(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】ノードと様々なRF対応デバイスとの無線周波数通信に基づいて、無線センサノードの位置を特定するために、測距及び三角測量を用いるシステム並びに方法
(51)【国際特許分類】
G01S 5/14 20060101AFI20241218BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20241218BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20241218BHJP
【FI】
G01S5/14
H04W84/18
H04W64/00
(21)【出願番号】P 2021537165
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 US2019068482
(87)【国際公開番号】W WO2020139888
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518200503
【氏名又は名称】ザイナー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Zainar, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】イラムルト,トミ
(72)【発明者】
【氏名】セス,マヌ
(72)【発明者】
【氏名】コン,リンカイ
(72)【発明者】
【氏名】ラジ・デイ,スーラブ
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-274363(JP,A)
【文献】特開2017-223645(JP,A)
【文献】特開2010-160132(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107040992(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0036198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00- 5/14
G01S 19/00-19/55
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ネットワークアーキテクチャにおける複数のノードの位置を特定するためのシステムであって、
未知の場所に配置され、前記無線ネットワークアーキテクチャにおいて、1組の無線アンカーノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた
無線ノードと、
前記1組の無線アンカーノードであって、前記1組の無線アンカーノードにおける各無線アンカーノードは、既知の場所に配置され、命令を記憶するためのメモリと処理ユニットと前記無線ネットワークアーキテクチャにおける通信を送受信する無線周波数回路とを備える、前記1組の無線アンカーノードと、
を具備し、
前記1組の無線アンカーノードは、第1の無線アンカーノードを備えており、前記第1の無線アンカーノードは、
第1の時間に、
前記
無線ノードから受信される無線周波数信号の第1の周波数チャネルの第1のチャネル状態情報を検出し、
前記第1の周波数チャネルとは非連続な前記無線周波数信号の第2の周波数チャネルの第2のチャネル状態情報を検出し、
位相合わせのない前記第1のチャネル状態情報及び前記第2のチャネル状態情報に基づいて、前記第1の無線アンカーノードと前記
無線ノードとの間の遅延プロファイル推定値を計算し、
第2の時間に、
前記遅延プロファイル推定値に基づいて、前記1組の無線アンカーノードにおける無線アンカーノードと前記
無線ノードとの間の距離を表す1組の測距測定値を計算し、
前記1組の測距測定値の最尤推定に基づいて前記
無線ノードの位置を三角測量するように構成される、システム。
【請求項2】
前記第1の無線アンカーノードは、前記1組の測距測定値における測距測定値の確率分布と前記
無線ノードの位置仮説に基づいて、前記
無線ノードの位置を三角測量するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の無線アンカーノードは、前記1組の無線アンカーノードにおける無線アンカーノードに関連付けられた前記1組の測距測定値における測距測定値の不確定性と、前記無線アンカーノードから前記位置仮説までの距離と、に基づいて、前記
無線ノードの位置を三角測量するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の無線アンカーノードは、前記
無線ノードの位置を三角測量するように構成されて、前記1組の測距測定値のうちの測距測定値の第1のサブセットの重要性を軽減し、前記1組の測距測定値において、測距測定値の第1のサブセットを測距測定値の第2のサブセットよりも小さく重み付けすることにより、三角測量推定全体に対する第1の不確定性範囲によって特徴付けられ、前記
無線ノードの位置を決定するための、第2の不確定性範囲によって特徴付けられる、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1組の無線アンカーノードにおける各無線アンカーノードが、位置特定の間に、第1のアンカーノード位置から第2のアンカーノード位置に位置を変更する可動ロボットを含み、
前記第1の無線アンカーノードは、前記1組の無線アンカーノードにおけるにおける各無線アンカーノードの前記第1のアンカーノード位置及び前記第2のアンカーノード位置に基づいて前記1組の測距測定値を計算するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
無線ネットワークアーキテクチャにおける複数のノードの位置を特定するための方法であって、
1組の無線アンカーノードであって、1組の無線アンカーノードにおける各無線アンカーノードが既知の位置に位置する1組の無線アンカーノードを使用して、未知の位置に位置する
無線ノードに通信を送信すること、
該
無線ノードから通信を受信すること、
第1の時間に、
前記
無線ノードから受信される無線周波数信号の第1の周波数チャネルの第1のチャネル状態情報及び無線周波数信号の第2の周波数チャネルの第2のチャネル状態情報にアクセスすることであって、前記第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルは非連続チャネルを含むこと、
位相合わせのない前記第1のチャネル状態情報及び前記第2のチャネル状態情報に基づいて、無線周波数信号に関連する時間遅延を推定すること、
第2の時間に、
時間遅延に基づいて、前記1組の無線アンカーノードにおける各無線アンカーノードと前記
無線ノードとの間の1組の測距測定値を計算し、
前記1組の測距測定値の最尤推定に基づいて前記
無線ノードの位置を三角測量すること、
を含む、方法。
【請求項7】
前記
無線ノードの位置を三角測量することは、前記1組の測距測定値における測距測定値の確率分布と前記
無線ノードの位置の位置仮説に基づいて、前記
無線ノードの位置を三角測量することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記
無線ノードの位置を三角測量することは、前記1組の無線アンカーノードにおける無線アンカーノードに関連付けられた前記1組の測距測定値における測距測定値の不確定性と、前記無線アンカーノードから前記位置仮説までの距離と、に基づいて、前記
無線ノードの位置を三角測量することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記
無線ノードの位置を三角測量することは、前記1組の測距測定値のうちの測距測定値の第1のサブセットの重要性を軽減することによって前記
無線ノードの位置を三角測量することを含み、
前記1組の測距測定値における測距測定値の第1のサブセットを前記1組の測距測定値における測距測定値の第2のサブセットよりも小さく重み付けすることによる第1の不確定性によって特徴付けられ、
前記
無線ノードの位置を決定するための、前記第1の不確定性よりも小さい第2の不確定性によって特徴付けられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記
無線ノードに通信を送信することは、前記1組の無線アンカーノードに通信を送信することを含み、前記1組の無線アンカーノードにおける各無線アンカーノードは、位置特定の間
に第1のアンカーノード位置か
ら第2のアンカーノード位置に位置を変更する可動ロボットを含み、
前記1組の測距測定値を計算することは、前記1組の無線アンカーノードにおける各無線アンカーノードの前記第1のアンカーノード位置及び前記第2のアンカーノード位置に基づいて、前記1組の測距測定値を計算することを含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月26日に出願された米国仮特許出願第62/785,094号の利益を主張する、2019年2月22日に出願された米国特許出願第16/283,474号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年2月22日出願の「SYSTEMS AND METHODS FOR USING RANGING TO DETERMINE WIRELESS SENSOR NODES BASED ON RADIO FREQUENCY COMMUNICATIONS BETWEEN THE NODES AND VARIOUS RF-ENABLED DEVICES」という名称の出願番号第16/283,470号、2019年2月22日出願の「SYSTEMS AND METHODS FOR DETERMINING LOCATIONS OF WIRELESS SENSOR NODES BASED ON RADIO FREQUENCY COMMUNICATIONS BETWEEN NODES AND VARIOUS RF-ENABLED DEVICES」という名称の出願番号第16/283,465号、及び2019年2月22日出願の「SYSTEMS AND METHODS FOR DETERMINING LOCATIONS OF WIRELESS SENSOR NODES BASED ON ANCHORLESS NODES AND KNOWN ENVIRONMENT INFORMATION」という名称の出願番号第16/283,478号に関連しており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明の実施形態は、ノードと様々なRF対応デバイスとの無線周波数通信に基づいて、無線センサノードの位置を特定するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
家電業及びコンピュータ産業では、長年にわたり無線センサネットワークが研究されてきた。典型的な無線センサネットワークでは、ネットワーク内に配備された1又はそれ以上のセンサノードからデータの無線収集が可能となるように、無線機と併せて1又はそれ以上のセンサが実装されている。各センサノードは1又はそれ以上のセンサを含んでいてもよく、また無線機と、センサノードの稼働に電力を供給するための電力源とを含む。屋内無線ネットワーク内のノードの位置検出は、多くの用途において有用かつ重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノードの位置検出のための従来の手法は、信頼性の課題、配備上の課題、それにコスト上の課題を抱えている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態について、ネットワークアーキテクチャ内の無線センサノードの位置を特定するためのシステム及び方法が本明細書に開示される。一例では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、1又はそれ以上の処理ユニット、及び第1のパケットを有する第1のRF信号を含む、無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するためのRF回路を備えた無線デバイスを有する、第1の無線ノードを含む。本システムは、第2のパケットを有する第2のRF信号を含む、無線ネットワークアーキテクチャ内の第1の無線ノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する、第2の無線ノードをさらに含む。この第1の無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニット、マシン、又は遠隔デバイス(例えば、クラウドベースのデバイス)は、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値を決定し、これによって第1の無線ノード及び第2の無線ノードのチャネル状態情報(channel state information:CSI)を測定し、次いでハードウェアをキャリブレーションして、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのハードウェア遅延を測定するための命令を実行するように構成されている。
【0007】
一例では、これら第1の無線ノードと第2の無線ノードとは、同じ基準クロック信号を有する。
【0008】
別の例では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、それぞれの位置が既知であり、なおかつ1又はそれ以上の処理ユニット、及び無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するRF回路を備えた無線デバイスをそれぞれ有する複数の無線アンカーノードと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、これら複数の無線アンカーノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する無線ノードと、を備え、複数の無線アンカーノードのうちの少なくとも1つにおける1又はそれ以上の処理ユニットは、各アンカーノードと、位置が未知である無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を決定し、かつ誤りを最小限に抑えるために、無線ノードの推定位置にわたって反復される三角測量アルゴリズムを実施するための命令を実行するように構成されている。
【0009】
別の例では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、それぞれの位置が既知であり、なおかつ1又はそれ以上の処理ユニット、及び無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するRF回路を備えた無線デバイスをそれぞれ有する複数の無線アンカーノードと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、これら複数の無線アンカーノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する無線ノードと、を備え、複数の無線アンカーノードのうちの少なくとも1つにおける1又はそれ以上の処理ユニットは、各アンカーノードと、位置が未知である無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を決定し、かつアンカーノードからの測距測定値の最尤推定(maximum likelihood estimation:MLE)を使用する三角測量アルゴリズムを実施するための命令を実行するように構成されている。
【0010】
別の例では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための装置は、命令を記憶するためのメモリと、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数の無線センサノードを制御し、かつこれら複数の無線センサノードの位置を特定するための命令を実行する1又はそれ以上の処理ユニットと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、本装置における自身との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数の無線センサノードとの通信を送受信するための無線周波数(RF)回路と、を備え、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、本装置と、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の推定距離範囲のセットを含む測距データを決定し、かつ本装置又は無線センサノードをそれぞれ、無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一意の既知の位置と関連付けるための命令を実行するように構成されている。
【0011】
別の実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、1又はそれ以上の処理ユニット、及び無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するRF回路を備えた無線デバイスを有する無線ノードと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、これらの無線ノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する複数の無線センサノードと、を備え、無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、無線ノードと、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を含む測距データを決定し、かつ無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一連の相対位置を、無線ノード及び複数の無線センサノードと関連付けるための命令を実行するように構成されている。
【0012】
本発明の実施形態の他の特徴並びに利点は、添付の図面及び以下に続く詳細な説明から明らかになるであろう。
【0013】
本発明の実施形態を、添付の図面の図に限定ではなく、例示として示しており、ここでは同様の参照符号は同様の要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図2は、2つのノード510と511との間の距離を推定する際に使用される、RSSIを示す。
【
図3】
図3は、一実施形態による、例示的な無線ノードのシステムを示す。
【
図4】
図4は、一実施形態による、通信を行う複数のハブを有する非対称ツリー及びメッシュネットワーク・アーキテクチャを備えたシステムを示す。
【
図5】
図5は、一実施形態による、飛行時間測定システムを示す。
【
図6】
図6は、一実施形態による、飛行時間測定システムのブロック図を示す。
【
図7】
図7は、別の実施形態による、飛行時間推定に使用される非同期システムを示す。
【
図8A】
図8Aは、一実施形態による、アクセスポイントから様々なWi-Fi対応デバイスに送信される信号に影響を与え得る、屋内環境890の壁882、884、天井880、及び家具830、832からの多数の反射を示す。
【
図8B】
図8Bは、一実施形態による、直接信号の反射信号への加算を示す。
【
図9A】
図9Aは、一実施形態による、無線センサネットワーク内のTOAの正確なタイミング測定を用いた、無線デバイスの位置特定のための方法を示す。
【
図9B】
図9Bは、一実施形態による、無線センサネットワーク内のTOAの正確なタイミング測定を用いた、無線デバイスの位置特定のための方法を示す。
【
図10】
図10は、一実施形態による、位置特定時の三角測量の精度を高めるために用いられる、最尤推定(MLE)の方法を示す。
【
図11】
図11は、一実施形態による、自動ゲイン制御を有するキャリブレーションシステムを示す。
【
図12】
図12は、一実施形態による、ループバックキャリブレーションを用いてハードウェア遅延及び非理想特性を除去する方法を示す。
