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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】床仕上げ材および床構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20241218BHJP
   E04F 15/10 20060101ALI20241218BHJP
   E04D 13/04 20060101ALI20241218BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20241218BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
E04F15/00 G
E04F15/10 104B
E04D13/04 J
E04F15/02 H
E04B1/00 501M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020209913
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096764
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福松 櫻
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-309754(JP,A)
【文献】特開平11-172898(JP,A)
【文献】特開2000-073525(JP,A)
【文献】特開平11-062188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00-15/22
E04D 13/04
E04B 1/00
E03F 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋外に設けられた床の端部に設けられた軒樋を覆うように、前記軒樋に対して個別に直接着脱される床仕上げ材であって、
前記軒樋に跨る幅を有し、前記軒樋へ雨水を通過可能に形成された樹脂製の本体と、
前記本体の裏側に一体に取り付けられ、前記本体の1枚分の全幅に亘り延在して前記軒樋に跨り、前記本体の変形を防止可能な複数本の平行な強度部材と、
を備え
複数本の平行な前記強度部材は、前記軒樋への取付け前に予め固定手段により前記本体に、互いに非連結状態で個別に固定されている床仕上げ材。
【請求項2】
請求項1に記載の床仕上げ材において、
前記本体は、裏側に凸状の補強用の突起を備え、
前記突起は、前記本体に対し、前記本体および前記軒樋の前記幅の方向に並んだ列を形成し、前記幅の方向の列は、前記幅の方向の直交方向に間隔を有して複数設けられ、
前記強度部材は、前記突起の前記幅の方向の列と、前記直交方向に隣接する前記幅の方向の別の列との間のいずれかに配置されている床仕上げ材。
【請求項3】
請求項2に記載の床仕上げ材において、
前記突起の外周には、前記本体の側へ向けて幅が広くなる三角形状のフランジ部が設けられ、
前記フランジ部は、前記強度部材と干渉しない間隔を開けて前記突起に配置されていると共に、
前記強度部材は、前記フランジ部と干渉しないように、前記フランジ部同士の間に配置されている床仕上げ材。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の床仕上げ材において、
前記強度部材は、金属製のパイプ材である床仕上げ材。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の床仕上げ材が、建物の屋外に設けられた床の端部に設けられた軒樋を覆って設けられた床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床仕上げ材および床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルコニーの床構造において、床の水下端部に軒樋を設け、軒樋を蓋で覆う床構造が知られている(例えば、特許文献1)。この従来技術では、床の上面の水を集水して排水ドレインに導引する箱状の軒樋が床の水下側端縁部に設けられ、この軒樋の上方を覆う鋼製のグレーチング蓋が設けられている。このような従来の床構造では、蓋を設けることにより、軒樋内にゴミが集積するのを防いだり、軒樋に住人が足を落とすことを防いだりすることができる。
