(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】タイヤ搬送装置
(51)【国際特許分類】
B60B 29/00 20060101AFI20241218BHJP
B60B 30/02 20060101ALI20241218BHJP
B60B 30/10 20060101ALI20241218BHJP
B62B 3/10 20060101ALI20241218BHJP
B60B 30/04 20060101ALI20241218BHJP
B66F 9/06 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B60B29/00 F
B60B30/02
B60B30/10
B62B3/10
B60B30/04
B66F9/06
(21)【出願番号】P 2023198670
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000185916
【氏名又は名称】小野谷機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】牧野 智將
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-104744(JP,A)
【文献】特開2020-185899(JP,A)
【文献】特開2012-025412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0301107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 29/00
B60B 30/00 - 30/10
B60C 19/00 - 19/12
B62B 3/00 - 3/18
B66F 9/06 - 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と、
前記基台に設けられ、タイヤを梱包するための袋が収容される収容部と、
前記基台に沿って昇降可能に配設され、前記袋に梱包されたタイヤを起立状態で載置可能な載置台と、
前記基台に設けられ、前記載置台を昇降駆動するための駆動部と、
前記基台に、前記基台の下面に垂直な軸線まわりに回転可能に配設された複数の車輪と、を備え、
前記載置台は、
前記袋に梱包されたタイヤの側部を側方から支持するための一対の第1ローラと、
前記袋に梱包されたタイヤの外周部を下方から支持するための一対の第2ローラと、を備えることを特徴とするタイヤ搬送装置。
【請求項2】
前記一対の第2ローラのそれぞれは、前記基台から離反するにつれて前記下面から上方に所定角度で傾斜した軸線まわりに回転可能であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ搬送装置。
【請求項3】
前記載置台は、前記一対の第1ローラの上方に位置する案内部材であって、上方に向かって前記基台に近接する方向に傾斜した案内部材を、さらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ搬送装置。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記載置台が連結される作動部および前記作動部が設けられるシリンダ本体を備えたガス圧シリンダであって、前記シリンダ本体は、吸排気用の第1ポートを有するガス圧シリンダと、
前記作動部を作動させるための圧縮ガス源からの圧縮ガスが供給される第2ポートと、
前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する第1流路と、前記第1ポートを大気開放する第2流路とを選択的に切換える切換操作弁と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者が自動車のタイヤを梱包し搬送するためのタイヤ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な従来技術は、たとえば特許文献1に記載されている。この従来技術では、リフトアップされた車両のタイヤの着脱作業に利用されるタイヤリフターが記載されている。タイヤリフターは、タイヤを支承する支承部と、該支承部を昇降可能に支持する昇降機構を有し、該昇降機構は、支承部側から延設されたワイヤロープを巻き取ることで支承部を上昇させる巻取ドラムと、該巻取ドラムを巻き取り方向に付勢する付勢手段と、を備えている。
