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特許7606226ジベンゾホスホールオキシド誘導体およびその製造法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ジベンゾホスホールオキシド誘導体およびその製造法
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6568 20060101AFI20241218BHJP
   C08F 20/68 20060101ALI20241218BHJP
   C07F 1/04 20060101ALN20241218BHJP
【FI】
C07F9/6568 CSP
C08F20/68
C07F1/04
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2021535432
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2020029284
(87)【国際公開番号】W WO2021020521
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】P 2019141226
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390016377
【氏名又は名称】片山化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(72)【発明者】
【氏名】篠原 広幸
(72)【発明者】
【氏名】美濃 由佳
(72)【発明者】
【氏名】韓 立彪
(72)【発明者】
【氏名】北村 優斗
(72)【発明者】
【氏名】向 健司
(72)【発明者】
【氏名】伊川 英市
(72)【発明者】
【氏名】藤野 博良
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/072661(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103214521(CN,A)
【文献】特開2009-179585(JP,A)
【文献】特開2004-256468(JP,A)
【文献】ROBERTS, Tony G. et al.,Use of dibenzophosphole oxides in the Horner reaction: stereospecific formation of (Z)-stilbene from,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry,1985年,(9),1953-5
【文献】LINDNER, Ekkehard et al.,Preparation and properties of (trifluoro)acetylphosphole,Zeitschrift fuer Naturforschung, Teil B: Anorganische Chemie, Organische Chemie,1980年,35B(9),1150-4
【文献】CORNFORTH, John et al.,Synthesis of substituted dibenzophospholes. Part 1,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry,1982年,(10),2289-97
【文献】REGISTRY(STN)[online],1984年11月16日(検索日:2020年9月23日)、CAS登録番号84530-93-8
【文献】OISHI, Takeshi et al.,Zinc borohydride,e-EROS Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,2001年,1-4
【文献】ELLIOTT, Jason et al.,Horner-Wittig reactions using dibenzophosphole oxides: stereochemically controlled reduction of keto,Tetrahedron Letters,1986年,27(5),645-8
【文献】CLAYDEN, Jonathan et al.,Stereochemical control (E/Z and syn/anti) by the diphenylphosphinoyl group in the synthesis of allyl,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry,1993年,(16),1849-59
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】
(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
で示される化合物。
【請求項2】
以下の式
【化2】
で示される化合物。
【請求項3】
以下の式
【化3】
で示される化合物を製造する方法であって、溶媒中において、
【化4】
とフェニルナトリウムとを反応させる工程を包含し、
ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、
方法。
【請求項4】
各Rが水素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
以下の式
【化5】
を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化6】
で示される化合物と、RX、
【化7】
、R-C(=O)-R、ベンゾキノン、無機酸または有機酸とを反応させる工程を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、
方法。
【請求項6】
が、置換もしくは非置換のアルケニル基であり、Rが、置換もしくは非置換のアルケニル基である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
が、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rが、置換もしくは非置換のアルキル基である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
が、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rが、水素、または置換もしくは非置換のアルキル基である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
が、水素であり、前記反応が、無機酸または有機酸と反応する工程を包含する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
各Rが水素である、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
以下の式
【化8】
を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化9】
で示される化合物と、
【化10】
とを反応させて、
【化11】
を得る工程を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法。
【請求項12】
各Rが水素である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
以下の式
【化12】
を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化13】
で示される化合物と、
【化14】
とを反応させて、
【化15】
を得る工程、および
【化16】
を塩基と反応させて、
【化17】
を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法。
【請求項14】
各Rが水素である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記塩基が、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、ナトリウムアリールオキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、およびカリウムアリールオキシドからなる群から選択される、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
以下の式
【化18】
を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化19】
で示される化合物と、R-C(=O)-Rとを反応させて、
【化20】
を得る工程、および
【化21】

【化22】
と反応させて、
【化23】
を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素またはメチルである、
方法。
【請求項17】
各Rが水素である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
以下の式
【化24】
を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化25】
で示される化合物と、無機酸または有機酸とを反応させて、
【化26】
を得る工程、および
【化27】
を、R-C≡CHと反応させて、
【化28】
を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、
方法。
【請求項19】
各Rが水素である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
以下の式
【化30】
からなる群から選択される、化合物。
【請求項21】
以下の式
【化33】
(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
である、化合物。
【請求項22】
以下の式
【化34】
である、化合物。
【請求項23】
以下の式
【化35】
(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、Rは、水素またはメチルであり、各R は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
である、化合物。
【請求項24】
以下の式
【化36】
であり、Rは、水素またはメチルである、化合物。
【請求項25】
以下の式
【化37】
(ここで、R いずれも水素であり、Rは、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)である、化合物。
【請求項26】
以下の式
【化38】
である、化合物。
【請求項27】
以下の式
【化39】
(ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素またはメチルである)
を有するモノマーを重合して得られるポリマー。
【請求項28】
以下の式
【化40】
を有するモノマーと、
【化41】
とを共重合して得られるポリマーであって、
ここで、
各R、R1’は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各R、Rc’は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
、R2’は、それぞれ独立して、水素またはメチルである、
ポリマー。
【請求項29】
以下の式
【化42】
を有するモノマーと、ラジカル重合可能基を有する化合物
とを共重合して得られるコポリマーであって、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素またはメチルである、
コポリマー。
【請求項30】
前記ラジカル重合可能基を有する化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸塩、スチレンまたはアクリロニトリルである、請求項29に記載のコポリマー。
【請求項31】
請求項20~26のいずれか一項に記載の化合物、または請求項27もしくは28に記載のポリマーを含む、曇り止め剤、難燃剤、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品、繊維、シート、フィルム、アクリルガラス、重合添加剤、またはリン付与剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジベンゾホスホールオキシド誘導体およびその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
リン化合物は、その性質に起因して様々な用途において使用されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明者らは、新規物質として、sodium 5H-benzo[b]phosphindol-5-olate(ナトリウム5H-ベンゾ[b]ホスフィンドール-5-オラート;本明細書中においては、ジベンゾホスホールオキシナトリウムとも呼ぶ)
【化43】


