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特許7606310表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体およびウェアラブルデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体およびウェアラブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20241218BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G09G3/20 622R
G09G3/20 621K
G09G3/20 612L
G09G3/20 623P
G09G3/20 650J
G09G3/20 622K
G09G3/20 622Z
G09G3/20 632F
G09G3/20 680V
G09G3/20 680A
G09G3/36
G09G3/20 611A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020167219
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059450
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武藤 隆
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-064964(JP,A)
【文献】特開平06-326950(JP,A)
【文献】特開平07-146668(JP,A)
【文献】特開2018-097074(JP,A)
【文献】特開2003-036056(JP,A)
【文献】特開2020-076974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が行列状に配された画素アレイを走査する走査回路と、複数の表示モードのうち選択された表示モードに応じて前記画素アレイの走査を行うように前記走査回路を制御する制御回路と、を含む表示装置であって、
前記複数の表示モードは、前記走査回路が前記画素アレイのうち所定の走査線を所定の順番で走査する第1走査シーケンスを含む複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す第1表示モードを含み、
前記複数の表示モードのうち前記第1表示モード以外の表示モードから前記第1表示モードに移行する場合に、前記制御回路は、前記動作単位を前記第1走査シーケンスから開始するように前記走査回路を制御し、
同期信号をカウントするカウント部をさらに含み、
前記第1表示モードにおいて、
前記制御回路は、前記カウント部が前記同期信号をカウントした結果に基づいて、前記複数の走査シーケンスのうち前記走査回路が前記画素アレイを走査する走査シーケンスを制御し、
前記カウント部は、前記複数の表示モードのうち前記第1表示モード以外の表示モードから前記第1表示モードに移行した際に、リセット状態からカウントを開始することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記カウント部が、前記複数の表示モードのうち前記第1表示モード以外の表示モードから前記第1表示モードに移行する際にリセットされることを特徴とする請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の表示モードは、前記走査回路が1つの走査シーケンスで前記画素アレイを走査する第2表示モードをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の表示モードは、前記走査回路が1つの走査シーケンスで前記画素アレイを走査する第2表示モードをさらに含み、
前記第2表示モードにおいて、前記カウント部はリセット状態であることを特徴とする請求項またはに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1表示モードの表示レートが、前記第2表示モードの表示レートよりも高いことを特徴とする請求項またはに記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の走査シーケンスを第1の複数の走査シーケンス、前記動作単位を第1動作単位とし、
前記複数の表示モードは、前記走査回路が前記第1走査シーケンスとは異なる第2走査シーケンスを含む第2の複数の走査シーケンスで構成される第2動作単位を繰り返す第3表示モードをさらに含み、
前記複数の表示モードのうち前記第3表示モード以外の表示モードから前記第3表示モードに移行する場合に、前記制御回路は、前記第2動作単位を前記第2走査シーケンスから開始するように前記走査回路を制御することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の走査シーケンスを第1の複数の走査シーケンス、前記動作単位を第1動作単位とし、
前記複数の表示モードは、前記走査回路が前記第1走査シーケンスとは異なる第2走査シーケンスを含む第2の複数の走査シーケンスで構成される第2動作単位を繰り返す第3表示モードをさらに含み、
前記複数の表示モードのうち前記第3表示モード以外の表示モードから前記第3表示モードに移行する場合に、前記制御回路は、前記第2動作単位を前記第2走査シーケンスから開始するように前記走査回路を制御し、
前記第3表示モードにおいて、前記カウント部はリセット状態からカウントを開始することを特徴とする請求項およびの何れか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記カウント部が、前記複数の表示モードのうち前記第3表示モード以外の表示モードから前記第3表示モードに移行する際にリセットされることを特徴する請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第3表示モードの表示レートが、前記第1表示モードの表示レートよりも高いことを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第3表示モードにおいて繰り返される走査シーケンスの種類の数が、前記第1表示モードにおいて繰り返される走査シーケンスの種類の数よりも多いことを特徴とする請求項乃至の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1走査シーケンスにおいて、前記走査回路は、前記画素アレイのうち一部を走査することを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第1走査シーケンスにおいて、前記走査回路は、前記画素アレイのうち複数の行を同時に走査することを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記画素アレイにおいて画像を表示するための画像表示データを生成する画像処理部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記画像処理部は、前記複数の表示モードのそれぞれに応じて互いに異なる画像表示データを生成することを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記第1表示モードに移行する場合に、前記画像処理部は、前記第1走査シーケンスに応じた画像データを生成することを特徴とする請求項13または14に記載の表示装置。
【請求項16】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部であり、かつ、請求項1乃至15の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とする光電変換装置。
【請求項17】
表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有し、
前記表示部は、請求項1乃至15の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とする電子機器。
