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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】車両および車両用充電システム
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/30 20190101AFI20241218BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241218BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241218BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20241218BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20241218BHJP
   H04B 15/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
B60L53/30
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/66
H04B1/04 Z
H04B15/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021055768
(22)【出願日】2021-03-29
(65)【公開番号】P2022152839
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 克
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-207546(JP,A)
【文献】特開2016-201937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/30
H02J 7/00
B60L 50/60
B60L 53/66
H04B 1/04
H04B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の充電装置から供給される電力を蓄えるバッテリと、
駆動力源としてのモータと、
前記バッテリに蓄えられている前記電力に基づいて、前記モータの動作を制御するモータ制御部と、
緊急スイッチと、
外部機関との間で通信を行う第1通信部と、
前記緊急スイッチが押下された場合に、前記第1通信部から前記外部機関へ向けて、緊急通報信号を送信させる通報部と、
前記充電装置との間で通信を行う第2通信部と、
前記充電装置から前記バッテリに対して前記電力の供給が行われている充電期間において、前記緊急スイッチが押下された場合には、前記第2通信部から前記充電装置へ向けて、充電停止指令を送信させる充電停止制御部と、
前記充電装置から前記第2通信部を介して取得した、前記充電期間における充電ノイズ周波数の推移を示すノイズ周波数推移情報に基づいて、前記緊急通報信号を送信する際の通信周波数を、前記充電ノイズ周波数の周波数帯域と干渉しないように事前に設定する周波数制御部と
を備え
前記周波数制御部は、
前記充電装置において前記電力を供給する際の充電電圧の制御が、PFM制御である場合に、
前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、前記通信周波数の事前設定を行う
車両。
【請求項2】
前記周波数制御部は、
前記充電停止指令に基づいて前記充電電圧が低下する際に、前記PFM制御に起因して変化する前記充電ノイズ周波数における、各周波数の周波数帯域と干渉しないように、
前記充電期間の停止時までの前記充電ノイズ周波数の推移を示す前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、前記通信周波数の事前設定を行う
請求項に記載の車両。
【請求項3】
前記周波数制御部は、
前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、
前記充電ノイズ周波数の周波数帯域とは異なる周波数に、前記通信周波数を設定する
請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記周波数制御部は、
前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、
前記充電ノイズ周波数の整数倍となる各周波数の周波数帯域とは異なる周波数に、前記通信周波数を設定する
請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項5】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の車両と、
前記充電装置と
を備えた車両用充電システム。
【請求項6】
前記充電装置は、
前記バッテリに対して前記電力を供給する充電動作を行う充電部と、
前記充電部における前記充電動作を制御する充電制御部と、
前記車両との間で通信を行う第3通信部と
を有しており、
前記充電制御部は、前記車両から前記第3通信部を介して前記充電停止指令を受信した場合には、前記充電部における前記充電動作を停止させる
