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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-17
(45)【発行日】2024-12-25
(54)【発明の名称】タイプIV圧力容器用のエンドボス
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/06 20060101AFI20241218BHJP
   F16J 12/00 20060101ALI20241218BHJP
【FI】
F17C1/06
F16J12/00 Z
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021577417
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 US2020070213
(87)【国際公開番号】W WO2020264585
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】62/867,910
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518392026
【氏名又は名称】リナマー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】コバレフスキー,ウラジーミル
(72)【発明者】
【氏名】サンチェス,ジョーダン
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-332084(JP,A)
【文献】特開2010-266029(JP,A)
【文献】特表2018-519480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/06
F16J 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体および/またはガスを圧力下で収容するための圧力容器であって、
ポリマーライナの第1の末端と第2の末端との間に延びる対向する内面および外面を有する細長いシリンダ壁によって画定される中空本体を含むポリマーライナであって、前記ポリマーライナの前記第1の末端の近くの入口開口を含み、前記入口開口が前記ポリマーライナのフレアエッジによって画定される、ポリマーライナと、
樹脂および繊維を含む外側複合シェルであって、前記ポリマーライナの外周を囲む外側複合シェルと、
ボスを軸方向に通過するボアを有するボスであって、前記ボアが内面を有するシリンダ壁によって画定され、前記ボアが前記圧力容器の内部と流体連通する、ボスと、
を含み、
前記ボスは、対向する内側支承面および外側支承面を備えたシャンクを有し、前記内側支承面は、前記ポリマーライナの前記外面に向けて配向され、前記外側支承面は、前記外側複合シェルに向けて配向され、
前記シャンクは、前記シャンクに固定結合され、前記外側支承面から遠く半径方向に突出する複数のスパイクを含み、前記複数のスパイクのそれぞれは、前記外側複合シェルの中に少なくとも部分的に埋め込まれ、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、前記ボスに固定結合され、
前記外側複合シェルは、編組繊維ストランドの層を形成するために、前記ポリマーライナと前記ボスの前記シャンクとのまわりに複数の繊維ストランドを編組することによって形成され、
前記複数の繊維ストランドのそれぞれは、複数の繊維フィラメントを含み、前記複数の繊維ストランドの前記それぞれは、公称ストランド幅を有し、
隣接するスパイクの各対は、それぞれのスパイク先端を有し、少なくとも前記公称ストランド幅によって離隔される、
液体および/またはガスを圧力下で収容するための圧力容器。
【請求項2】
前記複数のスパイクは、4つ以上のスパイクを含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
前記複数のスパイクの少なくとも第1の部分は、前記シャンクの外周のまわりに隔置される第1の列のスパイクを形成する、請求項2に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記複数のスパイクは、前記シャンクの前記外周上の少なくとも1つのゾーンを横切って分配される、請求項2に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記複数のスパイクは、前記シャンクの前記外周上の2つ以上のゾーンを横切って分配され
前記2つ以上のゾーンは、前記シャンクの前記外周上に離隔される、請求項4に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記複数のスパイクの第2の部分は、前記シャンクの前記外周のまわりに隔置される第2の列のスパイクを形成し、
前記第2の列のスパイクは、前記第1の列のスパイクから前記ボスの軸方向に離隔される、請求項3に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記第2の列のスパイクの各スパイクは、前記第1の列のスパイクの前記スパイクから円周方向にオフセットしている、請求項6に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記複数のスパイクの第2の部分は、前記シャンクの前記外周のまわりに隔置される第2の列のスパイクを形成し、
前記第2の列のスパイクは、前記第1の列のスパイクから前記ボスの軸方向に離隔され、
前記第1の列のスパイクと前記第2の列のスパイクとは、少なくとも前記公称ストランド幅の前記ボスの軸方向距離によって離隔される、請求項3に記載の圧力容器
【請求項9】
前記複数のスパイクの各スパイクは、スパイク基部と前記スパイクのスパイク先端との間に画定されるスパイク主要本体を有し、前記スパイク基部は、前記シャンクに固定結合され、
前記複数のスパイクの各スパイクの前記スパイク先端は、前記公称ストランド幅より小さい最大幅を有し、
前記複数のスパイクの各スパイクの前記スパイク主要本体は、前記公称ストランド幅より小さい最大幅を有する、請求項3に記載の圧力容器
【請求項10】
前記複数のスパイクの各スパイクは、約0.2mmから約2.0mmの間の最大断面幅を有する、請求項9に記載の圧力容器
【請求項11】
前記複数のスパイクの各スパイクは、前記スパイク基部と前記スパイク先端との間に画定されるスパイク長さを有し、前記スパイク長さは、約0.5mmから約5mmの間である、請求項10に記載の圧力容器
【請求項12】
前記複数のスパイクの各スパイクの前記スパイク基部は、前記ボスの前記シャンクに溶接および/または接着される、請求項11に記載の圧力容器
【請求項13】
前記複数のスパイクの各スパイクは、前記ボスの前記シャンクの穴の中に圧入される、請求項11に記載の圧力容器
【請求項14】
前記複数のスパイクのうちの少なくとも1つのスパイクは、前記スパイク基部から遠く軸方向に突出するピンを含み、前記ピンは、前記ボスの前記シャンクの穴の中に圧入されるように構成される、請求項13に記載の圧力容器
【請求項15】
前記複数のスパイクのうちの少なくとも1つのスパイクは、シリンダ形状スパイクである、請求項11に記載の圧力容器
【請求項16】
前記複数のスパイクのうちの少なくとも1つのスパイクは、四面体形状スパイクである、請求項11に記載の圧力容器
【請求項17】
前記複数のスパイクのうちの少なくとも1つのスパイクは、4つ以上の側面を有するピラミッド形状スパイクである、請求項11に記載の圧力容器
【請求項18】
前記複数のスパイクのうちの少なくとも1つのスパイクは、円錐形状スパイクである、請求項11に記載の圧力容器
【請求項19】
前記複数のスパイクのうちの少なくとも1つは、丸いスパイク先端を有する、請求項11に記載の圧力容器
【請求項20】
前記ボスは、前記ボスの外側部分に形成されたフランジ肩部を含み、
前記フランジ肩部は、前記外側複合シェルに当接する、請求項3に記載の圧力容器
【請求項21】
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、輪郭付きネックを形成するために、前記ボスの前記ボアの中に軸方向に延び、
前記ポリマーライナは、前記ボスの前記ボアの前記内面に固定結合される、請求項3に記載の圧力容器
【請求項22】
前記ボスの前記ボアは、前記ボスの前記内面に形成された内側シリンダネック部と、前記内側シリンダネック部に隣接する前記ボスの前記内面に形成されたボスコーン面と、を含み、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、前記輪郭付きネックを形成するために、前記ボスの前記ボアの中に軸方向に延び、前記ポリマーライナの前記輪郭付きネックは、前記ボスの前記内側シリンダネック部および前記ボスコーン面に実質上適合するコーン形状フレアエッジを形成するために、外方に曲がるシリンダネック領域を含む、請求項21に記載の圧力容器。
【請求項23】
前記圧力容器は、前記ボスの前記ボアの内部に嵌合および係合するように形状付けされたシールインサートを含み、前記シールインサートは、前記ボスコーン面と雌雄嵌合式に係合するように構成されたコーン面を有し、
