(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】天井材
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
E04B9/18 R
(21)【出願番号】P 2020218061
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】521000149
【氏名又は名称】マサインターナショナル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】521000987
【氏名又は名称】高橋 啓介
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 啓介
【審査官】齋藤 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-044443(JP,A)
【文献】特開平11-236737(JP,A)
【文献】実開平05-034221(JP,U)
【文献】実開昭61-058307(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00 - 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井下地構造に取り付けられて天井を構成する天井材であって、天井の意匠を構成する天井板と、当該天井板に天井下側から貫通させて前記天井下地構造に前記天井板を支持させる複数の貫通支持材とから構成され、前記各貫通支持材は、前記天井板の天井下側の面を支持する支持部と、当該支持部の上部に形成された貫通部とを有し、前記天井板には、前記貫通支持材の前記支持部は通過せず且つ前記貫通部が通過する複数の貫通穴が設けられており、かつ、前記貫通支持材には、複数の前記貫通部を構造的に連結する連結手段が備えられ
、前記貫通部に設けた横方向に貫通する孔部を介して前記天井板を前記天井下地構造に吊り下げる構成とした、ことを特徴とする天井材。
【請求項2】
天井下地構造に取り付けられて天井を構成する天井材であって、天井の意匠を構成する天井板と、当該天井板に天井下側から貫通させて前記天井下地構造に前記天井板を支持させる複数の貫通支持材とから構成され、前記各貫通支持材は、前記天井板の天井下側の面を支持する支持部と、当該支持部の上部に形成された貫通部とを有し、前記天井板には、前記貫通支持材の前記支持部は通過せず且つ前記貫通部が通過する複数の貫通穴が設けられており、かつ、前記貫通支持材には、複数の前記貫通部を構造的に連結する連結手段が備えられており、
前記貫通支持材が、側面視した場合、横長の帯状形の上辺部に複数の突起が形成された平板状の部材であり、前記帯状形の部位が支持部および連結手段として構成され、前記各突起が貫通部として構成されてい
る天井材。
【請求項3】
天井下地構造に取り付けられて天井を構成する天井材であって、天井の意匠を構成する天井板と、当該天井板に天井下側から貫通させて前記天井下地構造に前記天井板を支持させる複数の貫通支持材とから構成され、前記各貫通支持材は、前記天井板の天井下側の面を支持する支持部と、当該支持部の上部に形成された貫通部とを有し、前記天井板には、前記貫通支持材の前記支持部は通過せず且つ前記貫通部が通過する複数の貫通穴が設けられており、かつ、前記貫通支持材には、複数の前記貫通部を構造的に連結する連結手段が備えられており、
前記貫通支持材が、連結手段として、天井板の天井裏側の面に配置される連結バーを備え、複数の前記貫通支持材は、貫通部に設けられた挿通穴に前記連結バーを挿通することによりこれら貫通部が相互に連結されてい
る天井材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井材に関するものであり、詳しくは、大型施設のホール、エントランスホール、廊下などの天井に適用する天井材であって、薄く且つ軽量な天井板を一層自由に使用できるようにした天井材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビル等の大型施設の天井としては、少ない部材で且つ迅速に施工可能なシステム天井が普及している。システム天井は、通常、天井スラブに取り付けられた吊りボルトで多数の野縁受けを水平に吊り下げ、鍔付きの型鋼などからなる多数の野縁を野縁受けに直交させて取り付け、野縁の鍔にパネル状の天井板を引っ掛けることにより構成される。
【0003】
例えば、野縁受けとして機能するレースウェイに対し、ハット型鋼で予め格子状に組んだ天井グリッドモジュールを取り付け、矩形のプラスターボードを天井グリッドモジュールの格子部分に落とし込んで構成されたシステム天井が提案されている(特許文献1)。また、ロックウールからなる矩形の天井材(天井板)を野縁に直接ビス止めして構成され、かつ、天井板の繊維方向を野縁の長さ方向と直交させることにより、天井板の撓みを抑制するようにした天井構造なども提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-181948号公報
