(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】電子辞書、および電子辞書の制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/332 20190101AFI20241218BHJP
G06F 15/02 20060101ALI20241218BHJP
G09B 5/02 20060101ALI20241218BHJP
G09B 19/02 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
G06F16/332
G06F15/02 340H
G09B5/02
G09B19/02 Z
(21)【出願番号】P 2020210498
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岩附 弘靖
【審査官】和田 財太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-071495(JP,A)
【文献】特開2016-206675(JP,A)
【文献】特開平05-067137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00
G06F 15/02
G09B 5/02
G09B 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量的関係を示す関係式を検索する情報検索
機能を有する電子辞書であって、
検索ワードとして、前記関係式を構成する変数の少なくとも1つを示す変数ワードの入力を受け付ける入力受付部と、
前記変数ワードが示す変数と、該変数
に対応するキーワードとが対応付けられた第1対応情報を用いて、前記入力受付部で受け付けた前記変数ワードを前記
キーワードに変換する変換部と、
前記関係式と該関係式を構成する各変数
に対応する各キーワードとが対応付けられた第2対応情報を用いて、前記変換部が変換した1または複数の前記
キーワードと対応付けられた前記関係式を検索する検索部と、
前記検索部が検索した前記関係式を表示部に表示させる表示制御部と、を備えたことを特徴とする
電子辞書。
【請求項2】
前記検索部は、前記変換部が変換した1または複数の前記
キーワードの全部を、前記第2対応情報において対応付けられた前記
キーワードの全部とする前記関係式を検索することを特徴とする請求項1に記載の
電子辞書。
【請求項3】
前記検索部は、前記変換部が変換した1または複数の前記
キーワードの全部を、前記第2対応情報において対応付けられた前記
キーワードの一部とする前記関係式を検索することを特徴とする請求項1または2に記載の
電子辞書。
【請求項4】
前記表示制御部は、検索された前記関係式毎に、前記関係式に対応付けられた前記
キーワードのうち、前記変換部が変換した1または複数の前記
キーワードには含まれない
キーワードを当該関係式と対応付けて前記表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載の
電子辞書。
【請求項5】
前記表示部に表示された前記関係式の変数またはその近傍への接触または接近を検出する検出部と、
前記検出部が前記接触または接近を検出した場合、前記接触または接近のあった前記変数の値を入力するための入力欄を前記表示部に表示させる入力欄表示部と、
前記入力欄への数値入力を受け付ける数値入力受付部と、
前記接触または接近のあった前記変数に対応する領域に、前記数値入力受付部で受け付けた数値を表示させる数値代入部と、を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の
電子辞書。
【請求項6】
前記関係式の各変数のうち、数値が入力されていない変数が1つとなった場合、当該1つの変数の値を演算する演算部を備えた、ことを特徴とする請求項5に記載の
電子辞書。
【請求項7】
前記入力受付部が、複数の検索結果が記録された検索履歴から複数の関係式の選択を受け付けた場合、前記表示制御部は、前記表示部の表示画面に、選択された前記複数の関係式を同時に表示させることを特徴とする請求項5または6に記載の
電子辞書。
【請求項8】
前記数値代入部は、前記表示部に表示されている複数の前記関係式から、第1の関係式の変数を選択する操作、および、当該第1の関係式以外の第2の関係式の変数を選択する操作を検知すると、一方の前記操作で選択された変数の数値を他方の前記操作で選択された変数の数値として代入することを特徴とする請求項7に記載の
電子辞書。
【請求項9】
量的関係を示す関係式を検索する情報検索
機能を有する電子辞書の制御方法であって、
前記電子辞書が、検索ワードとして、前記関係式を構成する変数の少なくとも1つを示す変数ワードの入力を受け付ける入力受付ステップと、
前記電子辞書が、前記変数ワードが示す変数と、該変数
に対応するキーワードとが対応付けられた第1対応情報を用いて、前記入力受付ステップで受け付けた前記変数ワードを前記
キーワードに変換する変換ステップと、
前記電子辞書が、前記関係式と該関係式を構成する各変数
に対応する各キーワードとが対応付けられた第2対応情報を用いて、前記変換ステップで変換した1または複数の前記
キーワードと対応付けられた前記関係式を検索する検索ステップと、
前記電子辞書が、前記検索ステップで検索した前記関係式を表示部に表示させる表示制御ステップと、を含むことを特徴とする情報検索
機能を有する電子辞書の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量的関係を示す関係式を、該関係式を構成する変数を表すワードから検索する情報検索装置、電子辞書、および情報検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば学校教育の現場では、算数などの分野において、与えられた条件から、関係する公式を導き出し、その公式に必要な値を当てはめて計算をしていくことがある。ユーザ(学習者)は、教科書等の他に、電子辞書、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等を用いながら必要な公式を検索し、計算を行っている。
【0003】
特許文献1には、電子翻訳機の原理を利用した電子公式辞典が記載されている。公式を用いて演算を行う場合、ユーザが公式名を入力すると、該当する公式が表示部に表示される。その後、表示された公式に必要な変数を入力し、演算を行っている。
【0004】
特許文献2には、数学の学習支援を目的とするもので、三角関数の公式に基づきユーザが任意で三角関数式を選択・変換可能な演算処理装置について記載されている。まず、ユーザに三角関数式を入力させた後に、ユーザに三角関数式の変換対象となる変数を選択させる。演算処理装置は、その選択された変数から、関係する三角関数の公式を表示する。ユーザは、表示された三角関数の公式から任意の公式を選択し、入力された三角関数式を変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平1-295358号公報
