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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】有機溶媒の精製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/76 20060101AFI20241218BHJP
   C07C 31/10 20060101ALI20241218BHJP
   B01J 39/05 20170101ALI20241218BHJP
   B01J 39/20 20060101ALI20241218BHJP
   B01J 41/05 20170101ALI20241218BHJP
   B01J 41/13 20170101ALI20241218BHJP
   B01J 45/00 20060101ALI20241218BHJP
   B01J 47/026 20170101ALI20241218BHJP
   B01J 47/04 20060101ALI20241218BHJP
   B01J 47/028 20170101ALI20241218BHJP
【FI】
C07C29/76
C07C31/10
B01J39/05
B01J39/20
B01J41/05
B01J41/13
B01J45/00
B01J47/026
B01J47/04
B01J47/028
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021515931
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 JP2020015101
(87)【国際公開番号】W WO2020217911
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2019085989
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 智子
(72)【発明者】
【氏名】横田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 惟
(72)【発明者】
【氏名】吉村 康博
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-509882(JP,A)
【文献】特開平07-208166(JP,A)
【文献】特開平06-220102(JP,A)
【文献】特開2005-232093(JP,A)
【文献】特開平10-025256(JP,A)
【文献】特開2013-023442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
B01J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理有機溶媒中の各金属不純物の含有量が100質量ppb~20質量pptである被処理有機溶媒を、H形キレート交換体に接触させる第一処理工程と、
該第一処理工程の処理液を、OH形強塩基性アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる第二処理工程と、
を有し、得られる精製有機溶媒が半導体製造工程又は微量金属分析用途で用いられ、得られる精製有機溶媒中の各金属含有量がいずれも10質量ppt以下であり、
前記H形キレート交換体の官能基が、イミノジ酢酸基、アミノメチルリン酸基又はイミノプロピオン酸基であることを特徴とする有機溶媒の精製方法。
【請求項2】
被処理有機溶媒中の各金属不純物の含有量が100質量ppb~20質量pptである被処理有機溶媒を、H形強酸性カチオン交換体に接触させる第一処理工程と、
該第一処理工程の処理液を、OH形強塩基性アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる第二処理工程と、
を有し、得られる精製有機溶媒が半導体製造工程又は微量金属分析用途で用いられ、得られる精製有機溶媒中の各金属含有量がいずれも10質量ppt以下であることを特徴とする有機溶媒の精製方法。
【請求項3】
前記第一処理工程の処理液を、前記OH形強塩基性アニオン交換体(2)と前記H形強酸性カチオン交換体(3)の混床に通液することより、前記第二処理工程を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の有機溶媒の精製方法。
【請求項4】
前記第一処理工程の処理液を、先に、前記OH形強塩基性アニオン交換体(2)に接触させ、次いで、前記H形強酸性カチオン交換体(3)に接触させることにより、前記第二処理工程を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の有機溶媒の精製方法。
【請求項5】
前記H形キレート交換体の体積に対する前記OH形強塩基性アニオン交換体の体積の割合が、0.1~99.0体積%であることを特徴とする請求項記載の有機溶媒の精製方法。
【請求項6】
前記H形キレート交換体の体積に対する前記H形強酸性カチオン交換体の体積の割合が、0.1~99.0体積%であることを特徴とする請求項1又は5記載の有機溶媒の精製方法。
【請求項7】
前記有機溶媒が、極性有機溶媒であること特徴とする請求項1~いずれか1項記載の有機溶媒の精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物金属含有量が低減された高純度の有機溶媒を得るための有機溶媒の精製方法関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、洗浄に使用されるイソプロピルアルコール(IPA)に含まれている金属不純物は、ウェハー上で悪影響を及ぼす可能性が高いため、IPA中の不純物含有量をpptレベルまで低減する必要がある。
【0003】
有機溶媒中の金属不純物を除去し、有機溶媒を精製する方法としては、イオン交換体を用いる方法が挙げられ、イオン交換樹脂やイオン吸着膜など強酸性カチオン交換基を有するイオン交換体によって、有機溶媒中の金属不純物をpptレベルまで低減できることが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、金属含有量が1ppb未満で含水量が100ppm未満の高純度イソプロパノールの製造方法であって、(a)イソプロピルアルコールを少なくとも99.9重量%含み、200乃至500ppmの有機不純物を含み100ppm以下の含水量の供給物流れを分離塔に供給する工程、(b)前記供給物流れを、前記分離塔の上部から捕集され、イソプロピルアルコールよりも低い沸点の濃縮された成分を含む頭部流れ、及び前記分離塔の底部から捕集され、イソプロピルアルコールよりも高い沸点の濃縮された成分を含む底部流れに分離し、前記頭部流れおよび前記底部流れに含まれるイソプロピルアルコールは、金属含有量が1ppb未満で含水量が100ppm未満の高純度イソプロピルアルコールではない工程、(c)以下の地点において前記高純度イソプロピルアルコールを蒸気側部流れとして得る工程、(i)前記供給物流れが前記分離塔に流入するところよりも下方であり、前記底部流れよりも上方である地点、又は(ii)前記供給物流れが前記分離塔に流入するところよりも上方であり、前記頭部流れよりも下方である地点、を含む方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2003-535836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、有機溶媒中では金属不純物の拡散速度が小さく、またイオン交換樹脂とのイオン交換反応の反応速度も小さいため、有機溶媒中のイオン性不純物除去を行う場合においては、水溶液中のイオン性不純物を除去する場合に比べ、イオン交換樹脂に対する通液速度を小さく設定する。例えば、強酸性カチオン交換樹脂を用いた処理の場合、水中と同じ流速で同じ金属除去率を得ることは難しい。
【0007】
そして、本発明者らは、IPAなどの溶媒中の金属の全てを、強酸性カチオン交換体を用いて低減するのは難しく、特に、Cr、As等の除去率の悪い金属が存在することを確認した。
【0008】
