(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ケーゲル体操のシステムと方法
(51)【国際特許分類】
A61H 1/02 20060101AFI20241218BHJP
A61B 5/07 20060101ALI20241218BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20241218BHJP
A63B 23/20 20060101ALI20241218BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20241218BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20241218BHJP
【FI】
A61H1/02 Z
A61B5/07
A61B5/107 500
A63B23/20
G16Y20/40
G16Y40/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020143711
(22)【出願日】2020-08-27
(62)【分割の表示】P 2016562734の分割
【原出願日】2015-01-06
【審査請求日】2020-09-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-13
(32)【優先日】2014-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523370299
【氏名又は名称】アクセナ ヘルス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イグレシアス,ラモン ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェレビッチ,デビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ,ショーン シー.
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,ケートリン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ロッカー,ジャナヴィ
(72)【発明者】
【氏名】トルッカ,ミラン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ヒマンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ズヴァイヤーストラ,ジャン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ダンロップ,トレバー
(72)【発明者】
【氏名】ギフォード,アーロン
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-532578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0174218(US,A1)
【文献】国際公開第2013/116310(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 1/02
A61B 5/07 5/107
A63B 23/20
G16Y 20/40 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象によって実施される骨盤底筋体操を最適化するため
のシステムであって
、
(a)膣内デバイスからユーザーインターフェイスデバイスによってワイヤレスで受信された信号から生成される
前記膣内デバイスの位置に対応する視覚的表現をリアルタイムで前記ユーザーインターフェイスデバイス上に表示する工程と、
前記膣内デバイスは、前記膣内デバイスの長さに沿って配置された複数の加速度計を備え、前記膣内デバイスは、前記加速度計の動きに応答して信号を生成するように構成されており、前記ユーザーインターフェイスデバイスは、前記加速度計からの信号を分析する
ためのコンピュータ実装アプリケーションを実行するように構成されており、
前記視覚的表現が第1の方向に動く場合、
前記視覚的表現は
前記膣内デバイスの持ち上げ動作に対応し、
前記視覚的表現が第1の方向と反対の第2の方向に動く場合、
前記視覚的表現は
前記膣内デバイスの押し下げ動作および/または骨盤底筋の弛緩に対応し、
(b)
前記膣内デバイスの視覚的表現の位置の変化と、
対象の骨盤底筋の活性化が維持されている最大持ち上げ
継続時間
