(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】区画空間で用いられる異なる表面特徴部を用いたドレッシング
(51)【国際特許分類】
A61M 27/00 20060101AFI20241218BHJP
A61F 13/00 20240101ALI20241218BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20241218BHJP
A61F 13/14 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
A61M27/00
A61F13/00 305
A61F13/02 A
A61F13/14 R
(21)【出願番号】P 2020546921
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019013150
(87)【国際公開番号】W WO2019177683
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-01-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-13
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ロック,クリストファー,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,ティモシー,マーク
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】栗山 卓也
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2815731(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/119996(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位を治療するためのシステムにおいて、
液体不透過性層と複数のバブルとを備える組織インターフェースと、
前記組織インターフェース及び前
記組織部位の周囲に流体シールを形成するように適合されたカバーと
前記組織インターフェースに流体的に接続されるように適合された陰圧源と
を備え
、
前記複数のバブルが、
前記組織インターフェースの中心部分に位置決めされた第1の群のバブルであって、前記第1の群のバブルの各バブルが第1の直径を有する、前記第1の群のバブルと、
前記組織インターフェースの周縁部分に位置決めされた第2の群のバブルであって、前記第2の群のバブルの各バブルが第2の直径を有する、前記第2の群のバブルと
を備え、
前記第2の直径が前記第1の直径よりも大きいことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数のバブルがブリスタを含むことを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数のバブルが、流体を収容する独立気泡を含むことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織インターフェースの前記液体不透過性層が、前記バブル間に位置決めされた窓をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織インターフェースの前記液体不透過性層が、約50μm~150μmの厚さを有することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織インターフェースの前記液体不透過性層がポリウレタンフィルムを含むことを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織インターフェースの前記液体不透過性層が、ポリマーフィルムの第1のシートとポリマーフィルムの第2のシートとを含み、ポリマーフィルムの前記第1のシートとポリマーフィルムの前記第2のシートの各々の内面が、独立気泡を有する前記複数のバブルを備える密封領域を形成するように互いに封着されることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項
7に記載のシステムにおいて、前記独立気泡が、ポリマーフィルムの前記第1のシートに形成されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、発泡体を含む発泡部材をさらに含むことを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織インターフェースと前記陰圧源とを流体的に結合するように適合された陰圧インターフェースをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織インターフェースが、こぶを備える複数の表面特徴部をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記組織インターフェースが、前記液体不透過性層の中心部分に隣接して位置決めされるように適合された発泡体マニホールドをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて
、前記第1の群のバブルが第1の間隔距離を有
し、前記第2の群のバブルが第2の間隔距離を有
し、前記第2の間隔距離が前記第1の間隔距離より大きいことを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数のバブルの各々間の間隔距離が、前記組織インターフェースの中心部分から周縁に向かって前記組織インターフェースに沿って増加することを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記複数のバブルの各々間の間隔距離が、前記組織インターフェースの中心部分から周縁に向かって前記組織インターフェースに沿って減少することを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月12日に出願された「DRESSING USING DIFFERENTIAL SURFACE FEATURES FOR USE IN COMPARTMENT SPACES」という名称の、米国仮特許出願第62/641,841号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載された本発明は、概して、組織治療システムに関し、より詳細には、限定されるものではないが、組織治療用のドレッシングと、組織治療用のドレッシングを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
臨床研究及び診療は、組織部位の近傍での減圧が組織部位における新たな組織の増殖を促進して加速させることができることを示している。この現象の適用例は数多くあるが、この現象は、特に創傷の治療に有利であることが証明されている。外傷、手術、又は別の原因であれ、創傷の原因に関わらず、創傷の適切なケアが結果に対して重要である。減圧による創傷又は他の組織の治療は、一般的に「陰圧療法」と呼ばれることがあるが、例えば、「陰圧創傷療法」、「減圧療法」、「真空療法」、「真空補助閉鎖」及び「局所陰圧」を含む、他の名称でも知られている。陰圧療法は、上皮組織及び皮下組織の移動、血流の改善、並びに創傷部位における組織の微小変形を含む、数多くの利点を提供し得る。これらの利点は、相まって、肉芽組織の発達を促すとともに治癒時間を短縮することができる。
【0004】
また、組織部位を洗うことが新たな組織の増殖に極めて有益であり得ることも幅広く受け入れられている。例えば、治療目的で、創傷又は腔を液体溶液で洗うことができる。これらの行為は、一般的に「灌注」及び「洗浄」とそれぞれ呼ばれる。「滴下」は、組織部位に流体を徐々に導入して、流体を除去する前に所定の期間にわたって流体を放置する工程を一般に指す別の行為である。例えば、創傷床上への局所治療溶液の滴下を陰圧療法と組み合わせて、創傷床内の可溶性汚染物質を緩めて感染性物質を除去することによって創傷治癒をさらに促進することができる。その結果、可溶性細菌負荷を減少させ、汚染物質を除去し、且つ創傷を洗うことができる。
【0005】
陰圧療法及び/又は滴下療法の臨床的利点は広く知られているが、治療システム、構成要素、及び工程の改善が、医療提供者及び患者に利益をもたらし得る。
【発明の概要】
【0006】
陰圧療法環境において組織を治療するための新規で有用なシステム、機器、及び方法が、添付の特許請求の範囲に記載されている。また、例示の実施形態は、特許請求される主題を当業者が作成及び使用できるようにするために提供される。
【0007】
例えば、いくつかの実施形態では、腹部組織部位を治療するためのシステムは、組織インターフェースと、カバーと、陰圧源とを含み得る。組織インターフェースは、液体不透過性層と複数のバブルとを含み得る。カバーは、組織インターフェース及び腹部組織部位の周囲に流体シールを形成するように適合されてもよい。陰圧源は、組織インターフェースに流体的に接続されるように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のバブルは複数のブリスタを含み得、いくつかの追加又は代替の実施形態では、複数のバブルは独立気泡を含み得る。
【0008】
追加の例示的な実施形態は、有窓マニホールドとバブルマニホールドと発泡体マニホールドとを備える、腹部組織部位を治療するためのドレッシングを含み得る。有窓マニホールドは、複数の窓を有する第1の液体不透過性層を含み得、前記有窓マニホールドは、第1の側面と第2の側面とを有する。バブルマニホールドは、第2の液体不透過性層と複数のバブルとを含み得、バブルマニホールドは、第1の側面と第2の側面とを有する。発泡体マニホールドは、バブルマニホールドの中心部分に隣接して位置決めされるように適合されてもよい。いくつかの実施形態では、発泡体マニホールドは、発泡部材と、バブルマニホールドと共に発泡部材の周囲にシールを形成するように適合された液体不透過性材料の層とを備え得る。追加的に、いくつかの実施形態では、バブルマニホールドは、中心部分と、中心部分からドレッシングの周縁に向かって半径方向に離れるように延びる複数の流体チャネルとを含み得る。
【0009】
本明細書では、腹部組織部位を治療するための方法であって、いくつかの例示的な実施形態が、組織インターフェースを位置決めすることと、組織インターフェース及び腹部組織部位の周囲に流体シールを提供するために組織インターフェース及び腹部組織部位をドレープで覆うことと、組織インターフェースと腹部組織部位とに結合された陰圧源から陰圧を提供することとを含む、方法についても説明する。組織インターフェースは、第1のポリマー層と複数のバブルとを含み得る。いくつかの実施形態では、組織インターフェースは、第1のポリマー層の第1の表面の一部分に対して位置決めされた発泡体マニホールド部材をさらに含み得る。
【0010】
いくつかの追加の実施形態では、組織部位を治療するためのドレッシングは、ポリマーフィルムの第1のシートと、ポリマーフィルムの第1のシートと実質的に同延であるポリマーフィルムの第2のシートとを含み得る。ポリマーフィルムの第1のシートは、第1の複数のバブルと第1の複数の開口とを備え得る。ポリマーフィルムの第2のシートは、第2の複数のバブルと第2の複数の開口とを備え得る。第1の流体経路が含まれてもよく、第1の流体経路は、ポリマーフィルムの第1のシートの中心部分を貫通して形成され、且つポリマーフィルムの第1のシートとポリマーフィルムの第2のシートとの間の空間に治療流体を連通させるように適合されてもよい。また、第2の流体経路が含まれてもよく、第2の流体経路は、ポリマーフィルムの第1のシートとポリマーフィルムの第2のシートとを貫通して形成され、且つ組織部位に陰圧を連通させるように適合されてもよい。
【0011】
いくつかのさらなる実施形態では、組織部位を治療するためのシステムは、有窓マニホールドとバブルマニホールドと流体分配マトリックスとを含み得る。有窓マニホールドは、複数の窓を有する第1の液体不透過性層を含み得、且つ有窓マニホールドは、第1の側面と第2の側面とを有し得る。バブルマニホールドは、第2の液体不透過性層と、第2の液体不透過性層上に形成された複数のバブルとを含み得、且つバブルマニホールドは、第1の側面と第2の側面とを有し得る。流体分配マトリックスは、流体分配ハブと、複数の流体分配チャネルとを備え得る。追加的に、システムは、有窓マニホールドと第3の液体不透過性層との間に流体分配マトリックスを封入するために、流体分配マトリックスに隣接して位置決めされるように適合された第3の液体不透過性層をさらに含み得る。
【0012】
特許請求される主題を作成及び使用する目的、利点、及び好ましい態様は、例示の実施形態の以下の詳細な説明と併せて、添付図面を参照することによって最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本明細書に従って陰圧治療及び滴下治療を提供できる治療システムの例示的な実施形態の機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の治療システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る組織インターフェースの例示の実施形態の概略平面図である。
【
図3】
図3は、
図2の組織インターフェースのいくつかの実施形態に含まれ得るバブルマニホールドの例示的な構成の上面図である。
【
図4】
図4は、
図3のバブルマニホールドのいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図5】
図5は、
図2の組織インターフェースのいくつかの追加の実施形態に含まれ得るバブルマニホールドの例示的な構成の上面図である。
【
図6】
図6は、
図5のバブルマニホールドのいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図7】
図7は、
図5のバブルマニホールドのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得る詳細を図示する断面図である。
【
図8】
図8は、
図5のバブルマニホールドのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得る詳細を図示する断面図である。
【
図9】
図9は、
図2の組織インターフェースのいくつかの追加の実施形態に含まれ得るバブルマニホールドの別の例示的な構成の上面図である。
【
図10】
図10は、
図2の組織インターフェースのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得るバブルマニホールドの別の例示的な構成の上面図である。
【
図11】
図11は、
図10のバブルマニホールドのいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図12】
図12は、
図10のバブルマニホールドのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得る詳細を図示する断面図である。
【
図13】
図13は、
図10のバブルマニホールドのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得る詳細を図示する断面図である。
【
図14】
図14は、
図2の組織インターフェースのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得るバブルマニホールドの別の例示的な構成の上面図である。
【
図15】
図15は、
図2の組織インターフェースのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得るバブルマニホールドの別の例示的な構成の上面図である。
【
図16】
図16は、
図1の治療システムのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得る組織インターフェースの別の例示の実施形態の概略平面図である。
【
図17】
図17は、
図16の組織インターフェースのいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図18】
図18は、
図16の組織インターフェースのいくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図19】
図19は、
図1の治療システムのいくつかのさらなる実施形態に関連付けられ得る組織インターフェースの別の例示の実施形態の概略平面図である。
【
図20】
図20は、
図19の組織インターフェースの例示的な実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図21】
図21は、
図19の組織インターフェースの別の例示的な実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図22】
図22は、