【文献】特許第3780907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された電子公式辞典では、使用する公式を表示するには公式名を入力しなければならない。そのため、公式名を忘れてしまったような場合又は知らないような場合には、使用する公式を表示することができない。
【0007】
また、特許文献2に記載された演算処理装置においては、公式を表示するには、予めユーザが数式を入力しなければならない。そのため、数式を知らなければ、そもそも、公式を表示することができない。
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、公式の名称等を知らなくても、目的の公式を見つけ出すことができる情報検索装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報検索機能を有する電子辞書装置は、量的関係を示す関係式を検索する情報検索機能を有する電子辞書であって、検索ワードとして、前記関係式を構成する変数の少なくとも1つを示す変数ワードの入力を受け付ける入力受付部と、前記変数ワードが示す変数と、該変数に対応するキーワードとが対応付けられた第1対応情報を用いて、前記入力受付部で受け付けた前記変数ワードを前記キーワードに変換する変換部と、前記関係式と該関係式を構成する各変数に対応する各キーワードとが対応付けられた第2対応情報を用いて、前記変換部が変換した1または複数の前記キーワードと対応付けられた前記関係式を検索する検索部と、前記検索部が検索した前記関係式を表示部に表示させる表示制御部と、を備えた構成である。
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報検索機能を有する電子辞書の制御方法は、量的関係を示す関係式を検索する情報検索機能を有する電子辞書の制御方法であって、前記電子辞書が、検索ワードとして、前記関係式を構成する変数の少なくとも1つを示す変数ワードの入力を受け付ける入力受付ステップと、前記電子辞書が、前記変数ワードが示す変数と、該変数に対応するキーワードとが対応付けられた第1対応情報を用いて、前記入力受付ステップで受け付けた前記変数ワードを前記キーワードに変換する変換ステップと、前記電子辞書が、前記関係式と該関係式を構成する各変数に対応する各キーワードとが対応付けられた第2対応情報を用いて、前記変換ステップで変換した1または複数の前記キーワードと対応付けられた前記関係式を検索する検索ステップと、前記電子辞書が、前記検索ステップで検索した前記関係式を表示部に表示させる表示制御ステップと、を含む方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、公式の名称等を知らなくても、目的の公式を見つけ出す可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電子辞書の外観を示す図である。
【
図2】前記電子辞書の主要部構成を示すブロック図である。
【
図3】前記電子辞書の検索用辞書データを示す図である。
【
図4】前記電子辞書に格納されているキーワードテーブルを示す図である。
【
図5】前記電子辞書における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図8】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図9】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図10】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図11】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図12】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図13】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図14】他の実施形態に係る電子辞書の主要部構成を示すブロック図である。
【
図15】前記電子辞書における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図16】前記電子辞書の表示画面例を示す図である。
【
図17】前記電子辞書の表示画面例を示す図である。
【
図18】前記電子辞書の表示画面例を示す図である。
【
図19】前記電子辞書の表示画面例を示す図である。
【
図20】前記電子辞書の表示画面例を示す図である。
【
図21】前記電子辞書における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図22】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図23】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図24】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図25】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【
図26】前記電子辞書の変形例における検索用辞書データを示す図である。
【
図27】前記電子辞書の変形例における表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。本実施形態に係る電子辞書1は、数式で表される公式を検索可能な情報検索装置である。本実施形態では、一例として電子辞書を挙げて説明する。なお、本発明は、電子辞書に限られるものではなく、スマートフォンなどの携帯端末やタブレット端末等においても適用可能である。
【0014】
また、本実施形態では、検索可能な関係式として数式で表される公式を検索する電子辞書を例に挙げて説明するが、検索可能となるのはこれに限られない。量的関係を示す関係式であれば、検索可能であり、例えば、社会学的な量体系に関する量的関係を示す関係式を検索するものであってもよい。
【0015】
(電子辞書1の外観)
図1は、電子辞書1の外観を示す図である。
図1を用いて、電子辞書1の外観について説明する。電子辞書1は、電子辞書1を操作する操作受付部2と、検索入力画面、検索結果等を表示する表示部3とを有している。なお、電子辞書1の電子辞書としての機能、例えば、国語辞典、英語辞典等としての機能は、公知の技術を用いて実現可能であるので、ここでは説明を割愛する。
【0016】