前記シールインサートが前記ボスの前記ボアと係合するとき、前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、前記シールインサートの前記コーン面と、前記ボスの前記ボスコーン面と、の間で半径方向に圧縮される、請求項22に記載の圧力容器
【請求項24】
液体および/またはガスを圧力下で収容するための圧力容器であって、
ポリマーライナの第1の末端と第2の末端との間に延びる対向する内面および外面を有する細長いシリンダ壁によって画定される中空本体を含むポリマーライナであって、前記ポリマーライナの前記第1の末端の近くの入口開口を含み、前記入口開口が前記ポリマーライナのフレアエッジによって画定される、ポリマーライナと、
樹脂および繊維を含む外側複合シェルであって、前記ポリマーライナの外周を囲む外側複合シェルと、
ボスを軸方向に通過するボアを有するボスであって、前記ボアが内面を有するシリンダ壁によって画定され、前記ボアが前記圧力容器の内部と流体連通する、ボスと、
を含み、
前記ボスは、対向する内側支承面および外側支承面を備えたシャンクを有し、前記内側支承面は、前記ポリマーライナの前記外面に向けて配向され、前記外側支承面は、前記外側複合シェルに向けて配向され、
前記シャンクは、前記シャンクに固定結合され、前記外側支承面から遠く半径方向に突出する複数のスパイクを含み、前記複数のスパイクのそれぞれは、前記外側複合シェルの中に少なくとも部分的に埋め込まれ、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、前記ボスに固定結合され、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、輪郭付きネックを形成するために、前記ボスの前記ボアの中に軸方向に延び、
前記ポリマーライナは、前記ボスの前記ボアの前記内面に固定結合され、
前記ボスの前記ボアは、前記ボスの前記内面に形成された内側シリンダネック部と、前記内側シリンダネック部に隣接する前記ボスの前記内面に形成されたボスコーン面と、を含み、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、前記輪郭付きネックを形成するために、前記ボスの前記ボアの中に軸方向に延び、前記ポリマーライナの前記輪郭付きネックは、前記ボスの前記内側シリンダネック部および前記ボスコーン面に実質上適合するコーン形状フレアエッジを形成するために、外方に曲がるシリンダネック領域を含み、
前記ボスコーン面は、前記ボスコーン面を横切って延びる1つまたは複数のリッジを有する、
液体および/またはガスを圧力下で収容するための圧力容器
【請求項25】
液体および/またはガスを圧力下で収容するための圧力容器であって、
ポリマーライナの第1の末端と第2の末端との間に延びる対向する内面および外面を有する細長いシリンダ壁によって画定される中空本体を含むポリマーライナであって、前記ポリマーライナの前記第1の末端の近くの入口開口を含み、前記入口開口が前記ポリマーライナのフレアエッジによって画定される、ポリマーライナと、
樹脂および繊維を含む外側複合シェルであって、前記ポリマーライナの外周を囲む外側複合シェルと、
ボスを軸方向に通過するボアを有するボスであって、前記ボアが内面を有するシリンダ壁によって画定され、前記ボアが前記圧力容器の内部と流体連通する、ボスと、
を含み、
前記ボスは、対向する内側支承面および外側支承面を備えたシャンクを有し、前記内側支承面は、前記ポリマーライナの前記外面に向けて配向され、前記外側支承面は、前記外側複合シェルに向けて配向され、
前記シャンクは、前記シャンクに固定結合され、前記外側支承面から遠く半径方向に突出する複数のスパイクを含み、前記複数のスパイクのそれぞれは、前記外側複合シェルの中に少なくとも部分的に埋め込まれ、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、前記ボスに固定結合され、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、輪郭付きネックを形成するために、前記ボスの前記ボアの中に軸方向に延び、
前記ポリマーライナは、前記ボスの前記ボアの前記内面に固定結合され、
前記ボスの前記ボアは、前記ボスの前記内面に形成された内側シリンダネック部と、前記内側シリンダネック部に隣接する前記ボスの前記内面に形成されたボスコーン面と、を含み、
前記ポリマーライナの前記フレアエッジは、前記輪郭付きネックを形成するために、前記ボスの前記ボアの中に軸方向に延び、前記ポリマーライナの前記輪郭付きネックは、前記ボスの前記内側シリンダネック部および前記ボスコーン面に実質上適合するコーン形状フレアエッジを形成するために、外方に曲がるシリンダネック領域を含み、
前記ボスコーン面の少なくとも一部は、粗面テクスチャを有する、
液体および/またはガスを圧力下で収容するための圧力容器
【請求項26】
前記ボスコーン面の少なくとも一部は、平滑面を有する、請求項23に記載の圧力容器
【請求項27】
前記シールインサートは、圧着継手および/または圧入継手によって前記ボスに固定結合される、請求項23に記載の圧力容器
【請求項28】
前記シールインサートは、ねじ継手によって前記ボスの前記ボアに結合される、請求項23に記載の圧力容器
【請求項29】
対向する第1および第2の末端間に延びる第1の細長いシリンダ壁と、前記第1の末端の近くの第1のフレアエッジと、前記第1のフレアエッジの第1の入口開口と、を有する第1のポリマーライナを形成するステップと、
第1のシャンクに連結された第1のシリンダ部と、第1のボスを軸方向に通過する第1のボアと、前記第1のシャンクから遠く半径方向に突出する第1の複数のスパイクと、を有する第1のボスを形成するステップと、
第1のライナ/ボスサブ組立体を形成するために、前記第1のライナの前記第1のフレアエッジを前記第1のボスの前記第1のボアに固定結合するステップと、
第1の編組繊維層を形成するために、第1の複数の繊維ストランドを前記第1のライナ/ボスサブ組立体の外周の少なくとも一部のまわりに編組するステップと、
対向する第1および第2の末端間に延びる第2の細長いシリンダ壁と、前記第1の末端
の近くの第2のフレアエッジと、前記第2のフレアエッジの第2の入口開口と、を有する第2のポリマーライナを形成するステップと、
第2のシャンクに連結された第2のシリンダ部と、第2のボスを軸方向に通過する第2のボアと、前記第2のシャンクから遠く半径方向に突出する第2の複数のスパイクと、を有する第2のボスを形成するステップと、
第2のライナ/ボスサブ組立体を形成するために、前記第2のライナの前記第2のフレアエッジを前記第2のボスの前記第2のボアに固定結合するステップと、
第1の管末端と第2の管末端との間に延びる第3のシリンダ壁を有する犠牲管セクションを形成するステップと、
細長い組立体を形成するために、前記第1のライナ/ボスサブ組立体と前記第2のライナ/ボスサブ組立体を、前記犠牲管セクションの前記第1の末端と前記第2の末端にそれぞれ固定結合するステップと、
編組繊維層を形成するために、第2の複数の繊維ストランドを前記細長い組立体の外周のまわりに編組するステップと、
前記編組繊維層をトリムするステップと、
個別の圧力容器を形成するために、前記犠牲管セクションを前記細長い組立体から除去するステップと、
を含む、タイプIV圧力容器を形成する方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[001]本出願は、2019年6月28日に提出された米国仮出願第62/867,910号の優先権を主張する。
【0002】
[002]本発明は、タイプIV適合圧力容器を含むタイプIV圧力容器用のボスに関する。より詳細には、本発明は、外側複合シェル中に埋め込まれたスパイクを有し、ライナがボスの内側に位置するボス設計に関する。
【背景技術】
【0003】
[003]圧力容器は、一般に、天然ガス、酸素、窒素、水素、プロパン、および同種のものなど、圧力下で流体および/またはガスを貯蔵する。タイプIV圧力容器またはタンクは、熱可塑性ポリマーライナ上に巻装および/または編組された炭素繊維強化ポリマー複合体を典型的に含む金属非含有の本体を有する。弁は、容器を圧縮流体で充填するために容器に連結される。しかしながら、弁は、ポリマーライナに直接連結できない。それ故に、ボスは、弁を容器に連結するために設けられることを必要とする。
【0004】
[004]ボスをポリマーライナおよび外側複合シェルに取り付けることによってタイプIV圧力容器を形成する第1の知られた方法は、米国特許第10,180,210号に例証されている。第1の知られた方法は、射出成形プロセスを利用し、ライナをボスのロック特徴部のまわりに成形して、ボスをライナに機械的にロックする。この第1の知られた方法は、ポリマーライナとボスの外面との間に優れた表面接触を提供する。ライナおよびボス間のシールは、ライナおよびボス間の界面によって形成される。更に、ボスは、ボスが加圧されたときにそれ自体をシールするリップ特徴部を典型的に含む。ガス密性のボス/ライナ組立体は、複合シェルの外カバーによって支持される。シール機構と機械的制約は、結合しない。ボスおよびライナ間の継手は、事前応力付与されない。