従って、本発明の目的は、有機溶媒中の1価及び多価の両方の金属種について金属不純物の除去性に優れる有機溶媒の精製方法提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような技術背景のもと、本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、(1)Cr等の2価以上の金属は、強酸性カチオン交換樹脂では除去率が悪く、さらにこれらの金属の内、一部は有機溶媒中で陰イオン形態を有している可能性があり、これらの金属を除去するためには、H形キレート交換体を用いることが効果的であること、更に、H形キレート交換体を用いると、H形キレート交換体中に存在する微量の塩酸等の鉱酸が処理液に移行し、処理液中にH形キレート交換体由来の鉱酸が含まれてしまうという新たな問題が起こること、そして、その問題を解決するためには、H形キレート交換体の処理液を、アニオン交換体及び強酸性イオン交換体で処理することが有効であること、また、(2)先に、H形強酸性カチオン交換体で、有機溶媒中の1価及び2価以上の金属を除去した後、更に、アニオン交換体及びH形強酸性イオン交換体で処理することにより、陰イオン形態を有しているCr等の金属をアニオン交換体で除去し、強酸性イオン交換体に再度接触させることで前段で除去しきれなかった1価及び2価以上の金属を有効に除去できること等を見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明(1)は、
被処理有機溶媒中の各金属不純物の含有量が100質量ppb~20質量pptである被処理有機溶媒を、H形キレート交換体に接触させる第一処理工程と、
該第一処理工程の処理液を、OH形強塩基性アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる第二処理工程と、
を有し、得られる精製有機溶媒が半導体製造工程又は微量金属分析用途で用いられ、得られる精製有機溶媒中の各金属含有量がいずれも10質量ppt以下であり、
前記H形キレート交換体の官能基が、イミノジ酢酸基、アミノメチルリン酸基又はイミノプロピオン酸基であることを特徴とする有機溶媒の精製方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、
被処理有機溶媒中の各金属不純物の含有量が100質量ppb~20質量pptである被処理有機溶媒を、H形強酸性カチオン交換体に接触させる第一処理工程と、
該第一処理工程の処理液を、OH形強塩基性アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる第二処理工程と、
を有し、得られる精製有機溶媒が半導体製造工程又は微量金属分析用途で用いられ、得られる精製有機溶媒中の各金属含有量がいずれも10質量ppt以下であることを特徴とする有機溶媒の精製方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明(3)は、前記第一処理工程の処理液を、前記OH形強塩基性アニオン交換体(2)と前記H形強酸性カチオン交換体(3)の混床に通液することより、前記第二処理工程を行うことを特徴とする(1)又は(2)の有機溶媒の精製方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明(4)は、前記第一処理工程の処理液を、先に、前記OH形強塩基性アニオン交換体(2)に接触させ、次いで、前記H形強酸性カチオン交換体(3)に接触させることにより、前記第二処理工程を行うことを特徴とする(1)又は(2)の有機溶媒の精製方法を提供するものである。
【0017】
また、本発明()は、前記H形キレート交換体の体積に対する前記OH形強塩基性アニオン交換体の体積の割合が、0.1~99.0体積%であることを特徴とする(1)有機溶媒の精製方法を提供するものである。
【0018】
また、本発明(6)は、前記H形キレート交換体の体積に対する前記H形強酸性カチオン交換体の体積の割合が、0.1~99.0体積%であることを特徴とする(1)又は(5)の有機溶媒の精製方法を提供するものである。
【0019】
また、本発明()は、前記有機溶媒が、極性有機溶媒であることを特徴とする(1)~()のいずれかの有機溶媒の生成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、有機溶媒中の1価及び多価の両方の金属種について金属不純物の除去性に優れる精製方法提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一の形態又は第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程の第一形態を示す模式的なフロー図である。
図2】本発明の第一の形態又は第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程の第二形態を示す模式的なフロー図である。
図3】本発明の第一の形態又は第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程の第三形態を示す模式的なフロー図である。
図4】本発明の第一の形態又は第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程の第四形態を示す模式的なフロー図である。
図5】本発明の第一の形態又は第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程の第五形態を示す模式的なフロー図である。
図6】本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法を示す模式的なフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法は、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)に接触させる第一処理工程と、
該第一処理工程の処理液を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる第二処理工程と、
を有することを特徴とする有機溶媒の精製方法である。
【0026】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係る第一処理工程は、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)に接触させる工程である。
【0027】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係る被処理有機溶媒としては、特に制限されないが、例えば、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類、シクロヘキサンノン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2-フェニル-1-プロペン等のアルケン系有機溶媒、N-メチルピロリドン及びこれらの混合有機溶媒が挙げられる。被処理有機溶媒としては、極性有機溶媒及び非極性有機溶媒のいずれであってもよく、極性有機溶媒が好ましい。また、極性有機溶媒としては、プロトン性の極性有機溶媒であって、非プロトン性の有機溶媒であってもよい。
【0028】
被処理有機溶媒は、金属不純物として、Na、K、Li等の1価の金属と、Cr、As、Ca、Cu、Fe、Mg、Mn、Ni、Pb、Zn等の2価以上の金属であり、キレート樹脂で除去し易い金属と、の両方を含有する。
【0029】
被処理有機溶媒中の各金属不純物の含有量は、特に制限されないが、通常、100質量ppb~20質量ppt程度である。
【0030】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形カチオン交換体(1)は、H形キレート交換体(1a)である。
【0031】
H形キレート交換体(1a)は、Na形、Ca形、Mg形等の金属イオン形のキレート交換体を、鉱酸と接触させることにより、酸処理されて、H形に変換されたものである。つまり、H形キレート交換体(1a)は、金属イオン形のキレート交換体の鉱酸接触処理物である。
【0032】
H形キレート交換体(1a)が有する官能基は、金属イオンに配位してキレートを形成することができるものであれば、特に制限されず、例えば、イミノジ酢酸基、アミノメチルリン酸基、イミノプロピオン酸基等のアミノ基を有する官能基、チオール基等が挙げられる。これらのうち、キレート交換体の官能基としては、多数の多価金属イオンの除去性が高くなる点で、アミノ基を有する官能基が好ましく、イミノジ酢酸基、アミノメチルリン酸基、イミノプロピオン酸基が特に好ましい。
【0033】