図1の治療システムのいくつかの追加の実施形態に関連付けられ得る組織インターフェースの別の例示の実施形態の切欠概略平面図である。
【
図23】
図23は、
図22の組織インターフェースのいくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する断面図である。
【
図24A】
図24Aは、
図1の治療システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る組織インターフェースの別の例示の実施形態の断面図である。
【
図24B】
図24Bは、
図1の治療システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る組織インターフェースの別の例示の実施形態の断面図である。
【
図25】
図25は、
図1の治療システムのいくつかの実施形態に関連付けられ得る、組織部位を治療するための例示のドレッシングの概略部分断面図である。
【
図26】
図26は、
図1の治療システムを動作させる例示的な方法に関連付けられ得る詳細を図示するチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的な実施形態の以下の説明は、添付の特許請求の範囲に記載された主題を当業者が作成及び使用できるようにする情報を提供するが、当技術分野で既に周知のある特定の詳細を省略し得る。以下の詳細な説明は、それゆえ、例示的なものであって限定的なものではないと解釈されるべきである。
【0015】
例示的な実施形態はまた、添付の図面に描かれている種々の要素間の空間関係又は種々の要素の空間的向きを参照して本明細書で説明され得る。概して、そのような関係又は向きは、治療を受ける位置にいる患者と一致するか又は患者に対する基準系を想定する。しかしながら、当業者に認識されるべきであるように、この基準系は、厳密な規定ではなく、単に説明の手段に過ぎない。
【0016】
図1は、本明細書による、組織部位への局所治療溶液の滴下を伴う陰圧療法を提供できる治療システム100の例示的な実施形態の簡易機能ブロック図である。
【0017】
本文脈における「組織部位」という用語は、限定されるものではないが、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱又は靭帯を含む、組織上又は組織内に位置する創傷、欠陥又は他の治療標的を広く指す。創傷は、例えば、慢性創傷、急性創傷、外傷性創傷、亜急性創傷及び裂開性創傷、中間層熱傷、潰瘍(糖尿病性潰瘍、圧迫潰瘍又は静脈不全潰瘍など)、皮弁及び移植片を含み得る。「組織部位」という用語はまた、必ずしも創傷及び欠損していないが、代わりに、さらなる組織を追加するか又はその増殖を促進することが望ましい可能性がある領域である、任意の組織の領域を指す場合もある。例えば、採取されて移植され得るさらなる組織を増殖させるために、組織部位に陰圧が印加され得る。
【0018】
治療システム100は、陰圧源104などの、陰圧の供給源又は供給部と、1つ又は複数の分配構成要素とを含み得る。分配構成要素は、好ましくは着脱可能であり、且つ使い捨て可能、再使用可能、又は再利用可能であってもよい。ドレッシング102などのドレッシング、及び容器112などの流体容器は、治療システム100のいくつかの例に関連付けられ得る分配構成要素の例である。
図1の例に図示するように、ドレッシング102は、いくつかの実施形態では、組織インターフェース108、カバー106若しくはその両方を備えるか又はそうしたものから本質的に構成され得る。
【0019】
流体導管は、分配構成要素の別の例示の例である。本文脈における「流体導管」は、管、パイプ、ホース、管路、或いは、2つの端部間で流体を搬送するように適合された1つ若しくは複数の内腔又は開放経路を備えた他の構造体を広く含む。通常、管は、ある程度の可撓性を有する細長い円筒状構造体であるが、幾何学的形状及び剛性は様々であり得る。その上、いくつかの流体導管は、他の構成要素内に成形されてもよく、又は別様に他の構成要素と一体に組み合わされてもよい。分配構成要素はまた、他の構成要素を結合及び分離するのを容易にするためにインターフェース若しくは流体ポートを含むか又は備え得る。いくつかの実施形態では、例えば、ドレッシングインターフェースは、流体導管をドレッシング102に結合するのを容易にし得る。例えば、そのようなドレッシングインターフェースは、San Antonio,TexasのKinetic Concepts Inc.から入手可能なSENSAT.R.A.C.(商標)パッドであってもよい。
【0020】
治療システム100はまた、コントローラ110などの、調整器又はコントローラを含み得る。追加的に、治療システム100は、動作パラメータを測定して動作パラメータを示すフィードバック信号をコントローラ110に提供するためのセンサを含み得る。
図1に図示するように、例えば、治療システム100は、コントローラ110に結合された第1のセンサ120及び第2のセンサ122を含み得る。
【0021】
治療システム100はまた、滴下溶液の供給源を含み得る。例えば、溶液源114は、
図1の例示的な実施形態に図示するように、ドレッシング102に流体的に結合されてもよい。溶液源114は、いくつかの実施形態では、陽圧源116などの陽圧源、陰圧源104などの陰圧源、又はその両方に流体的に結合されてもよい。組織部位への滴下溶液(例えば生理食塩水)の適切な投与量を確保するために、滴下調整器118などの調整器もまた、溶液源114及びドレッシング102に流体的に結合されてもよい。例えば、滴下調整器118は、陰圧期に溶液源から滴下溶液を引き出して通気期に溶液をドレッシングに滴下するために、陰圧源104によって空気圧で作動させることができるピストンを備え得る。追加的又は代替的に、コントローラ110は、組織部位への滴下溶液の投与量を制御するために、陰圧源104、陽圧源116、又はその両方に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、滴下調整器118はまた、
図1の例に図示するように、ドレッシング102を通じて陰圧源104に流体的に結合されてもよい。
【0022】
治療システム100のいくつかの構成要素は、センサ、処理ユニット、警報表示器、メモリ、データベース、ソフトウェア、表示装置、若しくは治療をさらに容易にするユーザインターフェースなどの、他の構成要素内に収納されるか又は他の構成要素と併用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、陰圧源104は、コントローラ110、溶液源114、及び他の構成要素と組み合わせて治療ユニットにしてもよい。
【0023】
概して、治療システム100の構成要素は、直接又は間接的に結合されてもよい。例えば、陰圧源104は、容器112に直接結合されてもよく、且つ容器112を通じてドレッシング102に間接的に結合されてもよい。結合は、文脈によっては、流体結合、機械的結合、熱的結合、電気的結合、若しくは化学的結合(化学結合など)、又は結合の何らかの組み合わせを含み得る。例えば、陰圧源104は、コントローラ110に電気的に結合されてもよく、且つ組織部位への流体路を提供するために1つ又は複数の分配構成要素に流体的に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、構成要素はまた、物理的近接によって、単一構造体と一体であることによって、又は同じ材料片から形成されることによって結合されてもよい。
【0024】
陰圧源104などの、陰圧供給源は、陰圧での空気の溜め部であってもよく、又は、例えば、真空ポンプ、吸引ポンプ、多くの医療施設で利用可能な壁面吸い込みポート、若しくはマイクロポンプなどの、手動若しくは電動の装置であってもよい。「陰圧」は概して、密封治療環境の外部の局所環境における周囲圧力などの、局所周囲圧力よりも低い圧力を指す。また、多くの場合、局所周囲圧力は、組織部位が位置する場所の大気圧であってもよい。代替的に、圧力は、組織部位における組織に関連する静水圧よりも低くてもよい。別段の指示がない限り、本明細書で述べる圧力値はゲージ圧である。陰圧の上昇への言及は通常、絶対圧の低下を指し、その一方で、陰圧の低下は通常、絶対圧の上昇を指す。陰圧源104によって提供される陰圧の量及び性質は治療要件に応じて異なり得るが、圧力は概して、一般的に粗真空とも呼ばれる、-5mmHg(-667Pa)~-500mmHg(-66.7kPa)の低真空である。一般的な治療範囲は、-50mmHg(-6.7kPa)~-300mmHg(-39.9kPa)である。
【0025】
容器112は、組織部位から取り出された滲出液及び他の流体を管理するために使用できる、容器、キャニスタ、パウチ又は他の貯蔵構成要素を表す。多くの環境では、流体の収集、貯蔵、及び廃棄のために、剛性容器が好ましいか又は必要である場合がある。他の環境では、流体が剛性容器による貯蔵なしに適切に廃棄されてもよく、且つ再使用可能な容器は、陰圧療法に関連する廃棄物及びコストを低減することができる。
【0026】
コントローラ110などの、コントローラは、陰圧源104などの、治療システム100の1つ若しくは複数の構成要素を動作させるようにプログラムされたマイクロプロセッサ又はコンピュータであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ110はマイクロコントローラであってもよく、マイクロコントローラは、概して、治療システム100の1つ又は複数の動作パラメータを直接又は間接的に制御するようにプログラムされた、プロセッサコア及びメモリを含む集積回路を備える。動作パラメータは、例えば、陰圧源104に印加される電力、陰圧源104によって生成される圧力、又は組織インターフェース108に分配される圧力を含み得る。コントローラ110はまた、好ましくは、フィードバック信号などの、1つ又は複数の入力信号を受け取るように構成され、且つ入力信号に基づいて1つ又は複数の動作パラメータを修正するようにプログラムされる。
【0027】
第1のセンサ120及び第2のセンサ122などの、センサは、物理現象又は物理特性を検出又は測定し、概して、検出又は測定された現象又は特性を示す信号を提供するように動作可能な任意の機器として、当技術分野において一般に知られている。例えば、第1のセンサ120及び第2のセンサ122は、治療システム100の1つ又は複数の動作パラメータを測定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のセンサ120は、空気圧経路内の圧力を測定して、測定値を測定された圧力を示す信号に変換するように構成されたトランスデューサであってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、第1のセンサ120は、ピエゾ抵抗歪みゲージであってもよい。第2のセンサ122は、いくつかの実施形態では、電圧又は電流などの、陰圧源104の動作パラメータを任意選択的に測定してもよい。好ましくは、第1のセンサ120及び第2のセンサ122からの信号は、コントローラ110への入力信号として好適であるが、いくつかの実施形態では、何らかの信号調整が適切である場合がある。例えば、信号は、コントローラ110によって処理できる前にフィルタリングされるか又は増幅される必要がある場合がある。通常、信号は電気信号であるが、光信号などの、他の形態で表されることがある。
【0028】
組織インターフェース108は、概して、組織部位に部分的又は完全に接触するように適合させることができる。組織インターフェース108は、多くの形態をとり得、且つ施される治療のタイプ又は組織部位の性質若しくはサイズなどの、様々な要因に依存して、多くのサイズ、形状、又は厚さを有し得る。例えば、組織インターフェース108のサイズ及び形状は、深く且つ不規則な形状の組織部位の外形に適合されてもよい。組織インターフェース108の表面の何れか又は全ては、不均一な、粗い又はギザギザした輪郭を有し得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、組織インターフェース108は、マニホールドを備えるか又はマニホールドから本質的に構成され得る。この文脈におけるマニホールドは、加圧下で組織インターフェース108にわたって流体を収集又は分配するための手段を含むか又はそうした手段から本質的に構成され得る。例えば、マニホールドは、供給源から陰圧を受け取って多数の開口を通して組織インターフェース108にわたって陰圧を分配するように適合されてもよく、組織部位全体から流体を収集して供給源側に流体に引き寄せる効果を有し得る。いくつかの実施形態では、流体路は逆向きにされてもよく、又は組織部位にわたって、滴下溶液の供給源からの流体などの、流体を送達するのを容易にするために副流体路が設けられてもよい。
【0030】
いくつかの例示の実施形態では、マニホールドは、流体の分配又は収集を改善するために相互接続できる、複数の経路を備え得る。いくつかの例示の実施形態では、マニホールドは、相互接続された流体経路を有する多孔質材料を含むか又はそうした多孔質材料から本質的に構成され得る。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることができる好適な多孔質材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含む、気泡発泡体、多孔質組織集合体、並びに概して細孔、縁部及び/又は壁を含むガーゼ又はフェルトマットなどの他の多孔質材料が挙げられ得る。液体、ゲル及び他の発泡体もまた、開口及び流体経路を含むか又は含むように硬化させてもよい。いくつかの実施形態では、マニホールドは、追加的又は代替的に、相互接続された流体経路を形成する突出部を備え得る。例えば、マニホールドは、相互接続された流体経路を画定する表面突起部を提供するように成形されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、マニホールドは、処方される療法の必要に応じて異なり得る細孔径及び自由体積を有する網状発泡体を含むか又はそうした網状発泡体から本質的に構成され得る。例えば、少なくとも90%の自由体積を有する網状発泡体は、多くの治療用途に好適であり得、且つ400~600ミクロン(40~50細孔/インチ)の範囲の平均細孔径を有する発泡体は、いくつかのタイプの療法に特に好適であり得る。マニホールドの引張強度もまた、処方される療法の必要に応じて異なり得る。例えば、局所治療溶液の滴下のために、発泡体の引張強度を増加させてもよい。マニホールドの25%圧縮荷重たわみは、少なくとも0.35ポンド/平方インチであってもよく、65%圧縮荷重たわみは、少なくとも0.43ポンド/平方インチであってもよい。いくつかの実施形態では、マニホールドの引張強度は、少なくとも10ポンド/平方インチであってもよい。マニホールドは、少なくとも2.5ポンド/インチの引裂強度を有し得る。いくつかの実施形態では、マニホールドは、ポリエステル又はポリエーテルなどのポリオール、トルエンジイソシアネートなどのイソシアネート、並びにアミン及び錫化合物などの重合調整剤から構成された発泡体であってもよい。いくつかの例では、マニホールドは、両方ともSan Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から入手可能であるGRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLOW(商標)ドレッシングで使用されるような網状ポリウレタン発泡体であってもよい。
【0032】
