(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241218BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20241218BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/306 J
H01L21/304 643A
(21)【出願番号】P 2021049170
(22)【出願日】2021-03-23
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平藤 裕司
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-304116(JP,A)
【文献】特開2017-041506(JP,A)
【文献】特開2010-123733(JP,A)
【文献】特開2021-044482(JP,A)
【文献】特開2004-146450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/306
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板またはダミー基板を収容するキャリヤを保持するキャリヤ保持部と、
基板を処理し、かつダミー基板を用いる処理を実行する複数の第1処理ユニットを有する第1処理ユニット群と、
基板を処理し、かつダミー基板を用いる処理を実行する複数の第2処理ユニットを有する第2処理ユニット群と、
ダミー基板を収容する第1ダミー基板収容部と、
ダミー基板を収容する第2ダミー基板収容部と、
基板が載置される基板載置部と、
前記複数の第1処理ユニット、前記基板載置部および前記第1ダミー基板収容部にアクセス可能に構成され、前記複数の第1処理ユニットおよび前記基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第1処理ユニットおよび前記第1ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する第1搬送ユニットと、
前記複数の第2処理ユニット、前記基板載置部および前記第2ダミー基板収容部にアクセス可能に構成され、前記複数の第2処理ユニットおよび前記基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第2処理ユニットおよび前記第2ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する第2搬送ユニットと、
前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤおよび前記基板載置部にアクセス可能であり、前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記基板載置部との間で、基板を搬送する第3搬送ユニットと、
前記第1処理ユニット群の状態を表す第1ステータスと、前記第2処理ユニット群の状態を表す第2ステータスとを含むデータを記憶する記憶部と、
前記第1搬送ユニット、前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによる基板またはダミー基板の搬送スケジュールを作成するスケジュール作成部と、
前記スケジュール作成部によって作成された搬送スケジュールに従って、前記第1搬送ユニット、前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによる基板またはダミー基板の搬送を制御する搬送制御部と、を含み、
前記第1ステータスは、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含み、
前記第2ステータスは、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含み、
前記第1ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記スケジュール作成部は、前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように計画された基板の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第2搬送ユニットによって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように計画する搬送スケジュールを作成し、
前記第2ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記スケジュール作成部は、前記第2搬送ユニットよって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように計画された基板の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように計画する搬送スケジュールを作成する、基板処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報と、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報とを記憶し、
前記記憶部に記憶されている前記使用履歴情報に基づいて、前記第1ダミー基板収容部および前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換の要否を判断し、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第1ステータスを禁止モードとし、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第2ステータスを禁止モードとする、ステータス設定部をさらに含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記スケジュール作成部は、前記第1処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第1ダミー基板収容部との間で前記第1搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送し、前記第2処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第2ダミー基板収容部との間で前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送するための搬送スケジュールを作成する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板載置部は、前記第1搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットがアクセス可能な第1基板載置部と、前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットがアクセス可能な第2基板載置部とを含み、
前記第1搬送ユニットは、前記複数の第1処理ユニットおよび前記第1基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第1処理ユニット、前記第1基板載置部および前記第1ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送し、
前記第2搬送ユニットは、前記複数の第2処理ユニットおよび前記第2基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第2処理ユニット、前記第2基板載置部および前記第2ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送し、
前記第3搬送ユニットは、前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第1基板載置部との間で基板およびダミー基板を搬送し、前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第2基板載置部との間で基板およびダミー基板を搬送する、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第3搬送ユニットが、前記第1ダミー基板収容部および前記第2ダミー基板収容部にアクセス可能に構成されており、
前記スケジュール作成部は、前記第1処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第1ダミー基板収容部との間で前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送し、前記第2処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第2ダミー基板収容部との間で前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送するための搬送スケジュールを作成する、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項6】
第1処理ブロック層と、前記第1処理ブロック層の上方に位置する第2処理ブロック層とを含み、
前記第1処理ブロック層に前記第1処理ユニット群が配置されており、
前記第2処理ブロック層に前記第2処理ユニット群が配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
第1処理ブロック部と、前記第1処理ブロック部の側方に位置する第2処理ブロック部とを含み、
前記第1処理ブロック部に前記第1処理ユニット群が配置されており、
前記第2処理ブロック部に前記第2処理ユニット群が配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記第1ダミー基板収容部および前記第2ダミー基板収容部が、平面視において、前記基板載置部と重なっている、請求項1~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
搬送スケジュールに従って、第1処理ユニット群に属する複数の第1処理ユニットと基板載置部との間で、第1搬送ユニットによって基板を搬送する工程と、
前記第1処理ユニットにおいて、前記第1搬送ユニットによって搬送された基板を処理する工程と、
前記搬送スケジュールに従って、前記複数の第1処理ユニットと第1ダミー基板収容部との間で、前記第1搬送ユニットによってダミー基板を搬送する工程と、
前記第1処理ユニットにおいて、前記第1搬送ユニットによって搬送されたダミー基板を用いたダミー処理を実行する工程と、
前記搬送スケジュールに従って、第2処理ユニット群に属する複数の第2処理ユニットと前記基板載置部との間で、第2搬送ユニットによって基板を搬送する工程と、
前記第2処理ユニットにおいて、前記第2搬送ユニットによって搬送された基板を処理する工程と、
前記搬送スケジュールに従って、前記複数の第2処理ユニットと第2ダミー基板収容部との間で、前記第2搬送ユニットによってダミー基板を搬送する工程と、
前記第2処理ユニットにおいて、前記第2搬送ユニットによって搬送されたダミー基板を用いたダミー処理を実行する工程と、
前記搬送スケジュールに従って、キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記基板載置部との間で、第3搬送ユニットによって基板を搬送する工程と、
前記第1処理ユニット群に対して、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含む第1ステータスを設定する工程と、
前記第2処理ユニット群に対して、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含む第2ステータスを設定する工程と、
前記第1ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように計画された基板の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第2搬送ユニットによって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように、前記搬送スケジュールを作成する工程と、
前記第2ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記第2搬送ユニットよって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように計画された基板の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように、前記搬送スケジュールを作成する工程と、
を含む、基板処理方法。
【請求項10】
前記第1ステータスを設定する工程は、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報に基づいて、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換の要否を判断し、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第1ステータスを禁止モードとし、
前記第2ステータスを設定する工程は、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報に基づいて、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換の要否を判断し、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第2ステータスを禁止モードとする、請求項9に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する装置および方法に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程においては、半導体ウエハのような基板を処理する基板処理装置が用いられる。このような基板処理装置の一例は、特許文献1に開示されている。この基板処理装置は、基板を収容するキャリヤを保持するキャリヤ保持部と、基板を処理する複数の処理ユニットと、キャリヤと処理ユニットとの間で基板を搬送する搬送ユニットと、制御ユニットとを含む。処理ユニットの不使用継続時間が所定時間に達すると、制御装置は、ホスト装置に対して、ダミー基板を保持したダミーキャリヤの搬入を要求する。ダミーキャリヤがキャリヤ保持部に搬入されると、搬送ユニットは、ダミーキャリヤから処理ユニットへとダミー基板を搬送する。そのダミー基板を用いて処理ユニットの洗浄が行われる。
【0003】
搬送ユニットは、インデクサロボットと、主搬送ロボットとを含み、これらの間に受け渡しユニットが配置されている。インデクサロボットは、キャリヤと受け渡しユニットとの間で基板を搬送する。主搬送ロボットは、受け渡しユニットと処理ユニットとの間で基板を搬送する。
ダミーキャリヤがキャリヤ保持部に置かれると、インデクサロボットはダミーキャリヤからダミー基板を取り出して受け渡しユニットまで搬送する。そのダミー基板は、主搬送ロボットによって、受け渡しユニットから処理ユニットへと搬送される。ダミー基板を用いたユニット洗浄処理が終了すると、主搬送ロボットは、ダミー基板を処理ユニットから取り出して受け渡しユニットへと搬送する。そのダミー基板は、インデクサロボットによって、受け渡しユニットからダミーキャリヤへと搬送される。全てのダミー基板がダミーキャリヤに収容されると、ダミーキャリヤがキャリヤ保持部から搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ダミー基板が基板処理装置の外部から導入され、製品基板と同じ経路を通って処理ユニットに搬送され、かつ処理ユニットから搬出されてダミーキャリヤに収容される。したがって、ダミー基板の搬送のためにインデクサロボットおよび主搬送ロボットの両方が用いられ、かつ受け渡しユニットを通ってダミー基板が搬送される。それにより、製品基板の搬送と干渉し、製品基板の搬送効率が悪くなり、結果として、生産性の向上が妨げられる。
【0006】
とりわけ、処理ユニットの数を増やして多数枚の製品基板を並行処理するように構成された基板処理装置においては、インデクサロボットおよび主搬送ロボットの搬送負荷が大きく、その軽減が生産性向上の鍵を握る。
また、ダミーキャリヤがキャリヤ保持部に搬入され、そこからダミー基板が処理ユニットへと搬送され、処理ユニットでの処理を終えて当該ダミー基板がキャリヤに収容されるまで、ダミーキャリヤがキャリヤ保持部を占有する。したがって、ダミーキャリヤによるキャリヤ保持部の占有が続くので、製品基板の搬入に待機時間が生じるおそれがある。したがって、この観点からも、生産性の向上が妨げられている。
【0007】
