(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】熱伝導性シート
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20241218BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20241218BHJP
C09J 7/00 20180101ALI20241218BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20241218BHJP
C08G 59/32 20060101ALI20241218BHJP
C08K 3/00 20180101ALI20241218BHJP
【FI】
H05K7/20 Z
H01L23/36 D
C09J7/00
C09J163/00
C08G59/32
C08K3/00
(21)【出願番号】P 2020168670
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000190611
【氏名又は名称】日東シンコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田渕 聡寛
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-053180(JP,A)
【文献】特開平11-147936(JP,A)
【文献】特開2003-026769(JP,A)
【文献】特開2016-204419(JP,A)
【文献】特開2016-044211(JP,A)
【文献】特開2016-044208(JP,A)
【文献】特開2016-020420(JP,A)
【文献】特開2017-165921(JP,A)
【文献】特開2001-181479(JP,A)
【文献】特開2002-097252(JP,A)
【文献】特開平01-249826(JP,A)
【文献】特開昭58-198526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/32
H05K 7/20
H01L 23/36
C09J 7/00
C09J 163/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーが前記エポキシ樹脂中に分散されている樹脂組成物で構成された樹脂層を備えた熱伝導性シートであって、
前記樹脂組成物は、
前記エポキシ樹脂としての下記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂と、前記硬化剤としての下記式(2”)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂とを含む、又は、
前記エポキシ樹脂としての下記式(1”)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂と、前記硬化剤としての下記式(2’)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂とを含
み、
前記樹脂層を金属ベース回路基板の回路層に接着して使用するための、熱伝導性シート。
【化1】
(ただし、式(1)において、Rは、H又はCH
3で表される)
【化2】
【請求項2】
前記無機フィラーは、窒化ホウ素粒子を含む、
請求項
1に記載の熱伝導性シート。
【請求項3】
前記樹脂組成物は、
前記エポキシ樹脂としての下記式(1”)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂と、前記硬化剤としての下記式(2”)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂とを含む、
請求項1又は2に記載の熱伝導性シート。
【化3】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、及び、熱伝導性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレクトロニクス分野において、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとを含有する樹脂組成物が用いられている。
【0003】
下記特許文献1には、エポキシ樹脂と硬化剤と無機フィラーとを含有する樹脂組成物が硬化した硬化物を放熱シートとして使用することが開示されている。
このような放熱シートは、窒化ホウ素フィラーなどの無機フィラーを比較的多量に含有することから、放熱性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物は、上記のように比較的多量の無機フィラーを含有するものの、硬化物となったときの熱伝導性(放熱性)は必ずしも十分ではないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、硬化物となったときに、十分な熱伝導性を示すことができる樹脂組成物、及び、該樹脂組成物で構成された樹脂層を備えた熱伝導性シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討したところ、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーが前記エポキシ樹脂中に分散されている樹脂組成物において、特定のエポキシ樹脂及び特定の硬化剤を用いることによって、硬化物となったときに、該硬化物の熱伝導性が十分に高くなることを見出して、本発明を想到するに至った。
