(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】インビトロ診断用自動分析装置の駆動装置
(51)【国際特許分類】
B65G 49/00 20060101AFI20241218BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B65G49/00 Z
G01N35/04 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020140648
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-06-22
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515124543
【氏名又は名称】アルテイオン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルソー アラン
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-251793(JP,A)
【文献】特表2005-516219(JP,A)
【文献】特開2015-028492(JP,A)
【文献】特開平02-105062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 49/00 - 49/08
G01N 35/00 - 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビトロ診断用自動分析装置(2)の駆動装置(17)であって、
前記駆動装置(17)は、
案内トラック(19)を定義する案内要素(18)であって、前記案内トラック(19)に沿って並進する帯状キュベット(3)を受けて案内するように構成された案内要素(18)と、
前記帯状キュベット(3)が前記案内要素(18)内に受けられるときに、前記案内トラック(19)に沿って並進するように前記帯状キュベット(3)を変位させるように構成された駆動ベルト(23)とを含み、
前記駆動ベルト(23)は、前記案内トラック(19)の下に配置され、前記帯状キュベット(3)が前記案内要素(18)内に受けられるときに前記帯状キュベット(3)のキュベット(4)の下側部分(6.2)と協働するように構成されて
おり、
前記案内トラック(19)の上方に配置され、前記帯状キュベット(3)が前記案内要素(18)内に収容されたときに前記帯状キュベット(3)の上面が当接するようになっている、少なくとも1つの上側停止面(31)を含み、
前記案内トラック(19)の下に配置され、前記駆動ベルト(23)のベルト部分(33)に対して支持力(F)を及ぼすように構成された支持装置(32)を含み、
前記帯状キュベット(3)が前記案内要素(18)内に収容されると、前記ベルト部分(33)に対向して配置された前記キュベット(4)が前記ベルト部分(33)によって前記少なくとも1つの上側停止面(31)に対して押圧される
ことを特徴とする駆動装置(17)。
【請求項2】
請求項1に記載の駆動装置(17)において、
前記駆動ベルト(23)は、該駆動ベルト(23)に沿って離間されている複数の外側ノッチ(25)を含む外側ノッチ部を含み、
各外側ノッチ(25)は、前記帯状キュベット(3)が前記案内要素(18)内に受け入れられたときに、前記帯状キュベット(3)の2つの隣接するキュベット(4)の下側部分(6.2)間に延在するように構成される
ことを特徴とする駆動装置(17)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の駆動装置(17)において、
前記駆動ベルト(23)を支持するように構成された2つの回転支持部材(26)を含み、前記2つの回転支持部材(26)は、実質的に水平に延びる回転軸を有する
ことを特徴とする駆動装置(17)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の駆動装置(17)において、
前記案内要素(18)は、前記案内トラック(19)に現れ、前記駆動ベルト(23)の上部ストランド(23.2)がそれを通って延びる下側開口部(24)を含む
ことを特徴とする駆動装置(17)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の駆動装置(17)において、
前記案内要素(18)に固定され、前記案内トラック(19)を少なくとも部分的に覆うカバー要素(27)を含む
ことを特徴とする駆動装置(17)。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1つに記載の駆動装置(17)と、
前記案内要素(18)内に収容された帯状キュベット(3)と、
前記案内トラック(19)に沿って配置された測定ステーション(35)とを含む
ことを特徴とするインビトロ診断用の自動分析装置(2)。
【請求項7】
請求項
6に記載の自動分析装置(2)において、
前記帯状キュベット(3)は、複数のキュベット(4)を含み、
各キュベット(4)は、分析されるべき生物学的流体を収容するように構成された容器(6)を含み、
前記容器(6)は、凹面であり、その凹面が上向きである軌道(9)を画定する上側開口部(7)及び底部(8)を含み、
前記軌道(9)は、強磁性ビーズ(11)の振動運動を案内するように意図されている
ことを特徴とする自動分析装置(2)。
【請求項8】
請求項
7に記載の自動分析装置(2)において、
前記測定ステーション(35)は
、少なくとも1つの測定ユニット(36)に配置された前記帯状キュベット(3)のキュベット(4)に収容された血液サンプルの凝固時間を決定するように構成された少なくとも1つの測定ユニット(36)を含み、
前記少なくとも1つの測定ユニット(36)は、
前記少なくとも1つの測定ユニット(36)に位置する前記キュベット(4)内に受け入れられ、かつ振動的な動きにしたがって、強磁性ビーズ(11)を変位させるように構成された磁界発生システム(37)と、
前記少なくとも1つの測定ユニット(36)に配置された前記キュベット(4)に含まれる血液試料の方向に、前記軌道(9)に沿った前記強磁性ビーズ(11)の少なくとも1つの部分によって少なくとも部分的に隠蔽されるように構成され、入射光ビーム(39)を放射するように構成された発光装置(38)と、
前記少なくとも1つの測定ユニット(36)に配置され、前記入射光ビーム(39)から導出される前記キュベット(4)を介して少なくとも1つの光ビームを検出するように構成された検出要素(49)と含む
ことを特徴とする自動分析装置(2)。
【請求項9】
請求項
8に記載の自動分析装置(2)において、
前記発光装置(38)及び前記検出要素(49)は、前記案内トラック(18)の両側に配置されている
ことを特徴とする自動分析装置(2)。
【請求項10】
請求項
8又は
9に記載の自動分析装置(2)において、
前記発光装置(38)は、
波長の異なる光ビームを出射するように構成された複数の光源(S1,S2,S3)と、