【0005】
[005]しかしながら、この第1の知られた方法は、ライナを複合繊維でラップする前に、ライナをボスのまわりに成形することを要求する。更に、第1の知られた方法は、ボスおよび外側複合シェル間の機械的係合がない。したがって、ボスは、応力下で外側複合シェルから分離でき、ボスが、外側複合シェル内で回転、および/または、外側複合シェルに対して軸方向に摺動、するのを可能にする。ライナおよび/または外側複合シェルに対するボスの移動は、ボスおよび圧力容器間の連結の漏洩および潜在的不全をもたらす場合がある。
【0006】
[006]タイプIV圧力容器のボスを形成する第2の知られた方法は、米国公開第2018/283612号に例証され、ホース型の圧着、例えば、フェルールは、外側複合シェル、ポリマーライナ、およびボスの積層組立体のまわりに圧着される。第2の知られた方法は、ライナがボスの外面に対して位置するように、ライナの開口内で摺動するボスを含む。フェルールは、ボスを外側複合シェルに固定結合するために、ライナが外側複合シェルでカバーされた後で、ボスおよび複合シェルのまわり圧着される。ボスは、ライナの内面を把持するために、ボスの外面に沿ったリッジを含むことができる。ホース型の圧着取付け具は、複合的な定着およびシールを提供するために圧着圧力に依存する。ライナに沿って脱出を試みるガスは、ボスおよびライナ間のギャップを開く傾向がある。フェルールおよび複合体は、ギャップの開きに抵抗する状態まで事前応力付与される。フェルールも、複合体に把持を設けることおよびステムの軸方向変位に抵抗することによって、軸方向に応力付与される。
【0007】
[007]しかしながら、この第2の知られた方法は、ボスをライナに固定結合するために圧着圧力に依存する。ボスは、ボスおよびライナ間の継手への圧着力が不足している場合に、ボスへの増加した荷重下で、ライナ内を回転できる。更に、第2の知られた方法は、ボスおよび外側複合シェル間の直接の機械的係合がなく、ボスを外側複合シェルに固定結合するためにフェルールに依存する。ボスへの軸方向荷重および回転荷重は、ボスおよび外側複合シェル間の連結を弱化できる。ボスは、応力下で外側複合シェルから分離でき、ボスが、外側複合シェル内で回転、および/または、外側複合シェルに対して軸方向に摺動、するのを可能にする。ライナおよび/または外側複合シェルに対するボスの移動は、ボスおよび圧力容器間の連結の漏洩および潜在的不全をもたらす場合がある。
【0008】
[008]それ故に、望ましいことは、ボスを直接タイプIV圧力容器の外側複合シェルに機械的に結合することである。更に、望ましいことは、ボスを直接圧力容器のライナに機械的に結合することである。望ましいことは、シールをライナおよびボス間に形成することである。同じく、望ましいことは、トルクがボスに適用されたときに、ライナに対してと外側複合体に対してのボスの回転移動を制約することである。更に、望ましいことは、軸力がボスに適用されたときに、ライナに対してと外側複合シェルに対してのボスの軸方向移動を制約することである。加えて、望ましいことは、ライナをボスに固定結合することであり、成形プロセスを使用しないこと、そして、ライナをボスに圧着するためにフェルールの使用を要求しないことである。最後に、望ましいことは、外側複合シェルをボスに固定結合することであり、外側複合シェルをボスに圧着するためにフェルールに依存しないことである。
【発明の概要】
【0009】
[009]タイプIV適合圧力容器は、外側複合シェルおよびボス間の機械的な結合を改善して設けられる。圧力容器は、ボスに固定結合されたフレアエッジを有する内側ポリマーライナを含む。ボスは、圧力容器の内部と流体連通するボアを有する。加えて、ボスは、ライナおよび外側複合シェル間に延びるシャンクを有する。シャンクは、ボスから遠く半径方向に突出する複数のスパイクを含む。樹脂および繊維の外側複合シェルは、ライナの外周とシャンクの外周を囲む。スパイクは、外側複合シェルをボスに機械的に締結するために、外側複合シェルの中に埋め込まれる。
【0010】
[010]本発明の利点は、添付の図面と関連して考察されるとき、次の詳細な説明の参照によって、より良く理解される如く、容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[011]本発明の1つの実施形態に係るポリマーライナおよび外側複合シェル間に組み立てられたボスを有するタイプIV圧力容器の一部の断面図である。
図2】[012]ボスから突出する外側複合シェルの中に埋め込まれたスパイクを例証し、ライナフレアセクションをボスに対して圧縮するシールインサートを例証する、図1の圧力容器の部分2の拡大断面図である。
図3】[013]図3Aは圧力容器から取り外された図1のボスの斜視図である。 [014]図3Bはボスコーン面の微細リッジを例証する図3Aのボスの破断図である。図3Cはボスコーン面の粗面テクスチャを例証する図3Aのボスの破断図である。図3Dはボスコーン面の平滑面テクスチャを例証する図3Aのボスの破断図である。
図4】[015]図4Aは圧力容器から取り外された図1のシールインサートの断面図である。 [016]図4Bはシールインサートのコーン面の微細リッジを例証する図4Aのシールインサートの一部の斜視図である。図4Cはシールインサートのコーン面の粗面テクスチャを例証する図4Aのシールインサートの一部の斜視図である。図4Dはシールインサートのコーン面の平滑面テクスチャを例証する図4Aのシールインサートの一部の斜視図である。
図5】[017]樹脂含浸繊維のストランドをライナまわりに螺旋パターンでラップする知られた方法を例証する図である。
図6】[018]繊維ストランドが図1の圧力容器のまわりにオーバー編組される編組プロセスを例証する図である。
図7】[019]ボスのシャンクがライナのテーパ領域に沿って延びる図1の圧力容器の第2の実施形態の断面図である。
図8】[020]ボスのシャンクがライナのテーパ領域に部分的に沿って延びる図1の圧力容器の第3の実施形態の断面図である。
図9】[021]図3Aのボスの別の実施形態の斜視図である。
図10】[022]図3Aのボスとの組立て前のスパイクの実施形態の斜視図である。
図11】[023]各スパイクの基部から遠く長手方向に突出するシリンダ形状ピンを有する図10のスパイクの実施形態の斜視図である。
図12】[024]図12A図10のシリンダ形状スパイクが図3Aのボスの穴の中に圧入される組立て方法を例証する図である。 [025]図12B図11のシリンダ形状スパイクが図3Aのボスの穴の中に圧入される組立て方法を例証する図である。 [026]図12C図10のシリンダ形状スパイクが図3Aのボスに溶接される組立て方法を例証する図である。 [027]図12D図3Aのボスと一体的に形成される図10のピラミッド形状スパイクを例証する図である。
図13】[028]ボスの外周のまわりに配置された一列のスパイクを例証する断面線A-Aに沿って取った図1の圧力容器の断面図である。
図14】[029]外側複合シェルの中に部分的に埋め込まれたスパイクを示す図13の圧力容器の断面図の部分Cの第1の実施形態を例証する図である。
図15】[030]外側複合シェルを形成する繊維ストランドの層の全てに埋め込まれたスパイクを示す図13の圧力容器の断面図の部分Cの第2の実施形態を例証する図である。
図16】[031]外側複合シェルの編組繊維ストランドを通って延びる四面体形状スパイクを例証する図6の圧力容器の部分Bの第1の実施形態を例証する図である。
図17】[032]外側複合シェルの編組繊維ストランドを通って延びるシリンダ形状スパイクを例証する図6の圧力容器の部分Bの第2の実施形態を例証する図である。
図18】[033]本発明の1つの実施形態に係るライナ/ボスサブ組立体の分解図である。
図19】[034]本発明の1つの実施形態に係る、図18の一対のライナ/ボスサブ組立体と犠牲管セクションを含む細長いサブ組立体の分解図である。
図20】[035]図19の細長いサブ組立体の斜視図である。
図21】[036]図6の編組機械を通過する図19の細長いサブ組立体の斜視図である。
図22】[037]複数の繊維ストランドでオーバー編組されている図19の細長いサブ組立体の斜視図である。
図23】[038]編組繊維ストランドのトリムおよび犠牲管セクションの除去後の図22の細長いサブ組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[039]図面を参照すると、同様の数字は、幾つかの図を通して同様のまたは対応する部品を指し、タイプIV圧力容器10(ポリマーライナ14および外側複合シェル18を備える)は、圧力下で液体および/またはガスを収容するためのものであり、本発明の一実施形態に係る図1および図2に示される。圧力容器10は、窒素、水素、天然ガス、ヘリウム、ジメチルエーテル、液化石油ガス、キセノン、および同種のものなどの圧縮液体および/またはガスの貯蔵に適する。自動車の用途のための水素貯蔵用の圧力容器10は、典型的には、最大70MPaの公称作動圧力のために設計される。比較して、圧縮天然ガスの貯蔵用の圧力容器10は、典型的には、最大25MPaの公称作動圧力のために設計される。
【0013】
