(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】排気バルブ及び自動車用マフラー
(51)【国際特許分類】
F01N 13/08 20100101AFI20241218BHJP
F01N 1/08 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F01N13/08 B
F01N1/08 A
(21)【出願番号】P 2024171806
(22)【出願日】2024-09-30
(62)【分割の表示】P 2023177077の分割
【原出願日】2023-10-12
【審査請求日】2024-09-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】野路 大
(72)【発明者】
【氏名】池田 大介
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 良太
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-170435(JP,A)
【文献】特開2006-348822(JP,A)
【文献】特開2007-205180(JP,A)
【文献】特開2014-66288(JP,A)
【文献】特開2019-19787(JP,A)
【文献】特開2021-107692(JP,A)
【文献】特開2021-188516(JP,A)
【文献】特開2023-73094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0309277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/08
F01N 13/08
F16K 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気圧力に応じて排気路を弁体で開閉する排気バルブであって、
開口を有する弁座に対して前記弁体が揺動可能に支軸を介して支持され、
前記支軸に外挿されたコイルスプリングで前記弁体が閉じる方向に付勢され、
弁体開動作で外径が拡大する前記コイルスプリングに断面視弧状の弧状外バネが外装され、
弁体開動作による前記コイルスプリングの外径の拡大に抗するようにして前記弧状外バネが前記コイルスプリングに荷重を付加することを特徴とする排気バルブ。
【請求項2】
前記弧状外バネの周方向の長さが、前記弁体の開状態に対応する前記コイルスプリングの拡大状態で半円弧以上の長さに設定されていることを特徴とする請求項1記載の排気バルブ。
【請求項3】
前記弧状外バネが、前記コイルスプリングの全長に亘って周方向に抱え込むように設けられる弁体巻込部であることを特徴とする請求項1記載のマフラー用バルブ。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の排気バルブにおける前記弁座の弁座基板が、排気路に設置されるマフラーの内部を仕切るセパレータの開口の周縁に固着されていることを特徴とする自動車用マフラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の排気が流通する排気路に設置され、排気圧力に応じて弁体が開閉し、排気の流通量を調整する排気バルブ及び排気バルブを備えるマフラーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排気路に設置される排気バルブとして特許文献1に開示されている排気バルブがある。特許文献1の排気バルブでは、開口を有する弁座に対して弁体が揺動可能に支軸を介して支持され、支軸に外挿されたコイルスプリングで弁体が閉じる方向に付勢され、弁座鉤部が支軸の両端部を周方向に抱え込むように設けられ、弁体巻込部がコイルスプリングを、弁座鉤部と逆方向から周方向に抱え込み且つコイルスプリングの全長に亘って周方向に抱え込むように設けられている。
【0003】
更に、この排気バルブでは、筒部と鍔部とから構成される筒緩衝材が金属メッシュ材で形成され、支軸とコイルスプリングが弁体巻込部に内挿された状態で弁体巻込部の両端にそれぞれ筒部を内嵌合して筒緩衝材が固定されている。弁体巻込部に嵌合された筒緩衝材には、支軸の両端部が挿通され、一対の筒緩衝材が支軸の軸受けになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のようにコイルスプリングで弁体が閉じる方向に付勢し、排気圧力によって弁体を開閉する排気バルブでは、弁体の閉方向への付勢力が強すぎると弁体が開かなくなり、又、弁体の閉方向への付勢力が弱すぎると弁体のバタツキが大きくなり、大きなサージングが発生する。そのため、排気圧力によって弁体が適切に開閉するように、弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に調整する必要がある。
【0006】