H形キレート交換体(1a)としては、粒状のH形キレート交換樹脂が挙げられる。H形キレート交換樹脂の基体としては、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体が挙げられる。H形キレート交換樹脂は、ゲル形構造、マクロポーラス形構造、ポーラス形構造のいずれの構造でもよい。H形キレート交換樹脂の交換容量は、好ましくは0.5~2.5eq/L-R、特に好ましくは1.0~2.5eq/L-Rである。H形キレート交換樹脂の平均粒径(調和平均径)は、特に制限されないが、好ましくは300~1000μm、特に好ましくは500~800μmである。なお、H形キレート交換樹脂の平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定される値である。
【0034】
また、H形キレート交換体(1a)としては、H形の有機多孔質キレート交換体が挙げられる。H形の有機多孔質キレート交換体は、キレート能有する官能基、例えば、上記に挙げられているキレート能を有する官能基が導入されている有機多孔質体である。H形の有機多孔質キレート交換体中の交換容量は、好ましくは0.3~2mg当量/mL(水湿潤状態)、特に好ましくは1~2mg当量/mL(水湿潤状態)である。
【0035】
H形キレート交換体(1a)は、Na形、Ca形、Mg形等の金属イオン形のキレート交換体を鉱酸と接触させて酸処理することにより、得られる。金属イオン形のキレート交換体に接触させる鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸が挙げられる。これらのうち、鉱酸としては、安全性の点で、塩酸、硫酸が好ましい。また、Ca形からの変換の場合は、硫酸カルシウムの析出の恐れがあるので塩酸が好ましい。鉱酸の濃度は、好ましくは0.1~6N、特に好ましくは1~4Nである。
【0036】
金属イオン形のキレート交換体に鉱酸を接触させる方法としては、特に制限されず、接触様式、接触温度、接触時間等は適宜選択される。
【0037】
金属イオン形のキレート交換体に鉱酸を接触させた後、H形に変換されたH形キレート交換体を水洗し、余分な鉱酸の除去を行うが、キレート交換体中の官能基が、鉱酸との水素結合等により結合しているため、水洗では余分な鉱酸を完全に除去することができない。そのため、H形キレート交換体中には、酸処理に用いた鉱酸が残留している。
【0038】
例えば、金属イオン形のキレート交換樹脂としては、三菱化学社製のCR-10、CR-11、住化ケムテックス社製のデュオライトC-467、住友化学社製のMC-700、ランクセス社製のレバチットTP207、レバチットTP208、レバチットTP260、ピュロライト社製のS930、S950、オルガノ製のDS-21、DS-22が挙げられる。
【0039】
第一処理工程では、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)に接触させることにより、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)で処理し、被処理有機溶媒中の主に2価以上の金属と、1価の金属の一部を除去する。
【0040】
第一処理工程において、H形キレート交換体(1a)に被処理有機溶媒を通液するときの通液速度(SV)は、特に制限されず、適宜選択されるが、好ましくは0.1~100h-1、特に好ましくは2~30h-1、更に好ましくは4~25h-1である。
【0041】
第一処理工程において、H形キレート交換体(1a)に被処理有機溶媒を通液するときの温度は、特に制限されず、適宜選択されるが、通常、0~50℃である。また、被処理有機溶媒の種類によっては、第一処理工程において、0~80℃で、H形キレート交換体(1a)に被処理有機溶媒を通液することもある。
【0042】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係る第二処理工程は、第一処理工程の処理液を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる工程である。
【0043】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係るアニオン交換体(2)は、アニオン交換基として強塩基性アニオン交換基を有する強塩基性アニオン交換体(2a)と、アニオン交換基として弱塩基性アニオン交換基を有する弱塩基性アニオン交換体(2b)とがある。
【0044】
強塩基性アニオン交換体(2a)に係る強塩基性アニオン交換基としては、OH形の四級アンモニウム基等が挙げられる。また、弱塩基性アニオン交換体(2b)に係る弱塩基性アニオン交換基としては、三級アミノ基、二級アミノ基、一級アミノ基、ポリアミン基等が挙げられる。
【0045】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係るアニオン交換体(2)としては、粒状のアニオン交換樹脂が挙げられる。アニオン交換樹脂の基体は、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体である。アニオン交換樹脂は、ゲル形構造、マクロポーラス形構造、ポーラス形構造のいずれの構造でもよい。アニオン交換樹脂の湿潤状態のイオン交換容量は、好ましくは0.5~2(eq/L-R)、特に好ましくは0.9~2(eq/L-R)である。アニオン交換樹脂の調和平均径は、好ましくは400~900μm、特に好ましくは500~800μmである。アニオン交換樹脂としては、例えば、ダウケミカル社製のアンバーライトIRA900、402、96SB、98、アンバージェット4400、4002、4010、三菱ケミカル社製のダイヤイオンUBA120、PA306S、PA308、PA312、PA316、PA318L、WA21J、WA30、オルガノ社製のDS-2、DS-5、DS-6、ピュロライト社製のA400、A600、SGA550、A500、A501P、A502PS、A503、A100、A103S、A110、A111S、A133S、レバチット社製のモノプラスM500、M800、MP62WS、MP64等が挙げられる。
【0046】
また、アニオン交換体(2)としては、有機多孔質アニオン交換体が挙げられる。有機多孔質アニオン交換体は、アニオン交換基、例えば、上記に挙げられている強塩基性アニオン交換基や弱塩基性アニオン交換基が導入されている有機多孔質体である。有機多孔質アニオン交換体中の交換容量は、好ましくは1~6mg当量/mL(乾燥状態)、特に好ましくは2~5mg当量/mL(乾燥状態)である。
【0047】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形強酸性カチオン交換体(3)は、スルホン酸基等の強酸性カチオン交換基がH形に変換されたものである。
【0048】
H形強酸性カチオン交換体(3)としては、粒状の強酸性カチオン交換樹脂が挙げられる。H形強酸性カチオン交換樹脂の基体は、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体である。H形強酸性カチオン交換樹脂は、ゲル形構造、マクロポーラス形構造、ポーラス形構造のいずれの構造でもよい。H形強酸性カチオン交換樹脂の湿潤状態のイオン交換容量は、好ましくは1.5~3.0(eq/L-R)、特に好ましくは1.7~2.7(eq/L-R)である。H形強酸性カチオン交換樹脂の調和平均径は、好ましくは400~900μm、特に好ましくは500~800μmである。H形強酸性カチオン交換樹脂としては、例えば、ダウケミカル社製のアンバーライトIR120B、IR124、200CT252、アンバージェット1020、1024、1060、1220、三菱ケミカル社製のダイヤイオンSK104、SK1B、SK110、SK112、PK208、PK212L、PK216、PK218、PK220、PK228、UBK08、UBK10、UBK12、オルガノ製のDS-1、DS-4、ピュロライト社製のC100、C100E、C120E、C100x10、C100x12MB、C150、C160、SGC650、レバチット社製のモノプラスS108H、SP112、S1668等が挙げられる。
【0049】
また、H形強酸性カチオン交換体(3)としては、H形の有機多孔質強酸性カチオン交換体が挙げられる。H形の有機多孔質強酸性カチオン交換体は、強酸性カチオン交換基、例えば、上記で挙げられている強酸性カチオン交換基が導入されている有機多孔質体である。H形の有機多孔質強酸性カチオン交換体中の交換容量は、好ましくは1~3mg当量/mL(乾燥状態)、特に好ましくは1.5~3mg当量/mL(乾燥状態)である。
【0050】