そこで、この発明の一実施形態は、製品用の基板の搬送への影響を軽減しながら、ダミー基板を用いた処理を処理ユニット内で行うことができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一実施形態は、基板またはダミー基板を収容するキャリヤを保持するキャリヤ保持部と、基板を処理し、かつダミー基板を用いる処理を実行する複数の第1処理ユニットを有する第1処理ユニット群と、基板を処理し、かつダミー基板を用いる処理を実行する複数の第2処理ユニットを有する第2処理ユニット群と、ダミー基板を収容する第1ダミー基板収容部と、ダミー基板を収容する第2ダミー基板収容部と、基板が載置される基板載置部と、前記複数の第1処理ユニット、前記基板載置部および前記第1ダミー基板収容部にアクセス可能に構成され、前記複数の第1処理ユニットおよび前記基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第1処理ユニットおよび前記第1ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する第1搬送ユニットと、前記複数の第2処理ユニット、前記基板載置部および前記第2ダミー基板収容部にアクセス可能に構成され、前記複数の第2処理ユニットおよび前記基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第2処理ユニットおよび前記第2ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する第2搬送ユニットと、前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤおよび前記基板載置部にアクセス可能であり、前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記基板載置部との間で、基板を搬送する第3搬送ユニットと、前記第1処理ユニット群の状態を表す第1ステータスと、前記第2処理ユニット群の状態を表す第2ステータスとを含むデータを記憶する記憶部と、前記第1搬送ユニット、前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによる基板またはダミー基板の搬送スケジュールを作成するスケジュール作成部と、前記スケジュール作成部によって作成された搬送スケジュールに従って、前記第1搬送ユニット、前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによる基板またはダミー基板の搬送を制御する搬送制御部と、を含む、基板処理装置を提供する。前記第1ステータスは、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含む。前記第2ステータスは、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含む。前記第1ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記スケジュール作成部は、前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように計画された基板(とくにキャリヤから払い出し前の基板)の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第2搬送ユニットによって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように計画する搬送スケジュールを作成する。前記第2ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記スケジュール作成部は、前記第2搬送ユニットよって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように計画された基板(とくにキャリヤから払い出し前の基板)の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように計画する搬送スケジュールを作成する。
【0009】
この構成によれば、基板処理装置内にダミー基板収容部を備えているので、処理ユニットにおいてダミー基板を使用する必要が生じたときには、第3搬送ユニットの関与なしに、ダミー基板収容部と処理ユニットとの間でダミー基板を搬送できる。
したがって、第3搬送ユニットの搬送負荷を軽減できるので、製品用の基板の搬送への影響を軽減しながら、ダミー基板を用いる処理を行える。とりわけ、複数の処理ユニットをそれぞれ有する第1および第2処理ユニット群とキャリヤ保持部に保持されるキャリヤとの間での全ての基板の搬送に関与する第3搬送ユニットの搬送負荷は、非常に大きい。したがって、第3搬送ユニットの搬送負荷を軽減することによって、製品用の基板の搬送効率が良くなり、それに応じて、生産性を向上できる。第1および第2搬送ユニットは、第1および第2処理ユニット群と基板載置部との間の基板の搬送を分担して受け持つので、第3搬送ユニットに比較して搬送負荷が小さい。したがって、第1および第2搬送ユニットがダミー基板の搬送を受け持つことは、生産効率の観点から、大きな問題とはならない。
【0010】
また、第1および第2搬送ユニットは、それぞれ第1および第2ダミー基板収容部にアクセスできるので、ダミー基板収容部と処理ユニットとの間のダミー基板の搬送は、基板載置部を経由することなく行える。したがって、ダミー基板の搬送と製品用の基板の搬送との干渉を低減できるので、製品用の基板の搬送効率が良くなり、それに応じて、生産性を向上できる。
【0011】
さらに、この実施形態では、第1搬送ユニットが第1ダミー基板収容部と第1処理ユニット群との間でダミー基板を搬送し、第2搬送ユニットが第2ダミー基板収容部と第2処理ユニット群との間でダミー基板を搬送する。それにより、ダミー基板の搬送負荷が分散されるので、製品用の基板の搬送とダミー基板の搬送との干渉を抑制して、基板の搬送効率を向上できる。これによっても、生産性を向上することができる。
【0012】
さらに、特許文献1の場合とは異なり、ダミー基板を収容するダミーキャリヤによってキャリヤ保持部が長時間に亘って占有されることもない。それにより、製品用の基板を収容したキャリヤの搬入に待機時間が生じることを抑制できるので、生産性の向上に寄与することができる。
しかも、この実施形態では、第1処理ユニット群および第2処理ユニット群に対して、個別に禁止モードおよび可能モードが設定可能であり、これらのモードは第1処理ユニット群に対応する第1ステータスおよび第2処理ユニット群に対応する第2ステータスとして、記憶部に記憶される。すなわち、第1処理ユニット群について、禁止モードまたは可能モードを表す第1ステータスが記憶部に記憶され、第2処理ユニット群について、禁止モードまたは可能モードを表す第2ステータスが記憶部に記憶される。禁止モードは、当該処理ユニット群において基板およびダミー基板のいずれも処理することができない動作状態である。可能モードは、当該処理ユニット群において基板を処理でき、かつダミー基板を用いる処理を実行することができる動作状態である。第1処理ユニット群および第2処理ユニット群は、したがって、個別に、禁止モードまたは可能モードとなる。すなわち、第1および第2処理ユニット群の両方が可能モードである場合、第1および第2処理ユニット群の両方が禁止モードである場合、ならびに第1および第2処理ユニット群の一方が可能モードで他方が禁止モードである場合があり得る。
【0013】
そこで、この実施形態では、第1ステータス、すなわち第1処理ユニット群の動作状態が可能モードから禁止モードに遷移すると、第1処理ユニット群による処理が計画された基板の搬送スケジュールが変更される。具体的には、第1搬送ユニットによって第1処理ユニット群に搬送されるように計画された基板の搬送スケジュールが破棄され、当該基板を第2搬送ユニットによって、可能モードの第2処理ユニット群に搬送するための搬送スケジュールが新たに作成される。その結果、当該基板は、第2搬送ユニットによって、第2処理ユニット群を構成する第2処理ユニットへと搬送できるので、第2処理ユニットにおいて処理することが可能となる。第2ステータス、すなわち第2処理ユニット群の動作状態が可能モードから禁止モードに遷移する場合も同様に、第2処理ユニット群による処理が計画された基板の搬送スケジュールが変更される。具体的には、第2搬送ユニットによって第2処理ユニット群に搬送されるように計画された基板の搬送スケジュールが破棄され、当該基板を第1搬送ユニットによって、可能モードの第1処理ユニット群に搬送するための搬送スケジュールが新たに作成される。その結果、当該基板は、第1搬送ユニットによって、第1処理ユニット群を構成する処理ユニットへと搬送できるので、第1処理ユニット群によって処理することが可能となる。
【0014】
このようにして、第1および第2処理ユニット群の一方が可能モードから禁止モードに遷移しても、他方の可能モードの処理ユニット群において、基板の搬送および処理を継続できる。それにより、基板処理装置全体のダウンタイムを少なくできるので、生産性を高めることができる。
この発明の一実施形態では、第1搬送ユニットは、第2処理ユニットおよび第2ダミー基板収容部のいずれにもアクセスできないように構成されている。また、この発明の一実施形態では、第2搬送ユニットは、第1処理ユニットおよび第1ダミー基板収容部のいずれにもアクセスできないように構成されている。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記第3搬送ユニットは、キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記基板載置部との間でダミー基板を搬送する。また、第1搬送ユニットは、前記複数の第1処理ユニット、前記基板載置部および前記第1ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する。また、第2搬送ユニットは、前記複数の第2処理ユニット、前記基板載置部および前記第2ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する。これにより、基板載置部を経由して、未使用のダミー基板を第1ダミー基板収容部および第2ダミー基板収容部に導入したり、使用済みのダミー基板を第1ダミー基板収容部および第2ダミー基板収容部からキャリヤへと排出したりすることができる。
【0016】
この発明の一実施形態では、前記記憶部は、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報と、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報とを記憶する。前記基板処理装置は、前記記憶部に記憶されている前記使用履歴情報に基づいて、前記第1ダミー基板収容部および前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換の要否を判断し、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第1ステータスを禁止モードとし、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第2ステータスを禁止モードとする、ステータス設定部をさらに含む。
【0017】
この構成により、ダミー基板の使用履歴に基づいてダミー基板の交換の要否が適切に判断され、それに応じて、第1ステータスおよび第2ステータスを適切に禁止モードに設定できる。すなわち、ダミー基板の交換が必要になると、処理ユニットにおいてダミー基板を用いた処理を行うことができなくなるので、当該処理ユニットを含む処理ユニット群のステータスが禁止モードとなる。前述のとおり、第1ステータスおよび第2ステータスは個別に設定されるので、第1ステータスおよび第2ステータスの一方が禁止モードとなっても、他方が可能モードであれば、当該可能モードのステータスの処理ユニット群において、基板に対する処理およびダミー基板を用いた処理を継続できる。その一方で、禁止モードの処理ユニット群に対応するダミー基板収容部のダミー基板を交換することができる。こうして、ダミー基板の交換が必要になったときでも、基板の処理を継続できるので、生産性を向上することができる。
【0018】
この発明の一実施形態では、前記スケジュール作成部は、前記第1処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第1ダミー基板収容部との間で前記第1搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送し、前記第2処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第2ダミー基板収容部との間で前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送するための搬送スケジュールを作成する。
【0019】
この構成によれば、禁止モードの処理ユニット群に対応するダミー基板収容部に対して、ダミー基板の搬入および/または搬出が行われる。したがって、可能モードの処理ユニット群において製品用の基板の搬送および処理を行う一方で、禁止モードの処理ユニット群に対応したダミー基板収容部にダミー基板を搬入したり、当該ダミー基板収容部からダミー基板を搬出したりすることができる。これにより、基板処理装置全体の動作を停止させることなく、ダミー基板の導入、排出または交換を行うことができる。それにより、ダミー基板の導入、排出または交換に起因する生産停止を回避できるので、生産性を高めることができる。
【0020】
この発明の一実施形態では、前記基板載置部は、前記第1搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットがアクセス可能な第1基板載置部と、前記第2搬送ユニットおよび前記第3搬送ユニットがアクセス可能な第2基板載置部とを含む。前記第1搬送ユニットは、前記複数の第1処理ユニットおよび前記第1基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第1処理ユニット、前記第1基板載置部および前記第1ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する。前記第2搬送ユニットは、前記複数の第2処理ユニットおよび前記第2基板載置部の間で基板を搬送し、前記複数の第2処理ユニット、前記第2基板載置部および前記第2ダミー基板収容部の間でダミー基板を搬送する。前記第3搬送ユニットは、前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第1基板載置部との間で基板およびダミー基板を搬送し、前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第2基板載置部との間で基板およびダミー基板を搬送する。
【0021】
この構成によれば、第1処理ユニット群に対応した第1基板載置部と、第2処理ユニット群に対応した第2基板載置部とが設けられている。それにより、第1処理ユニット群に対する基板の搬送および第1ダミー基板収容部に対するダミー基板の搬送と、第2処理ユニット群に対する基板の搬送および第2ダミー基板収容部に対するダミー基板の搬送との干渉を少なくすることができる。それにより、基板搬送効率が高まるので、生産性を高めることができる。
【0022】
この発明の一実施形態では、前記第3搬送ユニットが、前記第1ダミー基板収容部および前記第2ダミー基板収容部にアクセス可能に構成されており、前記スケジュール作成部は、前記第1処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第1ダミー基板収容部との間で前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送し、前記第2処理ユニット群が禁止モードのときに前記キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記第2ダミー基板収容部との間で前記第3搬送ユニットによってダミー基板を搬送するための搬送スケジュールを作成する。
【0023】
この構成によれば、第3搬送ユニットが第1ダミー基板収容部と第2ダミー基板収容部とにアクセス可能であるので、キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと第1および第2ダミー基板収容部との間でダミー基板を直接的に、すなわち、第1または第2主搬送ロボットの関与なしに、搬送することができる。これにより、ダミー基板の導入、排出または交換を速やかに行うことができ、かつ第1および第2主搬送ロボットの搬送負荷を軽減して、生産性の向上に寄与できる。
【0024】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置は、第1処理ブロック層と、前記第1処理ブロック層の上方に位置する第2処理ブロック層とを含み、前記第1処理ブロック層に前記第1処理ユニット群が配置されており、前記第2処理ブロック層に前記第2処理ユニット群が配置されている。
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置は、第1処理ブロック部と、前記第1処理ブロック部の側方に位置する第2処理ブロック部とを含み、前記第1処理ブロック部に前記第1処理ユニット群が配置されており、前記第2処理ブロック部に前記第2処理ユニット群が配置されている。
【0025】
この発明の一実施形態では、前記第1ダミー基板収容部および前記第2ダミー基板収容部が、平面視において、前記基板載置部と重なっている。
この構成によれば、基板載置部の上方または下方の空間を利用して、平面視において基板載置部と重なるようにダミー基板収容部を配置できる。これにより、製品用の基板の搬送を阻害しないダミー基板収容部の配置を実現でき、かつ空間利用効率のよい配置を達成できる。
【0026】
ダミー基板収容部が平面視において基板載置部に重なり合う配置は、具体的には、ダミー基板収容部に収容されたダミー基板の一部または全部が基板載置部に保持された基板に重なり合う配置であってもよい。
この発明の一実施形態では、前記第1ダミー基板収容部および前記第2ダミー基板収容部が、前記基板載置部を挟んで上下に振り分けて配置されている。
【0027】
