(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】通信システム及び回線制御装置
(51)【国際特許分類】
H04M 3/00 20240101AFI20241218BHJP
【FI】
H04M3/00 B
(21)【出願番号】P 2021118502
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慧
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-176200(JP,A)
【文献】特開2016-171459(JP,A)
【文献】特開2013-171568(JP,A)
【文献】特開2008-154067(JP,A)
【文献】特開2008-113179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M3/00
H04M3/16-3/20
H04M3/38-3/58
H04M7/00-7/16
H04M11/00-11/10
H04Q9/00-9/16
H04W8/00-8/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成装置が接続され、前記
複数の構成装置の通信を管理する
複数の回線制御装置と、管理者が操作を行う管理端末とを備える通信システムであって
、
前記複数の回線制御装置の内、1つが主回線制御装置として前記管理端末に接続し、
前記主回線制御装置以外の回線制御装置が副回線制御装置として前記主回線制御装置の下位に直接又は間接に接続しており、
前記主回線制御装置が、管理対象として接続された前記副回線制御装置を記憶しており、前記管理対象となっていない新規の回線制御装置からのシステム参入要求を受信すると、当該システム参入要求を前記管理端末に送信し、前記管理端末から当該新規の回線制御装置のシステム参入許可を受信すると、当該新規の回線制御装置を前記管理対象の前記副回線制御装置に追加して記憶することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記副回線制御装置は、接続する前記構成装置の情報を記憶すると共に、前記構成装置の情報を構成情報として前記主回線制御装置に送信し、
前記主回線制御装置は、前記構成情報を受信すると、当該構成情報に基づいて前記構成装置を管理対象とすることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記副回線制御装置は、下位に別の副回線制御装置が接続している場合、当該別の副回線制御装置の情報を前記構成情報に含めて前記主回線制御装置に送信し、
前記主回線制御装置は、前記構成情報を受信すると、当該構成情報に基づいて前記別の副回線制御装置を管理対象とすることを特徴とする請求項2記載の通信システム。
【請求項4】
前記副回線制御装置は、接続する前記構成装置から、記憶する前記構成情報にない他の構成装置宛の接続要求を受信すると、前記主回線制御装置に、前記他の構成装置が接続す
る他の回線制御装置の情報を問い合わせ、前記主回線制御装置から前記他の回線制御装置の情報を取得すると、当該他の回線制御装置に対して前記接続要求を送信して接続確立の処理を行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の通信システム。
【請求項5】
複数の回線制御装置が設けられた通信システムで用いられる回線制御装置であって、
上位に管理端末が接続され、下位に管理対象の別の回線制御装置が接続され、前記別の回線制御装置から、当該別の回線制御装置に接続する構成装置の情報を構成情報として受信すると、当該構成情報に含まれる前記構成装置を前記管理対象に追加して記憶することを特徴とする回線制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回線制御装置及び通信システムに係り、特に別々の回線制御装置によって管理されるシステムを複数容易に統合でき、通信システム構築の自由度を向上させることができる通信システム及び回線制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[先行技術の説明:
図9]
従来の回線制御装置を用いた通信システム(従来の通信システム)について、
図9を用いて説明する。
図9は、従来の通信システムの例を示す模式説明図である。
図9に示すように、通信システムは、管理端末1(1a,1b,…1e)と、回線制御装置2(2a,2b,…2e)と、構成装置3(3a1,3a2,3b1,3b2,…3e2)とを備えており、各回線制御装置2を中心として、それぞれ独立した通信システムを構築している。
ここでは、それぞれの回線制御装置2が制御する通信システムを個別システムと称するものとする。
