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特許7606348樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/00 20060101AFI20241218BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20241218BHJP
   H01B 5/00 20060101ALI20241218BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20241218BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20241218BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
C08J3/00 CER
C08J3/00 CEZ
C08F8/00
H01B5/00 C
H01B5/00 M
H01B5/00 G
H01B1/00 C
H01B1/00 G
H01B1/00 M
H01B1/22 D
H01B5/16
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020558069
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 JP2020019227
(87)【国際公開番号】W WO2020230842
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2019091545
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 厚喜
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭幸
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-259253(JP,A)
【文献】特開2013-214509(JP,A)
【文献】特表2008-521963(JP,A)
【文献】国際公開第2009/119788(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/230470(WO,A1)
【文献】特開2001-135141(JP,A)
【文献】特開2014-081928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00
C08F 8/00
H01B 5/00
H01B 1/00
H01B 1/22
H01B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の重合性化合物を含む重合性成分の重合体であり、
前記重合体を構成する前記重合性成分が、前記重合性成分100重量%中、架橋性化合物を30重量%未満で含み、
前記重合体を構成する前記重合性成分が、前記重合性成分100重量%中、極性官能基を有する重合性化合物を0.5重量%以上30重量%以下で含み、
前記架橋性化合物が、ジビニルベンゼンを含み、
前記極性官能基を有する重合性化合物が、水酸基を有する重合性化合物(ただし、リン酸基を有する重合性化合物を除く)を含むか、又はカルボキシ基を有する重合性化合物を含み、
樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比が、2.0×10-2以上であり、
樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率が、1000N/mm 以上である、樹脂粒子。
【請求項2】
樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率が、1000N/mm以上4500N/mm以下である、請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項3】
樹脂粒子を30%圧縮したときの圧縮弾性率が、300N/mm以上4000N/mm以下である、請求項1又は2に記載の樹脂粒子。
【請求項4】
スペーサとして用いられるか、又は、表面上に導電部が形成されることで、前記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項5】
複数の重合性化合物を含む重合性成分の重合体であり、
前記重合体を構成する前記重合性成分が、前記重合性成分100重量%中、架橋性化合物を30重量%未満で含み、
前記重合体を構成する前記重合性成分が、前記重合性成分100重量%中、極性官能基を有する重合性化合物を0.5重量%以上30重量%以下で含み、
前記架橋性化合物が、ジビニルベンゼンを含み、
前記極性官能基を有する重合性化合物が、水酸基を有する重合性化合物(ただし、リン酸基を有する重合性化合物を除く)を含むか、又はカルボキシ基を有する重合性化合物を含み、
樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOH イオンの強度の比が、2.0×10 -2 以上であり、
樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率が、1000N/mm 以上である、樹脂粒子(ただし、表面上に導電部が形成されることで、前記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる樹脂粒子を除く)
【請求項6】
樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率が、1000N/mm 以上4500N/mm 以下である、請求項5に記載の樹脂粒子。
【請求項7】
樹脂粒子を30%圧縮したときの圧縮弾性率が、300N/mm 以上4000N/mm 以下である、請求項5又は6に記載の樹脂粒子。
【請求項8】
スペーサとして用いられる、請求項5~7のいずれか1項に記載の樹脂粒子。
【請求項9】
請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、
前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電性粒子。
【請求項10】
前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える、請求項に記載の導電性粒子。
【請求項11】
前記導電部の外表面に突起を有する、請求項又は10に記載の導電性粒子。
【請求項12】
導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、
前記導電性粒子が、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電材料。
【請求項13】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部が、導電性粒子により形成されているか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されており、
前記導電性粒子が、請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備え、
前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、重合性成分の重合体である樹脂粒子に関する。また、本発明は、上記樹脂粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体に関する。
【背景技術】
【0002】

異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】

上記異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板(FPC)、ガラス基板、ガラスエポキシ基板及び半導体チップなどの様々な接続対象部材の電極間を電気的に接続し、接続構造体を得るために用いられている。また、上記導電性粒子として、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電層とを有する導電性粒子が用いられることがある。上記基材粒子として、樹脂粒子が用いられることがある。
【0004】

上記導電性粒子の一例として、下記の特許文献1では、合成樹脂微粒子と、その表面に形成された金属膜とを備える金属被覆微粒子が開示されている。上記金属被覆微粒子では、上記合成樹脂微粒子が、カルボキシル基含有モノマーと多官能モノマーとを含有するモノマー混合物を重合させた共重合体から構成されている。
【0005】

また、2つの接続対象部材等(被着体)を接着するために、様々な接着剤が用いられている。該接着剤により形成される接着層の厚みを均一にし、2つの接続対象部材等(被着体)の間隔(ギャップ)を制御するために、接着剤にギャップ材(スペーサ)が配合されることがある。上記ギャップ材(スペーサ)として、樹脂粒子が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】

【文献】特開平10-259253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】

近年、導電性粒子を含む導電材料や接続材料を用いて電極間を電気的に接続する際に、比較的低い圧力であっても、電極間を電気的に確実に接続し、接続抵抗を低くすることが望まれている。例えば、液晶表示装置の製造方法において、FOG工法におけるフレキシブル基板の実装時には、ガラス基板上に異方性導電材料を配置し、フレキシブル基板を積層し、熱圧着が行われている。近年、液晶パネルの狭額縁化やガラス基板の薄型化が進行している。この場合に、フレキシブル基板の実装時に、高い圧力及び高い温度で熱圧着を行うと、フレキシブル基板に歪みが生じ、表示むらが発生することがある。従って、FOG工法におけるフレキシブル基板の実装時には、比較的低い圧力で熱圧着を行うことが望ましい。また、FOG工法以外でも、熱圧着時の圧力や温度を比較的低くすることが求められることがある。
【0008】

従来の樹脂粒子を用いた導電性粒子として用いる場合には、比較的低い圧力で電極間を電気的に接続すると、接続抵抗が高くなることがある。この原因としては、導電性粒子が電極(被着体)に十分に接触しないことや、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電部との密着性が低く、導電部が割れたり剥離したりすることが挙げられる。従来の樹脂粒子では、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電部との密着性の向上に限界があり、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電部との密着性を十分に高めることが困難なことがある。
【0009】

また、従来の樹脂粒子では、めっきにより導電部(めっき層)を形成する際に、樹脂粒子同士が凝集し、めっきを良好に実施することが困難な場合がある。結果として、導電性粒子の粒子径がばらついたり、導電性粒子における導電部の厚みがばらついたりして、導電性粒子が電極に均一に接触せず、接続抵抗が高くなることがある。
【0010】

また、従来の樹脂粒子をギャップ材(スペーサ)として用いる場合には、分散状態を良好に保つことが困難であり、樹脂粒子同士が凝集することがある。また、従来の樹脂粒子では、樹脂粒子が接続対象部材等(被着体)に十分に接触せず、十分なギャップ制御効果が得られないことがある。
【0011】

本発明の目的は、凝集を効果的に抑制することができ、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性を効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗を効果的に低くすることができる樹脂粒子を提供することである。また、本発明の目的は、上記樹脂粒子を用いた導電性粒子、導電材料及び接続構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】

