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特許7606349進捗判定システム、進捗判定方法、プログラム、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】進捗判定システム、進捗判定方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/62 20170101AFI20241218BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20241218BHJP
【FI】
G06T7/62
G06Q50/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021000118
(22)【出願日】2021-01-04
(65)【公開番号】P2022105385
(43)【公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】青木 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 智行
【審査官】吉田 千裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/221110(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/215924(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0026923(US,A1)
【文献】集合住宅内装仕上げ工事における工事写真認識システムの開発,大林組技術研究所報 No.80-10 2016年,日本,大林組,2016年12月31日,https://www.obayashi.co.jp/technology/shoho/080/2016_080_09.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/62
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業に関する物品を同じタイミングで互いに異なる角度から写した複数の画像を取得し、前記複数の画像のそれぞれから、複数の色のそれぞれの面積値を示す面積データを取得する第1取得部と、
複数の前記面積データに対するそれぞれの確度に基づいて前記複数の面積データを1つに統合する統合部と、
統合された前記面積データを分類器に入力し、進捗度を示す分類結果を前記分類器から取得する第2取得部と、
を備えた進捗判定システム。
【請求項2】
前記第1取得部は、前記複数の色にそれぞれ対応する複数の画素値の範囲に基づいて、前記画像に含まれる各画素の色を判定し、それぞれの前記色の画素数を前記面積値として算出する、請求項1記載の進捗判定システム。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記画像から、前記物品のエッジを示すエッジデータをさらに取得し、
前記第2取得部は、前記面積データ及び前記エッジデータを前記分類器に入力し、前記分類結果を取得する、請求項1又は2に記載の進捗判定システム。
【請求項4】
前記複数の面積データのそれぞれに対する確度は、第1確度、第2確度、第3確度、及び第4確度から選択される1つ以上に基づき、
前記第1確度は、それぞれの前記面積データに対する信頼性に対応して設定され、
前記第2確度は、それぞれの前記画像における前記物品の大きさに対応して設定され、
前記第3確度は、それぞれの前記画像を撮影する撮影部の前記物品に対する角度に対応して設定され、
前記第4確度は、それぞれの前記画像における人の大きさに対応して設定される、請求項1~3のいずれか1つに記載の進捗判定システム。
【請求項5】
前記物品を撮影する撮影部をさらに備え、
前記第1取得部は、前記撮影部によって撮影された画像から、前記物品が写った領域を切り出し、切り出された前記画像から、前記面積データを取得する、請求項1~のいずれか1つに記載の進捗判定システム。
【請求項6】
前記第1取得部は、人が写った領域を前記画像から除去した後に、前記面積データを取得する、請求項1~のいずれか1つに記載の進捗判定システム。
【請求項7】
前記進捗度と、前記画像が撮影された時刻に基づいて算出される前記作業の実績と、予め設定された前記作業の計画と、を表示する表示部をさらに備えた、請求項1~のいずれか1つに記載の進捗判定システム。
【請求項8】
前記分類器は、前記物品が写された学習画像から取得される面積データを入力データとし、前記学習画像に対応する進捗度をラベルとして用いて学習され、
学習済みの前記分類器に、前記画像から取得された前記面積データが入力される、請求項1~のいずれか1つに記載の進捗判定システム。
【請求項9】
作業に関する物品を同じタイミングで互いに異なる角度から写した複数の画像を取得し、
前記複数の画像のそれぞれから、複数の色のそれぞれの面積値を示す面積データを取得し、
複数の前記面積データに対するそれぞれの確度に基づいて前記複数の面積データを1つに統合し、
統合された前記面積データを分類器に入力し、進捗度を示す分類結果を前記分類器から取得する、進捗判定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
作業に関する物品を同じタイミングで互いに異なる角度から写した複数の画像を取得させ、
前記複数の画像のそれぞれから、複数の色のそれぞれの面積値を示す面積データを取得させ、
複数の前記面積データに対するそれぞれの確度に基づいて前記複数の面積データを1つに統合させ、
統合された前記面積データを分類器に入力させ、進捗度を示す分類結果を前記分類器から取得させる、
プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、進捗判定システム、進捗判定方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