弁体の閉方向への付勢力の調整は、コイルスプリングの線径や巻き数を調整して行うことが可能であるが、コイルスプリングの線径や巻き数の調整だけに依拠して適度な範囲の付勢力に調整することには試行錯誤的な多大な労力を要する。また、サージングを抑制するように弁体の閉方向への付勢力を適度に調整するためには、錘を弁体に取り付けることが考えられるが、錘が取り付けられた状態で開閉する弁体の重量増加により、コイルスプリング等の排気バルブの構成部品の耐久性が低下するという別の問題が発生する。そのため、弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができると共に、高度な耐久性を確保することができる排気バルブが求められている。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであり、コイルスプリングで弁体が閉じる方向に付勢し、排気圧力に応じて弁体を開閉する排気バルブにおいて、弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができると共に、高度な耐久性を確保することができる排気バルブ、及びこの排気バルブを備える自動車用マフラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の排気バルブは、排気圧力に応じて排気路を弁体で開閉する排気バルブであって、開口を有する弁座に対して前記弁体が揺動可能に支軸を介して支持され、前記支軸に外挿されたコイルスプリングで前記弁体が閉じる方向に付勢され、弁体開動作で内径が縮小する前記コイルスプリングに断面視弧状の弧状内バネが内挿され、弁体開動作による前記コイルスプリングの内径の縮小に抗するようにして前記弧状内バネが前記コイルスプリングに荷重を付加することを特徴とする。
これによれば、弁体の開動作でコイルスプリングの内径が縮小すると弧状内バネの抵抗で弁体の開動作が抑制されるので、コイルスプリングの線径や巻き数の調整だけに依拠して弁体の閉方向への付勢力を試行錯誤的に多大な労力を要して調整する必要が無くなる。例えば弁体が大きくバタつくサージングを抑制するためにコイルスプリングの線径や巻き数を調整してバネレートを上げ、コイルスプリングの巻き線相互の摩擦抵抗を増加させると、弁体の開度不足になることがあるが、本発明の排気バルブではコイルスプリングのバネレートを下げて弁体を開きやすくしても、弧状内バネの抵抗による弁体の開動作の抑制でサージングを抑制することができる。従って、想定される排気圧力に応じて弁体が適切に開閉するように、弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができる。また、弁体にサージングを抑制する錘を取り付ける必要が無く、開閉する弁体の重量を増加させることもないことから、コイルスプリング等の排気バルブの構成部品或いは排気バルブの高度な耐久性を確保することができる。また、高すぎるバネレートの高価なコイルスプリングや、弁体に取り付ける錘を用いる必要がないことから、排気バルブの製造コスト、部品コストを低減することができる。
【0009】
本発明の排気バルブは、前記弧状内バネの周方向の長さが、半円弧以上の長さで、且つ前記弁体の開状態に対応する前記コイルスプリングの縮小状態で先端相互が当接しない長さに設定されていることを特徴とする。
これによれば、弧状内バネの周方向の長さを半円弧以上の長さに設定することにより、弧状内バネをコイルスプリングに広範囲に接触させ、弧状内バネの抵抗をより確実にコイルスプリングに伝達することができる。また、弧状内バネの周方向の長さを弁体の開状態で先端相互が当接しない長さに設定することにより、弁体の開状態における弧状内バネのコイルスプリングに対する弾性抵抗の付加を確保することができ、弁体の開状態のサージングの確実な抑制を図ることができる。
【0010】
本発明の排気バルブは、排気圧力に応じて排気路を弁体で開閉する排気バルブであって、開口を有する弁座に対して前記弁体が揺動可能に支軸を介して支持され、前記支軸に外挿されたコイルスプリングで前記弁体が閉じる方向に付勢され、弁体開動作で外径が拡大する前記コイルスプリングに断面視弧状の弧状外バネが外装され、弁体開動作による前記コイルスプリングの外径の拡大に抗するようにして前記弧状外バネが前記コイルスプリングに荷重を付加することを特徴とする。
