(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】光電変換装置及び光電変換装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/028 20060101AFI20241218BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241218BHJP
H04N 1/19 20060101ALI20241218BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20241218BHJP
H04N 25/701 20230101ALI20241218BHJP
【FI】
H04N1/028 C
H04N1/04 D
H04N1/19
H04N25/70
H04N25/701
(21)【出願番号】P 2021038417
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2024-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】領木 達也
(72)【発明者】
【氏名】磯田 尚希
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147549(JP,A)
【文献】特開2012-090204(JP,A)
【文献】特開2007-294734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/028
H04N 1/04
H04N 1/19
H04N 25/70
H04N 25/701
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が入射光に応じた信号を出力し、第1方向に複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、
前記複数の画素の各々に対応して配された保持部と、
前記第1方向に直交する第2方向における前記複数の画素と撮像対象物の間の相対的な位置に同期するタイミングで、前記複数の画素から信号を読み出して前記保持部に保持させる制御と、前記保持部から信号を出力させる制御とを行う制御部と、
を有し、
前記制御部は、第1モード及び第2モードのいずれかによる制御が可能であり、
前記第1モードにおいて、前記制御部は、前記複数の画素の各々から出力された信号が対応する前記保持部に保持されるように制御し、
前記第2モードにおいて、前記制御部は、第1列の画素に対応する前記保持部から信号を出力させる制御と、前記第1列の画素に基づく信号を第2列の画素に対応する前記保持部に保持させる制御とを同期間に並行して行う
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記複数の画素は、更に前記第2方向に複数の行をなすように配されており、
前記複数の画素のうちの同一の行に配されている複数の画素は同一の色のカラーフィルタを有し、
前記複数の画素のうちの第1行の画素と第2行の画素は互いに異なる色のカラーフィルタを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、同一の行に配されている画素から同時に信号を出力させるよう制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1モードにおいて、異なる行に配されている画素から同時に信号を出力させるよう制御する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2モードにおいて、異なる行に配されている画素から異なるタイミングで信号を出力させるよう制御する
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1行の画素における前記入射光に基づく電荷の蓄積期間と前記第2行の画素における前記入射光に基づく電荷の蓄積期間とを異ならせるように制御する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第1行の画素における前記蓄積期間の長さと、前記第2行の画素における前記蓄積期間の長さは同一である
ことを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1行の画素における前記蓄積期間が終了した後に前記第2行の画素における前記蓄積期間を開始するように制御する
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記第2モードにおいて、前記制御部は、
前記第1列の画素に対応する前記保持部から信号を出力させる制御と、前記第1列の画素に基づく信号を前記第2列の画素に対応する前記保持部に保持させる制御とを並行して行う第1動作と、
前記第2列の画素に対応する前記保持部から信号を出力させる制御と、前記第2列の画素に基づく信号を前記第1列の画素に対応する前記保持部に保持させる制御とを並行して行う第2動作と
を読み出し周期ごとに切り替える
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の画素の各々に対応して配され、前記複数の画素から信号を読み出して前記保持部に保持させる列回路を更に有する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項11】
前記列回路は、前記第1列の画素に対応する配線と前記第2列の画素に対応する配線との接続又は非接続を制御する第1スイッチを含む
ことを特徴とする請求項10に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記第1モードにおいて前記第1スイッチは非接続状態に制御され、前記第2モードにおいて前記第1スイッチは接続状態に制御される
ことを特徴とする請求項11に記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記列回路と前記保持部の間のノードにおいて、前記第1列の画素に対応する配線と前記第2列の画素に対応する配線との接続又は非接続を制御する第2スイッチを更に有する
ことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記第1モードにおいて前記第2スイッチは非接続状態に制御され、前記第2モードにおいて前記第2スイッチは接続状態に制御される
ことを特徴とする請求項13に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記列回路は、可変のアナログゲインを有する増幅回路を含む