本発明の広い局面によれば、樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比が、2.0×10-2以上である、樹脂粒子が提供される。
【0013】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、10%圧縮したときの圧縮弾性率が、500N/mm以上4500N/mm以下である。
【0014】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、30%圧縮したときの圧縮弾性率が、300N/mm以上4000N/mm以下である。
【0015】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記樹脂粒子が、複数の重合性化合物を含む重合性成分の重合体である。
【0016】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記重合体を構成する前記重合性成分が、架橋性化合物を含み、前記重合性成分100重量%中、前記架橋性化合物の含有量が30重量%以上である。
【0017】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記重合体を構成する前記重合性成分が、架橋性化合物と、極性官能基を有する重合性化合物とを含み、前記重合性成分100重量%中、前記架橋性化合物の含有量が30重量%未満であり、前記重合性成分100重量%中、前記極性官能基を有する重合性化合物の含有量が0.5重量%以上30重量%以下である。
【0018】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記極性官能基を有する重合性化合物が、水酸基を有する重合性化合物、カルボキシ基を有する重合性化合物、又はリン酸基を有する重合性化合物を含む。
【0019】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記架橋性化合物が、ジビニルベンゼン、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、又は2-(メタ)アクリルロイロキシエチルアシッドホスフェートを含む。
【0020】

本発明に係る樹脂粒子のある特定の局面では、前記樹脂粒子は、スペーサとして用いられるか、又は、表面上に導電部が形成されることで、前記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられる。
【0021】

本発明の広い局面によれば、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電性粒子が提供される。
【0022】

本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備える。
【0023】

本発明に係る導電性粒子のある特定の局面では、前記導電性粒子は、前記導電部の外表面に突起を有する。
【0024】

本発明の広い局面によれば、導電性粒子と、バインダー樹脂とを含み、前記導電性粒子が、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える、導電材料が提供される。
【0025】

本発明の広い局面によれば、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部が、導電性粒子により形成されているか、又は前記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されており、前記導電性粒子が、上述した樹脂粒子と、前記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極とが前記導電性粒子により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
【発明の効果】
【0026】

本発明に係る樹脂粒子では、樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比が、2.0×10-2以上である。本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、凝集を効果的に抑制することができ、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性を効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗を効果的に低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】

図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
図5図5は、本発明に係る樹脂粒子を用いた電子部品装置の一例を示す断面図である。
図6図6は、図5に示す電子部品装置における接合部部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】

以下、本発明の詳細を説明する。
【0029】

(樹脂粒子)

本発明に係る樹脂粒子では、樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比が、2.0×10-2以上である。
【0030】

本発明に係る樹脂粒子では、上記の構成が備えられているので、凝集を効果的に抑制することができ、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性を効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗を効果的に低くすることができる。
【0031】

本発明に係る樹脂粒子では、飛行時間型二次イオン質量分析法により負スペクトルを得たときに、OHイオンの強度が特定の関係を満足するので、樹脂粒子の外表面に比較的多くの水酸基を配置することができる。樹脂粒子の外表面に水酸基が配置されていると、樹脂粒子と導電部との密着性を水酸基との相互作用により高めることができ、導電部の割れや導電部の剥離の発生を効果的に抑制することができる。また、本発明に係る樹脂粒子を用いた導電性粒子では、電極間の接続抵抗を効果的に低くすることができ、電極間の接続信頼性を効果的に高めることができる。例えば、本発明に係る樹脂粒子を用いた導電性粒子により電極間が電気的に接続された接続構造体を高温及び高湿条件下で長時間放置しても、接続抵抗がより一層高くなり難く、導通不良がより一層生じ難くなる。
【0032】

さらに、本発明に係る樹脂粒子では、樹脂粒子同士の凝集を効果的に抑制することができる。結果として、本発明に係る樹脂粒子をギャップ材(スペーサ)として用いる場合には、分散状態を良好に保つことができ、スペーサの粒子径を均一にすることができる。さらに、接続対象部材等に十分に接触させることができ、十分なギャップ制御効果を得ることができる。
【0033】

本発明に係る樹脂粒子では、上記樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)は、2.0×10-2以上である。
【0034】

上記TOF-SIMSの測定では、上記樹脂粒子の外表面において、2回スパッタリングし、TOF-SIMSを用いて、比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)を測定する。500μm×500μmの領域に40~60個の上記樹脂粒子が配置するように分散させた状態で測定し、検出積算回数が50回到達時までの比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)の平均値を採用する。なお、上記樹脂粒子の大きさから500μm×500μmの領域に40~60個配置することが困難な場合は、適宜、配置する数を減らして測定してもよい。上記の測定では、例えば、上記樹脂粒子の外表面から内側に向かって約2nm程度の厚みの領域の測定結果が得られる。また、上記の測定では、任意に選択された3個の樹脂粒子の比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)を算術平均することにより、上記比を算出することが好ましい。
【0035】

上記比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)は、好ましくは2.5×10-2以上、より好ましくは3.0×10-2以上である。上記比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)の上限は特に限定されない。上記比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)は9.0×10-2以下であってもよい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0036】

上記TOF-SIMSには、ION TOF社製「TOF-SIMS 5型」等が用いられる。TOF-SIMS分析装置を用いて上記樹脂粒子の外表面のOHイオンの強度及びトータルイオン強度を測定するためには、例えば、Bi3+イオンガンを測定用の一次イオン源とし、25keVの条件にて測定すればよい。スパッタリングは、真空中でアルゴン等の不活性ガスを導入し、ターゲットにマイナスの電圧を印加してグロー放電を発生させ、不活性ガス原子をイオン化し、高速でターゲットの表面にガスイオンを衝突させて、該表面を激しく叩く方法である。ターゲットの表面をナノメートル~マイクロメートルオーダーの深さで研削していくことができる。具体的には例えば、O を用いてスパッタリングを行うことにより、約1nm/回の深さで樹脂粒子の表面を掘り進んでいくことができる。2回のスパッタリングを行うことで、TOF-SIMSにて上記樹脂粒子の外表面から内側に向かって約2nm程度の厚みの領域のOHイオンの強度とトータルイオン強度の比を測定することができる。
【0037】

上記樹脂粒子を10%圧縮したときの圧縮弾性率(10%K値)は、好ましくは500N/mm以上、より好ましくは1000N/mm以上であり、好ましくは6000N/mm以下、より好ましくは5000N/mm以下、更に好ましくは4500N/mm以下、特に好ましくは3500N/mm以下である。上記10%K値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記10%K値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0038】

上記樹脂粒子を30%圧縮したときの圧縮弾性率(30%K値)は、好ましくは300N/mm以上、より好ましくは500N/mm以上であり、好ましくは5500N/mm以下、より好ましくは4500N/mm以下、更に好ましくは4000N/mm以下、特に好ましくは3000N/mm以下である。上記30%K値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記30%K値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0039】

上記樹脂粒子における上記圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)は、以下のようにして測定できる。
【0040】

微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、圧縮速度0.3mN/秒、及び最大試験荷重20mNの条件下で1個の樹脂粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記圧縮弾性率(10%K値又は30%K値)を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。上記樹脂粒子における上記圧縮弾性率(10%K値又は30%K値)は、任意に選択された50個の樹脂粒子の上記圧縮弾性率(10%K値又は30%K値)を算術平均することにより、算出することが好ましい。
【0041】

10%K値又は30%K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2

F:樹脂粒子が10%又は30%圧縮変形したときの荷重値(N)

S:樹脂粒子が10%又は30%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)

R:樹脂粒子の半径(mm)
【0042】

上記圧縮弾性率は、樹脂粒子の硬さを普遍的かつ定量的に表す。上記圧縮弾性率の使用により、樹脂粒子の硬さを定量的かつ一義的に表すことができる。
【0043】

上記樹脂粒子の圧縮回復率は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは60%以下、より好ましくは45%以下である。上記圧縮回復率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記圧縮回復率が、上記下限以上及び上記上限以下であると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0044】