操作受付部(入力受付部)2は、電子辞書1に対する操作を受け付ける物理キーであり、電源キー、ファンクションキー、文字キー、決定キー、カーソルキー等が含まれている。
【0017】
表示部3は、検索入力画面や検索結果等の各種情報を表示するものである。この表示部3としては、情報の表示が可能な表示装置であればどのような装置によって実現されてもよいが、具体的な例としては、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイが挙げられる。また、表示部3は、タッチパネルを含み、表示部3に対する接触または接近によって電子辞書1に対する操作を受け付けるものであってもよい。この場合、操作受付部2と表示部3とは一体として構成されることになる。
【0018】
(電子辞書1の主要部構成)
次に、
図2から
図4を用いて、電子辞書1の主要部構成について説明する。
図2は、実施形態1に係る電子辞書1の主要部構成を示すブロック図である。
図3は、電子辞書1の検索用辞書データ13を示す図である。
図4は、電子辞書1に格納されているキーワードテーブル14を示す図である。
【0019】
図2に示すように、電子辞書1は、操作受付部2、表示部3、制御部4及び記憶部5を含む。
【0020】
記憶部5は、情報を記憶するものであり、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などの不揮発性のデバイスと、RAM(Random Access Memory)などの揮発性のデバイスとによって構成される。不揮発性のデバイスに記憶される内容としては、各種プログラム、各種動作設定値、各種データなどが挙げられる。揮発性のデバイスに記憶される内容としては、作業用ファイル、テンポラリファイルなどが挙げられる。本実施形態では、記憶部5は、辞書データベース12及び検索履歴データベース15を含み、辞書データベース12には検索用辞書データ13及びキーワードテーブル14が格納されている。
【0021】
図3に示すように、検索用辞書データ(第2対応情報)13には、公式に関する情報が記憶されている。記憶された公式の情報としては、キーワードの個数、公式の名称、抽象化キーワード(シンボル)、詳細が挙げられる。検索用辞書データ13には、これらの情報に限られず、公式に関する他の情報が登録されていてもよい。また、検索用辞書データ13には、公式1つに対し、1または複数の抽象化キーワードが対応付けられている。
【0022】
キーワードの個数は、その公式に使用される変数の数である。公式の名称は、算数、数学、理科等その公式の属する分野において、一般的に呼ばれている名称であるか、又は当該公式によって求められる内容を示す。一般的に呼ばれている名称であれば、例えば「ピタゴラスの定理(三平方の定理)」等が挙げられる。また、公式によって求められる内容を示すものであれば、例えば、「円の面積」、「正方形の面積」等が挙げられる。
【0023】
抽象化キーワードは、公式を構成する各変数が表す量の次元を表現したワード(シンボル)である。例えば、三角形の面積で用いられる「底辺」及び「高さ」が表す量の次元は「長さ」ということができるので、この「長さ」が抽象化キーワードとして登録されている。公式を構成する各変数に対応する抽象化キーワードが重複する場合、抽象化キーワードには連番を付加させて記憶させている。例えば、三角形の面積の公式は、三角形の面積=底辺×高さ÷2なので、「三角形の面積」の抽象化キーワード「面積」、「底辺」の抽象化キーワード「長さ」に重複を示す番号「1」を付加した「長さ1」、「高さ」の抽象化キーワード「長さ」に重複を示す番号「2」を付加した「長さ2」というように登録されている。
【0024】
詳細は、公式を含めたその公式についての内容を説明するものである。例えば、円の面積であれば、「半径rの円の面積Sは、S=πr2」と記載されている。
【0025】
辞書データベース12に格納されているキーワードテーブル(第1対応情報)14は、電子辞書1に入力されたキーワードと抽象化キーワードとを対応付けたテーブルである。キーワードテーブル14は、ユーザにより入力されたキーワードを、後述する抽象化キーワード変換部10において、抽象化キーワードへ変換するために用いられる。
図4に示すように、キーワードテーブル14には、あらかじめ入力されると予想されるキーワードが登録されている。登録されたキーワードには、そのキーワードが変換される抽象化キーワードに対応付けられている。キーワードテーブル14に登録されるキーワードは、ユーザにより、所望のキーワードを登録できるようにし、そのキーワードと所望の抽象化キーワードとを対応付けできるようにしても良い。
【0026】
操作受付部2は、ユーザからの任意の操作を受け付け、操作された指示を制御部4に通知する。より詳細には、操作受付部2は公式検索処理を実行するための検索画面(入力画面)の表示指示を受け付けると、その旨を示す検索開始指示を制御部4の検索部6に通知する。また、操作受付部2は、検索画面において、検索ワードとしての文字入力を受け付けると、当該文字を示す情報を制御部4の検索部6に通知する。ここで、検索ワードとは、公式の変数を示す変数ワードである。本実施形態において変数ワードとは、公式の変数を示すワードであればよく、例えば、「半径」、「面積」等の公式の変数の内容を示す名称、または「長さ」というような公式の変数が表す量を示すワードである。
【0027】
操作受付部2は、さらに、検索結果として表示された公式の詳細を表示部3に表示させる表示指示を受け付けると、当該公式の詳細画面の表示指示を制御部4の検索部6に通知する。
【0028】
なお、操作受付部2におけるユーザ操作の受け付けは、上述したように、物理キーを押下されることによって実行されてもよいし、表示部3に含まれるタッチパネルに対する接触、近接により実行されてもよい。
【0029】
表示部3は、後述する表示制御部7の指示に基づき各種情報を表示する。
【0030】
制御部4は、検索部6及び表示制御部7が含まれる。検索部6は、ユーザから入力された検索キーワードに基づき、記憶部5に記憶されている公式と一致する公式を検索する。検索部6は、完全一致検索部8、部分一致検索部9、抽象化キーワード変換部(変換部)10及び公式表示管理部11が含まれる。
【0031】
検索部6は、操作受付部2からユーザが入力したキーワードの情報を受け付けると、抽象化キーワード変換部10により、入力されたキーワードを抽象化キーワードに変換する処理を行う。抽象化キーワード変換部10は、辞書データベース12のキーワードテーブル14に登録されている情報を読み出し、登録された対応通りの変換を行う。例えば、
図4に示すキーワードテーブル14のように、「底辺」と入力されたキーワードを、対応付けられている抽象化キーワード「長さ」に変換する。また、抽象化キーワード変換部10は、入力されたキーワードを抽象化キーワードに変換する際、重複する抽象化キーワードが存在する場合には、重複する抽象化キーワードに連番を付加させて変換する。
【0032】