【
図13A】
図13Aは、一実施形態による、電源コンセント用のオーバーレイ1500として実装されるハブの例示的な一実施形態を示す。
【
図13B】
図13Bは、一実施形態による、電源コンセント用のオーバーレイとして実装されるハブのブロック図の分解図の例示的な一実施形態を示す。
【
図14A】
図14Aは、一実施形態による、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ内に配備するためのカードとして実装されるハブの例示的な一実施形態を示す。
【
図14B】
図14Bは、一実施形態による、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ内に配備するためのカードとして実装されるハブ964のブロック図の例示的な一実施形態を示す。
【
図14C】
図14Cは、一実施形態による、電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート家電製品など)内に実装されるハブの例示的な一実施形態を示す。
【
図14D】
図14Dは、一実施形態による、電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート家電製品など)内に実装されるハブ1684のブロック図の分解図の例示的な一実施形態を示す。
【
図15】
図15は、一実施形態による、センサノードのブロック図を示す。
【
図16】
図16は、一実施形態による、ハブを有するシステム又は電化製品1800のブロック図を示す。
【
図17】
図17は、一実施形態による、無線センサネットワークの構成情報を使用する、無線デバイスの位置特定のための方法を示す。
【
図18】
図18は、一実施形態による、無線センサネットワークの構成情報を使用せずに無線デバイスの位置特定を行うための方法を示す。
【
図19】
図19は、一実施形態による、あらかじめ定義された探索空間を有する、種々の部屋に分散しているノードと、中央に位置するハブとを備えた、例示的な建物1900(例えば、住宅、産業環境)を示す。
【
図20】
図20は、一実施形態による、当該建物の外壁によって囲まれた探索空間を有する、種々の部屋に分散しているノードと、中央に位置するハブとを備えた、例示的な建物2000(例えば、住宅、産業環境)を示す。
【
図21】
図21は、一実施形態による、当該建物の1つの壁によって部分的に囲まれ、かつその他の3つの壁を越えて延在している探索空間を有する、種々の部屋に分散しているノードと、中央に位置するハブとを備えた、例示的な建物2100(例えば、住宅、産業環境)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ノードと様々なRF対応デバイスとの無線周波数通信を使用して、無線センサノードの位置を特定するためのシステム及び方法を本明細書に記載している。到達時間法は、マルチパス問題の影響を緩和し、サンプリング制限を克服して高精度の測距を容易に行えるようにする技術と組み合わされる。次いで、この高精度の測距は、正確な三角測量を容易に行えるようにする技術と組み合わされて、屋内環境であっても位置特定の精度を向上させる。
【0016】
無線センサネットワークの種々の用途では、ネットワーク内のセンサノードの位置を特定することが望ましい場合がある。例えば、無線センサネットワークでは、位置を認識していることで、検知データにコンテキストを追加することができる。一実施形態では、温度検知ネットワーク内で位置を認識していると、温度変動のマッピングを行うことができる。したがって、無線ネットワーク内のノードの位置検出を可能にするシステム及び方法が望ましい。位置特定を使用して、資産追跡、位置コンテキストベースのマーケティング及び情報、屋内ナビゲーション、並びに接続性プロビジョニング及び構成の向上などの用途を促進することができる。GPSは、障害物のない屋外環境では十分な位置特定サービスを提供するが、屋内位置特定サービスは、現在でも不十分なままである。
【0017】
RF対応の位置特定サービスでは通常、既知の位置(「アンカー」と呼ばれることが多い)にある1又はそれ以上のRF対応トランシーバと、位置が未知である位置特定対象のターゲット物体とを利用する。アンカーとターゲット物体との間でRF通信が実行され、これらの通信に基づいて当該位置が特定される。全体的なプロセスについては、通常、測距及び三角測量の2つの作業において述べられる。測距作業では、アンカーと当該物体との間でRF通信を行い、アンカーと当該物体との間の距離を決定する。この作業は、1組の距離範囲を取得するために複数のアンカーに対して繰り返される。これらの距離範囲はその後、三次元空間における当該物体の位置を特定するために、三角測量作業において使用される。通常、十分なアンカーを使用して、三角測量プロセスにおける冗長性によって誤りを一部低減できるようにしている。
【0018】
なお、一代替実装形態では、距離算出ではなく到来角が使用されてもよい。この方式では、三角測量プロセスにおいて、アンカーとターゲット物体との間の個々の角度を考慮して、当該物体の推定位置を決定する。両方式において、アンカーと当該物体とがRF通信を行う必要があること、1又はそれ以上のアンカーが必要であること、及びRF通信が有するその特性によって、位置特定サービスの性能や限界費用が定まる。
【0019】
位置特定サービスの精度は通常、実際の物理的位置に対する、当該サービスによって特定される位置の数値的測定値としてもたらされる。具体的には、屋内環境における位置特定サービスは、多くの測定値で良好な精度が確認されているという事実にもかかわらず、少数の位置特定値に著しい誤りが見られ得るために、外れ値が発生しやすくなることが多い。その結果、引用される数値的精度が所与の用途に十分であるように見受けられるかもしれないが、実際にはこの外れ値によって、位置特定における有効な信頼性が実用に耐えないほど低くなる可能性がある。
【0020】
その用途に応じて、位置推定を行う時間も重要なパラメータとなり得る。例えば、リアルタイム屋内ナビゲーションサービスは、正確なナビゲーション案内を可能にするために、1秒又はそれ以下の応答性を必要とする場合がある。その一方で、資産追跡又はコンテキストベースのサービスは、より低速の位置特定サービスで提供されてもよい。
【0021】
位置特定サービスにおける距離範囲は、当該位置を特定することができる最大距離を記述している。RFベースの位置特定方式では、このことは、位置特定サービス機能を実行できる最小数のアンカー間における最大離隔距離、及びこれらのアンカーと位置特定対象のターゲット物体との間の離隔距離をも特徴付けるものである。その距離範囲が広いほど、位置特定インフラストラクチャ要件が軽減され、配備コストが低下することは言うまでもない。
【0022】
すべての位置特定サービスは最終的に、位置特定対象の物体の位置特定を容易にするために使用される、インフラストラクチャの配備を必要とする。本明細書で述べているタイプの典型的なRFベースの位置特定サービスでは、本サービスは、位置が既知であるアンカーを配備することと、これらのアンカー及び位置特定対象のターゲット物体の両方に対して必要なRF通信機能を実装することと、を含む。したがって、このすべてに対応するあらゆる位置特定サービスの実装には、関連するコストが発生する。このコストは、配備されるアンカーの密度(距離範囲に関連する)、専用インフラストラクチャの必要性、使用される技術の財産的価値などに依存する。「SYSTEMS AND METHODS FOR USING RADIO FREQUENCY SIGNALS AND SENSORS TO MONITOR ENVIRONMENTS」という名称の米国特許出願第15/789,603号は、別個のアンカーを複数設ける必要性を低減するための、移動アンカー(例えば、ロボット経由の)の使用方法を開示している。この技術を本明細書で用いてもよい。米国特許出願第15/789,603号は、参照により組み込まれる。
【0023】
屋内環境は通常、RFベースの位置特定サービスにとって実施困難な環境である。具体的には、位置特定での第1の作業として用いられる測距プロセス又は角度測定プロセスは、一般に屋内環境に出現する反射の影響を受けやすい。これらの反射により、(1又はそれ以上の)アンカー上の通信無線機と当該物体との間をRF信号が伝搬するための、複数の経路が形成されることになる。このいわゆるマルチパス問題は、距離範囲又は角度の誤判定を招く恐れがある。例えば、反射を含む経路がアンカーと当該物体との間の距離範囲として誤判定された場合、それは直接経路に対する距離範囲の過大推定を引き起こす。その結果、三角測量に誤りが生じる可能性がある。屋内位置特定サービスは、これらのマルチパス効果の影響を非常に受けやすく、外れ値をもたらし、一部の位置特定において極めて大きな誤りが発生することになる。ロバストな屋内位置特定サービスはいずれも、これらのマルチパス効果に正しく対処して、外れ値を最小限に抑えて良好な精度をもたらす必要がある。
【0024】
マルチパス効果に加えて、信号の減衰も深刻な問題となり得る。RF信号は通常、壁などによる信号の吸収が発生するために、屋内環境での減衰がより強くなる。このことは、一方では測定値に直接誤りをもたらす可能性があり、又は少なくとも、本方式の有効距離範囲を縮小する可能性があり、より多くのアンカーを使用することが必要となる。アンカーコストが高くなる場合、このことが配備コストに大きく影響する可能性がある。
【0025】
最終的に、配備にかかる全体的なコストは重大な課題となり得る。屋内環境における距離範囲及びマルチパスに関する懸念を考慮すると、十分な誤り訂正を行い、かつ減衰の増大を所与として、十分な屋内カバレッジを提供するために、通常は複数のアンカーが必要とされる。これらのアンカーが、万が一にも位置特定サービスを提供する専用の高価なハードウェアを必要とする場合、このことが、配備コスト単独の理由で当該ソリューションを実行不可能にする恐れがある。
【0026】
例示的な従来の屋内位置特定技術は、周波数又はプロトコルの選択に基づいて、いくつかの主要カテゴリに細分され得る。これらには、2.4GHz ZigBeeソリューションに基づくもの、2.4GHz Bluetoothソリューションに基づくもの、Wi-Fi(2.4GHz及び5GHzの両方)ソリューションに基づくもの、及び>5GHzの超広帯域(Ultra-wide band:UWB)ソリューションに基づくものが含まれる。周波数又はプロトコルに基づく分類に加えて、そのような技術を、それらの位置測定方法に基づいて特徴付けることもできる。位置測定は通常、例えば、
図1Aに示すような信号強度、
図1Bに示すような到来角、又は
図1Cに示すような到達時間のうちの1又は複数を使用して行われる。
【0027】
信号強度に基づく方式では、送信機と受信機との間の離隔距離が拡大するにつれて増加する、RF信号の減衰に基づいて、当該距離が推定される。受信信号強度表示(receiving signal strength indication:RSSI)を数値化することにより、減衰に関する仮定に基づいて、これを当該物体間の距離に関連付けようと試みることができる。次いで、これらの距離をいくつかのアンカーまで測定し、三角測量して位置を推定することができ、あるいは、特定のアンカーへの一般的な近接度を示すために、単一又は少数のアンカーと組み合わせて使用することができる。ところが、RSSIは当該環境内の壁、人の存在などの要因のために極めて可変的であり、したがって、RSSIベースの方式は通常、不十分な位置精度をもたらす。この点については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第14/988,617号で述べられている。例えば、
図2の2つのノード510と511との間の距離を推定するためにRSSIが使用されている場合、人がRF伝搬領域内を歩くと、その人によって吸収や反射が誘起されるために、RSSI値が劇的に低下する可能性がある。距離推定アルゴリズムにおいて、距離が信号強度に反比例して変動すると仮定した場合、当該アルゴリズムは、2つのノード間の距離が実際値よりもはるかに長いと誤って結論付けることになる。
【0028】
到来角(angle of arrival:AOA)に基づく方式では、一般にマルチアンテナシステムを使用して、入力信号の角度の方向ベクトルが推定される。そのような複数の測定値を個々のアンカーに対して使用することにより、個々のアンカーに対するベクトルの交点として位置を推定することができる。実際には、AOA方式では極めて高度なアンテナシステムを設ける必要があるために、実装するのに通常コストがかかる。
【0029】
到達時間(Time of arrival:TOA)方式では、信号が送信機から受信機へと伝搬する時間を使用して、これら送信機と受信機との間の距離を推定する。この伝搬の速度は比較的一定であるため、そのような方式はRSSIベースの方式よりもはるかにロバストであり、AOA方式のアンテナ高度化も必要としていない。そのようなTOA方式は、2.4GHz、5GHz、及びUWBの実装において、種々の成功度をもって展開されている。一方、そのような方式はマルチパス効果の影響を受けやすく、これはなぜなら、ドミナントの反射信号がより強度の低い直接経路よりもTOAが遅くなるので、当該距離として選択された場合、位置の算出に著しい誤りを招く恐れがある。さらに、時間は測定パラメータであるため、そのような方式は、時間測定システムのサンプリングクロック精度によって大きく影響され、また信号帯域幅に対する強い依存性をも示し、これは即ち、より広い帯域幅では、本方式が通常、はるかに良好なマルチパス耐性と、外れ値の低減と、全体的な精度の向上とを示すことを意味する。
【0030】
位置情報を使用して、監視カメラ、モーションセンサ、温度センサ、及び当業者には明らかであろう他のそのようなセンサなどのセンサの相対位置を推定してもよい。次いで、この情報を使用して、温度マップ、モーションパス、及びマルチビュー画像キャプチャなどの拡張情報を生成してもよい。したがって、無線ネットワーク、とりわけ屋内環境におけるノードの正確で、低電力で、なおかつコンテキストを意識した位置特定を可能にする、位置特定システム及び方法が望まれている。このために、屋内環境はまた、建物及び他の構造物の周辺の領域などの屋内に近接した環境を含むと仮定され、ここでも同様の問題(例えば、近傍に壁があることなど)が発生している可能性がある。
【0031】
家、アパート、オフィス及び商業ビル、並びに駐車場、歩道、及び公園などの近傍にある屋外の場所を含む、屋内環境で使用される無線センサネットワークについて述べている。この無線センサネットワークは、電源を有するあらゆるタイプの建物、構造物、エンクロージャ、乗り物、ボートなどで同様に使用されてもよい。本センサシステムは、長い通信距離を維持しながら、センサノードに良好な電池寿命をもたらしている。
【0032】
本発明の実施形態は、屋内環境における位置特定検出のためのシステム、装置、及び方法を提供する。参照により本明細書に組み込まれる、2015年8月19日に出願された米国特許出願第14/830,668号は、RFベースの位置特定を行う技術を開示している。具体的には、本システム、装置、及び方法は、位置特定を行う必要が生じた場合に、経路長を推定するのために周期的メッシュベース機構と通信するツリーネットワーク構造を主として使用する位置特定を、無線センサネットワーク内で実行する。本無線センサネットワークでは、高周波数を位置特定に使用し、低周波数を通信に使用することにより、良質の屋内通信を提供しながら、同時に位置特定の精度を向上させている。
【0033】
ツリー状の無線センサネットワークは、無線信号受信機能に関連する電力要件が低減されているため、多くの用途にとって魅力的である。例示的なツリー状のネットワークアーキテクチャについては、2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,045号、2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,047号、2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,048号、及び2015年1月29日に出願された米国特許出願第14/607,050号に記載されており、これらは参照により、全体が本明細書に組み込まれる。
【0034】
よく使用される別のタイプの無線ネットワークは、メッシュネットワークである。このネットワークでは、1又はそれ以上の近隣ノードで通信が発生し、次いでマルチホップアーキテクチャを用いて、ネットワークに沿って情報を渡すことができる。このアーキテクチャでは情報がより短い距離で送信されるため、これを用いて送信電力要件を低減することができる。一方、マルチホップ通信方式を有効にするためには、受信無線機を頻繁にオンにする必要があるため、受信無線機の電力要件が増大する可能性がある。
【0035】
無線ネットワーク内のノード間の信号の飛行時間を使用することに基づいて、信号伝搬速度が比較的一定であるという事実を利用することにより、無線ネットワーク内の個々のノードペア間の距離を推定することができる。本ネットワークアーキテクチャの実施形態により、複数の経路長のペアを測定し、三角測量を実行し、次いで三次元空間内の個々のノードの相対位置を推定することができる。
【0036】
図3は、一実施形態による、例示的な無線ノードのシステムを示す。この例示的なシステム100は、無線ノード110~116を含む。これらのノードは、通信120~130(例えば、ノード識別情報、センサデータ、ノード状態情報、同期情報、位置特定情報、無線センサネットワークのための他のそのような情報、飛行時間(time of flight:TOF)情報など)と双方向に通信している。飛行時間測定値を使用することに基づいて、個々のノードペア間の経路長が推定され得る。例えば、ノード110と111との間の個々の飛行時間測定は、ノード110からノード111に対して既知の時間に信号を送信することによって達成され得る。ノード111は当該信号を受信し、通信120の信号受信のタイムスタンプを記録し、次いで、例えば、返送信号の送信のタイムスタンプと共に、この返送信号をAに送り返すことができる。ノード110は当該信号を受信して、受信のタイムスタンプを記録する。これらの2つの送信及び受信のタイムスタンプに基づいて、ノード110と111との間の平均飛行時間が推定され得る。このプロセスを複数回にわたって複数の周波数で繰り返すことで、精度を高め、なおかつ特定の周波数でチャネル品質が低下することによる劣化を解消又は低減することができる。一連の経路長は、様々なノードペアに対してこのプロセスを繰り返すことによって推定され得る。例えば
図3では、経路長はTOF 150~160である。次に、幾何モデルを用いることにより、三角測量のようなプロセスに基づいて、個々のノードの相対位置が推定され得る。
【0037】
一実施形態では、別個のアンカーノードを複数設ける必要性を低減するために、移動アンカーノード(例えば、ロボット経由の)が使用される。例えば、ノード111及び112は、ノード112に第1の位置を有し、ノード111に第2の位置を有する移動アンカーノード190と置き換えられ得る。
【0038】
この三角測量プロセスは、任意のノードとハブとの間の経路長のみを測定できるため、ツリー状ネットワークでは実行できない。そのため、これによってツリーネットワークの位置特定機能が制限される。位置特定を可能にしながらツリーネットワークのエネルギー利益を確保するために、本発明の一実施形態では、通信のためのツリーネットワークは、位置特定のためのメッシュ状ネットワーク機能と組み合わされる。メッシュ状ネットワーク機能を用いて位置特定が完了すると、当該ネットワークはツリー状の通信に戻り、ノードとハブとの間の飛行時間のみが周期的に測定される。これらの飛行時間が比較的一定に保たれていれば、当該ネットワークはノードが移動していないと仮定して、メッシュベースの位置特定を再実行しようとする際のエネルギーを浪費することはない。一方、ツリーネットワークにおける経路長の変化が検出されると、当該ネットワークはメッシュベースのシステムに切り替わり、当該ネットワーク内の各ノードの位置を特定するために再度三角測量を行う。
【0039】