第二処理工程では、第一処理工程の処理液を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させることにより、被処理有機溶媒を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)で処理し、第一処理工程で、H形キレート交換体(1a)で除去しきれなかった1価の金属の残部と、H形キレート交換体(1a)から放出される鉱酸と、を除去する。また、アニオン交換体の再生には、再生剤としてNaOHが用いられるが、再生後十分に洗浄すれば、アニオン交換体中に、NaOHが残留するようなことはほとんどない。第二処理工程では、もし、アニオン交換体(2)の再生後の洗浄が悪く、再生剤に使用したNaOHの残留物が、アニオン交換体(2)から溶出するようなことがあったとしても、第二処理工程におけるH形強酸性カチオン交換体(3)が、Naを除去することができる。
第二処理工程において被処理液を接触させるアニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)として、前記に挙げたカチオン交換体及びアニオン交換体を任意の割合で混合して使ってもよいし、また、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)の混合品として販売されているイオン交換体を用いてもよい。アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)の混合品としては、例えば、オルガノ製のDS-3、DS-7、MSPS2-1・DRY、EG-4A-HG、EG-5A-HG、ESP-1、ESP-2、DUPONT製のAmberTec UP6040、Purolite製MB378、MB378LT、MB400、MB424、MB46、MB47/4914、MB478が挙げられる。
【0051】
第二処理工程において、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液するときの通液速度(SV)は、特に制限されず、適宜選択されるが、好ましくは0.1~100h-1、特に好ましくは2~50h-1である。
【0052】
第二処理工程において、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液するときの温度は、特に制限されず、適宜選択されるが、通常、0~50℃である。また、被処理有機溶媒の種類によっては、第二処理工程において、0~80℃で、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液することもある。第二処理工程において、60~80℃で、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液する場合は、アニオン交換体(2)として、強塩基性アニオン交換体(2a)を用いると、強塩基性アニオン交換体(2a)が分解し易いため、アニオン交換体(2)として、弱塩基性アニオン交換体(2b)を用いる。
【0053】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法は、被処理有機溶媒を、H形強酸性カチオン交換体(1b)に接触させる第一処理工程と、
該第一処理工程の処理液を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる第二処理工程と、
を有することを特徴とする有機溶媒の精製方法である。
【0054】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係る第一処理工程は、被処理有機溶媒を、H形強酸性カチオン交換体(1b)に接触させる工程である。
【0055】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係る被処理有機溶媒は、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係る被処理有機溶媒と同様である。
【0056】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形カチオン交換体(1)は、H形強酸性カチオン交換体(1b)である。本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形強酸性カチオン交換体(1b)は、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形強酸性カチオン交換体(3)と同様である。
【0057】
第一処理工程では、被処理有機溶媒を、H形強酸性カチオン交換体(1b)に接触させることにより、被処理有機溶媒を、H形強酸性カチオン交換体(1b)で処理し、被処理有機溶媒中の2価以上の金属の一部と、1価の金属の一部を除去する。
【0058】
第一処理工程において、H形強酸性カチオン交換体(1b)に被処理有機溶媒を通液するときの通液速度(SV)は、特に制限されず、適宜選択されるが、好ましくは0.1~100h-1、特に好ましくは2~30h-1である。
【0059】
第一処理工程において、H形強酸性カチオン交換体(1b)に被処理有機溶媒を通液するときの温度は、特に制限されず、適宜選択されるが、通常、0~50℃である。また、被処理有機溶媒の種類によっては、第一処理工程において、0~80℃で、H形強酸性カチオン交換体(1b)に被処理有機溶媒を通液することもある。
【0060】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係る第二処理工程は、第一処理工程の処理液を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させる工程である。
【0061】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係るアニオン交換体(2)は、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係るアニオン交換体(2)と同様であある。また、本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形強酸性カチオン交換体(3)は、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形強酸性カチオン交換体(3)と同様である。
【0062】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法では、第一処理工程で用いるH形強酸性カチオン交換体(1b)と、第二処理工程で用いるH形強酸性カチオン交換体(3)は、同じH形強酸性カチオン交換体であってもよいし、異なるH形強酸性カチオン交換体であってもよい。
【0063】
第二処理工程では、第一処理工程の処理液を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に接触させることにより、被処理有機溶媒を、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)で処理し、第一処理工程で、H形強酸性カチオン交換体(1b)で除去しきれなかった2価以上の金属の残部と1価の金属の残部とを除去する。また、第二処理工程において、アニオン交換体は、CrやAsなどのアニオン形態の金属イオンを有する可能性のある金属や、鉱酸や有機酸などの酸を除去する。
【0064】
そして、本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法では、被処理有機溶媒を、一旦、H形強酸性カチオン交換体に接触させた後、再度、H形強酸性カチオン交換体に接触させるという2段階以上の接触を行うことにより、被処理有機溶媒を、同じ量のH形強酸性カチオン交換体に接触させた場合に比べ、2価以上の金属の除去率が高くなる。
【0065】
第二処理工程において、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液するときの通液速度(SV)は、特に制限されず、適宜選択されるが、好ましくは0.1~100h-1、特に好ましくは2~30h-1である。
【0066】
第二処理工程において、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液するときの温度は、特に制限されず、適宜選択されるが、通常、0~50℃である。また、被処理有機溶媒の種類によっては、第二処理工程において、0~80℃で、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液することもある。第二処理工程において、0~80℃で、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)に、第一処理工程の処理液を通液する場合は、アニオン交換体(2)として、強塩基性アニオン交換体(2a)を用いると、強塩基性アニオン交換体(2a)が分解し易いため、アニオン交換体(2)として、弱塩基性アニオン交換体(2b)を用いる。