【0003】
また、上記の従来の床構造に用いられる鋼製のグレーチング蓋は、重量物であり、コストがかかるとともに、寸法調整の自由度が低いことから、蓋として、樹脂製のものを用いることも知られている。このような樹脂製の蓋としては、例えば、床面上に敷設する特許文献2に記載の床仕上げ材と同様のものを用いたりされている。この場合、鋼製のものと比較して、安価、かつ、軽量であり、また、軒樋の寸法に合わせて、切断して調整することも可能である。
【0004】
しかしながら、樹脂製の床仕上げ材は、軽量であるものの、それ自身で、人などの重量に対する強度を確保するのが難しい。そのため、従来、軒樋上に、アルミの角パイプ同士をバー材でつないだ受格子を設置し、その上に、樹脂製の床仕上げ材を設置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-91017号公報
【文献】特開2012-77443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の後者の床構造に用いる樹脂製の床仕上げ材は、軽量、安価であり、切断可能で鉄製のものと比較して寸法調整も容易であるものの、以下に列挙する課題を有していた。
(イ)従来の床仕上げ材は、床に受格子を設置した後に受格子の上に設置するが、両者は、別部品であり、例えば、受格子を床仕上げ材の溝に嵌め込んで両者を固定する構造であるため、両者の位置合わせに手間がかかるとともに、その分施工工数も要する。
(ロ)軒樋の掃除などのメンテナンス時には、床仕上げ材を受格子から取り外す必要があるが、通常、床仕上げ材は、受格子に固定されているため、その取り外しに手間がかかる。しかも、メンテナンス後には、床仕上げ材を受格子に固定する必要があり、上記(イ)のようにその作業にも手間がかかる。よって、専門職以外の住人が作業するのが難しく、メンテナンス性に劣る。
(ハ)バルコニーの大きさにより、軒樋の長さが異なるため、その長さに応じた複数種類の受格子が必要になる。よって、部品点数が増加傾向にある。
【0007】
本開示は、上述の問題点に着目して成されたものであり、樹脂製の床仕上げ材の強度を確保しつつ、施工性およびメンテナンス性に優れ、部品点数も抑えることができる床仕上げ材および床構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の床仕上げ材は、
建物の屋外に設けられた床の端部に設けられた軒樋を覆うように、前記軒樋に対して個別に直接着脱される床仕上げ材であって、
前記軒樋に跨る幅を有し、前記軒樋へ雨水を通過可能に形成された樹脂製の本体と、
前記本体の裏側に一体に取り付けられ、前記本体の1枚分の全幅に亘り延在して前記軒樋に跨り、前記本体の変形を防止可能な複数本の平行な強度部材と、
を備え
複数本の平行な前記強度部材は、前記軒樋への取付け前に予め固定手段により前記本体に、互いに非連結状態で個別に固定されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示にかかる、軒樋に対して個別に直接着脱するようにした床仕上げ材では、上記した構成により、樹脂製の本体の裏側に、本体の1枚分の全幅に亘り延在して軒樋に跨る複数本の平行な強度部材を予め固定手段によって互いに非連結状態で個別に取り付けて一体にした構造であるため、軽量で作業性に優れながら、強度を確保できる。そして、本体に、予め強度部材を取り付けて強度を確保しているため、別途、受格子などの支持部材を用いて支持強度を確保する必要がなく、受格子を設置する場合と比較して、工数を削減でき施工性に優れるとともに、部品点数を削減できる。
【0010】
また、軒樋の掃除などのメンテナンス時には、床仕上げ材を軒樋から外すのみであり、床仕上げ材を受格子などの支持材との固定を解除する必要がなく、また、床仕上げ材の取付時も、受格子などの支持材との位置合わせや固定作業が不要である。よって、専門職人以外の住人でも簡単に行え、メンテナンス性に優れる。
【0011】
さらに、異なるサイズのバルコニーなどの床に応じて軒樋の長さが異なる場合も、床仕上げ材の設置数の違いのみで対応可能であり、受格子などの支持材として、複数の仕様を設定する必要がなく、この点でも、部品点数を削減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1の床仕上げ材を用いた床構造を示す斜視図である。