図4は、一実施形態による、通信を行う複数のハブを有する非対称ツリー及びメッシュネットワーク・アーキテクチャを備えたシステムを示す。システム700は、無線制御デバイス711を有する中央ハブ710と、無線制御デバイス721を有するハブ720と、無線制御デバイス783を有するハブ782と、無線制御デバイスnを有するハブnを含む追加のハブと、を含む。図示していない追加のハブは、中央ハブ710、他のハブと通信することができるか、又は追加の中央ハブとすることができる。各ハブは、他のハブ及び1又はそれ以上のセンサノードと双方向に通信する。ハブはまた、デバイス780(例えば、クライアントデバイス、モバイルデバイス、タブレットデバイス、コンピューティングデバイス、スマート家電、スマートテレビなど)を含む他のデバイスと双方向に通信するように設計されている。
【0040】
センサノード730、740、750、760、770、788、792、n、及びn+1(又は終端ノード)は各々、無線デバイス731、741、751、761、771、789、793、758、及び753をそれぞれ含む。センサノードは、上位レベルのハブ又はノードとの上り通信のみがあり、別のハブ又はノードとの下り通信がない場合、終端ノードである。各無線デバイスは、ハブ又は他のセンサノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機(又はトランシーバ)を備えたRF回路を含む。
【0041】
一実施形態では、中央ハブ710は、ハブ720、782、ハブn、デバイス780、並びにノード760及び770と通信する。これらの通信は、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内の通信722、724、774、772、764、762、781、784、786、714、及び712を含む。無線制御デバイス711を有する中央ハブは、ノードのグループ及び各グループに対して保証された時間信号を割り当てることを含む、無線非対称ネットワークアーキテクチャを制御し、かつ監視するために、他のハブに通信を送信して他のハブから通信を受信するように構成されている。
【0042】
ハブ720は、中央ハブ710並びにセンサノード730、740、及び750とも通信する。これらのセンサノードとの通信は、通信732、734、742、744、752、及び754を含む。例えば、ハブ720の観点からは、通信732を自身が受信しており、通信734をセンサノードに対して送信している。センサノード730の観点からは、通信732をハブ720に対して送信しており、通信734をこのハブ720から受信している。
【0043】
一実施形態では、中央ハブ(又は他のハブ)は、ノード760及び770をグループ716に、ノード730、740、及び750をグループ715に、ノード788及び792をグループ717に、そしてノードn及びn+1をグループnに割り当てる。別の実施形態では、グループ716及び715は1つのグループにまとめられる。
【0044】
図3~
図4に示すアーキテクチャを使用することにより、長い電池寿命を必要とするノードは、通信に費やされるエネルギーを最小限に抑え、ツリー階層内の上位レベルのノードは、利用可能なエネルギー源を使用して実装されるか、あるいは、より高い容量を提供するか、又はより電池寿命の短い電池を使用してもよい。電池で動作する終端ノードでの電池寿命の長期化を促進するために、それらのノードとそれらの上位レベルの相当物(以下、最下位レベルハブと呼ぶ)との間の通信が、最下位レベルハブと終端ノードとの間で最小限の送受信トラフィックが発生するように確立されてもよい。
【0045】
一実施形態では、これらのノードは、ほとんどの時間(例えば、当該時間の90%超、当該時間の95%超、当該時間のおよそ98%又は99%超)を低エネルギーの非通信状態で費やす。ノードがウェイクアップして通信状態に入ると、それらのノードは、最下位レベルハブにデータを送信する働きをするようになる。このデータは、ノード識別情報、センサデータ、ノード状態情報、同期情報、位置特定情報、及び無線センサネットワークのための他のそのような情報を含んでいてもよい。
【0046】
RFに基づいて2つの物体間の距離を特定するために、測距測定が実行される(即ち、RF通信を使用して、物体のペア間の距離が推定される)。これを実現するために、1つのデバイスから別のデバイスにRF信号が送信される。
図5は、一実施形態による、飛行時間測定システムを示す。
図5に示すように、送信デバイス310がRF信号312を送信し、受信デバイス320がこのRF信号312を受信する。ここで、例示的な無線ネットワークでは、デバイス310はハブ又はノードであってもよく、また、デバイス320も同様にハブ又はノードであってもよい。
【0047】
図6は、一実施形態による、飛行時間測定システムのブロック図を示す。受信デバイス(例えば、デバイス320)は、送信デバイス(例えば、デバイス310)からの送信を受信し、RF信号412を処理して、粗分解能推定器440を使用して少なくとも1つの粗推定442を生成すると共に、精分解能推定器450を使用して、無線での2つのデバイス間における伝搬遅延の少なくとも1つの精推定452を生成する。これらの推定器はソフトウェア又はハードウェアに実装されてもよい。次いで、システム400は、コンバイナ460を使用して粗時間推定442と精時間推定452とを組み合わせて、正確な飛行時間測定値470を生成する。この場合も、この組み合わせはソフトウェア又はハードウェアで実行されてもよい。次いで、
図6に示すように、この飛行時間測定値470に伝搬速度を乗算して、距離が算出され得る。一実施形態では、この測定値は、受信デバイスと送信デバイスとが同期している場合にのみ機能する。
【0048】
到達時間システムでは、信号が送信機から受信機へと伝搬するのにかかる時間を測定する必要がある。次いで、この測定された時間は、伝搬速度を乗算することによって距離推定値へと変換され得る。送信機から受信機までの信号の伝送時間を推定するために、「スタータピストル」クロック及び「フィニッシュ線」クロックは通常、実際の伝送時間を推定できるように同期される必要がある。同期に誤りがあると、時間及び距離の推定に誤りが生じることになる。現実的な屋内位置特定システムでは、位置推定は慎重に時間制限されたネットワークのキャプティブメンバーでのみ機能するため、この点は実行不可能である。
【0049】
本発明の一実施形態では、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,763,054号及び米国特許出願第15/173,531号に開示されているように、ラウンドトリップ信号が適切なタイムスタンプと共に使用されている。具体的には、信号612は、デバイス610(送信機)によって
図7の「開始時刻」T1でタイムスタンプされ、
図7の時刻T2でデバイス620(例えば、受信機)によって受信され、次いで送受反転して、
図7の「ターンアラウンド時間」T3で信号622としてデバイス610(元の送信機)に返送され得る。ここで元の送信機は、返送信号622を受信し、これに
図7の「終了時刻」T4をスタンプする。これらの信号612及び622が往復したため、距離推定に使用できる一方向における実際の伝送時間は、したがって合計時間(即ち、終了時刻~開始時刻)の半分からターンアラウンド時間を差し引いた時間にすぎない。一実施形態では、一方向における実際の伝送時間は、0.5*(T4-T3+T2-T1)に等しい。
【0050】
精度を高めるために、スタンプされた時刻と実際の送受信時刻との間でオフセットをもたらす送信機及び受信機の信号経路の内部遅延が測定、推定、又は算出され得、また測定された飛行時間の補正係数としても使用され得る。一実施形態では、この内部遅延は、1又はそれ以上のRF対応デバイスで実行されるループバック測定を用いて測定され得る。別の実施形態では、この内部遅延は、例えば製造中又は試験中に、RF対応デバイスのペア間のキャリブレーション測定値を使用して測定され得る。次いで、当該測定値が集計されて、訂正を行うために記憶されてもよい。補正係数は、RF対応デバイスにローカルに記憶されてもよいし、又は何らかの外部デバイスに記憶されてもよい。
【0051】
時間及び距離の特定の精度は、サンプリングクロックの時間分解能によって制限されている。したがって、サンプリングクロック周波数を高くすることにより、距離の推定精度を高めることができる。ただし、そのような変更によってハードウェアの変更が必要となり、この変更により、全体的な実装コストが増大し得、さらに、消費電力なども増加し得る。したがって、純粋に時間ドメインにおけるクロックサンプリングによって得られるものよりも、精密な時間分解能を得ることが望ましい。これを実現する様々な方法が、米国特許出願第15/173,531号に記載されている。
【0052】
一実施形態では、周波数ドメイン技術を用いることにより、受信信号のモデルを構築し、このモデルを使用して、サンプリングクロックによって得られるものよりも精密な分解能で遅延を抽出することができる。この遅延の抽出は、適切なチャネル状態情報(CSI)が利用可能となることを条件として実行することができ、これは、例えばWi-Fi、LTE、又は5Gにおいて可能であるが、それはなぜなら、このCSIは、OFDM又はSC-FDMAの実装全体の一部として定期的に収集されるからである。
【0053】
屋内位置特定サービスを実行する上での最大の課題の1つは、マルチパスの処理に関連している。典型的な屋内環境では、直接見通し線経路は、送信機から受信機へと情報が送信される唯一の経路ではない。例えば、
図8Aでは、屋内環境890の壁882、884、天井880、及び家具830、832からの多数の反射が、アクセスポイントから様々なWi-Fi対応デバイスへと送信される信号に影響を与え得る点に留意されたい。
【0054】
受信機は、場合によっては受信表示の開始として、遅延経路(1又はそれ以上の反射に関連付けられた)を使用することになる。これは、例えば、遅延経路の振幅が見通し線経路よりも著しく強い場合に起こり得る。その結果、到達時間が遅くなり、誤った距離推定が行われることになる。同様に、直接信号の反射信号への加算は、正味信号の振幅が受信検出閾値を超えるシフト(即ち、遅延)を発生させる可能性があり、ここでも誤ったTOAをもたらす結果となる。
図8Bは、一実施形態による直接信号の反射信号への加算を示す。信号
図800は、縦軸に振幅810、横軸に時間820をプロットしている。直接パルス信号802と反射パルス信号804とが組み合わされて、加算信号806が形成され、この加算信号806は、時間窓850の分解
図852に見られるように、閾値860において有効位相シフト855(即ち、遅延)を有する。
【0055】
この課題に対処する技術についても、米国特許出願第15/173,531号で述べられている。一実施形態では、CSIデータを使用して、それぞれ関連付けられた振幅及び遅延を有する経路が複数存在できるようにする、伝送チャネルのモデルが構築されている。当該モデルに対するCSIデータのフィッティングを実行することにより、最短の有効経路が特定され、その結果として、マルチパスが誘発する誤りや外れ値が劇的に抑制される。
【0056】
典型的な屋内環境では、いずれの見通し線経路も存在しない状況になることが多く、その場合は、上記のようにCSIデータを使用したとしても、誤った距離推定結果が得られることになる。その結果、著しい外れ値が生じる可能性がある。この状況は、複数の余剰なアンカーが使用される三角測量を用いることによって解決され得る。この場合、距離測定値の一部が誤っていても、三角測量中に適用される最小二乗法などの技術によって、この誤りが最小化又は除外され得る。アンカーを選択かつ除外するための技術及び方法は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/684,891号に開示されている。
【0057】
一実施形態では、正確なTOAを得る鍵は、正確なタイミング測定である。一実施形態では、このタイミング測定は、現実的なマルチパス環境における精度を実現するためのいくつかの改良を伴って、CSIベースの周波数ドメイン技術を用いて実行される。
【0058】
図9A~
図9Bは、一実施形態による、無線センサネットワーク内のTOAの正確なタイミング測定を用いた、無線デバイスの位置特定のための方法を示す。本方法の動作は、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、システム、又は、処理回路あるいは処理ロジックを含む遠隔デバイス、コンピュータ、若しくはクラウドサービスによって実行されてもよい。この処理ロジックは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン若しくはデバイス上で実行されるものなど)、又はその両方の組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態では、アンカーノード、ハブ、無線デバイス、又は遠隔デバイス、コンピュータ、あるいはクラウドサービスが、本方法の動作を実行する。種々の計算に関連付けられたアルゴリズムは、タイミング及び距離測定値に関連付けられた関連データが送信される遠隔コンピュータで実行されてもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、複数の無線ノードを有する無線ネットワークアーキテクチャとは異なる位置(例えば、クラウド内の異なるネットワーク)にあってもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、無線ネットワークアーキテクチャ内で送信され、かつ同アーキテクチチャ内で通信を受信する特定のノードとは、同アーキテクチャ内の異なる位置にあってもよい。
【0059】
無線ネットワークアーキテクチャの初期化時に、動作901で、処理ロジックが、遅延を有する少なくとも1つのコンポーネント(例えば、RF回路の自動ゲイン制御(automatic gain control:AGC)ステージ、RF回路のフィルタステージなど)をキャリブレーションする。この少なくとも1つのコンポーネントのキャリブレーションは、少なくとも1つのコンポーネント(例えば、ゲインの関数としてのAGCステージ、フィルタステージ)の遅延を測定することと、測定された遅延とこのキャリブレーションによって特定される少なくとも1つのコンポーネントのベースライン遅延との間に偏差が存在するかどうかを判定することと、偏差が存在する場合、決定された飛行時間推定値のタイミングを補正することと、を含んでいてもよい。このキャリブレーションは通常、無線ネットワークアーキテクチャの初期化中に行われる。あるいは、このキャリブレーションは、方法900を実行した後に行われてもよい。さらに別の代替実施形態では、このキャリブレーションは、製造中又は試験中に、事前に実行されていてもよい。
【0060】
動作902で、無線周波数(radio frequency:RF)回路及び少なくとも1つのアンテナを有するハブ(又はアンカーノード、無線デバイス、遠隔デバイス若しくはコンピュータ)は、無線ネットワークアーキテクチャ(例えば、無線非対称ネットワークアーキテクチャ)内の複数のセンサノードに通信を送信する。動作903で、ハブ(又はアンカーノード、無線デバイス、遠隔デバイス又はコンピュータ)のRF回路及び少なくとも1つのアンテナは、無線ネットワークアーキテクチャ内の、当該ハブのRF回路との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数のセンサノードからの通信を受信する。動作905で、無線制御デバイスを有するハブ(又はアンカーノード、無線デバイス、遠隔デバイス若しくはコンピュータ)の処理ロジックは、まずセンサノードの無線ネットワークを、少なくとも1つの無線デバイス(無線ノード)の位置特定を行う期間(例えば、所定の期間、位置特定を行うのに十分な期間など)にわたってメッシュベースのネットワークアーキテクチャとして構成させる。
【0061】
動作906で、無線デバイスは、無線デバイス間で送受信されるRF信号(例えば、信号612及び622)から、CSIデータを取得する。信号の送信時刻及び到達時刻は、通常記録される。第1の無線デバイスから第2の無線デバイスへと第1のRF信号で送信される第1のパケット、及び第2の無線デバイスから第1の無線デバイスへと第2のRF信号で送信される第2のパケットの飛行時間の粗推定値を補正するために、自動ゲイン制御(AGC)遅延が除去される。この動作は、順方向及び逆方向の両方に対して行われる。フィルタ遅延も同様に、RCキャリブレーションに基づいて除去される。
【0062】
一実施形態では、第1の無線デバイスは、第1のRF信号を第2の無線デバイスに送信し、この第2の無線デバイスは、第1のRF信号のチャネル周波数応答測定値を有する、第1のチャネル状態情報を測定する。第1の無線デバイスは、第2の無線デバイスから第1の無線デバイスへと送信される第2のRF信号のチャネル周波数応答測定値を有する、第2のチャネル状態情報を測定する。
【0063】
動作908で、周波数スペクトルのエッジ、即ちRF信号の最上位のサブキャリア及び最下位のサブキャリアが除去又は削除されてもよい。RF信号におけるこれら最上位のサブキャリア及び最下位のサブキャリアは通常、データを全く搬送しないか、又は本方法に誤りをもたらす、フィルタのロールオフによる著しい信号劣化を示す。干渉などのために、急峻なフィルタのロールオフがもたらされるのは、実際の通信では一般的なことであり、データ又は確実なCSI測定値を有しないサブキャリアが発生することになる。
【0064】
動作910で、CSI測定値を有しないRF信号の直流成分(DC)及び近傍のサブキャリアに対して補間が実行される。OFDM及びOFDMAの物理レイヤでは、DCサブキャリアは、送信無線デバイスのRF中心周波数に等しい周波数を有する。非連続チャネルを扱う方法及び技術は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/684,895号に開示されている。
【0065】
動作911で、無線デバイス(例えば、アンカーノード、ハブ、無線ノード、又は遠隔デバイス若しくはコンピュータ)は、順方向のCSI(例えば、第1のCSI)を逆方向のCSI(例えば、第2のCSI)で除算することにより、無線デバイス(例えば、第1及び第2の無線デバイス、第1及び第2のノード)間の位相オフセット又は位相ドリフトに起因した遅延を測定する。一実施形態では、順方向のCSIを逆方向のCSIで除算した一次フィットは、第1の無線デバイスの第1の基準クロック信号と第2の無線デバイスの第2の基準クロック信号との間に位相差をもたらす。この位相差は、クロック誘起遅延の2倍となり得る。
【0066】
動作912で、無線デバイスは、サンプルレベルのRTT遅延を測定する。一実施形態では、このRTT遅延はT4-T1-(T3-T2)として算出され、ここで、T1は第1の無線デバイスからの第1のRF信号の順方向パケットの送信時刻であり、T2は第2の無線デバイスへの到達時刻である。T3は、第2の無線デバイスからの第2のRF信号の確認応答パケットの送信時刻であり、T4は、第1の無線デバイスへの到達時刻である。これは、ラウンドトリップ通信における「粗」タイミングであると考えることができる。
【0067】
動作914で、例えばAGC遅延及び低雑音増幅器(Low-noise amplifier:LNA)遅延を含む事前に測定された内部遅延が取得又はルックアップされ、位相ドリフト、AGCゲイン、及びRTTに対する補正値が合計される。動作916で、これらの補正値は、線形位相シフトとしてCSIデータに適用される。
【0068】
上記の動作は、多数のパケットに対して実行されてもよい。この場合、動作918で、すべてのパケットにおける補正されたCSIの平均値が算出されてもよい。
【0069】
また、動作901でのハードウェアキャリブレーション中に、ハードウェア遅延及びフィルタ応答が、様々な方法を用いて事前に収集されていてもよい。この場合、動作920で、補正されたCSIは、ハードウェア遅延及びフィルタ応答を除去するために、キャリブレーションCSIによって除算されてもよい。
【0070】
一実施形態では、このキャリブレーションCSIは、ノードのペアを使用し、これらのノードペアを互いに接続するケーブルを使用して、短距離の送信測定及び受信測定をポイントツーポイントで行うことに基づいて測定される。このようにして、このキャリブレーションでは、ケーブルを使用して各ノードのハードウェアコンポーネントの内部遅延を測定する。
【0071】
別の実施形態では、屋内環境における無線センサネットワークの初期化時に、又は製造環境における個々のノードに対して、ループバック試験が実行される。各ノードは、ノードの内部遅延並びにフィルタ応答の周波数及び振幅の問題を補正するために、同じノードの送信経路から受信経路へとループバックする能力を有する。このようにして、このキャリブレーションでは、個々のノードのRF信号を送受信することによってループバックを実行する。このループバックについては、
