(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】バッテリーセルのための熱絶縁材及び火炎遮断体として有用な紙
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20241218BHJP
D21H 13/26 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
H01M50/204 401F
D21H13/26
(21)【出願番号】P 2021555622
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020022079
(87)【国際公開番号】W WO2020190588
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520028531
【氏名又は名称】デュポン セイフティー アンド コンストラクション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】カン ビョン サム
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-519656(JP,A)
【文献】特表2003-520310(JP,A)
【文献】特表2018-519195(JP,A)
【文献】特開平10-130496(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0312366(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
D21H 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー内のセル間火炎遮断体として使用するために適した紙であって、前記紙が、前記紙中のフィブリド及びマイカの全重量に基づいて
40~70重量パーセントのフィブリドと、
30~60重量パーセントのマイカと
を含み、
前記フィブリドが、前記フィブリド中のポリマー及びエーロゲル粉末の全重量に基づいて、
80~20重量パーセントのポリマーと、
20~80重量パーセントのエーロゲル粉末とのブレンドを含み、
100~4000マイクロメートルの厚さを有する、紙。
【請求項2】
前記紙中の前記フィブリド、マイカ、及びフロックの全重量に基づいて20重量パーセント
以下の量のフロックをさらに含む、請求項
1に記載の紙。
【請求項3】
前記ポリマーがアラミドである、請求項1
又は2に記載の紙。
【請求項4】
300~3000マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の紙。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の紙を含むバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーのための火炎遮断体及びセル間の難燃性熱絶縁材として有用な紙、並びに同紙を含むバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
電気車におけるリチウム-イオンバッテリー及びその他のバッテリーの使用の拡大に伴い、過熱及び火災を含む顕著なバッテリー不良の増加がある。火炎遮断体及び難燃性絶縁材がバッテリーセルを分離して、1つのセル内の過熱点及びホットスポットが、バッテリーパック全体に火災又は爆発をもたらし得る熱暴走を来すのを防ぐ必要がある。
【0003】
さらに、このような絶縁のためのいくつかの提案された材料は、バッテリーの製造に望ましくない特質を有する。いくつかの絶縁材料は粒子を脱粒する高い傾向があり、粉塵及び絶縁材の表面上に高速自動接着テープの適用を必要とする方法などの方法においてその他の問題を生じるという点で望ましくない。また、粒子の脱粒は、絶縁材の表面と接着テープとの間の接合に影響を与え、通常運転の間に大抵の電気車が受ける振動(路面の振動など)のために絶縁材の移動及び/又はミスアライメントを引き起こす。
【0004】
必要とされるのは、改良された熱絶縁材を提供し得るが、また、脱粒などの望ましくない特質を有さない、火炎遮断体構造物である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バッテリー内のセル間火炎遮断体として使用するために適した紙、及びその紙を含むバッテリーに関し、紙が、紙中のフィブリド及びマイカの全重量に基づいて
40~70重量パーセントのフィブリドと、
30~60重量パーセントのマイカとを含み、フィブリドが、フィブリド中のポリマー及びエーロゲル粉末の全重量に基づいて、
80~20重量パーセントのポリマーと、