ことを特徴とする請求項10乃至14のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記第2モードにおける前記増幅回路のアナログゲインは、前記第1モードにおける前記増幅回路のアナログゲインよりも高い
ことを特徴とする請求項15に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記第2モードにより取得される画像の解像度は、前記第1モードにより取得される画像の解像度よりも低い
ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項18】
前記第2モードにおいて、前記保持部に保持される信号は、前記第1列の画素及び前記第2列の画素の加算信号である
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記撮像対象物からの反射光を前記光電変換装置に導く光学系と、
を有する
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項20】
各々が入射光に応じた信号を出力し、第1方向に複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、
前記複数の画素の各々に対応して配された保持部と、
を有する光電変換装置の制御方法であって、
前記第1方向に直交する第2方向における前記複数の画素と撮像対象物の間の相対的な位置に同期するタイミングで、前記複数の画素から信号を読み出して前記保持部に保持させるステップと、
前記保持部から信号を出力させるステップと、
を有し、
前記光電変換装置は、第1モード及び第2モードのいずれかによる制御が可能であり、
前記第1モードにおいて、前記複数の画素の各々から出力された信号が対応する列の前記保持部に保持され、
前記第2モードにおいて、第1列の画素に対応する前記保持部から信号を出力させるステップと、前記第1列の画素に基づく信号を第2列の画素に対応する前記保持部に保持させるステップとが同期間に並行して行われる
ことを特徴とする光電変換装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置及び光電変換装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、3本のラインセンサを備えた画像読取装置が開示されている。特許文献1の画像読取装置は、原稿から3本のラインセンサまでの光路上に配されたカラーフィルタを備えており、赤(R)、緑(G)及び青(B)の色情報を読み取ることができる。
【0003】
この装置構成では、ラインセンサが延在する主走査方向と直交する副走査方向に向かって原稿とラインセンサが機械的に相対移動することにより、画像の読み取りが行われる。このとき、R、G、Bの各色の画素の物理的な距離の違いによって各色の画像信号に位置ずれが生じることがある。特許文献1には、補正パラメータに従ってラインセンサの光蓄積タイミングを色ごとに変更することによって、色ごとの位置ずれを補正することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
装置構成等の制約により、特許文献1とは異なる手法によって走査時の位置ずれを補正する手法が求められる場合があり得る。
【0006】
本発明は、走査時の位置ずれを補正し得る光電変換装置及び光電変換装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、各々が入射光に応じた信号を出力し、第1方向に複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、前記複数の画素の各々に対応して配された保持部と、前記第1方向に直交する第2方向における前記複数の画素と撮像対象物の間の相対的な位置に同期するタイミングで、前記複数の画素から信号を読み出して前記保持部に保持させる制御と、前記保持部から信号を出力させる制御とを行う制御部と、を有し、前記制御部は、第1モード及び第2モードのいずれかによる制御が可能であり、前記第1モードにおいて、前記制御部は、前記複数の画素の各々から出力された信号が対応する前記保持部に保持されるように制御し、前記第2モードにおいて、前記制御部は、第1列の画素に対応する前記保持部から信号を出力させる制御と、前記第1列の画素に基づく信号を第2列の画素に対応する前記保持部に保持させる制御とを同期間に並行して行うことを特徴とする光電変換装置が提供される。
【0008】
本発明の他の一観点によれば、各々が入射光に応じた信号を出力し、第1方向に複数の列をなすように配された複数の画素を含む画素アレイと、前記複数の画素の各々に対応して配された保持部と、を有する光電変換装置の制御方法であって、前記第1方向に直交する第2方向における前記複数の画素と撮像対象物の間の相対的な位置に同期するタイミングで、前記複数の画素から信号を読み出して前記保持部に保持させるステップと、前記保持部から信号を出力させるステップと、を有し、前記光電変換装置は、第1モード及び第2モードのいずれかによる制御が可能であり、前記第1モードにおいて、前記複数の画素の各々から出力された信号が対応する列の前記保持部に保持され、前記第2モードにおいて、第1列の画素に対応する前記保持部から信号を出力させるステップと、前記第1列の画素に基づく信号を第2列の画素に対応する前記保持部に保持させるステップとが同期間に並行して行われることを特徴とする光電変換装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走査時の位置ずれを補正し得る光電変換装置及び光電変換装置の制御方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る画像読取装置の概略構成を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態に係る光電変換装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る画素アレイ、列回路部及びメモリ部の構成を示す回路図である。
【
図4】第1実施形態に係る光電変換装置の第1モードでの駆動タイミングを示すタイミング図である。
【
図5】第1実施形態に係る光電変換装置の第1モードでの駆動方法の概略を示す模式図である。
【
図6】第1実施形態に係る光電変換装置の第2モードでの駆動方法の概略を示す模式図である。
【
図7】第1実施形態に係る光電変換装置の第2モードでの駆動タイミングを示すタイミング図である。
【
図8】第2実施形態に係る画素アレイ、列回路部及びメモリ部の構成を示す回路図である。
【
図9】第2実施形態に係る光電変換装置の第2モードでの駆動タイミングを示すタイミング図である。
【