マニホールドは、疎水性又は親水性であってもよい。マニホールドが親水性である例では、マニホールドはまた、組織部位に陰圧を分配し続ける間に、組織部位から流体を吸い上げてもよい。マニホールドの吸い上げ特性は、毛細管流又は他の吸い上げ機構によって組織部位から流体を引き離し得る。好適であり得る親水性材料の例は、San Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から入手可能なV.A.C.WHITEFOAM (商標)ドレッシングなどのポリビニルアルコール製の連続気泡発泡体である。他の親水性発泡体は、ポリエーテルから作製されたものを含み得る。親水特性を呈し得る他の発泡体は、親水性をもたらすように処理又はコーティングされた疎水性発泡体を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、マニホールドは、生体再吸収性材料から構築されてもよい。好適な生体再吸収性材料は、非限定的に、ポリ乳酸(PLA)及びポリグリコール酸(PGA)のポリマーブレンドを含み得る。また、ポリマーブレンドは、非限定的に、ポリカーボネート、ポリフマレート、及びカプララクトンを含み得る。マニホールドはさらに、新たな細胞増殖のための足場としての役割を果たしてもよく、又は細胞増殖を促進するために、足場材料がマニホールドと併用されてもよい。足場は、概して、細胞増殖のためのテンプレートを提供する3次元多孔質構造体などの、細胞増殖又は組織形成を増進又は促進するために使用される物質又は構造体である。足場材料の例示の例は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、コーラルヒドロキシアパタイト、炭酸塩、又は加工された同種移植片材料を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、カバー106は、細菌バリアと、身体的外傷からの保護とを提供し得る。カバー106はまた、蒸発損失を低減するとともに2つの構成要素間又は治療環境と局所外部環境との間などの2つの環境間に流体シールを提供できる材料から構築されてもよい。カバー106は、例えば、所与の陰圧源に対して組織部位において陰圧を維持するのに適切なシールを提供できるエラストマーフィルム若しくは膜を備えるか又はそうしたものから構成され得る。カバー106は、いくつかの用途では、高い水蒸気透過率(MVTR)を有し得る。例えば、MVTRは、いくつかの実施形態では、38℃及び10%相対湿度(RH)でASTM E96/E96M Upright Cup Methodによる直立カップ技法を使用して測定された、少なくとも250グラム/平方メートル/24時間であってもよい。いくつかの実施形態では、最大5,000グラム/平方メートル/24時間のMVTRが、効果的な通気性及び機械的特性を提供し得る。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態では、カバー106は、水蒸気に対して透過性であるが液体に対して不透過性である、ポリウレタンフィルムなどの、ポリマードレープであってもよい。そのようなドレープは、通常、25~50ミクロンの範囲の厚さを有する。透過性材料について、透過性は、概して、所望の陰圧が維持され得るのに十分に低くなければならない。カバー106は、例えば、以下の材料、すなわち、親水性ポリウレタンなどのポリウレタン(PU)、セルロース誘導体、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマーなどのシリコーン、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン単量体、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、コポリエステル、及びポリエーテルブロックポリイミド共重合体のうちの1つ又は複数を含み得る。そのような材料は、例えば、3M Company,Minneapolis Minnesotaから市販されているTegaderm(登録商標)ドレープ、Avery Dennison Corporation,Pasadena、Californiaから市販されているポリウレタン(PU)ドレープ、例えば、Arkema S.A.,Colombes,Franceのポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、並びにExpopack Advanced Coatings,Wrexham,United Kingdomから市販されているInspire2301及びInpsire2327ポリウレタンフィルムとして市販されている。いくつかの実施形態では、カバー106は、2600g/m2/24時間のMVTR(直立カップ技法)と約30ミクロンの厚さとを有するINSPIRE2301を含み得る。
【0036】
無傷の表皮、ガスケット、又は別のカバーなどの、取付面にカバー106を取り付けるために、取付装置が使用されてもよい。取付装置は、多くの形態をとり得る。例えば、取付装置は、組織部位の周囲の表皮にカバー106を接合するように構成された、医学的に許容可能な感圧接着剤であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、カバー106の一部又は全てに、約25~65グラム/平方メートル(g.s.m)のコーティング重量を有し得る、アクリル系接着剤などの接着剤がコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、シールを改善して漏洩を低減するために、より厚い接着剤、又は接着剤の組み合わせが塗布されてもよい。取付装置の他の例示的な実施形態は、両面テープ、糊、親水コロイド、ヒドロゲル、シリコーンゲル、又はオルガノゲルを含み得る。
【0037】
溶液源114はまた、滴下療法のための溶液を提供できる、容器、キャニスタ、パウチ、バッグ、又は他の貯蔵構成要素を表し得る。溶液の組成は、処方される療法に応じて異なり得るが、一部の処方に好適であり得る溶液の例は、次亜塩素酸塩系溶液、硝酸銀(0.5%)、硫黄系溶液、ビグアニド、カチオン溶液、及び等張液を含む。
【0038】
動作時に、組織インターフェース108は、組織部位内に、組織部位を覆って、組織部位上に、又は別様に組織部位に近接して配置されてもよい。組織部位が創傷である場合、例えば、組織インターフェース108は、創傷を部分的又は完全に塞いでもよく、又は創傷の上に配置されてもよい。カバー106は、組織インターフェース108の上に配置され、且つ組織部位近傍の取付面に封着されてもよい。例えば、カバー106は、組織部位の周辺の無傷の表皮に封着されてもよい。したがって、ドレッシング102は、外部環境から実質的に隔離された、組織部位に近接する密封治療環境を提供することができ、且つ陰圧源104は、密封治療環境内の圧力を低下させることができる。
【0039】
密封治療環境内などの、別の構成要素又は場所における圧力を減少させるために陰圧源を使用する流体力学は、数学的に複雑である可能性がある。しかしながら、陰圧療法及び滴下に適用できる流体力学の基本原理は、一般に当業者によく知られており、且つ圧力を減少させる工程は、例えば陰圧の「送達」、「分配」、又は「生成」として、本明細書で例示的に説明され得る。
【0040】
概して、滲出液及び他の流体は、流体路に沿って圧力の低い方へ流れる。したがって、「下流」という用語は、通常、流体路内において、陰圧源の相対的に近くにあるもの又は陽圧源から相対的に離れているものを意味する。逆に、「上流」という用語は、通常、陰圧源から相対的に離れているもの又は陽圧源の相対的に近くにあるものを意味する。同様に、そのような基準系における流体の「入口」又は「出口」に関して、ある特定の特徴を説明することが好都合である場合がある。この向きは、概して、本明細書における種々の特徴及び構成要素を説明する目的のために想定される。しかしながら、流体路はまた、いくつかの用途では、陰圧源の代わりに陽圧源を使用するなどによって、逆向きにされてもよく、この説明の慣例は、限定的な慣例と解釈されるべきではない。
【0041】
密封治療環境内において組織インターフェース108を通じて組織部位にわたって印加される陰圧によって、組織部位にマクロ歪み及び微小歪みが誘起される可能性がある。陰圧はまた、組織部位から滲出液及び他の流体を除去することができ、滲出液及び他の流体は容器112内に収集することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、コントローラ110は、第1のセンサ120などの、1つ又は複数のセンサからデータを受け取って処理してもよい。コントローラ110はまた、組織インターフェース108に送達される圧力を管理するために、治療システム100の1つ又は複数の構成要素の動作を制御してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ110は、所望の目標圧力を受け取るための入力を含み得、且つ組織インターフェース108に印加すべき目標圧力の設定及び入力に関するデータを処理するようにプログラムされてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、目標圧力は、組織部位での療法に望ましい目標陰圧としてオペレータによって設定され、次いで、コントローラ110への入力として提供される、一定の圧力値であってもよい。目標圧力は、組織部位を形成する組織のタイプと、負傷又は創傷のタイプ(もしあれば)と、患者の医学的状態と、担当医の選好とに基づいて、組織部位によって異なり得る。所望の目標圧力を選択した後に、コントローラ110は、目標圧力に基づいて1つ又は複数の制御モードで陰圧源104を動作させることができ、且つ組織インターフェース108において目標圧力を維持するために1つ又は複数のセンサからフィードバックを受け取ってもよい。
【0043】
コントローラ110は、1つ又は複数の制御モードに従って機能してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ110は、治療の持続時間にわたって又は手動で非作動状態にされるまで一定の目標陰圧を提供するように陰圧源104を動作させる、連続圧力モードを有し得る。追加的又は代替的に、コントローラ110は、間欠圧力モードを有し得る。いくつかの例では、コントローラ110は、目標圧力と大気圧との間で循環するように陰圧源104を動作させることができる。例えば、目標圧力は、指定の期間(例えば、5分間)にわたって135mmHgの値に設定されてもよく、その後、指定の期間(例えば、2分間)の非作動状態が続く。目標圧力と大気圧力との間の矩形波パターンに従って動作できる、陰圧源104を作動させることによって、そのサイクルを繰り返すことができる。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態では、周囲圧力から目標圧力への陰圧の上昇が瞬間的なものでない場合がある。例えば、陰圧源104及びドレッシング102は、初期立ち上がり時間を有し得る。初期立ち上がり時間は、使用されるドレッシング及び治療機器のタイプによって異なり得る。例えば、初期立ち上がり時間は、1つの治療システムについては、約20~30mmHg/秒の範囲内であり、且つ別の治療システムについては、約5~10mmHg/秒の範囲内であってもよい。治療システム100が間欠モードで動作している場合には、繰り返し立ち上がり時間は、初期立ち上がり時間に実質的に等しい値であってもよい。
【0045】
動的圧力モードなどの、別の例示的な圧力制御モードによれば、目標圧力は、時間と共に変化し得る。例えば、目標圧力は、+25mmHg/分の速度で設定された立ち上がり時間と-25mmHg/分の速度で設定された立ち下がり時間とによって50~135mmHgの陰圧で変化する、三角波の形態で変化し得る。治療システム100の他の実施形態では、三角波は、+30mmHg/分の速度で設定された立ち上がり時間と-30mmHg/分の速度で設定された立ち下がり時間とによって25~135mmHgの陰圧で変化し得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、コントローラ110は、動的圧力モードで可変目標圧力を制御又は決定してもよく、且つ可変目標圧力は、所望の陰圧の範囲としてオペレータによって所定の入力として設定され得る、最大圧力値と最小圧力値との間で変化し得る。可変目標圧力はまた、コントローラ110によって処理され制御されてもよく、コントローラ110は、三角波形、正弦波形、又は鋸歯状波形などの、所定の波形に従って目標圧力を変更することができる。いくつかの実施形態では、波形は、療法に望ましい所定の又は経時的に変化する陰圧としてオペレータによって設定されてもよい。
【0047】
図2は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、組織インターフェース108の例の概略上面図である。組織インターフェース108は、概して、マニホールド若しくはマニホールド層を備えるか又はそうしたものから本質的に構成される。組織インターフェース108は、治療システム100の陰圧源104から組織部位に陰圧を提供し、組織部位から抽出された流体を収集して移送するように適合されてもよい。例えば、組織インターフェース108は、陰圧源104から陰圧を受け取って多数の開口を通して組織インターフェース108にわたって陰圧を分配するように適合されてもよく、組織インターフェース108は、組織部位全体から流体を収集して陰圧源104側に流体を引き寄せる効果を有し得る。いくつかの実施形態では、流体路は逆向きにされてもよく、又は組織インターフェース108にわたって、滴下溶液の供給源などから、流体を送達するのを容易にするために副流体路が設けられてもよい。組織インターフェース108は、複数のバブル210を含み得る、バブルマニホールド202を備え得る。バブル210は、連続気泡ブリスタ、スペーサ、突出部、又は他の隆起形成部の形態であってもよい。いくつかの追加の実施形態では、バブル210は、独立気泡の形態であってもよい。複数のバブル210の各々は、必要に応じて、実質的に円形状、楕円形状、三角形状、正方形状、又は他の形状を備え得る。いくつかの例では、三角形状のバブルは、腹部空間内への陰圧の印加中などの、圧縮下で、バブルの高さをより長く維持し得る。さらに、バブル210は、凹凸が付けられるか、又は表面凹凸特徴部を含み得る。組織インターフェース108のバブルマニホールド202は、追加的に、バブルマニホールド202を通る流体移動を可能にするようにバブル210間に位置決めされた開口212を備え得る。いくつかの実施形態では、開口212は、穿孔又は窓を備え得る。
【0048】
図3は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図2のバブルマニホールド202の例の斜視図である。
図3の例に図示するように、バブル210は、ブリスタの形態であってもよく、いくつかの実施形態では、略半球状であり且つ均一に分布してもよい。例えば、バブルマニホールド202は、ブリスタの形態のバブル210を有する、ポリウレタン材料などの、液体不透過性材料のフィルムを備えるか又はそうしたフィルムから本質的に構成され得る。いくつかの実施形態では、ブリスタは、バブルマニホールド202の平面よりも上又は下に延びる複数の隆起形成部を備え得る。ブリスタの各々の内部に、周囲環境に開放され得る空の空洞があってもよい。例えば、バブルマニホールド202を形成する液体不透過性材料のフィルムの一部分は、ブリスタに成形又は形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ブリスタは、バブルマニホールド202のフィルムの小さな真空成形領域の形態であってもよい。
【0049】
バブル210は、バブルマニホールド202及び組織インターフェース108の特定の用途によって決まる寸法を有し得る。例えば、バブル210は、約1.0mm~4.0mmの高さを有するブリスタの形態であってもよく、且つ約1.0mm~4.0mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、ブリスタは、高さが約1.5mmであり、且つ直径が約1.5mmであってもよい。ブリスタの各々の間の距離は、約1.0mm~3.0mmであってもよく、いくつかの実施形態では、約2.0mmの間隔を有し得る。いくつかの実施形態では、個々のブリスタは、ドーム形状又は半球形状であってもよい。追加的又は代替的に、ブリスタは、平坦な端部又は半球状端部を有する、略円錐形状、円筒形状、管状形状、又は測地線形状などの、異なる形状を有する隆起形成部の形態であってもよい。さらに、バブル210は、バブルマニホールド202の表面領域にわたってサイズ又は間隔が異なり得る。例えば、バブル210は、バブルマニホールド202の中心部分ではより小さく又はより大きくてもよく、且つ/又は、バブルマニホールド202の中心部分から周縁部分までの距離に沿ってサイズが徐々に小さく又は大きくなってもよい。例えば、バブル210は、バブルマニホールド202の周縁部分に向かって大きくなってもよく、バブルマニホールド202にわたって起こり得る圧力降下を緩和する効果を有し得る。追加的に、バブル210は、バブルマニホールド202の中心部分から周縁部分までの距離に沿って次第にさらに離間して又はより近接して配置されてもよい。バブル210の形状もまた、バブルマニホールド202の中心部分から周縁部分までの距離に沿って変化してもよい。そのようなサイズ、間隔/密度、及び形状のばらつきは、組織部位に適切な流体除去勾配を確立するためにバブルマニホールド202及び組織インターフェース108を展開するのを補助し得る。
【0050】
バブルマニホールド202の厚さはまた、処方される療法の必要に応じて異なり得る。例えば、組織部位における組織への応力又は張力を緩和するために、バブルマニホールド202の厚さを減少させてもよい。バブルマニホールド202の厚さはまた、組織インターフェース108の適合性にも影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実施形態では、バブルマニホールド202は、約20~500マイクロメートルの範囲の材料厚さ、又はいくつかのより具体的な実施形態では、約50~150マイクロメートルの範囲の材料厚さを有するフィルムを含み得る。特定の実施形態に応じて、バブルマニホールド202の向きは、バブルマニホールド202のバブル210がバブルマニホールド202の平面に面し得るか又はそうした平面から上方若しくは下方に延び得るように、逆向きにされてもよい。
【0051】