20~80重量パーセントのエーロゲル粉末とのブレンドを含み、紙が、100~4000マイクロメートルの厚さを有する。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕バッテリー内のセル間火炎遮断体として使用するために適した紙であって、前記紙が、前記紙中のフィブリド及びマイカの全重量に基づいて
40~70重量パーセントのフィブリドと、
30~60重量パーセントのマイカと
を含み、
前記フィブリドが、前記フィブリド中のポリマー及びエーロゲル粉末の全重量に基づいて、
80~20重量パーセントのポリマーと、
20~80重量パーセントのエーロゲル粉末とのブレンドを含み、
100~4000マイクロメートルの厚さを有する、紙。
〔2〕前記フィブリドが、
60~40重量パーセントのポリマーと、
40~60重量パーセントのエーロゲル粉末とのブレンドを含む、前記〔1〕に記載の紙。
〔3〕50~60重量パーセントのフィブリドと、
40~50重量パーセントのマイカとを含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載の紙。
〔4〕前記紙中の前記フィブリド、マイカ、及びフロックの全重量に基づいて20重量パーセントもの量のフロックをさらに含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の紙。
〔5〕前記フロックがアラミドフロックである、前記〔4〕に記載の紙。
〔6〕前記アラミドフロックがポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)フロックである、前記〔5〕に記載の紙。
〔7〕前記ポリマーがアラミドである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の紙。
〔8〕前記アラミドが、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)である、前記〔7〕に記載の紙。
〔9〕300~3000マイクロメートルの厚さを有する、前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の紙。
〔10〕0.5~100MPaの引張り強度を有する、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の紙。
〔11〕0.015~0.05W/mKの熱伝導率を有する、前記〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の紙。
〔12〕前記〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の紙を含むバッテリー。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】フィブリドからのみ製造される紙の表面SEM写真画像であり、ここで、フィブリドはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドから製造された。
【
図2】フィブリドとエーロゲル粉末とからのみ製造される比較用の紙の表面SEM写真画像である。しかしながら、この紙は、エーロゲル粉末を全く使用せずにポリマーフィブリドを最初に製造することによって製造された。次に、エーロゲルを含まないポリマーフィブリドを適切な量のエーロゲル粉末と水中で単に混合して、紙を製造するための水性ヘッドボックス完成紙料を製造した。
【
図3】フィブリドからのみ製造される比較用の紙の表面SEM写真画像であり、ここで、フィブリドはポリマーフィブリドと活性炭とのブレンドから製造された。
【
図4】マイカとフィブリドとの組合せから製造される本発明の紙の表面SEM写真画像であり、ここで、フィブリドはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドから製造された。
【
図5】フィブリドからのみ製造されるいくつかの紙の熱伝導率のプロットであり、ここで、フィブリドはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドから製造され、フィブリド中の全エーロゲル粉末の異なる量が紙の熱伝導率に及ぼす影響を示す。
【
図6】フィブリドからのみ製造されるカレンダー処理又は高密度化された紙の断面図であり、ここで、フィブリドはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドから製造された。
【
図7】フィブリドからのみ製造されるカレンダー処理又は高密度化された紙の表面SEM写真画像であり、ここで、フィブリドはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドから製造された。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、バッテリー内のセル間火炎遮断体として使用するために適した紙に関し、紙は、マイカとフィブリドバインダーとを含有する紙であり、フィブリドバインダーはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドを含み、紙は、市販のマイカ紙よりも改良された絶縁性及びその他の特性を有する。