【請求項18】
光源と、光拡散部および光学フィルムの少なくとも一方と、を有する照明装置であって、
前記光源は、請求項1乃至15の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とする照明装置。
【請求項19】
機体と、前記機体に設けられている灯具と、を有する移動体であって、
前記灯具は、請求項1乃至15の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とする移動体。
【請求項20】
画像を表示するための表示部を有するウェアラブルデバイスであって、
前記表示部は、請求項1乃至15の何れか1項に記載の表示装置を有することを特徴とするウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体およびウェアラブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示装置において、表示される画像の画質を向上させるために、フレームレートを高める必要がある。特許文献1には、1水平ライン期間に複数の走査線を同時に駆動することによって、インターレース方式のような走査手法を実現し、フレームレートを高めることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-271365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラの電子式ファインダ(Electronic View Finder:EVF)のように継続的に画像を表示する場合など、表示装置において消費電力を抑制する必要がある。画像表示においてフレームレートを高くした場合に消費電力が大きくなる可能性があり、消費電力を抑制するために、表示する画像の画質に応じてフレームレートを低くするなど、画像を表示する表示モードを切り替えることが考えられる。表示モードを切り替える場合に、表示モードの切り替えを、ユーザに不自然さを感じさせることなく行うことが望まれる。
【0005】
本発明は、表示装置において、自然な表示モードの切り替えに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る表示装置は、複数の画素が行列状に配された画素アレイを走査する走査回路と、複数の表示モードのうち選択された表示モードに応じて前記画素アレイの走査を行うように前記走査回路を制御する制御回路と、を含む表示装置であって、前記複数の表示モードは、前記走査回路が前記画素アレイのうち所定の走査線を所定の順番で走査する第1走査シーケンスを含む複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す第1表示モードを含み、前記複数の表示モードのうち前記第1表示モード以外の表示モードから前記第1表示モードに移行する場合に、前記制御回路は、前記動作単位を前記第1走査シーケンスから開始し、同期信号をカウントするカウント部をさらに含み、前記第1表示モードにおいて、前記制御回路は、前記カウント部が前記同期信号をカウントした結果に基づいて、前記複数の走査シーケンスのうち前記走査回路が前記画素アレイを走査する走査シーケンスを制御し、前記カウント部は、前記複数の表示モードのうち前記第1表示モード以外の表示モードから前記第1表示モードに移行した際に、リセット状態からカウントを開始するように前記走査回路を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示装置において、自然な表示モードの切り替えに有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態おける表示装置を含む表示システムの概略を示す図。
図2図1の表示装置の表示部の構成例を示すブロック図。
図3図1の表示装置の画像処理部の動作例を示す図。
図4図1の表示装置の走査回路の動作例を示す図。
図5図1の表示装置の走査回路の動作例を示す図。
図6図1の表示装置の動作例を示すタイミング図。
図7図1の表示装置の走査シーケンス制御回路の構成例を示すブロック図。
図8図1の表示装置の動作例を示すタイミング図。
図9図1の表示装置の画像処理部の動作例を示す図。
図10図1の表示装置の走査回路の動作例を示す図。
図11図1の表示装置の走査シーケンス制御回路の構成例を示すブロック図。
図12図1の表示装置の動作例を示すタイミング図。
図13図1の表示装置の応用例を示す図。
図14図1の表示装置を用いた光電変換装置の一例を示す図。
図15図1の表示装置を用いた電子機器の一例を示す図。
図16図1の表示装置を用いた表示装置の一例を示す図。
図17図1の表示装置を用いた照明装置の一例を示す図。
図18図1の表示装置を用いた移動体の一例を示す図。
図19図1の表示装置を用いたウェアラブルデバイスの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
図1~12を参照して、本開示の実施形態による表示装置について説明する。図1は、本実施形態おける表示装置50を含む表示システムSYSの概略を示す図である。表示システムSYSは、画像メモリ10、CPU20、同期制御部30、画像処理部40、表示装置50を含みうる。表示システムSYSは、例えば、画像を表示する表示装置50を備える電子機器の一部として用いることができる。表示システムSYSを含む電子機器としては、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレットなどが挙げられる。表示システムSYSに入力された画像データは、一旦、画像メモリ10に蓄積される。CPU20は、不図示のメモリに格納されたプログラムを実行することによって、表示システムSYSにおける各種の処理を実現する。表示システムSYSにおける各種の処理の1つとして、CPU20は、同期制御部30に表示レートを切り替えるための信号を出力する。また、CPU20は、画像処理部40および表示装置50に表示モードを切り替えるための信号を出力する。同期制御部30は、CPU20によって指定された表示レートに応じて、同期信号を画像処理部40に供給する。画像処理部40は、同期信号に基づいた表示レートで、画像メモリ10に蓄積された画像データに対して所定の画像処理を行い、表示装置50の画素アレイ100において画像を表示するための画像表示データを供給する。表示装置50は、画像表示データとCPU20からの指示とに基づいて、所定の表示レート且つ所定の表示モードで画像を表示する。表示装置50は、複数の表示モードを切り替えて画像の表示を行う。
【0011】
図2は、表示装置50の構成例を示すブロック図である。表示装置50は、複数の画素101が行列状に配された画素アレイ100を走査する走査回路200と、複数の表示モードのうち選択された表示モードに応じて画素アレイ100の走査を行うように走査回路200を制御する制御回路300と、を含む。また、表示装置50は、表示装置50における各種の処理を制御する制御部400を含む。画素アレイ100は、画素アレイ100に配されるそれぞれの画素101が有機発光素子(有機EL素子)を含む、有機ELディスプレイであってもよい。また、例えば、画素アレイ100は、液晶ディスプレイであってもよい。画素アレイ100として、様々な種類のディスプレイを適宜、使用することが可能である。
【0012】
走査回路200は、制御回路300および制御部400によって制御され、画素アレイ100の行ごとに設けられた走査線210を介して画素101の発光を制御する。走査回路200は、垂直走査回路とも呼ばれうる。制御部400は、走査回路200の走査タイミングを制御する。制御回路300には、CPU20から表示モードを指定する表示モード制御信号が入力され、表示モード制御信号に基づいて走査回路200の走査シーケンスを制御する。図2に示される構成において、制御部400と制御回路300とは別体として示されているが、この構成に限られることはない。例えば、制御部400が、制御回路300の機能を備えていてもよい。
【0013】
