(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】イオン放射具及び装身具
(51)【国際特許分類】
A44C 25/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
A44C25/00 A
(21)【出願番号】P 2021012810
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】517075414
【氏名又は名称】株式会社パブリック・アスリート
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】土門 広
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-231005(JP,A)
【文献】登録実用新案第3229115(JP,U)
【文献】特開昭61-242742(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0429930(KR,Y1)
【文献】特開2004-337297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 25/00-27/00
A44C 5/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に装着される
ネックレスヘッドに用いられるイオン放射具であって、
所定の基準軸に対して少なくとも一部が交差する方向に延在しており、イオンを放射可能なイオン放射部と、
前記イオン放射部が収容された空間部を備えるハウジングと、を有し、
前記ハウジングは、前記ハウジングの長手方向の一端部に配置された開口部と、前記ハウジングの長手方向の他端部に配置された底部と、を有し、
前記イオン放射部は、天然鉱石からなるイオン放射物質を含んだ金属製の線材によって構成されており、
前記イオン放射部の少なくとも一部は、前記基準軸の周りに螺旋状に延在しており、
前記イオン放射部は、少なくとも一部が螺旋状に延在した状態で前記空間部内に収容されており、
前記ハウジングの前記開口部に取り付け可能であり、前記ハウジングに取り付けられた状態において前記開口部を閉じる蓋部材をさらに有
し、
前記ハウジングは、長手方向に縦長に延びた形状を有し、
前記基準軸は、前記ハウジングの長手方向と平行に延びる直線である、イオン放射具。
【請求項2】
前記空間部は、前記ハウジングの長手方向の略全長に亘って延びた孔である、請求項1に記載のイオン放射具。
【請求項3】
前記空間部は、前記ハウジングの長手方向と交差する方向に隣接して形成された二つ以上の孔部を有し、
前記二つ以上の孔部のそれぞれには前記イオン放射部が配置されている、請求項1又は請求項2に記載のイオン放射具。
【請求項4】
前記イオン放射部は、スプリングコイル状に加工された前記金属製の線材にイオン放射物質が吹き付けられてなる、請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン放射具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のイオン放射具と、
前記イオン放射具を身体に装着可能にするための付属部材と、を有し、
前記付属部材は、前記ハウジングに取り付けることが可能な細長い部材と、前記細長い部材の両端部同士を接続分離可能にする留め具と、を有する装身具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン放射具及び装身具に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンを放射可能な部品を備えるネックレスやブレスレットなどの装身具(アクセサリー)が提案されている。このようなアクセサリーとして、例えば、身体に装着される紐状の本体部分を有し、該本体部分の一部又は全体にイオンを放出可能な物質等を含有させたものが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1の装身具において、周囲へのイオンの放出量を増加させようと考えた場合、紐状の本体部分の単位体積当たりのイオン含有物質の量が増加しうるように、本体部分の配置、形状、構造等を検討することが考えられる。しかしながら、特許文献1の装身具では、紐状の本体部分が使用者の身体への取り付け部位(身体に巻き付けたり、引っ掛けたりする部位)を構成しているため、その形態を大幅に変更させることは意匠デザインや製品特性を失うことに繋がる。そのため、特許文献1の装身具では、イオンの放出量を効率的に増加させることは難しいと言える。