上記樹脂粒子における上記圧縮回復率は、以下のようにして測定できる。
【0045】

試料台上に樹脂粒子を散布する。散布された1個の樹脂粒子について、微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃で、樹脂粒子の中心方向に、樹脂粒子が30%圧縮変形するまで負荷(反転荷重値)を与える。その後、原点用荷重値(0.40mN)まで除荷を行う。この間の荷重-圧縮変位を測定し、下記式から圧縮回復率を求めることができる。なお、負荷速度は0.33mN/秒とする。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
【0046】

圧縮回復率(%)=[L2/L1]×100

L1:負荷を与えるときの原点用荷重値から反転荷重値に至るまでの圧縮変位

L2:負荷を解放するときの反転荷重値から原点用荷重値に至るまでの除荷変位
【0047】

上記樹脂粒子の用途は特に限定されない。上記樹脂粒子は、様々な用途に好適に用いることができる。上記樹脂粒子は、スペーサとして用いられるか、又は、表面上に導電部が形成されることで、上記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることが好ましい。上記導電性粒子において、上記導電部は、上記樹脂粒子の表面上に形成される。上記樹脂粒子は、表面上に導電部が形成されることで、上記導電部を有する導電性粒子を得るために用いられることが好ましい。上記導電性粒子は、電極間を電気的に接続するために用いられることが好ましい。上記導電性粒子は、ギャップ材(スペーサ)として用いられてもよい。上記樹脂粒子は、ギャップ材(スペーサ)として用いられることが好ましい。上記ギャップ材(スペーサ)の使用方法としては、液晶表示素子用スペーサ、ギャップ制御用スペーサ、及び応力緩和用スペーサ等が挙げられる。上記ギャップ制御用スペーサは、スタンドオフ高さ及び平坦性を確保するための積層チップや電子部品装置のギャップ制御、並びに、ガラス面の平滑性及び接着剤層の厚みを確保するための光学部品のギャップ制御等に用いることができる。上記応力緩和用スペーサは、センサチップ等の応力緩和、及び2つの接続対象部材を接続している接続部の応力緩和等に用いることができる。また、上記樹脂粒子をギャップ材(スペーサ)として用いる場合には、分散状態を良好に保つことができ、スペーサの粒子径を均一にすることができる。さらに、接続対象部材等に十分に接触させることができ、十分なギャップ制御効果を得ることができる。
【0048】

上記樹脂粒子は、液晶表示素子用スペーサとして用いられることが好ましく、液晶表示素子用周辺シール剤に用いられることが好ましい。上記液晶表示素子用周辺シール剤において、上記樹脂粒子は、スペーサとして機能することが好ましい。上記樹脂粒子は、良好な圧縮変形特性及び良好な圧縮破壊特性を有するので、上記樹脂粒子をスペーサとして用いて基板間に配置したり、表面に導電部を形成して導電性粒子として用いて電極間を電気的に接続したりした場合に、スペーサ又は導電性粒子が、基板間又は電極間に効率的に配置される。さらに、上記樹脂粒子では、液晶表示素子用部材等の傷付きを抑えることができるので、上記液晶表示素子用スペーサを用いた液晶表示素子及び上記導電性粒子を用いた接続構造体において、接続不良及び表示不良が生じ難くなる。
【0049】

さらに、上記樹脂粒子は、無機充填材、トナーの添加剤、衝撃吸収剤又は振動吸収剤としても好適に用いられる。例えば、ゴム又はバネ等の代替品として、上記樹脂粒子を用いることができる。
【0050】

以下、樹脂粒子の他の詳細を説明する。
【0051】

(樹脂粒子の他の詳細)

上記樹脂粒子は、複数の重合性化合物を含む重合性成分の重合体であることが好ましい。上記樹脂粒子では、樹脂粒子の中心部と樹脂粒子の表面部とが同一の上記重合性成分で構成されていることが好ましい。上記樹脂粒子の中心部における重合性成分の配合比と、上記樹脂粒子の表面部における重合性成分の配合比とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記樹脂粒子の中心部における構成成分の構成比と、上記樹脂粒子の表面部における構成成分の構成比とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0052】

上記樹脂粒子では、樹脂粒子の中心部が中心部形成材料により形成されており、樹脂粒子の表面部が表面部形成材料により形成されていることが好ましい。上記樹脂粒子では、上記中心部形成材料の成分と上記表面部形成材料の成分とは、同一であることが好ましい。上記樹脂粒子では、上記中心部形成材料の成分比と上記表面部形成材料の成分比とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、上記樹脂粒子では、上記中心部形成材料と上記表面部形成材料との双方を含む領域が存在することが好ましい。上記樹脂粒子では、上記中心部形成材料を含み、かつ上記表面部形成材料を含まないか又は上記表面部形成材料を25重量%未満で含む領域を、樹脂粒子が中心部に有することが好ましい。上記樹脂粒子では、上記表面部形成材料を含み、かつ上記中心部形成材料を含まないか又は上記中心部形成材料を25重量%未満で含む領域を、樹脂粒子が表面部に有することが好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0053】

上記樹脂粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを備えるコアシェル粒子ではないことが好ましく、樹脂粒子内で、コアとシェルとの界面を有しないことが好ましい。上記樹脂粒子は、樹脂粒子内で、界面を有しないことが好ましく、異なる面同士が接触している界面を有しないことがより好ましい。上記樹脂粒子は、表面が存在する不連続部分を有しないことが好ましく、構造表面が存在する不連続部分を有しないことが好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0054】

上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、架橋性化合物を含むことが好ましい。上記重合体を構成する上記重合性成分が架橋性化合物を含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記架橋性化合物の含有量は30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。上記架橋性化合物の含有量の上限は特に限定されない。上記架橋性化合物の含有量は80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがさらに好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0055】

上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、極性官能基を有さない架橋性化合物を含みかつ極性官能基を有する架橋性化合物を含まない重合性成分、及び、極性官能基を有さない架橋性化合物と極性官能基を有する架橋性化合物とを含む重合性成分のいずれかであってもよい。上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、極性官能基を有さない架橋性化合物を含みかつ極性官能基を有する架橋性化合物を含まない重合性成分であってもよい。上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、極性官能基を有さない架橋性化合物と極性官能基を有する架橋性化合物とを含む重合性成分であってもよい。
【0056】

上記重合体を構成する上記重合性成分が極性官能基を有さない架橋性化合物を含みかつ極性官能基を有する架橋性化合物を含まない場合には、上記重合性成分100重量%中、上記極性官能基を有さない架橋性化合物の含有量は30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。上記極性官能基を有さない架橋性化合物の含有量の上限は特に限定されない。上記極性官能基を有さない架橋性化合物の含有量は80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがさらに好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0057】

上記重合体を構成する上記重合性成分が極性官能基を有さない架橋性化合物と極性官能基を有する架橋性化合物とを含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記極性官能基を有さない架橋性化合物と極性官能基を有する架橋性化合物との合計の含有量は30重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。上記極性官能基を有さない架橋性化合物と極性官能基を有する架橋性化合物との合計の含有量の上限は特に限定されない。上記極性官能基を有さない架橋性化合物と極性官能基を有する架橋性化合物との合計の含有量は80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、60重量%以下であることがさらに好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0058】

上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、架橋性化合物と極性官能基を有する重合性化合物とを含むことが好ましい。上記重合体を構成する上記重合性成分が架橋性化合物と極性官能基を有する重合性化合物とを含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記架橋性化合物の含有量は30重量%未満であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。上記架橋性化合物の含有量の下限は特に限定されない。上記架橋性化合物の含有量は5重量%以上であってもよい。上記重合体を構成する上記重合性成分が架橋性化合物と極性官能基を有する重合性化合物とを含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記極性官能基を有する重合性化合物の含有量は好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0059】