この発明の一実施形態は、搬送スケジュールに従って、第1処理ユニット群に属する複数の第1処理ユニットと基板載置部との間で、第1搬送ユニットによって基板を搬送する工程と、前記第1処理ユニットにおいて、前記第1搬送ユニットによって搬送された基板を処理する工程と、前記搬送スケジュールに従って、前記複数の第1処理ユニットと第1ダミー基板収容部との間で、前記第1搬送ユニットによってダミー基板を搬送する工程と、前記第1処理ユニットにおいて、前記第1搬送ユニットによって搬送されたダミー基板を用いたダミー処理を実行する工程と、前記搬送スケジュールに従って、第2処理ユニット群に属する複数の第2処理ユニットと前記基板載置部との間で、第2搬送ユニットによって基板を搬送する工程と、前記第2処理ユニットにおいて、前記第2搬送ユニットによって搬送された基板を処理する工程と、前記搬送スケジュールに従って、前記複数の第2処理ユニットと第2ダミー基板収容部との間で、前記第2搬送ユニットによってダミー基板を搬送する工程と、前記第2処理ユニットにおいて、前記第2搬送ユニットによって搬送されたダミー基板を用いたダミー処理を実行する工程と、前記搬送スケジュールに従って、キャリヤ保持部に保持されたキャリヤと前記基板載置部との間で、第3搬送ユニットによって基板を搬送する工程と、前記第1処理ユニット群に対して、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第1処理ユニット群に含まれる前記第1処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含む第1ステータスを設定する工程と、前記第2処理ユニット群に対して、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理をいずれも実行することができない禁止モードと、前記第2処理ユニット群に含まれる前記第2処理ユニットにおいて基板に対する処理およびダミー基板を用いる処理を実行することができる可能モードとを含む第2ステータスを設定する工程と、前記第1ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように計画された基板(とくにキャリヤから払い出し前の基板)の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第2搬送ユニットによって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように、前記搬送スケジュールを作成する工程と、前記第2ステータスが可能モードから禁止モードになると、前記第2搬送ユニットよって前記第2処理ユニット群のいずれかの前記第2処理ユニットに搬送されるように計画された基板(とくにキャリヤから払い出し前の基板)の搬送スケジュールを破棄し、当該基板が前記第1搬送ユニットによって前記第1処理ユニット群のいずれかの前記第1処理ユニットに搬送されるように、前記搬送スケジュールを作成する工程と、を含む、基板処理方法を提供する。
【0028】
この発明の一実施形態では、前記第1ステータスを設定する工程は、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報に基づいて、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換の要否を判断し、前記第1ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第1ステータスを禁止モードとする。前記第2ステータスを設定する工程は、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の使用履歴情報に基づいて、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換の要否を判断し、前記第2ダミー基板収容部に収容されるダミー基板の交換が必要であると判断されると前記第2ステータスを禁止モードとする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の内部構成を示す図解的な平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線から見た図解的な縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線から見た図解的な横断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のIV方向から見て処理ブロックの内部構成を示す図解的な立面図である。
【
図5】
図5は、基板載置部の構成例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、ダミー基板収容部の構成例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
【
図8】
図8は、基板処理装置の制御に関する構成を説明するためのブロック図である。
【
図9】
図9は、ダミー処理に関連するコントローラの動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図10は、第1処理ブロック層の第1ステータスおよび第2処理ブロック層の第2ステータスの遷移、ならびにそれらに基づく搬送スケジュールの変更についての動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、ダミー基板収容部に対する未使用のダミー基板の搬入および使用済みダミー基板の搬出に関する動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図12A】
図12Aは、第1ステータスおよび第2ステータスがいずれも可能モードであるときの基板搬送動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図12B】
図12Bは、第2ステータスが可能モードから禁止モードに遷移する場合の基板搬送動作の一例を示すタイムチャートである。
【
図13】
図13は、この発明の他の実施形態に係る基板処理装置の内部構成を示す図解的な縦断面図である。
【
図14】
図14は、この発明のさらに他の実施形態に係る基板処理装置の内部構成を示す図解的な縦断面図である。
【
図15】
図15は、この発明のさらに他の実施形態に係る基板処理装置の内部構成を示す図解的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の内部構成を示す図解的な平面図である。
図2は、
図1のII-II線から見た図解的な縦断面図である。
図3は、
図1のIII-III線から見た図解的な横断面図である。
図4は、
図1のIV方向から見て一部の内部構成を示す図解的な立面図である。
【0031】
基板処理装置1は、インデクサブロック2と、インデクサブロック2の横方向(第1水平方向X)に隣接された処理ブロック3とを含む。
インデクサブロック2は、複数(この実施形態では4個)のキャリヤ保持部25(ロードポート)と、インデクサロボット26とを含む。以下では、便宜的に、第1水平方向Xに関してキャリヤ保持部25の側を前方と定義し、その反対側を後方と定義して説明する場合がある。
【0032】
複数のキャリヤ保持部25は、第1水平方向Xに直交する第2水平方向Yに沿って配列されている。各キャリヤ保持部25は、工場内に備えられたキャリヤ搬送機構300によって自動搬送されるキャリヤCを受け容れて保持できるように構成されている。各キャリヤ保持部25は、一つのキャリヤCを保持できるように構成されている。キャリヤCは、処理対象の基板W(製品基板)を収容する基板収容器である。キャリヤCの一例は、FOUP(Front Opening Unified Pod)である。キャリヤCは、複数枚(たとえば25枚)の基板Wを積層状態で保持できるように構成されている。より具体的には、キャリヤCは、キャリヤ保持部25に保持されたときに、複数枚の基板Wを水平姿勢で上下方向Zに沿って積層状態で保持できるように構成されている。キャリヤ保持部25は、基板収容器であるキャリヤCを保持する収容器保持部の一例である。基板Wは、たとえば、半導体ウエハである。
【0033】
インデクサロボット26は、第3搬送ユニットの一例である。インデクサロボット26は、複数のキャリヤ保持部25にそれぞれ保持されるキャリヤCにアクセスして、基板Wを搬入/搬出し、キャリヤ保持部25と処理ブロック3との間で基板Wを搬送できるように構成されている。この実施形態では、インデクサロボット26は、多関節アーム27を備えた多関節アームロボットである。具体的には、インデクサロボット26は、複数のアーム28を連結した多関節アーム27と、多関節アーム27の先端に結合された一つ以上のハンド29と、多関節アーム27を支持して上下動する基台部30とを含む。多関節アーム27を構成する複数のアーム28およびハンド29は、各基端部に設定された垂直な揺動軸線まわりに揺動可能であり、図示は省略するが、各アーム28およびハンド29を揺動するための個別のアクチュエータ(典型的には電動モータ)が備えられている。
【0034】
処理ブロック3は、上下方向Zに積層された複数の処理ブロック層BL,BUを含む。この実施形態では、処理ブロック3は、第1層(下層)の処理ブロック層(以下「第1処理ブロック層BL」という。)と、その上方に積層された第2層(上層)の処理ブロック層(以下「第2処理ブロック層BU」という。)とを含む。以下では、第1処理ブロック層BLの構成要素と第2処理ブロック層BUとの構成要素を区別するときには、第1処理ブロック層BLの構成要素については英文字「L」を末尾に有する参照符号を用い、第2処理ブロック層BUの構成要素については英文字「U」末尾に有する参照符号を用いる。添付図面中の参照符号も同様である。
【0035】
第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUの平面視における内部構成は実質的に同じである。したがって、
図1において、参照符号の末尾の英文字「U」を英文字「L」に置き換えて読むことにより、第1処理ブロック層BLの構成(平面視における配置)が表されることに留意されたい。
第1処理ブロック層BLは、複数(この実施形態では、12個)の処理ユニット11L-13L,21L-23L,31L-33L,41L-43L(以下、第1処理ブロック層BLの処理ユニットを総称するときには「処理ユニット11L-43L」という。)を含み、これらは第1処理ユニット群を構成している。第1処理ブロック層BLは、さらに、基板載置部6Lと、ダミー基板収容部7Lと、主搬送ロボット8Lとを含む。複数の処理ユニット11L-43Lは、基板Wに対して処理を行う。この実施形態では、各処理ユニット11L-43Lは、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型処理ユニットである。基板載置部6Lは、インデクサロボット26と第1処理ブロック層BLとの間で受け渡しされる基板Wを一時保持するためのユニットである。ダミー基板収容部7Lは、処理ユニット11L-43Lにおいて使用可能なダミー基板DWを基板処理装置1の内部で保持しておくためのユニットであり、ダミー基板DWの待機場所を提供する。主搬送ロボット8Lは、基板載置部6L、処理ユニット11L-43Lおよびダミー基板収容部7Lにアクセス可能に構成されている。主搬送ロボット8Lは、基板載置部6Lと処理ユニット11L-43Lとの間で基板Wを搬送し、かつダミー基板収容部7Lと処理ユニット11L-43Lとの間でダミー基板DWを搬送する第1搬送ユニットの一例である。
【0036】
ダミー基板DWとは、基板Wと同様の形状(たとえば円形)および大きさを有する基板である。ダミー基板DWは、キャリヤCから供給される製品用の基板Wとは異なり、実際の製品の製造には利用されない。ダミー基板DWは、処理ユニット11L-43L内の環境を整える前処理(準備処理)、処理ユニット11L-43L内を洗浄するためのユニット洗浄処理などを実行するために、処理ユニット11L-43Lに導入されて用いられる。このようにダミー基板DWを用いる処理を、以下では「ダミー処理」という。前述の前処理およびユニット洗浄処理は、処理ユニット11L-43Lのメンテナンスのためのメンテナンス処理であり、ダミー処理はこのようなメンテナンス処理を含む。
【0037】
複数の処理ユニット11L-43Lは、主搬送ロボット8Lによって基板Wが搬送される搬送経路51Lを提供する搬送空間52Lに沿って、当該搬送空間52Lの両側に配列され、搬送空間52Lに臨んでいる。搬送空間52Lは、平面視において、第2水平方向Yに一定の幅を有し、第1水平方向Xに沿ってインデクサブロック2から離れる方向に直線的に延びている。搬送空間52Lは、上下方向Zに関して、第1処理ブロック層BLの高さとほぼ同等の高さを有している。平面視において、搬送空間52Lの一方側には、インデクサブロック2に近い側から順に、第1液供給部91、第1処理ユニットスタックS1L、第1排気部101、第2液供給部92、第2処理ユニットスタックS2Lおよび第2排気部102が、搬送経路51Lに沿って配列されている。搬送空間52Lの他方側には、インデクサブロック2に近い側から順に、第3排気部103、第3処理ユニットスタックS3L、第3液供給部93、第4排気部104、第4処理ユニットスタックS4Lおよび第4液供給部94が、搬送経路51Lに沿って配列されている。これらがほぼ直方体形状の搬送空間52Lを区画するように配列されている。
【0038】
第1~第4処理ユニットスタックS1L-S4Lは、それぞれ、上下方向Zに積層された複数段(この実施形態では3段)の処理ユニット11L-13L,21L-23L,31L-33L,41L-43Lを含む。第3処理ユニットスタックS3Lは、搬送空間52Lを挟んで第1処理ユニットスタックS1Lに対向している。第4処理ユニットスタックS4Lは、搬送空間52Lを挟んで第2処理ユニットスタックS2Lに対向している。したがって、第3処理ユニットスタックS3Lを構成する複数の処理ユニット31L-33Lは、第1処理ユニットスタックS1Lを構成する複数段の処理ユニット11L-13Lに搬送空間52Lを挟んで対向している。同様に、第4処理ユニットスタックS4Lを構成する複数段の処理ユニット41L-43Lは、第2処理ユニットスタックS2Lを構成する複数段の処理ユニット21L-23Lに搬送空間52Lを挟んで対向している。この実施形態では、第1処理ブロック層BLは、12個の処理ユニット11L-13L,21L-23L,31L-33L,41L-43Lを含み、これらが、4つの処理ユニットスタックS1L-S4Lに3個ずつ分かれて配置されている。
【0039】
搬送空間52Lは、各処理ユニットスタックS1L-S4Lの最上段の処理ユニット13L,23L,33L,43Lの上面と整合する位置に配置された中間隔壁16によって上方から区画され、かつ最下段の処理ユニット11L,21,31L,41Lの下面と整合する位置に配置された下隔壁15によって下方から区画されている。全ての処理ユニット11L-43Lは、搬送空間52Lに臨む位置に開口した基板搬入/搬出口37を有している。主搬送ロボット8Lは、搬送空間52Lを通って基板Wおよびダミー基板DWを搬送し、基板搬入/搬出口37を介して、各処理ユニット11L-43Lに対して基板Wおよびダミー基板DWを搬入/搬出する。
【0040】
基板載置部6Lは、インデクサロボット26と主搬送ロボット8Lとの間に配置されている。より具体的には、基板載置部6Lは、平面視において、搬送空間52L内のインデクサロボット26側の端部に配置されている。この実施形態では、第1液供給部91と第3排気部103との間に基板載置部6Lが位置している。基板載置部6Lは、上下方向Zに関して、中間隔壁16と下隔壁15との間の高さに配置されている。この実施形態では、基板載置部6Lは、中間隔壁16から上隔壁17までの高さ範囲の中間高さ付近に配置されている。基板載置部6Lの上下方向位置は、インデクサロボット26によるアクセスが可能な高さ範囲内であって、かつ主搬送ロボット8Lによってアクセス可能な高さ範囲内である必要がある。
【0041】
基板載置部6Lは、未処理の基板Wが載置される未処理基板載置部61と、処理済みの基板Wが載置される既処理基板載置部62とを含む。未処理基板載置部61および既処理基板載置部62は、上下方向Zに積層されている。未処理基板載置部61が既処理基板載置部62の上に配置されることが好ましい。
図5に拡大して構成例を示すように、未処理基板載置部61および既処理基板載置部62は、第1水平方向Xに沿ってインデクサロボット26側および主搬送ロボット8L側の両方に開放した箱63,64と、箱63,64の内部に配置された基板保持棚65,66とを含む。基板保持棚65,66は、上下方向Zに配列された複数(たとえば10個)の基板支持部材67,68を有する。各基板支持部材67,68は、1枚の基板Wの下面周縁部を下方から支持して、当該基板Wを水平姿勢で保持するように構成されている。それにより、未処理基板載置部61および既処理基板載置部62は、それぞれ、それらの基板保持棚65,66に、複数枚(たとえば10枚)の基板Wを水平姿勢で上下方向Zに間隔を空けて積層した状態で保持することができる。
【0042】
図2に表れているように、インデクサブロック2の後隔壁2aおよび処理ブロック3の前隔壁3a、すなわち、それらの隣接する隔壁を貫通するように、基板載置部6Lに対応する窓4Lが形成されている。インデクサロボット26は、この窓4Lを介して、基板載置部6Lにアクセスして、基板載置部6Lに対して基板Wの搬入/搬出を行うことができる。
【0043】
ダミー基板収容部7Lは、基板載置部6Lとは異なる高さに設けられており、この実施形態では搬送空間52L内において、基板載置部6Lの下方に配置されている。ダミー基板収容部7Lは、平面視において、基板載置部6Lと重なり合うように設けられている。より具体的には、基板載置部6Lに基板Wが保持され、ダミー基板収容部7Lにダミー基板DWが保持されているとき、平面視において、基板Wとダミー基板DWとが重なり合うように、ダミー基板収容部7Lが配置されている。基板Wとダミー基板DWとの平面視における重なり合いは、部分的な重なり合いであってもよいし、全体的な重なり合い、すなわち、ダミー基板DWが基板Wのほぼ全体に重なっていてもよい。
【0044】
ダミー基板収容部7Lは、下隔壁15と中間隔壁16との間に配置されており、主搬送ロボット8Lがアクセス可能な高さ範囲内に配置されている。ダミー基板収容部7Lの前方、すなわち、インデクサブロック2側には、インデクサブロック2の後隔壁2aおよび処理ブロック3の前隔壁3a、すなわち、それらの隣接する隔壁が位置している。これらの隔壁には、ダミー基板収容部7Lに対応する窓は設けられていない。したがって、この実施形態では、インデクサロボット26は、ダミー基板収容部7Lに対してアクセスすることはできない。
【0045】
図6に拡大して構成例を示すように、ダミー基板収容部7Lは、ダミー基板保持棚71を備えている。ダミー基板保持棚71の構成は、基板載置部6Lの基板保持棚65,66の構成と実質的に同様であってもよい。ただし、ダミー基板保持棚71が保持可能なダミー基板DWの枚数は、基板保持棚65,66が保持可能な基板枚数と等しい必要はない。具体的には、ダミー基板保持棚71は、上下方向に配列された複数(たとえば12個)のダミー基板支持部材72を有する。各ダミー基板支持部材72は、1枚のダミー基板DWの下面周縁部を下方から支持して、当該ダミー基板DWを水平姿勢で保持するように構成されている。ダミー基板収容部7Lは、ダミー基板保持棚71に、複数枚(たとえば12枚)のダミー基板DWを水平姿勢で上下方向Zに間隔を空けて積層した状態で保持することができる。すなわち、ダミー基板収容部7Lは、各1枚のダミー基板DWを水平姿勢で収容するように上下方向に積層された複数段(この実施形態では、第1処理ブロック層BLに備えられた処理ユニットの数と同数)のスロット(以下「ダミー基板スロットDL1-DL12」という。)を有している。各ダミー基板スロットDL1-DL12におけるダミー基板DWの有無を検出するためのダミー基板センサ(図示せず)が備えられていてもよい。ダミー基板収容部7Lは、この実施形態では、基板載置部6Lとは異なり、収容しているダミー基板DWを囲う箱を備えていない。むろん、このような箱が備えられても差し支えない。