図9の例では5個の個別システムが設けられている。
【0003】
管理端末1は、個別システム全体の運用状態管理や保守、メンテナンスを行うためのユーザインタフェースを備えた装置である。管理端末1は、運用者によって操作され、回線制御装置2を含めた各装置の管理を行う。
回線制御装置2は、配下に接続された複数の構成装置3における通話に伴う回線制御やデータ通信の制御を行う。
構成装置3は、通信卓や基地局等の装置であり、図では簡略化のために数を少なくして示している。
【0004】
各個別システムについて、回線制御装置A(2a)の個別システムを例として説明する。
回線制御装置A(2a)は、上位の管理端末A(1a)に有線回線で接続すると共に、配下の構成装置A1(3a1)、構成装置A2(3a2)に有線回線で接続している。
そして、回線制御装置A(2a)は、個別システム内の通信制御を行う。
回線制御装置B(2b)~回線制御装置E(2e)も同様であるため、説明は省略する。
そして、従来の回線制御装置2を用いた通信システムでは、個別システム間の通信はできなかった。
【0005】
[従来の回線制御装置を用いた統合システム:
図10]
従来の回線制御装置を用いて、複数の個別システムを統合して、異なる個別システムに属する構成装置3間での通信を可能とする統合システム(従来の統合システム)の構成について、
図10を用いて説明する。
図10は、従来の統合システムの説明図である。
図10では、
図9に示した5つの個別システムに属している構成装置3(構成装置A1(3a1)~構成装置E2(3e2))同士の通信を実現する統合システムを示している。
【0006】
従来の回線制御装置2は、自装置が管理する個別システム内の構成装置3間の通信しか制御できないため、
図10の統合システムでは、新たに、回線制御装置N(2n)を設けている。
また、管理端末としては、管理端末1nの1台のみを設けている。管理端末1nは、
図9に示した管理端末1a~1eのいずれかでもよいし、別のものでもよい。
【0007】
回線制御装置N(2n)は、
図9に示した回線制御装置A(2a)~回線制御装置E(2e)を統合集約したものであり、具体的には回線制御装置A(2a)~回線制御装置E(2e)に設けられている個別システム用の接続部及び回線制御処理部を1箇所に集約して、回線制御装置N(2n)に組み込んでいる。
これにより、全ての構成装置3が回線制御装置N(2n)の配下に接続されたことになり、統合システムが実現する。
【0008】
このように、従来の回線制御装置2を用いて統合システムを実現するには、回線制御装置2の移動が必要となり、移送費用によるコスト増加や、移動時の故障リスクが生じる。
また、移動に時間を要するため、システムが運用不能となる期間が長くなってしまう。
更に、統合するシステムの規模によっては、装置を収納するラックの収容量の制約によって統合自体が不可能となり、新たに回線制御装置や通信システムを構築しなおさなければならない。
【0009】
[関連技術]
尚、通信システムに関する従来技術としては、特開2019-176200号公報「回線制御装置、通信チャネル割当て方法及び無線通信システム」(特許文献1)がある。
特許文献1には、1つの回線制御装置を備えた通信システムにおいて、回線制御装置が、移動局の位置情報に基づいて移動局が存在する領域を判定し、移動局に通信チャネルを割り当てる際には、当該領域において割り当て可能な通信チャネルを割り当てることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来の無線通信システムでは、各回線制御装置が独立して個別無線システムを制御しているため、異なる回線制御装置に接続された構成装置間での通信ができず、また、統合する場合にも、装置の移送に伴うコストの増大や故障のリスクがあり、更に、移送や接続に伴ってシステムの運用停止期間が長引いてしまい、不便であるという問題点があった。
【0012】
尚、特許文献1には、通信システム内に複数の回線制御装置を備え、その内の1つが主回線制御装置として動作して、他の回線制御装置(副回線制御装置)の情報を管理することで、統合システムを実現することは記載されていない。