【文献】特開2018-150723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなシステム天井は、施工性の向上を企図したものであるが、天井板の取り付け構造および安全性確保の観点から、より軽量な天井板を使用することが求められる。しかしながら、天井板は、軽量化を図るほどその厚さを薄くする必要がある反面、厚さが薄くなるほど撓みの問題を惹起するため、実際、剛性が損なわれない程度の厚さを確保し、かつ、各1枚の面積を小さく設定しており、更に、天井板の材料も選択範囲が狭いという問題がある。また、その結果、意匠デザインの自由度が低いという問題も生じている。
【0006】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビル等の大型施設の天井に適用する天井材であって、厚さの一層薄い天井板を使用することができ、また、面積の大きな天井板を使用することができ、より自由な意匠デザインが可能となる天井材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明においては、天井板の天井下側の面を支持する支持部と、天井板に設けた貫通穴に貫通させる貫通部とを有する貫通支持材を使用することにより、天井下地構造に対して天井板を吊り下げた状態で支持すると共に、貫通支持材の複数の貫通部を構造的に連結する連結手段を設けることにより、天井板に対する補剛構造を構成し、天井板の撓みを抑制するようにした。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、天井下地構造に取り付けられて天井を構成する天井材であって、天井の意匠を構成する天井板と、当該天井板に天井下側から貫通させて前記天井下地構造に前記天井板を支持させる複数の貫通支持材とから構成され、前記各貫通支持材は、前記天井板の天井下側の面を支持する支持部と、当該支持部の上部に形成された貫通部とを有し、前記天井板には、前記貫通支持材の前記支持部は通過せず且つ前記貫通部が通過する複数の貫通穴が設けられており、かつ、前記貫通支持材には、複数の前記貫通部を構造的に連結する連結手段が備えられていることを特徴とする天井材に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る天井材によれば、天井板を吊り下げた状態で支持した際、貫通支持材の複数の貫通部を構造的に連結する連結手段が天井板の補剛構造を構成し、天井板の撓みを抑制するため、厚さの一層薄い天井板を使用することができ、また、一層大きな面積の天井板を使用することができる。従って、天井板として各種の材料を使用でき、そして、より自由な意匠デザインが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る天井材の一実施形態の主要な構成を示す展開斜視図である。
【
図2】
図1の天井材による天井の施工状態を一部破断して示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る天井材の他の実施形態の主要な構成を示す展開斜視図である。
【
図4】
図3の天井材による天井の施工状態を一部破断して示す斜視図である。
【
図5】
図3の構造の天井材に使用される貫通支持材の一例を示す斜視図である。
【
図6】天井材に使用される貫通支持材の他の例を示す斜視図である。
【
図7】天井材に使用される貫通支持材の更に他の例を示す斜視図である。
【
図8】
図3の天井材においてうねり形状の天井板を使用した例を天井下側から示す斜視図である。
【
図9】
図8の天井材を天井裏側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る天井材の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の天井材は、天井下地構造に取り付けられて天井を構成する天井材であり、ビル等の大型施設のホール、エントランスホール、廊下などに好適である。なお、以下の実施形態の説明においては、天井板よりも下方の室内側を天井下と称し、天井板よりも上方の天井下地側を天井裏と称する。
【0012】
本発明の天井材は、
図1及び
図3に示すように、天井の意匠を構成する天井板1と、当該天井板に天井下側から貫通させて天井下地構造に天井板1を支持させる複数の貫通支持材2とから主として構成される。通常、天井下地構造としては、建物の天井スラブ又は天井桟に取り付けられた複数の吊りボルト5と、これら吊りボルト5によって平行かつ並列に水平状態で吊り下げられた複数の野縁受け6と、野縁受け6の下面側に一定のピッチで架け渡された複数の野縁7とから構成された従来公知の下地構造が採用される。