図10】第3実施形態に係る画素アレイ、列回路部及びメモリ部の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。複数の図面にわたって同一の要素又は対応する要素には共通の符号が付されており、その説明は省略又は簡略化されることがある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る画像読取装置2の概略構成を示す模式図である。画像読取装置2は、原稿トレイ210、自動原稿給送装置230、原稿台240及び本体部250を有している。原稿トレイ210及び原稿台240は、ユーザが撮像対象物である原稿220を載置する部分である。自動原稿給送装置230は、原稿トレイ210に載置された原稿220を給送する。
【0013】
本体部250は、ミラーユニット260、レンズ270及び光電変換装置1を有している。ミラーユニット260は、ランプ261及びミラー262、263、264を有している。ランプ261は、給送された原稿220の表面(読み取り面)に対して光を照射する光源である。ミラー262、263、264は、原稿220からの反射光をレンズ270に導く。レンズ270は、光を光電変換装置1に集光する。すなわち、ミラー262、263、264及びレンズ270は、原稿からの反射光を光電変換装置1に導く光学系である。ミラーユニット260は原稿220に対する相対的な位置を変化させることができるように構成されている。光電変換装置1がこの相対的な位置に同期するタイミングで入射光に基づく撮像を行うことにより、原稿220の読み取り面を走査することができる。
【0014】
光電変換装置1は、赤(R)、緑(G)及び青(B)の光を受ける画素列を有するラインセンサである。光電変換装置1の各画素は、入射光を色ごとに電気信号に変換することにより、原稿220のカラー画像を取得する。
【0015】
画像読取装置2は、原稿固定モードと原稿給送モードの2つのモードで原稿220の画像を読み取ることができる。原稿固定モードは、画像読取装置2が原稿台240に載置した原稿220を読み取るモードである。原稿固定モードにおいては、ミラーユニット260を固定された原稿220に対して移動させることにより読み取りのための走査が行われる。原稿給送モードは、画像読取装置2が自動原稿給送装置230によって給送された原稿220を読み取るモードである。原稿給送モードにおいては、停止しているミラーユニット260に対して自動原稿給送装置230が原稿220を移動させることにより読み取りのための走査が行われる。いずれのモードにおいても、ミラーユニット260と原稿220の相対的な位置が変化することにより、読み取りのための走査が行われる。
【0016】
次に、光電変換装置1の構成についてより詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る光電変換装置1の概略構成を示すブロック図である。光電変換装置1は、画素アレイ10、列回路部20、メモリ部30、水平走査回路40、共通出力線50、出力部60及び制御部70を有している。
【0017】
画素アレイ10は、主走査方向X(第1方向)に複数の列をなし、主走査方向Xと直交する副走査方向Y(第2方向)に複数の行をなすように配された複数の画素11を有している。複数の画素11の各々は、フォトダイオード等により構成される光電変換部を含んでおり、入射光に応じた信号を出力する。
図2では、画素アレイ10は、3行及びm列をなしている(mは2以上の整数)。
図2に示されているように、第1行には、赤(R)のカラーフィルタを有する画素11(R1~R(m))が主走査方向Xに沿って配されている。第2行には、緑(G)のカラーフィルタを有する画素11(G1~G(m))が主走査方向Xに沿って配されている。第3行には、青(B)のカラーフィルタを有する画素11(B1~B(m))が主走査方向Xに沿って配されている。なお、画素アレイ10における行数、列数及び各色の配置順序は、
図2に示すものに限定されない。
【0018】
主走査方向Xにおける画素11の間隔(例えば、R1とR2のラベルが付された画素11の間隔)は、例えば、42μmである。また、副走査方向Yにおける画素11の間隔(例えば、R1とG1のラベルが付された画素11の間隔)も同様に、例えば、42μmである。すなわち、主走査方向Xと副走査方向Yの物理的な解像度は同一であり得る。この場合、原稿220を読み取って600dpiの解像度のカラー画像を生成することができる。なお、上述の画素間隔及び解像度は一例であり、これに限定されない。
【0019】
列回路部20は、複数の画素11の各々に対応して配された列回路21を有している。列回路21は、画素11から信号を読み出してメモリ部30に出力する。列回路21は、画素11の駆動時に生じるkTCノイズの除去、信号増幅等の処理を行う。メモリ部30は、複数の列回路21の各々に対応して配された保持部31を有している。保持部31は、列回路21から出力された信号を保持する。
図2においては、1つの画素11に対応して2つの保持部31が図示されているが、これらは、入射光に基づく画素信号を保持する画素信号用の保持部31と、画素11のリセット状態に基づくリセット信号を保持するリセット信号用の保持部31とを示している。
【0020】
水平走査回路40は、メモリ部30を制御して、保持している信号を、順次、共通出力線50に出力させる。水平走査回路40は、シフトレジスタ又はアドレスデコーダにより構成され得る。共通出力線50は、各々が複数の保持部31に接続された6本の信号線を含む。6本の信号線は、Rの画素信号及びリセット信号、Gの画素信号及びリセット信号、Bの画素信号及びリセット信号をそれぞれ伝送する。出力部60は、R、G、Bの3色に対応した3つの差動増幅器61を有している。差動増幅器61には、対応する色の画素信号とリセット信号が入力され、その差に基づく信号を外部に出力する。制御部70は、画素アレイ10、列回路部20、メモリ部30及び水平走査回路40の動作タイミングを制御する。
【0021】
図3は、本実施形態に係る画素アレイ10、列回路部20及びメモリ部30の構成を示す回路図である。
図3には、これらのブロックに含まれる回路のうちの、第n列及び第n+1列に配されたRの画素11(すなわち、
図2におけるR(n)、R(n+1))に対応する2列分の回路の構成が抜き出して示されている(nは、1以上、m-1以下の整数)。なお、
図3においては省略されているが、他の列、あるいは、他の色に対応する画素アレイ10、列回路部20及びメモリ部30の回路も同様の構成を有している。以下の
図3の説明においては、特記した場合を除き第n列の構成について説明するものとし、第n+1列については第n列と共通する場合には説明を省略する。なお、
図3に図示されている各種制御信号において、複数の列に個別に異なる電位が与えられ得るものにはen(n)等のように列番号を付している場合がある。