完全一致検索部8は、抽象化キーワード変換部10により変換された抽象化キーワードと記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワードとが完全一致する公式を検索する。換言すれば、完全一致検索部8は、抽象化キーワード変換部10が変換した1または複数の抽象化キーワードの全部が対応付けられた公式を検索する。
【0033】
部分一致検索部9は、抽象化キーワード変換部10により変換された抽象化キーワードと記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワードの一部とが一致する公式を検索する。換言すれば、部分一致検索部9は、抽象化キーワード変換部10が変換した1または複数の抽象化キーワードの全部が、自式に対応付けられている1または複数の抽象化キーワードに含まれる公式を検索する。
【0034】
公式表示管理部11は、操作受付部2からの指示に基づき、検索画面、検索履歴画面または公式の詳細画面等の画面を表示する通知を表示制御部7に送信する。また、公式表示管理部11は、完全一致検索部8または部分一致検索部9により検索された公式を表示する指示を表示制御部7に通知する。
【0035】
表示制御部7は、検索部6からの指示に基づき、各種情報を表示部3に表示させる。
【0036】
また、本実施形態では、文字または文字列を入力して検索処理を実行する構成としたが、これに限られず、音声や画像を入力して検索処理を実行する構成であってもよい。さらに、検索結果の提示も文字の表示に限られず、音声による出力等であってもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る電子辞書1は、量的関係を示す関係式として公式を検索する電子辞書1であって、検索ワードとして、前記公式を構成する変数の少なくとも1つを示す変数ワードの入力を受け付ける操作受付部2と、変数ワードが示す変数と該変数が表す量の次元を示すシンボル(抽象化キーワード)とが対応付けられたキーワードテーブル14を用いて、操作受付部2で受け付けた前記変数ワードを、前記シンボルに変換する抽象化キーワード変換部10と、前記関係式と該関係式を構成する各変数が表す量の次元を示す各シンボルとが対応付けられた検索用辞書データ13を用いて、抽象化キーワード変換部10が変換した1または複数の前記シンボルと対応付けられた前記関係式を検索する検索部6と、検索部6が検索した公式を表示部3に表示させる表示制御部7と、を備える。
【0038】
また、本実施形態では、数学の公式を構成する変数が表す量の次元である抽象化キーワード(シンボル)の例として、「長さ」、「面積」等を挙げて説明した。抽象化キーワードの例はこれに限られるものではなく、例えば、客単価=売上/来客数というような経済学で用いられる関係式であれば、変数「来客数」に対応する抽象化キーワードを「人数」、変数「売上」に対応する抽象化キーワードを「金額」としてもよい。これにより、数学の公式に限ることなく、量的関係を示す関係式を検索することができる。
【0039】
(電子辞書1における処理の流れ)
次に、
図5を用いて、電子辞書1における制御の流れを説明する。
図5は、本実施形態に係る電子辞書1における処理の流れを示すフローチャートである。
図5に示すように、電子辞書1は、検索処理の開始を受け付けると、表示制御部7は表示部3に検索画面を表示する(S1)。そして、操作受付部2はユーザからのキーワード(検索ワード)の入力を受け付ける(S2)。その後、操作受付部2において検索ボタン20(
図6参照)が押下されると(S3でYES)、入力されたキーワードを、抽象化キーワード変換部10において、抽象化キーワードに変換する(S4)。その後、完全一致検索部8が、記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワードと完全一致する公式を検索し、結果を表示部3に表示させる(S5)。
【0040】
次に、操作受付部2が、表示された検索結果からユーザが任意の公式を押下したことを受け付けると(S6でYES)、表示制御部7が表示部3に記憶部5に記憶された公式の詳細を表示する(S9)。
【0041】
一方、表示された公式から任意の公式が押下されることなく(S6でNO)、部分一致結果表示ボタン(
図6の未知のキーワード1個ボタン23、未知のキーワード2個ボタン24)を押下したかを判断する(S7)。部分一致結果表示ボタンが押下された場合(S7でYES)、部分一致検索部9が記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワードと部分的に一致する公式を検索し、検索結果を表示部3に表示する(S8)。その後、ステップS6に戻る。以上が、電子辞書1における処理の流れである。
【0042】
なお、本実施形態では、キーワード入力後、入力されたキーワードを用いて検索処理を実行する流れとして記載しているが、キーワードが入力される毎に、検索処理を実行する構成であってもよい。例えば、「底辺」と入力された時点で、抽象化キーワード「長さ」を用いて検索処理を実行し、次に「高さ」が入力されると、抽象化キーワード「長さ1」および「長さ2」を用いて検索処理を実行し、次に「面積」が入力されると、抽象化キーワード「面積」、「長さ1」、および「長さ2」を用いて検索処理を実行する構成であってもよい。
(表示画面例)
次に、
図6を用いて、電子辞書1に表示される画面例について説明する。
図6は、本実施形態に係る電子辞書1の表示部3に表示される表示画面例を示す図である。
図6に示すように、画面の上部にはキーワード入力欄21が表示されている。ユーザがキーワード入力欄21にキーワードを入力し、検索ボタン20を押下すると、検索結果画面が表示される。
【0043】
検索結果画面には、ユーザが入力したキーワードと記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワードとが完全一致した公式を表示させる一致ボタン22、部分一致した公式を表示させる未知のキーワード1個ボタン23、未知のキーワード2個ボタン24が表示されている。未知のキーワード1個ボタン23及び未知のキーワード2個ボタン24が部分一致結果表示ボタンに該当する。未知のキーワード1個ボタン23が押下された場合は、ユーザが入力したキーワード数が記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワード数より1つ不足する公式の検索結果が表示される。未知のキーワード2個ボタン24は、ユーザが入力したキーワード数が記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワード数より2つ不足する公式の検索結果が表示される。
【0044】
このように上述したボタンが押下されると、そのボタンの条件に合った検索結果の一覧25が表示される。なお、検索ボタン20押下後に最初に表示される検索結果の画面は、完全一致した公式の検索結果が表示される。
