部を備え、
前記腰部装着部は、前記足部装着部と連結するための第2の連結部を備え、前記第2の連結部に前記足部ベルトを接続することにより、前記足部装着部と連結されるように構成され、
前記第1の連結部は、前記足部ベルトを摺動可能に保持するスリットを備え、
前記足部ベルトは、前記スリットを介して前記第1の連結部に接続され、前記足部装着部は、前記第1の連結部を介して前記背骨部材と連結されるように構成され、
前記腰部装着部の前記第1の連結部と前記第2の連結部は、前記腰部装着部に連結された前記足部装着部の前記足部ベルトがW字状となるように構成されている
シストスーツの腰部装着部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、身体の姿勢を矯正するとともに、荷物を運搬あるいは上げ降ろしする際の前屈動作をアシストするアシストスーツに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から身体の姿勢を矯正するとともに、荷物を運搬あるいは上げ降ろしする際の前屈動作をアシストするアシストスーツが提案されている。例えば、特許文献1のアシストスーツは、装着者の背中部に装着される背中部装着部を備え、背中部装着部は、装着者の背中部に固定するための肩ベルトおよび腰部ベルトと、装着者の背中部上部から臀部に渡って背中部装着部に密着し、装着者の背中部に沿って湾曲し、曲げ方向に対する弾性を有する部材からなる背骨部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-11693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のアシストスーツでは、背中部装着部に備えられた肩ベルトおよび腰部ベルトを用いて背中部装着部を装着者の背中部に密着させることにより、背中部装着部に備えられた背骨部材の弾性力によって装着者の前屈動作のアシストすることができるが、装着者の背中部に装着される背中部装着部に肩ベルト、腰部ベルト、および背骨部材を備える構成となっているため、夏場の気温の高い場所での作業や長時間の作業を行った場合に装着者の発汗により装着感が悪くなり、その結果として装着者が行う作業の妨げとなる場合がある。
【0005】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、姿勢矯正と前屈動作のアシスト効果を両立しながら、より装着感が良いアシストスーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本願発明に係るアシストスーツの腰部装着部は、装着者の背中部に装着される背骨部材と、前記装着者の腰部に装着される腰部装着部と、前記背骨部材を前記装着者の背中部に固定するための肩ベルトと、前記背骨部材を前記装着者の腰部に固定するための腰ベルトとを備えたアシストスーツの腰部装着部であって、前記背骨部材と直接連結するための第1の連結部を備え、前記アシストスーツは、前記装着者の脚部に固定するための固定部材と、前記固定部材に接続されている足部ベルトを備える足部装着部を備え、前記腰部装着部は、前記足部装着部と連結するための第2の連結部を備え、前記第2の連結部に前記足部ベルトを接続することにより、前記足部装着部と連結されるように構成され、前記第1の連結部は、前記足部ベルトを摺動可能に保持するスリットを備え、前記足部ベルトは、前記スリットを介して前記第1の連結部に接続され、前記足部装着部は、前記第1の連結部を介して前記背骨部材と連結されるように構成されている。
【0007】
前記腰部装着部の前記第1の連結部と前記第2の連結部は、前記腰部装着部に連結された前記足部装着部の前記足部ベルトがW字状となるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、姿勢矯正と前屈動作のアシスト効果を両立しながら、より装着感が良いアシストスーツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、アシストスーツの背骨部材の構成例を示す図である。
図2図2は、アシストスーツの腰部装着部の構成例を示す図である。
図3図3は、アシストスーツの足部装着部の構成例を示す図である。
図4図4は、アシストスーツの構成例を示す図である。
図5図5は、アシストスーツの他の構成例を示す図である。
図6図6は、装着されたアシストスーツの構成例を示す図である。
図7図7は、装着されたアシストスーツの他の構成例を示す図である。
図8図8は、装着者が前屈動作を行った際のアシストスーツの動作例を示す図である。
図9図9は、装着者が前屈動作を行った際のアシストスーツの他の動作例を示す図である。
図10図10は、締め付け機構を備えた腰部装着部の構成例を示す図である。
図11図11は、締め付け機構を備えた腰部装着部の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の実施形態について図面を参照して説明する。本願発明は、様々な実施形態で実施することが可能であり、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0011】