前記光源(S1,S2,S3)を起源とする波長の異なる光ビームを混在させて多色光ビームを形成するように構成された波長多重化装置(41)とを備える
ことを特徴とする自動分析装置(2)。
【請求項11】
請求項1
0に記載の自動分析装置(2)において、
各光源(S1,S2,S3)は、
それぞれの発光ダイオードの前に配置された発光ダイオード(42.1,42.2,42.3)と、
スペクトル選択フィルタ(43.1,43.2,43.3)とを含む
自動分析装置(2)。
【請求項12】
請求項1
0又は1
1に記載の自動分析装置(2)において、
前記波長多重化装置(41)が、光学キャビティ(45)を含み、
前記光学キャビティ(45)は、
前記光源(S1,S2,S3)の近接に位置し、第1断面(SC1)を有する第1キャビティ部(45.1)と、
前記第1キャビティ部(45.1)の連続して位置し、前記第1断面(SC1)よりも小さい第2断面(SC2)を有する第2キャビティ部(45.2)とを有する
ことを特徴とする自動分析装置(2)。
【請求項13】
請求項1
2に記載の自動分析装置(2)において、
前記第2キャビティ部(45.2)は、円筒状である
ことを特徴とする自動分析装置(2)。
【請求項14】
請求項1
0~1
3のいずれか1つに記載の自動分析装置(2)において、
前記発光装置(38)は、前記案内トラック(18)内に位置する集束ポイント(P)上に前記多色光ビームを集束するように構成された集束レンズ(48)を更に含む
ことを特徴とする自動分析装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビトロ診断用自動分析装置のための駆動装置、及びそれを含むインビトロ診断のための自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、特に以下を含む、インビトロ診断(体外診断)のための自動分析装置を開示している。
【0003】
フィルムによって一緒に固定された複数のキュベットを含む帯状キュベットであって、各キュベットは、分析される生体流体を収容するように構成された容器を備え、前記容器は、凹面が上方に向けられた凹面軌道を描く上側開口及び底部を備え、前記軌道は、強磁性ビーズの振動運動を案内するように意図され、各キュベットは、それぞれの上側開口から伸び、それぞれのキュベットの外側に突出する2つの側方フランジを更に含み、案内トラックを画定し、かつ前記案内トラックに沿って並進して前記帯状キュベットを受け入れ、案内するように構成された案内要素と、前記案内トラックに沿って並進して前記帯状キュベットを変位させるように構成された駆動ベルトと、前記案内トラックに沿って配置された測定ステーションとを含む。
【0004】
より詳細には、駆動ベルトは、駆動ベルトに沿って離間された複数の外側ノッチを含む外側ノッチ部を含み、各外側ノッチは、キュベットの横方向フランジ上に設けられ、ラックを形成する形状と噛み合うように構成されている。
【0005】
このような自動分析装置は、コンパクトであり、複数のキュベットを同時に変位させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それにもかかわらず、キュベットは、その上部のレベルで案内され、平行移動で駆動されるので、測定が行われるキュベット下部の位置決めは、不確定であり、これは、測定条件の適切な複製可能性を導くものではない。
【0008】
更に、キュベットは、基準位置に対して正確な方法で垂直に案内されず、これも測定条件の複製可能性に影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
更に、キュベットは、分析されるべき生物学的流体又は試薬をキュベットに供給するために、キュベットのうちの1つへのサンプリング針の導入が、隣接するキュベットにおける振動、したがって、これらの隣接するキュベットに受容されるビーズの移動の不安定性を引き起こすことがあり、これが、完了した測定の信頼性に影響を及ぼし得るように、案内要素において完全な方法で機械的に安定化されない。
【0010】
したがって、本発明の基礎となる技術的課題は、単純で経済的な構造を有する駆動装置を提供することと、そのような駆動装置を備えた自動分析装置で実施される測定の信頼性を大幅に向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、インビトロ診断(体外診断)のための自動分析装置のための駆動装置に関し、この駆動装置は、
案内トラックを画定する案内要素であって、例えば、直線状であってもよい案内要素は、前記案内要素が、前記案内トラックに沿って並進して帯状キュベットを受け入れかつ案内するように構成されている案内要素と、前記案内要素において帯状キュベットが受け入れられたときに、前記案内トラックに沿って並進して前記帯状キュベットを変位させるように構成された駆動ベルトとを備えており、前記駆動ベルトは、前記案内要素において、前記案内トラックの下方に配置され、前記帯状キュベットが受け入れられたときに、前記帯状キュベットのキュベットの下部と協働するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
したがって、駆動ベルトは、帯状キュベットが案内要素内に受け入れられたときに、帯状キュベットの下方に位置するように構成される。
【0013】
このような駆動ベルトとキュベットの下部との協働により、測定ステーションにおけるキュベットの下部の正確な位置決めを確実にすることができ、したがって、本発明による駆動装置を備えた自動分析装置によって実施される測定の信頼性を向上させることができる。
【0014】
駆動装置は、更に、別々に、又は組み合わせて考慮される、以下の特徴のうちの1つ以上を有してもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、駆動ベルトは、重ね合わされた下部ストランド及び上部ストランドを含む。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、駆動ベルトは、駆動ベルトに沿って離間されている複数の外側ノッチを備える外側ノッチ部を含み、各外側ノッチは、帯状キュベットが案内要素内に受け入れられたときに、帯状キュベットの2つの隣接するキュベットの下側部分の間を延びるように構成されている。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、各外側ノッチは、帯状キュベットが案内要素内に受容されるときに、帯状キュベットの2つの隣接するキュベットの下部と協働するように構成される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、隣接する外側ノッチの各対間のピッチは、帯状キュベットの隣接するキュベットの各対間のピッチに実質的に等しい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、隣接する外側ノッチの各対間の距離は、帯状キュベットのキュベットの幅に実質的に等しい。