図12の説明と併せてより詳述している。
【0072】
動作922で、その後アルゴリズム(例えば、行列束、MUSIC、最適化技法)を使用して、平均化されたCSIを生成するために結合する経路の遅延及び複素振幅が抽出される。
【0073】
動作924で、経路の振幅、距離、RSSI、及び他の関連データをフィルタ条件として使用して、非物理的経路を除外してもよい。残りの最短経路は、見通し線経路であると仮定される。なお、全体的な精度を高めるために、他の経路に関する情報も三角測量アルゴリズムと共有されてもよい。
【0074】
動作926で、位置特定対象のターゲット物体と、位置が既知である様々なアンカーノードとの間の1組の距離範囲が決定される。動作928で、三角測量アルゴリズムによるターゲット物体の位置の算出が行われる。アンカーノードのサブセットは、位置が既知であるアンカーノードと位置が未知である無線センサノードとの間のそれぞれの距離推定値に関連付けられた誤り基準が誤り閾値以下である場合、三角測量を用いて、位置特定のためのアンカーノードのサブセットが選択され得る。この誤り基準が誤り閾値以上である場合、位置特定のための少なくとも1つのアンカーノードが除外される。
【0075】
一実施形態では、動作926で、それぞれの位置があらかじめ指定された「A」個の選択されたアンカーに対して測距アルゴリズムが実行されて、複数の「A」個の測距結果「r」が生成される。
【0076】
一実施形態では、動作928で、ターゲット物体の複数の推定位置(X、y)にわたって三角測量アルゴリズムが反復され、複数のターゲット物体の推定位置に対応する各アンカーノードと無線ノードとの間における1組の推定距離範囲が評価され、かつ三角測量の反復を低減し、全体的な誤りを最小限に抑えるために、低尤度の経路が除外される。別の実施形態では、線形化最小二乗法又は他の同様の方法で、反復なしで当該位置の解が直接得られ得る。この線形化最小二乗法又は他の同様の方法では通常、線形化に起因して精度は低くなるが、反復と比較してより高速に行われる。動作930で、反復が低減され、かつ誤りが最小となったターゲット物体の最終位置がそこで特定される。動作932で、ハブ(又はアンカーノード、無線デバイス、遠隔デバイス若しくはコンピュータ)の処理ロジックは、位置特定が完了すると、ツリーベース又はツリー状のネットワークアーキテクチャ(若しくはメッシュベース機構のないツリーアーキテクチャ)で無線ネットワークを構成する。
【0077】
一実施形態では、ハブ及びセンサノードは、メッシュアーキテクチャとツリーアーキテクチャとの間で切り替えることができる、同様のRFコンポーネントを有する。
【0078】
別の実施形態では、ハブ及びセンサノードはそれぞれ、メッシュアーキテクチャとツリーアーキテクチャとを同時に動作させることができる複数の無線機を有する。この場合、ツリーネットワークは常時又は通常利用可能であり、メッシュネットワークは有効又は無効にされ得る。
【0079】
典型的な三角測量ベースの位置特定方式では、利用可能な基準ノードからの距離推定における平均二乗誤りを最小限に抑えることに基づいて、ターゲット位置が推定される。ただし、この最小化問題では測定誤りの確率分布が考慮されておらず、このために三角測量の精度が制限される可能性がある。異なる信号機構における測定誤りは、異なる確率分布を有する可能性がある。加えて、測定誤りの分散は、上述したように複素信号の伝搬環境において大きくなり得る。その結果、誤り確率モデルを考慮しないと、距離測定における平均二乗誤りを最小限に抑えても、最適なターゲット位置の推定結果が得られなくなる場合がある。したがって、一実施形態では、
図10に示すように、最尤推定(MLE)の方法を用いて三角測量の精度を高めている。他の推定法則が同様に使用されてもよい。本方法の動作は、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、システム、又は処理回路あるいは処理ロジックを含む遠隔デバイス若しくはコンピュータによって実行されてもよい。この処理ロジックは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン若しくはデバイス上で実行されるものなど)、又はその両方の組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態では、アンカーノード、ハブ、無線デバイス、又は遠隔デバイス若しくはコンピュータが、本方法の動作を実行する。種々の計算に関連付けられたアルゴリズムは、タイミング及び距離測定値に関連付けられた関連データが送信される遠隔コンピュータで実行されてもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、複数の無線ノードを有する無線ネットワークアーキテクチャとは異なる位置(例えば、クラウド内の異なるネットワーク)にあってもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、無線ネットワークアーキテクチャ内で送信され、かつ同アーキテクチチャ内で通信を受信する特定のノードとは、同アーキテクチャ内の異なる位置にあってもよい。
【0080】
本方法では、それぞれの位置が既知である複数の無線アンカーノードを用いて、無線ノードに通信を送信する。これらのアンカーノードは、無線ノードから通信を受信する。動作1004で、本方法は、各アンカーノードと、位置が未知である無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を決定する。動作1006で、本方法は、アンカーノードごとに複数の距離範囲値が発生する場合、重み付けされた範囲の分布を加算する。
【0081】
一実施形態では、統計モデル内の未知のパラメータは、以下の動作に従って、独立した同一に分布する1組の観測データを有する同時確率を最大化することによって推定される。
【0082】
riがアンカーIからの距離測定値であり、シータが位置仮説である場合、位置仮説シータを与えられた場合の、アンカーiからの距離測定値riを見る条件付き確率は、確率分布p(ri|シータ)によって得られる。各アンカーからの範囲分布を所与として、距離範囲及び位置仮説の尤度は、動作1008で、個々の距離測定値からのこれらすべての積として算出されてもよい。
【数1】
【0083】
この尤度を最大化することにより、三角測量が最適化される。一実施形態では、上記の形式の積は、動作1010で対数を使用することにより、和に変換されてもよい。動作1012で、本方法は、最も高い確率を有する仮説(例えば、位置が未知である無線ノードの位置仮説)を選択することにより、最尤推定(MLE)を使用する三角測量アルゴリズムを実施する。
【0084】
動作1010における対数の一実施形態は、以下に続く。
【数2】
【0085】
一実施形態では、この方程式を無効化して、当該問題を最大化問題ではなく最小化問題として定義してもよい。
【数3】
【0086】
この式は、p(r
i|シータ)のパラメータ化された形式を考慮すると、数値的に安定しており、算出可能であるという利点を有する。単一の距離範囲値が測距アルゴリズムから各アンカーに渡され、なおかつ測距誤りが正規分布している場合、最尤推定は以下のように測定されてもよい。
【数4】
【0087】
ここで、r及びシータは先に定義された通りであり、またσ
iは測距測定で決定された、対象のノードからアンカーiまでの距離測定値の不確定性であり、またd(a
i、シータ)はアンカーi、a
iから現在の位置仮説までの距離である。すべてのアンカーからの不確定性が同じである場合、MLE法では以下の方程式が与えられる。
【数5】
【0088】
この式は、典型的な最小二乗三角測量法の方程式と同じである。一方、現実的な環境ではよくある事例となるが、一部のアンカーが他のアンカーよりも信頼できる場合、MLE法では以下の方程式が与えられる。
【数6】
【0089】
この式は、三角測量推定全体に対する不確定性の高い(即ち、σの値が高い)測定値の重要性を低減するという利点を有する。非常に不確定性の高い測距測定値は、三角測量によって最終位置を特定する際に、より多く重み付けされる特定の測定値よりも少なく効果的に重み付けされるため、標準の最小二乗式に対してこの式は有用である。上述したように、測距アルゴリズムでは、アンカーごとに複数の距離範囲を設けることができる。一実施形態では、これは、2つの成分を有する多変量ガウス(multivariate Gaussian:GM)分布としてモデル化されてもよい。
【数7】
【0090】
ここで、p
ijはその距離範囲の仮説の確率、即ちアンカーi及び経路jからの各距離範囲推定値が他方に対して信頼されている度合いである。本実施形態では、d(a
i、シータ)は、アンカーiから現在の位置仮説シータまでの直線距離とすることができるが、それらのうちの1つを、地面、床、壁、天井などの既知の反射体を通る距離とすることもできる。なお、本実施形態では2つの値を設けているので、その和は依然として1になる。一実施形態では、r
ijは関連する距離範囲であり、1つのアンカーにつき2つの距離範囲が存在する場合、これはr
i0及びr
i1という形式をとり、シグマについても同様である。この場合、MLE法では以下の方程式が与えられる。
【数8】
【0091】
これらの例示的な実施形態では、2つの測距経路と、正規分布の測距誤りとを使用した。実際には、あらゆる数の経路があり得、また、誤りの分布はあらゆる形式であり得る。最も正確な位置推定を行うために、経路確率及び測距誤りの分布における実際の統計値が使用され得る。その場合、アンカーiのN
i個の距離範囲の経路を備えたK個のアンカーの位置で最も可能性が高いのは、
【数9】
【0092】
となり、ここで、k、n及びσは、経路及び誤り統計値を記述するパラメータである。実際の実装では、数値的により効率的であるが、その他の点では同一の形式の
【数10】
【0093】
をここでも使用する。
【0094】
これらの問題のいずれに対する解決策も、動作1012で反復法を用いて決定されてもよく、この点は、当業者にとっては明らかであろう。これは、探索空間全体に及ぶ反復を含む総当たり手法であってもよく、又はカルマンフィルタリング、最適化手法、若しくは当業者に知られている、反復の効率を高める同様の手法などの技術を用いることを含んでいてもよい。
【0095】
反復が実行され得る値の範囲は、様々な方法で決定されてもよい。
図19に示すような第1の実施形態では、事前定義された探索空間にわたる推定値の全探索が実行されてもよい。
図19は、一実施形態による、種々の部屋に分散しているノードと、中央に位置するハブとを備えた、例示的な建物1900(例えば、住宅、産業環境)を示す。一実施形態では、ノードの位置は、所定のユーザ入力又はノード自体による自動位置特定によって既知である。位置特定のシステム及び方法については、参照により組み込まれる米国特許出願第14/830,668号に開示されている。本実施形態では、ノード1921~1928は、部屋1921~1923(例えば、寝室、仕事部屋、倉庫など)、領域1913、共用領域1914、及び部屋1915(例えば、リビングルーム、オープンスペース)を含む種々の部屋の中で、ハブ1920と、かつ互いと通信し得る。
【0096】
探索空間の境界は、例えば、本システムの最大送信範囲又はそのいくらかの倍数若しくは分数によって設定されてもよい。例えば、Wi-Fiシステムでは多くの場合、屋内最大距離が数十メートルとなる。次いで、これを使用して、ネットワーク内の距離範囲、ノードの数などに応じて、数十~数百メートルの最大の探索空間境界1950を定義してもよい。
【0097】
図20に示す別の実施形態では、探索空間2050の境界は、本位置特定システムが配備される環境の物理的寸法によって定義されてもよい。例えば、当該物件の壁の外側にあるあらゆる値は、測定不能な結果であると仮定することができ、したがって、これらは探索空間から除外されてもよい。本実施形態では、ノード2021~2028は、部屋2021~2023(例えば、寝室、仕事部屋、倉庫など)、領域2013、共用領域2014、及び部屋2015(例えば、リビングルーム、オープンスペース)を含む種々の部屋の中で、ハブ2020と、かつ互いと通信し得る。
【0098】
図21に示す別の実施形態では、探索空間の境界は、位置特定動作中に無線ノードが通信する特定の組のアンカーノードの位置によって定義されてもよい。探索空間2150は、使用されるアンカーノードの送信範囲によって拡大され得るか、又はアンカーの送信範囲と当該空間における既知の物理的境界との組み合わせを使用して設定され得る。この建物は、壁2101~2104を含む。一実施形態では、ユーザは、2121、2123、2120、2124、及び2127の範囲にのみ及ぶことができるノード2122を特定しようと試みる。この場合、探索空間2150は、例示的な間取り図の右側の2124及び2127付近を越えて延在していてもよい(ただし、ノード2128及び2126にまでは至らない)。本システムに多数のアンカーノードが含まれていても、あるノードがすべてのアンカーノードの範囲内にない場合、探索空間はアンカーノードのサブセットと、位置が未知であるノードが範囲指定を行うことができるこれらのアンカー付近の領域とに限定され得る。
【0099】
本実施形態では、ノード2121~2128は、部屋2121~2123(例えば、寝室、仕事部屋、倉庫など)、領域2113、共用領域2114、及び部屋2115(例えば、リビングルーム、オープンスペース)を含む種々の部屋の中で、ハブ2120と、かつ互いと通信し得る。
【0100】
上記の実施形態から明らかなように、距離推定を成立させるにはタイミング測定が重要となる。タイミング誤りは、距離推定の精度を低下させる恐れがある。このタイミング誤りは、無線システム内で発生することが多い。例えば、自動ゲイン制御(AGC)は、種々の信号強度の信号に対してロバストな受信機動作が確実に行えるように、一般的に使用されている。動作中、AGCステージは、当該ゲインに基づいて変動する遅延を有し得る。そのため、これらの遅延変動は、TOF推定の不確定性を増大させる可能性がある。一実施形態では、この誤りは、キャリブレーションによって最小化され得る。AGCステージのゲインの関数としての遅延は事前測定され、ベースライン遅延からそのような偏差を減算することにより、実際のTOF測定中のタイミングを補正するために使用されてもよい。
図11は、一実施形態による、自動ゲイン制御を有するRF回路を示す。RF回路1100(例えば、1550、1670、1692、1770、1870など)は、本開示の実施形態に記載しているように、任意の無線ノード(例えば、ハブ、センサノード)に含まれ得る。このRF回路1100は、RF信号を受信し、RF信号を所望の中間周波数にダウンコンバートするために、同相/直交の(in-phase quadrature:I/Q)ダウンコンバージョンユニット1120へと送信される増幅信号を生成する、低雑音増幅器1110を含む。可変ゲイン増幅器1130が中間周波数信号を増幅し、次いで、アナログ-デジタル変換器(ADC)が、この増幅された信号をベースバンド信号へと変換する。AGC 1150は、その入力1142において振幅が変動するにもかかわらず、その出力1152において制御された信号振幅をもたらす閉ループフィードバック調整回路である。上述したように、AGCステージのゲイン(例えば、AGC1150)の関数としての遅延は事前測定され、ベースライン遅延からそのような偏差を減算することにより、実際のTOF測定中のタイミングを補正するために使用されてもよい。同様に、フィルタ遅延などがキャリブレーションされた他のシステム構成も事前測定され、同じく減算されてもよい。
【0101】
図12は、一実施形態による、ループバックキャリブレーションを用いてハードウェア遅延及び非理想特性を除去する方法を示す。本方法の動作は、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、システム、又は処理回路あるいは処理ロジックを含む遠隔デバイス若しくはコンピュータによって実行されてもよい。この処理ロジックは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン若しくはデバイス上で実行されるものなど)、又はその両方の組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態では、アンカーノード、ハブ、無線デバイス、又は遠隔デバイス若しくはコンピュータが、本方法の動作を実行する。種々の計算に関連付けられたアルゴリズムは、距離測定値に関連付けられた関連データが送信される遠隔コンピュータで実行されてもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、複数の無線ノードを有する無線ネットワークアーキテクチャとは異なる位置(例えば、クラウド内の異なるネットワーク)にあってもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、無線ネットワークアーキテクチャ内で送信され、かつ同アーキテクチチャ内で通信を受信する特定のノードとは、同アーキテクチャ内の異なる位置にあってもよい。
【0102】
無線ネットワークアーキテクチャのコンポーネントの製造プロセス中、又は無線ネットワークアーキテクチャの初期化時に、動作980で、処理ロジックは、遅延を有する無線デバイス又はセンサノードのRF回路(例えば、送信チェーン、受信チェーンなど)における少なくとも1つのコンポーネントをキャリブレーションする。この少なくとも1つのコンポーネントのキャリブレーションは、動作981で、第1のループバックキャリブレーション信号を生成し、次いでこの信号に、第1のノード(例えば、無線デバイス又はセンサノード)のRF送信チェーンを通過させることを含んでいてもよい。この第1のループバックキャリブレーション信号は、必ずしも無線で送信されなくてもよい。送信チェーンは、明示的に、又はオンチップリークを通じて無線デバイス又はセンサノードの受信チェーンに接続されている。この接続は、RFチェーン内の任意のポイントで行われ得る。一実施形態では、これらRF送信チェーン及び受信チェーンは、同時にアクティブになるように設定される。RF受信チェーンをループバックする前に第1のループバックキャリブレーション信号が通過するRF送信チェーンのブロックは、以降の測定のために特徴付けられ、かつキャリブレーションされ得る。動作982で、処理ロジックは、第1のキャリブレーション信号に送信チェーン及び受信チェーンを通過させるための、時間遅延又はチャネル状態情報のうちの少なくとも一方を測定する。この処理ロジックは、時間遅延のみ、チャネル状態情報のみ、又は時間遅延及びチャネル状態情報の両方を測定する。一実施形態では、第1のループバックキャリブレーション信号に送信チェーンを通過させるための第1の送信時間遅延Ttx1と、第1のループバックキャリブレーション信号に第1のノード(例えば、無線デバイス、センサノード)の受信チェーンを通過させるための第1の受信時間遅延Trx1とが測定される。送信時間遅延と受信時間遅延とを別々に測定できない可能性がある。したがって、場合によっては和のみが測定され得る。別の実施形態では、第1のループバックキャリブレーション信号に、第1の無線ノードの送信チェーン及び受信チェーンを通過させるための第1の送信チャネル状態情報と、第1の受信チャネル状態情報とが測定されて、第1の無線ノードのハードウェア遅延が測定される。
【0103】
動作984で、処理ロジックは、第2のループバックキャリブレーション信号を生成し、この第2の信号に第2のノードの送信チェーン及び受信チェーンを通過させ、次いで第2のキャリブレーション信号に送信チェーン及び受信チェーンを通過させるための、時間遅延又はチャネル状態情報のうちの少なくとも一方を測定する。一実施形態では、第2のループバックキャリブレーション信号に第2のノードの送信チェーンを通過させるための第2の送信時間遅延Ttx2と、さらに第2のループバックキャリブレーション信号に第2のノード(例えば、無線デバイス、センサノード)の受信チェーンを通過させるための第2の受信時間遅延Trx2とが測定される。別の実施形態では、第2のループバックキャリブレーション信号に、第2の無線ノードの送信チェーン及び受信チェーンを通過させるための第2の送信チャネル状態情報と、第2の受信チャネル状態情報とが共に測定されて、第2の無線ノードのハードウェア遅延が測定される。
【0104】