<アシストスーツの背骨部材の構成>
図1は、アシストスーツの背骨部材の構成例を示す図である。図1のアシストスーツの背骨部材20は、装着者の背中部から臀部に渡る縦長の形状を備え、装着者の背中部に沿って湾曲しており、曲げ方向に対する弾性を有する部材から構成されている。背骨部材20は、肩ベルト11を摺動可能に保持する第1のスリット21と腰ベルト12を摺動可能に保持する第2のスリット22を備える。
【0012】
背骨部材を装着者の背中部に固定するための左右の肩ベルト11のそれぞれは、背骨部材20と第1のスリット21を介して保持され、装着者の前面を経由して背骨部材20に接続される。左右の肩ベルト11の長さを調節することにより、背骨部材20を装着者の背中部に密着させることができる。腰ベルト12は、第2のスリット22を介して背骨部材20に保持され、装着者の前面において腰部装着部に接続されることにより、背骨部材20を装着者の腰部に密着させることができる。腰ベルト12は、装着者の体形に応じて長さ調節が可能なように構成してもよいし、長さの異なる腰ベルトを交換するようにしてもよい。
【0013】
背骨部材20の第1のスリット21は肩ベルト11を摺動可能に保持し、肩ベルト11を保持する位置が変更可能な長さを有することにより、装着者の体形に合わせて肩ベルト11の装着位置が変更可能に構成されている。背骨部材20の第2のスリット22も同様に、腰ベルト12を摺動可能に保持し、腰ベルト12を保持する位置が変更可能な長さを有することにより、装着者の体形に合わせて腰ベルト12の装着位置が変更可能に構成されている。
【0014】
このような構成の背骨部材20と肩ベルト11、腰ベルト12を用いることで、様々な体形の装着者に合わせて背骨部材20を装着者の背中部および腰部に密着させることができる。背骨部材20を装着者の背中部および腰部に密着させることで、装着者の背中部および腰部と背骨部材20が一体となり、装着者の姿勢を矯正するとともに、背骨部材20の弾性力により装着者の前屈動作をアシストすることが可能となる。本構成例では、背骨部材20に装着者の背中部、腰部に密着させるための肩ベルト11および腰ベルト12を直接接続するように構成したので、夏場の気温の高い場所での作業や長時間の作業を行った場合でも、装着者が行う作業の妨げとならない装着感のよいアシストスーツを提供することが可能となる。
【0015】
本構成例における背骨部材20は、装着者の背中部から臀部に渡る縦長の形状を有し、装着者の背中部に沿って湾曲しており、曲げ方向に対する弾性を有する部材から構成されている。背骨部材20を構成する部材は、曲げ方向に対する弾性を有する金属材料や樹脂材料等の部材から構成することができるが、それらの材料に限定されるものではない。背骨部材の長さや部材は、装着者の体形や体力に応じて適宜変更すればよい。
【0016】
図1の構成例では、背骨部材20の長手方向中央部よりも上部における一部分、例えば、装着者の背中部の肩甲骨近傍における部分の幅が、他の部分と比較して相対的に幅が狭くなるように構成されている。このような構成により、背骨部材の弾性力を維持しながら、装着者の上半身のねじり動作をできるだけ阻害しないように背骨部材を構成することができる。
【0017】
<アシストスーツの腰部装着部の構成>
図2は、アシストスーツの腰部装着部の構成例を示す図である。腰部装着部40は、装着者の腰部に装着され、背骨部材20と連結するための第1の連結部41を備え、必要に応じて、足部装着部と連結するための第2の連結部42を備える。
【0018】
腰部装着部40は、第1の連結部41により背骨部材20と連結され、装着時に装着者の腰部を締め付けることにより、背骨部材20を装着者の腰部に固定することができる。背骨部材20を装着者の腰部に固定することにより、アシストスーツの装着者が前屈動作を行った際の背骨部材20の上下方向のずれを防止することができるので、背骨部材20のみの場合と比較して、装着者の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0019】
アシストスーツが足部装着部を備える場合、腰部装着部40は、足部装着部と連結するための第2の連結部42を備える。また、背骨部材20を連結する第1の連結部が、足部装着部の足部ベルト31を摺動可能に保持する第3のスリット43を備えるように構成してもよい。この第3のスリット43を介して足部装着部を背骨部材20に直接接続することができる。
【0020】
<アシストスーツの足部装着部の構成>
図3は、アシストスーツの足部装着部の構成例を示す図である。図1の背骨部材20と図2の腰部装着部40を備えるアシストスーツによれば、装着者の姿勢を矯正するとともに、装着者の前屈動作をアシストすることができるが、背骨部材20と腰部装着部40に加えて、さらに装着者の足部に装着する足部装着部30を備えることで、装着者の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0021】