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、駆動装置は、特に、本発明に係る駆動装置を装備した自動解析装置が平面的かつ水平な支持体上に配置された場合に、駆動ベルトを支持するように構成された2つの回転支持部材を含み、この2つの回転支持部材は、実質的に水平に延びる回転軸を有する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、回転支持部材の一方は駆動輪であり、回転支持部材の他方は従動輪である。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、駆動ベルトは、駆動ベルトに沿って離間された複数の内部ノッチを含む内部ノッチ部を含み、該内部ノッチは、回転支持部材の少なくとも1つ、例えば駆動輪上に設けられた歯と噛み合うように構成されている。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、案内要素は、案内トラック内に出現し、駆動ベルトの上部ストランドが延在する下側開口を含む。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、駆動装置は、案内要素に固定され、案内トラックを少なくとも部分的に覆うカバー要素を含む。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、駆動装置は、案内トラックの上方に位置し、帯状キュベットが案内要素内に受け入れられるときに帯状キュベットの上面が当接するようになっている少なくとも1つの上側停止面を含む。
【0026】
駆動装置のこのような構成は、駆動ベルトと少なくとも1つの上側停止面との間に帯状キュベットを挟むことによってキュベットの垂直方向の機械的クリアランスを減少させることを可能にし、これによって、特に測定ステーションでのキュベットの垂直方向の位置決めが改善され、したがって、測定ステーションによって実行される測定の信頼性が向上する。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの停止面は、カバー要素上に設けられる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、被覆要素は、少なくとも1つの上側停止面を含む少なくとも1つの停止リブを備える。被覆要素は、実質的に平行であり、それぞれが上側停止面を含む2つの停止リブを備えると有利である。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、駆動装置は、案内トラックの下方に位置し、かつ駆動ベルトのベルト部分に対して支持力を及ぼすように構成された支持装置を含み、これにより、帯状キュベットが案内要素内に受け入れられたとき、ベルト部分に対向して位置するキュベットが、ベルト部分によって少なくとも1つの上側停止面に押し付けられる。
【0030】
駆動装置のこのような構成は、キュベットを互いに機械的に切り離し、案内要素内、特に測定ステーションにおいてキュベットを機械的に安定化させることを可能にし、その結果、分析されるべき生物学的流体又は試薬をキュベットに供給するために、キュベットのうちの1つへのサンプリング針の導入は、隣接するキュベットにおいて振動を引き起こす可能性がなく、したがって、隣接するキュベットにおいて実行される測定の信頼性に影響を及ぼさない。
【0031】
更に、駆動装置のこのような構成は、案内トラックにおけるキュベットの変位の間、特に測定ステーションにおいて、少なくとも1つの上側停止面に対してキュベットを突き当て部に保持することを可能にする。これにより、キュベットの下部の位置決めが改善され、したがって、完了した測定の信頼性が向上する。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、支持装置は、駆動ベルトの上部ストランドに対して支持力を発揮するように構成される。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、支持力は、案内トラックに対して横方向に、例えば垂直に向けられる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、案内要素は、U字形の断面を有する。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、案内要素は、実質的に鉛直であり、案内トラックを横方向に区切る2つの横方向案内壁を含む。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、案内要素は、それぞれの横方向案内壁に沿って延在する2つの上部案内面を含む。
【0037】
本発明は、更に、本発明による駆動装置と、案内要素内に受け入れられた帯状キュベットと、案内トラックに沿って配置された測定ステーションとを含む、インビトロ診断用の自動分析装置に関する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、帯状キュベットは、複数のキュベットを含み、各キュベットは、分析されるべき生物学的流体(例えば、血液サンプル)を収容するように構成された容器を含み、容器は、上側開口部と、凹面であり、その凹面が上向きである軌道を画定する底部とを含み、軌道は、強磁性ビーズの振動運動を案内するように意図されている。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、各キュベットは、光ビームに対して透過性のあるプラスチック材料で作られる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、各キュベットは、上側開口部から延在し、キュベットの外側に突出する2つの横方向フランジを含む。各キュベットの各横方向フランジは、それぞれの容器に対向して延在する、例えば円筒形の突出部を含むと有利である。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、帯状キュベットのキュベットは、フィルムによって互いに固定される。フィルムは、帯状キュベットのキュベットの上側開口部を少なくとも部分的に覆うと有利である。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、帯状キュベットのフィルムは、フィルムの第1長手方向縁部に沿って形成された第1の一連の孔と、フィルムの第2長手方向縁部に沿って形成された第2の一連孔とを含み、各キュベットの突出部は、それぞれ、第1の一連の孔の1つの孔に嵌め込まれ、第2の一連孔の1つの孔に嵌め込まれる。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、フィルムは、各々がそれぞれのキュベットの上側開口に現れる複数の通過孔を含む。