(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】環境にやさしい水中浮標及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B63B 22/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B63B22/00 A
(21)【出願番号】P 2022561647
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(86)【国際出願番号】 KR2021004286
(87)【国際公開番号】W WO2021206423
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0041745
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522394443
【氏名又は名称】キム,キドン
(73)【特許権者】
【識別番号】522393697
【氏名又は名称】ジョン,ビョンヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キドン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ビョンヨン
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2020858(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0651582(KR,B1)
【文献】中国実用新案第2716133(CN,Y)
【文献】韓国登録特許第10-1965130(KR,B1)
【文献】実開昭52-039096(JP,U)
【文献】米国特許第04628850(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0294187(US,A1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0362746(KR,Y1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0128164(KR,A)
【文献】特開2008-265424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/00-85/00
B63H 1/00-25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライナーブロワーマシンを介して一定の形状を有するライナー本体を成形生産するとともに、ライナー本体の両端にそれぞれブッシング部材を埋込成形する第1過程と、
前記第1過程後にライナー本体の外部表面をプラズマで熱処理するライナーフレーミング工程を実行させる第2過程と、
前記第2過程後にライナー本体に形成されたブッシング部材にシャフトを締結し、硬化剤と樹脂が混合されたガラス繊維ワイヤをライナー本体の外表面に設定されたパターンのフィラメントワインディング方式でワインディングし、水中浮標の形態を有するコンポジット浮標を形成させる第3過程と、
前記第3過程後にコンポジット浮標を乾燥炉内部で移送と回転を繰り返し、乾燥させた後、常温で一定時間クーリングさせ、コンポジット浮標からシャフトを分離した後、耐圧検査を含む設定された各種検査を実行させる第4過程と、
前記第4過程後に検査を通過したコンポジット浮標の両側に設定された浮標結合体を連結して水中浮標を完成する第5過程を含むが、
前記第1過程ではライナーブロアマシンを介して一定形状を有するライナー本体を成形生産するとともに、ライナー本体の両端にそれぞれブッシング部材を埋込成形するライナー成形
段階と、前記ライナー成形段階によりライナー本体が外部に取り出される場合、その取り出されたライナー本体をコンベアを介して設定された場所に移送した後、ライナー本体の外部表面に生じた跡やスクラップを除去するスクラップ除去段階と、前記スクラップ除去段階後にスクラップが除去されたライナー本体を再びコンベアにより設定された時間と温度で乾燥して熟成した後、寸法を記入する工程を実行するライナー熟成乾燥段階を含めて構成されることを特徴とする、環境にやさしい水中浮標の製造方法。
【請求項2】
前記第2過程では、ライナー本体の外部表面を酸素プラズマを用いて熱処理するライナーフレーミング段階をさらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載の環境にやさしい水中浮標の製造方法。
【請求項3】
前記