請求項に記載の車両用充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリを有する車両、および、そのような車両と充電装置とを備えた車両用充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両のバッテリに対して外部の充電装置(充電スタンド等)から充電を行うようにした、車両用充電システムが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-26953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような車両では、所定の外部機関へ向けた緊急通報信号を発するための、スイッチ(緊急スイッチ)が設けられているものがある。このような緊急通報信号の通信品質を確保することは重要であることから、通信品質を向上させることが求められている。緊急通報信号の通信品質を向上させることが可能な、車両および車両用充電システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施の形態に係る車両は、外部の充電装置から供給される電力を蓄えるバッテリと、駆動力源としてのモータと、バッテリに蓄えられている電力に基づいてモータの動作を制御するモータ制御部と、緊急スイッチと、外部機関との間で通信を行う第1通信部と、緊急スイッチが押下された場合に、第1通信部から外部機関へ向けて緊急通報信号を送信させる通報部と、充電装置との間で通信を行う第2通信部と、充電装置からバッテリに対して電力の供給が行われている充電期間において、緊急スイッチが押下された場合には、第2通信部から充電装置へ向けて充電停止指令を送信させる充電停止制御部と、充電装置から第2通信部を介して取得した、充電期間における充電ノイズ周波数の推移を示すノイズ周波数推移情報に基づいて、緊急通報信号を送信する際の通信周波数を、充電ノイズ周波数の周波数帯域と干渉しないように事前に設定する周波数制御部と、を備えたものである。上記周波数制御部は、充電装置において電力を供給する際の充電電圧の制御が、PFM制御である場合に、ノイズ周波数推移情報に基づいて、通信周波数の事前設定を行う。
【0006】
本開示の一実施の形態に係る車両用充電システムは、上記本開示の一実施の形態に係る車両と、上記充電装置とを備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施の形態に係る車両用充電システムの概略構成例を表すブロック図である。
図2図1に示した車両用充電システムの詳細構成例を表すブロック図である。
図3】実施の形態に係る通信周波数の事前設定処理の一例を表す流れ図である。
図4】実施の形態に係る充電動作停止処理の一例を表す流れ図である。
図5】PWM制御およびPFM制御について説明するための模式図である。
図6】充電動作停止の際の充電電圧の低下時におけるPFM制御について説明するための模式図である。
図7】実施の形態に係るノイズ周波数推移情報の一例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(充電装置から充電ケーブルを介して車両への充電を行う場合の例)
2.変形例
【0009】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る車両用充電システム(車両用充電システム3)の概略構成例を、ブロック図で表したものである。図2は、図1に示した車両用充電システム3の詳細構成例を、ブロック図で表したものである。なお、図1では、図2に示した各構成例の一部のみを、抜粋して示している。
【0010】
この車両用充電システム3は、図1図2に示したように、電動車両である車両1と、この車両1に対して電力Pを供給する充電装置2とを、備えている。なお、詳細は後述するが、図1図2に示した例では、この充電装置2から車両1に対して、充電ケーブル4を用いた有線での充電が行われるようになっている。
【0011】
(A.車両1)
車両1は、図1図2に示したように、駆動力源10、バッテリ11、位置情報取得部12、通信部131,132、緊急スイッチ14および車両制御部15を備えている。
【0012】
(A-1.駆動力源10)
駆動力源10としては、この車両1では図2に示したように、エンジン10a(内燃機関)およびモータ10b(電動モータ)が設けられている。すなわち、この車両1は、エンジン10aおよびモータ10bを駆動力源10として有する、ハイブリッド車両(HEV:Hybrid Electric Vehicle)として構成されている。また、特にこの車両1は、上記したように、充電装置2からの電力Pの充電が可能な、PHEV(Plug-in Hybrid Vehicle)となっている。
【0013】
したがって、この車両1には、エンジン10aおよびモータ10bの双方を駆動力源としたハイブリッド走行と、エンジン10aのみを駆動力源としたエンジン走行と、モータ10bのみを駆動力源としたモータ走行と、の3種類の走行モードが設けられている。そして、車両1の走行条件等に応じて、これら3種類の走行モードが、随時切り換えて使用されるようになっている。
【0014】
(A-2.バッテリ11)
バッテリ11は、車両1において使用される電力を蓄えるものであり、例えばリチウムイオン電池等の各種の2次電池を用いて構成されている。なお、このバッテリ11には、車両1の外部(充電装置2)から供給される電力P(充電電力)の他、例えば、モータ10bから供給される回生電力が、蓄えられるようになっている。
【0015】
(A-3.位置情報取得部12)
位置情報取得部12は、車両1の位置情報Ipを随時取得するものであり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナを用いて構成されている。なお、このようにして取得された位置情報Ipは、図2に示したように、後述する車両制御部
15へと供給されるようになっている。
【0016】
(A-4.通信部131,132)
通信部131は、外部(以下の所定の外部機関9など)との間で通信を行うものであり、例えばルーフアンテナを用いて構成されている。また、この通信部131は、後述する所定の場合(緊急時)には、後述する車両制御部15内の通報部152aからの指示に応じて、所定の外部機関9へ向けて、緊急通報信号Seを送信するようになっている(図1図2参照)。なお、このような外部機関9としては、例えば、コールセンターやサポートセンターなどと呼ばれる機関が、挙げられる。
【0017】
