(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】粒状物収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
B65D83/04 Z
(21)【出願番号】P 2021029193
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058650(JP,A)
【文献】登録実用新案第3104652(JP,U)
【文献】特開2016-210491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、
前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、
前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、
前記容器は、前記スロープの径方向外
側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、
前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、
前記スロープは、横断面形状において径方向内側端部が径方向外側端部よりも上方に位置する粒状物収納容器。
【請求項2】
底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、
前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、
前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、
前記容器は、前記スロープの径方向外
側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、
前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、
前記突起部は、前記周壁部から径方向内側に向けて突出し、前記底壁部から前記上側開口部に向かって前記一の方向とは逆向きに回転しながら延在する螺旋状突起部である粒状物収納容器。
【請求項3】
底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、
前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、
前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、
前記容器は、前記スロープの径方向外
側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、
前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、
前記突起部は、前記周壁部から径方向内側に向けて突出し、前記底壁部から前記上側開口部に向かって縦方向に延在する板状突起部である粒状物収納容器。
【請求項4】
底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、
前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、
前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、
前記容器は、前記スロープの径方向外
側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、
前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、
前記底壁部は、中心部が最も高く、外縁部に向かって下方に向けて傾斜する粒状物収納容器。
【請求項5】
前記回転体は、前記スロープの上端部につながり、前記スロープを移動した前記粒状物が載置される天壁部を有する請求項1~4の何れか一項に記載の粒状物収納容器。
【請求項6】
前記容器は、前記上側開口部に係合部を有し、
前記回転体は、前記係合部に係合し、前記容器に対して該回転体を回転可能且つ抜け止め保持する被係合部を有する請求項1~5の何れか一項に記載の粒状物収納容器。
【請求項7】
前記容器は、前記底壁部に凹部を有し、
前記回転体は、前記凹部に挿入され、前記容器に対して該回転体を回転可能に支持する支持部を有する請求項1~6の何れか一項に記載の粒状物収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物を収納する粒状物収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子や薬剤、化粧品等の粒状物を収納する粒状物収納容器として、従来、例えば特許文献1に示されているようなボトルタイプの容器や、特許文献2に示されているようなジャータイプの容器等、種々の容器が使用されている。