[040]図1および図2を参照すると、圧力容器10は、ボス16に固定結合されたポリマーライナ14を含み、外側複合シェル18は、ポリマーライナ14の外周14’を囲む。ライナ14は、第1の末端26と第2の末端30との間に延びる細長いシリンダ壁22によって画定される内部中空本体20を含む。圧力容器10の長手軸線は、要素32によって示される。図1に示された実施形態では、ライナ14は、ネック領域40と、テーパ領域42と、チャンバ領域44と、を含む。ポリマーライナ14は、対向する内面および外面50、54と、第1の末端26の入口開口58と、を含む。ライナ14の入口開口58は、シーリングインサート134を用いてボス16に固定結合されるフレアエッジ62を含む。
【0014】
[041]図1に示されたポリマーライナ14は、一般に、1つまたは複数のポリマー材料から形成され、例えば、ナイロン(PA)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、および/または、ポリ塩化ビニル(PVC)である。ポリマーライナ14は、ポリマー材料の単一層で形成でき、または、2つ以上のポリマー層の多層構造を含むことができ、更には、特定用途に所望されるように、1つまたは複数の金属層または添加剤を含むことができる。
【0015】
[042]図1のボス16は、図3Aでは、圧力容器10から取り外されて示される。図2および図3Aを参照すると、ボス16は、ボス16の対向する末端88、88’の間でボス16を通って軸方向に通過するボア86を有する。ボス16の長手軸線は、図3Aの要素32によって示される。ボア86は、ネック部98、コーン面102、および、雌雄嵌合面94から構成される。ボスコーン面102は、図3B図3Dにそれぞれ例証されたように、1つまたは複数の微細リッジ102A、粗面テクスチャ102B、および/または、平滑面テクスチャ102Cを含むことができる。図1および図2に示された実施形態では、ライナ14のフレアエッジ62は、コーン面102に固定結合されてシールされる。
【0016】
[043]ライナ14のフレアエッジ62は、コーン面102に適合する。フレアエッジ62は、ライナ14の押出プロセス中に形成されるか、あるいは、直接ボス16のコーン面102に形成または熱成形される。ライナ14のネックセクション118は、ネック部98に適合する。ネックセクション118は、ライナ14の押出プロセス中に形成され、また、シールを強化するためにネック部98に対して追加で熱成形できる。
【0017】
[044]図1および図2に示すシールインサート134は、ボス16の雌雄嵌合面94に嵌入および係合するように形状付けされる。図1のシールインサート134は、図4Aでは、ボス16との組立て前が示される。図4Aを参照すると、シールインサート134は、略シリンダ主要本体部138を有し、雌雄嵌合面142は、シリンダ主要本体部138の外周のまわりに延び、ねじ山、圧入、スエージ加工、または同種のものによって、雌雄嵌合面94と噛み合い式に係合するように構成される。シールインサート134の長手軸線は、図4Aでは要素32によって示される。
【0018】
[045]更に、シールインサート134は、シールインサート134を通って軸方向に通過するボア158を含む。シールインサート134の主要本体部138から延びるのは、コーン面162であり、ライナ14のフレアエッジ62に対してシールするように構成される。コーン面162は、それぞれ、図4B図4Dに例証されたように、1つまたは複数の微細リッジ162A、粗面テクスチャ162B、および/または、平滑面テクスチャ162Cを含むことができる。
【0019】
[046]同じく、図2に示されたように、シールインサート134がボス16の雌雄嵌合面94と係合するとき、ライナ14のフレアエッジ62は、シールを提供するために、シールインサート134の外面166と、ボア86のボスコーン面102と、の間で圧縮される。
【0020】
[047]ライナ14のフレアエッジ62に対してシールインサート134によって適用される圧縮は、図2に示されたように、ライナ14とボス16のボスコーン面102との間にシールを形成する。ライナ14をボア86およびシールインサート134間で挟むことは、初期シールをボス16およびライナ14間に形成する。ネック部98は、ライナ14が加圧された後に、内面14外面54でシールを形成する。
【0021】
[048]代替的に、Oリングや同種のものなどの1つまたは複数の補助シールは、特定用途に所望される場合に、ライナ14、ボア86、および/または、シールインサート134に隣接して含めることができる。ライナ14フレアエッジ62と、ボスコーン面102と、シールインサート134と、の間のシールは、或る種の実施形態に所望される場合に、粗面テクスチャ102B、162Bおよび/または微細リッジ102A、162Aをボスコーン面102上および/またはシールインサート134のコーン面162上に含むことによって改善できる。他の実施形態では、満足なシールは、ボスコーン面102とシールインサート134のコーン面162の双方の平滑面テクスチャ102C、162Cを用いて取得されるであろう。
【0022】
[049]図3に戻ると、ボス16は、シャンク182に連結される略シリンダ部178を有する。図1図3Aに示された実施形態では、シャンク182は、外側支承面198と略シリンダ形状を有する。シャンク182の支承面198は、外側複合シェル18に対して位置する。図1に示されたシャンク182は、ネック領域40に沿って、また、ライナ14のテーパ領域42の一部に沿って、延びる。
【0023】
[050]外側複合シェル18およびボス16間の機械的な締結は、図1および図2に示されたように、シャンク182の支承面198から遠く半径方向に突出するスパイク186によって達成される。スパイク186は、ボス16を外側複合シェル18に機械的に締結するために、外側複合シェル18に少なくとも部分的に埋め込まれる。スパイク186の、外側複合シェル18との係合は、ボス16が内部圧力に対抗するのを可能にし、また、許容できるボストルクの量を増加させ、ボス16がライナ14および/または外側複合シェル18から離れることがない。
【0024】
[051]ボス16は、図1図3Aに示されたように、略シリンダ部178およびシャンク182間のボス16の外面202に位置するフランジ肩部200を任意選択で含む。フランジ肩部200は、外側複合シェル18に接触する。代替的に、外側複合シェル18は、フランジ肩部200をボス16に当接させることなく、シャンク182の一部に沿って延びることができる。
【0025】
[052]ライナ14は、ライナ14に対するボス16の位置付けおよび組立てについて助成する実装特徴部206(図18に示される)を備えて任意選択で製作される。ライナ14は、ボス16との組立を可能にするために、必要な場合には、カットおよび/またはトリムされる。ボス16および他の取付け具がライナ14と組み立てられた後に、ライナ14および/またはボス16は、ライナ14がボス16に適合および/または接着するのを引き起こすために、任意選択で加熱される。
【0026】
[053]ボス16およびライナ14が組み立てられた後に、ライナ14および/またはシャンク182は、特定用途に所望される場合に、ポリマーフィルムなどの樹脂バリア層でカバーできる。追加的に、任意のブリーザ層または2次ガスバリア層は、特定用途に所望されるように、ライナ14およびシャンク182の部分まわりにおよび/またはその全長にラップできる。ブリーザ層に適切な材料は、ガラス繊維織布、不織ガラス繊維布、および同種のものを含む。適切なガスバリア層は、金属化フィルム、EYOH膜、および同種のものを含む。
【0027】
[054]圧力容器10の外側複合シェル18は、図5および図6に示されたように、ライナ14およびボス16が組み立てられた後に、樹脂含浸繊維214をライナ14上に配置することによって一般的に形成される。
【0028】
[055]樹脂含浸繊維214をライナ14に適用する第1の知られた方法は、フィラメントワインディングであり、図5に例証される。複数の繊維フィラメント214は、繊維ストランド216を形成するためにグループ化される。複数の繊維フィラメント214は、繊維214をライナ14に適用するための製造プロセスの前または間に、繊維ストランド216を形成するためにグループ化できる。同様に、単一の繊維ストランド216または複数の繊維ストランド216のグループ化は、製造プロセスに所望されるように、所与の時間に適用できる。繊維ストランド216は、図5に例証されたように、1つまたは複数のラップ繊維層218を形成するために、オーバーラップする螺旋パターンでライナ14のまわりに1つまたは複数の繊維ストランド216を連続的にラップすることによってライナ14に適用できる。繊維ストランド216は、図5に示されたように、ライナ14にラップされる前に液状樹脂220でコーティングできる。代替的に、繊維ストランド216は、ライナ14にラップされた後に液状樹脂220でコーティングでき、および/または、繊維フィラメント214は、樹脂220で事前含浸できる。樹脂220は、樹脂220およびラップ繊維層218が、ライナ14を囲む剛性外側複合シェル18を形成するように、硬化される。
【0029】