【0008】
即ち、本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーが前記エポキシ樹脂中に分散されている樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂は、下記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含み、
前記硬化剤は、下記式(2)または(3)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂の少なくとも一方を含む。
【0009】
【化1】
(ただし、式(1)において、Rは、C
nH
2n+1で表され、nは0以上の整数である)
【0010】
【化2】
(ただし、式(2)において、Rは、C
nH
2n+1で表され、nは0以上の整数である)
【0011】
【化3】
(ただし、式(3)において、nは1以上20以下の整数である)
【0012】
本発明に係る熱伝導性シートは、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーが前記エポキシ樹脂中に分散されている樹脂組成物で構成された樹脂層を備えた熱伝導性シートであって、
前記エポキシ樹脂は、下記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含み、
前記硬化剤は、下記式(2)または(3)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂の少なくとも一方を含む。
【0013】
【化4】
(ただし、式(1)において、Rは、C
nH
2n+1で表され、nは0以上の整数である)
【0014】
【化5】
(ただし、式(2)において、Rは、C
nH
2n+1で表され、nは0以上の整数である)
【0015】
【化6】
(ただし、式(3)において、nは1以上20以下の整数である)
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、硬化物となったときに、十分な熱伝導性を示すことができる樹脂組成物、及び、該樹脂組成物で構成された樹脂層を備えた熱伝導性シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
(樹脂組成物)
本実施形態に係る樹脂組成物は、最終的に硬化物を構成することとなる成分を含む。すなわち、本実施形態に係る樹脂組成物は、重合によって硬化樹脂となる重合性成分を含有する。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化後の硬化物が良好な熱伝導性を有するように、無機フィラーを含有する。
なお、本実施形態に係る樹脂組成物は、プラスチック配合薬品として一般に用いられる添加剤を本発明の効果を損なわない範囲において含有してもよい。
【0020】
本実施形態に係る樹脂組成物では、硬化後の硬化物の100質量部に占める前記重合性成分の含有割合は、好ましくは10質量部以上70質量部以下、より好ましくは30質量部以上40質量部以下である。
【0021】
本実施形態に係る樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、その固形分を100体積部としたときに、無機フィラーを、好ましくは10体積部以上60体積部以下含有することが好ましく、30体積部以上60体積部以下含有することがより好ましく、50体積部以上60体積部以下含有することがさらに好ましい。
また、前記硬化物における前記無機フィラーの含有割合が上記のような範囲内となり易くなるという観点から、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記重合性成分100質量部に対して、前記無機フィラーを、30質量部以上90質量部以下含有することが好ましく、60質量部以上80質量部以下含有することがより好ましい。
【0022】
さらに、本実施形態に係る樹脂組成物は、無機フィラー100質量部に対して、前記添加剤を、0.005質量部以上0.05質量部以下含有することが好ましく、0.01質量部以上0.03質量部以下含有することがより好ましい。
【0023】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記重合性成分として、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含有する。本実施形態では、エポキシ樹脂が硬化剤とともに硬化することにより、硬化樹脂となる。
【0024】