【0046】
図2に表れているように、主搬送ロボット8Lは、搬送空間52L内に配置されている。主搬送ロボット8Lは、1枚の基板を水平姿勢で保持するハンド81と、ハンド81を駆動するハンド駆動機構82とを含む。複数個(たとえば2個)のハンド81が備えられていてもよい。ハンド駆動機構82は、ハンド81を水平方向X,Yおよび上下方向Zに移動し、かつ鉛直回転軸線まわりにハンド81を旋回させることができる。ハンド駆動機構82は、2つの支柱83と、垂直移動部84と、水平移動部85と、回転部86と、進退部87とを含む。進退部87にハンド81が結合されている。複数個のハンド81が設けられる場合には、それらに対応する複数の進退部87が設けられることが好ましい。
【0047】
2つの支柱83は、第1水平方向Xに沿って間隔を空けて配置され、搬送空間52Lの側壁にそれぞれ固定されている。2つ支柱83は、上下方向Zに沿って延びており、垂直移動部84の垂直移動をガイドするレールとしての機能を有している。垂直移動部84は、2つの支柱83に渡って第1水平方向Xに延び、2つの支柱83に両端部が結合されたレールの形態を有している。垂直移動部84は、2つの支柱83に案内されながら、支柱83に対して上下方向に移動するように構成されている。水平移動部85は、垂直移動部84上に支持され、垂直移動部84によって案内されながら、垂直移動部84に対して第1水平方向Xに移動するように構成されている。水平移動部85に回転部86が支持されている。回転部86は、水平移動部85上で、鉛直な回転軸線まわりに回転するように構成されている。回転部86に進退部87が結合されている。進退部87は、回転軸線に対して水平方向に進退し、それによって、ハンド81を水平方向に進退させる。
【0048】
このような構成により、主搬送ロボット8Lは、基板載置部6Lにハンド81をアクセスさせて基板載置部6Lとの間で基板Wの受け渡しを行うことができる。主搬送ロボット8Lは、さらに、第1処理ブロック層BL内の任意の処理ユニット11L-43Lにハンド81をアクセスさせて、当該処理ユニット11L-43Lとの間で基板Wまたはダミー基板DWの受け渡しを行うことができる。また、主搬送ロボット8Lは、ダミー基板収容部7Lにハンド81をアクセスさせて、ダミー基板収容部7Lとの間でダミー基板DWの受け渡しを行うことができる。そして、主搬送ロボット8Lは、ハンド81に保持した基板W,DWを、第1処理ブロック層BL内において、基板載置部6L、処理ユニット11L-43Lおよびダミー基板収容部7Lの間で搬送することができる。
【0049】
第2処理ブロック層BUの構成は、第1処理ブロック層BLの構成とほぼ同様であるので、以下では、可能なかぎり重複する説明を省き、異なる構成について主として説明する。第1処理ブロック層BLの場合と同一名称を付する要素の構成は、実質的に同じである。
第2処理ブロック層BUは、複数(この実施形態では、12個)の処理ユニット11U-13U,21U-23U,31U-33U,41U-43U(以下、第2処理ブロック層BUの処理ユニットを総称するときには「処理ユニット11U-43U」という。)を含み、これらは第2処理ユニット群を構成している。第2処理ブロック層BUは、さらに、基板載置部6Uと、ダミー基板収容部7Uと、主搬送ロボット8Uとを含む。第1~第4液供給部91-94、第1~第4排気部101-104は、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUに渡って、上下方向Zに延びて配置されている。
【0050】
第2処理ブロック層BU内における複数の処理ユニット11U-43Uの配置は、第1処理ブロック層BL内の複数の処理ユニット11L-43Lの配置と実質的に同等である。第2処理ブロック層BUは、第1~第4処理ユニットスタックS1U-S4Uを備え、これらはそれぞれ上下方向Zに積層された複数段(この実施形態では3段)処理ユニット11U-13U,21U-23U,31U-33U,41U-43Uを備えている。
【0051】
平面視において、第2処理ブロック層BUの第1~第4処理ユニットスタックS1U-S4Uは、第1処理ブロック層BLの第1~第4処理ユニットスタックS1L-S4Lとそれぞれ重なるように配置されている。そして、第1および第2処理ブロック層BL,BUのそれぞれの第1処理ユニットスタックS1L,S1Uが上下方向Zに積層されて、複数段(この実施形態では6段)の処理ユニット11L,12L,13L,11U,12U,13Uが積層された第1タワーT1が形成されている。同様に、第1および第2処理ブロック層BL,BUのそれぞれの第2処理ユニットスタックS2L,S2Uが上下方向Zに積層されて、複数段(この実施形態では6段)の処理ユニット21L,22L,23L,21U,22U,23Uが積層された第2タワーT2が形成されている。さらに、第1および第2処理ブロック層BL,BUのそれぞれの第3処理ユニットスタックS3L,S3Uが上下方向Zに積層されて、複数段(この実施形態では6段)の処理ユニット31L,32L,33L,31U,32U,33Uが積層された第3タワーT3が形成されている。さらに同様に、第1および第2処理ブロック層BL,BUのそれぞれの第4処理ユニットスタックS4L,S4Uが上下方向Zに積層されて、複数段(この実施形態では6段)の処理ユニット41L,42L,43L,41U,42U,43Uが積層された第4タワーT4が形成されている。
【0052】
第2処理ブロック層BU内に区画されて搬送経路51Uを提供する搬送空間52Uは、第1処理ブロック層BLの搬送空間52Lと重なっている。第2処理ブロック層BU内の搬送空間52Uは、中間隔壁16によって下方から区画され、上隔壁17によって上方から区画されている。上隔壁17は、第1~第4タワーT1-T4の最上段の処理ユニット13U,23U,33U,43Uの上面と整合する高さに配置されている。
【0053】
平面視における基板載置部6Uの配置は、第1処理ブロック層BLの場合と同様である。すなわち、基板載置部6Uは、インデクサロボット26と主搬送ロボット8Uとの間に配置されており、搬送空間52U内のインデクサロボット26側の端部に配置されている。第2処理ブロック層BUの基板載置部6Uは、平面視において、第1処理ブロック層BLの基板載置部6Lと重なるように配置されている。基板載置部6Uは、上下方向Zに関して、中間隔壁16と上隔壁17との間の高さに配置されている。この実施形態では、基板載置部6Uは、中間隔壁16から上隔壁17までの高さ範囲の中間高さよりも下方に配置されている。より具体的には、基板載置部6Uは、インデクサロボット26によってアクセス可能な高さ範囲内で最も高い位置に配置されている。基板載置部6Uの上下方向位置は、インデクサロボット26によるアクセスが可能な高さ範囲内であって、かつ主搬送ロボット8Uによってアクセス可能な高さ範囲内である必要がある。第1処理ブロック層BLの場合と同様に、基板載置部6Uは、未処理の基板Wが載置される未処理基板載置部61と、処理済みの基板Wが載置される既処理基板載置部62とを含む。未処理基板載置部61および既処理基板載置部62の構成は、第1処理ブロック層BLの基板載置部6Lの場合と同様である(
図5参照)。
【0054】
インデクサブロック2の後隔壁2aおよび処理ブロック3の前隔壁3a、すなわち、それらの隣接する隔壁を貫通するように、基板載置部6Uに対応する窓4Uが形成されている。インデクサロボット26は、この窓4Uを介して、基板載置部6Uにアクセスして、基板載置部6Uに対して基板Wの搬入/搬出を行うことができる。
ダミー基板収容部7Uは、基板載置部6Uとは異なる高さに設けられており、この実施形態では搬送空間52U内において、基板載置部6Uの上方に配置されている。ダミー基板収容部7Uは、平面視において、基板載置部6Uと重なり合うように設けられている。より具体的には、基板載置部6Uに基板Wが保持され、ダミー基板収容部7Uにダミー基板DWが保持されているとき、平面視において、基板Wとダミー基板DWとが重なり合うように、ダミー基板収容部7Uが配置されている。基板Wとダミー基板DWとの平面視における重なり合いは、部分的な重なり合いであってもよいし、全体的な重なり合い、すなわち、ダミー基板DWが基板Wのほぼ全体に重なっていてもよい。ダミー基板収容部7Uは、上隔壁17と中間隔壁16との間の高さに配置されており、主搬送ロボット8Uがアクセス可能な高さ範囲内に配置されている。ダミー基板収容部7Uの前方、すなわち、インデクサブロック2側には、インデクサブロック2の後隔壁2aおよび処理ブロック3の前隔壁3a、すなわち、それらの隣接する隔壁が配置されている。これらの隔壁2a,3aには、ダミー基板収容部7Uに対応する窓は設けられていない。したがって、インデクサロボット26は、ダミー基板収容部7Uに対してアクセスすることはできない。
【0055】
ダミー基板収容部7Uの構成は、第1処理ブロック層BLのダミー基板収容部7Lの構成と実質的に同じであってもよい(
図6参照)。ダミー基板収容部7Uは、各1枚のダミー基板DWを水平姿勢で収容するように上下方向に積層された複数段(この実施形態では、第2処理ブロック層BUに備えられた処理ユニットの数と同数)のスロット(以下「ダミー基板スロットDU1-DU12」という。)を有している。各ダミー基板スロットDU1-DU12におけるダミー基板DWの有無を検出するためのダミー基板センサが備えられていてもよい。
【0056】
主搬送ロボット8Uは、搬送空間52U内に配置されている。主搬送ロボット8Uは、1枚の基板を水平姿勢で保持するハンド81と、ハンド81を駆動するハンド駆動機構82とを含む。ハンド駆動機構82は、2つの支柱83と、垂直移動部84と、水平移動部85と、回転部86と、進退部87とを含む。これらの構成は、第1処理ブロック層BLの主搬送ロボット8Lと同様である。主搬送ロボット8Uは、基板載置部6U、処理ユニット11U-43Uおよびダミー基板収容部7Uにアクセス可能に構成されている。主搬送ロボット8Uは、基板載置部6Uと処理ユニット11U-43Uとの間で基板Wを搬送し、かつダミー基板収容部7Uと処理ユニット11U-43Uとの間でダミー基板DWを搬送する第2搬送ユニットの一例である。
【0057】
第1処理ブロック層BLと第2処理ブロック層BUとは、中間隔壁16によって区画されており、この中間隔壁16を超えて製品基板Wまたはダミー基板DWを搬送することはできない。換言すれば、第1処理ブロック層BLの主搬送ロボット8Lは、第2処理ブロック層BUの処理ユニット11U-43U、ダミー基板収容部7Uおよび基板載置部6Uのいずれにもアクセスすることができない構成となっている。同様に、第2処理ブロック層BUの主搬送ロボット8Uは、第1処理ブロック層BLの処理ユニット11L-43L、ダミー基板収容部7Lおよび基板載置部6Lのいずれにもアクセスすることができない構成となっている。
【0058】
液供給部91-94は、処理ユニット11L-43L;11U-43Uで用いられる処理液を供給するための配管類を収容する液配管スペースを区画している。各液供給部91-94が区画する液配管スペースは、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUを上下方向Zに貫通している。各液供給部91-94には、平面視において同じ位置で上下方向Zに6段に積層されてタワーT1-T4を形成する6つの処理ユニット11L,12L,13L,11U,12U,13U;21L,22L,23L,21U,22U,23U;31L,32L,33L,31U,32U,33U;41L,42L,43L,41U,42U,43Uに処理液を供給する配管56が収容されている。液供給部91-94には、さらに、配管途中に設けられたバルブ類、流量計、処理液を一時貯留するためのタンク、送液のためのポンプ等の処理液関連機器が併せて収容されていてもよい。
【0059】
排気部101-104は、処理ユニット内部の雰囲気を排気するための配管類を収容する排気配管スペースを区画している。各排気部101-104が区画する排気配管スペースは、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUを上下方向Zに貫通している。各排気部101-104には、平面視において、同じ位置で上下方向Zに6段に積層されてタワーT1-T4を形成する6つの処理ユニット11L,12L,13L,11U,12U,13U;21L,22L,23L,21U,22U,23U;31L,32L,33L,31U,32U,33U;41L,42L,43L,41U,42U,43からの排気を基板処理装置1外の排気設備に導くための排気配管76が収容されている。排気部101-104は、さらに、処理ユニット内での処理の種類(より具体的には処理液の種類)に応じて、排気配管76を切り換える切り換え機構77が併せて収容されていてもよい。図示は省略するが、排気部101は、切り換え機構77を駆動するアクチュエータ類を含む。
【0060】
キャリヤ搬送機構300(
図1参照)は、未処理の製品基板Wを収容したキャリヤCをキャリヤ保持部25に搬入し、処理済みの製品基板Wを収容したキャリヤCをキャリヤ保持部25から搬出するように動作する。また、キャリヤ搬送機構300は、未使用のダミー基板DWを収容した供給用ダミーキャリヤDCをキャリヤ保持部25に搬入し、未使用のダミー基板DWが当該供給用ダミーキャリヤDCから払い出された後に、当該ダミーキャリヤDCをキャリヤ保持部25から搬出するように動作する。さらに、キャリヤ搬送機構300は、使用済みのダミー基板DWを回収するための回収用ダミーキャリヤDCをキャリヤ保持部25に搬入し、使用済みのダミー基板DWが当該回収用ダミーキャリヤDCに収容された後に、当該回収用ダミーキャリヤDCをキャリヤ保持部25から搬出するように動作する。ダミーキャリヤDCは、製品基板WのためのキャリヤCと実質的に同様の構成を有していてもよい。
【0061】
キャリヤ搬送機構300は、典型的には、天井走行式無人搬送車(OHT: Overhead Hoist Transport)を含む。キャリヤ搬送機構300は、キャリヤ置き場350とキャリヤ保持部25(ロードポート)との間でキャリヤCを搬送する。また、キャリヤ搬送機構300は、ダミーキャリヤ置き場351とキャリヤ保持部25との間でダミーキャリヤDCを搬送する。
【0062】
キャリヤ搬送機構300は、ホストコンピュータ150によって制御され、キャリヤCおよびダミーキャリヤDCを搬送する。ホストコンピュータ150は、通信線170を介して基板処理装置1のコントローラ110と通信可能に接続されている。
コントローラ110は、インデクサロボット26および主搬送ロボット8L,8Uを制御して基板Wおよびダミー基板DWの搬送を行わせる。また、コントローラ110は、処理ユニット11L-43L,11U-43Uの各部を制御して、処理ユニット11L-43L,11U-43Uにおける基板処理およびダミー基板DWを用いたダミー処理を実行させる。
【0063】
図7は、処理ユニット11L-43L;11U-43U(以下、総称するときには「処理ユニット11L-43U」という。)の構成例を説明するための図解的な断面図である。処理ユニット11L-43Uは、処理室35(チャンバ)を形成するユニット隔壁36と、ユニット隔壁36内に配置された処理カップ39と、処理カップ39内に配置されたスピンチャック40と、スピンチャック40に保持された基板W,DWに処理液を供給するノズル55とを含む。
【0064】
ユニット隔壁36は、たとえば平面視においてほぼ矩形をなす側壁36aと、上方を区画する天壁36bと、下方を区画する底壁36cとを含む。側壁36aの一面は、搬送空間52Uに臨んで、第1水平方向Xおよび上下方向Zに沿って延びており、基板W,DWを搬入/搬出するための基板搬入/搬出口37を有している。基板搬入/搬出口37は、第1水平方向Xに延びたスロット形状を有していてもよい。基板搬入/搬出口37を開閉するためのシャッタ38が配置されている。基板W,DWは、ユニット隔壁36に形成された基板搬入/搬出口37から搬入されてスピンチャック40に渡される。
【0065】
スピンチャック40は、1枚の基板W,DWを水平姿勢で保持するスピンベース45と、スピンベース45を鉛直な回転軸線まわりに回転するスピンモータ46とを含む。スピンチャック40は、スピンベース45の上面に基板W,DWの下面を吸着して保持するバキューム型であってもよい。また、スピンベース45は、基板W,DWに対応する円形の平面形状を有し、その周縁部に周方向に間隔を空けて設けられた3つ以上の保持ピンを備え、それらの保持ピンによって基板W,DWを握持するメカニカル型のチャックを構成していてもよい。
【0066】
処理ユニット11L-43Uは、スピンチャック40に保持された基板W,DWに処理液を供給する1つ以上のノズル55を含む。この実施形態では、複数のノズル55が備えられている。これらの複数のノズル55は、複数種類の薬液をそれぞれ吐出するために用いられる複数の薬液ノズルを含んでいてもよい。
スピンチャック40によって保持されて回転されている基板W,DWの表面にノズル55から処理液が供給される。ノズル55は、液供給部91-94を通って配置される処理液配管56に結合されている。処理液配管56は、液供給部91-94を通って引き回され、処理液供給源54に接続される。処理液配管56の途中には、その流路を開閉するバルブ59が介装されている。また、処理液配管56の途中には、ノズル55に向かって処理液を送るためのポンプ60が介装されている。バルブ59およびポンプ60は、液供給部91-94に配置されている。処理液供給源54は、エッチング液等の薬液や、純水(脱イオン水)等のリンス液を供給する。処理液の種類に応じて、複数の処理液配管56および対応する複数のノズル55が設けられてもよい。複数のノズル55の一部または全部は、基板W,DWの上方で基板W,DWの上面に沿って移動する移動ノズルの形態を有していてもよい。移動ノズルは、スピンチャック40の側方に配置された揺動軸58によって、水平なノズルアーム57の基端部を支持し、揺動軸58を鉛直軸線まわりに回動させる構造を有していてもよい(