【0067】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係る第二処理工程及び本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法に係る第二処理工程の形態としては、以下のものが挙げられる。
【0068】
第二処理工程の第一形態では、第一処理工程の処理液を、アニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床に通液することより、第二処理工程を行う。アニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床は、アニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混合物からなる。アニオン交換体(2)が有機多孔質アニオン交換体の場合は、任意の大きさに切り出された形状、例えば、一辺3mm程度から10mm程度の立方体の有機多孔質アニオン交換体を用いる。また、H形強酸性カチオン交換体(3)が有機多孔質強酸性カチオン交換体の場合は、任意の大きさに切り出された形状、例えば、一辺3mm程度から10mm程度の立方体の有機多孔質強酸性カチオン交換体を用いる。
【0069】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法又は本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程が、第一形態である形態例としては、例えば、図1に示すように、被処理有機溶媒20を、先ず、H形カチオン交換体(H形キレート交換体(1a)又はH形強酸性カチオン交換体(1b))が充填されているH形カチオン交換体充填塔1に通液し、次いで、H形カチオン交換体充填塔1で処理された処理液を、アニオン交換樹脂(2)及び強酸性カチオン交換樹脂(3)の混合物が充填されている混床充填塔2に通液し、精製有機溶媒23を得る方法が挙げられる。図1に示す形態例では、符号21で示す範囲が第一処理工程であり、符号22で示す範囲が第二処理工程である。
【0070】
第二処理工程の第二形態では、第一処理工程の処理液を、前段のアニオン交換体(2)の単床に通液し、次いで、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の単床に通液することより、第二処理工程を行う。
【0071】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法又は本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程が、第二形態である形態例としては、例えば、図2に示すように、被処理有機溶媒20を、先ず、H形カチオン交換体(H形キレート交換体(1a)又はH形強酸性カチオン交換体(1b))が充填されているH形カチオン交換体充填塔1に通液し、次いで、H形カチオン交換体充填塔1で処理された処理液を、アニオン交換体(2)が充填されているアニオン交換体充填塔3に通液し、次いで、アニオン交換体充填塔3で処理された処理液を、強酸性カチオン交換体(3)が充填されている強酸性カチオン交換体充填塔4に通液し、精製有機溶媒23を得る方法が挙げられる。図2に示す形態例では、符号21で示す範囲が第一処理工程であり、符号22で示す範囲が第二処理工程である。
【0072】
第二処理工程の第三形態では、第一処理工程の処理液を、前段のアニオン交換体(2)の層と、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の層と、からなる複床に通液することより、第二処理工程を行う。アニオン交換体(2)が有機多孔質アニオン交換体の場合は、所望の厚みで充填容器又はカラムの内径に合わせて切り出された有機多孔質アニオン交換体が、充填容器又はカラムに充填される。また、H形強酸性カチオン交換体(3)がH形の有機多孔質カチオン交換体の場合は、所望の厚みで充填容器又はカラムの内径に合わせて切り出されたH形の有機多孔質カチオン交換体が、充填容器又はカラムに充填される。
【0073】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法又は本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程が、第三形態である形態例としては、例えば、図3に示すように、被処理有機溶媒20を、先ず、H形カチオン交換体(H形キレート交換体(1a)又はH形強酸性カチオン交換体(1b))が充填されているH形カチオン交換体充填塔1に通液し、次いで、H形カチオン交換体充填塔1で処理された処理液を、前段のアニオン交換体(2)の層5と、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の層6と、からなる複床7が充填されている複床充填塔7に通液し、精製有機溶媒23を得る方法が挙げられる。図3に示す形態例では、符号21で示す範囲が第一処理工程であり、符号22で示す範囲が第二処理工程である。
【0074】
第二処理工程の第四形態では、第一処理工程の処理液を、前段のアニオン交換体(2)の単床及び後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の単床の繰り返し単位が2組以上繰り返されている複床に通液することより、第二処理工程を行う。
【0075】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法又は本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程が、第四形態である形態例としては、例えば、図4に示すように、被処理有機溶媒20を、先ず、H形カチオン交換体(H形キレート交換体(1a)又はH形強酸性カチオン交換体(1b))が充填されているH形カチオン交換体充填塔1に通液し、次いで、H形カチオン交換体充填塔1で処理された処理液を、「前段のアニオン交換体(2)の充填塔8aと、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の充填塔9aと、からなる第一繰り返し単位10a」、「前段のアニオン交換体(2)の充填塔8bと、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の充填塔9bと、からなる第二繰り返し単位10b」の順に通液し、精製有機溶媒23を得る方法が挙げられる。図4に示す形態例では、符号21で示す範囲が第一処理工程であり、符号22で示す範囲が第二処理工程である。なお、図4に示す形態例では、前段のアニオン交換体(2)の充填塔と、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の充填塔と、からなる繰り返し単位が2つ繰り返されている例を示したが、前段のアニオン交換体(2)の充填塔と、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の充填塔と、からなる繰り返し単位の数は3以上であってもよい。
【0076】
第二処理工程の第五形態では、第一処理工程の処理液を、前段の前記アニオン交換体(2)の層及び後段の前記H形強酸性カチオン交換体(3)の層の繰り返し単位が2組以上積層されている複床に通液することより、第二処理工程を行う。
【0077】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法又は本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法の第二処理工程が、第五形態である形態例としては、例えば、図5に示すように、被処理有機溶媒20を、先ず、H形カチオン交換体(H形キレート交換体(1a)又はH形強酸性カチオン交換体(1b))が充填されているH形カチオン交換体充填塔1に通液し、次いで、H形カチオン交換体充填塔1で処理された処理液を、「前段のアニオン交換体(2)の層11a及び後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の層12aからなる第一繰り返し単位13a」と、「前段のアニオン交換体(2)の層11bと、後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の層12bからなる第二繰り返し単位13b」とが順に積層されて充填されている複床充填塔14に通液し、精製有機溶媒23を得る方法が挙げられる。図5に示す形態例では、符号21で示す範囲が第一処理工程であり、符号22で示す範囲が第二処理工程である。なお、図5に示す形態例では、前段のアニオン交換体(2)の層及び後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の層からなる繰り返し単位が2つ繰り返されている例を示したが、前段のアニオン交換体(2)の層及び後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の層からなる繰り返し単位の数は3以上であってもよい。