通信部132は、充電装置2(後述する通信部23)との間で通信を行うものである。具体的には、通信部132は、後述する充電停止指令Csを充電装置2側に送信したり、後述するノイズ周波数推移情報Ifnや制御手法情報Icを、充電装置2側から受信するようになっている(図2参照)。なお、このような通信部132,23間の通信は、有線通信または無線通信のいずれであってもよい。また、図2に示した例では、このような通信部132,23間の通信経路が、電力Pを供給するための充電ケーブル4とは別個に示されているが、この例には限られない。すなわち、通信部132,23間の通信が、例えば、この充電ケーブル4を利用した電力線通信(PLC:Power Line Communication)であってもよい。
【0018】
ここで、通信部131は、本開示における「第1通信部」の一具体例に対応している。また、通信部132は、本開示における「第2通信部」の一具体例に対応している。
【0019】
(A-5.緊急スイッチ14)
緊急スイッチ14は、例えば、車両1の乗員(運転者や同乗者)における、急な体調不良時などの緊急時に、例えば車両1の乗員によって押下されるスイッチである。この緊急スイッチ14が乗員によって押下された場合には、図1図2に示したように、緊急スイッチ14から車両制御部15(後述する通報部152a)へ向けて、緊急スイッチオン信号Sonが出力されるようになっている。
【0020】
(A-6.車両制御部15)
車両制御部15は、車両1における各種動作を制御したり、各種の演算処理を行ったりする部分である。具体的には、車両制御部15は、例えば、プログラムを実行する1または複数のプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)と、これらのプロセッサに通信可能に接続される1または複数のメモリと、を含んで構成される。また、このようなメモリは、例えば、処理データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、および、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)等により構成される。
【0021】
このような車両制御部15は、図1図2に示したように、走行制御部151(ハイブリッド制御部)および緊急動作部152を有している。なお、この車両制御部15は、図2に示したように、例えば、バッテリ11に蓄えられている電力Pに基づいて動作するようになっている。
【0022】
(走行制御部151)
走行制御部151は、車両1の走行動作を制御するものであり、車両1の走行に関する統括的な制御を行うようになっている。この走行制御部151は、図2に示した例では、エンジン制御部151aおよびモータ制御部151bを有している。
【0023】
エンジン制御部151aは、エンジン10aにおける各種動作を制御するものである(図2参照)。すなわち、このエンジン制御部151aは、いわゆる「ECU(Engine Control Unit)」として動作する部分となっている。
【0024】
モータ制御部151bは、モータ10bにおける各種動作を制御するものである(図2参照)。具体的には、モータ制御部151bは、例えば、モータ10bによる車両1の車輪の駆動動作や、モータ10bにおける回生動作等を、制御するようになっている。
【0025】
(緊急動作部152)
緊急動作部152は、車両1における緊急時(前述した緊急通報信号Seの送信時)に関連する、各種動作を行う部分である。この緊急動作部152は、図2に示した例では、通報部152a、周波数制御部152bおよび充電停止制御部152cを有している。
【0026】
通報部152aは、前述した緊急スイッチ14が押下された場合(前述した緊急スイッチオン信号Sonが出力されてきた場合)に、通信部131から前述した外部機関9へ向けて、緊急通報信号Seを送信させるものである。また、この緊急通報信号Seには、例えば、前述した位置情報取得部12によって取得した、車両1の位置情報Ipも含まれるようになっている。なお、このような位置情報Ipを含む緊急通報信号Seを受信した外部機関9では、オペレータ等によって、例えば緊急車両の出動が要請されるようになっている。
【0027】
周波数制御部152bは、上記した緊急通報信号Seを通報部152aから送信する際の通信周波数fseを、制御するものである。具体的には、詳細は後述するが、周波数制御部152bは、充電装置2から通信部132を介して取得した、ノイズ周波数推移情報Ifnに基づいて、そのような通信周波数fseの値を、事前に(緊急通報信号Seを送信する前段階で)設定するようになっている。このノイズ周波数推移情報Ifnとは、詳細は後述するが、充電装置2からバッテリ11に対して電力Pの供給が行われている期間(充電期間)における、後述する充電ノイズ周波数fnの推移(経時変化)を示す情報である。なお、このような充電ノイズ周波数fnの推移としては、例えば、充電期間の開始時から停止時までの推移が挙げられるが、例えば、充電期間の開始時から停止時までの全期間における推移ではなく、充電期間のうちの一部の期間における推移であってもよい。
【0028】
充電停止制御部152cは、詳細は後述するが、上記した充電期間において緊急スイッチ14が押下された場合に、通信部132から充電装置2(後述する通信部23)へ向けて、充電停止指令Csを送信させるものである(図2参照)。この充電停止指令Csとは、詳細は後述するが、充電装置2からバッテリ11への充電(電力Pの供給)を停止させるための指令(指令信号)である。
【0029】
(B.充電装置2)
充電装置2は、前述したように、車両1内のバッテリ11に対して、充電ケーブル4を介した電力Pの供給(充電)を行う装置である。この充電装置2は、図1に示した例では、充電スタンドとして構成されているが、例えば、小型の充電器や、道路や駐車場等に設置された充電設備などであってもよい。このような充電装置2は、図2に示したように、充電部21、充電制御部22および通信部23を有している。
