(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64U 20/87 20230101AFI20241218BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20241218BHJP
B64U 60/50 20230101ALI20241218BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241218BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241218BHJP
B64U 101/30 20230101ALN20241218BHJP
【FI】
B64U20/87
B64U10/16
B64U60/50
G03B15/00 U
G03B17/56 A
G03B17/56 H
B64U101:30
(21)【出願番号】P 2024048866
(22)【出願日】2024-03-26
【審査請求日】2024-03-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513005280
【氏名又は名称】株式会社amuse oneself
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨井 隆春
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212766750(CN,U)
【文献】特開2018-140686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64U 20/87
B64U 10/16
B64U 60/50
G03B 15/00
G03B 17/56
B64U 101/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像可能な撮像装置を備える飛行体であって、
前記撮像装置を収容可能な収容部を備え、
前記撮像装置は、前記収容部に対して出し入れ可能であり、
前記収容部は、
前記撮像装置を出し入れする方向と異なる方向からの光を透過する窓部を有し、
前記撮像装置は、飛行中に、
前記収容部に収容された状態で、外部の撮像対象を撮像可能であり、かつ前記収容部から外部に露出した状態で撮像対象を撮像可能であり、
前記収容部に収容された状態の場合、前記窓部を通して外部の撮像対象を撮像可能である
ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記撮像装置を、前記収容部に対して出し入れ可能に支持する支持部を備え、
前記撮像装置は、前記支持部に支持された状態で移動することにより、前記収容部に収容された状態及び前記収容部から外部に露出した状態の間を遷移する
ことを特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記収容部は、
下部に開口部が形成されており、
前記撮像装置は、
前記収容部の開口部から下降することにより、前記収容部から外部へ露出し、
上昇することにより、前記収容部の開口部を通って収容される
ことを特徴とする飛行体。
【請求項4】
請求項3に記載の飛行体であって、
自機全体を支持する脚部を更に備え、
前記撮像装置を前記収容部に収容することにより、前記脚部にて支持した状態での載置が可能である
ことを特徴とする飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、撮像装置を備える飛行体を開示する。
【背景技術】
【0002】
ドローン等の呼称で呼ばれる無人飛行体が、計測、測量、監視、調査等の様々な目的で使用されている。特に、カメラを備え、空中から撮像対象を撮像する無人飛行体が様々な場面で使用されている。ただし、野外で無人飛行体を使用する場合、無人飛行体を使用した撮像処理は、降雨、降雪等の天候の影響を強く受ける。例えば、特許文献1は、空撮カメラを備える無人飛行体において、雨水に弱い制御回路基板を筐体内に収容し、その上で、収容した制御回路基板の発熱対策をした無人飛行体を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて提案された無人飛行体は、制御回路基板の故障に配慮しているものの空撮カメラが雨滴に晒されることによる問題については考慮されていない。
【0005】
本願は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、撮像装置に対し、天候等の外部環境に起因する悪影響を抑制することが可能な飛行体の開示を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願開示の飛行体は、撮像可能な撮像装置を備える飛行体であって、前記撮像装置を収容可能な収容部を備え、前記撮像装置は、飛行中に、前記収容部に収容された状態で、外部の撮像対象を撮像可能であり、かつ前記収容部から外部に露出した状態で撮像対象を撮像可能であることを特徴とする。
【0007】
また、前記飛行体において、前記撮像装置を、前記収容部に対して出し入れ可能に支持する支持部を備え、前記撮像装置は、前記支持部に支持された状態で移動することにより、前記収容部に収容された状態及び前記収容部から外部に露出した状態の間を遷移することを特徴とする。
【0008】
また、前記飛行体において、前記収容部は、光を透過する窓部を有し、前記撮像装置は、前記収容部に収容された状態の場合、前記窓部を通して外部の撮像対象を撮像可能であることを特徴とする。
【0009】
また、前記飛行体において、前記収容部は、下部に開口部が形成されており、前記撮像装置は、前記収容部の開口部から下降することにより、前記収容部から外部へ露出し、上昇することにより、前記収容部の開口部を通って収容されることを特徴とする。