を合成した。この化合物は、種々のジベンゾホスホールオキシド誘導体を作製するのに有用であることを見出した。
【0004】
本発明者らは、重合可能な基を含むジベンゾホスホールオキシド誘導体のモノマーを作製し、そのポリマーを調製することに成功した。このポリマーは、電気的特性において優れていることを見出した。
【0005】
本開示は、また、以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の式
【化44】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
で示される化合物。
(項目2)
以下の式
【化45】


で示される化合物。
(項目3)
以下の式
【化46】


で示される化合物を製造する方法であって、溶媒中において、
【化47】


とフェニルナトリウムとを反応させる工程を包含し、
ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、
方法。
(項目4)
各Rが水素である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
以下の式
【化48】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化49】


で示される化合物と、RX、
【化50】


、R-C(=O)-R、ベンゾキノン、無機酸または有機酸とを反応させる工程を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、
方法。
(項目6)
が、置換もしくは非置換のアルケニル基であり、Rが、置換もしくは非置換のアルケニル基である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目7)
が、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rが、置換もしくは非置換のアルキル基である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
が、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rが、水素、または置換もしくは非置換のアルキル基である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
が、水素であり、前記反応が、無機酸または有機酸と反応する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
各Rが水素である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
以下の式
【化51】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化52】


で示される化合物と、
【化53】


とを反応させて、
【化54】


を得る工程を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法。
(項目12)
各Rが水素である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
以下の式
【化55】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化56】


で示される化合物と、
【化57】


とを反応させて、
【化58】


を得る工程、および
【化59】


を塩基と反応させて、
【化60】


を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法。
(項目14)
各Rが水素である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記塩基が、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、ナトリウムアリールオキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、およびカリウムアリールオキシドからなる群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
以下の式
【化61】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化62】


で示される化合物と、R-C(=O)-Rとを反応させて、
【化63】


を得る工程、および
【化64】



【化65】


と反応させて、
【化66】


を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素またはメチルである、
方法。
(項目17)
各Rが水素である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
以下の式
【化67】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化68】


で示される化合物と、無機酸または有機酸とを反応させて、
【化69】


を得る工程、および
【化70】

を、R-C≡CHと反応させて、
【化71】


を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、
方法。
(項目19)
各Rが水素である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
以下の式
【化72】


(ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
を有する化合物。
(項目21)
は、重合可能な基である、上記項目のいずれか一項に記載の化合物。
(項目22)
は、ラジカル重合可能基である、上記項目のいずれか一項に記載の化合物。
(項目23)
は、アリル基、置換アリル基、スチレン基、置換スチレン基、アクリル基、置換アクリル基、メタクリル基、または置換メタクリル基である、上記項目のいずれか一項に記載の化合物。
(項目24)
以下の式
【化73】


からなる群から選択される、化合物。
(項目25)
以下の式
【化74】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
である、化合物。
(項目26)
以下の式
【化75】


である、化合物。
(項目27)
以下の式
【化76】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
である、化合物。
(項目28)
以下の式
【化77】


である、化合物。
(項目29)
以下の式
【化78】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、Rは、水素またはメチルである)
である、化合物。
(項目30)
以下の式
【化79】


であり、Rは、水素またはメチルである、化合物。
(項目31)
以下の式
【化80】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、Rは、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)である、化合物。
(項目32)
以下の式
【化81】


である、化合物。
(項目33)
以下の式
【化82】


(ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素またはメチルである)
を有するモノマーを重合して得られるポリマー。
(項目34)
以下の式
【化83】


を有するモノマーと、
【化84】


とを共重合して得られるポリマーであって、
ここで、
各R、R1’は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各R、Rc’は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
、R2’は、それぞれ独立して、水素またはメチルである、
ポリマー。
(項目35)
以下の式
【化85】