を含む指標とに基づいて生成されるフィードバックを、前記ユーザーインターフェイスデバイスから被験者へ提供する工程とを、備え
る、システム。
【請求項2】
前記ユーザーインターフェイスデバイスは、前記対象のデータを遠隔で格納するように構成されたデータプロセッサおよび通信モジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記フィードバックは、前記対象の骨盤底筋体操履歴の視覚的または数値的表示
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記フィードバックは、ケーゲルパワーの視覚的または数値的表示
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記生理学的フィードバック情報は、骨盤底筋体操最適化の視覚的または数値的表示
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ユーザーインターフェイスデバイスは、ブルートゥース(登録商標)通信を介して膣内デバイスに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ユーザーインターフェイスデバイスは、スマートフォン、タブレット、および時計からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記フィードバックは、コンピュータ実装アプリケーションから出力される視覚的およ
び聴覚的フィードバックで構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記
指標は、骨盤底筋運動が行われる1つ以上のセッションに関連するデータをさらに含み、前記
指標は、セッションの日付、最大スコア、セッションが実行された時間、最大持ち上げ、およびセッションの継続時間のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ユーザーインターフェイスは、前記視覚的表現を表示し、前記視覚的表現は、右から左に回転する場合の
前記持ち上げ動作に対応し、左から右に回転する場合の
前記押し下げ動作に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ユーザーインターフェイスは、
前記持ち上げ動作や
前記押し下げ動作のパフォーマンスに関連するスコアをさらに表示する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、時間の経過に伴うスコアの変化に基づいて、視覚的およ
び聴覚的フィードバック機能を使用して被験者に対するフィードバックを提供することを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記
指標は、前記ユーザーインターフェイス上の日記に保存される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、参照によって完全に組み込まれる2014年1月6日出願の米国出願第61/923,997号に関連するとともに優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ケーゲル(Kegel)体操を最適化するためのシステムおよび方法に関し、より具体的にはケーゲル体操の患者のパフォーマンスを測定し、患者にフィードバックを提供する装置を用いたケーゲル体操を最適化するためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
尿失禁は、骨盤底筋が弱くなった女性に多い症状である。妊娠、出産、手術、老化や体重増加などの多くの一般的な要因が女性における骨盤底筋の弱体化の一因になっている。骨盤底筋が弱くなると、女性は、尿失禁と、くしゃみ、笑いや咳の間に思わず漏れる尿などの症状に関連する経験とに苦しみ始める。これらの症状は、多くの場合、不快で気恥ずかしものであり、多くの女性に個人衛生の問題を示す。
【0004】
様々な方法が、骨盤底筋の強度および調子を改良するために提案されてきた。アーノルドケーゲル(Arnold Kegel)博士は、尿失禁の治療オプションとしての骨盤底の体操を記述し、また、骨盤底を強化しサポートするためのケーゲル(Kegel)体操として知られている一連の体操を発明した。ケーゲル体操は、一定の期間、収縮と弛緩を繰り返すことにより実施される。骨盤筋の収縮の繰り返しは、時間とともに、骨盤底の強化になる。ケーゲル体操の適切な実施は、尿失禁、便失禁、骨盤痛、及び骨盤臓器脱の予防と治療の両方を提供できる。ケーゲル体操の適切な実施は、また、性交渉の改善をもたらすことができる。