エポキシ樹脂は、下記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含む。下記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、常温(例えば、23±2℃)で半固体状である固体エポキシ樹脂である。下記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂の例としては、下記式(1’)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及び、下記式(1’’)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、「半固体状」とは、外力によって変形を生じるものの自然流動を生じることがない状態を意味する。
【0025】
【化7】
(ただし、式(1)において、Rは、C
nH
2n+1で表され、nは0以上の整数である。)
【0026】
【0027】
【0028】
硬化剤は、下記式(2)または(3)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂の少なくとも一方を含む。
また、下記式(2)で示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂ルの例としては、下記式(2’)で示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂、及び、下記式(2’’)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂が挙げられる。
【0029】
【化10】
(ただし、式(2)において、Rは、C
nH
2n+1で表され、nは0以上の整数である)
【0030】
【化11】
(ただし、式(3)において、nは1以上20以下の整数である)
【0031】
【0032】
【0033】
前記重合性成分に占める、エポキシ樹脂と硬化剤との合計量の割合は、80質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
【0034】
前記エポキシ樹脂の当量に対するエポキシ樹脂の硬化剤の当量の比(前記エポキシ樹脂のエポキシ基に対する前記エポキシ樹脂の硬化剤の活性水性のモル比)は、1/2以上2/1以下であることが好ましく、2/3以上3/2以下であることがより好ましい。
【0035】
無機フィラーは、エポキシ樹脂中に分散されている。無機フィラーとしては、窒化ホウ素フィラー、窒化アルミニウムフィラー、窒化ケイ素フィラー、窒化ガリウムフィラー、アルミナフィラー、炭化ケイ素フィラー、二酸化ケイ素フィラー、酸化マグネシウムフィラー、ダイヤモンドフィラーなどの無機粒子が挙げられる。これらの中でも、窒化ホウ素フィラー(窒化ホウ素粒子)が好ましい。
【0036】
無機フィラーは、複数の一次粒子が凝集した凝集粒子を含んでいることが好ましい。凝集粒子を含むことにより、上記の無機粒子の粒子径を大きくすることができるので、エポキシ樹脂中での上記の無機粒子間の間隔を小さくすることができる。これにより、本実施形態に係る樹脂組成物が硬化物となったときの熱伝導性(放熱性)をより向上させることができる。
【0037】
無機フィラーは、窒化アルミニウムウィスカーを含んでいてもよい。
【0038】
窒化アルミニウムウィスカーは、太さ2~3μm、長さ数10μm~数1000μmを有し、かつ、20℃における熱伝導率が170W/(m・K)以上にもなる繊維状の高熱伝導性無機フィラーである。
窒化アルミニウムウィスカーは、上記のような高熱伝導性を示し、かつ、上記のような長さを有することから、上記の無機粒子とともに窒化アルミニウムウィスカーを本実施形態に係る樹脂組成物中に含有させると、該樹脂組成物が硬化物となったときに、上記の無機粒子どうしをつなぐ役割を果たすようになると考えられる。すなわち、樹脂組成物の硬化物中に、上記の無機粒子どうしをつなぐ放熱パスが形成されるようになると考えられるため、この放熱パスを経由して放熱が促進されるようになると考えられる。
これにより、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物の熱伝導性がより向上するようになると考えられる。
【0039】
無機フィラーが、窒化アルミニウムウィスカーを含む場合、上記のエポキシ樹脂は、常温(23±2℃)で液体状である液状エポキシ樹脂をさらに含むことが好ましい。上記のエポキシ樹脂が液状エポキシ樹脂をさらに含むことにより、窒化アルミニウムウィスカーをエポキシ樹脂中により十分に分散させることができる。
【0040】
液状エポキシ樹脂としては、市販の液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いることができる。市販の液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、JER(登録商標)825、JER(登録商標)827、JER(登録商標)828、JER(登録商標)828EL、JER(登録商標)828US、JER(登録商標)828XA、JER(登録商標)824などが挙げられる。これらの中でも、JER(登録商標)828を用いることが好ましい。