作業の進捗を自動的に判定するために、種々の技術が開発されている。進捗の判定について、精度の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-71566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、進捗の判定精度を向上可能な、進捗判定システム、進捗判定方法、プログラム、及び記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る進捗判定システムは、第1取得部及び第2取得部を備える。前記第1取得部は、作業に関する物品が写された画像から、複数の色のそれぞれの面積値を示す面積データを取得する。前記第2取得部は、前記面積データを分類器に入力し、進捗度を示す分類結果を前記分類器から取得する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る進捗判定システムを表す模式図である。
図2】実施形態に係る進捗判定システムの処理を説明するための模式図である。
図3】実施形態に係る進捗判定システムの処理を説明するための模式図である。
図4】実施形態に係る進捗判定システムの処理を説明するための模式図である。
図5】実施形態に係る進捗判定システムの処理を説明するための模式図である。
図6】実施形態に係る進捗判定システムによる出力例を表す模式図である。
図7】実施形態に係る進捗判定システムによる別の出力例を表す模式図である。
図8】工数の算出方法を説明するための模式図である。
図9】実施形態における分類器の学習時の処理を表すフローチャートである。
図10】実施形態に係る進捗判定システムによる処理を表すフローチャートである。
図11】実施形態の第1変形例における分類器の学習時の処理を表すフローチャートである。
図12】実施形態の第1変形例に係る進捗判定システムによる処理を表すフローチャートである。
図13】実施形態の第2変形例に係る進捗判定システムを表す模式図である。
図14】実施形態の第2変形例に係る進捗判定システムが適用された作業現場を表す模式図である。
図15】面積データの一例を表すグラフである。
図16】実施形態の第2変形例に係る進捗判定システムによる処理を表すフローチャートである。
図17】ハードウェア構成を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る進捗判定システムを表す模式図である。
実施形態に係る進捗判定システムは、作業に関する物品を写した画像から、その作業の進捗度を判定するために用いられる。作業は、製造、物流、工事、点検などにおける所定の仕事である。物品は、作業の対象となる製品又は機器、作業で使われる機器、部品又は道具などである。
【0009】
図1に表したように、進捗判定システム1は、第1取得部11、第2取得部12、記憶部15、撮影部20、入力部21、及び表示部22を含む。撮影部20は、作業に関する物品を撮影し、画像を生成する。撮影部20は、物品を繰り返し撮影する。撮影部20は、撮影によって動画を生成しても良い。撮影部20は、画像又は動画を記憶部15に保存する。
【0010】
画像には、撮影した物品を示す物品識別データ、その物品が関係する作業を示す作業識別データ、及び撮影時刻が紐付けられる。物品識別データ及び作業識別データは、撮影の開始前に、ユーザにより予め設定される。ユーザは、作業者、作業の監督者、又は進捗判定システム1を管理する管理者などである。
【0011】
第1取得部11は、記憶部15に保存された画像を取得する。記憶部15に動画が保存されている場合、第1取得部11は、動画から静止画を切り出す。第1取得部11は、画像における複数の色のそれぞれの面積値を算出する。具体的には、画像から抽出される色が予めユーザによって設定され、記憶部15に保存される。ユーザは、それぞれの色に対応する画素値の範囲を予め設定する。
【0012】
例えば、画像中の各画素の画素値がRGB色空間に基づく場合、画素値は、R、G、及びBのそれぞれの輝度を含む。R、G、及びBのそれぞれの輝度に対する上限及び下限が、範囲として設定される。画像中の各画素の画素値が、Lab色空間に基づく場合、L、a、及びbのそれぞれの値に対する上限及び下限が、範囲として設定される。範囲は、それぞれの色に対して設定される。例えば、進捗度の判定に4つの色を用いる場合、4つの色のそれぞれに対して、範囲が設定される。
【0013】
第1取得部11は、各画素の画素値を複数の範囲と比較する。画素値がいずれかの範囲に含まれているとき、第1取得部11は、その画素値を有する画素の色が、その範囲に対応した色であると判定する。各画素値と複数の範囲との比較により、各画素の色が、予め設定されたいずれかの色か否かが判定される。第1取得部11は、比較結果に基づき、それぞれの色の画素数を算出する。第1取得部11は、それぞれの色の画素数を、それぞれの色の面積値として用いる。第1取得部11は、各色の面積値を含む面積データを第2取得部12に送信する。また、第1取得部11は、面積データを、物品識別データ、作業識別データ、及び撮影時刻と紐付けて記憶部15に保存する。
【0014】
第2取得部12は、面積データを取得すると、その面積データを分類器に入力する。分類器は、面積データが入力されると、作業の進捗度を示す分類結果を出力する。分類器は、予めユーザにより学習され、記憶部15に保存される。例えば、ランダムフォレストにより学習された分類器、又はベイズ分類器などが、分類器として用いられる。
【0015】
分類器は、面積データが入力されると、進捗度の分類結果を出力する。例えば、分類器は、面積データの各進捗度への適合率を出力する。第2取得部12は、分類結果から、最も適合率が高い進捗度を選択する。第2取得部12は、選択した進捗度を、入力した面積データに対応する進捗度として取得する。第2取得部12は、取得した進捗度を、面積データに紐付けられた撮影時刻における作業の進捗度として、記憶部15に保存する。