バブルマニホールド202は、追加的に、バブルマニホールド202のフィルムを通る流体移動を可能にするようにバブル210間に位置決めされた開口212を含み得る。開口212の数は、治療システム100によって提供すべき陰圧及び/又は滴下療法のタイプによって異なり得る。開口212は、異なる形状及びサイズを有し得、且つ開口212は、約0.5mm~1.5mmの直径、主軸、又は長さを有し得る。いくつかの実施形態では、開口212は窓であってもよい。いくつかの実施形態では、バブルマニホールド202は、後にスリットで窓が付けられる真空成形されたブリスタを備えたポリウレタンフィルムを含み得る。追加的に、バブルマニホールド202は、バブル210を備えるバブルマニホールド202の領域間のバブルマニホールド202の領域に、同心円の形態であり得る、リングを有して形成されてもよい。リングは、切断することを含み得る、組織インターフェース108のサイズを定めるのを補助するための視覚的な手がかりをユーザに提供し得る。いくつかの実施形態では、バブルマニホールド202のリングは、バブルマニホールド202の真空成形工程中に形成されてもよく、且つ切断するか又は別様にサイズを定めるための、バブルマニホールド202の脆弱領域又は指定領域を含み得る。例えば、リングが所望されるバブルマニホールド202の領域に対応する真空引きが、バブルマニホールド202の周囲領域に印加される真空よりも高い場合に、優先的な引き裂き又は切断を可能にする所望の領域に脆弱部が形成される。
【0052】
図4は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図3のバブルマニホールド202の例示的な実施形態の断面図である。例えば、バブルマニホールド202は、液体不透過性材料の単一のシート又はフィルムから形成されてもよく、単一のシート又はフィルムは、その上に形成されたバブル210及び開口212を有し得る。いくつかの実施形態では、バブル210は、ブリスタの形態であってもよく、且つバブルマニホールド202の液体不透過性材料のフィルムに真空を印加してブリスタを生成することによってバブルマニホールド202内に形成されてもよい。
【0053】
図4に示すように、開口212は、バブル210間におけるバブルマニホールド202の部分に形成されてもよく、且つバブルマニホールド202を流体が通るのを許容するように液体不透過性材料のフィルムを貫通して延びてもよい。開口212の数は、治療システム100によって提供すべき陰圧及び滴下療法のタイプによって異なり得る。開口212は、例えば、円形、楕円形、矩形、又は他の不規則な形状などの、異なる形状を有し得る。そのような開口212は、約0.5mm~1.5mmの直径、主軸、又は長さを有し得る。いくつかの例示的な実施形態では、開口212は、バブルマニホールド202の液体不透過性材料を切断又は穿孔することによって形成されてもよい。
【0054】
図5は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図2のバブルマニホールド202の別の例の一部分の斜視図である。いくつかの実施形態では、バブルマニホールド202は、マニホールドを含み得、且つ複数の液体不透過性層、例えば、第1の層502及び第2の層504を有するように形成されてもよい。「液体不透過性層」に関する「液体不透過性」とは、層が液体不透過性材料で形成されることを意味する。したがって、第1の層502及び第2の層504は、液体不透過性材料を有して形成されるが、窓が付けられ、穿孔され、又は別様に流体経路を含む場合、液体透過性であり得るが、それにもかかわらず、液体不透過性層と呼ばれる。いくつかの実施形態では、第1の層502及び第2の層504は、非限定的に、溶着、接合、接着剤、セメント、又は他の接合装置などによる、任意の好適な方式で互いに密封結合されてもよい。いくつかの実施形態では、第1の層502及び第2の層504は、医療用ドレープに組織が接着するのを阻止することが可能な、医療用ドレープなどの、非接着性材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の層502及び第2の層504は、通気性ポリウレタンフィルムなどの、液体不透過性ポリマーフィルムを含み得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の層502及び第2の層504の各々は、独立気泡の形態であり得る、複数のバブル210を画定する密封領域509を形成するように互いに結合された内面を有する、液体不透過性ポリマーフィルムを含むか又はそうした液体不透過性ポリマーフィルムから本質的に構成され得る。第1の層502及び第2の層504の内面は、バブルマニホールド202を通る又はバブルマニホールド202に沿った流体の流れを遮断する可能性がある、陰圧の印加によるバブル210の過度の圧潰を阻止するように実質的に気密である独立気泡の形態のバブル210を形成するように互いに結合されてもよい。
【0056】
液体不透過性ポリマーフィルムの2つのシート、すなわち、第1の層502及び第2の層504は、バブル210を形成するように互いに結合された2つの薄層又は2つ別個のシートを有する材料の単一のシートの形態であってもよい。液体不透過性ポリマーフィルムのシートは、最初は、重ね合わされて封着される別個のシートであってもよく、又はヒートシール性表面が内方に面する状態で単一のシートをそれ自体に折り畳むことによって形成されてもよい。液体不透過性ポリマーフィルムの各シートはまた、所望のバブル210構造体の用途に応じて、単層又は多層構造体であってもよい。
【0057】
液体不透過性ポリマーフィルムのシートは、独立気泡で形成されたバブル210を包囲するように利用できる任意の可撓性材料を含み得る。例えば、バブルマニホールド202は、ポケット内に空気を封入するポリオレフィンフィルムの2つの溶着層から形成されてもよい。追加的又は代替的に、バブルマニホールド202のフィルム層を製造するために、種々の熱可塑性材料を使用してもよい。好適な熱可塑性ポリマーの非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)などの、ポリエチレン単独重合体、並びにイオノマー、EVA、EMA、不均一(チーグラー・ナッタ触媒)エチレン/α-オレフィン共重合体、及び均質(メタロセン、シングルサイト触媒)エチレン/α-オレフィン共重合体などの、ポリエチレン共重合体が挙げられる。エチレン/α-オレフィン共重合体は、ポリマー分子が、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、及び超低密度ポリエチレン(ULDPE)を含む、比較的少数の側鎖分枝を有する長鎖を含む、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及びメチルペンテンなどの、C3~C20α-オレフィンから選択された1種又は複数種の共単量体とエチレンとの共重合体である。ポリプロピレン単独重合体又はポリプロピレン共重合体(例えば、プロピレン/エチレン共重合体)、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネートなどの、他の種々の材料も好適である。
【0058】
独立気泡で形成されたバブル210は、好ましくは、治療レベルの陰圧の下での圧潰に耐え得る。いくつかの実施形態では、バブル210は、陰圧の並置力の下での伸長に抗するのに十分な引張強度を有する材料によって形成されてもよい。材料の引張強度は、応力が、単位面積当たりの力、すなわち、パスカル(Pa)、ニュートン/平方メートル(N/m2)、又はポンド/平方インチ(psi)である、応力-歪み曲線によって表される、材料が伸長に耐える能力である。最大引張強度(UTS)は、伸長されている間に材料が破損又は破断する前に耐えることができる最大応力である。多くの材料は、降伏点、すなわち、材料の降伏強度によって表される非線形領域までしばしば延びる、線形の応力-歪み関係によって定められる線形弾性挙動を示す。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)は、高い引張強度を有し、低密度ポリエチレン(LDPE)は、僅かに低い引張強度を有し、両方とも、バブル210を形成するのに好適な材料である。材料の降伏点まで力が増大しても材料がほとんど伸長しないので、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が使用されてもよい。HDPEの降伏強度は26~33MPaの範囲であり、且つHDPEは37MPaのUTSを有し、その一方で、LDPEはそれよりも若干低い値を有する。いくつかの例示的な実施形態では、バブル210は、約20MPaよりも大きな降伏強度を有する材料から形成されてもよい。
【0059】
いくつかの例示的な実施形態では、密封領域509は、第1の層502の内面と第2の層504の内面との間のヒートシールによって形成されてもよい。追加的又は代替的に、密封領域509は、第1の層502と第2の層504との接着によって形成されてもよい。また、第1の層502と第2の層504とは、互いに接着接合されてもよい。バブル210は、形成されたときに実質的に気密な独立気泡であり、且つ実質的に周囲圧力である内圧を有し得る。他の実施形態では、バブル210は、例えば二酸化炭素又は窒素などの、空気又は他の好適なガスで膨張させた独立気泡であってもよい。バブル210は、独立気泡の形状と圧力下での耐圧潰性とを維持するために大気圧よりも大きな内圧を有するように膨張させた独立気泡であってもよい。例えば、バブル210は、バブル210が圧潰しないように大気圧よりも最大で約25psi高い圧力まで膨張させてもよい。
【0060】
密封領域509は、バブルマニホールド202が組織部位の形状に一致するのに十分な可撓性を有するように十分に可撓性であり得る密封セグメントをバブル210間に備える。密封セグメントは、バブルマニホールド202が2つ以上の層に折り畳まれ得るのに十分に可撓性であるか又は折り畳まれ得るようにサイズが定められてもよい。密封領域509の密封セグメントは、隣り合うバブル210間の共通の境界としての役割を果たし得る。密封領域509の密封セグメントはまた、バブルマニホールド202を通って流体が流れるための経路を提供するために穿孔されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、密封領域509は、密封領域509内のバブル210間の複数の開口212であって、バブルマニホールド202を通って流体が流れるのを許容するように第1の層502と第2の層504の両方を貫通して延びる開口212を含み得る。開口212の数は、治療システム100によって提供すべき陰圧及び滴下療法のタイプによって異なり得る。開口212は、例えば、円形、楕円形、矩形、又は他の不規則な形状などの、異なる形状を有し得る。そのような開口212は、約0.5mm~1.5mmの直径、主軸、又は長さを有し得る。他の例示的な実施形態では、開口212は、密封領域509のセグメントを穿孔又は切断することによって形成されてもよい。
【0061】
図5の例に図示するように、密封領域509は、バブル210の各々の基部又は断面形状を略円形として画定してもよい。追加的又は代替的に、1つ又は複数のバブル210の基部は、矩形、三角形、又は六角形などの、他の形状を有し得る。バブル210は、バブル210の断面形状に対応する3次元形状を有するように形成されてもよい。例えば、体積形状は、図示のように略半球状又は球状であってもよい。他の実施形態では、バブル210は、平坦な端部又は半球状端部を有する、略円錐形状、円筒形状、管状形状、又は測地線形状である、体積形状を有して形成されてもよい。形状が略半球状又は球状であるバブル210は、約0.5mm~10mmの直径を有し得る。バブル210はまた、約1.5mm~15mmの、ピッチ、すなわち、各バブル210間の中心間距離を有し得る。密封領域509は、円形基部の直径と隣り合うバブル210のピッチとを含むバブル210の基部を画定するので、バブル210によって覆われたバブルマニホールド202の表面積はまた、パーセンテージ、すなわち、気泡被覆率として決定されてもよい。バブル210の直径が約1.0mmであり且つピッチが約2.0mmである例示的な一実施形態では、バブル被覆率は、バブルマニホールド202の表面積の約22%である。バブル210の直径が約2.0mmであり且つピッチが約5.0mmである別の例示的な実施形態では、バブル被覆率は、バブルマニホールド202の表面積の約14%である。バブル210の直径が約1.0mmであり且つピッチが約1.5mmであるさらに別の例示的な実施形態では、バブル被覆率は、バブルマニホールド202の表面積の約30%である。バブル210の直径が約1.5mmであり、ピッチが約2.0mmであり、且つバブルマニホールド202の10mm
2の部分に約28.5個のバブルが存在するようにバブル210がより密に配設されるさらに別の例示的な実施形態では、バブル被覆率は、バブルマニホールド202の表面積の約51%である。バブル210の直径、ピッチ、及び配置に応じて、バブル被覆率は、バブルマニホールド202の表面積の約10%~約55%の範囲であってもよい。他の基部形状又は容積形状を有するバブル210もまた、略同じ範囲のバブル被覆率を有し得る。
【0062】
バブル210のいくつかの実施形態は、平坦な端部又は半球状端部が形成された、半球形状、球形状、円錐形状、円筒形状、又は管状形状を含む、3次元形状を有し得る。これらの形状、例えば、
図6に示す単一の半球形状(バブル210)及び
図7に示すような球形状(バブル210)を形成するように互いに位置合わせされる2つの半球形状は、第1の層502及び第2の層504の一方又は両方に形成されてもよい。バブル210は、約0.25mm~約5mmの高さ、例えば、上の例で説明したように半球形状を有するバブル210の直径の約半分の高さを有し得る。いくつかの実施形態では、バブル210は、直径が約10mmであり、且つ高さが約3mmであってもよい。他の例示的な実施形態では、バブル210は、密封領域509から半球状端部に延びる略平行な壁を有するように形成された略管状形状を有し得る。さらに他の例示的な実施形態では、管状形状を有するバブル210は、約1.5mmの直径と、約2.0mm~4.0mmの範囲の平均高さとを有し得る。
【0063】
さらに主に
図5を参照すると、第1の層502及び第2の層504は各々、約5μm~500μmの厚さを有し得、且つ密封領域509は、厚さが約10μm~1000μmであってもよい。第1の層502と第2の層504とを互いに結合することによって形成された後に、バブル210の壁は、第1の層502及び第2の層504の平均厚さに対するバブル210の平均高さの比である、延伸比によって定められる、第1の層502及び第2の層504の厚さに対する厚さを有し得る。バブル210が略管状形状を有する例示的な一実施形態では、第1の層502及び第2の層504は、250μmの平均厚さを有し得、且つバブル210は、約2.0mm~4.0mmの範囲の平均高さを有し、約1.5mmの直径を有し得る。結果として、バブル210は、高さ2.0mm及び4.0mmに対して、それぞれ約8:1~約16:1の範囲の延伸比を有する。別の例示的な実施形態では、第1の層502及び第2の層504は、100μmの平均厚さを有し得、且つバブル210は、約2.0mm~4.0mmの範囲の平均高さを有し、約1.5mmの直径を有し得る。結果として、バブル210は、高さ2.0mm及び4.0mmに対して、それぞれ約20:1~約40:1の範囲の延伸比を有する。さらに他の例示的な実施形態では、第1の層502及び第2の層504の厚さが約250μm未満である場合に、延伸比は、約16:1よりも大きいことが望ましい。第1の層502及び第2の層504は各々、同じ厚さ又は異なる厚さ及び可撓性を有し得るが、陰圧又は滴下流体がバブルマニホールド202に印加された後もバブル210が破裂せずに略一定の容積を維持するように、上で説明したように実質的に非伸縮性である。結果として、バブル210を異なる形状に押し潰す荷重がバブルマニホールド202に印加されたときでさえ、バブル210は、押し潰された後に破断せずに元の形状を回復するのに十分に可撓性である。
【0064】
図6は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図5のバブルマニホールド202の例示的な実施形態の断面図である。例えば、
図6のバブルマニホールド202は、独立気泡が、半球形状を有する独立気泡で形成されたバブル210などの、バブルマニホールド202の密封領域509の一方の側面のみから延びるように構成されてもよい。より具体的には、バブルマニホールド202は、複数のバブル210を画定するパターンで互いに結合された内面を有する、第1の層502及び第2の層504などの、ポリマーフィルムの2つのシートを含み得る。第1の層502及び第2の層504は、形状が略半球状であるバブル210を画定する密封領域509において互いに封着されてもよい。バブル210は、異なる厚さ又は可撓性を有するポリマーフィルムのシートを使用することによって、密封領域509の一方の側面のみに形成されてもよい。例えば、バブル210は、第2の層504に真空を印加することによって第2の層504に形成されてもよく、第1の層502は、印加される真空に耐えて略平面形状を保持するために第2の層504よりも十分に厚い。他の形状を有するバブル210は、密封領域509の一方の側面のみから延びるように形成されてもよく、且つ様々な異なる方法を使用して形成されてもよい。例えば、バブル210の形状は、後にバブル210の封入を完了するように第1の層502に結合させることができる、第2の層504に別個に形成されてもよい。第1の層502は、密封領域509が薄いままで可撓性を維持するように第2の層504と同じ厚さを有し得る。