【0022】
画素アレイ10は、光電変換部PD、リセットトランジスタM1、増幅トランジスタM2及び電流源12を有している。これらのトランジスタは、制御電極としてゲート電極を有するN型のMOSトランジスタにより構成され得る。リセットトランジスタM1のゲートには、制御部70から制御信号PRESが入力される。
【0023】
光電変換部PDは、光電変換により入射光に応じた電荷を生成するとともに、当該電荷を蓄積する光電変換素子である。光電変換部PDは半導体基板内に形成されたフォトダイオードにより構成され得る。光電変換部PDを構成するフォトダイオードのカソードは電源電位VDDを有する電位線に接続されており、アノードはリセットトランジスタM1のドレイン及び増幅トランジスタM2のゲートに接続されている。この接続ノードはフローティングディフュージョンFDである。
【0024】
光電変換部PDで生成された電荷は、フローティングディフュージョンFDに蓄積される。フローティングディフュージョンFDは容量を有しており、この容量により、フローティングディフュージョンFDの電位は光電変換部PDで生成された電荷に応じて変化する。
【0025】
リセットトランジスタM1のソースは、リセット電位VRESを有する電位線に接続されている。増幅トランジスタM2のドレインは、電源電位VDDを有する電位線に接続されている。増幅トランジスタM2のソースは、電流源12に接続されている。増幅トランジスタM2は、電流源12とともにソースフォロア回路を構成する。このソースフォロア回路は、フローティングディフュージョンFDの電圧に基づく信号を列回路部20に出力する。リセットトランジスタM1は、オン(接続状態)となることによりフローティングディフュージョンFDの電位をリセットする。
【0026】
列回路部20は、増幅器22、クランプ容量C0、帰還容量Cf1及びスイッチSW1、SW2、SW3を有している。スイッチSW1、SW2、SW3の制御端子には、制御部70から制御信号PCM、PC0R、PADDがそれぞれ入力される。スイッチSW1、SW2、SW3はこれらの制御信号に応じてオン(接続状態)又はオフ(非接続状態)に制御される。また、第n列の増幅器22の制御端子には、制御部70から制御信号en(n)が入力され、第n+1列の増幅器22の制御端子には、制御部70から制御信号en(n+1)が入力される。増幅器22は、制御信号en(n)、en(n+1)がハイレベルのときには動作状態に制御される。また、増幅器22は、制御信号en(n)、en(n+1)がローレベルのときには出力がハイインピーダンスになるように制御される。すなわち、制御信号en(n)、en(n+1)は、増幅器22を動作状態又は非動作状態のいずれかに制御するイネーブル信号である。増幅器22、クランプ容量C0及び帰還容量Cf1は、クランプ容量C0の容量値と帰還容量Cf1の容量値とに基づくアナログゲインを有する増幅回路をなしている。
【0027】
第n列のスイッチSW1の第1端子は、画素アレイ10の第n列の出力端子、すなわち、第n列の増幅トランジスタM2のソースと電流源12の接続ノードに接続されている。スイッチSW1の第2端子は、クランプ容量C0の第1端子に接続されている。クランプ容量C0の第2端子は、増幅器22の入力端子、スイッチSW2の第1端子及び帰還容量Cf1の第1端子に接続されている。スイッチSW2の第2端子、帰還容量Cf1の第2端子及び増幅器22の出力端子は相互に接続されており、この接続ノードは、列回路部20からメモリ部30への出力端子である。
【0028】
スイッチSW3(第1スイッチ)の第1端子は、第n列のクランプ容量C0の第2端子、増幅器22の入力端子、スイッチSW2の第1端子及び帰還容量Cf1の第1端子の接続ノードに接続されている。スイッチSW3の第2端子は、第n+1列のクランプ容量C0の第2端子、増幅器22の入力端子、スイッチSW2の第1端子及び帰還容量Cf1の第1端子の接続ノードに接続されている。すなわち、スイッチSW3は、第n列の画素11に対応する列回路21内の配線と、第n+1列の画素11に対応する列回路21内の配線との接続又は非接続を制御する機能を有している。
【0029】
メモリ部30は、保持容量CTS(n)、CTN(n)、CTS(n+1)、CTN(n+1)及びスイッチSW4、SW5、SW6、SW7を有している。これらの素子は、サンプルホールド回路をなしている。第n列のスイッチSW4、SW5の制御端子には、制御部70から制御信号PTS(n)、PTN(n)がそれぞれ入力される。第n列のスイッチSW6、SW7の制御端子には、水平走査回路40から制御信号HSR(n)、HSR(n)がそれぞれ入力される。第n+1列のスイッチSW4、SW5の制御端子には、制御部70から制御信号PTS(n+1)、PTN(n+1)がそれぞれ入力される。第n+1列のスイッチSW6、SW7の制御端子には、水平走査回路40から制御信号HSR(n+1)、HSR(n+1)がそれぞれ入力される。スイッチSW4、SW5、SW6、SW7はこれらの制御信号に応じてオン(接続状態)又はオフ(非接続状態)に制御される。保持容量CTS(n)、CTS(n+1)は画素信号を保持し、保持容量CTN(n)、CTN(n+1)はリセット信号を保持する。
【0030】
列回路部20の第n列の出力端子、すなわち、第n列のスイッチSW2の第2端子、帰還容量Cf1の第2端子及び増幅器22の出力端子の接続ノードは、第n列のスイッチSW4の第1端子及びスイッチSW5の第1端子と接続されている。スイッチSW4の第2端子は、保持容量CTS(n)の第1端子及びスイッチSW6の第1端子と接続されている。保持容量CTS(n)の第2端子は、グラウンド電位を有する電位線に接続されている。スイッチSW6の第2端子は、メモリ部30から共通出力線50への出力端子である。
【0031】
スイッチSW5の第2端子は、保持容量CTN(n)の第1端子及びスイッチSW7の第1端子と接続されている。保持容量CTN(n)の第2端子は、グラウンド電位を有する電位線に接続されている。スイッチSW7の第2端子は、メモリ部30から共通出力線50への出力端子である。
【0032】
なお、上述の説明においては、制御信号HSR(n)、HSR(n+1)は水平走査回路40から供給され、それ以外の制御信号は制御部70から供給されるものとしているが、これに限られない。例えば、制御信号HSR(n)、HSR(n+1)以外の制御信号は、制御部70から供給されるタイミング信号に基づいて動作する垂直走査回路、信号生成回路等の不図示の制御回路から供給されてもよい。
【0033】