【0005】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、周囲へのイオンの放出量を効率的に増加させることができるイオン放射具及び装身具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るイオン放射具は、身体に装着されるネックレスヘッドに用いられるイオン放射具であって、所定の基準軸に対して少なくとも一部が交差する方向に延在しており、イオンを放射可能なイオン放射部と、前記イオン放射部が収容された空間部を備えるハウジングと、を有し、前記ハウジングは、前記ハウジングの長手方向の一端部に配置された開口部と、前記ハウジングの長手方向の他端部に配置された底部と、を有し、外部から閉じられた前記空間部を有し、前記イオン放射部は、天然鉱石からなるイオン放射物質を含んだ金属製の線材によって構成されており、前記イオン放射部の少なくとも一部は、前記基準軸の周りに螺旋状に延在しており、前記イオン放射部は、少なくとも一部が螺旋状に延在した状態で前記空間部内に収容されており、前記ハウジングの前記開口部に取り付け可能であり、前記ハウジングに取り付けられた状態において前記開口部を閉じる蓋部材をさらに有し、前記ハウジングは、長手方向に縦長に延びた形状を有し、前記基準軸は、前記ハウジングの長手方向と平行に延びる直線である。
【発明の効果】
【0007】
上記のイオン放射具では、イオン放射部が所定の基準軸に対して少なくとも一部が交差する方向に延在している。そのため、イオン放射部が単純な直線形状や円形状に延在している場合と比較して、イオン放射部がその周囲へ放射する単位体積当たりのイオンの放射量を増加させることができる。また、イオン放射部がハウジングの空間部内に収容されているため、ハウジングの外部からイオン放射部に対して直接的に衝撃や振動が加わることを防止できる。それにより、イオン放射部を所定の形状に形状付けした状態に維持することができ、イオン放射具からその周囲へ向けてイオンを安定的に放射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る装身具及びイオン放射具を示す正面図である。
【
図2】イオン放射具の長手方向に沿う断面図である。
【
図3】
図2に示す矢印3A-3A線に沿う断面図である。
【
図4】変形例1に係るイオン放射具を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示す矢印5A-5A線に沿うイオン放射具の断面図である。
【
図6】変形例2に係るイオン放射具を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す矢印7A-7A線に沿うイオン放射具の断面図である。
【
図8】変形例3に係るイオン放射具のハウジングを示す斜視図である。
【
図9】他の実施形態に係る装身具及びイオン放射具を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0010】
図1~
図3は、実施形態に係る装身具10及びイオン放射具100を示す図である。
【0011】
図1は、装身具10及びイオン放射具100の使用例を示す斜視図である。
図2は、イオン放射具100の長手方向に沿う断面図(縦断面図)である。
図2は、
図3の矢印3A-3Aで示す方向のイオン放射具100の断面図(横断面図)である。
【0012】
図2、
図3において、ハウジング120の長手方向を矢印X1-X2で示し、長手方向と交差する幅方向を矢印Y1-Y2で示す。
【0013】
以下、本実施形態に係る装身具10及びイオン放射具100について詳述する。
【0014】
<装身具>
図1に示すように、イオン放射具100は、例えば、イオン放射具100を身体に装着可能にするための付属部材140と組み合わせることにより、装身具10を構成することができる。
【0015】
本明細書の説明では、イオン放射具100をネックレスヘッドとして構成し、装身具10を自然人の身体の首に装着可能なネックレスとして構成した例を説明する。ただし、イオン放射具100の具体的な用途は装身具10に限定されず、例えば、キーホルダー等の物品に適用することも可能である。
【0016】
また、イオン放射具100を使用して装身具10を構成する場合においても、ブレスレットやアンクレットのようなネックレス以外の物品に適用することが可能である。また、装身具10は、例えば、自然人以外の動物(犬や猫等)への装着を目的とした物品として構成することも可能である。
【0017】
<イオン放射具>
イオン放射具100は、
図1、
図2、
図3に示すように、所定の基準軸Aに対して少なくとも一部が交差する方向に延在しており、イオンを放射可能なイオン放射部110と、イオン放射部110が収容された空間部121を備えるハウジング120と、を有する。
【0018】
