(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】摩耗部材および摩耗アセンブリー
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20241218BHJP
【FI】
E02F9/28 A
(21)【出願番号】P 2021531148
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 US2019066954
(87)【国際公開番号】W WO2020131939
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-06
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518269669
【氏名又は名称】エスコ・グループ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】エームズ,ジャレッド・アール
(72)【発明者】
【氏名】アルバース,ニコラス・エイ
(72)【発明者】
【氏名】デンゲル,ジョゼフ・イー
(72)【発明者】
【氏名】クロウ,マイケル・ディー
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-525450(JP,A)
【文献】登録実用新案第3052290(JP,U)
【文献】特開2004-124414(JP,A)
【文献】特開2004-324132(JP,A)
【文献】特公昭52-019001(JP,B2)
【文献】特開2017-057575(JP,A)
【文献】特開2012-246735(JP,A)
【文献】特開2017-014849(JP,A)
【文献】特開2001-254383(JP,A)
【文献】特開2021-085158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土工機器用の摩耗部材(10)であって、前記摩耗部材が前記土工機器の進行方向に延びる中心線に沿った長手方向軸を画定し、前記土工機器用の摩耗部材(10)は、
前記土工機器のベースを受容するように寸法決定された
上部壁、底部壁および側壁を有する後方開口空洞(14)を画定する本体(28)と、
前記本体の両側から延在し、かつ地面と係合するための前方縁部を画定する第一および第二の横方向部分(18、20)と、
前記第二の横方向部分の下に位置する第三の横方向部分(22)であって、前記第二の横方向部分と前記第三の横方向部分とが挿入ギャップを画定し、前記第一の横方向部分が、第一の相補的形成部(18B)によって画定される挿入部分を含み、前記挿入部分は、隣接する同一の摩耗部材上で前記挿入ギャップ内に受け入れられる、前記第三の横方向部分(22)と、
前記本体の横方向両側に配置された一対の後方に延在する脚(24、26)を含むリップマウントであって、
後方に延在する脚の一方は前記本体と前記挿入部分との間の前記第一の横方向部分の後部から延在し、後方に延在する脚の他方は前記第二の横方向部分の後部から延在し、後方に延在する脚のそれぞれは、前記本体の後部を越えて延在して掘削バケット上のリッププレートの上面および下面に係合し、
(i)前記挿入ギャップ内に受け入れられる前記挿入部分によって画定される開放取り外し経路によって、前記隣接する摩耗部材から独立して前記土工機器上で前記隣接する摩耗部材の間に取り付けられた前記摩耗部材の軸方向の挿入および取り外しを可能にし、かつ
(ii)前記長手方向軸の周りの前記摩耗部材の回転運動に抵抗する、前記リップマウントとを含む、
摩耗部材。
【請求項2】
前記第一および第二の横方向部分上の前記相補的形成部が、オフセット平表面を含む、請求項1に記載の摩耗部材。
【請求項3】
前記平表面が、鉛直な方向にオフセットされる、請求項2に記載の摩耗部材。
【請求項4】
前記平表面が実質的に同じ横方向幅を有し、前記本体の前方に延在する、請求項3に記載の摩耗部材。
【請求項5】
前記前方縁部が、ギャップが実質的にない連続的な縁部を提供する、請求項1~4のいずれかに記載の摩耗部材。
【請求項6】
前記第三の横方向部分が、前記第二の横方向部分と実質的に同じ横方向幅に対して延在するが、前記第二の横方向部分の長さに沿って部分的にのみ延在する、請求項1に記載の摩耗部材。
【請求項7】
前記第三の横方向部分が、前記前方縁部によりも前記摩耗部材の後方に近く位置する、請求項6に記載の摩耗部材。
【請求項8】
土工機器用の摩耗アセンブリーであって、
掘削バケット上に取り付けるためのリッププレートと、