本実施形態の光電変換装置1は、第1モード及び第2モードのいずれかによる信号出力が可能である。第1モードは、画素アレイ10の各列の画素11に対応する信号を出力するモードである。第2モードは、複数の画素11に基づく信号が加算された加算信号を出力する加算読み出し又は複数の画素11の一部から信号を出力する間引き読み出しによる信号の出力を行うモードである。第2モードにおいては、第1モードと比べて出力される信号の数が低減される。したがって、例えば、第1モードは高解像度の画像を出力する高解像度モードであり、第2モードは低解像度の画像を出力する低解像度モードであり得る。以下の説明においては、特記する場合を除き、第2モードでは加算読み出しが行われるものとする。
【0034】
まず、第1モードの駆動タイミングについて説明する。
図4は、本実施形態に係る光電変換装置1の第1モードでの駆動タイミングを示すタイミング図である。
図4には、制御信号PRES、PCM、PC0R、PTN、PTS、en、PADD、HSRのレベルと、フローティングディフュージョンFDの電位とが示されている。制御信号PTN、PTS、enについては、第n列及び第n+1列が個別に図示されており、制御信号HSRについては、第1列、第n列及び第n+1列が個別に図示されている。列番号が付されていない制御信号については、第n列及び第n+1列のトランジスタ又はスイッチに同じレベルの制御信号が入力されるものとする。
【0035】
制御信号en(n)、en(n+1)は全期間に渡ってハイレベルであり、第n列及び第n+1列の増幅器22は動作状態である。また、制御信号PADDは全期間に渡ってローレベルであり、スイッチSW3はオフである。
【0036】
時刻t11において、制御信号PRESがハイレベルになり、時刻t12において、制御信号PRESがローレベルになる。この動作により、リセットトランジスタM1が一時的にオンになる。これにより、フローティングディフュージョンFDの電位がリセット電位VRESに基づく電位にリセットされる。時刻t12以降、入射光によって光電変換部PDで生成された電荷により、フローティングディフュージョンFDの電位が時間の経過に応じて上昇する。
【0037】
また、時刻t11において制御信号PC0Rがハイレベルになり、時刻t12において制御信号PC0Rがローレベルになる。この動作により、スイッチSW2が一時的にオンになる。これにより、クランプ容量C0に保持されている電荷がリセットされる。なお、
図4においては制御信号PRESと制御信号PC0Rが同じタイミングでハイレベルになっており、フローティングディフュージョンFDと、クランプ容量C0のリセットが同時に行われているが、これらが同時であることは必須ではない。クランプ容量C0のリセットは、メモリ部30への信号の保持のタイミングまでに行われていればよい。
【0038】
時刻t13において制御信号PCMがハイレベルになり、時刻t14において制御信号PCMがローレベルになる。この動作によりスイッチSW1が一時的にオンになる。これにより、画素11のリセット状態に基づく電位がクランプ容量C0に印加され、保持される。
【0039】
時刻t15において制御信号PTN(n)、PTN(n+1)がハイレベルになり、時刻t16において制御信号PTN(n)、PTN(n+1)がローレベルになる。この動作により、第n列と第n+1列のスイッチSW5が一時的にオンになる。これにより、保持容量CTN(n)、CTN(n+1)にリセット信号が保持される。
【0040】
時刻t17において制御信号PTS(n)、PTS(n+1)がハイレベルになり、スイッチSW4がオンになる。時刻t18において制御信号PCMがハイレベルになり、スイッチSW1がオンになる。時刻t19において制御信号PCMがローレベルになり、スイッチSW1がオフになる。時刻t20において制御信号PTS(n)、PTS(n+1)がローレベルになり、スイッチSW4がオフになる。これらの一連の動作により、時刻t19の時点におけるフローティングディフュージョンFDの電位に基づく画素信号が、保持容量CTS(n)、CTS(n+1)に保持される。
【0041】
時刻t21において、制御信号HSR(1)がハイレベルになり、第1列のスイッチSW6、SW7がオンになる。これにより、第1列の保持部31に保持されている信号が共通出力線50に出力される。その後、制御信号HSR(1)がローレベルになり、第1列のスイッチSW6、SW7がオフになる。以下、同様にして
図3、
図4において不図示の第2列、第3列、…に対応する制御信号HSR(2)、HSR(3)、…が一定の周期で順次ハイレベルになり、各列の保持部31に保持されている信号が順次共通出力線50に出力される水平走査が行われる。すなわち、時刻t21は水平走査の開始時刻である。
【0042】
その後、時刻t22において、制御信号HSR(n)がハイレベルになり、第n列のスイッチSW6、SW7がオンになる。これにより、第n列の保持部31に保持されている信号が共通出力線50に出力される。同様に、時刻t23において、制御信号HSR(n+1)がハイレベルになり、第n+1列のスイッチSW6、SW7がオンになる。これにより、第n+1列の保持部31に保持されている信号が共通出力線50に出力される。なお、この水平走査の期間において、水平走査と並行して、上述の時刻t11から時刻t20と同様の処理により、次の読み出しのための電荷蓄積の処理が行われている。
【0043】
なお、上述のように、第1モードでは制御信号PADDは全期間に渡ってローレベルであり、スイッチSW3はオフである。したがって、第n列の画素11で生成された信号は対応する第n列の保持部31に保持され、第n+1列の画素11で生成された信号は対応する第n+1列の保持部31に保持される。このように、第1モードにおいては各画素11から出力される信号は対応する列の保持部31に保持されるため、信号の加算読み出しあるいは間引き読み出しは行われていない。
【0044】
図5は、本実施形態に係る光電変換装置1の第1モードでの駆動方法の概略を示す模式図である。
図5には、R、G、Bの3色に対応する各画素11及びこれに対応する保持部31の動作の概略が示されている。
【0045】
図5の下段に示されているタイミング図は、
図4に記載されている複数の制御信号のうち、制御信号PRES、PCMに着目したものである。ここで、
図5における制御信号に付されているR、G、Bの添字は、それぞれ、R、G、Bの3色の画素11に入力される制御信号であることを示している。
【0046】
図5の上段に示されているブロックは下段のタイミング図の各時刻において行われる処理の概略及びその期間を示している。すなわち、「画素⇒保持部」のブロックは画素11から画素信号及びリセット信号が出力され、保持部31に保持される期間を示している。「保持部から順次読み出し」のブロックは保持部31に保持されている画素信号及びリセット信号が共通出力線50に順次出力される水平走査期間を示している。また、ブロックに付されているR、G、Bの添字は、その処理がR、G、Bの3色の画素11のいずれに対応するものであるのかを示している。
【0047】