上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、極性官能基を有さない架橋性化合物と架橋性を有さずかつ極性官能基を有する重合性化合物とを含むことが好ましい。上記重合体を構成する上記重合性成分が極性官能基を有さない架橋性化合物と架橋性を有さずかつ極性官能基を有する重合性化合物とを含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記極性官能基を有さない架橋性化合物の含有量は30重量%未満であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。上記極性官能基を有さない架橋性化合物の含有量の下限は特に限定されない。上記極性官能基を有さない架橋性化合物の含有量は5重量%以上であってもよい。上記重合体を構成する上記重合性成分が極性官能基を有さない架橋性化合物と架橋性を有さずかつ極性官能基を有する重合性化合物とを含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記架橋性を有さずかつ極性官能基を有する重合性化合物の含有量は好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0060】

また、上記樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比が、2.0×10-2以上とすることをより一層容易にする観点から、上記樹脂粒子は、以下のいずれかの関係を満足することが好ましい。

1)上記重合体を構成する上記重合性成分が、架橋性化合物を含み、上記重合性成分100重量%中、上記架橋性化合物の含有量が30重量%以上である。

2)上記重合体を構成する上記重合性成分が、架橋性化合物と、極性官能基を有する重合性化合物とを含み、上記重合性成分100重量%中、上記架橋性化合物の含有量が30重量%未満であり、上記極性官能基を有する重合性化合物の含有量が0.5重量%以上、30重量%以下である。
【0061】

特に、上記1)において、上記架橋性化合物の含有量が30重量%以上、80重量%以下であると、より一層容易に全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比を2.0×10-2以上とすることができる。
【0062】

上記極性官能基を有する重合性化合物は特に限定されない。上記極性官能基は特に限定されない。上記極性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基及びリン酸基等が挙げられる。上記極性官能基を有する重合性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0063】

水酸基を有する重合性化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、及びポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0064】

カルボキシ基を有する重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸等が挙げられる。
【0065】

スルホン酸基を有する重合性化合物としては、3-スルホプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】

リン酸基を有する重合性化合物としては、2-(メタ)アクリルロイロキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0067】

上記樹脂粒子では、上記極性官能基を有する重合性化合物は、水酸基を有する重合性化合物、カルボキシ基を有する重合性化合物、又はリン酸基を有する重合性化合物を含むことが好ましい。上記樹脂粒子では、上記極性官能基を有する重合性化合物は、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、又は2-(メタ)アクリルロイロキシエチルアシッドホスフェートを含むことがより好ましい。上記樹脂粒子では、上記極性官能基を有する重合性化合物は、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、又は2-(メタ)アクリルロイロキシエチルアシッドホスフェートを含むことがさらに好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0068】

上記架橋性化合物は特に限定されない。上記架橋性化合物としては、ジビニルベンゼン、(ジ/トリ/テトラ)メチレングリコール(メタ)アクリレート、(ジ/トリ/テトラ)エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオール(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、及び2-(メタ)アクリルロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学社製「ライトエステルP-2M」)等が挙げられる。上記架橋性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0069】

上記樹脂粒子では、上記架橋性化合物は、下記の化合物を含むことが好ましい。上記化合物としては、ジビニルベンゼン、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、及び2-(メタ)アクリルロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学社製「ライトエステルP-2M」)等が挙げられる。上記樹脂粒子では、上記架橋性化合物は、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリルロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学社製「ライトエステルP-2M」)、又はペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、凝集をより一層効果的に抑制することができる。また、上記樹脂粒子が、上記の好ましい態様を満足すると、表面上に導電部を形成した導電性粒子を用いて電極間を電気的に接続した場合に、導電部との密着性をより一層効果的に高めることができ、さらに、接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
【0070】

上記極性官能基を有する重合性化合物は、架橋性化合物であってもよい。上記架橋性化合物は、極性官能基を有する重合性化合物であってもよい。上記重合性成分が、架橋性、極性官能基及び重合性を有する化合物を含む場合に、上記重合性化合物は、架橋性化合物と、極性官能基を有する重合性化合物との双方を含む。上記架橋性化合物の含有量には、上記架橋性、極性官能基及び重合性を有する化合物の含有量が含まれる。上記極性官能基を有する重合性化合物の含有量には、上記架橋性、極性官能基及び重合性を有する化合物の含有量が含まれる。
【0071】

上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、非架橋性化合物を含まないか又は含む。上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、非架橋性化合物を含んでいなくてもよい。上記樹脂粒子では、上記重合体を構成する上記重合性成分は、非架橋性化合物を含んでいてもよい。上記非架橋性化合物は、極性官能基を有さない非架橋性化合物であってもよい。上記非架橋性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0072】

上記非架橋性化合物としては、ビニル化合物として、スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート化合物;α-オレフィン化合物として、ジイソブチレン、イソブチレン、リニアレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;共役ジエン化合物として、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0073】

上記重合体を構成する上記重合性成分が、上記非架橋性化合物を含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記非架橋性化合物の含有量は、1重量%以上であってもよく、5重量%以上であってもよく、10重量%以上であってもよく、20重量%以上であってもよく、30重量%以上であってもよく、40重量%以上であってもよい。上記重合体を構成する上記重合性成分が、上記非架橋性化合物を含む場合には、上記重合性成分100重量%中、上記非架橋性化合物の含有量は、90重量%以下であってもよく、80重量%以下であってもよく、70重量%以下であってもよく、60重量%以下であってもよく、50重量%以下であってもよい。
【0074】

上記樹脂粒子の粒子径は、用途に応じて適宜設定することができる。上記樹脂粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、より一層好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下である。上記樹脂粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂粒子を導電性粒子又はスペーサの用途により一層好適に用いることができる。上記樹脂粒子の粒子径が、0.5μm以上500μm以下であると、上記樹脂粒子を導電性粒子の用途に好適に用いることができる。上記樹脂粒子の粒子径が、0.5μm以上500μm以下であると、上記樹脂粒子をスペーサの用途に好適に用いることができる。
【0075】

上記樹脂粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。上記樹脂粒子の粒子径は、例えば、任意の樹脂粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各樹脂粒子の粒子径の平均値を算出することや、粒度分布測定装置により求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの樹脂粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の樹脂粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの樹脂粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記樹脂粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置により算出することが好ましい。
【0076】

また、導電性粒子において、上記樹脂粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
【0077】

導電性粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂体を作製する。検査用埋め込み樹脂体中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の樹脂粒子を観察する。各導電性粒子における樹脂粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して樹脂粒子の粒子径とする。
【0078】

上記樹脂粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下である。上記樹脂粒子の粒子径の変動係数が、上記上限以下であると、上記樹脂粒子をスペーサ及び導電性粒子の用途により一層好適に用いることができる。
【0079】

上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0080】

CV値(%)=(ρ/Dn)×100

ρ:樹脂粒子の粒子径の標準偏差

Dn:樹脂粒子の粒子径の平均値
【0081】

上記樹脂粒子の形状は特に限定されない。上記樹脂粒子の形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状等の形状であってもよい。
【0082】

(導電性粒子)

上記導電性粒子は、上述した樹脂粒子と、上記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える。
【0083】

図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0084】

図1に示す導電性粒子1は、樹脂粒子11と、樹脂粒子11の表面上に配置された導電部2とを有する。導電部2は、樹脂粒子11の表面に接している。導電部2は、樹脂粒子11の表面を覆っている。導電性粒子1は、樹脂粒子11の表面が導電部2により被覆された被覆粒子である。導電性粒子1では、導電部2は、単層の導電部(導電層)である。
【0085】