【0041】
液状エポキシ樹脂は、本実施形態に係る樹脂組成物中において、窒化アルミニウムウィスカーの1体積部に対して、20体積部以上30体積部以下含まれていることが好ましく、22体積部以上28体積部以上含まれていることがより好ましく、24体積部以上26体積部以下含まれていることがさらに好ましい。
【0042】
上記のごとく、上記の無機粒子間に窒化アルミニウムウィスカーによる放熱パスを十分に形成するためには、窒化アルミニウムウィスカーは分散した状態であることが好ましい。一方で、一般に、窒化アルミニウムウィスカーは、綿状に凝集している。そのため、窒化アルミニウムウィスカーは、液体エポキシ樹脂中でほぐされて分散されていることが好ましい。
【0043】
無機フィラーが窒化アルミニウムウィスカーをさらに含む場合、本実施形態に係る樹脂組成物を硬化して得られる硬化物において、窒化アルミニウムウィスカーは、無機フィラーの総体積部に対して、0.07体積部以上0.50体積部以下含まれていることが好ましく、0.08体積部以上0.40体積部以下含まれていることがより好ましく、0.08体積部以上0.34体積部以下含まれていることがさらに好ましい。
【0044】
ところで、本実施形態に係る樹脂組成物が硬化体となったときに十分な熱伝導性を示す理由が定かではないが、本発明者は、その理由について以下のように考えている。
【0045】
一般に、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物が硬化体となったときに、十分な熱伝導性を示すためには、前記硬化体において、十分な格子振動を生じさせる必要がある。そして、前記硬化体において、十分な格子振動を生じさせるためには、熱エネルギーを有するフォノンの散乱を抑制して、該フォノンを波束として十分に伝播させる必要がある。
ここで、本実施形態に係る樹脂組成物は、前記重合性成分として、上記式(1)で表されるような、架橋反応に寄与するエポキシ基を構造中に3個有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含んでいるとともに、上記式(2)または(3)で表されるような、架橋反応に寄与する水酸基(活性水素)を構造中に3個以上有するトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤)を含んでいるので、前記トリフェニルメタン型エポキシ樹脂と前記トリフェニルメタン型フェノール樹脂とが互いに連続して粗大な一分子を形成するように架橋反応が進行していると考えられる。
そのため、本実施形態に係る樹脂組成物が硬化体とされたときに、フォノンの散乱を抑制でき、該フォノンを波束として十分に伝播できていると考えられる。
また、本実施形態に係る樹脂組成物は、上記式(1)で表されるような、3個の芳香環を有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含んでいるとともに、上記式(2)または(3)で表されるような、3個以上の芳香環を有するトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤)を含んでいるので、本実施形態に係る樹脂組成物が硬化体とされたときに、該硬化体内において、これらの芳香環どうしが電子的にしっかりとしたスタック構造をとっていると考えられる。これによっても、フォノンの散乱を抑制でき、該フォノンを波束として十分に伝播できていると考えられる。
さらに、本実施形態に係る樹脂組成物は、上記のごとく、上記式(1)で表されるような、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂と、上記式(2)または(3)で表されるような、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とを含んでいるので、前記樹脂組成物中におけるπ電子の密度が比較的高くなっていると考えられる。
そして、このπ電子も、金属中において金属結合を形成する自由電子と同様に、熱伝導性に寄与していると考えられるので、本実施形態に係る樹脂組成物は、硬化体とされたときに、比較的高密度で存在していると考えられるπ電子によっても熱伝導性が高められていると考えられる。
上記のような理由により、本実施形態に係る樹脂組成物は、十分な熱伝導性を示すものになっていると、本発明者は考えている。
【0046】
前記添加剤としては、例えば、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との硬化反応を促進する硬化促進剤が挙げられ、また、分散剤、粘着性付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、安定剤、消泡剤、難燃剤、増粘剤、顔料なども挙げられる。
【0047】
前記硬化促進剤としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム テトラフェニルボレート(Tetraphenylphosphonium tetraphenylborate)、イミダゾール類、トリフェニルフォスフェイト(TPP)、アミン系硬化促進剤などが挙げられる。該アミン系硬化促進剤としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミンなどが挙げられる。