【0065】
さらに主に
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、バブルマニホールド202は、第1の層502及び第2の層504の何れか又は両方の1つ若しくは複数の表面に凹凸面特徴部をさらに含み得る。凹凸面特徴部は、組織部位に面して配置され得る第1の層502及び第2の層504の何れか又は両方の表面に含まれ得る。凹凸面特徴部は、バブルマニホールド202を通る流体の流れを促すための、及び肉芽形成を促すために組織部位に対する微小歪みを増大させるための突出部又は窪みであってもよい。より具体的には、凹凸面特徴部は、第1の層502及び/又は第2の層504の外面にエンボス加工された個々のこぶ又は突起のパターン、第1の層502及び/又は第2の層504の外面にエンボス加工された格子、第1の層502及び/又は第2の層504の外面に形成された溝のパターン又は格子、或いはこれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、
図6に示すように、バブルマニホールド202は、バブルマニホールド202が組織部位に位置決めされたときにこぶ614が組織部位に接触するように第1の層502の外面にエンボス加工され得る、こぶ614の形態の凹凸面特徴部を含み得る。
【0066】
こぶ614は、可撓性又は剛性である突起であってもよい。いくつかの実施形態では、突起は、シリコーンなどの実質的にガス不透過性の材料から形成されてもよい。他の実施形態では、突起は、ガス半透過性材料から形成されてもよい。突起は、第1の層502及び第2の層504の一体部として形成されてもよく、また、第1の層502及び第2の層504と同じ材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、突起は中実であってもよく、その一方で、他の実施形態では、突起は、可撓性を高めるために中空であってもよい。突起は、陰圧を分配し且つ突起間の流体の流れを可能にするために、以下に説明するように複数のチャネル及び/又は空隙を形成してもよい。突起は、陰圧が印加されたときに肉芽組織形成を刺激するために組織部位に微小歪みを生成するのに十分な局所荷重点を組織部位に提供するような寸法とされてもよい。突起のパターン及び位置は、均一又は不均一であってもよい。突起は、例えば、スパイク、円錐、ピラミッド、ドーム、円筒、又は矩形の形状を含む、異なる形状を有し得る。突起の形状は、組織部位に応じて均一又は不均一であってもよい。突起の形状は、立方体の側面が約0.2mm~約1.5mmの範囲である、立方体体積によって画定された体積を占有し得る。一実施形態では、スパイク形状は、約0.2mmの基部幅又は直径と、約0.4mm~0.8mmの垂直高さとを有し得る。別の実施形態では、円錐形状は、約0.4mmの基部直径と、0.4mm~1.2mmの垂直高さとを有し得る。さらに別の実施形態では、ドーム形状は、約0.4mm~1mmの範囲の基部直径を有する球状キャップ又は放物面形状を有し得る。
【0067】
図7は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図5のバブルマニホールド202の別の例の断面図である。例えば、
図7のバブルマニホールド202は、バブル210の一部分がバブルマニホールド202の密封領域の両側面から延びるように、バブルマニホールド202の2つのシート又は層の両方に形成される独立気泡の部分を含むバブル210を含み得る。より具体的には、バブルマニホールド202は、複数のバブル210を画定するパターンで互いに結合された内面を有する、ポリマーフィルムの2つのシート、すなわち、第1の層502と第2の層504とを含み得る。例えば、第1の層502及び第2の層504の各々に形成されたバブル210の部分は各々、形状が半球状気泡716及び半球状気泡718のなどの半球状であってもよい。次いで、半球状気泡716及び半球状気泡718は、略球形状を有する独立気泡の形態の単一のバブル210を形成するように位置合わせされてもよい。換言すれば、単一のバブル210の各々は、第2の層504及び第1の層502にそれぞれ形成された、2つの半球状気泡、すなわち、半球状気泡716と半球状気泡718とを含む。第1の層502及び第2の層504は、形状が略球状であるバブル210を画定する密封領域509において互いに封着されてもよい。他の例示的な実施形態では、各シート内の独立気泡は、互いに位置合わせされなくてもよく、むしろ、対向するシートの密封部分と重ね合わされるか又は位置合わせされてもよい。バブル210は、異なる厚さ又は可撓性を有するポリマーフィルムのシートを使用することによって密封領域509の両側面に形成されてもよい。例えば、バブル210の形状は、第1の層502及び第2の層504が互いに異なる厚さ又は可撓性を有する場合、非対称であってもよい。しかしながら、第1の層502及び第2の層504が実質的に同一の厚さ又は可撓性を有する場合、バブル210の形状は、
図7に示すように、実質的に球状であってもよい。
【0068】
図8は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図5のバブルマニホールド202の別の例の断面図である。例えば、
図8のバブルマニホールド202は、材料の第3のシートの部分によって分離される2つの半球部によって形成された形状が略球状であり得る独立気泡を形成するように第3のシートが第1のシートと第2のシートとの間に位置決めされる、多シート構成を形成する第3のシートを含み得る。例えば、
図8のバブルマニホールド202は、独立気泡の形態の複数のバブル210を画定する密封領域509を形成するように第3の層820に結合又は接合された内面を有するポリマーフィルムの第1の層502及び第2の層504を含み得る。バブル210は、形状が略球状であり、且つ第3の層820の部分によって分離される2つの半球部によって形成される。第1の層502及び第2の層504は、例えば、融解(例えば、RF、超音波、及び熱)、熱融着と溶剤の両方を使用する接着剤、及びプレス技術を含む、様々な異なる方法を使用して、第3の層820に結合又は接合されてもよい。第3の層820は、ポリマーフィルムから形成されてもよく、また、バブル210の2つの半球部間の空気の流れを許容するために穿孔されてもよい。第3の層820がポリマー材料から形成される場合、第3の層820はまた、吸い上げ機能を提供するために凹凸が付けられてもよい。第3の層820はまた、バブル210内に吸い上げをもたらすためにポリエステル材料から形成されてもよく、且つ追加の吸い上げ機能を提供するためにポリエステル材料中に植毛された繊維をさらに含み得る。第3の層820はまた、第3の層820にコーティングされた抗菌層又は抗菌剤を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、
図8のバブルマニホールド202はまた、第1の層502及び第2の層504の何れか又は両方の1つ若しくは複数の表面に凹凸面特徴部を含み得る。凹凸面特徴部は、
図6の凹凸面特徴部に関して述べたように、突出部又は窪みであってもよい。例えば、バブルマニホールド202は、第1の層502の外面に、より具体的には、バブルマニホールド202が組織部位に位置決めされた場合にこぶ614が組織部位に接触するようにバブル210の表面にエンボス加工された突起又はこぶ614を含み得る。
【0070】
図9は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図2のバブルマニホールド202の別の例の一部分の概略図である。例えば、数多くの異なる凹凸又は形状が、平坦であり得且つ使用時に組織部位に面するものであり得る第1の層502の外面に形成されてもよい。例示的な一実施形態では、格子922は、第1の層502の外面に織パターンでエンボス加工又は押出成形されてもよい。格子922のパターンは、図示の菱形パターンのような、様々な形状を有し得る。多くのタイプの突出部又は格子が、バブルマニホールド202を通る又はバブルマニホールド202に沿った流体の流れを促し且つ/又は組織部位の肉芽形成を促すように第1の層502又はバブルマニホールド202の他の開示の実施形態の第1のシートの表面に形成され得ることを理解されたい。その上、そのような突出部又は格子の何れかがエンボス加工、溶着又は他の任意の同様のタイプの結合機構によって形成され得ることを理解されたい。
【0071】
図10は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図2のバブルマニホールド202の別の例の一部分の概略図である。バブルマニホールド202は、先に述べたバブルマニホールド202の実施形態と同様であり得るが、室の容積が個々の独立気泡の容積よりも大きいので陰圧の印加の結果としてバブルマニホールド202に印加される並置力をより良好に分配するための、相互接続された独立気泡によって形成された室をさらに含み得る。一実施形態では、
図10に示すように、バブルマニホールド202は、第1の層502と第2の層504とを含み、第1の層502及び第2の層504の各々は、独立気泡を含む複数のバブル210を画定する密封領域509を形成するパターンで互いに結合された内面を有するポリマーフィルムであってもよい。密封領域509はまた、バブルマニホールド202を通って流体が流れるための経路を提供するために穿孔されてもよい。例示的な一実施形態では、密封領域509は、密封領域509内のバブル210間に形成される複数の開口212であって、バブルマニホールド202を通る流体の流れを許容するように第1の層502と第2の層504の両方を貫通して延びる開口212を備え得る。バブルマニホールド202はまた、密閉室を形成するようにバブル210の少なくとも2つを流体的に結合する複数の経路1024を備え得る。例示的な一実施形態では、密閉室1026は、
図10に示すように、経路1024によって流体的に結合された列内のバブル210の全てによって形成される。密閉室1026は、
図10にも示すように、他の6列の各々に形成されてもよい。独立気泡を有する密閉室を任意のパターンで形成することによって、バブルマニホールド202に印加される並置力をバブルマニホールド202にわたってより均等に分配してもよい。
【0072】
図11は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図10のバブルマニホールド202の例示的な実施形態の断面図である。例えば、
図11のバブルマニホールド202は、独立気泡を含む複数のバブル210を画定するパターンで互いに結合された内面を有する、ポリマーフィルムの2つのシート、すなわち、第1の層502と第2の層504とを含み得る。第1の層502及び第2の層504は、形状が略半球状であるバブル210を画定する密封領域において互いに封着されてもよい。バブルマニホールド202はまた、密閉室1026を形成するようにバブル210を相互接続する複数の経路1024を備え得る。密閉室1026は、
図11に示すように、密閉室1026が密封領域の一方の側面のみから延びるように、第1の層502及び第2の層504の一方にのみ形成されてもよい。
【0073】
図12は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図10のバブルマニホールド202の別の例の断面図である。例えば、
図12のバブルマニホールド202は、独立気泡を含む複数のバブル210を画定するパターンで互いに結合された内面を有する、ポリマーフィルムの2つのシート、すなわち、第1の層502と第2の層504とを含み得る。第1の層502及び第2の層504は、形状が略球状であるバブル210を画定する密封領域において互いに封着されてもよい。バブルマニホールド202はまた、密閉室1026を形成するようにバブル210を相互接続する複数の経路1024を備え得る。密閉室1026は、密封領域の一方の側面のみから延びる
図11の密閉室1026よりも多くの可撓性及び緩衝性を提供する密封領域の両側面から密閉室1026が延びるように、第1の層502と第2の層504の両方に形成される。
【0074】
図13は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図10のバブルマニホールド202の別の例の断面図である。例えば、
図13のバブルマニホールド202は、独立気泡を含む複数のバブル210を画定する密封領域を形成するように第3の層1320に結合又は接合された内面を有する、ポリマーフィルムの2つのシート、すなわち、第1の層502と第2の層504とを含み得る。バブル210は、形状が略球状であり、且つ第3の層1320の部分によって分離される2つの半球部によって形成される。第1の層502及び第2の層504は、例えば、融解(例えば、RF、超音波、及び熱)、熱融着と溶剤の両方を使用する接着剤、及びプレス技術を含む、様々な異なる方法を使用して、第3の層1320に結合又は接合されてもよい。第3の層1320は、ポリマーフィルムから形成されてもよく、また、バブル210の2つの半球部間の空気の流れを許容するために穿孔されてもよい。第3の層1320がポリマー材料から形成される場合、第3の層1320はまた、吸い上げ機能を提供するために凹凸が付けられてもよい。第3の層1320はまた、バブル210内に吸い上げをもたらすためにポリエステル材料から形成されてもよく、且つ追加の吸い上げ機能を提供するためにポリエステル材料中に植毛された繊維をさらに含み得る。第3の層1320はまた、第3の層1320にコーティングされた抗菌層又は抗菌剤を含み得る。
図13の第3の層1320はまた、密閉室1026を形成するようにバブル210を相互接続する複数の経路1024を提供し得る。
図13の密閉室1026は、密閉室1026が密封領域の両側面から延びるように、第1の層502と第2の層504の両方に形成されてもよい。
【0075】
図14は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図2のバブルマニホールド202の別の例の一部分の概略図である。バブルマニホールド202は、先に述べたバブルマニホールド202の実施形態と同様であり得るが、利用される特定の治療形態に好適であり得る、独立気泡を含むバブル210の異なる配置を含み得る。密封領域509によって画定された平面と同じ平面に形成された気泡の入れ子パターンを形成するように個々の気泡が交互の行の間で互いにより密接に入れ子にされ得るように千鳥配置である、独立気泡を含むバブル210が、
図5に関して先に述べられている。
図14は、互いに極めて近接する独立気泡を含む複数のバブル210を画定するパターンで互いに密封された内面を有する、ポリマーフィルムの2つのシート、すなわち、第1の層502と第2の層504とを含み得るバブルマニホールド202を描いている。しかしながら、
図14のバブル210の行及び列は、交互にずらされるのではなく、むしろ、整列パターンで配設される。バブル210の直径及びピッチに応じて、気泡被覆率は、バブルマニホールド202の表面領域の約10%~約55%の範囲であってもよい。第1の層502及び第2の層504は、バブル210を画定する密封領域509において互いに封着されてもよい。この実施形態では、バブル210の行及び列は、整列パターンを形成するように一列に配設される。バブルマニホールド202はまた、上で説明したように穿孔され得る密封領域509を含み得る。いくつかの実施形態では、密封領域509は、バブル210間の複数の開口212であって、バブルマニホールド202を通って流体が流れるのを許容するように第1の層502と第2の層504の両方を貫通して延びる開口212を含み得る。開口212は、
図5の開口212と同様の寸法を有し得る。バブル210のパターンは、様々な配置を有し得る。
【0076】
図15は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図2のバブルマニホールド202の別の例の一部分の概略図である。バブルマニホールド202は、
図14のバブルマニホールド202と同様であってもよく、且つ互いに極めて近接する独立気泡を含む複数のバブル210を画定するパターンで互いに密封された内面を有する、ポリマーフィルムの2つのシート、すなわち、第1の層502と第2の層504とを含み得る。第1の層502及び第2の層504は、バブル210を画定する密封領域509において互いに封着されてもよい。密封領域509はまた、バブルマニホールド202を通って流体が流れるための経路を提供するために穿孔されてもよい。例示的な一実施形態では、密封領域509は、密封領域509内のバブル210間に形成される複数の開口212であって、バブルマニホールド202を通る流体の流れを許容するように第1の層502と第2の層504の両方を貫通して延びる開口212を備え得る。バブルマニホールド202はまた、密閉室1026を形成するようにバブル210を相互接続する複数の経路1024を備え得る。例示的な一実施形態では、密閉室1026は、
図15に示すように、経路1024によって流体的に結合された列内のバブル210の全てによって形成される。密閉室1026は、