【0045】
画面下側には、公式の検索結果が表示されている。画面の左下側には検索された公式の名称が検索結果の一覧25として表示されている。結果一覧のうち、任意の公式名が押下されると、画面右下側にその押下された公式の詳細が詳細画面26として表示される。
【0046】
なお、本実施形態の画面における検索結果の画面は、部分一致の検索結果として、不足するキーワードの数に応じた検索結果を表示しても良い。不足するキーワード数が三つ存在する場合、「未知のキーワード3個」として、不足するキーワード数が四つ存在する場合、「未知のキーワード4個」としてボタンを表示すればよい。
【0047】
〔変形例1〕
部分一致検索部9が検索した検索結果において、ユーザが入力したキーワード数が記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワード数より1つ不足する検索結果を表示した場合、その公式の1つ不足している抽象化キーワードを表示する「候補」ボタンを表示してもよい。
図7~9を用いて、説明する。
図7~9は、本変形例に係る電子辞書1の表示画面例を示す図である。
【0048】
図7に示すように、検索結果画面の未知のキーワード1個ボタン23を押下すると、ユーザが入力したキーワード数が記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワード数より1つ不足する部分一致の検索結果が表示される。この検索結果画面には、候補ボタン27が表示されている。
【0049】
候補ボタン27が押下されると、
図8に示すように、表示制御部7は、検索された公式の名称と、当該公式において足りなかった抽象化キーワードを表示する。ユーザは、足りなかったキーワードを入力するか又は「未知のキーワード」に表示された抽象化キーワードをキーワード入力欄21にドラッグすることにより、検索に用いるキーワードを追加することができる。キーワードを追加すると、
図9に示すように、入力されたキーワードに一致する公式が再検索されたのち表示される。
【0050】
このように、不足するキーワードを表示することで、使用すべき公式がわからない場合であっても、ユーザは問題の解答を出すために必要な公式を見つけることができる。
【0051】
〔変形例2〕
部分一致検索部9が検索した検索結果において、ユーザが入力したキーワード数が記憶部5に記憶された公式の抽象化キーワード数より2つ以上不足する検索結果を表示した場合、検索結果の表示画面に絞り込みボタンを表示してもよい。
図10、11を用いて、本変形例に係る電子辞書1について説明する。
図10、11は、本変形例に係る電子辞書1の表示画面例を示す図である。
【0052】
例えば、
図10に示すように、不足するキーワードが2つの検索結果である未知のキーワード2個ボタン24を選択した場合、検索結果の表示画面には絞り込みボタン29が表示されている。絞り込みボタン29が押下されると、
図11に示すように、検索に必要な抽象化キーワードが一覧として画面30に表示される。ユーザは、これを基に、キーワード入力欄21に必要なキーワードを入力するか又は表示された抽象化キーワードをキーワード入力欄21にドラッグして追加することで、目的とする公式を検索する。
【0053】
このように、不足するキーワードを候補として表示することで、ユーザは、不足するキーワードを容易に認識できる。これにより、ユーザは容易に目的とする公式を検索することができる。
【0054】
なお、上記では、不足するキーワードが1個、または2個の場合を例に挙げて説明したが、本実施形態はこれに限られるものではない。不足するキーワードが3個以上であっても、不足するキーワードが1個または2個の場合と同様に対応することができる。
【0055】
〔変形例3〕
表示部3を複数の画面領域に分割し、それぞれの画面領域に公式を同時に表示するものであってもよい。より詳細には、入力されたキーワード毎に閲覧された公式を検索履歴として記憶し、検索履歴のキーワードの1つまたは1組に対して、複数の公式が存在する場合に、表示部3を、ユーザが選択した1つまたは1組のキーワードに対応する公式の個数と同数の画面領域に分割し、それぞれの画面領域にそれぞれ公式を同時に表示するものであってもよい。
図12、13を用いて、本変形例に係る電子辞書1について説明する。
図12、13は、本変形例に係る電子辞書1の表示画面例を示す図である。
【0056】
ユーザがキーワードを入力して公式を検索し、その検索結果の中から任意の公式を選択すると、記憶部5は検索履歴としてその公式を記憶する。検査履歴として公式が記憶部5に記憶されると、検索結果画面に検索履歴を表示する履歴ボタン32が表示される。
【0057】
ユーザが履歴ボタン32を選択すると、
図12に示すように、検索履歴画面31が表示される。検索履歴画面31には、入力されたキーワード毎に、検索履歴に記憶された公式が表示される。検索履歴に表示された特定のキーワードにおいて、検索履歴に表示された公式が2以上ある場合、その特定のキーワードを選択すると、
図13に示すように、検索履歴に表示された公式を、表示部3を2つの画面領域に分割した2画面33に表示する。
【0058】
このように、2画面表示をすることにより、ユーザは、選択した任意の2つの公式を同時に見ながら、例えば算数の問題を解くということができる。そのため、公式毎に表示画面を変えたりすることなく複数の公式を容易に確認することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、2つの公式を2つの画面領域で表示する構成を記載したが、これに限られず、3つの公式を3つの画面領域で表示する構成であってもよいし、4つの公式を4つの画面領域画面で表示する構成であってもよい。すなわち、複数の公式を、当該複数の画面領域で表示する構成であってもよい。
【0060】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0061】
本実施形態では、表示された公式の変数を数値に置き換える公式変換部35を備えている点が、上述した実施形態1とは異なる。
図14から20を用いて、本実施形態に係る電子辞書1´について説明する。
図14は、電子辞書1´の主要部構成を示すブロック図である。
図15は、電子辞書1´における処理の流れを示すフローチャートである。
図16から20は、電子辞書1´の表示画面例を示す図である。
【0062】
図14に示すように、本実施形態に係る電子辞書1´の制御部4には公式変換部35が含まれる。公式変換部35は、検出部36、入力欄表示部37及び数値代入部38が含まれる。検出部36は、ユーザによって公式の詳細画面40に表示された公式の変数またはその近傍で画面がタッチされたかどうかを検出する。検出部36が公式の変数またはその近傍に画面へのタッチを検出した場合、入力欄表示部37は、数値を入力する入力欄を表示する指示を表示制御部7に送信する。なお、画面へのタッチではなく、カーソルが各変数の近傍でクリックされた場合に、画面がタッチされた場合と同様の処理を行ってもよい。