図2】実施の形態1の床仕上げ材の裏側を示す底面図である。
図3】(a)は実施の形態1の床仕上げ材の断面図であって、図2のS3-S3の位置での断面を示す。(b)は実施の形態1の床仕上げ材の要部を示す断面図であり、固定用ベルトにより角パイプを固定する状態を示す。
図4】実施の形態2の床仕上げ材の裏側を示す底面図である。
図5】実施の形態2の床仕上げ材の断面図であって、図4のS5-S5の位置での断面を示す。
図6】実施の形態3の床仕上げ材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1の床仕上げ材10を備えた床構造は、図1に示す建物Hのバルコニー20に適用されている。
【0014】
バルコニー20の床21には、矢印WD1の方向に下がる水勾配が付与され、水勾配の下流側の端部に、箱状の軒樋30が設けられている。軒樋30は、図示のように上方に開口された凹状に形成され、かつ、矢印WD2の方向に下がる水勾配が付与されている。そして、軒樋30の水勾配の下流端部には、不図示の竪樋が設けられ、軒樋30に流れ込んできた水を竪樋から下方に排水可能に形成されている。
【0015】
軒樋30は、全長に亘って床仕上げ材10により覆われている。
【0016】
床仕上げ材10は、図2に示すように、本体11と、角パイプ12と、固定用ベルト13とを備える。
【0017】
本体11は、樹脂製であり、図1に示すように、上下方向から見た平面形状が四角形を成し、幅寸法Laは、軒樋30の縁部に跨って軒樋30覆うことができる寸法、すなわち、軒樋30の幅寸法Lbよりも大きな寸法に形成されている。なお、以下の説明において、上記の幅寸法La、Lbに沿う方向を、床仕上げ材10および本体11の幅方向、軒樋30の幅方向と称する。
【0018】
また、本体11は、図2に示すように、井形格子とクロス格子とを組み合わせた格子状に形成され、格子同士の間は、上下方向に貫通した穴11aとなっている。よって、床21に降った雨水は、床仕上げ材10の穴11aを通過して軒樋30に流れ込むようになっている。
【0019】
そして、軒樋30の長さ寸法(水勾配に沿う方向の寸法)は、床仕上げ材10(本体11)の幅方向に直交する方向の寸法の整数倍となるように設定されている。したがって、所定枚数の床仕上げ材10を並べることで、軒樋30を全長に亘って床仕上げ材10により覆うことができる。
【0020】
さらに、本体11の4か所の角部の1つである第1の角部を挟む2辺から成る第1の側辺組には、各辺に沿って、所定の間隔で、複数の連結用雌部112が設けられている。この連結用雌部112は、本体11の側辺の下端から外方に突出され、かつ、円形の連結穴112aが貫通して形成されている。
【0021】
一方、第1の角部と対角に位置する第2の角部を挟む2辺から成る第2の側辺組を含んで、4辺に沿って連結用雌部112の連結穴112aに挿入可能に下方に凸状に形成された連結用雄部113が一定間隔で設けられている。
【0022】
したがって、隣り合って配置された床仕上げ材10は、一方の床仕上げ材10の連結用雌部112の連結穴112aの上から、もう一方の床仕上げ材10の連結用雄部113を差し込むことで、2方向に相互に連結することができる。
【0023】
また、本体11の下面には、格子の交差部分の位置に、下方に凸状(図3参照)であって円筒状の円筒部114が設けられている。なお、円筒部114は、上述のように、井形格子およびクロス格子の交点に設けられているため、幅方向に沿う列が複数形成されているとともに、これらの列は幅方向の直交方向に複数並列に設けられている。
【0024】
さらに、円筒部114の外周には、三角形状のフランジ部114fがクロス格子に沿って設けられている。この円筒部114とフランジ部114fとにより、本体11の補強が成されている。 なお、フランジ部114fは、円筒部114に沿う部分の上下方向寸法が大きく、円筒部114から離れるにしたがって徐々に上下方向寸法が小さくなるように形成されている。そして、フランジ部114fにおいて円筒部114から遠い側に位置する先端部同士は、間隔を空けて配置されている。
【0025】
角パイプ12は、樹脂製の本体11の強度を確保する強度部材でありアルミなどの金属製のもので、図2に示すように、本体11の複数個所(実施の形態1では3か所)において、全幅に亘って延在されている。また、角パイプ12は、図3に示すように、幅方向に直交する方向では、円筒部114同士の間に配置され、かつ、フランジ部114fと干渉しない幅寸法に形成され、円筒部114の高さに略一致する高さ寸法に形成されている。