【0016】
入力部21は、上述した種々のデータをユーザが進捗判定システム1に入力する際に使用される。表示部22は、第2取得部12から出力されたデータを、ユーザが視認できるように表示する。
【0017】
図2図5は、実施形態に係る進捗判定システムの処理を説明するための模式図である。
具体例を参照しながら、進捗判定システム1による処理を説明する。
【0018】
(学習)
ユーザは、分類器を予め学習させる。ユーザは、学習データを用意する。例えば、学習データは、複数の学習画像と、複数の学習画像にそれぞれ紐付けられた複数の進捗度と、を含む。例えば、ユーザは、撮影部20により、それぞれの進捗度に対応した状態の物品を撮影し、学習画像を生成する。学習画像の撮影条件は、進捗度の判定の際の撮影条件と同様に設定される。例えば、学習画像を用意するときと、進捗度を判定するときにおいて、物品に対する撮影部20の位置及び角度は、同じに設定される。学習画像として、撮影された画像に代えて、CAD図、3Dモデル画像、又は人が描いたイラストなどが用いられても良い。
【0019】
この例では、第1取得部11が、分類器を学習させる学習部として機能する。第1取得部11は、それぞれの学習画像から面積データを取得する。第1取得部11は、面積データを入力データとし、その学習画像に紐付けられた進捗度をラベルとして、分類器を学習させる。
【0020】
図2(a)は、ユーザにより用意された学習画像の一例である。学習画像TI1には、棚50が写っている。棚50には、作業で使用される部品51~53が収納されている。棚50の色は、白(WH)である。部品51の色は、黄(YL)である。部品52の色は、黒(BK)である。部品53の色は、緑(GR)である。学習画像TI1には、進捗度「0%」が紐付けられている。進捗度は、この例のように百分率で表されても良いし、別の数値で示されても良い。
【0021】
この場合、進捗度の判定に、白、黄、緑、及び黒の4色を用いることができる。ユーザは、白、黄、緑、及び黒のそれぞれの輝度の範囲を設定する。例えば、各画素値がRBG色空間に基づき、且つ256階調で表される場合、(R:G:B)=(245~255:245~255:245~255)の範囲が、白色の範囲として設定される。(R:G:B)=(245~255:245~255:0~10)の範囲が、黄色の範囲として設定される。(R:G:B)=(0~10:245~255:0~10)の範囲が、緑色の範囲として設定される。(R:G:B)=(0~10:0~10:0~10)の範囲が、黒色の範囲として設定される。
【0022】
第1取得部11は、図2(a)の学習画像TI1の各画素の画素値を、ユーザにより設定されたそれぞれの色の範囲と比較する。図2(b)は、比較結果から得られた、図2(a)の学習画像TI1の面積データの一例である。第1取得部11は、図2(b)の面積データを入力データとし、0%をラベルとして、分類器に対して教師有り学習を実行する。
【0023】
図3(a)~図3(d)は、他の学習画像TI2~TI5と、それぞれの学習画像に紐付けられた進捗度と、を表す。この例では、作業において、最初に、部品51が持ち出される。次に、部品52が持ち出される。最後に、部品53が持ち出される。部品が持ち出されるほど、その部品の色の面積が小さくなる。また、棚50の色の面積が大きくなる。第1取得部11は、学習画像TI1と同様に、学習画像TI2~TI5のそれぞれから面積データを取得する。第1取得部11は、複数の面積データ及び複数のラベル(進捗度)を用いて、分類器を順次学習させる。これにより、分類器が、面積データの入力に応じて進捗度を出力できるように、学習される。
【0024】
分類器は、進捗度に代えて、作業に含まれる工程の分類結果を出力しても良い。例えば、1つの作業が複数の工程を含む場合、工程は、進捗度に対応する。この場合、学習画像とその学習画像に対応する工程名と、が学習データとして用意される。第1取得部11は、面積データを入力データとし、工程名をラベルとして用いて、分類器を学習させる。第2取得部12は、分類結果である工程名を取得すると、その工程名に紐付けられた進捗度を、入力した面積データに対応する進捗度として取得する。
【0025】
又は、分類器に対して、教師無し学習が実行されても良い。第1取得部11は、用意された複数の学習画像から、複数の面積データを取得する。第1取得部11は、複数の面積データを分類器に順次入力し、教師無し学習を実行する。これにより、分類器が、複数の面積データを分類できるように、学習される。第1取得部11は、学習済みの分類器を記憶部15に保存する。
【0026】
教師無し学習が実行される場合、分類器へ面積データが入力されると、分類器は、その面積データの分類結果を出力する。第2取得部12は、出力された分類に属する学習画像を参照し、その学習画像に紐付けられた進捗度を、分類器に入力した面積データに対応する進捗度として取得する。
【0027】
以上の通り、分類器は、教師有り学習により、進捗度を直接的に示す分類結果を出力しても良い。分類器は、教師無し学習により、進捗度を間接的に示す分類結果を出力しても良い。いずれの場合においても、第2取得部12は、進捗度を示す分類結果に基づき、撮影されたときの作業の進捗度を得ることができる。
【0028】
図4(a)~図4(d)は、別の学習画像の例である。学習画像TI6~TI9には、パーツボックス60が写っている。パーツボックス60には、タグ61が付いたケーブル62が収納されている。パーツボックス60の上面の色は、青(BL)である。パーツボックス60の内側及びタグ61の色は、白(WH)である。ケーブル62の色は、黒(BK)である。学習画像TI6~TI9に対して、進捗度「0%」、「25%」、「50%」、「100%」がそれぞれ紐付けられている。
【0029】
第1取得部11は、学習画像TI6~TI9のそれぞれから、青、白、黒の色の面積値を含む面積データを算出する。第1取得部11は、複数の面積データ及び複数の進捗度を用いて、分類器を順次学習させる。
【0030】