【0005】
ケーゲル体操は、骨盤底を強化するための効果的な方法であるが、多くの女性は、ケーゲル体操を正しく行うことが困難であることに気付く。多くの場合、ケーゲル体操を行う女性は、彼女らが正しい筋肉を収縮されているかどうかが簡単に分からない。一部の女性は、正しい筋肉を確認し収縮させるのが難しい。一部の女性は、彼女らが間違った筋肉を使用していることを知らずにケーゲル体操を不正確に行っている。現在、患者のケーゲル体操のパフォーマンスを測定したり、彼女らのパフォーマンスへの何らかのフィードバックを患者に提供するシステムがない。ケーゲル体操が正しい盤底筋を使うことにより行われていない場合、患者は、ケーゲル体操を行うことによる最大の利益、または何らかの利益を達成できない。
【0006】
したがって、ケーゲル体操を実施することによる最大の利益を達成し、また、上述したケーゲル体操の問題に対処するために、ケーゲル体操を最適化するシステムと方法を持つことは好ましい。
【0007】
本発明は、国際特許出願PCT/US2010/053712 及び PCT/US2013/023806に記載されたリアルタイムの位置と動きの追跡、及び国際特許出願PCT/US2012/066613に記載された多数のセンサを使用可能なデバイスを検討しており、それらは参照によって全体がここに組み込まれる。この点において、リアルタイムの位置及び動き追跡は、例えば患者の恥骨、尾骨、または膣のような身体構造の基準点、又は例えば患者の衣服や患者の周囲のターゲット等の外部の基準点に対する対象の身体構造の臓器の位置を検出することを含む。この方法は、例えば、健康診断、治療、又は手術の間にリアルタイムに実施される。もう一つの実施形態では、この方法は、多数の時間間隔で実施される。多数の時間間隔は、例えば妊娠や閉経期の事象の前後で発生する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、膣の前壁の位置を骨盤内の一連の臓器内に動的に決定し表示するデバイスに関する。これは、メムス(MEMS)加速度計センサーのセットで構成され、その位置が膣に挿入されたフレキシブルプローブのプロフィールを示す。収縮骨盤筋の結果を表示する独自の機能は、尿失禁、便失禁、骨盤痛、及び骨盤臓器脱を含む骨盤の機能障害の予防又は緩和するためにケーゲル筋肉収縮を実施する際に患者が適切な訓練を行うことを可能にする。適切なケーゲル体操は、また、性交渉を向上させる。温度が同様に記録される。
【0009】
このシステムは、膣デバイス、膣デバイスから電子機器ボックスへのケーブル、結果の表示及び記録のためのiPhone(登録商標), iPod(登録商標), 又は iPad(登録商標)(もしくはアンドロイド(登録商標)、又はウィンドーズ(登録商標)ベース、又は他の同等装置)のような高性能デバイスに電子機器ボックスから接続されるブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)ワイヤレス接続から構成され、データベースを有するウェブサーバーとインターネット接続されている。このウェブサーバ上のデータは、患者、彼女らの医療サービス提供者、または第三者支払人の正しい権限によってアクセスすることができる。
【0010】
トレーニング画面(ダイナミックラインプロファイルまたは身体構造アニメーション)に加えて、高性能デバイスアプリケーションは、ユーザーに高性能デバイスに記録された特定の数のセッションまでの患者のパフォーマンスの履歴や、アプリケーションツアー、アプリケーション設定、よくある質問への答え、ウェブサービスのデータベース、及び他の要素へのアクセスを提供する。一つのセッションは、患者がアプリケーションの訓練のボタンを押した時点から患者が停止ボタンを押した時点までに患者によって行われた操作の1セットである。
【0011】
正しく動作するために、メムス加速度計が正常に動作するように膣のデバイスが正しい方向に挿入されなければならない。ラインは、膣デバイスがどのように挿入されるべきかを示して、膣デバイスに含まれてもよい。さらに、高性能デバイスは、膣デバイスの現在の向きを示し、膣デバイスが正しく配置されていない場合に適切な向きに変更する方法のガイダンスを供する画面を表示する。
【0012】
膣の位置を知ることは、医療従事者に尿道の位置を含む骨盤臓器に関連するおおよその位置を推測させる。膣と尿道が近接しているので、それらの相対位置が互いから推測できる。
【0013】
収縮する筋肉が膣への入り口すなわち膣口の近くに位置している。膣デバイスのプロファイルの表示に加えて、膣口の少し上の装置の温度を表示してもよい。その温度は筋肉が働いている激しさを反映する。もう一つの実施形態では、圧力センサが筋収縮の力の測定及び表示のために含まれてもよい。