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、各キュベットは、取り外し可能な方法でフィルムに固定される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、帯状キュベットのキュベットの横方向フランジは、案内要素上、例えば、案内要素の2つの上側案内面上に載置されることが意図されている。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、支持装置は、測定ステーションに配置される。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、カバー要素は、帯状キュベットが案内要素内に受け入れられるときに、キュベットの上側開口部に対向して配置されるように構成された複数の通路開口部を含む。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、測定ステーションは、帯状キュベットのキュベットに含まれる分析されるべき生物学的流体の物理的状態の変更のための時間を決定するように構成される。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、測定ステーションは、少なくとも1つの測定ユニットに配置された帯状キュベットのキュベットに収容された血液サンプルの凝固時間を決定するように構成された少なくとも1つの測定ユニットを含み、少なくとも1つの測定ユニットは、
強磁性ビーズを変位させるように構成され、前記少なくとも1つの測定ユニットに位置する前記キュベット内に受け取られ、前記軌道に沿って振動運動にしたがって、入射光ビームを前記少なくとも1つの測定ユニットに位置する前記キュベット内に収容される前記血液サンプルの方向に放射するように構成される放射装置であって、前記入射光ビームは、前記軌道に沿って前記強磁性ビーズの前記移動の少なくとも1つの部分にわたって前記強磁性ビーズによって少なくとも部分的に隠されるように構成される放射装置と、前記少なくとも1つの測定ユニットに位置する前記キュベットを透過し、前記入射光ビームから導出される少なくとも1つの光ビームを検出し、測定信号を出力するように構成される検出要素と、を備える。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、磁界発生システムは、案内トラックの両側に配置された2つの電磁石を含む。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、磁界発生システムは、実施されるべき試験にしたがって、2つの電磁石に印加される電流パルスの持続時間を設定するように構成される設定ユニットを含む。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、発光装置及び検出要素は、案内トラックの両側に配置され、したがって、帯状キュベットが案内要素内に受容されるとき、帯状キュベットの両側に配置されるように構成される。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、発光装置及び検出要素は、少なくとも1つの測定ユニットに配置された帯状キュベットのキュベットの軌道の軸に実質的に配置される。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、検出要素は、実質的に入射光ビームの光軸内に配置される。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、発光装置は、異なる波長を有する光ビームを発光するように構成された複数の光源と、光源から発生する異なる波長を有する光ビームを混合して多色光ビームを形成するように構成され、それにより、発光装置によって発光される入射光ビームが多色性であるように構成された波長多重化装置とを含む。これらの構成により、小径のハイパワー入射光ビームを得ることができる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、波長多重化装置は、光源から生じる波長の異なる光ビームを収集するように構成される。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、光源は、実質的に横軸を有する。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、光源は、異なる波長の単色光ビームを放射するように構成される。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、各光源は、それぞれの発光ダイオードの前に配置された発光ダイオードとスペクトル選択フィルタとを含む。各光源に発光ダイオードを使用することにより、実施される測定に応じて、簡単な制御電子により、低減されたバルク内で高出力の光ビームを得ることができ、また、波長を容易に選択することができる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、スペクトル選択フィルタは、実質的に同一平面上にある。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、光源は、入射光ビームの光軸に対して横切るシフト方向にしたがって互いに対してシフトされる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、発光ダイオードは、互いに対して垂直方向にシフトされる。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、波長多重化装置は、光源の近傍に位置し、第1断面を有する第1キャビティ部分と、第1キャビティ部分の継続に位置し、第1断面よりも小さい第2断面を有する第2キャビティ部分とを含む光学キャビティを含む。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、第1キャビティ部分及び第2キャビティ部分は、同軸に配置される。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、第2キャビティ部分の第2断面は円形である。
