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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】走行制御装置および走行制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241218BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20241218BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G06T7/00 650B
B60T7/12 C
B60T7/12 F
G08G1/16 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020167871
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059955
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雄介
【審査官】村山 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-203337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00-7/90
G06V 10/00-20/90
B60T 7/12
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像における、先行車両の画像を含む第1の画像領域に応じて設定された第2の画像領域において、画素値の勾配を検出することにより勾配データを生成する生成部と、
互いに異なる時間において撮像された前記撮像画像に基づいて前記生成部により前記勾配データとして生成された第1の勾配データと第2の勾配データとを比較する比較部と、
前記比較部の比較結果に基づいて、自車両を急停止させないように、前記自車両のブレーキ制御を抑制可能である制御部と
を備えた走行制御装置。
【請求項2】
前記比較部は、前記第1の勾配データと前記第2の勾配データとを比較することにより、前記第1の勾配データおよび前記第2の勾配データの類似度を算出し、
前記制御部は、前記類似度が第1のしきい値より低い場合に、前記ブレーキ制御を抑制可能である
請求項1に記載の走行制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記類似度と前記第1のしきい値との比較結果に応じた値を累積することにより評価値を算出し、前記評価値と所定値との比較結果に基づいて、前記ブレーキ制御を抑制可能である
請求項2に記載の走行制御装置。
【請求項4】
前記第1のしきい値は、複数のしきい値を含み、
前記制御部は、前記類似度と前記複数のしきい値のそれぞれとの大小関係に応じた値を累積することにより前記評価値を算出する
請求項3に記載の走行制御装置。
【請求項5】
前記撮像画像における画素値が所定の条件を満たすかどうかを確認する解析部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、前記所定の条件を満たすかどうかに応じた値を累積することにより前記評価値を算出する
請求項3または請求項4に記載の走行制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、所定の時間長を有する過去の期間において得られた複数の前記類似度が第2のしきい値よりも高い場合において、前記類似度が前記第1のしきい値より低い場合に、前記ブレーキ制御を抑制する
請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の走行制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮像画像が正常であること、前記車両の周囲が明るいこと、および前記車両のワイパーがオフ状態であることを満たした場合に、前記比較部の比較結果に基づいて、前記ブレーキ制御を抑制可能である
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の走行制御装置。
【請求項8】
前記比較部は、前記第1の勾配データと前記第2の勾配データとを比較することにより、前記第1の画像領域の画像が煙状物体の画像を含む可能性が高いかどうかを判定する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の走行制御装置。
【請求項9】
撮像画像における、先行車両の画像を含む第1の画像領域に応じて設定された第2の画像領域において、画素値の勾配を検出することにより勾配データを生成することと、
互いに異なる時間において撮像された前記撮像画像に基づいて前記勾配データとして生成された第1の勾配データと第2の勾配データとを比較することと、
前記第1の勾配データおよび前記第2の勾配データの比較結果に基づいて、自車両を急停止させないように、前記自車両のブレーキ制御を抑制することと