[056]樹脂含浸繊維214をライナ14に適用する第2の方法は、図6に例証されたように、繊維214を編組することである。第1の方法と同様に、複数の繊維フィラメント214は、繊維ストランド216を形成するために組み立てられる。複数の繊維ストランド216は、図6に例証されたように、編組機械226を使用して編組繊維層224を形成するために、ライナ14のまわりにオーバー編組(over-braided)される。更に、繊維ストランド216は、繊維ストランド216をライナ14のまわりに編組する前、その間、および/または、その後に、樹脂220で含浸できる。
【0030】
[057]編組、図6に例証されたプロセス、を用いて細長いライナ14のまわりに複数の繊維ストランド216をオーバー編組することは、圧力容器10のための細長いライナ14の大径シリンダセクション228、小径シリンダセクション232、および、テーパ移行セクション236に適合する編組繊維層224を形成するであろう。同様に、図6に示されたオーバー編組プロセス226は、編組繊維ストランド216をボス16のシャンク182上に形成できる。オーバー編組プロセス226は、樹脂含浸繊維214を適合圧力容器10に適用する好適な方法であり、複数の離隔された大径シリンダセクション228を含むことができ、隣接する大径セクション228は、小径シリンダセクション232によって連結される。樹脂220が硬化されるとき、樹脂220および編組繊維ストランド216は、ライナ14を囲む剛性外側複合シェル18を形成する。
【0031】
[058]図1に示された外側複合シェル18は、1つまたは複数の層の樹脂含浸繊維214を含む。外側複合シェル18のための適切な繊維214は、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、ホウ素繊維、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維(HDPE)、Zylon(商標)ポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール繊維(PBO)、アラミド繊維、Kevlar(登録商標)ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ナイロン繊維(PA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル繊維(PL)、および同種のもの、のうちの1つまたは複数を含む。適切な樹脂220は、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性樹脂、ウレタン、および同種のもの、のうちの1つまたは複数を含む。
【0032】
[059]ライナ14のための材料および寸法の選択、並びに、外側複合シェル18を形成する樹脂220および繊維214のタイプおよび量は、圧力容器10の所望の動作条件に部分的に基づいて選択される。更に、ライナ14および外側複合シェル18間の、ブリーザ層、バリア層、および/または、金属層、のうちの1つまたは複数の包含、並びに、追加層の材料組成は、圧力容器10の所望の動作条件に部分的に基づく。
【0033】
[060]外側複合シェル18は、シャンク182の外周198のまわりに形成され、外側複合シェル18は、フランジ肩部200に当接し、図2に例証された通りである。繊維ストランド216は、複合自由エッジ240を形成するためにフランジ肩部200に隣接してトリムされる。フランジ肩部200は、複合自由エッジ240を支持および保護する。ボス16にフランジ肩部200がない場合、繊維ストランド216は、複合自由エッジ240を形成するために所定の場所でトリムされる。複合自由エッジ240は、図7に示されたように、フランジ肩部200および複合自由エッジ240をカバーするテープ242を適用することによって保護および/または補強できる。代替的に、フランジ肩部200の近くの複合自由エッジ240は、追加の繊維ストランド216、フェルールなどの圧着リング、または同種のものによってカバーできる。複合自由エッジ240をカバーするための適切な繊維214は、炭素繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維、および同種のものを含む。テープ、繊維ストランド216、および/または、圧着リングを複合自由エッジ240上に適用することは、エッジの層間剥離を防止、圧力容器10の美しさを向上、および/または、圧力容器10実装用の支持エリアを提供できる。
【0034】
[061]任意選択で、シャンク182の内面194は、図7および図8などに例証されたように、ライナ14のテーパセクション236と雌雄嵌合式に係合するように構成できる。図7が示す第2の実施形態の圧力容器10は、ライナ14のテーパ領域42全体に沿ってテーパセクション236を支持するシャンク182Aを備えたボス16Aを有する。任意選択で、ボス16Aは、テーパ領域42を過ぎるまでずっとテーパセクション236に沿って延び、また、ライナ14の大径シリンダセクション228の一部とオーバーラップする。図7に示されたシャンク182Aは、テーパセクション236に沿った完全なテーパ定着を提供する。ボス16Aは、ライナ14のフープ応力の大部分を吸収し、ライナ14のテーパセクション236への荷重を低減する。図7のボス16Aおよびライナ14間の増加した接触面積は、シールの品質を向上させる。ライナ14および/または外側複合シェル18からボス16が離れることなしに許容できるボストルクの量は、シャンク182Aから半径方向に突出するスパイク186の追加によって増加される。
【0035】
[062]図1および図7に示された実施形態とは対照的に、図8に示された第3の実施形態のボス16Bは、ライナ14のテーパ領域42の一部に沿ってテーパセクション236を支持するシャンク182Bを有する。ボス16Bは、部分的なテーパ定着を提供するが、その理由は、シャンク182Bだけがテーパ領域42の一部を支持するからである。図8に示された短いシャンク182Bは、図7に示された長いシャンク182Aよりも、テーパセクション236のための少ない支持を提供する。しかしながら、短いシャンク182Bは、長いシャンク182Aよりも低い材料価格を有する。更に、図8のボス16Bは、図7に示された完全テーパ定着ボス16Aよりも軽い。シャンク182、182A、182Bの形状、長さ、寸法は、圧力容器10の所望の動作条件、並びに、材料価格や構成要素重量などの2次的要因および同種のものに部分的に基づいて選択される。
【0036】
[063]図1に転じると、スパイク186は、シャンク182、182A、182Bから遠く半径方向に離れて突出し、外側複合シェル18の中に埋め込まれており、ボス16、16A、16Bを外側複合シェル18に機械的に締結する。スパイク186は、シャンク182、182A、182Bの外側支承面198全体に分配できる。第4の実施形態は、ボス16Cの図9に示されており、シャンク182Cへのスパイク186の代替配置を例証する。図9によって例証されたように、スパイク186は、シャンク182Cの1つまたは複数の特定ゾーン238、238’に配置できる。シャンク182~182Cに取り付けられたスパイク186の数、形状、サイズ、および位置は、使用中の圧力容器10の予想される公称作動圧力またはボストルク、シャンク182~182Cの寸法、外側複合シェル18の寸法、および同種のものに基づいて選択される。スパイク186は、シャンク182Bの外側支承面198の全体上に分配でき、あるいは、スパイク186は、シャンク182Bの特定ゾーン238、238’に配置できる。
【0037】
[064]ボス16Cは、図9に示されており、圧力容器10と組み立てる前である。ボス16Cは、ライナ14のテーパセクション236と雌雄嵌合式に係合するように構成されたシャンク182Cを有する。斯くして、シャンク182Cは、フランジ肩部200に当接するテーパ円錐形状および/またはテーパシリンダ形状を有する。ボス16Cがライナ14と組み立てられて外側複合シェル18でカバーされるとき、スパイク186は、シャンク182Cの外側支承面198から遠く半径方向に突出しており、ボス16Cを外側複合シェル18に機械的に締結するために外側複合シェル18の中に埋め込まれる。
【0038】
[065]同じく図9に示されるのは、任意選択のベント溝248であり、シャンク182Cの外側支承面198に沿って長手方向におよびフランジ肩部200に沿って半径方向に延びる。ボス16Cは、特定用途に所望されるように、任意の数および構成のベント溝248を含むことができ、水素ガスがライナ14および外側複合シェル18間の界面から大気に流通するのを可能にする。ガスは、ライナ14を透過し、ライナ14および外側複合シェル18間のギャップに収集される。透過ガスは、ベント溝248を通って大気に流通し、ライナ14のその後の崩壊を防止する。
【0039】