【0014】
そのデバイスの目的は、ケーゲル体操が正しく実施されているか、またそうなら、そのエクササイズの効果がどうかを患者に示すために視覚的なフィードバックを提供することである。患者の許可により、データは医療従事者や第三者支払人によって確認できる。いくつかの状況では、初期のパフォーマンスと比較した患者のパフォーマンスおよび/または結果(例えば、腹圧性尿失禁の低減)は、結果を評価することに用いられることができ、第三者支払人による医師への支払いに肯定的な影響を与えるために用いることができる。また、患者のための経済的刺激を与えることができる。表示は、実際の動きを提示することと、関連する得点を表示することの一方又は両方である。
【0015】
他の実施形態では、フィードバックは、音声の形態での聴覚によるもの、又は大きさ、周波数、または両方を変化させた音調の形態での聴覚によるもの、又は大きさ、周波数、または両方を変化させた振動の形態での聴覚によるものとすることができる。音声フィードバックは、ケーゲル体操の実施中にさらに激しくするように患者を指導、激励することを含めることができる。
【0016】
ケーゲル体操が行われるにつれて、膣デバイスは持ち上がり、画面上のラインは右から左に回転し、患者の正面に向かった移動を示す。揚力が大きくなればなるほど、ケーゲル体操の効果は大きくなる。得られた得点は、ライン位置に加え、またはライン位置の代わりに表示できる。他の表示モードは、身体構造アニメーション図としての、骨盤の臓器の相対的な位置である。患者が誤ってケーゲル体操を実行している場合、患者が排便中のように力むので、画面上の表示されたラインは体操の始めから、時計回りに回転し画面上の指定された領域に入る。本発明の主要な用途の1つは、ケーゲル体操を行うことを望むなら、そのような力みが正しくないことを患者に訓練することである。しかしながら、ラインが指定された領域内に移動することは、必ずしも悪いことではない。筋肉の拘縮による骨盤痛を治療する場合、デバイスの下方への移動は、表示されたラインの結果としての時計回りの回転が画面上の指定された領域へ入ることに伴って、骨盤弛緩とそれの結果としての下降を意味する。
【0017】
得点の単位はケーゲルパワー(kp)である。一実施形態では得点は0~100の範囲であるが、他の範囲も同様に使用できる。訓練の開始時では、多くの患者の筋肉が弱い。激励を提供するために、アプリケーションはラインの最大ふれを100に代えて約30または60にするズーム機能を備える。そのためにラインは、移動して正のフィードバックを更に提供するが、表示された得点はいずれのズームレベルでも同じである。ケーゲル体操セッションからのデータは、高性能デバイスに記録され、セッションの最新の所定数(例えば、300)からのデータは履歴画面に表示されることができる。加えて、セッションの結果は、ウェブサーバ上のデータベースに送信される。記録され通信された情報が、最大レベルが行われた時間間隔を含むまさに最高得点の情報になることができる。また、膣デバイスのプロファイルが変化するため、膣デバイスの実際のプロファイルが送信されることができる。また、温度及び圧力の結果は、もしあれば、セッションの開始時刻および長さと共に記録される。日記情報が高性能デバイスに患者によって収集されることができる。その情報は、ウェブデータベースサーバにアップロードされ、ウェブブラウザの接続を介して見ることができる。患者はまた、中央のウェブデータベースサーバ上の医療専門家によって入力された処方情報を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、次の図面を参照することによって更に詳しく説明される。
【0019】
【
図1】
図1は、本発明のシステムのブロック図を示す。
【
図2】
図2は、プローブと外部電子機器ボックスを含む本発明の膣デバイスの透視図を示す。
【
図3】
図3は、フレックスストリップを含む、本発明の膣デバイスのプローブの横断面図を示す。
【
図4】
図4は、本発明の膣デバイスのプローブの概略図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の膣デバイスのプローブの平面図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の膣デバイスの部分の横断面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の外部電子機器筺体の説明図を示す。
【
図8】
図8は、本発明のアプリケーションメイン画面の説明図を示す。
【
図9】
図9は、本発明の垂直整列画面の説明図を示す。