これによれば、弁体の開動作でコイルスプリングの外径が拡大すると弧状外バネの抵抗で弁体の開動作が抑制されるので、コイルスプリングの線径や巻き数の調整だけに依拠して弁体の閉方向への付勢力を試行錯誤的に多大な労力を要して調整する必要が無くなる。例えば弁体が大きくバタつくサージングを抑制するためにコイルスプリングの線径や巻き数を調整してバネレートを上げ、コイルスプリングの巻き線相互の摩擦抵抗を増加させると、弁体の開度不足になることがあるが、本発明の排気バルブではコイルスプリングのバネレートを下げて弁体を開きやすくしても、弧状外バネの抵抗による弁体の開動作の抑制でサージングを抑制することができる。従って、想定される排気圧力に応じて弁体が適切に開閉するように、弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができる。また、弁体にサージングを抑制する錘を取り付ける必要が無く、開閉する弁体の重量を増加させることもないことから、コイルスプリング等の排気バルブの構成部品或いは排気バルブの高度な耐久性を確保することができる。また、高すぎるバネレートの高価なコイルスプリングや、弁体に取り付ける錘を用いる必要がないことから、排気バルブの製造コスト、部品コストを低減することができる。
【0011】
本発明の排気バルブは、前記弧状外バネの周方向の長さが、前記弁体の開状態に対応する前記コイルスプリングの拡大状態で半円弧以上の長さに設定されていることを特徴とする。
これによれば、弧状外バネの周方向の長さを弁体の開状態において半円弧以上の長さに設定することにより、弧状外バネをコイルスプリングに広範囲に接触させ、弧状外バネの抵抗をより確実にコイルスプリングに伝達することができる。
【0012】
本発明の排気バルブは、前記弧状外バネが、前記コイルスプリングの全長に亘って周方向に抱え込むように設けられる弁体巻込部であることを特徴とする。
これによれば、弁体開動作で外径が拡大するコイルスプリングに弁体巻込部を弧状外バネとして外装することにより、別体の弧状外バネを用いる必要を無くし、部品点数を減らして製造コストを低減することができる。
【0013】
本発明の自動車用マフラーは、本発明の排気バルブにおける前記弁座の弁座基板が、排気路に設置されるマフラーの内部を仕切るセパレータの開口の周縁に固着されていることを特徴とする。
これによれば、本発明の排気バルブを自動車のマフラーのセパレータに設置することにより、エンジンの回転数が低い状態では排気バルブを閉状態にして騒音源となる圧力波の通過を防止でき、エンジンの回転数が高い状態では排気バルブを開状態にして排気を通過させ、エンジン出力を確保することができる。即ち、弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に調整、設定した排気バルブを自動車用マフラーに設置することにより、街乗り常用運転時の静粛性と高速運転時のエンジン出力確保を確実に両立させることができる。また、排気脈動で生ずるサージングの発生を防止、抑制し、自動車の運転状態の不安定化を防止、抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コイルスプリングで弁体が閉じる方向に付勢し、排気圧力に応じて弁体を開閉する排気バルブにおいて、弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができると共に、高度な耐久性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による第1実施形態の排気バルブの閉状態を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態の排気バルブの開状態を示す斜視図。
【
図4】第1実施形態の排気バルブにおけるコイルスプリングと弧状内バネを示す斜視説明図。
【
図5】第1実施形態の排気バルブにおけるコイルスプリングと弧状内バネの関係を説明する説明図。
【
図6】第1実施形態の排気バルブがセパレータに取り付けられている自動車用マフラーの説明図。
【
図7】第1実施形態の排気バルブがセパレータに取り付けられた状態の正面図。
【
図8】本発明による第2実施形態の排気バルブの閉状態を示す斜視図。
【
図10】第2実施形態の排気バルブにおけるコイルスプリングと弧状外バネを示す斜視説明図。
【
図11】第2実施形態の排気バルブにおけるコイルスプリングと弧状外バネの関係を説明する説明図。
【
図12】第2実施形態の変形例の排気バルブにおけるコイルスプリングと弧状外バネに相当する弁体巻込部の関係を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態の排気バルブ〕
本発明による第1実施形態の排気バルブ1は、例えば自動車の排気路のマフラーに設置され、エンジンの排気圧力に応じて排気路を開閉するものであり、好適にはマフラーの内部を仕切るセパレータに取り付けて用いられる。排気バルブ1は、
図1~
図5に示すように、弁座2と、開閉する弁体3と、支軸4と、コイルスプリング5と、リング緩衝材6と、筒緩衝材7と、弧状板バネ状の弧状内バネ8を備える。弁体3は、弁座2に対して揺動可能に支軸4を介して支持され、支軸4に外挿されたコイルスプリング5で閉じる方向に付勢されている。
【0017】
弁座2は、例えばセパレータに沿うように配置される略平板リング形状に形成された弁座基板21を有し、弁座基板21の中央に開閉される排気路を構成する開口22が設けられている。弁座2には、弁座基板21の幅両側に間隔を開けて一対の弁座鉤部23・23が設けられており、弁座鉤部23は弁座基板21の図示上端部分から斜め上方に向かって立上り、弁座基板21の背面側に弧状に湾曲して形成され、弁座基板21と一体的に形成されている。