【0048】
本実施形態に係る樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂と前記硬化剤との合計100質量部に対して、前記硬化促進剤を、0.5質量部以上1.5質量部以下含有することが好ましく、0.5質量部以上1.0質量部以下含有することがより好ましい。
【0049】
本実施形態に係る樹脂組成物は、ある程度硬化反応が進んだものの、完全に硬化していない状態であってもよい。換言すると、樹脂組成物中の一部で硬化反応が進行した状態であってもよい。例えば、樹脂組成物は、流動性を有した状態でシート状に塗工され、その後、部分的に硬化された状態であってもよい。一部で硬化反応が進行した状態であっても、本実施形態に係る樹脂組成物は、上記のエポキシ樹脂と、上記の硬化剤と、上記の無機フィラーとを含有する。
【0050】
(樹脂組成物の製造方法)
本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法は、上記式(1)のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂と、上記式(2)または(3)のトリフェニルメタン型フェノール樹脂(硬化剤)の少なくとも一方と、無機フィラーとを含有する原料を混練し、上記式(1)のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂中に無機フィラーが分散されている樹脂組成物を調製する混練工程を含む。
無機フィラーは、窒化ホウ素フィラー(窒化ホウ素粒子)を含んでいることが好ましい。
また、無機フィラーは、複数の一次粒子が凝集した凝集粒子を含むことが好ましい。
【0051】
無機フィラーは、窒化アルミニウムウィスカーを含んでいてもよい。無機フィラーが窒化アルミニウムウィスカーを含む場合、エポキシ樹脂は、上記式(1)のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂に加えて、常温で液体状である液状エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
また、無機フィラーが窒化アルミニウムウィスカーを含む場合、本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法では、前記混練工程の前に、窒化アルミニウムウィスカーを液状エポキシ樹脂中に分散させる予備混練工程を実施することが好ましい。
【0052】
上記したように、一般に、窒化アルミニウムウィスカーは綿状に凝集しているものの、上記のように、混練工程の前に、予備混練工程を実施することにより、綿状に凝集した窒化アルミニウムウィスカーを液状エポキシ樹脂中で十分にほぐすことができる。本実施形態に係る樹脂組成物の製造方法では、このように十分に解された窒化アルミニウムウィスカーにて混練工程を実施するので、エポキシ樹脂中において、窒化アルミニウムウィスカーを十分に分散させることができる。これにより、エポキシ樹脂中に分散された無機粒子間を窒化アルミニウムウィスカーで十分につなぐことができるので、上記製造方法により得られた樹脂組成物を硬化体としたときの熱伝導性をより向上させることができる。
【0053】
上記したように、前記無機フィラーが窒化アルミニウムウィスカーを含み、かつ、前記エポキシ樹脂が液状エポキシ樹脂を含んでいる場合、混練工程の前に予備混練工程を実施すると、窒化アルミニウムウィスカーが十分にほぐされた状態で混練工程を行うことができる。そのため、混練工程において過度の混練を行わずとも、樹脂組成物中に無機粒子を十分に分散させることができる。
これにより、無機フィラーが凝集粒子を含む場合であっても、該凝集粒子の凝集状態を比較的維持しつつ、エポキシ樹脂中に無機フィラーを十分に分散させることができる。上記したように、凝集粒子を含むことにより、無機粒子間の間隔を小さくすることができるので、樹脂組成物中において、窒化アルミニウムウィスカーによる無機粒子間の放熱パスを形成し易くなる。その結果、樹脂組成物を硬化体としたときの熱伝導性をより向上させることができる。
【0054】
(熱伝導性シート)
本実施形態に係る熱伝導性シートは、上記した樹脂組成物で構成された樹脂層を備えている。そのため、本実施形態に係る熱伝導性シートは、熱伝導性が向上されたものとなる。
【0055】
前記熱伝導性シートの被着体の材質としては、金属が好ましい。詳しくは、銅又はアルミニウムを含む金属が好ましい。
【0056】
本実施形態に係る熱伝導性シートは、金属ベース回路基板に用いられうる。該金属ベース回路基板は、例えば、熱伝導性シートに回路層が接着されて構成される。斯かる構成からなる金属ベース回路基板は、本実施形態に係る熱伝導性シートを有しているため、この金属ベース回路基板も熱伝導性が向上されたものとなる。
【0057】