前記リッププレート上に取り付けられ、それぞれがそこから突出するベースを画定する第一、第二、および第三のアダプターと、
第一、第二、および第三の摩耗部材であって、各々が、
前記第一、第二、および第三のアダプターの各ベースを受け入れるように寸法決めされた
上部壁、底部壁および側壁を有する開口空洞を画定する本体と、
前記土工機器の進行方向に延びる中心線に沿った長手方向軸と、
前記本体の両側面から延在し、地面と係合するための前方縁部を画定する第一および第二の横方向部分と、
前記第二の横方向部分の下に位置する第三の横方向部分であって、前記第二および第三の横方向部分がその間に挿入ギャップを画定し、前記第一の横方向部分が、前記隣接する摩耗部材の一つの挿入ギャップ内に受け入れられる挿入部分を含み、故に前記第二の摩耗部材が、それぞれ前記第一および第二の摩耗部材および前記第二および第三の摩耗部材上の前記挿入部分および挿入ギャップによって画定される開放取り外し経路により、前記第一および第三の摩耗部材間のギャップの間に挿入され、またはギャップから取り外され得る、前記第三の横方向部分と、
前記本体の横方向両側に配置された一対の後方に延在する脚を含むリップマウント
であって、後方に延在する脚の一方は前記本体と前記挿入部分との間の前記第一の横方向部分の後部から延在し、後方に延在する脚の他方は前記第二の横方向部分の後部から延在し、後方に延在する脚のそれぞれは、前記本体の後部を越えて延在して掘削バケット上のリッププレートの上面および下面に係合する、リップマウントと
を含む、摩耗アセンブリー。
【請求項9】
前記第三の横方向部分が、前記第二の横方向部分と実質的に同じ横方向幅に対して延在するが、前記第二の横方向部分の長さに沿って部分的にのみ延在する、請求項8に記載の摩耗アセンブリー。
【請求項10】
前記第三の横方向部分が、前記前方縁部によりも前記摩耗部材の後方に近く位置する、請求項9に記載の摩耗アセンブリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、土工機器のための摩耗部材に関する。
【背景技術】
【0002】
採掘作業中、交換可能な摩耗部材は通常、掘削バケットなどの土工機器を保護するために使用される。使用中、摩耗部材は研磨状態および重量負荷によって徐々に下方に摩耗する。消耗したら、機器から摩耗部材を取り外し、交換する。摩耗部材を使用すると、機器のリップや他の部分など、より高価な基礎機器を修理または交換する必要を少なくするため、掘削やその他の土工作業に費用効果の高いアプローチが提供される。
【0003】
摩耗部材のセットは、一般的に機械的手段(例えば、ロックピン、ボルト、またはその他のロック機構)によって土工機器に固定される。掘りバケットのリップに一組の歯を設置して、バケットの前方で地面を破壊し、バケットリップを過度の摩耗から保護することができる。歯が均等に摩耗する場合、その耐用年数の終了時に、歯の全体セットを同時に交換することができる。しかしながら、土工作業中、摩耗部材は軸方向、垂直、および横方向の荷重および衝撃を含むさまざまな方向力に供されることがあり、その結果、単一の歯または全ての歯よりも少ない歯の交換を必要とする、個々の歯の損傷または早期の摩耗がもたらされ得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、機器に機械的に固定された土工機器用の摩耗部材に関連する。いくつかの実施形態の摩耗アセンブリーは、高い生産性を考えると、信頼性が高く、安全で、使いやすく、多用途であり、および/または機械のダウンタイムがほとんどなく個々に交換可能である。
【0005】
第一の態様によれば、土工機器用の摩耗部材であって、摩耗部材が長手方向軸を画定し、ベースを受容するように寸法決定された後方開口空洞を画定する本体と、本体の両側から延在し、かつ地面と係合するための前方縁部を画定する第一および第二の横方向部分であって、第一の横方向部分は、第二の横方向形成に対して相補的形成部を画定し、相補的形成部によって画定される開放取り外し経路によって、隣接する摩耗部材の間に取り付けられた摩耗部材の軸方向の挿入および取り外しを可能にし、かつ長手方向軸の周りの摩耗部材の回転運動に抵抗する、第一および第二の横方向部分とを含む、摩耗部材が提供される。
【0006】
摩耗部材は、長手方向軸の周りの摩耗部材の回転運動に対するさらなる抵抗を提供するために、任意選択的に、本体の横方向両側に配置され、かつ、掘削バケット上のリッププレートの上面および下面上に係合するように寸法決定される一対の後方延長部分を含む、リップマウントをさらに含む。リップマウントはまた、隣接する摩耗部材間のギャップを低減し、それによって破片または他の粒子の横方向部分への侵入の可能性を低減する。