第3過程では、ライナー本体に形成されたブッシング部材にシャフトを締結するシャフト締結段階と、前記シャフト締結段階後に多数のガラス繊維ストランドあるいはワイヤを混合モジュールを通過させることにより、樹脂と硬化剤に混合させた後、その混合されたガラス繊維ワイヤをライナー本体の外表面に設定されたパターンでフィラメントワインディングし、水中浮標の形態を有するコンポジット浮標を形成させるフィラメントワインディング段階をさらに含めて構成されることを特徴とする、請求項
1に記載の環境にやさしい水中浮標の製造方法。
【請求項4】
前記第4過程では、コンポジット浮標をシャフトと結合された移動手段により乾燥炉に移動させ、乾燥炉内部で移送と回転を繰り返し乾燥させる浮標乾燥段階と、前記浮標乾燥段階後に乾燥が終了したコンポジット浮標を常温で15分乃至40分間空気に露出してクーリング(あるいは冷却)工程を行うクーリング段階と、前記クーリング段階により冷却されたコンポジット浮標からシャフトを分離した後、耐圧検査を含む設定された各種検査を実行させる最終検査段階をさらに含めて構成されることを特徴とする、請求項
1に記載の環境にやさしい水中浮標の製造方法。
【請求項5】
前記第5過程では、検査を通過したコンポジット浮標の両側に固定ワイヤあるいは結合環のいずれかで連結して水中浮標を完成する工程段階をさらに含むことを特徴とする、請求項
1に記載の環境にやさしい水中浮標の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境にやさしい水中浮標及びその製造方法に関するもので、特にガラス繊維と樹脂等が混合されたワイヤをライナー構造物の外部にフィラメントワインディング方法でワインティングし、水中浮標を製造することにより、浮標構造物の外形を長時間安定的に維持することができ、浮標構造物の破損による水中の環境汚染を最小限に抑えることができる環境にやさしい水中浮標及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、海洋や湖、河川などでは水面上の特定の位置を表示するために水の上に浮かぶ浮標を使用しており、これらの浮標は通常浮力によって水の上に浮くように水の比重よりも軽く、不倒翁のように外力に対して常にすぐ起き上る復元力を高めることができる形で形成されて使用されるが、これらの水中浮標は通常発泡ポリスチレン(発泡スチロール)材質で製造される。特に、前記のような海洋浮標は、通常、網で覆った発泡スチロールブイ(または浮標)や球状プラスチック浮標をいかり綱に直接連結して使用する。そして漁民たちは、前記海洋浮標を相互に連結して漁網作業をしたり、あるいはノリやわかめなどの養殖場に設置したりする。
【0003】
では、前記のような従来の水中浮標を
図1を参照してみると、一定直径の円筒状に形成された浮標本体(70)と、浮標本体(70)の両端外周面に円周方向に沿って一定の大きさに溝がそれぞれ形成された溝部(71)と、溝部(71)にそれぞれ結合されて隣接浮標を連結させる固定手段(72)を含めて構成される。ここで、浮標本体(70)は発泡ポリスチレン(発泡スチロール)材質で製造され、固定手段(72)は通常ロープで構成される。ここで水中浮標(73)をより具体的に説明すると、水中浮標(73)は各種水産様式に適用される様々な形態で製造されるが、そのうちほとんどの浮標は通常円筒の形態をとり、ロープを巻いて結ぶことができるように、その外周面に円周方向に沿って延長された溝部(71)が備えられる。
【0004】
一方、前記のような従来の水中浮標の使用方法を見てみると、まず発泡スチロール材質でできた複数個の浮標本体(70)を、海洋やその他必要な場所に移動させた後、浮標本体(70)の両端部にそれぞれ形成された溝部(71)に、固定手段(72)であるロープでそれぞれ結び、水中浮標(73)の組み立てを完成する。このとき、水中浮標(73)は発泡スチロールで構成されており、水中で浮力を有することになるので、適切な高さで水に浮かぶことになる。そして、前記のように組み立てられた水中浮標(73)の固定手段(71)であるロープに連結環や鉄線(74)を結合させた後、他の隣接する浮標本体(73)のロープに結合させる。したがって、前記のような方式に結合された水中浮標(73)を漁網に設置したり、あるいはノリやわかめなどの養殖場に設置したりする。
【0005】