【0078】
本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法は、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床に接触させる処理工程(3)を有することを特徴とする有機溶媒の精製方法である。
【0079】
本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法に係る処理工程(3)は、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床に接触させる工程である。
【0080】
本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法に係る被処理有機溶媒、H形キレート交換体(1a)、アニオン交換体(2)、H形強酸性カチオン交換体(3)は、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法に係る被処理有機溶媒、H形キレート交換体(1a)、アニオン交換体(2)、H形強酸性カチオン交換体(3)と同様である。
【0081】
本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床は、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混合物からなる。なお、H形キレート交換体(1a)がH形の有機多孔質キレート交換体の場合は、任意の大きさに切り出された形状、例えば、一辺3mm程度から10mm程度の立方体のH形の有機多孔質強酸性キレート交換体を用いる。アニオン交換体(2)が有機多孔質アニオン交換体の場合は、任意の大きさに切り出された形状、例えば、一辺3mm程度から10mm程度の立方体の有機多孔質アニオン交換体を用いる。また、H形強酸性カチオン交換体(3)が有機多孔質強酸性カチオン交換体の場合は、任意の大きさに切り出された形状、例えば、一辺3mm程度から10mm程度の立方体の有機多孔質強酸性カチオン交換体を用いる。
【0082】
処理工程(3)では、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床に接触させることにより、被処理有機溶媒を、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床で処理し、被処理有機溶媒中の2価以上の金属と、1価の金属と、を除去する。また、処理工程(3)では、被処理有機溶媒に、H形キレート交換体(1a)から放出される鉱酸を、アニオン交換体(2)が除去する。
【0083】
処理工程(3)において、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床に、被処理有機溶媒を通液するときの通液速度(SV)は、特に制限されず、適宜選択されるが、好ましくは0.1~100h-1、特に好ましくは2~30h-1、更に好ましくは4~25h-1である。
【0084】
処理工程(3)において、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床(3)に、被処理有機溶媒を通液するときの温度は、特に制限されず、適宜選択されるが、通常、0~50℃である。また、被処理有機溶媒の種類によっては、処理工程(3)において、0~80℃で、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床に、被処理有機溶媒を通液することもある。処理工程(3)において、0~80℃で、H形キレート交換体(1a)とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床に、被処理有機溶媒を通液する場合は、アニオン交換体(2)として、強塩基性アニオン交換体(2a)を用いると、強塩基性アニオン交換体(2a)が分解し易いため、アニオン交換体(2)として、弱塩基性アニオン交換体(2b)を用いる。
【0085】
本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法としては、例えば、図6に示すように、被処理有機溶媒20を、H形キレート交換体(1a)、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)の混合物が充填されている混床充填塔24に通液し、精製有機溶媒23を得る方法が挙げられる。図6に示す形態例では、符号25で示す範囲が処理工程(3)である。
【0086】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法又は本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法では、H形キレート交換体(1a)の体積に対するアニオン交換体(2)の体積の割合((アニオン交換体(2)の体積/H形キレート交換体(1a)の体積)×100)は、好ましくは0.1~99.0体積%、より好ましくは0.1~70.0体積%、特に好ましくは0.1~50.0体積%である。
【0087】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法又は本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法では、H形キレート交換体(1a)の体積に対する強酸性カチオン交換体(3)の体積の割合((強酸性カチオン交換体(3)の体積/H形キレート交換体(1a)の体積)×100)は、好ましくは0.1~99.0体積%、より好ましくは0.1~70.0体積%、特に好ましくは0.1~50.0体積%である。
【0088】
H形カチオン交換体(H形キレート交換体(1a)、強酸性カチオン交換体(1b))、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)としては、イオン交換基が導入される基体が、有機多孔質体であってもよい。本発明に係る有機多孔質体を以下に説明する。
【0089】
有機多孔質イオン交換体には、H形キレート交換基、強酸性カチオン基又はアニオン交換基が導入されている。つまり、有機多孔質体にH形キレート交換基が導入されているものは、H形の有機多孔質キレート交換体(1a)であり、また、有機多孔質体にH形の強酸性カチオン交換基が導入されているものは、H形の有機多孔質強酸性カチオン交換体(1b)又は(3)であり、また、有機多孔質体にアニオン交換基が導入されているものは、有機多孔質アニオン交換体である。なお、有機多孔質イオン交換体に導入されている官能基は、上述した(H形キレート交換体(1a)、強酸性カチオン交換体(1b))、アニオン交換体(2)又はH形強酸性カチオン交換体(3)に導入されている官能基と同様である。
【0090】
有機多孔質イオン交換体としては、例えば、連続骨格相と連続空孔相からなり、連続骨格の厚みは1~100μm、連続空孔の平均直径は1~1000μm、全細孔容積は0.5~50mL/gであり、イオン交換基(キレート交換基、H形強酸性カチオン交換基又はアニオン交換基)が導入されており、乾燥状態での重量当たりのイオン交換容量が1~6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布している有機多孔質イオン交換体(以下、第一の形態の有機多孔質イオン交換体とも記載する。)が挙げられる。
【0091】
第一の形態の有機多孔質イオン交換体としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が平均直径1~1000μmの開口となる連続気泡構造を有し、全細孔容積が1~50mL/gであり、イオン交換基が導入されており、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が1~6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布している有機多孔質イオン交換体が挙げられる。
