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  • 特許-クイックチェンジデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】クイックチェンジデバイス
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/40 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
E02F3/40 E
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021031463
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2021139284
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】10 2020 105 460.2
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519209288
【氏名又は名称】オイルクイック ドイチュランド カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コールマン,ミヒャエル
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第99/006317(WO,A1)
【文献】国際公開第01/083894(WO,A1)
【文献】特開平07-026576(JP,A)
【文献】特開2005-042530(JP,A)
【文献】登録実用新案第3005023(JP,U)
【文献】実開平05-038048(JP,U)
【文献】実開昭61-076852(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械上のアタッチメントを交換するためのクイックチェンジデバイス(1)であって、該クイックチェンジデバイスは、本体(2)と、取り付けピン(8)を受容するための、対向して配置された第1および第2軸受ブッシュ(6、7)を有する平行な横側面(3)とを含み、少なくとも2つの対向して配置された第1軸受ブッシュ(6)は、該第1軸受ブッシュ(6)の受け孔(20)の中心軸(21)に対してオフセットした軸(19)の周りで前記第1軸受ブッシュ(6)を回転させることによって、前記横側面(3)において対向して配置された第1通路開口部(4)に異なる角度位置で挿入されることが可能であり、前記第1通路開口部(4)の相補的内部輪郭(18)内に回転的に堅固に係合するための外部輪郭(17)を有し、
前記第1軸受ブッシュ(6)上の前記外部輪郭(17)および前記第1通路開口部(4)上の前記内部輪郭(18)は、多角形の外形を有するように構成されている、ことを特徴とする、クイックチェンジデバイス(1)。
【請求項2】
前記外部輪郭(17)は、前記第1軸受ブッシュ(6)の係合部分(14)に配置され、該係合部分は前記第1通路開口部(4)内に係合することを特徴とする、請求項に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【請求項3】
前記第1軸受ブッシュ(6)は、前記横側面(3)上に前記第1軸受ブッシュ(6)を取り付けるためのタップ穴(15)を有する取り付けフランジ(16)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【請求項4】
前記対向して配置された第2軸受ブッシュ(7)は、前記横側面(3)で、スロット孔として構成された第2通路開口部(5)に配置され、インターロック接続(24、27)によって変位に対して固定されていることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【請求項5】
前記インターロック接続(24、27)は、前記第2通路開口部(5)の上面および下面のアーチ型陥凹(24)、ならびに前記第2軸受ブッシュ(7)上の相補的なアーチ型隆起(27)によって形成されることを特徴とする、請求項に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【請求項6】
前記アーチ型隆起(27)は、前記第2軸受ブッシュ(7)の係合領域(26)に配置され、該係合領域は前記第2通路開口部(5)内に係合することを特徴とする、請求項に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【請求項7】
前記第2軸受ブッシュ(7)は、保持プレート(29)によって前記横側面(3)上に取り付けられることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【請求項8】
前記保持プレート(29)は、前記横側面(3)の外表面に配置され、ねじ(30)によって前記第2軸受ブッシュ(7)にねじ留めされることを特徴とする、請求項に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【請求項9】
前記取り付けピン(8)は、取り付け要素(33)によって前記横側面(3)上の所定位置に係止されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のクイックチェンジデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによるクイックチェンジデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのクイックチェンジデバイスは、建設機械上の異なるアタッチメントを容易かつ便利に交換するために使用される。このタイプのクイックチェンジデバイスを使用することで、たとえばスイベルバケット、爪、剪断機、コンパクタ、磁石、油圧ハンマー、またはその他のアタッチメントを、運転室から数秒以内に高レベルの安全性で、たとえば掘削機のブームと結合および切り離すことができる。