図1参照)。複数のノズル55の一部または全部は、スピンチャック40に対する相対位置が不変の固定ノズルであってもよい。
【0067】
ユニット隔壁36内の雰囲気は、ユニット隔壁36を貫通する排気接続管75を介して排気される。排気接続管75は、排気部101-104に配置された排気配管76に接続されている。排気接続管75は、切り換え機構77を介して複数の排気配管76に接続されていてもよい。切り換え機構77は、たとえば、複数のノズル55から吐出される処理液の種類(たとえば薬液の種類)に応じて、排気接続管75からの排気を、当該処理液の種類に予め対応付けられた排気配管76に導くように動作する。
【0068】
図8は、基板処理装置1の制御に関する構成を説明するためのブロック図である。基板処理装置1は、コントローラ110を備えている。コントローラ110は、プロセッサ111(CPU)およびメモリ112(記憶部)を含むコンピュータであってもよい。プロセッサ111は、メモリ112に格納されたプログラム120を実行する。それによって、コントローラ110は、インデクサロボット26および主搬送ロボット8L,8Uによって基板W,DWを搬送する基板搬送動作のための搬送スケジュールを作成するスケジュール作成部としての機能と、その作成された搬送スケジュールに基づいて基板W,DWの搬送を制御する搬送制御部としての機能とを有している。さらに、コントローラ110は、処理ユニット11L-43Uによって基板Wを処理する基板処理動作を実現する基板処理制御部としての機能を有している。コントローラ110は、さらに、処理ユニット11L-43Uにおいてダミー基板DWを用いたダミー処理を実行するダミー処理動作を実現するダミー処理制御部としての機能を有している。これらの基板搬送動作、基板処理動作およびダミー処理動作のために、コントローラ110は、基板処理装置1に備えられた様々な制御対象を制御する。制御対象は、インデクサロボット26、主搬送ロボット8L,8U、処理ユニット11L-43U等に備えられた駆動部を含む。さらに、コントローラ110の制御対象は、液供給部91-94に配置されたバルブ59およびポンプ60を含み、排気部101-104に配置されたアクチュエータ類を含む。
【0069】
メモリ112には、各種のデータ130が格納されている。データ130は、製品用の基板Wを処理するための製品レシピ131と、ダミー基板DWを用いるダミー処理のためのダミー処理レシピ132とを含む。製品レシピ131は、基板Wの搬送動作および基板Wに対する処理内容を規定するデータである。ダミー処理レシピ132は、ダミー基板DWの搬送動作およびダミー基板DWを用いる処理内容を規定するデータである。コントローラ110は、基板Wを処理するときには、製品レシピ131に従って制御対象を制御し、ダミー処理を実行するときには、ダミー処理レシピ132に従って制御対象を制御する。
【0070】
製品レシピ131は、コントローラ110に通信可能に接続されたホストコンピュータ150からのデータ通信によって与えられ、メモリ112に格納されてもよい。ダミー処理レシピ132も同様に、ホストコンピュータ150から通信によって与えられ、メモリ112に格納されてもよい。また、これらのレシピ131,132は、コントローラ110に接続されたユーザインタフェース140を用いて、操作者が入力または編集してもよい。ダミー処理レシピ132は、製品レシピ131の内容に応じて、コントローラ110が自動生成してもよい。製品レシピ131およびダミー処理レシピ132のいずれについても、一種類である必要はなく、複数の製品レシピ131または複数のダミー処理レシピ132がメモリ112に格納されてもよい。
【0071】
たとえば、ダミー処理レシピ132は、製品用の基板Wと同様の処理をダミー基板DWに対して実施する前処理を規定する前処理レシピを含む。前処理レシピは、製品レシピ131において、処理ユニット11L-43Uに搬入する基板を製品用の基板Wからダミー基板DWに置き換えたレシピであってもよい。このような前処理レシピは、コントローラ110が、製品レシピ131に基づいて自動生成してもよい。たとえば、基板Wに対して高温の処理液を供給する処理を行う場合、前処理を実行することによって、高温の処理液をノズル55まで導くことができ、かつ高温の処理液によって配管56および処理ユニット11L-43Uの内部を温めることができる。それにより、製品用の基板Wに対して、適切に温度管理された環境で、適切な温度の処理液を供給できる。このように、前処理は、製品用の基板Wを適切に処理するために処理ユニット11L-43Uの処理環境を整えるための準備処理の一例である。
【0072】
また、ダミー処理レシピ132は、ダミー基板DWをスピンチャック40に保持させて処理ユニット11L-43Uの内部を洗浄するユニット洗浄レシピを含む。ユニット洗浄レシピに従って行われるユニット洗浄処理は、スピンチャック40にダミー基板DWを保持させて回転し、その状態で、洗浄液(薬液または純水)をダミー基板DWに供給する。それにより、ダミー基板DW上で遠心力を受けた洗浄液がスピンチャック40の周囲に飛散し、処理カップ39の内部を洗浄する。必要に応じて、処理カップ39を上下動させることにより、処理カップ39の内壁面に対する洗浄液の入射位置が上下に変化するので、処理カップ39の内壁面を効率的に洗浄できる。また、処理カップ39の上下動またはスピンチャック40の上下動によって、ダミー基板DWを処理カップ39の上端よりも上方に配置し、処理カップ39外の処理室35の内部に洗浄液を供給し、処理室35の内部を洗浄することもできる。
【0073】
メモリ112に格納されるデータ130は、さらに、複数の処理ユニット11L-43Uとダミー基板収容部7L,7Uのダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12とを対応付けるダミー基板テーブル133を含む。複数のダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12にはそれぞれ一意のダミー基板スロット番号(ダミー基板スロット識別情報)が付されている。そして、各処理ユニット11L-43Uに対して、一つのダミー基板スロット番号が対応付けられている。ダミー基板テーブル133は、第1処理ブロック層BLの複数(この実施形態では12個)の処理ユニット11L-43Uと、当該第1処理ブロック層BLのダミー基板収容部7Lの複数(この実施形態では12個)のダミー基板スロット番号とを、1対1に対応付ける。また、ダミー基板テーブル133は、第2処理ブロック層BUの複数(この実施形態では12個)の処理ユニット11L-43Uと、当該第2処理ブロック層BUのダミー基板収容部7Uの複数(この実施形態では12個)のダミー基板スロット番号とを1対1に対応付ける。したがって、ダミー基板テーブル133は、基板処理装置1が備える複数(この実施形態では24個)の処理ユニット11L-43Uと、ダミー基板収容部7L,7Uの複数(この実施形態では24個)のスロット番号とを1対1に対応付けている。
【0074】
メモリ112に格納されるデータ130は、さらに、ダミー基板履歴データ134を含む。ダミー基板履歴データ134は、ダミー基板収容部7L,7Uの複数のダミー基板スロット番号にそれぞれ対応するダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12に収容されるダミー基板DWの使用履歴を表すデータ(使用履歴情報)を含む。使用履歴は、ダミー基板DWが処理ユニット11L-43Uでの処理に用いられた使用回数(累積回数)、ダミー基板DWが処理ユニット11L-43Uでの処理に用いられた使用時間(累積時間)、ダミー基板DWが処理ユニット11L-43Uで受けた処理内容の履歴の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0075】
メモリ112に格納されるデータ130は、さらに、各処理ユニット11L-43Uのユニット使用履歴を表すユニット使用履歴データ135を含む。ユニット使用履歴データ135は、各処理ユニット11L-43Uの基板処理枚数、および各処理ユニット11L-43Uが基板処理のために使用されていない連続時間を表す不使用継続時間を含むことが好ましい。処理ユニット11L-43Uの内部の環境は、基板処理を繰り返すことによって徐々に悪化するので、メンテナンスを要することなく連続して処理できる基板枚数には適切な上限を設定することが好ましい。また、処理ユニット11L-43Uの内部の環境は、基板Wを処理していない時間が長くなると、徐々に劣化する。具体的には、処理カップ39の内壁等に付着した薬液が乾燥して結晶化し、パーティクルの原因となる場合がある。また、室温よりも高い温度の高温の処理液が用いられる場合には、不使用状態の継続によって、処理液の流通が長時間にわたって遮断されると、配管56またはノズル55の温度が低下する。そのため、次に処理液を吐出するときに、処理液の熱が配管56またはノズル55で奪われ、吐出直後の処理液の温度が適切でなくなる場合がある。したがって、不使用継続時間に関しても、適切な上限を設定することが好ましい。ユニット使用履歴データ135(基板処理枚数、不使用継続時間等)を、対応する設定値と比較することにより、処理ユニット11L-43Uに対するメンテナンスの要否を判断できる。
【0076】
メモリ112に格納されるデータ130は、さらに、第1処理ブロック層BL(第1処理ユニット群)の状態を表す第1ステータス141と、第2処理ブロック層BU(第2処理ユニット群)の状態を表す第2ステータス142とを含む。第1ステータス141は、禁止モードおよび可能モードを含む。同様に、第2ステータス142は、禁止モードおよび可能モードを含む。
【0077】
第1ステータス141が禁止モードのとき、第1処理ブロック層BLに含まれる処理ユニット11L-43Lにおいて基板Wに対する処理およびダミー処理をいずれも実行することができない。より正確には、基板Wに対する処理を新たに開始したり、ダミー処理を新たに開始したりすることができない。基板Wに対する処理の開始とは、この実施形態では、処理ユニット11L-43Lで処理すべき基板WをキャリヤCから搬出する(払い出す)ことをいい、ダミー処理の開始とは、処理ユニット11L-43Lでのダミー処理に用いるダミー基板DWを第1ダミー基板収容部7Lから搬出する(払い出す)ことをいう。第1ステータス141が可能モードのとき、第1処理ブロック層BLに含まれる処理ユニット11L-43Lにおける基板Wの処理およびダミー処理がいずれも許容され、それらの処理を新たに開始することができる。
【0078】
第2ステータス142が禁止モードのとき、第2処理ブロック層BUに含まれる処理ユニット11U-43Uにおいて基板Wに対する処理およびダミー処理をいずれも実行することができない。より正確には、基板Wに対する処理を新たに開始したり、ダミー処理を新たに開始したりすることができない。基板Wに対する処理の開始とは、この実施形態では、処理ユニット11U-43Uで処理すべき基板WをキャリヤCから搬出する(払い出す)ことをいい、ダミー処理の開始とは、処理ユニット11U-43Uでのダミー処理に用いるダミー基板DWを第2ダミー基板収容部7Uから搬出する(払い出す)ことをいう。第2ステータス142が可能モードのとき、第2処理ブロック層BUに含まれる処理ユニット11U-43Uにおける基板Wの処理およびダミー処理がいずれも許容され、それらの処理を新たに開始することができる。
【0079】
コントローラ110は、ダミー基板履歴データ134に基づいて、ダミー基板収容部7L,7Uに格納されているダミー基板DWの交換の要否を判断し、その判断に基づいて、第1ステータス141および第2ステータス142を設定するステータス設定部としての機能を有している。
図9は、ダミー処理に関連するコントローラ110の動作を説明するためのフローチャートである。コントローラ110は、複数の処理ユニット11L-43Uのそれぞれに関して、
図9の処理を、並行して、または順次に実行する。
【0080】
コントローラ110は、対象の処理ユニット11L-43Uにおいて、製品用の基板Wの処理が実行されているかどうかを判断する(ステップA1)。処理ユニット11L-43Uにおいて、基板Wの処理が終了し、その処理済みの基板Wが処理ユニット11L-43Uから搬出されると(ステップA1:NO)、コントローラ110は、当該処理ユニット11L-43Uのユニット使用履歴データ135を参照し、基板処理枚数が設定値に達したかどうかを判断する(ステップA2)。基板処理枚数が設定値以上のときは(ステップA2:YES)、コントローラ110は、ユニット洗浄実行条件(メンテナンス実行条件の一例)が充足されたものと判断して、処理ユニット11L-43Uの内部を洗浄するためにユニット洗浄レシピに従ってユニット洗浄処理(メンテナンス処理の一例)を実行する(ステップA3)。また、コントローラ110は、当該処理ユニットの基板処理枚数を初期値(たとえば0)にリセットして、ユニット使用履歴データ135を更新する(ステップA4)。
【0081】
ユニット洗浄処理は、ダミー処理の一例であり、搬送スケジュール作成ステップA30と、ダミー基板搬入ステップA31と、ダミー処理ステップA32と、ダミー基板収容ステップA33とを含む。搬送スケジュール作成ステップA30は、ダミー処理のための搬送計画(搬送スケジュール)を作成するステップである。ダミー基板搬入ステップA31は、作成された搬送スケジュールに従って、主搬送ロボット8L,8Uを制御するステップである。それにより、主搬送ロボット8L,8Uが、対応するダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12からダミー基板DWを搬出し、処理ユニット11L-43Uへ搬送して当該処理ユニットに搬入する。ダミー処理ステップA32は、当該処理ユニットにおいて、ダミー基板DWを用いる処理を実行するステップであり、ここでは、当該処理ユニットの内部の洗浄処理である。ダミー基板収容ステップA33は、処理ユニット内部の洗浄の後に、搬送スケジュールに従って、当該処理ユニットからダミー基板DWを搬出し、元のダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12まで搬送して収容するステップである。コントローラ110は、ダミー基板テーブル133を参照して、当該処理ユニット11L-43Uに対応するダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12を特定して、ダミー基板搬入ステップA31およびダミー基板収容ステップA33のための搬送スケジュールを作成する。
【0082】
ユニット洗浄処理を終えると、コントローラ110は、処理ユニット11L-43Uの処理環境(処理条件)を整えるための前処理が必要かどうかを判断する(ステップA5,A6)。具体的には、コントローラ110は、ホストコンピュータ150から製品基板の処理要求(処理予約)が与えられたかどうかを調べる(ステップA5)。製品基板の処理要求が与えられると(ステップA5:YES)、コントローラ110は、当該処理ユニット11L-43Uの不使用継続時間が設定値に達したかどうかを判断する(ステップA6)。不使用継続時間が設定値以上の場合(ステップA6:YES)、すなわち、処理ユニット11L-43Uが所定の長時間を超えて製品用の基板Wのために使用されていない場合には、コントローラ110は、前処理が必要である、すなわち、前処理実行条件(メンテナンス実行条件の一例)が充足されていると判断する。
【0083】
前処理が必要であると判断されると、コントローラ110は、前処理レシピに従って前処理を実行する(ステップA7)。具体的には、コントローラ110は、ダミー基板テーブル133を参照して、当該処理ユニット11L-43Uに対応するダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12を特定し、それに基づいて、前処理のための搬送スケジュールを作成する(搬送スケジュール作成ステップA70)。そして、コントローラ110は、作成された搬送スケジュールに従って主搬送ロボット8L,8Uを制御し、当該特定されたダミー基板スロットからダミー基板DWを搬出させ、そのダミー基板DWを当該処理ユニット11L-43Uに搬送させる(ダミー基板搬入ステップA71)。その搬送の後、ホストコンピュータ150は、当該処理ユニット11L-43Uにおいて、ダミー基板DWに対して、製品用の基板Wに対する処理と同様の処理を実行する(ダミー処理ステップA72)。その処理が終了すると、ホストコンピュータ150は、搬送スケジュールに従って主搬送ロボット8L,8Uを制御し、当該処理ユニット11L-43Uからダミー基板DWを取り出して、元のダミー基板スロットまで搬送させ、そのダミー基板スロットにそのダミー基板DWを収容させる(ダミー基板収容ステップA73)。こうして、前処理を実行すると、コントローラ110は、不使用継続時間を初期値(たとえば0)にリセットして、ユニット使用履歴データ135を更新する(ステップA8)。
【0084】
上記のように、製品基板Wの処理要求(処理予約)が与えられた時点で、コントローラ110は、前処理を実行する。前処理は、ダミー基板DWの搬送(ステップA71)およびそれを用いるダミー処理(ステップA72)を含む。そのため、製品基板Wを収容したキャリヤCがキャリヤ保持部25に保持され、インデクサロボット26がそのキャリヤCから処理対象の基板Wを取り出して基板載置部6L,6Uへと搬送する基板搬入動作(ステップA20)と並行して、あるいはそれ以前に前処理(ダミー基板搬入ステップA71および/またはダミー処理ステップA72)が実行されることになる。このとき、インデクサロボット26はダミー基板DWの搬送に関与しない。したがって、インデクサロボット26による製品基板Wの搬送を阻害することなく、処理ブロック3の内部でダミー基板DWを搬送して、前処理が実行される。
【0085】
なお、便宜的に、
図9にインデクサロボット26による製品基板Wの搬入ステップA20を表してあるが、前処理ステップA7との前後関係が図示のとおりになることを意味するものではない。前処理ステップA7に先立って、またはそれと並行して製品基板搬入ステップA20が行われ得る(開始し得る)ことは前述のとおりであり、また、前処理ステップA7の後に製品基板搬入ステップA20が行われる(開始される)こともあり得る。
【0086】