を含む走行制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の走行を制御する走行制御装置および走行制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される画像処理装置には、イメージセンサにより得られた撮像画像における水蒸気の画像を検出するものがある(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-186668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両では、撮像画像に基づいて先行車両を検出し、検出された先行車両に応じて走行制御を行う技術がある。車両が先行車両に追従して走行している場合において、例えば水蒸気や排気ガスなどの煙状物体がその先行車両付近に生じた場合には、適切にその車両のブレーキ制御を行うことが望まれる。
【0005】
適切に車両のブレーキ制御を行うことができる走行制御装置および走行制御方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る走行制御装置は、生成部と、比較部と、制御部とを備えている。生成部は、撮像画像における、先行車両の画像を含む第1の画像領域に応じて設定された第2の画像領域において、画素値の勾配を検出することにより勾配データを生成するように構成される。比較部は、互いに異なる時間において撮像された撮像画像に基づいて生成部により勾配データとして生成された第1の勾配データと第2の勾配データとを比較するように構成される。制御部は、比較部の比較結果に基づいて、自車両を急停止させないように、自車両のブレーキ制御を抑制可能に構成される。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る走行制御方法は、撮像画像における、先行車両の画像を含む第1の画像領域に応じて設定された第2の画像領域において、画素値の勾配を検出することにより勾配データを生成することと、互いに異なる時間において撮像された撮像画像に基づいて勾配データとして生成された第1の勾配データと第2の勾配データとを比較することと、第1の勾配データおよび第2の勾配データの比較結果に基づいて、自車両を急停止させないように、自車両のブレーキ制御を抑制することとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る走行制御装置および走行制御方法によれば、適切にブレーキ制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る走行制御装置の一構成例を表すブロック図である。
図2図1に示したステレオ画像の一例を表す説明図である。
図3図1に示した立体物検出部の一動作例を表す説明図である。
図4図1に示した車両探索部の一動作例を表す説明図である。
図5図1に示した勾配データ生成部32の一動作例を表す説明図である。
図6図1に示した勾配データ生成部32の一動作例を表す他の説明図である。
図7A図1に示した走行制御装置の一動作例を表すフローチャートである。
図7B図1に示した走行制御装置の一動作例を表す他のフローチャートである。
図8A】変形例に係る走行制御装置の一動作例を表すフローチャートである。
図8B】変形例に係る走行制御装置の一動作例を表す他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る走行制御装置(走行制御装置1)の一構成例を表すものである。なお、本開示の実施の形態に係る走行制御方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。走行制御装置1は、ステレオカメラ11と、処理部20とを備えている。走行制御装置1は、自動車等の車両10に搭載される。
【0012】
ステレオカメラ11は、車両10の前方を撮像することにより、互いに視差を有する一組の画像(左画像PLおよび右画像PR)を生成するように構成される。ステレオカメラ11は、左カメラ11Lと、右カメラ11Rとを有する。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rのそれぞれは、レンズとイメージセンサとを含んでいる。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rは、この例では、車両10の車両内において、車両10のフロントガラスの上部近傍に、車両10の幅方向に所定距離だけ離間して配置される。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rは、互いに同期して撮像動作を行う。左カメラ11Lは左画像PLを生成し、右カメラ11Rは右画像PRを生成する。左画像PLおよび右画像PRは、ステレオ画像PICを構成する。ステレオカメラ11は、所定のフレームレート(例えば60[fps])で撮像動作を行うことにより、一連のステレオ画像PICを生成するようになっている。
【0013】
図2は、ステレオ画像PICの一例を表すものであり、(A)は左画像PLの一例を示し、(B)は右画像PRの一例を示す。この例では、車両10が走行している走行路における車両10の前方に、先行車両90が走行している。左カメラ11Lがこの先行車両90を撮像することにより左画像PLを生成し、右カメラ11Rがこの先行車両90を撮像することにより右画像PRを生成する。ステレオカメラ11は、このような左画像PLおよび右画像PRを含むステレオ画像PICを生成するようになっている。
【0014】