表示装置50は、さらに、データ処理回路500および信号出力回路600を含む。画像処理部40から表示装置50に送られた画像表示データは、所定のデータ処理を行うデータ処理回路500を介して信号出力回路600に入力される。信号出力回路600は、制御部400によって制御され、画像表示データをアナログ変換した輝度信号を、画素アレイ100の列ごとに設けられたデータ線610を介して画素101に出力する。画素101は、走査回路200の制御に従って輝度信号を保持し、輝度信号に基づいた発光量で発光する。
【0014】
表示装置50は、上述のように複数の表示モードで画像を表示する。複数の表示モードは、走査回路200が画素アレイ100のうち所定の走査線210を所定の順番、例えば、所定のフレームレートで1フレームに1つの画像を表示するように画素アレイ100に配された走査線210を1つずつ順番に走査する表示モードAを含む。表示モードAの代表例としては、プログレッシブ方式が挙げられる。また、複数の表示モードは、1フレームの画像を奇数フィールドと偶数フィールドとの2つのフィールドに分けて、走査回路200が奇数フィールドを走査する走査シーケンスと偶数フィールドを走査する走査シーケンスとを含む複数の走査シーケンスで構成される動作単位を所定のフィールドレートで繰り返す表示モードBを含む。表示モードBの代表例としては、インターレース方式が挙げられる。ここで、本明細書における表示レートとは、表示モードAではフレームレートを指し、表示モードBではフィールドレートを指すこととする。
【0015】
次に、表示システムSYSの画像処理部40の動作について説明する。画像処理部40は、複数の表示モードのそれぞれに応じて、互いに異なる画像表示データを生成する。例えば、画像処理部40は、表示モードAに応じた画像処理A、表示モードBに応じた画像処理B1および画像処理B2を含む複数の画像処理モードで動作し、画像データから画像表示データを生成する。表示モードとして表示モードAが選択されている場合、画像処理部40は、画像処理Aを行う。また、表示モードとして表示モードBが選択されている場合、画像処理部40は、奇数フィールドを走査する際の処理として画像処理B1を行い、偶数フィールドを走査する際の処理として画像処理B2を行う。図1に示されている表示システムSYSの構成において、表示装置50と画像処理部40とは別体の構成として示されているが、これに限られることはない。表示装置50が、画像処理部40の機能を備えていてもよい。つまり、画像処理部40は表示システムSYSを構成する要素であるとともに、表示装置50の構成要素であってもよい。換言すると、表示装置50と画像処理部40とをあわせて、本開示における「表示装置」としてもよい。
【0016】
図3(a)~図3(d)は、画像メモリ10から画像処理部40に送られる画像データおよびそれぞれの画像処理モードにおいて画像処理部40から出力される画像表示データの一例を示す図である。図3(a)に示されるように、画像処理部40に入力される画像データは、N行の画像データである。ここで、説明を簡単にするため、Nは2の倍数とする。画像処理Aにおいて、画像処理部40は、図3(b)に示されるように、1行目からN行目までの全ての行のデータを画像表示データとして出力する。従って、画像処理Aでは、入力された画像データと同じデータが、画像表示データとして出力されうる。一方、画像処理B1および画像処理B2では、入力された画像データと異なるデータが、画像表示データとして出力される。画像処理B1において、画像処理部40は、図3(c)に示されるように、入力された画像データのうち奇数行、すなわち、1行目、3行目、5行目、・・・、N-1行目を取り出したデータを画像表示データとして表示装置50に出力する。また、画像処理B2において、画像処理部40は、図3(d)に示されるように、入力された画像データのうち偶数行、すなわち、2行目、4行目、6行目、・・・、N行目を取り出したデータを画像表示データとして表示装置50に出力する。
【0017】
次いで、各表示モードにおける走査回路200の動作について説明する。走査回路200は、複数の表示モードのうち選択された表示モードに応じて画素アレイ100の走査を行う。例えば、走査回路200は、走査シーケンスA、走査シーケンスB1、走査シーケンスB2の3種類の走査シーケンスで動作し、これら走査シーケンスは、制御回路300によって制御される。
【0018】
表示モードが表示モードAの場合、走査回路200は、1つ(1種類)の走査シーケンスAで画素アレイ100を走査する。また、表示モードが表示モードBの場合、走査回路200は、奇数フィールドを走査する走査シーケンスB1、および、偶数フィールドを走査する走査シーケンスB2によって構成される動作単位を繰り返す。
【0019】
図4は、走査シーケンスAにおける走査回路200の1フレームのタイミング図である。ここでは、画素アレイ100が、画素アレイ100に配されるそれぞれの画素101に有機EL素子が配されている、有機ELディスプレイであるとして説明する。時刻t10において、同期制御部30から同期信号が出力される。所定のブランキング期間を経た時刻t11において、画像処理部40は、表示装置50に画像表示データを出力する。表示装置50に画像表示データが入力されると、走査回路200は、1行目の画素101の輝度信号の書き込みを開始する。次いで、時刻t12において、走査回路200は、1行目の画素101への輝度信号の書き込みを完了し、1行目の画素101の発光を開始させる。また、時刻t12において、走査回路200は、2行目の画素101への輝度信号の書き込みを開始する。以降、走査回路200は、画素101への輝度信号の書き込みおよび発光を、1行、2行、3行、・・・、N行目の順番で実施する。時刻t13において、画像処理部40から表示装置50への画像表示データ入力が完了すると、走査回路200はN行目までの走査を完了し、1行目からN行目までの全ての行に対応する画素101が発光状態となる。画素101の発光は、次フレームにおいて輝度信号の書き込みが再び実施されるまで続けられる。例えば、時刻t12において発光を開始した1行目の画素101は、次フレームにおける時刻t11において発光を停止し、再度、輝度信号が書き込まれる。
【0020】
図5(a)、図5(b)は、走査シーケンスB1および走査シーケンスB2における走査回路200の1フィールドのタイミング図である。図5(a)には走査シーケンスB1における走査のタイミングが、図5(b)には走査シーケンスB2における走査のタイミングが、それぞれ示されている。
【0021】
走査シーケンスB1および走査シーケンスB2は、走査シーケンスAとは走査する行が異なっている。このため、表示モードAと表示モードBとにおいて、走査回路200は、それぞれ異なる走査シーケンスで画素アレイ100を走査するといえる。
【0022】
走査シーケンスB1において、走査回路200は、表示装置50に画像表示データが入力される時刻t11から走査を開始し、1行目、3行目、5行目、・・・、N-1行目の順で奇数行を走査する。輝度信号の書き込みが実施されない2行目、4行目、6行目、・・・、N行目(偶数行目)の画素101は、前フレームで書き込まれた輝度信号に応じた発光が維持される。一方、走査シーケンスB2において、走査回路200は、表示装置50に画像表示データが入力される時刻t11から走査を開始し、2行目、4行目、6行目、・・・、N行目の順で偶数行を走査する。輝度信号の書き込みが実施されない1行目、3行目、5行目、・・・、N-1行目(奇数行目)の画素101は、前フレームで書き込まれた輝度信号に応じた発光が維持される。
【0023】
このように、走査シーケンスB1と走査シーケンスB2とは、走査シーケンスAに対して走査を実施する行の数が半分となる。そのため、走査シーケンスB1と走査シーケンスB2とを行う表示モードBの表示レートが、走査シーケンスAを行う表示モードAの表示レートよりも高くなる。例えば、表示モードBでは、表示モードAに対して倍の表示レートを実現することができる。
【0024】
本実施形態では、表示モードB(走査シーケンスB1、走査シーケンスB2)において、走査回路200は、画素アレイ100のうち一部を走査することによって表示レートを向上させるが、表示レートを高める方法は、これに限られることはない。例えば、走査シーケンスB1、走査シーケンスB2において、走査回路200が、画素アレイ100のうち複数の行を同時に走査することによって表示レートを高めてもよい。