【0013】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、装置の移送を行うことなく、別々の回線制御装置が管理する個別システムを複数容易に統合でき、システム構築の自由度を向上させると共に、システムの運用停止期間を大幅に短縮することができる通信システム及び回線制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、複数の構成装置が接続され、複数の構成装置の通信を管理する複数の回線制御装置と、管理者が操作を行う管理端末とを備える通信システムであって、複数の回線制御装置の内、1つが主回線制御装置として管理端末に接続し、主回線制御装置以外の回線制御装置が副回線制御装置として主回線制御装置の下位に直接又は間接に接続しており、主回線制御装置が、管理対象として接続された副回線制御装置を記憶しており、管理対象となっていない新規の回線制御装置からのシステム参入要求を受信すると、当該システム参入要求を管理端末に送信し、管理端末から当該新規の回線制御装置のシステム参入許可を受信すると、当該新規の回線制御装置を管理対象の副回線制御装置に追加して記憶することを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、上記通信システムにおいて、副回線制御装置は、接続する構成装置の情報を記憶すると共に、構成装置の情報を構成情報として主回線制御装置に送信し、主回線制御装置は、構成情報を受信すると、当該構成情報に基づいて構成装置を管理対象とすることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、上記通信システムにおいて、副回線制御装置は、下位に別の副回線制御装置が接続している場合、当該別の副回線制御装置の情報を構成情報に含めて主回線制御装置に送信し、主回線制御装置は、構成情報を受信すると、当該構成情報に基づいて別の副回線制御装置を管理対象とすることを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、上記通信システムにおいて、副回線制御装置は、接続する構成装置から、記憶する構成情報にない他の構成装置宛の接続要求を受信すると、主回線制御装置に、他の構成装置が接続する他の回線制御装置の情報を問い合わせ、主回線制御装置から他の回線制御装置の情報を取得すると、当該他の回線制御装置に対して接続要求を送信して接続確立の処理を行うことを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、複数の回線制御装置が設けられた通信システムで用いられる回線制御装置であって、上位に管理端末が接続され、下位に管理対象の別の回線制御装置が接続され、別の回線制御装置から、当該別の回線制御装置に接続する構成装置の情報を構成情報として受信すると、当該構成情報に含まれる構成装置を管理対象に追加して記憶することを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の構成装置が接続され、複数の構成装置の通信を管理する複数の回線制御装置と、管理者が操作を行う管理端末とを備える通信システムであって、複数の回線制御装置の内、1つが主回線制御装置として管理端末に接続し、主回線制御装置以外の回線制御装置が副回線制御装置として主回線制御装置の下位に直接又は間接に接続しており、主回線制御装置が、管理対象として接続された副回線制御装置を記憶しており、管理対象となっていない新規の回線制御装置からのシステム参入要求を受信すると、当該システム参入要求を管理端末に送信し、管理端末から当該新規の回線制御装置のシステム参入許可を受信すると、当該新規の回線制御装置を管理対象の副回線制御装置に追加して記憶する通信システムとしているので、主回線制御装置において、システム内の副回線制御装置の情報を管理して、副回線制御装置を物理的に集約せずに、容易に統合システムを実現することができる効果がある。
【0020】
また、本発明によれば、副回線制御装置は、接続する構成装置の情報を記憶すると共に、構成装置の情報を構成情報として主回線制御装置に送信し、主回線制御装置は、構成情報を受信すると、当該構成情報に基づいて構成装置を管理対象とする上記通信システムとしているので、主回線制御装置において、システム内の副回線制御装置に接続する構成装置の情報を管理することで管理対象として、容易に統合システムを実現することができる効果がある。
【0021】
また、本発明によれば、副回線制御装置は、接続する構成装置から、記憶する構成情報にない他の構成装置宛の接続要求を受信すると、主回線制御装置に、他の構成装置が接続する他の回線制御装置の情報を問い合わせ、主回線制御装置から他の回線制御装置の情報を取得すると、当該他の回線制御装置に対して接続要求を送信して接続確立の処理を行う上記通信システムとしているので、接続先が、副回線制御装置の管理対象外であった場合でも、主回線制御装置が仲介して情報を提供することにより、副回線制御装置同士の処理で回線接続を行うことができ、利便性を向上させることができる効果がある。
【0022】