本実施形態では、基準軸Aは、ハウジング120の長手方向と平行に延びる仮想的な軸である。なお、基準軸Aはハウジング120の長手方向と平行な軸のみに限定されず、例えば、ハウジング120の長手方向に対して交差(傾斜)していてもよい。
【0019】
イオン放射部110は、例えば、金属製の本体部材(例えば、金属製の線材)に、イオン放射物質を吹き付けたもので構成することができる。イオン放射部110は、
図2に示すように、基準軸Aの周りに螺旋状に延在している。イオン放射部110は、例えば、金属製の本体部材をスプリングコイル状に加工することで構成することができる。なお、イオン放射部110にイオン放射物質を含有させる方向は、特に限定されず、例えば、コーティング、材料製造時や成形時の練り込み、イオン放射物質が付着されたシート材の貼り付け等であってもよい。
【0020】
イオン放射部110の本体部材を構成する金属材料としては、例えば、銅やアルミを使用することができる。また、イオン放射物質としては、例えば、天然鉱石(例えば、粒状や粉体状に加工された状態のもの)を使用することができる。
【0021】
イオン放射部110は、基準軸Aの周りに螺旋状に延在しているため、ハウジング120の空間部121内でイオン放射部110が占める体積が増加する。そのため、イオン放射部110が単純な直線形状や円形状に延在している場合と比較して、イオン放射部110がその周囲へ放射する単位体積当たりのイオンの放射量が増加する。そのような効果が発揮されるため、例えば、イオン放射部110をネックレスヘッドのような比較的小型の部材に適用した場合においても、使用者に対するイオンの放射量を所定量以上に確保することが可能になる。したがって、イオン放射具100をネックレス等の装身具10の一部に使用した場合においても、使用者はイオンによる各種効果を享受することができる。
【0022】
なお、イオン放射部110の具体的な形状は、螺旋形状のみに限定されることはない。例えば、イオン放射部110は、基準軸Aに対してジクザグ状に延在した形状、波状に延在した形状、U字状に折り返された形状、立体的な幾何学形状等を有していてもよい。また、イオン放射部110を螺旋形状に形成する場合においても、螺旋のピッチ、螺旋の径、螺旋部分の長さ等について特に制限はない。ただし、イオン放射部110は、イオン放射部110の全長に亘って螺旋形状が付与されている場合、イオン放射部110の周囲へのイオンの放射量をより一層効率的に増加させることができる。
【0023】
ハウジング120は、長手方向に縦長に延びた形状を有する。ハウジング120の空間部121は、ハウジング120の長手方向の略全長に沿って延びた孔で構成することができる。なお、空間部121の断面形状(縦断面の形状及び/又は横断面の形状)は、図示した形状に限定されることはない。
【0024】
図2に示すように、ハウジング120は、長手方向の一端部に配置された開口部126と、長手方向の他端部に配置された底部127と、を有する。
【0025】
イオン放射部110は、開口部126を介してハウジング120の空間部121内に挿入することができる。イオン放射部110は、例えば、接着材などを使用してハウジング120の内壁面(例えば、底部127等)に対して固定することができる。
【0026】
ハウジング120の一端部には、所定の蓋部材130を取り付けることができる。蓋部材130をハウジング120に取り付けることにより、ハウジング120の開口部126を閉じることができる。蓋部材130には、
図1に示す付属部材140の細長い部材141を挿通可能な接続孔131を設けることができる。
【0027】
イオン放射部110は、ハウジング120の空間部121内に収容されるため、ハウジング120の外部からイオン放射部110に対して直接的に衝撃や振動が加わることを防止できる。それにより、イオン放射部110を所定の形状(例えば、螺旋形状)に形状付けした状態に維持することができる。したがって、イオン放射具100は、装身具10が使用者の身体に取り付けられた状態で、使用者が運動等をしている場合においても、その周囲へ向けてイオンを安定的に放射することができる。
【0028】
付属部材140は、
図1に示すように、チェーンや紐などで構成される細長い部材141と、細長い部材141の両端部同士を接続分離可能にする留め具143と、を有する。なお、付属部材140の具体的な形状、材質、長さ、構造について特に制限はない。
【0029】
使用者は、
図1に示すように、ハウジング120の長手方向を、身体の縦方向に一致させるように配置した状態で、細長い部材141を首に巻くことで装身具10を身体に装着することができる。
【0030】
以下、上述した実施形態の変形例を説明する。既に説明した部材や内容についての詳細な説明は適宜省略する。また、特に説明の無い内容については前述した実施形態と同様のものとすることができる。また、各変形例同士についても重複した説明は適宜省略する。