本発明の一実施形態によれば、第2キャビティ部分の第2断面は、2mm~4mmの間に含まれる直径を有する。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、第2キャビティ部分は円筒形である。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、第1キャビティ部分の第1断面は長円形である。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、第1キャビティ部の第1断面は、光学キャビティの光軸に沿って一定である。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、光学キャビティは、40~70mmの長さを有する。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、光学キャビティは、第2断面よりも小さい断面を有する通路オリフィスを含む分離壁によって第2キャビティ部分から分離された第3キャビティ部分を含む。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、第3キャビティ部分及び第2キャビティ部分は、同軸に配置される。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、通過オリフィスは、光学キャビティの光軸上に中心が置かれる。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、発光装置は、案内トラック内に位置する焦点上に、少なくとも1つの測定ユニットに位置する帯状キュベットのキュベットの下側部分内に多色光ビームを集束させるように構成された、両凸集束レンズなどの集束レンズを更に含むと有利である。多色光ビームが集束される焦点は、少なくとも1つの測定ユニット、例えばそれぞれの強磁性ビーズの部分に位置するキュベットの下部のほぼ中央に位置すると有利である。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、発光装置は、案内トラック内に延在する入射光ビームの部分が、集束ポイントの両側で実質的に対称となるように構成される。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、集束レンズは、波長多重化装置の出力口に位置している。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、集束レンズは、波長多重化装置から発生する多色光ビームを平行光化(コリメート)するように構成される。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、集束レンズは、集束レンズの焦点距離に実質的に対応する波長多重化装置から離れた位置に配置される。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、集束レンズの焦点距離と、波長多重化装置と集束レンズとの間の距離との比は、0.8~1.2の間、及び例えば0.8~1の間で構成される。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、発光装置は、光源から生じた各光ビームが、対応する光源から平行光化レンズに至るまで自由空間を伝搬するように構成される。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、発光ダイオードは、支持部材に固定される。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、検出要素は、フォトダイオードなどの光検出器である。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの測定ユニットは、測光測定、分光測光測定、及び/又は蛍光測定を実行するように構成される。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの測定ユニットは、測光測定を実行するように、特に、分析される試料中のD二量体(D-ダイマ)又はCRP(C-リアクディブ・プロテイン)内容物を測定するように構成される。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、測定ステーションは、案内トラックに沿ってシフトされた複数の測定ユニットを含む。測定ユニットは同一であると有利である。
【0085】
いずれにしても、本発明は、非限定的な例として、インビトロ診断のためのこの自動分析装置の実施形態を表す添付の概略図を参照して、以下の説明を使用して、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】本発明に係る自動解析装置の上方から見た斜視図である。
【
図5】
図1の自動分析装置の一部を切り取った部分斜視図である。
【
図8】
図1の自動分析装置の一部を切り取った部分斜視図である。
【
図9】
図1の自動分析装置の帯状キュベットの部分的に切り取られた部分斜視図である。
【
図10】
図9の帯状キュベットの1つのキュベットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1~
図10は、インビトロ診断のための、より詳細には血液検査を実施するための自動分析装置2を示す。
【0088】
自動分析装置2は、フィルム5によって互いに固定された一連のキュベット4を含む帯状キュベット3(特に
図9参照)を含む。例えば、各キュベット4は、取り外し可能な方法でフィルム5に固定されてもよい。
【0089】
各キュベット4は、光ビームに対して透過性のあるプラスチック材料の成形によって作製され、血液サンプルなどの分析されるべき生物学的流体を収容するように構成された容器6を備えると有利である。各キュベット4の容器6は、略平行六面体形状を有する。
【0090】
各キュベット4の容器6は、上側開口部7を含む上側部分6.1と、凹面が上向きである凹状軌道9を画定する底部8を含む下側部分6.2とを備える。各容器6の軌道9は、強磁性ビーズ11の振動運動を案内するものであり、実質的にその中心にその最下点を有する。
【0091】
各キュベット4は、それぞれの上側開口部7から延び、キュベット4の外側に突出する2つの横方向フランジ12を更に含む。各キュベット4の各横方向フランジ12は、それぞれの容器6の反対側に延在する、例えば円筒形の突出部13を含むと有利である。
【0092】
図に表される実施形態によれば、フィルム5は可撓性であり、フィルム5の第1長手方向縁部に沿って形成された第1の一連の孔14と、フィルム5の第2長手方向縁部に沿って形成された第2の一連孔15とを含む。各キュベット4の突出部13は、第1の一連の孔の孔14と第2の一連孔の孔15とにそれぞれ強制的に嵌合される。
【0093】
フィルム5は、キュベット4の上側開口部7を部分的に覆い、それぞれのキュベット4の上側開口部7にそれぞれ現れる複数の通過孔16を含むと有利である。
【0094】
自動分析装置2は、案内トラック19を画定し、案内トラック19に沿って並進運動する帯状キュベット3を受けて案内するように構成された案内要素18を含む駆動装置17を更に備える。案内トラック19は直線状であると有利である。
【0095】
案内要素18は、U字形の断面を有し、実質的に垂直で案内トラック19を横方向に区切る2つの横方向案内壁21を含む。案内要素18は、更に、それぞれの横方向案内壁21に沿って延在する2つの上部案内面22を含む。より詳細には、帯状キュベット3のキュベット4の横方向フランジ12は、帯状キュベット3が案内要素18内に受け入れられたときに、案内要素18の2つの上部案内面22上に載置されることを意図している。
【0096】