を有するモノマーと、ラジカル重合可能基を有する化合物
とを共重合して得られるコポリマーであって、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素またはメチルである、
コポリマー。
(項目36)
前記ラジカル重合可能基を有する化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸塩、スチレンまたはアクリロニトリルである、上記項目のいずれか一項に記載のコポリマー。
(項目37)
上記項目のいずれか一項に記載の化合物、または上記項目のいずれか一項に記載のポリマーまたはコポリマーを含む、曇り止め剤、難燃剤、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品、繊維、シート、フィルム、アクリルガラス、重合添加剤、またはリン付与剤。
(項目38)
上記項目のいずれか一項に記載の化合物、または上記項目のいずれか一項に記載のポリマーまたはコポリマーの、曇り止め剤、難燃剤、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品、繊維、シート、フィルム、アクリルガラス、重合添加剤、またはリン付与剤としての使用。
(項目39)
上記項目のいずれか一項に記載の化合物、または上記項目のいずれか一項に記載のポリマーまたはコポリマーと、適切な添加物とを混合して、曇り止め剤、難燃剤、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品、繊維、シート、フィルム、アクリルガラス、重合添加剤、またはリン付与剤を製造する方法。
(項目40)
上記項目のいずれか一項に記載の化合物、または上記項目のいずれか一項に記載のポリマーまたはコポリマーを含む組成物を、曇り止め剤、難燃剤、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品、繊維、シート、フィルム、アクリルガラス、重合添加剤、またはリン付与剤として使用するステップを含む、曇り止めの方法、燃焼を困難にする方法、電気/電子関係用部品において使用する方法、OA関連用部品において使用する方法、自動車用部品において使用する方法、電車用部品において使用する方法、航空機用部品において使用する方法、繊維において使用する方法、シートにおいて使用する方法、フィルムにおいて使用する方法、アクリルガラスにおいて使用する方法、重合させる方法、またはリンを付与する方法。
【0006】
本開示において、上記の一つまたは複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ジベンゾホスホール誘導体である新規化合物が提供される。この新規化合物により、種々のジベンゾホスホールオキシド誘導体を作製することができる。重合可能な基を含むジベンゾホスホールオキシド誘導体のモノマーを作製することができ、そのポリマーを調製することができる。このポリマーは、独特の電気的特性を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例2の生成物のGC-MSスペクトルである。
図2図2は、実施例3の生成物のGC-MSスペクトルである。
図3図3は、実施例4の生成物のGC-MSスペクトルである。
図4図4は、実施例5の生成物のGC-MSスペクトルである。
図5図5は、実施例6の生成物のGC-MSスペクトルである。
図6図6は、実施例7の生成物のGC-MSスペクトルである。
図7図7は、実施例8の生成物のGC-MSスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
(用語の定義)
本明細書における用語について以下に説明する。
【0011】
本明細書において「置換」とは、有機化合物のある特定の水素原子をほかの原子あるいは原子団で置き換えることをいう。
【0012】
本明細書において「置換基」とは、化学構造中で、他のものを置換した原子または官能基をいう。
【0013】
本明細書においては、特に言及がない限り、置換は、ある有機化合物または置換基中の1または2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換えるか、または二重結合もしくは三重結合とすることをいう。水素原子を1つ除去して1価の置換基に置換するかまたは単結合と一緒にして二重結合とすることも可能であり、そして水素原子を2つ除去して2価の置換基に置換するか、または単結合と一緒にして三重結合とすることも可能である。
【0014】
本開示における置換基としては、水素、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、-OH基、-NO基、-NH基、-C(=O)H基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基、アルキニルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、およびエポキシ基
【化86】