【0030】
(B-1.充電部21)
充電部21は、バッテリ11に対して電力Pを供給する、充電動作を行う部分である(図2参照)。この充電部21は、例えば、所定のスイッチング電源装置(後述する充電電圧Vpの値を制御して出力する装置)を含んで、構成されている。
【0031】
(B-2.充電制御部22)
充電制御部22は、充電部21における充電動作を制御するものである。具体的には、充電制御部22は、例えば、上記したスイッチング電源装置の動作(スイッチング動作)を制御することで、そのような充電動作を制御するようになっている。また、詳細は後述するが、充電制御部22は、車両1(通信部132)から後述する通信部23を介して、前述した充電停止指令Csを受信した場合には、充電部21における充電動作を停止させるようになっている(図2参照)。なお、このような充電制御部22では、図2に示したように、前述したノイズ周波数推移情報Ifnが随時作成され、予め保持されるようになっている。
【0032】
(B-3.通信部23)
通信部23は、車両(前述した通信部132)との間で通信を行うものである。具体的には前述したように、通信部23は、充電停止指令Csを通信部132から受信したり、ノイズ周波数推移情報Ifnや制御手法情報Icを、通信部132へと送信するようになっている(図2参照)。なお、詳細は後述するが、この制御手法情報Icとは、充電制御部22による充電部21の制御手法(例えば、上記したスイッチング動作の制御手法)を示す情報である。
【0033】
ここで、このような通信部23は、本開示における「第3通信部」の一具体例に対応している。
【0034】
[動作および作用・効果]
続いて、本実施の形態における動作および作用・効果について、詳細に説明する。
【0035】
(A.充電ノイズについて)
まず、前述した充電ノイズ周波数fnの前提となる、充電ノイズについて説明する。この充電ノイズは、バッテリ11への充電の際(前述した充電期間中)に、充電装置2側から発生する電磁ノイズであり、前述した充電部21内でのスイッチング動作に伴って生ずるものである。具体的には、詳細は後述するが、このスイッチング動作の際のスイッチング周波数fswと、このような充電ノイズの周波数(充電ノイズ周波数fn)とは、略等しくなる(fn≒fsw)。
【0036】
このようにして、バッテリ11への充電期間中においては、そのような充電ノイズが発生していることから、前述した緊急時に緊急スイッチ14が押下されて緊急通報信号Seが送信される際に、以下のようなおそれがある。すなわち、そのような充電ノイズ(電磁ノイズ)が干渉することで、緊急通報信号Seの通信不良が発生し、緊急通報信号Seが外部機関9へ向けて、正常に送信されなくなってしまうおそれがある。特に、充電装置2が充電スタンドである場合には、高電圧(後述する充電電圧Vpの値が高い)による急速充電が行われることから、充電ノイズが大きくなる結果、緊急通報信号Seと干渉する可能性が高くなる。
【0037】
また、詳細は後述するが、前述した充電停止指令Csに伴ってバッテリ11への充電動作が停止される際には、例えば充電動作が急に遮断されると、充電部21から出力される充電電圧Vpにサージ電圧が発生してしまうことから、以下のようになる。すなわち、そのような充電動作を停止する際には、充電制御部22による充電部21への充電制御により、充電電圧Vpが徐々に0[V]まで低下していくように制御される。したがって、充電停止指令Csが出された場合でも、充電電圧Vpが徐々に低下していく期間においては、充電部21内でのスイッチング動作に伴う充電ノイズが依然として発生しているため、緊急通報信号Seと干渉してしまうおそれがある。加えて、詳細は後述するが、このようにして充電電圧Vpが低下(変化)していく際には、充電ノイズ周波数fnの値も変化してしまうケースがある。
【0038】
これらのことから、このような充電ノイズ(充電期間中に発生する充電ノイズや、充電動作停止の際にも残存して周波数変化する充電ノイズ)に起因した、緊急通報信号Seの通信品質の低下(上記した通信不良等)を防止することが、望ましいと言える。
【0039】
(B.本実施の形態の各種処理)
そこで、本実施の形態の車両用充電システム3では、そのような充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下を防止するため、以下詳述する各種処理(通信周波数fseの事前設定処理、および、充電動作停止処理等)を行うようになっている。
【0040】
以下、図1図2に加えて図3図7を参照して、本実施の形態における上記各種処理の一例について、詳細に説明する。
【0041】
(B-1.通信周波数fseの事前設定処理)
図3は、本実施の形態における通信周波数fseの事前設定処理の一例を、流れ図で表したものである。なお、この事前設定とは、前述したように、緊急通報信号Seを送信する前段階での設定、という意味である。
【0042】
この図3に示した処理例では、まず、前述した充電期間中であるのか否か(充電ケーブル4の充電コネクタが、車両1側に接続されているのか否か)が、例えば、緊急動作部152または充電制御部22によって、判定される(ステップS11)。ここで、充電期間中ではない(充電コネクタが車両1側に接続されていない)と判定された場合には(ステップS11:N)、再びステップS11へと戻ることになる。
【0043】
一方、充電期間中である(充電コネクタが車両1側に接続されている)と判定された場合には(ステップS11:Y)、次に充電制御部22は、例えば、緊急動作部152からの通信を介した要請、または、自身の判断に従って、以下の処理を行う。すなわち、この場合には充電制御部22は、充電装置2から車両1へ向けて、前述したノイズ周波数推移情報Ifnを、送信させる(ステップS12)。具体的には、充電制御部22は、通信部23から通信部132へ向けて、ノイズ周波数推移情報Ifnを送信させる(図2参照)。これにより、この通信部132を介して、送信されたノイズ周波数推移情報Ifnが、車両1内の周波数制御部152bへと供給されることになる。