しかし、前記のような従来の水中浮標は、その材質がほとんど発泡スチロールで構成されているが、このような発泡スチロールは、それ自体の物性が弱く、よく脆くなる性質があるため、長時間使用した時、例えば、海洋水中の波や風などの影響により、ロープを巻いた部分が容易に割れて破損しやすく、さらに大きな問題は、その破損した浮標の発泡スチロールが数千個以上の小片に分離されて海底面に積もることになるため、それに伴い水中の環境を大きく汚染させる要因として作用した。それだけではなく、波や風によって海岸沿いに押し出され随所に放置され、美観を大きく毀損するなどの問題を引き起こす。さらに、前記のような従来の水中浮標は壊れた場合、海水中に浮遊する微細な発泡スチロール片として広がって魚が食べることになるため、結果的に人間に二次被害を被らせるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、前記のような従来技術の問題点を解決するために発明されたものであり、水中浮標を複合材料で構成することにより、水中の様々な衝撃から破損することなく浮標構造物の外形を長時間安定的に維持することができ、浮標構造物の破損による水中の環境汚染を最小限に抑えることができる環境にやさしい水中浮標およびその製造方法を提供することにその目的がある。
【0007】
本発明の他の目的は、水中浮標構造物の両端に金属材質の結合手段を形成し、他の水中浮標構造を互いに連結させる構造を有することで、漁網作業と養殖場設置作業を容易に行うことができる環境にやさしい水中浮標及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、内部が中空であるライナー本体と、前記ライナー本体の外表面にワインディング方式で溶着され、外部の衝撃を緩衝するワインディング部材と、前記ライナー本体の両端にそれぞれ埋込成形され、隣接する他の水中浮標を互いに結合させる浮標結合体を含み、前記浮標結合体は前記ライナー本体の両端にそれぞれ前記ライナー本体の成形と共に埋め込まれるが、本体一端部の外表面に雄ねじ山が形成された棒状のねじ棒と、前記ねじ棒の下部に一体に形成される一定直径を有する円柱板で構成されるブッシング部材と、前記ブッシング部材のねじ棒が挿入されて後端でナット締結されるように内部が後端部まで一定直径に貫通し、本体内部に前記ブッシング部材のねじ棒とねじ締結されるように雌ねじ山が形成された第1ナット締結孔が形成され、本体部の外側両端に回転可能に固定され、他物体を掛けて結合されるように環形状に形成された結合環を含めて構成されることを特徴とする環境にやさしい水中浮標が提供される。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記ライナー本体は、HDPE(高密度ポリエチレン、high density polyethylene)材質で構成することができる。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記ワインディング部材は、硬化剤及び樹脂と混合されたガラス繊維で構成されるワイヤによってワインディングされ、ライナー本体の外表面に一体的に形成される構造物であることができる。
【0011】
本発明の他の形態によれば、内部が中空であるライナー本体と、前記ライナー本体の外表面にワインディング方式で溶着され、外部の衝撃を緩衝するワインディング部材と、前記ライナー本体の両端にそれぞれ埋込成形され、隣接する他の水中浮標を互いに結合させる浮標結合体を含み、前記浮標結合体はライナー本体の両端にそれぞれライナー本体の成形と共に埋め込まれるが、外部側に棒形状で突出され端部の一側に固定孔が形成されたねじ棒と、このねじ棒の下部に一体に形成される一定直径を有する円柱板で構成されるブッシング部材と、前記ブッシング部材の固定孔に挿入結合され掛けの役割をする固定ワイヤを含めて構成されることを特徴とする環境にやさしい水中浮標が提供される。
【0012】
本発明の一実施例によれば、ブッシング部材と浮標結合体は、合金またはステンレス鋼のいずれかで構成することができる。
【0013】
本発明の他の形態によれば、ライナーブロワーマシンを介して一定形状を有するライナー本体を成形生産するとともに、ライナー本体の両端にそれぞれブッシング部材を埋込成形する第1過程と、前記第1過程の後にライナー本体の外部表面をプラズマで熱処理するライナーフレーミング工程を実行する第2過程と、前記第2過程後にライナー本体に形成されたブッシング部材にシャフトを締結し、硬化剤と樹脂が混合されたガラス繊維ワイヤをライナー本体の外表面に設定されたパターンのフィラメントワインディング方式でワインディングし、水中浮標の形態を有するコンポジット浮標を形成する第3過程と、前記第3過程後にコンポジット浮標を乾燥炉内部で移送と回転を繰り返し乾燥させた後、常温で一定時間クーリングさせ、コンポジット浮標からシャフトを分離した後、耐圧検査を含む設定された各種検査を行う第4過程と、前記第4過程後に検査を通過したコンポジット浮標の両側に設定された浮標結合体を連結して水中浮標を完成する第5過程を含むが、前記第1過程にはライナーブロアマシンを介して一定形状を有するライナー本体を成形生産するとともに、ライナー本体の両端にそれぞれブッシング部材を埋込成形するライナー成形段階と、前記ライナー成形段階によりライナー本体が外部に取り出される場合、その取り出されたライナー本体をコンベアを介して設定された場所に移送した後、ライナー本体の外部表面に生じた跡やスクラップを除去するスクラップ除去段階と、前記スクラップ除去段階後にスクラップが除去されたライナー本体を、再びコンベアにより設定された時間と温度で乾燥して熟成した後、寸法を記入する工程を実行するライナー熟成乾燥段階を含めて構成することを特徴とする環境にやさしい水中浮標の製造方法が提供される。