更に、本実施形態に係る熱伝導性シートは、例えばパワーモジュールに用いられる。該パワーモジュールは、例えば、前記金属ベース回路基板の回路層の上に、半導体チップやパワーICなどの発熱素子が実装され、これらの素子が一旦シリコーンゲルにて封止され、さらにシリコーンゲル上に樹脂モールドが実施されて構成される。斯かる構成からなるパワーモジュールは、本実施形態に係る熱伝導性シートを有しているため、このパワーモジュールも熱伝導性が向上されたものとなる。
【0058】
なお、本発明に係る樹脂組成物、及び、熱伝導性シートは、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る樹脂組成物、及び、熱伝導性シートは、上記した作用効果によって限定されるものでもない。本発明に係る樹脂組成物、及び、熱伝導性シートは、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0059】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明をさらに詳しく説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0060】
(実施例1(参考例1に相当))
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてのエポキシ樹脂A、トリフェニルメタン型フェノール樹脂としてのフェノール樹脂A(硬化剤)、硬化促進剤、及び、無機フィラーを混練することにより、実施例1に係る樹脂組成物を得た。
なお、前記エポキシ樹脂A、前記フェノール樹脂A、前記硬化促進剤、及び、前記無機フィラーは、以下の通りのものである。
・エポキシ樹脂A:下記式(1’)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(Tactix(登録商標)742、ハンツマン社製)
・フェノール樹脂A(硬化剤):下記式(2’)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂(Tris P-PHBA、本州化学社製)
・硬化促進剤:テトラフェニルホスホニウム テトラフェニルボレート(Tetraphenylphosphonium tetraphenylborate)(TPP-K(登録商標)、北興化学工業社製)
・無機フィラー:窒化ホウ素フィラー(BNフィラー)
エポキシ樹脂A及びフェノール樹脂Aは、当量比1:1で樹脂組成物に含有させた。
また、硬化促進剤は、エポキシ樹脂Aとフェノール樹脂Aとの合計100質量部に対して0.01質量部で樹脂組成物に含有させた。
さらに、樹脂組成物の硬化後において該樹脂組成物の硬化物の固形分を100体積部としたときの無機フィラーの含有割合が59.0体積部となるように、無機フィラーを樹脂組成物に含有させた。
【0061】
【0062】
【0063】
(実施例2)
フェノール樹脂Aに代えて、トリフェニルメタン型フェノール樹脂としてのフェノール樹脂B(硬化剤)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る樹脂組成物を得た。
なお、フェノール樹脂Bとしては、下記式(2’’)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂(BIP-PHAP、旭有機材社製)を用いた。
【0064】
【0065】
(参考例3)
フェノール樹脂Aに代えて、トリフェニルメタン型フェノール樹脂としてのフェノール樹脂C(硬化剤)を用いた以外は、実施例1と同様にして、参考例3に係る樹脂組成物を得た。
なお、フェノール樹脂Cとしては、下記式(3)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂(TPM-100、群栄化学工業社製)を用いた。
【0066】
【化17】
(ただし、式(3)において、nは1以上20以下の整数である)
【0067】
(実施例4)
エポキシ樹脂Aに代えて、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂としてのエポキシ樹脂Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る樹脂組成物を得た。
なお、エポキシ樹脂Bとしては、下記式(1’’)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(EPALLOY(登録商標)9000、CVC Thermoset C社製)を用いた。
【0068】
【0069】
(実施例5)
エポキシ樹脂Aに代えてエポキシ樹脂Bを用い、フェノール樹脂Aに代えてフェノール樹脂Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る樹脂組成物を得た。
【0070】
(参考例6)
エポキシ樹脂Aに代えてエポキシ樹脂Bを用い、フェノール樹脂Aに代えてフェノール樹脂Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、参考例6に係る樹脂組成物を得た。
【0071】
(比較例1)