が挙げられるがそれらに限定されない。置換基は、置換可能な場合、さらに置換されていてもよい。
【0015】
本明細書において、C1、C2、、、Cnは、炭素数を表す(ここで、nは任意の正の整数を示す。)。従って、C1は炭素数1個の置換基を表すために使用される。
【0016】
本明細書において「アルキル(基)」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素(アルカン)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1-で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。本明細書において「置換アルキル(基)」とは、上に規定する置換基によってアルキルのHが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、C1~C2アルキル、C1~C3アルキル、C1~C4アルキル、C1~C5アルキル、C1~C6アルキル、C1~C7アルキル、C1~C8アルキル、C1~C9アルキル、C1~C10アルキル、C1~C11アルキルまたはC1~C20アルキル、C1~C2置換アルキル、C1~C3置換アルキル、C1~C4置換アルキル、C1~C5置換アルキル、C1~C6置換アルキル、C1~C7置換アルキル、C1~C8置換アルキル、C1~C9置換アルキル、C1~C10置換アルキル、C1~C11置換アルキルまたはC1~C20置換アルキルであり得る。ここで、たとえばC1~C10アルキルとは、炭素原子を1~10個有する直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH-)、エチル(C-)、n-プロピル(CHCHCH-)、イソプロピル((CHCH-)、n-ブチル(CHCHCHCH-)、n-ペンチル(CHCHCHCHCH-)、n-ヘキシル(CHCHCHCHCHCH-)、n-ヘプチル(CHCHCHCHCHCHCH-)、n-オクチル(CHCHCHCHCHCHCHCH-)、n-ノニル(CHCHCHCHCHCHCHCHCH-)、n-デシル(CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-)、-C(CHCHCHCH(CH、-CHCH(CHなどが例示される。また、たとえば、C1~C10置換アルキルとは、C1~C10アルキルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
【0017】
「アルケニル(基)」は、1個または2個以上の炭素-炭素二重結合を含有する、直鎖状または分枝鎖状の不飽和炭化水素基を意味し、炭素原子数は2から6であり得る。「アルケニル基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、ビニル基、1-プロピレニル基、2-プロピレニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロピレニル基、2-メチル-2-プロピレニル基等が挙げられる。
【0018】
「アルキニル(基)」は、1または2個以上の三重結合を有する直鎖または分枝の不飽和脂肪族炭化水素基を意味し、炭素原子数は2から6であり得る。具体的には、これらに限定されないが、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、3-ブチニル基、1-ペンチニル基、1-へキシニル基などが挙げられる。
【0019】
本明細書において、「脂環式(基)」とは、単環式または二環式の非芳香族の炭化水素環を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋構造を有するもの、一部スピロ化されたものおよび1または2個のカルボニル構造を有するものも含む。炭素原子数は、3から20であり得る。「脂環式基」は、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、およびシクロアルキニル基を包含する。「脂環式基」の具体例としては、これらに限定されないが、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘキサジニル基、シクロヘプタジニル基、シクロオクタジニル基、アダマンチルまたはノルボルニル等が挙げられる。
【0020】
本明細書において、「アルコキシ(基)」とは、アルコール類のヒドロキシ基の水素原子が失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1O-で表される(ここで、nは1以上の整数である)。「置換アルコキシ(基)」とは、上に規定する置換基によってアルコキシのHが置換されたアルコキシをいう。具体例としては、C1~C2アルコキシ、C1~C3アルコキシ、C1~C4アルコキシ、C1~C5アルコキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C7アルコキシ、C1~C8アルコキシ、C1~C9アルコキシ、C1~C10アルコキシ、C1~C11アルコキシ、C1~C20アルコキシ、C1~C2置換アルコキシ、C1~C3置換アルコキシ、C1~C4置換アルコキシ、C1~C5置換アルコキシ、C1~C6置換アルコキシ、C1~C7置換アルコキシ、C1~C8置換アルコキシ、C1~C9置換アルコキシ、C1~C10置換アルコキシ、C1~C11置換アルコキシまたはC1~C20置換アルコキシであり得る。ここで、たとえば、C1~C10アルコキシとは、炭素原子を1~10個含む直鎖または分枝状のアルコキシを意味し、メトキシ(CHO-)、エトキシ(CO-)、n-プロポキシ(CHCHCHO-)などが例示される。
【0021】
本明細書において、「アルコキシカルボニル(基)」とは、(アルコキシ)C(=O)-基をいい、アルコキシは、上記「アルコキシ(基)」のとおりである。
【0022】
本明細書において、「アリール(基)」とは、芳香族炭化水素の環に結合する水素原子が1個離脱して生ずる基をいう。ベンゼンからはフェニル基(C-)、トルエンからはトリル基(CH-)、キシレンからはキシリル基((CH-)、ナフタレンからはナフチル基(C10-)が誘導される。炭素数は、6個~12個のものが挙げられる。
【0023】
本明細書において、「ヘテロアリール(基)」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1~4個のヘテロ原子を含む単環または複数の環の芳香族ヘテロ環の基を意味する。5~10個の原子を含み得る。
【0024】
本明細書において、「非アリールヘテロ環(基)」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1または2個のヘテロ原子を含む、単環式または二環式の非芳香族のヘテロ環の基を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋された構造を有するものおよび一部スピロ化されたものを含む。4から20個の原子で構成され得る。非アリールヘテロ環基は、アリールまたはヘテロアリールと縮合環を形成してもよい。例えば、C6-10アリールまたは5員または6員のヘテロアリールと縮合した場合もヘテロ環に含まれる。また、当該非アリールヘテロ環基を構成するのに、1または2個のカルボニル、チオカルボニル、スルフィニルまたはスルホニルを含んでいてもよく、例えば、ラクタム、チオラクタム、ラクトン、チオラクトン、環状のイミド、環状のカルバメート、環状のチオカルバメート等の環状基も当該非アリールヘテロ環基に含まれる。「非アリールヘテロ環基」の具体例としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ホモピペリジン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の基が挙げられる。
【0025】
本明細書において、「ハロゲン(基)」とは、周期表17族(最近の定義では、17族と呼んでいる)に属する、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などの元素の1価の基をいう。
【0026】
本明細書において、「アルキルカルボニル(基)」とは、カルボン酸からOHを除いてできる1価の基をいう。アルキルカルボニル基の代表例としては、アセチル(CHCO-)、CCO-などが挙げられる。アルキル部分の炭素数は、1個~6個などが挙げられる。「置換アルキルカルボニル(基)」とは、アシルの水素を上に定義される置換基で置換したものをいう。「アルケニルカルボニル(基)」は、「アルキルカルボニル(基)」のアルキル部分が、アルケニルである基であり、「アルキニルカルボニル(基)」は、「アルキルカルボニル(基)」のアルキル部分が、アルキニルである基である。
【0027】
本明細書において、「アリールカルボニル(基)」とは、カルボン酸からOHを除いてできる1価の基をいう。アリールカルボニル基の代表例としては、フェニルカルボニル(PhCO-)などが挙げられる。「置換アリールカルボニル(基)」とは、アリールの水素を上に定義される置換基で置換したものをいう。
【0028】
本明細書において、「重合可能な基」とは、重合が可能な任意の基をいい、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位重合、重縮合、重付加、付加縮合等の重合が可能な基が挙げられる。1つの実施形態において、ラジカル重合が可能な基(ラジカル重合可能基)が挙げられる。カチオン重合が可能な基(カチオン重合可能基)としては、電子供与性基を持つアルケンが挙げられ、ビニル基、環状エーテル基(エポキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン等に基づく基)、環状アセタール(1,3-ジオキソラン等に基づく基)、ラクトン類(β-プロピオラクトン等に基づく基)などが挙げられる。アニオン重合が可能な基(アニオン重合可能基)としては、電子求引性基を持つアルケンが挙げられ、スチレン、アクリロニトリル、ニトロエチレン、シアノアクリレートに基づく基等が挙げられる。配位重合が可能な基(配位重合可能基)としては、チーグラーナッタ触媒などの触媒に配位して重合し得る基であり、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、アセチレン等に基づく基が挙げられる。重縮合が可能な基(重縮合可能基)としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートを与える基が挙げられる。重付加が可能な基(重付加可能基)としては、ポリウレタン、エポキシ樹脂を与える基が挙げられる。付加縮合が可能な基(付加縮合可能基)としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂を与える基が挙げられる。
【0029】
本明細書において、「ラジカル重合可能基」とは、ラジカル反応により重合する任意の基をいう。代表的な例としては、置換基において末端に不飽和二重結合を有する基などを挙げることができるがこれに限定されない。このようなラジカル重合可能基としては、アリル基、置換アリル基、スチレン基、置換スチレン基、アクリル基、置換アクリル基、メタクリル基、置換メタクリル基等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0030】
本明細書において「スチレン基」は、スチレンから水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、失われる水素原子は、フェニル環上でも、エチレン部分でもよい。
【0031】
本明細書において「アクリル基」は、CH=CH-C(O)-O-基をいう。
【0032】
本明細書において「メタクリル基」は、CH=CH(CH)-C(O)-O-基をいう。
【0033】
本明細書において、「ポリマー」とは、重合体ともいい、1種または数種の原子あるいは原子団を構成単位とし、これが互いに数多く繰り返し連結されている分子からなる物質であって、その分子の構成単位の繰り返し数が非常に多く、その物質のある物理的性質が1個あるいは数個の構成単位の増減によって変化しない物質である。ポリマーとして、ホモポリマーおよびコポリマーを挙げることができる。
【0034】
本明細書において「モノマー」とは、単量体ともいい、重合反応により高分子の基本構造の構成単位となり得る化合物をいう。1種のモノマーが複数種の構成単位を作る場合もある。本開示のモノマーはこの他、ラジカル重合を介して他の物質に結合することもできる。
【0035】
本明細書において「ホモポリマー」とは、単独重合体ともいい、単一のモノマーを用いて行う重合により得られるポリマーをいう。
【0036】
本明細書において「コポリマー」とは、共重合体ともいい、複数のモノマーを用いて行う重合により得られるポリマーをいう。本開示の代表的な実施形態では、本開示のモノマーとは異なるモノマーとの共重合で形成されたものでよい。本開示のモノマーと異なるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸塩、スチレンまたはアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0037】
本明細書において「重合」とは、低分子化合物(モノマー)から高分子化合物(ポリマー)が生成する反応をいう。
【0038】
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいう。
【0039】
本明細書において「酸ハロゲン化物」とは、酸ハライドともいい、カルボン酸のカルボキシル基に含まれるOH基をハロゲンで置換した化合物をいう。ハロゲンの種類により、酸フッ化物、酸塩化物、酸臭化物、および酸ヨウ化物の4種が存在する。
【0040】
本明細書において「塩基」とは、ブレンステッド-ローリーの定義によるものを指し、プロトンを受け取る物質をいう。塩基としては、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、ナトリウムアリールオキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、およびカリウムアリールオキシドが挙げられる。
【0041】
本明細書において「アルカリ金属」とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムをいう。
【0042】
本明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸、メタクリル酸、またはその両方を示す。
【0043】
本明細書において、「添加剤」とは、任意の物質に添加される物質をいう。
【0044】
本明細書において「曇り止め剤」とは、ある材料(例えば、ポリアクリル酸)の透明度を保つ物質をいい、透明性の保持は、代表的に、物質の表面をより疎水性にすることによる。
【0045】
本明細書において「リン付与剤」とは、ある物質に対してリン成分を付与する物質をいい、代表的に、ある物質に対してリンを含む基を結合させることにより達成される。(メタ)アクリル基を有するリン付与剤は、ラジカル重合可能基を有する化合物に対して、ラジカル重合により、リンを含む基を結合させることができる。リン付与剤は、例えば、肥料、農薬、医薬、殺虫剤、火薬、電子材料、触媒、難燃剤、金属表面処理剤、洗剤、不凍液、界面活性剤、消泡剤、および潤滑剤などの製造において使用され得る。
【0046】
本開示の化合物は、塩を包含する。例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウムまたはカリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム等)、マグネシウム、遷移金属(亜鉛、鉄等)、アンモニウム、有機塩基およびアミノ酸との塩、または無機酸(塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸またはヨウ化水素酸等)、および有機酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはエタンスルホン酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0047】
本開示の化合物は、特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体(ケト-エノール異性体、イミン-エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体および回転異性体等)やラセミ体を含むものである。
【0048】
本開示の化合物の一つ以上の水素、炭素または他の原子は、水素、炭素または他の原子の同位体で置換され得る。本開示の化合物は、本開示の化合物のすべての放射性標識体を包含する。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が包含される。
【0049】
(好ましい実施形態の説明)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
【0050】
本開示において、以下の式
【化87】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
で示される化合物が提供される。
【0051】
本開示において、以下の式
【化88】