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記第2過程では、ライナー本体の外部表面を酸素プラズマを用いて熱処理するライナーフレーミング段階をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記第3過程では、ライナー本体に形成されたブッシング部材にシャフトを締結するシャフト締結段階と、前記シャフト締結段階の後に複数のガラス繊維ストランド又はワイヤを混合モジュールを通過させることにより樹脂硬化剤に混合させた後、その混合されたガラス繊維ワイヤをライナー本体の外表面に設定されたパターンでフィラメントワインディングして水中浮標の形態を有するコンポジット浮標を形成させるフィラメントワインディング段階をさらに含むことができる。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記第4過程では、コンポジット浮標をシャフトと結合された移動手段により乾燥炉に移動させ、乾燥炉内部で搬送と回転を繰り返し乾燥させる浮標乾燥段階と、前記浮標乾燥段階後に乾燥が終わったコンポジット浮標を常温で15分~40分間空気に露出してクーリング(あるいは冷却)工程を行うクーリング段階と、前記クーリング段階により冷却されたコンポジット浮標からシャフトを分離した後、耐圧検査を含めた設定された様々な検査を実行する最終検査段階をさらに含むことができる。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記第5過程では、検査を通過したコンポジット浮標の両側に固定ワイヤまたは結合環のうちいずれかで連結して水中浮標を完成する工程段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0018】
前記のような本発明によれば、ガラス繊維と樹脂等が混合されたワイヤをライナー構造物の外部にフィラメントワインディング方式でワインディングし、水中浮標を製造することにより、水中浮標が複合材料で構成されるため、水中の様々な衝撃から破損することなく、浮標構造物の外形を長時間安定的に維持させることができ、浮標構造物の破損による水中の環境汚染を最小限に抑えることができるので、それによって水中浮標の環境にやさしい性を最大化する効果がある。
【0019】
さらに、前記のような本発明は、水中浮標構造物の両端に金属材質の結合手段を形成し、他の水中浮標構造物を互いに連結させる構造を有することで漁網作業と養殖場設置作業を容易に行うことができるので、それにより、水中作業の利便性も最大化させる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来の水中浮標の一例を説明する説明図である。
【
図2】本発明の環境にやさしい水中浮標によるコンポジット浮標の一実施例を説明する説明図である。
【
図3】本発明の環境にやさしい水中浮標によるコンポジット浮標の他の実施例を説明する説明図である。
【
図4】本発明の環境にやさしい水中浮標のライナー本体の一例を説明する写真である。
【
図5a】
図2の一実施例をさらに具体的に説明した説明図である。
【
図5b】
図2の一実施例をさらに具体的に説明した説明図である。
【
図6a】
図3の他の実施例をさらに具体的に説明した説明図である。
【
図6b】
図3の他の実施例をさらに具体的に説明した説明図である。
【
図7a】本発明の環境にやさしい水中浮標の製造工程中のフィラメントワインディングパターンの一例を説明する説明図である。
【
図7b】本発明の環境にやさしい水中浮標の製造工程中のフィラメントワインディングパターンの一例を説明する説明図である。
【
図8】
図5aの実施例に適用される簡略の使用状態を説明する説明図である。
【
図9】