【0003】
他の従来技術は、たとえば特許文献2に記載されている。この従来技術では、移動自在な基台フレームと、この基台フレームに昇降自在に設けられるホイールラックとを備える車両整備用のホイールドーリーが記載されている。ホイールドーリーは、車輌から脱着する車輪をホイールラックに載せた状態で、作業者毎に異なる体形や異なる車輪の直径に応じて設定高さを調整できるように昇降自在に構成される。設定高さは、車輌のドライブシャフトなどの駆動部材を収容するハウジングと車輪との間のベアリングへの負荷を与えない高さとされる。ホイールラックは、傾き自在に構成され、車輪中心部へ作業者が正面から対面できるようにした作業スペースが確保され、作業者が自然な立ち姿勢で作業ができるような車軸位置となるように車輌をリフトアップした状態のまま、車輪の脱着の作業を行うために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-071228号公報
【文献】特開2013-001248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2の従来技術では、自車のタイヤ交換を行った後、車両から取外されたホイール既着タイヤを、自車に搭載して例えば自宅へ持ち帰る場合、ホイール既着タイヤが車内装備を汚損してしまうことを防ぐために、車両から取外されたホイール既着タイヤをポリエチレンまたはポリプロピレンなどの樹脂製の袋へ収容した状態で自車に搭載する場合がある。ホイール既着タイヤに付着していた砂、泥などの異物が袋内で落下するため、袋の開口が上方に位置するように、袋収容後のホイール既着タイヤを袋とともに回転させる作業が必要となる。このような袋収容後のホイール既着タイヤの回転作業は、作業者が手作業で行っており、タイヤの車両への搬送作業に手間を要してしまう。したがってホイール既着タイヤを容易に袋に梱包して開口を上方に向けた姿勢で、円滑に車両まで搬送することができるタイヤ搬送装置が求められている。
【0006】
本発明の目的は、タイヤを容易に梱包し円滑に搬送することができるタイヤ搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基台と、
前記基台に設けられ、タイヤを梱包するための袋が収容される収容部と、
前記基台に沿って昇降可能に配設され、前記袋に梱包されたタイヤを起立状態で載置可能な載置台と、
前記基台に設けられ、前記載置台を昇降駆動するための駆動部と、
前記基台に、前記基台の下面に垂直な軸線まわりに回転可能に配設された複数の車輪と、を備え、
前記載置台は、
前記袋に梱包されたタイヤの側部を側方から支持するための一対の第1ローラと、
前記袋に梱包されたタイヤの外周部を下方から支持するための一対の第2ローラと、を備えることを特徴とするタイヤ搬送装置である。
【0008】
また本発明は、前記一対の第2ローラのそれぞれは、前記基台から離反するにつれて前記下面から上方に所定角度で傾斜した軸線まわりに回転可能であることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記載置台は、前記一対の第1ローラの上方に位置する案内部材であって、上方に向かって前記基台に近接する方向に傾斜した案内部材を、さらに含むことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記駆動部は、
前記載置台が連結される作動部および前記作動部が設けられるシリンダ本体を備えたガス圧シリンダであって、前記シリンダ本体は、吸排気用の第1ポートを有するガス圧シリンダと、
前記作動部を作動させるための圧縮ガス源からの圧縮ガスが供給される第2ポートと、
前記第1ポートと前記第2ポートとを接続する第1流路と、前記第1ポートを大気開放する第2流路とを選択的に切換える切換操作弁と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、袋が収容される収容部と、一対の第1ローラと、一対の第2ローラとを備えるので、タイヤの上方から袋を被せ、袋の開口が下方に向いた状態で、袋に梱包されたタイヤを載置台で容易に回転させることができ、したがって袋の開口が上方に向くようにタイヤを袋に梱包された状態で容易に手作業によって向きを修正することができる。これによってタイヤが梱包された袋の向きを修正する作業の手間および労力が低減され、タイヤの搬送作業の効率を向上することができる。
【0012】