【0044】
次いで、周波数制御部152bは、このようにして取得したノイズ周波数推移情報Ifnに基づいて、緊急通報信号Seの通信周波数fseが、充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnと干渉するのか否かについて、判定を行う(ステップS13)。なお、この周波数帯域Δfnとは、充電ノイズ周波数fnを含む所定の帯域幅を有する、周波数帯域のことである。ここで、そのような通信周波数fseが、充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnとは干渉しないと判定された場合には(ステップS13:N)、以下のようになる。すなわち、この場合には、前述したような、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下のおそれがないことから、図3に示した一連の処理が終了となる。
【0045】
一方、通信周波数fseが、充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnと干渉すると判定された場合には(ステップS13:Y)、以下のようになる。すなわち、この場合には次に周波数制御部152bは、取得したノイズ周波数推移情報Ifnに基づいて、通信周波数fseが、充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnと干渉しないように、この通信周波数fseを事前に設定する(ステップS14)。
【0046】
ここで、充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnと干渉しないように、通信周波数fseを事前設定する手法としては、図3中に示したように、例えば以下のような手法が挙げられる。なお、周波数帯域Δfnと異なる周波数としては、この周波数帯域Δfnよりも高周波側の周波数、または、周波数帯域Δfnよりも低周波側の周波数の、いずれであってもよい。
・充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnとは異なる周波数に、通信周波数fseを設定する(fse≠Δfn)
・充電ノイズ周波数fnの整数倍(N倍)となる各周波数の周波数帯域Δfnとは異なる周波数に、通信周波数fseを設定する(fse≠(N×fn)の各周波数帯域Δfn)
【0047】
ちなみに、図3中に示した、後述するPFM制御の場合における手法の例については、後述する。
【0048】
以上で、図3に示した一連の処理が終了となる。
【0049】
(B-2.充電動作停止処理)
図4は、本実施の形態における充電動作停止処理の一例を、流れ図で表したものである。
【0050】
この図4に示した処理例では、まず、通報部152aにおいて、前述した緊急スイッチオン信号Sonを緊急スイッチ14から受信すると(ステップS21)、以下のようになる。すなわち、前述した充電期間中であるのか否か(充電ケーブル4の充電コネクタが、車両1側に接続されているのか否か)が、例えば、緊急動作部152または充電制御部22によって、判定される(ステップS22)。ここで、充電期間中ではない(充電コネクタが車両1側に接続されていない)と判定された場合には(ステップS22:N)、以下のようになる。すなわち、この場合には、前述したような、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下のおそれがないことから、図4に示した一連の処理が終了となる。
【0051】
一方、充電期間中である(充電コネクタが車両1側に接続されている)と判定された場合には(ステップS22:Y)、以下のようになる。すなわち、この場合には、次に充電停止制御部152cは、車両1から充電装置2へ向けて、前述した充電停止指令Csを送信させる(ステップS23)。具体的には、充電停止制御部152cは、通信部132から通信部23へ向けて、充電停止指令Csを送信させる(図2参照)。これにより、この通信部23を介して、送信された充電停止指令Csが、充電装置2内の充電制御部22へと供給されることになる。
【0052】
続いて、充電制御部22は、このようにして取得(受信)した充電停止指令Csに従って、充電部21におけるバッテリ11に対する充電動作を、停止させる(ステップS24)。
【0053】
以上で、図4に示した一連の処理が終了となる。
【0054】
(B-3.PFM制御の場合の処理例)
続いて、図5図7を参照して、図3にて前述したPFM制御の場合の処理例等について、詳細に説明する。図5は、以下のPWM制御およびPFM制御について説明するための模式図である。図6は、図4にて説明した充電動作停止の際の充電電圧Vpの低下時における、PFM制御について説明するための模式図である。また、図7は、前述したノイズ周波数推移情報Ifnの一例を、模式的に表したものである。なお、これらの図5図7では主に、横軸は時間tを示している。
【0055】
まず、例えば図5図6に示したように、前述したスイッチング電源装置から出力される電圧(充電電圧Vp:実効電圧)と、スイッチング制御の際のデューティ(Duty)比との関係については、以下のようになる。なお、このデューティ比=(パルス幅Δp/スイッチング周期Tsw)=(パルス幅Δp×スイッチング周波数fsw)として規定されており、前述したように、スイッチング周波数fsw≒充電ノイズ周波数fnとなる。
【0056】
すなわち、上記したような電圧(充電電圧Vp)を下げようするには、デューティ比を小さくする必要がある。そして、例えば図5に示したように、このデューティ比を小さくする制御手法としては、一般に、以下の2つの制御手法が挙げられる。
・パルス幅を変化させる(小さくする)制御手法
→PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御