動作986で、処理ロジックは、第1の送信時間遅延及び第1の受信時間遅延に基づいて、第1のループバックキャリブレーション信号の時間遅延を算出することができ(例えば、第1のノードについて、Tlb1=Ttx1+Trx1となる)、さらに第2の送信時間遅延及び第2の受信時間遅延に基づいて、第2のキャリブレーション信号の時間遅延が算出される(例えば、第2のノードについて、Tlb2=Ttx2+Trx2となる)。次に、動作988で、第1のノードと第2のノードとの間で送信された通信における測定済みRTTが、これらTlb1及びTlb2に基づいて補正され得る(例えば、RTTota=RTTmeas-Tlb1-Tlb2となる)。
【0105】
動作989で、処理ロジックは、第1の無線ノードの第1の送信チャネル状態情報Htx1及び第1の受信チャネル状態情報Hrx1に基づいて、第1のループバックキャリブレーション信号のループバックチャネル状態情報Hlb1を算出し、第2の無線ノードの第2の送信チャネル状態情報Htx2及び第2の受信チャネル状態情報Hrx2に基づいて算出される、第2のキャリブレーション信号のループバックチャネル状態情報Hlb2を算出し、次いで第1の無線ノード及び第2の無線ノードから受信される任意の無線データパケットのチャネル状態情報(CSI)と、第1の無線デバイス及び第2の無線デバイスのループバック測定値からのループバックチャネル状態情報(Hlb1*Hlb2)とに基づいて算出される、無線でのマルチパス遅延プロファイルの補正値を推定する。一実施形態では、無線でのマルチパス遅延プロファイルの補正値は、第1の無線ノード及び第2の無線ノードから受信される任意の無線データパケットのチャネル状態情報(CSI)の積を、第1の無線デバイス及び第2の無線デバイスのループバック測定値からのループバックチャネル状態情報(Hlb1*Hlb2)の積で除算したものに基づいて算出される。
【0106】
動作990で、処理ロジックは、第1のノード及び第2のノードのハードウェア(例えば、送信チェーン、受信チェーン)における周波数応答をキャリブレーションする。一実施形態では、このループバックキャリブレーションは、第1のノードについてHlb1=Htx1*Hrx1を、そして第2のノードについてHlb2=Htx2*Hrx2をもたらすことができる。一方向の場合、受信側のみからのループバックキャリブレーション、送信側のみからのループバックキャリブレーション、又は2つをいくらか組み合わせたもの(平均値、など)が使用され得る。例えば、Hota(f)=Hmeas(f)/Hlb2となる。ループバックを標準の一方向補正測定に適用すると、当該ノードが等しい送信遅延及び受信遅延、並びにフィルタプロファイルを有することが黙示的に仮定される。完全なループバック補正は、チャネルが2つの測定済みCSIの組み合わせから導出される、わずかに異なるアルゴリズムを必要とする。この補正は、正しい位相が維持されるようにCSIを乗算して、平方根をとることを必要とする。完全なループバックキャリブレーションは、Hota
2(f)=Hmeas1(f)*Hmeas2(f)/(Hlb1*Hlb2)から決定することができる。
【0107】
このループバックは、製造又は工場での試験の一部として実行され得、結果はメモリ内に記憶される。あるいは、このループバックは、通常動作中に周期的に実行され得る。通常動作中に周期的に実行することにより、時間、温度などの経過に伴うハードウェア遅延及び非理想特性の変化が自動的にキャリブレーションされ、かつ補正され得る。製造又は工場での試験方法では、温度の変動を特徴付ける必要がある。オンチップ又はオンボードの温度センサを使用して、特徴付けられた温度プロファイルに応じて、キャリブレーション補正を調整することができる。
【0108】
一実施形態では、ベースバンドハードウェアにより、全二重通信が可能になる。この場合、信号は送信されると、次いで送信チェーン及び受信チェーンを通過した後、直ちに受信され得る。CSI、送信、及び受信のタイムスタンプを結合して、ハードウェアのキャリブレーションプロファイルが生成される。遅延が直接抽出されて除去され得、又はハードウェア自体の周波数応答が後続の測定値から除去され得る。
【0109】
別の実施形態では、ベースバンドが全二重ではない。この場合、送信パケットは、ベースバンドとは別に生成され得る。パケットの生データがメモリ内に記憶され得、デジタル-アナログ変換器(DAC)に直接読み出され得る。このデータは、前述したように、送信(TX)RFチェーン及び受信(RX)RFチェーンを通過する。ベースバンドは受信モードに設定され、受信パケットのCSI及びタイムスタンプをキャプチャすることができる。CSI、送信、及び受信のタイムスタンプは、前述の場合と同様に使用され得る。送信タイムスタンプは、DACへのメモリ読み出しがトリガされた時点でキャプチャされる必要がある。
【0110】
終端ノードとハブとの間の無線周波数通信の実装は、狭帯域、チャネル重複、チャネルステッピング、マルチチャネル広帯域、及び超広帯域通信を含む、様々な方法で実装されてもよい。
【0111】
本明細書で述べているハブ、ノード、及び無線デバイス間の通信(例えば、測距、位置特定など)は、無線周波数を使用する直接無線通信、家、アパート、商業ビルなどの中の電気配線上に信号を変調することによって実現される電力線通信、802.11a、802.11b、802.11n、802.11acなどの標準WiFi通信プロトコル、及び当業者には明らかな他のそのようなWifi通信プロトコルを使用するWiFi通信、GPRS、EDGE、3G、HSPDA、LTE、5G、及び当業者には明らかな他のセルラー通信プロトコルなどのセルラー通信、Bluetooth通信、Zigbeeなどの周知の無線センサネットワークプロトコルを使用する通信、並びに当業者には明らかな他の有線ベース又は無線通信方式を含むが、これらに限定されない様々な手段を用いて実現されてもよい。
【0112】
一実施形態では、本明細書に記載しているRF回路のいずれも、LANRF回路、WAN RF回路、及び/又はセルラーRF回路のうちの少なくとも1つを含み得る。本明細書に記載しているあらゆる無線ネットワークアーキテクチャは、無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、無線ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、及び/又は無線セルラーネットワークを含み得る。
【0113】
ハブは、本発明の実施形態に従って種々の方法で物理的に実装されてもよい。
図13Aは、一実施形態による、電源コンセント用のオーバーレイ1500として実装されるハブの例示的な一実施形態を示す。オーバーレイ1500(例えば、フェイスプレート)は、ハブ1510と、このハブを電源コンセント1502へと結合する接続部1512(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)と、を含む。代替的に(又は付加的に)、このハブはコンセント1504に結合される。オーバーレイ1500は、安全や審美的目的のために、電源コンセント1502及び1504を覆うか、又は包囲している。
【0114】
図13Bは、一実施形態による、電源コンセント用のオーバーレイとして実装されるハブ1520のブロック図の分解図の例示的な一実施形態を示す。ハブ1520は、周期的に逆方向に流れる交流電流(AC)を、一方向にのみ流れる直流電流(DC)へと変換する電源整流器1530を含む。電源整流器1530は、接続部1512(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコンセント1502からACを受け取り、このACをDCへと変換して、接続部1532(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1540に電力を供給し、かつ接続部1534(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してRF回路1550に電力を供給する。コントローラ回路1540は、メモリ1542を含むか、又は本明細書で述べているような無線非対称ネットワークの位置特定を形成し、監視し、かつ実行するために、ハブの動作を制御するコントローラ回路1540の処理ロジック1544(例えば、1又はそれ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合されている。RF回路1550は、(1又はそれ以上の)アンテナ1552を介して、無線センサノードとの双方向通信を送受信するための、トランシーバ又は別個の送信機1554及び受信機1556機能を含んでいてもよい。このRF回路1550は、接続部1534(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1540と双方向に通信する。ハブ1520を無線制御デバイス1520とすることができるが、あるいはコントローラ回路1540、RF回路1550、及び(1又はそれ以上の)アンテナ1552を組み合わせて、本明細書で述べているような無線制御デバイスを形成してもよい。
【0115】
図14Aは、一実施形態による、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ内に配備するためのカードとして実装されるハブの例示的な一実施形態を示す。カード1662は、矢印1663で示すように、システム1660(例えば、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ)に挿入され得る。
【0116】
図14Bは、一実施形態による、コンピュータシステム、電化製品、又は通信ハブ内に配備するためのカードとして実装されるハブ1664のブロック図の例示的な一実施形態を示す。ハブ1664は、接続部1674(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1668に電力(例えば、DC電源)を供給し、接続部1676(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してRF回路1670に電力を供給する電源1666を含む。コントローラ回路1668は、メモリ1661を含むか、又は本明細書で述べているような無線非対称ネットワークの位置特定を形成し、監視し、かつ実行するために、ハブの動作を制御するコントローラ回路1668の処理ロジック1663(例えば、1又はそれ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合されている。RF回路1670は、(1又はそれ以上の)アンテナ1678を介して、無線センサノードとの双方向通信を送受信するための、トランシーバ又は別個の送信機1675及び受信機1677機能を含んでいてもよい。このRF回路1670は、接続部1672(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1668と双方向に通信する。ハブ1664を無線制御デバイス1664とすることができるが、あるいはコントローラ回路1668、RF回路1670、及び(1又はそれ以上の)アンテナ1678を組み合わせて、本明細書で述べているような無線制御デバイスを形成してもよい。
【0117】
図14Cは、一実施形態による、電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート家電製品など)内に実装されるハブの例示的な一実施形態を示す。電化製品1680(例えば、スマート洗濯機)は、ハブ1682を含む。
【0118】
図14Dは、一実施形態による、電化製品(例えば、スマート洗濯機、スマート冷蔵庫、スマートサーモスタット、他のスマート家電製品など)内に実装されるハブ1684のブロック図の分解図の例示的な一実施形態を示す。ハブは、接続部1696(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1690に電力(例えば、DC電源)を供給し、接続部1698(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してRF回路1692に電力を供給する電源1686を含む。コントローラ回路1690は、メモリ1691を含むか、又は本明細書で述べているような無線非対称ネットワークの位置特定を形成し、監視し、かつ実行するために、ハブの動作を制御するコントローラ回路1690の処理ロジック1688(例えば、1又はそれ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合されている。RF回路1692は、(1又はそれ以上の)アンテナ1699を介して、無線センサノードとの双方向通信を送受信するための、トランシーバ又は別個の送信機1694及び受信機1695機能を含んでいてもよい。このRF回路1692は、接続部1689(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1690と双方向に通信する。ハブ1684を無線制御デバイス1684とすることができるが、あるいはコントローラ回路1690、RF回路1692、及び(1又はそれ以上の)アンテナ1699を組み合わせて、本明細書で述べているような無線制御デバイスを形成してもよい。
【0119】
一実施形態では、無線非対称ネットワークアーキテクチャを提供するための装置(例えば、ハブ)は、命令を記憶するためのメモリと、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内で通信を確立し、かつ制御するための命令を実行するハブの処理ロジック(例えば、1又はそれ以上の処理ユニット、処理ロジック1544、処理ロジック1663、処理ロジック1688、処理ロジック1763、処理ロジック1888)と、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内で通信を送受信するための複数のアンテナ(例えば、(1又はそれ以上の)アンテナ1552、(1又はそれ以上の)アンテナ1678、(1又はそれ以上の)アンテナ1699、アンテナ1311、1312、及び1313など)を含む無線周波数(RF)回路(例えば、RF回路1550、RF回路1670、RF回路1692、RF回路1890)と、を含む。これらRF回路及び複数のアンテナは、無線非対称ネットワークアーキテクチャ内の、本装置のRF回路との双方向通信を可能にする送信機及び受信機(又はトランシーバの送信機及び受信機機能)を備えた無線デバイスをそれぞれ有する複数のセンサノード(例えば、ノード1、ノード2)に対して、通信を送信する。
【0120】
一実施形態では、第1の無線ノードは、1又はそれ以上の処理ユニットと、第1のパケットを有する第1のRF信号を含む、無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するためのRF回路とを備えた無線デバイスを含む。第2の無線ノードは、第2のパケットを有する第2のRF信号を含む、無線ネットワークアーキテクチャ内の第1の無線ノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを含む。この第1の無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値を決定し、これによって第1の無線ノード及び第2の無線ノードのチャネル状態情報(CSI)を測定し、次いでハードウェアをキャリブレーションして、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのハードウェア遅延を測定するための命令を実行するように構成されている。
【0121】
一実施形態では、本装置は主電源によって電力供給され、また複数のセンサノードはそれぞれ、バッテリ電源によって電力供給されて、無線ネットワークアーキテクチャを形成する。
【0122】
リチウムイオン、リチウムポリマー、リン酸リチウムなどのリチウム系化学物質、及び当業者には明らかであるような他のそのような化学物質を含む、種々のバッテリが無線センサノードで使用され得る。使用され得る追加の化学物質としては、ニッケル水素、標準アルカリ電池の化学物質、銀亜鉛及び空気亜鉛電池の化学物質、標準炭素亜鉛電池の化学物質、鉛酸電池の化学物質、又は当業者には明らかであるようないずれかの他の化学物質が挙げられる。
【0123】
本発明は、本明細書に記載の動作を実行するための装置にさらに関する。本装置は、必要とする目的のために特別に構築されてもよく、又はコンピュータに記憶されるコンピュータプログラムによって選択的に起動又は再構成される汎用コンピュータを備えていてもよい。そのようなコンピュータプログラムは、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、及び光磁気ディスクを含むあらゆるタイプのディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード又は光カード、あるいは電子命令を記憶するのに適したあらゆるタイプの媒体などであるが、これらに限定されないコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0124】
本明細書に提示しているアルゴリズム及びディスプレイは、本質的にいかなる特定のコンピュータ又は他の装置にも関連するものではない。様々な汎用システムが本明細書の開示内容に従ってプログラムと共に使用されてもよく、あるいは、必要な方法動作を実行するのにより特化した装置を構築することが好都合であると判明してもよい。
【0125】
図15は、一実施形態による、センサノードのブロック図を示す。センサノード1700は、接続部1774(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1720に電力(例えば、DC電源)を供給し、接続部1776(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してRF回路1770に電力を供給し、かつ接続部1746(通信リンク、信号線、電気結線など)を介して検知回路1740に電力を供給する電源1710(例えば、エネルギー源、バッテリ電源、一次電池、充電式電池など)を含む。コントローラ回路1720は、メモリ1761を含むか、又は本明細書で述べているような無線非対称ネットワークを形成し、かつ監視するために、センサノードの動作を制御するコントローラ回路1720の処理ロジック1763(例えば、1又はそれ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合されている。RF回路1770(例えば、通信回路)は、(1又はそれ以上の)アンテナ1778を介して、(1又はそれ以上の)ハブ及び無線センサノードとの双方向通信を送受信するための、トランシーバ又は別個の送信機1775及び受信機1777機能を含んでいてもよい。このRF回路1770は、接続部1772(例えば、電気結線)を介してコントローラ回路1720と双方向に通信する。検知回路1740は、(1又はそれ以上の)画像センサ及び回路1742、(1又はそれ以上の)水分センサ及び回路1743、(1又はそれ以上の)温度センサ及び回路、(1又はそれ以上の)湿度センサ及び回路、(1又はそれ以上の)大気質センサ及び回路、(1又はそれ以上の)光センサ及び回路、(1又はそれ以上の)モーションセンサ及び回路1744、(1又はそれ以上の)オーディオセンサ及び回路1745、(1又はそれ以上の)磁気センサ及び回路1746、並びに(1又はそれ以上の)センサ及び回路nなどを含む様々なタイプの検知回路並びに(1又はそれ以上の)センサを含む。
【0126】
本明細書で開示している無線位置特定技術は、ネットワーク全体の位置特定精度を高めるために、他の検知情報と組み合わされてもよい。例えば、ノードのうちの1又は複数がカメラを含む無線センサでは、撮像画像を画像処理及び機械学習技術で使用して、監視対象のセンサノードが同じシーンを見ているかどうか、したがって同じ部屋にいる可能性が高いかどうかを判定することができる。同様の利点は、周期的な照明や光検出器を使用することによって実現され得る。照明をストロボさせ、光検出器を使用して検出することにより、光路の存在を検出することができ、ストロボと検出器との間に不透明な壁がないことを示す可能性が高まる。他の実施形態では、磁気センサをセンサノードに内蔵して、監視対象のセンサノードの方向を検出するためのコンパスとして使用することができる。次いで、この情報を位置特定情報と共に使用して、当該センサが壁、床、天井、又は他の位置にあるかどうかを判定することができる。
