(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】データ送信装置、その制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
(21)【出願番号】P 2020200506
(22)【出願日】2020-12-02
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 香織
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-083102(JP,A)
【文献】特開2013-062597(JP,A)
【文献】特開2016-010975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00 - 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信装置であって、
データの送信のための承認要求を送信する要求送信手段と、
前記要求送信手段によって送信された前記承認要求の応答として、前記データの送信を承認する承認応答に基づいて前記データを送信するデータ送信手段
と、
前記データの送信を承認する承認者の状態を示すプレゼンス情報
を受信する受信手段とを有し、
前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者
の状態が連絡可能であ
る場合、前記要求送信手段は第1の宛先に前記承認要求を送信し、
前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報
によって示される前記承認者
の状態がオフラインであ
る場合、前記要求送信手段は第2の宛先に前記承認要求を送信
し、前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が退席中である場合、前記要求送信手段は前記第1の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とするデータ送信装置。
【請求項2】
前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報
によって示される前記承認者の状態が
オフラインである場合、前記要求送信手段は前記承認要求を前記第2の宛先に加えて前記第1の宛先に送信することを特徴とする請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項3】
前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が取り込み中である場合、前記要求送信手段は前記第2の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が会議中である場合、前記要求送信手段は前記第2の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ送信装置。
【請求項5】
前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が通話中である場合、前記要求送信手段は前記第2の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のデータ送信装置。
【請求項6】
前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が外出中である場合、前記要求送信手段は前記第2の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のデータ送信装置。
【請求項7】
前記受信手段は、前記プレゼンス情報
を、前記承認者の前記状態を受信して格納するサーバから受信
することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のデータ送信装置。
【請求項8】
前記データの送信はファクシミリ装置によるデータの送信であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のデータ送信装置。
【請求項9】
前記要求送信手段は、電子メールによって前記承認要求を送信することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のデータ送信装置。
【請求項10】
データ送信装置の制御方法であって、
要求送信手段が、データの送信のための承認要求を送信する要求送信工程と、
データ送信手段が、前記要求送信工程で送信された前記承認要求の応答として、前記データの送信を承認する承認応答に基づいて前記データを送信するデータ送信工程
と、
受信手段が、前記データの送信を承認する承認者の状態を示すプレゼンス情報
を受信する受信工程とを有し、