【0025】
次に、本開示における表示モードAと表示モードBとの間の表示モードの切り替えについて説明する。図6は、表示モードを切り替える際のタイミング図である。図6では、表示モードAにおける表示レートを60Hzとし、表示モードBにおける表示レートを120Hzとする場合を例に、表示装置50の動作が示されている。
【0026】
時刻t20において、CPU20から表示レート60Hz(表示モードA)を選択する信号が送信される。CPU20の表示モードの指示の後、時刻t21から、同期制御部30は、60Hz間隔で同期信号を出力する。時刻t21において、CPU20の表示モードの指示の後、最初の同期信号が出力されると、画像処理部40は、表示モードAに応じた画像処理Aを実行する。また、制御回路300は、走査回路200が走査シーケンスAで動作するように制御を行う。
【0027】
続いて、時刻t22において、CPU20から表示レート120Hz(表示モードB)を選択する信号が送信される。CPU20の表示モードを変更する指示の後、時刻t23から、同期制御部30は120Hz間隔で同期信号を出力する。時刻t23において、CPU20の表示モードの変更の指示の後、最初の同期信号が出力されると、画像処理部40は、表示モードBに応じた画像処理B1を実行する。また、制御回路300は、走査回路200が走査シーケンスB1で動作するように制御を行う。時刻t24において、同期制御部30から、時刻t23における同期信号の次の同期信号が出力されると、画像処理部40は、画像処理B2を実行する。また、制御回路300は、走査回路200が走査シーケンスB2で動作するように制御を行う。以降、同期制御部30が出力する同期信号に応じて、画像処理部40は画像処理B1と画像処理B2とを交互に実施し、制御回路300は走査シーケンスB1と走査シーケンスB2とを交互に走査回路200に繰り返し行わせる。
【0028】
時刻t25において、CPU20から再び表示レート60Hz(表示モードA)を選択する信号が送信される。CPU20の表示モードの変更の指示の後、時刻t26から、同期制御部30は60Hz間隔で同期信号を出力する。時刻t26において、CPU20の表示モードの変更の指示の後、最初の同期信号が出力されると、画像処理部40は画像処理Aを実行する。また、制御回路300は、走査回路200が走査シーケンスAで動作するように制御を行う。
【0029】
さらに、時刻t27において、CPU20から再び表示レート120Hz(表示モードB)を選択する信号が送信される。CPU20の表示モードの変更の指示の後、時刻t28から、同期制御部30は120Hz間隔で同期信号を出力する。画像処理部40は、時刻t28以降、時刻t23から時刻t25の期間と同様に、画像処理B1を実施した後、同期信号に応じて画像処理B1と画像処理B2とを交互に繰り返す。また、制御回路300も、時刻t23から時刻t25の期間と同様に、走査回路200が走査シーケンスB1で表示モードBにおける動作を開始するように制御する。その後、制御回路300は、同期信号に応じて走査シーケンスB1と走査シーケンスB2とを交互に走査回路200に繰り返し行わせる。
【0030】
このように、表示装置50は、表示モードAから表示モードBに移行する場合に、制御回路300は、表示モードBの走査シーケンスB1と走査シーケンスB2とによって構成される動作単位を走査シーケンスB1から開始するように走査回路200を制御する。これに合わせて、表示モードAから表示モードBに移行する場合に、画像処理部40も常に画像処理B1から開始することで、表示モードBに切り替えた際に、必ず正常な奇数フィールド画像を得ることができる。つまり、表示モードを切り替える際に、必ず同じ走査シーケンスで走査を開始するため、画像処理部40や表示装置50の動作を初期状態にする必要がない。このため、画像処理部40や表示装置50を初期化することによって表示画像が途切れるなど、画素アレイ100に表示される画像の画質が低下してしまうことが抑制される。結果として、表示装置50において、ユーザに不自然さを感じさせることなく、表示モードを切り替えることが可能となる。
【0031】
例えば、表示装置50は、カメラの接眼ファインダに電子式ファインダ(Electronic View Finder:EVF)として用いることができる。撮影時において、EVFは継続的に動作する必要があるため、光学式ファインダ(Optical View Finder:OVF)を用いるカメラに比べて、消費電力が増加してしまう。消費電力を抑制するために、例えば、シャッターボタンの操作状態に応じて、EVFの表示レートを切り替えることが考えられる。具体的には、シャッターボタンが半押しされているときは表示レートを高く、シャッターボタンが押されていないときは表示レートを遅くすることによって、消費電力を抑制することが可能となる。ユーザがシャッターボタンを半押ししたときに、EVFに表示される画像が一瞬、途切れてしまった場合、ユーザが違和感を覚えシャッターチャンスを逃してしまう可能性がある。一方、上述の制御を用いれば、ユーザに不自然さを感じさせることなく、表示モードを切り替えることが可能となる。結果として、消費電力を抑制しつつ、表示モードを切り替える際に、ユーザに違和感を覚えさせない表示装置50が実現できる。
【0032】
上述の実施形態では、表示モードAと表示モードBとの2種類の表示モードの間で表示モードを切り替えることを説明したが、これに限られることはない。3種類以上の表示モードの間で表示モードを切り替えてもよい。この場合、複数の表示モードのうち複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す表示モード以外の表示モードから複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す表示モードに移行する場合に、制御回路300は、複数の走査シーケンスで構成される動作単位を所定の同じ走査シーケンスから開始するように走査回路200を制御する。これによって、表示装置50において、自然な表示モードの切り替えが実現できる。
【0033】
図7は、本実施形態の制御回路300の構成例を示すブロック図である。制御回路300は、表示モード同期回路301と、同期制御部30から出力される同期信号をカウントするカウント部として機能する1ビットカウンタ302と、を含む。表示モード同期回路301には、CPU20から表示モード制御信号が入力される。表示モード同期回路301は、表示モード制御信号に基づき、同期信号に同期した表示モード信号を走査回路200に出力する。1ビットカウンタ302は、同期信号の計数結果をフィールド信号として出力する。1ビットカウンタ302の最大計数値は1である。オーバーフローすると再び0から計数をする。また、1ビットカウンタ302は、表示モード制御信号によってリセット制御される。制御回路300にて生成された表示モード信号およびフィールド信号によって、走査回路200が実施する走査シーケンスが制御される。
【0034】
図8には、図6の動作のタイミング図に追加して、CPU20が出力する表示モード制御信号、表示モード同期回路301が出力する表示モード信号およびフィールド信号が示されている。初期状態において、表示モード同期回路301は、表示モード信号をLoレベルにする。このとき、1ビットカウンタ302はリセットされ、フィールド信号はLoレベルとなる。
【0035】
時刻t20において、CPU20から表示レート60Hz(表示モードA)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はLoレベルとなる。CPU20の表示モードの指示の後、時刻t21から、同期制御部30は60Hz間隔で同期信号を出力する。表示モード同期回路301は、同期信号に同期して、表示モード制御信号を表示モード信号として出力する。ここでは、表示モード信号は初期状態のままLoレベルとなる。表示モード信号がLoレベルであるとき、走査回路200は走査シーケンスAで画素アレイ100の走査を実行する。また、表示モードAにおいて、カウント部である1ビットカウンタ302はリセット状態のままであり、フィールド信号はLoレベルを維持する。