【0007】
任意選択で、一対の後方延長部分の各々は、リッププレートと係合するよう寸法決定され構成される一対のアームを含む。
【0008】
任意選択で、第一の横方向部分および第二の横方向部分上の相補的形成部が、オフセット平表面を含む。
【0009】
任意選択で、平表面が、第一および第二の横方向部分のうちの一つを通って延在する平面に対して横方向の方向にオフセットされる。いくつかの実施形態では、平表面が、一方の平表面が他方の平表面のすぐ下にスライドするように、互いから鉛直にオフセットされる。
【0010】
任意選択で、平表面が実質的に同じ横方向幅を有し、本体の前方に延在する。
【0011】
任意選択で、第一および第二の横方向部分は、地面またはその他の材料の摩耗部材への侵入を低減または防止するためのシールを提供する。
【0012】
任意選択で、前方縁部が、ギャップが実質的にない、または代替的にギャップが完全にない連続的な縁部を提供する。
【0013】
あるいは、前方縁部は、ぎざぎざの縁部、または隣接する歯の間など、間隔を置いたギャップを画定する縁部を画定し得る。ぎざぎざの縁部は、土工機器により良い地面貫通を提供し得る。
【0014】
任意選択で、摩耗部材は、第二の横方向部分の下に位置し、上面を画定する第三の横方向部分をさらに含み、第二および第三の横方向部分がその間に挿入ギャップを画定し、第一の横方向部分が、第一の横方向部分の相補的形成部と、相補的形成部に対し第一の横方向部分の対向する側の下面によって画定される挿入部分とをさらに含む。これにより、一つの摩耗部材の挿入部分が、隣接する摩耗部材の挿入ギャップに挿入されることが可能になる。
【0015】
任意選択で、第三の横方向部分が、第二の横方向部分と実質的に同じ横方向幅に延在するが、第二の横方向部分の長さに沿って部分的にのみ延在する。
【0016】
任意選択で、第三の横方向部分は、前方縁部によりも摩耗部材の後方に近くに位置する。
【0017】
任意選択で、第三の横方向部分の上面と、第一の横方向部分および第二の横方向部分の相補的形成部とが、全て平表面である。
【0018】
任意選択で、第一および第二の横方向部分の相補的形成部は、平面に対して間隔を置いているが、略整列している(例えば、平面に平行な線から10度以下逸脱することによって)、または密接に整列している(例えば、平面に平行な線から5度以下逸脱することによって)、または略平行な(例えば、平面に平行な線から約2度以下逸脱することによって)、表面である。一実施形態では、第一の横方向部分(例えば、上面)の係合形成は、第一の横方向部分の高さが本体から離れて延在するにつれて減少するように、本体から離れるにしたがい、小さな角度(5度未満)で傾斜し得る。同様に、第二の横方向部分(例えば、下面)の係合形成は、第二の横方向部分の高さが本体の方へ延在するにつれて増加するように、本体の方へ同様の小さな角度で傾斜し得る。
【0019】
第二の態様によれば、土工機器用の摩耗部材であって、摩耗部材が長手方向軸を画定し、ベースを受容するように寸法決定された後方開口空洞を画定する本体と、本体の両側から延在し、地面と係合するための前方縁部を画定する第一および第二の横方向部分と、第一の横方向部分によって画定される連結面と、長手方向軸に対して横方向の第二の横方向部分から直立し、前方縁から本体に向かって延在するアームであって、本体の反対側の内側面を画定し、傾斜して、本体に向かって地面をガイドする、アームと、を含む、摩耗部材が提供される。
【0020】
任意選択で、摩耗部材は、長手方向軸の周りの摩耗部材の回転運動に対するさらなる抵抗を提供するために、本体の横方向両側に配置され、掘削バケット上のリッププレートの上面および下面上に係合するように寸法決定される一対の後方延長部分を含む、リップマウントをさらに含む。
【0021】
任意選択で、一対の後方延長部分の各々は、リッププレートと係合するよう寸法決定され構成される一対のアームを含む。
【0022】
任意選択で、第一の横方向部分が本体の左側にあり、連結面が第一の横方向部分の下面上に画定され、摩耗部材が、第一の横方向部分の下に位置し、かつ上面を画定する第三の横方向部分をさらに含み、第一および第三の横方向部分がその間に挿入ギャップを画定する。
【0023】
任意選択で、第一の横方向部分が本体の右側にあり、連結面が、長手方向軸に沿った移動によって挿入ギャップに挿入するための第一の横方向部分の上面に画定される。
【0024】