【0013】
天井板1は、各種の金属材料や樹脂材料あるいはロックウール等の無機材料からなる各種の難燃性の薄板で構成される。例えば、天井板1は、樹脂シートの両面に金属シートを積層した複合板で構成されてもよい。斯かる複合板において、金属シートとしては、アルミニウム又はアルミニウム合金、ステンレス、鉄、銅、チタン、錫、ニッケル等の金属から成る厚さ約0.2~0.5mm程度のシートが使用され、芯材の樹脂シートには、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリヒドロキシルエーテル、酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂から成る厚さ0.6~5.0mm程度のシートが使用される。上記のような複合板は、両面の金属シートが接着剤を介して樹脂シートに密着されており、溶融押出しされた合成樹脂シートの両面に例えばアルミニウムシートを重ね合わせ、回転ロールの間に通過させて製造される。斯かる複合板としては、例えば、三菱ケミカルインフラテック社製の「アルポリック」(商品名)として入手可能である。
【0014】
また、天井板1は、通常、一辺の長さが450~6000mm程度の長方形または正方形の平面形状に形成される。そして、天井板1には、当該天井板を支持する貫通支持材2を組み付けるため、後述する貫通支持材2の支持部21は通過せず且つ貫通支持材2の貫通部22だけが通過する複数の貫通穴1cが設けられている。なお、貫通穴1cの形状および配置は、貫通支持材2(
図1,2では符号2A、
図3,4,5では符号2B、
図6では符号2C、
図7では符号2Dでそれぞれ示す)の形態に応じて設定される。
【0015】
一方、貫通支持材2は、天井板1の天井下側の面を支持する支持部21と、天井板1の貫通穴1cに挿通させるために支持部21の上部に形成された貫通部22とを有している。更に、貫通支持材2には、天井板1における補剛構造を構成するため、貫通支持材2の複数の貫通部22を構造的に連結する連結手段が備えられている。本発明においては、貫通支持材2及び上記の連結手段の形態の違いにより、2つの態様が挙げられる。
【0016】
先ず、本発明の第1の態様について説明する。第1の態様に係る天井材においては、
図1及び
図2に示すように、貫通支持材2Aが、側面視した場合、横長の帯状形の上辺部に複数の突起が形成された平板状の部材で構成される。そして、上記の帯状形の部位が支持部21及び連結手段として構成され、各突起が貫通部22として構成される。すなわち、貫通支持材2Aは、平面形状が凸状の複数の部位を連結部3a(
図1中の破線に部位)で連続させて1つの部材に構成されており、連結部3aが連結手段の機能を有する。
【0017】
貫通支持材2Aの寸法仕様は、天井板1の面積や強度および意匠性を考慮して適宜設計できるが、例えば、貫通支持材2Aの厚さが1~50mm程度に設定され、また、貫通支持材2Aの水平方向の長さが450~6000mm程度、支持部21の高さ(帯状部分の幅)が20~1500mm程度、支持部21からの貫通部22の突出高さが10~500mm程度に設定される。そして、貫通支持材2Aにおける貫通部22の配列ピッチは、例えば200~2000mm程度に設定される。更に、貫通支持材2Aの貫通部22には、上記の野縁7に貫通支持材2Aを吊り下げるため、吊持金具としての掛止めバネ4を装着するための通し穴2aが設けられる。
【0018】
上記の貫通支持材2Aを使用する場合、天井板1には、配置される貫通支持材2Aの長さ方向に沿ったスリット状の貫通穴1cが貫通部22に対応する部位に複数設けられる。貫通部22の通し穴2aに装着する掛止めバネ4は、底部が扁平に形成され且つ上端に向うに従い漸次幅が拡がる略U字状に形成された鋼線などからなる弾性体であり、その上端は、U字の外側に向けて折り曲げられた形状の掛止め部を備えている。そして、天井下地構造を構成する野縁7には、上記の掛止めバネ4を引っ掛けるための引っ掛け穴7cが貫通支持材2Aの貫通部22に対応する位置に設けられる。引っ掛け穴7cは、通し穴2aに装着される掛止めバネ4の伸縮方向に対応するように、天井板1の貫通穴1cに直交する方向に延びる長穴に形成される。
【0019】
第1の態様の天井材の施工においては、野縁7の下側に天井板1を持ち上げた状態で天井板1の天井下側から貫通支持材2Aを配置すると共に、当該貫通支持材の貫通部22を天井板1の貫通穴1cに挿通する。そして、天井裏において、天井板1の各貫通穴1cかた突出した貫通部22の通し穴2aに掛止めバネ4を通した後、斯かる掛止めバネ4を圧縮してその上端部を野縁7の引っ掛け穴7cに挿入して開放する。これにより、掛止めバネ4の上端のの掛止め部が拡がるため、掛止めバネ4を介して野縁7に貫通支持材2Aを吊り下げることができ、天井板1を敷設することができる。
【0020】