前記受信工程で受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者
の状態が連絡可能であ
る場合、前記要求送信工程では第1の宛先に前記承認要求を送信し、
前記受信工程で受信した前記プレゼンス情報
によって示される前記承認者
の状態がオフラインであ
る場合、前記要求送信工程では第2の宛先に前記承認要求を送信
し、前記受信工程で受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が退席中である場合、前記要求送信工程では前記第1の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とするデータ送信装置の制御方法。
【請求項11】
データ送信装置の制御方法における各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記制御方法は、
要求送信手段が、データの送信のための承認要求を送信する要求送信工程と、
データ送信手段が、前記要求送信工程で送信された前記承認要求の応答として、前記データの送信を承認する承認応答に基づいて前記データを送信するデータ送信工程
と、
受信手段が、前記データの送信を承認する承認者の状態を示すプレゼンス情報
を受信する受信工程とを有し、
前記受信工程で受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者
の状態が連絡可能であ
る場合、前記要求送信工程では第1の宛先に前記承認要求を送信し、
前記受信工程で受信した前記プレゼンス情報
によって示される前記承認者
の状態がオフラインであ
る場合、前記要求送信工程では第2の宛先に前記承認要求を送信
し、前記受信工程で受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が退席中である場合、前記要求送信工程では前記第1の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信装置、その制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークや通信機器といった情報システムは、企業や組織の運営に欠かせないものになっている。しかし、情報システムの停止による損失や、情報漏洩による被害や信用の失墜などの情報システム上のリスクは、企業や組織に大きな被害や影響をもたらしてしまう。そして、これらの被害や影響は顧客や取引先などの関係者へも波及する。
【0003】
公衆電話回線に接続され、相手先FAX番号を入力して送信ボタンを押すだけで簡単にファクス送信を行えるファクス装置も、上述のような情報システム上のリスクを孕んでいる。例えば相手先FAX番号を間違えることにより誤った相手先へ送信する誤送信や、送信文書を取り違えることにより情報漏洩などが発生する可能性があり、実際に誤送信や送信文書の取り違えによるトラブルは発生している。
【0004】
近年は、個人情報保護や情報漏洩防止といった情報セキュリティの強化が進められている。重要文書をファクス送信することが多い金融機関などでは、宛先や文書を間違えて送信しないために、2名1組で確認しながらファクス送信操作を行っている。このようなダブルチェックは手間が掛かるものでありコストも増大してしまう。従って、ファクス機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)においても、ファクス送信の宛先や送信文書の内容確認と承認処理を電子的なワークフローに組み入れた機能が要望されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、承認者にメールで承認依頼を行い、承認者から承認許可メールを受信した場合に、ファクス送信処理を行う技術が提案されている。時間内に承認者から承認許可メールを受信できなかった場合には、代行承認者に承認依頼メールを送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術には以下に記載する課題がある。上記従来技術では、ファクス送信の際に承認者が不在等で承認処理ができない場合に、一定時間が経過した後に代行承認者への承認依頼により承認を得る手順となっている。つまり、代行者の承認を得るためには一定時間経過後でなければならない。従って、上記従来技術においては、最初の承認依頼が会議や外出等で直ぐに承認処理ができない場合にはファクス送信を一定時間待機する必要があり、ファクス送信ジョブが投入されてから実行されるまでに時間が掛かってしまう。更には、代行者が不在等であれば承認を得ることもできない。