【0003】
このような粒状物収納容器から粒状物を取り出すには、容器を傾けたり、容器の上部開口から指を差し入れて粒状物を摘まんだりすることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-002216号公報
【文献】特開2019-081596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、容器の傾き加減によっては、収納した粒状物が大量に排出されてしまうことがあり、排出された粒状物を戻すために手間がかかるうえ、一旦手等に触れたものを戻すことになるため衛生面で懸念がある。また指で摘まんで取り出す場合でも、収納されている粒状物が減るに従って指を深く差し込んで摘まむ必要があるため、取り出しにくさの点で難がある。
【0006】
このような問題点に鑑み、本発明は、収納した粒状物を一粒ずつ簡単に取り出すことができる粒状物収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、前記容器は、前記スロープの径方向外側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、前記スロープは、横断面形状において径方向内側端部が径方向外側端部よりも上方に位置する粒状物収納容器粒状物収納容器である。
また、本発明は、底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、前記容器は、前記スロープの径方向外側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、前記突起部は、前記周壁部から径方向内側に向けて突出し、前記底壁部から前記上側開口部に向かって前記一の方向とは逆向きに回転しながら延在する螺旋状突起部である粒状物収納容器である。
また、本発明は、底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、前記容器は、前記スロープの径方向外側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、前記突起部は、前記周壁部から径方向内側に向けて突出し、前記底壁部から前記上側開口部に向かって縦方向に延在する板状突起部である粒状物収納容器である。
さらに、本発明は、底壁部、周壁部、及び上側開口部を有し、該底壁部と該周壁部との内側に粒状物を収納する収納空間を備える容器と、前記収納空間に配置され、前記容器に対して回転可能に支持される回転体と、を備える粒状物収納容器であって、前記回転体は、前記底壁部から前記上側開口部に向かって一の方向に回転しながら螺旋状に延在するスロープを有し、前記容器は、前記スロープの径方向外側において前記底壁部と前記上側開口部との間に設けられる突起部を有し、前記回転体を前記一の方向とは逆向きに回転させることによって、前記粒状物が前記突起部で支持されつつ前記スロープを前記底壁部から前記上側開口部に向かって移動し、前記底壁部は、中心部が最も高く、外縁部に向かって下方に向けて傾斜する粒状物収納容器である。
【0008】
前記回転体は、前記スロープの上端部につながり、前記スロープを移動した前記粒状物が載置される天壁部を有することが好ましい。
【0012】
前記容器は、前記上側開口部に係合部を有し、
前記回転体は、前記係合部に係合し、前記容器に対して該回転体を回転可能且つ抜け止め保持する被係合部を有することが好ましい。
【0013】
前記容器は、前記底壁部に凹部を有し、
前記回転体は、前記凹部に挿入され、前記容器に対して該回転体を回転可能に支持する支持部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の粒状物収納容器によれば、回転体を所定の向きに回転させることによって、粒状物が突起部で支持されつつスロープを底部から上側開口部に向かって移動する。すなわち、回転体を回転させるだけの簡単な作業で収納した粒状物を一粒ずつ取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る粒状物収納容器の第一実施形態に関し、(a)は平面図(蓋体は外している)であり、(b)は側面視での断面図である。
【
図3】
図1に示した粒状物収納容器から粒状物を取り出す状況について示した図であって、(a)は斜視図であり、(b)は平面図である。
【