で示される化合物が提供される。
【0052】
本開示において、以下の式
【化89】


で示される化合物を製造する方法であって、溶媒中において、
【化90】


とフェニルナトリウムとを反応させる工程を包含し、
ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法が提供される。
【0053】
上記方法において、各Rが水素である。
【0054】
上記方法において、溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン(EDC)、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル等が挙げられる。
【0055】
本開示において、以下の式
【化91】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化92】


で示される化合物と、RX、
【化93】


、R-C(=O)-R、ベンゾキノン、無機酸または有機酸とを反応させる工程を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法が提供される。
【0056】
上記方法において、Rが、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rが、置換もしくは非置換のアルキル基である。例えば、Rは、n-ブチルである。
【0057】
上記方法において、Rが、置換もしくは非置換のアルケニル基であり、Rが、置換もしくは非置換のアルケニル基である。例えば、Rは、アリルである。
【0058】
上記方法において、Rが、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rが、置換もしくは非置換のアルキル基である。例えば、Rは、プロピレンオキシドである。
【0059】
上記方法において、Rが、置換もしくは非置換のアルキル基であり、Rが、水素、または置換もしくは非置換のアルキル基である。例えば、Rは、水素、-Cl、またはメチルである。各Rが、水素である場合、R-C(=O)-Rは、ホルムアルデヒドであるが、これは、パラホルムアルデヒド(CHO)も含む(nは任意の整数である)。
【0060】
上記方法において、Rが、水素であり、前記反応が、無機酸または有機酸と反応する工程を包含する。
【0061】
上記方法において、各Rが水素である。
【0062】
上記方法において、溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン(EDC)、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、酢酸エチル等が挙げられる。
【0063】
上記方法において、反応温度は、室温である。
【0064】
本開示において、以下の式
【化94】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化95】