【
図10】
図10は、本発明のトレーニング画面(ズーム1 kp 087)の説明図を示す。
【
図11】
図11は、本発明のトレーニング画面(ズーム1 kp 005)の説明図を示す。
【
図12】
図12(A)は、本発明のトレーニング画面(ズーム2 kp 005)の説明図を示す。
図12(B)は、本発明のトレーニング画面(ズーム2 kp 057)の説明図を示す。
【
図13】
図13(A)は、本発明のトレーニング画面(ズーム3 kp 003)の説明図を示す。
図13(B)は、本発明のトレーニング画面(ズーム3 kp 024)の説明図を示す。
【
図14】
図14は、本発明の身体構造アニメーションの説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、ケーゲル体操の適切な実施のためのトレーニングシステムのブロック図を示す。そのシステムは、患者100に挿入される膣デバイス110を含む。膣デバイス110はシリコーンで製造されている。しかしながら、他の適切な材料を用いてもよい。膣デバイス110は、外部電子機器ボックス130にケーブル120を介して接続されている。外部電子機器ボックス130は、ブルートゥース接続140によって、iPhone, iPod, 又は iPadタッチ、アンドロイドベースシステム、マイクロソフトウィンドーズベースシステム、又は他の同等のデバイスのような高性能デバイスであるユーザーインターフェイスデバイス150に接続されている。代わりに、外部電子機器ボックス130は、カスタムディスプレイデバイスに接続されてもよい。ユーザーインターフェイスデバイス150は、インターネット接続160を介してウェブ中央データベースサーバー170と通信する。患者のセッションからのデータは、ユーザーインターフェイスデバイス150に保存され、それぞれのセッションの後、ウェブ中央データベースサーバー170に伝送される。伝送されたデータは、最高得点にその得点を維持した時間長さを加えたもの、及びおそらく生データ、及びそのセッションの開始時間と長さ、最大持ち上げ継続時間、最高到達温度、最大到達圧力のような他のデータを含む。外部電子機器ボックス130からユーザーインターフェイスデバイス150へのブルートゥース伝送は、ブルートゥースヘッドセットのようなブルートゥースデバイスの典型であるオーディオ接続よりもむしろシリアルデータ接続であり、伝達はシリアルポートプロトコル(SPP).を通じて操作される。高性能デバイスがアップル製なら、それは特別な認証チップ(MFiがiOS用の製造、又はiPhone, iPad, iPod用の製造を意味するMFiチップ)がブルートゥース接続と接続されている埋め込まれた電子機器に使用されていることを要求する。
【0021】
ブルートゥースを用いて外部電子機器ボックス130と通信する高性能デバイスの使用は、本発明のただ一つの実施形態である。また、他のワイヤレス手段またはワイヤー接続でさえ、用いてもよい。他の実施形態では、外部電子機器ボックス130の出力は、Lab VIEWを用いて、又はワイヤレスやワイヤーで接続されたノートブックやデスクトップ上で稼働しているカスタムアプリケーションを用いて処理される。
【0022】
デバイスは、家庭、仕事場、医師のオフィス、診療所、老人ホーム、骨盤の健康や他の施設または患者に適した他の場所で使用できる。医師、看護師、技師、理学療法士、または中央顧客サポートは、患者のためのサポートを供給できる。中央顧客サポートは、24時間、週7日でも提供できる。
【0023】
図2は、患者100に着けられたシステムの構成要素を示す。膣デバイスは、プローブ200を外部電子機器ボックス220に接続するケーブル210と一緒に膣に挿入されたプローブ200を含んでもよい。
図3は、外部電子機器ボックスまで伸び、電気パッド350に着けられたケーブル320と、内部電子機器300とを有した膣デバイス310のプローブを説明する。メムス(MEMS)加速度計330は、フレックスストリップ回路300に搭載される。ESD抑制器340は、ストリップのメムス加速度計と同じ側にあり、温度測定のサーミスター(図示せず)との接続のためのパッドは、フレックスストリップ300の反対側にある。圧力センサも同様に含まれているが、図には示されていない。一実施形態では、メムス加速度計350からの出力は、I2C通信を使う。サーミスタの出力は、アナログデジタル変換器を介して処理される。従って、センサの両タイプからの出力は、送信デジタル信号に変換される。
【0024】