【0063】
操作受付部(数値入力受付部)2により入力欄表示部37へ数値が入力されると、数値代入部38は、入力された数値を公式の変数に入力する。また、数値代入部38は、必要に応じて、公式の変数の名称または記号を入力された数値に置き換えて表示部3に表示させるように表示制御部7に指示を送る。
【0064】
図15を用いて、本実施形態の電子辞書1´における制御の流れを説明する。
図15に示すように、検索結果画面からユーザにより任意の公式が選択されると、表示制御部7は、当該公式を画面に表示する(S11)。公式が画面に表示されると、検出部36はその公式の変数の近傍で画面がタッチされたかどうかを判断する(S12)。検出部36が、画面へのタッチを検出した場合(S12でYES)、入力欄表示部37は、数値入力画面を表示させる(S13)。一方、ステップS12で画面へのタッチが無ければ(S12でNO)、変数の近傍で画面のタッチが検出されるまで待つ。
【0065】
次に、数値代入部38は、数値入力欄に数値が入力されると(S14でYES)、画面に表示されていた公式の変数の名称または記号を数値に置き換えて表示する(S15)。
【0066】
図16から
図20を用いて、電子辞書1´の画面表示例を説明する。検出部36が表示された公式の変数またはその近傍で画面へのタッチがされたことを検出すると、入力欄表示部37が数値を入力する入力欄を表示する。例えば、
図16、17に示すように、表示された公式(ピタゴラスの定理)の変数「x」にユーザがタッチすることにより、入力欄が表示される。
図16に示す数値入力欄41は、吹き出しとして詳細画面に重畳して表示されている。
図17に示す数値入力欄42は画面下側に表示されている。この場合、公式の詳細画面は画面をスクロールして表示されるようにしても良い。数値入力欄の表示画面はこれに限られず、例えば他の表示画面の部分と色を変える等、ユーザに入力欄とわかるように表示すればよい。
【0067】
数値入力欄41、42に数値が入力されると、数値代入部38は表現されている公式の記号に変えて入力された数値を画面に表示させる。例えば、表示された公式の変数「x」の入力欄に数値「6」を入力すると、
図18に示すように、公式の変数「x」が数値「6」に置き換わっている。
図19に示すように、置き換えた数値「6」の下方に、置き換えられた変数「x」を表示させても良い。
【0068】
例えば、ユーザがピタゴラスの定理を用いて解く問題を処理しているときに、問題に与えられた条件から、ピタゴラスの定理における変数「x」及び「z」の数値が判っている場合、ユーザは変数「x」及び「z」に数値を代入できる。この場合、
図20に示すように、変数「x」及び「z」は数値に置き換えられる。このように、公式の変数を数値に置き換えることにより、計算式の途中経過をユーザに示すことができる。
【0069】
〔変形例4〕
公式に入力された数値から1つの変数を演算する演算部を備え、2つの公式を2画面表示し、導き出した一方の公式の解を他方の公式の1つの変数に代入している構成であってもよい。
図14及び
図21から25を用いて、本変形例に係る電子辞書1´について説明する。
図21は、本変形例に係る電子辞書1´における処理の流れを示すフローチャートである。
図22から25は、本変形例に係る電子辞書1´の表示画面例を示す図である。
【0070】
図14に示すように、制御部4はさらに演算部39を含んでいる。演算部39は、表示された公式に数値が入力され、変数として残っている変数が1つとなった場合、当該変数についての値(解)を求める演算を行う。そして、演算部39は、その演算結果を表示制御部7に送信し、表示制御部7は演算結果を表示部3に表示させる。
【0071】
図21を用いて、本変形例の電子辞書1’における処理の流れを説明する。本変形例では、表示部3が2画面で表示され、2つの公式が表示されているとする(S21)。当該表示は、例えば、検索部6により検索された公式の詳細画面から、2画面検索ボタン45が選択されることで可能である。検出部36は、一方の公式の変数またはその近傍で画面がタッチされたかどうかを判断する(S22)。検出部36が画面へのタッチを検出した場合(S22でYES)、入力欄表示部37は数値入力画面を表示する(S23)。
【0072】
次に数値代入部38は、数値入力欄に数値が入力されたかどうかを判断する(S24)。数値が入力されていない場合(S24でNO)、ステップS24に戻る。数値が入力された場合(S24でYES)、当該公式の変数に入力された数値を反映させる(S25)。次に、演算部39は、一方の公式の1つの変数を残して数値が入力されたかどうかを判断する(S25)。複数の変数に数値が入力されていない場合(S26でNO)、ステップS21に戻る。1つの変数を残して残りの変数には数値が入力されている場合(S26でYES)、演算部が1つの変数の解を算出し、その演算結果を表示部3が表示する(S27)。
【0073】
次に、数値代入部38は、他方の公式の変数にすべて数値が入力されているかを判断する(S28)。すべての変数に数値が入力されている場合(S28でYES)、そのまま終了する。数値が入力されていない公式の変数がある場合(S28でNO)、検出部36は、他方の公式の変数またはその近傍に画面のタッチがあったかを判断する(S29)。
【0074】
検出部36が画面のタッチを検出した場合(S29でYES)、入力欄表示部37は数値入力画面を表示する(S30)。次に演算部39は、数値入力欄に数値が入力されたかどうかを判断する(S31)。数値が入力されていない場合(S31でNO)、ステップS31に戻る。数値が入力された場合(S31でYES)、他方の公式の変数に入力された数値を反映させる(S32)。次に、演算部39は、他方の公式の1つの変数を残して数値が入力されたかどうかを判断する(S35)。
【0075】
一方、検出部36が画面のタッチを検出することなく(S29でNO)、一方の公式の1つの変数の数値を、他方の公式の1つの変数にドラッグして数値を入力されたことを検出した場合(S33でYES)、数値代入部38はドラッグされて入力された数値を公式の変数に入力する(S34)。そしてステップS35に進む。一方、一方の公式の1つの変数の数値が、他方の公式の1つの変数にドラッグされなければ(S33でNO)、ステップS29に戻り、画面へのタッチを待つ。
【0076】
制御部4は、公式の複数の変数に数値が入力されていないと判断した場合(S35でNO)、ステップS29に戻る。一方、1つの変数を残して残りの変数には数値が入力されている場合(S35でYES)、1つの変数の解を算出し、その演算結果を表示部3に表示させる(S36)。
【0077】
図22から25を用いて、本変形例に係る電子辞書の画面表示例を説明する。
図22に示すように、検索結果の一覧25から任意の公式を選択し詳細画面を表示すると、その詳細画面に2画面検索ボタン45が表示される。2画面検索ボタン45を選択すると、