図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0086】

図2に示す導電性粒子21は、樹脂粒子11と、樹脂粒子11の表面上に配置された導電部22とを有する。導電部22は全体で、樹脂粒子11側に第1の導電部22Aと、樹脂粒子11側とは反対側に第2の導電部22Bとを有する。
【0087】

図1に示す導電性粒子1と図2に示す導電性粒子21とでは、導電部22のみが異なっている。すなわち、導電性粒子1では、1層構造の導電部が形成されているのに対し、導電性粒子21では、2層構造の第1の導電部22A及び第2の導電部22Bが形成されている。第1の導電部22Aと第2の導電部22Bとは、異なる導電部として形成されていてもよく、同一の導電部として形成されていてもよい。
【0088】

第1の導電部22Aは、樹脂粒子11の表面上に配置されている。樹脂粒子11と第2の導電部22Bとの間に、第1の導電部22Aが配置されている。第1の導電部22Aは、樹脂粒子11に接している。第2の導電部22Bは、第1の導電部22Aに接している。樹脂粒子11の表面上に第1の導電部22Aが配置されており、第1の導電部22Aの表面上に第2の導電部22Bが配置されている。
【0089】

図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
【0090】

図3に示す導電性粒子31は、樹脂粒子11と、導電部32と、複数の芯物質33と、複数の絶縁性物質34とを有する。導電部32は、樹脂粒子11の表面上に配置されている。複数の芯物質33は、樹脂粒子11の表面上に配置されている。導電部32は、樹脂粒子11と、複数の芯物質33とを覆うように、樹脂粒子11の表面上に配置されている。導電性粒子31では、導電部32は、単層の導電部(導電層)である。
【0091】

導電性粒子31は外表面に、複数の突起31aを有する。導電性粒子31では、導電部32は外表面に、複数の突起32aを有する。複数の芯物質33は、導電部32の外表面を隆起させている。導電部32の外表面が複数の芯物質33によって隆起されていることで、突起31a及び32aが形成されている。複数の芯物質33は導電部32内に埋め込まれている。突起31a及び32aの内側に、芯物質33が配置されている。導電性粒子31では、突起31a及び32aを形成するために、複数の芯物質33を用いている。上記導電性粒子では、上記突起を形成するために、複数の上記芯物質を用いなくてもよい。上記導電性粒子は、複数の上記芯物質を備えていなくてもよい。
【0092】

導電性粒子31は、導電部32の外表面上に配置された絶縁性物質34を有する。導電部32の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質34により被覆されている。絶縁性物質34は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。但し、上記導電性粒子は、絶縁性物質を必ずしも有していなくてもよい。上記導電性粒子は、複数の絶縁性物質を備えていなくてもよい。
【0093】

導電部:

上記導電部を形成するための金属は特に限定されない。上記金属としては、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。電極間の接続信頼性をより一層高める観点からは、上記金属は、錫を含む合金、ニッケル、パラジウム、銅又は金であることが好ましく、ニッケル又はパラジウムであることが好ましい。
【0094】

また、導通信頼性を効果的に高めることができるので、上記導電部及び上記導電部の外表面部分はニッケルを含むことが好ましい。ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より一層好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、97重量%以上であってもよく、97.5重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよい。
【0095】

なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、絶縁性物質を配置することができる。
【0096】

導電性粒子1,31のように、上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。導電性粒子21のように、上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、上記導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層は、金層、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は錫と銀とを含む合金層であることが好ましく、金層であることがより好ましい。最外層がこれらの好ましい導電部である場合には、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。また、最外層が金層である場合には、耐腐食性をより一層効果的に高めることができる。
【0097】

上記樹脂粒子の表面に上記導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的蒸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。導電部の形成が簡便であるので、無電解めっきによる方法が好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。
【0098】

上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下、より一層好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは30μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が樹脂粒子の表面から剥離し難くなる。また、上記導電性粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を導電材料の用途に好適に使用可能である。
【0099】

上記導電性粒子の粒子径は、導電性粒子が真球状である場合には直径を意味し、導電性粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。
【0100】

上記導電性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。上記導電性粒子の粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、粒度分布測定装置により求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の導電性粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記導電性粒子の粒子径は、粒度分布測定装置により算出することが好ましい。
【0101】

上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みは、導電部が多層である場合には導電部全体の厚みである。導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子が十分に変形する。
【0102】

上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗が十分に低くなる。また、上記最外層が金層である場合に、金層の厚みが薄いほど、コストが低くなる。
【0103】

上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。上記導電部の厚みについては、任意の導電部の厚み5箇所の平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することが好ましく、導電部全体の厚みの平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することがより好ましい。上記導電部の厚みは、任意の導電性粒子10個について、各導電性粒子の導電部の厚みの平均値を算出することにより求めることが好ましい。
【0104】

芯物質:

上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に突起を有することが好ましい。上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に複数の突起を有することがより好ましい。上記導電性粒子が、上記導電部の外表面に複数の突起を有していることで、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。上記導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。さらに、上記導電性粒子の導電部の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。上記突起を有する導電性粒子を用いることで、電極間に導電性粒子を配置した後、圧着させることにより、突起により酸化被膜が効果的に排除される。このため、電極と導電性粒子とをより一層確実に接触させることができ、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。さらに、上記導電性粒子が表面に絶縁性物質を有する場合、又は導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質やバインダー樹脂が効果的に排除される。このため、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0105】

上記芯物質が上記導電部中に埋め込まれていることによって、上記導電部の外表面に複数の突起を容易に形成することができる。但し、導電性粒子の導電部の表面に突起を形成するために、芯物質を必ずしも用いなくてもよい。
【0106】

上記導電性粒子の表面に突起を形成する方法としては、樹脂粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、及び樹脂粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
【0107】

上記突起を形成する方法としては、以下の方法等も挙げられる。樹脂粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成する途中段階で芯物質を添加する方法。無電解めっきにより芯物質を用いずに突起を形成する方法として、無電解めっきにより金属核を発生させ、樹脂粒子又は導電部の表面に金属核を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法。
【0108】

上記芯物質の材料は特に限定されない。上記芯物質の材料としては、例えば、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム及びジルコニア等が挙げられる。導電性を高めることができ、さらに接続抵抗を効果的に低くすることができるので、金属が好ましい。上記芯物質は金属粒子であることが好ましい。上記芯物質の材料である金属としては、上記導電部を形成するための金属として挙げた金属を適宜使用可能である。
【0109】

絶縁性物質:

上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質をさらに備えることが好ましい。この場合には、導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡をより一層防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。上記導電性粒子が導電部の外表面に複数の突起を有する場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。
【0110】

電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
【0111】

上記絶縁性物質の材料としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。上記絶縁性物質の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0112】

上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート及びポリステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の架橋としては、ポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシ化トリメチロールプロパンメタクリレートやアルコキシ化ペンタエリスリトールメタクリレート等の導入が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。また、重合度の調整に、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、チオールや四塩化炭素等が挙げられる。
【0113】

上記導電部の表面上に絶縁性物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、例えば、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。絶縁性物質が脱離し難いことから、上記導電部の表面に、化学結合を介して上記絶縁性物質を配置する方法が好ましい。
【0114】

上記導電部の外表面、及び絶縁性物質の表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。導電部の外表面と絶縁性物質の表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミン等の高分子電解質を介して絶縁性物質の表面の官能基と化学結合していても構わない。
【0115】

(導電材料)

本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダーとを含む。上記導電性粒子は、上述した樹脂粒子と、上記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える。上記導電性粒子は、バインダー中に分散されて用いられることが好ましく、バインダー中に分散されて導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は回路接続用導電材料であることが好ましい。
【0116】