図15にも示すように、他の6つの列の各々に形成されてもよく、又は複数の列を含むように形成されてもよい。バブル210を有する密閉室1026を任意のパターンで形成することによって、独立気泡のみを有する層とは対照的に、バブルマニホールド202に印加される並置力をバブルマニホールド202にわたってより均等に分配してもよい。
【0077】
図16は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、組織インターフェース108の別の例の概略上面図である。例えば、
図16の組織インターフェース108は、マニホールドを備え得、且つ治療システム100の陰圧源104から組織部位に陰圧を提供し、組織部位から抽出された流体を移送するように適合されてもよい。組織インターフェース108は、バブルマニホールド202と発泡体マニホールド1630を備え得る。バブルマニホールド202は、連続気泡ブリスタ、スペーサ、突出部、又は独立気泡の形態であり得る、複数のバブル210を有する液体不透過性材料の層を含み得る。
図16の組織インターフェース108のバブルマニホールド202は、追加的に、バブルマニホールド202と組織インターフェース108とを通る流体移動を可能にするようにバブル210間に位置決めされた開口212を備え得る。
【0078】
図16の組織インターフェース108はまた、組織インターフェース108の中心部分に位置決めされた集配又は充填材料の一部分を含み得る、発泡体マニホールド1630を備え得る。例えば、組織インターフェース108は、組織インターフェース108のバブルマニホールド202の表面の中心部分に隣接して位置決めされ得る、発泡体マニホールド1630を含み得る。
図16に示すように、発泡体マニホールド1630は、円形状又はディスク形状を有し得るが、組織インターフェース108の他の実施形態はまた、正方形状若しくは矩形状、三角形状若しくはピラミッド形状、又は他の任意の好適な形状若しくは構成などの、様々な形状の発泡体マニホールド1630を含み得る。いくつかの代替の実施形態では、発泡体マニホールド1630は、液体不透過性材料の少なくとも1つのフィルムを含むがバブルを含まない、バブルマニホールド202の中心領域に対して位置決めされてもよい。
【0079】
発泡体マニホールド1630は、1つ又は複数のタイプの集配材料を含み得る。例えば、発泡体マニホールド1630は、相互接続された流体経路を有する多孔質材料であってもよい。相互接続された流体経路(例えば、チャネル)を形成するように適合させることができる好適な多孔質材料の例としては、網状発泡体などの連続気泡発泡体を含む、気泡発泡体、及び概して細孔を含むガーゼ又はフェルトマットなどの他の多孔質材料が挙げられ得る。液体、ゲル及び他の発泡体もまた、開口及び流体経路を含むか又は含むように硬化させてもよい。いくつかの例では、発泡体マニホールド1630は、両方ともSan Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から入手可能であるGRANUFOAM(商標)ドレッシング又はV.A.C.VERAFLOW(商標)ドレッシングで使用されるような網状ポリウレタン発泡体であってもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、
図16の組織インターフェース108は、発泡体マニホールド1630上への位置決めのための、フィルム1632などの、フィルム材料をさらに含み得る。フィルム1632は、好適な非多孔質若しくは液体不透過性ポリマー材料又はドレープ材料の何れかなどの、任意のタイプのフィルム材料を含み得る。フィルム1632は、組織インターフェース108の外部の空間と発泡体マニホールド1630との間の流体連通を可能にするのに適し得る、複数の窓をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、フィルム1632は、フィルム1632と発泡体マニホールド1630の周縁又は周囲を囲むバブルマニホールド202の表面との間の溶着部1634によって発泡体マニホールド1630の周囲に封着されてもよい。
【0081】
図17は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図16の組織インターフェース108の例示的な実施形態の断面図である。例えば、組織インターフェース108は、液体不透過性材料の単一のシート又はフィルム上に形成されたバブル210及び開口212を備える液体不透過性材料の単一のシート又はフィルムから形成され得る、バブルマニホールド202を含み得る。いくつかの実施形態では、バブル210は、先に述べた原理に従うブリスタの形態であってもよい。
図17に示すように、開口212は、バブル210間におけるバブルマニホールド202の部分に形成されてもよく、且つ組織インターフェース108を流体が通るのを許容するようにバブルマニホールド202を貫通して延びてもよい。開口212の数は、治療システム100によって提供すべき陰圧及び滴下療法のタイプによって異なり得る。発泡体マニホールド1630は、フィルム1632が発泡体マニホールド1630上及び周囲に適用された状態で、バブルマニホールド202の表面に配置されてもよい。フィルム1632は、溶着部1634を介してバブルマニホールド202の表面に溶着されてもよい。
図17に示すように、バブルマニホールド202は、ブリスタの形態であり得る、バブル210が、組織部位に面するように構成されるように下方に突出するか、下方に延びるか、又は下方に面するように位置決めされてもよい。しかしながら、代替の実施形態では、バブルマニホールド202は逆向きにされてもよく、その結果、バブル210が発泡体マニホールド1630に向かって上方に延びるか又は面する。
【0082】
図18は、いくつかの追加の詳細を図示する、
図16の組織インターフェース108の別の例示的な実施形態の断面図を示している。例えば、
図18の組織インターフェース108は、複数の液体不透過性層から形成され得る、バブルマニホールド202を備え得る。
図18の組織インターフェース108はまた、発泡体マニホールド1630を備え得る。いくつかの実施形態では、
図18の組織インターフェース108のバブルマニホールド202は、液体不透過性フィルムの第1の層、第1の層1802と、液体不透過性フィルムの第2の層、第2の層1804とを含み得る。第1の層1802及び第2の層1804は、任意の好適な方式で互いに密封結合されてもよい。他の実施形態に関して先に述べたように、第1の層1802及び第2の層1804は、通気性ポリウレタンフィルム材料などの、非接着性材料を含み得る。
【0083】
図18の組織インターフェース108のバブルマニホールド202は、独立気泡の形態であり得る、複数のバブル210を含み得る。例えば、バブル210は、第1の層1802と第2の層1804との間に形成された独立気泡を含み得、且つ空気などの流体で満たされてもよい。先に述べた実施形態と同様に、第1の層1802及び第2の層1804の各々は、バブル210を形成する複数の独立気泡を画定する密封領域を形成するように互いに結合された内面を有し得る。
図18の組織インターフェース108の例示的な実施形態では、バブル210は、第1の層1802及び第2の層1804の内面の大部分又は実質的に全ての表面領域間に形成されてもよい。バブルマニホールド202は、追加的に、組織インターフェース108のバブルマニホールド202を通る流体移動を可能にするように、第1の層1802と第2の層1804とを貫通する開口をバブル210間に備え得る。
【0084】
図18に示すように、組織インターフェース108は、独立気泡を含むバブル210がバブルマニホールド202の一方の側面のみから延びるように構成されてもよく、そうした一方の側面は、この例では、組織部位に面するように構成されてもよい。
図18のバブル210は、バブルマニホールド202の第1の層1802が半球状独立気泡を形成し且つバブルマニホールド202の第2の層1804が略平面形状を保持する状態で示されている。
【0085】
図18の組織インターフェース108はまた、組織インターフェース108の中心部分に位置決めされた集配又は充填材料の一部分を含み得る。例えば、組織インターフェース108は、バブルマニホールド202の第2の層1804の外面の中心部分に隣接して位置決めされ得る、発泡体マニホールド1630を含み得る。いくつかの代替の実施形態では、発泡体マニホールド1630は、バブルマニホールド202の第1の層1802及び第2の層1804の一部分を含むがバブルを含まない、組織インターフェース108の中心領域に位置決めされてもよい。そのような実施形態では、発泡体マニホールド1630に対応するバブルマニホールド202の第1の層1802及び第2の層1804の中心部分は、第1の層1802と第2の層1804との間にバブルのない、互いに封着された内面を有し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、
図18の組織インターフェース108は、発泡体マニホールド1630上への位置決めのための、フィルム1632などの、フィルム材料をさらに含み得る。例えば、発泡体マニホールド1630は、バブルマニホールド202の第2の層1804の外面とフィルム1632との間に位置決めされてもよい。フィルム1632は、複数の窓をさらに含み得る。フィルム1632は、フィルム1632と発泡体マニホールド1630の周縁又は周囲を囲むバブルマニホールド202の第2の層1804の外面との間の溶着部1634によって発泡体マニホールド1630の周囲に封着されてもよい。
【0087】
図19は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、組織インターフェース108の別の例示的な実施形態の概略上面図である。
図19の組織インターフェース108は、マニホールドを備え得、且つ治療システム100の陰圧源104から組織部位に陰圧を提供し、組織部位から抽出された流体を移送するように適合されてもよい。組織インターフェース108は、有窓マニホールド1902と、バブルマニホールド202と、発泡体マニホールド1630とを備え得る。有窓マニホールド1902は、窓1905を有する液体不透過性層を含み得る。
【0088】
バブルマニホールド202は、中心部分と、中心部分から半径方向に離れるように延び得る、1つ又は複数の流体チャネル1940とを含み得、且つ組織インターフェース108に対して集配の向上をもたらすように構成されてもよい。例えば、
図19の流体チャネル1940は、治療システム100の陰圧源104からの陰圧の分配を高め、且つ組織部位に適用されたときに組織インターフェース108の流体除去機能を高め得る。流体チャネル1940の各々は、連続気泡ブリスタ、スペーサ、突出部、又は独立気泡の形態であり得る、複数のバブル210を備え得る。流体チャネル1940の各々の幅は、異なり得るが、いくつかの例では、流体チャネル1940は、幅が約2cm~15cmであってもよい。流体チャネル1940が、連続気泡ブリスタを含むバブル210を含む組織インターフェース108のいくつかの実施形態では、バブルマニホールド202は、液体不透過性材料の単一層の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、バブルマニホールド202は、バブル210が有窓マニホールド1902に向かって突出するか又は延びるように構成されてもよく、その一方で、他の実施形態では、バブル210は、有窓マニホールド1902から上方に若しくは離れるように突出するか又は延びてもよい。流体チャネル1940は、追加的に、組織インターフェース108のバブルマニホールド202を通る流体移動を可能にするようにバブル210間に位置決めされた開口212を備え得る。
【0089】
図19の組織インターフェース108はまた、組織インターフェース108の中心部分に位置決めされた集配又は充填材料の一部分を含み得る、発泡体マニホールド1630を備え得る。例えば、組織インターフェース108は、組織インターフェース108のバブルマニホールド202の表面の中心部分に隣接して位置決めされ得る、発泡体マニホールド1630を含み得る。
図19に示すように、発泡体マニホールド1630は、円形状又はディスク形状、及び他の可能な形状をとり得る。特定の実施形態に応じて、発泡体マニホールド1630は、液体不透過性材料の少なくとも1つのフィルムを含むバブルマニホールド202の中心領域に対して位置決めされてもよく、液体不透過性材料の少なくとも1つのフィルムは、中心領域にバブルを含んでも含まなくてもよい。述べた先の実施形態と同様に、発泡体マニホールド1630は、連続気泡発泡体などの、1つ又は複数のタイプの集配材料を含み得る。組織インターフェース108は、発泡体マニホールド1630上に位置決めされたフィルム1632をさらに含み得、且つ発泡体マニホールド1630は、バブルマニホールド202の表面とフィルム1632との間に位置決めされてもよい。フィルム1632は、任意の好適な液体不透過性ポリマー材料又はドレープ材料などの任意のタイプのフィルム材料を含み得、且つ窓をさらに含み得る。フィルム1632は、フィルム1632と発泡体マニホールド1630の周縁又は周囲を囲むバブルマニホールド202及び/又は有窓マニホールド1902の表面との間の溶着部1634によって発泡体マニホールド1630の周囲に封着されてもよい。
【0090】
図20は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図19の組織インターフェース108の例示的な実施形態の断面図である。いくつかの実施形態では、組織インターフェース108は、有窓マニホールド1902と、バブルマニホールド202と、発泡体マニホールド1630とを含み得る。有窓マニホールド1902は、窓1905を有する液体不透過性層を含み得る。
図20のバブルマニホールド202は、複数の液体不透過性層から形成されてもよい。例えば、バブルマニホールド202は、第1の層2002などの、液体不透過性フィルムの第1の層と、第2の層2004などの、液体不透過性フィルムの第2の層とを含み得る。第1の層2002及び第2の層2004は、任意の好適な方式で互いに密封結合されてもよい。他の実施形態に関して先に述べたように、第1の層2002及び第2の層2004は、通気性ポリウレタンフィルム材料などの、非接着性材料を含み得る。第1の層2002及び第2の層2004の各々は、バブルマニホールド202の第1の層2002及び第2の層2004を通る流体移動を可能にするための、開口212などの、開口を含み得る。
図20のバブルマニホールド202は、流体チャネル1940を形成するように互いに溶着された第1の層2002及び第2の層2004の部分から形成され得る、1つ又は複数の流体チャネル1940を含み得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、流体チャネル1940は、独立気泡を含む複数のバブル210を含み得る。例えば、独立気泡を含むバブル210は、流体チャネル1940の各々の長さに沿って延びてもよい。バブル210は、組織部位に陰圧を連通させて流体チャネル1940側に流体を引き寄せるのを補助してもよい。例えば、独立気泡を含むバブル210は、陰圧源104から陰圧を受け取って多数の開口212又は穿孔を通して流体チャネル1940に沿って且つ組織部位にわたって陰圧を分配するために、流体チャネル1940を通る流体経路を開放状態に維持するのに役立ち得、組織部位全体から流体を収集して陰圧源104側に流体を引き寄せる効果を有し得る。
【0092】
流体チャネル1940の独立気泡を含むバブル210は、第1の層2002と第2の層2004とによって又はそうしたものの間に形成されてもよく、且つ独立気泡は空気などの流体で満たされてもよい。流体チャネル1940内では、第1の層2002及び第2の層2004の各々は、1つ又は複数の密封領域を形成するように互いに結合された内面を有するポリマーフィルムを含むか又はそうしたポリマーフィルムから本質的に構成され得る。バブル210は、流体チャネル1940を画定する密封領域の部分における第1の層2002及び第2の層2004の内面の表面領域間に形成されてもよく、且つこの例示的な実施形態では、バブル210は、第1の層2002の一部分として下方に延びているか又は突出していてもよい。バブルマニホールド202は、追加的に、バブルマニホールド202の流体チャネル1940を形成する第1の層2002及び第2の層2004の一部を通る流体移動を可能にするように、第1の層2002及び第2の層2004を通る流体チャネル1940に沿って且つバブル210間に開口212を含み得る。流体チャネル1940は、バブル210の存在とバブル210間の関連する空間とに起因する、第1の層2002の表面に沿った集配又は流体移送機能の向上をもたらし得る。
【0093】
図21は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、
図19の組織インターフェース108の別の例示的な実施形態の断面図を示している。
図21に示すように、