【0036】
続いて、時刻t22において、CPU20から、表示レート120Hz(表示モードB)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はHiレベルとなる。CPU20の指示の後、時刻t22から、同期制御部30は120Hz間隔で同期信号を出力する。表示モード同期回路301は、同期信号に同期して、表示モード制御信号を表示モード信号に出力する。ここでは、表示モード信号がHiレベルになるとする。これに伴い、1ビットカウンタ302のリセット状態は解除される。次の同期信号が入力されると、1ビットカウンタ302は動作を開始する。従って、1ビットカウンタ302は、時刻t23ではフィールド信号をLoレベルとし、時刻t24ではフィールド信号をHiレベルとする。その後、同期信号が入力されるごとに、1ビットカウンタ302は、フィールド信号を反転出力する。つまり、カウント部である1ビットカウンタ302は、表示モードBにおいて、リセット状態からカウントを開始する。また、1ビットカウンタ302は、複数の表示モードのうち表示モードB以外の表示モードから表示モードBに移行する際にリセットされるともいえる。表示モード信号がHiレベルであるとき、走査回路200は、フィールド信号に基づいて走査シーケンスが決定される。フィールド信号がLoレベルのとき、走査回路200は、走査シーケンスB1を実施する。また、フィールド信号がHiレベルのとき、走査回路200は走査シーケンスB2を実行する。従って、走査回路200は、時刻t23から走査シーケンスB1で、時刻t24から走査シーケンスB2で動作する。以降、走査回路200は、走査シーケンスB1と走査シーケンスB2とを繰り返す。
【0037】
時刻t25において、CPU20から、再び、表示レート60Hz(表示モードA)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はLoレベルとなる。CPU20の指示の後、時刻t26から、同期制御部30は60Hz間隔で同期信号を出力する。表示モード同期回路301は、表示モード制御信号がLoレベルであるため、表示モード信号をLoレベルとする。従って、走査回路200は走査シーケンスAを実行する。また、1ビットカウンタ302は、時刻t26においてリセットされてフィールド信号はLoレベルとなる。
【0038】
時刻t27において、CPU20から、再び、表示レート120Hz(表示モードB)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はHiレベルとなる。これに従って、制御回路300は、時刻t23以降と同様の動作をする。つまり、1ビットカウンタ302がリセット状態から動作し、走査シーケンスB1および走査シーケンスB2を含む複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す表示モードBにおいて、走査回路200は、走査シーケンスB1から画素アレイ100の走査を開始する。
【0039】
以上のように、制御回路300を用いることによって、表示装置50は、2つの走査シーケンスを1つの動作単位として繰り返す表示モードBに切り替えた際に、同期信号に同期して、走査シーケンスを必ず走査シーケンスB1から開始することが可能となる。これに併せて、画像処理部40も、同様に画像処理B1から表示モードBにおける動作を開始することによって、表示モードBに切り替えた際に、必ず正常な奇数フィールド画像を得ることができる。この結果、表示モードを切り替える際に、画像処理部40および表示装置50を初期状態にする必要がない。このため、画像が途切れてしまうなど、ユーザに不自然さを感じさせることなく、表示モードを切り替えることが可能となる。図7に示されるような制御回路300を用いることによって、消費電力を抑制しつつ、表示モードを切り替える際に、ユーザに違和感を覚えさせない表示装置50が実現できる。
【0040】
本実施形態では、表示モードを切り替える際にカウンタ部である1ビットカウンタ302を「0」にリセットする例を挙げたが、表示モードを切り替える際に1ビットカウンタ302を「1」にセット(リセット)しても同様の効果を得ることができる。また、表示モードBに切り替わった際に、走査回路200は、走査シーケンスB1から開始する場合を例に挙げたが、走査シーケンスB2から開始してもよい。
【0041】
これまで、複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す表示モードとして、2つの走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す表示モードBを例に説明したが、1つの動作単位を構成する走査シーケンスの数は2つに限られることはない。例えば、表示システムSYS(表示装置50)は、表示モードとして、表示モードBと、表示モードCと、で動作してもよい。表示モードBは、上述した動作である。つまり、1フレームの画像を奇数フィールドと偶数フィールドとの2つのフィールドに分けて、所定のフィールドレートで1フィールドずつ画像を表示する。一方、表示モードCは、1フレームの画像を第1フィールドと第2フィールドと第3フィールドと第4フィールドとの4つのフィールドに分けて、所定のフィールドレートで1フィールドずつ画像を表示する。つまり、表示モードCは、4つの走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す。このように、表示モードCにおいて繰り返される走査シーケンスの種類の数が、表示モードBにおいて繰り返される走査シーケンスの種類の数よりも多くてもよい。
【0042】
表示モードCにおける画像処理部40の動作について説明する。図9(a)~図9(e)は、画像メモリ10から画像処理部40に送られる画像データおよびそれぞれの画像処理モードにおいて画像処理部40から出力される画像表示データの一例を示す図である。画像処理部40は、表示モードCにおいて、第1フィールドでは画像処理C1、第2フィールドでは画像処理C2、第3フィールドでは画像処理C3、第4フィールドでは画像処理C4を、それぞれ実施する。
【0043】
画像処理部40に入力される画像データは、図9(a)に示されるようなN行の画像データである。ここで、説明を簡単にするため、Nは4の倍数とする。画像処理C1において、画像処理部40は、図9(b)に示されるように、1行目、5行目、・・・、N-3行目と、1行目を先頭に4行ごとに取り出したデータを画像表示データとして出力する。画像処理C2において、画像処理部40は、図9(c)に示されるように、2行目、6行目、・・・、N-2行目と、2行目を先頭に4行ごとに取り出したデータを画像表示データとして出力する。画像処理C3において、画像処理部40は、図9(d)に示されるように、3行目、7行目、・・・、N-1行目と、3行目を先頭に4行ごとに取り出したデータを画像表示データとして出力する。画像処理C4において、画像処理部40は、図9(e)に示されるように、4行目、8行目、・・・、N行目と、4行目を先頭に4行ごとに取り出したデータを画像表示データとして出力する。
【0044】
次いで、表示モードCにおける走査回路200の動作について説明する。走査回路200は、表示モードBにおける走査シーケンスB1、走査シーケンスB2以外に、表示モードCにおける走査シーケンスC1、走査シーケンスC2、走査シーケンスC3、走査シーケンスC4の4つの走査シーケンスで動作する。これらの走査シーケンスは、制御回路300によって制御される。
【0045】
走査回路200は、表示モードが表示モードBの場合、上述と同様に、奇数フィールドを走査する走査シーケンスB1、および、偶数フィールドを走査する走査シーケンスB2によって構成される動作単位を繰り返す。また、表示モードが表示モードCの場合、走査回路200は、第1フィールドを走査する走査シーケンスC1、第2フィールドを走査する走査シーケンスC2、第3フィールドを走査する走査シーケンスC3、第4フィールドを走査する走査シーケンスC4によって構成される動作単位を繰り返す。
【0046】