また、本発明によれば、複数の回線制御装置が設けられた通信システムで用いられる回線制御装置であって、上位に管理端末が接続され、下位に管理対象の別の回線制御装置が接続され、別の回線制御装置から、当該別の回線制御装置に接続する構成装置の情報を構成情報として受信すると、当該構成情報に含まれる構成装置を管理対象に追加して記憶する回線制御装置としているので、主回線制御装置として、別の回線制御装置に接続された構成装置も管理対象として、システム全体の装置を管理でき、回線制御装置を物理的に集約することなく、容易に統合システムを実現することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本通信システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】副回線制御装置管理テーブルの例を示す説明図である。
【
図4】各回線制御装置20が管理対象とする構成装置を示す説明図である。
【
図5】新規参入時のシーケンスを示す説明図である。
【
図6】副回線制御装置Fが参入した状態を示す説明図である。
【
図8】他の回線制御装置が仲介する場合のシーケンスを示す説明図である。
【
図9】従来の通信システムの例を示す模式説明図である。
【
図10】従来の回線制御装置を用いた統合システムの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る通信システム(本通信システム)は、管理端末と、複数の回線制御装置と、回線制御装置に接続する複数の構成装置とを備え、複数の回線制御装置の内、管理端末に接続する1つが主回線制御装置となり、他の回線制御装置が副回線制御装置となって主回線制御装置に直接又は間接に接続し、主回線制御装置が、直接又は間接に接続された副回線制御装置を管理対象として記憶しており、管理対象となっていない新規の回線制御装置からのシステム参入要求を受信すると、当該システム参入要求を管理端末に送信し、管理端末から当該新規の回線制御装置のシステム参入許可を受信すると、当該新規の回線制御装置を管理対象の副回線制御装置に追加して記憶するようにしており、個々の回線制御装置と構成装置との接続関係を変更することなく、複数の回線制御装置を主回線制御装置の管理下とすることで、容易に統合システムを実現でき、システム構築の自由度を向上させると共に、装置の移動を不要として、システムの運用停止期間を大幅に短縮することができるものである。
【0025】
また、本発明の実施の形態に係る回線制御装置は、上位に管理端末が接続された場合には主回線制御装置として動作し、上位に他の回線制御装置が接続された場合には副回線制御装置として動作するものであり、副回線制御装置は、接続された構成装置の情報を主回線制御装置に送信し、主回線制御装置は、副回線制御装置から送信された構成装置の情報を受信して、送信元の副回線制御装置と対応付けて管理対象として記憶するものであり、主回線制御装置において、システム内の副回線制御装置及びそれに接続する構成装置の情報を管理して、容易に統合システムを実現することができるものである。
【0026】
[本通信システムの構成:
図1]
本通信システムの構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本通信システムの構成例を示す説明図である。
図1に示すように、本通信システムは、1台の管理端末10と、複数の回線制御装置20(20a,20b,…,20e)と、複数の構成装置3(3a1,3a2,…3e1,3e2)とを備えている。
構成装置3は、従来と同様の通信卓や基地局装置であり、説明は省略する。
管理端末10は、従来と同様に運用者によって操作され、各装置やシステム全体の運用状態の管理を行う。
【0027】
回線制御装置20は、本通信システムの特徴部分であり、本通信システム内では1台が主回線制御装置として動作し、他の回線制御装置20は副回線制御装置として動作する。
そして、主回線制御装置がシステム内の全ての副回線制御装置における情報を管理して、回線制御の仲介を行うことにより、回線制御装置20の物理的な集約統合を行うことなく、複数の個別システムの統合を実現可能としている。
特に、本通信システムでは、各副回線制御装置が管理する個別システムを維持したまま統合するため、システムの運用停止期間を大幅に短縮できるものである。
【0028】
図1の例では、上位に管理端末10が接続した回線制御装置A(20a)が主回線制御装置として動作し、それ以外の回線制御装置B(20b)、回線制御装置C(20c)、回線制御装置D(20d)、回線制御装置E(20e)は副回線制御装置として動作する。
【0029】
各回線制御装置20の記憶部には、主回線制御装置として動作する場合の処理プログラム及び副回線制御装置として動作する場合の処理プログラムが記憶されており、当該回線制御装置20の上位に接続された装置の種類に応じて選択(又は設定)され、制御部がいずれかの処理プログラムに従って動作を行う。
具体的には、上位に管理端末10が接続する場合には主回線制御装置、他の回線制御装置20が接続する場合には副回線制御装置として動作を行う。