(判定)
図5(a)は、進捗度を判定するために、撮影部20によって撮影された画像IM1の一例である。画像IM1では、全ての部品51が持ち出され、部品52の一部が持ち出された様子が写っている。第1取得部11は、画像IM1から、各色の面積値を算出する。図5(b)は、図5(a)の画像IM1から算出された各色の面積値を表す。
【0031】
第2取得部12は、図5(b)の面積データを分類器に入力する。例えば、分類器は、入力された面積データに対応する進捗度が50%であることを示す分類結果を出力する。第2取得部12は、進捗度「50%」を、画像IM1が撮影されたときの作業の進捗度として取得する。又は、分類器は、入力された面積データが、図3(b)の学習画像TI3の面積データと同じ分類に属することを示す分類結果を出力する。第2取得部12は、学習画像TI3に紐付けられた進捗度「50%」を、画像IM1が撮影されたときの作業の進捗度として取得する。
【0032】
第2取得部12は、さらに、実績工数を算出しても良い。例えば、第2取得部12は、撮影部20によって撮影が開始された時間から、画像が得られた時間までを実績工数として算出する。第2取得部12は、実績工数と進捗度を紐付けて記憶部15に保存する。
【0033】
(前処理)
第1取得部11は、撮影部20によって生成された画像から、一部を切り出しても良い。ユーザは、画像において、物品が写る領域を予め指定する。例えば、4隅の座標が指定され、物品が写った四角形の画像が切り出される。切り出しは、学習画像及び進捗判定用の画像の両方に対して実行される。画像を切り出すことで、物品の周囲の設備、床、壁、人などの色が、学習及び判定に影響することを抑制できる。
【0034】
さらに、第1取得部11は、切り出した画像から、人が写った領域を除去しても良い。例えば、画像中の人を識別するための識別器が予め用意される。識別器は、ニューラルネットワークを含む。好適には、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が用いられる。識別器には、画像から人を識別できるように、教師有り学習が予め実行される。第1取得部11は、識別器によって画像中に人が識別されると、識別された領域を除去する。これにより、人の衣服の色、人が携帯している物品の色などが、判定に影響することを抑制できる。
【0035】
第1取得部11は、画像の明るさ及びコントラストの少なくともいずれかを正規化しても良い。例えば、第1取得部11は、輝度及び輝度コントラストを正規化する。正規化は、学習画像及び進捗判定用の画像の両方に対して実行される。正規化により、作業現場の明るさの変化、カメラの設定の変化などが、各画素値に及ぼす影響を低減できる。
【0036】
(表示)
表示部22は、第2取得部12から出力されたデータを表示する。例えば、第2取得部12は、進捗度及び作業実績を表示部22に出力する。記憶部15には、作業計画が保存されても良い。第2取得部12は、作業計画をさらに取得し、進捗度、作業実績、及び作業計画を表示部22に出力する。
【0037】
図6は、実施形態に係る進捗判定システムによる出力例を表す模式図である。
第2取得部12は、図6に表した判定結果画面100を表示部22に表示させる。判定結果画面100では、目標時刻110、進捗度120、目標工数130、実績工数140、及び実績時刻150が表示されている。
【0038】
作業計画は、目標時刻110及び目標工数130を含む。目標時刻110は、それぞれの進捗度120に達する時刻の目標である。目標工数130は、その作業に対する目標の工数である。この例では、目標工数130は、目標時刻110とバーの長さの対比で表現されている。具体的には、バーは目標時刻13時から17時まで延びており、目標工数が4時間であることを示している。
【0039】
作業実績は、実績工数140及び実績時刻150を含む。実績時刻150は、それぞれの進捗度120に実際に達した時刻である。それぞれの進捗度に達するまでに要した実績の工数である。この例では、実績工数140は、実績時刻150とバーの長さの対比で表現されている。具体的には、バーは目標時刻13時から17時まで延びており、実績工数が4時間であることを示している。
【0040】
実績工数140及び実績時刻150は、画像が撮影された時刻と、第2取得部12によって取得された進捗度と、に基づいて決定される。例えば、撮影部20が撮影を開始した時刻が、作業の開始時刻と見なされる。それぞれの進捗度に達するまでの時間が、実績工数として算出される。
【0041】
図6の例では、17時に最新の進捗度の判定結果が得られている。作業計画では、13時に作業Aが開始され、14時、15時30分、及び17時に、それぞれ進捗度が10%、20%、及び30%に達することが目標として設定されている。実績では、13時に作業Aが開始され、15時及び17時に、それぞれ進捗度が10%及び20%に達している。進捗度は、30%に達していない。進捗度10%に達した実績時刻及び進捗度20%に達した実績時刻が、目標時刻よりも遅れている。
【0042】
例えば、第2取得部12は、ある進捗度について、実績時刻が目標時刻に対して遅れている場合、その実績時刻を他の実績時刻とは区別可能に表示する。図6の例では、「15時」の実績時刻152及び「17時」の実績時刻153が、「13時」の実績時刻151とは区別できるように表示されている。これにより、どの進捗度において目標よりも遅れが生じているか、ユーザが容易に確認できる。また、実績工数140において、目標工数130と実績工数140との差分145が示されても良い。これにより、目標工数130と実績工数140との差を、ユーザが直感的に理解し易くなる。
【0043】
第2取得部12は、いずれかの進捗度への到達時刻を予測しても良い。到達時刻は、最新の進捗度における目標時刻と実績時刻との差を用いて算出される。第2取得部12は、最新の進捗度における目標時刻と次の進捗度における目標時刻との差を、最新の進捗度における実績時刻に足し合わせる。これにより、次の進捗度への到達時刻が算出される。
