(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ボルトヘッドキャップ
(51)【国際特許分類】
F16B 37/14 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
F16B37/14 Z
F16B37/14 J
(21)【出願番号】P 2021094362
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】392035341
【氏名又は名称】共和ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】寺阪 剛
(72)【発明者】
【氏名】中村 謙次
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-057028(JP,U)
【文献】特開2010-047061(JP,A)
【文献】登録実用新案第3183540(JP,U)
【文献】実開平03-028316(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結したボルトにおけるボルトヘッドを覆い、下端部には被締結物に接する裾部を有するゴム又は合成樹脂製のボルトヘッドキャップであって、
前記裾部が、前記ボルトヘッドの直径よりも大きく形成され、
前記裾部よりも内周側部位に、それよりも内周側と外周側を識別する識別部が形成され
、
前記識別部が内側に突出する段差部で構成され、
外表面における前記段差部に対応する部位に、内側に凹む凹部が形成された
ボルトヘッドキャップ。
【請求項2】
天井面における前記ボルトヘッドの頂面に対向する部位に磁石が備えられた
請求項
1に記載のボルトヘッドキャップ。
【請求項3】
前記磁石の表面に、前記ボルトヘッドとの間に介在して前記磁石と前記ボルトヘッドの頂面とを非接触とするゴム又は合成樹脂製の被覆部が形成された
請求項
2に記載のボルトヘッドキャップ。
【請求項4】
外表面が偏平ドーム状の湾曲面で形成され、
前記磁石を備える部分が前記天井面から下に突出している
請求項
2または請求項3に記載のボルトヘッドキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、締結したボルトの頭部に被覆して防錆をはかるボルトヘッドキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
ボルトヘッドの腐食を防止するものとして、下記特許文献1のボルトキャップがある。
【0003】
このボルトキャップは、ボルトヘッドとキャップとの間をレジン(コーキング材、シーリング材)の充填で密封して、充分な耐食性を発揮させるものである。キャップの頂部には、キャップをボルトヘッドにかぶせたときに、充填したレジンがはみ出すように小穴が形成されている。
【0004】
また、レジンが固まるまでの間にキャップが外れないようにするため、内周面に複数の突起を有している。これらの突起は、縦に長いリブ状であり、内周面を非平滑面にするとともに、ボルトヘッドを締め付けるためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、レジンはキャップの内部空間を埋めるのに十分な量充填され、前述のように充填したレジンはキャップの頂部に設けた小穴からはみ出すように構成されているので、レジンの使用量はとても多い。
【0007】
小穴を設けずにキャップの開口部分のみにコーキング材等を付着させて取り付けを行うことが考えられるが、開口部分には前述のリブがあり、不可能である。たとえリブがないとしても、コーキング材等を付着させる基準となる構成がないと、結局、過剰に付着させることになる。
【0008】
そこで、この発明は、キャップの取り付けに必要なコーキング材等の使用量を低減することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段は、締結したボルトにおけるボルトヘッドを覆い、下端部には被締結物に接する裾部を有するゴム又は合成樹脂製のボルトヘッドキャップであって、前記裾部が、前記ボルトヘッドの直径よりも大きく形成され、前記裾部よりも内周側部位に、それよりも内周側と外周側を識別する識別部が形成されたボルトヘッドキャップである。