【0031】
<変形例1>
図4、
図5に示すように、変形例1に係るイオン放射具100Aは、ハウジング120Aの内部に形成された空間部121の構造が前述した実施形態と相違する。
【0032】
イオン放射具100Aの空間部121は、ハウジング120の長手方向に延びる孔部123で構成されている。孔部123は、ハウジング120の長手方向と交差する方向に隣接した第1孔部123a及び第2孔部123bを有する。
【0033】
孔部123にはイオン放射部110が配置されている。具体的には、第1孔部123aには第1イオン放射部110aが配置されており、第2孔部123bには第2イオン放射部110bが配置されている。各イオン放射部110a、110bは、前述した実施形態と同様に、少なくとも一部が所定の基準軸Aに対して交差する方向に延在している。
【0034】
なお、各イオン放射部110a、110bは、その少なくとも一部が基準軸Aに対して交差する方向に延在していればよい。ただし、イオン放射部110a、110bの各々が基準軸Aに対して交差する方向に延在した形状(例えば、螺旋形状)を有する場合、イオン放射具100Aから放射されるイオンの放射量をより一層効率的に高めることができる。
【0035】
本変形例に係るイオン放射具100Aは、ハウジング120Aの空間部121が有する二つの孔部123a、123bの各々にイオン放射部110a、110bが配置されている。そのため、イオン放射具100Aからその周囲へ放出されるイオンをより一層効率的に増加させることができる。
【0036】
なお、
図4では、蓋部材130の図示を省略しているが、前述した実施形態と同様に、ハウジング120Aには蓋部材130を適宜取り付けることができる。また、各孔部123a、123bの位置関係や断面形状(縦断面の形状及び/又は横断面の形状)は特に限定されない。例えば、各孔部123a、123bは、ハウジング120Aの長手方向と交差する方向で互いに連通していなくてもよい。
【0037】
<変形例2>
図6、
図7に示すように、変形例3に係るイオン放射具100Bは、ハウジング120Bの孔部123が第1孔部123a、第2孔部123b、第3孔部123cの三つの孔部を有する。各孔部123a、123b、123cの各々には、第1イオン放射部110a、第2イオン放射部110b、第3イオン放射部110cが配置されている。
【0038】
変形例2に係るイオン放射具100Bによれば、変形例1で示したイオン放射具100Aと比較して、イオン放射具100Bの周囲へのイオンの放射量をさらに効率的に増加させることができる。
【0039】
<変形例3>
図8には、変形例4に係るハウジング120Cを示す。ハウジング120Cの孔部(空間部)123の周囲には、螺旋状に延びる溝部124が形成されている。そのため、孔部123内に配置されるイオン放射部110からハウジング120Cの周囲へ放射されるイオンの放射量を効率的に増加させることができる。
【0040】
<他の実施形態>
図9には、他の実施形態に係る装身具10D及びイオン放射具100Dを示す。
【0041】
イオン放射具100Dを装身具10Dに使用する場合、例えば、イオン放射具100Dの長手方向を使用者の身体の左右方向(両腕方向)に一致させるように配置した状態で使用することも可能である。このようにイオン放射具100Dを使用する場合、例えば、ハウジング120の両端部付近に、付属部材140の細長い部材141を挿通可能な孔部が形成された接続部133を有する蓋部材130を配置することができる。
【0042】
以上、実施形態及び変形例を通じて本発明に係るイオン放射具及び装身具を説明したが、本発明は実施形態で説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0043】
イオン放射具は、所定の基準軸に対して少なくとも一部が交差する方向に延在しており、イオンを放射可能なイオン放射部と、イオン放射部が収容された空間部を備えるハウジングと、を有する限りにおいて、各部の構造、材質、大きさ、形状等は任意に変更することが可能である。
【0044】
例えば、空間部(孔部)の個数及び空間部に配置されるイオン放射部の個数は4つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
10、10D 装身具
100、100A、100B、100D イオン放射具
110 イオン放射部
110a 第1イオン放射部
110b 第2イオン放射部
110c 第3イオン放射部
120、120A、120B、120C ハウジング
121 空間部
123 孔部
123a 第1孔部
123b 第2孔部
123c 第3孔部
124 溝部
130 蓋部材
140 付属部材
A 基準軸