図10(a)~図10(d)は、表示モードCにおける走査回路200の1フィールドのタイミング図である。図10(a)は走査シーケンスC1におけるタイミング、図10(b)は走査シーケンスC2におけるタイミング、図10(c)は走査シーケンスC3におけるタイミング、図10(d)は走査シーケンスC4におけるタイミングをそれぞれ示す。
【0047】
走査シーケンスC1において、走査回路200は、表示装置50に画像表示データが入力される時刻t11から輝度信号を書き込む走査を開始し、1行目、5行目、・・・、N-3行目の順で走査する。輝度信号の書き込みが実施されないその他の行は、前フレームまたは前フレームよりも前に書き込まれた輝度信号に応じた発光が維持される。走査シーケンスC2において、走査回路200は、表示装置50に画像表示データが入力される時刻t11から走査を開始し、2行目、6行目、・・・、N-2行目の順で走査する。走査シーケンスC1と同じく、輝度信号の書き込みが実施されないその他の行は、前フレームまたは前フレーム以前に書き込まれた輝度信号に応じた発光が維持される。同様に、走査回路200は、走査シーケンスC3において、3行目、7行目、・・・、N-2行目を、走査シーケンスC4において、4行目、8行目、・・・、N行目を走査する。
【0048】
このように、走査シーケンスC1~走査シーケンスC4は、走査シーケンスB1、走査シーケンスB2に対して走査を実施する行が半分となる。そのため、表示モードCの表示レートが、表示モードBの表示レートよりも高くなりうる。例えば、表示モードCでは、表示モードBに対して倍の表示レートを実現することができる。
【0049】
次に、4つの走査シーケンスを1つの動作単位として繰り返す表示モードCによる表示を実現するための制御回路300の一例について説明する。図11は、制御回路に4つの走査シーケンスを1つの動作単位として繰り返させるための、制御回路300の構成例を示すブロック図である。制御回路300は、表示モード同期回路301と、同期制御部30から出力される同期信号をカウントするカウント部として機能する2ビットカウンタ303と、信号遷移検出回路304と、を含む。表示モード同期回路301には、CPU20から表示モード制御信号が入力される。表示モード同期回路301は、表示モード制御信号に基づき、同期信号に同期した表示モード信号を走査回路200に出力する。2ビットカウンタ303は、同期信号の計数結果をフィールド信号として出力する。2ビットカウンタ303の最大計数値は3である。オーバーフローすると再び0から計数をする。また、2ビットカウンタ303は、信号遷移検出回路304から出力されるリセット信号によってリセット制御される。信号遷移検出回路304は、表示モードの論理変化を検出してリセット信号を出力する。制御回路300において生成された表示モード信号およびフィールド信号によって、走査回路200の走査シーケンスが制御される。
【0050】
図12には、表示モードBと表示モードCとの間で表示モードを切り替える際の、表示装置50の動作のタイミング図が示されている。図12には、表示モードBの際の表示レートを60Hzとし、表示モードCの際の表示レートを120Hzとする場合が示されている。
【0051】
初期状態において、表示モード同期回路301は、表示モード信号をHiレベルにする。時刻t30において、CPU20から表示レート60Hz(表示モードB)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はLoレベルとなる。CPU20の指示の後、時刻t31から、同期制御部30は60Hz間隔で同期信号を出力する。時刻t31において、CPU20の指示の後、最初の同期信号が出力されると、画像処理部40は画像処理B1を行う。また、表示モード同期回路301は、この同期信号に同期して、表示モード制御信号を表示モード信号として出力する。従って、表示モード信号はHiレベルからLoレベルに遷移する。信号遷移検出回路304は、表示モード信号の遷移を検出し、パルス状のリセット信号を出力する。これによって、2ビットカウンタ303はリセットされ、フィールド信号は0となる。つまり、カウント部である1ビットカウンタ302は、2つの走査シーケンスを1つの動作単位として繰り返す表示モードBにおいて、リセット状態からカウントを開始する。これによって、走査回路200は、走査シーケンスB1から表示モードBにおける走査を開始する。
【0052】
以降、同期制御部30が同期信号を出力すると、画像処理部40は画像処理B1と画像処理B2とを交互に繰り返す。また、2ビットカウンタは同期信号を計数し、フィールド信号として出力する。このとき、表示モード信号がLoレベルである期間において、走査回路200は、フィールド信号が0または2であるとき走査シーケンスB1を、フィールド信号が1または3であるとき走査シーケンスB2を実行する。従って、時刻t31以降、走査回路200は、走査シーケンスB1と走査シーケンスB2とを繰り返す。
【0053】
次いで、時刻t32において、CPU20から、表示レート120Hz(表示モードC)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はHiレベルとなる。CPU20の指示の後、時刻t33から、同期制御部30は120Hz間隔で同期信号を出力する。表示モード同期回路301は、同期信号に同期して、表示モード制御信号を表示モード信号に出力する。従って、表示モード信号はLoレベルからHiレベルに遷移する。信号遷移検出回路304は、表示モード信号の遷移を検出し、リセット信号を出力する。これによって、2ビットカウンタ303はリセットされ、フィールド信号は0となる。つまり、カウント部である1ビットカウンタ302は、4つの走査シーケンスを1つの動作単位として繰り返す表示モードCにおいて、リセット状態からカウントを開始する。2ビットカウンタ303は、複数の表示モードのうち表示モードC以外の表示モードから表示モードCに移行する際にリセットされるともいえる。これによって、走査回路200は、走査シーケンスC1から表示モードCにおける走査を開始する。
【0054】
以降、同期制御部30が同期信号を出力すると、画像処理部40は画像処理C1~画像処理C4を順番に繰り返す。また、2ビットカウンタは同期信号を計数し、フィールド信号として出力する。この表示モード信号がHiレベルである期間において、走査回路200は、フィールド信号が0であるとき走査シーケンスC1を、フィールド信号が1であるとき走査シーケンスC2を、フィールド信号が2であるとき走査シーケンスC3を、フィールド信号が3であるとき走査シーケンスC4を実行する。従って、時刻t33以降、走査回路200は、走査シーケンスC1~走査シーケンスC4を順番に繰り返す。
【0055】
時刻t35において、CPU20から、再び、表示レート60Hz(表示モードB)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はLoレベルとなる。CPU20の指示の後、時刻t36から、同期制御部30は60Hz間隔で同期信号を出力する。表示モード同期回路301は、同期信号に同期して、表示モード制御信号を表示モード信号に出力する。従って、表示モード信号はHiレベルからLoレベルに遷移する。このとき、信号遷移検出回路304によって2ビットカウンタ303はリセットされ、フィールド信号は0となる。従って、時刻t36以降は、時刻t31以降と同様の動作をする。
【0056】
さらに、時刻t37において、CPU20から、再び表示レート120Hz(表示モードC)を選択する信号が送信されると、表示モード制御信号はLoレベルとなる。CPU20の指示の後、時刻t36から、同期制御部30は120Hz間隔で同期信号を出力する。表示モード同期回路301は、同期信号に同期して、表示モード制御信号を表示モード信号に出力する。従って、表示モード信号はLoレベルからHiレベルに遷移する。信号遷移検出回路304によって2ビットカウンタ303はリセットされ、フィールド信号は0となる。従って、時刻t38以降は、時刻t33以降と同様の動作をする。
【0057】