【0010】
この構成では、識別部よりも外周側にコーキング材等が塗布されて、取り付けが行われる。識別部がコーキング材等を塗布する部位を認識させて、過重な塗布を防止し、コーキング材等の使用量を適切にさせる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、キャップの取り付けに必要なコーキング材等の使用量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】ボルトヘッドキャップの片側断面図とボルトヘッドの正面図。
【
図5】ボルトヘッドキャップの使用態様を示す断面図。
【
図6】ボルトヘッドキャップを重ねた状態の断面図。
【
図7】他の例に係るボルトヘッドキャップの片側断面図
【
図8】他の例に係るボルトヘッドキャップの断面図。
【
図9】
図8のボルトヘッドキャップの製造金型を示す断面図。
【
図10】
図8のボルトヘッドキャップの使用態様を示す断面図。
【
図11】他の例に係るボルトヘッドキャップの断面図。
【
図12】他の例に係るボルトヘッドキャップの斜視図。
【
図13】他の例に係るボルトヘッドキャップの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0014】
図1に、ボルトヘッドキャップ11の使用状態の断面図を示す。このボルトヘッドキャップ11は、締結したボルト51におけるボルトヘッド52を覆い、下端部には被締結物53に接する裾部12を有するゴム又は合成樹脂製のものであって、特にトルシア型高力ボルトに適したものである。
【0015】
トルシア型高力ボルトは、
図2に示したような鉄骨の継手などに用いられ、ボルトヘッド52の向きは
図1に示したように上向きとなるばかりではなく、横向きとなる場合も下向きとなる場合もある。
【0016】
ボルトヘッドキャップ11の固定に際しては、コーキング材を用いてボルトヘッドキャップ11と被締結物53との間を接着し気密状態を作る。
【0017】
このボルトヘッドキャップ11は、コーキング材の使用量を低減するとともに、
図1に示したように磁石13を採用することによって、ボルトヘッド52が横向きや下向きの場合でも、施工時にコーキング材が硬化するまで手で押さえるという手間を省く。
【0018】
ボルトヘッドキャップ11は、トルシア型高力ボルトのボルトヘッド52の形に合わせて、
図3の斜視図にみられるように、平面視円形の偏平なドーム形状をなす中空構造である。つまりボルトヘッドキャップ11の外表面14は偏平なドーム状の湾曲面に形成されている。ボルトヘッドキャップ11の頂面15は、
図4に示したように、ボルトヘッド52の頂面54と同じように平面視円形で平らである。
【0019】
ボルトヘッドキャップ11の頂面15の面積と、ボルトヘッド52の頂面54の面積はほぼ同じである。ボルトヘッドキャップ11の外表面14における頂面15から下に延びる部分は緩やかな円弧を描きながら、一部を中断して裾部12の下端まで連続している。
【0020】
ボルトヘッドキャップ11は、頂面15部分を除いて全体が所定厚の等肉に形成されている。裾部12の下端面12aは円環状をなす水平面であり、頂面と平行である。
【0021】
ボルトヘッドキャップ11の材料としては、適宜の天然ゴムや合成ゴム、合成樹脂が用いられるが、なかでもシリコーンゴムやEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)など、適宜の軟質合成樹脂が好適に用いられる。
【0022】
ボルトヘッドキャップ11の天井面、つまり頂面15と反対の内側面におけるボルトヘッド52の頂面54に対向する部位に、前述した磁石13が備えられる。磁石13はボルトヘッドキャップ11の肉厚よりも厚い適宜厚の円板状であり、磁石を備える磁石保持部16は天井面から下方に突出している。
【0023】
磁石保持部16は、下方へ延びて磁石13の外周面を保持する円筒状部17を有している。円筒状部17は、磁石13の外周面全体を取り囲んで磁石13を天井面に保持する部分であり、保持する磁石13の厚さと同じ深さか、それよりも浅く形成される。円筒状部17の周方向の厚みは、磁石13をしっかりと保持できる厚さに設定される。磁石保持部16は、ボルトヘッドキャップ11と同じゴム又は合成樹脂で一体に形成され、磁石13は磁石保持部16に後付けされる。磁石は単に磁石保持部に対して嵌めるだけでもよく、接着剤等で固定してもよい。