【0008】
紙は、紙中のフィブリド及びマイカの全重量に基づいて40~70重量パーセントのフィブリドと30~60重量パーセントのマイカとを含み、フィブリドが、フィブリド中のポリマー及びエーロゲル粉末の全重量に基づいて、80~20重量パーセントのポリマーと20~80重量パーセントのエーロゲル粉末とのブレンドを含み、紙は100~4000マイクロメートルの厚さを有する。
【0009】
複数セルバッテリー構造物は、並列又は直列のどちらかで配置されたバッテリーセルを有し、バッテリーブロック及びバッテリーパックとして一般的に知られている。これらの複数セルバッテリー構造物において、1つのセルにおける、欠陥又は故障などの異常な熱問題からの熱エネルギーは、隣接したセルに伝播し得る。熱問題が非常に重大である場合それらはセルからセルへと伝播し、バッテリーブロック又はパック内の全てのセルに連鎖的に起こり得る暴走熱条件を引き起こし得、火災をもたらすか又はもっと悪化し得る。
【0010】
「セル間の絶縁材」とは、熱絶縁材を提供する複数セルバッテリー構造物内の個々のバッテリーセル間に挿入される材料を含めることを意図する。すなわち、それらは、万一バッテリーセルが熱「ホットスポット」を生じるか又は爆発をもたらし得る、熱暴走などの異常な熱問題を有する場合、各々のバッテリーセルを熱的に単離すると共にまた、熱エネルギーの伝達を遅らせようとする。
【0011】
紙は、紙中のフィブリド及びマイカの全重量に基づいて40~70重量パーセントのエーロゲル含有フィブリドと30~60重量パーセントのマイカとの混合物を含む。過熱したセルから隣接するバッテリーセルを保護するために、より良い火炎遮断体及び難燃性絶縁材は、より高い温度で低い熱伝導率並びに高い寸法安定性を有する。熱イベントが起こるとき、過熱したセル温度は800℃及びそれ以上の温度まで上昇し得る。しかしながら、隣接セルは200℃以下に維持されるのがよい。したがって、隣接セル間の熱絶縁材は好ましくは、少なくとも800℃まで十分に熱的に安定している。
【0012】
この紙構造物において、マイカは火炎遮断及び寸法安定性を高める。マイカ板状体のフレーク形状は、異方性熱伝導率を有し(z方向の熱伝導率はx-y方向の熱伝導率の1/100である)、この特性は、紙の平面にわたって改良された熱絶縁を提供する。良い寸法安定性を提供するために紙中に少なくとも30重量パーセントのマイカが必要とされると考えられる。アラミドフィブリドはより高い温度(200℃以上)で著しく収縮するが、少なくとも30重量パーセントのマイカが紙構造物中で使用される場合、紙構造物は熱的に安定しており且つ本質的に収縮を有さない(200℃で+/-5パーセント以下の長さ又は幅の変化を意味する)ことが驚くべきことに見出された。いくつかの実施形態において、紙は、50~60重量パーセントのエーロゲル含有フィブリドと40~50重量パーセントのマイカとの混合物を含む。
【0013】
マイカは白雲母若しくは金雲母マイカ、又はそれらのブレンドを含み、か焼又は未か焼マイカであり得る。本明細書中で用いられるとき、「か焼マイカ」は、天然マイカを高温(通常、800℃超、場合により950℃超)に加熱することによって得られるマイカを意味する。この処理は、水及び不純物を取り除き、マイカの温度耐性を改良する。か焼マイカは、通常、フレーク粒子の形態で使用され、白雲母タイプのマイカが好ましい。本明細書中で用いられるとき、「未か焼マイカ」は、好ましくは均質化及び精製して欠陥及び不純物を取り除いた本質的に高純度の自然形態であるマイカを意味する。未か焼マイカは、天然マイカフレークのより大きいサイズのために非常に多孔性のマイカ層を形成することができる。好ましいマイカは、未か焼マイカを超えるその改良された誘電特性及び耐コロナ性のために、か焼マイカである。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語フィブリドは、それらの3つの寸法の少なくとも1つが最大の寸法に比べて規模が小さい、非常に小さい非粒状、繊維質又はフィルム状の粒子を意味する。これらの粒子は、例えば、米国特許第2,988,782号明細書及び米国特許第2,999,788号明細書に開示されるように、高い剪断下で非溶媒を用いて支持材料の溶液を沈殿させることによって調製される。アラミドフィブリドは、320℃を超える融点又は分解点を有する芳香族ポリアミドの非粒状フィルム状粒子である。好ましいアラミドフィブリドは、メタ-アラミドフィブリドであり、特に好ましいのは、メタ-アラミドポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)から製造されるフィブリドである。
【0015】