図6aの実施例に適用される簡略の使用状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるので、特定の実施例を図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、これは本発明を特定の実施例に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術的範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むことと理解しなければならない。本発明の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0022】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0023】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明確に異なる意味を持たない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されなければならない。
【0024】
また、本発明を説明するにあたって、関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすることができると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0025】
以下、本発明の実施例について関連図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
図2は、本発明の環境にやさしい水中浮標によるコンポジット浮標の一実施例を説明する説明図であり、
図3は、本発明の環境にやさしい水中浮標によるコンポジット浮標の他の実施例を説明する説明図であり、
図4は、本発明の環境にやさしい水中浮標のライナー本体の一例を説明する写真であり、
図5の(a)及び(b)は、
図2の一実施例をさらに具体的に説明した説明図であり、
図6の(a)および(b)は、
図3の他の実施例をさらに具体的に説明した説明図であり、
図7の(a)および(b)は、本発明の環境にやさしい水中浮標の製造 工程中のフィラメントワインディングパターンの一例を説明する説明図であり、
図8は、
図5の(a)の実施例に適用される簡略の使用状態を説明する説明図であり、
図9は、
図6の(a)の実施例に適用される簡略の使用状態を説明する説明図であり、
図10は、本発明のフローチャートである。
【0027】
図2~
図6を参照すると、本発明の水中浮標は、内部が中空であるライナー本体(1)と、ライナー本体(1)の外表面にワインディング方式で溶着され、外部の衝撃を緩衝するワインディング部材(2)と、ライナー本体(1)の両端にそれぞれ埋込成形され、隣接する他の水中浮標(3)を互いに結合させる浮標結合体(4)を含む。
【0028】
ここで、ライナー本体(1)は、HDPE(高密度ポリエチレン high density polyethylene)材質で構成することができる。このときHDPE(高密度ポリエチレン high density polyethylene)は分岐が少なく結晶性の高い密度0.95以上のポリエチレンであり、硬度、機械的強度、耐熱性などに優れるが加工性などはやや劣る。そしてHDPEの工業的製法には、アルキルアルミニウム-ハロゲン化チタンを触媒とする低圧法(チーグラー法)とシリカ-アルミナ-クロミア触媒による中圧法(フィリップス法)がある。また、HDPEは環境ホルモンが検出されていない無毒性環境にやさしいプラスチックであって、強度に優れ、主に使い捨てショッピングバッグ、各種容器、玩具などを作る際に使用されるが、HDPEは、<1>安全性:環境ホルモンであるビスフェノール、フタレート、メラミンが全く検出されない、<2>耐久性:重量感があり、簡単に倒れず、落としても簡単に割れない。<3>耐熱性:表面コーティングをしておらず、耐熱温度が高く食器洗浄機での使用が可能であるという特徴がある。
【0029】
さらに、ワインディング部材(2)は、硬化剤及び樹脂と混合されたガラス繊維で構成されるワイヤによってワインディングされ、ライナー本体(1)の外表面に一体的に形成される構造物である。
【0030】
これに加えて、浮標結合体(4)は、一実施例では、
図5の(a)および(b)に示すように、ライナー本体(1)の両端にそれぞれライナー本体(1)の成形と共に埋め込まれるが、本体一端部の外表面に雄ねじ山が形成された棒状のねじ棒(5A)と、このねじ棒(5A)の下部に一体に形成される一定直径を有する円柱板(6A)で構成されるブッシング部材(7)と、ブッシング部材(7)のねじ棒(5A)が挿入されて後端でナット締結されるように内部が後端部まで一定直径に貫通する第1ナット締結孔(8)が形成され、本体部(9)の外側両端に回転可能に固定されて他の物体を掛けて結合されるように環形状に形成された結合環(10)を含めて構成される。
【0031】
ここで、第1ナット締結孔(8)の内部には、ブッシング部材(7)のねじ棒(5A)とねじで締結されるように内部に雌ねじ山が形成される。
【0032】
また、浮標結合体(4)の他の実施例として、