【0092】
また、第一の形態の有機多孔質イオン交換体としては、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が平均直径30~300μmの開口となる連続マクロポア構造体であり、全細孔容積が0.5~10ml/g、カチオン交換基又はアニオン交換基が導入されており、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が1~6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布しており、且つ、連続マクロポア構造体(乾燥体)の切断面のSEM画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中25~50%である有機多孔質イオン交換体が挙げられる。
【0093】
また、第一の形態の有機多孔質イオン交換体としては、前記有機多孔質イオン交換体が、イオン交換基(キレート交換基、H形強酸性カチオン交換基又はアニオン交換基)が導入された全構成単位中、架橋構造単位を0.1~5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが1~60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が10~200μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であり、全細孔容積が0.5~10mL/gであり、カチオン交換基が導入されており、乾燥状態での重量当りのイオン交換容量が1~6mg当量/gであり、イオン交換基が有機多孔質イオン交換体中に均一に分布している有機多孔質イオン交換体が挙げられる。
【0094】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法、本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法及び本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法を行い得られる精製有機溶媒中の各金属含有量は、精製後の有機溶媒の用途により適宜選択され、好ましくはいずれも10質量ppt以下である。つまり、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法、本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法及び本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法を行い得られる精製有機溶媒中の2価以上の各金属の含有量は、精製後の有機溶媒の用途により適宜選択され、好ましくはいずれも10質量ppt以下であり、且つ、1価の金属の含有量は、精製後の有機溶媒の用途により適宜選択され、好ましくはいずれも10質量ppt以下である。本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法、本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法及び本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法を行い得られる精製有機溶媒の用途としては、半導体製造工程における希釈用溶媒、溶解用溶媒、洗浄用溶媒、乾燥用溶媒などが挙げられる。更に、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法、本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法及び本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法によれば、1質量ppt以下の不純物レベルの精製が可能となるので、本発明の第一の形態の有機溶媒の精製方法、本発明の第二の形態の有機溶媒の精製方法及び本発明の第三の形態の有機溶媒の精製方法を行い得られる精製有機溶媒は、微量金属分析のための検量線調製のために用いる標準液の希釈用溶媒(検量線用ブランク液)、サンプルの希釈用溶媒、器具や分析装置の洗浄用溶媒として、好適に用いられる。
【0095】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製装置は、被処理有機溶媒が通液されるH形カチオン交換体(1)の単床と、該H形カチオン交換体(1)の単床の処理液が通液されるアニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)の混床と、を有することを特徴とする有機溶媒の精製装置である。
【0096】
本発明の第一の形態の有機溶媒の精製装置のフローとしては、図1に示す形態例が挙げられる。
【0097】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製装置は、被処理有機溶媒が通液されるH形カチオン交換体(1)の単床と、該H形カチオン交換体(1)の単床の処理液が通液されるアニオン交換体(2)の単床と、該アニオン交換体(2)の単床の処理液が通液されるH形強酸性カチオン交換体(3)の単床と、を有することを特徴とする有機溶剤の精製装置である。
【0098】
本発明の第二の形態の有機溶媒の精製装置のフローとしては、図2に示す形態例が挙げられる。
【0099】
本発明の第三の形態の有機溶媒の精製装置は、被処理有機溶媒が通液されるH形カチオン交換体(1)の単床と、該H形カチオン交換体(1)の単床の処理液が通液され、前段のアニオン交換体(2)の層及び後段のH形強酸性カチオン交換体(3)の層からなる複床と、を有することを特徴とする有機溶剤の精製装置である。
【0100】
本発明の第三の形態の有機溶媒の精製装置のフローとしては、図3に示す形態例が挙げられる。
【0101】
本発明の第一~第三の形態の有機溶媒の精製装置としては、H形カチオン交換体(1)が、H形キレート交換体である有機溶媒の精製装置が挙げられる。また、本発明の第一~第三の形態の有機溶媒の精製装置としては、H形カチオン交換体(1)が、H形強酸性カチオン交換体である有機溶媒の精製装置が挙げられる。
【0102】
本発明の第四の形態の有機溶媒の精製装置は、被処理有機溶媒が通液されるH形キレート交換体とアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床を有することを特徴とする有機溶媒の精製装置である。
【0103】
本発明の第四の形態の有機溶媒の精製装置のフローとしては、図6に示す形態例が挙げられる。
【0104】
本発明の第四の形態の有機溶媒の精製装置としては、H形カチオン交換体(1)が、H形キレート交換体である有機溶媒の精製装置が挙げられる。
【0105】
本発明の第一~第四の形態の有機溶媒の精製装置に係るH形カチオン交換体(1)、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)は、本発明の第一~第三の形態の有機溶媒の精製方法に係るH形カチオン交換体(1)、アニオン交換体(2)及びH形強酸性カチオン交換体(3)と同様である。
【0106】
本発明の第一~第四の形態の有機溶媒の精製装置において、H形カチオン交換体(1)が、H形キレート交換体である場合、H形キレート交換体(1a)の体積に対するアニオン交換体(2)の体積の割合((アニオン交換体(2)の体積/H形キレート交換体(1a)の体積)×100)は、好ましくは0.1~99.0体積%、より好ましくは0.1~70.0体積%、特に好ましくは0.1~50.0体積%である。
【0107】
本発明の第一~第四の形態の有機溶媒の精製装置において、H形カチオン交換体(1)が、H形キレート交換体である場合、H形キレート交換体(1a)の体積に対する強酸性カチオン交換体(3)の体積の割合((強酸性カチオン交換体(3)の体積/H形キレート交換体(1a)の体積)×100)は、好ましくは0.1~99.0体積%、より好ましくは0.1~70.0体積%、特に好ましくは0.1~50.0体積%である。
【0108】
