(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】電動機駆動装置および電動機駆動方法
(51)【国際特許分類】
H02P 27/08 20060101AFI20241218BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20241218BHJP
B61L 1/18 20060101ALI20241218BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20241218BHJP
【FI】
H02P27/08
B60L9/18 A
B61L1/18 H
H02M7/48 F
(21)【出願番号】P 2021125311
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】初瀬 渉
(72)【発明者】
【氏名】國廣 直希
(72)【発明者】
【氏名】金沢 友美
(72)【発明者】
【氏名】児島 徹郎
(72)【発明者】
【氏名】安藤 武
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-531226(JP,A)
【文献】特開2021-040358(JP,A)
【文献】特開平05-003605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/08
B60L 9/18
B61L 1/18
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を駆動するインバータと、
前記インバータを少なくとも非同期PWM駆動によって制御する制御装置と
を備え、
前記非同期PWM駆動時に、前記制御装置は、設定したPWM周波数と前記インバータのインバータ周波数の高調波成分との差分の周波数が、前記インバータが有するLCフィルタの共振周波数
の2倍以下または前記電動機を搭載する鉄道車両の位置を検出する軌道回路の動作周波数
の2倍以下になる場合、の前記インバータ周波数の領域では、前記設定したPWM周波数を変更する
ことを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機駆動装置であって、
前記制御装置は、
前記設定したPWM周波数の変更を前記インバータ周波数の上昇に合わせて階段状に大きくする
ことを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動機駆動装置であって、
前記制御装置は、
前記PWM周波数に上限周波数が存在する場合、前記設定したPWM周波数と前記インバータ周波数の異なる高調波成分との差分の周波数に基づく前記設定したPWM周波数の前記変更の仕方を組み合わせることにより、変更する前記PWM周波数を前記上限周波数以下に抑える
ことを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項4】
請求項
2または3に記載の電動機駆動装置であって、
前記制御装置は、
前記階段状に大きくする前記PWM周波数を音階に相当する周波数に変更する
ことを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項5】
少なくとも非同期PWM駆動で制御するインバータによって電動機を駆動する電動機駆動方法であって、
前記非同期PWM駆動時に、設定したPWM周波数と前記インバータのインバータ周波数の高調波成分との差分の周波数が、前記インバータが有するLCフィルタの共振周波数の2倍以下または前記電動機を搭載する鉄道車両の位置を検出する軌道回路の動作周波数の2倍以下になる場合、の前記インバータ周波数の領域では、前記設定したPWM周波数を変更する
ことを特徴とする電動機駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機を駆動するための駆動装置および駆動方法に関し、特に、鉄道車両に搭載する電動機を駆動する駆動装置および駆動方法として好適である。
【背景技術】
【0002】
インバータを用いて交流電動機を制御する駆動装置は、産業界で広く利用されており、鉄道車両用電動機の駆動装置においても同様である。
この態様の駆動装置では、直流電圧変動を抑制するための平滑コンデンサや、直流き電の鉄道車両のように、高調波吸収用のリアクトルを配置するなどして、直流電圧の平滑化や高周波成分の抑制が図られている。
【0003】
直流電圧の平準化や高調波成分の抑制のために、LCフィルタ回路が駆動装置に配置される。ところが、このLCフィルタ回路は、LC共振周波数以上では周波数の二乗で高周波成分を低減する一方で、LC共振周波数以下では減衰効果を持たず、共振周波数では逆に振動を増加する特性となる。このため、制御装置からLC共振周波数以下の成分を含む高周波成分が出力されると、制御の不安定化や直流電圧または電流の高調波成分の増加などの問題が発生する。
【0004】
そこで、駆動装置に発生するこのような共振現象を抑制するために、特許文献1には、直流電圧変動成分を基にトルクを操作することでLCフィルタによる共振現象を抑制するダンピング制御技術が開示されている。また、特許文献2には、電動機の回転数がLCフィルタの共振周波数と近づく場合にPWM周波数を増加させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許4906980号公報