図4は、挿入時、及び場合によっては取り除き時に(膣デバイスは通常、外部電子機器ボックスに伸びたケーブル420を引っ張ることによって取り除かれるが)デバイス400を患者が握り易くさせるリブ410を有した膣デバイス400のプローブの側面図を示す。いくつかの実施形態では、プローブはシリコーン材料で構成されている。方向ライン430は、膣デバイス400のプローブの外面に配置される。ロゴ440は、同様にデバイス400のプローブの外面に配置される。ロゴ440とライン430は、シリコーンにモールドされる。膣デバイス400のプローブの寸法は、主として直径16mm、長さ11cmで、通常、直径14から20mm、長さ9から12cmである。
【0025】
図5は、膣デバイスのプローブの平面視を説明する。膣デバイス500のプローブは、外側のシリコーン殻がクロスハッチドとして見られるように表わされている。その電子機器は、またクロスハッチドで表わされているフレキシブルストリップ520に取り付けられている。本発明の一実施形態では、内側シリコーン部分510が2個のシリコーン半円筒で構成されており、一方がストリップ510の上側で、他方が下側である。
【0026】
ケーブル610が出る側の端から見た膣デバイス600の断面を
図6に示す。シリコーン鞘620は、分離ライン660で分割された上側シリコーン円筒630と下側シリコーン円筒640とを囲む。フレキシブルストリップは、分離ライン660に配置された上側630と下側640の円筒の間に挟まれることもある。
【0027】
膣デバイスは、製造可能性を重要な検討事項として設計されていた。重大な要素は、用いられる電子機器が最高温度65℃を有するので、封入された電子部品と共にシリコーンをモールドすることは、硬化させるのに長時間を要することである。そのようなモールドの商業的に実用的なものにするための短時間で十分な硬化時間は、液体シリコーンが約175℃で加熱されることを要求する。それゆえ一つの製造方法は、高い温度で、上側半円筒630、下側半円筒640、及びシリコーン鞘620をモールドすることだった。フレキシブル電子機器ストリップは、モールド工具によって配置されたその表面のポケットにフィットするメムス加速度計と共に逆さまの上側半円筒630上に配置されてもよい。逆さまの下側半円筒640は、接着剤でコートされており、逆さまの上側半円筒630工具を覆って配置されてもよい。円筒全体が一旦組み立てられ、シリコーン鞘620が、その側を真空にし、開口を大きくする冶具に入れられる。挟まれたフレキシブル電子機器ストリップを含む全円筒は、全円筒の端が鞘620の端に当たるまでシリコーン鞘の開口に挿入される。真空が解放され、円筒は鞘の中にぴったりと封入される。鞘620の壁は、円筒の長さよりも長い。ケーブル610を囲むポケットができるので、シリコーン材料(ダウ シラスティック(登録商標))で満たされたときにそれがシリコーン円筒、シリコーン鞘、及びケーブルに接着するように、これは行われる。全てのシリコーン材料は、生体適合性がある。ケーブルジャケットは、生体適合性があるか、又は生体適合性があるパリレン又は他のコーティングの層で覆われてもよい。
【0028】
図7は、ロゴ750を有し、膣デバイスへのケーブルを有するコネクター710から入力されるデータを受ける外部電子機器ボックス700を説明する。外部電子機器ボックスは電源ボタン720でオンになる。ブルートゥース計器LED730及びシステム計器LED740の信号状態は外部電子機器ボックスの部分として含まれてもよい。
【0029】
図7の外部電子機器ボックス700は、例えばブルートゥースを介してiPhoneのような高性能デバイスとワイヤレスで通信する。外部電子機器ボックス700の一例は、尿失禁を含む骨盤機能障害を予防及び治療のためのLeva(商標)デバイスである。
図8は高性能デバイスのメインメニュー画面を示す。スプラッシュ(splash)画面(図示せず)はメインメニュー画面に先行する。使用者は高性能デバイスのアプリケーションにアクセスするためにログインする。画面上の操作ボタンはトレーニングボタン800である。他のボタンは、Tour805、History810、Info815、及びLeva(商標)Site830である。Tour805はアプリケーションのバックグラウンドを与えるスクリーンへのアクセスを供する。Info815は、高性能デバイスが接続されるLeva(商標)デバイスの認識のような情報へのアクセスを供する。ボタン810は患者のセッションの履歴へのアクセスを供する。これは、下記の