図6の(a)および(b)に示すように、ライナー本体(1)の両端にそれぞれライナー本体(1)の成形とともに埋め込まれるが、外部側に棒形状で突出されて端部の一側に固定孔(11)が形成されたねじ棒(5B)と、このねじ棒(5B)の下部に一体に形成される一定直径を有する円柱板(6B)で構成されるブッシング部材(7)と、ブッシング部材(7)の固定孔(11)に挿入結合されて掛けの役割をする固定ワイヤ(12)を含めて構成される。
【0033】
ここで、固定ワイヤ(12)は、固定孔に若干の離隔を有して固定するか、あるいは離隔なしに固定することができる。
【0034】
なお、ブッシング部材(7)と浮標結合体(4)は、錆が発生しない合金やステンレス(STS)材質で構成することができる。
【0035】
一方、本発明による水中浮標(3)は、視認性が良好に各部材を様々な色で作製することができる。
【0036】
次に、前記のような構成の本発明の製造方法について説明する。
【0037】
本発明は、
図10に示すように、初期状態(S1)でライナーブロワーマシンを介して一定形状を有するライナー本体を成形生産するとともに、ライナー本体の両端にそれぞれブッシング部材を埋込成形する第1過程(S2)と、第1過程(S2)の後にライナー本体の外部表面をプラズマで熱処理するライナーフレーミング工程を実行する第2過程(S3)と、第2過程(S3)後にライナー本体に形成されたブッシング部材にシャフトを締結し、硬化剤と樹脂が混合されたガラス繊維ワイヤをライナー本体の外表面に設定されたパターンのフィラメントワインディング方式でワインディングし、水中浮標の形態を有するコンポジット浮標を形成させる第3の過程(S4)と、第3過程(S4)後にコンポジット浮標を乾燥炉内部で移送と回転を繰り返し乾燥させた後、常温で一定時間クーリングさせ、コンポジット浮標からシャフトを分離した後、耐圧検査を含む設定された各種検査を実行させる第4過程(S5)と、第4過程(S5)の後に検査を通過したコンポジット浮標の両側に設定された浮標結合体を連結して水中浮標を完成する第5過程(S6)を含めて構成される。
【0038】
そして、第1過程(S2)には、ライナーブロワーマシン(liner blower machine、図示せず)を通じて一定形状を有するライナー本体を成形生産するとともに、ライナー本体の両端にそれぞれブッシング部材を埋め込み成形するライナー成形段階と、ライナー成形段階によりライナー本体が外部に取り出される場合、その取り出されたライナー本体をコンベア(図示せず)を介して設定された場所に移送した後、ライナー本体の外部表面に生じた跡やスクラップを除去するスクラップ除去段階と、スクラップ除去段階後にスクラップが除去されたライナー本体を再びコンベア(図示せず)により設定された時間と温度で乾燥して熟成した後、寸法を記入する工程を実行するライナー熟成乾燥段階を含めて構成される。
【0039】
一方、第2過程(S3)では、ライナー本体の外部表面を酸素プラズマを用いて熱処理するライナーフレーミング工程をさらに含めて構成される。
【0040】
さらに、第3過程(S4)では、ライナー本体に形成されたブッシング部材にシャフトを締結するシャフト締結段階と、シャフト締結段階後に多数のガラス繊維ストランドあるいはワイヤ、例えば、12本のガラス繊維ストランドあるいはワイヤを混合モジュール(図示せず)を通過させて樹脂と硬化剤に混合させた後、その混合されたガラス繊維ワイヤをライナー本体の外表面に設定されたパターンでフィラメントワインディングして水中浮標の形態を有するコンポジット浮標を形成させるフィラメントワインディング段階を含めて構成される。
【0041】
これに加えて、第4過程(S5)では、コンポジット浮標をシャフトと結合された移動手段(図示せず)により乾燥炉に移動させ、乾燥炉内部で移送と回転を繰り返し乾燥させる浮標乾燥段階と、浮標乾燥段階後に乾燥終了したコンポジット浮標を常温で一定時間、例えば15分~40分間空気に露出してクーリング(あるいは冷却)工程を実行するクーリング段階と、クーリング段階により冷却されたコンポジット浮標からシャフトを分離した後、耐圧検査を含む設定された各種検査を実行する最終検査段階を含めて構成される。
【0042】
一方、第5過程(S6)では、検査を通過したコンポジット浮標の両側に設定された浮標結合体、例えばコンポジット浮標の両側に固定ワイヤあるいは結合環を連結して、本発明による水中浮標を完成する工程段階を含む。
【0043】