前処理レシピは、製品用の基板Wに対して行うべき処理をダミー基板DWに対して行う前処理を規定している。そのため、前処理をダミー基板DWに対して実行することにより、ダミー基板DWが消耗する。具体的には、エッチング作用を有する薬液を用いる前処理をダミー基板DWに対して行うことにより、ダミー基板DWの表面がエッチングされ、ダミー基板DWの厚みが減少する。そこで、前処理レシピを実行すると、コントローラ110は、当該処理ユニット11L-43Uに対応付けられたダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12のダミー基板履歴データ134を更新する(ステップA9)。たとえば、ダミー基板履歴データ134が使用回数データを含む場合には、使用回数データをインクリメントする。
【0087】
前処理を終えると、コントローラ110は、製品レシピに従う制御を実行する(ステップA12)。具体的には、コントローラ110は、製品基板処理のための搬送スケジュールを作成し(搬送スケジュール作成ステップA120)、その搬送スケジュールに従って、インデクサロボット26および主搬送ロボット8L,8Uを制御する。それより、インデクサロボット26は、キャリヤCから製品基板Wを取り出して、基板載置部6L,6Uに載置する。そして、主搬送ロボット8L,8Uは、基板載置部6L,6Uから基板Wを取り出して処理ユニット11L-43Uに搬送する(基板搬入ステップA121)。そして、処理ユニット11L-43Uにおいて、処理液(薬液、リンス液等)を用いた処理が基板Wに対して実行される(処理ステップA122)。その終了後には、搬送スケジュールに従い、主搬送ロボット8L,8Uは、処理済みの基板Wを取り出して、基板載置部6L,6Uまで搬送し、インデクサロボット26は、その処理済みの基板Wをキャリヤに収容する(基板収容ステップA123)。未処理の基板Wが存在する場合(複数枚の基板Wの連続処理の場合)には(ステップA13:YES)、同様の動作が繰り返される。その間に、当該処理ユニットでの基板処理枚数が設定値に達すると(ステップA14:YES)、ステップA3に戻って、ユニット洗浄処理が実行される。連続処理でない場合(ステップA13:NO)には、リターンして、ステップA1からの処理が繰り返される。
【0088】
ホストコンピュータ150からの処理要求(処理予約)がなければ(ステップA5:NO)、コントローラ110は、待機状態の継続時間、すなわち不使用継続時間が設定値に達したかどうかを判断する(ステップA15)。不使用継続時間が設定値に達していなければ、待機状態となる。不使用継続時間が設定値に達すると(ステップA15:YES)、コントローラ110は、予め設定されているメンテナンス処理を実行する(ステップA16)。メンテナンス処理は、ユニット洗浄処理であってもよい。このユニット洗浄処理は、ステップA3の場合と同様に、ダミー基板DWを用いた処理(ダミー処理の一種)であってもよいし、ダミー基板DWを用いない処理であってもよい。また、メンテナンス処理は、前処理と類似の処理であってもよい。また、メンテナンス処理は、その他の処理であってもよい。メンテナンス処理は、主として、処理ユニット11L-43Uの処理室35内の環境を製品用の基板Wの処理に適した状態に保持するための処理であり、基板処理装置1の使用者が予め設定する処理であってもよい。ダミー基板DWを用いるダミー処理をメンテナンス処理として行う場合には、メンテナンス処理は、当該処理のための搬送計画(搬送スケジュール)を作成する搬送スケジュール作成ステップA160と、その搬送計画に従って、対応するダミー基板スロットからダミー基板DWを取り出して当該処理ユニットに搬入するステップA161と、処理ユニット内でダミー基板DWを用いたダミー処理を行うステップA162と、その処理後に、搬送スケジュールに従って、ダミー基板DWを対応するダミー基板スロットに収容するステップA163とを含む。
【0089】
ホストコンピュータ150からの処理要求(処理予約)がない時点では、コントローラ110が製品レシピ131と同様の前処理を自動的に計画することはできない。したがって、メンテナンス処理(ステップA16)を随時に実行していても、ホストコンピュータ150からの処理要求(処理予約)があったときには、その製品処理に対応した前処理(ステップA7)を実行することが好ましい。
【0090】
ダミー基板DWは、予め基板処理装置1の内部に導入されて、ダミー基板収容部7L,7Uに収容される。具体的には、たとえば、工場内に備えられたキャリヤ搬送機構300(
図1参照)によって、ダミー基板DWを収容した供給用ダミーキャリヤDCがキャリヤ保持部25に渡される。インデクサロボット26は、その供給用ダミーキャリヤDCからダミー基板DWを取り出して、基板載置部6L,6Uに搬送する。第1処理ブロック層BLの主搬送ロボット8Lは、基板載置部6Lからダミー基板収容部7Lへとダミー基板DWを搬送して収容する。第2処理ブロック層BUの主搬送ロボット8Uは、基板載置部6Uからダミー基板収容部7Uへとダミー基板DWを搬送して収容する。コントローラ110は、ダミー基板DWの導入のための搬送スケジュールを作成し、その搬送スケジュールに従ってインデクサロボット26および主搬送ロボット8L,8Uを制御することによって、前述のような搬送動作を達成する。
【0091】
新たなダミー基板DWが導入されてダミー基板収容部7L,7Uに収容されると、コントローラ110は、その新たなダミー基板DWが収容されたダミー基板スロットに対応するダミー基板履歴データ134を初期値にリセットする。
基板処理装置1内のダミー基板DWを交換するときには、主搬送ロボット8L,8Uおよびインデクサロボット26によって、ダミー基板収容部7L,7Uからキャリヤ保持部25に保持された回収用ダミーキャリヤDCへとダミー基板DWが搬送される。具体的には、交換対象のダミー基板DWが、第1処理ブロック層BLのダミー基板収容部7Lに収容されているときには、主搬送ロボット8Lは、ダミー基板収容部7Lから基板載置部6Lへと当該ダミー基板DWを搬送する。交換対象のダミー基板DWが、第2処理ブロック層BUのダミー基板収容部7Uに収容されているときには、主搬送ロボット8Uは、ダミー基板収容部7Uから基板載置部6Uへと当該ダミー基板DWを搬送する。インデクサロボット26は、基板載置部6L,6Uに置かれたダミー基板DWをキャリヤ保持部25に保持された回収用ダミーキャリヤDCへと搬送して収容する。複数枚のダミー基板DWが交換対象であるときには、同様の動作が繰り返される。コントローラ110は、ダミー基板DWの交換(排出)のための搬送スケジュールを作成し、その搬送スケジュールに従ってインデクサロボット26および主搬送ロボット8L,8Uを制御することによって、前述のような搬送動作を達成する。
【0092】
図10は、第1ステータス141および第2ステータス142の設定、ならびにそれらに基づく搬送スケジュールの変更についての動作例を説明するためのフローチャートであり、コントローラ110が所定の制御周期で繰り返し実行する処理の例を示す。
コントローラ110は、ダミー基板履歴データ134を参照して、ダミー基板DWの交換要否を表すステータスデータを算出する(ステップS1)。ステータスデータを算出するための算出式は、メモリ112に格納されている。算出式は、テーブルの形式でメモリ112に格納されていてもよい。たとえば、使用回数が所定の閾値に達すると、ステータスデータは交換要を表す値となる。ステータスデータは、ダミー基板収容部7L,7Uに収容されている全てのダミー基板DWに対して算出される。ステータスデータを算出するための算出式は、複数のダミー基板DWの間で共通とは限らない。前述のとおり、複数の処理ユニットに対して複数のダミー基板DWが一対一に対応付けられている。各処理ユニットにおいて実行される製品基板Wの処理およびダミー処理は共通とは限らない。そこで、個々の処理ユニットに対応する個々のダミー基板DWに対して個別に算出式を設定することができるようになっている。すなわち、メモリ112に複数の算出式が格納されており、各ダミー基板DWに対応する(すなわち、各処理ユニットに対応する)算出式を用いてステータスデータが算出される。コントローラ110は、各ダミー基板DWが対応する処理ユニットで使用されるごとに、すなわち、ダミー基板履歴データ134が更新されるたびに、ステータスデータを算出し、最新のステータスデータをメモリ112に格納してもよい。
【0093】
コントローラ110は、ステータスデータに基づいて、ダミー基板DWの交換が必要かどうかを判断する判断部としての機能を実行する。具体的には、第1ダミー基板収容部7Lのいずれかのダミー基板DWのステータスデータが交換要を表す値かどうかを判断し(ステップS2)、かつ第2ダミー基板収容部7Uのいずれかのダミー基板DWのステータスデータが交換要を表す値かどうかを判断する(ステップS3,S4)。コントローラ11は、さらに、上記判断に基づき、第1ステータス141および第2ステータス142を可能モードまたは禁止モードに設定するステータス設定部としての機能を実行する(ステップS5~S8)。具体的には、ステータスデータが交換要を表すダミー基板DWのあるダミー基板収容部7L,7Uに対応する処理ブロック層BL,BUのステータスが禁止モードに設定される。また、いずれのダミー基板DWのステータスデータも交換要を表す値でないダミー基板収容部7L,7Uに対応する処理ブロック層BL,BUのステータスが可能モードに設定される。ただし、従前のステータスと同じであれば、従前の値が維持される。
【0094】
より具体的には、第1ダミー基板収容部7Lのいずれかのダミー基板DWのステータスデータが交換要を表す値であり(ステップS2:YES)、かつ、第2ダミー基板収容部7Uのいずれかのダミー基板DWのステータスデータが交換要を表す値である場合(ステップS3:YES)には、第1ステータス141および第2ステータス142がいずれも禁止モードに設定される(ステップS5)。また、第1ダミー基板収容部7Lのいずれかのダミー基板DWのステータスデータが交換要を表す値であり(ステップS2:YES)、かつ、第2ダミー基板収容部7Uのいずれのダミー基板DWのステータスデータも交換要を表す値でない場合(ステップS3:NO)には、第1ステータス141が禁止モードに設定され、第2ステータス142が可能モードに設定される(ステップS6)。さらに、第1ダミー基板収容部7Lのいずれのダミー基板DWのステータスデータも交換要を表す値でなく(ステップS2:NO)、かつ第2ダミー基板収容部7Uのいずれのダミー基板DWのステータスデータも交換要を表す値でない場合(ステップS4:NO)には、第1ステータス141および第2ステータス142がいずれも可能モードに設定される(ステップS7)。そして、第1ダミー基板収容部7Lのいずれかのダミー基板DWのステータスデータも交換要を表す値でなく(ステップS2:NO)、かつ第2ダミー基板収容部7Uのいずれかのダミー基板DWのステータスデータが交換要を表す値である場合(ステップS4:YES)には、第1ステータス141は可能モードに設定され、第2ステータス142は禁止モードに設定される(ステップS8)。
【0095】
いずれかのダミー基板DWの交換が必要である場合(ステップS2でYES、ステップS3でYES、またはステップS4でYES)には、コントローラ110は、ホストコンピュータ150に対して、ダミー基板DWの交換を要求するダミー基板交換要求を送信する(ステップS11)。ダミー基板交換要求は、交換が必要なダミー基板DWを特定して、より具体的には、当該ダミー基板DWが収容されているスロットを特定して行われる。コントローラ110は、ホストコンピュータ150に対してすでにダミー基板交換要求を送信しているダミー基板DWについては、繰り返し交換要求を送信することはせず、ステータスデータが新たに交換要を表す値となったダミー基板DWに関して、ダミー基板交換要求をホストコンピュータ150に送信する。たとえば、ステータスデータを算出するときに(ステップS1)、ステータスデータが交換要を表す値となったダミー基板DWについては、そのダミー基板履歴データ134がリセットされるまで、新たな算出対象から除外するようにしてもよい。
【0096】
第1ステータス141が可能モードから禁止モードに遷移し、第2ステータス142が可能モードである場合(ステップS6)、コントローラ110は、キャリヤCから第1処理ブロック層BLの処理ユニットへと搬送する計画の基板Wについては、その搬送スケジュールを破棄し、当該基板Wを第2処理ブロック層BUの処理ユニットへと搬送する搬送スケジュールに変更する(ステップS9)。また、コントローラ110は、第1ダミー基板収容部7Lから第1処理ブロック層BLの処理ユニットへ搬送する計画のダミー基板DWについては、その搬送スケジュールを破棄する。このとき、コントローラ110は、キャリヤCからすでに払い出された基板Wおよび第1ダミー基板収容部7Lからすでに払い出されたダミー基板DWの搬送スケジュール、すなわち、搬送を含めた処理が開始された基板W,DWについての搬送スケジュールは、そのまま維持することが好ましい。こうして、第1ステータス141が禁止モードに遷移することにより、第1処理ブロック層BLの処理ユニットでの基板Wの処理およびダミー処理がいずれも禁止され、第1処理ブロック層BLの処理ユニットで処理される計画であった基板Wは、可能モードの第2処理ブロック層BUの処理ユニットへと搬送されて処理されることになる。
【0097】
同様に、第2ステータス142が可能モードから禁止モードに遷移し、第1ステータス141が可能モードである場合(ステップS8)、コントローラ110は、キャリヤCから第2処理ブロック層BUの処理ユニットへと搬送する計画の基板Wについては、その搬送スケジュールを破棄し、当該基板Wを第1処理ブロック層BLの処理ユニットへと搬送する搬送スケジュールに変更する(ステップS10)。また、コントローラ110は、第2ダミー基板収容部7Uから第2処理ブロック層BUの処理ユニットへ搬送する計画のダミー基板DWについては、その搬送スケジュールを破棄する。このとき、コントローラ110は、キャリヤCからすでに払い出された基板Wおよび第2ダミー基板収容部7Uからすでに払い出されたダミー基板DWの搬送スケジュール、すなわち、搬送を含めた処理が開始された基板W,DWについての搬送スケジュールは、そのまま維持することが好ましい。こうして、第2ステータス142が禁止モードに遷移することにより、第2処理ブロック層BUの処理ユニットでの基板Wの処理およびダミー処理がいずれも禁止され、第2処理ブロック層BUの処理ユニットで処理される計画であった基板Wは、可能モードの第1処理ブロック層BLの処理ユニットへと搬送されて処理されることになる。
【0098】
ホストコンピュータ150は、基板処理装置1からダミー基板交換要求を受けると、基板処理装置1のキャリヤ保持部25のいずれかに回収用ダミーキャリヤDCが保持されているかどうかを判断する。いずれのキャリヤ保持部25にも回収用ダミーキャリヤDCが保持されていなければ、ホストコンピュータ150は、キャリヤ搬送機構300による回収用ダミーキャリヤDCの供給を計画し、その計画に従ってキャリヤ搬送機構300を作動させる。回収用ダミーキャリヤDCがいずれかのキャリヤ保持部25に保持されていれば、ホストコンピュータ150は、基板処理装置1のキャリヤ保持部25のいずれかに供給用ダミーキャリヤDCが保持されているかどうかを判断する。いずれのキャリヤ保持部25にも供給用ダミーキャリヤDCが保持されていなければ、ホストコンピュータは、キャリヤ搬送機構300による供給用ダミーキャリヤDCの供給を計画し、その計画に従ってキャリヤ搬送機構300を作動させる。
【0099】
図11は、第1処理ブロック層BLまたは第2処理ブロック層BUが禁止モードのときに実行されるダミー基板の交換動作例を説明するためのフローチャートである。基板処理装置1のコントローラ110は、回収用ダミーキャリヤDCがいずれかのキャリヤ保持部25に保持されているときに(ステップS21:YES)、使用済みダミー基板DWを回収用ダミーキャリヤDCに搬入するように動作する(ステップS22)。すなわち、使用済みダミー基板DWは、主搬送ロボット8U,8Lによってダミー基板収容部7L,7Uから基板載置部6L,6Uに搬送され、インデクサロボット26によって基板載置部6L,6Uから回収用ダミーキャリヤDCに搬送されて収容される。基板処理装置1のコントローラ110は、供給用ダミーキャリヤDCがいずれかのキャリヤ保持部25に保持されているときに(ステップS23:YES)、未使用ダミー基板DWを供給用ダミーキャリヤDCからダミー基板収容部7L,7Uに搬送するように動作する(ステップS24)。すなわち、未使用ダミー基板DWは、インデクサロボット26によって供給用ダミーキャリヤDCから基板載置部6L,6Uに搬送され、主搬送ロボット8L,8Uによって基板載置部6L,6Uからダミー基板収容部7L,7Uに搬送され、当該ダミー基板収容部7L,7Uに搬入される。
【0100】
ダミー基板収容部7L,7Uの或るスロットのダミー基板DWが未使用のダミー基板DWと交換されると、当該スロットに対応する(すなわち、当該スロットに収容されたダミー基板DWに対応する)ダミー基板履歴データ134は初期値にリセットされる(ステップS25)。
ダミー基板履歴データ134が初期値にリセットされることにより、該当スロットのダミー基板DWについて算出されるステータスデータ(
図10のステップS1)は交換要を示す値でなくなる。そして、第1ダミー基板収容部7Lのいずれのダミー基板DWのステータスデータも交換要を示す値でなくなると(ステップS2:NO)、第1ステータス141が可能モードに設定される(ステップS7,S8)。同様に、第2ダミー基板収容部7Uのいずれのダミー基板DWのステータスデータも交換要を示すデータでなくなると(ステップS3:NO、ステップS4:NO)、第2ステータス142が可能モードに設定される(ステップS6,S7)。
【0101】
図12Aは、第1処理ブロック層BLの第1ステータス141および第2処理ブロック層BUの第2ステータス142の両方が可能モードである場合の基板搬送動作の一例を説明するためのタイムチャートである。インデクサロボット26は、キャリヤ保持部25に保持されたキャリヤCの一つから基板W1を取り出し、その取り出した基板W1を第1処理ブロック層BLの基板載置部6Lに載置する。この基板W1は、主搬送ロボット8Lによって取り出され、第1処理ブロック層BL内の処理ユニット11L-43Lのうちの一つの処理ユニットL1に搬入される。当該処理ユニットL1での処理が終わると、主搬送ロボット8Lは、その処理済みの基板W1を取り出して、基板載置部6Lに載置する。インデクサロボット26は、その処理済みの基板W1を基板載置部6Lから取り出し、キャリヤ保持部25に保持されたキャリヤCの一つに搬入する。