処理部20(図1)は、ステレオカメラ11から供給されたステレオ画像PICに基づいて、車両10の前方の環境を認識し、その認識結果に基づいて車両10の走行制御を行うように構成される。処理部20は、例えば、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、処理データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)などにより構成される。処理部20は、距離画像生成部21と、立体物検出部22と、車両探索部23と、煙状物体検出部30と、走行制御部25とを有している。
【0015】
距離画像生成部21は、ステレオ画像PICに含まれる左画像PLおよび右画像PRに基づいて、ステレオマッチング処理やフィルタリング処理などを含む所定の画像処理を行うことにより、距離画像PZを生成するように構成される。距離画像生成部21は、左画像PLおよび右画像PRに基づいて、互いに対応する2つの画像点を含む対応点を特定することにより、ステレオマッチング処理を行う。距離画像PZの各画素における画素値は、視差値であり、例えば左画像PLにおける画像点の横座標の座標値と、右画像PRにおける画像点の横座標の座標値との差である。この視差値は、3次元の実空間における、各画素に対応する点までの距離値に対応している。なお、これに限定されるものではなく、例えば、複数の画素値のそれぞれは、3次元の実空間における、各画素に対応する点までの距離を示す距離値であってもよい。距離画像生成部21は、生成した距離画像PZを立体物検出部22に供給するようになっている。
【0016】
立体物検出部22は、距離画像PZに基づいて立体物を検出するように構成される。そして、立体物検出部22は、距離画像PZにおける、検出した立体物に対応する画像領域に、立体物領域Robjを設定するようになっている。
【0017】
図3は、立体物検出部22により検出された、距離画像PZにおける立体物領域Robjの一例を表すものである。なお、距離画像PZは視差値の画像であるが、この図3では、説明の便宜上、立体物そのものを描いている。距離画像PZでは、車両、建物、人物などの立体物に対応する画像領域において、連続した視差値を有する。立体物検出部22は、距離画像PZに含まれるこのような連続した視差値を利用して、立体物を検出する。そして、立体物検出部22は、距離画像PZにおける、検出した立体物に対応する画像領域に立体物領域Robjを設定する。そして、立体物検出部22は、設定した立体物領域Robjについての情報、およびその立体物領域Robjにおける視差値についての情報を、車両探索部23および走行制御部25に供給するようになっている。
【0018】
車両探索部23は、左画像PLおよび右画像PRのうちの一方である画像Pに基づいて、機械学習の技術を用いて、車両を探索するように構成される。
【0019】
図4は、車両探索部23の一動作例を模式的に表すものである。画像Pは、車両10の前方を走行する先行車両90の画像を含んでいる。車両探索部23は、画像Pにおいて、立体物検出部22により設定された立体物領域Robjを基準に、矩形状の複数の処理対象領域Rpを、例えば位置および大きさを少しずつ変化させながら順次設定する。そして、車両探索部23は、機械学習の技術を用いて、各処理対象領域Rpにおける車両スコアSCを算出する。この車両スコアSCは、処理対象領域Rpの画像が車両の特徴を含むほど高い値を示す。車両探索部23は、例えば、複数の処理対象領域Rpのうちの、車両スコアSCが最も高い処理対象領域Rpにおいて、その車両スコアSCが所定のスコア以上である場合に、その処理対象領域Rpを車両領域Rvとして設定する。画像Pは、例えば、左画像PLおよび右画像PRのうち、車両スコアSCが高い画像である。車両探索部23は、設定した車両領域Rvについての情報、および車両スコアSCを、煙状物体検出部30および走行制御部25に供給するようになっている。
【0020】
煙状物体検出部30は、画像Pに基づいて、例えば水蒸気や排気ガスなどの煙状物体を検出するように構成される。煙状物体検出部30は、画素値解析部31と、勾配データ生成部32と、類似度算出部33とを有している。
【0021】
画素値解析部31は、画像Pにおける各画素での画素値に基づいて、煙状物体があるかどうかを判定するように構成される。具体的には、画素値解析部31は、各画素での画素値が示す色や明るさについての情報に基づいて画像解析を行うことにより、煙状物体があるかどうかを判定する。例えば、画像Pに、色が、煙状物体を示す白色や灰色であり、明るさが、煙状物体を示す明るさであるような、適度な大きさの画像領域がある場合、画素値解析部31は、煙状物体があると判定することができる。そして、画素値解析部31は、煙状物体の判定結果を走行制御部25に供給するようになっている。
【0022】
勾配データ生成部32は、HOG(Histogram of Oriented Gradients)を用いて、画像Pにおける画素値の勾配データDGを生成するように構成される。
【0023】
図5は、画像Pにおける勾配データDGの一例を表すものである。この例では、画像Pは、先行車両90の画像を含んでいる。勾配データ生成部32は、車両探索部23により設定された車両領域Rvに基づいて、この車両領域Rvを含む演算領域Rgを設定し、その演算領域Rgに設定された複数(この例では35(=7×5)個)のセル領域のそれぞれにおいて、HOGを用いて画素値の勾配方向および画素値の勾配値を算出することにより、勾配データDGを生成する。この図5では、画素値の勾配方向についてのデータを示している。具体的には、図5に示した各セル領域における線の向きは、画像のエッジの向きを示している。勾配データDGは、例えば先行車両90の画像に応じたものとなる。よって、車両10が先行車両90に追従して走行している場合において、ステレオカメラ11により撮像された一連の画像Pに基づいて得られた勾配データDGは、互いにほぼ同じであることが期待される。