換言すれば、本発明の水中浮標の製造 工程は、まず、第1過程(S2)において、ライナーブロワーマシン(liner blower machine、図示せず)を通じて一定形状を有するライナー本体(1)を成形生産するとともに、ライナー本体(1)の両端にそれぞれブッシング部材(7)を埋込成形することになるが、このとき成形されたライナー本体(1)は複合材料容器と同じ形状で円筒状に成形され、ライナー本体(1)は後述される第3過程(S4)のワインディング段階を経る前の円筒を意味し、ワインディング段階を経た後には複合材料容器と称することができる。このとき、ライナー本体は、その両側にブッシング部材(7)がライナーブロー成形時に一体型に埋め込まれる。
【0044】
さらに、前記のように成形されたライナー本体(1)が外部に取り出される場合、その取り出されたライナー本体(1)は、コンベア(図示せず)を介して設定された場所に移送された後、ライナー本体(1)の外部表面に生じた跡やスクラップを除去する工程が実行される。このとき、スクラップ除去工程では、スクラップ除去を手作業にしたり、あるいはスクラップ除去装置を用いて除去したりする。
【0045】
そして、前記のようにスクラップが除去されたライナー本体(1)は、再びコンベア(図示せず)により移動しながら設定された時間と温度で乾燥され熟成された後、寸法を記入する工程を実行する。すなわち、前記のようにスクラップが除去されたライナー本体(1)は再びコンベアにより熟成場所に移動され、例えば4時間乃至6時間常温に放置されるが、前記のようにHDPEで製作されたライナー本体(1)は一定時間常温で留まりながら乾燥され堅固に熟成される。そして、前記のように熟成されたライナー本体(1)は、寸法を検査し、すなわち全長および外径を測定した後、その測定された寸法をコンピュータ(図示せず)に入力する。
【0046】
一方、前記のようにライナー本体(1)が取り出される場合、第2過程(S3)では、ライナー本体(1)の外部表面をプラズマで熱処理することになるが、このようなライナープレーミング工程では酸素プラズマを用いてライナー本体(1)の外部表面を熱処理することになる。そうする理由は、ライナー本体(1)の外部表面の強度を補強するためにガラス繊維にワインディング(winding)する工程の効果を高めるためである。すなわち、前記のように酸素プラズマを用いてライナーの外部表面を熱処理する場合、HDPE材質のライナー表面に酸素ラジカルや原子、分子が高いエネルギーで照射されるので、ライナー本体(1)の外部表面が活性化され電荷を帯びるようになるため、後述する第3過程(S4)のワインディングし段階でガラス繊維と強く結合できるように活性状態になる。
【0047】
さらに、第3過程(S4)では、フィリメントワインディング工程を円滑にするためにライナー本体(1)に形成されたブッシング部材(7)にシャフト(13)を締結する。そして、前記のようにシャフトを締結した後に多数のガラス繊維ストランドあるいはワイヤ、例えば12本のガラス繊維ストランドあるいはワイヤを混合モジュール(図示せず)を通過させて樹脂と硬化剤に混合させた後、その混合されたガラス繊維ワイヤをライナー本体(1)の外表面に
図7の(a)と(b)に示すように、設定されたパターンでフィラメントワインディングして水中浮標の形態を有するコンポジット浮標(3)を形成させる。
【0048】
言い換えれば、第3過程(S4)では、ライナー本体(1)の表面が第2過程(S3)によりプラズマで熱処理されているため、硬化剤と樹脂が混合されたガラス繊維ワイヤがワインディングされて容易に結合して一体化されて、このように強度が強化された円筒を環境にやさしいコンポジット浮標(3)と称する。したがって、前記のようにワインディング工程を実行して環境にやさしいコンポジット浮標が製造されるが、このコンポジット浮標は原材料であるライナー本体(1)の外形と同じであるが、ライナー本体(1)とは異なり圧力に耐えるのに十分な強度を有することになる。
【0049】
これに加えて、第4過程(S5)では、ワインディング工程を経たコンポジット浮標(3)をシャフト(13)と結合された移動手段(図示せず)により乾燥炉(図示せず)に移動して乾燥する。このとき乾燥炉はヒーター及びファンによる間接ヒーティング方式で、例えば70℃乃至90℃の間の温度範囲で一定の温度に維持され、移動手段はコンポジット浮標(3)を乾燥炉内部で移送と回転を繰り返しながら、例えば70分乃至90分間コンポジット浮標(3)を乾燥させる。このとき、移動手段は、コンポジット浮標(3)の外部表面にワインディングされたガラス繊維及び樹脂が片側に偏らないように、コンポジット浮標(3)を回転(ROLLING)させながら移動と搬送を繰り返す工程を行う。そして、前記のように浮標乾燥が終了した後、コンポジット浮標(3)を常温で一定時間、例えば15分乃至40分間露出させ、クーリング又は冷却工程を実行させる。このとき、前記のようにクーリング又は冷却させる理由は、コンポジット浮標(3)の表面温度を35℃以下に下げるためのものであり、コンポジット浮標(3)をクーリングコンベア(図示せず)で移送しながら常温で一定時間コンポジット浮標(3)を待機させる方式で実行される。