第三の態様によれば、土工機器用の摩耗アセンブリーであって、掘削バケット上に取り付けるためのリッププレートと、リッププレート上に取り付けられ、それぞれが突出するベースを画定する第一、第二、および第三のアダプターと、第一、第二、および第三の摩耗部材であって、各々が、対応するアダプターに固定されたベースを有し、各摩耗部材が長手方向軸を画定し、各摩耗部材が、本体の両側から延在し、地面と係合するための前方縁部を画定する第一および第二の横方向部分を含み、第一の横方向部分が、それぞれ第二の横方向形成部に対して相補的形成部を画定し、故に第二の摩耗部材が、第一および第二の摩耗部材および第二および第三の摩耗部材上の相補的形成部によって画定される開放取り外し経路により、第一および第三の摩耗部材間のギャップの間に挿入され、またはギャップから取り外され得る、第一、第二、および第三の摩耗部材とを含む、摩耗アセンブリーを提供する。
【0025】
任意選択で、摩耗部材が、第二の横方向部分の下に位置し、上面を画定する第三の横方向部分をさらに含み、第二および第三の横方向部分がその間に挿入ギャップを画定し、第一の横方向部分が、第一の横方向部分の相補的形成部と、相補的形成部に対し第一の横方向部分の対向する側の下面によって画定される挿入部分とをさらに含む。
【0026】
任意選択で、第三の横方向部分が、第二の横方向部分と実質的に同じ横方向幅に延在するが、第二の横方向部分の長さに沿って部分的にのみ延在する。
【0027】
任意選択で、第三の横方向部分は、前方縁部によりも摩耗部材の後方に近くに位置する。
【0028】
第四の態様によれば、略連続的な前方縁部を画定する、上記に記述された構造を有する、複数の摩耗部材(歯など)を含むバケットが提供される。
【0029】
第五の態様によれば、略連続的な前方縁部を画定するために、上述の構造のいずれかを有する摩耗部材を有する摩耗アセンブリーを含むバケットが提供される。
【0030】
第六の態様によれば、第一の摩耗部材の第一の横方向部分が第二の摩耗部材とオーバーラップし、第一の摩耗部材の第二の横方向部分が第三の摩耗部材とオーバーラップするように、縁部に着座する第二の摩耗部材に隣接し、かつ縁部に着座する第三の摩耗部材に隣接する、第一の摩耗部材を位置付けることと、第一の摩耗部材を縁部に着座するように後方に移動させることとを含む、摩耗部材を縁部に着席させる方法を提供する。
【0031】
第七の態様によれば、第一の摩耗部材を、リップ上の着座した位置から、対向する側の第二の摩耗部材と第三の摩耗部材とオーバーラップする、第一の摩耗部材の対向する側の横方向部分を有するリップから離れて、移動させて、第一の摩耗部材をアセンブリーから係合解除することを含む、摩耗アセンブリーの摩耗部材を縁部から取り外す方法が提供さる。
【0032】
第八の態様によれば、土工機器用の摩耗部材であって、摩耗部材が長手方向軸を画定し、ベースを受容するように寸法決定された後方開口空洞を画定する本体と、本体の両側から延在し、かつ地面と係合するための前方縁部を画定する第一および第二の横方向部分であって、第一の横方向部分は、第二の横方向形成に対して相補的形成部を画定し、隣接する摩耗部材の間に取り付けられた摩耗部材の挿入および取り外しを可能にする、第一および第二の横方向部分と、長手方向軸の周りの摩耗部材の回転運動に対する抵抗を提供するために、本体の横方向両側に配置され、かつ掘削バケット上のリッププレートの上面および下面上に係合するように寸法決定される一対の後方延長部分を含むリップマウントとを含む、摩耗部材が提供される。
【0033】
一実施形態では、土工機器用の摩耗部材は、隣接する摩耗部材間のギャップを塞ぐ、および/または使用中に適用された荷重に対する支持を提供する、オーバーラップする横方向部分を含む。オーバーラップする横方向部分は、隣接するオーバーラップする摩耗部材を取り外すことなく、摩耗部材の取り外しを可能にする開放取り外し経路を維持する。
【0034】
別の実施形態では、土工機器用の摩耗部材は、地面と係合するための前面部分と、ベースを受容するための後方開口空洞と、両側で摩耗部材とオーバーラップするおよび横方向部分とを有する。摩耗部材は、干渉のない、隣接するオーバーラップする取り付けられた摩耗部材の間のリップに取り付けられる。別の実施形態では、一方の側の摩耗部材は、隣接する摩耗部材の横方向部分を受容するための開口部を形成する上部および下部横方向部分を含む。
【0035】
別の実施形態では、摩耗部材は、地面と係合するための前方作業部分、ベースを受容するための後部取り付け部分で後方に開口する空洞、長手方向軸、およびそれぞれが、隣接する摩耗部材の平表面上に圧力をかけるために長手方向軸に実質的に平行な平表面を有する、長手方向軸から離れて延在する左右の互い違いに配置された翼を含む。追加的な実施形態では、摩耗部材は、長手方向軸から延びて隣接する摩耗部材の翼を受容する開口部を形成する第三の翼を含む。追加的な実施形態では、取り付け部分は、空洞の両側に後方に延在する部材を含み、リップをまたいで圧力をかける。追加的な実施形態では、各平表面は、後方部分から前方作業部分へ延びる。