【0003】
特許文献1は、一般的なクイックチェンジデバイスを開示している。このクイックチェンジデバイスは、本体および平行な横側面を有するサポートを含み、このサポートは、掘削機のブームアーム上に取り付けられることが可能である。本体の片側には、アタッチメントまたはアダプタ上に配置された第1結合要素の第1レセプタクルが、反対側には、第2結合要素を解放可能に保持するための係止要素を有する第2レセプタクルが配置されており、係止要素は、開放位置と係止位置との間で移動することができる。サポートを掘削機上に取り付けられるようにするために、取り付けピンを受容するために対向して配置された後方および前方軸受ブッシュが、サポートの横側面に配置されている。しかしながら、これらの軸受ブッシュは、取り付けピンの位置が固定されて容易に変更できないように、横側面にしっかりと動かないように配置されている。その結果、クイックチェンジデバイスは、この目的のために特別に意図されたブームアーム上にのみ取り付けられることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】ドイツ特許第102017110586号A1明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明によって解決されるべき問題は、より広い適用範囲を有し、普遍的に使用され得る、上述のタイプのクイックチェンジデバイスを利用できるようにすることである。
【0006】
この問題は、請求項1の特徴を有するクイックチェンジデバイスによって解決される。本発明の好都合な実施形態および有利な改良は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によるクイックチェンジデバイスは、軸受ブッシュの受け孔の中心軸に対してオフセットした軸の周りで回転させることによって横側面の第1の対向して配置された通路開口部に異なる角度位置で挿入されることが可能であって、通路開口部の相補的内部輪郭内に回転的に堅固に係合するための外部輪郭を有する、少なくとも2つの対向して配置された第1軸受ブッシュを含む。これにより、横側面に対する軸受ブッシュの受け孔の位置を、特定のそれぞれの要件に合わせて容易に変更および調整することができる。軸受ブッシュ上の外部輪郭および横側面の通路開口部の相補的内部輪郭により、軸受ブッシュと横側面との間のインターロック相互係合接続が形成され、こうして、特に安定しており、望ましくない変位を確実に防止する接続を可能にする。
【0008】
本発明の特に有利な実施形態では、第1軸受ブッシュ上の外部輪郭および第1通路開口部の内部輪郭は、多角形プロファイル(多角形の外形)を有するように構成されている。しかしながら、第1軸受ブッシュと横側面との間のインターロック接続(相互に連動し合う接続)は、たとえば、外部および内部スプライン歯によって、スプラインシャフトおよびスプラインハブプロファイルによって、または外部および内部多角形プロファイル(外形)によって達成することもできる。
【0009】
外部輪郭は、軸受ブッシュの係合部分上に好ましくは配置されることが可能であり、この係合部分は第1通路開口部内に係合する。横側面上に取り付けるために、第1軸受ブッシュは、タップ穴を有する取り付けフランジを含むことができる。
【0010】
追加の取り付け手段は、横側面で、スロット孔として構成された第2通路開口部に対向して配置された第2軸受ブッシュを配置し、インターロック接続により変位に対してこれらを固定することによって、達成することができる。
【0011】
インターロック接続は、たとえば、第2通路開口部の上面および下面のアーチ型陥凹、ならびに第2軸受ブッシュ上の相補的なアーチ型隆起によって形成することができる。アーチ型隆起は、第2軸受ブッシュの係合領域上に配置されることが可能であり、この係合領域は、第2通路開口部内に係合する。
【0012】
第2軸受ブッシュは、保持プレートによって、横側面上に取り付けられることが可能である。保持プレートは、たとえば、横側面の外表面上に配置され、ねじによって第2軸受ブッシュに締結されることが可能である。
【0013】
本発明の追加の特徴および利点は、図面を参照する以下の好適な実施形態の例の説明から得られる。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるクイックチェンジデバイスの分解図である。
図2図1に示されるクイックチェンジデバイスの横側面の平面の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、建設機械、特に掘削機上の異なるアタッチメント(取付部材、取付器具)を容易かつ便利に交換するためのクイックチェンジデバイス1を示す。このタイプのクイックチェンジデバイス1を使用することで、たとえばスイベルバケット、爪、剪断機、コンパクタ、油圧ハンマー、またはその他の機械的および/または油圧式アタッチメントを、運転室から、掘削機または異なる建設車両のブームまたはその他のアタッチメント部品と結合および切り離すことができる。
【0016】
クイックチェンジデバイス1は、溶接または鋳造部品の形態のサポートを含み、このサポートは、主要構成要素2と、平行な接続ピン8の軸受ブッシュ(軸受筒)6および7を受容するための通路開口部4および5を有する2つの平行な横側面3とを含む。接続ピン8によって、クイックチェンジデバイス1は、たとえば、掘削機またはその他の作業機器のブームアーム上に取り付けられることが可能である。
【0017】
一方では、断面において逆U字型プロファイルを有する主要構成要素2は、第1のボルト型結合要素を受容および保持するための後方に開放した第1レセプタクル9を有し、他方では、第2のボルト型結合要素を受容および保持するための下方に開放した第2レセプタクル10を有する。ボルト型結合要素は、たとえば、アタッチメント上、またはアタッチメントに取り付け可能なアダプタ上に、配置されることが可能である。
【0018】