【0024】
保持した磁石13の下面の高さH1、つまり磁石13の下端面と裾部12の下端面12aとの間の長さは、ボルトヘッド52の高さH2に対応している。すなわち、被覆部18の下面の高さは、ボルトヘッド52の高さH2と同じである。被覆部18の下面の高さをボルトヘッド52の高さH2よりもわずかに高くしてもよい。
【0025】
前述のように磁石保持部16は天井面から下に突出しており、等肉に形成されたボルトヘッドキャップ11は頂面15から下の部分が緩やかな円弧を描いて裾部12の下端まで連続する。このため、ボルトヘッドキャップ11内における磁石保持部16の周囲には、被覆されたボルトヘッド52との間に空間が形成されることになる。
【0026】
この空間がボルトヘッド52の外周縁まで形成されるように、裾部12の直径D1はボルトヘッド52の直径D2よりも大きく形成されている。
【0027】
また、裾部12よりも内周側部位に、それよりも内周側と外周側を識別する識別部19が形成されている。識別部19は、内側に突出する段差部21で構成される。段差部21は、前述した頂面15から下に延びる緩やかな円弧が中断された部分である。段差部21の断面形状はL字型である。つまり段差部21の外側面は、外周方向に向く垂直面21aと、上に向く水平面21bを有している。
【0028】
このような形状の段差部21は、ボルトヘッドキャップ11の全周にわたって環状に形成されている。
【0029】
また前述のような形状の段差部21を有するため、外表面における段差部21に対応する部位には、内側に凹み、前述の垂直面21aと水平面21bを有する凹部22が全周にわたって形成されることになる。凹部22の大きさは指先を引っかけられる程度の大きさであるのが好ましい。
【0030】
ここで、段差部21の垂直に延びる内周面位置(内径D3)をボルトヘッド52の外周縁(直径D2)よりも大きく設定する。具体的には、M22のトルシア型高力ボルトのボルトヘッド52が、高さ(H2)21mm、直径(D2)38.5mmであるところ、段差部21の内径D3は、およそ48mmに設定し、裾部12の外径D1はおよそ64.8mmに設定する。
【0031】
また段差部21よりも下側(外周側)の部分はコーキング材61(
図5参照)を塗布する部分であり、段差部21の下端面と裾部12の下端面12aとの間の距離Lは次のように設定される。すなわち距離Lは、コーキング材61を押し出して段差部21の下端面に1回塗ったときに、コーキング材61が裾部12の下端面12aよりも盛り上がるように(
図5の下の図参照)、押し出されるコーキング材61の太さよりも小さく設定される。
【0032】
なお、前述した磁石保持部16に対する磁石13の保持に際して、磁石13の極性は揃えておくのが好ましい。磁石13の極性が揃っていると
図6に示したように、複数のボルトヘッドキャップ11を重ねた時に磁力でボルトヘッドキャップ11同士が吸着し、省スペースで無駄なく重なることになる。
【0033】
以上のように構成されたボルトヘッドキャップ11は、ボルトヘッド52に被覆して使用される。ボルトヘッド52の向きにかかわりなく、
図5の下の図に示したように上下反転して内側面を上にしたボルトヘッドキャップ11の段差部21から外周側部分に、コーキング材61を押し出して全周に塗る。このときコーキング材61の上面は裾部12の下端面12aよりも盛り上がっている。また、露出した磁石13の下端面にもコーキング材61を塗布する。この塗布は、磁石13の下端面の中央に、圧縮したときに磁石13の下端面よりも広く伸びる程度の量を盛る程度でよい。
【0034】
続いてボルトヘッドキャップ11の磁石保持部16をボルトヘッド52の頂面54に吸着させる。するとボルトヘッドキャップ11は
図5のような下向きの場合であってもボルトヘッド52を被覆した状態になるとともに、裾部12のコーキング材61は圧縮されて裾部12よりも外周にはみ出したうえで内周にも広がる。これによって、裾部12とボルトヘッド52との間は埋められて気密状態となる。