フィブリドは、一般的に、約5:1~約10:1の長さ対幅のアスペクト比で約0.1mm~約1mmの範囲内の最大寸法長さを有する。厚み寸法は、数分の一ミクロン、例えば約0.1ミクロン~約1.0ミクロンのオーダーである。必須ではないが、アラミドフィブリドが未乾燥状態である間にフィブリドを紙中に混入することが好ましい。本明細書中で用いられるとき、「フィブリド」及び「フィブリドバインダー」は互換的に使用される。
【0016】
フィブリドは、フィブリド中のポリマー及びエーロゲル粉末の全重量に基づいて80~20重量パーセントのポリマーと20~80重量パーセントのエーロゲル粉末とのブレンドを含む。エーロゲル粉末は、高表面積(600~800m2/g)を有する多孔性構造物である。フィブリド内のエーロゲル粉末を固めるためにポリマー対エーロゲルポリマーの特定の比が必要とされる。エーロゲル粉末とポリマーとの間の適切な接合がなければ、固められていないエーロゲル粉末は製紙プロセスの間に気泡形成及び塵粒生成をもたらし得る。したがって、エーロゲル粉末を十分に固めるために必要とされる最小量のポリマーは20重量パーセントであると考えられる。同じく、所望のより低い熱伝導率を提供するためにフィブリド構造物内に少なくとも少なくとも20重量パーセントのエーロゲル粉末が必要とされる。いくつかの実施形態において、フィブリドは、60~40重量パーセントのポリマーと40~60重量パーセントのエーロゲル粉末とのブレンドを含む。
【0017】
エーロゲルとは、ゲルから得られる多孔性超軽量合成材料を意味し、ここで、ゲルの液体成分は気体で置き換えられている。結果は、極低密度及び低い熱伝導率を有する固体である。エーロゲルは、様々な化合物から製造され得るが、シリカエーロゲルは、好ましい且つ最も一般的なタイプのエーロゲルである。
【0018】
本明細書中で用いられるとき、用語「エーロゲル」、「エーロゲル粉末」、及び「エーロゲル粒子」は互換的に使用され、10ナノメートル~50マイクロメートル(0.00001~0.05ミリメートル)の粒径範囲、好ましくは0.05~20マイクロメートルの粒径範囲を有する高多孔性、疎水性、高表面積、好ましくは非晶質シリカ粒子又は粒体である好ましいエーロゲルを意味する。一般的には、それらは一般的なヒュームドシリカ製品と化学的に似ているが、より高い多孔度(>95%)、より低い密度(0.03~0.1g/cm3)、小さな平均細孔直径(20nm)、より低い熱伝導率(0.017~0.022W/mK)、より高い表面積(600~800m2/g)など、より大きい凝集体サイズ、より高い表面積及びより大きい細孔体積を有し、一般的にゾルゲル製造プロセスで製造される。エーロゲルを記載する先駆的な特許には、Kistlerに対する米国特許第2,093,454号明細書、第2,188,007号明細書、及び第2,249,767号明細書が含まれ、Joungらに対する米国特許第8,518,335号明細書及び第8,961,919号明細書などのさらに最近の開示が利用できる。
【0019】
図1は、フィブリドからのみ製造される紙の表面SEM写真画像であり、ここで、フィブリドはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドから製造された。この場合紙は、全体にわたり50重量パーセントのMPD-Iポリマーと50重量パーセントのエーロゲル粉末とを有する。すなわち、ポリマーとエーロゲル粉末との混合物を含有するポリマー溶液を、非溶媒、典型的に水の存在下でポリマー溶液を攻撃的に剪断するフィブリデイター(fibridator)又は他のデバイスに供し、ポリマーとエーロゲル粉末との混合物からフィブリドを製造した。次に、これらのフィブリド、又はフィブリドを含有するフィブリドを製造するために使用される分散体を使用して、水性ヘッドボックス完成紙料を製造する。次に、完成紙料は他の添加剤を有することができ、水を添加するか又は除去して所望の粘稠度を得ることができる。エーロゲル含有フィブリドの分散体を含有する完成紙料をスクリーンに提供し、すなわちその上に流し込み、分散体の固形分から紙を製造する。
【0020】
図1は、10マイクロメートルの倍率でエーロゲル粒子の周りの相互作用又はフィブリド形成を驚くべきことに示す。エーロゲル粒子1は、ポリマーの触毛(tentacles)2によって紙中の所定の位置に保持され、紙構造物中のエーロゲルとフィブリドとの間にウェブ状連結を形成する。これは、粉塵を生じる可能性が全くないか又は低減した紙を提供する。さらに、紙の表面は、シート中のエーロゲル粒子の改良された付着を表す、平滑な、ざらざらしていない触感を有する。
【0021】