また本発明によれば、一対の第2ローラは、基台から離反するにつれて基台の下面から上方に所定角度で傾斜した軸線まわりに回転可能であるので、タイヤ単独で、またはタイヤが袋に梱包された状態で、一対の第1ローラ側へタイヤの重心が位置するように傾斜して乗載することができる。これによって、タイヤを単独でまたはタイヤが袋に梱包された状態で、載置台に安定に乗載し、搬送中にタイヤおよび袋が載置台から落下することが防がれる。
【0013】
また本発明によれば、載置台は案内部材を含むので、載置台に載置されたタイヤに袋を被せた状態で回転させても、袋が案内部材によって案内され、基台および一対の第1ローラなどに引っ掛かることが防がれ、タイヤを袋に梱包された状態で円滑に回転させることができる。
【0014】
また本発明によれば、第1ポートと第2ポートとを接続する第1流路と、第1ポートを大気開放する第2流路とを切換操作弁によって選択的に切換えることができるので、作動部を駆動し、載置台を袋に梱包されたタイヤを乗載して上昇させ、または下降させることができる。このように作業者が切換操作弁の操作によって、載置台の昇降動作を容易に切換えることができる。これによってタイヤ梱包搬送作業の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態のタイヤ搬送装置1を示す右側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態のタイヤ搬送装置1を示す左側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態のタイヤ搬送装置1の正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態のタイヤ搬送装置1の平面図である。
【
図5】タイヤ搬送装置1の基部21および前枠体22の分解斜視図である。
【
図8】タイヤ搬送装置1の動作を説明するための側面図である。
【
図9】載置台3にタイヤTおよび袋T1を乗載して上下反転させる動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態のタイヤ搬送装置1を示す側面図であり、
図2は、タイヤ搬送装置1の背面図であり、
図3は、
図1の左側から見たタイヤ搬送装置1の正面図であり、
図4は、タイヤ搬送補助装置1の平面図である。
図5は、タイヤ搬送装置1の基部21および前枠体22の分解斜視図である。本実施形態のタイヤ搬送装置1は、例えば、タイヤ販売店において、普通乗用自動車などの車両のタイヤ交換時または購入時に、作業者が取外されたまたは購入したタイヤTを車両に積載するためなどに用いられる。なお、本実施形態では、タイヤTは、タイヤ本体にホイールが装着されたホイール既着タイヤを想定して説明するが、これに限らず、ホイールが外されたタイヤ本体だけであっても、タイヤ搬送装置1を用いてタイヤTに袋T1を作業者が手作業で被せて梱包し、袋Tの開口を上方に向けて車両まで搬送するために使用されてもよい。車両から外されたタイヤTは、走行による砂、泥、その他の異物が付着している場合があり、また購入した新品のタイヤTであっても、僅かであっても水、油、砂、ほこりなどの異物が付着している場合があるので、車両に搭載して持ち帰る場合には、シートなどの車内の汚損を防止するためには、タイヤTは袋T1に収容して梱包されていることが好ましい。袋T1は、たとえばポリエチレン製であってもよく、ポリプロピレン製であってもよく、加工紙製であってもよい。
【0017】
タイヤ搬送装置1は、基台2と、基台2に設けられ、タイヤTを梱包するための袋T1が収容される収容部であるトレイ43と、基台2に沿って昇降可能に配設され、袋T1に梱包されたタイヤTを起立状態で載置可能な載置台3と、基台2に設けられ、載置台3を、昇降駆動するための駆動部4と、基台2に、基台2の下面2aに垂直な軸線L1まわりに回転可能に配設された複数の車輪5a,5b,5c,5dと、を備える。
【0018】
載置台3は、タイヤTのサイドウォールとも呼ばれる側壁部を側方から支持するための一対の第1ローラ6a,6bと、タイヤTの外周部を下方から支持する一対の第2ローラ7a,7bと、を備える。第1ローラ6a,6bおよび第2ローラ7a,7bは、硬質合成樹脂から成る直円柱状であってもよい。
【0019】