【0026】
固定用ベルト13は、角パイプ12を本体11に固定するもので、布製や樹脂製などのベルトであり、穴11aを通すことが可能な寸法や材質のものが用いられている。また、固定用ベルト13には、面ファスナ13aが設けられている。すなわち、面ファスナ13aは、図3に示すように、角パイプ12を本体11の下面に当接させた状態で、固定用ベルト13を、本体11と共に角パイプ12の外周に掛け回した状態で相互に係合できる位置に設けられている。
【0027】
(実施の形態1の作用)
実施の形態1の作用として、まず、床仕上げ材10の製造手順を説明する。
【0028】
本体11は、樹脂を用いて射出成型などにより形成する。
そして、本体11の裏面に、複数(実施の形態1では「3」)本の角パイプ12を取り付ける。この場合、角パイプ12を、図2に示すように、本体11の裏面において、円筒部114の幅方向に並んだ列と列との間に配置し、かつ、その長手方向の両端を、本体11の幅方向の両端に一致させるように配置する。このとき、角パイプ12は、フランジ部114fと干渉しないように、フランジ部114f、114f同士の間に配置するだけであり、本体11の裏側に嵌合させる必要はなく、位置を併せて嵌合させる場合と比較して作業性に優れる。
【0029】
また、角パイプ12にあっては、本体11と嵌合させる複雑な形状に形成する必要が無く、大量生産が容易な矩形断面のものを用いることができ、製造性に優れるとともに、安価に製造することができる。
【0030】
次に、上記のように配置した角パイプ12を、固定用ベルト13により固定する。この場合、図3(b)に示すように、固定用ベルト13の両端部を、それぞれ、本体11の表面側から格子の穴11a,11aを介して裏面側に通し、角パイプ12の外周に巻き付け、面ファスナ13a,13a同士を係合させる。これにより、角パイプ12は、本体11の裏面に固定され、床仕上げ材10として完成する。
【0031】
次に、実施の形態1の床仕上げ材10を建物Hのバルコニー20に設置し、実施の形態1の床構造を形成する手順を説明する。
【0032】
この場合、床仕上げ材10は、角パイプ12が延在された方向である幅方向を、軒樋30の幅方向に向け、軒樋30の上に跨らせる。そして、軒樋30の長さ方向の一端から他端へ向けて順に直列に設置する。この際に、隣り合って配置される床仕上げ材10同士では、先に設置した一方の床仕上げ材10の連結用雌部112の連結穴112aに、後から設置するもう一方の床仕上げ材10の連結用雄部113を挿入させて、床仕上げ材10,10同士を連結させる。この作業を、軒樋30の長手方向の一方の端部からもう一方の端部まで繰り返すことにより、軒樋30の全長に亘って床仕上げ材10を連結させながら設置することができる。
【0033】
なお、バルコニー20の床21において、軒樋30以外の部分にも、床仕上げ材(不図示)を、設置することができる。この床21の上に設置する床仕上げ材(不図示)としては、床仕上げ材10において角パイプ12を固定しないものを用いることができる。したがって、床21の上にこのような床仕上げ材を設置した場合は、軒樋30に設置した床仕上げ材10の連結用雌部112(あるいは、連結用雄部113)を、床21の上に設置した床仕上げ材(不図示)の連結用雄部113(あるいは、連結用雌部112)と係合させることで連結することができる。
【0034】
以上のようにして設置された床仕上げ材10は、本体11を樹脂製としながらも、下面に複数の角パイプ12を備えるため、住人が踏んでも変形しない強度を付与することができる。
【0035】
そして、軒樋の掃除などのメンテナンス時には、軒樋30に設置した床仕上げ材10を、隣り合う床仕上げ材10および不図示の床仕上げ材の連結用雌部112と連結用雄部113との係合を外しながら、床仕上げ材10を、上方に持ち上げれば、簡単に軒樋30から取り外すことができる。
【0036】
また、メンテナンス作業後は、これとは逆に、設置時と同様に、床仕上げ材10を、隣り合う床仕上げ材10および不図示の床仕上げ材に対して、連結用雌部112と連結用雄部113とにより係合させることで、再び設置することができる。
【0037】
このように、受格子との係合を外したり、係合させたりの作業が不要であり、作業性に優れる。
【0038】
(実施の形態1の効果)