[066]加えて、図1に示されたように、ライナ14および外側複合シェル18の双方がボス16に固定結合されるという理由で、ボス16に適用される力は、外側複合シェル18に分配される。対照的に、ボス16が外側複合シェル18でカバーされたライナ14の開口に挿入され、続いてフェルールを外側複合シェル18のまわりに圧着するとき、ボス16は、単にライナ14に直接接触する。フェルールは、外側複合シェル18に固定結合され、ボス16に固定結合される。しかしながら、ボス16は、直接外側複合シェル18に固定結合されない。代わりに、フェルールおよび外側複合シェル18間の連結と、フェルールおよびボス16間の連結とは、ボス16および外側複合シェル18間の機械的な結合を形成する。ギャップは、ライナ14および外側複合シェル18間に時間を越えて形成できる。更に、フェルールは、外側複合シェル18からおよび/またはボス16から分離できる。ボス16の回転荷重および軸方向荷重は、外側複合シェル18へのライナ14の付着を潜在的に弱化でき、フェルール圧着を弱化でき、および/または、ライナ14および外側複合シェル18間に形成されるギャップを増加できる。フェルール圧着が十分に緩められる場合、ボス16は、フェルール内で回転できる。弱化されたフェルール圧着に起因する外側複合シェル18に対するボス16の移動は、ボス16がライナ14から離れるのを引き起こすことができる。フェルールの、ボス16のスパイク186との交換は、スパイク186が外側複合シェル18の中に埋め込まれたときに、ボス16を外側複合シェル18に直接結合する。幾つかの実施形態では、スパイク186は、ボス16および外側複合シェル18間の機械的な結合を増大させるために、フェルールと組み合わせることができる。外側複合シェル18に埋め込まれたスパイク186の包含は、ボス16の予想される荷重に応じて、所望のおよび/または所要の場合に、ボス16をライナ14および外側複合シェル18に取り付ける幾つかの異なった締結方法と組み合わせることができる。
【0040】
[067]スパイク186は、図10に例証されたものなど、様々な形状を有することができる。適切なスパイク186の変形例は、シリンダ形状スパイク264、四面体形状スパイク268、ピラミッド形状スパイク270、および、円錐形状スパイク274を非限定の例として含む。四面体形状スパイク268は、3つの側面280を有する。ピラミッド形状スパイク270は、4つ以上の側面280を有し、それらに限定されないが、5、6、7、またはそれ以上の側面280を含む。各スパイク186、264、268、270、274は、スパイク先端282およびスパイク基部286間に延びるスパイク主要本体278を有する。スパイク先端282は、ピラミッドスパイク270によって例証されたように、尖端形状にできる。代替的に、スパイク先端282は、円錐形スパイク274のスパイク先端282によって例証されたように、丸い形状を有することができる。意図した用途に適切な任意の形状のスパイク186は、使用でき、スパイク186の形状およびサイズの混合物を含む。
【0041】
[068]スパイク基部286は、図11に例証されたように、スパイク基部286から遠く長手方向に突出するシリンダ形状のピン288を含むことができる。図11が示す非限定の実施形態は、シリンダ形状スパイク264、四面体形状スパイク268、ピラミッド形状スパイク270、および、円錐形状スパイク274であり、スパイク基部286から遠く突出するシリンダ形状ピン288を有する。ピン288は、図12Bに例証されたように、異なった形状のスパイク186、264、268、270、274をシャンク182の円形穴290の中に実装するのを可能にする。円形穴290は、凹状空洞、貫通穴、および/または、空洞と貫通穴の組合せにできる。更に、ピン288および穴290は、幾つかの実施形態では非円形にできる。
【0042】
[069]図12A図12Dは、スパイク186、264、268、270、274をシャンク182に取り付ける方法を例証する。シリンダ形状スパイク264をシャンク182の円形穴290の中に、矢印Dによって例証されたように、押し込むことは、図12Aに示される。シリンダ形状スパイク264は、シリンダ形状スパイク264を雌雄嵌合式に受容するようにサイズ決めされた円形穴290の中に圧入(矢印Dによって例証された)できる。円形穴290は、特定用途に所望されるように、部分深さ穴290または貫通穴290にできる。
【0043】
[070]図12Bに示された第2の取付け方法は、図12Aに示された取付け方法と同様である。シリンダ形状スパイク264、四面体形状スパイク268、ピラミッド形状スパイク270、および、円錐形状スパイク274は、図11に示されたように、スパイク基部286から遠く突出するシリンダ形状ピン288を含むことができる。ピン288は、図12Bに示されたように、ピン288と雌雄嵌合式に係合するようにサイズ決めされた内径を有するシャンク182の円形穴290の中に圧入(矢印Eによって例証された)される。スパイク基部286へのピン288の追加は、円形穴290を用いて非シリンダスパイク268、270、274をシャンク182に圧入するのを可能にする。
【0044】
[071]スパイク186をシャンク182に溶接することは、図12Cに例証された第3の取付け方法である。スパイク186、264、268、270、274のスパイク基部286は、シャンク182に溶接286A、および/または、接着できる。図12Cは、シリンダ形状スパイク264のスパイク基部286をシャンク182の外側支承面198に溶接することを例証する。溶接線286Aは、スパイク186の基部286のまわりに形成される。溶接線286Aは、スパイク186の直径を増加させるが、オーバー編組プロセス226中に問題を引き起こしそうもなく、その理由は、溶接線286Aがシャンク182に隣接するからである。幾つかの実施形態では、スパイク186は、接着剤を用いてシャンク182に接着できる。溶接および接着する取付け方法は、図11に示されたシリンダ形状スパイク264、四面体形状スパイク268、ピラミッド形状スパイク270、および、円錐形状スパイク274、並びに、他の形状のスパイク186、を含む様々なスパイク186の形状に適応できる。
【0045】
[072]図12Dに例証された第4の方法は、シャンク182が形成されるときにスパイク186を機械加工および/または成形することである。第4の方法は、非限定の例として、シリンダ形状スパイク264、四面体形状スパイク268、ピラミッド形状スパイク270、および、円錐形状スパイク274を形成するために使用できる。機械加工プロセス中に、材料は、スパイク186を形成するために、スパイク186のまわりが除去される。代替的に、スパイク186は、ボス16が成形プロセス中に形成されるときに成形工具の中に統合できる。
【0046】
[073]図3Aを参照すると、複数のスパイク186は、ボス16のシャンク182に固定結合される。図3Aに示された実施形態では、スパイク186は、シャンク182の外周198のまわりに分配される。スパイク186は、スパイク186の複数の列294、294’で配置でき、スパイク186の4つの列294、294’は、図3Aの例示的な実施形態に示される。
【0047】
[074]図3Aに示されたように、スパイク186の列294、294’は、シャンク182の外周198のまわりに隔置された複数のスパイク186として画定され、ボス16の末端88’と、スパイク186の列294、294’内の各スパイク先端282の中心と、の間で測定される軸方向距離は、所定の量によって画定される範囲内にある。1つの実施形態では、所定の量は、スパイク186の列294、294’を含むスパイク186の最大幅186’の倍数にでき、倍数は、非限定の例として、1、2、3またはそれ以上である。
【0048】
[075]スパイク186の隣接する列294、294’は、図3Aに示されたように、ボス16の軸方向に離隔される。スパイク186の隣接する列294、294’間の軸方向距離294Aは、列294、294’間で均一にでき、あるいは、間隔は、不均一にでき、すなわち、幾つかの列294、294’は、スパイク186の他列294、294’間の間隔よりも互いに近くに隔置される。
【0049】
[076]更に、第1の列294内のスパイク186は、ボス18の軸方向において、図3Aに示された実施形態のスパイク186の第2の列294’のスパイク186と整列される。しかしながら、理解されるであろうことは、任意のスパイク186の数、任意のスパイク186の列294、294’の数、並びに、隣接する列294’におけるスパイク186の位置的な整列に対する第1の列294におけるスパイク186の相対整列が、本発明の範囲を変化させることなく変更できる、ということである。スパイク300A~300Dは、図3Aのシャンク182上の代替的で例示的なスパイク186の場所を例証する。スパイク300A、300Bを包含する場合、スパイク186の第2の列294’は、スパイク186の第1の列294に存在するよりも多くのスパイク186を有するであろう。更に、スパイク300Aおよび300Bは、スパイク186の第1の列294を形成するスパイク186からオフセットされる。スパイク300Cおよび300Dは、追加のスパイク300C~300Eを備えた局所ゾーン238を作成するために、スパイク300Eの近くに位置する。加えて、スパイク186の第1の列294のスパイク186は、特定用途に所望される場合に、下で説明される図16に例証されたように、スパイク186の隣接する列294’内のスパイク186から円周方向にオフセットできる。
【0050】
[077]シャンク182の外周198のまわりのスパイク186の例示的な配置は、図13に例証される。図13は、断面線A-Aに沿って取った図1の圧力容器10の断面図である。図13は、シャンク182に取り付けられたスパイク186の列294を形成する12個のスパイク186を示す。スパイク186は、図13に示されており、シャンク182の外周198のまわりに等距離に位置する。しかしながら、スパイク186は、スパイク186がシャンク182の外周198のまわりに等距離に隔置されないように位置できる。図13に示されたスパイク186は、外側複合シェル18の中に完全に埋め込まれる。しかしながら、或る種の実施形態では、スパイク186は、外側複合シェル18の中に部分的に貫通するように構成できる。