すなわち、第1の態様においては、天井板1の天井下側の面を支持する支持部21と、天井板1に設けた貫通穴1cに貫通させる貫通部22とを貫通支持材2Aが有しており、天井下地構造に対して吊持金具としての掛止めバネ4を介して天井板1を吊り下げた状態で支持する。その際、貫通支持材2Aには、複数の貫通部22を構造的に連結する連結手段としての連結部3aが設けられているため、換言すれば、貫通支持材2Aが一体として構成されているため、貫通支持材2Aが天井板1に対する補剛構造を構成し、天井板1の撓みを抑制することができる。従って、本発明の第1の態様に係る天井材によれば、厚さの一層薄い天井板1を使用することができ、また、一層大きな面積の天井板1を使用することもでき、そして、各種の材料で天井板1を構成できる。
【0021】
次に、本発明の第2の態様について説明する。第2の態様に係る天井材においては、
図3及び
図4に示すように、貫通支持材2Bが、側面視した場合、例えば凸形状に形成された平板状の部材で構成される。斯かる貫通支持材2Bにおいては、凸形の幅広の略下半部が支持部21として構成され、略上半部の突起が貫通部22として構成される。すなわち、貫通支持材2Bは、各1つの支持部21及び貫通部22を有するコマ状の部材として構成されており、連結手段として、天井板1の天井裏側の面に配置される連結バー3bを備えている。そして、複数の貫通支持材2Bは、これらを配置した際、貫通部22に設けられた挿通穴2bに連結バー3bを挿通することによりこれら貫通部22が相互に連結されるように構成される。
【0022】
貫通支持材2Bの寸法仕様は、例えば、厚さが1~50mm程度に設定され、また、支持部21の幅が30~500mm程度、高さが20~1500mm程度に設定され、貫通部22の幅が20~490mm程度、支持部21からの貫通部22の突出高さが10~500mm程度に設定される。更に、貫通部22には、連結バー3bを挿通するための例えば正方形または長方形の挿通穴2bが開口されている。そして、挿通穴2bは、連結バー3bを挿通した際に緩みが生じない程度の大きさに形成されている。
【0023】
連結バー3bは、複数の貫通支持材2Bを介して天井板1を補強するための棒状の部材であり、四角筒状のアルミニウム型鋼などで構成される。連結バー3bの長さ方向に直交する断面は、一辺が10~400mm程度の四角形に形成され、連結バー3bの長さは、天井板1の長さにと略同等の長さに設定される。
【0024】
上記の貫通支持材2Bを使用する場合、天井板1には、
図3に示すように、例えば、当該天井板の長手方向(連結バー3bの伸長方向)に直交する細長スリット状の貫通穴1cが複数設けられる。天井板1における貫通穴1cの配列ピッチ、すなわち、貫通支持材2Bの配列ピッチは、例えば200~2000mm程度とされる。そして、貫通支持材2Bを使用する場合には、天井下地構造に野縁を配置することなく、タッピングビス等の螺子8を使用し、上記の連結バー3bを野縁受け6に直接取り付けることができる。
【0025】
第2の態様の天井材の施工においては、天井板1を敷設する前に、予め、天井板1の天井下側から当該天井板の貫通穴1cに複数の貫通支持材2Bの貫通部22を挿通し、天井板1の天井裏側(上面側)に突出した各貫通部22の挿通穴2bに連結バー3bを通し、これら貫通部22を連結バー3bで連結した状態とする。これにより、天井板1の天井下側の面に多数の貫通支持材2Bが取り付けられ且つ天井板1の天井裏側の面に連結バー3bが配置され、しかも、貫通支持材2B及び連結バー3bが一体化された天井板1を構成できる。そして、
図4及び
図5に示すように、天井板1を野縁受け6の下面側に配置し、天井裏で螺子8により野縁受け6に固定することにより、天井板1を敷設することができる。
【0026】
すなわち、第2の態様においては、貫通支持材2Bが天井板1の天井下側の面を支持する支持部21と、天井板1に設けた貫通穴1cに貫通させる貫通部22とを有し、かつ、複数の貫通支持材2Bを相互に連結する連結手段としての連結バー3bを備えている。そして、天井下地構造(野縁受け6)に対して連結バー3bを螺子8で固定することより、貫通支持材2Bを介して天井板1を吊り下げた状態で支持する。その際、連結手段としての連結バー3bが複数の貫通支持材2Bの貫通部22を構造的に連結し、これら連結された貫通支持材2Bが天井板1に対する補剛構造を構成するため、天井板1の撓みを抑制することができる。従って、第1の態様と同様に、本発明の第2の態様に係る天井板によれば、厚さの一層薄い天井板1を使用することができ、また、一層大きな面積の天井板1を使用することができ、そして、各種の材料で天井板1を構成できる。
【0027】
また、上記の第2の態様においては、
図3~
図5に示す平板状の貫通支持材2Bに代えて、
図6、
図7に示すような立体構造の貫通支持材2を使用することもできる。