基台2は、中空の直方体状の基部21と、基部21に下端部が連結される逆U字状の前枠体22とを有する。基部21は、第1補強部材24aおよび第2補強部材24bと、第1補強部材24aおよび第2補強部材24bの各一端部を連結する第3補強部材24cと、第1補強部材24aおよび第2補強部材24bの各他端部を連結する第4補強部材24dとを有する。基部21は、たとえば構造用鋼材から成る。
【0020】
第1補強部材24aの他端部には、車輪5aが設けられる。第2補強部材24bの他端部には、車輪5bが設けられる。第1補強部材24aの一端部には、車輪5cが設けられ、第2補強部材24bの一端部には、車輪5dが設けられる。これらの車輪5a~5dのそれぞれは、ブラケット5a1~5d1によって軸線L1まわりに回転可能に連結される。これらの車輪5a~5dのうち前進方向Aの前端に配置される2つの車輪5a,5bには、車輪が転動することを阻止してロック状態とするためのロックレバー5a2,5b2が設けられる。これらの車輪5a~5dは、市販のキャスターによって実現されてもよい。第1補強部材24aの他端部近傍には、支持部材24eが直角に連結される。第2補強部材24bの他端部近傍には、支持部材24fが直角に連結される。
【0021】
前枠体22は、基部21の第4補強部材24dに下端部が連結され、平行に配置された一対の支柱部材22a,22bと、各支柱部材22a,22bの各上端部を互いに連結する連結部材22cと、を有する。各支柱部材22a,22bおよび連結部材22cは、たとえば構造用鋼材から成る。
【0022】
各支持部材24e,24fの各上端部と各支柱部材22a,22bとは、横部材24g,24hによって連結される。第1補強部材24aの他端部は、第4補強部材24dの一端部に連結され、第2補強部材24bの他端部は、第4補強部材24dの他端部に連結される。一対の傾斜部材22d,22eは、横部材24g,24hの他端部および各支柱部材22a,22bの長手方向中央部付近を連結する。横材24g,24hの各一端部は、連結部材24iによって連結される。第3補強部材24c、支持部材24e,24f、および連結部材24iには、側板32cが固定される。横材24g,24hおよび連結部材24iには、天板42が固定される。
【0023】
第1補強部材24a、第2補強部材24b、第3補強部材24c、第4補強部材24d、支持部材24e,24f、横部材24g,24h、支柱部材22a,22b、連結部材22c、傾斜部材22d,22eは、例えば構造用鋼材から成る。第1補強部材24aおよび第2補強部材24bには、底板30が固定される。底板30には、タイヤ搬送装置1の重心を背後側にするために板状の複数(たとえば8枚)の重錘38が固定される。第1補強部材24a、支持部材24e、および横部材24gには、側板32aが固定され、第2補強部材24b、支持部材24f、および横部材24hには、側板32bが固定される。複数の重錘38は、底板30上で側板32a,32b,32c、および天板42によって外囲され、外部に複数の重錘38が露出せず、美観が向上する。
【0024】
各支柱部材22a,22bの上部には、矢符B方向で示す背後側に突出した略U字状のハンドル40が固定され、連結部材22cには、吊下げ用フック39が固定される。このハンドル40は、タイヤ搬送装置1を用いてタイヤTを搬送するとき、作業者が把持して安定にタイヤ搬送装置1を移動させるために用いられる。各支柱部材22a,22bの上部の背面には、ブラケット41が固定される。ブラケット41には、トレイ43が図示しない取付金具などによって固定される。トレイ43の上部には、複数の袋T1が折り畳まれた状態で収容される。トレイ43内の袋T1は、作業者がタイヤTをタイヤ搬送装置1によって搬送するとき、トレイ43内から袋T1を取り出し、タイヤTを梱包するために用いられる。
【0025】
ブラケット41の両側部には、レギュレータ33および切換操作弁V1が設けられる。
【0026】
載置台3の構成について説明する。載置台3は、第2ローラ7a,7bを保持する一対の保持部材31a,31bと、保持部材31a,31bの長手方向一端部に連結される一対の縦枠部材31c,31dと、縦枠部材31c,31dの上端部を連結する上枠部材31eと、上枠部材31eと平行に位置し、各縦枠部材31c,31dに連結される一対の補強部材31f,31gと、一対の補強部材31f,31gのうち下方に配置される補強部材31gに連結される一対の案内部材8a,8bと、を含む。
【0027】