・周波数(スイッチング周波数)を変化させる(小さくする)制御手法
→PFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)制御
【0057】
ここで、例えば図6中の破線の矢印で示したように、図4にて説明した充電動作停止の際には、充電電圧Vpが徐々に低下していくことになる。そして、この場合において、図6に示したように、上記したPFM制御を用いて充電電圧Vpを低下させていく場合には、この図6に示したように、そのような充電電圧Vpの低下に伴って、充電ノイズ周波数fnも変化していく(小さくなっていく)ことになる。
【0058】
このように、上記したPWM制御の場合には、充電電圧Vpが変化してもスイッチング周波数fswは一定となることから、それに伴って発生する充電ノイズの周波数(充電ノイズ周波数fn)も、一定となる。これに対して、上記したように、PFM制御の場合には、充電電圧Vpが変化すると、スイッチング周波数fswが変化することから、それに伴って発生する充電ノイズの周波数(充電ノイズ周波数fn)も、変化することになる。したがって、充電装置2(充電部21)において、PFM制御を用いて充電電圧Vpの制御を行っている場合には、PFM制御に起因して変化する充電ノイズ周波数fnにも対応したうえで、前述したような通信周波数fseの事前設定を行うのが、望ましいと言える。
【0059】
そこで、本実施の形態では、充電装置2において電力Pを供給する際の充電電圧Vpの制御が、上記したPFM制御である場合に、例えば、周波数制御部152bにおいて、前述したような、ノイズ周波数推移情報Ifnに基づく通信周波数fseの事前設定を行う。具体的には、充電停止指令Csに基づいて充電電圧Vpが低下する際に、周波数制御部152bは、例えば、PFM制御に起因して変化する充電ノイズ周波数fnにおける、各周波数の周波数帯域Δfnと干渉しないように、通信周波数fseの事前設定を行う。なお、充電装置2(充電部21)において、どのような制御手法(例えば上記したような、PWM制御またはPFM制御)を用いて充電電圧Vpを制御しているのかについては、例えば前述した制御手法情報Icを利用して把握すればよい。この制御手法情報Icは、そのような制御手法のいずれを使用しているかを示す情報であるからである。したがって、周波数制御部152bは、例えば、充電制御部22から通信部23,132を介して取得した制御手法情報Icを利用して、上記したような、ノイズ周波数推移情報Ifnに基づく通信周波数fseの事前設定を行うようにしてもよい。
【0060】
また、この際に周波数制御部152bは、例えば図7に示したような、充電期間の停止時までの充電ノイズ周波数fnの推移を示す、ノイズ周波数推移情報Ifnを用いて、通信周波数fseの事前設定を行う。なお、この図7に示したノイズ周波数推移情報Ifnの例では、上記したように、スイッチング周波数fswを徐々に小さくしていくことで、充電電圧Vpを徐々に低下させていく際に、それに伴って、充電ノイズ周波数fnも徐々に低下している。また、図7中の左に示したノイズ周波数推移情報Ifnの例では、この充電ノイズ周波数fnが階段状(ステップ状)に低下しており、図7中の右に示したノイズ周波数推移情報Ifnの例では、充電ノイズ周波数fnが線形的に低下している。ただし、ノイズ周波数推移情報Ifnとしてはこれらの例には限られず、充電ノイズ周波数fnが他の態様で(例えば曲線状などで)、変化しているようにしてもよい。
【0061】
詳細には、図6に示した例で説明すると、以下のようになる。すなわち、この例ではPFM制御の際に、スイッチング周波数fswの値を、8kHz→5kHz→2kHz(デューティ比:80%→50%→20%)と変化させることで、充電電圧Vp(実効電圧)を徐々に低下させている。この場合、周波数制御部152bは、このようなPFM制御に起因して変化する充電ノイズ周波数fn(≒fsw)における、各周波数の周波数帯域Δfnと干渉しないように、以下のようにして、通信周波数fseの事前設定を行う。すなわち、この例では周波数制御部152bは、上記した2kHz,5kHz,8kHzの各周波数における周波数帯域Δfnと干渉しないよう、例えば、これらの周波数の公倍数とはならない周波数に、通信周波数fseを設定する(例えば、fse=17kHz)。
【0062】
(C.作用・効果)
このようにして本実施の形態では、充電装置2からバッテリ11に対して電力Pの供給が行われている充電期間において、緊急スイッチ14が押下された場合には、充電停止制御部152cが、通信部132から充電装置2へ向けて、充電停止指令Csを送信させる。これにより本実施の形態では、そのような充電期間中において、充電装置2(充電部21)から発せられる充電ノイズの影響(前述したような、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下)が、抑えられる。
【0063】
また、本実施の形態では、充電装置2から通信部132を介して取得したノイズ周波数推移情報Ifnに基づき、周波数制御部152bが、緊急通報信号Seを送信する際の通信周波数fseを、充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnと干渉しないように事前に設定する。これにより本実施の形態では、充電期間中における充電ノイズ周波数fnの推移(経時変化)にも対応したうえで、通信周波数fseの事前設定を行うことができる。具体的には、例えば前述したように、充電動作停止の際の充電電圧Vpの低下時において、充電ノイズ周波数fnが変化するような場合であっても、変化する充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnとそれぞれ干渉しないように、通信周波数fseを事前設定することができる。したがって、本実施の形態では、そのような充電期間中での充電ノイズ周波数fnの変動による影響(周波数変動する充電ノイズに起因した、緊急通報信号Seの通信品質低下)も、抑えられる。