【0018】
一対の弁座鉤部23・23は、支軸4の両端近傍にそれぞれ設けられている。図示例の弁座鉤部23は、支軸4の両端部を弁体3側から周方向に抱え込むようにして支軸4に係合され、支軸4の両端部に形成された溶接部41によって支軸4に固定されている。弁座鉤部23の先端部の内周面の形状と大きさは、係合される支軸4の外周面の形状と大きさに略倣うように形成されている。
【0019】
弁座2の弁座基板21には、後述する閉状態の弁体3の弁体基板31の外周縁より外側に突出する支軸4側の溶接用領域241と、支軸4と逆側に位置する舌片状の溶接用領域242が設けられている。溶接用領域241、242は例えば排気バルブ1をマフラーのセパレータに溶接で取り付ける際に溶接する場所として用いられる。
【0020】
弁座基板21の弁体3側には略平板リング状のリング緩衝材6が溶接等で固着されており、リング緩衝材6は後述する弁体3の平縁32に略対応する位置に設けられ、弁体3の閉動作の衝撃を緩衝するようになっている。リング緩衝材6には、弾性等で緩衝機能を有し且つ耐熱性を有する適宜の緩衝材を用いることが可能であり、例えば金属メッシュ材とすると良好である。
【0021】
弁体3は、弁体基板31を有し、弁体基板31は平縁32を有する平皿形状で形成されている。弁体基板31の前面には、弁座2側に突出するようにへこむ平面視略円形の凹部33が設けられ、平縁32は凹部33の周囲或いは凹部33の突出部分の周囲にリング状に形成されている。
【0022】
弁体3には、弁体基板31の支軸4側から突出し、弁体基板31から折り返すように鉤状に湾曲して弁体巻込部34が形成されており、弁体巻込部34は、弁体基板31から閉状態の弁座2と逆方向に突出するようにして、弁体基板31と一体的に形成されている。弁体巻込部34の内周面の形状と大きさは、コイルスプリング5のコイル本体51の外周面の形状と大きさに略倣うように形成され、弁体巻込部34の内周面の大きさはコイル本体51の外周面の大きさよりも僅かに大きくなっている。
【0023】
弁体巻込部34は、断面視において、半円を超える弧状、好適には3/4円を超える或いは略3/4円の弧状で湾曲して形成され、支軸4に外挿されたコイルスプリング5を、弁座鉤部23が支軸4を周方向に抱え込む方向と逆方向から周方向に抱え込みように設けられ、本実施形態では、弁体巻込部34がコイルスプリング5の全長に亘ってコイルスプリング5を弁座側から周方向に抱え込むように設けられている。
【0024】
弁体巻込部34は、弁体基板31の幅方向の略中央で幅方向に延びて形成され、弁座2の一対の弁座鉤部23・23の間に収まる長さで一連で細長に延びて形成されている。一連で細長に延びる弁体巻込部34は、支軸4に外挿されたコイルスプリング5を、コイルスプリング5の全長に亘って周方向に抱え込むようにして設けられる。
【0025】
弁体巻込部34の両端には、筒部71と、筒部71の軸方向の一端部で外側に突出する鍔部72とから構成される筒緩衝材7がそれぞれ設けられている。筒緩衝材7・7は、支軸4とコイルスプリング5が弁体巻込部34に内挿された状態で、弁体巻込部34の両端にそれぞれ筒部71・71を内嵌合して固定され、鍔部72は筒部71の内嵌合によって弁体巻込部34の幅方向の端面に当接される。鍔部72は、それぞれ弁体巻込部34の幅方向の端面と弁座2の弁座鉤部23の内端面との間に配置され、弁座鉤部23の内端面に近接して配置されている。
【0026】
弁体巻込部34は、筒緩衝材7・7に挿通される支軸4に筒緩衝材7・7を介して係合されており、換言すれば弁体巻込部34に嵌合された筒緩衝材7・7は弁体3における支軸4の軸受けとなっている。筒緩衝材7には、弾性等で緩衝機能を有し且つ耐熱性を有する適宜の緩衝材を用いることが可能であり、例えば金属メッシュ材とすると良好である。
【0027】
コイルスプリング5の巻回されたコイル本体51は、全長に亘って弁体巻込部34内に配置されて支軸4に外挿されている。コイルスプリング5の一方の腕52は、弁体巻込部34の根元近傍における弁体3の弁体基板31の前面側、図示例では平縁32の前面側に導出して配置され、コイルスプリング5の他方の腕53は、弁座鉤部23の根元近傍における弁座鉤部23の立ち上がり部分の背面側に導出して配置されており、コイルスプリング5の一方の腕52で弁体3が閉じる方向に付勢され、押圧されている。コイルスプリング5の一方の腕52と他方の腕53は、弁体開動作に従ってコイル本体51の内径が縮小するように構成され(
図5の太線矢印参照)、又、配置される。
【0028】
弁体3の弁体巻込部34の立ち上がり部分の近傍における弁体基板31の幅方向の一方側には切欠き35が形成されており、切欠き35からコイルスプリング5の他方の腕53が弁体基板31の背面側に導出されている。コイルスプリング5の他方の腕53は、切欠き35と弁座鉤部23・23の間の空間を介して、弁座鉤部23の根元近傍の背面側に導出され、弁座鉤部23の立ち上がり部分を背面側から押圧して付勢する。