図6に示す貫通支持材2Cは、部材本体が円筒状に形成され、中心線が垂直になるように見た場合、円筒の略下半部が貫通支持材21として構成され、円筒の略上半部において対象に位置する各1/4周部分が切り欠かれ且つそれに隣接する各1/4周部分が貫通部22として構成されており、斯かる貫通部22に挿通穴2bが開口されている。
【0028】
貫通支持材2Cの寸法仕様は、例えば、外径が50~500mm程度、全体の高さが20~1500mm程度、支持部21からの貫通部22の立ち上がり高さが10~500mm程度に設定される。連結バー3bを挿通する挿通穴2bは
図3~
図5に示す態様と同様である。
【0029】
上記の貫通支持材2Cを使用する場合には、天井板1には、貫通部22に対応する部位に貫通穴として弓形状のスリットが複数設けられる。そして、貫通支持材2Cを使用した天井材の施工においては、上記の貫通支持材2Bの場合と同様に、予め、天井板1の天井下側から当該天井板の貫通穴1cに複数の貫通支持材2Cの貫通部22を挿通し、天井板1の天井裏側(上面側)に突出した各貫通部22の挿通穴2bに連結バー3bを通し、これら貫通部22を連結バー3bで連結することにより、貫通支持材2B及び連結バー3bが一体化された天井板1を構成した後、野縁受け6の下面側に敷設する。
【0030】
更に、
図7に示す貫通支持材2Dは、部材本体が四角筒状に形成され、中心線が垂直になるように見た場合、四角筒の略下半部が貫通支持材21として構成され、四角筒筒の略上半部において対向する2つの側面部分が切り欠かれ且つそれに隣接する2つの側面部分が貫通部22として構成されており、斯かる貫通部22に挿通穴2bが開口されている。
【0031】
貫通支持材2Dの寸法仕様は、例えば、側面の幅が50~500mm程度、全体の高さが20~1500mm程度、支持部21からの貫通部22の立ち上がり高さが10~500mm程度に設定される。連結バー3bを挿通する挿通穴2bは
図3~
図5に示す態様と同様である。
【0032】
上記の貫通支持材2Dを使用する場合には、天井板1には、当該天井板の長手方向(連結バー3bの伸長方向)に直交する細長スリット状の貫通穴1cが複数設けられる。そして、貫通支持材2Dを使用した天井材の施工においては、上記の貫通支持材2Bの場合と同様に、予め、天井板1の天井下側から当該天井板の貫通穴1cに複数の貫通支持材2Dの貫通部22を挿通し、天井板1の天井裏側(上面側)に突出した各貫通部22の挿通穴2bに連結バー3bを通し、これら貫通部22を連結バー3bで連結することにより、貫通支持材2B及び連結バー3bが一体化された天井板1を構成した後、野縁受け6の下面側に敷設する。
【0033】
上記のように、本発明に係る天井材によれば、天井板1を吊り下げた状態で支持した際、貫通支持材2の複数の貫通部22を構造的に連結する連結手段が天井板1の補剛構造を構成し、天井板1の撓みを抑制するため、厚さの一層薄い天井板1を使用することができ、また、一層大きな面積の天井板1を使用することができ、そして、各種の材料で天井板1を構成できる。従って、より自由な意匠デザインが可能になる。
【0034】
また、本発明に係る天井材によれば、天井板1自体の設計範囲を拡げることが可能になると共に、貫通支持材2の形状、配置を工夫することにより、天井板1及び貫通支持材2の両方を意匠部分として構成することができる。更に、
図6に示す貫通支持材2C、
図7に示す貫通支持材2Dを使用した場合には、これら貫通支持材2の筒内に照明器具を配置することができ、機能性を高めることもできる。
【0035】
更に、
図8及び
図9に示すように、本発明に係る天井材においては、天井板1として、平坦な部材に限らず、緩く湾曲したうねり形状の天井板を使用することもできる。例えば、第2の態様において、うねり形状の天井板1を使用する場合には、上記の
図3に示すのと同様の貫通支持材2Bが使用され、天井板1のうねりに対応する湾曲した連結バー3bが配置される。また、野縁受け6への固定部を増設するため、連結バー3bから外れた位置に貫通支持材2Bが配置され、斯かる貫通支持材2Bを差込み留具3cで系止するように構成されていてもよい。うねり形状の天井板1を使用した場合には、意匠デザインの変化のみならず、音響特性を変化させることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の天井材は、天井板1を吊り下げた状態で支持した際、貫通支持材2により天井板1の撓みを抑制できるため、厚さが一層薄く、面積が一層大きな天井板1を使用することができ、より自由な意匠デザインができるため、ビル等の大型施設の天井の施工に好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 :天井板
1c:貫通穴
2(2A,2B,2C,2D):貫通支持材
21:支持部
22:貫通部
2a:通し穴
2b:挿通穴
3a:連結部(連結手段)
3b:連結バー(連結手段)
3c:差込み留具
4 :掛止めバネ
5 :吊りボルト
6 :野縁受け
7 :野縁
7c:引っ掛け穴
8 :螺子