図15でさらに詳しく示されている。画面のトップに位置する第1バー820は、左から右まで、次のものを含む。モービルホーンの信号レベル、ネットワークオペレータ(AT&Tの場合)、通信の種類(この場合LTE)、アクティブなWi-Fiインターネット接続(もしあれば。この場合はない)、時刻、アラームがセットされていること、ブルートゥース通信がアクティブであること、及びバッテリーがフルに充電されていること。ボタン825はFAQ(もしインターネット接続が利用できるなら)へのアクセスを供する。スクリーンの下部に位置する第2バー835は、左から右まで、Leva(商標)デバイスへのブルートゥース接続があること、Leva(商標)デバイスのバッテリーが充電されていること、及びLevaデバイスがプラグインされていないことを示す。
【0030】
図9は、患者がLeva(商標)デバイスを正確に向けているか、すなわちデバイス900はトップが12時の位置にあり、方向ライン905が患者の前方に真っ直ぐに向いているかを患者に見させる画面を説明する。この場合、相対的方向910は、Leva(商標)デバイスがターゲット920との関係で反時計回りに少し回転していることを示す。矢印の円915は、デバイスを適切な方向に動かすためにデバイスを物理的に回転させる方向を患者に示す。アイコン925は、
図10で詳しく説明するように、アプリケーションがラインモードであることを示す。トレーニングセッションは、膣デバイスが正しい位置になるまで始まらない。
【0031】
図10は、ダイナミックラインモードのトレーニング画面を表示する。バックグラウンド1000は、ダイナミックラインの動作領域を示し、そこでライン1010は膣内の膣デバイスの輪郭を表わす。そのライン上の点はフレキシブルストリップ上の6個のメムス加速度計の位置を示す。赤色の背景を有する領域1005は、もしも、あたかも人が排便をしているように力んでいるときにライン1010が表示される場所である。それゆえ、正しいケーゲル体操と誤ったケーゲル体操を区別することができる。ケーゲル体操を行う試みが誤っているときに、ライン1010は領域1005に現れる。矢印1015はケーゲル体操を正すための適正な方向を示す。しかしながら、上述のように、領域1005は、患者が骨盤痛の救済に関連してリラックス状態にある状態のときのライン1010の望ましい位置であることもある。ライン1010の右から左の動きは、上方移動(lift)と呼ばれる。ケーゲル体操の単位は、Kegel powerを短縮してkpであるが、他の記号表示を用いてもよい。
図10での現在のkp1020は087(87、先頭のゼロは無視されるので)である。患者の前方に向かった膣デバイスの上方移動が大きくなればなるほど、kp得点は高くなる。上方移動時間の最大長さは、図中のセッションが00:07すなわち7秒の間、保持された(1025)。現在の上方移動が保持されている時間長さ1030は、またこの例では7秒である。現在のセッションのkp得点の最高値の値は088である(1035)。現在のセッションの時間は10秒である(1040)。その領域に表示される最高得点が100でなく、少なくなるようにズームするために、使用者はプラスサイン1045をクリックする。ズームレベルは画面背景1000に表示される。背景1000は、セッションの間、最高得点を表示するために青色で満たされる。膣への入り口近くの膣デバイスの温度は、1050で、第1の値(25°C(77°F))が現在の値であり、第2の値がセッション中の最高温度(この例では同じく(25°C(77°F))である。セッションを停止させるために、使用者は停止ボタン1055を押す。
【0032】
図11は、背景領域1100のkp得点1110(005)を有するズーム1モードのトレーニング画面の例を示す。ズーム1は0から100の表示範囲をカバーする。患者がケーゲル体操を行おうとしたときにラインが十分に動かないと、患者はやる気を無くすだろう。
アプリケーションはズームインの機能を有し、ズーム2での0から約60までの範囲、及びズーム3での0から約30までの範囲で得点を表示する。背景全体の右端の赤ゾーン1230は同様にズームされる。ズームインは、上方移動の程度に応じてダイナミックラインが動く量を変更するが、得点は変更しない。
図12は、ズーム2の2例を説明する。1例は、ズームボタン1200でズームレベルを変更し、3個のズームレベル間で変える。
図12Aにおいて、背景1205は、アプリケーションがズームレベル2にセットされていることを示しており、005のデジタル得点1215に反映されているように、ライン1210が5kpのレベルである。ズーム2のもう一つ例を
図12Bに示す。この場合、ダイナミックライン1220は、057の値を示し、得点1225の範囲のトップの近くである。この例では、ライン1220は、膣デバイス内に含まれたフレキシブルストリップに沿ったメムス加速度計の物理的プロファイルを反映して曲がっている。kp得点はズームに基づいた変化をしない。ズームレベルが変わっても、最高得点はセッション内で維持される。使用者がそのズームレベルでの最高より高い得点を出すと、数値の得点でなく”-”が表示される。