上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂としては、例えば、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0117】

上記ビニル樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
【0118】

上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0119】

上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。
【0120】

上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記導電材料の25℃での粘度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
【0121】

上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
【0122】

上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。
【0123】

上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性がより一層高くなる。
【0124】

上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、より一層好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、かつ、電極間の接続信頼性をより一層効果的に高めることができる。
【0125】

(接続構造体)

上述した導電性粒子、又は上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料を用いて、接続対象部材を接続することにより、接続構造体を得ることができる。
【0126】

上記接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。上記接続構造体では、上記接続部が、導電性粒子により形成されているか、又は上記導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。上記導電性粒子は、上述した樹脂粒子と、上記樹脂粒子の表面上に配置された導電部とを備える。上記接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されている。
【0127】

上記導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。即ち、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とが上記導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
【0128】

図4は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体の一例を示す断面図である。
【0129】

図4に示す接続構造体41は、第1の接続対象部材42と、第2の接続対象部材43と、第1の接続対象部材42と第2の接続対象部材43とを接続している接続部44とを備える。接続部44は、導電性粒子1とバインダー樹脂とを含む導電材料により形成されている。図4では、図示の便宜上、導電性粒子1は略図的に示されている。導電性粒子1に代えて、導電性粒子21,31の他の導電性粒子を用いてもよい。
【0130】

第1の接続対象部材42は表面(上面)に、複数の第1の電極42aを有する。第2の接続対象部材43は表面(下面)に、複数の第2の電極43aを有する。第1の電極42aと第2の電極43aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材42,43が導電性粒子1により電気的に接続されている。
【0131】

上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例として、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記加圧時の圧力は、好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上であり、好ましくは90MPa以下、より好ましくは70MPa以下である。上記加熱時の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。
【0132】

上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
【0133】

上記導電材料は、電子部品を接続するための導電材料であることが好ましい。上記導電ペーストはペースト状の導電材料であり、ペースト状の状態で接続対象部材上に塗工されることが好ましい。
【0134】

上記導電性粒子、上記導電材料及び上記接続材料は、タッチパネルにも好適に用いられる。従って、上記接続対象部材は、フレキシブル基板であるか、又は樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることも好ましい。上記接続対象部材は、フレキシブル基板であることが好ましく、樹脂フィルムの表面上に電極が配置された接続対象部材であることが好ましい。上記フレキシブル基板がフレキシブルプリント基板等である場合に、フレキシブル基板は一般に電極を表面に有する。
【0135】

上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0136】

また、上記樹脂粒子は、液晶表示素子用スペーサとして好適に用いることができる。上記第1の接続対象部材は、第1の液晶表示素子用部材であってもよい。上記第2の接続対象部材は、第2の液晶表示素子用部材であってもよい。上記接続部は、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材とが対向した状態で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との外周をシールしているシール部であってもよい。
【0137】

上記樹脂粒子は、液晶表示素子用周辺シール剤に用いることもできる。液晶表示素子は、第1の液晶表示素子用部材と、第2の液晶表示素子用部材とを備える。液晶表示素子は、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材とが対向した状態で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との外周をシールしているシール部と、上記シール部の内側で、上記第1の液晶表示素子用部材と上記第2の液晶表示素子用部材との間に配置されている液晶とをさらに備える。この液晶表示素子では、液晶滴下工法が適用され、かつ上記シール部が、液晶滴下工法用シール剤を熱硬化させることにより形成されている。
【0138】

上記液晶表示素子において1mmあたりの液晶表示素子用スペーサの配置密度は、好ましくは10個/mm以上であり、好ましくは1000個/mm以下である。上記配置密度が10個/mm以上であると、セルギャップがより一層均一になる。上記配置密度が1000個/mm以下であると、液晶表示素子のコントラストがより一層良好になる。
【0139】

(電子部品装置)

上述した樹脂粒子又は導電性粒子は、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材との外周部において、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材との間に配置され、ギャップ制御材及び導電接続材として用いることもできる。
【0140】

図5は、本発明に係る樹脂粒子を用いた電子部品装置の一例を示す断面図である。図6は、図5に示す電子部品装置における接合部部分を拡大して示す断面図である。
【0141】

図5,6に示す電子部品装置81は、第1のセラミック部材82と、第2のセラミック部材83と、接合部84と、電子部品85と、リードフレーム86とを備える。
【0142】

第1,第2のセラミック部材82,83はそれぞれ、セラミック材料により形成されている。第1,第2のセラミック部材82,83はそれぞれ、例えば、筐体である。第1のセラミック部材82は、例えば、基板である。第2のセラミック部材83は、例えば蓋である。第1のセラミック部材82は、外周部に、第2のセラミック部材83側(上側)に突出した凸部を有する。第1のセラミック部材82は、第2のセラミック部材83側(上側)に、電子部品85を収納するための内部空間Rを形成する凹部を有する。なお、第1のセラミック部材82は、凸部を有していなくてもよい。第2のセラミック部材83は、外周部に、第1のセラミック部材82側(下側)に突出した凸部を有する。第2のセラミック部材83は、第1のセラミック部材82側(下側)に、電子部品85を収納するための内部空間Rを形成する凹部を有する。なお、第2のセラミック部材83は、凸部を有していなくてもよい。第1のセラミック部材82と第2のセラミック部材83とによって、内部空間Rが形成されている。
【0143】

接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とを接合している。具体的には、接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部の凸部と、第2のセラミック部材83の外周部の凸部とを接合している。
【0144】

接合部84により接合された第1,第2のセラミック部材82,83によってパッケージが形成されている。パッケージによって、内部空間Rが形成されている。接合部84は、内部空間Rを液密的及び気密的に封止している。接合部84は、封止部である。
【0145】

電子部品85は、上記パッケージの内部空間R内に配置されている。具体的には、第1のセラミック部材82上に、電子部品85が配置されている。本実施形態では、2つの電子部品85が用いられている。
【0146】

接合部84は、複数の樹脂粒子11とガラス84Bとを含む。接合部84は、ガラス粒子とは異なる複数の樹脂粒子11とガラス84Bとを含む接合材料を用いて形成されている。この接合材料は、セラミックパッケージ用接合材料である。上記接合材料は、上記樹脂粒子の代わりに、上述した導電性粒子を含んでいてもよい。
【0147】

接合材料は、溶剤を含んでいてもよく、樹脂を含んでいてもよい。接合部84では、ガラス粒子等のガラス84Bが溶融及び結合した後に固化している。
【0148】

電子部品としては、センサ素子、MEMS及びベアチップ等が挙げられる。上記センサ素子としては、圧力センサ素子、加速度センサ素子、CMOSセンサ素子、CCDセンサ素子及び上記各種センサ素子の筐体等が挙げられる。
【0149】

リードフレーム86は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間に配置されている。リードフレーム86は、パッケージの内部空間R側と外部空間側とに延びている。電子部品85の端子とリードフレーム86とがワイヤーを介して、電気的に接続されている。
【0150】

接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とを部分的に直接に接合しており、部分的に間接に接合している。具体的には、接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がある部分において、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とをリードフレーム86を介して間接に接合している。第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がある部分において、第1のセラミック部材82がリードフレーム86と接しており、リードフレーム86が第1のセラミック部材82と接合部84とに接している。さらに、接合部84がリードフレーム86と第2のセラミック部材83とに接しており、第2のセラミック部材83が接合部84と接している。接合部84は、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がない部分において、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部とを直接に接合している。第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がない部分において、接合部84が、第1のセラミック部材82と第2のセラミック部材83とに接している。
【0151】