更に、駆動装置17は、案内トラック19の下方に配置され、したがって、帯状キュベット3が案内要素18に受け入れられたときに帯状キュベット3の下方に位置するように構成された駆動ベルト23を含む。駆動ベルト23は、エンドレスベルトであり、より詳細には、重ね合わされた下部ストランド23.1及び上部ストランド23.2を含む。案内要素18は、案内トラック19内に出現し、駆動ベルト23の上部ストランド23.2がそれを通って延在する下側開口部24を含むと有利である。下側開口部24は、案内トラック19の延伸方向に応じて延設されている。
【0097】
駆動ベルト23は、帯状キュベット3が案内要素18に受け入れられたときに、案内トラック19に沿って帯状キュベット3を並進して変位させるように構成されている。このために、駆動ベルト23は、駆動ベルト23に沿って離間された複数の外側ノッチ25を含む外側ノッチ部を含む。例えば、各外側ノッチ25は、ほぼ三角形の断面を有していてもよい。
【0098】
各外側ノッチ25は、帯状キュベット3が案内要素18内に受け入れられたときに、帯状キュベット3の2つの隣接するキュベット4の下側部分6.2の間を延び、これと協働するように構成される。隣接する外側ノッチ25の各対間のピッチは、帯状キュベット3の隣接するキュベット4の各対間のピッチに実質的に等しいと有利である。したがって、隣接する外側ノッチ25の各対間の距離は、帯状キュベット3のキュベット4の幅と実質的に等しい。
【0099】
駆動装置17は、駆動ベルト23を支持するように構成された2つの回転支持部材26も含む。2つの回転支持部材26は、自動分析装置が平面状で水平な支持体上に配置されたときに実質的に水平に延びる回転軸を有する。回転支持部材26の一方は駆動輪であり、回転支持部材26の他方は従動輪であると有利である。例えば、駆動輪は、ステッピングモータのような駆動モータによって回転駆動される。更に、回転支持部材26の各々には、駆動ベルト23に設けられた内部ノッチ部と協働するように構成された歯を設けてもよい。
【0100】
駆動装置17は更に、案内要素18に締結され、案内トラック19の実質的に全長にわたって案内トラック19を覆うカバー要素27を含む。
【0101】
カバー要素27は、帯状キュベット3が案内要素18に受け入れられたときに、キュベット4の上側開口部7に対向して位置するように構成された複数の通路開口部28を含む。各通路開口部28は、以下により詳細に説明されるサンプリング針の通過のために作成される。
【0102】
また、カバー要素27は、案内要素18に向かって回転するその内面上に、平行で案内トラック19の上方に位置する2つのストップリブ29を含む。より詳細には、各ストップリブ29は、帯状キュベット3が案内要素18内に受け入れられるときに、帯状キュベット3の上面が当接するようになっている上側停止面31を含む。
【0103】
更に、駆動装置17は、案内トラック18の下方、より詳細には駆動ベルト23の下部ストランド23.1,23.2の間に位置する支持装置32を含む。支持装置32は、駆動ベルト23の上部ストランド23.2のベルト部分33に対して支持力Fを作用させるように構成されており、帯状キュベット3が案内要素18に受け入れられたとき、ベルト部に対向して位置するキュベット4が、ベルト部によってストップリブ29に設けられた上側停止面31に押し付けられるようになっている。
【0104】
より詳細には、支持装置32は、駆動ベルト23の上部ストランド23.2に対して加えられる支持力Fが、案内トラック18に対して横断方向、例えば垂直方向に向けられるように構成される。支持力Fは、実質的に垂直に向けられると有利である。
【0105】
例えば、支持装置32は、実質的に垂直である変位の方向にしたがって移動可能に取り付けられた支持パッド34と、変位の方向にしたがって支持パッド34を垂直に変位させるように構成された駆動部材(図には示されていない)とを含むことができる。本発明の一実施形態によれば、支持装置32は、更に、例えば弾性変形可能な減衰クッション34.1を含んでもよく、この減衰クッションは、支持パッド34と駆動ベルト23の上部ストランド23.2との間に配置される。
【0106】
自動分析装置2はまた、案内トラック19に沿って配置された測定ステーション35を備える。支持装置32及び通路開口部28は、測定ステーション35に配置されると有利である。
【0107】
図に表されている実施形態によれば、測定ステーション35は、案内トラック19に沿ってシフトされた幾つかの測定ユニット36と、例えば5つの同一の測定ユニット36とを含んでいる。より詳細には、測定ユニット36の各々は、前記測定ユニット36に配置された帯状キュベット3のキュベット4に収容された血液サンプルの凝固時間を決定するように構成される。更に、各測定ユニットは、吸光度、比色及び/又は濁度測定光学測定を実行するように構成される。特に、各測定ユニット36は、分析される血液サンプル中のD二量体又はCRP内容物を測定するように構成される。したがって、本発明による測定ユニット36は、汎用性がある。
【0108】
各測定ユニット36は、それぞれの測定ユニット36に位置するキュベット4内に受け入れられた強磁性ビーズ11を、軌道9に沿って、振動運動にしたがって変位させるように構成された磁界を発生させるように構成された磁界発生システム37を備える。各測定ユニット36の磁界発生システム37は、同軸上に配置され、案内トラック19の両側に位置する2つの電磁石37.1,37.2を含むと有利である。各磁界発生システム37によって発生される磁界の励起周波数は、強磁性ビーズ11の振動運動の固有周波数に近いと有利である。
【0109】
本発明の一実施形態によれば、各磁界発生システム37は、それぞれの測定ユニット36に配置された帯状キュベット3のキュベット4に収容された血液サンプルに対して実行される試験にしたがって、それぞれの2つの電磁石に印加される電流パルスの持続時間を設定するように構成された設定ユニットを含む。したがって、異なる磁界発生システム37は、互いに独立して制御されてもよく、特に、それぞれの測定ユニット36に位置するキュベット4に含まれる強磁性ビーズ11上にそれぞれの電磁石によって印加される励磁力を設定するように制御されてもよい。これらの配置は、一方では、強磁性ビーズ11の振動周波数を制限することによって、形成する血塊の「破壊」を回避することを可能にし、他方では、フィブリノーゲンのフィブリンへの大量重合の前に、したがって血塊の形成の前に、強磁性ビーズ11の停止(血液サンプルの高粘度のため)を回避することを可能にする。
【0110】
更に、異なる磁界発生システム37のこのような構成は、5つの測定ユニット36上で異なる種類の試験を実行することを可能にし、これは、特に、患者に処方された試験のすべてが迅速に実行されなければならない緊急試験を実行するために重要である。
【0111】
図6に示すように、各測定ユニット36は、それぞれの測定ユニット36に配置されたキュベット4内に収容された血液サンプルの方向に入射光ビーム39を放出するように構成された発光装置38も備える。入射光ビーム39は、少なくとも部分的に強磁性ビーズ11によって隠されるように構成され、それぞれの測定ユニット36に位置するキュベット4に含まれ、軌道9に沿った強磁性ビーズ11の移動の少なくとも1つの部分にわたって、特に強磁性ビーズ11が軌道9の端部に位置する場合に、隠されるように構成される。各測定ユニット36は、キュベット4が前記測定ユニット36に配置され、前記キュベット4に受け入れられた強磁性ビーズ11が前記キュベット4の軌道9の最下点にあるとき、強磁性ビーズ11が入射光ビーム39を隠さないように構成されてもよいと有利である。