このように、表示装置50は、複数のフィールドを走査する異なる2つの表示モードを切り替える際に、何れの表示モードにおいても複数の走査シーケンスで構成される動作単位を同じ特定の走査シーケンスから開始することができる。この結果、表示モードを切り替える際に、画像処理部40および表示装置50を初期状態にする必要がない。このため、自然な表示モードの切り替えを実現することができる。
【0058】
上述した実施形態において、表示モードを切り替え際にカウンタ部である2ビットカウンタ303を「0」にリセットする例を挙げたが、「0」以外の値にセット(リセット)しても同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、表示モードB、表示モードCのそれぞれの表示モードに対して共通のカウンタを有する場合を説明したが、表示モードごとにカウンタを独立して設けてもよい。この場合、複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す表示モードの数に応じて2つ以上のカウンタが必要となるが、それぞれの表示モードにおいて、走査するフィールドを計数可能なカウンタの構成であればよい。
【0059】
上述の実施形態で説明した表示モードは一例である。少なくとも1つの複数の走査シーケンスで構成される動作単位を繰り返す表示モードを有していれば、表示モードを切り替える際に同様の効果を得ることができる。従って、表示モードの数、各表示モードにおけるフィールドの数やフィールドデータの生成方法については限定されない。例えば、表示する画像の画質に応じて、上述の表示モードA、表示モードB、表示モードCの3つの表示モードを適宜、切り替えて表示装置50が表示するように動作をしてもよい。また、さらに4種類以上の表示モードを切り替えながら、表示装置50が表示するように動作してもよい。
【0060】
ここで、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)を光電変換装置、電子機器、照明装置、移動体、ウェアラブルデバイスに適用した応用例について図13~19を用いて説明する。他にも、表示装置50(表示システムSYS)には、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光デバイスなどの用途がある。表示装置50(表示システムSYS)は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカードなどからの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。また、カメラやインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0061】
図13は、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)の応用例を表す模式図である。図13に示される表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008を有していてもよい。表示装置1000において表示パネル1005に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタなどの能動素子が配される。バッテリー1008は、表示装置1000が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、この位置に設ける必要はない。
【0062】
図13に示される表示装置1000は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光し電気信号に光電変換する撮像素子とを有する光電変換装置(撮像装置)の表示部に用いられてもよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してもよい。また、表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってもよい。
【0063】
図14は、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)を用いた光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。光電変換装置1100は、撮像装置とも呼ばれうる。表示部であるビューファインダ1101に、上述の表示装置50(表示システムSYS)が適用できる。また、背面ディスプレイ1102に、上述の表示装置50(表示システムSYS)が適用されてもよい。これらの場合、表示装置50(表示システムSYS)は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示などを表示してもよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性などであってよい。
【0064】
撮像に適するタイミングはわずかな時間である場合が多いため、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、発光素子として有機EL素子などの有機発光材料を含む表示装置50(表示システムSYS)がビューファインダ1101に用いられてもよい。有機発光材料は応答速度が速いためである。有機発光材料を用いた表示装置50(表示システムSYS)は、表示速度が求められる、これらの装置に、液晶表示装置よりも適して用いることができる。
【0065】
光電変換装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、光学部を通過した光を受光する筐体1104内に収容されている光電変換素子(不図示)に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0066】
表示装置50(表示システムSYS)は、電子機器の表示部に適用されてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられる。
【0067】
図15は、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)を用いた電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1202は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する携帯機器は通信機器ということもできる。表示部1201に、上述の表示装置50(表示システムSYS)が適用できる。
【0068】
図16(a)、図16(b)は、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)を用いたさらなる応用例を表す模式図である。図16(a)は、テレビモニタやPCモニタなどの表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示装置1300において表示部1302に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。表示装置1300は、額縁1301と表示部1302とを支える土台1303を有していてもよい。土台1303は、図16(a)の形態に限られない。例えば、額縁1301の下辺が土台1303を兼ねていてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。表示装置1300において表示部1302に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。
【0069】