時刻t1は、制御信号PRES_R、PRES_G、PRES_Bがローレベルになり、リセットトランジスタM1がオフになることにより、画素11のリセットが解除され、電荷の蓄積が開始する時刻である。すなわち、
図5の時刻t1は、
図4の時刻t12に対応する。時刻t2は、制御信号PCM_R、PCM_G、PCM_Bがローレベルになり、スイッチSW1がオフになることにより、画素11からの信号出力が終了する時刻である。すなわち、
図5の時刻t2は、
図4の時刻t19に対応する。時刻t1から時刻t2までの期間T1は、入射光に応じて光電変換部PDで生成された電荷が蓄積される蓄積期間である。
図5に示されるように、R、G、Bの3色いずれの画素11においても期間T1は共通であるため、同じ蓄積期間に並行して電荷の蓄積が行われている。
【0048】
図5において、R、G、Bの「画素⇒保持部」のブロックが示されている期間T2は、
図4の時刻t15から時刻t21の期間に対応する。
図5に示されるように、R、G、Bの3色いずれにおいても期間T2は共通である。したがって、R、G、Bの3色の画素11から同じ期間に並行して画素信号及びリセット信号が出力され、保持部31に保持される。
【0049】
図5において、R、G、Bの「保持部から順次読み出し」のブロックが示されている期間T3は、
図4の時刻t21以降の期間に対応する。すなわち、期間T3の開始時刻である時刻t3は、
図4の時刻t21に対応する。
図5に示されるように、R、G、Bの3色いずれにおいても期間T3は共通である。したがって、R、G、Bの3色の画素11に対応する保持部31から同じ期間に並行して画素信号及びリセット信号が共通出力線50に順次出力される。
【0050】
なお、R、G、Bの画素11は、
図2に示されているように副走査方向Yに間隔を隔てて配されている。したがって、同時刻に出力された各色の信号には、色ごとに画素11の間隔に相当する位置ずれが生じている。したがって、この位置ずれを補正するため、光電変換装置1又は画像読取装置2に設けられ得る信号処理回路等により画素11の間隔に相当するフレーム数分だけ色ごとに位相をずらして画像を生成する補正処理が行われ得る。例えば、画素11の副走査方向Yにおける間隔がdであれば、Rの信号を間隔2dに相当する時間分だけ遅延させ、Gの信号を間隔dに相当する時間分だけ遅延させることにより、色ごとの位置ずれを補正することができる。
【0051】
次に、第2モードの駆動タイミングについて説明する。本実施形態では、第2モードでは2つの列の加算読み出しが行われているものとする。これにより第2モードの解像度は第1モードの解像度の半分になる。例えば、画素11の間隔が42μmである場合には、第1モードのときの主走査方向Xにおける解像度は600dpiであり、第2モードのときの主走査方向Xにおける解像度は300dpiである。一方、副走査方向Yについては、画素11の物理的な間隔から決まる解像度は600dpi相当のままであるため、上述のように各色の信号を時間的に遅延させるだけでは位置ずれ補正が不十分な場合がある。本実施形態の第2モードの駆動方法では、色ごとに蓄積期間をずらすことで、加算読み出しにおいて位置ずれ補正を実現することができる。
【0052】
図6は、本実施形態に係る光電変換装置1の第2モードでの駆動方法の概略を示す模式図である。
図6に示されているブロック及びタイミング図の表記は
図5と同様であるため説明を省略する。
図6に示されているように、RとBの画素11の「画素⇒保持部」のブロックにより示されている信号保持の期間がGの画素11の「画素⇒保持部」のブロックにより示されている信号保持の期間と異なっている点が、
図6の
図5に対する相違点である。
【0053】
時刻t4において、制御信号PRES_R、PRES_Bがローレベルになり、RとBの画素11のリセットトランジスタM1がオフになる。これにより、RとBの画素11のリセットが解除され、RとBの画素11の電荷の蓄積が開始する。時刻t5において、制御信号PCM_R、PCM_Bがローレベルになり、RとBの画素11に対応するスイッチSW1がオフになる。これにより、RとBの画素11からの信号出力が終了する。時刻t4から時刻t5までの期間T4は、RとBの画素11に対応する蓄積期間である。
【0054】
また、時刻t5において、制御信号PRES_Gがローレベルになり、Gの画素11のリセットトランジスタM1がオフになる。これにより、Gの画素11のリセットが解除され、Gの画素11の電荷の蓄積が開始する。時刻t6において、制御信号PCM_Gがローレベルになり、Gの画素11に対応するスイッチSW1がオフになる。これにより、Gの画素11からの信号出力が終了する。時刻t5から時刻t6までの期間T5は、Gの画素11に対応する蓄積期間である。
【0055】
図6に示されるように、R、Bの画素11とGの画素11とについて蓄積期間が互いに異なっている。言い換えると、第1モードにおける蓄積期間である期間T1が、第2モードにおいては、R、Bの画素11の蓄積が行われる前半部分である期間T4と、Gの画素11の蓄積が行われる後半部分である期間T5との2つに分割されている。これにより、R、Bの「画素⇒保持部」のブロックが示されている期間T6と、Gの「画素⇒保持部」のブロックが示されている期間T7も別の期間に分けられている。
【0056】
時刻t7以降、
図5と同様に、R、G、Bの3色の画素11から同じ期間に並行して画素信号及びリセット信号が出力され、保持部31に保持される。R、G、Bの「保持部から順次読み出し」のブロックが示されている期間T8については、
図5と同様に、R、G、Bの3色について共通である。
【0057】
期間T8の期間内において、期間T4、T5と同様にして次の読み出しのためのR、Bの画素11についての蓄積が開始されている。R、Bの「画素⇒保持部」のブロックが示されている期間T9において、RとBの画素11に対応する保持部31への信号の保持が行われる。すなわち、期間T8と期間T9は重複しており、保持部31への信号の保持と、保持部31からの信号の出力が同期間に並行して行われている。この動作を行うための具体的な手法については
図7において後述する。
【0058】
図6では、期間T4の長さと期間T5の長さとが同一となっている。これにより、各色の画素11の蓄積期間の長さを一致させることができる。しかしながら、その他の駆動条件によっては、期間T4の長さと期間T5の長さとは同一でなくてもよい。
【0059】
時刻t4から時刻t5までの期間、制御信号PRES_Gはハイレベルに維持されているが、これは必須ではない。期間T5における蓄積の開始までにGの画素11のリセットが行われていればよい。
【0060】
図7は、本実施形態に係る光電変換装置1の第2モードでの駆動タイミングを示すタイミング図である。
図7には、R及びBの画素11と、それらに対応する列回路21及び保持部31の動作が示されている。以下の説明においては、