【0036】
別の実施形態では、バケットの掘削歯は、隣接する歯の前方縁部に沿って略連続的な縁部を画定するために、取り付け空洞と、前方縁部と、少なくとも一つの他の歯の横方向の延長部と係合するための少なくとも一つの横方向の延長部とを含み、歯は、隣接する歯の取り外しを必要とすることなく、バケットから取り外され得る。
【0037】
別の実施形態では、バケットの掘削歯は、取り付け空洞と、前方縁部と、リップをまたぐ脚と、空洞から横方向に延在する一対の翼とを含み、隣接する歯上の相補的翼と係合し、それによって、隣接する歯の前方縁部に沿って略連続的な縁部を画定する。
【0038】
別の実施形態では、バケットの掘削歯は、取り付け空洞と、前方縁部、隣接する歯の横方向の延長部と係合して、隣接する歯の前方縁部に沿って略連続的な縁部を画定する横方向の延長部と、使用中に土質材料をバケット内にガイドするための横方向の延長部と対向する側に沿って直立したガイドとを含む。ガイドは、任意選択で、内向きに傾斜した部分および/または内向きの曲線を含む。この歯は、歯の略連続的な縁部の端部を形成するのに適している。
【0039】
別の実施形態では、バケットの掘削歯は、取り付け空洞と、前方縁部と、隣接する歯の横方向の延長部とオーバーラップして、前方縁に沿って隣接する歯と略連続的な縁部を画定する横方向の延長部と、隣接する歯の横方向の延長部をサンドイッチするために横方向の延長部と対向する翼とを含む。翼は、取り外し力を最小化し、および/または完全な係合解除のための距離を減少させるために、縮小された寸法および/または後方位置を有する。
【0040】
別の実施形態では、摩耗アセンブリーは、第一の摩耗部材および第三の摩耗部材に隣接する第二の摩耗部材が、第一および第三の摩耗部材から干渉することなく(かつ、第一の摩耗部材および第三の摩耗部材から任意の部品を緩めるまたは取り外すことなく)、摩耗アセンブリーから取り外され得る、隣接する横方向にオーバーラップする位置に、土工機器の縁部に固定される第一の摩耗部材、第二の摩耗部材、および第三の摩耗部材を含む。別の実施形態では、各摩耗部材は、任意選択で、縁部をまたぐ後方に延在する安定化部分を含み得る。
【0041】
別の実施形態では、土木用機器の縁部上の摩耗アセンブリーは、縁部で摩耗部材間の開空間がない連続的な縁部を形成する複数のオーバーラップする摩耗部材を含み、第一の摩耗部材は、隣接する第二の摩耗部材を取り外すことなく、リップから取り外すことができる。
【0042】
上記の実施形態のさまざまな特徴は、互いに独立して、または摩耗部材を土工機器の縁部に固定する際の異なる特徴の全てまたはいくつかと集合的に使用することができる。記載された特徴は、本発明のさまざまな概念の特定のアイデアの例示的な概要観察であり、網羅的または必須であることを意図していない。開示された実施形態の前述および他の目的、特徴、および利点は、特定の実施形態の以下の詳細な説明および添付の図面を考慮してより容易に理解されるであろう。図面は特定の実施形態のみを描いており、従って本質的に限定的であるとみなされるべきではないことを理解して、これらの実施形態は、追加の固有性および詳細に記述および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、摩耗アセンブリーの上側斜視図である。
【0044】
【
図2】
図2は、
図1の摩耗アセンブリーの部分、すなわち摩耗部材の上部斜視図である。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【
図6】
図6は、
図2~5の摩耗部材に隣接する左隅の摩耗部材を示す、
図1の摩耗アセンブリーの一部の正面図である。
【0049】
【
図7】
図7は、
図1の摩耗アセンブリーの中央部分の上面図である。
【0050】
【
図8】
図8は、
図1の摩耗アセンブリーの一部分の断面図である。
【0051】
【
図9】
図9は、第一の側面からの
図1の摩耗アセンブリーの部分断面部分の斜視図である。
【0052】
【
図10】
図10は、
図9の第一の側面と対向する第二の側面からの、
図1の摩耗アセンブリーの部分断面部分の斜視図である。
【0053】
【0054】
【発明を実施するための形態】
【0055】