【0024】
図6は、勾配データDGの他の一例を表すものである。この画像Pでは、先行車両90の位置に煙状物体91が生じている。このような画像Pは、例えば、先行車両90が、水蒸気が発生しているマンホールの上を通りすぎた場合や、先行車両90から排気ガスが排出された場合に得られる。勾配データ生成部32は、直前に車両探索部23により設定された車両領域Rvに基づいて、図5の場合と同様に、画素値の勾配データDGを生成する。煙状物体91の画像は、先行車両90の画像とは異なるので、図6の画像Pに基づいて得られた勾配データDGは、図5の画像Pに基づいて得られた勾配データDGとは異なる。また、煙状物体91の濃淡は時間とともに変化するので、ステレオカメラ11により撮像された一連の画像Pに基づいて得られた、煙状物体91に応じた勾配データDGは、時間とともに変化し得る。
【0025】
勾配データ生成部32は、このような勾配データDGを生成し、生成した勾配データDGを類似度算出部33に供給するようになっている。
【0026】
類似度算出部33は、ステレオカメラ11により撮像された一連の画像Pのうちの、最新の画像Pに基づいて得られた勾配データDGと、その1つ前の画像Pに基づいて得られた勾配データDGとを比較することにより、類似度Aを算出するように構成される。具体的には、類似度算出部33は、最新の画像Pに基づいて得られた勾配データDG(勾配データDG1)と、その1つ前の画像Pに基づいて得られた勾配データDG(勾配データDG0)とに基づいて、この例ではコサイン類似度を算出することにより、類似度Aを算出する。この類似度Aは、例えば“0”以上“1”以下の値をとり得る。勾配データDG1と勾配データDG0とが互いに類似するほど、類似度Aは“1”に近い値になり、勾配データDG1と勾配データDG0とが互いに異なるほど、類似度Aは“0”に近い値になる。類似度算出部33は、勾配データDG1と勾配データDG0と比較することにより、このような類似度Aを算出し、算出した類似度Aについてのデータを走行制御部25に供給するようになっている。
【0027】
走行制御部25は、立体物検出部22の検出結果、車両探索部23の探索結果、煙状物体検出部30の検出結果、および車両10の車両制御装置(図示せず)から取得した車両情報INFに基づいて、車両10の走行制御を行うように構成される。車両情報INFは、例えば、車両10の走行速度、ヨー角などの走行情報や、車両10のフロントガラスを拭くワイパーや方向指示器などの動作状態を示す状態情報を含む。そして、走行制御部25は、この車両制御装置に対して、車両10の走行制御を指示する走行制御情報CTLを供給するようになっている。例えば、走行制御部25は、図5に示したように、車両10が先行車両90に追従して走行している場合において、検出対象である先行車両90が減速した場合には、車両10が減速するようにブレーキ制御を行う。また、走行制御部25は、例えば、車両10が先行車両90に追従して走行している場合において、図6に示したように、水蒸気や排気ガスなどの煙状物体91が生じた場合には、車両10を急停止させないように、適切にブレーキ制御を行う。すなわち、一般に、図6に示したように煙状物体91が生じた場合には、検出対象が先行車両90から煙状物体91に変更されることがあり得る。この場合には、煙状物体91は、一般にほぼ静止しているので、車両10が急停止するようにブレーキ制御が行われてしまう。走行制御装置1では、このような場合において、車両10を急停止させないように、適切にブレーキ制御を行うようになっている。
【0028】
ここで、勾配データ生成部32は、本開示における「生成部」の一具体例に対応する。類似度算出部33は、本開示における「比較部」の一具体例に対応する。走行制御部25は、本開示における「制御部」の一具体例に対応する。画素値解析部31は、本開示における「解析部」の一具体例に対応する。画像Pは、本開示における「撮像画像」の一具体例に対応する。車両領域Rvは、本開示における「第1の画像領域」の一具体例に対応する。演算領域Rgは、本開示における「第2の画像領域」の一具体例に対応する。類似度Aは、本開示における「類似度」の一具体例に対応する。
【0029】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の走行制御装置1の動作および作用について説明する。
【0030】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、走行制御装置1の全体動作概要を説明する。ステレオカメラ11は、車両10の前方を撮像することにより、互いに視差を有する左画像PLおよび右画像PRを含むステレオ画像PICを生成する。距離画像生成部21は、ステレオ画像PICに含まれる左画像PLおよび右画像PRに基づいて、距離画像PZを生成する。立体物検出部22は、距離画像PZに基づいて立体物を検出することにより、立体物領域Robjを設定する。車両探索部23は、左画像PLおよび右画像PRの一方である画像Pに基づいて、機械学習の技術を用いて、車両を探索することにより、車両領域Rvを設定する。煙状物体検出部30は、画像Pに基づいて、例えば水蒸気や排気ガスなどの煙状物体を検出する。走行制御部25は、立体物検出部22の検出結果、車両探索部23の探索結果、煙状物体検出部30の検出結果、および車両10の車両制御装置(図示せず)から取得した車両情報INFに基づいて、車両10の走行制御を行う。