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一つに鑑みて成されたものであり、受信したプレゼンス情報によって示される承認者の状態が連絡可能である場合、第1の宛先に承認要求を送信し、受信したプレゼンス情報によって示される承認者の状態がオフラインである場合、第2の宛先に承認要求を送信し、受信したプレゼンス情報によって示される承認者の状態が退席中である場合、第1の宛先に承認要求を送信する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、データ送信装置であって、データの送信のための承認要求を送信する要求送信手段と、前記要求送信手段によって送信された前記承認要求の応答として、前記データの送信を承認する承認応答に基づいて前記データを送信するデータ送信手段と、前記データの送信を承認する承認者の状態を示すプレゼンス情報を受信する受信手段とを有し、前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が連絡可能である場合、前記要求送信手段は第1の宛先に前記承認要求を送信し、前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態がオフラインである場合、前記要求送信手段は第2の宛先に前記承認要求を送信し、前記受信手段によって受信した前記プレゼンス情報によって示される前記承認者の状態が退席中である場合、前記要求送信手段は前記第1の宛先に前記承認要求を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受信したプレゼンス情報によって示される承認者の状態が連絡可能である場合、第1の宛先に承認要求を送信し、受信したプレゼンス情報によって示される承認者の状態がオフラインである場合、第2の宛先に承認要求を送信し、受信したプレゼンス情報によって示される承認者の状態が退席中である場合、第1の宛先に承認要求を送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】比較例となる承認を得てファクス送信を実行するワークフローを示す図。
【
図2】比較例となる承認処理が行われずファクス送信が実行されないワークフローを示す図。
【
図3】一実施形態に係る通信装置のハードウェア構成と通信網への接続状態を示す図。
【
図4】一実施形態に係るユーザID毎に承認者のメールアドレスとSIP URIを管理するテーブルを示す図。
【
図5】一実施形態に係る通信装置と承認者間で交換されるメールの文例を示す説明図。
【
図6】一実施形態に係る通信装置が、承認者のプレゼンス状態から承認可否を判断する基準となる表である。
【
図7】一実施形態に係るファクス送信を実行するワークフローを示す図。
【
図8】一実施形態に係るファクス送信を実行する処理手順を示すフローチャート。
【
図9】一実施形態に係るファクス送信を実行するワークフローを示す図。
【
図10】一実施形態に係るファクス送信を実行する処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
<比較例>
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の比較例として一般的なファクス送信における承認処理について説明する。
図1は、比較例となる承認ファクス送信を実行するワークフローを示す。以下で説明するワークフローは、ファクス送信する場合に、宛先や送信文書を管理職や承認者の承認を得てファクス送信を実行する承認ファクス送信を示す。なお、以下では、承認者に承認を得てファクス送信を行うことを承認ファクス送信、承認ファクス送信ジョブ、承認FAXなどと称する。
【0014】
10はファクス送信者を示し、13はファクス送信者が送信する送信文書の承認を行う承認者を示す。11は画像形成装置を示し、12は承認者13が使用するパーソナルコンピュータ(以下、PCと略記する。)を示す。14はファクス送信の送信先の受信装置を示す。
【0015】
まず、T1で、ファクス送信者はMFP11に対して、送信宛先と送信文書について承認を必要とする承認ファクス送信ジョブの投入を行う。続いて、T2で、MFP11は承認者のアドレスへ宛先情報と送信文書を添付した承認依頼メールを送信する。次に、T3で承認者13は承認者PC12を介して、メールに添付されている送信宛先情報と送信文書を確認し承認を行う。承認者13の承諾を得ると、T4で、承認者PC12は、MFP11へファクス送信ジョブへの承認通知を行う。T5で、MFP11は、承認通知されたファクス送信ジョブを、送信先の受信装置14へファクス送信する。
【0016】
図2は、比較例となる承認を得ることができない場合のファクス送信のワークフローを示す。
図1と同様の構成等については同様の参照符号及びステップ番号を付し説明を省略する。
【0017】
図2に示すように、MFP11が承認者13の承認者PC12に対して承認依頼メールを送信した際に、承認者13が社内で会議中であったり社外に外出中であるため、