【0112】
各測定ユニット36の発光装置38は、波長の異なる単色光ビームを出射するように構成された複数の光源S1,S2,S3と、光源S1,S2,S3から生じる波長の異なる光ビームを混ぜて多色光ビームとするように構成された波長多重化装置41とを有しており、したがって、各発光装置38が出射する入射光ビーム39が多色性となるように構成されている。
【0113】
より詳細に
図6に示されるように、光源S1,S2,S3は、互いに垂直方向にシフトされ、実質的に水平方向に延びる光軸を有する。光源S1,S2,S3が重ね合わされると有利である。
【0114】
第1光源S1は、約405ナノメートルの波長を有する光ビームを放出するように構成され(このような値は、凝固時間測定及び比色測定に特に適している)、第2光源S2は、約540ナノメートルの波長を有する光ビームを放出するように構成され(このような値は、濁度測定に特に適している)、第3光源S3は、約630ナノメートルの波長を有する光ビームを放出するように構成されると有利である。
【0115】
図に表される実施形態によれば、各光源S1,S2,S3は、発光ダイオード42.1,42.2,42.3と、それぞれの発光ダイオード42.1,42.2,42.3の前に配置されたスペクトル選択フィルタ43.1,43.2,43.3とを含む。異なる光源S1,S2,S3のスペクトル選択フィルタ43.1,43.2,43.3は実質的に同一平面上にあり、光源S1,S2,S3は支持部材44に固定されていると有利である。
【0116】
図6に示すように、波長多重化装置41は、光源S1,S2,S3から生じる波長の異なる光ビームを集め、これらの光ビームを異なる波長で混合するように構成された光学キャビティ45を含む。例えば、光学キャビティ45は、40~70mm、45~60mmの長さを有することができると有利である。
【0117】
光学キャビティ45は、光源S1,S2,S3の近傍に位置し、光学キャビティ45の光軸に沿って一定である第1断面SC1を有する第1キャビティ部分45.1と、第1キャビティ部分45.1の継続に位置し、光学キャビティ45の光軸に沿って一定であり、第1断面SC1より小さい第2断面SC2を有する第2キャビティ部分45.2とを含む。第1キャビティ部分45.1及び第2キャビティ部分45.2は、同軸に配置されると有利である。
【0118】
図に示される実施形態によれば、第1キャビティ部分45.1の第1断面SC1は長円形であり、実質的に垂直に向けられ、第2キャビティ部分45.2は円筒形であり、第2断面SC2は円形である。例えば、第2キャビティ部分45.2の第2断面SC2は、2mm~4mmの間に含まれる直径を有することができる。
【0119】
図に示される実施形態によれば、光学キャビティ45は、第2断面SC2よりも小さい断面を有する通路オリフィス47を含む分離壁46によって第2キャビティ部分45.2から分離される第3キャビティ部分45.3を更に含む。第1、第2及び第3キャビティ部分45.1,45.2,45.3及び通路オリフィス47は、同軸に配置されると有利である。
【0120】
例えば、第3キャビティ部分45.3は、光学キャビティ45の光軸に沿って円形で一定である第3断面SC3を有することができる。例えば、第3断面SC3は、第2断面SC2と実質的に同一であってもよいし、それより小さくてもよい。
【0121】
各測定ユニット36の発光装置38は、更に、それぞれの波長多重化装置41の出力に位置する両凸集束レンズのような集束レンズ48を含む。例えば、集束レンズ48は、3mmの直径を有し、4.5mmの焦点距離を有することができる。
【0122】
各発光装置38の集束レンズ48は、それぞれの波長多重化装置41から発生する多色光ビームを平行光化し、多色光ビームを案内トラック19内に位置する集束点P上に集束させるように構成され、好ましくは、それぞれの測定ユニット36に位置するキュベット4の中心に位置すると有利である。多色光ビームが集束される焦点Pは、それぞれの測定ユニット36に位置し、例えばそれぞれの強磁性ビーズ11の部分に位置するキュベット4の下側部分6.2に位置する。
【0123】
特に、各発光装置38は、案内トラック19内に延びる入射光ビーム39の部分が、焦点Pの両側で実質的に対称であるように構成されることが有利であり、入射光ビーム39は、焦点Pで0.5mmよりも小さい直径を有し、それぞれの測定ユニット36に配置されたキュベット4内に含まれる分析されるべき生物学的流体の入力及び出力で2mmよりも小さい直径を有する。
【0124】
集束レンズ48は、集束レンズ48の焦点距離に実質的に対応するそれぞれの波長多重化装置41から離れた位置に配置されると有利である。例えば、集束レンズ48の焦点距離と、それぞれの波長多重化装置41と集束レンズ48との間の距離との比は、0.8~1.2の間、0.8~1の間で構成され得ると有利である。
【0125】
図6に示すように、各測定ユニット36の発光装置38は、光源S1,S2,S3を起源とする各光束が対応する光源から平行光化レンズ48に至るまで自由空間を伝搬するように構成されている。
【0126】
各測定ユニット36は、更に、それぞれの測定ユニット36に位置するキュベット4を透過し、それぞれの発光装置38が発する入射光ビーム39から導かれる少なくとも1つの光ビームを検出し、測定信号を出力するように構成された検出要素49を備える。例えば、検出要素49は、フォトダイオードなどの光検出器であってもよい。
【0127】
検出要素49は、それぞれの発光装置38によって発せられる入射光ビーム39の光軸内に実質的に位置すると有利である。したがって、同じ測定ユニット36の発光装置38及び検出要素49は、案内トラック19の両側に、より詳細には案内要素18の横方向案内壁21の両側に配置される。したがって、同一の測定ユニット36の発光装置38及び検出要素49は、帯状キュベット3が案内要素18に受け入れられたときに、帯状キュベット3の両側に配置されるように構成されている。
【0128】
また、同じ測定ユニット36の発光装置38及び検出要素49は、それぞれの測定ユニット36に位置する帯状キュベット3のキュベット4の軌道9の軸線のほぼ内側に配置されるように構成されている。
【0129】
各測定ユニット36は、次のように構成された処理部51を更に有している。処理部51は、それぞれの測定ユニット36に位置するキュベット4に含まれる強磁性ビーズ11の動きを表す少なくとも1つの物理量の変動を表す信号を提供するように、それぞれの検出要素49によって提供される各測定信号の処理を行い、強磁性ビーズ11の動きを表す少なくとも1つの物理量は、例えば、強磁性ビーズの動きの振幅及び/又は頻度を表すものであり、強磁性ビーズ11の動きを表す少なくとも1つの物理量の変動を表す信号から、それぞれの測定ユニット36に位置するキュベット4に含まれる血液試料の凝固時間の価値を決定するように構成されている。