【0102】
また、インデクサロボット26は、キャリヤ保持部25に保持された一つのキャリヤCから別の基板W2を取り出し、その取り出した基板W2を第2処理ブロック層BUの基板載置部6Uに載置する。この基板W2は、主搬送ロボット8Uによって取り出され、第2処理ブロック層BU内の処理ユニット11U-43Uのうちの一つの処理ユニットU1に搬入される。当該処理ユニットU1での処理が終わると、主搬送ロボット8Uは、その処理済みの基板W2を取り出して、基板載置部6Uに載置する。インデクサロボット26は、その処理済みの基板W2を基板載置部6Uから取り出し、キャリヤ保持部25に保持されたキャリヤCの一つに搬入する。
【0103】
同様にして、次の基板W3が第1処理ブロック層BLに備えられた処理ユニット11L-43Lのうちの一つの処理ユニットL2に搬入されて処理される。また、その次の基板W4が第2処理ブロック層BUに備えられた処理ユニット11U-43Uのうちの一つの処理ユニットU2に搬入されて処理される。
このようにして、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUの両方で製品基板Wに対する処理が並行して行われる。
【0104】
第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUの両方が可能モードのとき、コントローラ110は、上記のような搬送動作のための搬送スケジュールを作成し、その搬送スケジュールに従って、インデクサロボット26および主搬送ロボット8L,8Uを制御する。
図12Bは、処理ブロックの一方のステータスが可能モードから禁止モードに遷移する場合の基板搬送動作の一例を説明するためのタイムチャートである。この例では、第1処理ブロック層BLに対応する第1ステータス141が可能モードで維持され、第2処理ブロック層BUに対応する第2ステータス142が、可能モードから禁止モードに遷移する場合を想定している。さらに、前述の
図12Aに示すような搬送スケジュールが作成され、その搬送スケジュールに従って基板Wの搬送および処理が進行している場合を想定している。
【0105】
基板W2がインデクサロボット26によってキャリヤCから取り出された後で、かつ基板W4がインデクサロボット26によってキャリヤCから取り出される前の時刻t1において、第2処理ブロック層BUにおいて、ダミー基板DWの交換が必要になった場合を想定する。すると、時刻t1において、第2処理ブロック層BUに対応する第2ステータス142が、可能モードから禁止モードに遷移する。
【0106】
この場合、コントローラ110は、時刻t1においてキャリヤCから取り出されていない基板Wに関する既存の搬送スケジュール(
図12A参照)を破棄し、
図12Bに一例を示す搬送スケジュールに変更する。とくに、時刻t1においてキャリヤCから払い出されておらず、かつステータスが禁止モードとなった第2処理ブロック層BUに搬送する計画の搬送スケジュールが破棄される。
【0107】
時刻t1において、基板W2は、すでにキャリヤCから搬出されており、その搬送が始まっている。そこで、基板W2については、既存の搬送スケジュールに従って搬送され、禁止モードの第2処理ブロック層BU内の一つの処理ユニットU1に搬入されて処理され、処理後の基板W2は、当該処理ユニットU1から搬出されて、キャリヤCへと搬送される。すなわち、
図12Aの場合と同様に基板W2が搬送される。
【0108】
基板W3は、時刻t1の後にキャリヤCから払い出されるが、可能モードの第1処理ブロック層BLでの処理が計画されているので、その搬送スケジュールはそのまま維持され、
図12Aの場合と同様に搬送される。
一方、基板W4は、既存の搬送スケジュール(
図12A参照)では、第2処理ブロック層BUの一つの処理ユニットU2に搬送される計画であるが、この計画が破棄される。そして、コントローラ110は、可能モードの第1処理ブロック層BLに含まれる処理ユニット11L-43Lのうちの一つの処理ユニットL3へと基板W4を搬送する搬送スケジュールを作成し、この搬送スケジュールに従って、インデクサロボット26および主搬送ロボット8Lを制御する。具体的には、インデクサロボット26は、基板W4をキャリヤCから取り出して、第1処理ブロック層BLの基板載置部6Lに載置する。この基板W4は、主搬送ロボット8Lによって取り出され、第1処理ブロック層BL内の一つの処理ユニットU3に搬入される。当該処理ユニットU3での処理が終わると、主搬送ロボット8Lは、その処理済みの基板W4を取り出して、基板載置部6Lに載置する。インデクサロボット26は、その処理済みの基板W4を基板載置部6Lから取り出し、キャリヤ保持部25に保持されたキャリヤCの一つに搬入する。
【0109】
既存の搬送スケジュール(
図12A参照)では第2処理ブロック層BUの処理ユニットU2へと搬送される計画とされているその後の基板Wについても同様に、可能モードである第1処理ブロック層BLの処理ユニットへと搬送されて処理される。
一方、コントローラ110は、禁止モードの第2処理ブロック層BUに関して、ダミー基板DWの交換を計画する搬送スケジュールを作成し、それに従って、主搬送ロボット8Uおよびインデクサロボット26を制御する(
図11参照)。それにより、次のようなダミー基板交換が行われる。キャリヤ保持部25に使用済みのダミー基板DWを回収するための回収用ダミーキャリヤDCが保持されている場合に、第2処理ブロック層BUにおける主搬送ロボット8Uは、ダミー基板収容部7Uから交換対象の使用済みダミー基板DWを取り出し、そのダミー基板DWを基板載置部6Uに載置する。インデクサロボット26は、その使用済みダミー基板DWを基板載置部6Uから取り出して、回収用ダミーキャリヤDCに搬入する。また、キャリヤ保持部25に未使用のダミー基板DWを収容した供給用ダミーキャリヤDCが保持されている場合に、インデクサロボット26は、一枚の未使用のダミー基板DWをその供給用ダミーキャリヤDCから取り出して、基板載置部6Uに載置する。主搬送ロボット8Uは、その未使用ダミー基板DWを取り出して、ダミー基板収容部7Uに搬入する。こうして、ダミー基板収容部7U内の一枚のダミー基板DWを交換することができる。さらに別のダミー基板DWの交換を要するときには、同様の動作が繰り返される。
【0110】
このようにして、禁止モードの第2処理ブロック層BUにおいてダミー基板DWの交換を行う一方で、可能モードの第1処理ブロック層BLにおいては、製品基板Wに対する処理を継続して行うことができる。
第1処理ブロック層BLが可能モードから禁止モードに遷移する場合の動作の説明は、前述の説明において、第1処理ブロック層BLの構成と第2処理ブロック層BUの構成とを交換して読み替えることによって得られるので、省略する。
【0111】
以上のように、この実施形態によれば、インデクサブロック2の横方向に隣接された処理ブロック3は、複数の処理ブロック層BL,BUを上下方向Zに積層して構成されている。そして、各処理ブロック層BL,BUに、ダミー基板DWを収容するダミー基板収容部7L,7Uが備えられている。処理ブロック層BL,BUの内部にダミー基板DWを収容できるので、処理ユニット11L-43Uにおいてダミー基板DWを使用する必要が生じたときには、インデクサロボット26の関与なしに、ダミー基板収容部7L,7Uと処理ユニット11L-43Uとの間でダミー基板DWを搬送できる。
【0112】
したがって、インデクサロボット26の搬送負荷を軽減できるので、製品用の基板Wの搬送への影響を軽減しながら、ダミー基板DWを用いる処理を行える。とりわけ、複数の処理ユニット11L-43L,11U-43Uをそれぞれ有する複数の処理ブロック層BL,BUとキャリヤ保持部25との間で基板Wを搬送するインデクサロボット26の搬送負荷は、非常に大きい。したがって、インデクサロボット26の搬送負荷を軽減することによって、製品用の基板Wの搬送効率が良くなり、それに応じて、生産性を向上できる。各処理ブロック層BL,BUの主搬送ロボット8L,8Uは、当該処理ブロック層BL,BU内での基板Wの搬送を受け持つので、インデクサロボット26に比較して搬送負荷が小さい。したがって、主搬送ロボット8L,8Uが処理ブロック層BL,BUの内部でダミー基板DWの搬送を受け持つことは、生産効率の観点から、大きな問題とはならない。
【0113】
また、ダミー基板収容部7L,7Uは処理ブロック層BL,BU内にあるので、ダミー基板収容部7L,7Uと処理ユニット11L-43Uとの間のダミー基板DWの搬送は、インデクサロボット26と処理ブロック層BL,BUとの間の基板受渡しのための基板載置部6L,6Uを経由することなく行える。したがって、ダミー基板DWの搬送と製品用の基板Wの搬送との干渉を低減できるので、製品用の基板Wの搬送効率が良くなり、それに応じて、生産性を向上できる。
【0114】
さらに、特許文献1の場合とは異なり、ダミー基板DWを収容するダミーキャリヤによってキャリヤ保持部25が長時間に亘って占有されることもない。それにより、製品用の基板Wを収容したキャリヤCの搬入に待機時間が生じることを抑制できるので、生産性の向上に寄与することができる。
また、この実施形態では、各処理ブロック層BL,BUにおいて、複数の処理ユニット11L-43L,11U-43Uが、主搬送ロボット8L,8Uによって基板Wが搬送される搬送経路51L,51Uに沿って、搬送経路51L,51Uの両側に配列され、かつ上下方向Zに積層されて配列されている。したがって、主搬送ロボット8L,8Uによる基板搬送を効率的に行えるように処理ブロック層BL,BU内での複数の処理ユニット11L-43Uの配置が設計されている。それにより、生産性の向上に寄与することができる。
【0115】
また、この実施形態では、基板載置部6L,6Uおよびダミー基板収容部7L,7Uは、いずれも、インデクサロボット26と主搬送ロボット8L,8Uとの間に配置されている。それにより、基板載置部6L,6Uを経由して行われる、インデクサロボット26と主搬送ロボット8L,8Uとの間の基板Wの搬送を効率的に行える。そして、ダミー基板収容部7L,7Uを、インデクサロボット26による基板Wの搬送、および主搬送ロボット8L,8Uによる基板Wの搬送と干渉しない位置に配置できる。したがって、製品用の基板Wの搬送に影響を与えることなく、処理ブロック層BL,BU内にダミー基板DWを保持することができる。
【0116】
より具体的には、この実施形態では、ダミー基板収容部7L,7Uと基板載置部6L,6Uとは、互いに高さを異ならせて立体的に配置されている。それにより、処理ブロック層BL,BU内の空間を有効に利用して、ダミー基板収容部7L,7Uを処理ブロック層BL,BU内に適切に配置できる。その結果、製品用の基板Wの搬送を阻害しないダミー基板収容部7L,7Uの配置が実現されている。
【0117】
さらに、この実施形態では、ダミー基板収容部7L,7Uが、平面視において、基板載置部6L,6Uと重なるように配置されている。これにより、基板載置部6L,6Uの上方または下方の空間を利用して、ダミー基板収容部7L,7Uが配置されている。それにより、製品用の基板Wの搬送を阻害しないダミー基板収容部7L,7Uの配置を実現しており、処理ブロック層BL,BU内の空間を有効に利用して、ダミー基板収容部7L,7Uを配置できている。前述のとおり、ダミー基板収容部7L,7Uが平面視において基板載置部6L,6Uに重なり合う配置は、具体的には、ダミー基板収容部7L,7Uに収容されたダミー基板DWの一部または全部が基板載置部6L,6Uに保持された基板Wに重なり合う配置であってもよい。
【0118】
さらに具体的には、この実施形態では、第1処理ブロック層BL(下層の処理ブロック層)の上に第2処理ブロック層BU(上層の処理ブロック層)が積層されている。そして、第1処理ブロック層BLにおいては、ダミー基板収容部7Lが基板載置部6Lの下方に位置している。その一方で、第2処理ブロック層BUにおいては、ダミー基板収容部7Uが基板載置部6Uの下方に位置している。これにより、第1処理ブロック層BLの基板載置部6Lと第2処理ブロック層BUとの基板載置部6Uの間の高低差を少なくすることができる。それにより、インデクサロボット26による上下方向Zの基板搬送ストロークを短くすることができるので、インデクサロボット26の搬送負荷を軽減できる。したがって、製品用の基板Wの搬送効率を高めて、生産性の向上に寄与できる。
【0119】
また、この実施形態では、各処理ブロック層BL,BUのダミー基板収容部7L,7Uは、当該処理ブロック層BL,BUに含まれる複数の処理ユニット11L-43L,11U-43Uと同数の複数のダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12を含む。そして、各ダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12は1枚のダミー基板DWを保持するように構成されている。これにより、各処理ブロック層BL,BU内で処理ユニット11L-43L,11U-43Uと同数のダミー基板DWを保持しておくことができる。したがって、いずれかの処理ユニット11L-43L,11U-43Uにダミー基板DWを搬入する必要が生じれば、主搬送ロボット8L,8Uにより、当該処理ユニットに速やかにダミー基板DWを搬入して、ダミー処理を行うことができる。ダミー基板DWの搬入にインデクサロボット26は関与しないので、製品用の基板Wの搬送への影響を抑制または防止できる。
【0120】
さらに、この実施形態では、各処理ブロック層BL,BUの複数の処理ユニット11L-43L,11U-43Uと当該処理ブロック層の複数のダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12とが、1対1に対応付けられている。そして、主搬送ロボット8L,8Uは、互いに対応するダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12と処理ユニット11L-43L,11U-43Uとの間でダミー基板DWを搬送する。この構成により、ダミー基板スロットに保持されるダミー基板DWは、対応する処理ユニットのための専用のダミー基板とすることができる。それにより、ダミー基板DWの使用履歴の管理が容易になる。
【0121】
また、この実施形態では、コントローラ110は、ダミー処理条件(ユニット洗浄実行条件、前処理実行条件、メンテナンス実行条件)が充足されると、主搬送ロボット8L,8Uを制御して、ダミー基板収容部7L,7Uから処理ユニット11L-43L,11U-43Uへとダミー基板DWを搬送させ、その処理ユニットにおいてダミー処理を実行させる。このように、処理ブロック層BL,BU内でのダミー基板DWの搬送によってダミー処理を開始できるので、製品用の基板Wの搬送への影響を抑制または防止しながら、速やかにダミー処理を開始できる。
【0122】
また、この実施形態によれば、コントローラ110が基板処理装置1の各部を制御することによって、次のような工程が実行される。すなわち、各処理ブロック層BL,BU内において、主搬送ロボット8L,8Uが当該処理ブロック層内のダミー基板収容部7L,7Uに収容されたダミー基板DWを当該処理ブロック層内の複数の処理ユニット11L-43L,11U-43Uのいずれかに搬入するダミー基板搬入工程(ステップA31,A71,A161)が実行される。そして、当該処理ユニット内で当該搬入されたダミー基板DWを用いたダミー処理を行うダミー処理工程(ステップA32,A72,A162)が実行される。さらに、ダミー処理後に主搬送ロボット8L,8Uがダミー基板DWを処理ユニットから取り出してダミー基板収容部7L,7Uまで搬送する工程が実行される(ステップA33,A73,A163)。また、当該処理ブロック層BL,BUの基板載置部6L,6Uに載置された基板Wを当該処理ブロック層BL,BUの複数の処理ユニット11L-43L,11U-43Uのいずれかに搬入する工程が実行される(ステップA121)。そして、当該処理ユニット内で当該搬入された基板Wを処理する工程が実行される(ステップA122)。これにより、インデクサロボット26の搬送負荷を軽減しながら、ダミー基板DWを用いた処理を各処理ブロック層BL,BUの処理ユニット11L-43L,11U-43Uにおいて行うことができる。それにより、生産効率を向上できる。
【0123】
コントローラ110の制御によって、インデクサロボット26がキャリヤ保持部25に保持されたキャリヤCから基板Wを取り出していずれかの処理ブロック層BL,BUの基板載置部6L,6Uに搬入する基板搬入工程(ステップA20)と並行して、または当該基板搬入工程(ステップA20)に先立って、前述のダミー基板搬入工程(ステップA71)が実行されてもよい。これにより、インデクサロボット26によって製品用の基板Wを処理ブロック層BL,BUに搬入する一方で、各処理ブロック層BL,BU内ではダミー基板DWを処理ユニット11L-43L,11U-43Uに搬入することができる。インデクサロボット26は、ダミー基板DWの搬入に関与しなくてもよいので、インデクサロボット26による基板Wの搬送を待たずに、またはその基板搬送と並行して、処理ブロック層BL,BU内でのダミー基板DWの搬送を行うことができる。したがって、インデクサロボット26の搬送負荷を軽減できるうえに、処理ブロック層BL,BU内ではダミー基板DWを速やかに処理ユニットへと搬送できる。
【0124】
さらに、コントローラ110の制御によって、製品用の基板Wをインデクサロボット26によって基板載置部6L,6Uに搬入する基板搬入工程(ステップA20)と並行して、または当該基板搬入工程に先立って、前述のダミー処理工程(ステップA72)が実行されてもよい。これにより、インデクサロボット26の搬送負荷を軽減できるうえに、処理ブロック層BL,BU内では、ダミー処理を速やかに開始できる。たとえば、ホストコンピュータ150から基板処理の要求を受けると、それに応答して、適切な時期に、ダミー基板DWの搬送およびそれに続くダミー処理を開始できる。それにより、処理ユニット11L-43L,11U-43U内の環境を適切な時期に整えることができるので、製品用の基板Wを収容したキャリヤCがキャリヤ保持部25に搬入されると、速やかに、基板Wの処理を始めることができる。これにより、生産性の向上に寄与できる。
【0125】