【0035】
また、磁石13の下端面のコーキング材61は、ボルトヘッド52との間で圧縮されて広がり、磁石13とボルトヘッド52との間に介在して、磁石13とボルトヘッド52を非接触にする。換言すれば、磁石13の下端面のコーキング材61は、磁石13の下端面の全体を覆って遮断し、ボルトヘッド52に対する直接の接触を防ぐ。
【0036】
なお、
図1に示したように磁石13とボルトヘッド52との間のコーキング材61は省略してもよい。
【0037】
ボルトヘッドキャップ11の磁石13が、その磁力によってボルトヘッド52に対する被覆状態を維持するので、コーキング材61が硬化する前に手を離しても、ボルトヘッドキャップ11が外れたり位置ずれしたりすることはなく、所望の被覆状態を得られる。このため、作業性が良好で確実な被覆が行える。
【0038】
また、前述した特許文献1の構成では、トルシア型の高力ボルトのような丸形状のボルトヘッド52の場合には突起がその下部のわずかな部分でしかボルトヘッドに接触しないので、締め付け力を得にくかった。この点、このボルトヘッドキャップ11は磁力によってボルトヘッド52に対する取り付け状態を維持するので、丸型のボルトヘッド52に対して確実に取り付けられる。
【0039】
しかも、裾部12よりも内周側部位には識別部19が形成されており、これが塗布するコーキング材61の塗布量の基準となる。このため、ボルトヘッドキャップ11の内部全体にコーキング材61を充填する場合に比して使用量は少量ですみ、重量を軽減できる。この点からも所望の被覆状態が得られる。
【0040】
また、磁石13の下端面はコーキング材61で被覆されて、磁石13の全体が隠ぺいされることになるので、たとえ磁石13に錆が生じていても、これがボルトヘッド52に対してもらい錆となることはなく、所望の締結力を長期間にわたって発揮させることができる。
【0041】
磁石13の下端面に塗布されるコーキング材61については、磁石13の露出した下端面は一定の閉じた領域を示すので、前述した裾部12の場合と同様に、コーキング材61を塗布する明確な基準・目印となる。このため、磁石13全体がむき出しでコーキング材を塗布する基準がない場合では、コーキング材を塗布することで磁石の吸着力を阻害してしまうことなったが、そのような不都合は生じることなく、磁石13を隠蔽しつつ吸着力を確実に作用させることができる。
【0042】
さらに前述した識別部19は段差部21で構成され、外表面14には凹部22が形成されているので、ボルトヘッドキャップ11を固定する際に凹部22が指先を引っかける部分となり、作業性がよい。
【0043】
しかも、段差部21で構成された識別部19は、付着したコーキング材61の受けとなり、流れ止めができるので、上下反転した姿勢で取り付ける場合でも、充分なシール性を確保できる。
【0044】
そのうえ、外表面14は偏平ドーム状の湾曲面で形成されており、磁石保持部16は天井面から下に突出して頂面15には突出しない形状である。このため、ボルトヘッドキャップ11を取り付けた際に、ボルトヘッドキャップ11が不測に他の物と衝突して衝撃を受けて外れたりすることを抑制できる。
【0045】
以下、他の例について説明する。この説明において、前述の構成と同一の部位ついては同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0046】
図7は、磁石保持部16に被覆部18を備えた例である。被覆は、磁石13の表面、つまり下端面に形成され、ボルトヘッド52との間に介在して磁石13とボルトヘッド52の帳面とを非接触にするゴム又は合成樹脂製の部分である。
【0047】
被覆部18は、磁石13の表面の全体を隠ぺいしており、これによって磁石は全体がゴム又は合成樹脂で覆われていることになる。磁石保持部16を含むボルトヘッドキャップ11全体はいわゆるインサート成形や二色成形で構成できる。
【0048】
被覆部18の厚さtは、例えば0.5mmから1mm程度、1.2mmまでに設定されるとよい。また、被覆部18の下面の高さはボルトヘッド52の高さに対応している。
【0049】
図8は、磁石保持部16の被覆部18が磁石13の表面全体を隠蔽せずに、磁石13の一部が露出している例を示している。
【0050】