第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との間のリードフレーム86がある部分において、第1のセラミック部材82の外周部と第2のセラミック部材83の外周部との隙間の距離は、接合部84に含まれる複数の樹脂粒子11により制御されている。
【0152】

接合部は、第1のセラミック部材の外周部と第2のセラミック部材の外周部とを直接又は間接に接合していればよい。なお、リードフレーム以外の電気的接続方法を採用してもよい。
【0153】

電子部品装置81のように、電子部品装置は、例えば、セラミック材料により形成されている第1のセラミック部材と、セラミック材料により形成されている第2のセラミック部材と、接合部と、電子部品とを備えていてもよい。上記電子部品装置では、上記接合部が、上記第1のセラミック部材の外周部と上記第2のセラミック部材の外周部とを直接又は間接に接合していてもよい。上記電子部品装置では、上記接合部により接合された上記第1,第2のセラミック部材によってパッケージが形成されていてもよい。上記電子部品装置では、上記電子部品が、上記パッケージの内部空間内に配置されており、上記接合部が、複数の樹脂粒子とガラスとを含んでいてもよい。
【0154】

また、電子部品装置81で用いた接合材料のように、上記セラミックパッケージ用接合材料は、上記電子部品装置において、上記接合部を形成するために用いられ、樹脂粒子と、ガラスとを含む。なお、樹脂粒子のみを含み、ガラスを含まない電気的接続方法を採用してもよい。また、上記接合部は、上記樹脂粒子の代わりに、上述した導電性粒子を含んでいてもよい。
【0155】

以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0156】
参考例1)
(1)樹脂粒子の作製
種粒子として平均粒子径0.80μmのポリスチレン(PS)粒子を用意した。上記ポリスチレン粒子3.9重量部と、イオン交換水500重量部と、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液120重量部とを混合し、混合液(種粒子分散液)を調製した。上記混合液を超音波により分散させた後、セパラブルフラスコに入れて、均一に撹拌した。
【0157】

また、架橋性化合物としてジビニルベンゼン(NSスチレンモノマー社製「DVB960」)を用意した。ジビニルベンゼン100重量部に、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(和光純薬工業社製「V-601」)2重量部と、過酸化ベンゾイル(日油社製「ナイパーBW」)2重量部とを添加し、ラウリル硫酸トリエタノールアミン8重量部と、エタノール100重量部と、イオン交換水1000重量部とをさらに添加し、乳化液を調製した。
【0158】

セパラブルフラスコ中の上記混合液に、上記乳化液をさらに添加し、4時間撹拌し、種粒子にモノマーを吸収させて、モノマーが膨潤した種粒子を含む懸濁液を得た。
【0159】

その後、ポリビニルアルコールの5重量%水溶液490重量部を添加し、加熱を開始して85℃で10時間反応させ、樹脂粒子を得た。
【0160】

(2)導電性粒子の作製

得られた樹脂粒子を洗浄し、分級操作を行った後に乾燥した。その後、無電解めっき法により、得られた樹脂粒子の表面に、ニッケル層を形成し、導電性粒子を作製した。なお、ニッケル層の厚さは、0.1μmであった。
【0161】

(3)導電材料(異方性導電ペースト)の作製

導電材料(異方性導電ペースト)を作製するため、以下の材料を用意した。
【0162】

(導電材料(異方性導電ペースト)の材料)

熱硬化性化合物A:エポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP-3300P」)

熱硬化性化合物B:エポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP-4032D」)

熱硬化性化合物C:エポキシ化合物(四日市合成社製「エポゴーセーPT」、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル)

熱硬化剤:熱カチオン発生剤(三新化学社製 サンエイド「SI-60」)

フィラー:シリカ(平均粒子径0.25μm)
【0163】

導電材料(異方性導電ペースト)を以下のようにして作製した。
【0164】

(導電材料(異方性導電ペースト)の作製方法)

熱硬化性化合物A10重量部と、熱硬化性化合物B10重量部と、熱硬化性化合物C15重量部と、熱硬化剤5重量部と、フィラー20重量部とを配合し、配合物を得た。さらに得られた導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
【0165】

(4)接続構造体の作製

第1の接続対象部材として、L/Sが20μm/20μmのアルミニウム電極パターンを上面に有するガラス基板を用意した。また、第2の接続対象部材として、L/Sが20μm/20μmの金電極パターン(金電極厚み20μm)を下面に有する半導体チップを用意した。
【0166】

上記ガラス基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ30μmとなるように塗工し、導電材料(異方性導電ペースト)層を形成した。次に、導電材料(異方性導電ペースト)層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が170℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、導電材料(異方性導電ペースト)層を170℃、1MPa、及び15秒間の条件で硬化させ、接続構造体を得た。
【0167】
参考例2)
樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、ジビニルベンゼン(NSスチレンモノマー社製「DVB960」)50重量部及びペンタエリスリトールトリアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPE-4A」)50重量部に変更した。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0168】
参考例3)
樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPTMGA-250」)80重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてスチレン(NSスチレンモノマー社製)20重量部を更に用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0169】
参考例4)
樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステル1.4BG」)60重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてイソボルニルアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートIB-XA」)40重量部を更に用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0170】
参考例5)
樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPTMGA-250」)30重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてイソボルニルアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートIB-XA」)70重量部を更に用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0171】
参考例6)
樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、グリセリンジメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルG-101P」)50重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてシクロヘキシルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルCH」)50重量部を更に用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0172】
実施例7)
樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、ジビニルベンゼン(NSスチレンモノマー社製「DVB960」)20重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてシクロヘキシルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルCH」)79.5重量部と、極性官能基を有する重合性化合物としてメタクリル酸(共栄社化学社製「ライトエステルA」)0.5重量部を更に用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0173】
参考例8)
樹脂粒子を作製する際に、平均粒子径0.80μmのポリスチレン粒子(種粒子)を、平均粒子径3μmのポリスチレン粒子に変更した。樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPTMGA-250」)5重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてイソボルニルアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートIB-XA」)65重量部と、極性官能基を有する重合性化合物として2-メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学社製「ライトエステルP-1M」)30重量部とを用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子を得た。
【0174】

導電性粒子を作製する際に、ニッケル層の厚さを0.1μmから1μmに変更した。
【0175】

上記の変更以外は、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0176】
(比較例1)
樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、ジビニルベンゼン(NSスチレンモノマー社製「DVB960」)20重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてシクロヘキシルメタクリレート(共栄社化学社製「ライトエステルCH」)80重量部を更に用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0177】
(比較例2)
樹脂粒子を作製する際に、平均粒子径0.80μmのポリスチレン粒子(種粒子)を、平均粒子径3μmのポリスチレン粒子に変更した。樹脂粒子を作製する際に、ジビニルベンゼン(架橋性化合物)100重量部を、ポリテトラメチレングルコールジアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートPTMGA-250」)7.5重量部に変更した。樹脂粒子を作製する際に、非架橋性化合物としてイソボルニルアクリレート(共栄社化学社製「ライトアクリレートIB-XA」)82.5重量部を更に用いた。上記の変更以外は、参考例1と同様にして、樹脂粒子を得た。
【0178】

導電性粒子を作製する際に、ニッケル層の厚さを0.1μmから1μmに変更した。
【0179】

上記の変更以外は、導電性粒子、導電材料及び接続構造体を得た。
【0180】

(評価)

(1)樹脂粒子及び導電性粒子の粒子径

得られた樹脂粒子及び導電性粒子の粒子径を、精密粒度分布測定(ベックマン・コールター社製「Multisizer3」)を用いて測定した。
【0181】

(2)樹脂粒子の圧縮弾性率

得られた樹脂粒子の圧縮弾性率(10%K値及び30%K値)を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。
【0182】