また、この実施形態では、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUに対して、個別に禁止モードおよび可能モードが設定可能であり、これらのモードは第1処理ブロック層BLに対応する第1ステータス141および第2処理ブロック層BUに対応する第2ステータス142として、メモリ112に記憶される。第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUは、したがって、個別に、禁止モードまたは可能モードとなる。すなわち、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUの両方が可能モードである場合、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUの両方が禁止モードである場合、ならびに第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUの一方が可能モードで他方が禁止モードである場合があり得る。
【0126】
そこで、この実施形態では、第1ステータス141、すなわち第1処理ブロック層BLの動作状態が可能モードから禁止モードに遷移すると、第1処理ブロック層BLでの処理が計画された基板Wの搬送スケジュールが変更される。具体的には、主搬送ロボット8Lによって第1処理ブロック層BLの処理ユニット11L-43Lに搬送されるように計画された基板Wの搬送スケジュールが破棄され、当該基板Wを第2処理ブロック層BUに搬入し、主搬送ロボット8Uによって、第2処理ブロック層BUの処理ユニット11U-43Uに搬送するための搬送スケジュールが新たに作成される。その結果、当該基板Wは、第2処理ブロック層BUにおいて処理することが可能となる。第2ステータス142、すなわち第2処理ブロック層BUの動作状態が可能モードから禁止モードに遷移する場合も同様に、第2処理ブロック層BUによる処理が計画された基板Wの搬送スケジュールが変更される。具体的には、主搬送ロボット8Uによって第2処理ブロック層BUの処理ユニット11U-43Uに搬送されるように計画された基板Wの搬送スケジュールが破棄され、当該基板Wを第1処理ブロック層BLに搬入し、主搬送ロボット8Lによって、第1処理ブロック層BLの処理ユニット11L-43Lに搬送するための搬送スケジュールが新たに作成される。その結果、当該基板Wは、第1処理ブロック層BLで処理することが可能となる。
【0127】
このようにして、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUの一方が可能モードから禁止モードに遷移しても、他方の可能モードの処理ブロック層において、製品基板Wの搬送および処理を継続できる。それにより、基板処理装置1のダウンタイムを少なくできるので、生産性を高めることができる。
図13は、この発明の第2の実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための図解的な縦断面図であり、
図2の縦断面に相当する縦断面における構成を示す。前述の第1の実施形態と比較すると、この実施形態では、第1処理ブロック層BLと第2処理ブロック層BUとを区分する中間隔壁16が取り払われている。さらに、主搬送ロボット8L,8Uの上下動を案内する支柱83は、第1処理ブロック層BLおよび第2処理ブロック層BUに渡って上下に延びている。それにより、主搬送ロボット8L,8Uは、第1の実施形態の場合よりも大きなストロークで上下動することができるように構成されている。むろん、コントローラ110は、主搬送ロボット8L,8Uが互いに干渉しないように、それらの動作を制御する。
【0128】
また、この実施形態では、第1の実施形態における2つの基板載置部6U,6Lが一つの基板載置部6に置き換えられている。基板載置部6は、第1処理ブロック層BLと第2処理ブロック層BUとで共用される。すなわち、第1処理ブロック層BLの主搬送ロボット8Lは、基板載置部6にアクセス可能であり、基板載置部6と第1処理ブロック層BLの処理ユニット11L-43Lとの間で製品基板Wを搬送する。また、主搬送ロボット8Lは、基板載置部6と、処理ユニット11L-43Lと、ダミー基板収容部7Lとの間でダミー基板DWを搬送する。同様に、第2処理ブロック層BUの主搬送ロボット8Uは、基板載置部6にアクセス可能であり、基板載置部6と第2処理ブロック層BUの処理ユニット11U-43Uとの間で製品基板Wを搬送する。また、主搬送ロボット8Uは、基板載置部6と、処理ユニット11U-43Uと、ダミー基板収容部7Uとの間でダミー基板DWを搬送する。
【0129】
基板載置部6は、未処理基板載置部61および既処理基板載置部62を備えている。ただし、基板載置部6は、第1および第2処理ブロック層BL,BUで共用されるので、未処理基板載置部61および既処理基板載置部62は、それぞれ、第1の実施形態の場合よりも多くのスロットを有する基板保持棚65,66を備えていることが好ましい。基板載置部6に備えられる基板保持棚65,66は、少なくとも1つ(すなわち、一部または全部)のスロットが、両方の主搬送ロボット8L,8Uによってアクセス可能な配置とされていてもよい。より詳細には、未処理基板載置部61の基板保持棚65(
図5参照)は、少なくとも一つ(すなわち、一部または全部)のスロットが、両方の主搬送ロボット8L,8Uによってアクセス可能な配置とされていてもよい。同様に、既処理基板載置部62の基板保持棚66(
図5参照)は、少なくとも一つ(すなわち、一部または全部)のスロットが、両方の主搬送ロボット8L,8Uによってアクセス可能な配置とされていてもよい。
【0130】
基板載置部6は、インデクサロボット26によってアクセス可能な配置とされていることが好ましい。より詳細には、インデクサロボット26は、基板載置部6の基板保持棚65,66の全てのスロットにアクセス可能であり、それらに対して製品基板Wまたはダミー基板DWを搬入および搬出できるように構成されていることが好ましい。
図14は、この発明の第3の実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための縦断面図であり、
図2の縦断面に相当する縦断面における構成を示す。第1の実施形態では、インデクサブロック2および処理ブロック3の隣接する隔壁2a,3aには、基板載置部6L,6Uに対応する窓4L,4Uが形成され、ダミー基板収容部7L,7Uに対応する窓は形成されていない。これに対して、この実施形態では、ダミー基板収容部7L,7Uに対応する窓5L,5Uが隔壁2a,3aに追加されている。
【0131】
このような追加の窓5L,5Uを設けることにより、ダミー基板DWを処理ブロック層BL,BUに導入するときに、インデクサロボット26がダミー基板収容部7L,7Uに直接アクセスして、ダミー基板DWを搬入することができる。さらに、使用済みのダミー基板DWを処理ブロック層BL,BUから搬出するときに、インデクサロボット26がダミー基板収容部7L,7Uに直接アクセスして、ダミー基板を搬出することができる。このようなダミー基板DWの搬入/搬出の際に、主搬送ロボット8L,8Uはいずれも関与する必要がない。したがって、主搬送ロボット8L,8Uの搬送負荷を軽減して生産性の向上を図ることができる。
【0132】
コントローラ110は、第1処理ブロック層BLが禁止モードのときに、キャリヤ保持部25に保持されたダミーキャリヤDCと第1ダミー基板収容部7Lとの間でインデクサロボット26によってダミー基板DWを搬送するための搬送スケジュールを作成し、その搬送スケジュールに従ってインデクサロボット26を制御する。同様に、コントローラ110は、第2処理ブロック層BUが禁止モードのときに、キャリヤ保持部25に保持されたダミーキャリヤDCと第2ダミー基板収容部7Uとの間でインデクサロボット26によってダミー基板DWを搬送するための搬送スケジュールを作成し、その搬送スケジュールに従ってインデクサロボット26を制御する。
【0133】
図15は、この発明の第4の実施形態に係る基板処理装置の内部構成を示す図解的な平面図である。第1の実施形態では、複数の処理ユニット11L-43Uは、下段の処理ブロック層BLに備えられる第1処理ユニット群と、上段の処理ブロック層BUに備えられる第2処理ユニット群とに区分されており、それらの間に水平な中間隔壁16が設けられている。これに対して、この実施形態では、処理ブロック3内の空間を上下に区分する中間隔壁16は設けられておらず、代わり、処理ブロック3内の空間を水平方向に区分する中央隔壁18が備えられている。
【0134】
中央隔壁18は、キャリヤ保持部25側から第1水平方向Xに見た正面視において、処理ブロック3内の空間を左右に区分している。中央隔壁18は、処理ブロック3の第2水平方向Y(左右方向)に関する中央付近において、第1水平方向Xおよび上下方向Zに沿って延びる平板状の隔壁である。中央隔壁18は、その一方側に配置された第1処理ブロック部B1と、その他方側に配置された第2処理ブロック部B2とを形成している。すなわち、第1処理ブロック部B1および第2処理ブロック部B2は、互いの側方に配置されている。処理ブロック3に備えられた複数の処理ユニット11L-43Uは、第1処理ブロック部B1に含まれる第1処理ユニット群G1と、第2処理ブロック部B2に含まれる第2処理ユニット群G2とに区分されている。複数の処理ユニット11L-43Uの配置は、第1の実施形態と類似しているので、
図15では、複数の処理ユニット11L-43Uに
図1と同じ参照符号を付してある。第1処理ユニット群G1は、第1タワーT1および第2タワーT2を形成する複数の処理ユニット11L,12L,13L,11U,12U,13U;21L,22L,23L,21U,22U,23Uで構成されている。第2処理ユニット群G2は、第3タワーT3および第4タワーT4を構成する複数の処理ユニット31L,32L,33L,31U,32U,33U;41L,42L,43L,41U,42U,43Uで構成されている。
【0135】
第1処理ユニット群G1に対応して、中央隔壁18の一方側に第1主搬送ロボット8Aが設けられている。第1主搬送ロボット8Aは、中央隔壁18と第1処理ユニット群G1との間に区画された第1搬送空間53A内で動作し、それにより、製品基板Wおよびダミー基板DWは、第1搬送空間53Aを通って搬送される。同様に、第2処理ユニット群G2に対応して、中央隔壁18の他方側に第2主搬送ロボット8Bが設けられている。第2主搬送ロボット8Bは、中央隔壁18と第2処理ユニット群G2との間に区画された第2搬送空間53B内で動作し、それにより、製品基板Wおよびダミー基板DWは、第2搬送空間53Bを通って搬送される。第1主搬送ロボット8Aおよび第2主搬送ロボット8Bの構成は、
図13に示した第2実施形態の場合とほぼ同様であるので、対応構成部分に同じ参照符号を付して説明を省略する。ただし、この実施形態では、上下方向移動をガイドする支柱83は、中央隔壁18に固定されている。
【0136】
さらに、第1処理ユニット群G1に対応して、第1搬送空間53Aのインデクサブロック2に隣接する端部には、第1基板載置部6Aが設けられている。さらに、平面視において第1基板載置部6Aと一部または全部が重なるように、第1基板載置部6Aの上方および/または下方に第1ダミー基板収容部7Aが配置されている。同様に、第2処理ユニット群G2に対応して、第2搬送空間53Bのインデクサブロック2に隣接する端部には、第2基板載置部6Bが設けられている。さらに、平面視において第2基板載置部6Bと一部または全部が重なるように、第2基板載置部6Bの上方および/または下方に第2ダミー基板収容部7Bが配置されている。
【0137】
第1主搬送ロボット8Aは、第1処理ユニット群G1を構成する複数の処理ユニット、第1基板載置部6Aおよび第1ダミー基板収容部7Aにアクセス可能である。それにより、第1主搬送ロボット8Aは、第1処理ユニット群G1を構成する複数の処理ユニットおよび第1基板載置部6Aの間で製品基板Wを搬送する。また、第1主搬送ロボット8Aは、第1処理ユニット群G1を構成する複数の処理ユニット、第1基板載置部6Aおよび第1ダミー基板収容部7Aの間でダミー基板DWを搬送する。第1主搬送ロボット8Aは、この実施形態では、第2処理ユニット群G2、第2基板載置部6Bおよび第2ダミー基板収容部7Bのいずれにもアクセスすることはできない。
【0138】
同様に、第2主搬送ロボット8Bは、第2処理ユニット群G2を構成する複数の処理ユニット、第2基板載置部6Bおよび第2ダミー基板収容部7Bにアクセス可能である。それにより、第2主搬送ロボット8Bは、第2処理ユニット群G2を構成する複数の処理ユニットおよび第2基板載置部6Bの間で製品基板Wを搬送する。また、第2主搬送ロボット8Bは、第2処理ユニット群G2を構成する複数の処理ユニット、第2基板載置部6Bおよび第2ダミー基板収容部7Bの間でダミー基板DWを搬送する。第2主搬送ロボット8Bは、この実施形態では、第1処理ユニット群G1、第1基板載置部6Aおよび第1ダミー基板収容部7Aのいずれにもアクセスすることはできない。
【0139】
インデクサロボット26は、キャリヤ保持部25に保持されたキャリヤC,DC、第1基板載置部6Aおよび第2基板載置部6Bにアクセス可能であり、それらの間で製品基板Wおよびダミー基板DWを搬送する。インデクサロボット26は、この実施形態では、第1ダミー基板収容部7Aおよび第2ダミー基板収容部7Bのいずれにもアクセスすることができない。むろん、インデクサロボット26は、第1処理ユニット群G1および第2処理ユニット群G2にアクセスすることもできない。
【0140】
このような構成の基板処理装置1においても、第1の実施形態の場合と同様にして、第1処理ブロック部B1および第2処理ブロック部B2に対して第1ステータス141および第2ステータス142を設定できる。そして、一方の処理ブロック部のステータスが可能モードから禁止モードに遷移すると、その禁止モードの処理ブロック部へ搬入する計画の基板Wに関する搬送スケジュールが破棄され、当該基板Wを可能モードの他方の処理ブロック部に搬入する搬送スケジュールが新たに作成される。それにより、可能モードの処理ブロック部を活用して、基板Wの処理を継続することができる。
【0141】
この第4の実施形態を前述の第2の実施形態(
図13参照)にならって変形し、第1基板載置部6Aおよび第2基板載置部6Bに代えて、インデクサロボット26、第1主搬送ロボット8Aおよび第2主搬送ロボット8Bが共通にアクセス可能な基板載置部を設けてもよい。たとえば、中央隔壁18のインデクサブロック2側の端部に切り欠きを設けて、第1処理ユニット群G1および第2処理ユニット群G2で共用される基板載置部を配置することができる。
【0142】
また、第4の実施形態を前述の第3の実施形態(
図14参照)にならって変形し、インデクサロボット26が第1ダミー基板収容部7Aおよび第2ダミー基板収容部7Bにアクセス可能な構成としてもよい。それにより、第1主搬送ロボット8Aおよび第2主搬送ロボット8Bの関与なしに、インデクサロボット26によって、第1ダミー基板収容部7Aおよび第2ダミー基板収容部7Bに対するダミー基板DWの搬入/搬出を行える。
【0143】
以上、この発明の4つの実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の第1の実施形態などでは、2層の処理ブロック層BL,BUを積層して構成された処理ブロック3の構成を示したが、3層以上の処理ブロック層が積層されて処理ブロックが構成されてもよい。また、前述の第1の実施形態などでは、各処理ブロック層BL,BUが3段に積層された処理ユニット配置を有する例を示したが、各処理ブロック層に含まれる処理ユニットは、2段に積層されてもよいし、4段以上に積層されてもよいし、1段に全ての処理ユニットが配置されてもよい。さらに、前述の第1の実施形態などでは、搬送経路51L,51Uの両側に処理ユニット11L-43Uが配置された例を示したが、搬送経路51L,51Uの一方側に処理ユニットが配置されてもよい。また、前述の第1の実施形態などでは、搬送経路51L,51Uの一方側に当該搬送経路51L,51Uに沿って、2個の処理ユニットが配置されているが、1個の処理ユニットが配置されてもよく、3個以上の処理ユニットが配置されてもよい。
【0144】
さらに、前述の第1の実施形態などでは、各処理ブロック層BL,BUのダミー基板収容部7L,7Uには、処理ユニット11L-43L,11U-43Uと同数のダミー基板スロットDL1-DL12,DU1-DU12を設け、それらが処理ユニット11L-43L,11U-43Uに1対1に対応している。しかし、たとえば、各処理ブロック層BL,BUにおけるダミー基板スロットの数を処理ユニットの数よりも少なくして、一つのダミー基板スロットを複数の処理ユニットに対応付けるようにしてもよい。
【0145】
また、前述の実施形態では、ダミー基板収容部7L,7Uに収容されているダミー基板DWが交換を要する状態になることを条件に、対応する処理ユニット群のステータスを禁止モードに設定する例を示したが、予め定める他の条件に基づいて、処理ユニット群のステータスを禁止モードに遷移させることとしてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0146】
C キャリヤ
DC ダミーキャリヤ
W 基板(製品基板)
DW ダミー基板
1 基板処理装置
2 インデクサブロック
25 キャリヤ保持部
26 インデクサロボット
3 処理ブロック
BL 第1処理ブロック層
11L-13L 処理ユニット
21L-23L 処理ユニット
31L-33L 処理ユニット
41L-43L 処理ユニット
6L 基板載置部
7L ダミー基板収容部
DL1-DL12 ダミー基板スロット
8L 主搬送ロボット
51L 搬送経路
52L 搬送空間
BU 第2処理ブロック層
11U-13U 処理ユニット
21U-23U 処理ユニット
31U-33U 処理ユニット
41U-43U 処理ユニット
6U 基板載置部
7U ダミー基板収容部
DU1-DU12 ダミー基板スロット
8U 主搬送ロボット
51U 搬送経路
52U 搬送空間
B1 第1処理ブロック部
B2 第2処理ブロック部
G1 第1処理ユニット群
G2 第2処理ユニット群
8A 第1主搬送ロボット
8B 第2主搬送ロボット
6 基板載置部
6A 第1基板載置部
6B 第2基板載置部
7A 第1ダミー基板収容部
7B 第2ダミー基板収容部
110 コントローラ
141 第1ステータス
142 第2ステータス
150 ホストコンピュータ
300 キャリヤ搬送機構