【0030】
図1の通信システムでは、主回線制御装置である回線制御装置A(20a)(以下、主回線制御装置Aとする)の下位には、構成装置A1(3a1)、構成装置A2(3a2)に加えて、副回線制御装置である回線制御装置B(20b)、回線制御装置C(20c)、回線制御装置D(20d)が接続されている。
また、回線制御装置D(20d)の下位には、回線制御装置E(20e)が接続されている。
【0031】
そして、主回線制御装置Aは、従来と同様の自装置に接続する構成装置3だけでなく、自装置に直接又は間接的に接続する副回線制御装置(副回線制御装置B~E)と、それらの副回線制御装置に接続する構成装置3を管理対象として、これらの装置に関する情報を記憶している。
主回線制御装置Aにおける管理対象に関する情報については後述する。
【0032】
副回線制御装置B~Eは、自装置の上位に接続する1台の回線制御装置20の情報と、下位に接続する構成装置3の情報を記憶している。
つまり、副回線制御装置B~Eは、従来と同様に自装置が管理する構成装置3の通信における回線制御を行うものであるが、本通信システムの特徴として、本通信システム内での接続関係を特定する上位装置の情報を記憶しているものである。
更に、副回線制御装置B~Eは、自装置の下位に別の回線制御装置20が接続されている場合にはその情報も記憶している。
【0033】
そして、後述するように、副回線制御装置B~Eは、自装置の下位に接続された構成装置3や副回線制御装置の情報(構成情報)を主回線制御装置Aに送信する。
主回線制御装置Aへの構成情報の送信は、システムの運用開始時や、当該副回線制御装置がシステムに新規参入した場合等が考えられる。
また、副回線制御装置B~Eは、下位装置の構成を示す構成情報に加えて、上位装置の情報を主回線制御装置Aに送信してもよい。
【0034】
[主回線制御装置Aが保持する情報]
主回線制御装置Aが記憶している管理対象に関する情報としては、回線制御装置20の接続関係を管理する副回線制御装置管理テーブルと、各回線制御装置20の構成情報を記憶する構成情報管理テーブルとがある。
【0035】
[副回線制御装置管理テーブル:
図2]
まず、副回線制御装置管理テーブルについて
図2を用いて説明する。
図2は、副回線制御装置管理テーブルの例を示す説明図である。
図2に示すように、副回線制御装置管理テーブルは、システム内の副回線制御装置名と、各副回線制御装置が接続する上位装置の情報とを記憶するものである。
【0036】
図2の例は、
図1のシステムに対応するものであり、システム内には副回線制御装置B~Eの4台の副回線制御装置があり、副回線制御装置B~Dの上位装置は主回線制御装置A、副回線制御装置Eの上位装置は副回線制御装置Dであることが記憶されている。
これは、副回線制御装置B~Dは主回線制御装置Aに直接接続されており、副回線制御装置Eは副回線制御装置Dを介して主回線制御装置Aに間接的に接続されていることを示している。
つまり、副回線制御装置管理テーブルは、システム内の副回線制御装置の接続関係を管理する情報となっている。
【0037】
副回線制御装置管理テーブルは、例えば、システム運用前に管理端末10によって主回線制御装置Aに設定されるが、その後、運用中に、システム構成の変化(副回線制御装置の追加参入や離脱)があった場合には、主回線制御装置Aは、副回線制御装置管理テーブルを随時更新して記憶する。
更に、副回線制御装置管理テーブルを更新した場合には、管理端末10にも更新された副回線制御装置管理テーブルを通知する。
【0038】
[構成情報管理テーブル:
図3]
次に、主回線制御装置Aの構成情報管理テーブルについて
図3を用いて説明する。
図3は、構成情報管理テーブルの説明図である。
図3に示すように、構成情報管理テーブルは、回線制御装置20のそれぞれに対応して、当該装置の下位に接続される装置(回線制御装置20及び構成装置3)の情報を記憶するものである。
【0039】
主回線制御装置Aは、自装置(回線制御装置A)に対応する構成情報は上述した副回線制御装置管理テーブルの情報と、接続されている構成装置3の情報に基づいて構成情報管理テーブルに記憶し、副回線制御装置B~E(回線制御装置B~E)の構成情報については、各副回線制御装置から受信した構成情報に基づいて構成情報管理テーブルに記憶する。
【0040】
例えば、回線制御装置Bの下位には、接続する回線制御装置はなく、構成装置B1,B2が接続されている。また、回線制御装置Dの下位には、回線制御装置Eと、構成装置D1,D2が直接接続されていることがわかる。
これにより、主回線制御装置Aは、通信システム内のすべての構成装置を管理対象として把握するものである。
【0041】
[各回線制御装置20が管理対象とする構成装置:
図4]
次に、各回線制御装置20が管理対象として回線制御を行う構成装置について
図4を用いて説明する。