図示される実施形態の例では、クイックチェンジデバイス1の本体部品4[原文ママ;2]の裏面は、第1結合要素の2つの第1の離間したレセプタクル9を有し、前面は、第2結合要素の2つの離間したレセプタクル10を有する。後方に開放した第1レセプタクル9は、フォークまたは爪の形状を有する。下方に開放した第2レセプタクル10は、第2のボルト型結合要素に当接するための湾曲した下部当接面11を有する。本体部品4[原文ママ;2]の前面上の2つのレセプタクル10には係止機構が配置されており、各々が、本体部品2の中のガイド穴12を移動可能に案内され、後退した開放位置と伸張した係止位置との間を駆動部によって移動可能な、ボルト型係止要素13を有する。伸張した係止位置で、下方に開放した第2レセプタクル10は、ボルト型係止要素13によって底面上が閉じられており、これは、第2のボルト型結合要素がボルト型係止要素13によって下から係合されて保持されるように、本体部品2内のガイド穴12内に移動可能に配置されている。ボルト型係止要素13の代わりに、フックの形態またはその他の形状の係止要素がサポートの本体部品2上に配置されることも可能である。
【0019】
クイックチェンジデバイス1によってアタッチメントを結合するために、一般に掘削機のブーム上に配置されているクイックチェンジデバイス1は、最初に、アダプタ上または直接アタッチメント上に配置された第1結合要素がクイックチェンジデバイス1の片側上の爪またはフォーク型のレセプタクル9内に後退するように、移動させられる。次に、係止要素13が後退したままのクイックチェンジデバイス1は、アダプタまたはアタッチメント上の第2結合要素が、クイックチェンジデバイス1の反対側の下方に開放したレセプタクル10の当接面11に当接するように、第1のボルト型結合要素の周りを旋回させられる。その後、サポートの本体部品2内のガイド穴12内に移動可能に配置されている係止要素13は、第2のボルト型結合要素がクイックチェンジデバイス1上の2つのボルト型係止要素13によって、下から係合され、こうしてアタッチメントがクイックチェンジデバイス1上に保持されるように、油圧で伸張されることが可能である。
【0020】
図1および図2が示すように、第1軸受ブッシュ6を受容するための、2つの対向して配置された後方通路開口部4、および第2軸受ブッシュ7を受容するための、2つの対向して配置された前方通路開口部5が、サポートの2つの横側面3に配置されている。後方第1軸受ブッシュ6は、後方通路開口部4内に係合するための係合部分14と、タップ穴15を有する取り付けフランジ16とを有する。後方軸受ブッシュ6の係合部分14は、後方通路開口部5の、ここでは内部六角形プロファイルとして構成された相補的内部輪郭18内のインターロック係合のための、ここでは外部六角形プロファイルとして構成された外部輪郭17を有する。これにより、通路開口部4内の第1軸受ブッシュ6を、図1に示される軸19の周りで異なる角度位置で回転し、特定の位置で通路開口部5内に挿入し、回転に対して固定することができる。
【0021】
第1軸受ブッシュ6内には、軸19に対して偏心した受け穴20が配置されている。受け穴20の中心軸21は、第1軸受ブッシュ6を回転させることによって横側面3に対する受け穴20の位置を変更できるように、軸19に対してオフセットしている(ずらされている)。横側面3の通路開口部5の周りには、ねじ23用の複数の貫通穴22が配置されており、この貫通穴は、取り付けフランジ16のタップ穴15と位置合わせされている。横側面3の通路開口部4内に特定の角度位置で挿入された軸受ブッシュ6は、ねじ23によって横側面3上に取り付けられることが可能である。
【0022】
外部輪郭17および相補的内部輪郭18は、好ましくは、多角形プロファイルを有するように構成されている。しかしながら、軸受ブッシュ6と横側面3との間の接続は、たとえば、外部および内部スプライン歯によって、スプラインシャフトおよびスプラインハブプロファイルによって、または外部および内部多角形プロファイルによって達成することもできる。
【0023】
横側面3の前方に配置された第2通路開口部5は、上面上および下面上にアーチ型陥凹24を有するスロット孔として構成されている。前方に配置された第2軸受ブッシュ7は、フランジ25と、前方通路開口部5内のインターロック係合のための係合領域26とを有する、楕円形の本体を有する。
【0024】
図2が示すように、その上面上および下面上の係合領域26は、陥凹24と相補的なアーチ型隆起27を有する。前方軸受ブッシュ7には、取り付けピン8を受容するための受け穴28も配置されている。前方通路開口部5および係合領域26の設計のため、スロット孔として構成された通路開口部5内の軸受ブッシュ7は、横側面3上の異なる位置で挿入されることが可能であり、そこで変位に対して固定される。したがって、横側面3に対する受け穴28の位置を容易に変更することができる。
【0025】
前方軸受ブッシュ7は、図1に示される保持プレート29によって横側面3に取り付けられ、この保持プレートは、横側面3の外面に配置され、ねじ30によって軸受ブッシュ7にねじ留めされる。この目的のために、保持プレート29は貫通穴31を有し、軸受ブッシュ7は相補的なタップ穴32を有する。横側面3の取り付け要素33およびタップ穴34によって、取り付けピン8を横側面3上の所定位置に係止することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 クイックチェンジデバイス
2 本体
3 横側面
4 第1通路開口部
5 第2通路開口部
6 第1軸受ブッシュ
7 第2軸受ブッシュ
8 取り付けピン
9 第1レセプタクル
10 第2レセプタクル
11 当接面
12 ガイド穴
13 係止要素
14 係合部分
15 タップ穴
16 取り付けフランジ
17 外部輪郭
18 内部輪郭
19 軸
20 受け穴
21 中心軸
22 貫通穴
23 ねじ
24 陥凹
25 フランジ
26 係合領域
27 隆起
28 受け穴
29 保持プレート
30 ねじ
31 貫通穴
32 タップ穴
33 取り付け要素
34 タップ穴
図1
図2