機器の耐用年数を延ばすために、摩耗部材は、多くの種類の土工機器に適用することができる。本発明は、バケットの掘削縁部に沿って固定された摩耗部材、それらのアセンブリー、およびこうした縁部上に摩耗部材を設置および取り外すための方法に関する。
【0056】
ここで図を参照すると、
図1は、摩耗アセンブリー12が土工機器に取り付けられるように設計される、摩耗部材10を含む摩耗アセンブリー12を示す。図示の例では、摩耗部材10はポイントまたは歯である。摩耗アセンブリー12は、歯10が取り付けられる輪郭付きリップ9を含む。輪郭付きリップリップ9は、土木用バケット(図示せず)の縁部(図示せず)に取り付けられたリッププレート8と、リッププレート8に溶接されたアダプター8Aとを含む。各アダプター8Aは、そこから延在し、リッププレート8を超えて突出する、ノーズ8B(
図8で最もよくわかる)を画定する。アダプター8Aは、代替的に、ウィスラー(商標)ウェッジおよびクランプなどの機械的手段によって固定されてもよく、またはノーズ8Bはリッププレート8の一部として形成され得る。リッププレート8は、さまざまな異なる設計を有することができるが、好ましくは、線形のリーディング面を有する。輪郭付きリップ9は、土工機器の動作中(例えば、掘削作業中)の進行方向を有する。
【0057】
摩耗アセンブリー12の歯10は、狭い前部作業縁部16に先細りする、作業部分32(
図2および3に最もよくわかる)と、リッププレート8の前方に延びるノーズ8Bを受容する後方開口空洞14を含む取り付け部分34(
図2および3に最もよくわかる)とを含む。取り付け部分34は、空洞14の一方側または両側に一つまたは複数の後方に延在する脚24および26を含むリップマウントを含む。本実施形態では、各脚24、26は、リッププレート8を(上下に)またぎ、それによって歯10の安定化を提供し、歯10上の回転力に抵抗する。
【0058】
空洞14は、歯10の中央本体28を形成する上部壁、底部壁および側壁によって画定される。歯本体28は、(アダプター8Aを介して)歯10をリップ9に取り外し可能に固定するためのロック30を受容する開口部28Aを含むことが好ましい。空洞14および開口部28Aは、歯10の特定の適用に望ましい、嵌合、安定化、係止などの種類に適合するように、いくつかの異なる形状から選択される形状を有し得る。図示の実施形態では、空洞14、開口部28Aおよび開口部28Aに受容されたロック30は、米国特許第7,882,649号に開示されるとおりであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。各歯10は、土工機器の動作中にリップ9の前進方向に概ね延びる中心線によって画定される長手方向軸36を有する。
【0059】
使用中、歯10は、掘削プロセス中に土地またはその他の材料に接触し、バケット内のリップ9を保護し、貫通を容易にし、および/または材料を集める。リップ9上に取り付けられたとき、歯10の前方縁部16は、全体として整列して、土の平ら化もしくは平坦化、または滑らかな壁の穴および/または床の穴の掘り出しもしくは他の掘削作業に使用され得る、略連続的な直線状の縁部を形成することができる。略連続的な縁部を形成する各歯10のこのより幅広い構成は、掘削中の歯10の屈曲または曲がり(すなわち、一般に軸36の周り)のリスクを増大させ得る。リッププレート8の両側にある上述の脚24、26は、こうした曲がることに抵抗するのに役立つ。歯10は、本体28から横方向に延びる第一の横方向部分または翼18と、本体28から反対側に横方向に延びる第二の横方向部分または翼20とを含む。各横方向部分18、20は、作業部分32から取り付け部分34まで、歯10の長さのほとんどについて延在するが、他の実施形態では、それらはギャップを有してもよく、または長さに沿って部分的にのみ延在することができる。翼18、20は、隣接する歯10上の翼(それぞれ20、18)とオーバーラップし、有意なギャップのない略連続的な縁部を確保するか、および/または軸36の周りの歯の回転に対する支持を提供する。横方向部分18、20は、本体28から横方向に延在するため、例えば、ステップ様式で厚さが減少する。各横方向部分18、20は、そこからタング18B、20Bが延在する縁部18Aおよび20Aを画定する。タング18B、20Bの対向する表面は、隣接する歯10からのタング18B、20Bが、隣接する歯10の対応するタング20B、18Bそれぞれとオーバーラップする関係にスライド係合し、それによって横方向部分18、20の部分的なオーバーラップを提供するように、互いに相補的形成部を提供する。
【0060】
横方向部分18、20は、対向する面上で平行であり、かつ直線状の最前部に垂直な外周部または縁に横方向に延在し、略長方形の形状を形成するが、代替的に非平行および/または非直線側縁部を有し得る。本実施形態では、横方向部分18、20は、