(3)樹脂粒子の圧縮回復率

得られた樹脂粒子の圧縮回復率を、上述した方法により、微小圧縮試験機(フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」)を用いて測定した。
【0183】

(4)樹脂粒子の飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)

得られた樹脂粒子を用いて、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を実施した。具体的には、以下のようにして分析した。上記TOF-SIMSには、ION TOF社製「TOF-SIMS 5型」を用いた。TOF-SIMS分析装置を用いて上記樹脂粒子の外表面のOHイオンの強度及びトータルイオン強度を測定するために、Bi3+イオンガンを測定用の一次イオン源とし、25keVの条件にて測定を行った。スパッタリングは、真空中でアルゴン等の不活性ガスを導入し、ターゲットにマイナスの電圧を印加してグロー放電を発生させ、不活性ガス原子をイオン化し、ターゲットの表面を研削した。2回のスパッタリングを行うことで、TOF-SIMSにて上記樹脂粒子の外表面から内側に向かって約2nm程度の厚みの領域における各イオン強度の検出結果を得た。
【0184】

得られた結果から、上記樹脂粒子の外表面において、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)により負スペクトルを得たときに、全負イオンの強度の合計に対するOHイオンの強度の比(OHイオンの強度/全負イオンの強度の合計)を算出した。
【0185】

(5)樹脂粒子の凝集性

得られた樹脂粒子を有機溶媒と混合し静置した際の沈降速度を測定することで、樹脂粒子の凝集性を評価した。得られた樹脂粒子2.5gとアセトンを25mLとを混合して混合液を作製し、作製した混合液を超音波洗浄機(アズワン社製「VS-1003」)にて1分間、超音波によって分散させた。その後、20mLのガラスメスシリンダーに入れ静置した。60分ごとに樹脂粒子の沈降を確認することで、実測沈降速度を算出した。理論沈降速度の実測沈降速度に対する比([理論沈降速度(m/h)/実測沈降速度値(m/h)])を算出し、以下の基準で判定した。
【0186】

また、理論沈降速度はストークスの式を用いて算出した。真球状の粒子が、単粒子で存在すると仮定した際に用いられる式である。ただし、スラリー濃度による項は含まないため考慮されていない。
【0187】

理論沈降速度(m/h)=D (ρ-ρ)g/18η

:樹脂粒子の粒子径(m)

ρ:樹脂粒子の密度(kg/m

ρ:アセトンの密度(kg/m):784kg/m

g:重力加速度(m/s)

η:アセトンの粘度(kg/m・s):0.00032kg/m・s
【0188】

樹脂粒子の密度測定には、乾式自動密度計(島津製作所製「アキュピック」)を用いた。樹脂粒子の密度測定には、樹脂粒子1gを、メタノール100g中に25℃で20時間浸漬し、その後、40℃で12時間真空乾燥させた樹脂粒子を用いた。
【0189】

[樹脂粒子の凝集性の判定基準]

○:上記比([理論沈降速度(m/h)/実測沈降速度値(m/h)])の値が0.55未満(樹脂粒子が凝集した凝集物が全く認められない)

△:上記比([理論沈降速度(m/h)/実測沈降速度値(m/h)])の値が0.55以上0.75未満(樹脂粒子が凝集した凝集物がごくわずかに認められる)

×:上記比([理論沈降速度(m/h)/実測沈降速度値(m/h)])の値が0.75以上(樹脂粒子が凝集した凝集物が認められる)
【0190】

(6)導電部の厚み

得られた導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、検査用埋め込み樹脂体を作製した。その検査用埋め込み樹脂体中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出した。
【0191】

そして、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)(日本電子社製「JEM-ARM200F」)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、10個の導電性粒子を無作為に選択し、それぞれの導電性粒子の導電部を観察した。各導電性粒子における導電部の厚みを計測し、それを算術平均して導電部の厚みとした。
【0192】

(7)樹脂粒子と導電部との密着性

得られた接続構造体について、接続部中の導電性粒子を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製「Regulus8220」)を用いて観察した。樹脂粒子の表面上に配置された導電部について、導電部の割れ又は導電部の剥離が発生しているか否かを確認した。なお、観察した導電性粒子の個数は100個である。樹脂粒子と導電部との密着性を以下の基準で判定した。
【0193】

[樹脂粒子と導電部との密着性の判定基準]

○○○:導電部の割れ又は導電部の剥離が発生した導電性粒子が0個

○○:導電部の割れ又は導電部の剥離が発生した導電性粒子が0個を超え15個以下

○:導電部の割れ又は導電部の剥離が発生した導電性粒子が15個を超え30個以下

△:導電部の割れ又は導電部の剥離が発生した導電性粒子が30個を超え50個以下

×:導電部の割れ又は導電部の剥離が発生した導電性粒子が50個を超える
【0194】

(8)接続信頼性(上下の電極間)

得られた100個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。接続信頼性を以下の基準で判定した。
【0195】

[接続信頼性の判定基準]

○○○:接続抵抗の平均値が1.5Ω以下

○○:接続抵抗の平均値が1.5Ωを超え2.0Ω以下

○:接続抵抗の平均値が2.0Ωを超え5.0Ω以下

△:接続抵抗の平均値が5.0Ωを超え10Ω以下

×:接続抵抗の平均値が10Ωを超える
【0196】

(9)高温及び高湿条件後の接続信頼性

上記(8)接続信頼性の評価で得られた接続構造体100個を、85℃、85%RHにて100時間放置した。放置後の100個の接続構造体について、上下の電極間の導通不良が生じているか否かを評価した。高温及び高湿条件後の接続信頼性を以下の基準で判定した。
【0197】

[高温及び高湿条件後の接続信頼性の判定基準]

○○:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が1個以下である

○:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が2個以上5個以下である

△:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が6個以上10個以下である

×:接続構造体100個の内、導通不良が生じている個数が11個以上である
【0198】
実施例7、参考例1~6,8及び比較例1,2の樹脂粒子の作製時の材料を表1,2に示す。結果を下記の表3,4に示す。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【0203】
(10)ギャップ制御用スペーサとしての使用例
セラミックパッケージ用接合材料の作製:
実施例7、参考例1~6,8において、得られた樹脂粒子30重量部とガラス(組成:Ag-V-Te-W-P-W-Ba-O、融点264℃)70重量部とを含むセラミックパッケージ用接合材料を得た。
【0204】

電子部品装置の作製:

得られた接合材料を用いて、図5に示す電子部品装置を作製した。具体的には、接合材料を第1のセラミック部材の外周部にスクリーン印刷法によって塗布した。その後、第2のセラミック部材を対向して設置し、接合部に半導体レーザーを照射して焼成し、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材とを接合した。
【0205】

得られた電子部品装置では、第1のセラミック部材と第2のセラミック部材との間隔が良好に規制されていた。また、得られた電子部品装置は良好に作動した。また、パッケージ内部の気密性も良好に保たれていた。また、接合部において、樹脂粒子は良好に分散していた。
【符号の説明】
【0206】

1…導電性粒子

2…導電部

11…樹脂粒子

21…導電性粒子

22…導電部

22A…第1の導電部

22B…第2の導電部

31…導電性粒子

31a…突起

32…導電部

32a…突起

33…芯物質

34…絶縁性物質

41…接続構造体

42…第1の接続対象部材

42a…第1の電極

43…第2の接続対象部材

43a…第2の電極

44…接続部

81…電子部品装置

82…第1のセラミック部材

83…第2のセラミック部材

84…接合部

84B…ガラス

85…電子部品

86…リードフレーム

R…内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6