図4】本発明に係る粒状物収納容器の第二実施形態に関し、(a)は平面図(蓋体は外している)であり、(b)は側面視での断面図である。
【
図5】本発明に係る粒状物収納容器の第三実施形態に関し、(a)は平面図(蓋体は外している)であり、(b)は側面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る粒状物収納容器の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお本明細書等における上下方向とは、図示した軸線Oに沿う方向である。また径方向とは、軸線Oに対して垂直な面内で軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で軸線Oを中心として周回する方向である。
【0018】
まず、
図1~
図3を参照しながら本発明に係る粒状物収納容器の第一実施形態について説明する。本実施形態の粒状物収納容器1Aは、容器本体2A、底体3A、回転体4A、蓋体5、パッキン6で構成されている。なお、容器本体2Aと底体3A(以下に説明する容器本体2B等も同様)は、本明細書等における「容器」に相当する。またパッキン6を除く各部材は、例えば硬質の合成樹脂で形成され、パッキン6は弾性を有する素材(ゴムや軟質の合成樹脂等)で形成される。
【0019】
容器本体2Aは、軸線Oを中心とする円筒状の周壁部2aを備えている。ここで、周壁部2aの上方における開口部を上側開口部2bと称する。周壁部2aの内周面には、径方向内側に向けて突出する雌ねじ状の螺旋状突起部2cが設けられている。本実施形態の螺旋状突起部2cは、
図3に示すように、下方から上方に向かって軸線Oを中心として左回りに(左回りとは平面視における回転方向)回転しながら螺旋状に延在する。なお螺旋状突起部2cは、本明細書等における「突起部」に相当する。周壁部2aの上部には、
図1の部分拡大図に示すように、径方向外側に向けて突出する形態になる係合部2dが設けられている。
【0020】
周壁部2aの上部には、水平方向に延在する連結部2eが設けられていて、連結部2eの径方向外側には、上部が小径であって下部が大径になる外周壁2fが設けられている。外周壁2fの上部には、雄ねじ部2gが設けられている。
【0021】
底体3Aは、軸線Oを中心として全体的に円板状であって、外周壁2fの内側に収まる底壁部3aを備えている。底壁部3aは、軸線Oが位置する部位(底壁部3aの中心部)が最も高く、そこから外縁部に向かって下方に向けて傾斜し、その後、下方に向けて延在し(以下、この部位を内側環状壁部3bと称する)、更に水平方向に延在するよう形作られている。内側環状壁部3bの径方向外側には、上方に向けて延在して内側環状壁部3bよりも高さが高くなる外側環状壁部3cが設けられている。内側環状壁部3bと外側環状壁部3cの間には、周壁部2aの下端部が挿入され、底体3Aは容器本体2Aに嵌合保持される。
【0022】
底体3Aが容器本体2Aに嵌合保持された状態において、底壁部3aと周壁部2aの内側には、粒状物Rが収納される収納空間Sが区画される。粒状物Rの種類は、一例として食品、薬剤、化粧品等が挙げられる。また粒状物Rの形状は、一例として円形をなす扁平状のものや球状のものなどが挙げられる。なお本実施形態の粒状物Rは、球状である。
【0023】
回転体4Aは、
図1、
図2に示すように、周壁部2aの上方に位置して水平方向に延在するリング状の上壁部4aを備えている。上壁部4aの内縁部には、周壁部2aの内周面に沿って下方に向けて延在する環状壁部4bが設けられていて、上壁部4aの外縁部には、周壁部2aの外周面に沿って下方に向けて延在していて、下端部は
図1の部分拡大図に示すように径方向内側に向けて突出する形態になる被係合部4cが設けられている。被係合部4cは係合部2dに対して、回転可能且つ抜け止めされるように係合する。
【0024】
また回転体4Aは、
図2に示すように環状壁部4bの内周面に連結するとともに側面視で三角形状になる連結壁部4dを備えている。連結壁部4dの下端部は、環状壁部4bの下端部よりも下方に位置している。そして連結壁部4dの下端部には、水平方向に延在する天壁部4eが設けられている。
【0025】
そして天壁部4eの外縁部には、螺旋状に延在するスロープ4fが設けられている。
図2に示すように本実施形態のスロープ4fは、下方から上方に向かって軸線Oを中心として右回りに(右回りとは平面視における回転方向)回転しながら螺旋状に延在していて、スロープ4fの上端部が天壁部4eの外縁部に一体的に連結している。なお、
図1(b)に示すように回転体4Aを容器本体2Aに取り付けた際、スロープ4fの下端部は、底壁部3aの近傍に位置している。
【0026】
本実施形態のスロープ4fは、