第1ローラ6a,6bは、ブラッケット6a1,6b1によって縦枠部材31c,31dに取付けられる。一対の第1ローラ6a,6bのそれぞれは、正面視において、基台2から離反するにつれて基台2の下面2aから上方に角度θ1で傾斜し、かつ側面視において下面2aに対して角度θ2で背後側(矢符B方向)に傾斜した軸線L2まわりに回転可能に構成される。角度θ1は、例えば60°以上80°以下であってもよい。また角度θ2は、70°~85°であってもよい。また、第2ローラ7a,7bは、基部21の下面21aに対して角度θ3を成す軸線L4まわりに回転自在に載置台3の保持部材31a,31bに保持されている。角度θ3は、たとえば5°~15°であってもよい。
【0028】
一対の案内部材8a,8bは、下方の補強部材31gから水平に延びる第1部分8a1,8b1と、第1部分8a1,8b1の下方の補強部材31gから最も離れた先端部から上方に屈曲して延びる第2部分8a2,8b2と、第2部分8a2,8b2の上端部から上方に向かって背後側に傾斜して延びる第3部分8a3,8b3と、を有する。
【0029】
保持部材31a,31bのそれぞれには、タイヤTの第2ローラ7a,7b上への乗り上げを円滑化するため、ガイドプレート32a,32bが固定される。各ガイドプレート32a,32bの軸線L3は、例えば、保持部材31a,31bの部材軸線を含む仮想鉛直面から外側方へ離反するにつれて下方へ約45°の角度θ4で傾斜した構成であってもよい。
【0030】
図6は、駆動部4の構成を示す空気圧回路図である。駆動部4は、載置台3が連結される作動部9と、作動部9を作動させるための圧縮ガスを供給し、作動部9の排気を排出するための第1ポートである2つのポートP1,P2と、を有するシリンダ本体14を備えたガス圧シリンダCY1と、圧縮ガス源10と、ポートP1に接続される第1接続管11と、ポートP2に接続される第2接続管12と、圧縮ガス源10の圧縮ガスが供給される第3接続管13と、第3接続管13を、第1接続管11および第2接続管12のいずれか一方に選択的に切換えて接続可能な切換操作弁V1と、を含む。切換操作弁V1は、3つのポートa1,a2,a3と2つのポートb1,b2とを有する5ポート3位置方向調整弁であってもよい。これらの切換操作弁V1、第1接続管11、第2接続管12、および第3接続管13を含んで、第1ポート
P1,P2と第2ポート
a2とを接続する第1流路と、第1ポート
P1,P2を大気開放する第2流路とが構成される。
【0031】
本実施形態において、ガス圧シリンダCY1は、図示されるような複動式のいわゆるロッドレスシリンダであるが、単動シリンダであってもよい。
【0032】
圧縮ガス源10は、例えばタイヤ販売店の工場内に装備される圧縮ガス供給装置によって実現されてもよい。圧縮ガス源10の圧縮ガスは、圧縮ガス源10に接続された工場内の吐出ポートに第3接続管13を接続することによって圧縮ガスを得ることができる。圧縮ガスの圧力は、ガス圧シリンダCY1の使用ガス圧にほぼ等しいか、やや高い圧力に設定されている。ガス圧シリンダCY1の使用ガス圧は、例えば800kPaであり、対象負荷は45kg、揚程800mm、上昇速度250mm/secである。使用される圧縮ガスは、圧縮空気であってもよく、圧縮窒素であってもよい。使用される圧縮ガスが圧縮窒素である場合、圧縮ガス源10は、圧縮窒素ボンベであってもよい。
【0033】
駆動部4は、第1接続管11に介在される第1速度制御弁V2と、第2接続管12に介在される第2速度制御弁V3と、第3接続管13に介在されるレギュレータ33と、第3接続管13のレギュレータ33と圧縮ガス源10との間に介在されるフィルタ34とを、さらに含む。第1速度制御弁V2は、第1接続管11に介在される第1流量制御弁V21と、第1接続管11に第1流量制御弁V21と並列に接続される逆止弁V22とを有する。第2速度制御弁V3は、第2接続管12に介在される第2流量制御弁V31と、第2接続管12に第2流量制御弁V31と並列に接続される第2逆止弁V32とを、含む。
【0034】
載置台3を上昇させるにあたっては、作業者が切換操作弁V1を操作し、第2位置から第1位置に切換えると、第3接続管13の圧縮ガスはポートa2,b2を経て第2接続管13に供給され、第2流量制御弁V31および第2逆止弁V32を経て、ガス圧シリンダCY1のポートP2に供給される。一方、ガス圧シリンダCY1内のポートP1側の圧縮ガスは、ガス圧シリンダのポートP1から第1流量制御弁V21を経て、制限された流量で通過し、さらに切り換え操作弁V1のポートb1およびポートa1を経て、大気に放出される。このようにして作動部9が上昇する。作動部9の上昇によって、載置台3が上昇する。載置台3が所望の高さ位置に達すると、作業者は切換操作弁V1を操作して、第1位置から中立位置に切換え、載置台3の上昇動作を停止させる。これによって載置台3を、急激な上昇を抑制して、円滑に所望の位置まで上昇させることができる。