図1に示すT3及びT4の承認処理を行うことができない場合がある。この場合、承認者13が承認処理を行うまでファクス送信(T5)が実行できずファクス送信者10としては、いつファクス送信が完了するか不明となる。また、上述したように、承認依頼メールを送信した後に、一定時間が経過すると他の承認者に承認依頼メールを再度送信することも考えられる。しかし、このような制御であっても、一定時間が経過するまで不在の承認者13の承認を待つ必要があり、また他の承認者も不在であった場合には、ファクス送信者10はいつファクス送信が完了するか不明のままである。
【0018】
<通信装置の構成>
以下では、本発明の一実施形態について説明する。まず、
図3を参照して、一実施形態に係る通信装置100のハードウェア構成と通信網への接続状態について説明する。
【0019】
通信装置100は、CPU101、ROM102、RAM103、HDD104、パネル操作I/F105、オペレーションパネル106、スキャナI/F107、及びスキャナ108を備える。さらに、通信装置100は、プリンタI/F109、プリンタ110、モデム111、NCU112、及びネットワークI/F113を備える。
【0020】
また、通信装置100は、ネットワークI/F113を介してイントラネット200と公衆電話網300に接続される。イントラネット200には、例えばプレゼンスサーバ201、固定端末である第1承認者PC202及び第2承認者PC203などが接続されている。プレゼンスサーバ201は、イントラネット200に接続された承認者PC202、203と通信して承認者の作業中の状態を表すプレゼンス状態を管理する。プレゼンス状態の詳細については
図6を用いて後述する。
【0021】
通信装置100は、公衆電話網300に接続されたG3FAX301とファクス通信を行う。また通信装置100は、イントラネット200からインターネット520と携帯電話網310に不図示のルータやGW等を介して接続され、携帯電話網310上の移動端末である承認者スマホ311とメール等の通信を行える。
【0022】
CPU101は、ROM102又はハードディスクドライブ(HDD)104に記憶された制御プログラムに基づいてシステムバスに接続される各種のデバイスとのアクセスを統括的に制御する。ROM102は、CPU101が実行可能な制御プログラム等を記憶している。RAM103は、主としてCPU101の主メモリ、ワークエリア等として機能し、不図示の増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができる。HDD104は、例えばブートプログラム、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、及び編集ファイルを記憶する。
【0023】
パネル操作I/F105は、受付手段として機能し、オペレーションパネル106の表示制御、及びオペレーションパネル106で設定される各種設定情報の入力を制御する。スキャナI/F107は、スキャナ108からの画像入力を制御する。プリンタI/F109は、プリンタ110への画像出力を制御する。モデム111は、回線からのファクス手順信号や画像データ信号を復調し、逆に通信装置100からのファクス手順信号や画像データ信号を変調し回線に送出する。NCU(Network Control Unit)112は、リレー等で構成される回線制御部であり、パルスによる選択信号やフッキングなどの信号を公衆電話網300に送出する。ネットワークI/F113は、通信装置100をネットワークに接続し制御するためのNIC等の拡張カードである。
【0024】
<管理テーブル>
次に、
図4を参照して、一実施形態に係る通信装置100に登録されたユーザごとの承認者のアドレス等の宛先を管理する管理テーブルについて説明する。管理テーブル400は、予め登録されているユーザID401毎に、ユーザアドレス402と、第1承認者403及び第2承認者404のメールアドレス及びSIP URIとを管理するテーブルである。管理テーブル400では、第1承認者403から第2承認者404までの承認者を登録できる例について説明するが、本発明を限定する意図はなくさらに多くの承認者を登録することもできる。
【0025】
図4の登録例では、第1承認者403及び第2承認者404の何れについても社内のメールアドレスと、SIP URIとを登録可能である。さらに、第1承認者403のみモバイルデバイスのアドレスが登録可能となっている。SIP URIはプレゼンスサーバ201から承認者のプレゼンスを取得するためのアドレスであり、承認者毎に予め登録できる。ユーザIDが”0100”の承認者は、第1承認者403のみ登録となっているが第1承認者のモバイルアドレスが登録されている。また、ユーザIDが”0200”の承認者は、第1承認者403から第2承認者404まで登録されているが第1承認者403のモバイルアドレスは登録されていない。
【0026】
<交換情報>
次に、
図5を参照して、一実施形態に係る通信装置100と承認者が所有する装置との間で交換される情報について説明する。ここでは、電子メールを利用した情報交換の例について説明するが、特に情報交換の手法について限定する意図はなく、以下で説明する情報を交換可能な手法であればよい。