図3のアシストスーツの足部装着部30は、装着者の膝部に固定するための固定部材32と、伸縮性を有する部材からなる、固定部材32に接続されている足部ベルト31を備えており、足部ベルト31を腰部装着部40の第2の連結部42に連結することにより、足部装着部30を腰部装着部40に接続することができる。
【0022】
固定部材32は、装着者の左右の膝部に固定するための円筒状の部材からなり、周囲から締め付けることにより装着者の膝部に固定される。この固定部材32は、図3の断面図のように、膝部に固定するための穴部を備えた筒状のベルトにより構成してもよいし、面ファスナー等の係合手段を備えた帯状の部材を膝部の上下において係合する構成としてもよい。
【0023】
足部ベルト31は、伸縮性を有する部材から構成されている。伸縮性を有する部材からなる足部ベルト31が腰部装着部40に連結され、装着者の膝部に固定された固定部材32に接続されているので、装着者が前屈動作を行った場合には、足部ベルト31が伸縮することで、腰部装着部40や腰部装着部40に連結された背骨部材20に対して、装着者の前屈動作をアシストする力を働かせることができる。
【0024】
また、腰部装着部40の第1の連結部41が、足部ベルト31を摺動可能に保持する第3のスリット43を備え、足部ベルト31を第3のスリット43を介して第1の連結部41に連結することで、足部装着部30が第1の連結部41を介して背骨部材20と直接接続されることになり、装着者の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0025】
足部装着部30は、腰部装着部40に着脱可能に連結されるので、装着者が行う作業の内容に応じて足部装着部30を着脱してアシストスーツの構成を変更し、アシスト効果の程度を調整することが可能となる。足部装着部の足部ベルト31や固定部材32の構成についても、装着者の体形や体力に応じて適宜変更することがきる。
【0026】
<アシストスーツの構成>
図4、5を用いて、本願発明の実施形態に係るアシストスーツ10の構成例を説明する。図4の構成例は、図1の背骨部材20と図2の腰部装着部40を連結したものであり、図5の構成例は、図4の構成にさらに図3の足部装着部30を連結したものである。
【0027】
図4に示すように、背骨部材20と腰部装着部40を連結させて、肩ベルト11、腰ベルト12によって背骨部材20を装着者の背中部および腰部に密着させ、さらに背骨部材20と連結された腰部装着部40を装着者の腰部に固定することによって、装着者の姿勢を矯正するとともに、装着者の前屈動作をアシストすることが可能となる。
【0028】
図5の構成例では、図4の構成にさらに図3の足部装着部30を連結している。図5に示すように、背骨部材20と腰部装着部40に加えて、伸縮性を有する足部ベルト31と固定部材32を備えた足部装着部30を装着者の膝部に固定し、第2の連結部42によって腰部装着部40と連結することにより、装着者の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0029】
また、図5に示すように、足部装着部30の足部ベルト31を、腰部装着部40の背骨部材20を連結するための第1の連結部41に設けられた第3のスリット43を介して第1の連結部41に連結することで、足部装着部30が第1の連結部41を介して背骨部材20と直接接続されることになり、装着者の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0030】
<装着されたアシストスーツの構成例>
図6は、装着されたアシストスーツの構成例を示す図である。図6は、図4で説明した背骨部材20、腰部装着部40を備えたアシストスーツ10が装着者1に装着された状態を示すものである。図6の側面図では、説明上の都合上、背骨部材20が装着者1から離れている状態を図示しているが、本願発明における背骨部材20は装着者1の背中部および腰部に可能な限り密着しており、装着者1と背骨部材20は一体となって動作するように構成されている。他の図においても同様である。
【0031】
図6の側面図に示すように、アシストスーツ10の背骨部材20は、装着者1の背中部から臀部に渡る縦長の形状を備え、装着者1の背中部に沿って湾曲しており、曲げ方向に対する弾性を有する部材から構成されている。背骨部材20は、肩ベルト11を摺動可能に保持する第1のスリット21と腰ベルト12を摺動可能に保持する第2のスリット22を備える。
【0032】
背骨部材20を装着者1の背中部に固定するための左右の肩ベルト11のそれぞれは、背骨部材20と第1のスリット21を介して接続され、装着者1の前面を経由して背骨部材20に接続され、左右の肩ベルト11の長さを調節することにより、背骨部材20を装着者1の背中部に密着させることができる。腰ベルト12は、第2のスリット22を介して背骨部材20に保持され、装着者1の前面において腰部装着部40に接続されることにより、背骨部材20を装着者1の腰部に密着させることができる。腰ベルト12は、面ファスナー等の係合手段によって腰部装着部に接続することができ、その接続位置は装着者の体形に応じて適宜変更することができる。
【0033】