【0029】
弁座2の弁座鉤部23・23間には、弁座鉤部23の立ち上がり部分よりも低い高さで立ち上がり部分と同一角度で立ち上がる起立部25が形成されている。コイルスプリング5の他方の腕53は、切欠き35と起立部25の先端面側を通って弁座鉤部23の根元近傍の背面側に導出されている。
【0030】
弁体開動作で内径が縮小するコイルスプリング5、或いはコイルスプリング5のコイル本体51には、断面視弧状で延設された弧状内バネ8が内挿されており、弧状内バネ8は、弁体開動作によるコイルスプリング5の内径の縮小或いはコイル本体51の内径の縮小に抗するようにしてコイルスプリング5に荷重を付加するようになっている(
図4、
図5参照)。
【0031】
第1実施形態の排気バルブ1では、弁体3の閉状態において、支軸4とコイル本体51との間に配置されるようにして断面視弧状の弧状内バネ8がコイル本体51を押圧付勢しないようにコイル本体51に遊挿されており、初期の段階で弧状内バネ8の弾発力がコイルスプリング5の内径縮小を抑制しないようにし、弁体3のスムーズな開動作を確保している。そして、弁体開動作によるコイル本体51の内径の所定量の縮小で、コイル本体51が弧状内バネ8に接触して押圧し始めると、コイル本体51の内径の縮小に抗するようにして弧状内バネ8がコイルスプリング5に荷重を付加する構成になっている。
【0032】
尚、弁体3の閉状態において、コイル本体51の内面を弧状内バネ8が押圧する力がコイルスプリング5が弁体3を閉じる力よりも必要量以上小さければ、弁体開動作で内径が縮小するコイルスプリング5のコイル本体51に断面視弧状の弧状内バネ8を内挿すると共に、弁体閉状態におけるコイルスプリング5のコイル本体51の内面に弧状内バネ8が押圧接触する構成とすることも可能である。
【0033】
弧状内バネ8の周方向の長さは、半円弧以上の長さに設定すると共に、弁体3の開状態に対応するコイルスプリング5の縮小状態で弧状内バネ8の先端相互が当接しない長さに設定すると好適である。これにより、弧状内バネ8をコイルスプリング5に広範囲に接触させ、弧状内バネ8の抵抗をより確実にコイルスプリング5に伝達することができ、更に、弁体3の開状態における弧状内バネ8のコイルスプリング5に対する弾性抵抗の付加を確保することができる。
【0034】
本実施形態の排気バルブ1は、例えば
図6及び
図7に示すマフラー100のセパレータ102に取り付けて用いると好適である。マフラー100は、筐体101の内部がそれぞれ平板状の第1のセパレータ102と第2のセパレータ103で仕切られて、膨張室104、共鳴室105、膨張室106が設けられている。膨張室104と共鳴室105を仕切る第2のセパレータ103には図示省略する多数の小孔が全面に亘って形成されている。
【0035】
マフラー100は、エンジンの排気管と連通して筐体101に排気を導入する排気導入管107と、筐体101から排気を導出する排気導出管108を備える。排気導入管107は、膨張室106側の外壁から膨張室106を横切るようにして第1のセパレータ102を貫通するように設けられ、膨張室104が排気導入管107の排出口になっている。排気導出管108は、共鳴室105側の外壁を排出口とし、共鳴室105、膨張室104を横切るようにして第2のセパレータ103、第1のセパレータ102を貫通するように設けられ、膨張室106が排気導出管108の取入口になっている。
【0036】
筐体101内には、略σ字状に屈曲する排気流通管109が設けられており、排気流通管109は、排気導入管107、排気導出管108よりも小径で形成されている。排気流通管109は取入口を膨張室104で開口し、第2のセパレータ103を導入側と導出側の2カ所で貫通して共鳴室105を略弧状に横切るように配置され、更に、膨張室104を横切って第1のセパレータ102を貫通して配置され、膨張室106内で折り返すように湾曲して排出口が排気導出管108の入口近傍に配置されている。
【0037】
排気バルブ1は、第1のセパレータ102の膨張室106側に設けられ、第1のセパレータ102の排気路となる開口に対応する位置に開口を閉塞するようにして配置されている。排気バルブ1は、略平板リング形状の弁座基板21を第1のセパレータ102の開口の周縁に対応させて配置され、弁座基板21の溶接用領域241、242においてスポット溶接等の溶接部110で溶接され、弁座基板21が第1のセパレータ102の開口の周縁に固着されている。
【0038】
マフラー100では、エンジンの排気の圧力が所定圧未満である場合には、
図6の太線実線矢印で示すように排気が流れ、排気導入管107から膨張室104、膨張室104内の排気流通管109、共鳴室105内の排気流通管109、膨張室104内の排気流通管109、膨張室106内の排気流通管109、排気導出管108の順に排気が流れる。この際、排気バルブ1の弁体3は、コイルスプリング5で閉じる方向に持続的に付勢され、弁体3が閉じた状態が維持され、高い消音効果を発揮する。