図5は、それぞれ承認依頼/承認/承認・通信結果メールの一例を示す。
【0027】
500は、通信装置100が、第1承認者403の社内アドレスとモバイルアドレスに対して送信する承認依頼メールの一例を示す。2つの承認者アドレスが”To”の宛先に設定され、送信元である通信装置100のメールアドレスが”From”に記載されている。また、”Subject(題目)”には承認依頼メールであることを示す文字列([承認FAX][依頼])が記載されている。また、承認を依頼したファクス送信ジョブを識別する受付番号([12345])が”Subject”に挿入される。つまり、”Subject”には当該メールの種別情報が含まれ、ファクス送信の承認依頼メールであることを示す情報が含まれる。
【0028】
本文中にはメール返信時に、”Subject”の[依頼]という文字列を、[承認][否認]のいずれかの文字列に変更を促す文章が記載されている。これにより、承認者がファクス送信を承認するか否認するかを選択することができる。また、送信宛先の電話番号等の宛先情報(図中では、宛先:03xxxxyyyy)と、ファクス送信される送信文書(図中では送信文書:添付ファイル 見積書.doc)が添付されている。
【0029】
510は、500で示される承認依頼メールに対して、承認者のモバイルアドレスで承認し返信するメールの一例を示す。通信装置100のメールアドレスを”To”の宛先、承認者のモバイルアドレスが”From”に記載されている。承認者は承認メールであることを示すために、”Subject”の文字列を([承認])に変更して返信している。通信装置100は、”Subject”の受付番号と[承認]又は[否認]の文字列により、受付番号に対応するファクス送信ジョブが承認されたか否認されたかを判断することができる。
【0030】
520は、510のメールで承認されたファクス送信ジョブが正常終了で送信された結果を、承認を依頼した承認者の社内アドレスとモバイルアドレスに送信する承認・通信結果メールの一例を示す。”To”の宛先に承認依頼メールを送信した承認者の全てのアドレスを記載し、”From”に通信装置100のメールアドレスが記載される。本文には、承認依頼に対する結果(承認又は否認)と、承認されたファクス送信ジョブの通信結果(OK又はNG)が記載されている。
【0031】
<プレゼンス状態>
次に、
図6を参照して、一実施形態に係る承認者のプレゼンス状態について説明する。600は、承認可否601と、プレゼンス状態との関係を示すテーブル600である。つまり、承認者のプレゼンス状態602から承認処理が可能であるか否かを判断するためのテーブルである。当該テーブル600は、通信装置100のHDD104等に予め格納されており、通信装置100が承認者のプレゼンス情報を取得した際に、承認者が承認処理を実行可能か否かを判断するために利用される。なお、このようなテーブルを保持することなく、通信装置100は、プレゼンスサーバ201から対象の承認者が承認処理を実行可能か否かを示す情報を取得するようにしてもよい。この場合、プレゼンスサーバ201は、保持しているプレゼンス情報に従って承認者が承認処理を実行可能か否かを判断することになる。
【0032】
プレゼンス状態とは、SIP(Session Initiation Protocol)やSkypeなどのインスタントメッセージで利用される通信相手の状態を示すものである。各承認者のプレゼンス状態は、プレゼンスサーバ201によって登録されているユーザ(承認者)の状態が定期的に取得され管理される。或いは、状態変化が生じた場合に各承認者が所有する装置からプレゼンスサーバ201に通知され、管理されてもよい。また、その両方で取得され管理されてもよい。603に示すように、承認可否601が可能603と判断されるプレゼンス状態602には、例えば、連絡可能、非アクティブ(一時退席中)、及び退席中(退席中表示)などがある。また、承認可否601が不明604と判断されるプレゼンス状態602には、取り込み中、通話中、会議中、発表中などがある。さらに、承認可否601が不可605と判断されるプレゼンス状態602には、外出中、オフライン中、応答不可、業務時間外などがある。このように、プレゼンス状態602は、承認者の現在の状態を示す。なお、これらのプレゼンス状態は一例であり、本発明を限定する意図はない。例えば、上述した可能603に割り当てられたプレゼンス状態602を不明604や不可605など他の承認可否601に割り当ててもよく、他のプレゼンス状態を追加することも可能である。これらの設定は、通信装置100やプレゼンスサーバ201などの本システムの関連する装置に対して設定することができる。
【0033】
<第1の実施形態>
(ワークフロー)
以下では、
図7及び
図8を参照して、第1の実施形態について説明する。まず、
図7を参照して、本実施形態に係る通信システムにおける承認ファクス送信のワークフローについて説明する。