図19の組織インターフェース108のいくつかの代替の実施形態では、有窓マニホールド1902は省略されてもよい。そのような実施形態では、バブルマニホールド202は、代わりに、組織インターフェース108のサイズ及び形状を画定する液体不透過性材料の層を含み得る。バブルマニホールド202の液体不透過性材料の単一層は、流体チャネル1940を備える領域と、窓を有し得る、流体チャネル1940間の液体不透過性層の領域とを含み得る。そのような実施形態では、バブル210は、流体チャネル1940を備えるバブルマニホールド202の領域内に形成されてもよく、且つバブル210は、組織部位に接触して配置されるように、発泡体マニホールド1630から離れるように組織インターフェース108の底面に向かって下方に面してもよい。バブル210は、連続気泡ブリスタを含み得る。
図21の組織インターフェース108の実施形態の流体チャネル1940は、
図20の流体チャネル1940と実質的に同じ機能を提供し得る。
【0094】
図22は、いくつかの実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する、組織インターフェース108の別の例示的な実施形態の切欠概略図である。
図22の組織インターフェース108は、マニホールドを備え得、且つ組織部位からの流体除去と組織部位への治療流体の送達の両方を容易にするように適合されてもよい。例えば、
図22の組織インターフェース108は、陰圧源104から組織部位に陰圧を送達し、組織部位から抽出された流体を移送するように適合されてもよい。組織インターフェース108はまた、治療システム100の溶液源114などの、流体源から組織部位に、治療流体又は薬剤などの流体を送達するように適合されてもよい。
図22の組織インターフェース108は、有窓マニホールド1902とバブルマニホールド202とを備え得る。有窓マニホールド1902は、窓1905を有する液体不透過性層を含み得る。
【0095】
バブルマニホールド202は、組織インターフェース108に対して集配の向上をもたらすように構成され得る、1つ又は複数の流体チャネル1940を含み得る。流体チャネル1940の各々は、連続気泡ブリスタ、スペーサ、突出部、又は独立気泡の形態であり得る、複数のバブル210を備え得る。流体チャネル1940が、連続気泡ブリスタを含むバブル210を含む組織インターフェース108のいくつかの実施形態では、バブルマニホールド202は、液体不透過性材料の単一層の形態であってもよい。例えば、流体チャネル1940に沿ったバブル210は、有窓マニホールド1902に向かって下方に延び得る連続気泡ブリスタであってもよい。代替的に、バブル210は、有窓マニホールド1902から上方に又は離れるように延びてもよい。流体チャネル1940は、追加的に、組織インターフェース108のバブルマニホールド202を通る流体移動を可能にするようにバブル210間に位置決めされた開口212を備え得る。追加的に、組織インターフェース108は、流体チャネル1940の各々と流体連通し得るとともに治療システム100の陰圧源104から流体チャネル1940の各々に陰圧を連通させるための分配機構としての役割を果たし得る、流体除去ハブ2248を含み得る。組織部位からの、創傷滲出液などの流体は、流体チャネル1940及び流体除去ハブ2248に沿って又はそうしたものを通して除去されてもよい。
【0096】
いくつかの追加の実施形態では、組織インターフェース108の流体チャネル1940は、流体チャネル1940の各々の長さに沿って位置決めされ得る、独立気泡を含む複数のバブル210を含み得る。そのような実施形態では、バブルマニホールド202は、第1の液体不透過性層と第2の液体不透過性層の両方を含み得、且つ独立気泡を含むバブル210は、バブルマニホールド202の第1の層と第2の層とによって又は第1の層と第2の層との間に形成されてもよい。独立気泡は、空気などの流体で満たされてもよい。開口212は、流体チャネル1940を形成するバブルマニホールド202の第1の層及び第2の層の一部分を通る流体移動を可能にするように、バブルマニホールド202の第1の層及び第2の層を通る流体チャネル1940に沿って且つバブル210間に含まれてもよい。
【0097】
図22の組織インターフェース108はまた、治療システム100の溶液源114などから、滴下流体を組織部位に投与するための流体分配マトリックス2252を含み得る。流体分配マトリックス2252は、複数の流体送達導管2254と流体分配ハブ2256とを含み得る。
図22の組織インターフェース108は、窓を備え得る、少なくとも1つの追加の液体不透過性フィルムを備え得る、滴下層2250をさらに含み得、滴下層2250は、バブルマニホールド202の上面よりも上に位置決めされ、且つ有窓マニホールド1902と同延であってもよい。バブルマニホールド202は、滴下層2250と有窓マニホールド1902との間に位置決めされてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、流体送達導管2254は、流体導管を形成するための管又は他の材料のセグメントを含み得る。流体分配マトリックス2252の構成要素は、様々な異なる材料から構築されてもよい。例えば、流体分配マトリックス2252の構成要素のいくつか又は全ては、軟質の医療グレードのシリコーン又はPVC管材料で構築されてもよい。複数の流体送達導管2254のサイズは、組織インターフェース108の特定のサイズ及び用途と、組織インターフェース108が適用され得る組織部位の状態とに基づいて、異なり得る。例えば、流体送達導管2254は、流体導管を形成する管のセグメントを含み得、且つ管は、0.5mm~5mmの内径を有し得る。いくつかのさらなる実施形態では、流体送達導管2254は、チャネルを形成するために滴下層2250の一部分を有窓マニホールド1902の表面に溶着又は別様に接着することによって形成されてもよい。
【0099】
図23は、いくつかの実施形態に関連付けられ得るいくつかの追加の詳細を図示する、
図22の組織インターフェース108の例示的な実施形態の断面図である。
図23の例示的な実施形態では、組織インターフェース108は、有窓マニホールド1902とバブルマニホールド202とを含み得る。有窓マニホールド1902は、窓1905を有する液体不透過性層を含み得る。バブルマニホールド202は、液体不透過性材料の単一層を含み得、且つ下向きの連続気泡ブリスタの形態の複数のバブル210を含み得る。他の実施形態では、バブルマニホールド202は、独立気泡を含むバブルを形成するように任意の好適な方式で互いに密封結合され得る第1の層及び第2の層を含み得、且つ開口を含み得る。
図23のバブルマニホールド202は、液体不透過性材料の層から形成され得る、1つ又は複数の流体チャネル1940を含み得る。他の実施形態では、流体チャネルは、流体チャネル1940を形成するように互いに溶着された液体不透過性材料の第1の層及び第2の層から形成されてもよい。追加的に、
図23の組織インターフェース108は、流体分配マトリックス2252と滴下層2250とを含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、流体分配マトリックス2252は、バブルマニホールド202と滴下層2250との間に実質的に封入されてもよい。例えば、流体分配マトリックス2252は、バブルマニホールド202と滴下層2250との間に位置決めされ得る、流体送達導管2254を含み得る。いくつかの例では、流体分配マトリックス2252は、例えば超音波溶接によって、バブルマニホールド202と滴下層2250とが互いに取り付けられるか又は封着される前に、製造時にバブルマニホールド202と滴下層2250との間に挿入され得る、上で説明したような、追加の管セグメントを含み得る。いくつかの実施形態では、流体送達導管2254の各々は、流体送達導管2254及び/又は流体チャネル1940の境界の少なくとも一部に沿って有窓マニホールド1902とバブルマニホールド202と滴下層2250とを互いに溶着することによって、バブルマニホールド202と滴下層2250との間の適所に固定されてもよい。いくつかの実施形態では、流体送達導管2254は、導管端部2360などの、開放端部を有し得、また、滴下流体を組織部位に送達するための流体送達導管2254の長さに沿った流体開口部を有し得る。いくつかの代替の実施形態では、流体送達導管2254は、導管端部2360などの、開放端部のみを有し得、さもなければ、流体送達導管2254の長さに沿って流体的に隔離されてもよい。いくつかの追加の実施形態では、流体送達導管2254は、流体送達導管2254の長さに沿った流体開口部を有し得るが、密閉端部を有し得る。流体送達導管2254の構成にかかわらず、
図22及び
図23の組織インターフェース108は、組織インターフェース108のサイズを小さくし、それゆえ、流体送達導管2254の長さを短くし得るように、切断され、サイズが定められ、且つカスタマイズされてもよい。
【0101】
引き続き
図23を参照すると、流体分配ハブ2256は、流体分配ハブ2256が組織インターフェース108の外側面から組織インターフェース108の1つ又は複数の層を貫通して延び且つ流体送達導管2254と流体連通して位置決めされることを可能にし得る、高さを有し得る。いくつかの実施形態では、流体分配ハブ2256は、組織インターフェース108の滴下層2250の表面から外方に延びてもよく、且つ流体分配ハブ2256の少なくとも一部分は、バブルマニホールド202と滴下層2250との間に位置決めされてもよい。流体分配ハブ2256は、流体分配ハブ2256の下面の周囲に位置決めされた複数の分配ポートのみならず、流体導管を受け入れるための、滴下層2250から外に又は滴下層2250よりも上に延びる流体分配ハブ2256の部分などの、上面に第1のポートを含み得る。分配ポートは、流体送達導管2254を流体分配ハブ2256に流体的に結合するためのものであってもよい。例えば、流体送達導管2254は、流体分配ハブ2256の周りに円周方向に位置決めされてもよく、且つバブルマニホールド202と滴下層2250との間に流体分配ハブ2256から半径方向に離れるように延びてもよい。組織インターフェース108の有窓マニホールド1902は、流体送達導管2254と位置合わせされ得る有窓マニホールド1902の部分を貫通する追加の穿孔をさらに含み得る。穿孔は、有窓マニホールド1902などの、組織インターフェース108の他の層を通過して組織部位に達するように流体送達導管2254からの滴下流体の分配を容易にするのに役立ち得る。
【0102】
いくつかの追加の実施形態では、流体除去と流体滴下の両方に好適である組織インターフェースは、液体不透過性材料の層の少なくとも1つがバブルを備える、液体不透過性材料の2つ以上の層を含み得る。例えば、
図24Aに示すように、流体除去と流体滴下の両方に好適な組織インターフェース108は、連続気泡ブリスタの形態のバブル210を備える第1の層2402と、第2の液体不透過性層2403とを含み得る。第1の層2402は、複数の開口212をさらに含み得る。第2の液体不透過性層2403は、第1の層2402に隣接して位置決めされてもよく、且つ第1の層2402に積層又は溶着されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の液体不透過性層2403を第1の層2402に接合する溶着部は、第2の液体不透過性層2403と第1の層2402との間の空間に1つ又は複数の流体チャネル2405を画定するように位置決めされてもよい。流体除去ハブ2448は、陰圧の送達と流体除去とを容易にするために、第2の液体不透過性層2403と第1の層2402の両方における孔を貫通して延びてもよい。追加的に、第2の液体不透過性層2403は、第2の液体不透過性層2403と第1の層2402との間の1つ又は複数の流体チャネル2405に流体送達導管が滴下流体を提供することを可能にするための開口2407を含み得る。
【0103】
いくつかのさらなる実施形態では、流体除去と流体滴下の両方に好適な組織インターフェースは、バブルを備える液体不透過性材料の2つ以上の層を含み得る。例えば、
図2の組織インターフェース108は、個々の層が互いに積み重ねられた状態で、2つ、3つ、又は4つの層から形成されてもよい。
図2の組織インターフェース108の2つの例は、流体送達層及び別個の流体除去層を提供するために互いに積層又は溶着されてもよい。そのような実施形態では、バブル層の一方又は両方は、他の層及び下にある組織部位との連通を可能にするための孔を含み得る。例えば、流体送達導管が2つの層の間の空間に滴下流体を提供することを可能にするために、第1の層又は最上層を貫通する孔を含めることができる。2つの層を接合する溶着部は、流体が滴下され得る2つの層の間に流体チャネルを画定するように配置されてもよい。別の組の孔は、第1の層と第2の層の両方を貫通するように作成することができ、流体除去導管が両方のバブル層の真下の組織部位に陰圧を送達することを可能にするように、各層における孔が位置合わせされる。そのような孔は、製造後に打ち抜き形成することができる。必須ではないが、発泡体などの、集配材料の追加の部片は、組織インターフェースの最上層の中心部分に対して位置決めすることができ、且ついくつかの実施形態では、流体送達及び/若しくは流体除去導管は、発泡体の最上面に対して終端する開放端部を有することができ、又は代替的に導管の1つ若しくは複数は、発泡体を通過して発泡体よりも下のバブル層に至ることができる。
【0104】
例えば、
図24Bに示すように、流体除去と流体滴下の両方に好適な組織インターフェース108は、4つの層の各々がバブルを備える、液体不透過性材料の4つの層を備え得る。いくつかの実施形態では、組織インターフェース108は、第1の層2402と、第2の層2404と、第3の層2406と、第4の層2408とを含み得、且つ4つの層は互いに積み重ねられてもよく、4つの層の各々は連続気泡ブリスタの形態のバブル210を備える。4つの液体不透過性層の各々はまた、層を通して流体連通及び集配を可能にするための開口212を含み得る。第1の流体経路2410は、4つの層のうちの第1の層2402と第2の層2404との間に形成されてもよく、且つ陰圧を連通させるのに好適であってもよい。第2の流体経路2412は、第3の層2406と第4の層2408との間に形成されてもよく、且つ滴下流体を送達するのに好適であってもよい。第1の層2402及び第2の層2404の各々のバブル210は、第1の流体経路2410を画定する第1の層2402と第2の層2404との間の空間内に突出してもよい。同様に、第3の層2406及び第4の層2408の各々のバブル210は、第2の流体経路2412を画定する第3の層2406と第4の層2408との間の空間内に突出してもよい。流体除去ハブ2448は、陰圧の送達と流体除去とを容易にするために、組織インターフェース108を貫通して組織インターフェース108の最上面から第1の層2402と第2の層2404との間の第1の流体経路2410に延びてもよい。流体分配ハブ2456は、滴下流体を送達するために、組織インターフェース108の最上面から第3の層2406と第4の層2408との間の第2の流体経路2412に延びてもよい。4つの層の一部分は互いに溶着されてもよいが、組織インターフェース108を形成する4つの層の周縁部の少なくとも一部分は、第1の流体経路2410及び第2の流体経路2412と組織部位の周囲環境との間の開放経路を可能にするように開放したままであってもよい。
【0105】
図25は、治療システム100のいくつかの例示的な実施形態に関連付けられ得る追加の詳細を図示する概略図である。より具体的には、
図25は、腹腔2570内の組織部位2572を治療するためのドレッシング102の例示的な実施形態の一部分を示している。組織部位2572は、腹腔2570に近接する腹部内容物2574又は組織を含み得る。組織部位2572の治療は、流体、例えば、腹水の除去、腹腔2570の保護、又は陰圧療法を含み得る。
【0106】
図25に示すように、ドレッシング102は、組織部位2572を治療するために患者の腹腔2570内に配置され得る、組織インターフェース108を含み得る。組織インターフェース108は、腹部内容物2574によって支持されてもよい。描かれているように、組織インターフェース108は、腹腔2570の一部分の全体にわたって延びてもよく、その結果、組織インターフェース108の一部分が第1の結腸傍溝2576内に又は第1の結腸傍溝2576に近接して位置決めされ、且つ組織インターフェース108の別の部分が第2の結腸傍溝2578内に又は第2の結腸傍溝2578に近接して位置決めされる。第1の結腸傍溝2576及び第2の結腸傍溝2578は各々、例えば、腹部内容物2574のうちの、腹腔2570の両側の開空間であってもよい。第1の結腸傍溝2576は、第2の結腸傍溝2578の側方に配置されてもよく、又は別様に、第2の結腸傍溝2578とは反対の組織部位2572の側に位置決めされてもよい。
図25は腹腔2570内に展開されたドレッシング102を描いているが、ドレッシング102及び治療システム100は、他のタイプの組織部位において使用されてもよい。
【0107】
図25に示す組織インターフェース108の例示的な実施形態は、陰圧の送達に加えて治療流体の滴下を可能にしてもよく、したがって、組織インターフェース108は、バブルマニホールド202と滴下層2250の両方を備えるものとして示されている。