【0039】
マフラー100でエンジンの排気の圧力が所定圧以上になった場合には、排気バルブ1の弁体3は、コイルスプリング5の閉じる方向への付勢に抗して排気の圧力で開放され、
図6の太線実線矢印の排気の流れに加えて太線二点鎖線矢印の排気の流れが生ずる。即ち、排気導入管107から膨張室104、開状態の排気バルブ1の排気路、膨張室106、排気流通管109と排気導出管108の間の間隙、排気導出管108の順に流れる排気の流れが付加され、エンジンの排気の背圧が低減される。その後、エンジンの排気の圧力が所定圧未満に下降した際には、弁体3がリング緩衝材6で緩衝されながら閉じてリング緩衝材6或いは弁座基板21に当接する。
【0040】
第1実施形態の排気バルブ1によれば、弁体3の開動作でコイルスプリング5の内径が縮小すると弧状内バネ8の抵抗で弁体3の開動作が抑制されるので、コイルスプリング5の線径や巻き数の調整だけに依拠して弁体3の閉方向への付勢力を試行錯誤的に多大な労力を要して調整する必要が無くなる。例えば弁体3が大きくバタつくサージングを抑制するためにコイルスプリング5の線径や巻き数を調整してバネレートを上げ、コイルスプリング5の巻き線相互の摩擦抵抗を増加させると、弁体3の開度不足になることがあるが、第1実施形態の排気バルブ1ではコイルスプリング5のバネレートを下げて弁体を開きやすくしても、弧状内バネ8の抵抗による弁体3の開動作の抑制でサージングを抑制することができる。従って、想定される排気圧力に応じて弁体3が適切に開閉するように、弁体3の閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができる。
【0041】
また、弁体3にサージングを抑制する錘を取り付ける必要が無く、開閉する弁体3の重量を増加させることもないことから、コイルスプリング5等の排気バルブ1の構成部品或いは排気バルブ1の高度な耐久性を確保することができる。また、高すぎるバネレートの高価なコイルスプリングや、弁体3に取り付ける錘を用いる必要がないことから、排気バルブ1の製造コスト、部品コストを低減することができる。
【0042】
〔第2実施形態の排気バルブ〕
本発明による第2実施形態の排気バルブ1aも、例えば自動車の排気路のマフラーに設置され、エンジンの排気圧力に応じて排気路を開閉するものであり、好適にはマフラーの内部を仕切るセパレータに取り付けて用いられる。排気バルブ1aは、
図8~
図11に示すように、弁座2aと、開閉する弁体3aと、第1実施形態と同様の支軸4と、コイルスプリング5aと、第1実施形態と同様の金属メッシュ材等のリング緩衝材6と、第1実施形態と同様の金属メッシュ材等で形成された筒緩衝材7と、独立部材の断面視弧状で延設された弧状板バネ状の弧状外バネ9aを備える。弁体3aは、弁座2aに対して揺動可能に支軸4を介して支持され、支軸4に外挿されたコイルスプリング5aで閉じる方向に付勢されている。
【0043】
弁座2aは、第1実施形態と同様の構成である、溶接用領域241と溶接用領域242が形成されている弁座基板21、開口22、一対の弁座鉤部23・23を有し、弁座鉤部23は、支軸4の両端部を弁体3側から周方向に抱え込むようにして支軸4に係合され、溶接部41で支軸4に固定されている。
【0044】
弁座2の弁座鉤部23・23間には、弁座鉤部23の立ち上がり部分よりも低い高さで立ち上がり部分と同一角度で立ち上がる起立部25が形成されている。
図8における起立部25の左端と左側の弁座鉤部23との間には、弁座鉤部23の立ち上がり部分よりも高さが低く且つ起立部25よりも高い高さで、起立部25と同一角度で立ち上がる規制壁部26aが形成されている。規制壁部26aは、後述するコイルスプリング5aの他方の腕53aが、弁座鉤部23の根元近傍における弁座鉤部23の立ち上がり部分の背面側に導出して配置された状態を安定して維持するように、弁座鉤部23の背面と共に他方の腕53aを押し返すように当接する。
【0045】
弁体3aは、第1実施形態と同様の構成である、弁体基板31、平縁32、凹部33、弁体巻込部34を有するが、弁体巻込部34の内周面の形状と大きさは、コイルスプリング5aのコイル本体51aの外周に配置された弧状外バネ9aの外周面の形状と大きさに略倣うように形成され、弁体巻込部34の内周面の大きさは弧状外バネ9aの外周面の大きさよりも僅かに大きくなっている。一連で細長に延びる弁体巻込部34は、支軸4に外挿されたコイルスプリング5aを、コイルスプリング5aの全長に亘って周方向に抱え込むようにして設けられる。
【0046】
両側の筒緩衝材7・7は、支軸4とコイルスプリング5aと弧状外バネ9aが弁体巻込部34に内挿された状態で、弁体巻込部34の両端にそれぞれ筒部71・71を内嵌合して固定され、鍔部72は筒部71の内嵌合によって弁体巻込部34の幅方向の端面に当接される。弁体巻込部34は、筒緩衝材7・7に挿通される支軸4に筒緩衝材7・7を介して係合されており、換言すれば弁体巻込部34に嵌合された筒緩衝材7・7は弁体3における支軸4の軸受けとなっている。