【0035】
また載置台3を下降させるにあたっては、作業者が切換操作弁V1を操作して中立位置から第2位置に切換えると、ポートa2とポートb1とが繋がり、第1接続管11に第3接続管13の圧縮ガスが供給される。第1接続管11に供給された圧縮ガスは、第1流量制御弁V21および逆止弁V22を経て、ガス圧シリンダCY1のポートP1に供給される。一方、ガス圧シリンダCY1内のポートP2側の圧縮ガスは、ガス圧シリンダCY1のポートP2から第2流量制御弁V31を経て、さらに切り換え操作弁V1のポートb2およびポートa3を経て、大気に放出される。このようにして作動部9が下降する。作動部9の下降によって、載置台3が下降する。載置台3が最下位置に達すると、作業者は切り換え操作弁V1を操作して、第2位置から中立位置に切換え、載置台3の下降動作を停止させる。これによって載置台3を、急激な下降を抑制して、円滑に最下位置まで下降させることができる。
【0036】
図7は、載置台3の拡大側面図である。載置台3は、保持部材31a,31bと縦枠部材31c,31dとが軸35a,35bによって角変位自在に連結される。各軸35a,35bには、ねじりばね36a,36bがそれぞれ装着される。ねじりばね36a,36bの一端部は保持部材31a,31bに係止される。ねじりばね36a,36bの他端部は縦枠部材31c,31dに係止される。
【0037】
このようなねじりばね36a,36bによって、各保持部材31a,31bは第2ローラ7a,7bとともに、
図7の仮想線で示されるように、上方へ角変位する方向にばね付勢される。これによって、載置台3にタイヤTおよび袋T1が乗載されていない状態、すなわち各保持部材31a,31bに下向きに荷重が作用していない状態で、載置台3を下降させても、作業者の足に載置台3が当接することが防がれ、安全性が向上される。
【0038】
本発明の他の実施形態では、前述のねじりばね36a,36bを用いずに各保持部材31a,31bが軸35a,35bの軸線まわりに角変位可能に縦枠部材31c,31dに連結され、各保持部材31a,31bの基端部の各端面のそれぞれが縦枠部材31c,31dに
図7に示されるように支持される構成であってもよい。このような構成によれば、作業者の足などの物体が保持部材31a,31bの下方に侵入しても、保持部材31a,31bは、物体によって軸35a,35bの軸線まわりに上方へ角変位し、保持部材31a,31bおよび物体を損傷することが防がれる。
【0039】
図8は、タイヤ搬送装置1の動作を説明するための側面図であり、
図8(1)は、載置台3に乗載されたタイヤTに袋T1を被せた状態を示し、
図8(2)は、載置台3上でタイヤTおよび袋T1を開口が上方に向くように反転させた状態を示す。
図9は、載置台3にタイヤTおよび袋T1を乗載して上下反転させる動作を説明するための図である。
図9(1)は、載置台3のタイヤTを乗載した状態を示し、
図9(2)は、載置台3上のタイヤTに袋T1を被せた途中状態を示し、
図9(3)は、載置台3上のタイヤTの袋T1を被せ終わった状態を示し、
図9(4)は、袋T1にタイヤTが梱包された状態でタイヤTおよび袋T1を第2ローラ7a,7b上で回転させた途中状態を示し、
図9(5)は、タイヤTおよび袋T1を袋T1の開口が上方に向いた位置に回転し終えた状態を示す。
【0040】
タイヤTを袋T1に梱包する場合、タイヤTをタイヤ搬送装置1の載置台3に乗載する。このとき、載置台3は、タイヤTが例えば棚などに置かれた状態などのように高い位置にある場合には、
図8(1)および
図8(2)に示されるように上昇させた状態であってもよく、あるいは工場の床などに載置されている場合には、支柱部材22a,22bに沿って最下位置に下降させてもよい。作業者は、タイヤTを起立させた状態で、
図9(1)に示されるように、載置台3上に乗載する。タイヤTが載置台3に乗載された状態では、タイヤTの外周部が第2ローラ7a,7bに支持され、タイヤTの側部が第1ローラ6a,6bによって側方から支持されている。
【0041】
次に、
図8(1)に示されるように、載置台3を上昇させた状態または最下位置に下降させた状態において、載置台3上に乗載されたタイヤTに、トレイ43から取出した袋T1を上方から被せ、
図8(2)および