【0051】
[078]更に、スパイク186の数は、特定用途の要求に基づいて選択できる。シャンク182は、少なくとも4つのスパイク186を含むことが好ましい。略シリンダ形状スパイク264が図13に示されているが、四面体形状スパイク268、ピラミッド形状スパイク270、円錐形状スパイク274、および同種のものは、特定用途に所望される場合に、シリンダ形状スパイク264の代わりに使用できる。加えて、スパイク186は、1つまたは複数の形状のスパイク186を含むことができ、すなわち、非限定の例として、スパイク186のうちの第1の部分がシリンダ形状スパイク264であり、残りのスパイク186がピラミッド形状スパイク270であるように選択できる。
【0052】
[079]更に、スパイク186は、図13に例証されたように、シャンク182の外周198のまわりにスパイク186を分配する代わりに、図9に示されたように、シャンク182の1つまたは複数の局所ゾーン238、238’に分配できる。代替的に、スパイク186は、シャンク182の2つ以上の局所ゾーン238、238’に分配でき、2つ以上の局所ゾーン238、238’は、シャンク182の外側ベアリング面198上で離隔される。任意選択で、2つ以上のゾーン238、238’は、シャンク182の外周198のまわりの選択された場所にあってもよい。加えて、2つ以上のゾーン238、238’は、特定用途に所望される場合に、シャンク182の外周198上で等距離に離して位置できる。
【0053】
[080]図14および図15を参照すると、スパイク186の全長は、外側複合シェル18の厚さ、公称作動圧力、またはボス16上の予想されるトルク量、ボス16の寸法、およびシャンク182に取り付けられたスパイク186の数に基づいて選択できる。図14および図15は、図13に示された圧力容器10の部分Cの拡大図を示しており、外側複合シェル18の厚さと比較したスパイク186の長さの変化を例証する。図14を参照すると、外側複合シェル18は、例示的な3つの繊維層224A~224Cを含むものとして示される。図16のスパイク186は、第1の繊維層224Aを通って延びる。対照的に、図18は、3つの繊維層224A~224Cの全てを貫通するのに十分な長さを有するスパイク186を示す。圧力容器10の様々な実施形態は、図14および図15に示されるよりも多くのまたは少ない繊維層224A~224Cを含む場合がある。斯くして、スパイク186は、編組繊維層224およびラップ繊維層218の両方を含む任意の所望の数の繊維層224A~224Cの中におよび/またはそれを貫いて突出するようにサイズ決めできる。更に、スパイク186は、バリア層、ブリーザ層、金属フィルム層、および同種のものを含むライナ14および外側複合シェル18間の材料の補充層の中に埋込みおよび/または貫いて突出できる。
【0054】
[081]図10図15を参照すると、スパイク186の全体形状、スパイク186の最大外径186’、スパイク先端282の輪郭、スパイク186の全高、隣接するスパイク186間の周方向距離、スパイク186の数、および、シャンク182上のスパイク186の配置、および同種のものは、ボス16への予想される回転力および軸方向力、繊維214をライナ14に適用する方法、に部分的に基づいて、並びに、シャンク182の寸法、外側複合シェル18、および、ライナ14および外側複合シェル18間への補充層の包含、に部分的に基づいて、選択される。例えば、増加した全長を有する多数のスパイク186は、上昇した回転荷重および/または軸方向荷重が使用中にボス16に予想されるとき、シャンク182に固定結合できる。ボス16への回転荷重および軸方向荷重が低く予想される特定用途に関して、より少ないおよび/またはより短いスパイク186は、選択できる。
【0055】
[082]スパイク186の配置、形状、および、全体寸法は、図6に例証されたオーバー編組プロセス226に部分的に基づいて選択される。適合圧力容器10は、図6に示されており、テーパシリンダセクション236によって小径シリンダセクション232に連結される大径シリンダセクション228を備えたライナ14を有する。ライナ14のフレアエッジ62は、繊維214がライナ14のまわりにオーバー編組される前に、予めボス16のボア86に固定結合されている。複数の繊維フィラメント214は、繊維ストランド216にグループ化される。複数の繊維ストランド216は、図6に示されたように、編組機械226を使用して、ライナ14のまわりにオーバー編組される。編組繊維ストランド216は、ライナ14の外面54に適合し、ライナ14の表面54の編組繊維ストランド216の密度は、ライナ14の外径が変わるにつれて変化する。編組繊維ストランド216は、オーバー編組プロセス226に影響を及ぼすことなく、シャンク182をカバーするために、ライナ14から円滑に移行する。
【0056】
[083]オーバー編組プロセス226は、図16および図17に例証されたように、シャンク182から突出するスパイク186のまわりに繊維ストランド216の編組層224を形成できる。図16および図17のそれぞれは、図6に示された部分Bの拡大図を示す。図16は、四面体形状スパイク268を例証し、図17は、シリンダ形状スパイク264を例証する。図16を参照すると、各繊維ストランド216は、複数の繊維フィラメント214を含む。図6に示された例示的な実施形態は、約25mmの直径のシャンク182の外側支承面198を有し、繊維ストランド216は、約4mmの公称ストランド幅216’を有し、外側複合シェル18は、繊維ストランド216の複数の編組層224を含み、外側複合シェル18は、厚さが約5mmである。しかしながら、外側複合シェル18の半径方向厚さは、必要に応じてボス直径におよび特定用途の要求に基づき、約5mmより大きくも小さくもできる。
【0057】
[084]図16を参照すると、各スパイク186の最大外径186’は、編組繊維層224を形成するために使用される繊維ストランド216の公称ストランド幅216’よりも小さいことが好ましい。より好ましくは、各スパイク186のスパイク主要本体278の最大外径186’とスパイク先端282の最大外径186’とは、繊維ストランド216の公称ストランド幅216’の約半分以下である。より好ましくは、各スパイク186のスパイク先端282の最大外径186’とスパイク主要本体278の最大外径186’とは、約0.2mmから約2.0mmの間である。各スパイク186のスパイク基部286は、必要に応じて更にはシャンク182へのスパイク186の取付け方法に応じて、上記の範囲よりも大きくできる。例えば、シャンク182に取り付けられたスパイク186は、溶接プロセスによって引き起こされるスパイク主要本体278よりも大きいフレア基部286Aを有することができる。四面体形状スパイク268、ピラミッド形状スパイク270、および同種のものなどの非シリンダ形状を有するスパイク186に関して、各スパイク186、268、270のスパイク基部286の最大外側寸法186’は、好ましくは、繊維ストランド216の公称ストランド幅216’以下であり、より好ましくは、繊維ストランド216の公称ストランド幅216’の半分以下であり、最も好ましくは、約0.2mmから約2.0mmの間である。しかしながら、より大きいおよび/またはより小さい直径186’を有するスパイク186は、必要に応じて特定用途のために選択できる。
【0058】
[085]図10図15を参照すると、各スパイク186の長さは、スパイク先端282およびスパイク基部286間で測定したときに、約0.5mmから約5mmの間であることが好ましい。より好ましくは、各スパイク186の長さは、図14に示されたように、外側複合シェル18を形成する第1の繊維層224Aに少なくとも埋設されるためにサイズ決めされる。しかしながら、各スパイク186は、編組繊維層224およびラップ繊維層218の両方を含む任意の所望の数の繊維層224、224A~224C、218を貫通するのに十分な全長を選択的に有することができる。更に、スパイク186の長さは、特定用途に所望される場合に、バリア層、ブリーザ層、および同種のもののうちの1つまたは複数など、任意選択の補充層を貫通するように選択できる。
【0059】
[086]図16に示された隣接するスパイク186A、186Bは、繊維ストランド216の少なくとも1つの公称ストランド幅216’によって離隔するのが好ましい。繊維ストランド216の公称ストランド幅216’は、図16に例証されたように、繊維ストランド216の近似幅216’として画定される。約4mmの繊維ストランド216の公称幅216’を有する図6に示された例示的な実施形態に関して、隣接するスパイク186間の好適な最小間隔は、少なくとも4mmであり、すなわち、好適な最小間隔は、繊維ストランド216の公称ストランド幅216’以上である。個別のスパイク186は、繊維ストランド216の公称ストランド幅216’よりも互いに近くに隔置できるが、それは、隣接するスパイク先端282間の最小距離が、好ましくは、繊維ストランド216の公称ストランド幅216’以上である限りにおいてである。スパイク186の数は、約4という少数にでき、スパイク186の最大数は、シャンク182の外径および長さによって決定され、同時に、スパイク186を繊維ストランド216の少なくとも公称ストランド幅216’に離して位置させる。更に、ボス16がスパイク186の複数の列294、294’を含むとき、隣接する列294、294’は、繊維ストランド216の少なくとも1つの公称ストランド幅216’で離隔されるのが好ましい。