で示される化合物と、
【化96】


とを反応させて、
【化97】


を得る工程を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法が提供される。
【0065】
上記方法において、各Rが水素である。
【0066】
本開示において、以下の式
【化98】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化99】

で示される化合物と、
【化100】


とを反応させて、
【化101】


を得る工程、および
【化102】


を塩基と反応させて、
【化103】


を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法が提供される。
【0067】
上記方法において、各Rが水素である。
【0068】
上記方法において、前記塩基が、水酸化ナトリウム、ナトリウムアルコキシド、ナトリウムアリールオキシド、水酸化カリウム、カリウムアルコキシド、およびカリウムアリールオキシドからなる群から選択される。
【0069】
本開示において、以下の式
【化104】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化105】


で示される化合物と、R-C(=O)-Rとを反応させて、
【化106】


を得る工程、および
【化107】



【化108】


と反応させて、
【化109】


を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
Xは、ハロゲンであり、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素またはメチルである、方法が提供される。
【0070】
上記方法において、各Rが水素である。
【0071】
本開示において、以下の式
【化110】


を有する化合物を製造する方法であって、以下の式
【化111】


で示される化合物と、無機酸または有機酸とを反応させて、
【化112】


を得る工程、および
【化113】


を、R-C≡CHと反応させて、
【化114】


を得る工程、
を包含し、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される、方法が提供される。
【0072】
上記方法において、各Rが水素である。
【0073】
本開示において、以下の式
【化115】


(ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルケニルカルボニル基、置換もしくは非置換のアルキニルカルボニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
を有する化合物が提供される。
【0074】
上記式において、Rは、重合可能な部分である。
【0075】
上記式において、Rは、ラジカル重合可能基である。
【0076】
上記式において、Rは、アリル基、置換アリル基、スチレン基、置換スチレン基、アクリル基、置換アクリル基、メタクリル基、置換メタクリル基である。
【0077】
本開示において、以下の式
【化116】


からなる群から選択される、化合物が提供される。
【0078】
本開示において、以下の式
【化117】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
である、化合物が提供される。
【0079】
本開示において、以下の式
【化118】


である、化合物が提供される。
【0080】
本開示において、以下の式
【化119】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)
である、化合物が提供される。
【0081】
本開示において、以下の式
【化120】


である、化合物が提供される。
【0082】
本開示において、以下の式
【化121】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、Rは、水素またはメチルである)
である、化合物が提供される。
【0083】
本開示において、以下の式
【化122】


であり、Rは、水素またはメチルである、化合物が提供される。
【0084】
本開示において、以下の式
【化123】


(ここで、各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、Rは、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択される)である、化合物が提供される。
【0085】
本開示において、以下の式
【化124】


である、化合物が提供される。
【0086】
本開示において、以下の式
【化125】


(ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
は、水素またはメチルである)
を有するモノマーを重合して得られるポリマーが提供される。
【0087】
本開示において、以下の式
【化126】


を有するモノマーと、
【化127】


とを共重合して得られるポリマーであって、
ここで、
各R、R1’は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各R、Rc’は、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
、R2’は、それぞれ独立して、水素またはメチルである、
る、ポリマーが提供される。
【0088】
本開示において、以下の式
【化128】


を有するモノマーと、ラジカル重合可能基を有する化合物
とを共重合して得られるコポリマーであって、
ここで、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式基、置換もしくは非置換の非アリールヘテロ環基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロアリール基からなる群から選択され、
各Rは、それぞれ独立して、水素またはメチルである、コポリマーが提供される。
【0089】
上記コポリマーにおいて、前記ラジカル重合可能基を有する化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物、(メタ)アクリル酸塩、スチレンまたはアクリロニトリルである。
【0090】
本開示のコポリマーは、独特な比誘電率を有し得る。本開示のモノマーを含むことにより、対応のジフェニル体のホモポリマーの比誘電率を調整することが可能である。1つの実施形態において、対応のジフェニル体のホモポリマーと比較して、比誘電率が低下(絶縁性が向上)し得る。
【0091】
本開示において、上記ポリマーを含む、曇り止め剤、難燃剤、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品、繊維、シート、フィルム、アクリルガラス、重合添加剤、またはリン付与剤が提供される。
【0092】
(五員環中間体の調製)
本開示は、トリフェニルホスフィンオキサイド誘導体から、五員環中間体ジベンゾホスホールオキシナトリウム誘導体を生成する方法を提供する。
【化129】


(Rは、明細書中に記載されるとおりである)。1つの-C(R基の脱離、2つのR基の脱離と2つのフェニル基の結合が生じて、五員環中間体ジベンゾホスホールオキシナトリウム誘導体が生成すると考えられる。
【0093】
(種々の求電子剤との反応)
本開示の五員環中間体ジベンゾホスホールオキシナトリウム誘導体は、種々の求電子剤と反応して種々のジベンゾホスホールオキシド誘導体を与える。
【化130】


(Nuは、求電子剤であり、R、Rは、明細書中に記載されるとおりである。)
【0094】
例えば、臭化ブチル、アセチルクロリド、プロピレンオキシド、パラホルムアルデヒドとの反応により、以下の化合物が合成され得る。
【化131】
【0095】
(モノマーの合成)
本開示は、本開示の五員環中間体ジベンゾホスホールオキシナトリウム誘導体を使用して、種々の五員環中間体構造を有するモノマーを作製する方法を提供する。例えば、以下のようにしてモノマーを合成することができる。
【化132】