図16(b)は、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)を用いた他の応用例を表す模式図である。図16(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第1表示部1311、第2表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。表示装置1310において第1表示部1311、第2表示部1312に画像を表示する際に、表示される画像の画質などに応じて、上述したように表示モードを切り替えながら画像の表示を行ってもよい。第1表示部1311と第2表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第1表示部1311と第2表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第1表示部1311と第2表示部1312とは、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第1表示部と第2表示部とで1つの画像を表示してもよい。
【0070】
図17は、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)を用いた照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有していてもよい。光源1402には、上述の表示装置50(表示システムSYS)が適用できる。光学フィルム1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップなど、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。照明装置1400は、光学フィルム1404と光拡散部1405との両方を有していてもよいし、何れか一方のみを有していてもよい。
【0071】
照明装置1400は例えば室内を照明する装置である。照明装置1400は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置1400は、光源1402として機能する表示装置50(表示システムSYS)に接続される電源回路を有していてもよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。また、照明装置1400は、カラーフィルタを有してもよい。また、照明装置1400は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコンなどが挙げられる。
【0072】
図18は、本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)を用いた車両用の灯具の一例であるテールランプを有する自動車の模式図である。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作などを行った際に、テールランプ1501を点灯する形態であってもよい。本実施形態の表示装置50(表示システムSYS)は、車両用の灯具としてヘッドランプに用いられてもよい。自動車は移動体の一例であり、移動体は船舶やドローン、航空機、鉄道車両、無人搬送車(Automated Guided Vehicle:AGV)などの産業用ロボットなどであってもよい。移動体は、機体と機体に設けられた灯具とを有してよい。灯具は機体の現在位置を知らせるものであってもよい。
【0073】
テールランプ1501に、上述の表示装置50(表示システムSYS)が適用できる。テールランプ1501は、テールランプ1501として機能する表示装置50(表示システムSYS)を保護する保護部材を有してよい。保護部材は、ある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネートなどで構成されてもよい。また、保護部材は、ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体などを混ぜてよい。
【0074】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してもよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓であってもよいし、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイに、表示装置50(表示システムSYS)が用いられてもよい。この場合、表示装置50(表示システムSYS)が有する電極などの構成材料は透明な部材で構成される。また、自動車1500の計器盤(インストルメントパネル)やカーナビゲーション・システムの画像表示部などに、表示装置50(表示システムSYS)が用いられてもよい。
【0075】
図19(a)、図19(b)を参照して、上述の各実施形態の表示装置50(表示システムSYS)の適用例について、さらに説明する。表示装置50(表示システムSYS)は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される表示装置50(表示システムSYS)は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置50(表示システムSYS)とを有しうる。
【0076】
図19(a)は、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置50(表示システムSYS)が設けられている。
【0077】
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と各実施形態に係る表示装置50(表示システムSYS)に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
【0078】
図19(b)は、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置50(表示システムSYS)が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置50(表示システムSYS)からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置50(表示システムSYS)の動作を制御する。制御装置は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。
【0079】
赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。
【0080】
より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザの視線が検出される。
【0081】
本発明の一実施形態に係る表示装置50(表示システムSYS)は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザの視線情報に基づいて表示装置50(表示システムSYS)の表示画像を制御してもよい。
【0082】
具体的には、表示装置50(表示システムSYS)は、視線情報に基づいて、ユーザが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置50(表示システムSYS)の制御装置(例えば、制御回路300)が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置50(表示システムSYS)の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0083】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置50(表示システムSYS)の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0084】
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置50(表示システムSYS)に伝えられる。
【0085】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0086】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0087】
50:表示装置、100:画素アレイ、101:画素、200:走査回路、300:制御回路
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