腰部装着部40は、背骨部材20と連結するための第1の連結部41を備え、第1の連結部41により背骨部材20と連結され、装着時に装着者1の腰部を締め付けることにより、背骨部材20を装着者1の腰部に固定することができる。
【0034】
背骨部材20の第1のスリット21は肩ベルト11を摺動可能に保持し、肩ベルト11の保持する位置が変更可能な長さを有しているため、装着者1の体形に合わせて肩ベルト11の装着位置が変更可能に構成されている。背骨部材20の第2のスリット22も同様に、腰ベルト12を摺動可能に保持し、腰ベルト12を保持する位置が変更可能な長さを有しているため、装着者1の体形に合わせて腰ベルト12の装着位置が変更可能に構成されている。
【0035】
このような構成の背骨部材20と肩ベルト11、腰ベルト12、および腰部装着部40を用いることで、様々な装着者の体形に合わせて背骨部材20を装着者1の背中部および腰部に密着させることができる。背骨部材20を装着者1の背中部に密着させることで、装着者1の背中部および腰部と背骨部材20が一体となり、装着者1の姿勢を矯正するとともに、装着者1の前屈動作をアシストすることが可能となる。背骨部材20と連結された腰部装着部40を装着者1の腰部に固定することにより、装着者1が前屈動作を行った際の背骨部材20の上下方向のずれを防止することができるので、装着者の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0036】
さらに、本願発明では、背骨部材20を装着者1の背中部に密着させるための肩ベルト11および腰ベルト12を直接接続するように構成したので、夏場の気温の高い場所での作業や長時間の作業を行った場合でも、装着者1が行う作業の妨げとならない装着感のよいアシストスーツ10を提供することが可能となる。
【0037】
<装着されたアシストスーツの他の構成例>
図7は、装着されたアシストスーツの他の構成例を示す図である。図7は、図5で説明した背骨部材20、腰部装着部40、および足部装着部30を備えたアシストスーツ10が装着者1に装着された状態を示すものである。図7の構成例では、背骨部材20と腰部装着部40に加えて、さらに足部装着部30を備えることで、装着者1の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0038】
図7のアシストスーツ10の足部装着部30は、装着者1の膝部に固定するための固定部材32と、伸縮性を有する部材からなる、固定部材32に接続されている足部ベルト31を備えており、足部ベルト31を腰部装着部40の第2の連結部42に連結することにより、足部装着部30を腰部装着部40に接続することができる。
【0039】
固定部材32は、装着者1の左右の膝部に固定するための円筒状の部材からなり、周囲から締め付けることにより装着者1の膝部に固定される。この固定部材32は、膝部に固定するための穴部を備えた筒状のベルトにより構成してもよいし、面ファスナー等の係合手段を備えた帯状の部材を膝部の上下において係合する構成としてもよい。
【0040】
足部ベルト31は、伸縮性を有する部材から構成されている。伸縮性を有する部材からなる足部ベルト31が腰部装着部40に連結され、装着者1の膝部に固定された固定部材32に接続されているので、装着者1が前屈動作を行った場合には、足部ベルト31が伸縮することで、腰部装着部40や腰部装着部40に連結された背骨部材20に対して、前屈動作をアシストする力を働かせることができるので、図6の足部装着部がない場合と比較して、装着者1の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0041】
また、腰部装着部40の第1の連結部41が、足部ベルト31を摺動可能に保持する第3のスリット43を備え、足部ベルト31を第3のスリット43を介して第1の連結部41に連結することで、足部装着部30が第1の連結部41を介して背骨部材20と直接接続されることになり、装着者1の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0042】
<アシストスーツの動作>
図8は、装着者が前屈動作を行った際のアシストスーツの動作例を示す図である。図8は、図6で説明したように背骨部材20、腰部装着部40を備えたアシストスーツ10を装着した装着者1が前屈動作を行った場合の動作例を示すものである。
【0043】
背骨部材20に保持される肩ベルト11は、装着者1の前面を経由して背骨部材20に接続され、肩ベルト11の長さを調節することにより、背骨部材20を装着者1の背中部に密着させており、腰ベルト12は、装着者1の前面において腰部装着部40に接続されることにより、背骨部材20を装着者1の腰部に密着させている。腰部装着部40は、第1の連結部41により背骨部材20と連結され、装着時に装着者1の腰部を締め付けることにより、背骨部材20を装着者1の腰部に固定している。
【0044】
図8に示すように、背骨部材20が装着者1の背中部に密着している状態において、装着者1が前屈動作を行った場合、背骨部材20は装着者1の背中部と一体となって動作するので、背骨部材20の曲げ方向に対する弾性力により、装着者1の背中部を起こす方向に力が働き、装着者1の上半身の起き上がり動作をアシストすることとなる。