図4と共通する部分については説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0061】
制御信号PADDは全期間に渡ってハイレベルであり、スイッチSW3はオンである。したがって、第n列と第n+1列の列回路21は、クランプ容量C0と増幅器22の間のノードにおいて短絡されている。これにより、第n列と第n+1列の増幅器22は、第n列と第n+1列の画素11からの信号を加算して出力する。
【0062】
制御信号en(n)は時刻t31から時刻t41の期間においてハイレベルであり、他の期間においてローレベルである。また、制御信号en(n+1)は時刻t41以降の期間においてハイレベルであり、他の期間においてローレベルである。したがって、時刻t31から時刻t41の期間において、第n列の増幅器22は動作状態であり、第n+1列の増幅器22はハイインピーダンス状態である。すなわち、この期間においては、加算後の信号は第n列の画素11に対応する保持部31に保持される。時刻t41以降の期間において、第n列の増幅器22はハイインピーダンス状態であり、第n+1列の増幅器22は動作状態である。すなわち、この期間においては、加算後の信号は第n+1列の画素11に対応する保持部31に保持される。このように、第2モードでは、第n列と第n+1列の加算後の信号が、第n列と第n+1列の一方の保持部31に選択的に保持される。
【0063】
時刻t31から時刻t39までの期間は、
図6における期間T4に対応する。この期間の動作は、
図4の時刻t11から時刻t20までの動作と概ね同様であるため説明を省略する。時刻t40から時刻t50までの期間は、
図6における期間T5に対応する。この期間は、Gの画素11における蓄積期間であり、
図6に示されているR及びBの画素11に関連する動作は特に行われない。
【0064】
時刻t50以降の期間は、
図6における時刻t7以降の期間、すなわち、期間T8に対応する。時刻t50において、制御信号HSR(1)がハイレベルになり、第1列のスイッチSW6、SW7がオンになる。これにより、第1列の保持部31に保持されている信号が共通出力線50に出力される。この時刻から水平走査が開始する。時刻t51において、制御信号HSR(n)がハイレベルになり、第n列のスイッチSW6、SW7がオンになる。これにより、第n列の保持部31に保持されている信号が共通出力線50に出力される。このとき出力される信号は、時刻t31から時刻t39までの期間において、第n列の画素11に対応する保持部31に保持されている第n列と第n+1列の加算信号である。
【0065】
この加算信号の出力と並行して、時刻t41から時刻t49において、画素11における電荷の蓄積及び保持部31への信号の保持が行われる。このとき、第n+1列の増幅器22が動作状態であるため、加算後の信号は、第n+1列の画素11に対応する保持部31に保持される。この加算信号は、時刻t52に開始される水平走査において、時刻t53に共通出力線50に出力される。
【0066】
なお、第2モードでは加算読み出しが行われるため、一部の列からは信号が出力されない。
図7において時刻t50、t52には、HSR(1)がハイレベルになるパルスが図示されているが、実際には時刻t50、t52の一方又は両方において、HSR(1)がハイレベルにならない場合もある。すなわち、
図7のHSR(1)は水平走査の開始時刻を示すために図示しているものであり、実際の第1列の駆動は
図7に示す通りではない場合がある。
【0067】
以上のようにして、本実施形態の第2モードにおける時刻t50から時刻t49の期間においては、第n+1列の画素11に対応する保持部31への信号の保持と、第n列の画素11に対応する保持部31からの信号の出力が並行して行われている。信号の加算読み出しを行う際には、一部の列からは信号が出力されないため、信号の出力に用いられない保持部31が存在する。本実施形態ではそのような列の保持部31に次の期間の信号出力のための信号を保持させることにより、同期間に保持部31への信号の保持と、保持部31からの信号の出力を並行して行わせることができる。これにより、色ごとに蓄積期間をずらすことができ、加算読み出し等が行われる第2モードにおいても位置ずれ補正を実現することができる。
【0068】
また、上述の手法では、水平走査用の信号保持のためのサンプルホールド回路が蓄積時間をずらすための中間メモリの機能を兼ねているため、色ごとに蓄積期間をずらすための追加の中間メモリを設ける必要がない。したがって、本実施形態では、色ごとに蓄積期間をずらす駆動方法を適用することにより生じ得る回路規模の増大等の影響が軽減されている。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、走査時の位置ずれを補正し得る光電変換装置1が提供される。更に、そのような光電変換装置1を適用することにより、走査時の位置ずれに起因する画質劣化が低減された画像読取装置2が提供される。
【0070】
なお、
図7においては、Gの画素11に対応する動作は図示されていないが、これについては、
図6に記載されているように蓄積期間等のタイミングが異なる点を除き、R、Bの画素11に対応する動作と同様である。
【0071】
また、第2モードが間引き読み出しモードである場合には、制御信号PADDが全期間に渡ってローレベルであり、スイッチSW3がオフである点以外は
図7と同様である。この場合、保持部31には、2列の加算信号ではなく、対応する列のみの画素11に基づく信号が保持される。この場合にも同様の効果が得られる。
【0072】
なお、
図7に示されるように、時刻t31から時刻t40の期間では、第n列の保持部31への信号の保持が行われており、その次の読み出し周期である時刻t41から時刻t49の期間では、第n+1列の保持部31への信号の保持が行われている。また、時刻t51においては、第n列の保持部31から信号が出力されており、その次の読み出し周期に含まれる時刻t53においては第n+1列の保持部31から信号が出力されている。すなわち、第1列の保持部31からの信号の出力と、第2列の保持部31への信号の保持を並行して行う第1動作と、第2列の保持部31からの信号の出力と、第1列の保持部31への信号の保持を並行して行う第2動作とが読み出し周期ごとに切り替わっている。このような駆動方法を採用することにより、連続的に本実施形態の処理を繰り返すことができる。
【0073】
[第2実施形態]
本実施形態の光電変換装置1は、第1実施形態の構成における列回路部20とメモリ部30の間のノードに列間の配線の接続又は非接続を制御するスイッチを追加した変形例である。本実施形態の説明において、第1実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0074】