フェノール樹脂Aに代えて、ノボラック型フェノール樹脂(フェノール樹脂D)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る樹脂組成物を得た。
【0072】
(比較例2)
エポキシ樹脂Aに代えてエポキシ樹脂Bを用い、フェノール樹脂Aに代えてノボラック型フェノール樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る樹脂組成物を得た。
【0073】
(比較例3)
エポキシ樹脂Aに代えて、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂以外の多官能エポキシ樹脂を用い、フェノール樹脂Aに代えて、下記式(4)で示されるフェノール樹脂(フェノール樹脂E、GS-200、群栄化学工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係る樹脂組成物を得た。
【0074】
【0075】
(比較例4)
エポキシ樹脂Aに代えて、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(JER(登録商標)1009、三菱ケミカルホールディング社製)を用い、フェノール樹脂Aに代えて、ノボラック型フェノール樹脂(フェノール樹脂D)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係る樹脂組成物を得た。
【0076】
<熱伝導率>
熱伝導率の測定にあたって、以下のようにして絶縁放熱シートを作製した。
まず、基材たる銅箔(面積:2500cm2)に、各例に係る樹脂組成物(厚み:約200μm)をそれぞれ塗工した。塗工方法としては、コーター方式、ロール トゥ ロールを採用し、乾燥条件としては、120℃で5分間とした。このようにして各例に係る樹脂組成物について樹脂シートをそれぞれ作製した。
次に、各例に係る樹脂シートのそれぞれについて、基材と接していない面同士が向かい合うように、2枚の同種の樹脂シートを重ね合わせて、温度100℃、圧力8Mpa、時間20分の条件で熱プレスし、金属箔を備えた絶縁放熱シート(絶縁層厚さ0.22±0.04mm)を作製した。
【0077】
上記絶縁放熱シートの両面から金属箔である銅箔をエッチングにより除去し、この絶縁放熱シートから1辺が10mm±0.5mmとなるように樹脂硬化体を矩形状に切り出し、切り出した樹脂硬化体の両面に反射防止剤(ファインケミカルジャパン株式会社製、品番:FC-153)を塗布したものを熱拡散率測定試料とした。
熱伝導度の値は、キセノンフラッシュアナライザー(NETZSCH社製、LFA-447型)を用いて上記熱拡散率測定試料について測定した熱拡散率の値に、JIS 7123:1987に準拠して熱流束DSCにて測定した比熱の値、及び、JIS K 7122:1999に準拠して水中置換法にて測定した密度の値を乗じて算出した。上記熱拡散率の値は、3個の測定試料について測定した熱拡散率の値を算術平均して求めた。また、上記熱拡散率の測定は、測定試料1個について5点行い、各測定試料について、最大値と最小値を除外した3点の値を算術平均したものを測定値とした。
熱伝導率を測定した結果を、以下の表1に示した。
【0078】
<ピール強度>
上記各例に係る樹脂組成物を電解銅箔(厚み:35μm)の片面に塗布し、樹脂層(厚み:145μm)を有するシートを2枚作製した。
次に、2枚のシートを熱プレス(3.0MPa、120℃、20min)して樹脂層どうしを貼り合わせ、シートの背面から銅箔を1枚剥離した。
そして、この銅箔を剥離した面にアルミニウム板を配置させ、熱プレス(2.0MPa、120℃、20min)によってシートをアルミニウム板に転着させ、さらに該シートから銅箔を剥がすことによって、半硬化状態のシートを得た。
次に、この半硬化状態のシートに被着体(銅箔1oz)を積層し、熱プレス(2.0MPa、180℃、120min)によって樹脂層と被着体を一体化させるとともに、樹脂層を十分に硬化させた後、20mm×100mmのサイズに切り出し、切り出したものの被着体を幅10mm幅に加工(エッチング)し剥離試験用テストピースを作製した。
該テストピースを50mm/minの剥離速度で90°ピール試験を実施し、被着体と樹脂層との接着強度をピール強度によって評価した。
ピール強度を測定した結果を、以下の表1に示した。
【0079】
<絶縁破壊強さ(BDV)>
絶縁破壊強さは、波高率が1.34~1.48の間にあり、50または60Hzの周波数の電圧を印加でき、最大電圧がAC10kV(実効値)である絶縁破壊装置により測定した。測定方法の詳細について、
図1及び2を参照しながら説明する。
75±1mm×65±1mmの熱伝導性シートの片側の銅箔を剥離して、樹脂シートを得て、該樹脂シートにおける銅箔13が剥離された面にアルミ板を積層して加熱し、樹脂シートにアルミ板が一体化された積層シートを得た。次に、前記積層シートをさらに過熱して樹脂シートを完全に硬化させて、
図1に示す絶縁破壊強さ測定試料14を得た。なお、樹脂シートは、各例に係る樹脂組成物を用いて作製した。
次に、