図5に示すように、小さな傾斜を有する略平表面を含む。第一の横方向部分18の上面は、本体28から離れるにしたがい下向きの傾斜(2度)を有する一方、第二の横方向部分20の下面は、本体28から離れるにしたがい類似の上向きの傾斜(2度)を有する。
【0061】
横方向部分18、20は、互い違いに配置される位置(または鉛直にオフセットされる)とすることができる。一つの横方向部分20は、長手方向軸36の上方の平面上に延在してもよく、反対側の横方向部分18は、長手方向軸36の下方の平面上に延在し得る。歯10は、本体28から横方向に延び、翼20から間隔を置いて、任意選択の追加的(第三の)な横方向に延在する部分または翼22を含むことができる。下部横方向部分22は、前方および後方に限られた距離のみ延びる上部横方向部分20よりも狭くてもよい。この構造は、衝撃を受けた土の微粒子が存在する場合の取り外し力を低減し、完全な係合解除の距離を減少させることが好ましいが、他の配置が可能である。翼22は、軸36の周りの歯の回転に対する追加の抵抗を提供することができ、すなわち、上部および下部横方向部分20および22は、隣接する歯10の横方向部分18(挿入部分)を受けいれて、歯10をノーズ8Bの周りの回転から安定させる開口部(挿入ギャップ)を形成する。その他または追加のオーバーラップが提供され得る。
【0062】
アセンブリー12の直線状の最前部が図示されるが、他の構成が提供され得る。アセンブリー12の最前部は、長手方向軸36に角度付けられた連続直線最前部、湾曲した縁部、互い違いの縁部、または横方向部分が隣接する摩耗部材の横方向部分とオーバーラップする角度で交わる直線状の縁部分を形成することができる。
【0063】
図示の実施形態では、第一の横方向部分18と第二の横方向部分20はそれぞれ、隣接する歯10の対応する平面上に圧力を加える長手方向軸36を通る平面に実質的に平行な平面18Bと20Bを含むが、平行でない表面が可能である。いくつかの摩耗部材(または隅歯)40、44は、隅部材として提供される。
【0064】
特に、左隅歯40は、第一の横方向部分18のみを含み、右隅歯44は、第二の横方向部分20のみを含む。
【0065】
各隅歯40、44は、必要に応じて、両方の横方向部分を含み得る。一般に、各隅歯40、44は、歯10に含まれる横方向の延長部のうちの一つを有し得る。図示の実施形態では、隅歯40は脚26および翼18を含み、隅歯44は脚24および翼20、22を含む。あるいは、歯10を端部に使用し、隅歯ならびに中間歯を形成することができる。また別の方法として、隅歯の他の構成を使用し得る。
【0066】
図示の実施形態では、タング18Bは翼18の底部表面の連続的な延長部であり、タング20Bは翼20の上部表面の連続的な延長部である。しかしながら、タング20Bが底部に沿ってあり、タング18Bが上部に沿ってある、両方のタング18B、20Bが上部表面に沿ってある、または両方底部表面に沿ってある、(その場合、隣接する歯が反対の構成を有する)、またはタングおよび溝の配置を有する(例えば、翼18は、中央配向を有してもよく、翼20は、隣接する歯のタング18Bを受容するために二つの離間した横方向の延長部によって形成され得る)など、異なる構成を選択し得る。
【0067】
図示の実施形態では、左隅歯40(特に
図1および
図11を参照)は、後部空洞14およびロック開口部28Aを有する本体28と、リッププレート8またぐ後方に延在する脚26と、作業縁部16と、横方向部分18と類似した横方向部分18とを含む。摩耗アセンブリー12の隅歯40、44は、典型的には、中間歯10と比較して摩耗の増加を経験し、露出角の隅は丸くなりえる。左隅部材40は、内側面42Aを有する厚くなった外縁または直立アーム42を含み、縁壁を形成する。縁壁は、任意選択で、作業縁部16から後方に延在する内側に湾曲し、かつ/または内側に傾斜し得る。面42Aの内向きの曲線は、収集された材料をバケットの中心に向かって内向きにガイドすることができる。あるいは、外縁部の水平の厚さは、増加し、それが後方に延在して、動作中に収集された材料をリップ9の中心に向かって誘導するように分岐し得る。摩耗部材の外縁(またはアーム)42の厚さの増加は、アセンブリー12の摩耗が高い領域で追加の材料を提供し、角摩耗部材40の寿命を延ばし、および/または使用中に土質材料をバケットの中へ誘導する。
【0068】
右隅歯44(特に
図1および