以上、発明の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。例えば、図1図5では連結された2以上の充填塔を用いて第1処理工程及び第2処理工程を実施するものであるが、前段に第1処理工程を行う床を充填し且つその後段に第2処理工程を行う床を充填した複床を形成させ、1つの充填塔を用いて、第1処理工程及び第2処理工程を実施しても良い。例えば、1つの充填塔の前段にH形キレート交換体(1a)の床を充填し、その後段にアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床を充填する複床からなる形態例が挙げられる。この場合、前段のH形キレート交換体(1a)の床で第1処理工程が実施され、後段のアニオン交換体(2)とH形強酸性カチオン交換体(3)の混床で第2処理工程が実施される。
【実施例
【0109】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0110】
(参考例1)
H形キレート交換樹脂(DS-21)(50mL)を、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した。次いで、水分含有量20質量ppm以下のイソプロピルアルコール(IPA)をカラムの上部から下部へ向けて通液し、出口の水分量が30質量ppm以下に低下するまで、通液を続けて、樹脂内部の水分をIPAに置換した。
次いで、カラムにIPA模擬液1をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液を、Agilent 8900 ICP-QQQ(Agilent社製)で金属含有量を測定した。その結果を表2に示す。また、IPA模擬液と処理液の水分含有量を測定し、いずれも、30質量ppm以下であることを確認した。
また、同様にして、IPA模擬液2を用いて通液を行った。その結果を表2に示す。
【0111】
・H形キレート交換樹脂:H形のアミノリン酸形キレート樹脂(オルガノ社製、オルライトDS-21(カチオン交換容量1.8eq/L-樹脂、調和平均径500μm))
【0112】
<IPA模擬液>
IPA XE(トクヤマ社製)に、ICP-AES/ICP-MS用標準液でパラフィンオイルベースの有機金属標準液Conostan(CONOSTAN社製)を添加して、1000質量pptのIPA模擬液1を調製した。また、同様にして、100質量pptのIPA模擬液2を調製した。IPA模擬液中の各金属含有量を表1に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
<水分測定>
Aquacounter AQ-2200(平沼産業株式会社製)を用いて、水分含有量を測定した。
【0115】
【表2】
【0116】
(実施例1)
H形キレート交換樹脂(DS-21)と、OH形強塩基性アニオン交換樹脂(DS-2)と、H形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1)を、体積割合で3:1:1で混合した混合物50mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(H形C/OH形A/H型K混床1)。
次いで、H形C/OH形A/H型K混床1にIPA模擬液2をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0117】
・OH形強塩基性アニオン交換樹脂(DS-2):オルガノ社製(アニオン交換容量1.0eq/L-樹脂)
・H形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1):オルガノ社製、(カチオン交換容量2.0eq/L-樹脂)
【0118】
(実施例2)
H形キレート交換樹脂(DS-21)30mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(H形C単床1)。また、内径16mm、高さ300mmのカラムに、前段にOH形強塩基性アニオン交換樹脂(DS-2)を、後段にH形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1)を、層厚比1:1で、合計で20mL充填した(OH形A/H型K複床1)。次いで、前段のH形C単床1と後段のOH形A/H型K複床1を連結した。
次いで、前段のH形C単床1及び後段のOH形A/H型K複床1にIPA模擬液2をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0119】
(比較例1)
H形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1)50mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(H形K単床1)。
次いで、H形K単床1にIPA模擬液1をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0120】
(比較例2)
OH形強塩基性アニオン交換樹脂(DS-2)と、H形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1)を、体積割合で1:1で混合した混合物50mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(OH形A/H型K混床1)。
次いで、OH形A/H型K混床1にIPA模擬液1をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0121】
(比較例3)
H形キレート交換樹脂(DS-21)30mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(H形C単床1)。また、OH形強塩基性アニオン交換樹脂(DS-2)20mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(OH形A単床1)。次いで、前段のH形C単床1と後段のOH形A単床1を連結した。
次いで、前段のH形C単床1及び後段のOH形A単床1にIPA模擬液2をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0122】
(比較例4)
OH形強塩基性アニオン交換樹脂(DS-2)50mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(OH形A単床1)。
次いで、OH形A単床1にIPA模擬液1をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表3に示す。
【0123】
【表3】
(実施例3~6)
SV5h-1で通液することに代えて、表4に示すSVで通液すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表4に示す。
【0124】
【表4】
【0125】
(比較例5)
H形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1)36mLを、内径16mm、高さ300mmのカラムに充填した(H形K単床1)。次いでIPA模擬液3(表5に示す。)をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表6に示す。
【0126】
(実施例7)
内径16mm、高さ300mmのカラムに、前段にH形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1)18mlを、後段にH形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1)9mLとOH形強塩基性アニオン交換樹脂の混合樹脂(DS-2)9mlの混床18mlを、層厚比1:1で、合計で36mL充填した(H型K/H形、OH形混床1)。
次いで、H型K/H形、OH形混床1にIPA模擬液4(表5に示す。)をSV5h-1で通液し、20BV(樹脂体積の20倍量)通液したところで、処理液をサンプリングした。
次いで、得られた処理液の金属含有量を測定した。その結果を表6に示す。
・H形強酸性カチオン交換樹脂(DS-1):オルガノ社製(カチオン交換容量≧2.1eq/L-樹脂)
・OH形強塩基性アニオン交換樹脂(DS-2):オルガノ社製(アニオン交換容量≧1.0eq/L-樹脂)
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【符号の説明】
【0129】
1 H形カチオン交換体充填塔
2、24 混床充填塔
3、8a、8b アニオン交換体充填塔
4、9a、9b 強酸性カチオン交換体充填塔
5、11a、11b アニオン交換体の層
6、12a、12b H形強酸性カチオン交換体の層
7、14 複床充填塔
10a、10b、13a、13b 繰り返し単位
20 被処理有機溶媒
21 第一処理工程
22 第二処理工程
23 処理液
25 処理工程(3)
図1
図2
図3
図4
図5
図6