図2に示したように、絶縁破壊強さ測定試料14を油槽15の絶縁油16(JIS C2320:1999)中でアルミ板側を下にして黄銅性円板電極17(Φ:40mm)上に置き、絶縁破壊強さ測定試料14の上に、絶縁破壊強さ測定試料14の略中央部分で接するように黄銅性球状電極18(Φ:15mm、重さ:50g)を置いた。絶縁油16は20±10℃に保ち、絶縁破壊強さ測定試料14に、絶縁破壊が生じるまで昇圧速度1kV(実効値)/secで連続的に電圧を印加した。
なお、絶縁破壊の判断基準として、カットオフ電流を25mAとした。そして、絶縁破壊生じた電圧(単位:kV)を、絶縁破壊強さ測定試料14の厚さ(単位:mm)で除することにより、絶縁破壊強さを求めた。
絶縁破壊強さ(BDV)を測定した結果を、以下の表1に示した。
【0080】
<耐電圧>
耐電圧は、波高率が1.34~1.48の間にあり、50または60Hzの周波数の電圧を印加でき、最大電圧がAC10kV(実効値)である絶縁破壊装置により測定した。測定方法の詳細については、
図1及び2を参照しながら説明する。
75±1mm×65±1mmの絶縁放熱シートの片側の銅箔13を剥離し、その剥離面にアルミ板を積層し加熱して、アルミ板を絶縁放熱シートに一体化させ、さらに過熱して積層体を完全に硬化させて、
図1に示す耐電圧測定試料14を得た。なお、上記絶縁放熱シートは、各例に係る樹脂組成物を備えたものをそれぞれ作製した。
図2に示すように、耐電圧測定試料14を油槽15の絶縁油16(JIS C2320:1999)中でアルミ板側を下にして黄銅性円板電極17(Φ:40mm)上に置き、耐電圧測定試料14の上に、耐電圧測定試料14の略中央部分で接するように黄銅性球状電極18(Φ:15mm、重さ:50g)を置いた。絶縁油16は20±10℃に保ち、耐電圧測定試料14にAC3.0kV(実効値)を1分間印加した。そして、絶縁破壊が生じていない場合には、速やかにAC0.5kV(実効値)上げて1分間印加し、絶縁破壊が生じるまでAC0.5kV(実効値)間隔(0.5kV(実効値)ステップ、1分間印加)で昇圧した。
なお、絶縁破壊の判断基準として、カットオフ電流を10mAとした。そして、絶縁破壊が生じた電圧より0.5kV(実効値)低い印加電圧を、耐電圧測定試料14の厚さ(単位:mm)で除することにより、耐電圧を求めた。
各例について、耐電圧を測定した結果を、以下の表1に示した。
なお、以下の表1には、ガラス転移温度Tgも掲載しているが、このガラス転移温度Tgは、JIS K7121:2012における中間点ガラス転移温度を意味する。
【0081】
【0082】
<熱伝導性>
表1に示すように、各実施例に係る樹脂組成物では、各比較例に係る樹脂組成物と比べて、硬化物の熱伝導率が顕著に向上していること、すなわち、熱伝導性が顕著に向上していることが分かる。
また、特に、エポキシ樹脂B(上記式(1’’)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂)を用いた場合には、より一層熱伝導性が向上していることが分かる。
このことから、特定の多官能エポキシ樹脂(上記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂)と、特定の多官能フェノール樹脂(上記式(2)または(3)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂の少なくとも一方)とを含む樹脂組成物によって得られた硬化物の熱伝導性を顕著に向上できることが分かる。
【0083】
<ピール強度>
さらに、表1に示すように、エポキシ樹脂としてエポキシ樹脂A(上記式(1’)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂)またはエポキシ樹脂Bを用いた樹脂組成物(各実施例に係る樹脂組成物、及び、比較例1及び2に係る樹脂組成物)は、エポキシ樹脂Aまたはエポキシ樹脂Bを用いていない樹脂組成物(比較例3及び4に係る樹脂組成物)に比べて、ピール強度が顕著に向上していることが分かる。
特に、実施例2に係る樹脂組成物(エポキシ樹脂Aとフェノール樹脂Bとを含む樹脂組成物)以外の各実施例に係る樹脂組成物は、ピール強度が顕著に向上していることが分かる。
このことから、エポキシ樹脂として、特定の多官能エポキシ樹脂を用いることにより、ピール強度を顕著に向上させ得ることが分かる。
【0084】
<絶縁破壊強さ(BDV)及び耐電圧>
また、表1に示すように、各実施例に係る樹脂組成物は、絶縁破壊強さ(BDV)または耐電圧の少なくとも一方について、各比較例に係る樹脂組成物と同等程度以上の値を示すものとなることが分かる。
このことから、特定の多官能エポキシ樹脂(上記式(1)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂)と、特定の多官能フェノール樹脂(上記式(2)または(3)で表されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂の少なくとも一方)とを含む樹脂組成物を用いた場合でも、絶縁破壊強さ(BDV)または耐電圧の少なくとも一方が比較的高い値を示すものとなることが分かる。
【符号の説明】
【0085】
13 銅箔、14 測定試料(絶縁破壊強さ測定試料、耐電圧測定試料)、15 油槽、16 絶縁油、17 黄銅性円板電極、18 黄銅性球状電極。