【0127】
一実施形態では、各センサノードは画像センサを含んでいてもよく、家の各外壁は1又はそれ以上のセンサノードを含む。ハブは、画像データ及び任意で方位データを含むセンサデータを、位置特定情報と共に分析して、各センサノードの絶対位置を特定する。次いで、ハブは、ユーザの建物の各部屋を表す三次元画像を作成することができる。壁、窓、ドアなどの位置を用いて間取り図が生成され得る。画像センサは、家の保全性に問題がある(例えば、水、雨漏りなど)ことを示し得る、反射の変化を示す画像をキャプチャしてもよい。
【0128】
図16は、一実施形態による、ハブを有するシステム1800のブロック図を示す。システム1800は、無線非対称ネットワークアーキテクチャのハブ1882又は中央ハブを含むか、又はそれと一体化されている。システム1800(例えば、コンピューティングデバイス、スマートテレビ、スマート家電、通信システムなど)は、無線通信を送受信するために、あらゆるタイプの無線デバイス(例えば、携帯電話、無線電話、タブレット、コンピューティングデバイス、スマートテレビ、スマート家電など)と通信してもよい。システム1800は、コントローラ1820及び処理ユニット1814を含む処理システム1810を含む。この処理システム1810は、ハブ1882、入出力(I/O)ユニット1830、無線周波数(RF)回路1870、オーディオ回路1860、1又はそれ以上の画像又は動画を撮影するための光学デバイス1880、システム1800のモーションデータ(例えば、三次元の)を測定するための任意のモーションユニット1844(例えば、加速度計、ジャイロスコープなど)、電力管理システム1840、及び機械アクセス可能な非一時的媒体1850と、1又はそれ以上の双方向通信リンク若しくは信号線1898、1818、1815、1816、1817、1813、1819、1811を介してそれぞれ通信する。
【0129】
ハブ1882は、接続部1885(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1884に電力(例えば、DC電源)を供給し、接続部1887(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してRF回路1890に電力を供給する電源1891を含む。コントローラ回路1884は、メモリ1886を含むか、又は本明細書で述べているような無線非対称ネットワークを形成し、かつ監視するために、ハブの動作を制御するコントローラ回路1884の処理ロジック1888(例えば、1又はそれ以上の処理ユニット)によって実行される命令を記憶するメモリに結合されている。RF回路1890は、(1又はそれ以上の)アンテナ1896を介して、無線センサノード又は他のハブとの双方向通信を送受信するための、トランシーバ又は別個の送信機(TX)1892及び受信機(RX)1894機能を含んでいてもよい。このRF回路1890は、接続部1889(例えば、通信リンク、信号線、電気結線など)を介してコントローラ回路1884と双方向に通信する。ハブ1882を無線制御デバイス1884とすることができるが、あるいはコントローラ回路1884、RF回路1890、及び(1又はそれ以上の)アンテナ1896を組み合わせて、本明細書で述べているような無線制御デバイスを形成してもよい。
【0130】
本システムのRF回路1870及び(1又はそれ以上の)アンテナ1871、又はハブ1882のRF回路1890及び(1又はそれ以上の)アンテナ1896は、無線リンク又はネットワークを介して、本明細書で述べているハブ又はセンサノードの1又はそれ以上の他の無線デバイスと情報を送受信するために使用される。オーディオ回路1860は、オーディオスピーカ1862及びマイクロフォン1064に結合され、音声信号を処理するための既知の回路を含む。1又はそれ以上の処理ユニット1814は、コントローラ1820を介して1又はそれ以上の機械アクセス可能な非一時的媒体1850(例えば、コンピュータ可読媒体)と通信する。媒体1850を、1又はそれ以上の処理ユニット1814によって使用されるコード及び/又はデータを記憶できる任意のデバイス又は媒体(例えば、記憶デバイス、記憶媒体)とすることができる。媒体1850は、キャッシュ、メインメモリ、及び二次メモリを含むがこれらに限定されない、メモリ階層を含み得る。
【0131】
媒体1850又はメモリ1886は、本明細書に記載している方法又は機能のうちの任意の1又は複数を具現化する、1又はそれ以上の組の命令(又はソフトウェア)を記憶する。このソフトウェアは、オペレーティングシステム1852、無線非対称ネットワークアーキテクチャを確立し、監視し、かつ制御するためのネットワーク・サービス・ソフトウェア1856、通信モジュール1854、及びアプリケーション1858(例えば、家又は建物のセキュリティアプリケーション、家又は建物の保全アプリケーション、開発者アプリケーションなど)を含んでいてもよい。このソフトウェアはまた、媒体1850、メモリ1886、処理ロジック1888内に、あるいはデバイス1800によるその実行中は処理ユニット1814内に、完全に又は少なくとも部分的に存在してもよい。
図18に示すコンポーネントは、1又はそれ以上の信号処理回路及び/又は特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせに実装されてもよい。
【0132】
通信モジュール1854は、他のデバイスとの通信を可能にする。I/Oユニット1830は、様々なタイプの入出力(I/O)デバイス1834(例えば、ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、陰極線管(CRT)、又はユーザ入力を受信して出力を表示するためのタッチディスプレイデバイス若しくはタッチスクリーン、任意の英数字入力デバイス)と通信する。
【0133】
図17は、一実施形態による、無線センサネットワークの構成情報を使用する、無線デバイスの位置特定のための方法を示す。本方法の動作は、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、システム、又は、処理回路あるいは処理ロジックを含む遠隔デバイス、コンピュータ、若しくはクラウドサービスによって実行されてもよい。この処理ロジックは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン若しくはデバイス上で実行されるものなど)、又はその両方の組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態では、アンカーノード、ハブ、無線デバイス、又は遠隔デバイス、コンピュータ、あるいはクラウドサービスが、本方法の動作を実行する。種々の計算に関連付けられたアルゴリズムは、タイミング及び距離測定値に関連付けられた関連データが送信される遠隔コンピュータで実行されてもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、複数の無線ノードを有する無線ネットワークアーキテクチャとは異なる位置(例えば、クラウド内の異なるネットワーク)にあってもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、無線ネットワークアーキテクチャ内で送信され、かつ同アーキテクチチャ内で通信を受信する特定のノードとは、同アーキテクチャ内の異なる位置にあってもよい。
【0134】
デバイスは、典型的には建物内の既知で固定された位置に任意に配置され得る。無線ネットワークアーキテクチャの初期化時に、動作1701で、無線周波数(RF)回路及び少なくとも1つのアンテナを有する無線ノード(例えば、アンカーノード、無線デバイス、ハブ)が、無線ネットワークアーキテクチャ(例えば、無線非対称ネットワークアーキテクチャ)内の複数のセンサノードに通信を送信する。動作1702で、無線ノードのRF回路及び少なくとも1つのアンテナは、無線ネットワークアーキテクチャ内の、無線ノードのRF回路との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数のセンサノードからの通信を受信する。動作1704で、無線制御デバイスを有する無線ノードの処理ロジックは、まずセンサノードの無線ネットワークを、少なくとも1つの無線デバイス(無線ノード)の位置特定を行う期間(例えば、所定の期間、位置特定を行うのに十分な期間など)にわたってメッシュベースのネットワークアーキテクチャとして構成させる。
【0135】
動作1706で、次いで無線ノードは、ノード間の距離推定値を含む測距データを決定するために、センサノードとの測距(無線ノードと無線センサノードとの任意の又はすべてのペアの組み合わせ)を実行することができる。動作1708で、ある環境(例えば、屋内環境、建物、建物に隣接する外部領域)内の一連の既知の位置(例えば、
図8BのWiFiルータ892、空調ユニット、コーナー領域894など)と、デバイス間測距データとを使用して、各無線ノード又は無線センサノードと一意の既知の位置とが関連付けられる。動作1710で、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化のうちの少なくとも1つを含む数多くの方法を使用して、測定済み測距データに対応するアンカーノード(例えば、無線ノード、無線センサノード)の位置が決定され得る。本特許出願に記載しているような確率論的方法も、同様に使用され得る。
【0136】
動作1712で、アンカー位置のサブセット候補の情報を所与として、既知の環境のマップに適合又はスナップさせるために、アンカー位置の既知のサブセットが使用されていてもよい。例えば、ユーザは、アンカー位置を当該空間又は環境の物理的記述(例えば、間取り図、マップなど)と整合させるように、アンカー位置のサブセットの回転、平行移動、及びミラーリングを調整することができる。動作1712に基づいて、追加のアンカー位置が決定されてもよい。
【0137】
これらのアンカー位置がひとたび決定されると、動作1714で、これらのアンカーノード及び関連付けられたアンカー位置が、アンカーノードと位置が未知である(例えば、位置が固定されているか、又は移動する)任意のノードとの間の測距測定に使用される。これらのアンカーノードは、ToA測距測定又はTDoA測距測定に使用され得る。動作1716で、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化のうちの少なくとも1つを含む数多くの方法を使用して、測定済み測距データに対応するノード(例えば、無線ノード、無線センサノード)の未知の位置が特定され得る。動作1718で、無線ノード(例えば、ハブ、アンカーノード、無線デバイス、遠隔デバイス又はコンピュータ)の処理ロジックは、位置特定が完了すると、ツリーベース又はツリー状のネットワークアーキテクチャ(若しくはメッシュベース機構のないツリーアーキテクチャ)で無線ネットワークを構成する。
【0138】
一代替実施形態では、建物情報が既知ではない。
図18は、一実施形態による、無線センサネットワークの構成情報を使用せずに無線デバイスの位置特定を行うための方法を示す。本方法の動作は、無線デバイス、ハブ(例えば、装置)の無線制御デバイス、システム、又は、処理回路あるいは処理ロジックを含む遠隔デバイス、コンピュータ、若しくはクラウドサービスによって実行されてもよい。この処理ロジックは、ハードウェア(回路、専用ロジックなど)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン若しくはデバイス上で実行されるものなど)、又はその両方の組み合わせを含んでいてもよい。一実施形態では、アンカーノード、ハブ、無線デバイス、又は遠隔デバイス、コンピュータ、あるいはクラウドサービスが、本方法の動作を実行する。種々の計算に関連付けられたアルゴリズムは、タイミング及び距離測定値に関連付けられた関連データが送信される遠隔コンピュータで実行されてもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、複数の無線ノードを有する無線ネットワークアーキテクチャとは異なる位置(例えば、クラウド内の異なるネットワーク)にあってもよい。この遠隔デバイス又はコンピュータは、無線ネットワークアーキテクチャ内で送信され、かつ同アーキテクチチャ内で通信を受信する特定のノードとは、同アーキテクチャ内の異なる位置にあってもよい。
【0139】
デバイスは、典型的には建物内の未知で固定された位置に任意に配置され得る。無線ネットワークアーキテクチャの初期化時に、動作1801で、無線周波数(RF)回路及び少なくとも1つのアンテナを有する無線ノード(例えば、アンカーノード、無線デバイス、ハブ)が、無線ネットワークアーキテクチャ(例えば、無線非対称ネットワークアーキテクチャ)内の複数のセンサノードに通信を送信する。これらのセンサノードは、典型的には固定されていてもよく、また、無線ネットワークアーキテクチャ内でこれらを移動させたり、又は再位置決めしたりすることが可能である。動作1802で、無線ノードのRF回路及び少なくとも1つのアンテナは、無線ネットワークアーキテクチャ内の、この無線ノードのRF回路との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数のセンサノードからの通信を受信する。動作1804で、無線制御デバイスを有する無線ノードの処理ロジックは、まずセンサノードの無線ネットワークを、少なくとも1つの無線デバイス(無線ノード)の位置特定を行う期間(例えば、所定の期間、位置特定を行うのに十分な期間など)にわたってメッシュベースのネットワークアーキテクチャとして構成させる。
【0140】
動作1806で、次いで無線ノードは、ノード間の距離推定値を含む測距データを決定するために、センサノードとの測距(無線ノードと無線センサノードとの任意の又はすべてのペアの組み合わせ)を実行することができる。動作1808で、次いでデバイス間測距データを使用して、少なくとも1つの無線ノード又は無線センサノードを相対位置と関連付ける。すべてのアンカーノード又はアンカーノードの少なくとも1つのサブセットの相対位置は、最適化手法、総当たり法、確率論的方法などのうちの少なくとも1つを使用して決定される。各距離範囲に対する複数の経路推定値が、相対位置を算出するためのアルゴリズムに投入され得る。
【0141】
動作1810で、相対位置を当該空間又は環境の物理的記述(例えば、間取り図、マップなど)と整合させるように、全組の相対位置の回転、平行移動及びミラーリングが調整される。機械学習、人工知能、又はユーザがこれらの調整を行ってもよい。一実施形態では、機械学習は、当該空間又は環境に対する相対位置の方向の高尤度のセットを生成し、次いで、ユーザがそれらの方向のうちの1つを選択する。これらの調整により、当該空間又は環境の座標系にアンカー位置が位置決めされる。動作1812で、当該空間又は環境におけるこれらアンカーノード及びそれらの算出済み位置が決定される。
【0142】
これらのアンカー位置がひとたび決定されると、動作1814で、これらのアンカーノード及び関連付けられたアンカー位置が、アンカーノードと位置が未知である(例えば、位置が固定されているか、又は移動する)任意のノードとの間の測距測定に使用される。これらのアンカーノードは、ToA測距測定又はTDoA測距測定に使用され得る。動作1816で、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化のうちの少なくとも1つを含む数多くの方法を使用して、測定済み測距データに対応するノード(例えば、無線ノード、無線センサノード)の未知の位置が特定され得る。動作1818で、無線ノード(例えば、ハブ、アンカーノード、無線デバイス、遠隔デバイス又はコンピュータ)の処理ロジックは、位置特定が完了すると、ツリーベース又はツリー状のネットワークアーキテクチャ(若しくはメッシュベース機構のないツリーアーキテクチャ)で無線ネットワークを構成する。
【0143】
以下の実施形態のいずれも、単一の実施形態にまとめることができ、又はこれらの実施形態を別個の実施形態とすることができる。第1の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、1又はそれ以上の処理ユニット、及び第1のパケットを有する第1のRF信号を含む、無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するためのRF回路を備えた無線デバイスを有する、第1の無線ノードと、第2のパケットを有する第2のRF信号を含む、無線ネットワークアーキテクチャ内の第1の無線ノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する、第2の無線ノードと、を備える。この第1の無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値を決定し、これによって第1の無線ノード及び第2の無線ノードのチャネル状態情報(CSI)を測定し、次いでハードウェアをキャリブレーションして、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのハードウェア遅延を測定するための命令を実行するように構成されている。
【0144】
第1の実施形態の別の実施形態では、第1の無線ノードは第1の基準クロック信号を有し、第2の無線ノードは第2の基準クロック信号を有する。
【0145】
第1の実施形態の別の実施形態では、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値は、第1の無線ノードが第1のパケットを送信する第1の時間、第2の無線ノードが第1のパケットを受信する第2の時間、第2の無線ノードが第2のパケットを送信する第3の時間、及び第1の無線ノードが第2のパケットを受信する第4の時間に基づいている。
【0146】
第1の実施形態の別の実施形態では、第1の無線ノードのチャネル状態情報は、第2のパケットのチャネル応答の第1の測定値を含み、第2の無線ノードのチャネル状態情報は、第1のパケットのチャネル応答の第2の測定値を含む。
【0147】
第1の実施形態の別の実施形態では、本システムは、第1の無線ノード及び第2の無線ノードとの双方向通信を可能にする遠隔デバイスをさらに備え、この遠隔デバイス、第1の無線ノード、又は第2の無線ノードのうちの少なくとも1つが、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのCSIに基づいて、第1の無線ノード及び第2の無線ノードの基準クロック間の位相ドリフトに起因した遅延を測定する。
【0148】
第1の実施形態の別の実施形態では、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのハードウェア遅延は、自動ゲイン制御(AGC)遅延及び低雑音増幅器遅延を含む。
【0149】
第1の実施形態の別の実施形態では、これらAGC遅延及び低雑音増幅器遅延が除去されて、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値が補正され、遠隔デバイス、第1の無線ノード、又は第2の無線ノードのうちの少なくとも1つが、位相ドリフト遅延及びハードウェア遅延を線形位相シフトとしてCSIに適用して、補正CSIを生成する。
【0150】
第1の実施形態の別の実施形態では、遠隔デバイス、第1の無線ノード、又は第2の無線ノードのうちの少なくとも1つが、複数のパケットの補正CSIの平均値を算出する。
【0151】
第1の実施形態の別の実施形態では、遠隔デバイス、第1の無線ノード、又は第2の無線ノードのうちの少なくとも1つが、ハードウェア遅延を除去するために、補正CSIをキャリブレーションCSIで除算する。
【0152】
第1の実施形態の別の実施形態では、遠隔デバイス、第1の無線ノード、又は第2の無線ノードのうちの少なくとも1つが、平均化CSIを生成するために結合する経路の遅延及び複素振幅を抽出するアルゴリズムを実行し、ここで、経路の振幅、距離、RSSI、及び他の関連データをフィルタ条件として使用して、非物理的経路を除外してもよい。
【0153】
第1の実施形態の別の実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードは、位置が既知であるアンカーノードと、位置が未知である無線センサノードとの間の各距離推定値に関連付けられた誤り基準が、誤り閾値以下である場合、位置特定のために選択されるアンカーノードを備える。