【0047】
コイルスプリング5aの巻回されたコイル本体51aは、全長に亘って弁体巻込部34内に配置されて支軸4に外挿されている。コイルスプリング5aの一方の腕52aは、弁体3aの弁体基板31の前面側、図示例では平縁32の前面側に導出して配置され、コイルスプリング5aの他方の腕53aは、弁座鉤部23の根元近傍における弁座鉤部23の立ち上がり部分の背面側と規制壁部26aの背面側に導出して配置されており、コイルスプリング5aの一方の腕52aで弁体3が閉じる方向に付勢され、押圧されている。コイルスプリング5aの一方の腕52aと他方の腕53aは、弁体開動作に従ってコイル本体51aの外径が拡大するように構成され(
図11の太線矢印参照)、又、配置される。
【0048】
弁体3の弁体巻込部34の立ち上がり部分の近傍における弁体基板31の幅方向の一方側には切欠き35aが形成されており、切欠き35aからコイルスプリング5aの他方の腕53aが弁体基板31の背面側に導出されている。コイルスプリング5aの他方の腕53aは、弁座鉤部23の立ち上がり部分と規制壁部26aを背面側から押圧して付勢する。
【0049】
弁体開動作で外径が拡大するコイルスプリング5a、或いはコイルスプリング5aのコイル本体51aには、断面視弧状の弧状外バネ9aが外装されており、弧状外バネ9aはコイル本体51と弁体巻込部34との間に設けられる。弧状外バネ9aは、弁体開動作によるコイルスプリング5の外径の拡大或いはコイル本体51の外径の拡大に抗するようにしてコイルスプリング5aに荷重を付加するようになっている(
図10、
図11参照)。
【0050】
第2実施形態の排気バルブ1aでは、弁体3aの閉状態において、断面視弧状の弧状外バネ9aがコイル本体51aと弁体巻込部34との間に遊挿されており、初期の段階で弧状内バネ9aの弾発力がコイルスプリング5aの外径拡大を抑制しないようにし、弁体3aのスムーズな開動作を確保している。そして、弁体開動作によるコイル本体51aの外径の所定量の拡大で、コイル本体51aが弧状外バネ9aに接触して押圧し始めると、コイル本体51aの外径の拡大に抗するようにして弧状外バネ9aがコイルスプリング5aに荷重を付加する構成になっている。弧状外バネ9aがコイルスプリング5aに確実に荷重を付加する観点からは、弧状外バネ9aの内周の曲率半径をコイル本体51aの外周の半径よりも小さく設定しておくと好適である。
【0051】
尚、弁体3aの閉状態において、コイル本体51aの外周を弧状外バネ9aが押圧する力がコイルスプリング5aが弁体3aを閉じる力よりも必要量以上小さければ、弁体開動作で外径が拡大するコイルスプリング5aのコイル本体51aと弁体巻込部34との間に断面視弧状の弧状外バネ9aを外装すると共に、弁体閉状態におけるコイルスプリング5aのコイル本体51aの外周に弧状外バネ9aが押圧接触する構成とすることも可能である。
【0052】
弧状外バネ9aの周方向の長さは、弁体3aの開状態に対応するコイルスプリング5aの拡大状態で半円弧以上の長さに設定すると好適であり、弁体3aの開状態に対応するコイルスプリング5aの拡大状態で半円弧以上の長さで且つコイルスプリング5aの一方の腕52aに接触しない長さに設定するとより好適である。これにより、弧状外バネ9aをコイルスプリング5aに広範囲に接触させ、弧状外バネ9aの抵抗をより確実にコイルスプリング5aに伝達することができると共に、コイルスプリング5aの一方の腕52aとの接触で弁体開動作が妨げられることを防止することができる。第2実施形態の排気バルブ1aも、例えば
図6及び
図7に示すマフラー100のセパレータ102に取り付けて用いると好適である。
【0053】
第2実施形態の排気バルブ1aによれば、弁体3aの開動作でコイルスプリング5aの外径が拡大すると弧状外バネ9aの抵抗で弁体3aの開動作が抑制されるので、コイルスプリング5aの線径や巻き数の調整だけに依拠して弁体3aの閉方向への付勢力を試行錯誤的に多大な労力を要して調整する必要が無くなる。例えば弁体3aが大きくバタつくサージングを抑制するためにコイルスプリング5aの線径や巻き数を調整してバネレートを上げ、コイルスプリング5aの巻き線相互の摩擦抵抗を増加させると、弁体3aの開度不足になることがあるが、第2実施形態の排気バルブ1aではコイルスプリング5aのバネレートを下げて弁体3aを開きやすくしても、弧状外バネ9aの抵抗による弁体3aの開動作の抑制でサージングを抑制することができる。従って、想定される排気圧力に応じて弁体3aが適切に開閉するように、弁体3aの閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができる。また、第2実施形態でも、第1実施形態と対応する構成から対応する効果を得ることができる。