図1(b)に示すように、粒状物Rの直径よりも若干狭い程度の幅で形成されている。またスロープ4fは、横断面形状において下向き凸になるように湾曲していて、径方向内側端部4gは径方向外側端部4hよりも上方に位置している。なお径方向外側端部4hは、容器本体2Aにおける螺旋状突起部2cよりも径方向内側に位置している。
【0027】
蓋体5は、軸線Oを中心とする円板状の頂壁5aと、頂壁5aの外縁部から下方に向けて延在する蓋体外周壁5bを備えている。蓋体外周壁5bの内周面には、雄ねじ部2gに螺合する雌ねじ部5cが設けられている。
【0028】
パッキン6は、軸線Oを中心とする円板状であって、頂壁5aの下方において蓋体外周壁5bに嵌合保持される。雄ねじ部2gと雌ねじ部5cを螺合させて蓋体5を容器本体2Aに装着した際、パッキン6は、容器本体2Aの周壁部2aと蓋体5の頂壁5aに挟持されるため、収納空間Sは気密に保持される。
【0029】
このような形態になる粒状物収納容器1Aから粒状物Rを取り出すにあたっては、まず蓋体5を容器本体2Aから取り外す。そして回転体4Aを、
図3(a)に示すように、軸線Oを中心として左回りに(左回りとは平面視における回転方向)回転させる。なお回転体4Aを回転させるには、上壁部4aを利用してもよいし、連結壁部4dを利用してもよい。
【0030】
ところで、周壁部2aの内周面には、螺旋状突起部2cが設けられていて、螺旋状突起部2cは、図示したように下方から上方に向かって軸線Oを中心として左回りに延在している。すなわち粒状物Rは、回転するスロープ4fで押されて周壁部2aの内側を左回りに移動しようとするものの、螺旋状突起部2cが次第に高くなっていくため、螺旋状突起部2cによって左回りへの移動が阻止される。従って粒状物Rは、スロープ4fが左回りに動くにつれて、螺旋状突起部2cに支持された状態でスロープ4fの上面を下方から上方に向かって移動するため、最終的には
図3(b)に示すように、天壁部4eへ移動する。
【0031】
このように本実施形態の粒状物収納容器1Aによれば、回転体4Aを左回りに回転させるだけで収納空間Sの粒状物Rを天壁部4eへ取り出すことができる。なお、スロープ4fは、
図1(b)に示すように横断面形状において径方向内側端部4gが径方向外側端部4hよりも上方に位置していて、スロープ4fの上面に載った粒状物Rは、径方向内側端部4gと周壁部2aに支持されている。従って粒状物Rがスロープ4fの上面を移動する際、粒状物Rがスロープ4fから脱落する不具合が防止される。また上述したように、スロープ4fの下端部は底壁部3aの近傍に位置している。従って回転体4Aを回転させると、スロープ4fの下端部は、底壁部3aに載置された粒状物Rを掬い取るように移動する。また底壁部3aは、軸線Oが位置する部位が最も高く、そこから外縁部に向かって下方に向けて傾斜しているため、粒状物Rは、底壁部3aの外縁部に向かって移動する。すなわち本実施形態の粒状物収納容器1Aによれば、収納空間Sの粒状物Rが少なくなっても問題なく取り出すことができる。
【0032】
次に、本発明に係る粒状物収納容器の第二実施形態について、
図4を参照しながら説明する。本実施形態の粒状物収納容器1Bは、上述した容器本体2Aに替えて容器本体2Bを備える点を除き、基本的には上述した粒状物収納容器1Aと同様の構成となっている。
【0033】
容器本体2Bは、上述した容器本体2Aに対して螺旋状突起部2cに替えて板状突起部2hを備える点が相違する。板状突起部2hは、周壁部2aの内周面において下方から上方に向かって縦方向に延在して板状をなすものである。なお板状突起部2hは、本明細書等における「突起部」に相当する。
【0034】
このような形態になる粒状物収納容器1Bから粒状物Rを取り出すにあたっては、蓋体5を容器本体2Bから取り外した後、回転体4Aを、軸線Oを中心として左回りに回転させる。これにより粒状物Rは、回転するスロープ4fで押されて周壁部2aの内側を左回りに移動しようとするものの、板状突起部2hによって左回りへの移動が阻止されるため、スロープ4fが左回りに動くにつれて、板状突起部2hに支持された状態でスロープ4fの上面を下方から上方に向かって移動する。従って本実施形態の粒状物収納容器1Bも、粒状物収納容器1Aと同様に、収納空間Sの粒状物Rを天壁部4eへ移動させることができる。
【0035】
次に、本発明に係る粒状物収納容器の第三実施形態について、
図5を参照しながら説明する。本実施形態の粒状物収納容器1Cは、上述した容器本体2A、底体3A、回転体4Aに替えて、容器本体2C、底体3C、回転体4Cを備えている。
【0036】
容器本体2Cは、周壁部2aの内周面に、上述した板状突起部2hを備えている。また容器本体2Cは、先に説明した容器本体2Aの係合部2d(