一方、第4過程(S5)でクーリング工程が終了されると、コンポジット浮標(3)からシャフト(13)を分離させる。このとき、分離されたシャフト(13)はコンベアによって最初のシャフト締結段階に戻る。そして、前記のようにシャフト(13)が分離された場合、耐圧検査を実行することになるが、この耐圧検査はコンポジット浮標(3)を水槽、すなわち水中で一定の時間と圧力を与えることにより、リーク(あるいは漏れ部分)があるかを検査する工程である。また、耐圧検査後には、目視検査機を介してコンポジット浮標(3)の不良状態の有無を確認し、寸法を確認して記録する工程を行い、良好なコンポジット浮標(3)のみを通過させる。
【0050】
一方、第5工程(S6)では、検査を通過したコンポジット浮標(3)の両側に設定された浮標結合体(4)、例えばコンポジット浮標(3)の両側に固定ワイヤ(12)あるいは結合環(10)を連結し、本発明による水中浮標(3)を完成する。
【0051】
ここで、前記検査を通過した水中浮標(3)の両側に浮標結合体(4)を結合させる実施例としては2つの方法があるが、まず一実施例としては
図5に示すように、水中浮標(3)の両端に形成されたブッシング部材(7)のねじ棒(5A)を結合環(10)の内部に貫通形成された第1ナット締結孔(8)に挿入した後、第1ナット締結孔(8)の後端を通過して突出するようにする。そして、前記のように、第1ナット締結孔(8)の後端に突出したねじ棒(5A、5B)にナット(14)を締結するので、水中浮標(3)に結合環(10)を結合させるようになる。このとき、結合環(10)は、結合環(10)の本体部(9)の外側の両端で他物体、例えばロープ等を掛け結合されるように回転可能に固定される。
【0052】
また、水中浮標(3)の両側に浮標結合体(4)を結合させる他の実施例では、
図6に示すように、水中浮標(3)の両端に形成されたブッシング部材(7)のねじ棒(5B)の固定孔(11)に固定ワイヤ(12)を挿入固定するものである。このとき、固定ワイヤ(12)は、固定孔に若干の離隔を有して固定されてもよいし、離隔なしに固定されてもよい。
【0053】
したがって、前記のような本発明の環境にやさしい浮標の使用例をさらに説明すると、例えば、
図5の(a)および(b)に言及された結合環状の一実施例を実際の作業場で使用する場合には、
図8に示したように、環境にやさしい浮標(3)の結合環(10)に他の環境にやさしい浮標(3)を隣接させた後、連結部材(15)、例えばロープ(あるいは網の連結用ひも)や鉄線などの連結手段を各結合環(10)に嵌合固定することにより、必要な作業、例えば必要な漁網や養殖作業道具を完成して使用することができる。
【0054】
また、
図6の(a)および(b)に言及された固定ワイヤ型実施例も、実際の作業場で使用する場合、
図9に示すように、環境にやさしい浮標(3)の固定ワイヤ(12)に他の環境にやさしい浮標(3)を隣接させた後、連結部材(15)、例えばロープ(あるいは網の連結用ひも)や鉄線などの連結手段を各固定ワイヤ(12)に嵌合固定することにより、必要な作業、例えば必要な漁網や養殖作業道具を完成して使用することができる。
【0055】
従って、前記のような本発明によれば、ガラス繊維と樹脂等が混合されたワイヤをライナー構造物の外部にフィラメントワインディング方式でワインディングし、水中浮標を製造することにより、水中浮標が複合材料で構成されるため、水中の様々な衝撃から破損することなく、浮標構造物の外形を長時間安定的に維持することができ、浮標構造物の破損による水中の環境汚染を最小限に抑えることができる。すなわち、本発明は、水中浮標が複合材料で製造設置されるため、長寿命を有しただけでなく、耐衝撃性が非常に強く、水中の水勢や水圧による変形がないため、漁場及び漁民の被害を最小限に抑えることができ、たとえ寿命が尽きたり用途が廃棄されたりする時にも環境にやさしい材質で構成されているため、水中浮標を回収して建築用レンガ及びアスファルト舗装材としてリサイクルすることもできる。
【0056】
さらに、本発明は、水中浮標構造物の両端に金属材料の結合手段を形成し、他の水中浮標構造物を互いに連結させる構造を有することで、漁網作業と養殖場設置作業を容易に行うことができるため、水中作業の利便性も得られる。したがって、本発明の水中浮標を使用する場合、漁民が漁網作業と養殖場での作業利便性のために、浮標の両端に腐食しない浮標結合体のブッシング部材に鉄線ワイヤを付着させることにより、他の浮標との締結を容易にすることができる。さらに、本発明は、水中浮標を使用者たち、例えば漁民が望む色で製作することができるため、漁民が水中浮標を利用して多様に漁網作業をしたり、養殖場の形態を構成したりすることができるので、使用者の多様な必要性を満たすことができる。