図8は、第2実施形態に係る画素アレイ10、列回路部20及びメモリ部30の構成を示す回路図である。
図8の回路においては、
図3の回路に加えて、更にスイッチSW8が配されている。スイッチSW8の制御端子には、スイッチSW3と同様に制御信号PADDが入力される。
【0075】
スイッチSW8(第2スイッチ)の第1端子は、第n列のスイッチSW2の第2端子、帰還容量Cf1の第2端子、増幅器22の出力端子及びスイッチSW4、SW5の第1端子の接続ノードに接続されている。スイッチSW8の第2端子は、第n+1列のスイッチSW2の第2端子、帰還容量Cf1の第2端子、増幅器22の出力端子及びスイッチSW4、SW5の第1端子の接続ノードに接続されている。すなわち、スイッチSW8は、第n列の画素11に対応する列回路21とメモリ部30の間の配線と、第n+1列の画素11に対応する列回路21とメモリ部30の間の配線との接続又は非接続を制御する機能を有している。
【0076】
次に、本実施形態の光電変換装置1も、第1実施形態と同様に第1モード及び第2モードのいずれかによる信号出力が可能である。第1モードでの駆動方法による駆動タイミングは
図4及び
図5に示すものと同一である。すなわち、第1実施形態と同様に全期間に渡って制御信号PADDがローレベルであり、スイッチSW8はオフである。したがって、第1モードでの駆動方法は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0077】
図9を参照して、第2モードでの駆動方法を説明する。
図9は、本実施形態に係る光電変換装置1の第2モードでの駆動タイミングを示すタイミング図である。
図7との相違点は、制御信号en(n)が全期間に渡ってハイレベルであり、制御信号en(n+1)が全期間に渡ってローレベルである点のみである。したがって、第n列の増幅器22は全期間に渡って動作状態であり、第n+1列の増幅器22は全期間に渡ってハイインピーダンス状態である。
【0078】
本実施形態では、第n列の画素11に対応する保持部31に信号が保持される期間と、第n+1列の画素11に対応する保持部31に信号が保持される期間のいずれにおいても第n列の増幅器22が動作する。したがって、増幅回路のゲインの違い等の信号の経路の差に起因する信号レベルのばらつきが第1実施形態の構成に比べて低減される。以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られることに加え、第2モードにおいて信号の経路の差に起因する信号レベルのばらつきが低減される。
【0079】
なお、本実施形態の回路構成においても、制御信号en(n)、en(n+1)の駆動タイミングに第1実施形態と同じものを適用してもよい。この場合においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0080】
[第3実施形態]
本実施形態の光電変換装置1は、第2実施形態の構成における列回路部20が可変のアナログゲインを有する増幅回路として機能するように変形されている変形例である。本実施形態の説明において、第2実施形態と共通する要素については説明を省略又は簡略化することがある。
【0081】
図10は、第3実施形態に係る画素アレイ10、列回路部20及びメモリ部30の構成を示す回路図である。
図10の回路においては、
図8の回路における帰還容量Cf1がゲイン可変部23に変形されている。ゲイン可変部23は、増幅器22、クランプ容量C0及びゲイン可変部23内の容量により構成される増幅回路のゲインを可変にする機能を有している。
【0082】
ゲイン可変部23は、帰還容量Cf1、Cf2、Cf3、Cf4及びスイッチSW12、SW13、SW14を有している。帰還容量Cf1の接続関係は、
図8と同様である。スイッチSW12、SW13、SW14の第1端子は、帰還容量Cf1の第1端子と接続されている。スイッチSW12、SW13、SW14の第2端子は帰還容量Cf2、Cf3、Cf4にそれぞれ接続されている。帰還容量Cf2、Cf3、Cf4の第2端子は、帰還容量Cf1の第2端子と接続されている。スイッチSW12、SW13、SW14を制御する制御信号は、制御部70から入力される。なお、
図10では、スイッチと帰還容量の組がゲイン可変部23に3対含まれているが、ゲイン可変部23に含まれ得るスイッチ及び帰還容量の対数は、
図10に示すものに限定されない。
【0083】
スイッチSW12、SW13、SW14の各々が制御されることにより、ゲイン可変部23に含まれる複数の帰還容量Cf1、Cf2、Cf3、Cf4が並列接続される個数が変化する。これにより、ゲイン可変部23内の合成容量が変化し、増幅器22、クランプ容量C0及びゲイン可変部23内の容量により構成される増幅回路のゲインが変化する。
【0084】
一例として、帰還容量Cf1、Cf2、Cf3、Cf4の容量値が同一であり、スイッチSW12、SW13、SW14がすべてオフのときのゲインをG1、スイッチSW12、SW13、SW14がすべてオンのときのゲインをG2とする。このとき、G1/G2は4であり、スイッチSW12、SW13、SW14の制御に応じてゲインを4倍に変化させることができる。
【0085】
これにより、本実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態と同様の効果が得られることに加え、信号のアナログゲインを変化させることができる。
【0086】
図9に示すような第2モードの駆動方法では、第1モードの場合に比べて蓄積時間が半分になるため、信号レベルが半分に低下する。このように第2モードの駆動方法を適用すると信号レベルが低下する場合がある。このような場合に、本実施形態では、ゲイン可変部23を制御してゲインを上昇させることにより、信号レベルを上昇させることができる。したがって、第1モードの場合よりも第2モードの方が高いアナログゲインとなるようにゲイン可変部23が制御されることが望ましく、第2モードの駆動方法を適用することによる蓄積時間の減少の影響を低減することができる。
【0087】
なお、本実施形態では、
図8の回路における帰還容量Cf1がゲイン可変部23に置き換えられている例を示しているが、
図3の回路における帰還容量Cf1をゲイン可変部23に置き換えてもよく、同様の効果が得られる。
【0088】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
【0089】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0090】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 光電変換装置
2 画像読取装置
10 画素アレイ
11 画素
20 列回路部
21 列回路
30 メモリ部
31 保持部
70 制御部