図9(3)に示されるように、袋T1が第2ローラ7a,7bに到達するまで引き下げて袋T1をタイヤTに完全に被せた状態とする。こうして載置台3上で袋T1がタイヤTに十分に被せられると、作業者は手作業で
図9(4)に示されるように、載置台3上のタイヤTおよび袋T1を回転させ、
図9(5)に示されるように、袋T1にタイヤTを梱包し、手押しで搬送することができる。
【0042】
本実施形態によれば、袋T1が収容される収容部であるトレイ43と、一対の第1ローラ6a,6bと、一対の第2ローラ7a,7bとを備えるので、トレイ43から取出した袋T1をタイヤTの上方から被せ、袋T1の開口が下方に向いた状態で、タイヤTおよび袋T1を載置台3の第1ローラ6a,6bおよび第2ローラ7a,7b上で容易に回転させて梱包することができ、したがって袋T1の向きを開口が上方に向くように容易に手作業によって向きを修正することができる。これによってタイヤTを梱包した袋T1の向きを修正する作業の手間および労力が低減され、タイヤTの梱包作業を含む搬送作業の効率を向上することができる。
【0043】
また本実施形態によれば、一対の第2ローラ7a,7bは、側面視において、基台2から離反するにつれて基台2の下面2aに対して角度θ3で傾斜した軸線L4まわりに回転可能であるので、タイヤT単独で、またはタイヤTを袋T1に梱包した状態で、一対の第1ローラ6a,6b側へタイヤTの重心が位置するように傾斜させて安定に乗載することができる。これによって、タイヤTを単独でまたは袋T1に梱包された状態で、載置台3に安定に乗載し、搬送中にタイヤTおよび袋T1が載置台3から落下することが防がれる。
【0044】
また本実施形態によれば、載置台3は案内部材8を含むので、載置台3に載置されたタイヤTに袋T1を被せた状態で回転させても、袋T1が案内部材8によって案内され、基台2および一対の第1ローラ6a,6bなどに引っ掛かることが防がれ、タイヤTを袋T1に容易に梱包することができる。
【0045】
また本実施形態によれば、第1ポートP1,P2と第2ポートa2とを接続する第1流路と、第1ポートP1,P2を大気開放する第2流路とを切換操作弁V1によって選択的に切換えることができるので、作動部9を駆動し、載置台3を袋T1に梱包されたタイヤTを乗載して上昇させ、または下降させることができる。このように作業者が切換操作弁V1の操作によって、載置台3の昇降動作を容易に切換えることができる。これによってタイヤTの梱包作業および搬送作業の作業性を向上することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、また、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。上記各実施形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 タイヤ搬送装置
2 基台
3 載置台
4 駆動部
2a 下面
5;5a,5b,5c,5d 車輪
6a,6b 第1ローラ
7a,7b 第2ローラ
8 案内部材
9 作動部
10 圧縮ガス源
11 第1接続管
12 第2接続管
13 第3接続管
14 シリンダ本体
21 基部
22 枠体
22a,22b 支柱部材
22c 連結部材
22d,22e 傾斜部材
24g,24h 横部材
31a,31b 保持部材
31c,31d 縦枠部材
31e 上枠部材
31f,31g 補強部材
33 レギュレータ
34 フィルタ
35a,35b 軸
36a,36b ねじりばね
40 ハンドル
41 ブラケット
43 トレイ
L1,L2,L3,L4 軸線
CY1 ガス圧シリンダ
P1,P2 ポート
T タイヤ
T1 袋
V1 切換操作弁
V2 第1速度制御弁
V21 第1流量制御弁
V22 第1逆止弁
V3 第2速度制御弁
V31 第2流量制御弁
V32 第2逆止弁
【要約】
【課題】 タイヤの梱包作業の手間および労力が低減されたタイヤ搬送装置を提供する。
【解決手段】 タイヤ搬送装置1は、基台2と、基台2に設けられ、タイヤTを梱包するための袋T1が収容されるトレイ43と、基台2に昇降可能に設けられ、タイヤTを起立状態で載置可能な載置台3と、載置台3を、昇降駆動するための駆動部4と、基台2に、基台2の下面2aに垂直な第1軸線L1まわりに回転可能に配設された複数の車輪5a,5b,5c,5dと、を備え、載置台3は、タイヤTの側部を側方から支持するための一対の第1ローラ6a,6bと、タイヤTの外周部を下方から支持するための一対の第2ローラ7a,7bと、を備える。
【選択図】
図1