【0044】
図6の例では、進捗度20%における目標時刻と30%における目標時刻との差は、1.5時間である。第2取得部12は、進捗度20%における実績時刻に1.5時間を足し合わせ、到達時刻160として18時30分を算出する。
【0045】
又は、到達時刻には、最新の進捗度に至るまでの作業の早さが考慮されても良い。第2取得部12は、最後に進捗度が判定された時刻における目標の進捗度と実績の進捗度を比較する。第2取得部12は、目標の進捗度に対する実績の進捗度の比を算出する。第2取得部12は、最新の進捗度における目標時刻と、到達時刻を算出する進捗度における目標時刻と、の差に前記比を掛け合わせる。第2取得部12は、最後に進捗度が判定された実績時刻に、前記比を掛け合わせた差を足し合わせる。
【0046】
例えば、図6の例では、第2取得部12は、最後に進捗度が判定された17時における目標の進捗度30%と実績の進捗度20%を比較する。第2取得部12は、目標の進捗度30%に対する実績の進捗度20%の比0.67を算出する。第2取得部12は、最新の進捗度20%における目標時刻15時30分と、到達時刻を算出する進捗度30%における目標時刻17時と、の差1.5時間に、前記比0.67を掛け合わせる。第2取得部12は、最後に進捗度が判定された実績時刻17時に、1.5時間と0.67の積を足し合わせる。これにより、到達時刻として、19時15分が算出される。
【0047】
上記の方法により、第2取得部12は、進捗度100%への到達時刻を予測しても良い。進捗度100%への到達時刻は、換言すると、作業の終了の見込時刻である。
【0048】
最新の進捗度の判定結果に基づいて到達時刻が予測されることで、ユーザの利便性を向上できる。
【0049】
図7(a)及び図7(b)は、実施形態に係る進捗判定システムによる別の出力例を表す模式図である。
1つの作業が複数の工程を含む場合、作業計画において、進捗度と工程が紐付けられていても良い。例えば、第2取得部12は、進捗度を取得するとともに、その進捗度に紐付けられた工程名を取得する。
【0050】
図7(a)に表した例では、作業Aは、工程a及びbを含む。例えば、作業Aの進捗度0%~10%は、工程aと紐付けられている。作業Aの進捗度10%~30%は、工程bと紐付けられている。目標工数130において、工程aの目標工数131及び工程bの目標工数132が表示されている。実績工数140において、工程aの目標工数141及び工程bの目標工数142が表示されている。
【0051】
それぞれの工程における進捗度の目標と実績の比較が表示されても良い。例えば、ユーザは、入力部21を操作することで、表示部22に表示されたポインタ170を移動できる。ユーザが、ポインタ170を目標実績130のいずれかの工程に合わせてクリックすると、図7(b)に表したような、その工程の詳細が表示される。図7(b)に表した詳細画面200では、進捗度220、目標進捗度230、及び実績進捗度240が表示されている。目標進捗度230は、最新の画像が撮影された時刻までに達成すべき進捗度を表す。実績進捗度240は、最新の画像が撮影された時刻までに達成できた進捗度を表す。詳細画面200の表示により、工程数が多い場合であっても、それぞれの工程における詳細をユーザが容易に把握できる。
【0052】
進捗度の判定結果、進捗度に紐付けられた工程、及び撮影時刻に基づいて、各工程の工数が算出されても良い。図7(a)に表した例では、13時から15時までの2時間が、工程aの実績工数として算出できる。15時から17時までの2時間が、工程bの実績工数として算出できる。
【0053】
図8は、工数の算出方法を説明するための模式図である。
図8を参照して、工数のより詳細な算出方法を説明する。1つの進捗度には、1つの工程が紐付けられる。図7(a)の例において、進捗度0%以上10%未満には、工程aが紐付けられている。進捗度10%以上30%未満には、工程bが紐付けられている。
【0054】
図8の横軸は、時間を表す。図8における破線は、撮影部20による撮影タイミングを表す。撮影部20は、タイミングt1で撮影を開始する。撮影の開始時刻は、工程aの開始時刻として扱われる。タイミングt2までは、進捗度は10%未満と判定されている。このため、タイミングt1からt2までは、工程aが実行されていると判定される。タイミングt3からt4までは、進捗度が10%以上30%未満と判定されている。このため、タイミングt3からt4までは、工程bが実行されていると判定される。タイミングt5では、進捗度が30%以上と判定されている。このため、タイミングt5では、別の工程が実行されていると判定される。
【0055】
図8の例において、実績工数の算出方法として、以下の2つの方法が適用されうる。
1つ目の方法では、タイミングt1からt2までが工程aの実績工数として算出され、タイミングt3からt4までが工程bの実績工数として算出される。
2つ目の方法では、タイミングt1からt3までが工程aの実績工数として算出され、タイミングt3からt4までが工程bの実績工数として算出される。又は、タイミングt1からt2までが工程aの実績工数として算出され、タイミングt2からt4までが工程bの実績工数として算出される。
【0056】
1つ目の方法によれば、工程aの終了時刻と工程bの開始時刻との間に差が生じる。このため、算出される実績工数が、実際の工数よりも短くなる。2つ目の方法のように、連続する2つの工程について、前の工程の開始時刻と後の工程の終了時刻を一致させることで、算出される実績工数と、実際の工数と、の差を小さくできる。
【0057】
図9は、実施形態における分類器の学習時の処理を表すフローチャートである。
まず、ユーザは、入力部21を用いて、進捗の判定に必要なデータを設定し(ステップS1)、記憶部15に保存する。例えば、それぞれの色の範囲、撮影された画像における物品の位置などが、設定される。その他、ユーザは、作業計画、学習させる分類器、識別器などを記憶部15に適宜保存する。ユーザは、学習データを用意し(ステップS2)、記憶部15に保存する。学習データは、学習画像と進捗度の組を複数含む。第1取得部11は、それぞれの学習画像から面積データを取得する(ステップS3)。第1取得部11は、複数の面積データを用いて、分類器を学習させる(ステップS4)。学習は、上述した通り、教師有り学習又は教師無し学習のどちらが実行されても良い。第1取得部11は、学習させた分類器を記憶部15に保存する。