図23に示すように、画面が分割されて表示される。
【0078】
分割画面の一方の画面46に詳細画面を表示した公式が表示され、分割画面の他方の画面47には公式を選択する検索画面が表示される。検索画面で所望の公式を検索することにより、
図24に示すように、分割画面の他方の画面47に検索結果となる公式を表示されることができる。例えば、一方の画面46にはピタゴラスの定理を表示し、他方の画面47には円錐の体積を求める公式を表示することができる。
【0079】
また、ピタゴラスの定理で求めた変数「y」の値を、円錐の体積の公式の変数「h」として使用する場合、「y」の値を「h」に入力することができる。この場合、一方の画面46に表示された公式の変数「y」以外の変数に必要な数値を入力し、変数「y」の値を求める。
図24に示す例では、領域48に「y=8」と表示されている。
【0080】
他方の画面47に表示された公式も同様に、求めたい解である変数「V」以外の変数に数値を入力する。入力する変数の近傍を画面タッチすると、下方に数値を入力する入力画面49が表示される。ユーザは、入力画面49に数値を入力する。
【0081】
そして、一方の画面46で求めた公式の変数「y」の値を、他方の画面47に表示した公式の変数「h」に使用する場合、
図25に示すように、ユーザは一方の画面46に表示された変数「y」の近傍をタッチ(操作)し、そのままドラッグしながら、他方の画面47に表示された変数「h」の位置に移動(操作)させる。これにより、一方の公式のyの値を他方の公式のhの値として入力することができる。換言すれば、第1の関係式(画面46に表示された公式)の変数「y」を選択する操作、および、当該第1の関係式以外の第2の関係式(画面47に表示された公式)の変数「h」を選択する操作を検知すると、一方の操作で選択された変数「y」の数値が、他方の操作で選択された変数「h」の数値として代入される。なお、他方の画面47の公式の変数「V」以外の変数に数値が入力されると、変数「V」の値を求めることができる。
図25に示す例では、「V=96π」と表示されている。
【0082】
〔変形例5〕
2つの公式を2画面表示し、導き出した一方の公式の解を他方の公式の変数の1つに代入する際、一方の公式の変数の数値単位と他方の公式の変数の数値単位とが一致しているかを判断してもよい。
図26、27を用いて、本変形例に係る電子辞書1´について説明する。
図26は本変形例における辞書データ50を示す図である。
図27は、本変形例における電子辞書1´の表示画面例を示す図である。
【0083】
図26に示すように、記憶部5の辞書データ50には公式の名称(見出し語)と公式の変数を表現する記号とその記号の単位とが対応付けて記憶されている。例えば、アンペールの法則について、電流を表す記号である「I」とその単位である「A(アンペア)」が対応付けて記憶されている。また、加減速トルクの公式について、慣性モーメントを表す記号である「I」とその単位である「kgm
2」が対応付けて記憶されている。
【0084】
例えば、
図27に示すように、一方の画面46にアンペールの法則を表示し、他方の画面47に加減速トルクの公式を表示している場合を考える。アンペールの法則にも加速度トルクの公式にも「I」が用いられており、知識のないユーザであれば、両者の「I」は同じものと考えてしまう可能性がある。そこで、アンペールの法則の変数「I」を求め、その変数「I」を他方の画面に表示した加減速トルクの公式の変数「I」にドラッグして入力しようとすると、数値代入部38は、その記号が同一かどうかを判断し、かつ記憶部5に記憶された辞書データ50の記号に対応付けられた単位が同一であるか判断する。
【0085】
数値代入部38は、記号が同一でかつ単位が同一である場合、一方の画面46でドラッグした変数の数値を他方の画面47のドラッグ先の変数の数値として代入する。しかし、
図27に示すように、単位が異なる場合、数値は代入せず、警告を表示させ、ユーザに通知する。これにより、ユーザが、誤った値を公式に代入してしまうことを抑制させることができる。また、同じ「I」でも公式によって示すものが異なることをユーザに認識させることができる。なお、警告は表示に限られるものではなく、音声等を出力するものであってもよい。
【0086】
なお、上記では、数値代入部38は、数値単位そのものを比較し、同一かどうかを判断した。本実施形態はこれに限られるものではなく、次元が一致するか否かを判断し、次元が異なる場合に警告を表示する構成であってもよい。また、次元は一致するが、単位のスケールが異なる場合、スケールを自動的に修正して値を代入する構成であってもよい。例えば、代入元の数値の単位が「kg」で、代入先の数値の単位が「g」である場合、両者の次元はともに「重さ」で一致する。この場合、警告を表示するのではなく、代入先の単位のスケールに合うように、代入元の数値に1000を乗じた数値を代入する構成であってもよい。
〔ソフトウェアによる実現例〕
電子辞書1、1´の制御ブロック(特に制御部4(検索部6、表示制御部7、公式変換部35、演算部39))は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0087】
後者の場合、電子辞書1、1´は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0088】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る情報検索装置は、量的関係を示す関係式を検索する情報検索装置であって、検索ワードとして、前記関係式を構成する変数の少なくとも1つを示す変数ワードの入力を受け付ける操作受付部(入力受付部)2と、前記変数ワードが示す変数と、該変数が表す量の次元を示すシンボル(抽象化キーワード)とが対応付けられたキーワードテーブル(第1対応情報)14を用いて、操作受付部(入力受付部)2で受け付けた前記変数ワードを前記シンボルに変換する抽象化キーワード変換部(変換部)10と、前記関係式と該関係式を構成する各変数が表す量の次元を示す各シンボルとが対応付けられた検索用辞書データ(第2対応情報)13を用いて、抽象化キーワード変換部10が変換した1または複数の前記シンボルと対応付けられた前記関係式を検索する検索部6と、検索部6が検索した前記関係式を表示部3に表示させる表示制御部7と、を備えた構成である。
【0089】
前記の構成によれば、関係式を構成する変数を示す変数ワードが入力されると、入力された変数ワードを当該変数が表す量の次元を示すシンボルに変換し、当該シンボルと対応付けられた関係式を検索する。これにより、シンボルが対応する関係式を検索することができるので、関係式そのものの名称、および変数の名称等をユーザが失念した場合であっても、入力された検索ワードから目的の関係式を発見できる可能性を高めることができる。例えば、目的の関係式が数学の三平方の定理(ピタゴラスの定理)であって、ユーザが当該公式の名称を失念している場合であっても、「辺」を使うということを認識できれば、当該「辺」を検索ワードとして入力することで、「辺」に対応するシンボルである「長さ」を含む公式として「三平方の定理」を検索することができる。なお、ここでは、シンボルとは、関係式を構成する変数が表す量の次元を示すものであり、例えば、変数が「辺」であれば、シンボルは「辺」が表す量の次元である「長さ」となる。