【0154】
第1の実施形態の別の実施形態では、この誤り基準が誤り閾値以上である場合、位置特定のためのアンカーノードが少なくとも1つ除外される。
【0155】
第1の実施形態の別の実施形態では、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのうちの少なくとも一方は、位置特定中に位置を変更する可動ロボットを備える。
【0156】
第2の実施形態の一実施形態では、装置は、命令を記憶するためのメモリと、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数のセンサノードを制御し、かつこれら複数のセンサノードの位置を特定するための命令を実行する1又はそれ以上の処理ユニットと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、本装置における自身との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数のセンサノードとの通信を送受信するための無線周波数(RF)回路と、を備える。本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、第1のパケットを有する第1のRF信号をセンサノードへと送信し、このセンサノードから、第2のパケットを有する第2のRF信号を受信し、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値を決定し、これによってチャネル状態情報(CSI)を測定し、次いでハードウェアをキャリブレーションして、本装置又はセンサノードのうちの少なくとも一方のハードウェア遅延を測定するための命令を実行するように構成されている。
【0157】
第2の実施形態の別の実施形態では、本装置は第1の基準クロック信号を有し、センサノードは第2の基準クロック信号を有する。
【0158】
第2の実施形態の別の実施形態では、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値は、本装置が第1のパケットを送信する第1の時間、センサノードが第1のパケットを受信する第2の時間、センサノードが第2のパケットを送信する第3の時間、及び本装置が第2のパケットを受信する第4の時間に基づいている。
【0159】
第2の実施形態の別の実施形態では、CSIを測定することは、第2のパケットのチャネル応答の第1の測定と、第1のパケットのチャネル応答の第2の測定とを含む。
【0160】
第2の実施形態の別の実施形態では、本装置又はセンサノードの少なくとも一方のハードウェア遅延は、自動ゲイン制御(AGC)遅延及び低雑音増幅器遅延を含む。
【0161】
第2の実施形態の別の実施形態では、これらAGC遅延及び低雑音増幅器遅延が除去されて、第1のパケット及び第2のパケットのラウンドトリップ時間推定値が補正される。
【0162】
第2の実施形態の別の実施形態では、本装置が、位相ドリフト遅延及びハードウェア遅延を線形位相シフトとしてCSIに適用して、補正CSIを生成する。
【0163】
第2の実施形態の別の実施形態では、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、第1のRF信号の第1の周波数チャネルの第1のチャネル状態情報を測定し、第1のRF信号の第2の周波数チャネルの第2のチャネル状態情報を測定し、この第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルとは非連続チャネル又は不連続チャネルであり、次いで位相合わせなしの第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報に基づいて、本装置とセンサノードとの間の遅延プロファイル推定値を決定するための命令を実行するように構成されている。
【0164】
第2の実施形態の別の実施形態では、この遅延プロファイル推定値は、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルとの間の周波数バンドギャップに関するチャネル状態情報なしで決定される。
【0165】
第3の実施形態の一実施形態では、無線ノードの位置特定のための方法は、第1の無線ノードから第2の無線ノードに第1のRF信号を送信することと、第1の無線ノードを使用して、第2の無線ノードから第2のRF信号を受信することと、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのチャネル状態情報(CSI)を取得することと、第1のRF信号で送信される第1のパケット及び第2のRF信号で送信される第2のパケットの飛行時間の粗推定値を補正するために、自動ゲイン制御(AGC)遅延を除去することと、を含む。
【0166】
第3の実施形態の別の実施形態では、本方法は、第1のRF信号及び第2のRF信号の最上位のサブキャリア及び最下位のサブキャリアを含む、周波数スペクトルのエッジを除去することをさらに含む。
【0167】
第3の実施形態の別の実施形態では、本方法は、順方向のCSIを逆方向のCSIで除算することにより、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間の位相ドリフトに起因した遅延を測定することをさらに含む。
【0168】
第3の実施形態の別の実施形態では、本方法は、第1の無線ノード及び第2の無線ノードのAGC遅延並びに低雑音増幅器(LNA)遅延を含む内部遅延を取得することと、位相ドリフト、AGCゲイン、及び飛行時間の粗推定値に対する補正値を合計することと、これらの補正値を線形位相シフトとしてCSIに適用することと、をさらに含む。
【0169】
第4の実施形態の一実施形態では、コンピュータ実行方法は、第1の無線ノードを使用して、第1のループバックキャリブレーション信号を生成することと、この第1のループバックキャリブレーション信号に、第1の無線ノードのRF送信チェーン及び第1の無線ノードのRF受信チェーンを通過させることと、この第1のキャリブレーション信号に、第1の無線ノードの送信チェーン及び受信チェーンを通過させて、第1の無線ノードのハードウェア遅延を測定するために、第1の送信時間遅延、第1の受信時間遅延、第1の送信チャネル状態情報、及び第1の受信チャネル状態情報から構成されるグループより選択される少なくとも1つを測定することと、を含む。
【0170】
第4の実施形態の別の実施形態では、第1の送信時間遅延、第1の受信時間遅延、第1の送信チャネル状態情報、又は第1の受信チャネル状態情報のうちの少なくとも1つを測定することは、第1の送信時間遅延と第1の受信時間遅延との和を決定することを含み、ここで、第1の送信チャネル状態情報及び第1の受信チャネル状態情報を測定することは、第1の送信チャネル状態情報と第1の受信チャネル状態情報との積を決定することを含む。
【0171】
第4の実施形態の別の実施形態では、本方法は、第2の無線ノードを使用して、第2のループバックキャリブレーション信号を生成することと、この第2のループバックキャリブレーション信号に、第2の無線ノードのRF送信チェーン及び第2の無線ノードのRF受信チェーンを通過させることと、この第2のループバックキャリブレーション信号に、第2の無線ノードの送信チェーン及び受信チェーンを通過させて、第2の無線ノードのハードウェア遅延を測定するために、第2の送信時間遅延、第2の受信時間遅延、第1の送信チャネル状態情報、又は第1の受信チャネル状態情報のうちの少なくとも1つを測定することと、をさらに含む。
【0172】
第4の実施形態の別の実施形態では、本方法は、第1の無線ノードの第1の送信時間遅延Ttx1及び第1の受信時間遅延Trx1に基づいて、第1のループバックキャリブレーション信号の時間遅延Tlb1を算出することと、第2の無線ノードの第2の送信時間遅延Ttx2及び第2の受信時間遅延Trx2に基づいて算出される、第2のキャリブレーション信号の時間遅延Tlb2を算出することと、これらTlb1及びTlb2に基づいて、第1の無線ノードと第2の無線ノードとの間で送信される通信の測定済みラウンドトリップ時間(RTT)を補正することと、をさらに含む。
【0173】
第4の実施形態の別の実施形態では、本方法は、第1の無線ノードの第1の送信チャネル状態情報Htx1及び第1の受信チャネル状態情報Hrx1に基づいて、第1のループバックキャリブレーション信号のループバックチャネル状態情報Hlb1を算出することと、第2の無線ノードの第2の送信チャネル状態情報Htx2及び第2の受信チャネル状態情報Hrx2に基づいて算出される、第2のキャリブレーション信号のループバックチャネル状態情報Hlb2を算出することと、第1の無線ノード及び第2の無線ノードから受信される任意のデータパケットのチャネル状態情報(CSI)と、第1の無線デバイス及び第2の無線デバイスのループバック測定値からのループバックチャネル状態情報(Hlb1*Hlb2)とに基づいて算出される、マルチパス遅延プロファイルの補正値を推定することと、をさらに含む。
【0174】
第4の実施形態の別の実施形態では、本方法は、第1の無線ノードの送信チェーンHtx1の周波数応答及び受信チェーンHrx1の周波数応答に基づいて、第1の無線ノードの送信チェーン及び受信チェーンの周波数応答Hlb1をキャリブレーションすることと、第2の無線ノードの送信チェーンHtx2の周波数応答及び受信チェーンHrx2の周波数応答に基づいて、第2の無線ノードの送信チェーン及び受信チェーンの周波数応答Hlb2をキャリブレーションすることと、をさらに含む。
【0175】
第5の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、それぞれの位置が既知であり、なおかつ1又はそれ以上の処理ユニット、及び無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するRF回路を備えた無線デバイスをそれぞれ有する複数の無線アンカーノードと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、これら複数の無線アンカーノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する無線ノードと、を備え、複数の無線アンカーノードのうちの少なくとも1つにおける1又はそれ以上の処理ユニットは、各アンカーノードと、位置が未知である無線ノードとの間の推定距離範囲のセットを決定し、かつ誤りを最小限に抑えるために、無線ノードの推定位置にわたって反復される三角測量アルゴリズムを実施するための命令を実行するように構成されている。
【0176】
第5の実施形態の別の実施形態では、この三角測量アルゴリズムは、各アンカーノードと無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を評価し、各アンカーノードと無線ノードとの間における低尤度の距離範囲を除外する。
【0177】
第5の実施形態の別の実施形態では、この三角測量アルゴリズムは、各アンカーノードと無線ノードとの間における低尤度の距離範囲を除外することに基づいて、反復が低減されるように無線ノードの最終位置を特定する。
【0178】
第5の実施形態の別の実施形態では、位置が既知であるアンカーノードと、位置が未知である無線センサノードとの間の各距離推定値に関連付けられた誤り基準が、誤り閾値以下である場合、位置特定のためのアンカーノードが少なくとも1つ選択される。
【0179】
第5の実施形態の別の実施形態では、この誤り基準が誤り閾値以上である場合、位置特定のためのアンカーノードが少なくとも1つ除外される。
【0180】
第5の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードの少なくとも1つは、位置特定中に第1のアンカーノード位置から第2のアンカーノード位置へと位置を変更する可動ロボットを備える。
【0181】
第6の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための装置は、命令を記憶するためのメモリと、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数の無線センサノードを制御し、かつこれら複数の無線センサノードの位置を特定するための命令を実行する1又はそれ以上の処理ユニットと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、本装置における自身との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数の無線センサノードとの通信を送受信するための無線周波数(RF)回路と、を備え、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、本装置と、位置が未知である無線センサノードとの間の推定距離範囲のセットを決定し、かつ誤りを最小限に抑えるために、無線センサノードの推定位置にわたって反復される三角測量アルゴリズムを実施するための命令を実行するように構成されている。
【0182】
第6の実施形態の別の実施形態では、この三角測量アルゴリズムは、本装置と無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を評価し、本装置と無線センサノードとの間における低尤度の距離範囲を除外する。
【0183】
第6の実施形態の別の実施形態では、この三角測量アルゴリズムは、本装置と無線センサノードとの間における低尤度の距離範囲を除外することに基づいて、反復が低減されるように無線センサノードの最終位置を特定する。
【0184】
第6の実施形態の別の実施形態では、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、無線センサノードから受信される、RF信号の第1の周波数チャネルの第1のチャネル状態情報を測定し、このRF信号の第2の周波数チャネルの第2のチャネル状態情報を測定し、この第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルとは非連続チャネル又は不連続チャネルであり、次いで位相合わせなしの第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報に基づいて、本装置と無線センサノードとの間の遅延プロファイル推定値を決定するための命令を実行するように構成されている。
【0185】
第6の実施形態の別の実施形態では、この遅延プロファイル推定値は、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルとの間の周波数バンドギャップに関するチャネル状態情報なしで決定される。
【0186】
第6の実施形態の別の実施形態では、本装置は、位置特定中に第1のアンカーノード位置から第2のアンカーノード位置へと、屋内環境内で位置を変更する可動ロボットを備える。
【0187】
第7の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための方法は、それぞれの位置が既知である複数の無線アンカーノードを使用して、無線ノードへの通信を送信することと、この無線ノードから通信を受信することと、各アンカーノードと、位置が未知である無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を決定することと、誤りを最小限に抑えるために、無線ノードの推定位置にわたって反復される三角測量アルゴリズムを実施することと、を含む。
【0188】
第7の実施形態の別の実施形態では、本方法は、各アンカーノードと無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を評価することと、各アンカーノードと無線ノードとの間における低尤度の距離範囲を除外することと、をさらに含む。
【0189】
第7の実施形態の別の実施形態では、本方法は、各アンカーノードと無線ノードとの間における低尤度の距離範囲を除外することに基づいて、反復が低減されるように無線ノードの最終位置を特定することをさらに含む。
【0190】
第7の実施形態の別の実施形態では、位置が既知であるアンカーノードと、位置が未知である無線センサノードとの間の各距離推定値に関連付けられた誤り基準が、誤り閾値以下である場合、位置特定のためのアンカーノードが少なくとも1つ選択される。
【0191】
第7の実施形態の別の実施形態では、この誤り基準が誤り閾値以上である場合、位置特定のためのアンカーノードが少なくとも1つ除外される。
【0192】
第7の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードの少なくとも1つは、位置特定中に第1のアンカーノード位置から第2のアンカーノード位置へと位置を変更する可動ロボットを備える。
【0193】
第8の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、それぞれの位置が既知であり、なおかつ1又はそれ以上の処理ユニット、及び無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するRF回路を備えた無線デバイスをそれぞれ有する複数の無線アンカーノードと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、これら複数の無線アンカーノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する無線ノードと、を備え、複数の無線アンカーノードのうちの少なくとも1つにおける1又はそれ以上の処理ユニットは、各アンカーノードと、位置が未知である無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を決定し、かつアンカーノードからの測距測定値の最尤推定(MLE)を使用する三角測量アルゴリズムを実施するための命令を実行するように構成されている。
【0194】
第8の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードからの測距測定値のMLEは、各アンカーノードの測距測定値及び位置仮説の確率分布に基づいている。
【0195】
第8の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードからの測距測定値のMLEは、測距測定で測定される無線ノードからアンカーノードまでの測距測定値の不確定性と、アンカーノードから現在の位置仮説までの距離とに基づいている。
【0196】
第8の実施形態の別の実施形態では、無線ノードの最終位置を特定するための他の測定値よりも、非常に不確定性の高い測定値に少なく効果的に重み付けすることにより、三角測量推定全体に及ぶこれら非常に不確定性の高い測定値の重要性が、このMLEで低減される。
【0197】
第8の実施形態の別の実施形態では、位置が既知であるアンカーノードと、位置が未知である無線センサノードとの間の各距離推定値に関連付けられた誤り基準が、誤り閾値以下である場合、位置特定のためのアンカーノードが少なくとも1つ選択される。
【0198】
第8の実施形態の別の実施形態では、この誤り基準が誤り閾値以上である場合、位置特定のためのアンカーノードが少なくとも1つ除外される。
【0199】
第8の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードの少なくとも1つは、位置特定中に第1のアンカーノード位置から第2のアンカーノード位置へと位置を変更する可動ロボットを備える。
【0200】
第9の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための装置は、命令を記憶するためのメモリと、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数の無線センサノードを制御し、かつこれら複数の無線センサノードの位置を特定するための命令を実行する1又はそれ以上の処理ユニットと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、本装置における自身との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数の無線センサノードとの通信を送受信するための無線周波数(RF)回路と、を備え、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、本装置と、位置が未知である無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を決定し、かつ本装置を含むアンカーノードからの測距測定値の最尤推定(MLE)を使用する三角測量アルゴリズムを実施するための命令を実行するように構成されている。