【0031】
(詳細動作)
煙状物体検出部30において、画素値解析部31は、画像Pにおける各画素での画素値に基づいて画像解析を行うことにより、煙状物体があるかどうかを判定する。勾配データ生成部32は、HOGを用いて、画像Pにおける画素値の勾配データDGを生成する。類似度算出部33は、最新の画像Pに基づいて得られた勾配データDG(勾配データDG1)と、その1つ前の画像Pに基づいて得られた勾配データDG(勾配データDG0)とを比較することにより、類似度Aを算出する。走行制御部25は、煙状物体検出部30の検出結果および車両情報INFに基づいて、例えば、車両10が先行車両90に追従して走行している場合において、水蒸気や排気ガスなどの煙状物体が生じた場合に、車両10を急停止させないように、適切にブレーキ制御を行う。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0032】
図7A,7Bは、走行制御装置1の一動作例を表すものである。走行制御装置1は、ステレオカメラ11がステレオ画像PICを生成する度に、以下の処理を行う。
【0033】
まず、煙状物体検出部30は、画像Pにおける各画素での画素値に基づいて、煙状物体があるかどうかを判定する(ステップS101)。具体的には、画素値解析部31は、各画素での画素値が示す色や明るさについての情報に基づいて、煙状物体があるかどうかを判定する。例えば、図6に示したように、煙状物体91が生じた場合において、この煙状物体91がある程度濃い場合には、画素値解析部31は、煙状物体があると判定することができる。煙状物体がないと判定した場合(ステップS102において“N”)には、処理はステップS104に進む。
【0034】
煙状物体があると判定した場合(ステップS102において“Y”)には、走行制御部25は、カウント値CNTをインクリメントする(ステップS103)。このカウント値CNTは、値が大きいほど、画像Pが煙状物体の画像を含む可能性が高いことを示す煙状物体の評価値である。このように、画素値解析部31が、煙状物体があると判定した場合には、走行制御部25は、煙状物体の評価値であるカウント値CNTをインクリメントすることにより、カウント値CNTを“1”だけ増加させる。
【0035】
次に、走行制御部25は、車両探索部23の探索結果に基づいて、左画像PLおよび右画像PRの両方が正常であるかどうかを判定する(ステップS104)。具体的には、走行制御部25は、例えば、左画像PLに基づいて得られた車両スコアSCが所定の値を超えている場合には左画像PLは正常であると判定することができ、同様に、右画像PRに基づいて得られた車両スコアSCが所定の値を超えている場合には右画像PRは正常であると判定することができる。左画像PLおよび右画像PRのうちの少なくとも一方が正常ではない場合(ステップS104において“N”)には、処理はステップS110に進む。
【0036】
ステップS104において、左画像PLおよび右画像PRの両方が正常である場合(ステップS104において“Y”)には、走行制御部25は、画像Pに基づいて、車両10の周囲が明るいかどうかを確認する(ステップS105)。具体的には、走行制御部25は、各画素における画素値に基づいて、車両10の周囲の外部環境が明るいかどうかを確認する。周囲が明るくない場合(ステップS105において“N”)には、処理はステップS110に進む。
【0037】
ステップS105において、周囲が明るい場合(ステップS105において“Y”)には、走行制御部25は、車両10の車両制御装置(図示せず)から取得した車両情報INFに基づいて、ステレオカメラ11が配置されたフロントガラスを拭くワイパーの動作状態がオフ状態であるかどうかを確認する(ステップS106)。ワイパーがオン状態である場合(ステップS106において“N”)には、処理はステップS110に進む。
【0038】
ステップS104~S106の3つの条件は、類似度Aに基づく処理を行うための条件である。すなわち、例えば、左画像PLおよび右画像PRのうちの少なくとも一方が正常ではない場合(ステップS104)や、周囲が明るくない場合(ステップS105)や、ワイパーがオン状態である場合(ステップS106)には、得られた類似度Aは適切でない可能性がある。よって、走行制御装置1は、左画像PLおよび右画像PRの両方が正常であり(ステップS104)、周囲が明るく(ステップS105)、かつワイパーがオフ状態(ステップS106)である場合に、以下に説明するように、類似度Aに基づく処理を行う。
【0039】
ステップS106において、ワイパーがオフ状態である場合(ステップS106において“Y”)には、走行制御部25は、類似度算出部33が算出した類似度Aが、過去の所定の時間長を有する期間Tにおいてしきい値TH0以上を維持しているかどうかを確認する(ステップS107)。しきい値TH0は、この例では“0.9”である。図5に示したように、車両10が先行車両90に追従して走行している場合では、ステレオカメラ11により撮像された一連の画像Pに基づいて得られた勾配データDGは、互いにほぼ同じであることが期待されるので、類似度Aは、このような期間において、しきい値TH0以上を維持することが期待される。よって、このステップS106において、類似度Aが、過去の所定の時間長を有する期間Tにおいてしきい値TH0以上を維持していることを確認することにより、類似度Aが正常に算出されていることを確認することができる。類似度Aが期間Tにおいてしきい値TH0以上を維持していない場合(ステップS107において“N”)には、処理はステップS110に進む。