【化133】
【0096】
(ポリマーの調製)
本開示は、上記のモノマーからポリマーを調製することができる。重合は、単独重合であっても、共重合であっても良い。重合はラジカル重合により行い得る。重合開始剤としては、アゾ化合物系熱重合開始剤として、アゾイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスジメチルバレロニトリル(ADVN)、アゾビスメチルブチロニトリル(AMBN)等が挙げられ、有機過酸化物系熱重合開始剤として、過酸化ベンゾイル(ジベンゾイルパーオキサイド)(BPO)、t-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)、クメンヒドロペルオキシド、ジ-t-ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
【0097】
(ポリマーの性質)
本開示のポリマーは、リンを含むとともに、芳香環を含んでいるので、独特の電気特性およびガラス転移温度を有し得る。
【0098】
(用途)
本開示の有機リン化合物は、他の有機リン化合物を作製するための原料として有用である。本開示の有機リン化合物はまた、金属錯体を形成するための原料として有用である。本開示の有機リン化合物はまた、曇り止め剤、難燃剤、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品または繊維、シート、フィルム、またはアクリルガラス、重合添加剤、表面改質剤などに使用され得る。さらに、リチウムイオン二次電池の材料や金属抽出剤、排水処理剤などにも使用され得る。
【0099】
本開示の化合物、ホモポリマーまたはコポリマーは、リンを含んでおり、難燃剤として有用であり得る。本開示の化合物またはその塩が固体(例えば、粉末)である場合、取り扱いが容易であり、容易に適量で使用することができる。液体である場合よりも無駄を少なくし得る。
【0100】
本開示のホモポリマーまたはコポリマーは、難燃性であり、電気/電子関係用部品、OA関連用部品、自動車用部品、電車用部品、航空機用部品または繊維等において有用である。
【0101】
本開示の重合可能基を有する化合物は、重合可能であり、重合添加剤として生成するポリマーの性質を変更させることができる。本開示の化合物またはその塩が固体(例えば、粉末)である場合、取り扱いが容易であり、容易に適量で使用することができる。液体である場合よりも無駄を少なくし得る。
【0102】
本開示の化合物は、物体の表面に結合することが可能であり、表面改質剤として表面の性質を変更させることができる。本開示の化合物が固体(例えば、粉末)である場合、取り扱いが容易であり、容易に適量で使用することができる。液体である場合よりも無駄を少なくし得る。
【0103】
1つの局面において、本開示は、上記本開示の化合物を含む、リン付与剤を提供する。本開示のリン付与剤は、肥料、農薬、医薬、殺虫剤、火薬、電子材料、触媒、難燃剤、金属表面処理剤、洗剤、不凍液、界面活性剤、消泡剤、および潤滑剤などの製造において使用され得る。本開示の化合物が固体(例えば、粉末)である場合、取り扱いが容易であり、容易に適量で使用することができる。液体である場合よりも無駄を少なくし得る。
【0104】
本開示のラジカル重合を容易に行い得る(メタ)アクリル酸部分を含む化合物は、他の物質に容易にリンを付与することが可能である。リンが付与される対象は、(メタ)アクリル酸部分に生じるラジカルが反応し得る任意のものでよい。本開示の化合物またはその塩が固体(例えば、粉末)である場合、取り扱いが容易であり、容易に適量で使用することができる。液体である場合よりも無駄を少なくし得る。
【0105】
1つの局面において、本開示は、上記本開示の化合物を使用する表面処理方法を提供する。この表面処理方法は、表面の吸水性を低下させ得る。前記方法は、前記表面に、本開示の化合物を重合させる工程を包含し得る。前記表面は、樹脂またはガラスであり得る。本開示の化合物が固体(例えば、粉末)である場合、取り扱いが容易であり、容易に適量で使用することができる。液体である場合よりも無駄を少なくし得る。
【0106】
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0107】
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したものではない。したがって、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例
【0108】
以下の実施例・比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0109】
また、本明細書中で用いる略語は以下の意味を表す。
GC-MS:ガスクロマトグラフ質量分析計
NMR:核磁気共鳴
Ph:フェニル基
rt:室温(たとえば15℃~25℃)
THF:テトラヒドロフラン
【0110】
本開示の化合物およびその合成を、以下の実施例によってさらに説明する。特定の例では、一般名を使用し、これらの一般名が当業者に認識されると理解される。
【0111】
測定機器
以下の実験で使用しているGC、GC-MS、NMRは全て以下の機器を用いて測定を行った。
Varian 220-MS
使用カラム Agilent Technologies社製 DB-5
NMR JEOL JNM-ECX FT NMRまたはJEOL JNM-ECS FT NMR
【0112】
使用した試薬について
トリフェニルホスフィンオキサイド
北興化学社製のトリフェニルホスフィンオキサイドを使用した。
エピクロロヒドリン
株式会社大阪ソーダ製のものを使用した。
MC-4
片山化学工業株式会社製のMC-4を使用した。
その他汎用試薬、汎用溶剤はシグマアルドリッチジャパン社製のものを使用した。
【0113】
(実施例1)五員環中間体Aの調製
【化134】


フェニルナトリウム(6.2 mmol)にトリフェニルホスフィンオキサイド(5.0 mmol in THF)を添加し、室温で20時間撹拌した。31P NMRにより目的物(中間体A)の生成を確認した。
31P NMR(NONE、161 MHz)=δ101.8。
【0114】
種々の求電子剤との反応
(実施例2)臭化ブチル
20mLシュレンク管に臭化ブチル(2mmol)を入れ、窒素気流下で中間体A(1
mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3 mL)でクエンチした。酢酸エチル(4mL)を加えて有機物を抽出し、GC-MS、31
NMR測定を行った。
【0115】
【化135】