【0201】
第9の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードからの測距測定値のMLEは、各アンカーノードの測距測定値及び位置仮説の確率分布に基づいている。
【0202】
第9の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードからの測距測定値のMLEは、測距測定で測定される無線ノードからアンカーノードまでの測距測定値の不確定性と、アンカーノードから現在の位置仮説までの距離とに基づいている。
【0203】
第9の実施形態の別の実施形態では、無線ノードの最終位置を特定するための他の測定値よりも、非常に不確定性の高い測定値に少なく効果的に重み付けすることにより、三角測量推定全体に及ぶこれら非常に不確定性の高い測定値の重要性が、このMLEで低減される。
【0204】
第9の実施形態の別の実施形態では、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、無線センサノードから受信される、RF信号の第1の周波数チャネルの第1のチャネル状態情報を測定し、このRF信号の第2の周波数チャネルの第2のチャネル状態情報を測定し、この第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルとは非連続チャネル又は不連続チャネルであり、次いで位相合わせなしの第1のチャネル状態情報及び第2のチャネル状態情報に基づいて、本装置と無線センサノードとの間の遅延プロファイル推定値を決定するための命令を実行するように構成されている。
【0205】
第9の実施形態の別の実施形態では、この遅延プロファイル推定値は、第1の周波数チャネルと第2の周波数チャネルとの間の周波数バンドギャップに関するチャネル状態情報なしで決定される。
【0206】
第9の実施形態の別の実施形態では、本装置は、位置特定中に第1のアンカーノード位置から第2のアンカーノード位置へと、屋内環境内で位置を変更する可動ロボットを備える。
【0207】
第10の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための方法は、それぞれの位置が既知である複数の無線アンカーノードを使用して、無線ノードへの通信を送信することと、この無線ノードから通信を受信することと、各アンカーノードと、位置が未知である無線ノードとの間の1組の推定距離範囲を決定することと、本装置を含むアンカーノードからの測距測定値の最尤推定(MLE)を使用する三角測量アルゴリズムを実施することと、を含む。
【0208】
第10の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードからの測距測定値のMLEは、各アンカーノードの測距測定値及び位置仮説の確率分布に基づいている。
【0209】
第10の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードからの測距測定値のMLEは、測距測定で測定される無線ノードからアンカーノードまでの測距測定値の不確定性と、アンカーノードから現在の位置仮説までの距離とに基づいている。
【0210】
第10の実施形態の別の実施形態では、無線ノードの最終位置を特定するための他の測定値よりも、非常に不確定性の高い測定値に少なく効果的に重み付けすることにより、三角測量推定全体に及ぶこれら非常に不確定性の高い測定値の重要性が、このMLEで低減される。
【0211】
第10の実施形態の別の実施形態では、本方法は、位置が既知であるアンカーノードと、位置が未知である無線センサノードとの間の各距離推定値に関連付けられた誤り基準が、誤り閾値以下である場合、位置特定のためのアンカーノードを少なくとも1つ選択することをさらに含む。
【0212】
第10の実施形態の別の実施形態では、本方法は、この誤り基準が誤り閾値以上である場合、位置特定のためのアンカーノードを少なくとも1つ除外することをさらに含む。
【0213】
第10の実施形態の別の実施形態では、本方法は、これらアンカーノードの少なくとも1つが、位置特定中に第1のアンカーノード位置から第2のアンカーノード位置へと位置を変更する可動ロボットを備えることをさらに含む。
【0214】
第11の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、1又はそれ以上の処理ユニット、及び無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するRF回路を備えた無線デバイスを有する無線ノードと、
無線ネットワークアーキテクチャ内の、これらの無線ノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する複数の無線センサノードと、を備え、無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、無線ノードと、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を含む測距データを決定し、かつ無線ノード又は無線センサノードをそれぞれ、無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一意の既知の位置と関連付けるための命令を実行するように構成されている。
【0215】
第11の実施形態の別の実施形態では、本システムは、無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の外側にある遠隔デバイスをさらに備える。
【0216】
第11の実施形態の別の実施形態では、この遠隔デバイス又は無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施して、測距データに対応するアンカーノードの少なくとも1つのサブセットの位置を決定するように構成されている。
【0217】
第11の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードの少なくとも1つのサブセットの位置は、アンカー位置の回転、平行移動、又はミラーリングのうちの少なくとも1つを調整して、このアンカー位置を無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の物理的記述と整合させるために使用される。
【0218】
第11の実施形態の別の実施形態では、遠隔デバイス又は無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、アンカーノードの少なくともサブセットと、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードとの間で測距測定を実行するように構成されている。
【0219】
第11の実施形態の別の実施形態では、これらの測距測定値は到達時間の測距測定値を含む。
【0220】
第11の実施形態の別の実施形態では、これらの測距測定値は、到達時間差の測距測定値を含む。
【0221】
第11の実施形態の別の実施形態では、遠隔デバイス又は無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、これらの測距測定値を使用して、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードの位置を特定するために、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施するように構成されている。
【0222】
第12の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための装置は、命令を記憶するためのメモリと、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数の無線センサノードを制御し、かつこれら複数の無線センサノードの位置を特定するための命令を実行する1又はそれ以上の処理ユニットと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、本装置における自身との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数の無線センサノードとの通信を送受信するための無線周波数(RF)回路と、を備え、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、本装置と、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を含む測距データを決定し、かつ本装置又は無線センサノードをそれぞれ、無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一意の既知の位置と関連付けるための命令を実行するように構成されている。
【0223】
第12の実施形態の別の実施形態では、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施して、測距データに対応するアンカーノードの少なくとも1つのサブセットの位置を決定するように構成されている。
【0224】
第12の実施形態の別の実施形態では、アンカーノードの少なくとも1つのサブセットの位置は、アンカー位置の回転、平行移動、又はミラーリングのうちの少なくとも1つを調整して、このアンカーノードの位置を無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の物理的記述と整合させるために使用される。
【0225】
第12の実施形態の別の実施形態では、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、アンカーノードの少なくともサブセットと、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードとの間で測距測定を実行するように構成されている。
【0226】
第13の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための方法は、無線ノードを使用して、複数の無線センサノードへの通信を送信することと、これら複数の無線センサノードから通信を受信することと、無線ノードと、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を含む測距データを決定することと、無線ノード又は無線センサノードをそれぞれ、無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一意の既知の位置と関連付けることと、を含む。
【0227】
第13の実施形態の別の実施形態では、本方法は、無線ノード又は遠隔デバイスを使用して総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施して、測距データに対応するアンカーノードの少なくとも1つのサブセットの位置を決定することをさらに含む。
【0228】
第13の実施形態の別の実施形態では、アンカー位置の回転、平行移動、又はミラーリングのうちの少なくとも1つを調整して、このアンカーノードの少なくともサブセットの位置を無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の物理的記述と整合させることをさらに含む。
【0229】
第13の実施形態の別の実施形態では、本方法は、アンカーノードの少なくとも1つのサブセットと、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードとの間で測距測定を実行することをさらに含む。
【0230】
第13の実施形態の別の実施形態では、本方法は、これらの測距測定値を使用して、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードの位置を特定するために、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施することをさらに含む。
【0231】
第14の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のためのシステムは、1又はそれ以上の処理ユニット、及び無線ネットワークアーキテクチャ内の通信を送受信するRF回路を備えた無線デバイスを有する無線ノードと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、これらの無線ノードとの双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスを有する複数の無線センサノードと、を備え、無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、無線ノードと、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を含む測距データを決定し、かつ無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一連の相対位置を、無線ノード及び複数の無線センサノードと関連付けるための命令を実行するように構成されている。
【0232】
第14の実施形態の別の実施形態では、本システムは、無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の外側にある遠隔デバイスをさらに備える。
【0233】
第14の実施形態の別の実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一連の相対位置は、これら一連の相対位置の回転、平行移動、又はミラーリングのうちの少なくとも1つを調整して、これら一連の相対位置を無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の物理的記述と整合させて、アンカー位置を設定するために使用される。
【0234】
第14の実施形態の別の実施形態では、遠隔デバイス又は無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、アンカー位置として設定されている無線ノード又は少なくとも1つの無線センサノードと、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードとの間で測距測定を実行するように構成されている。
【0235】
第14の実施形態の別の実施形態では、これらの測距測定値は到達時間の測距測定値又は到達時間差の測距測定値を含む。
【0236】
第14の実施形態の別の実施形態では、遠隔デバイス又は無線ノードの1又はそれ以上の処理ユニットは、これらの測距測定値を使用して、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードの位置を特定するために、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施するように構成されている。
【0237】
第15の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための装置は、命令を記憶するためのメモリと、無線ネットワークアーキテクチャ内の複数の無線センサノードを制御し、かつこれら複数の無線センサノードの位置を特定するための命令を実行する1又はそれ以上の処理ユニットと、無線ネットワークアーキテクチャ内の、本装置における自身との双方向通信を可能にする送信機及び受信機を備えた無線デバイスをそれぞれ有する、複数の無線センサノードとの通信を送受信するための無線周波数(RF)回路と、を備え、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、本装置と、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を含む測距データを決定し、かつ無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一連の相対位置を、無線ノード及び複数の無線センサノードと関連付けるための命令を実行するように構成されている。
【0238】
第15の実施形態の別の実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一連の相対位置は、これら一連の相対位置の回転、平行移動、又はミラーリングのうちの少なくとも1つを調整して、これら一連の相対位置を無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の物理的記述と整合させて、アンカー位置を設定するために使用される。
【0239】
第15の実施形態の別の実施形態では、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、本装置と、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードとの間で測距測定を実行するように構成されている。
【0240】
第15の実施形態の別の実施形態では、本装置の1又はそれ以上の処理ユニットは、これらの測距測定値を使用して、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードの位置を特定するために、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施するように構成されている。
【0241】
第16の実施形態の一実施形態では、無線ネットワークアーキテクチャ内のノードの位置特定のための方法は、無線ノードを使用して、複数の無線センサノードへの通信を送信することと、これら複数の無線センサノードから通信を受信することと、無線ノードと、位置が未知である複数の無線センサノードとの間の1組の推定距離範囲を含む測距データを決定することと、無線ネットワークアーキテクチャの一環境における一連の相対位置を、無線ノード及び複数の無線センサノードと関連付けることと、を含む。
【0242】
第16の実施形態の別の実施形態では、本方法は、一連の相対位置の回転、平行移動、又はミラーリングのうちの少なくとも1つを調整して、これら一連の相対位置を無線ネットワークアーキテクチャの当該環境の物理的記述と整合させて、アンカー位置を設定することをさらに含む。
【0243】
第16の実施形態の別の実施形態では、本方法は、アンカー位置として設定されている無線ノード又は少なくとも1つの無線センサノードと、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードとの間で測距測定を実行することをさらに含む。
【0244】
第16の実施形態の別の実施形態では、本方法は、これらの測距測定値を使用して、位置が未知で固定されているか、又は移動する任意のノードの位置を特定するために、総当たり計算、三角測量、又は数理最適化アルゴリズムを実施することをさらに含む。
【0245】
「A又はBの少なくとも一方」という語句は、「Aのみ、Bのみ、又はAとBの両方」を意味すると理解されるべきである。「A及びBから構成されるグループより選択される少なくとも一方」という語句は、「Aのみ、Bのみ、又はAとBの両方」を意味すると理解されるべきである。「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」は、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、又はA、B、若しくはCの任意の組み合わせ」を意味すると理解されるべきである。
【0246】
上記の明細書では、本発明を、その特定の例示的な実施形態を参照して説明してきた。しかしながら、本発明のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正及び変更をなすことができることは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。