図2は、フィブリドとエーロゲルポリマーとからのみ製造される比較用の紙の表面SEM写真画像であり、紙はまた、全体にわたり50重量パーセントのMPD-Iポリマーフィブリドと50重量パーセントのエーロゲル粉末とを有する。しかしながら、この紙は、エーロゲルを全く使用せずにポリマーフィブリドを最初に製造することによって製造された。その場合には、エーロゲルを含まないポリマーフィブリドを適切な量のエーロゲル粉末と水中で単に混合して、水性ヘッドボックス完成紙料を製造した。すなわち、次いで、水中のフィブリドとエーロゲル粒子との分散体をスクリーンに供して紙を製造した。10マイクロメートルの倍率の写真画像に見られるように、フィブリド4へのエーロゲル粒子3の測定可能な接合は存在していない。したがって、エーロゲル粒子粉塵が紙によって形成されるのを防ぐことはほとんどできない。さらに、紙の表面は、エーロゲル粒子の付着がないことを示す、粗い、ざらざらした触感を有した。
【0022】
図3はフィブリドからのみ製造される比較用の紙の表面SEM写真画像であり、ここで、フィブリドはポリマーと活性炭とのブレンドから製造され、フィブリドはまた、全体にわたり50重量パーセントのMPD-Iポリマーフィブリドと50重量パーセントの活性炭粉末とを有する。活性炭は、Calgon Carbon Corp.of Pittsburg,Paから得られるタイプPCB-Gであった。この紙は、
図1に示される紙と同様なプロセスによって製造され、すなわち、ポリマーとカーボンブラック粉末との混合物を含有するポリマー溶液をフィブリデイターに供し、フィブリドを混合物から製造し、次に、カーボンブラックを含有するこれらのフィブリドを使用して水性ヘッドボックス完成紙料を製造した。すなわち、次いで、水中のカーボンブラック含有フィブリドの分散体をスクリーンに供して紙を製造した。表面SEM写真画像は、この紙の表面構造がエーロゲル含有フィブリド紙と非常に異なっていることを示す。活性炭5は、ポリマーの触毛によって付着されるのではなく、Bairに対する米国特許第5,482,773号明細書に記載されているようにフィブリドポリマーによって封入される。これは、エーロゲルポリマーの低い密度はそれらの粒子をポリマー構造物に活性炭よりもずっと強く付着させることを示すと考えられる。
【0023】
図4は、マイカ7とフィブリドとの組合せから製造される本発明の紙の表面SEM写真画像であり、フィブリドは、ポリマーとエーロゲル粉末6とのブレンドから製造されている。エーロゲル粒子はポリマーの触毛によって所定の位置に保持され、紙構造物中のエーロゲルとフィブリドとの間にウェブ状連結を形成する。マイカフレークはエーロゲル粒子よりも数桁大きいので、この画像は50マイクロメートルの倍率で示されている。
【0024】
紙は、100~4000マイクロメートルの(0.1~4ミリメートル)の厚さを有する。セル(パウチ又は角型セルのどちらか)間の最小間隙はほぼ0.1mmであり、現在のバッテリー設計の規準を可能にすると共に、バッテリーセル及びモジュールの設計者は、電気車内の限られた空間のためにバッテリーパック設計を可能な限り小型化する。したがって、2つのセル間の4mm超の間隙は一般的に望ましくない。いくつかの実施形態において、紙は300~3000マイクロメートルの(0.3~3ミリメートル)の厚さを有する。いくつかの実施形態において、紙は50~500グラム/平方メートルの基本重量を有することができる。いくつかの実施形態において、紙は100~300グラム/平方メートルの基本重量を有する。
【0025】
任意選択の実施形態として、マイカとエーロゲル粉末フィブリドバインダーとを含有する紙はさらに、紙中のフィブリド、マイカ、及びフロックの全重量に基づいて20重量パーセントもの量(すなわち0~20重量パーセント)で存在しているフロックを含むことができる。いくつかの実施形態において、紙中のフィブリド、マイカ、及びフロックの全重量に基づいて、紙中に5~15重量パーセントのフロックが望ましい。
【0026】
本明細書で使用されるとき用語フロックは、短かい長さを有し、湿式敷設されたシート及び/又は紙の調製において通例使用されている繊維を意味する。典型的には、フロックは約3~約20ミリメートルの長さを有する。フロックの好ましい長さは、約3~約7ミリメートルである。フロックは、通常、当該技術分野で公知の方法を使用して必要とされる長さに連続繊維を切断することによって製造される。好ましいフロックはアラミドフロック、すなわち、アラミドポリマー繊維から製造されるフロックである。好ましいアラミドフロックは、ポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)フロックである。
【0027】
本明細書で使用されるとき用語アラミドは、アミド(-CONH-)結合の少なくとも85%が直接2つの芳香族環に結合している芳香族ポリアミドを意味する。添加剤がアラミドとともに使用され得、ポリマー構造全体にわたり分散されていてもよい。最大で約10重量パーセントもの他の支持材料をアラミドとブレンドできることが発見された。アラミドのジアミンを置換する約10パーセントもの他のジアミン、又はアラミドの二酸塩化物を置換する約10パーセントもの他の二酸塩化物を有するコポリマーを使用できることも発見された。
【0028】