【文献】特開2019-103325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に開示された手法により、LCフィルタによる共振現象を抑制することが可能となる。
しかし、特許文献1および2に開示された手法では、駆動装置を非同期PWM制御により駆動した場合に発生する高周波成分や、それにより発生する直流電圧または電流に発生する高調波成分についての言及がない。
【0007】
一般的に、電動機駆動装置を非同期PWM制御により駆動する場合、PWM周波数とインバータ周波数の倍数の差分の高調波成分が発生する。このような高調波成分が、駆動装置のLC共振成分と一致すると、直流電圧または電流に高周波成分が増加するという課題が発生する。また、このような高調波成分が路線の軌道回路の動作周波数成分と一致すると、軌道回路への外乱要素となる課題も発生する。
【0008】
そこで、本発明の目的は、非同期PWM制御時の高調波成分により、駆動装置のLC共振成分と一致して発生する直流電圧または電流の変動を抑制すること、または、路線の軌道回路の動作周波数成分と一致して発生する軌道回路への外乱を抑制すること、を可能にする駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の電動機駆動装置の一つは、電動機を駆動するインバータと、インバータを少なくとも非同期PWM駆動によって制御する制御装置とを備え、非同期PWM駆動時に、制御装置は、設定したPWM周波数とインバータのインバータ周波数の高調波成分との差分の周波数が、インバータが有するLCフィルタの共振周波数の2倍以下または電動機を搭載する鉄道車両の位置を検出する軌道回路の動作周波数の2倍以下になる場合、のインバータ周波数の領域では、設定したPWM周波数を変更するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非同期PWM制御時の高調波成分が、駆動装置のLCフィルタの共振成分と一致しないようにPWM周波数を変更することで、共振現象による直流電圧または電流の変動を抑制することが可能となる。また、この高調波成分が、路線の軌道回路の周波数成分と一致しないようにPWM周波数を変更することで、軌道回路への外乱成分を抑制することが可能となる。さらに、インバータ周波数を基にPWM周波数を変更する構成であるため、追加の部品等を用いることなく安価に高調波成分を抑制することが可能となる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施をするための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施例に係る電動機駆動装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】インバータ周波数の9次成分とLCフィルタの共振周波数との関係を示す図である。
【
図3】インバータ周波数の9次成分とLCフィルタの共振周波数との組み合わせに対してPWM周波数を変更した場合の概略を示す図である。
【
図4】PWM周波数とインバータ周波数の9次成分との差分が共振周波数の2倍以下となった場合に、PWM周波数を階段状に大きくする態様を示す図である。
【
図5】インバータ周波数の9次成分に加えて15次成分に係る差分が共振周波数の2倍以下とならないように、PWM周波数を階段状に大きくする態様を示す図である。
【
図6】インバータ周波数の9次成分と軌道回路の動作周波数との関係を示す図である。
【
図7】本実施例に係る電動機駆動装置を鉄道車両用電動機に適用した場合の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示し、周波数に関しては全て小文字fを使った表記としている。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例について、
図1から
図7を用いて説明する。本実施例は、電動機を本発明に係る駆動装置によって駆動する例である。
【0014】
図1は、本実施例に係る電動機の駆動装置の全体構成を示すブロック図である。図示のように、制御装置2が生成した指令信号によってインバータ3が駆動され、インバータ3の出力電圧を受けて電動機1が運転される。電動機1に流れる電流は、電流検出回路4によって検出され、制御装置2に入力される。ここで、インバータ3は、図示しないが、直流電源より直流電力の供給を受け、平滑用のためのキャパシタおよびリアクトルを備えるものである。
【0015】
制御装置2は、電流検出回路4からの電流検出値を基にして、ベクトル制御部21が電圧指令値を演算する。PWMパルス生成部22は、ベクトル制御部21からの電圧指令値に基づいて、PWMパルス信号を生成する。インバータ3は、PWMパルス生成部22からのPWMパルス信号によって駆動され、電圧指令値に相当する出力電圧を発生する。
【0016】
ベクトル制御部21は、電動機1を一般的なベクトル制御を用いて駆動制御するものであって、制御方式を特定するものではない。