【0090】
本発明の態様2に係る情報検索装置は、前記の態様1において、検索部6は、抽象化キーワード変換部10が変換した1または複数の前記シンボルの全部を、前記第2対応情報において対応付けられた前記シンボルの全部とする前記関係式を検索する構成としてもよい。
【0091】
前記の構成によれば、変換後のシンボルの全部と対応付けられた関係式を検索するので、目的の関係式を早く、的確に見つけ出す可能性を高めることができる。
【0092】
本発明の態様3に係る情報検索装置は、前記の態様1または2において、検索部6は、抽象化キーワード変換部10が変換した1または複数の前記シンボルの全部を、前記第2対応情報において対応付けられた前記シンボルの一部とする前記関係式を検索する構成としてもよい。
【0093】
前記の構成によれば、ユーザが入力した検索ワードを変換したシンボルの全部が、自式に対応付けられている1または複数のシンボルに含まれる関係式を検索するので、目的の関係式を構成する変数のシンボルが揃わなくても、目的の関係式を検索することができる。換言すれば、変数の全てをユーザが認識していなくても、目的の関係式を検索することができる。
【0094】
本発明の態様4に係る情報検索装置は、前記の態様3において、表示制御部7は、検索された前記関係式毎に、前記関係式に対応付けられた前記シンボルのうち、抽象化キーワード変換部10が変換した1または複数の前記シンボルには含まれないシンボルを当該関係式と対応付けて表示部3に表示させる構成としてもよい。
【0095】
前記の構成によれば、目的の関係式を構成する変数のシンボルが揃わない場合、足りないシンボルを表示する。これにより、ユーザは、目的の関係式を検索するために必要なシンボルを認識することができるので、目的の関係式の発見に近づくことができる。また、このシンボルを用いることにより、新たに検索を行うこともできる。
【0096】
本発明の態様5に係る情報検索装置は、前記の態様1から4のいずれかにおいて、表示部3に表示された前記関係式の変数またはその近傍への接触または接近を検出する検出部36と、検出部36が前記接触または接近を検出した場合、前記接触または接近のあった前記変数の値を入力するための入力欄を表示部3に表示させる入力欄表示部37と、前記入力欄への数値入力を受け付ける操作受付部(数値入力受付部)2と、前記接触または接近のあった前記変数に対応する領域に、操作受付部2で受け付けた数値を表示させる数値代入部38と、を備えた構成としてもよい。
【0097】
前記の構成によれば、関係式の任意の変数に、当該変数が対象であることを明確にしつつ、数値を代入することができるため、入力対象の変数の選択間違いを抑制することができる。
【0098】
本発明の態様6に係る情報検索装置は、前記の態様5において、前記関係式の各変数のうち、数値が入力されていない変数が1つとなった場合、当該1つの変数の値を演算する演算部39を備えた、構成としてもよい。
【0099】
前記の構成によれば、所望の関係式を用いて、値が不明な変数の値を自動的に演算させることができる。
【0100】
本発明の態様7に係る情報検索装置は、前記の態様5または6において、操作受付部2が、複数の検索結果が記録された検索履歴から複数の関係式の選択を受け付けた場合、表示制御部7は、表示部3の表示画面に、選択された前記複数の関係式を同時に表示させる構成としてもよい。
【0101】
前記の構成によれば、別々に検索された、関連する関係式を一覧可能とすることができる。これにより、ユーザは、例えば、連続して使用する関係式を一覧で確認できる。
【0102】
本発明の態様8に係る情報検索装置は、前記の態様7において、数値代入部38は、表示部3に表示されている複数の前記関係式から、第1の関係式の変数を選択する操作、および、当該第1の関係式以外の第2の関係式の変数を選択する操作を検知すると、一方の前記操作で選択された変数の数値を他方の前記操作で選択された変数の数値として代入する構成としてもよい。
【0103】
前記の構成によれば、複数の関係式が表示されている場合に、一方の関係式の変数の値を他方の関係式の変数の値として代入することができる。
【0104】
本発明の態様9に係る情報検索装置は、前記の態様8において、数値代入部38は、前記代入に際し、2つの前記操作で選択された2つの変数の各次元が一致するか否かを判定し、一致しない場合は警告を出力する構成としてもよい。
【0105】
前記の構成によれば、複数の関係式が表示されている場合で、一方の関係式の変数の値を他方の関係式の変数の値として代入する場合に、次元の一致を確認し、不一致であればユーザの操作が誤っているので警告を出力する。よって、次元が異なるにもかかわらず、一方の関係式の変数の値を他方の関係の変数の値として代入してしまうことを抑制することができる。
【0106】
本発明の態様10に係る電子辞書は、前記態様1から9のいずれかに記載の情報検索装置を備えている。前記の構成によれば、前記態様1から9と同様の効果を得ることができる。
【0107】
本発明の態様11に係る情報検索方法は、量的関係を示す関係式を検索する情報検索方法であって、検索ワードとして、前記関係式を構成する変数の少なくとも1つを示す変数ワードの入力を受け付ける入力受付ステップ(S2)と、前記変数ワードが示す変数と、該変数が表す量の次元を示すシンボルとが対応付けられた第1対応情報を用いて、前記入力受付ステップで受け付けた前記変数ワードを前記シンボルに変換する変換ステップ(S4)と、前記関係式と該関係式を構成する各変数が表す量の次元を示す各シンボルとが対応付けられた第2対応情報を用いて、前記変換ステップで変換した1または複数の前記シンボルと対応付けられた前記関係式を検索する検索ステップ(S5)と、前記検索ステップで検索した前記関係式を表示部に表示させる表示制御ステップ(S9)と、を含む。
【0108】
前記の構成によれば、前記態様1と同様の効果を奏する。
【0109】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0110】
1、1´ 電子辞書(情報検索装置)
2 操作受付部(入力受付部、数値入力受付部)
3 表示部
4 制御部
5 記憶部
6 検索部
7 表示制御部
8 完全一致検索部
9 部分一致検索部
10 抽象化キーワード変換部(変換部)
11 公式表示管理部
12 辞書データベース
13 検索用辞書データ(第2対応情報)
14 キーワードテーブル(第1対応情報)
15 検索履歴データベース
35 公式変換部
36 検出部
37 入力欄表示部
38 数値代入部
39 演算部
50 辞書データ