図1参照)は削除し、容器本体2Aでは外周壁2fに設けていた雄ねじ部2gを、周壁部2aの外周面に設けている。
【0037】
底体3Cは、軸線Oを中心として全体的に円板状であって、外周壁2fの内側に収まる底壁部3dを備えている。底壁部3dは、軸線Oが位置する部位(底壁部3dの中心部)が最も高く、そこから外縁部に向かって下方に向けて傾斜し、上向き開放の凹部3eを形成した後、更に下方に向かって傾斜し、その後、下方に向けて延在し(以下、この部位を内側環状壁部3fと称する)、更に水平方向に延在するよう形作られている。なお凹部3eは、軸線Oを中心として周方向に延在している。内側環状壁部3fの径方向外側には、上方に向けて延在して内側環状壁部3fよりも高さが高くなる外側環状壁部3gが設けられている。内側環状壁部3fと外側環状壁部3gの間には、周壁部2aの下端部が挿入され、底体3Cは容器本体2Cに嵌合保持される。
【0038】
回転体4Cは、軸線Oを中心として円筒状になる筒状壁4jを備えている。筒状壁4jの下端部は、凹部3eに挿入され、回転体4Cは、底体3Cに対して回転可能に支持される。なお筒状壁4jは、本明細書等における「支持部」に相当する。また筒状壁4jの下端部には、径方向にこれを貫通する切欠き部4kが設けられている。切欠き部4kは、粒状物Rが通過できる程度の大きさで開口していて、底壁部3dは外縁部に向かって下方に向けて傾斜しているため、筒状壁4jの内側に収納された粒状物Rは、切欠き部4kから径方向外側に移動する。そして筒状壁4jの上部において径方向内側には、水平方向に延在する天壁部4mが設けられている。筒状壁4jの外周面には、上述した螺旋状に延在するスロープ4fが設けられている。なお、スロープ4fの上端部と天壁部4mとは、
図5(b)に示すように径方向内側に向かって下向きに傾く傾斜壁4nを介して一体的に連結している。
【0039】
このような粒状物収納容器1Cから粒状物Rを取り出すにあたっては、蓋体5を容器本体2Cから取り外した後、回転体4Cを、軸線Oを中心として左回りに回転させる。これにより粒状物Rは、回転するスロープ4fで押されて周壁部2aの内側を左回りに移動しようとするものの、板状突起部2hによって左回りへの移動が阻止されるため、スロープ4fが左回りに動くにつれて、板状突起部2hに支持された状態でスロープ4fの上面を下方から上方に向かって移動し、傾斜壁4nを経て天壁部4mへ移動させることができる。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0041】
例えばスロープ4fは、上記の実施形態では、下方から上方に向かって軸線Oを中心として右回りに回転しながら螺旋状に延在していたが、左回りに螺旋状に延在するものでもよい。なお、スロープ4fとして左回りに螺旋状に延在するものを採用する場合、螺旋状突起部2cは、下方から上方に向かって軸線Oを中心として右回りに回転しながら螺旋状に延在するよう構成する。またスロープ4fは、横断面形状において下向き凸になるように湾曲していて、径方向内側端部4gは径方向外側端部4hよりも上方に位置しているものであったが、横断面形状において水平方向に延在していて、径方向内側端部4gに上方に向けて突起状に突出する部位を備えるものでもよい。
【0042】
また螺旋状突起部2cと板状突起部2hは、回転体4A、4Cを回転させた際に粒状物Rが支持されるものであればよく、上記の実施形態のように、下方から上方に向かって切れ目なく延在するものに限られず、途中で分断されていてもよい。
【0043】
また
図5に示す粒状物収納容器1Cにおいて、回転体4Cを回転可能に支持する支持部として機能するものは筒状壁4jであったが、例えば底体3Cの中央部に円筒状の凹部を設けるとともに回転体4Cの中央部にはこの凹部に挿入される円柱状の棒状部を設け、棒状部を支持部として機能させてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1A、1B、1C:粒状物収納容器
2A、2B、2C:容器本体(容器)
2a:周壁部
2b:上側開口部
2c:螺旋状突起部(突起部)
2d:係合部
2e:連結部
2f:外周壁
2g:雄ねじ部
2h:板状突起部(突起部)
3A、3C:底体(容器)
3a:底壁部
3b:内側環状壁部
3c:外側環状壁部
3d:底壁部
3e:凹部
3f:内側環状壁部
3g:外側環状壁部
4A、4C:回転体
4a:上壁部
4b:環状壁部
4c:被係合部
4d:連結壁部
4e:天壁部
4f:スロープ
4g:径方向内側端部
4h:径方向外側端部
4j:筒状壁(支持部)
4k:切欠き部
4m:天壁部
4n:傾斜壁
5:蓋体
5a:頂壁
5b:蓋体外周壁
5c:雌ねじ部
6:パッキン
O:軸線
R:粒状物
S:収納空間