【0010】
また、前記飛行体において、自機全体を支持する脚部を更に備え、前記撮像装置を前記収容部に収容することにより、前記脚部にて支持した状態での載置が可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願開示の飛行体は、撮像装置を収容部に出し入れ可能である。しかも、本願開示の飛行体は、撮像装置を収容部に収容された状態で撮像可能であり、かつ収容部から外部に露出した状態で撮像可能である。これにより、本願開示の飛行体は、天候等の外部環境に応じて撮像装置を収容部に出し入れし、撮像することができるので、外部環境に起因する悪影響を抑制することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本願開示の飛行体の一例を示す概略外観図である。
【
図2】本願開示の飛行体の一例を示す概略外観図である。
【
図3】本願開示の飛行体の一例を示す概略外観図である。
【
図4】本願開示の飛行体の内部を概略的に示す断面図である。
【
図5】本願開示の飛行体の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願開示の飛行体は、ドローン、UAV(Unmanned Aerial Vehicle )、マルチコプター等の呼称で呼ばれる無人飛行体である。以下では、図面を参照しながら、図面に記載された飛行体UAVを例示して説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0014】
図1乃至
図3は、本願開示の飛行体UAVの一例を示す概略外観図である。
図4は、本願開示の飛行体UAVの内部を概略的に示す断面図である。
図1は、前斜め上方からの概略斜視図であり、
図2及び
図3は、前斜め下方からの概略斜視図である。本願開示の飛行体UAVは、様々な機構を収容している本体装置1、飛行するための飛行機構2等の各種構成を備えている。更に、飛行体UAVは、撮像装置3を備え、本体装置1内には、撮像装置3を収容可能な収容部10を備えている。
【0015】
飛行体UAVの構造について更に詳述する。
図2は、撮像装置3が収容部10に収容されている状態を示し、
図3は、撮像装置3が収容部10から外部へ露出している状態を示している。
図4は、飛行体UAVの断面図であり、収容部10以外の内部は概形を示している。本体装置1は、内部の前方側が収容部10となっており、内部の後方側には、後述する制御装置4等の各種構成を収容している。収容部10は、下部に開口部11が形成されており、撮像装置3は、収容部10に対し、開口部11を通って出し入れ可能である。なお、収容部10は、撮像装置3が収容部10に収容されている状態において、開口部11を塞ぐ蓋体を備えるように構成することも可能である。本体装置1の前面下部は、透明なアクリル板等の光を透過する閉じられた窓部12となっている。なお、窓部12を構成する閉じられた部材としては、アクリル板以外に、板ガラス、拡大用のレンズ、特定の波長の光のみを透過するガラス等、様々な部材を用いることが可能である。更に、窓部12は、開かれた開口として形成することも可能である。
【0016】
収容部10内には、撮像装置3を収容部10に対して出し入れ可能に支持する支持部13が設けられている。支持部13は、上下に延伸する柱状の部材である。撮像装置3は、光を検知し画像を生成する撮像素子を用いた撮像部30、撮像部30を収容する撮像筐体31、支持部13に支持された状態で支持部13及び撮像筐体31を連結する連結機構32等の構成を備えている。撮像部30にて用いられる撮像素子は、赤外線、可視光線、紫外線等の様々な波長の光を検知する機能を有する。連結機構32は、連結している撮像筐体31を動かして撮像方向及び撮像範囲を変更することが可能であり、これにより、撮像対象を追尾することができる。また、撮像筐体31が、本体装置1の収容部10内に位置する場合、撮像装置3の撮像部30は、本体装置1の窓部12に対応する場所に位置しており、窓部12を通して飛行体UAVの外部の撮像対象を撮像することが可能である。
【0017】
更に、本体装置1の下面には、下方へ向けて延びる突起状の複数の脚部14が設けられている。脚部14の先端は、本体装置1の下面より、下方に位置している。
【0018】
飛行機構2としては、本体装置1から側方へ延びる6本のアーム部20、各アーム部20の先端近傍に取り付けられた回転翼21等の各種構成を備えている。各アーム部20は、折りたたみが可能であり、例えば、搬送時にアーム部20を折りたたむことにより、全体としての大きさを小さくすることができる。各アーム部20の先端近傍に取り付けられた回転翼21は、内蔵されたロータにて回転する。各回転翼21が回転することにより、飛行体UAVは、飛行及び飛行姿勢の制御を行う。本願では、6組の回転翼21を有するヘキサコプターを例示して説明するが、本願に係る飛行体UAVは、4組の回転翼21を有するクアッドコプター、8組の回転翼21を有するオクトコプター等の様々な飛行体UAVとして実現することが可能である。
【0019】
次に、本願開示の飛行体UAVの機能構成例について説明する。
図5は、本願開示の飛行体UAVの機能構成例を示すブロック図である。飛行体UAVは、制御装置4、前述の飛行機構2、動力部5、前述の撮像装置3、昇降駆動部6、位置情報取得部7、通信部8等の各種構成を備えている。
【0020】
制御装置4は、飛行体UAV全体を制御する装置であり、マイクロコンピュータ等のコンピュータ及び各種情報を記憶するメモリを用いて構成されている。制御装置4は、飛行を制御する飛行制御部40、撮像を制御する撮像制御部41等の副処理装置(コプロセッサ)を備える。飛行制御部40は、主として、飛行機構2及び動力部5を制御することにより、飛行体UAVの飛行を制御する。撮像制御部41は、主として、撮像装置3及び昇降駆動部6を制御することにより、飛行体UAVの撮像を制御する。