図7に示す実線矢印は実際に行われた操作・通信を表し、破線は行われなかった操作・通信を表す。
【0034】
まずT101で、FAX送信者701が通信装置100に対して送信宛先と送信文書について承認を必要とする承認ファクス送信ジョブの投入を行う。FAX送信者701はPC等の装置を介して通信装置100に対して承認ファクス送信ジョブを投入してもよいし、通信装置100のオペレーションパネル106を介して行ってもよい。前者の場合、通信装置100は、イントラネット200を介してネットワークI/F113によって当該ジョブ及び送信文書に関する指定やデータ自体を受け付ける。一方、後者の場合、通信装置100は、オペレーションパネル106を介して当該ジョブ及び送信文書に関する指定を受け付ける。いずれの場合においても、送信データについては、通信装置100に予め格納されたデータやスキャナ108によって読み込んだデータを使用するようにしてもよい。
【0035】
次に、T102で、承認ファクス送信ジョブを投入された通信装置100は、プレゼンスサーバ201に対して、承認者の識別情報を用いて当該承認者のプレゼンス状態を問い合わせる。プレゼンスサーバ201では、受信した承認者の識別情報を用いて、管理している各承認者のプレゼンス状態から、問い合わせのあった承認者のプレゼンス状態を取得して通知する。その後、T103で、通信装置100は問い合わせた承認者のプレゼンス状態をプレゼンスサーバ201から受信する。
【0036】
T104及びT105において、通信装置100はそれぞれ、受信した承認者のプレゼンス状態が外出中であれば、承認者の社内アドレスに加えてモバイルアドレスへ、同時に承認依頼メールを送信する。即ち、ここでは、固定端末である第1承認者PC202に加えて、移動端末である第1承認者スマホ311へ承認依頼メールを送信している。承認者は外出中であるため、固定端末である第1承認者PC202へ通知された承認依頼メールを確認することはできない。一方、外出中においても承認者は移動端末である第1承認者スマホ311で受信した承認依頼メールを確認することができ、承認又は否認の選択を行うことができる。
【0037】
T106で承認者によって第1承認者スマホ311から承認メールが返信されると、T107で、通信装置100は送信先へFAX送信を実行する。ファクス送信が終了すると、T108及びT109で、通信装置100は、承認結果とFAX送信結果を承認依頼した承認者のモバイルアドレスと社内アドレスの両方に通知し共有する。
【0038】
(通信装置の処理手順)
次に、
図8を参照して、本実施形態に係る通信装置100におけるファクス送信の処理手順について説明する。以下で説明する処理は、例えばCPU101がROM102に格納されたプログラムをRAM103に読み出して実行することにより実現される。
【0039】
S101で、CPU101は、ファクス送信ジョブが投入されると、FAX送信者701によって送信ジョブ投入時に承認ファクス送信モードが選択されたか否かを判断する。承認を必要としない通常のファクス送信ジョブならば、S115に進み、CPU101は、ファクス送信ジョブを実行し、S113で再び承認ファクス送信ジョブか否かを判断して処理を終了する。
【0040】
一方、S101で承認ファクス送信ジョブであると判断するとS102に進み、CPU101は、通信装置100に対してユーザログインしているFAX送信者701に対応する
図4の承認者アドレス管理テーブル400に登録されている第1承認者を選択する。さらに、S103で、CPU101は、第1承認者のプレゼンス状態をプレゼンスサーバ201へ問い合わせる。
【0041】
次に、S104で、CPU101は、プレゼンスサーバ201からの応答を受信したか否かを判断し、受信するとS105に進み、そうでない場合は受信するまで当該判断を定期的に繰り返し行う。S105で、CPU101は、プレゼンスサーバ201から受信した応答に含まれるプレゼンス状態に関する情報を確認し、第1承認者が承認処理を可能なプレゼンス状態なのかを
図6のテーブル600を用いて判断する。第1承認者による承認処理の実行が可能603であればS106に進み、CPU101は、承認者の社内アドレスを承認依頼の宛先として設定し、処理をS108に進める。一方、承認処理の実行が難しいのであれば(不明604又は不可605)S107に進み、CPU101は、第1承認者の社内アドレスに加えてモバイルアドレスを承認依頼の宛先として設定し、処理をS108に進める。S108で、CPU101は、承認依頼メールに送信宛先情報を記載し送信文書を添付し、S109で、S106又はS107で設定した第1承認者のアドレスへ承認依頼メールを通知する。
【0042】