図4は、各回線制御装置20が管理対象とする構成装置を示す説明図である。
図4は、
図1に示したシステムに対応しており、主回線制御装置Aは、システム内の全ての構成装置A1~構成装置E2を管理対象としている。
【0042】
また、副回線制御装置B~Eは、
図3に示した構成情報テーブルに示したように、それぞれ自装置の下位に接続された構成装置3、及び自装置の下位に接続された回線制御装置20が管理する構成装置を管理対象とする。
例えば、副回線制御装置Dは、自装置に直接接続された構成装置D1,D2に加えて、下位の副回線制御装置Eに接続された構成装置E1,E2も管理対象としている。
【0043】
[副回線制御装置の新規参入:
図5]
次に、新たな副回線制御装置が本通信システムに参入する場合のシーケンスについて
図5を用いて説明する。
図5は、新規参入時のシーケンスを示す説明図である。
図5では、新たな回線制御装置F(20f)(副回線制御装置F)が本通信システムに参入する場合のシーケンスを示しており、副回線制御装置Fが回線制御装置A(20a)(主回線制御装置A)に接続された際に行われるシーケンスである。
【0044】
図5に示すように、まず、新規参入の副回線制御装置Fが、システム参入要求を主回線制御装置Aに送信して、システム参入の可否を問い合わせる(S1)。
主回線制御装置Aは、システム参入要求を受信すると、管理端末10にシステム参入要求受信通知を送信する(S2)。
管理端末10において、管理者が副回線装置Fのシステム参入を許可すると(S3)、管理端末10は、主回線制御装置Aにシステム参入要求許可通知を送信し(S4)、主回線制御装置Aは、要求元である副回線制御装置Fにシステム参入要求許可を送信する(S6)。
【0045】
副回線制御装置Fは、自装置の下位に接続する装置(回線制御装置及び構成装置)の情報である構成情報を主回線制御装置Aに送信する(S6)。
主回線制御装置Aは、副回線制御装置Fの構成情報を受信して、当該構成情報を構成情報管理テーブルに追加して更新する(S7)。
【0046】
そして、主回線制御装置Aは、管理端末10に構成情報更新通知を送信して、更新された構成情報テーブルを通知し(S8)、副回線制御装置Fに受信した構成情報を追加した旨を示す構成情報更新通知を送信する(S9)。
このようにして、新たに回線制御装置20が参入する場合のシーケンスが行われる。
【0047】
尚、ここでは、副回線制御装置Fが直接主回線制御装置Aに接続された場合を例として説明したが、別の副回線制御装置(例えば副回線制御装置B)の下位に接続された場合には、主回線制御装置Aと副回線制御装置Fとのやり取りを、副回線制御装置Bが中継することで同様に実現される。
【0048】
[副回線制御装置Fが参入したシステム:
図6]
図5に示したシーケンスによって、
図1のシステムに副回線制御装置Fが参入した状態について
図6を用いて説明する。
図6は、副回線制御装置Fが参入した状態を示す説明図である。
図6に示すように、新たに回線制御装置F(20f)が主回線制御装置である回線制御装置A(20a)に接続され、回線制御装置F(20f)の下位に接続された構成装置F1(3f1)、構成装置F2(3f2)もシステムに参入している。
【0049】
[電話帳リスト:
図7]
次に、通信を行う構成装置(通信卓)が記憶している電話帳リストについて
図7を用いて説明する。
図7は、電話帳リストの説明図である。
図7に示すように、電話帳リストは、システム内の構成装置3(通信卓)名と、電話番号と、部署名とを対応付けて記憶するものである。
【0050】
また、回線制御装置20に有線で接続する通信卓以外に、構成装置3である基地局装置に接続し、システム内で移動通信を行う移動局も電話帳リストに登録され、各移動局は電話帳リストを記憶している。
通信卓及び移動局は、電話帳リストによってシステム内の通信端末を相互に認識し、通話を行うことが可能となるものである。
【0051】
[本システムにおける回線制御]
本システムにおける回線制御について説明する。
まず、各回線制御装置20(主回線制御装置A、副回線制御装置B~F)は、自装置の管理対象である構成装置3同士の通信については、従来と同様に回線制御を行って通信を実現する。
しかし、他の回線制御装置20が管理する構成装置3に対する発呼があった場合には、当該他の回線制御装置20による仲介が必要となる。
【0052】
[他の回線制御装置が仲介する場合のシーケンス:
図8]
ここで、他の回線制御装置20による仲介が行われる場合の回線制御について、
図8を用いて説明する。
図8は、他の回線制御装置が仲介する場合のシーケンスを示す説明図である。
図8では、回線制御装置C(20c)(副回線制御装置C)の管理対象である構成装置C1(3c1)から、回線制御装置B(20b)(副回線制御装置B)が管理する構成装置B1(3b1)に発呼する場合のシーケンスを示している。