図25に示すように、バブルマニホールド202は、2つの液体不透過性層、すなわち、第1の層2502及び第2の層25404によって形成された独立気泡を含むバブル210を含み得る。滴下層2250はまた、液体不透過性層を含み得る。
図25のバブルマニホールド202の複数の液体不透過性層、例えば、第1の層2502及び第2の層2504は、開口212を備え得る。追加的に、滴下層2250は、窓2505を有し得る。開口212は、例えば、円形開口若しくは穿孔、矩形開口、窓、又は多角形を含む、多くの形状又は形状の組み合わせをとり得る。第1の層2502は、第2の層2504と組織部位2572及び腹部内容物2574との間に位置決めされるように適合されてもよい。第1の層2502、第2の層2504、及び滴下層2250は、通気性ポリウレタンフィルムなどの、医療用ドレープに組織が接着するのを阻止することが可能な、医療用ドレープなどの、非接着性材料を含み得る。
図25の例示的な実施形態では、室2579は、第2の層2504と滴下層2250との間に形成される。いくつかの実施形態では、第2の層2504と滴下層2250との間に形成された室2579は、滴下流体を組織部位2572に送達するための流体分配マトリックス2252を含み得る。
【0108】
ドレッシング102は、組織部位2572及び腹腔2570上に流体シールを提供するための、カバー106などの、カバーをさらに含み得る。追加的に、1つ又は複数の皮膚閉鎖装置が、患者の表皮2580上に配置されてもよい。カバー106を患者の表皮2580などの取付面に取り付けるために、取付装置2581などの、取付装置が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ドレッシング102はまた、組織インターフェース108及びドレッシング102の他の部分を導管2584に流体的に接続するためのインターフェース2582を含み得る。インターフェース2582は、コネクタ2586を含み得る。代替的に、インターフェース2582は、ドレッシング102の一部分に部分的若しくは完全に埋め込まれてもよく、又は組織インターフェース108を陰圧源104及び/若しくは溶液源114に流体的に接続するように可能な他の任意の方法で構成されてもよい。導管2584は、それぞれ陰圧及び/又は治療流体を組織インターフェース108に提供するための治療システム100の陰圧源104及び/又は溶液源114に流体的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、導管2584は、2つの実質的に平行な流体的に隔離された導管を含み得、導管の一方は、組織インターフェース108を陰圧源104に流体的に結合するものであってもよく、他方は、組織インターフェース108を溶液源114に流体的に結合するものであってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、導管2584は、陰圧管腔2588と流体供給管腔2590の両方を備えた多管腔導管であってもよい。他の例示的な実施形態では、導管2584は、一方が陰圧管腔を含み且つ他方が流体供給管腔を含む、2つの別個の導管に置き換えられてもよい。
【0109】
図25には必ずしも描かれていないが、いくつかの実施形態では、ドレッシング102は、組織インターフェース108とカバー106との間に配置される、マニホールド材料又は発泡体の一部分などの、充填材料をさらに含み得る。充填材料は、腹腔2570の一部分などの、皮膚層から腹部内への切開部又は開口部の真下又は周囲の腹部容積の一部分を満たすようにサイズが定められてもよい。いくつかの実施形態では、充填材料は、陰圧用の分配マニホールドとしての役割を果たしてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、充填材料は、組織インターフェース108とカバー106との間に位置決めされてもよく、且つ陰圧管腔2588などの、陰圧管腔又は導管は、カバー106に空気圧的に接続されてもよい。結果として、流体除去は、組織インターフェース108を含む、ドレッシング102の層から、組織インターフェース108の上に位置決めされた充填材料を通して、陰圧管腔2588内で起こり得る。いくつかの例では、充填材料は、両方ともSan Antonio,TexasのKinetic Concepts,Inc.から入手可能であるGRANUFOAM(商標)ドレッシング又はVERAFLOW(商標)治療用発泡体などの連続気泡網状ポリウレタン発泡体を含み得る。充填材料は、代替的又は追加的に、Libeltex of Meulebeke,Belgiumから市販されているTDL2若しくはTDL4などの、3次元織布若しくは不織布、又はBaltex of Derbyshire,Englandから市販されている3DXD若しくは4DXDスペーサファブリックを含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、ドレッシング102の1つ又は複数の構成要素は、追加的に、抗菌剤で処理されてもよい。例えば、組織インターフェース108の第1の層2502、第2の層2504、又は滴下層2250は、抗菌剤でコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、第1の層2502、第2の層2504、及び/又は滴下層2250は、抗菌剤でコーティングされた又は抗菌剤と混合されたポリマーを含み得る。他の例では、カバー106、インターフェース2582、導管2584、又はドレッシング102の他の部分は、追加的又は代替的に、1つ又は複数の抗菌剤で処理されてもよい。好適な抗菌剤は、例えば、金属銀、PHMB、ヨウ素又はその錯体、及びポビドンヨード、銅金属化合物、クロルヘキシジン又はこれらの物質の何らかの組み合わせなどの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、組織インターフェース108などの、開示の組織インターフェースの1つ複数の層の親水性は、層を多かれ少なかれ親水性又は疎油性にするために、別の材料の、Oxfordshire,United KingdomのP2i Limitedによって使用されるプラズマコーティング工程などによる、コーティングによってさらに向上させてもよい。
【0111】
使用時に、組織インターフェース108は、腹腔2570内の組織部位2572などの、所与の組織部位に適合するようにサイズが定められ、組織部位に又は組織部位内に配置されてもよい。例えば、組織インターフェース108は、腹腔2570などの区画に適合するように余分な部分を除去して組織インターフェース108を適切な大きさにするために切断されてもよい。組織インターフェース108のいくつかの実施形態では、任意選択的に組織インターフェース108の層の開口又は窓のいくつかを案内部として使用して、第1の層2502、第2の層2504、及び滴下層2250などの、液体不透過性層をまとめて切断するか又は引き裂くことによって、余分な部分が除去されてもよい。
【0112】
さらに主に
図25を参照すると、組織インターフェース108及びドレッシング102の他の特徴部は、流体の制御及び調整された導入によって、腹腔2570などの、腹腔の灌注及び洗浄を可能にし得る。いくつかの例では、穿孔された結腸又は敗血症の結果として汚染された腹腔を洗浄するか又は洗うことが必要である場合がある。治療システム100は、小腸ループ、膵臓などの領域に達することを含む、腹部内容物を洗うために、開放腹部に流体を滴下する手段を提供することができる。追加的に、組織インターフェース108、並びにドレッシング102及び治療システム100の他の構成要素は、流体を除去して浮腫を軽減する一方で、開放腹部に一時的閉鎖を提供し得る。したがって、治療システム100は、患者の組織部位に適用された1つ若しくは複数のドレッシングを何度も除去するか又は手動での流体導入処置のために患者を手術室に入れる必要なしに、腹腔2570などの、組織部位の洗浄を行う機能を提供し得る。したがって、治療システム100は、必要な場合に腹部内のある特定の領域に対する標的洗浄を提供する機能を有するのみならず、例えば治療流体の滴下によって、制御及び調整された完全な腹部洗浄を提供し得る。治療システム100のいくつかの実施形態、より詳細にはドレッシング102はまた、例えば、腹腔2570の筋膜領域の支持及び維持を提供し、且つ腹部内容物2574の全体的な保護を提供し得る。
【0113】
図26は、組織インターフェース108に陰圧治療と滴下治療とを提供するように治療システム100を動作させる例示的な方法2600に関連付けられ得る詳細を図示するチャートである。いくつかの実施形態では、コントローラ110は、組織インターフェース108に提供される滴下溶液に関するデータなどの、データを受け取って処理してもよい。そのようなデータは、臨床医によって処方される滴下溶液のタイプ、組織部位に滴下すべき流体又は溶液の容量(「充填容量」)、及び組織部位に陰圧を印加する前に組織部位に溶液を放置する所定の時間の量(「滞留時間」)を含み得る。充填容量は、例えば、10~500mLであってもよく、且つ滞留時間は、1秒間~30分間であってもよい。コントローラ110はまた、2605で示すように、溶液を滴下するように治療システム100の1つ又は複数の構成要素の動作を制御してもよい。例えば、コントローラ110は、溶液源114から組織インターフェース108に分配される流体を管理してもよい。いくつかの実施形態では、2610で示すように、組織部位における圧力を低下させるために陰圧源104から陰圧を印加して溶液を組織インターフェース108内に引き込むことによって、流体を組織部位に滴下してもよい。いくつかの実施形態では、2615で示すように、溶液源114から組織インターフェース108に溶液を移動させるために陽圧源116から陽圧を印加することによって、溶液を組織部位に滴下してもよい。追加的又は代替的に、2620で示すように、重力によって溶液が組織インターフェース108内に移動することを可能にするのに十分な高さまで、溶液源114が持ち上げられてもよい。
【0114】
コントローラ110はまた、2630において溶液の連続流又は2635において溶液の間欠流を提供することによって、2625において滴下の流体力学を制御してもよい。2640では、溶液の連続流又は間欠流を提供するために陰圧が印加されてもよい。2645において連続圧力動作モードを提供して、組織インターフェース108を通る滴下溶液の連続流量を達成するために、陰圧の印加が実施されてもよく、又は2650において動的圧力動作モードを提供して、組織インターフェース108を通る滴下溶液の流量を変化させるために、陰圧の印加が実施されてもよい。代替的に、2655において、動作の間欠モードを提供して、滴下溶液が組織インターフェース108に滞留することを可能にするために、陰圧の印加が実施されてもよい。間欠モードでは、例えば、治療される組織部位のタイプ及び利用されるドレッシングのタイプに応じて、特定の充填容量及び滞留時間が提供されてもよい。溶液の滴下後又は滴下中に、2660において陰圧治療が施されてもよい。コントローラ110は、2605においてより多くの溶液を滴下することによって、2665において別の滴下サイクルを開始する前に、動作のモード及び陰圧治療の持続時間を選択するために利用されてもよい。
【0115】
本明細書で説明するシステム、機器、及び方法は、大きな利益をもたらし得る。例えば、組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、流体を集配するのを補助することと組織インターフェース108に剛性及び/又は構造を与えることの両方を行い得る、バブルを備える流体チャネルを含み得る。例えば、組織インターフェースの一部としてバブルを含めることによって、腹腔内の組織部位などの、組織部位の空間及び曲面に一致できる圧縮性軟質材料による良好な集配が提供され得る。追加的に、組織インターフェース108の種々の層及び構成要素は、腹部内容物に張力及び閉鎖力を印加してもよく、それゆえ、腹腔のより迅速な一次筋膜閉鎖を容易にする。組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、製造コストを低減し得る。例えば、いくつかの実施形態では、導管が製造中に組織インターフェース108内への別個の構造体として構築される必要なしに、組織インターフェース108のバブルが、腹腔内において陰圧下で組織部位に対して圧縮されたときに、陰圧の伝達及び流体除去のための導管を作り出してもよい。追加的に、組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、適用された時点で、下にある組織部位の視認性の改善を可能にし得る。
【0116】
組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、適用するのが簡単であるドレッシングの一部として組み込まれてもよく、且つドレッシングのサイズを定めてドレッシングを適用するのに必要な時間の量を低減することができる。さらに、本明細書に開示する組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、組織の内部増殖を可能にし、ひいてはドレッシング除去中に組織部位の断裂をもたらし得る、発泡体又は他の材料を露出させずに、切断され且つ成形されてもよい。組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、組織部位の取り込みを実質的に排除するか又は最小限に抑えながら、有益な肉芽形成と、組織部位との低外傷性及び高シール接着とをもたらし得る。独立気泡又はブリスタなどの、バブルを備える集配要素を組み込むことによって、腹腔内の組織インターフェース108の部分への組織部位の起こり得る組織内部増殖が大幅に低減又は排除され得る。腹部組織部位の筋膜に接着しない、組織インターフェース108及びドレッシング102のより長い適用時間が達成され得る。組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、組織の内部増殖なしに長期間にわたって組織部位に接触したままであってもよく、結果として、容易に除去される能力を維持してもよい。組織インターフェース108はまた先述のドレッシング材料よりも少ない質量を有し得るので、組織インターフェース108のいくつかの実施形態は、患者におけるより小さな開口部を通して除去されてもよい。
【0117】
組織インターフェース108及びドレッシング102のいくつかの実施形態はまた、流体滴下機能と組み合わされた一時的腹部閉鎖を提供し得る。それゆえ、組織インターフェース108のそのような実施形態は、汚染流体を除去して浮腫を抑制及び/又は低減するのみならず、腹部内容物を支持及び保護する一方で、腹腔を灌注し且つ洗うための手段を提供し得る。いくつかの実施形態では、治療システム100は、小腸ループ、傍溝、後腹膜腔、リンパ系の部分などを含む、腹腔の全ての領域を、組織インターフェース108を含むドレッシング102が適所にある間ずっと、灌注するための手段を提供し得、有利には、手術室において患者及び臨床スタッフに必要な時間が短縮される。治療システム100の使用によって、腹腔内の組織部位などの、組織部位から滲出液及び感染性物質を排出できるようにしてもよく、これによって、治癒を促進するために、汚染された腹部流体の存在を低減することができる。さらに、治療システム100は、汚染流体が組織部位から完全に除去されることを確実にするために、別個の滴下及び陰圧経路を提供し得る。組織インターフェース108は、滴下療法と併せて提供される陰圧及び治療流体の良好な集配を含む、組織部位における組織との良好な相互作用を提供し得る。
【0118】
少数の例示の実施形態に示されているが、当業者であれば、本明細書で説明したシステム、機器及び方法が、添付の特許請求の範囲内に含まれる種々の変更及び修正を受け入れる余地があることを認識するであろう。その上、「又は」などの用語を使用する種々の代替物の説明は、文脈によって明確に要求されない限り相互排他性である必要はなく、また、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、文脈によって明確に要求されない限り対象を単一の例に限定するものではない。構成要素はまた、販売、製造、組み立て、又は使用の目的で、種々の構成において組み合わされるか又は除外されてもよい。例えば、いくつかの構成では、ドレッシング102、容器112、又はその両方は、製造又は販売のために他の構成要素から除外又は分離されてもよい。他の例示的な構成では、コントローラ110はまた、他の構成要素とは別個に、製造されるか、構成されるか、組み立てられるか、又は販売されてもよい。
【0119】
添付の特許請求の範囲には上で説明した主題の新規で進歩的な態様が記載されているが、特許請求の範囲はまた、具体的に詳述されていない追加の主題を包含してもよい。例えば、新規で進歩的な特徴と当業者に既に知られているものとを区別するために、必要でなければ、ある特定の特徴、要素、又は態様を特許請求の範囲から省略してもよい。また、いくつかの実施形態の文脈において説明した特徴、要素、及び態様は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、省略されるか、同じ、同等の、若しくは同様の目的を果たす代替的な特徴と組み合わされるか、又はこれらの代替的な特徴に置き換えられてもよい。