【0064】
これらのことから、本実施の形態では、上記したような充電ノイズ(充電期間中の充電ノイズ、および、充電電圧Vpの低下時に周波数変動する充電ノイズなど)による各種影響を抑えて、緊急通報信号Seの通信品質低下を抑制することができる。その結果、本実施の形態では、緊急通報信号Seの通信品質を、向上させることが可能となる。また、緊急通報信号Seの通信品質が向上することから、前述したような、緊急通報信号Seが外部機関9へ向けて正常に送信されなくなってしまうおそれも、回避し易くすることが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態では、車両1から通信部23を介して充電停止指令Csを受信した場合には、充電制御部22において、充電部21での充電動作を停止させるようにしたので、以下のようになる。すなわち、このような充電停止指令Csに従って、充電装置2によるバッテリ11の充電動作が、実際に停止されることで、上記したような、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下を、より確実に抑制することが可能となる。
【0066】
更に、本実施の形態では、充電装置2において電力Pを供給する際の充電電圧Vpの制御が、前述したPFM制御である場合に、ノイズ周波数推移情報Ifnに基づいて、通信周波数fseの事前設定を行うようにした場合には、以下のようになる。すなわち、前述したように、PFM制御に起因して変化する充電ノイズ周波数fnにも対応したうえで、通信周波数fseの事前設定を行うことができる。その結果、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下を、更に確実に抑制することが可能となる。
【0067】
加えて、本実施の形態では、充電停止指令Csに基づいて充電電圧Vpが低下する際に、PFM制御に起因して変化する充電ノイズ周波数fnにおける、各周波数の周波数帯域Δfnと干渉しないように、充電期間の停止時までの充電ノイズ周波数fnの推移を示すノイズ周波数推移情報Ifnに基づいて、通信周波数fseの事前設定を行うようにした場合には、以下のようになる。すなわち、このようにして変化する充電ノイズ周波数fnにおける、各周波数の周波数帯域Δfnと干渉しないように、通信周波数fseの事前設定を行うことで、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下を、より一層確実に抑制することが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態では、ノイズ周波数推移情報Ifnに基づいて、充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnとは異なる周波数に、通信周波数fseを設定するようにした場合には、以下のようになる。すなわち、そのような充電ノイズ周波数fnの周波数帯域Δfnとは干渉しないように、通信周波数fseを確実に設定することができ、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下を、より確実に抑制することが可能となる。
【0069】
更に、本実施の形態では、ノイズ周波数推移情報Ifnに基づいて、充電ノイズ周波数fnの整数倍となる各周波数の周波数帯域Δfnとは異なる周波数に、通信周波数fseを設定するようにした場合には、以下のようになる。すなわち、そのような充電ノイズ周波数fn自体による影響だけでなく、その充電ノイズ周波数fnの各高調波成分による影響についても、抑えることができるようになる。その結果、充電ノイズに起因した緊急通報信号Seの通信品質低下を、更に確実に抑制することが可能となる。
【0070】
<2.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示はこの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
【0071】
例えば、車両1や充電装置2における各部材の構成(形式、形状、配置、個数等)については、上記実施の形態で説明したものには限られない。すなわち、これらの各部材における構成については、他の形式や形状、配置、個数等であってもよい。また、上記実施の形態で説明した各種パラメータの値や範囲、大小関係等についても、上記実施の形態で説明したものには限られず、他の値や範囲、大小関係等であってもよい。
【0072】
具体的には、例えば、上記実施の形態では、車両1内に1つのモータ(モータ10b)が設けられている場合を例に挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、車両1内に、例えば複数(2つ以上)のモータが設けられているようにしてもよい。また、上記実施の形態では、ハイブリッド自動車(HEV)により構成された電動車両(車両1)を例に挙げて説明したが、この例には限られず、例えば、電気自動車(EV:Electric Vehicle)により構成された電動車両についても、本開示を適用することが可能である。
【0073】
また、例えば、上記実施の形態では、充電装置2から車両1に対して、充電ケーブル4を用いた有線での充電を行う場合の例について説明したが、この例には限られない。すなわち、本開示の車両用充電システムでは、例えば、充電装置から車両に対して、無線での充電(非接触給電)を行うようにしてもよい。
【0074】
更に、上記実施の形態では、車両1や充電装置2において行われる各種処理について、具体例を挙げて説明したが、これらの具体例には限られない。すなわち、他の手法を用いて、これらの各種処理を行うようにしてもよい。具体的には、例えば、前述した通信周波数の事前設定処理や、充電動作停止処理等については、上記実施の形態で説明した手法には限られない。また、上記実施の形態で説明したノイズ周波数推移情報Ifnの内容についても、上記実施の形態で説明したものには限られず、他の内容であってもよい。