その後、S110で、CPU101は、第1承認者からの承認依頼メールに対する応答があったかを判断する。応答があればS111に進み、そうでなければS110の判断を定期的に繰り返す。S111で、CPU101は、受信した応答が承認を示すか否かを判断する。承認されていればS115に進み、CPU101は、ファクス送信ジョブを実行し、S113に進む。一方、承認されていなければS112に進み、CPU101は、ファクス送信ジョブを中止して、S113に進む。S113で、CPU101は、結果送信手段として機能し、承認ファクス送信ジョブであるかどうかを判断し、承認ファクス送信ジョブであればS114に進み、承認結果と通信結果を承認者の社内アドレスとモバイルアドレスに通知して処理を終了する。一方、承認ファクス送信ジョブでなければそのまま処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置は、ファクス送信を受け付け、受け付けたファクス送信を承認する第1承認者のプレゼンス情報を取得する。また、本通信装置は、取得されたプレゼンス情報が第1承認者による承認処理が可能であることを示す場合は第1宛先へファクス送信の承認依頼を通知する。一方、本通信装置は、取得されたプレゼンス情報が第1承認者による承認処理が可能でない又は不明であることを示す場合は第1宛先に加えて第2宛先へファクス送信の承認依頼を通知する。その後、通信装置は、ファクス送信の承認応答を受けると、ファクス送信を実行する。なお、第1宛先は第1承認者の固定端末の宛先であり、第2宛先は第1承認者の移動端末の宛先であることが望ましい。これにより、本発明によれば、認者のプレゼンス情報に従って、ファクス送信における承認依頼の通知先を好適に切り替えることができ、承認者が会議や外出等で直ぐに承認処理ができない場合であっても、他の承認者に切り替える時間ロスを低減することができる。
【0044】
<第2の実施形態>
(ワークフロー)
以下では、
図9及び
図10を用いて本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なり、第1承認者の承認処理が難しいと判断した場合には、第1承認者に加えて第1承認者とは異なる第2承認者へ承認依頼を通知する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成及び制御については説明を省略する。即ち、
図3乃至
図6については、上記第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。まず、
図9を参照して、本実施形態に係る通信システムにおける承認ファクス送信のワークフローについて説明する。
図9に示す実線矢印は実際に行われた操作・通信を表し、破線は行われなかった操作・通信を表す。
【0045】
まずT201で、FAX送信者701が通信装置100に対して送信宛先と送信文書について承認を必要とする承認ファクス送信ジョブの投入を行う。FAX送信者701はPC等の装置を介して通信装置100に対して承認ファクス送信ジョブを投入してもよいし、通信装置100のオペレーションパネル106を介して行ってもよい。前者の場合、通信装置100は、イントラネット200を介してネットワークI/F113によって当該ジョブ及び送信文書に関する指定やデータ自体を受け付ける。一方、後者の場合、通信装置100は、オペレーションパネル106を介して当該ジョブ及び送信文書に関する指定を受け付ける。いずれの場合においても、送信データについては、通信装置100に予め格納されたデータやスキャナ108によって読み込んで使用するようにしてもよい。
【0046】
次に、T202で、承認ファクス送信ジョブを投入された通信装置100は、プレゼンスサーバ201に対して、第1承認者の識別情報を用いて当該第1承認者のプレゼンス状態を問い合わせる。プレゼンスサーバ201では、受信した第1承認者の識別情報を用いて管理している各承認者のプレゼンス状態から問い合わせのあった第1承認者のプレゼンス状態を取得して通知する。その後、T203で、通信装置100は問い合わせた第1承認者のプレゼンス状態をプレゼンスサーバ201から受信する。
【0047】
T204及びT205において、通信装置100はそれぞれ、受信した第1承認者のプレゼンス状態が外出中であれば、第1承認者(第1承認者PC202)に加えて第2承認者の第2承認者PC203へ同時に承認依頼を通知する。第1承認者は外出中のため承認処理は実行されず、T206で第2承認者により承認処理が実行される。第2承認者による承認処理の結果、承認が行われると、T207で通信装置100は、送信先へFAX送信を実行する。ファクス送信が終了すると、T208、T209で、通信装置100は、承認結果及びFAX送信結果を、承認依頼した全ての承認者(ここでは、第1承認者及び第2承認者)に通知し共有する。
【0048】
(通信装置の処理手順)
次に、
図10を参照して、本実施形態に係る通信装置100におけるファクス送信の処理手順について説明する。以下で説明する処理は、例えばCPU101がROM102に格納されたプログラムをRAM103に読み出して実行することにより実現される。なお、上記第1の実施形態で説明した