【0017】
PWMパルス生成部22は、電動機1の回転数や電圧に応じたPWMパルス信号を生成している。鉄道車両駆動用の電動機に対しては、一般的に、低速域では非同期PWMモード、中高速域では同期PWMモードを適用して電動機1を駆動している。
【0018】
電動機1を非同期PWMモードで駆動する場合、インバータ3の直流電圧側には、PWMパルス生成部22が出力するPWM周波数Fcとインバータ周波数Finvにより、以下の(数1)の示すような高調波成分が、直流電圧に重畳される形で発生する。
【数1】
【0019】
また、インバータ3は、平滑用に備えたキャパシタとリアクトルにより、LCフィルタとして共振周波数fLCの共振特性を持つ。一般的に、LCフィルタによる共振周波数fLCは、数十Hz程度となる。このため、前記した直流電圧に重畳する高調波成分の差分成分と共振周波数fLCとが一致すると、共振成分が大きくなる状態が発生する。
【0020】
具体例として、
図2は、インバータ周波数Finvの9次成分とLCフィルタの共振周波数fLCとの関係を示す図である。
図2において、横軸はインバータ周波数Finv、縦軸はPWM周波数Fcと高調波成分である。
【0021】
図2に示すように、PWM周波数Fcとインバータ周波数Finvの9次成分との差分成分(Fc-Finv*9)は、インバータ周波数Finvが大きくなると、右下がりに小さくなり、Fc=Finv*9となるインバータ周波数Finvで0となり、その後はこの差分成分が増加していく関係となる。
【0022】
このため、前記した9次成分との差分成分は、数百Hz程度から小さくなるが、インバータ周波数Finvの上昇に伴い数十Hz付近にある共振周波数fLCより小さくなる領域が発生する(
図2に示す破線枠の部分)。この領域では、LCフィルタによる共振周波数以下の成分の増加が発生する。また、前記した現象は、
図2で説明したインバータ周波数Finvの9次成分以外の高次成分の場合でも同様に起こり得るものである。
【0023】
以上のとおり、インバータ3を非同期PWMモードで駆動する場合には、直流成分に重畳する高調波成分が、LCフィルタによる共振周波数fLC以下となり、高調波成分が増加する領域が発生するという課題がある。
【0024】
この課題に対しては、非同期PWMモードにおいて、前記したインバータ3の直流電圧側で発生する高調波成分が、LCフィルタによる共振周波数fLC以下とならないように、PWM周波数Fcを変更することで、簡易に高調波成分の増加を抑制することが可能となる。
【0025】
一例として、
図3は、インバータ周波数Finvの9次成分とLCフィルタによる共振周波数fLCとの組み合わせに対して、PWM周波数Fcを変更した場合の概略を示す図である。
【0026】
図3に示すように、PWM周波数Fcとインバータ周波数Finvの9次成分との差分成分(Fc-9・Finv)による高調波成分は、インバータ周波数Finvが大きくなると右下がりに小さくなっていき、共振周波数fLCの2倍の成分以下となる場合にPWM周波数Fcを変更する。すなわち、この高調波成分が共振周波数fLCの2倍以下とならないようにして、高調波成分の増加を抑制することが可能となる。
【0027】
具体的には、
図3および以下に示すとおり、PWM周波数Fcとインバータ周波数Finvの9次成分との差分である高調波成分(Fc-9・Finv)が、共振周波数fLCの2倍より小さくなる場合に対して、この高調波成分(Fc-9・Finv)が、共振周波数fLCの2倍の関係(数2)となるように、PWM周波数Fcを設定する(数3)。
【数2】
【数3】
【0028】
以上のとおり、(数3)に示すPWM周波数Fcを設定することで、PWM周波数Fcとインバータ周波数Finvの9次成分との差分(Fc-9・Finv)による高調波成分が、共振周波数fLCの2倍より小さくなることがなくなり、高調波成分の増加を抑制することが可能となる。
【0029】
図3では、前記した9次成分に係る差分による高調波成分について説明を行ったが、その他の成分についても、(数2)に示す左辺に、対象となる高調波成分を適用することで、同様にして、(数3)を導出しPWM周波数Fcを設定することが可能となる。
【0030】
また、PWM周波数Fcとインバータ周波数Finvの高次成分とに伴い発生する高調波成分が、共振周波数fLCの2倍の成分に一致しないように、PWM周波数Fcを変更する方法としては、
図3に示す態様に限定されるものではなく、この態様の変形も可能である。
【0031】
変形例の一つとして、
図4は、PWM周波数Fcとインバータ周波数Finvの9次成分との差分(Fc-9・Finv)が共振周波数fLCの2倍以下となった場合に、PWM周波数Fcを階段状に大きくする態様を示す図である。
【0032】
この変形例においても、前記した9次成分に係る差分による高調波成分が、共振周波数fLCの2倍以下とならないように設定することが可能である。この変形例では、
図3に示す態様に比べて、PWM周波数Fcを階段状に大きくすることで、機械共振周波数との合致を避けることができ、また、連続変化による発生音の耳障り具合の低減を図ることができる。また、
図4では、前記した9次成分に係る差分による高調波成分について示したが、他の高調波成分でも同様に変形することが可能である。