【0040】
ステップS107において、類似度Aが期間Tにおいてしきい値TH0以上を維持している場合(ステップS107において“Y”)には、走行制御部25は、類似度算出部33が算出した最新の類似度Aが、複数のしきい値THのいずれかより小さいかどうかを確認する(ステップS108)。この例では、複数のしきい値THは、しきい値THA,THBを含み、しきい値THAは“0.84”であり、しきい値THBは“0.75”である。
【0041】
例えば、図6に示したように、煙状物体91が生じた場合には、類似度Aが複数のしきい値THのいずれかより小さくなり得る。例えば、煙状物体91がある程度濃い場合には、類似度Aはしきい値THBより小さくなり得る。また、煙状物体が薄く、煙状物体の向こう側に先行車両90が薄く見える場合には、類似度Aは、煙状物体91がある程度濃い場合よりも大きくなり得るが、しきい値THAより小さくなり得る。すなわち、このように煙状物体が薄く、ステップS101において、画素値解析部31は煙状物体がないと判定する場合でも、類似度Aは、しきい値THAより小さくなり得る。類似度Aが、複数のしきい値THのいずれかより小さくない場合(ステップS108において“N”)には、処理はステップS110に進む。
【0042】
ステップS108において、類似度Aが、複数のしきい値THのいずれかより小さい場合(ステップS108において“Y”)には、走行制御部25は、類似度Aに応じてカウント値CNTを増加させる(ステップS109)。具体的には、例えば、走行制御部25は、複数のしきい値THのうちの、類似度Aが下回ったしきい値THの数に応じた分だけ、カウント値CNTを増加させることができる。例えば、走行制御部25は、類似度Aがしきい値THB(例えば“0.75”)より大きくしきい値THA(例えば“0.84”)より小さい場合に、カウント値CNTを“1”だけ増加させ、類似度Aがしきい値THB(例えば“0.75”)より小さい場合に、カウント値CNTを“2”だけ増加させることができる。
【0043】
そして、走行制御部25は、以上の処理において、カウント値CNTは増加したかどうかを確認する(ステップS110)。すなわち、走行制御部25は、ステップS103の処理、およびステップS109の処理のうちの少なくとも一方によりカウント値CNTが増加したかどうかを確認する。カウント値CNTが増加していない場合(ステップS110において“N”)には、走行制御部25は、カウント値CNTをデクリメントする(ステップS111)。すなわち、走行制御部25は、煙状物体の評価値であるカウント値CNTをデクリメントすることにより、カウント値CNTを“1”だけ減少させる。
【0044】
次に、走行制御部25は、カウント値CNTが所定のカウント値CNT0より大きいかどうかを確認する(ステップS112)。カウント値CNTが所定のカウント値CNT0より大きい場合(ステップS112において“Y”)には、走行制御部25は、ブレーキ制御を抑制する(ステップS113)。
【0045】
すなわち、走行制御部25は、通常、車両10の前方の検出対象が減速したり停止したりした場合には、車両10が減速するようにブレーキ制御を行う。よって、例えば、図5に示したように、走行制御部25は、車両10が先行車両90に追従して走行している場合において、検出対象である先行車両90が減速した場合には、車両10が減速するようにブレーキ制御を行う。同様に、走行制御部25は、図6に示したように煙状物体91が生じた場合には、検出対象が先行車両90から煙状物体91に変更されるので、車両10が急停止するようにブレーキ制御を行おうとする。しかしながら、煙状物体91が生じるのは一時的であり、煙状物体91そのものには衝突し得ないので、車両10を急停止させるようなブレーキ制御は必ずしも適切ではない。よって、走行制御部25は、このようなブレーキ制御を抑制する。具体的には、走行制御部25は、例えば、車両10をやや減速させるようにブレーキ制御を行う。なお、これに限定されるものではなく、車両10を減速させないように、ブレーキ制御を抑制してもよい。
【0046】
以上で、このフローは終了する。ここで、しきい値THは、本開示における「第1のしきい値」の一具体例に対応する。しきい値THA,THBは、本開示における「複数のしきい値」の一具体例に対応する。しきい値TH0は、本開示における「第2のしきい値」の一具体例に対応する。
【0047】
このように、走行制御装置1では、車両領域Rvに応じて設定された演算領域Rgにおいて、画素値の勾配を検出することにより勾配データDGを生成し、互いに異なる画像Pに基づいて生成された2つの勾配データDGを比較し、その比較結果に基づいて車両10のブレーキ制御を抑制することができるようにした。これにより、例えば図6に示したように、煙状物体91が生じた場合において、走行制御部25は、急停止させるようなブレーキ制御を行うかわりに、例えば、車両10をやや減速させるようなブレーキ制御を行うことができる。よって、走行制御装置1では、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0048】