以下に、実施の形態1の効果を列挙する。
(1)実施の形態1の床仕上げ材10は、屋外に設けられたバルコニー20の床21の端部に設けられた軒樋30を覆って設けられる。そして、この床仕上げ材10は、軒樋30に跨る幅を有し、軒樋30へ雨水を通過可能に形成された樹脂製の本体11と、本体11の裏側に取り付けられ、軒樋30に跨る長尺状であり、本体11の変形を防止可能な強度部材としての角パイプ12とを備える。
【0039】
したがって、床仕上げ材10は、樹脂製の本体11の裏側に複数の角パイプ12を取り付けた構造であるため、軽量で作業性に優れながら、強度を確保できる。そして、本体11に、予め角パイプ12を取り付けて強度を確保した構造であるため、別途、設置の際に受格子などの支持部材を用いて支持強度を確保する必要がない。よって、受格子を設置する場合と比較して、工数を削減でき施工性に優れるとともに、部品点数を削減できる。
【0040】
また、軒樋30の掃除などのメンテナンス時には、床仕上げ材10を軒樋30から取り外すのみで取り外すことができる。したがって、床仕上げ材10は、従来のように受格子などの支持材との固定を解除する必要がなく、また、メンテナンス後の取付の際にも、受格子などの支持材との位置合わせや固定作業が不要である。よって、専門職人以外の住人でも簡単に行え、メンテナンス性に優れる。
【0041】
さらに、異なるサイズのバルコニーなどの床21に応じて軒樋30の長さが異なる場合も、床仕上げ材10の設置数を変えるだけで対応可能であり、受格子などの支持材において複数の長さの仕様を設定する必要がなく、この点でも、部品点数を削減することが可能である。
【0042】
(2)実施の形態1の床仕上げ材10では、本体11は、裏側に凸状の補強用の突起としての円筒部114を備え、円筒部114は、幅の方向に並んだ列を形成するとともに、この列は、幅の方向の直交方向に複数並列に設けられている。そして、強度部材としての角パイプ12は、円筒部114の幅の方向の列と列との間に配置されている。
【0043】
このように、角パイプ12は、円筒部114の列と列との間に配置するだけであり、本体11との間に嵌合構造を設ける場合と比較して、製造が容易である。さらに、円筒部114により角パイプ12が、本体11の幅方向の直交方向に移動するのも防止することができ、単に、角パイプ12を本体11の平らな裏面に取り付ける場合と比較して、角パイプ12の位置がずれるのを防止することができる。
【0044】
(3)実施の形態1の床仕上げ材10では、角パイプ12は、固定手段としての固定用ベルト13により本体11に固定されている。したがって、角パイプ12の本体11への固定作業が、ねじやボルトなどを用いて固定する場合と比較して、容易で安価に行うことができ、しかも、接着材を用いた場合よりも、経年劣化を抑えて確実に固定することができる。
【0045】
(4)実施の形態1の床仕上げ材10では、強度部材として金属製の角パイプ12を用いた。したがって、金属製の中実のものを用いた場合と比較して、軽量としながらも強度を確保することができる。
【0046】
(5)実施の形態1の床構造は、上記(1)~(4)の効果を備えた床仕上げ材10により、建物の屋外に設けられたバルコニー20の床21の端部に設けられた軒樋30が覆われている。したがって、床構造において、上記(1)~(4)の効果を得ることができる。
【0047】
(他の実施の形態)
次に、本開示の他の実施の形態について説明する。 なお、他の実施の形態の説明において、他の実施の形態と共通する構成には当該実施の形態と同じ符号を付して説明を省略し、当該実施の形態との相違点のみ説明する。
【0048】
(実施の形態2)
以下に、図4図5に示す実施の形態2の床仕上げ材210および床構造について説明する。
【0049】
実施の形態2の床仕上げ材210は、本体11に角パイプ12を固定する固定手段が実施の形態1の床仕上げ材10と異なる。
【0050】
すなわち、実施の形態2では、角パイプ12の側面に、スペーサ213を設けている。このスペーサ213は、実施の形態1と同様に、円筒部114の列と列との間に角パイプ12を配置した際に、角パイプ12の側面と円筒部114との間の隙間を埋めることができる厚みを有している。また、スペーサ213は、予め角パイプ12の側面に接着などにより固定しておく。
【0051】