【0130】
処理ユニット51はまた、それぞれの測定ユニット36に配置されたキュベット4に含まれる分析される血液サンプルの少なくとも1つの光学特性の変動、特に分析される血液サンプルの吸光度の変動を表す信号を提供するように、それぞれの検出要素49によって提供される各測定信号の追加の処理を実行するように構成されてもよい。
したがって、各測定ユニット36の処理部51は、トリガー試薬の注入時間と、フィブリノーゲンの重合に対応するフィブリンネットワークの生成による強磁性ビーズ11の移動の機械的振幅の減少との間の時間を計ることによって得られる血液サンプルの凝固時間の第1値と、トリガー試薬の注入時間とフィブリノーゲンの重合に対応するフィブリンネットワークの生成による反応性媒体の光透過率の減少との間の時間を計ることによって得られる血液サンプルの凝固時間の第2値とを同期して測定するように構成されてもよい。
【0131】
更に、各測定ユニット36は、ベール・ランバートの法則にしたがって、又は濁度測定で測定される免疫化学反応のより複雑な法則にしたがって濃度を決定するために、同じ手段で血液サンプルの光学密度を測定することを可能にする。
【0132】
本発明の変形例によれば、異なる処理ユニット51は、同じ電子マイクロコントローラによって形成されてもよい。
【0133】
更に、自動分析装置2は、サンプリング針54を備えたサンプリングヘッド53を含むサンプリング装置52(
図1及び
図7参照)を備える。サンプリング装置52は、サンプリングヘッド53を略垂直方向Dに沿って並進移動させるように配置された変位手段を更に有しており、図に示す実施形態によれば、サンプリングヘッド53は、垂直軸を中心として回転可能に取り付けられた支持ケース55内に収容されている。
【0134】
自動分析装置2は、更に、第1荷積みロータ56と第2荷積みロータ57とを備え、
第1荷積みロータ56は、実質的に垂直である第1回転軸の周りに回転可能に取り付けられ、分析されるべき生物学的液体のサンプルを収容する容器を収容するように適合された複数のハウジングを備え、第2荷積みロータ57は、実質的に垂直である第2回転軸の周りに回転可能に取り付けられ、試薬製品を収容する容器を収容するように適合された複数のハウジングを備える。
【0135】
より具体的には、サンプリング装置52は、第1荷積みロータ56に収容された容器に収容された分析されるべき生物学的液体サンプルをサンプリングし、第2荷積みロータ57に収容された容器に収容された試薬製品をサンプリングするように構成される。
【0136】
更に、サンプリング装置52は、カバー要素27に設けられた通路開口部28の反対側に位置するキュベット4に、分析される生物学的液体試料を、及び/又は第1及び第2荷積みロータ56,57から生じる試薬製品を供給するように構成される。特に、サンプリング装置52のサンプリング針54は、通路開口部28を通って延び、通路開口部28の反対側に位置するキュベット4の容器6内に貫通するように適合される。
【0137】
自動分析装置2の変形例によれば、分析される生物学的液体試料を収容する容器と、試薬製品を収容する容器とは、同じ荷積みロータ内に収容されてもよい。
【0138】
自動分析装置2は、更に、サンプリングヘッド53のサンプリング針54を受け入れて洗浄するようになっている洗浄ウェル(図示せず)を含むことができる。
【0139】
自動分析装置2は、測定ステーション35の下流に、案内要素18の一端に配置され、使用済みキュベットを互いに分離し、分離された使用済みキュベットを貯蔵するように構成された分離及び貯蔵ステーション58を更に備えることができると有利である。特に、分離及び貯蔵ステーション58は、2つの隣接する使用済みキュベット間でフィルムを切断するように構成されたカッター部材と、分離された使用済みキュベットを貯蔵するように構成された収集ビンとを含むことができる。分離及び貯蔵ステーション58のカッター部材は、これらの測定を妨害しないために、測定が測定ユニット36の1つで行われるときには作動しないと有利である。
【0140】
自動分析装置2はまた、駆動装置17、特に駆動ベルト23、サンプリング装置52、及び発光装置38の駆動モータ、検出要素49、及び各測定ユニット36の磁界発生システム37の動作を制御するように構成された制御ユニット59を備える。
【0141】
特に、制御ユニット59は、実行される分析の性質に適したピペット操作シーケンスを制御するようにプログラムされており、これは連続的に、サンプリング針54の事前洗浄、第1荷積みロータの船舶の1つに含まれる分析されるべき血液サンプルの服用量のサンプリング、通路開口部28に位置するキュベット4へのこの服用量の注入、サンプリング針54の洗浄、第2荷積みロータの船舶の1つに含まれる試薬の服用量のサンプリング、前述のキュベット4へのこの試薬服用量の注入を含むことができる。
【0142】
制御ユニット59はまた、例えば血液サンプルの凝固時間を決定するために、測定ユニット36において、分析されるべき血液サンプル及び1つ又は複数の試薬を含むキュベット4を運ぶように、帯状キュベット3を変位させるようにプログラムされる。
【0143】
駆動ベルト23がキュベット4の下側部分6.2と協働することにより、各測定ユニット36においてキュベット4の下側部分6.2の正確な水平方向の位置決めを確実にすることが可能になる。一方、上側停止面31及び支持装置32の存在により、駆動ベルト23と上側停止面31との間に帯状キュベット3を挟むことにより、キュベットの垂直方向の機械的クリアランスを減少させることが可能になり、これにより、各測定ユニット36におけるキュベット4の下側部分6.2の正確な垂直方向の位置決めが確実にされる。
【0144】
更に、本発明に係る駆動装置17は、キュベット4を機械的に分解し、測定ユニット36でキュベット4を機械的に安定化させることができ、そのため、サンプリング針54をキュベット4の一方に導入して、分析する生物流体又は試薬を当該キュベットに供給するために、隣接するキュベット4に振幅を生じさせる可能性が低い。
【0145】
したがって、本発明に係る駆動装置17は、本発明に係る自動分析装置2による測定の信頼性を大幅に向上させることができる。
【0146】
また、駆動ベルト23の構成により、各測定ユニット36の発光装置38及び検出要素49を案内トラック19の両側に配置することが可能となり、これにより駆動装置17の垂直バルクを制限することができる。
【0147】
更に、各発光装置38の特定の構成は、強磁性ビーズ11の存在下でさえ、非常に正確な吸光度及び濁度測定光学測定を実施することを可能にし、これは、幾つかの免疫濁度試験の分析性能を実質的に増加させることを可能にする。狭いコリメーション及び入射光ビーム39の集束によって、濁度測定における測定範囲も改善される。
【0148】
言うまでもなく、本発明は、例として上述したインビトロ診断のためのこの自動分析装置2の唯一の実施形態に限定されず、反対に、そのすべての変形形態を包含する。