また、走行制御装置1では、2つの勾配データDG0,DG1を比較することにより類似度Aを算出し、この類似度Aがしきい値THより低い場合に、ブレーキ制御を抑制することができるようにした。特に、走行制御装置1では、複数のしきい値THを設けるようにした。これにより、例えば、薄い煙状物体を検出した場合でも、高いしきい値THより低くなるので、カウント値CNTを増やすことができ、ブレーキ制御を抑制することができる。また、濃い煙状物体を検出した場合には低いしきい値THより低くなるので、カウント値CNTをより多く増やすことができ、ブレーキ制御を抑制するまでの応答時間を短くすることができる。このように、走行制御装置1では、類似度Aに基づいて、煙状物体の検出を柔軟に行うことができるので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0049】
また、走行制御装置1では、類似度Aとしきい値THとの比較結果に応じた値を累積することによりカウント値CNTを算出し、このカウント値CNTと所定のカウント値CNT0との比較結果に基づいて、ブレーキ制御を抑制することができるようにした。これにより、例えば、誤検出によりブレーキ制御が抑制されるおそれを低減することができるので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0050】
また、走行制御装置1では、類似度Aと複数のしきい値TH(しきい値THA,THB)のそれぞれとの大小関係に応じた値を累積することによりカウント値CNTを算出するようにした。これにより、例えば、濃い煙状物体を検出した場合にはカウント値CNTを2つ増加させ、薄い煙状物体を検出した場合にはカウント値CNTを1つ増加させることができる。その結果、走行制御装置1では、例えば、濃い煙状物体を検出した場合には、ブレーキ制御を抑制するまでの応答時間を短くすることができるので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0051】
また、走行制御装置1では、画像Pにおける画素値が所定の条件を満たすかどうかを確認し、さらにこの所定の条件を満たすかどうかに応じた値を累積することによりカウント値CNTを算出するようにした。これにより、走行制御装置1では、互いに原理が異なる、画素値解析部31が行う画素値に基づく処理と、類似度算出部33が行う勾配データDGの類似度Aに基づく処理とを用いて、ブレーキ制御を抑制するようにしたので、ブレーキ制御を抑制する旨の判断を適切に行うことができる。また、走行制御装置1では、この2つの処理により、カウント値CNTを算出するようにしたので、ブレーキ制御を抑制するまでの応答時間を短くすることができる。その結果、走行制御装置1では、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0052】
[効果]
以上のように本実施の形態では、両領域に応じて設定された演算領域において、画素値の勾配を検出することにより勾配データを生成し、互いに異なる画像に基づいて生成された2つの勾配データを比較し、その比較結果に基づいて車両のブレーキ制御を抑制することができるようにしたので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0053】
本実施の形態では、2つの勾配データを比較することにより類似度を算出し、この類似度がしきい値より低い場合に、ブレーキ制御を抑制することができるようにしたので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0054】
本実施の形態では、類似度としきい値との比較結果に応じた値を累積することによりカウント値を算出し、このカウント値と所定のカウント値との比較結果に基づいて、ブレーキ制御を抑制することができるようにしたので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0055】
本実施の形態では、類似度と複数のしきい値のそれぞれとの大小関係に応じた値を累積することによりカウント値を算出するようにしたので、ブレーキ制御を抑制するまでの応答時間を短くすることができるので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0056】
本実施の形態では、画像における画素値が所定の条件を満たすかどうかを確認し、さらに、この所定の条件を満たすかどうかに応じた値を累積することによりカウント値を算出するようにしたので、適切に車両のブレーキ制御を行うことができる。
【0057】
[変形例1]
上記実施の形態では、図7Aに示したように、ステップS104~S106の条件を満たした場合に、ステップS107以降の類似度Aに基づく処理を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、これに加えて、さらに他の条件を満たした場合に、類似度Aに基づく処理を行うようにしてもよい。以下に、本変形例に係る走行制御装置1Aについて詳細に説明する。走行制御装置1Aは、上記実施の形態に係る走行制御装置1(図1)と同様に処理部20Aを備えている。処理部20Aは、走行制御部25Aを有している。
【0058】