【0060】
[087]繊維ストランド216は、図16および図17に示されたように、繊維ストランド216A~216Dおよびスパイク186Aの相対位置によって例証などされるように、スパイク186のまわりに編組される。繊維ストランド216、216Eが、図16および図17に示された繊維ストランド216Eおよびスパイク186Eによって例証などされるように、スパイク186と整列するとき、繊維ストランド216Eの繊維フィラメント214の幾つかは、スパイク186Eのまわりに寝かせられるであろうが、例えば、繊維ストランド216Eは、214Eおよび214Fによって例証されたように、フィラメント214のグループに分割される。繊維ストランド216A~216Eとスパイク186、186A、186Eとの間の係合は、編組繊維層224Aをスパイク186、186A、186Eと連動させる。追加の編組繊維層224B、224Cは、同様の方法でスパイク186、186A、186Eと連動する。スパイク186、186A、18Eのまわりに編組される各編組繊維層224A~224Cは、ボス16および外側複合シェル18間の機械的連結の強度を増大させるであろう。ボス16および外側複合シェル18間の機械的連結は、繊維ストランド216、216A~216Eの中に含浸された樹脂220の硬化によって更に増強される。繊維ストランド216、216A~216Eは、繊維ストランド216、216A~216Eが、ラップ繊維層218を形成するシャンク182のまわりに螺旋状にラップされるとき、同様にスパイク186、186A、186Eと連動するであろう。
【0061】
[088]図18図23は、圧力容器10、特に、オーバー編組された外側複合シェル18を備えた適合圧力容器10を連続的に製造する方法を例証する。ライナ/ボスサブ組立体318、318’の分解図は、図18に示される。ライナ/ボスサブ組立体318、318’は、ライナ14、14Aと、ボス16、16Dと、シールインサート134、134’と、を含む。ライナ/ボスサブ組立体318、318’の長手軸線は、図18の要素32によって示される。ライナ14、14Aは、組立て中にボス16、16Dを位置させるためにライナ14、14Aのシリンダネック領域118の中に統合される位置付け特徴部206を任意選択で含む。位置付け特徴部206は、凹所チャネル、リッジ、突起、および同種のものを非限定の例として含むことができる。ボス16、16Dのシャンク182は、ライナ14、14A上を摺動し、したがって、ライナ14、14Aのフレアエッジ62は、ボス16、16Dのボア86の中に挿入され、ボス16、16Dの末端88’がライナ14、14Aの位置付け特徴部206と係合するまでずっとである。シールインサート134、134’は、ボス16、16Dのボア86と組み立てられ、したがって、シールインサート134、134’のコーン面162は、ライナ14、14Aをボア86のボスコーン面102に対して挟む。ボス16、16D、ライナ14、14A、および、シールインサート134、134’を組み立てることは、図19に例証されたライナ/ボスサブ組立体318、318’を形成する。
【0062】
[089]図19を参照すると、ライナ/ボスサブ組立体318、318’は、細長いサブ組立体332を形成するために犠牲管セクション324の各末端322、322’に締結される。犠牲管セクション324は、対向する末端322、322’の間に延びるシリンダ壁336によって画定される。更に、各ボス16、16Dの末端88と、犠牲管セクション324の末端322、322’とは、ライナ/ボスサブ組立体318、318’を犠牲管セクション324に雌雄嵌合式に係合させて固定結合および/または解除可能に結合するように構成される。図20は、犠牲管セクション324の対向する末端322、322’に結合される一対のライナ/ボスサブ組立体318、318’の細長いサブ組立体332を例証する。任意の数のライナ/ボスサブ組立体318、318’は、ライナ/ボスサブ組立体318、318’を1つまたは複数の編組機械226に通す前に、細長い組立体332を形成するために、犠牲管セクション324と互いに結合できる。
【0063】
[090]図21は、矢印Gで例証されたように、細長い組立体332を編組機械226に通して給送するプロセスを例証する。各ライナ14、14Aは、1つまたは複数の大径シリンダセクション228と、小径シリンダセクション232と、隣接する大径および小径セクション228、232間に延びるテーパライナセクション236と、を含む。編組機械226は、ライナ14、14Aの外周54’のまわりに複数の繊維ストランド216をオーバー編組する。編組プロセス226は、自動的に繊維ストランド216を細長い組立体332の外周54’上に編組し、編組繊維層224は、ライナ14の外側輪郭54、54’に倣う。細長い組立体332が編組機械226を通過するとき、繊維ストランド216は、ライナ14、14A、ボス16、16D、および犠牲管セクション324の外周54、54’のまわりに、これらの構成要素14、14A、16、16D、324が編組機械226を通過するので、編組される。細長い組立体332は、複数の編組機械226を順次通過でき、各編組機械226は、編組繊維ストランド216の単一層224をオーバー編組するように構成される。
【0064】
[091]細長い組立体332は、細長い組立体332のまわりに繊維ストランド216をオーバー編組する前に、1つまたは複数のバリア層、ブリーザ層、金属フィルム層、および同種のものでラップできる。更に、1つまたは複数のバリア層、ブリーザ層、金属フィルム層、および同種のものは、個別の繊維層224、224A~224Cをオーバー編組した後および/またはする前に、細長い組立体332に適用できる。非限定の例として、ブリーザ層は、細長い組立体332の外周54’のまわりに第1の繊維層224、224Aをオーバー編組する前に、細長い組立体332全体のまわりにラップできる。別の例として、金属フィルム層は、第1の編組繊維層224Aの外周54’のまわりのライナ14、14Aのまわりにラップでき、その後に、追加の繊維層224B、224Cを細長い組立体332のまわりにオーバー編組できる。
【0065】
[092]図22は、細長い組立体332を例証しており、編組機械226を通過後であり、編組繊維層224が各ボス16、16Dのフランジ肩部200に隣接してトリムされる前である。図22に示されたように、細長い組立体332全体は、繊維ストランド216でオーバー編組される。編組繊維層224は、複合自由エッジ240を形成するために各ボス16、16Dのフランジ肩部200に隣接してトリム(図22に示された矢印Kによって例証されたように)される。犠牲管セクション324は、編組繊維層224がトリムされた後に各ボス16、16Dから取り外される。図23は、別々の圧力容器10、10’を形成するためのトリム後の細長い組立体332を示す。各ボス16、16D上の複合自由エッジ240は、必要に応じてテープ242および/または圧着フェルールでカバーできる。
【0066】
[093]外側複合シェル18に埋め込まれたボス16から外方に突出するスパイク186を有するボス16に固定結合されたライナ14を有する圧力容器10の1つの利点は、ボス16が外側複合シェル18に直接機械的に結合されること並びにライナ14に機械的に結合されることである。第2の利点は、シールが、ボス16を軸方向に通過するボア86のボスコーン面102にライナ14を固定結合することによって、ライナ14およびボス16間で達成されることである。第3の利点は、外側複合シェル18の埋込みスパイク186が外側複合シェル18に対するボス16の回転を制限することである。第4の利点は、外側複合シェル18の埋込みスパイク186が外側複合シェル18に対するボス16の軸方向運動を制限することであり、その理由は、ボス16および外側複合シェル18がスパイク186によって機械的に結合されるからである。第5の利点は、成形プロセスを使用せずに、また、ライナ14をボス16に圧着するためのフェルールを使用せずに、ライナ14をボス16に固定結合することである。第6の利点は、外側複合シェル18をボス16に圧着するためのフェルールに依存せずに、外側複合シェル18をボス16に固定結合することである。
【0067】
[094]本発明は、例証的な方法で説明されたが、理解すべきは、使用されてきた用語が限定というより寧ろ説明の言葉の本質にあると意図されることである。本発明の多くの修正および変更は、上の教示に照らして可能である。それ故に、理解すべきは、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本発明が具体的に説明された以外でも実施できることである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23