【0058】
図10は、実施形態に係る進捗判定システムによる処理を表すフローチャートである。
撮影部20は、作業に関する物品を撮影し、画像を生成する(ステップS11)。第1取得部11は、画像に対して前処理を行う(ステップS12)。第1取得部11は、画像から面積データを取得する(ステップS13)。第2取得部12は、面積データを分類器に入力し(ステップS14)、分類結果を得る。第2取得部12は、分類結果に対応した進捗度を取得する(ステップS15)。第2取得部12は、進捗度の判定結果を出力する(ステップS16)。
【0059】
実施形態の利点を説明する。
実施形態に係る進捗判定システム1では、進捗の判定に、面積データを用いる。画像中の色の面積は、物品の状態(向き、位置、細部の構造など)に影響を受け難い。例えば、作業時の物品の状態が、予め想定された物品の状態から変化した場合でも、色の面積値の変化は影響を受け難い。面積データを用いることで、物品の状態が進捗度の判定結果に与える影響を低減し、進捗度の判定精度を向上できる。
【0060】
進捗判定システム1は、作業の進捗と画像中の色の面積値との間に相関があれば、製造、物流、工事、点検など、幅広い作業に適用可能である。
【0061】
(第1変形例)
進捗度の判定のために、面積データに加えて、エッジデータが用いられても良い。第1取得部11は、物品の画像から面積データを取得するとともに、画像に対してエッジ検出を実行する。エッジ検出には、Canny Edge法又はSobel法を用いることができる。エッジ検出時の輝度変化に対する閾値は、ユーザにより予め設定され、記憶部15に保存される。エッジ検出により、複数のエッジが画像から抽出され、エッジデータが取得される。第1取得部11は、エッジデータを第2取得部12に出力し、且つ記憶部15に保存する。
【0062】
分類器の学習時にも、第1取得部11は、学習画像から面積データ及びエッジデータを取得する。第1取得部11は、複数の学習画像から、面積データ及びエッジデータの組をそれぞれ取得し、分類器を学習させる。教師有り学習では、分類器は、面積データ及びエッジデータの組の入力に応じて進捗度を示す分類結果を出力するように、学習される。
【0063】
図11は、実施形態の第1変形例における分類器の学習時の処理を表すフローチャートである。
ユーザは、図9に表したフローチャートと同様に、進捗度の判定に必要なデータを設定する(ステップS1)。このとき、ユーザは、それぞれの色の範囲に加えて、エッジ検出のための閾値を設定する。ユーザは、学習データを用意する(ステップS2)。第1取得部11は、それぞれの学習画像から、面積データ及びエッジデータを取得する(ステップS3a)。第1取得部11は、面積データ及びエッジデータを用いて、分類器を学習させる(ステップS4a)。
【0064】
図12は、実施形態の第1変形例に係る進捗判定システムによる処理を表すフローチャートである。
図10に表したフローチャートと同様に、ステップS11及びS12が実行される。第1取得部11は、画像から、面積データ及びエッジデータを取得する(ステップS13a)。第2取得部12は、面積データ及びエッジデータを分類器に入力し(ステップS14a)、分類結果を得る。第2取得部12は、分類結果に対応した進捗度を取得する(ステップS15)。第2取得部12は、進捗度の判定結果を出力する(ステップS16)。
【0065】
面積データに加えてエッジデータを用いることで、作業の進捗度と物品の形状に相関がある場合に、進捗度の判定精度をさらに向上できる。
【0066】
(第2変形例)
図13は、実施形態の第2変形例に係る進捗判定システムを表す模式図である。
第2変形例に係る進捗判定システム2は、統合部13をさらに含む。また、進捗判定システム2は、複数の撮影部20を含む。
【0067】
それぞれの撮影部20は、同じ物品を、同じタイミングで、互いに異なる位置及び角度から撮影し、複数の画像を生成する。それぞれの撮影部20は、物品を繰り返し撮影し、画像を記憶部15に保存する。それぞれの画像には、撮影した物品を示す物品識別データ、その物品が関係する作業を示す作業識別データ、及び撮影時刻が紐付けられる。
【0068】
それぞれの撮影部20による撮影タイミングは、進捗度に実質的な差が生じない範囲で、ずれが存在していても良い。例えば、1日を要する作業の進捗度の判定において、それぞれの撮影部20による撮影タイミングに、1分未満のずれが存在していても良い。このような場合も、それぞれの撮影部20は、実質的に同じタイミングで物品を撮影していると見なすことができる。
【0069】
第1取得部11は、それぞれの画像から面積データを取得し、基の画像の物品識別データ、作業識別データ、及び撮影時刻を面積データと紐付けて記憶部15に保存する。また、第1取得部11は、面積データ、物品識別データ、作業識別データ、及び撮影時刻を、統合部13に送信する。
【0070】
統合部13は、同じタイミングで撮影された複数の画像に基づく複数の面積データを選択する。統合部13は、選択された複数の面積データを、1つの面積データに統合する。例えば、統合部13は、複数の面積データの各色の面積値を平均化する。又は、統合部13は、それぞれの面積データに対する確度に基づいて、複数の面積データを統合しても良い。
【0071】
確度として、以下の第1確度~第4確度から選択される1つ以上を用いることができる。
第1確度は、それぞれの面積データの信頼性に対応して、ユーザにより予め設定される。撮影した画像から算出される面積データが正確であるほど、面積データの信頼性はより高く、第1確度はより大きく設定される。
【0072】