このスペーサ213の材質としては、金属、樹脂、発泡体、弾性体などを用いることができる。スペーサ213として金属製や樹脂製の相対的に硬いものを用いた場合は、本体11、角パイプ12,スペーサ213の全て、あるいは、いずれか1または2つのものを弾性変形させ、その反発力により角パイプ12を本体11に固定することができる。
【0052】
また、スペーサ213として発泡体や弾性体などの弾性変形可能なものを用いた場合は、主としてスペーサ213を弾性変形させ、その反発力により角パイプ12を本体11に固定することができる。
【0053】
この実施の形態2にあっても、実施の形態1の(1)(2)(4)(5)と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態2にあっても、角パイプ12は、円筒部114の列同士の間に挿入させるだけで固定することができるため、角パイプ12の固定作業も容易である。
【0054】
(実施の形態3)
次に、図6に示す実施の形態3の床仕上げ材310について説明する。
床仕上げ材310は、角パイプ12に代えてフレーム部材312を用いている。このフレーム部材312は、金属製のもので、強度部材として機能するフレーム部312aと、固定手段としてのばね部312b、312bとを備えるもので、押出成形などで形成することができる。
【0055】
フレーム部312aは、コの字断面形状に形成されており、角パイプ12と同様の剛性を備える。
【0056】
ばね部312b、312bは、フレーム部312aの端部に一体に形成されている。ばね部312b、312bは、図6(a)に示す、本体11への取付前には、その幅Lcが、円筒部114の列と円筒部114の列との間隔Ldよりも広い形状に形成されている。そして、図6(b)に示す本体11への取付時には、ばね部312b、312bの間隔が狭まるよう弾性変形し、その反発力により本体11に固定される。
【0057】
この実施の形態3にあっても、実施の形態1の(1)(2)(4)(5)と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態3にあっても、フレーム部材312は、円筒部114の列同士の間に挿入させるだけで固定することができるため、その固定作業も容易である。
【0058】
以上、図面を参照して、本開示の床仕上げ材および床構造の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0059】
例えば、実施の形態では、強度部材として、角パイプ12やフレーム部材312を示したが、これに限定されず、中実の部材を用いることができる。この中実の部材を用いる場合、樹脂製として軽量化が可能である。また、強度部材としてパイプを用いる場合も、角パイプに限らず、丸パイプなどの他の形状のものを用いることができる。
【0060】
また、強度部材を本体に固定する固定手段も、実施の形態で示したものに限定されるものではない。例えば、固定手段として、接着材や接着テープなどを用いることが可能である。また、固定手段として、強度部材を囲むように設ける部材としても、実施の形態1で示した固定用ベルトに限らず、針金などの紐状の部材を用いることも可能である。
【0061】
また、本体は、実施の形態では、格子状に形成した例を示したが、これに限定されず、板材に雨水を通過可能な穴を形成した形状としてもよい。この場合、穴は、多角形、円形、楕円形、その他の形状など、形状は限定されない。また、格子状とする場合も、本実施の形態では、クロス格子と井形格子とを組み合わせた例を示したが、これに限定されず、井形格子とクロス格子のいずれか一方としてもよいし、その他の格子形状であってもよい。
【0062】
また、本体の裏側の凸状の補強用の突起として、実施の形態では、円筒部114を示したが、突起としての形状は、これに限定されない。例えば、突起は、筒状に限らず、柱状や板状としてもよいし、その形状も、円形に限らず、多角形状などの他の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0063】
10 床仕上げ材
12 角パイプ(強度部材:パイプ材)
13 固定用ベルト(固定手段)
20 バルコニー
21 床
30 軒樋
114 円筒部(突起)
114f フランジ部
210 床仕上げ材
213 スペーサ(固定手段)
310 床仕上げ材
312 フレーム部材
312a フレーム部(強度部材)
312b ばね部(固定手段)
H 建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6