図8のフローチャートと同様の処理については同一のステップ番号を付し説明を省略する。即ち、S101乃至S105、S110乃至S113、及びS115については上記第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0049】
S105で第1承認処理が可能603であればS201に進み、CPU101は、第1承認者の社内アドレスを承認依頼の宛先として設定する。さらに、S202で、CPU101は、承認依頼メールに送信宛先情報を記載し送信文書を添付し、S203で設定した承認者アドレスへ承認依頼メールを通知する。その後、処理をS110に進める。
【0050】
一方、S105で承認処理が難しいなら(不明604又は不可605)S204に進み、CPU101は、第1承認者のアドレスに加えて第2承認者のアドレスを承認依頼の宛先として設定する。続いて、S205で、CPU101は、承認依頼メールに送信宛先情報を記載し送信文書を添付し、S206で設定した承認者アドレスへ承認依頼メールを通知する。その後、処理をS110に進める。
【0051】
また、S113で承認ファクス送信ジョブであると判断すると、S207に進み、CPU101は、結果送信手段として機能し、承認結果と通信結果を承認者全員に通知して処理を終了する。つまり、S203で承認依頼を第1承認者のみに通知している場合には第1承認者に当該結果を通知し、S206で承認依頼を第1承認者及び第2承認者へ通知している場合には第1承認者及び第2承認者の両方に当該結果を通知する。これにより、例えば第2承認者が承認した場合に、第1承認者が外出先から戻った場合に再度承認を行うなどの重複承認を防ぐことができる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置によれば、承認依頼を通知する第1宛先が第1承認者の装置の宛先であり、第2宛先が第1承認者とは異なる第2承認者の装置の宛先であることを特徴とする。従って、第1承認者による承認処理が困難な場合であっても、第2承認者が代行して承認処理を実行することができ、ファクス送信の遅延の発生を防ぐことができる。
【0053】
<変形例>
なお、プレゼンス状態に基づいて第1承認者の承認が不明又は不可と判断した場合において、上記第1の実施形態では一人の承認者(第1承認者)の複数のアドレスに承認依頼を通知する例について説明した。また、上記第2の実施形態では、このような場合において、複数の承認者(第1承認者及び第2承認者)へ承認依頼を通知する例について説明した。しかしながら、本発明はこれらの実施形態のみ限定されず様々な変形が可能である。
【0054】
例えば、上記第1の実施形態及び第2の実施形態を組み合わせることも可能である。この場合、第1承認者の複数のアドレスへ承認依頼を通知するとともに、第2承認者へも承認依頼の通知を行う。さらには、第2承認者のプレゼンス状態もプレゼンスサーバ201へ問い合わせておき、第2承認者についても不明又は不可と判断した場合には第2承認者に対しても複数のアドレスがあればその全てに通知するようにしてもよい。また、上記実施形態では第1承認者及び第2承認者が登録されている例について説明したが、さらに複数の承認者が登録されてもよい。さらには、上記実施形態では第1宛先に加えて第2宛先に承認依頼を通知するようにしたが、第1宛先には通知せず、第2宛先へのみ通知するようにしてもよい。また、これらの通知先の選択手法については設定により切り替えられるようにしてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では通信装置100が複数の承認者へ通知する例について説明した。しかし、本発明においては、上記第1の実施形態のように最初は第1承認者のみに承認依頼を通知し、その承認依頼メールの中で、第1承認者が他の承認者へ依頼することを支持するような仕組みを設けてもよい。この場合、単に他の承認者へ依頼すること指示するメールを応答として通信装置100へ応答し、通信装置100が再度指定された承認者へ依頼するようにしてもよい。これにより、承認依頼の文書(ファクス送信データ)の内容に応じて、第1承認者が他の承認者を選択して指定することができる。
【0056】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0057】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0058】
100:通信装置、101:CPU、102:ROM、103:RAM、104:HDD、105:パネル操作I/F、106:オペレーションパネル、107:スキャナI/F、108:スキャナ、109:プリンタI/F、110:プリンタ、111:モデム、112:NCU、113:ネットワークI/F、200:イントラネット、201:プレゼンスサーバ、202:第1承認者PC、203:第2承認者PC、300:公衆電話網、301:G3FAX、310:携帯電話網、311:承認者スマホ、320:インターネット