【0045】
図9は、図7で説明したように背骨部材20、腰部装着部40、および足部装着部30を備えたアシストスーツ10を装着した装着者1が前屈動作を行った場合の動作例である。背骨部材20と腰部装着部40に加えて、さらに足部装着部30を備えることで、装着者1の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0046】
図9における背骨部材20と腰部装着部40による装着者1の上半身の起き上がり動作のアシストについては、図8と同様であるので説明を省略する。図9では、足部装着部30の足部ベルト31は、腰部装着部40と連結され装着者1の膝部の固定部材32と接続されている。この状態で、装着者1が前屈動作を行うと、足部ベルト31は固定部材32を起点として伸ばされた状態となる。足部ベルト31が伸ばされた状態になると、固定部材32を起点として足部ベルト31が縮もうとする力が連結された腰部装着部40に働くので、この固定部材32を起点とする足部ベルト31の伸縮力により、腰部装着部40に対して前屈している装着者1の起き上がり動作をアシストする力が働くこととなる。
【0047】
また、足部装着部30の足部ベルト31を、腰部装着部40の背骨部材20を連結するための第1の連結部41に設けられた第3のスリット43を介して第1の連結部41に連結することで、足部装着部30が第1の連結部41を介して背骨部材20と直接接続されることになり、装着者1の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0048】
図9における固定部材32は、装着者1の左右の膝部に固定するための伸縮性を有する円筒状の部材から構成されており、装着者の膝部の上下を周囲から締め付ける構成となっている。このような構成にすることにより、装着者が前屈動作を行い足部ベルト31が伸ばされた際に、固定部材32が上方向にずれにくくなり、前屈動作のアシスト効果を高めることができる。
【0049】
以上述べたように、本願発明の実施形態では、装着者1の背中部から臀部に渡って密着している背骨部材20により、装着者1の姿勢矯正と前屈動作のアシスト効果の両方を達成し、さらに、背骨部材20を装着者1の背中部に密着させるための肩ベルト11および腰ベルト12を直接接続するように構成したので、夏場の気温の高い場所での作業や長時間の作業を行った場合でも、装着者が行う作業の妨げとならない装着感のよいアシストスーツ10を提供することが可能となる。
【0050】
また、アシストスーツ10が背骨部材20と腰部装着部40に加えて、背骨部材20、腰部装着部40と連結された足部装着部30を備える構成とすれば、さらに高いアシスト効果を有するアシストスーツ10を提供することが可能となる。
【0051】
<腰部装着部の構成例>
図10、11を用いて、腰部装着部40の他の構成例を説明する。図10、11は、締め付け機構50を備えた腰部装着部40の構成例を示す図である。
【0052】
図10の腰部装着部40は、腰部装着部40の所定の位置に配置されたスプール部51と、スプール部51と対向する位置に配置されたワイヤガイド部52と、スプール部51とワイヤガイド部52の間を接続するワイヤ部53とから構成される締め付け機構50を備えている。締め付け機構50は、腰部装着部40が装着者に装着された状態でスプール部51がワイヤガイド部52によってガイドされるワイヤ部53を巻き取ることにより、装着者の腰部を締め付けるように構成されている。このような締め付け機構50を備えることにより、腰部装着部40を装着者に対してより密着させることができるので、装着者の前屈動作をアシストする効果をさらに高めることが可能となる。
【0053】
図10に示すように、スプール部51とワイヤガイド部52は、他の部分に比べて柔軟性の高い素材からなるバンド部44を挟んで対向する位置に配置されていてもよい。このような構成により、装着者の体形に応じて腰部装着部40を装着者の腰部により密着させることができる。また、図11に示すように、図10の締め付け機構50のワイヤガイド部52を2つのワイヤガイド部(第1のワイヤガイド部、第2のワイヤガイド部)(52-1、52-2)で構成し、スプール部51側に別のワイヤガイド部(第3のワイヤガイド部)(52-3)を設けて、スプール部51およびワイヤガイド部(52-3)と対向する位置に2つのワイヤガイド部(52-1、52-2)を配置するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…装着者、10…アシストスーツ、11…肩ベルト、12…腰ベルト、20…背骨部材、21…第1のスリット、22…第2のスリット、30…足部装着部、31…足部ベルト、32…固定部材、40…腰部装着部、41…第1の連結部、42…第2の連結部、43…第3のスリット、50…締め付け機構、51…スプール部、52、52-1~52-3…ワイヤガイド部、53…ワイヤ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11