フィブリド及び任意選択のフロックの両方について好ましいポリマーはアラミドポリマーであり、具体的にはフィブリド及び任意選択のフロックの両方について好ましいのはメタ-アラミドポリマーである。アラミドポリマーは、2個の環又はラジカルが分子鎖に沿って互いに対してメタ位に方向付けられるときにメタ-アラミドであると考えられる。フィブリド及び任意選択のフロックの両方について好ましいメタ-アラミドは、ポリ(メタ-フェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)である。米国特許第3,063,966号明細書、米国特許第3,227,793号明細書、米国特許第3,287,324号明細書、米国特許第3,414,645号明細書及び米国特許第5,667,743号明細書は、アラミドフロックを製造するために使用され得るアラミド繊維を製造するための有用な方法を説明している。
【0029】
代わりに、アラミドフロックは、パラ-アラミド又はアラミドコポリマーであり得る。アラミドポリマーは、2個の環又はラジカルが分子鎖に沿って互いに対してパラ位に方向付けられるときにパラ-アラミドであると考えられる。パラ-アラミド繊維を製造するための方法は、一般的に、例えば米国特許第3,869,430号明細書、米国特許第3,869,429号明細書及び米国特許第3,767,756号明細書に開示されている。1つの好ましいパラ-アラミドは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)であり、1つの好ましいパラ-アラミドコポリマーは、コポリ(p-フェニレン/3,4’ジフェニルエステルテレフタルアミド)である。
【0030】
具体的には、製紙機において、エーロゲル含有フィブリド及びマイカ並びに任意選択のフロックを含む本発明の紙を作製するための商業的に適切なプロセスは、マイカ及び繊維材料を所望の量及び比率で含有する水性分散体を製紙機のヘッドボックスに入れ、次いでこれらの固形物をウェブとして製紙ワイヤーに均一に湿式敷設して分散し、液体の水の大部分を除去することを含み得る。次いで、湿潤したウェブを乾燥機のドラム上で乾燥させて紙を形成することができる。いくつかの実施形態において、紙を加圧及び加熱下でホットロールカレンダーのニップにおいて又は他の手段によってさらにカレンダー処理又は加圧して、紙を所望の厚さ及び特性を有する層に固めて高密度化することができる。必要ならば、同じ組成の2つ以上のより軽い基本重量又はより薄い湿潤ウェブを別々に製造し、そして次に一緒にカレンダー処理して単一層に固めることができる。
【0031】
図6及び7は、それぞれ、500マイクロメートルの倍率及び10マイクロメートルの倍率の、フィブリドからのみ製造されるカレンダー処理された紙(ここで、フィブリドはポリマーとエーロゲル粉末とのブレンドから製造される)のそれぞれ断面図及び表面図である。エーロゲル粒子の周りの驚くべき相互作用又はフィブリド形成の少なくとも一部が、高密度化後にシートに維持されることを示す。エーロゲル粒子11はポリマーの触毛12によって紙内に所定の位置に保持され、紙構造物中のエーロゲルとフィブリドとの間にウェブ状連結を形成する。
【0032】
紙を作製するために使用され得る代表的な装置及び機械装置には、例えば、これらに限定されないが、長網抄紙機若しくは傾斜ワイヤー機などの連続加工装置、又は成形スクリーンを含むハンドシートの型において手作業で紙を作製する装置などのバッチ加工装置が含まれる。アラミド材料を紙に形成する一般的なプロセスにおいて、Grossの米国特許第3,756,908号明細書及びHeslerらの米国特許第5,026,456号明細書を参照することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、紙は、0.5~100メガパスカル(MPa)の引張り強度を有する。いくつかの用途において、紙は、少なくとも15メガパスカル以上の引張り強度を有するのが望ましい。例えば、紙は、セル巻きプロセス(集電体、アノード及びカソードとともにセパレーターを巻くこと)を含み得るいくつかのバッテリー製造プロセスに耐えるために、このレベルの引張り強度を必要とすると考えられる。また、引張り強度は、使用中のセパレーターの火炎遮断に寄与する。100メガパスカルを超える紙の引張り強度は、悪影響を及ぼさないが、パラメータは、値が減少する点に到達する。したがって、いくつかの好ましい実施形態では、紙は、15~50メガパスカルの引張り強度を有する。いくつかの実施形態では、紙は、15~100メガパスカルの引張り強度を有する。
【0034】
いくつかの実施形態において、紙は、0.015~0.05ワット/メートルケルビン(W/mK)の熱伝導率を有する。熱伝播を有効に防ぐために、バッテリー運転温度(-40℃~80℃)などの広範囲の運転温度にわたって且つ熱ホットスポット温度(800℃~1,000℃)まで安定している低めの熱伝導率を有する紙が好ましい。いくつかの実施形態において、紙は、0.015~0.04W/mKの熱伝導率を有する。
【0035】