図12を参照)は、後方開口空洞14と、リッププレート8をまたぐ後方に延在する脚24と、内側面46Aとの摩耗に抵抗するための厚くなった縁または直立したガイド46(好ましくは、隅部材40上の縁(またはアーム)46の鏡像)とを含む。右隅部材44は、前述した歯10と類似した下部横方向部分22を有する、縁部上の上部横方向部分20を含み得る。
【0069】
土質材料と係合する作業縁部16は、によって、歯10、40、44の支持表面上に力を生成する。横方向部分18、20によって提供される歯10、40、44の追加の幅は、動作中に歯10、40、44に強力なトルク力を生成する。歯10、40、44をバケットの掘削縁部に組み立てると、各歯10の横方向部分18、20は、隣接する歯10の横方向部分20、18とそれぞれオーバーラップする。横方向部分18は、隣接する歯10の横方向部分20と22との間のギャップ内に受容されて、隣接する横方向部分20、22に支持を提供することができる。
【0070】
後方に延在する脚24および26は、リッププレート8圧力をかける。歯10の側面および歯10の後部のこれらのささえ面、ならびにノーズ8Bに圧力を与える空洞14のささえ面は、歯10を安定させ、掘削作業によって生成されるトルク、垂直方向および/または軸方向の力に抵抗する。
【0071】
翼18、20、22、および脚24、26、ならびに場合により、歯10、40、44のその他の部分は、使用中および/または連続的な縁部の形成中に遭遇する可能性のあるさまざまな掘削力に抵抗する際の支持のために、互いに、および/またはリッププレート8と連動している。歯はまた、好ましくは、オーバーラップする部分18、20、22、24、26のそれぞれに対して開放取り外し経路を形成し、隣接する歯とは独立して前方に移動し、各歯10、40、44の個々の交換を可能にする。従来、連続的な縁部を形成する歯は、歯の交換が必要とされるときに隣接する歯の取り外しを必要とする方法で支持のためにオーバーラップする。図示の実施形態では、翼18は、隣接する歯にオーバーラップする翼20、22に対して前方にスライドすることができ、翼20、22は、それがオーバーラップする翼18に対して前方にスライドすることができる。隣接する歯はまた、脚24、26の並んだリッププレート8の前方の動きを遮断しない。図示の実施形態では、各歯10、40、44の取り外し経路は直線経路に沿っているが、他の実施形態では、取り外し経路は非直線経路を有してもよく、一例として、取り外し経路は湾曲し得る。
【0072】
アダプター8Aのノーズ8B(空洞14内に受容される)上に歯が着座した状態で、ロック30を開口部28Aに挿入することができる。望ましい場合、ロック30はハンマーなしロックとすることができるが、これは必須ではない。
【0073】
これらの実施形態は、一種類のバケット用の摩耗アセンブリーに関連して本明細書に記述される。当然のことながら、これは、開示された主題の単一の例であり、制限することを意味するものではない。本発明による摩耗部材は、例えば、油圧掘削機械、ローダー、ケーブルショベル、フェースショベルなどのバケットを含む多種多様なバケットでの使用、または他の製品での使用のための他の構造を有することができる。上部、底部、前方、後方、左および右などの相対的用語は、本明細書で使用される場合、考察を簡単にするために使用され、限定することを意図しない。
【0074】
図面を参照すると、本明細書は、特定の実施形態およびそれらの詳細な構造および動作について説明する。説明した実施形態は、例示のみにより説明されており、限定されない。動作の記述された特徴、構造、特徴、および方法は、一つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得る。本明細書の開示を考慮して、当業者は、一つまたは複数の特定の詳細なしで、または他の方法、構成要素、材料などを用いてさまざまな実施形態を実施できることを認識するであろう。他の例では、周知の構造、材料、または動作方法は、実施形態のより適切な態様を不明確にすることを避けるために、詳細には示されていない、または記述されていない。本明細書の任意の一つの部分に開示された主題は、組み合わせが相互に排他的または操作不可能でない限り、本明細書の一つまたは複数の他の部分の主題と組み合わせることができることが意図される。さらに、本明細書に記載の概念の多くの変形、改善、および修正が可能である。当業者であれば、本発明の根底にある原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に対して多くの変形がなされ得ることを認識するであろう。例えば、他の実施形態では、横方向部分18、20は、上述または図面に図示されるよりも、本体28上に下側またはさらに上に取り付けられ得る。