【0075】
加えて、上記実施の形態で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。
【0076】
また、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
【0077】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0078】
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
外部の充電装置から供給される電力を蓄えるバッテリと、
駆動力源としてのモータと、
前記バッテリに蓄えられている前記電力に基づいて、前記モータの動作を制御するモータ制御部と、
緊急スイッチと、
外部機関との間で通信を行う第1通信部と、
前記緊急スイッチが押下された場合に、前記第1通信部から前記外部機関へ向けて、緊急通報信号を送信させる通報部と、
前記充電装置との間で通信を行う第2通信部と、
前記充電装置から前記バッテリに対して前記電力の供給が行われている充電期間において、前記緊急スイッチが押下された場合には、前記第2通信部から前記充電装置へ向けて、充電停止指令を送信させる充電停止制御部と、
前記充電装置から前記第2通信部を介して取得した、前記充電期間における充電ノイズ周波数の推移を示すノイズ周波数推移情報に基づいて、前記緊急通報信号を送信する際の通信周波数を、前記充電ノイズ周波数の周波数帯域と干渉しないように事前に設定する周波数制御部と
を備えた車両。
(2)
前記周波数制御部は、
前記充電装置において前記電力を供給する際の充電電圧の制御が、PFM制御である場合に、
前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、前記通信周波数の事前設定を行う
上記(1)に記載の車両。
(3)
前記周波数制御部は、
前記充電停止指令に基づいて前記充電電圧が低下する際に、前記PFM制御に起因して変化する前記充電ノイズ周波数における、各周波数の周波数帯域と干渉しないように、
前記充電期間の停止時までの前記充電ノイズ周波数の推移を示す前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、前記通信周波数の事前設定を行う
上記(2)に記載の車両。
(4)
前記周波数制御部は、
前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、
前記充電ノイズ周波数の周波数帯域とは異なる周波数に、前記通信周波数を設定する
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の車両。
(5)
前記周波数制御部は、
前記ノイズ周波数推移情報に基づいて、
前記充電ノイズ周波数の整数倍となる各周波数の周波数帯域とは異なる周波数に、前記通信周波数を設定する
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の車両。
(6)
上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の車両と、
前記充電装置と
を備えた車両用充電システム。
(7)
前記充電装置は、
前記バッテリに対して前記電力を供給する充電動作を行う充電部と、
前記充電部における前記充電動作を制御する充電制御部と、
前記車両との間で通信を行う第3通信部と
を有しており、
前記充電制御部は、前記車両から前記第3通信部を介して前記充電停止指令を受信した場合には、前記充電部における前記充電動作を停止させる
上記(6)に記載の車両用充電システム。
(8)
外部の充電装置から供給される電力を蓄えるバッテリと、
駆動力源としてのモータと、
緊急スイッチと、
外部機関との間で通信を行う第1通信部と、
前記充電装置との間で通信を行う第2通信部と、
1または複数のプロセッサと
前記1または複数のプロセッサに通信可能に接続される1または複数のメモリと
を備え、
前記1または複数のプロセッサは、
前記バッテリに蓄えられている前記電力に基づいて、前記モータの動作を制御することと、
前記緊急スイッチが押下された場合に、前記第1通信部から前記外部機関へ向けて、緊急通報信号を送信させることと、
前記充電装置から前記バッテリに対して前記電力の供給が行われている充電期間において、前記緊急スイッチが押下された場合には、前記第2通信部から前記充電装置へ向けて、充電停止指令を送信させることと、
前記充電装置から前記第2通信部を介して取得した、前記充電期間における充電ノイズ周波数の推移を示すノイズ周波数推移情報に基づいて、前記緊急通報信号を送信する際の通信周波数を、前記充電ノイズ周波数の周波数帯域と干渉しないように事前に設定することと、
を行う
車両。
【符号の説明】
【0079】
1…車両、10…駆動力源、10a…エンジン、10b…モータ、11…バッテリ、12…位置情報取得部、131,132…通信部、14…緊急スイッチ、15…車両制御部、151…走行制御部、151a…エンジン制御部、151b…モータ制御部、152…緊急動作部、152a…通報部、152b…周波数制御部、152c…充電停止制御部、2…充電装置、21…充電部、22…充電制御部、23…通信部、3…車両用充電システム、4…充電ケーブル、9…外部機関、P…電力、Son…緊急スイッチオン信号、Se…緊急通報信号、Ip…位置情報、Ifn…ノイズ周波数推移情報、Ic…制御手法情報、Cs…充電停止指令、fn…充電ノイズ周波数、Δfn…周波数帯域、fse…通信周波数、Δp…パルス幅、Tsw…スイッチング周期、fsw…スイッチング周波数、t…時間、Vp…充電電圧。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7