いくつかの実施形態において、マイカとエーロゲル含有フィブリドとを含む厚さ1mm(+/-30%)の紙は、熱性能保護試験(TPP)によって測定されるとき2度の火傷相当まで少なくとも10秒のTPP火炎性能を示し、いくつかの実施形態において、その紙は、2度の火傷相当まで少なくとも12秒のTPP火炎性能を示す。
【0036】
マイカとエーロゲル含有フィブリドとの組合せから得られる紙の熱的及び機械的特性に及ぼす、相乗効果があると考えられる。本発明の紙は、マイカ含有量の増加によって耐電圧の確実な増加を示すが、また、機械的強度及び靭性(引張り強度及び伸び)の確実な減少も示す。しかしながら、フィブリド中のエーロゲル粉末の量の増加は、熱絶縁を改良し(熱伝導率の低下)並びにより良い火炎保護(TPP)をもたらす。いくつかの場合、マイカとエーロゲル含有フィブリドとの組合せを含有する本発明の紙は、単にマイカ、エーロゲル、及びフィブリドを一緒に混合し、製紙することによって製造された紙と比べたとき2倍の熱保護(TPP)を提供しながらほぼ半分の熱伝導率(すなわち2倍の絶縁特性)を有する。これらの著しい特性並びに脱粒問題における著しい改良は、これらの紙がバッテリー熱絶縁材及び火炎遮断体(セル間、セル-モジュール間、モジュール及びパック内部等)として使用するために適していることを示す。
【0037】
本明細書に記載の紙を含むバッテリーは、セル間の絶縁材として紙を使用することによって製造することができる。すなわち、複数セルバッテリー構造物内の個々のバッテリーセル間に紙を挿入して、個々のバッテリーセル間に火炎遮断体及び熱絶縁材を提供する。代表的なバッテリーの型には、限定されないが、バッテリーブロック及びバッテリーパックとして一般的に知られている並列又は直列のどちらかで配置されたバッテリーセルを有する複数セルバッテリー構造物が含まれる。しかしながら、記載の紙が各々のバッテリーセルを熱的に単離すると共に1つのセルから別のセル又は構造物への熱エネルギー及び/又は火炎の移動を遅らせることを意図していることにより、この紙を含む他のバッテリーが可能である。
【0038】
試験方法
以下の試験方法が、以下に提供される実施例において使用された。
【0039】
厚さを5N/cm2の重量を使用してTAPPI411に従って測定し、mm単位で記録した。
【0040】
基本重量をASTM D 645及びASTM D 645-M-96に従って測定し、g/m2単位で記録した。
【0041】
引張り強度は、幅2.54cmの試験片及び18cmのゲージ長を使用してASTM D 828-93に従って測定され、N/cm又はMPa単位で記録された。
【0042】
耐電圧をASTM D D149-97Aに従って測定し、kV/cm単位で記録した。
【0043】
熱伝導率をASTM E1530に従って測定し、W/mK単位で記録した。
【0044】
熱性能保護試験(TPP)は、材料の布地及びシートの可燃性性能の尺度であり、放射熱と対流熱との組合せに曝される現実的な条件を提供する。試料は、火炎に典型的な状況に曝される:84kW/m2(2cal/cm2/秒)の一定の熱流束で50%の放射熱と50%の対流熱との一定の組合せ。次いで、この試験では、布地の裏側に伝達される温度及びエネルギーが、材料が摩耗していた場合、2度の火傷に相当するレベルに達するまでの経過時間と、表面積当たりの熱エネルギー量(TPP値)とを測定する。使用されるTPP試験方法は、80kW/m2の熱流束暴露を用いる試験方法標準(ISO17492)としてISOによって採用されている試験方法である。しかしながら、US NFPA1971標準は、84kW/m2の変更された、増加された熱流束暴露で実施されるISO17492試験を必要とし、このより高めの熱流束がここで用いられる。
【実施例】
【0045】
実施例1
より低い熱伝導率及びより高い耐燃性を有するエーロゲル-アラミドフィブリド紙を製造した。65重量部の溶媒ジメチルアセトアミド、15重量部のポリ(メタフェニレンイソフタルアミド)(MPD-I)ポリマー、溶解性促進剤として5重量部の塩化カルシウム、及び15重量部のエーロゲル粉末(Boston,MAのCabot Corp.から得られるタイプIC 3100 Enova(登録商標)エーロゲル)をケトル内で、均一な混合物が得られるまで撹拌しながら配合することによって、エーロゲル粉末粒子を含有する溶媒中のポリマーの分散体を製造した。次に、混激しく撹拌するワーリングブレンダー内に混合物をゆっくりと流し込み、それは同時に、ポリマーを溶媒から膜状フィブリドに凝固させ、ここで、MPD-Iポリマー及びエーロゲル粉末は1:1比で存在しており、品目1-1と呼ばれる。得られたフィブリドを湿式敷設された紙としてブフナー漏斗上に集め、全てのフィブリドが漏斗内へと十分に洗浄されるまで、脱イオン水で洗浄した。次に、紙を乾燥させ、乾燥された紙は平滑な、脱粒のない表面を示した。
図1に示されるように、エーロゲル粉末粒子は、粒子の周りのポリマーの触毛によってフィブリドに固定された。
【0046】