GC-MS:257[M+1]、214、199、165、152、126、86、4731P NMR(NONE、161MHz)=δ39.4。図1にGC-MSスペクトルを示す。
【0116】
(実施例3)アセチルクロリド
20mLシュレンク管にアセチルクロリド(2mmol)を入れて氷冷し、窒素気流下で中間体A(1mmol)を添加した。室温まで上昇させて1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチした。酢酸エチル(4mL)を加えて有機物を抽出し、GC-MS測定を行った。
【0117】
【化136】


GC-MS:242[M]、200、199、152、43。図2にGC-MSスペクトルを示す。
【0118】
(実施例4)プロピレンオキシド
20mLシュレンク管にプロピレンオキシド(2mmol)を入れ、窒素気流下で中間体A(1mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチした。酢酸エチル(4mL)を加えて有機物を抽出し、GC-MS、31P NMR測定を行った。
【0119】
【化137】


31P NMR(NONE、161MHz)=δ41.7
GC-MS : 259[M+1]、241、214、199、152、107、47。図3にGC-MSスペクトルを示す。
【0120】
(実施例5)ホルムアルデヒド
20mLシュレンク管にパラホルムアルデヒド(2mmol)を入れ、窒素気流下で中間体A(1mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチした。酢酸エチル(4mL)を加えて有機物を抽出し、GC-MS測定を行った。
【0121】
【化138】


GC-MS : 230[M]、211、168、136、97、56。図4にGC-MSスペクトルを示す。
【0122】
モノマーの合成
(実施例6)アリル基
20mLシュレンク管にアリルブロミド(2mmol)を入れ、窒素気流下で中間体A(1mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム水溶液(3mL)でクエンチした。酢酸エチル(4mL)を加えて有機物を抽出し、GC-MS測定を行った。
【0123】
【化139】


GC-MS:240[M]、199、152、98、47。図5にGC-MSスペクトルを示す。
【0124】
(実施例7)エポキシ基
20mLシュレンク管にエピクロロヒドリン(10mmol)を入れ、窒素気流下で中間体A(1mmol)を添加した。室温で1時間撹拌後、水(3mL)でクエンチした。トルエン(4mL)を加えて有機物を抽出した。懸濁したトルエン層を取り出し、アセトンを加えて均一にしてGC-MS測定を行った。
【0125】
【化140】


GC-MS:256[M]、227、200、199、152、77、47。図6にGC-MSスペクトルを示す。
【0126】
(実施例8)メタクリル基
実施例5で得られた反応混合物50mgをトルエン(3mL)に溶解させた。溶液にトリエチルアミン(1mL)とメタクリル酸クロリド(1mL)を添加し、室温で1時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチル溶解/水酸化ナトリウム水溶液(1M)で分液し、有機層を濃縮した。生成物を酢酸エチルに溶解させてGC-MS測定し、目的のメタクリル化合物(MC-6)が生成していることを確認した。
【0127】
【化141】


GC-MS:298[M]、268、240、200、199、153、152、87、69、41。図7にGC-MSスペクトルを示す。
この反応においては、ジフェニル体(MC-4)が副生成物として含まれていた。
【0128】
【化142】
【0129】
以下のポリマーを調製した。
【0130】
(比較例1)MC-4ポリマー
MC-4 20.0gを200mLセパラブルフラスコに秤量し、4倍重量の2-ブタノンを加え、よく撹拌した。脱気と窒素置換を行った後、40℃となるよう加温した。過酸化ベンゾイルを0.22g加えた後、80℃まで反応容器内の温度を昇温し、20時間反応した。反応終了後、反応溶液をヘキサンに滴下し、生成したポリマーを析出させた。析出したポリマーをイオン交換水で水洗した。ポリマーを真空乾燥器で乾燥した。得られたポリマーの重量平均分子量、誘電率を測定した。
【化143】
【0131】
(実施例9)新規モノマー(MC-6)+MC-4のコポリマー
実施例8の方法で得られる新規モノマー(MC-6)とMC-4の混合物(20.0g)を200mLセパラブルフラスコに秤量し、4倍重量の2-ブタノンを加え、よく撹拌した。ここで、この混合物中のMC-6とMC-4との比率は、GCおよび31P NMRの測定から、50%ずつである。脱気と窒素置換を行った後、40℃となるよう加温した。過酸化ベンゾイルを0.22g加えた後、80℃まで反応容器内の温度を昇温し、20時間反応した。反応終了後、反応溶液をヘキサンに滴下し、生成したポリマーを析出させた。析出したポリマーをイオン交換水で水洗した。ポリマーを真空乾燥器で乾燥した。得られたポリマーの重量平均分子量、誘電率を測定した。
【化144】
【0132】
ポリマー評価結果を以下にまとめる。
【表1】


使用した機器は以下との通りである。
・GPC 東ソー HLC-8320GPC カラム:TSK gel Super AW2500 6.0×150
・誘電率 東陽テクニカ 誘電率測定システム WKR6510P
測定周波数:1MHz 測定温度:25°C
【0133】
本開示のモノマー(MC-6)を含む場合、対応するジフェニル体のホモポリマーよりも、誘電率が低下(絶縁性が向上)することが示されている。
【0134】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本願は、日本国出願である特願2019-141226(2019年7月31日出願)に対して優先権を主張するものであり、その内容はその全体が本明細書において参考として援用される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様に、その内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0135】
新規な有機リン化合物を提供する。重合可能な基を含む新規な有機リン化合物を提供し、新規なホモポリマーおよびコポリマーを提供する。電気的特性に優れたホモポリマーおよびコポリマーを提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7