第2確度は、画像中の物品の大きさである。前処理によって、撮影された画像の一部が切り出される場合、切り出された画像のサイズが、物品の大きさに対応する。統合部13は、切り出された画像のサイズに基づき、第2確度を設定する。又は、画像中の物品の大きさは、物品と撮影部20との間の距離に依存する。物品と撮影部20との間の距離に対応した値が、第2確度としてユーザにより予め設定されても良い。
【0073】
第3確度は、物品に対する撮影部20の角度である。例えば、作業の進捗に応じて物品の色が変化する領域が上を向いている場合、物品を上から撮影した画像には、色の変化がより正確に現れている可能性が高い。物品に対する撮影部20の角度に対応した値が、第3確度としてユーザにより予め設定される。
【0074】
第4確度は、画像中に写った人の領域の大きさに基づく。画像中で、物品の一部が人によって隠れていると、面積値が正確に算出されない。例えば、第1取得部11は、撮影された画像の一部を切り出す。第1取得部11は、切り出された画像中の人を識別し、人が写った領域を除去する。統合部13は、除去された領域のサイズが大きいほど、第4確度を小さくする。又は、統合部13は、切り出された画像のサイズに対する、除去された領域のサイズの割合が大きいほど、第4確度を小さくしても良い。
【0075】
統合部13は、それぞれの面積データについて、確度を算出する。4つの確度の2つ以上が用いられる場合、それらの確度が足し合わされて、1つの確度が算出される。2つ以上の確度のそれぞれに重みが設定され、重み付け和によって1つの確度が算出されても良い。
【0076】
統合部13は、複数の面積データを、複数の確度を用いて、1つの面積データに統合する。例えば、統合部13は、複数の確度の和が「1」となるように、複数の確度を正規化する。統合部13は、複数の面積データと正規化された複数の確度とをそれぞれ積算し、それら積算値を足し合わせる。これにより、統合された1つの面積データが得られる。
【0077】
第2取得部12は、統合された面積データを、分類器に入力し、分類結果を取得する。
【0078】
具体例を参照しながら、進捗判定システム2による処理を説明する。
図14は、実施形態の第2変形例に係る進捗判定システムが適用された作業現場を表す模式図である。
図14に表す作業現場では、撮影部20a及び20bが設置されている。撮影部20a及び20bは、互いに異なる位置及び角度から、ワゴン70を撮影する。ワゴン70の天面には、部品71及び72が置かれている。作業者Oは、ワゴン70から、部品71及び72を順次持ち出し、別の場所に置かれた機器に組み込む。例えば、ワゴン70の天面の色は、白(WH)である。部品71の色は、黄(YL)である。部品72の色は、緑(GR)である。
【0079】
図15(a)~図15(c)は、面積データの一例を表すグラフである。
撮影部20a及び20bは、同じタイミングで、ワゴン70の天面、部品71、及び部品72を撮影する。撮影部20a及び20bにより、第1画像及び第2画像がそれぞれ生成される。第1取得部11は、第1画像から第1面積データを取得し、第2画像から第2面積データを取得する。図15(a)及び図15(b)は、第1面積データ及び第2面積データをそれぞれ例示する。統合部13は、第1面積データ及び第2面積データを統合する。統合部13は、第1確度~第4確度を参照する。
【0080】
例えば、第1確度について、第1面積データの信頼性と第2面積データの信頼性は、同等である。ユーザは、第1面積データに対する第1確度と、第2面積データに対する第1確度と、を同じに値に設定する。
【0081】
第2確度について、ワゴン70と撮影部20aとの距離は、ワゴン70と撮影部20bとの距離よりも短い。ユーザは、第1面積データに対する第2確度を、第2面積データに対する第2確度よりも、大きく設定する。
【0082】
第3確度について、撮影部20aは、ワゴン70の真上に設けられ、ワゴン70の天面と正対している。撮影部20bは、ワゴン70を斜め上方から撮影する。撮影部20aは、撮影部20bに比べて、ワゴン70、部品71、及び部品72の全体を撮影し易い。ユーザは、第1面積データに対する第3確度を、第2面積データに対する第3確度よりも、大きく設定する。
【0083】
第4確度について、例えば、第1画像には、作業者Oが写っていない。第2画像には、作業者Oが写っている。この場合、前処理において、第1取得部11は、第2画像から、作業者Oが写った領域を除去する。統合部13は、第2画像のサイズに対する除去された領域のサイズの割合に応じて、第2面積データに対する第4確度を小さくする。
【0084】
統合部13は、第1面積データについて、第1確度~第4確度を足し合わせ、1つの確度を算出する。統合部13は、第2面積データについて、第1確度~第4確度を足し合わせ、1つの確度を算出する。統合部13は、第1面積データに対する確度と第2面積データに対する確度の和が「1」となるように、それぞれの確度を正規化する。統合部13は、第1面積データの各面積値に、正規化された確度を掛け合わせる。統合部13は、第2面積データの各面積値に、正規化された確度を掛け合わせる。統合部13は、それぞれの色について、第1面積データと確度の積算値を、第2面積データと確度の積算値と足し合わせる。これにより、複数の面積データが1つに統合される。
【0085】
図15(c)は、図15(a)及び図15(b)に表した第1面積データ及び第2面積データが統合された結果の一例である。この例では、第1面積データに対する確度は、第2面積データに対する確度よりも大きい。このため、統合された面積データと第1面積データとの差は、統合された面積データと第2面積データとの差よりも小さくなっている。第2取得部12は、図15(c)に表した面積データを分類器に入力し、分類結果を取得する。
【0086】
図16は、実施形態の第2変形例に係る進捗判定システムによる処理を表すフローチャートである。