【0054】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、各実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0055】
例えば、上記第1、第2実施形態の排気バルブ1、1aでは、略平板リング状のリング緩衝材6を弁座基板21に固着する構成としたが、弁体基板31の平縁32の弁座2側に略平板リング状のリング緩衝材6を固着する構成としてもよい。また、排気バルブ1、1aの弁座基板21をマフラー100のセパレータの開口の周縁に固着する固着の構成は、上記溶接用領域241、242の溶接部110での溶接以外にも、本発明の趣旨の範囲内で適宜の固着構成を用いることが可能である。
【0056】
また、本発明の排気バルブは、自動車用マフラーの内部を仕切るセパレータに取り付けられる排気バルブとすると好適であるが、例えば自動車用マフラーに設置される排気管の端部に取り付けることも可能であり、適用可能な範囲で自動車の排気路の適宜箇所に設置することが可能であり、更には、適用可能な範囲で自動車以外の排気路の適宜箇所に設置することも可能である。
【0057】
また、上記第2実施形態の排気バルブ1aの変形例として、独立部材の断面視弧状で延設された弧状板バネ状の弧状外バネ9aを設ける構成に代え、
図12に示すように、コイルスプリング5aの全長に亘って周方向に抱え込むように設けられる弁体巻込部341aを、弁体開動作によるコイルスプリング5aの外径の拡大に抗するようにしてコイルスプリング5aに荷重を付加する弧状外バネとして設けても良好である。弁体巻込部341aを弧状外バネとすることにより、別体の独立部材の弧状外バネを用いる必要を無くし、部品点数を減らして製造コストを低減することができる。
【0058】
弁体巻込部341aの内周面の形状と大きさは、コイルスプリング5aのコイル本体51aの外周面の形状と大きさに略倣うように形成されている。弁体巻込部341aの内周面の大きさはコイル本体51aの外周面の大きさよりも僅かに大きくなっており、弁体開動作に伴うコイル本体51aの外径拡大時に弁体巻込部341aが当接する大きさで形成され、弧状外バネに相当する弁体巻込部341aの抵抗で弁体3aの開動作を抑制してサージングを抑制可能になっている。
【0059】
一連で細長に延びる弁体巻込部341aは、支軸4に外挿されたコイルスプリング5aをコイルスプリング5aの全長に亘って周方向に抱え込むようにして設けられ、好適にはコイル本体51aの長手方向の長さよりも長く形成され、確実にコイルスプリング5aの全長に亘って周方向に抱え込むように設定される。これにより、コイル本体51aの外径の拡大に抗するようにしてコイルスプリング5aに荷重を付加する弁体巻込部341aをコイル本体51aの全長に亘って確実に設け、コイル本体51aの外径の拡大に抗する荷重が付加されないコイル本体51aの部分を無くし、確実且つ安定したサージングの抑制が可能となる。
【0060】
弁体巻込部341aの周方向の長さは、弁体3aの開状態に対応するコイルスプリング5aの拡大状態で半円弧以上の長さに設定すると好適であり、弁体3aの開状態に対応するコイルスプリング5aの拡大状態で半円弧以上の長さで且つコイルスプリング5aの一方の腕52aに接触しない長さに設定するとより好適である。これにより、弁体巻込部341aをコイルスプリング5aに広範囲に接触させ、弁体巻込部341aの抵抗をより確実にコイルスプリング5aに伝達することができると共に、コイルスプリング5aの一方の腕52aとの接触で弁体開動作が妨げられることを防止することができる。
【符号の説明】
【0061】
1、1a…排気バルブ 2、2a…弁座 21…弁座基板 22…開口 23…弁座鉤部 24…溶接用領域 25…起立部 26a…規制壁部 3、3a…弁体 31…弁体基板 32…平縁 33…凹部 34、341a…弁体巻込部 35、35a…切欠き 4…支軸 41…溶接部 5、5a…コイルスプリング 51、51a…コイル本体 52、52a…一方の腕 53、53a…他方の腕 6…リング緩衝材 7…筒緩衝材 71…筒部 72…鍔部 8…弧状内バネ 9a…弧状外バネ 100…マフラー 101…筐体 102…第1のセパレータ 103…第2のセパレータ 104…膨張室 105…共鳴室 106…膨張室 107…排気導入管 108…排気導出管 109…排気流通管 110…溶接部
【要約】
【課題】弁体の閉方向への付勢力を適度な範囲に簡単且つ確実に調整、設定することができると共に、高度な耐久性を確保することができる排気バルブを提供する。
【解決手段】排気圧力に応じて排気路を弁体3で開閉する排気バルブ1であり、開口22を有する弁座2に対して弁体3が揺動可能に支軸4を介して支持され、支軸4に外挿されたコイルスプリング5で弁体3が閉じる方向に付勢され、弁体開動作で内径が縮小するコイルスプリング5に断面視弧状の弧状内バネ8が内挿され、弁体開動作によるコイルスプリング5の内径の縮小に抗するようにして弧状内バネ8がコイルスプリング5に荷重を付加する。
【選択図】
図4