【0053】
図8に示すように、構成装置C1(3c1)から、構成装置B1(3b1)への接続要求が送信されると(S11)、副回線制御装置Cが受信するが、接続先機器の構成装置B1(3b1)は、自装置の管理下にないため、副回線制御装置Cは副回線制御装置Bと直接通信できず、上位装置である回線制御装置Aに問い合わせが必要と判断する(S12)。
【0054】
そして、副回線制御装置Cは、上位の主回線制御装置Aに、構成装置B1(3b1)の管理装置を問い合わせる(S13)。
副回線制御装置Cの上位に更に別の副回線制御装置がある場合には、当該副回線制御装置に問い合わせ、順次上位に問い合わせて、最終的に主回線制御装置Aに問い合わせる。
【0055】
主回線制御装置Aは、
図3に示した構成情報テーブルを参照して、接続先機器の構成装置B1(3b1)の管理装置が副回線制御装置Bであることを特定し(S14)、問い合わせ元の副回線制御装置Cに、構成装置B1(3b1)の管理装置(副回線制御装置B)の情報を送信する(S15)。
【0056】
そして、副回線制御装置Cは、副回線制御装置Bに対して構成装置B1(3b1)への接続要求を送信する(S16)。
副回線制御装置Bは、管理下の装置である構成装置B1(3b1)宛ての接続要求を受信して、その後は、副回線制御装置Bと副回線制御装置Cとの間で、通信接続確立の処理を実施する(S17)。
これにより、構成装置C1(3c1)と構成装置B1(3b1)との間の通話が実現するものである。
【0057】
つまり、本通信システムでは、異なる副回線制御装置の管理下にある構成装置3間の通信が発生すると、全ての構成装置3の情報を管理する主回線制御装置Aが仲介して、回線制御に必要な情報を、発信元を管理する副回線制御装置に提供することにより、異なる個別システム間の通信を実現可能としている。
【0058】
尚、例えば、回線制御装置Cが他の副回線制御装置(例えば副回線制御装置D)の下位に接続されている場合には、副回線制御装置Cと主回線制御装置Aとのやり取り、及び副回線制御装置Cと副回線制御装置Bとのやり取りを、副回線制御装置Dが中継することで同様に実現される。
【0059】
[実施の形態の効果]
本通信システムによれば、管理端末10と、複数の回線制御装置20と、回線制御装置20に接続する複数の構成装置3とを備え、複数の回線制御装置20の内、管理端末10に接続する1つが主回線制御装置となり、他の回線制御装置が副回線制御装置となって主回線制御装置に直接又は間接に接続し、主回線制御装置が、直接又は間接に接続された副回線制御装置を管理対象として記憶しており、管理対象となっていない新規の回線制御装置20からのシステム参入要求を受信すると、当該システム参入要求を管理端末10に送信し、管理端末10から当該新規の回線制御装置20のシステム参入許可を受信すると、当該新規の回線制御装置20を管理対象の副回線制御装置に追加して記憶するようにしており、個々の回線制御装置20と構成装置3との接続関係を変更することなく、複数の副回線制御装置を主回線制御装置の管理下とすることで、副回線制御装置を物理的に集約せずに容易に統合システムを実現でき、システム構築の自由度を向上させると共に、装置の移動を不要として、システムの運用停止期間を大幅に短縮することができる効果がある。
【0060】
更に、本通信システムでは、主回線制御装置の管理情報を更新することで、システムの構成が変更になった場合にも容易に新たな構成による統合システムを実現できるため、一度統合したシステムを再度分割する場合や、一時的に統合が必要な場合、あるいは段階的に装置拡張を行うような場合にも短期間で実現でき、特に有用となる。
【0061】
また、本回線制御装置20によれば、上位に管理端末が接続された場合には主回線制御装置として動作し、上位に他の回線制御装置が接続された場合には副回線制御装置として動作するものであり、副回線制御装置として動作する場合は、接続された構成装置の情報を主回線制御装置に送信し、主回線制御装置として動作する場合は、副回線制御装置から送信された構成装置の情報を受信して、送信元の副回線制御装置と対応付けて管理対象として記憶するものであり、主回線制御装置において、システム内の副回線制御装置及びそれに接続する構成装置の情報を管理して、副回線制御装置を物理的に集約せずに、容易に統合システムを実現することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、装置の移送を行うことなく、別々の回線制御装置が管理する個別システムを複数容易に統合でき、システム構築の自由度を向上させると共に、システムの運用停止期間を大幅に短縮することができる通信システム及び回線制御装置に適している。
【符号の説明】
【0063】
1,10…管理端末、 2,20…回線制御装置、 3…構成装置