【0033】
一方で、インバータ3で設定可能なPWM周波数Fcには、インバータ3に使用する素子やゲートドライブ回路の特性により、設定可能な上限周波数が存在する。そのため、
図4に示す階段状に大きくする態様では、変更していくとこの設定可能な上限周波数より大きな設定値に至る領域が発生することになる。
【0034】
このような状態を回避する態様として、前記した9次成分に係る差分に加えて15次成分に係る差分の場合について示す。
図5は、前記した9次成分に係る差分に加えて15次成分に係る差分が共振周波数fLCの2倍以下とならないように、PWM周波数Fcを階段状に大きくする態様を示す図である。
【0035】
図5に示すように、15次成分に係る差分に対応した、2*fLC+15*finvが設定可能な上限周波数に達した場合、PWM周波数Fcを、2*fLC+15*finv以下かつ2*fLC+9*finv以上の値に一度設定する。その後に、PWM周波数Fcを、9次成分に係る差分が共振周波数fLCの2倍以下とならないように階段状に変化させる。
【0036】
以上のように、PWM周波数Fcを階段状に変化させて、設定可能な上限周波数に達した場合、低い次数成分に係る差分が共振周波数fLCの2倍以下とならない設定で階段状に変化させる構成とすることで、設定可能な上限周波数以下で、共振周波数fLC以下の成分の増加を抑制することが可能となる。また、
図5では、15次成分と9次成分との差分の場合を示したが、他の高調波成分でも同様に組み合わせることが可能である。
【0037】
また、PWM周波数Fcを階段状に変化させる構成では、非同期PWMモードによる高調波成分がLCフィルタによる共振周波数fLC以下とならないようにするためには、PWM周波数Fcは設定可能な上限値以下であればどのような設定値としてもよい。
【0038】
ところで、非同期PWM周波数でインバータ3を駆動すると、インバータ3と電動機1とにより、設定したPWM周波数Fcに起因する音が発生する。このため、階段状に変更する際に、音階によって規定されている周波数に設定することで、PWM周波数Fcに起因する音を人が聞いた際に不快な音とならない設定とすることが可能となる(例えば、音階名で、ド6:1046Hz、レ6:1174Hz、ミ6:1318Hz、など)。
【0039】
他方、軌道回路の動作周波数fTCにおいても、非同期PWMモードでインバータ3を駆動した場合に、直流成分に発生する高調波成分が、軌道回路の動作周波数fTCと一致して、外乱要素となる課題がある。
【0040】
この課題に対しては、非同期PWMモードによりインバータ3の直流電圧側で発生する高調波成分が、軌道回路の動作周波数fTC以下とならないように、PWM周波数Fcを変更することで、簡易に外乱要素の増加を抑制することが可能となる。
【0041】
図6は、インバータ周波数Finvの9次成分と軌道回路の動作周波数fTCとの関係を示す図である。
図6も
図2と同様に、横軸はインバータ周波数Finv、縦軸はPWM周波数Fcと高調波成分である。
【0042】
図6に示すように、PWM周波数Fcとインバータ周波数Finvの9次成分との差分による高調波成分が、インバータ周波数Finvが大きくなると、右下がりに小さくなり、軌道回路の動作周波数fTCの2倍の成分以下となる場合に、PWM周波数Fcを変更する。これにより、この高調波成分が軌道回路の動作周波数fTCの2倍以下とならないようにして、外乱要素の増加を抑制することが可能となる。
【0043】
具体的には、LC共振成分の抑制の場合と同様に、(数4)に示す、軌道回路の動作周波数fTCとインバータ周波数Finvの9次成分との差分による高調波成分が、軌道回路の動作周波数fTCの2倍の関係となるように、PWM周波数Fcを設定する(数5)。
【数4】
【数5】
【0044】
これにより、軌道回路の動作周波数fTCに対する外乱要素の増加の抑制を、非同期PWM駆動時のPWM周波数Fcを変更することで可能となる。
【0045】
また、
図4や
図5に示すその他の変形例の構成も、LC共振周波数fLCを軌道回路の動作周波数fTCに置き換えることで、軌道回路に対する外乱要素の増加を抑制することが可能である。
【0046】
図7は、本実施例に係る電動機駆動装置を鉄道車両用電動機に適用した場合の概略構成を示す図である。
【0047】
本実施例に係る電動機駆動装置(制御装置2、インバータ3および電流検出回路4)を搭載した鉄道車両100は、架線101から直流電力の供給を受け、電動機(例えば、誘導電動機1a~1d)により駆動される車輪によりレール102上を走行する。
【0048】
本実施例に係る電動機駆動装置を適用することにより、インバータ3の非同期PWM駆動による高調波成分が、駆動装置が備えるLCフィルタ(図示せず)の共振周波数以下となり、高調波成分が増加することを抑制することが可能となる。
【0049】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0050】
1、1a~1d … 電動機、2 … 制御装置、3 … インバータ、
4 … 電流検出回路、21 … ベクトル制御部、22 … PWMパルス生成部、
100 … 鉄道車両、101 … 架線、102 … レール