【0021】
動力部5は、電力、エンジン等の動力源を備え、飛行機構2等の各種機構を駆動する機構である。昇降駆動部6は、支持部13に指示された撮像装置3を昇降させる機構である。
【0022】
位置情報取得部7は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)衛星等の人工衛星と通信するアンテナを有し、GNSS衛星との通信に基づいて飛行体UAVの位置を示す位置情報を取得し、処理する機構である。
【0023】
通信部8は、操作者が操作する操作装置(図示せず)と通信するための回路である。飛行体UAVは、飛行位置、飛行状態、撮像装置3の撮像により得られた画像データ等の各種情報を、通信部8から操作装置へ送信する。また、操作者は、操作装置を操作して、各種命令を送信することにより、通信部8にて命令を受信する飛行体UAVを操縦することができる。なお、撮像装置3が撮像した画像データ等の各種情報は、撮像制御部41が備える記憶部に記憶し、飛行体UAVを回収後、記憶部から入手するようにしてもよい。
【0024】
以上のように構成された本願開示の飛行体UAVは、本体装置1内に確保された収容部10に撮像装置3を収容しており、撮像装置3は、収容部10に対して出し入れが可能である。具体的には、飛行体UAVは、支持部13に支持された状態の撮像装置3を、収容部10の下部に形成された開口部11から、下方へ移動(下降)させて、本体装置1の外部に露出させることが可能である。なお、本願開示の飛行体UAVは、撮像制御部41の制御により、飛行中に撮像装置3の出し入れを行うことも可能である。例えば、晴天の場合、飛行体UAVは、飛行中に、外部に露出した状態の撮像装置3により、外部の撮像対象を撮像することが可能である。なお、露出した状態の撮像装置3は、撮像制御部41の制御に基づく連結機構32の機能により、撮像対象を追尾しながら撮像することが可能である。また、例えば、雨天の場合、飛行体UAVは、飛行中に、収容部10に収容した状態の撮像装置3により、窓部12を通して外部の撮像対象を撮像することが可能である。更に、例えば、雨天の場合、飛行体UAVは、収容部10に収容した状態の撮像装置3の撮像方向を下方へ向けることにより、開口部11から下方の撮像対象を撮像することが可能である。従って、飛行体UAVは、雨天、特に降雨が激しい荒天の場合であっても、撮像装置3が雨滴に曝されることを抑制しながら、越流等の被害が生じている被災現場の撮像を行うことが可能である。以上のように、本願開示の飛行体UAVは、天候等の外部環境に起因する悪影響を抑制して、撮像することが可能である等、優れた効果を奏する。
【0025】
また、本願開示の飛行体UAVは、撮像装置3を収容部10に収容した状態において、本体装置1の下面より下方へ延びる脚部14により、自機全体を支持した状態で、適切な載置場所に載置することが可能である。更に、本願開示の飛行体UAVは、アーム部20を折りたたむことができ、その状態で載置できるので、搬送及び収納の際の利便性が高い。
【0026】
以上のように、本願開示の飛行体UAVは、撮像装置3を収容可能な収容部10を備え、撮像装置3は、収容部10内の支持部13に支持された状態で移動することにより、収容部10に収容された状態及び収容部10から外部に露出した状態の間を遷移する。そして、飛行体UAVは、撮像装置3が収容部10に収容された状態でも、また収容部10から露出した状態でも、外部の撮像対象を撮像することが可能である。これにより、本願開示の飛行体UAVは、天候等の外部環境に起因する悪影響を最小限にしながら、撮像を行うことが可能である等、優れた効果を奏する。
【0027】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0028】
例えば、前記実施形態において、本願開示の飛行体UAVは、本体装置1の下部から下方へ撮像装置3を出し入れする形態を示したが、これに限るものではない。本願開示の飛行体UAVは、前方等の下方以外の方向へ向けて撮像装置3を出し入れする形態にする等、様々な形態に展開することが可能である。
【0029】
また、例えば、前記実施形態において、本願開示の飛行体UAVは、撮像装置3が、柱状の支持部13に支持された状態で上下して本体装置1から出し入れする形態を示したが、これに限るものではない。本願開示の飛行体UAVは、折りたたみが可能なアームを支持部13とし、支持部13を折りたたみ又は伸長することにより、撮像装置3を出し入れする形態にする等、様々な形態に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
UAV 飛行体
1 本体装置
10 収容部
11 開口部
12 窓部
13 支持部
14 脚部
2 飛行機構
20 アーム部
21 回転翼
3 撮像装置
30 撮像部
31 撮像筐体
32 連結機構
4 制御装置
40 飛行制御部
41 撮像制御部
5 動力部
6 昇降駆動部
7 位置情報取得部
8 通信部
【要約】
【課題】天候等の外部環境に起因する悪影響を抑制して飛行中の撮像を行うことが可能な飛行体を提供する。
【解決手段】飛行体UAVは、飛行中に撮像可能な撮像装置3を備える。飛行体UAVは、撮像装置3を収容可能な収容部10を備え、撮像装置3は、飛行中に、収容部10に収容された状態で収容部10の外部を撮像可能であり、かつ収容部10から外部に露出した状態で撮像可能である。更に、飛行体UAVにおいて、収容部10は、下部に開口部11が形成されており、撮像装置3は、収容部10の開口部11から下降することにより、収容部10から外部へ露出し、上昇することにより、収容部10の開口部11を介して収容される。
【選択図】
図4