すなわち、磁石13の表面における閉じられた一部、具体的には磁石13の表面の中央に対応する部位以外の部位に被覆部18が形成されている。
【0051】
この例の磁石13は、円板状ではなく円環状であり、中央に貫通穴13aが形成されている。このような形状の磁石13のうち、貫通穴13aの縁を除く部分全体が磁石保持部16で覆われている。
【0052】
このような構成のボルトヘッドキャップ11は、
図9に示したような金型でインサート成形されて製造される。すなわち、下型71における磁石13を保持する部分に段付きのピン72が立設されおり、磁石13は浮かせて保持される。上型73でピン72の先端と磁石13の貫通穴13aの周りを押さえて成形材料を射出すると、前述した構造のボルトヘッドキャップ11が得られる。
【0053】
このように、被覆部18を有するものの磁石13の一部が露出しているボルトヘッドキャップ11は、
図10に示したように使用される。
【0054】
すなわち、ボルトヘッドキャップ11の段差部21よりも外周部分と、被覆部18の中央の欠損部分、つまり磁石13の貫通穴13aが露出している部分にコーキング材61を塗布する。そのあと、矢印で示したように磁石保持部16をボルトヘッド52の頂面54に接触させる。磁石13はボルトヘッド52の頂面54に吸着し、このとき押しつぶされたコーキング材61は変形して被覆部18の欠損部分を埋めて、余剰部分は磁石13の貫通穴13aに流れ込む。裾部12のコーキング材61は被締結物53に押し付けられて裾部12の下端面12aとその内側部分をシールし接着する。
【0055】
磁石13は一部が露出しているものの、従来のように全体が露出している場合とは異なり、露出している部分は内側であり、一部であるので、コーキング材61を塗布する明確な基準・目印となる。このため、磁石13全体がむき出しでコーキング材を塗布する基準がない場合では、コーキング材を塗布することで磁石の吸着力を阻害してしまうことなったが、そのような不都合は生じることなく、磁石13を隠蔽しつつ吸着力を確実に作用させることができる。
【0056】
図11は、他の例に係るボルトヘッドキャップ11の断面図である。
図11の(a)のボルトヘッドキャップ11は、
図8に示したボルトヘッドキャップ11の欠損部分、つまり磁石13の貫通穴13aとその周囲をゴム又は合成樹脂で予め充填した態様に形成されている。図中、23が充填部である。
【0057】
図11の(b)は、裾部12の下端面12aを外周側部分ほど薄く変形しやすいフィン状に形成した例である。
【0058】
図11の(c)は、段差部21に垂下リブ24を形成した例である。垂下リブ24は全周に形成されており、コーキング材を塗布する際に、コーキング材の内周側の位置を規制する。
【0059】
図12は、他の例に係るボルトヘッドキャップ11の斜視図であり、外表面14における裾部12に所定間隔で縦に延びるリブ25が形成されている。このリブ25は、ボルトヘッドキャップ11の取付け時に指先に対する引っ掛かりとなる部分であり、ボルトヘッドキャップ11を被締結物53に押し付けるときの作業性がよい。
【0060】
図13は、他の例に係るボルトヘッドキャップ11の平面図であり、この図に示すようにボルトヘッドキャップ11は可撓性又は柔軟性を有する連結部26を介して複数個連結されている。連結部26は、ボルトヘッドキャップ11と同じ材料で形成されており、紐状であり、平面視半円弧状の複数の湾曲部26aを有している。連結部26の形状や長さ、連結するボルトヘッドキャップ11の数は適宜設定される。
【0061】
このように連結部26で繋がれたボルトヘッドキャップ11は、不測に一つのボルトヘッドキャップ11がボルトヘッドから脱落した場合でも、他のボルトヘッドキャップ11によって落下が防止される。
【0062】
このほか、段差部21や凹部22は、周方向全体に環状に形成されるほか、間欠形成されてもよい。
【0063】
また、識別部19は、前述のような段差部21のほか、目印となるものであればよく、例えば刻印や浮き出し(リブ)などで構成することもできる。
【符号の説明】
【0064】
11…ボルトヘッドキャップ
12…裾部
13…磁石
14…外表面
18…被覆部
19…識別部
21…段差部
22…凹部
51…ボルト
52…ボルトヘッド
53…被締結物
54…頂面