複数の撮影部20が、同じタイミングで物品を撮影し、複数の画像を生成する(ステップS11b)。第1取得部11は、それぞれの画像に対して前処理を実行する(ステップS12b)。第1取得部11は、それぞれの画像から面積データを取得する(ステップS13b)。第2取得部12は、複数の面積データを1つに統合する(ステップS20)。以降は、図10に表したフローチャートと同様に、ステップS14~S16が実行される。
【0087】
第2変形例において、第1変形例と同様に、エッジデータが用いられても良い。第1取得部11は、同じタイミングで撮影された画像のそれぞれから、面積データ及びエッジデータを取得する。統合部13は、複数の面積データを、1つの面積データに統合する。統合部13は、複数のエッジデータを、1つのエッジデータに統合する。例えば、第1取得部11は、複数のエッジデータを重ね合わせることで、統合された1つのエッジデータを生成する。又は、第1取得部11は、複数のエッジデータをPoisson Image Editingにより合成し、統合された1つのエッジデータを生成しても良い。第2取得部12は、面積データ及びエッジデータを分類器に入力し、分類結果を取得する。
【0088】
図17は、ハードウェア構成を表す模式図である。
実施形態に係る進捗判定システム1は、図17に表したハードウェア構成により実現可能である。図17に表した処理装置90は、CPU91、ROM92、RAM93、記憶装置94、入力インタフェース95、出力インタフェース96、及び通信インタフェース97を含む。
【0089】
ROM92は、コンピュータの動作を制御するプログラムを格納している。ROM92には、上述した各処理をコンピュータに実現させるために必要なプログラムが格納されている。RAM93は、ROM92に格納されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。
【0090】
CPU91は、処理回路を含む。CPU91は、RAM93をワークメモリとして、ROM92又は記憶装置94の少なくともいずれかに記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行中、CPU91は、システムバス98を介して各構成を制御し、種々の処理を実行する。
【0091】
記憶装置94は、プログラムの実行に必要なデータや、プログラムの実行によって得られたデータを記憶する。
【0092】
入力インタフェース(I/F)95は、処理装置90と入力装置95aとを接続する。入力I/F95は、例えば、USB等のシリアルバスインタフェースである。CPU91は、入力I/F95を介して、入力装置95aから各種データを読み込むことができる。
【0093】
出力インタフェース(I/F)96は、処理装置90と表示装置96aとを接続する。出力I/F96は、例えば、Digital Visual Interface(DVI)やHigh-Definition Multimedia Interface(HDMI:登録商標)等の映像出力インタフェースである。CPU91は、出力I/F96を介して、表示装置96aにデータを送信し、表示装置96aに画像を表示させることができる。
【0094】
通信インタフェース(I/F)97は、処理装置90外部のサーバ97aと、処理装置90と、を接続する。通信I/F97は、例えば、LANカード等のネットワークカードである。CPU91は、通信I/F97を介して、サーバ97aから各種データを読み込むことができる。カメラ99は、物品を撮影し、画像をサーバ97aに保存する。
【0095】
記憶装置94は、Hard Disk Drive(HDD)及びSolid State Drive(SSD)から選択される1つ以上を含む。入力装置95aは、マウス、キーボード、マイク(音声入力)、及びタッチパッドから選択される1つ以上を含む。表示装置96aは、モニタ及びプロジェクタから選択される1つ以上を含む。タッチパネルのように、入力装置95aと表示装置96aの両方の機能を備えた機器が用いられても良い。
【0096】
処理装置90は、第1取得部11、第2取得部12、及び統合部13として機能する。記憶装置94及びサーバ97aは、記憶部15として機能する。入力装置95aは、入力部21として機能する。表示装置96aは、表示部22として機能する。カメラ99は、撮影部20として機能する。
【0097】
以上で説明した、進捗判定システム又は進捗判定方法を用いることで、進捗度の判定精度を向上できる。また、コンピュータを、進捗判定システムとして動作させるためのプログラムを用いることで、同様の効果を得ることができる。
【0098】
上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又は、他の非一時的なコンピュータで読取可能な記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されても良い。
【0099】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0100】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0101】
1,2:進捗判定システム、 11:第1取得部、 12:第2取得部、 13:統合部、 15:記憶部、 20,20a,20b:撮影部、 21:入力部、 22:表示部、 50:棚、 51~53:部品、 60:パーツボックス、 61:タグ、 62:ケーブル、 70:ワゴン、 71,72:部品、 90:処理装置、 91:CPU、 92:ROM、 93:RAM、 94:記憶装置、 95:入力インタフェース、 95a:入力装置、 96:出力インタフェース、 96a:表示装置、 97:通信インタフェース、 97a:サーバ、 98:システムバス、 99:カメラ、 100:判定結果、 110:目標時刻、 120:進捗度、 130:目標進捗度、 140:実績進捗度、 141:差分、 150~153:実績時刻、 160:到達時刻、 170:ポインタ、 A:作業、 O:作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17