【0033】
図13は、ズーム3の一対の例を説明する。また、他の1例がズームボタン1300によってズームレベルを変更すると、再び3個のズームレベル間で変える。
図13Aでは、背景1305は、アプリケーションがズームレベル3にセットされていることを示しており、003のデジタル得点1315に反映されているように、ライン1310が3kpのレベルである。ズーム3のもう一つの例を
図13Bに示す。この場合、領域1320は再びズーム3を示しており、ライン1325は、024の値を示す得点1330の範囲のトップに向かっている。
図13A、13Bの両方において、ライン1305と1325は、膣デバイスの物理的プロファイルを表わして曲がっている。アイコン1335は、選べる生体構造モードの選択を示す。
【0034】
図14は、ダイナミックラインとは反対の上方移動を表示するための身体構造アニメーションを用いたトレーニングセッションを説明する。このモードにアクセスするために、使用者は、ダイナミックラインモードのときにトレーニング画面のトップの右の生体構造アイコンにタッチしてもよい(例えば
図13Bのアイコン1335)。ライン1400はケーゲル収縮によって動くが、このケース057で、得点1410に縮小拡大される必要はない。示された骨盤臓器は、恥骨1415、子宮1420、胆嚢1425、結腸1430、肛門1435、及び尾骨1440である。ケーゲル体操が実施されるとき、これらの臓器のいくつかは画面上で動く。トレーニングセッションを終えるために、患者は停止ボタン1450を押す。ダイナミックラインモードにアクセスするために、患者はダイナミックラインモードアイコン1445にタッチする。
【0035】
図15は、履歴画面を示す。アプリケーションの要素は、
図8に示すメニュー画面を通してアクセスすることができる。各セッションに関する読み取りは、アイコン1505と一緒に、領域1500内に含まれている。読み取りは、セッション日1510、最高得点1515、セッション時間1520、最大上方移動時間1525、セッション継続時間1530、及び最高温度1535である。メインメニュー画面、
図8に戻るには、戻りの矢印1540をタッチする。
【0036】
セッションが閉じられると、データは、中央データベースサーバー上のデータベースにアップロードされた高性能デバイス上のファイルに両方保持される。使用者は、後者を生じさせるために、何もする必要がない。高性能デバイスが、その時、インターネット接続を有していない場合、与えられたセッションは閉じられる。そして、アプリケーションが用いられることと、インターネット接続が利用できることの両方がなったときに、そのセッションのデータがその後アップロードされる。アクセスの認可を持っている人は、データベースのデータにアクセスしてもよい。そのような使用者は、いろいろな環境での、患者、彼らの世話をする医療サービス提供者、第三者支払人、又は中央顧客サポート担当者であろう。患者は、情報の種々の利用を認可しなければならない。患者は、高性能デバイス又はウェブブラウザで患者の履歴をみることができる。ウェブブラウザを介した医療サービスの専門家は、中央データベースにある患者のための処方箋(例えば、1日当たりのセッション数や各セッションの長さ等)を供する。ウェブブラウザを用いている患者は、その処方にアクセスできる。他の実施形態では、患者は高性能デバイスに日記を書き、その日記の情報は中央データベースにアップロードされ、患者や公認の医療サービスの専門家によってアクセスできる。
【0037】
本発明は患者をサポートする。その工程は、医療サービスの専門家がLeva(商標)デバイスを用いて患者をトレーニングすることで始まる。患者は、患者がケーゲル体操をうまくやっているかのLeva(商標)デバイスからのフィードバックを受ける。ケーゲル体操の適切な実施は、尿失禁、便失禁、骨盤痛、及び骨盤臓器脱を含む骨盤の機能障害の予防又は緩和を供する。ケーゲル体操の適切な実施は、また、性交渉の向上になる。患者の許可により、そのセッションからのデータは、その患者の世話をする医療サービスの専門家に、ウェブベースのデータベースを通じて、又は患者がLeva(商標)デバイスに持参したものによって共有される。第三者支払いに関して、ウェブベースのデータベースのデータは公認の第三者に利用可能である。
【0038】
上述した種々の実施形態は、例証としてのみ供されているが、発明を限定すると解されるべきでない。上述した考察と例証に基づき、ここに図示及び記述された典型的な実施形態及び応用に厳密に従うことなく、当業者は、容易に種々の改良と変更が本発明に行われることを認識する。そのような改良と変更は、本発明の真の精神と範囲から逸脱するものでない。