これをさらに3回繰り返したが、ただし、エーロゲル粉末の量を各回で低減して1.0:0.75、1:0:0.5、及び1:0.25のMPD-Iポリマー:エーロゲル比を有するフィブリドを形成し、それらはそれぞれ品目1-2、1-3、及び1-4と呼ばれた。シリケートの異なった量、したがって全ての4つのフィブリド試料中に固定されたエーロゲルの量を分析するために、空気中で高解像度のTA測定器Q500TGA(40-700C)を使用して全ての品目についてTGA熱重量分析(TGA)を行なった。エーロゲル粉末粒子がフィブリドポリマー中に固定されたことを示す結果が表1に示される。
【0047】
【0048】
次に、直径2インチの積層試料上で2.45kgの圧力を使用して非定常平面熱源(TPS1500)を使用する薄膜方法によってこれらの紙試料について熱伝導率を測定した。エーロゲル粒子が複合構造物の熱伝導率(TC)に及ぼす効果は、エーロゲルを含まない(0wt%)ポリマーフィブリドの対照紙試料と比較して、
図5のグラフに示される。40重量パーセントをわずかに超えるエーロゲル粒子を加えることによって熱伝導率が0.054W/mKから0.028W/mKに低下することがわかった。
【0049】
実施例2
マイカとエーロゲル含有MPD-Iフィブリドとの両方を含有する紙を製造し、この紙はより低い熱伝導率及びより高い耐燃性を有する。実施例1におけるように4つの別個の水性分散体を製造し、各々が実施例1の4つのフィブリド試料のうちの1つを含有する。か焼マイカフレークの量を秤量し、各々の分散体に別々に添加した。マイカは、Electrical Samica Flake Co.,Rutland,Vermontから入手可能な白雲母タイプであった。さらに、対照ハンドシートのために、エーロゲルを含まないフィブリド(100%MPD-Iフィブリド)、マイカ、及びエーロゲル粉末を配合することによって別の分散体を製造した。本発明の紙及び比較紙の各々の成分の相対量が表2に記載される。
【0050】
【0051】
各々の水性分散体を8リットルの水とともに21×21cmのハンドシートの型に注ぎ、2-1~2-4と呼ばれる4つの湿式敷設されたシート紙を形成した。次いで、ハンドシートを2枚の吸い取り紙間に別々に置き、綿棒を用いて手でカウチし(hand couched)、ハンドシート乾燥機において150℃で10分間乾燥させた。乾燥された紙は、平滑な、脱粒のない表面を示した。(試験方法において説明される)ハンドシートの物理的及び熱的特性が表3に示される。
【0052】
比較例A
比較紙Aは、水中で2グラムのエーロゲル粉末と、米国特許第3,756,908号明細書に一般的に説明される方法で製造される、エーロゲルを含まないMPD-Iフィブリド4グラムと、4グラムのか焼マイカフレークとを組み合わせて水性分散体を形成することによって作製された。次に、実施例2におけるように水性分散体を使用してハンドシートを形成した。乾燥された紙は、ざらざらした、脱粒表面を示した。物理的及び熱的特性を表3に示す。乾燥された紙のTGA(熱重量分析)は、約1.75グラムの重さのエーロゲル粒子の残量が残っていることを示し、それは製紙プロセスの間にほぼ30%の元のエーロゲル粉末が失われたことを意味する。表3のデータは、マイカとエーロゲル含有フィブリドとの組合せから得られる紙の熱的及び機械的特性に及ぼす相乗効果を示す。この紙は、マイカ含有量の増加によって耐電圧の確実な増加を示すが、また、機械的強度及び靭性(引張り強度及び伸び)の確実な減少も示す。しかしながら、フィブリド中のエーロゲル粉末の量の増加は、熱絶縁を改良し(熱伝導率の低下)並びにより良い火炎保護(TPP)をもたらす。比較例A及び実施例2~3の紙は両方とも、20重量パーセントのエーロゲル粉末を使用して製造された。しかしながら、実施例2~3の紙は、比較例Aの紙のほぼ半分の熱伝導率(すなわち2倍の絶縁特性)及び2倍の熱保護(TPP)を有する。これらの著しい特性並びに脱粒問題における著しい改良は、これらの紙がバッテリー熱絶縁材及び火炎遮断体(セル間、セル-モジュール間、モジュール及びパック内部等)として使用するために適していることを示す。
【0053】
【0054】
実施例3
実施例2を繰り返したが、10重量パーセントのマイカ並びにNomex(登録商標)フロック(DuPont Co.,Wilmington,DEから入手可能な線密度0.22tex及び長さ0.64cmのNomex(登録商標)繊維)以外は実施例2-2の場合と全く同様に、フロックをさらに有する3-1と呼ばれるマイカ及びエーロゲル含有フィブリド紙を製造した。フロックを加えることによって0.025W/mKまで熱伝導率の改良を助長したが、耐電圧は200kV/cmまでわずかに減少した。
【0055】
次に、3-2、3-3、及び3-4として示されている、様々な組成のさらに3つのマイカ、エーロゲル含有フィブリド、及びフロックを含有する紙を同様な方法で製造し、火傷性能について試験した。全ての乾燥された紙が平滑な、脱粒のない表面を示した。組成及び試験結果を表4に示す。
【0056】