図8A,8Bは、本変形例に係る走行制御装置1Aの一動作例を表すものである。ステップS101~S103、およびステップS104~S113は、上記実施の形態に係る走行制御装置1(図7A,7B)と同様である。
【0059】
ステップS102,S103において、走行制御部25Aが、画素値解析部31の判定結果に応じた処理を終了した後に、走行制御部25Aは、検出対象が急停止したかどうかを確認する(ステップS121)。具体的には、走行制御部25Aは、例えば、立体物検出部22の検出結果に基づいて、車両10から、検出された立体物(検出対象)までの距離を取得し、その距離の時間変化に基づいて、車両10からみた、検出対象の相対速度を得ることができる。また、走行制御部25Aは、車両情報INFに基づいて、車両10の走行速度を得ることができる。走行制御部25Aは、これらの情報に基づいて、検出対象の走行速度を得ることができる。走行制御部25Aは、このようにして得られた検出対象の走行速度に基づいて、検出対象が急停止したかどうかを確認することができる。具体的には、走行制御部25Aは、例えば、検出対象の走行速度の平均値(平均走行速度Vave)を、検出対象の走行速度の瞬時値(走行速度V1)で減算した結果が、以下の式を満たす場合に、検出対象が急停止したと判断することができる。
Vave/V1 > 1.7
平均走行速度Vaveは、例えば、走行速度V1に対してフィルタをかけることによりノイズを除去し、除去された値を一定時間分だけ蓄積し、蓄積された値に基づいて重み付け平均を行うことにより算出される。右辺の“1.7”は一例であり、他の値であってもよい。なお、この判断は、例えば、走行速度V1が所定の速度(例えば時速20km)よりも遅い場合に行うようにしてもよい。検出対象が急停止していない場合(ステップS121において“N”)には、処理はステップS110に進む。すなわち、この場合には、走行制御部25Aは、車両10を急停止するようにブレーキ制御を行おうとしないので、車両10のブレーキ制御を抑制する必要がないため、処理はステップS110に進む。
【0060】
ステップS121において、検出対象が急停止した場合(ステップS121において“Y”)には、走行制御部25Aは、車両10が減速中であるかどうかを確認する(ステップS122)。具体的には、走行制御部25Aは、車両情報INFに基づいて、車両10の走行速度を得ることができるので、車両10が減速中であるかどうかを確認することができる。車両10が減速中である場合(ステップS122において“Y”)には、処理はステップS110に進む。すなわち、例えば車両10の自動ブレーキがすでに作動している場合には、ブレーキ制御を抑制する必要がないため、処理はステップS110に進む。
【0061】
ステップS122において、車両10が減速中でない場合(ステップS122において“N”)には、走行制御部25Aは、検出対象が、ステレオカメラ11の画角から外れたかどうかを確認する(ステップS123)。具体的には、走行制御部25Aは、例えば、車両探索部23の検出結果に基づいて、検出対象が画角から外れたかどうかを確認することができる。検出対象が画角から外れた場合(ステップS123において“Y”)には、処理はステップS110に進む。すなわち、この場合には、演算領域Rg(図5)を適切に設定できず、その結果、勾配データDGを適切に生成することができないので、処理はステップS110に進む。
【0062】
ステップS123において、検出対象が画角から外れていない場合(ステップS123において“N”)には、処理はステップS104に進む。
【0063】
なお、この例では、ステップS121~S123の3つの条件を用いたが、これに限定されるものではなく、これらの3つの条件のうちの1つまたは2つの条件のみを用いてもよい。
【0064】
[変形例2]
上記実施の形態では、複数のしきい値THは、2つのしきい値THA,THBを含むようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば3つ以上のしきい値THを含んでもよい。また、複数のしきい値THに限定されるものではなく、1つのしきい値THであってもよい。
【0065】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0066】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態では、ステレオカメラ11は車両10の前方を撮像するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、車両10の側方や後方を撮像してもよい。
【0068】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…走行制御装置、11…ステレオカメラ、11L…左カメラ、11R…右カメラ、20…処理部、21…距離画像生成部、22…立体物検出部、23…車両探索部、25…走行制御部、30…煙状物体検出部、31…画素値解析部、32…勾配データ生成部、33…類似度算出部、A…類似度、CNT,CNT0…カウント値、CTL…走行制御情報、DG…勾配データ、INF…車両情報、PIC…ステレオ画像、P…画像、PL…左画像、PR…右画像、PZ…距離画像、Rg…演算領域、Robj…立体物領域、Rp…処理対象領域、Rv…車両領域、TH0,THA,THB…しきい値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B